(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来のマルチフィーダーは、貯留槽内に、その上端部近傍まで粉粒体材料を入れた状態で、下部の小型供給機を駆動して定量排出動作を行う場合、上記ホッパー内において、上記底板の上記小型供給機の上側に位置する粉粒体材料が先に排出されて行くため、貯留槽内の粉粒体材料Mにおいて、貯留槽中央部に材料の大きな穴30が形成され、貯留槽内周面に沿って周方向に粉粒体材料が残るという傾向がある(
図7参照)。例えば、粉粒体材料が木質チップのような短冊状材料の場合は、貯留槽内で周方向に材料同士が絡み易い性質を有しているため、このような傾向が見られる。
【0006】
この傾向は、マルチフィーダーにおいて、貯留槽内に連続的に粉粒体材料が補充投入される場合、貯留槽内の中央部の材料が先に下降して上記小型供給機から排出され、貯留槽の内周面近傍に位置する粉粒体材料が比較的長い時間、貯留槽に滞留する、という課題があった。
【0007】
本発明は、貯留槽内に仕切板を設けることにより、この仕切板により貯留槽内の粉粒体材料の周方向の絡み合いを分断し、貯留槽内における粉粒体材料の滞留を防止して、粉粒体材料を円滑に排出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため本発明は、
第1に、粉粒体材料を貯留する円筒形状の貯留槽が設けられ、
上記貯留槽は上部円筒体とそれに接続されたホッパー部とそれに接続された下部円筒体により構成され、上記貯留槽の下面は水平の底盤にて閉鎖され、当該底盤に上記円筒形状の共通中心軸の周りに一定の開き角度で複数の小円形開口部が貫設され、上記各小円形開口部に小型供給機が各々接続され、上記底盤の上方に上記共通中心軸を中心とする中央円錐体が設けられ、該中央円錐体は上記貯留槽の内周面との間に放射状に設けられた複数の支持アームにより固定され、
上記各支持アームは上記共通中心軸の周りに上記一定の開き角度で上記小円形開口部を塞がない位置において、上記ホッパー部に接続された逆截頭円錐部の内周面に各々固定されており、上記各支持アームの各上縁
と上記上部円筒体の内周面との間に、
上記貯留槽の内周面から上記共通中心軸に向かう板状の仕切板を、
上記共通中心軸を中心とする上記一定の開き角度の位置で各々設け
ることで、上記各仕切板が上記各支持アームの上記各上縁と上記上部円筒体の内周面に接続固定され、これらの仕切板により上記貯留槽の内周面
が周方向に複数
のエリアに分割
され、上記各仕切板の各下縁の幅は、上記貯留槽の内周面側から上記回転中心軸に向けて、上記支持アームの上縁の長さの半分程度の幅又は上記支持アームの上縁の長さの半分より若干狭い幅にて構成され、上記各仕切板の内縁と上記各支持アームの上縁とのなす角度は90度より小さい鋭角であり、かつ、上記各仕切板の各外縁と上記上部円筒体の内周面とは各々隙間なく接続され、上記仕切板の各外縁と上記ホッパー部の内周面との間には、各々仕切板用小間隙が設けられ、上記各仕切板によって囲まれた上記各エリアに各々対応して上記各小型供給機が存在するものであるマルチフィーダーにより構成される。
【0009】
このように構成すると、貯留槽内に収納された粉粒体材料は、複数の仕切板により、周方向の絡み合いが複数個所で分断されるため、底盤の小型供給機により下方に排出されていくと、仕切板によって囲まれた各エリアにおける粉粒体材料は円滑に下降していくことができ、貯留槽内の内周面における、周方向の粉粒体材料の残留を防止することができる。
このように構成すると、貯留槽内の支持アームの位置において、仕切板により、貯留槽内の粉粒体材料に、共通回転軸方向の十分な切れ目を設けることができ、仕切板により囲まれた各エリア毎に、より円滑に粉粒体材料を下降させることができる。このように構成すると、仕切板用小間隙の存在により、各仕切板の外縁と上記内周面間の近傍において、粉粒体材料が下降する際の抵抗を少なくすることができ、より円滑に粉粒体材料を下降させることができる。このように貯留槽の下半部をホッパーにより形成することにより、仕切板によって囲まれた各エリアにおける粉粒体材料の底盤に対する圧力を低減しつつ、粉粒体材料の下降をより円滑に行うことができる。また、上記角度を鋭角とすることにより、貯留槽内における粉粒体材料のブリッジを効果的に低減することができる。このように構成すると、仕切板によって囲まれたエリアに、各々対応して小型供給機(小円形開口部)が存在することになり、各エリアの粉粒体材料を対応する位置の小型供給機に、円滑に排出することができる。
