特許第6836826号(P6836826)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6836826
(24)【登録日】2021年2月10日
(45)【発行日】2021年3月3日
(54)【発明の名称】層板パケットの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01F 41/02 20060101AFI20210222BHJP
   C09J 4/02 20060101ALI20210222BHJP
   C09J 5/00 20060101ALI20210222BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20210222BHJP
   C09J 163/00 20060101ALI20210222BHJP
   C09J 175/04 20060101ALI20210222BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20210222BHJP
   H01F 27/245 20060101ALI20210222BHJP
   H02K 15/02 20060101ALI20210222BHJP
   H02K 15/12 20060101ALI20210222BHJP
【FI】
   H01F41/02 B
   C09J4/02
   C09J5/00
   C09J11/06
   C09J163/00
   C09J175/04
   C09J201/00
   H01F27/245 150
   H02K15/02 F
   H02K15/12 A
【請求項の数】26
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-561321(P2014-561321)
(86)(22)【出願日】2013年3月13日
(65)【公表番号】特表2015-519721(P2015-519721A)
(43)【公表日】2015年7月9日
(86)【国際出願番号】EP2013000742
(87)【国際公開番号】WO2013135378
(87)【国際公開日】20130919
【審査請求日】2016年3月8日
【審判番号】不服2019-8007(P2019-8007/J1)
【審判請求日】2019年6月17日
(31)【優先権主張番号】102012005795.4
(32)【優先日】2012年3月14日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】514013875
【氏名又は名称】キーンレ ウント シュピース ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 秀樹
(74)【代理人】
【識別番号】100091867
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 アキラ
(72)【発明者】
【氏名】ブロッヒャー ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】バウアー シュテフェン
(72)【発明者】
【氏名】バルドス アンドラーシュ
【合議体】
【審判長】 山田 正文
【審判官】 須原 宏光
【審判官】 山本 章裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開平5−304037(JP,A)
【文献】 特開2007−311765(JP,A)
【文献】 特開2010−238817(JP,A)
【文献】 特開2006−334648(JP,A)
【文献】 特開平11−308823(JP,A)
【文献】 特開昭54−50919(JP,A)
【文献】 特開平1−265595(JP,A)
【文献】 特開2005−269732(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 3/00- 3/14
H01F 27/24-27/26
H01F 41/00-41/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の層板(5)を打ち抜きし、これら層板の片側に接着剤(35)を塗布し、プレス(11)の雌型(39)内にある組み立て室(41)内で組み立てることで層板パケット(42)を形成するようにした、高さをコントロールされる層板パケット(42)を前記プレス(11)の金型(13)内で製造する方法であって、前記層板(5)のための出発原料(2)として、コイル(7)の形態で供給され前記層板(5)を打ち抜くための帯材(2)を使用し、または、個々の薄板を使用し、開始剤(15)を塗布するために少なくとも1つの塗布システムを使用し、該塗布システムが、制御部(17)と少なくとも1つの塗布ユニット(18)とを有し、該塗布ユニットが少なくとも1つの塗布ヘッド(20)を備えている前記方法において、
前記層板(5)の他の側に、誘導性イミンとメタクリル酸エステルとから成る前記開始剤(15)を噴霧し、前記誘導性イミンとメタクリル酸エステルとが前記接着剤(35)との接触時に反応して接着剤複合体を形成し、該接着剤複合体が、少なくとも80℃以上の温度で完全に硬化した後、長期間耐性があって、互いに接している前記層板(5)の間の接着結合部を形成すること、
