【文献】
INFUSE 9530 Olefin Block Copolymer,Technical Information,米国,THE DOW CHEMICAL COMPANY,2011年 9月14日
【文献】
INFUSE 9530 Olefin Block Copolymer,SAFETY DATA SHEET,米国,THE DOW CHEMICAL COMPANY,2018年 8月17日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
[架橋発泡粒子]
本発明の架橋発泡粒子は、ポリエチレンブロックとエチレン/α−オレフィン共重合体ブロックとのマルチブロック共重合体(以下、単にマルチブロック共重合体ともいう)の架橋発泡粒子である。
以下、本発明の架橋発泡粒子について詳細に説明する。
【0008】
(架橋発泡粒子の平均気泡径)
本発明の架橋発泡粒子において、平均気泡径(a)は50〜180μmである。平均気泡径(a)が50μm未満の場合には、型内成形時に加熱によって破泡しやすくなり、独立気泡率が低下して2次発泡性が低下したり、成形時の回復性が低下したりするおそれがある。一方、気泡径が180μmを超える場合には、成形体物性や反発性が低下したり、成形加熱時に、発泡粒子同士の表面を融着させるために大きな熱量が必要となり、その結果、融着性が低下するおそれがある。上記観点から、平均気泡径(a)は、60〜170μmがより好ましく、70〜160μmがさらに好ましく、80〜140μmが最も好ましい。
【0009】
(架橋発泡粒子の平均気泡径の測定)
本発明において、前記の発泡粒子の平均気泡径は、ASTM D3576−77に基づき、次のように測定される。
発泡粒子を略二分割し切断面を走査型電子顕微鏡にて写真を撮影する。得られた断面写真において、発泡粒子切断面の中心付近から八方向に等間隔に直線を引き、その直線と交わる気泡の数を全てカウントし、該直線の合計長さをカウントされた気泡数で除して得られた値を気泡の平均弦長とし、さらに0.616で除することにより、発泡粒子の気泡径とする。この操作を少なくとも30個以上の発泡粒子について行い、各発泡粒子の気泡径の算術平均値を平均気泡径とする。
なお、上記各発泡粒子の気泡径の測定において、該直線と一部でも交わる気泡もカウントすることとする。また、上記測定において発泡粒子切断面の中心付近から八方向に等間隔に直線を引く理由としては、直線が発泡粒子切断面の中心付近から八方向に等間隔に引かれるものであれば測定される気泡の形状が、仮に発泡粒子切断面上で方向によって異なるものであっても、安定した気泡径の値が得られるからである。
【0010】
(架橋発泡粒子の平均表層厚み(b)、及びその測定)
本発明の架橋発泡粒子において、平均表層厚み(b)は3〜27μmである。平均表層厚みが3μm未満である場合には、成形加熱時に発泡粒子の表層部分が加熱により軟化して、発泡粒子表面の気泡が破れ易くなり、良好な発泡粒子成形体が得られなくなるおそれがある。一方、平均表層厚みが27μm超である場合には、加熱成形時に多量の熱量が必要となり、発泡粒子同士が融着し難く発泡粒子同士を強固に融着させることが困難となり、同密度の発泡粒子成形体では相対的に引張り特性が低下するおそれがある。上記観点から、平均表層厚みは、好ましくは、4〜25μm、より好ましくは、5〜23μmである。
【0011】
また、本発明において、発泡粒子の平均表層厚み(b)は次のように測定される。
発泡粒子を略二分割し切断面を走査型電子顕微鏡にて300倍に拡大して写真を撮影する。得られた断面写真の発泡粒子の表層部分の写真において、発泡粒子の最外に位置し円周方向に連接する気泡において、少なくとも10箇所以上の箇所における、発泡粒子表面側の気泡膜厚みが最小となる値を計測し、それらの値の算術平均値を発泡粒子の表層厚みとする。この操作を少なくとも30個以上の発泡粒子について行い、各発泡粒子の表層厚みの算術平均値を平均表層厚みとする。
【0012】