【0016】
第
2に、上記各支持アームは横断面三角形状に形成され、各頂部を形成する各上縁に上記各仕切板が接続固定され、上記各支持アームの半径方向外縁には垂直板が各々固定され、上記各垂直板が上記
逆截頭円錐部の内周面に各々接続されることで上記各支持アームが固定されており、上記
逆截頭円錐部の内周面と上記各支持アームの各半径方向外縁との間には、支持アーム用小間隙が各々設けられており、上記各仕切板用小間隙と上記各支持アーム用小間隙とは連通されているものである上記第
1記載のマルチフィーダーにより構成される。
【0017】
このように構成すると、支持アーム用小間隙の存在により、各支持アームの半径方向外縁と上記内周面間の近傍において、粉粒体材料のブリッジの発生を防止し、粉粒体材料が下降する際の抵抗を少なくすることができ、しかも、仕切板用小間隙と支持アーム用小間隙が連通しているので、より円滑に粉粒体材料を下降させることができる。
【0020】
第
3に、上記底盤上であって上記中央円錐体の下側に、上記共通中心軸を中心とする回転駆動軸を突設し、該回転駆動軸に上記底盤上を放射状に延びる複数のスポークを有する中央回転掻き出し羽根を接続したものである上記第1
又は2記載のマルチフィーダーにより構成される。
【0021】
このように構成すると、貯留槽内の粉粒体材料の排出が略終了段階において、中央回転掻き出し羽根を回転することにより、隣接する小円形開口部間の底盤上に残留する粉粒体材料等を小円形開口部に排出することができ、底盤近傍に残留する粉粒体材料を略完全に排出することが可能となる。
【0022】
第
4に、上記中央回転掻き出し羽根の上記各スポークは、その停止位置において、上記各支持アームの下方に位置しているものである上記第
3に記載のマルチフィーダーにより構成される。
【0023】
このように構成すると、スポークに粉粒体材料の圧力が作用しないので、より低出力の駆動モータにより中央回転掻き出し羽根を駆動することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、貯留槽内に収納された粉粒体材料は、複数の仕切板により、周方向の絡み合いが複数個所で分断されるため、底盤の小型供給機により下方に排出されていくと、仕切板によって囲まれたエリアにおける粉粒体材料は円滑に下降していくことができ、貯留槽内の内周面に周方向に粉粒体材料が残留することはない。
【0025】
また、貯留槽の下半部をホッパーにより形成することにより、仕切板によって囲まれた各エリアにおける粉粒体材料の下降をより円滑に行うことができる。
【0026】
また、仕切板の内縁と上記支持アームの上縁との角度を鋭角とすることにより、貯留槽内における粉粒体材料のブリッジを低減することができる。
【0027】
また、貯留槽内の支持アームの位置において、仕切板により、貯留槽内の粉粒体材料に、共通回転軸方向の十分な切れ目を設けることができ、仕切板により囲まれた各エリア毎に、より円滑に粉粒体材料を下降させることができる。
【0028】
また、仕切板用小間隙の存在により、各仕切板の外縁と上記内周面間の近傍において、粉粒体材料が下降する際の抵抗を少なくすることができ、より円滑に粉粒体材料を下降させることができる。
【0029】
また、支持アーム用小間隙の存在により、各支持アームの半径方向外縁と上記内周面間の近傍において、粉粒体材料が下降する際の抵抗を少なくすることができ、しかも、仕切板用小間隙と支持アーム用小間隙が連通しているので、より円滑に粉粒体材料を下降することができる。
【0030】
また、仕切板によって囲まれたエリアに、各々対応して小型供給機が存在することになり、各エリアの粉粒体材料を対応する小型供給機により円滑に排出することができる。
【0031】
また、貯留槽内の粉粒体材料の排出が略終了段階において、中央回転掻き出し羽根を回転することにより、隣接する小円形開口部間の底盤上に残留する粉粒体材料等を小円形開口部に排出することができ、底盤近傍に残留する粉粒体材料を略完全に排出することが可能となる。
【0032】