前記開始剤(15)を噴霧している間、前記帯材(2)が静止していること、
前記開始剤(15)を塗布するために、前記制御部(17)と前記少なくとも1つの塗布ヘッド(20)を備えた前記少なくとも1つの塗布ユニット(18)とを有する前記少なくとも1つの塗布システムを使用し、前記塗布ヘッド(20)が、前記開始剤(15)のための弁(19)を備え、該弁に前記開始剤(15)を噴霧するためのノズル(21)が接続され、前記制御部(17)が1回のプレス行程ごとに電流パルスを前記弁(19)へ送信して該弁を開弁させること、
最後の打ち抜きステップの前に前記接着剤(35)を前記層板(5)に塗布すること、
前記接着剤複合体を、前記プレス(11)の前記雌型(39)内での熱供給により、前記金型(13)のすぐ横に設けたユニット内部で少なくとも部分的に硬化させること、
を特徴とする方法。
【請求項2】
前記金型(13)の手前で前記開始剤(15)を塗布することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
複数のステップで前記層板(5)を、必要な輪郭を備えるように打抜くことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
必ずしも完全に前記接着剤(35)と混合させる必要のない前記開始剤(15)によって硬化反応を発生および/または加速させることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
前記接着剤(35)を、前記帯材(2)の上面の、パケットの組み立てに適した位置で小さな点の形態でおよび/または一部の面にまたは全面に塗布することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
前記接着剤を可変量で前記層板(5)上に塗布することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
前記接着剤を1つまたは複数の接着剤単位の形態で前記層板(5)上へ配量して塗布することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
螺旋状のパケットを所望のどのピッチ角でも形成させるため、前記パケット(42)の構築中に前記層板(5)を回転させることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
品質、厚さ、性質、コーティングが異なる材料を加工することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項10】
前記層板パケット(42)用の前記組み立て室(41)内にブレーキ(40)を挿着させることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項11】
前記開始剤の塗布を周期的に中断し、前記組み立て室(41)内で異なる高さのパケット(42)を継ぎ合わせることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項12】
前記接着剤の塗布または前記開始剤の塗布を、内部または外部から来る信号によって中断させることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項13】
前記開始剤の塗布を1つまたは複数の噴霧ヘッド(20)を用いて全面または部分的に行なうことを特徴とする、請求項1から12までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項14】
前記開始剤(15)および/または前記接着剤(35)の量を変化させて、後の接着剤複合体の硬化速度および性質を制御できるようにしたことを特徴とする、請求項1から13までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項15】
前記接着剤複合体の1つの成分を連続的に塗布し、前記接着剤複合体の他の成分を、前記パケットの形成を中断するために前記層板(43)上に塗布しないことを特徴とする、請求項1から14までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項16】
前記接着剤複合体の1つの成分を連続的に塗布し、前記接着剤複合体の硬化反応を活性化させるための他の成分を、前記パケットの形成を中断するために前記層板(43)上に塗布しないことを特徴とする、請求項1から15までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項17】
前記接着剤複合体を、前記プレス(11)の雌型(39)内および/または次の蓄積部(41)内での熱供給により、前記金型(13)のすぐ横に設けたユニット内部で全体または一部を硬化させることを特徴とする、請求項1から16までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項18】