(架橋発泡粒子の平均表層厚み(b)に対する平均気泡径(a)の比(a/b))
本発明の架橋発泡粒子は、平均表層厚み(b)に対する平均気泡径(a)の比(a/b)が5〜12であることが好ましい。該比(a/b)が5〜12の範囲であれば、気泡径と表層厚みのバランスに優れるので、2次発泡性と融着性に優れ、引張強度に優れた良好な発泡粒子成形体を得ることができる。上記観点から、該比は、6〜11であることがより好ましい。
【0013】
(架橋発泡粒子の平均気泡膜厚みについて)
発泡粒子の平均気泡膜厚み(Tm)は、上記の方法で測定された平均気泡径aから以下の式(1)を使って算出される。
V
S=(ρf−ρg)/(ρs−ρg)=[(a+Tm)
3−a
3]/(a+Tm)
3 (1)
但し、V
Sは基材樹脂の容積分率、ρfは発泡粒子の見かけ密度(g/cm
3)、ρsは基材樹脂の密度(g/cm
3)、ρgは気泡内のガス密度(g/cm
3)、aは平均気泡径(μm)、Tmは平均気泡膜厚み(μm)である。なお、(1)式における(ρfおよびρs)>>ρgであることからρgを0(g/cm
3)とし、Vs=ρf/ρsとなる。従って、平均気泡膜厚みTm(μm)は、Tm=a〔(X/(X−1))
1/3−1〕の式(但し、X=ρs/ρf。)にて算出することができる。この式によって、発泡粒子の平均気泡径aが定まれば、発泡粒子の平均気泡膜厚み(Tm)が定まる。
上記(1)式は、気泡の形状を球とみなした際の平均気泡径と平均気泡膜厚みとの関係式であり、「プラスチックフォームハンドブック」(発行所:日刊工業新聞社、昭和48年2月28日発行)、222頁目の「1.3.2の項」に記載されている。
本発明の架橋発泡粒子は、平均表層厚み(b)に対する平均気泡膜厚みTmを「c」としての比(c/b)が0.3〜0.8であることが好ましく、0.35〜0.7であることがより好ましい。上記範囲であれば、発泡粒子の気泡膜と表層厚みのバランスに優れるので、2次発泡性と融着性に優れ、引張強度に優れた良好な発泡粒子成形体を得ることができる。
【0014】
(架橋発泡粒子の見かけ密度)
本発明の架橋発泡粒子の見かけ密度は、40〜300g/Lである。架橋発泡粒子の見かけ密度を上記範囲にすることにより、架橋発泡粒子を型内成形して作製した発泡粒子成形体の軽量性、柔軟性及び反発性をさらに良好にすることができる。上記観点から、架橋発泡粒子の見かけ密度は、好ましくは50〜250g/Lであり、より好ましくは60〜200g/Lであり、さらに好ましくは80〜180g/Lである。
【0015】
(架橋発泡粒子の平均粒子径)
また、本発明の架橋発泡粒子の平均粒子径は、好ましくは0.5〜10mmであり、より好ましくは1〜8mmであり、さらに好ましくは2〜5mmである。架橋発泡粒子の平均粒子径が上記範囲であると、架橋発泡粒子の製造が容易であるとともに、架橋発泡粒子を型内成形するとき、金型内への充填性が向上する。なお、架橋発泡粒子の平均粒子径は、例えば、発泡剤量、発泡条件、重合体粒子の粒径等を調整することにより制御することができる。
【0016】
なお、架橋発泡粒子の平均粒子径及び架橋発泡粒子の見かけ密度は、次のようにして測定することができる。まず、架橋発泡粒子群を、相対湿度50%、温度23℃、1atmの条件にて2日間放置する。次いで、温度23℃の水が入ったメスシリンダーを用意し、2日間放置した任意の量の架橋発泡粒子群(発泡粒子群の重量W1)を上記メスシリンダー内の水中に金網等の道具を使用して沈める。そして、金網等の道具の体積を考慮し、水位上昇分より読みとられる予備架橋発泡粒子群の容積V1[L]を測定する。この容積V1をメスシリンダーに入れた架橋発泡粒子の個数(N)にて割り算(V1/N)することにより、架橋発泡粒子1個あたりの平均体積を算出する。そして、得られた平均体積と同じ体積を有する仮想真球の直径をもって架橋発泡粒子の平均粒子径[mm]とする。また、メスシリンダーに入れた予備架橋発泡粒子群の重量W1(g)を容積V1で割り算(W1/V1)することにより、架橋発泡粒子の見かけ密度を求めることができる。