また、スポークに粉粒体材料の圧力が作用しないので、より低出力の駆動モータにより中央回転掻き出し羽根を駆動することができる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明に係るマルチフィーダーについて詳細に説明する。
【0035】
図1に上記マルチフィーダーの側面図、
図2に同上マルチフィーダーの平面図を示す。より具体的には、
図1の下部円筒体4より上側は、
図2のX−X断面図、
図1の下部円筒体4より下側は
図2の矢印Y方向からみた側面図である。
【0036】
これらの図において、1は円筒状のサイロであり、共通中心軸Cを中心軸とする円筒形の上部円筒体2と、該上部円筒体2の下部にフランジF1にて接続され、上記共通中心軸Cを共有の中心軸とする逆截頭円錐形状のホッパー部3と、該ホッパー部3の下部にフランジF2にて接続され、上記共通中心軸Cを中心とする下部円筒体4とから構成されており、このサイロ1自体は、機枠40上に垂直に固定されている。
【0037】
上記上部円筒体2の直径は例えば8mであり、上記下部円筒体4の下部の直径は例えば6mである。本発明に係るマルチフィーダーはこのように上記下部円筒体4の下部の直径が例えば4m以上の大口径のサイロ(上部円筒体2の直径は例えば6m〜20m)に適用されるものである。
【0038】
上記下部円筒体4の上端部4aには、上記ホッパー部3の側面の逆円錐形状と同一傾斜角度で、逆円錐形状に傾斜し、上記共通中心軸Cを共通中心とする逆截頭円錐部5が形成されており、上記ホッパー部3の内周面3aは、上記下部円筒体4の内部においても、同一傾斜角度の上記逆截頭円錐部5の内周面5aに円滑に連続するように形成されている。そして、上記逆截頭円錐部5の下端部5bは、上記下部円筒体4の底盤6に近接する位置(下端部5bと底盤6との距離t1)に固定されている。
【0039】
ここで、上記ホッパー部3と上記逆截頭円錐部5により「ホッパー」が構成されているものとする。また、上記上部円筒体2、上記ホッパー部3、上記下部円筒体4により「貯留槽」が構成されているものとする。また、「貯留槽の内周面」とは、上記上部円筒体2の内周面2a、上記ホッパー部3の内周面3a、上記下部円筒体4の内周面4c、上記逆截頭円錐部5の内周面5aをいうものとする。
【0040】
上記下部円筒体4の下側開口部外周にはフランジ4bが設けられており、該フランジ4bに当該下部円筒体4の下側開口部を閉鎖する水平な底盤(貯留槽の底盤)6が接続されている。
【0041】
上記底盤6には、
図2に示すように、その平坦な上面6aに、上記共通中心軸Cを中心として、周方向に120度の開き角度で、各中心Ca,Cb,Ccが位置する3つの小円形開口部7a,7b,7cが貫通形成されている。尚、小円形開口部7a〜7c(複数の小円形開口部をまとめて符号「7」で示す)は本実施形態における3個に限定されず、上記ホッパー部3、上記下部円筒体4の直径、供給する材料等により、4個、5個、6個等の何れかでも良い。これらの小円形開口部7は、底盤6上に、共通中心軸Cの周りに均等開き角度を以って貫通形成される。これらの小円形開口部7の裏面側には各々短円筒8a’〜8c’を介して各々回転フィーダー(小型供給機)8a〜8cが接続されている。
【0042】
これら小円形開口部7a,7b,7cは、平面視において、それらの円の外周が上記下部円筒体4の内周面4cに近接する位置に形成されていると共に(
図2参照)、各小円形開口部7a,7b,7cの中心(中心軸)Ca,Cb,Ccは、上記共通中心軸Cから半径方向に距離t2の円周上に位置しており、何れも同一の半径t3の円から構成されている。従って、上記ホッパー部3及び下部円筒体4の下部(底盤6)は、上記小円形開口部7a,7b,7cの部分のみが開口し、その他の水平部分は底盤6の平坦な上面6aにより閉鎖された状態となっている。
【0043】
上記各小円形開口部7a,7b,7cには、各々逆截頭円錐形の小ホッパー9a,9b,9cが接続されており、各小ホッパー9a,9b,9cの各下部開口に各々上記回転フィーダー8a〜8cが接続されている。これらの回転フィーダー8a〜8cは、上方から供給される粉粒体材料を底盤23上の回転羽根10の回転(矢印A’方向)により底盤23に形成された排出口11(
