(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6836790
(24)【登録日】2021年2月10日
(45)【発行日】2021年3月3日
(54)【発明の名称】エアリフト及びこのエアリフトを備えた濾過装置
(51)【国際特許分類】
B01D 24/02 20060101AFI20210222BHJP
B01D 24/46 20060101ALI20210222BHJP
B01D 29/62 20060101ALI20210222BHJP
【FI】
B01D23/10 B
B01D23/24 Z
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-229004(P2017-229004)
(22)【出願日】2017年11月29日
(65)【公開番号】特開2019-98209(P2019-98209A)
(43)【公開日】2019年6月24日
【審査請求日】2020年4月8日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592188069
【氏名又は名称】株式会社広洋技研
(74)【代理人】
【識別番号】100087745
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 善廣
(74)【代理人】
【識別番号】100098545
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100106611
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 幸史
(74)【代理人】
【識別番号】100150968
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 悠有子
(72)【発明者】
【氏名】小林 豊
【審査官】
駒木 亮一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−120912(JP,A)
【文献】
特開平10−128380(JP,A)
【文献】
特開2001−162109(JP,A)
【文献】
特開2012−166113(JP,A)
【文献】
特開2004−202297(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D24/00−24/48
B01D36/00−36/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
夾雑物が含まれる原水が流入する濾過槽及び該濾過槽の内部に堆積される粒状の濾材からなる濾層を有する濾過装置の前記濾層に埋設される取入口を有し、該取入口から前記濾材及び該取入口に供給される洗浄水を送り込んで前記濾材を洗浄するエアリフトにおいて、
前記取入口が連結された揚砂管と、
該揚砂管に連結された前記取入口に連結されて該取入口に空気を供給するエアノズルを有して該エアノズルを介して前記取入口に空気を供給して該取入口から前記濾材及び前記洗浄水を送り込んで前記揚砂管内を通過させる送気管と、を備え、
該送気管が前記取入口の外周面及び前記揚砂管の外周面に沿って該各外周面に接合され、
前濾過槽は、底部、前記底部と対向する上部、および前記底部と前記上部との間の側壁部と、を有し、
前記濾層は、前記側壁部から前記底部に亘って傾斜し、
前記濾材は傾斜に沿って上から下に流動可能であり、
前記送気管は、前記濾材の傾斜方向下側に位置する前記取入口および前記揚砂管の外周面に接合されることを特徴とするエアリフト。
【請求項2】
前記取入口、前記揚砂管及び前記送気管が前記濾層に埋設される部分において前記送気管が前記取入口の外周面及び前記揚砂管の外周面に接合されることを特徴とする請求項1に記載のエアリフト。
【請求項3】
前記送気管が前記取入口の外周面及び前記揚砂管の外周面に溶接によって接合されることを特徴とする請求項1または2に記載のエアリフト。
【請求項4】
夾雑物が含まれる原水が流入する濾過槽、該濾過槽の内部に堆積される粒状の濾材からなる濾層、該濾層に埋設される取入口を有して該取入口から前記濾材及び該取入口に供給される洗浄水を送り込んで前記濾材を洗浄するエアリフトを備える濾過装置において、
前記エアリフトは、
前記取入口が連結された揚砂管と、
該揚砂管に連結された前記取入口に連結されて該取入口に空気を供給するエアノズルを有して該エアノズルを介して前記取入口に空気を供給して該取入口から前記濾材及び前記洗浄水を送り込んで前記揚砂管内を通過させる送気管と、を備え、
該送気管が前記取入口の外周面及び前記揚砂管の外周面に沿って該各外周面に接合され、