【0017】
(架橋発泡粒子の熱キシレン抽出法によるゲル分率)
本発明において、架橋発泡粒子の熱キシレン抽出法によるゲル分率は30〜70重量%である。ゲル分率が低すぎると、架橋発泡粒子を型内成形して得られた発泡粒子成形体の成形回復性が悪くなり所望の物性が得られなくなる場合がある。一方、ゲル分率が高すぎると、架橋発泡粒子同士の融着性が低くなるので発泡粒子成形体を作製することが難しくなる場合がある。上記観点から、架橋発泡粒子のゲル分率は35〜60重量%であることが好ましく、より好ましくは40〜55重量%である。
なお、本発明において、ゲル分率は、発泡粒子を構成する、マルチブロック共重合体の架橋状態を示す指標の一つであり、以下の方法で測定できる。
【0018】
前記ゲル分率は、後述する架橋剤の添加量の他に、密閉容器で重合体粒子を架橋させる際の攪拌条件、昇温条件等によっても調節することができる。
なお、熱キシレン抽出法によるゲル分率は、発泡粒子約0.7gを秤量し、試料重量W1とし、秤量した発泡粒子を150mlの丸底フラスコに入れ、100mlのキシレンを加え、マントルヒーターで加熱して6時間還流させた後、溶け残った残査を100メッシュの金網でろ過して分離し、80℃の減圧乾燥器で8時間以上乾燥し、この際に得られた乾燥物重量W2を測定し、この重量W2の試料重量W1に対する重量百分率[(W2/W1)×100](%)をゲル分率とする。
【0019】
(マルチブロック共重合体)
本発明に用いられる、上記マルチブロック共重合体は、ポリエチレンブロックとエチレン/α−オレフィン共重合体ブロックとを有する。マルチブロック共重合体は、たとえば、下記の式(2)によって表すことができる。
(AB)
n (2)
(式中、nは1以上の整数であり、Aはハードブロックを表し、Bはソフトブロックを表す。)
【0020】
ここで、Aのハードブロック(以下、Aブロックともいう)はポリエチレンブロックに該当し、Bのソフトブロック(以下、Bブロックともいう)はエチレン/α−オレフィン共重合体ブロックに該当する。Aブロック及びBブロックは、直鎖状に配列していることが好ましい。さらに、マルチブロック共重合体は、Aブロック及びBブロック以外の第3のブロックを含まないことが好ましい。
【0021】
Aブロックを構成するポリエチレンブロックにおけるエチレンに由来する構成単位の成分の割合は、ポリエチレンブロックの重量に対して、好ましくは95重量%よりも大きく、より好ましくは98重量%よりも大きい。一方、Bブロックを構成するエチレン/α−オレフィン共重合体ブロックでは、α−オレフィンに由来する構成単位の成分の割合は、エチレン/α−オレフィン共重合体ブロックの重量に対して、好ましくは5重量%よりも大きく、より好ましくは10重量%よりも大きく、さらに好ましくは15重量%よりも大きい。
【0022】
マルチブロック共重合体におけるBブロックを構成するエチレン/α−オレフィン共重合体ブロックの割合は、マルチブロック共重合体の重量に対して、好ましくは1〜99重量%であり、より好ましくは5〜95重量%である。ポリエチレンブロックの割合及びエチレン/α−オレフィン共重合体ブロックの割合は、示差走査熱量測定(DSC)又は核磁気共鳴(NMR)から得られるデータに基づいて計算することができる。
【0023】
マルチブロック共重合体におけるBブロックを構成するエチレン/α−オレフィン共重合体ブロックは、好ましくは少なくとも1つのC
3〜C
20のα−オレフィンとエチレンとの共重合体のブロックである。エチレン/α−オレフィン共重合体ブロックにおいて、エチレンと共重合するα−オレフィンには、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられ、それらを組み合わせて使用することもできる。工業的な入手のしやすさや諸特性、経済性等の観点からは、エチレンと共重合するα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−へキセン、1−オクテンが挙げられ、特に1−オクテンが好ましい。