前記接着剤(35)の一部または全面の加熱を前記組み立て室(41)内で行うことを特徴とする、請求項1から17までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項19】
前記接着剤(35)の一部または全面の加熱を、前記層板(5)を継ぎ合わせる前に非常に迅速に行い、前記接着剤(35)がまだ反応温度下にあるときに前記層板(5)を継ぎ合わせることを特徴とする、請求項1から18までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項20】
個々の層板(5)を予熱し、前記接着剤(35)を加熱するために前記組み立て室(41)内で部分的にまたは全面を後加熱して接着を改善させることを特徴とする、請求項1から19までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項21】
前記接着剤(35)の反応段階および/または液状段階での接着部の構築を、前記組み立て室(41)内で前記層板(5)を押圧することによって支援することを特徴とする、請求項18または20に記載の方法。
【請求項22】
前記接着剤(35)の加熱を1つまたは複数の誘導コイルおよび/または放射および/または波動加熱によって行うことを特徴とする、請求項1から21までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項23】
前記層板パケット(42)の切り離しを、分離剤および/または分離フィルムから成っている分離層を塗布することによって行うことを特徴とする、請求項1から22までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項24】
前記層板パケット(42)の切り離しを、熱源を短時間オフすることによって行い、1つまたは複数の層板が反応温度および/または接着温度に達しないようにすることを特徴とする、請求項1から23までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項25】
前記接着剤および前記開始剤の塗布ユニットの位置が、互いに重なりあってまたは互いにずらして前記金型の上流側にあり、および/または、前記金型内にあることを特徴とする、請求項1から17までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項26】
滴状接着剤を、これがノズル(21)から出るときに前記開始剤を用いて噴霧することを特徴とする、請求項1から17までのいずれか一つまたは請求項25に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念部に記載の層板パケットの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気機械では、コアプレートを切断して製造した層板を積層して使用することが多い。個々の層板を切断するため、通常は打ち抜きプレスが使用される。コアまたはパケットの製造は種々の方法で行うことができ、これには、コアを形成するためにプレス内で個々の部分を機械的に継ぎ合わせること、プレスの外側でパケットを形成するために層板を溶接、接着または機械的に継ぎ合わせることが含まれている。
【0003】
たとえば金型およびプレスの外側でパケットを製造する分野に関しては、特許文献1がこれを記載している。この文献は、熱硬化性層を有している鋼からパケットをいかに製造するかを説明している。特許文献2は、層板に隆起部および凹部を備えさせ、これら隆起部および凹部を用いて層板を圧縮することでパケットを形成する解決手段を説明している。これらのいわゆる結合方法にはいくつかの欠点がある。
【0004】
a.結合技術は、非常に複雑な金型の製造を必要とする。金型の部品は材質に対して非常に敏感であり、金型よりも堅牢性に乏しい。このような金型を用いると、複数の層板は互いに結合されない。このためにコストを高めるとともに、この種の方法に伴うリスクが高くなり、有用性を困難にする。
【0005】
b.たとえば0.35mm以下の非常に薄い鋼板は、結合させることが極めて困難であり、効率の悪い方法になる。
【0006】
c.生産物のなかには、各層板を特定の量だけ回転させねばならないものがある。層板が互いに結合されていないパケットの場合、回転角は存在している結合部位の数だけ制限され、すなわち結合点が4つある場合、可能な最小回転角は90゜である。
【0007】
d.現在の結合技術の他の欠点は、厚さまたは性質が異なる材料(品質等級名が異なることによって性質が異なることがある)を継ぎ合わせることができないことにある。
【0008】
外部から塗布される接着剤を使用する他の技術も試みられた。その例として特許文献3および特許文献4が挙げられる。これらの文献はいずれも、帯材表面に塗布される接着剤を使用するための方法を記載している。毛細管状の接着を行うこと、すなわちパケットの外側エッジに接着「継ぎ目」を形成させることも同様に試みられた。
【0009】
打ち抜いた層板上に接着剤を転状または線状に塗布するようにした方法も知られている(特許文献5)。接着剤の塗布は、複数のノズルを含んでいる塗布ヘッドを用いて行われる。
【0010】
他の方法では(特許文献6)、接着剤が層板上の所定位置に塗布される。接着剤塗布のために設けられている接着剤塗布ユニットは、接着剤を排出する3つのノズルを備えた分配部材を有している。