前濾過槽は、底部、前記底部と対向する上部、および前記底部と前記上部との間の側壁部と、を有し、
前記濾層は、前記側壁部から前記底部に亘って傾斜し、
前記濾材は傾斜に沿って上から下に流動可能であり、
前記送気管は、前記濾材の傾斜方向下側に位置する前記取入口および前記揚砂管の外周面に接合されることを特徴とする濾過装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアリフト及びこのエアリフトを備えた濾過装置、特に、粒状の濾材からなる濾層を有する濾過装置の濾層に埋設される取入口を介して送り込まれた濾材を洗浄するエアリフト、及びこのエアリフトを備えた濾過装置に関する。
【背景技術】
【0002】
河川水や工場排水等の原水に含まれる夾雑物を除去する濾過技術のうち、砂等の粒状物を濾材として、原水から夾雑物を除去する濾過技術が広く利用されている。このような濾過技術を用いた濾過装置が、特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1の濾過装置は、原水が流入する濾過槽、及びこの濾過槽内に配置されて濾材からなる濾層が堆積される集水部材を備え、濾過槽内に原水が流入すると、濾層によって原水から夾雑物が除去されて、濾過された濾過水が集水部材によって集水される。
【0004】
ところで、この種の濾過装置には、濾材を洗浄する洗浄機構が設けられることがある。この洗浄機構の構成の概略を、
図5を用いて説明する。
【0005】
図5で示すように、洗浄機構101は、濾過装置の濾過槽100に配置されるものであり、エアリフト110及び洗浄水供給口120を主要構成として備える。
【0006】
エアリフト110は、濾材130aからなる濾層130に埋設される取入口111aを有する揚砂管111、及びこの揚砂管111と間隙Sを介して平行に配置される送気管112を備える。
【0007】
この送気管112は、揚砂管111の取入口111aに連結されて取入口111aに空気を供給するエアノズル112aを有する。
【0008】
一方、洗浄水供給口120は、濾過槽100において揚砂管111の取入口111aの下方に配置される。
【0009】
濾材130aを洗浄する場合は、洗浄水供給部120から揚砂管111の取入口111aに向かって洗浄水が供給されるとともに、図示しない揚砂ブロアによって送気管112に空気が送り込まれ、この空気がエアノズル112aを介して気泡として取入口111aに供給される。
【0010】
これにより、取入口101aの近傍の濾材130aがほぐされながら、濾材130a及び洗浄水が取入口111aを介して揚砂管111に送り込まれる。
【0011】
揚砂管111に送り込まれた濾材130aは、同じく揚砂管111に送り込まれた洗浄水によって、揚砂管111を通過する過程で洗浄される。
【0012】
洗浄により夾雑物を含むこととなった洗浄水は、図示しない排出口を介して濾過槽100の外部に排出される一方、夾雑物が分離された濾材120aは、吐出口100aを介して濾過槽100の上部から濾層130の上に吐出される。
【0013】
このように、濾材130aが揚砂管111に送り込まれて濾層130の上に吐出されることによって、濾材130aが揚砂管111の取入口111aに向かって流動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2004−202297
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかし、
図6で示すように、洗浄機構101のエアリフト110では、揚砂管111と送気管112とが濾層130に埋設される部分において、揚砂管111と送気管112との間隙Sに濾材130aが入り込むことが想定される。
【0016】
したがって、濾材130aが揚砂管111の取入口111aに向かって流動しても、間隙Sに入り込んだ濾材130aは流動しないで、間隙Sに滞留することとなり、やがて固化してしまうことが想定される(固化濾材130b)。
【0017】
このように、濾層130が部分的に固化することになると、濾過装置による原水の濾過効率が低下することが懸念される。
【0018】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、濾材が固化することを抑制して濾過効率の低下を抑制することができるエアリフト及びこのエアリフトを備えた濾過装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題を解決するための、本発明に係るエアリフトは、夾雑物が含まれる原水が流入する濾過槽及び濾過槽の内部に堆積される粒状の濾材からなる濾層を有する濾過装置の濾層に埋設される取入口を有し、取入口から濾材及び取入口に供給される洗浄水を送り込んで濾材を洗浄するエアリフトにおいて、取入口が連結された揚砂管と、揚砂管に連結された取入口に連結されて取入口に空気を供給するエアノズルを有してエアノズルを介して取入口に空気を供給して取入口から濾材及び洗浄水を送り込んで揚砂管内を通過させる送気管と、を備え、送気管が取入口の外周面及び揚砂管の外周面に沿って各外周面に接合され