【0024】
マルチブロック共重合体には、例えば、特許文献
2に記載されているエチレン/α−オレフィンの共重合体が挙げられる。また、マルチブロック共重合体において市販されているものには、例えば、ダウ・ケミカル(株)製の商品名「インフューズ(Infuse)」等が挙げられる。
【0025】
エチレン/α−オレフィンの共重合体は、公知のオレフィン重合用触媒を用いた公知の重合方法を用いて作製することができる。エチレン/α−オレフィンの共重合体の製造方法には、例えば、チーグラー・ナッタ型触媒に代表されるマルチサイト触媒や、メタロセン系触媒やポストメタロセン系触媒に代表されるシングルサイト触媒を用いた、スラリー重合法、溶液重合法、気相重合法等、また、ラジカル開始剤を用いた塊状重合法等が挙げられる。
【0026】
上記マルチブロック共重合体の190℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローレイトは、好ましくは2〜10g/10分、より好ましくは3〜8g/10分、さらに好ましくは4〜7g/10分の範囲から選択することができる。メルトフローレイトが上記範囲であれば、マルチブロック共重合体の架橋発泡粒子の融着性が良好であり、架橋発泡粒子を型内成形して発泡粒子成形体を作製し易く発泡粒子成形体の回復性も優れたものとなる。なお、このメルトフローレイトは、JISK7210−1:2014に準拠して、温度190℃、荷重2.16kgの条件で測定される、後述する架橋工程前のマルチブロック共重合体の値である。
【0027】
マルチブロック共重合体の密度は、700〜1000g/Lであることが好ましく、800〜900g/Lであることがより好ましい。
また、マルチブロック共重合体の融点は110〜150℃であることが好ましく、115〜140℃であることがより好ましい。マルチブロック共重合体の融点が上記範囲であると、高温での圧縮永久歪みを小さくすることができる。マルチブロック共重合体の融点は、JIS K7121(1987年)に記載されている熱流束示差走査熱量測定法に基づいて、10℃/分の昇温速度で30℃から200℃まで昇温した後に、10℃/分の冷却速度で30℃まで降温し、再度10℃/分の昇温速度で30℃から200℃まで昇温した際に得られるDSC曲線により定まる吸熱ピークの頂点温度から求めることができる。なお、上記2回目のDSC曲線に複数の吸熱ピークが表れる場合は、最も面積の大きな吸熱ピークの頂点温度を融点とする。
【0028】
マルチブロック共重合体の曲げ弾性率は、10〜100MPaであることが好ましく、12〜50MPaであることがより好ましく、15〜40MPaであることが更に好ましく、20〜35MPaであることが最も好ましい。なお、マルチブロック共重合体の曲げ弾性率は、JISK 7171:2008に記載の測定法に準拠して測定した値である。
【0029】
前記マルチブロック共重合体の粒子(以下、重合体粒子ともいう。)は、本発明の目的効果を阻害しない範囲においてマルチブロック共重合体以外の他の重合体を含んでいてもよい。マルチブロック共重合体以外の他の重合体には、例えば、ポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリブテン系樹脂)、ポリスチレン系樹脂などの熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマー(例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体や、スチレン−ブタジエン、スチレン−イソプレン、スチレン−ブタジエン−スチレン、スチレン−イソプレン−スチレンのブロック共重合体、それらの水添物)、動的架橋型のエラストマー(エチレン−プロピレンゴム(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエンの三元共重合体(EPDM))等が挙げられる。前記の他の重合体の配合割合は、マルチブロック共重合体100重量部に対して10重量部以下が好ましく、5重量部以下がより好ましく、前記マルチブロック共重合体のみからなることが特に好ましい。