図3参照)から、下方に定量排出するものである。また、上記短円筒8a’〜8c’にはレベルセンサー24a〜24cが設けられている。これは貯留槽内の粉粒体材料MのレベルQが上記短円筒8a’〜8c’以下に低下したとき、これをレベルセンサー24a〜24cにて検出し、このとき、制御部にて上記中央回転掻き出し羽根14’を正逆回転駆動して、上記底盤6上に残留する粉粒体材料を各小円形開口部7a〜7cに排出する制御を行うものである。
【0044】
上記底盤6の裏面6c側の中心部には、正逆回転可能な電動機Mが固定され、該電動機Mの出力軸には減速機を介して、上記共通中心軸Cを中心軸とする回転駆動軸12が接続され、当該回転駆動軸12が上記底盤6の上面6a側に突出形成されている。
【0045】
上記底盤6上面6aに突出した上記回転駆動軸12には、共通中心軸Cを中心とする中央円盤13が接続されており、該中央円盤13から中央回転掻き出し羽根14’の3本のスポーク14,14,14が放射状に延出形成されており、上記回転駆動軸12の駆動により各中央回転掻き出し羽根14’は矢印A方向又は矢印A’方向に正逆回転可能となっている。また、上記各スポーク14,14,14の各裏面は上記底盤6上に接することなく、上記底盤6上に近接して位置している。
【0046】
また、上記中央回転掻き出し羽根14’の上記中央円盤13の裏面側に、上記底盤6に設けられた近接センサー22により検出される突出部13aを設け、上記近接センサー22の直上に上記突出部13aが到来したときに、各スポーク14,14,14が上記小円形開口部7a,7b,7cを塞ぐことのない位置(
図2の位置)に停止し得るように上記スポーク14,14,14の停止位置の制御を行う。
【0047】
上記各スポーク14の停止位置は、
図2に示すように、各スポーク14が後述の3本の支持アーム15の丁度下側に位置するようになっており、当該停止位置においては、上記各スポーク14,14,14に材料荷重が直接かからないように構成されている。上記中央円盤13の裏面中心に設けられた凹部内に上記回転駆動軸12を挿入嵌合することにより、上記各スポーク14,14,14を矢印A又は矢印A’方向に回転可能とする。
【0048】
上記中央円盤13の上側には、中央円錐体16が3本の支持アーム(減圧用三角梁)15,15,15により、その頂点を上記共通中心軸Cに一致させた状態で固定されている。上記中央円盤13は、上記中央円錐体16の下面の範囲内に存在し、上記ホッパー部3内に充填された粉粒体材料の荷重が直接かからないように構成されている。また、上記中央円盤13の上面と上記3本の支持アーム15の中央部との間には間隙t5が形成されている。
【0049】
上記支持アーム15は、
図2に示すように共通中心軸Cを中心に互いに120度の角度で3方向に設けられている。これらの各支持アーム15は、半径方向に水平に延びる上端15cに、半径方向の頂部Rを有する横断面二等辺三角形状の板であり、上記各支持アーム15の内側(三角形状の内側)において、上記頂部Rに沿って垂直板17を幅方向のリブ17aにて中央位置に垂直に固定し(
図1参照)、各垂直板17の半径方向の先端17bに各々垂直短板18をボルト止めし、各垂直短板18の半径方向外縁を上記逆截頭円錐部5の内周面(貯留槽の内周面)5aに各々溶接固定し、これにより上記中央円錐体16をその頂点が上記共通中心軸Cに一致するように固定している。この中央円錐体16と上記支持アーム15は、粉粒体材料の圧力が底盤6に直接作用することを防止して、各回転フィーダー8a〜8cにおける排出を円滑に行わせると共に、中央回転掻き出し羽根14’に粉粒体材料の圧力が直接作用することを防止して、円滑に回転させるものである。
【0050】
上記構成により、上記各支持アーム15の半径方向外縁15aと上記逆截頭円錐部5の内周面(貯留槽の内周面)5aとの間には間隔(支持アーム用小間隙)t4(例えば150mm)の間隙が形成されている。これは、横断面三角形状の上記支持アーム15をそのまま逆截頭円錐部5の内周面5aに固定すると、支持アーム15の左右の傾斜面15’と上記内周面5aに緩やかな稜線が形成され、この稜線を起点として粉粒体材料のブリッジが発生し易くなる。そこで、上記支持アーム15と上記内周面5aとは上記垂直短板18にて接続するように構成し、上記内周面5a近傍において、上記支持アーム15の上側に積層する粉粒体材料が、上記間隔t4から下方に落下し得るように構成し、即ち、粉粒体材料が下降する際の抵抗を少なくして、上述のようなブリッジの発生を防止したのである。尚、ここで、上記垂直板17と垂直短板18を「垂直板」という。