、前濾過槽は、底部、前記底部と対向する上部、および前記底部と前記上部との間の側壁部と、を有し、前記濾層は、前記側壁部から前記底部に亘って傾斜し、前記濾材は傾斜に沿って上から下に流動可能であり、前記送気管は、前記濾材の傾斜方向下側に位置する前記取入口および前記揚砂管の外周面に接合されることを特徴としている。
【0020】
さらにこのエアリフトは、取入口、揚砂管及び送気管が濾層に埋設される部分において送気管が取入口の外周面及び揚砂管の外周面に接合されることを特徴としている。
【0021】
このエアリフトによれば、濾層に埋設される取入口、同じく濾層に埋設される揚砂管の一部及び送気管の一部において、送気管が取入口の外周面及び揚砂管の外周面に接合される。
【0022】
したがって、濾材の洗浄等に起因する濾材の流動に際しては、濾層に埋設される取入口、揚砂管の一部及び送気管の一部によって濾材の流動が阻害されることがなく、その滞留が抑制される。
【0023】
これにより、濾材が滞留して濾層の一部が固化することが抑制されることから、濾過装置による原水の濾過効率の低下が抑制される。
【0024】
しかも、このエアリフトは、送気管が取入口の外周面及び揚砂管の外周面に溶接によって接合されることを特徴としている。
【0025】
このように、送気管が取入口の外周面及び揚砂管の外周面に溶接によって接合されていることから、送気管と、取入口及び揚砂管とを、汎用されている簡易な手法で接合することができる。
【0026】
上記課題を解決するための、本発明に係る濾過装置は、夾雑物が含まれる原水が流入する濾過槽、濾過槽の内部に堆積される粒状の濾材からなる濾層、濾層に埋設される取入口を有して取入口から濾材及び取入口に供給される洗浄水を送り込んで濾材を洗浄するエアリフトを備える濾過装置において、エアリフトは、取入口が連結された揚砂管と、揚砂管に連結された取入口に連結されて取入口に空気を供給するエアノズルを有してエアノズルを介して取入口に空気を供給して取入口から濾材及び洗浄水を送り込んで揚砂管内を通過させる送気管と、を備え、送気管が取入口の外周面及び揚砂管の外周面に沿って各外周面に接合され
、前濾過槽は、底部、前記底部と対向する上部、および前記底部と前記上部との間の側壁部と、を有し、前記濾層は、前記側壁部から前記底部に亘って傾斜し、前記濾材は傾斜に沿って上から下に流動可能であり、前記送気管は、前記濾材の傾斜方向下側に位置する前記取入口および前記揚砂管の外周面に接合されることを特徴としている。
【0027】
この濾過装置によれば、濾過装置に設けられるエアリフトが、濾層に埋設される取入口、同じく濾層に埋設される揚砂管の一部及び送気管の一部において、送気管が取入口の外周面及び揚砂管の外周面に接合されて形成されている。
【0028】
したがって、濾材の洗浄等に起因する濾材の流動に際しては、濾層に埋設される取入口、揚砂管の一部及び送気管の一部によって濾材の流動が阻害されることがなく、その滞留が抑制される。
【0029】
これにより、濾材が滞留して濾層の一部が固化することが抑制されることから、濾過装置による原水の濾過効率の低下が抑制される。
【発明の効果】
【0030】
この発明によると、濾過装置による原水の濾過効率の低下が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の実施の形態に係る濾過装置の概略を説明する斜視図である。
【
図2】同じく、本実施の形態に係る濾過装置の概略を説明する側面図である。
【
図5】濾過装置に設けられた従来の洗浄機構の構成の概略を説明する図である。
【
図6】同じく、濾過装置に設けられた従来の洗浄機構によって発生すると想定される不具合の概略を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
次に、本発明の実施の形態について、
図1〜
図4に基づいて説明する。
【0033】
図1は、本実施の形態に係る濾過装置の概略を説明する斜視図であり、
図2は、濾過装置の概略を説明する側面図である。図示のように、濾過装置10は、夾雑物が含まれる原水を濾過した濾過水を収集する装置であり、濾過槽20及び洗浄機構30を主要構成として備える。
【0034】
濾過槽20は、底部20A、底部20Aと対向する上部20B、及び底部20Aと上部20Bとの間の側壁部20Cを有する円筒状に形成される。
【0035】