【0011】
コア製造の組み込み部品としての帯材表面に接着剤を塗布するための既存の種々の技術を用いると、種々の困難が伴う。
【0012】
a.可能なプレス速度は、接着剤塗布速度によって制限されている。たとえば前記特許文献4では、速度範囲は1分間当たり200−300行程に決定される。コスト上好ましい生産のためには、プレス速度は1分間当たり少なくと400行程でなければならず、典型的には1分間当たり600行程の値が非常に好ましい。
【0013】
b.金型をクリーンに保持するのが困難である。たとえば前記技術の1つでは、バッチサイズの限界は数千回の行程であり、この回数の行程を実施した後に金型の保守、クリーニングが必要である。硬金属金型に対する通常の保守インターバルは、最小で2000000行程である。作動時間が短くなると、生産コストが著しく高くなる。
【0014】
c.特許文献4に記載されているような既存のシステムは、部品の摩耗に伴う問題があることが知られている。
【0015】
上記a,b,cはすべて、接着剤の塗布が塗布ユニットと帯材との間の接触に基づいているという事実に関わっている。
【0016】
d.いくつかの接着技術を用いて製造されたパケットは、パケットの変動強度/不安定な強度を有していることがある。
【0017】
e.塗布ユニットを組み込んだ金型のコストは、標準的な金型のコストよりも著しく高くなることがある。
【0018】
f.金型内に組み込まれる塗布システムの技術は、通常は、既存の金型には適用することができない。
【0019】
g.他の公知の方法(特許文献7)では、部分結合ごとに1つの塗布ヘッドを用いて非常に効果的に無接触で層板積層体を生成させる。この方法には、当該方法で使用される接着剤に限定されるという制限がある。この接着剤は、このような層板パケットの通常の使用分野の熱的条件のもとでは層板の長期結合を形成しない。層板が接着剤により互いに部分的に結合されているにすぎないので、高強度を保証することができない。さらに、いくつかのケースでは、層板間での振動を阻止することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】DE2446693
【特許文献2】EP0121173
【特許文献3】DE3535573
【特許文献4】DE20318993
【特許文献5】特開2005−269732号公報
【特許文献6】特開2001−321850号公報
【特許文献7】欧州特許出願公開第1833145A2号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明の課題は、経済的に競合的な速度で、プレス操作の組み込み部品よりも高強度の層板パケットを製造できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明では、補償ロールに進入する材料はその後供給部に供給され、その後プレスに、その後金型に供給される。プレスの出発材料は通常のごとくコイルの形態で提供されるが、特定の長さに切断した帯材を使用してもよい。プレスによって打ち抜かれる各材料の厚さは、本発明による技術を使用する場合、継ぎ合わせることができる。特に薄い材料(通常は0.5mm以下の厚さ)は、通常これらの薄い材料に対し必要な金型および機械の精度が少なくて済むので、継ぎ合わせ技術としての接着剤を使用することで有利になる。本発明による方法を用いると、品質、厚さ、性質、コーティングが異なる材料を加工することができる。しかも、品質、厚さ、性質、コーティングが異なる材料を同じパケットで継ぎ合わせることが可能である。
【0023】
この生産物の場合、好ましくは、80℃以上の温度(部分的には180゜以上)で完全に硬化した後、十分な強度を可能にする接着剤が使用される。好ましくは、迅速な硬化反応を得るために、ラジカルに硬化する接着剤が使用される。本発明では、好ましくは、2物質系によって硬化するメタクリル酸塩系接着剤を使用する。この場合1つの成分は樹脂(実質的にはエチルメタクリレートおよび/またはメタクリル酸エチルおよび/またはイソボルニルメタクリル酸塩から成り、自力で硬化せず、または、いくぶん緩速に硬化する)と、硬化剤成分である開始剤とから成り、開始剤は、実質的には湿潤剤を含む過酸化物から成り、過酸化物はたとえば三官能基のエステルと加速剤とから成り、加速剤はたとえば第三アニリン誘導体から成る。この開始剤は制限的にしか接着剤マトリックスに組み込まれず、それ故少量しか存在しない。ほとんどの場合、十分な硬化反応を達成するには、両成分を真正に混合させなくとも接触で十分である。というのは、開始剤の個々のイオン基が接着剤と反応し、場合によってはこの反応によって、接着剤内部での更なる反応から鎖全体が遊離するからである。架橋剤はとりわけ高い温度安定性(好ましくは継続的に180゜以上)に寄与する。架橋剤自体は、開始剤の中にも接着剤の中にも含まれていてよい。
【0024】
しかし接着剤は、樹脂と硬化剤とから成る嫌気性系であってもよく、この場合樹脂(ジメタクリル酸エステル)と硬化剤または開始剤とは溶解した金属イオンを含んでおり、その際樹脂は金属イオンと組み合わせて酸素を閉じ込めた状態で同様にラジカル反応によって架橋する。
【0025】