【0030】
[架橋発泡粒子の製造方法]
本発明の架橋発泡粒子は、下記工程(A)に示されるような、マルチブロック共重合体粒子を製造する工程等により得られた非発泡の粒子を、架橋、発泡剤の含浸、発泡を含む工程(B)を経て製造することができる。
【0031】
(工程(A):混練、造粒工程)
マルチブロック共重合体を押出機に供給し、混練して溶融混練物とし、該溶融混練物を押出機からストランド状に押出し、該ストランドを架橋発泡粒子とするのに適した大きさに切断する方法等、公知の造粒方法より、非発泡の重合体粒子が製造される。例えば、前述の方法において、ストランド状に押出し成形された溶融混練物を水冷により冷却した後、所定の長さに切断することによりマルチブロック共重合体の重合体粒子を得ることができる。所定の長さに切断する際には、例えば、ストランドカット法を採用することができる。その他に、該溶融混練物を押出した直後に切断するホットカット法や水中で切断するアンダーウォーターカット法等によりマルチブロック共重合体の粒子を得ることができる。
【0032】
重合体粒子の1個当たりの平均重量は、通常0.1〜20mgが好ましく、0.2〜10mgがより好ましい。上記範囲内であれば、重合体粒子が小さく表面積が増大するため、発泡時に発泡剤の逸散速度が大きくなり、型内成形性が低下したり、重合体粒子が大きすぎて架橋時に粒子中心まで均一に架橋されずに内部が連続気泡化したり、成型時に充填詰まり等を生じることがなく、良好な発泡粒子成形体が得られる。
なお、重合体粒子の平均重量は、無作為に選んだ100個の重合体粒子の重量(mg)を100で除した値である。
重合体粒子には、難燃剤、難燃助剤、可塑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、導電性フィラー、抗菌剤等の公知の添加物を含有していても良い。これらの添加剤は工程(A)の混練時の重合体粒子を得る工程で添加することができる。
【0033】
前記重合体粒子中に、気泡調整剤(「気泡核剤」、あるいは「核剤」とも称される。)を添加できる。気泡調整剤としては、タルク、マイカ、ホウ酸亜鉛、炭酸カルシウム、シリカ、酸化チタン、石膏、ゼオライト、ホウ砂、水酸化アルミニウム、カーボン等の無機物の他、リン酸系核剤、フェノール系核剤、アミン系核剤、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のポリフッ化エチレン系樹脂粉末等の有機系核剤が挙げられる。気泡調整剤は、重合体粒子を得る工程で押出機に供給することで重合体粒子中に含有させることができる。重合体粒子中の気泡調整剤の割合は、マルチブロック共重合体100重量部に対して、0.01〜1重量部が好ましい。
また、気泡調整剤の平均粒子径は、0.01〜50μmが好ましく、0.1〜30μmであることがより好ましい。なお、該平均粒子径は、遠心沈降粒度測定法により測定することができる。
【0034】
本発明の架橋発泡粒子は、気泡調整剤の種類、添加量、発泡方法、発泡温度、発泡剤量、発泡雰囲気などの発泡条件、樹脂の特性を変更すること等によって、目的の平均気泡径、平均表層厚みの架橋発泡粒子を得ることができる。例えば、気泡調整剤(気泡核剤)の添加量を多くすれば、気泡核の量が増えるので、気泡は小さくなり気泡膜厚は薄くなる傾向にある。気泡調整剤として、ホウ酸亜鉛などの水和物を含むものは、水和水が発泡に作用するので、気泡径は大きくなる傾向にある。このようにして、目的の発泡粒子を得ることができる。
【0035】
(工程(B):重合体粒子の架橋、発泡剤の含浸、発泡工程)
工程(B)では、工程(A)等により得られた重合体粒子を架橋剤と共に密閉容器で水などの分散媒体に分散させ、撹拌下で加熱して重合体粒子を軟化、架橋させ、発泡剤を含浸させる。その後、発泡剤が含浸された架橋発泡性粒子を発泡させて架橋発泡粒子を得る。