この濾過槽20には、排水トラフ21A及び排水トラフ21Aに設けられて先端縁21Baが濾過槽20の内部に突出する区画壁21Bが形成されている。この区画壁21Bは、濾過槽20の内部を、原水が流入する原水流入口22aが設けられた流入槽22と、後述する夾雑物を含む洗浄水を排出する洗浄水排出口23aが設けられた排出槽23とに区画する。
【0036】
この区画壁21の下方において、側壁部20Cから底部20Aに亘って傾斜して、集水部24が配設される。この集水部24は、本実施の形態では、断面形状がくさび型のウェッジワイヤスクリーンによって構成される。
【0037】
この集水部24が側壁部20Cから底部20Aに亘って傾斜して配設されることによって、本実施の形態では、濾過槽20の下部において濾過槽20から区画された集水槽25が形成される。
【0038】
この集水部24の上部及び底部20Aの上部には、本実施の形態では、区画壁21Bの先端縁21Baが埋設されるように粒状の濾材1aが堆積されて、流入槽22の下部と排出槽23の下部とに亘ってまたがる濾層1が形成される。
【0039】
この濾層1は、傾斜して配設された集水部24に沿って、側壁部20Cから底部20Aに亘って傾斜して形成され、次述する洗浄機構30のエアリフト40の一部が埋設される。
【0040】
洗浄機構30は、原水を濾過することによって原水から除去した夾雑物が含まれることとなった濾層1の濾材1aを洗浄するものであり、本実施の形態では、エアリフト40、このエアリフト40で洗浄した濾材1a等を排出する排出槽23に設けられた排出機構50、及び濾材1aを洗浄する洗浄水を濾過槽20内に供給する洗浄水供給機構60を備える。
【0041】
エアリフト40は、本実施の形態では、濾過槽20の流入槽22において濾層1に埋設される4基の取入口41、各取入口41に連結される4本の揚砂管42、各揚砂管42にそれぞれ空気を供給する4本の送気管43、及び各送気管43に空気を送り出す空気制御機構44を備える。
【0042】
図3は、
図2のA部拡大図であり、
図4は、
図3のIV−IV線断面図である。図示のように、取入口41は、上部41a、下方に開口する開口部41b、及び上部41aから開口部41aに向かうに従って漸次拡径する外周面41cを有する円筒状に形成される。
【0043】
揚砂管42は、本実施の形態では、外周面42Aaを有して取入口41の上部41aに連結される第1管42A、第1管42Aに連結される第2管42B、第2管42Bに連結されて流入槽22の上部で排出槽23側に屈曲する第1エルボ42C、第1エルボ42Cに連結されて濾過槽20の上部で流入槽22と排出槽23とに亘って架設される第3管42D、及び第3管42Dに連結されて排出槽23内で下方に向かって開口する吐出口42Eaを有する第2エルボ42Eを備える。
【0044】
送気管43は、本実施の形態では、揚砂ブロア44a及び揚砂ブロア44aからの空気を調整するエア調整弁44bを備えた空気制御機構44から送り出される空気を、揚砂管42に連結された取入口41に供給する管路である。
【0045】
この送気管43は、本実施の形態では、エア調整弁44bに連結されて揚砂管42の第2管42Bと間隙を介して平行に配設される導入管43a、導入管43aに連結されて揚砂管42の第1管42Aに近接する方向に屈曲する連結管43b、連結管43bに連結されて揚砂管42の第1管42Aの外周面42Aaに沿って接合される空気供給管43c、空気供給管43cに連結されて取入口41の外周面41cに沿って接合される直結管43d、及び直結管43dに連結されて円筒状の取入口41内に配設されるエアノズル43eを備える。
【0046】
空気供給管43cは、断面略コ字状に形成され、本実施の形態では、溶接によって揚砂管42の第1管42Aの外周面42Aaに接合されている。同様に、直結管43dも断面略コ字状に形成され、同じく溶接によって取入口41の外周面41cに接合されている。
【0047】
このように構成されたエアリフト40は、本実施の形態では、取入口41、揚砂管42の第1管42Aの一部、及び送気管43の空気供給管43cの一部と直結管43dが、濾層1に埋設されている。
【0048】
排出機構50は、濾過槽20の上部20Bに設けられて濾過槽20の排出槽23内に垂下する取付部51、及びこの取付部51と連続して形成されて取付部51から折曲して傾斜する濾材分離バッフル52を備える。
【0049】
本実施の形態では、この取付部51によって、揚砂管42がその第3管42Dにおいて支持される。これにより、揚砂管42の第2エルボ42Eの吐出口42Eaが濾材分離バッフル52に臨む。
【0050】
洗浄水供給機構60は、本実施の形態では、高圧ポンプ等によって構成される洗浄水供給部61、洗浄水供給部61から供給される洗浄水をエアリフト40の取入口41に供給する洗浄水供給口62を備える。
【0051】