しかし接着剤は、上記の2つの樹脂系および硬化剤系の組み合わせであってもよい(9+10)。これによって硬化反応が促進され、耐熱性をさらに改善させることができる。
【0026】
このプロセスでは、開始剤は帯材の上面および/または下面の一部面領域にまたは全面に無接触で噴霧され、または、蒸着され、または、接触式に押圧、ローリングされ、或いは、他の平面式塗布方法で付される。開始剤の量、従ってその層厚は、硬化反応を加速できるように、および/または、後の接着結合部の性質を最適に調整できるように、塗布装置によって制御される。
【0027】
設置句材自体は、個々の滴の形態で無接触に塗布され、または、帯材の上面および/または下面の一部面領域にまたは全面に無接触で噴霧され、または、接触式に押圧、ローリングされる。しかしながら、接着剤を開始剤で湿潤下帯材の他の側に塗布してもよく、或いは、同じ側に塗布してもよい。
【0028】
接着剤を全面に塗布する場合、特に空間的な切り離しによって開始剤との接触を回避するため、よって硬化反応を回避するため、接着剤は、好ましくは層板を金属帯材から引き離す直前に塗布する。
【0029】
他方、隣接している層板との継ぎ合わせを行う直前または数秒以内に、従って接着剤系内で最初の反応が十分促進する直前または数秒以内に、まず接着剤を塗布し、開始剤を反対側に追加的に塗布し、その後無接触でおよび/またはダイレクトに接着剤の上へ噴霧することも可能である。
【0030】
接着剤は、金型の外部または内部に装備品を備えた金型の前後で組み込みシステムを用いて塗布することができる。接着剤のどの部位に正確に塗布するかには種々の可能性がある。たとえば、金型内の開始剤を塗布し、層板を打ち抜き装置の外側に蓄積し、または、層板を打ち抜き装置の外側でも接着剤で架橋し、その後のクランプ装置で接着させるようにして、すぐに加工することも可能である。
【0031】
金型内でのプロセスでは、帯材を個々の層板に打ち抜く。層板パケットを雌型内で継ぎ合わせる。最後の打ち抜きから出る雄型の圧力とブレーキとは、層板間の好適な結合を保証する。この大きな圧力は、接着剤の均一な硬化にとって重要であり、層板全体にわたって均一なパケット強度を提供する。
【0032】
他方、温度のもとで自力で硬化する接着剤を塗布してもよく、従って開始剤を必ずしも必要としない。この場合に適しているのはアクリラート系接着剤(たとえばメタクリル酸から成る)、または、たとえばエポキシ樹脂系接着剤(たとえば実質的にビスフェノールAから成る)、または、ウレタン樹脂系接着剤である。このような接着剤も層板の片側または両側に部分的にまたは全面に塗布される。しかし、このような接着剤は打ち抜きプロセスの前にすでに乾燥形態で帯材上に存在していてもよい。
【0033】
接着剤は、温度の影響で完全に架橋する樹脂系および硬化剤系から成っていてよい。樹脂はたとえばビスフェノールAをベースにしたエポキシ、ノボラック等から成り、硬化剤はたとえばポリアミノ酸、ポリアミド、ジシアンジアミド、フェノール樹脂、カルボン酸無水物等から成り、或いは、通常の使用温度以上で溶融し、よって冷却工程時に接着することのできる溶融性接着剤(たとえばポリアミドをベースにした溶融性接着剤)から成っていてもよい。また、2つの接着工程を互いに組み合わせる接着剤も使用でき、たとえばイソシアネート群を組み込んだポリエステルウレタンプレポリマーをベースにする溶融性接着剤を使用できる。
【0034】
しかし重要なことは、接着剤を加熱させる態様である。好ましくは、打ち抜き工程後にはじめて層板を層板蓄積部内で部分的に、または、層板のデザインが許すなら全面を加熱して接着させる。部分的な接着の場合、追加的に層板積層体を別個の二次プロセスでもう一度加熱し、接着させてよい。しかしこれを金型内で完全に行うことができるならば、生産物はすでに完成している。完全な接着は、加熱技術に依存して生産物のデザインが最大でほぼ30mmの外側輪郭に対する間隔を上回っていない場合に可能である。というのは、もしそうでないと、外側輪郭の領域が結合され、内側輪郭の領域が層板積層体内部での比較的緩速な入熱または熱流によって接着には冷えすぎるからである。金型内では、加熱のために、好ましくは、層板積層体全体を加熱する誘導コイルを使用してよい。
【0035】
その補助となるのは、層板をクランプする際の押圧力であり、この押圧力は接着剤の反応および結合を支援して加熱を補助する。他方、層板積層体を他のすべての加熱システム(たとえば赤外線放射器または加熱ワイヤー)を用いて加熱することも可能である。加熱ワイヤーは、通電したときに高い抵抗を有し、これによって熱くなって層板パケットに熱を放出する。
【0036】
この縦穴内での層板積層体の接着を無端で行う必要がない場合には、最上位の層板の上面に、または、最下位の層板の下面に、接着剤湿潤性が非常に悪い分離層を噴霧してよく、その結果そこでは接着は行われず、或いは、そこでは追加的に簡単な分離が可能になる。或いは、同様にこの個所での接着を阻止する分離フィルムまたはスペーサーを挿入してもよい。
【0037】