【0036】
(分散媒)
本発明の架橋発泡粒子の製造に用いられる分散媒としては、重合体粒子を溶解しない分散媒であれば、特に限定されない。分散媒には、例えば、水、エチレングリコール、グリセリン、メタノール、エタノール等が挙げられる。好ましい分散媒は水である。
【0037】
(分散)
上記分散媒に重合体粒子を分散させる。例えば、攪拌機を使用して上記分散媒に重合体粒子を分散させる。
【0038】
工程(B)において、分散剤を上記分散媒にさらに添加してもよい。分散剤には、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース等の有機系分散剤、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、カオリン、マイカ、リン酸マグネシウム、リン酸三カルシウム等の難溶性無機塩等が挙げられる。また、界面活性剤を上記分散媒にさらに添加することもできる。界面活性剤には、例えば、オレイン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、その他懸濁重合で一般的に使用されるアニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等が挙げられる。
【0039】
(密閉容器)
工程(B)で使用する密閉容器は、密閉することができる容器であれば、特に限定されない。工程(B)において共重合体粒子は加熱され、密閉容器内の圧力が上昇するので、密閉容器は、工程(B)における圧力の上昇に耐えられることが必要である。密閉容器は、例えば、オートクレーブである。
【0040】
(架橋剤及び架橋)
工程(B)で重合体粒子を構成するマルチブロック共重合体を架橋するために、架橋剤を用いることができる。架橋剤は、予め分散媒に添加してもよく、重合体粒子を分散媒に分散させてから分散媒に添加しても良い。架橋剤は、上記マルチブロック共重合体を架橋させるものであれば、特に限定されない。架橋剤としては、ポリエチレン系樹脂を架橋させるために使用される、従来公知の有機過酸化物を使用することができ、例えば、ジクミルパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、等のパークミル系化合物、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−tert−ブチルパーオキサイド等のパーブチル系化合物、tert-ヘキシルパーオキシベンゾエート等のパーヘキシル系化合物、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等のパーオクタ系化合物等が挙げられる。これらの中でも、パークミル系化合物、パーブチル系化合物が好ましく、ジクミルパーオキサイドがさらに好ましい。これらは、単独又は2種類以上組み合わせて使用することができる。架橋剤の配合量は、マルチブロック共重合体100重量部に対して、好ましくは0.1〜5.0重量部であり、より好ましくは0.2〜2.5重量部である。
架橋剤の配合量が上記範囲であると、適度なゲル分率を有する架橋粒子が得られ、架橋粒子が十分に発泡することができるとともに、発泡の際に、気泡を形成する気泡壁が発泡による延伸に十分耐えることができる強度を有するものとなる。
架橋反応は、分散媒中に分散した重合体粒子のマルチブロック共重合体が軟化し、架橋剤が実質的に分解する温度以上、具体的には有機過酸化物の1時間半減期温度以上かつポリエチレン系樹脂の融点以上の温度で行われることが好ましい。この温度にて1分から200分保持し、架橋反応を行う。
【0041】
(発泡)
密閉容器内の分散媒に架橋粒子を発泡させる発泡剤を添加し、軟化状態の重合体粒子または架橋粒子に発泡剤を含浸させる。発泡剤を含浸させる温度は、架橋粒子が軟化状態となる温度以上の温度であれば、特に限定されないが、例えば、100〜180℃の範囲であることが好ましく、130〜170℃であることがより好ましく、140〜165℃であることが更に好ましい。