【0051】
また、上記支持アーム15の半径方向外縁15aを上記内周面5aに隙間なく接続すると、上記半径方向外縁15aと上記内周面5aの接続部が、粉粒体材料降下時に抵抗となるため、上記抵抗を無くし、円滑に粉粒体材料が降下し得るようにするためである。
【0052】
上記中央円錐体16は、その頂点を上記共通中心軸Cに一致させた状態で、上記3本の支持アーム15の中央接合部15bの上側に固定されている。具体的には、
図4に示すように、上記各支持アーム15の中央接合部15bにおいて、上記共通中心軸Cから同一距離の3か所の上記頂部Rに上向きの固定板19を設け、一方、上記中央円錐体16の下縁の上記固定板19に対応する位置の内側(3か所)に、上記固定板19に対応する下向きの固定板20(3か所)を突設し、上記中央円錐体16をその頂点を上記共通中心軸Cに一致させた状態で上記各支持アーム15の中央接合部15b上に載置し、その後、3か所の固定板20と対応する上記固定板19とをボルトBにて固定することにより、上記中央円錐体16は、上記支持アーム15の中心部であって上記各頂部Rの上に載置されるように固定される。
【0053】
このように構成すると、上記中央円錐体16の下面側と上記支持アーム15の頂部Rの両側斜面15’との間に空間Sが形成されるため(
図4(c)参照)、上記ホッパー3内に充填された粉粒体材料のレベルが徐々に低下して行き、そのレベルQが、上記中央円錐体16から上記支持アーム15を通って下方に低下していくとき、上記中央円錐体16下面と上記支持アーム15との間は、上記固定板19,20の3か所以外に接合部が存在せず、上記空間Sが形成されているため、上記中央円錐体16の下縁16’から下降する粉粒体材料は、上記下縁16’から直ちに上記支持アーム15の両傾斜面15’に沿って下降することになり、上記中央円錐体16と上記各支持アーム15との接続部に、ブリッジの起点となる緩やかな稜線が生成されず、粉粒体材料によるブリッジの発生を防止することができる。
【0054】
さらに、
図1、
図2に示すように、3本の上記各支持アーム15,15,15の各上縁15c,15c,15cと、上記各上縁15c,15c,15cに対応する上記上部円筒体(貯留槽)2の内周面2a(3か所)との間に、各々上記内周面2aから上記共通中心軸Cに向かう板状の3枚の仕切板21,21,21(例えば鋼板製)を垂直方向に各々設け、これらの仕切板21,21,21により上記貯留槽2及びホッパー部3(貯留槽)の内周面2a,3aを周方向に複数個所(本実施形態の場合は、
図2、
図6(b)に示すように、エリアK1,K2,K3の3か所)に分割するように構成する。即ち、上記各支持アーム15,15,15の各上縁15c,15c,15cと、上記貯留槽(上部円筒体2)の内周面2aとの間に、上記内周面2aから上記共通中心軸Cに向かう板状の仕切板21,21,21を各々設け、これらの仕切板21,21,21により上記貯留槽の上記内周面2a,3aを周方向に複数(本実施形態の場合は3つ)に分割する。
【0055】
具体的には、
図2に示すように、これら3枚の仕切板21,21,21は、互いに120度を角度差を以って、共通中心軸Cに向けて、上記内周面2a,3aを3分割するように設けられている。
【0056】
上記3枚の仕切板21,21,21の構成は同一なので、
図1の仕切板21について説明すると、上記仕切板21の下縁の幅t6は、上記ホッパー部3の内周面3aから上記共通中心軸Cに向けて、上記支持アーム15の上縁15cの長さt7の半分程度の幅又は上記支持アーム15の上縁15cの長さの半分より若干狭い幅にて構成されている。
【0057】
そして、当該仕切板21は、上記幅t6にて、上記共通中心軸C側の内縁21aが、上記下端から上記ホッパー部3の内周面3aと同様の傾斜角度θにて、上記上部円筒体2の内周面2aまで延長形成されている。その結果、上記仕切板21の上記回転中心軸C側の内縁21aと上記支持アーム15の上縁15cとのなす角度θは70度となっている。尚、上記角度θは、好ましくは55度〜80度、より好ましくは60度〜70度の範囲内(90度より小さい鋭角)の何れかの角度とする。
【0058】