他方、高エネルギーを用いて短時間で接着剤を反応温度へもたらすようにして、加熱を完成したまたは部分的に完成した個々の層板で行ってもよく、または、直接帯材で行ってもよい。これは、好ましくは、接着剤表面のすぐ近くに位置決めされている誘導コイルによって行われる。図1は、帯材2を通過させるトンネル1を示し、このトンネルにコイル3が固定される。他方、このようなトンネル1内で接着剤4をレーザー、赤外線または他の放射源のような放射によって高速加熱してもよく、或いは、マイクロ波のような波動放射によって高速加熱してもよい。接着剤が反応性を持つように層板5の一部または全面で加熱されていれば、この領域は、層板を帯材から切り離す際に隣接の層板と継ぎ合わされ、硬化反応が十分に行われるまでの間加圧状態で固定される。
【0038】
このシステムの場合、個々の層板積層体の分離は熱源を短時間オフにすことによって行うこともでき、このために硬化反応のために層板が十分加熱されないようにする。前記のような分離工程も考えられる。
【0039】
他方、2つの加熱機構の組み合わせも考えられる。すなわち、たとえば個々の層板上の接着剤をまず加熱し、反応をさらにゆっくりと行わせ、継ぎ合わされた状態の層板積層体をさらに加熱させて加圧状態で保持させる。
【0040】
1つのオプションによれば、新たなパケットの製造を開始するときに接着剤または開始剤の配分を中断するように、この配分を制御する。この制御はプレス制御部と連動させることができ、その結果たとえば所定回数の打ち抜き工程実施後の滴状接着剤の配分が阻止される。これは、接着剤のない層板の製造を生じさせ、従ってブレーキ内での新たなパケットの製造開始を容易にさせる。
また、本発明の更なる有利な実施態様を列挙すると、以下のようになる。
接着剤の一部または全面の加熱を組み立て室内で行う。
接着剤の一部または全面の加熱を、層板を継ぎ合わせる前に非常に迅速に行い、接着剤がまだ反応温度下にあるときに層板を継ぎ合わせる。
個々の層板を予熱し、接着剤を加熱するために層板蓄積部内で部分的にまたは全面を後加熱して接着を改善させる。
接着剤の反応段階および/または液状段階での接着部の構築を、層板蓄積部内で層板を押圧することによって支援する。
接着剤の加熱を1つまたは複数の誘導コイルおよび/または放射および/または波動加熱によって行う。
層板パケットの切り離しを、分離剤および/または分離フィルムから成っている分離層を塗布することによって行う。
層板パケットの切り離しを、熱源を短時間オフすることによって行い、1つまたは複数の層板が反応温度および/または接着温度に達しないようにする。
接着剤および開始剤の塗布ユニットの位置が、互いに重なりあってまたは互いにずらして金型の上流側にあり、および/または、前記金型内にある。
滴状接着剤を、これがノズルから出るときに開始剤を用いて噴霧する。
【0041】
本発明による技術の明瞭な利点は、この技術が個々の部分を継ぎ合わせるための物理学的結合に依拠していない点ある。それ故、互いに連続している層板を、生成に必要などの角度でも回転させることが可能である。
【0042】
本発明による技術を使用する際にプレスに課せられる唯一の速度制限は、接着剤塗布システムの速度と、ブレーキ内での接着材の硬化時間とである。必要であれば、ブレーキをより長くすることにより、硬化時間が長くなる。それ故この技術は、他の結合技術の場合と比較可能な速度またはこれよりも高速度でプレスを作動させる可能性を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
本発明の実施形態の説明をより分かりやすくするために以下の図を用いる。
図1】層板を打ち抜くための帯材を通板させる通板部を備えた誘導通路の概略図である。
図2】層板積層体を製造するための金型を備えた打ち抜きプレスの概略図である。
図3】打ち抜きプレスの金型の概略図である。
図4】接着剤塗布ユニットの制御を示す概略図である。
図5図4による接着剤および/または開始剤塗布ユニットの塗布ヘッドの拡大図である。
図6】1つの層板上に大きな面の開始剤を塗布する塗布ヘッドの概略図である。
図7】1つの層板上に複数の小さな面の開始剤を塗布する複数の塗布ヘッドの図である。
図8】金型への接着剤塗布ユニットの結合を示す概略図である。
図9】開始剤の複数の点が塗布される1つの帯板の、接着剤用塗布ロールの上方領域の平面図である。
図10図9の詳細拡大図である。
図11】接着剤の塗布に関連付けられる3つのロールの図である。
図12】接着剤用塗布ロールの側面図である。
図13図12の塗布ロールの平面図である。
図14】連続する層板が積層された層板積層体が形成されている竪穴の概略図である。
図15】複数の層板(そのうちいくつかは開始剤を備えていない)を打ち抜くための1つの帯材の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下では、本発明による技術の1実施形態を詳細に説明する。層板パッケージ体はたとえば電動機のロータおよび/またはステータのために使用される。
【0045】
図2の打ち抜きプレスの概略図である。巻き戻し機8上には、出発材料のコイル7がある。図2から、材料が補償ロール9によって案内され、その後送り装置10内で案内され、そしてプレス11のプレス台11’内へ案内されることがわかる。金型13はプレステーブル12上にあり、2つの部分、すなわち上部分13aと下部分13bとから成っている。プレス上部ビーム14は、帯状の材料2から層板を打ち抜くために上下動する。
【0046】