【0042】
(発泡剤)
使用する発泡剤は、上記架橋粒子を発泡させるものであれば特に限定されない。発泡剤には、例えば、空気、窒素、二酸化炭素、アルゴン、ヘリウム、酸素、ネオン等の無機物理発泡剤、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ノルマルヘキサン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、シクロペンタン等の脂環式炭化水素、クロロフロロメタン、トリフロロメタン、1,1−ジフロロエタン、1,1,1,2−テトラフロロエタン、メチルクロライド、エチルクロライド、メチレンクロライド等のハロゲン化炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル等のジアルキルエーテル等の有機物理発泡剤等が挙げられる。これらの中でもオゾン層の破壊がなく、かつ安価な無機物理発泡剤が好ましく、窒素、空気、及び二酸化炭素がより好ましく、特に二酸化炭素が好ましい。これらは、単独又は2種類以上組み合わせて使用することができる。発泡剤の配合量は、目的とする発泡粒子の見かけ密度、マルチブロック共重合体の種類、発泡剤の種類等を考慮して決定されるが、通常、マルチブロック共重合体100重量部に対して、有機物理発泡剤で2〜20重量部を用いることが好ましく、無機物理発泡剤で0.5〜20重量部を用いることが好ましい。なお、上記の架橋、含浸、発泡工程は単一の密閉容器における一連の工程として行うことが好ましい。
【0043】
(架橋発泡粒子の作製)
発泡剤が含浸し、加熱されている発泡性架橋粒子を、密閉容器内の圧力よりも低い圧力の雰囲気下に放出して発泡させて、架橋発泡粒子を作製する。具体的には、密閉容器内の圧力を発泡剤の蒸気圧以上の圧力に保持しながら、密閉容器内の水面下の一端を開放し、発泡剤を含有する発泡性架橋粒子を分散媒とともに密閉容器内から密閉容器内の圧力よりも低圧の雰囲気下、通常は大気圧下に放出して発泡性架橋粒子を発泡させる(以下、ダイレクト発泡ということがある)ことによって、架橋発泡粒子を作製する。上記ダイレクト発泡法により発泡粒子を得る場合には、特に、本発明で特定される、平均表層厚み(b)に対する平均気泡膜厚みTm(c)の比(c/b)が、0.3〜0.8となる気泡構造を形成し易くなる観点から好ましい。
【0044】
架橋発泡粒子の製造方法として、密閉容器にて製造する方法を説明したが、架橋発泡粒子の製造方法は上記製造方法に限定されない。例えば、前述の工程(A)〜(B)により得た発泡性架橋粒子を密閉容器から取出し、脱水乾燥した後、発泡性架橋粒子を加熱媒体により加熱して発泡させることにより架橋発泡粒子とする方法等であってもよい。さらに、前記においては、重合体粒子に有機過酸化物を用いて架橋する方法を示したが、本発明における架橋処理は、有機過酸化物を用いるものに限らず、他の公知の方法、例えば、電子線架橋法等を用いて架橋処理を行うことにより架橋粒子又は架橋発泡粒子とすることができる。
【0045】
[発泡粒子成形体]
本発明の架橋発泡粒子を型内成形することにより発泡粒子成形体を得ることができる。
【0046】
(型内成形)
発泡粒子成形体は、従来公知の方法により、架橋発泡粒子を成形型内に充填し、スチーム等の加熱媒体を用いて加熱成形することにより得ることができる。具体的には、架橋発泡粒子を成形型内に充填した後、成形型内にスチーム等の加熱媒体を導入することにより、架橋発泡粒子を加熱して発泡させ、相互に融着させて成形空間の形状が賦形された発泡粒子成形体を得ることができる。また、本発明における型内成形は、架橋発泡粒子を空気等の加圧気体により予め加圧処理して発泡粒子内の圧力を高めて、発泡粒子内の圧力を0.01〜0.3MPa(G)(Gはゲージ圧を意味する)に調整した後、大気圧下又は減圧下で架橋発泡粒子を成形型キャビティ内に充填して型閉めを行い、次いで型内にスチーム等の加熱媒体を供給して架橋発泡粒子を加熱融着させる加圧成形法(例えば、特公昭51−22951号公報)により成形することが好ましい。