さらに、上記各仕切板21の上記上部円筒体2の内周面2a側の外縁21bは、上記上部円筒体(貯留槽)2の内周面2aと隙間なく接続され、上記各仕切板21の上記ホッパー部(貯留槽)3の内周面3a側の外縁21cと上記ホッパー部3の内周面3aとの間には、間隙(仕切板用小間隙)t8(例えば50mm)が設けられている。この間隙t8は、ホッパー部3の上端部の内周面3aからホッパー3の内周面3aの下端まで一定の幅(t8)にて連続しており、上記間隙t8の下端は、上記間隙(支持アーム用小間隙)t4に連通している。即ち、上記各仕切板21の上記内周面側の外縁21cと上記内周面3aとの間には、仕切板用小間隙t8が設けられている。
【0059】
上記間隙t8を設けたのは、上記仕切板21の外縁21cと上記ホッパー部(貯留槽)3の内周面3aとを隙間なく接続すると、その仕切板21と上記内周面3aとの接合部が粉粒体材料降下時に抵抗となるため、上記抵抗を無くし、スムーズに粉粒体材料を降下させるためである。
【0060】
また、上記間隙t8の下端は、上記間隙(支持アーム用小間隙)t4と連通しているので、仕切板21近傍の粉粒体材料が、ホッパー部3の内周面3aから逆截頭円錐部5の内周面5aに移行しても、粉粒体材料降下時の抵抗が増加することなく、円滑に粉粒体材料を降下させることができる。
【0061】
図2に示すように、上記3本支持アーム15,15,15は、上記共通中心軸Cを中心とする一定の開き角度(本実施形態の場合は120度)であって、上記小円形開口部7a,7b,7cを塞がない位置に各々固定されており、上記各仕切板21,21,21は、上記各支持アーム15,15,15の上に各々設けられている。即ち、各仕切板21,21,21も上記共通中心軸Cを中心とする一定の開き角度(本実施形態の場合は120度)の位置に設けられている。
【0062】
本発明は上述のように構成されるので、次に本発明のマルチフィーダーの動作を説明する。
【0063】
本実施形態の場合は、粉粒体材料は大きさが25mm×35mm程度、厚み7mm〜8mm程度の木質チップ(短冊形状原料)とする。貯留槽の直径は8m、下部円筒体4の直径は6mで
図2に示すように底盤6上に3つの小円形開口部7を有し、3台の回転フィーダー8を有するものとする。
【0064】
まず、垂直コンベア等で木質チップ(粉粒体材料Mの上端レベルQ(
図3参照))を上記貯留槽内に上部円筒体2の上面開口から投入する。貯留槽内には、底盤6から上部円筒体2の上縁のレベルQまで粉粒体材料Mが収納された状態となり(
図6(a)の状態)、さらに粉粒体材料Mは、底盤6から各小円形開口部7a〜7cを介して小ホッパー9a〜9c内に投入され、各回転フィーダー8a〜8cの各々の底盤23上まで投入された状態となる(
図3、
図6参照)。
【0065】
この状態で、3台の回転フィーダー8a〜8cを連続的に回転する。具体的には各駆動モータM’により各回転フィーダー8a〜8cの回転羽根10を矢印A’方向に回転駆動する。すると、上記底盤23上に存在する粉粒体材料は、各回転フィーダー8a〜8cにおいて各回転羽根10の回転により回転しながら各底盤23周辺方向に移送され、各底盤23上に設けられた各排出口11から下方に定量排出されて行く(
図3矢印E方向)。尚、上記排出口11の下側には排出シュート11aが設けられており、該排出シュート11aの下端には搬送コンベア(図示せず)が配置され、当該配送コンベアにより目的とする場所に搬送される。
【0066】
このように上記サイロ(貯留槽)1の底盤6より下側の各回転フィーダー7a〜7bにより、当該サイロ1内の粉粒体材料が下方に排出されていくと、上記小円形開口部7a〜7bの上部に堆積する粉粒体材料が徐々に下方に排出されて行く。このとき貯留槽の下半部がホッパー(ホッパー部3及び逆截頭円錐部5)により形成されているので、該ホッパーにより、仕切板21,21,21によって囲まれた各エリアK1〜K3における粉粒体材料の底盤6に対する圧力が低減されつつ、粉粒体材料の下降をより円滑に行うことができる。
【0067】
ここで、貯留槽としての上部円筒体2及びホッパー部3の内周面2a,3aには、3か所に共通中心軸Cに向かう仕切板21,21,21が存在するので、これらの仕切板21,21,21の存在により、これら仕切板21,21,21の存在する位置において、粉粒体材料Mの周方向の相互の絡み合いが分断されている。即ち、