プレス台内に設けたキー要素の配置に関する更なる詳細を図3に示す。この実施形態では、開始剤用の塗布ユニットが金型13の前面に配置され、金型13の上部分13aか下部分13bのいずれかに固定することができる。塗布ユニットの塗布弁は無接触で作動する。帯状の出発材料12上には、金型13に進入する前に、或いは、上部分13aと下部分13bとの間で、薄い面状の層15の形態の開始剤が噴射技術により部分的にまたは全面に塗布される。
【0047】
プレス11は制御部16(図4)に接続され、制御部16は、1回のプレス行程ごとに制御信号を接着剤塗布ユニット18内に設けた塗布弁制御用制御部17に送信する。制御部17内の信号は、電流パルスをダイレクトに塗布ユニット18のそれぞれの弁19へ送る。開始剤用の弁19は短い固定時間の間開き、この時間内に開始剤は帯材表面へ可能な限り均一に加圧噴射される。その際、帯材2上に薄い面状の層15が生じる。開始剤はノズル21から滴形状で出る(図5)。滴状開始剤23はノズル21から出る際に噴射空気22を用いて噴霧される。ノズル21は、塗布ユニット18の構成部品である塗布ヘッド20の一部である。たとえば、塗布ヘッド20は帯材表面24からほぼ1mmないしほぼ100mmの間隔を持っていてよい。噴射のための信号のタイミングは非常に重要である。このタイミングは、帯材2が瞬間的に静止しているときに、プレス行程の適切な部分の間に開始剤を塗布するうえで必要である。これによって開始剤の均一な配分と正確な位置決めとを行うことができる。もし開始剤を帯材2の前進中に塗布したとすると、前進速度は直線的でないので、塗布量は前進速度に依存して行わなければならない。
【0048】
開始剤は容器25内でプレス11に隣接して貯留される。容器25が圧力26の作用を受けると、開始剤は容器25から少なくとも1つの管27を通じて塗布ヘッド20へ搬送され、該塗布ヘッドにより前述の態様で開始剤が帯材2上へ噴霧される。塗布されたばかりの開始剤面15(図4)は、開始剤をどちらの側に塗布するかに応じて、帯材2の上面28aまたは下面28bのいずれかの上にある。好ましくは、帯材2の上面28aに噴霧されるのがよい。
【0049】
制御部17と塗布ユニット18とは有利には塗布システムを形成している。配分が適宜必要な場合には、複数の塗布システムを設けて開始剤を帯材2上に塗布する。塗布ユニット18に関しては適当なすべての弁システムが考えられる。どの弁システムを使用するにしても、開始剤が帯材2上の所定部位に塗布されるよう保証されねばならない。
【0050】
塗布ユニット18はその信号をプレス制御部16から受け取る必要はない。塗布ユニット18はその信号を他の制御部からも供給されてよい。
【0051】
複数の塗布ユニットを設ける場合には、これらの塗布ユニットを1つの共通の制御部17から調整および/または制御することも可能である。層板5の他に必要な塗布ヘッド20の数量は、種々のファクタに依存している。これらのファクタには、層板積層体6の安定性が複合体全体のなかで均一に配分されるようにするために層板5のサイズが含まれ、また複数の固定点を可能な限り左右対称に配置することで十分な付着力を達成するために(図6)層板の形状が含まれる。このときには1つの塗布ヘッド20で十分である。たとえば比較的大きな面29を湿潤させる必要がある場合には、比較的小さな面を介してよりもこの比較的大きな面を介して著しく大きな力を伝達させることができる。比較的小さな面30の場合には、同じ付着力を達成するためにより多くの結合個所が必要であり、よってより多くの塗布ヘッド20が必要である(図7)。実質的に塗布ヘッド20と弁19とから成っている塗布ユニット18(図8)は、支持装置31によって金型13に接続される。支持装置1は個別の金型13に設けられ、塗布ユニット18を固定するためにこの金型にとって適正な場所に形成されている。しかしながら、塗布ユニット18自体は支持装置31から取り外すことができ、従って他のどの金型13とともに使用できる。塗布ユニット18は金型13に対し間隔をもって配置してもよく、または、金型13内に配置してもよい。
【0052】
開始剤で湿潤された帯材2を通板する際、帯材が雄型または案内板のような金型部品と接触することがある。これは、存在している開始剤(本実施形態では誘導性イミンとメタクリル酸エステルとから成り、最小量で塗布される)が自然硬化性の作用をせず、主に揮発性物質から成っているためである。このため、帯材2は、開始剤と接触すると、ぶら下がったままにならない。
【0053】
開始剤が金型の前方で帯材の全面に塗布されると、開始剤は潤滑膜のように雄型と雌型とに作用し、それ故打ち抜き金型の寿命を著しく向上させ、よって金型の全体塗布と寿命とを何倍も向上させる。層板5は公知の態様で複数のステップで必要なすべての輪郭を備えるように打ち抜きされる。最後のステップで層板5は帯材2の残部から切り離される。接着剤の塗布はその最後のステップ直前に行われ、すなわち層板5がまだ幅狭の結合細条部32(図9)だけで帯材2に固定されているようなステップ直前に行なわれる。接着剤の塗布はロール塗布によって行うことができ、すなわち帯材2が上部ロール33と下部ロール34とによって案内されるようなロール塗布によって行うことができる。上部ロール33はバックレストとして用いる。下部ロール34はゴム加工されており、接着剤で湿潤されている。この湿潤は図11によれば接着剤槽35によって行い、この接着剤槽にロール34を浸漬させる。