洗浄水供給口62は、本実施の形態では、濾過槽20の底部20Aに配置されて取入口41の開口部41bに臨み、この洗浄水供給部61によって集水槽25に集水された水が洗浄水として、吸込口41の開口部41bに臨む洗浄水供給口62から取入口41に供給される。
【0052】
次に、本実施の形態に係る濾過装置10の作動の概略について説明する。
【0053】
例えば、夾雑物を含んだ原水が濾過槽20の原水流入部22aから濾過槽20の流入槽22に流入されると、原水が濾層1を通過して、原水に含まれる夾雑物が濾材1aによって次第に分離される。
【0054】
濾層1は、本実施の形態では、傾斜して配設された集水部24に沿って、側壁部20Cから底部20Aに亘って傾斜して形成されており、単位面積当たりの濾過面積を大きくとることができることから、濾過装置10による原水の濾過効率が向上する。
【0055】
濾層1を通過した原水は、集水部24を透過して、集水部24によって濾過槽20から区画されて形成された集水槽25に、濾過水として集水される。濾過水は、後述するエアリフト40の洗浄水として利用されるほか、外部に排出されて、適宜、上水処理がなされる。
【0056】
集水部24は、本実施の形態では、単位面積当たりの開口面積が広く、濾過性能に優れるウェッジワイヤスクリーンで構成されることから、この点においても濾過装置10による原水の濾過効率が向上する。
【0057】
このように、濾過装置10によって原水が濾過されるに従って、濾層1の濾材1a中に分離された夾雑物が濾層1に蓄積されることから、濾材1aを洗浄して夾雑物を除去する必要がある。
【0058】
濾材1aを洗浄する場合は、洗浄水供給機構60の洗浄水供給部61が、洗浄水供給口62を介して、集水槽25に集水された濾過水を洗浄水として取入口41に供給する一方で、揚砂ブロア44aの駆動によって、エア調整弁44bを介して送気管43に空気を送り出し、この空気を、エアノズル43eを介して気泡として取入口41に供給する。
【0059】
送気管43によってエアノズル43eを介して取入口41に空気が気泡として供給されると、取入口41の近傍の濾材1aがほぐされながら、濾材1a及び洗浄水が取入口41を介して揚砂管42に送り込まれる。
【0060】
揚砂管42に送り込まれた濾材1aは、同じく揚砂管42に送り込まれた洗浄水によって、揚砂管42を通過する過程で洗浄される。このように、濾材1aを洗浄することによって、洗浄水には夾雑物が含まれることとなる。
【0061】
濾材1a及び夾雑物を含むこととなった洗浄水は、揚砂管42の吐出口42Eaから吐出されて、吐出口42Eaに臨む濾材分離バッフル25に衝突する。これにより、濾材1aは濾材分離バッフル25に沿って濾過槽20の上部から排出槽23側の濾層1の上に沈降することから、濾材1aが排出槽23内で散逸することが抑制される。
【0062】
このように、濾材1aが排出槽23側の濾層1の上に沈降することによって、濾材1aが、揚砂管42が連結されて濾層1に埋設された取入口41に向かって流動する。
【0063】
本実施の形態では、濾層1に埋設されるエアリフト40における取入口41、同じく濾層1に埋設される揚砂管42の一部及び送気管43の一部において、送気管43が取入口41の外周面41c及び揚砂管42の第1管42Aの外周面42Aaに接合されることから、濾材1aの流動に際しては、濾層1に埋設される取入口41、揚砂管42の一部及び送気管43の一部によって濾材1aの流動が阻害されることがなく、その滞留が抑制される。
【0064】
したがって、濾過装置1における濾材1aの滞留により濾層1の一部が固化することに起因する、原水の濾過効率の低下が抑制される。
【0065】
しかも、本実施の形態では、送気管43が取入口41の外周面41c及び揚砂管42の第1管42Aの外周面42Aaに、溶接によって接合されていることから、送気管43と取入口41及び揚砂管42とを、汎用されている簡易な手法で接合することができる。
【0066】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることはなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。上記実施の形態では、送気管43の空気供給管43c及び直結管43dが断面略コ字状に形成されている場合を説明したが、取入口41及び揚砂管42に接合することが可能な形状であれば、断面略コ字状のものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0067】
1 濾層
1a 濾材
10 濾過装置
20 濾過槽
30 洗浄機構
40 エアリフト
41 取入口
42 揚砂管
43 送気管
43c 空気供給管
43d 直結管
43e エアノズル
50 排出機構
60 洗浄水供給機構
61 洗浄水供給部
62 洗浄水供給口