図2において、上部円筒体2の内周面2a,3a近傍に位置する粉粒体材料は、3枚の仕切り板21,21,21により、予め切れ目が入れられている状態となり、その結果、上記粉粒体材料は、120度毎のエリアK1、エリアK2、エリアK3の3つのエリアにおいて分割された状態となっている。
【0068】
従って、上記各回転フィーダー7a〜7cによる定量排出が進み、上記小円形開口部7a〜7c上に体積する粉粒体材料が下方に排出されていくと、上記エリアK1に位置する粉粒体材料Mは、エリアK1に対応する小円形開口部7aの上部に体積する粉粒体材料Mが排出されていくことにより、エリアK1の貯留槽の内周面2a,3aの近傍に位置する粉粒体材料Mも、矢印G方向に同様に下降して行く(
図6(b)参照)。これは、エリアK1の貯留槽の内面2a,3a近傍に位置する粉粒体材料Mは、両側の仕切板21,21により周方向の絡み合いが分断されており、周方向の相互の絡み合いの力が弱いので、上記小円形開口部7aの上部に堆積する粉粒体材料Mが下降していくと、当該下降に誘発されて、エリアK1の貯留槽の上部(上部円筒体2)の内周面2a,3aの近傍に位置する粉粒体材料も同様に、全体が下降していくことになるからである。
【0069】
また、エリアK2,エリアK3に存在する粉粒体材料も同様である。即ち、上記各回転フィーダー7a〜7cによる定量排出が進み、上記小円形開口部7b,7c上に体積する粉粒体材料が下方に排出されていくと、上記エリアK2(K3)に位置する粉粒体材料Mは、エリアK2(K3)に対応する小円形開口部7b(7c)の上に体積する粉粒体材料Mが排出されていくことにより、エリアK2(K3)の貯留槽の内周面2a,3a近傍に位置する粉粒体材料Mも矢印G方向に同様に下降して行く(
図6(b)参照)。
【0070】
これは、同様に、エリアK2(K3)の貯留槽の内周面2a,3a近傍に位置する粉粒体材料Mは、両側の仕切板21,21により周方向の絡み合いが分断されており、周方向の相互の絡み合いの力が弱いので、上記小円形開口部7b(7c)の上側に体積する粉粒体材料Mが下降していくと、当該下降に誘発されて、エリアK2(K3)の上部円筒体2の内周面2a,3aの近傍に位置する粉粒体材料Mも同様に、全体が下降していくことになるからである。
【0071】
また、上記各仕切板21,21,21と上記ホッパー部(貯留槽)3の内周面3a間には間隔t8(仕切板用小間隙)が形成されているので、粉粒体材料Mが上記ホッパー部3の内周面3aを下降するとき、仕切板21の内縁21cと上記内周面3a近傍に位置する粉粒体材料Mが下降する上で、抵抗となる状況は生じることはなく、各エリアK1,K2,K3において、両側の仕切板21の内縁21c,21c近傍に位置する粉粒体材料Mも円滑に下降することができる。
【0072】
さらに、各支持アーム15の各半径方向外縁15aと内周面5aの間も間隔t4が形成されているので、上記支持アーム15の傾斜面15’,15’(
図4(c)参照)上に存在する粉粒体材料と上記貯留槽の内周面5aとの間においてブリッジが形成されることはなく、上記傾斜面15’,15’上の粉粒体材料Mは円滑に下降していく。このとき、上記間隔t8と上記間隔t4が連通していることから、上記仕切板21の外縁21cと貯留槽の内周面3a近傍の粉粒体材料が円滑に下降して行き、引き続いて上記支持アーム15の半径方向外縁15a近傍の傾斜面15’,15’を円滑に下降していくことができ、上記仕切板21の外縁21cと上記内周面3a、上記支持アーム15の半径方向外縁15aと内周面5aが粉粒体粉粒体材料の下降の際の抵抗になることはない。
【0073】
そして、上記貯留槽内の粉粒体材料のレベルQが上記ホッパー部3内を低下して行き、さらに各小円形開口部7a〜7c内の短円筒8a’〜8c’を下降し、上記レベルQが全ての検出センサー24a,24b,24cの位置より下方に移行し、粉粒体材料の排出が最終段階に達した時、これを上記レベルセンサー24a,24b,24cによって検出すると、制御部(図示せず)が、駆動モータMを正逆回転駆動する。これにより、上記中央回転掻き出し羽根14’が矢印A方向及び矢印A’方向に一定時間(例えば10秒間から20秒間)正逆回転し、上記小円形開口部7a〜7cの周辺の底盤6上面6aに残留する粉粒体材料Mを上記各小円形開口部7a〜7cに排出する。