下部ロール34に対し最小の間隔をもっている第3のロール36は次のように位置調整され、すなわち受容した接着材35の一部を下部ロール34に再び放出し、よってロール塗布の際に接着剤の必要な層厚と均一な配分とが可能になるように、位置調整されている。ゴム加工されたロール34は、金型13の送り長さに相当する周長を有している。ゴム加工されたロール34には、転動の際に結合細条部32の領域が接触する可能性のある領域37,37’が繰り抜かれている(図12および図13)。繰り抜き部37,37’によりこれらの領域は湿潤されない。図9からわかるように、ロール33,34,36の長さは帯材2の幅よりも大きく、その結果接着剤を必要などの位置においても層板5の下面に塗布することができる。繰り抜き部37はたとえばロール34の両端部の近くに同じ軸線方向高さで設けられている(図13)。繰り抜き部37’は、ロール34の軸線方向に見て(図12)ロール34の半分の長さの位置で繰り抜き部37と直径方向に対向している。凹部として形成される繰り抜き部37,37’は、図示した実施形態では円形の輪郭を有しているが、接着剤で湿潤されない層板5の領域の種類および/または形状によっては他の適当な輪郭をもっていてもよい。層板5を結合細条部32において帯材2から切り離す最後の打ち抜きステップ(図14)では、切り離した層板5を全面雄型38によって雌型39の中へ下方へ押し込み、これによって層板5の下面にある接着剤35が、前もって切り離された層板5の上面にある開始剤15と接触する。開始剤15と接着剤35との接触により湿潤反応が行なわれ、その結果互いに上下に位置している層板5が高いに固定結合される。互いに上下に位置している層板5は、まず雌型39によって、次にブレーキ40によって、接着剤が十分な初期強度に達するまでの間、固定される。
【0054】
ブレーキ40は竪穴状の空間41内にあり、この空間内に層板5が積層されてパッケージ体を形成している。ブレーキ40は、打ち抜かれた層板が竪穴41を通じて下方へ落下しないようにする。ブレーキの構成は公知であるので、簡単に説明する。ブレーキはたとえば部分リングによって形成することができ、その内径は打ち抜かされた層板5の外径よりもわずかに小さい。これにより、層板5はブレーキ40によって竪穴41内で保持される。雄型38により、各打ち抜き工程後に次の層板はブレーキ40内にある層板に対し押しつけられる。ブレーキ40によって及ぼされるブレーキ力は、それぞれ次の層板をすでに形成されている層板パッケージ体の一部に対して押し付ける際に、積層されている層板5の確実な接着を保証するような押圧力が生じるほどの大きさである。雄型38によって及ぼされる力は層板5全体にわたって均一である。それ故、層板全体にわたって補償される接触と、均一な結合を好ましくさせる高い圧力とが存在する。硬化のために使用可能な時間は、層板5の数量および厚さと、雌型39からブレーキ40の端部までの距離と、1分間当たりの行程数とに依存している。
【0055】
竪穴41の長手方向におけるブレーキ40の長さが長ければ長いほど、圧縮される層板5がブレーキ40内にとどまっている時間は長くなる。これにより、1分間当たりの行程数が同じでも、より多くの時間を接着剤の硬化に使用できる。
【0056】
上述した実施形態を使用する場合、この技術で望ましい層板パケット長さを保証するいくつかの方法がある。図15を用いて、帯板2に対する開始剤15の供給を固定インターバルでいかに中断できるかの1つの可能性を説明する。開始剤を備えた層板5を竪穴41(図14)内で継ぎ合わせて1つのパケット42を形成させる。このケースでは、帯材2への開始剤15の供給は固定インターバルで中断される。このようにして、その上面28aに開始剤15を有していない層板43が生成される。開始剤を有していない層板の結合部は竪穴41内で接着せず、或いは、急速に十分に接着しない。従ってこの個所でパケットが分離することがある。開始剤を有していないこの層板43により、層板パケット42の高さが決定される。本実施形態では4つ目の層板が開始剤を有していないので、竪穴41内では、互いに上下に着座している4つの層板5から成るパケット42が形成される。この部分パケットの最上位の層板5に対して、開始剤15を有していない層板43が押し付けられた瞬間に、パケット42は所望の高さを有するに至り、その後公知の態様で竪穴41から押し出され、このパケットを搬出させる搬送装置に供給される。このとき竪穴41内では、4つの層板5から成る次の層板パケット42が形成される。この部分パケットに対し、開始剤を有していない層板43が押し付けられると、パケット42は再び所望の高さを有するに至り、その後押し出される。このようにして非常に簡単にパケット高さを決定することができる。
【0057】
開始剤を有していない層板43は、必ずしも均一な時間インターバルで帯板2から打ち抜かれる必要はない。開始剤の塗布は、開始剤の供給の中断が異なる時間インターバルで行われるように制御してよい。よって、開始剤を有していない層板43のパケット42内での数量は、1つのケースではより多く、他のケースではより少ない。このようにして層板パケット4の高さを簡単に調整することができる。
図1
図2
図3
図4-5】
図6
図7
図8
図9-11】
図12-13】
図14
図15