【0074】
上記スポーク14の回転範囲は、例えば、矢印A方向は、上記スポーク14の矢印A方向の前端が隣接する小円形開口部7a〜7cの開口のエッジに位置するまで(
図2の小円形開口部7aの位置a)、矢印A’方向は、上記スポーク14の矢印A’方向の前端が隣接する小円形開口部7a〜7cの開口のエッジに位置するまで(
図2の小円形開口部7cの位置b)であり、この範囲(a,bの範囲)を正逆方向に、一定時間駆動する。
【0075】
従って、小円形開口部7a〜7cの周辺の底盤6の上面6aに位置する粉粒体材料Mをも略完全に、小円形開口部7a〜7c内に排出することができる。
【0076】
また、上述のような定量排出動作を継続中に、上記貯留槽内の上部(上部円筒体2の上部)から順次、新たな粉物体材料が投入されたとしても、上記と同様に、粉粒体材料は順次、各エリアK1〜K3において、矢印G方向に円滑に下降していくので、貯留槽の内周面2a,3a,5aに排出されない粉粒体材料が環状に残る、ということはなく、投入された粉粒体材料Mは、略投入された順序で、順次定量排出されていく。
【0077】
本発明は以上のように、貯留槽内に収納された粉粒体材料は、複数の仕切板21,21,21により、周方向の絡み合いが複数個所で分断されるため、底盤6の小型供給機8a〜8cにより下方に排出されていくと、仕切板21によって囲まれたエリアK1〜K3における粉粒体材料は円滑に下降していくことができ、貯留槽内の内周面に周方向に粉粒体材料が残留することはない。
【0078】
また、貯留槽の下半部をホッパーにより形成することにより、仕切板21によって囲まれた各エリアK1〜K3における粉粒体材料の下降をより円滑に行うことができる。
【0079】
また、支持アーム15と仕切板21との角度θを鋭角とすることにより、貯留槽内における粉粒体粉粒体材料のブリッジを効果的に低減することができる。
【0080】
また、貯留槽内の支持アーム15の位置において、仕切板21により、貯留槽内の粉粒体材料に、共通中心軸C方向の十分な切れ目を設けることができ、仕切板21により囲まれた各エリアK1〜K3毎に、より円滑に粉粒体材料を下降させることができる。
【0081】
また、仕切板用小間隙t8の存在により、各仕切板21の外縁21cと上記内周面間の近傍において、粉粒体材料が下降する際の抵抗を少なくすることができ、より円滑に粉粒体材料を下降させることができる。
【0082】
また、支持アーム用小間隙t4の存在により、各支持アーム15の半径方向外縁15aと上記内周面間の近傍において、粉粒体材料が下降する際の抵抗を少なくすることができ、しかも、仕切板用小間隙t8と支持アーム用小間隙t4が連通しているので、より円滑に粉粒体材料を下降することができる。
【0083】
また、仕切板21によって囲まれたエリアK1〜K3に、各々対応して小型供給機7a〜7cが存在することになり、各エリアの粉粒体材料を対応する小型供給機により円滑に排出することができる。
【0084】
また、貯留槽内の粉粒体材料の排出が略終了段階において、中央回転掻き出し羽根14’を回転することにより、隣接する小円形開口部7a〜7c間の底盤6上に残留する粉粒体材料等を小円形開口部7a〜7cに排出することができ、底盤6近傍に残留する粉粒体材料を略完全に排出することが可能となる。
【0085】
また、スポーク14に粉粒体材料の圧力が作用しないので、より低出力の駆動モータMにより中央回転掻き出し羽根14’を駆動することができる。
【0086】
尚、上記実施形態では、小円形開口部は3個の場合を説明したが、小円形開口部は、共通中心軸Cの周りに、均等開き角度で4個、5個でも良くその数は限定されない。勿論、小円形開口部が4個、5個の場合は、回転フィーダーもそれに対応して4個、5個が設けられ、中央円錐体の支持アームも小円形開口部が4個、5個の場合は、各小円形開口部を塞がない位置に、4本、5本が設けられる。さらに、中央回転掻き出し羽根のスポークも、上記支持アームに下方に4本、5本設けられることになる。この場合、仕切板21は、支持アームに対応して、支持アーム上に4枚、又は、5枚設けられる。
【0087】
また、上記実施形態では、貯留槽は、上部円筒体2とホッパー部3と下部円筒体4から構成されたものを説明したが、これに限定されず、全体が円筒形状の貯留槽でも良い。