また、圧縮ガスにより大気圧以上に加圧したキャビティー内に、当該圧力以上に加圧した発泡粒子を充填した後、キャビティー内にスチーム等の熱媒を供給して加熱を行い、発泡粒子を加熱融着させる圧縮充填成形法(特公平4−46217号公報)により成形することもできる。その他に、特殊な条件にて得られる二次発泡力の高い発泡粒子を、大気圧下又は減圧下で雌雄一対の成形型のキャビティー内に充填した後、次いでスチーム等の熱媒を供給して加熱を行い、発泡粒子を加熱融着させる常圧充填成形法(特公平6−49795号公報)又は上記の方法を組み合わせた方法(特公平6−22919号公報)などによっても成形することができる。
【0047】
(発泡粒子成形体の成形体密度)
本発明の発泡粒子成形体の成形体密度は、好ましくは40〜300g/Lであり、より好ましくは45〜250g/Lであり、さらに好ましくは50〜200g/Lであり、特に好ましくは55〜150g/Lとすることができる。前記成形体密度が上記範囲であると、軽量性、柔軟性、反発性、回復性及び引張特性がバランスよく優れている発泡粒子成形体となる。前記成形体密度(g/L)は、成形体の重量W(g)を体積Vで除すること(W/V)で求められる。
【0048】
(発泡粒子成形体の融着性)
発泡粒子成形体における融着性は、成形体を折り曲げて破断し、破断面に露出した発泡粒子のうち材料破壊した発泡粒子の比率を材料破壊率とし、その材料破壊率から評価することができる。材料破壊率は80%以上が好ましく、95%以上がより好ましい。融着性が上記範囲であると最大引張強さ、引張り伸び等の物性に優れ、シートクッション材、スポーツパッド材、靴底材等の用途に好適な成形体として利用できる。
【0049】
(発泡粒子成形体の引張り伸び)
本発明の発泡粒子成形体の引張り伸びは140%以上であることを要する。
また、発泡粒子成形体の引張り伸びは、後述する引張試験時の切断時の標線間距離を測定することにより求めることができる。上記引張り伸びは、150%以上が好ましく、160%以上がより好ましい。
引張り伸びが140%以上であれば、発泡粒子成形体の発泡粒子間の融着性が良好であることを示唆し、耐久性に優れ、シートクッション材、スポーツパッド材、靴底材等の用途に適用できる。
本発明により得られる発泡粒子は、発泡粒子表面の融着性に優れるので、該発泡粒子同士が相互に強固に融着した成形体となり、成形体の引張り物性が特に向上する。
【実施例】
【0050】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
【0051】
[評価]
実施例、比較例に使用した架橋発泡粒子、発泡成形体について、以下の評価を実施した。
(架橋発泡粒子の見かけ密度)
前述の測定方法により測定した。
(架橋粒子の平均気泡径)
前述の測定方法により30個の発泡粒子について測定を行い、算術平均値を求めた。
(架橋粒子の平均表層厚み(b))
前述の測定方法により30個の発泡粒子について測定を行い、各発泡粒子の表層厚みの算術平均値を求めた。
(架橋発泡粒子のゲル分率)
前述の熱キシレン抽出法により測定した。
(マルチブロック共重合体の曲げ弾性率)
マルチブロック共重合体の曲げ弾性率は、JIS K 7171:2008に記載の測定法に準拠して測定した。測定は、80×10×4mmの試験片を作成し、10kgのロードセルを使用して、支点間距離64mm、曲げ速度2mm/minの条件下で3点曲げを行った。曲げ弾性率は、変位0.5〜1.0mm間の勾配より算出した。
<発泡粒子成形体の引張り伸び、引張り強さの測定及び評価方法>
(引張り時の最大引張り強さ、引張り伸び)
まず、JIS K6767:1999に準拠し、発泡粒子成形体からバーチカルスライサーを用いて、全ての面が切り出し面となるよう120mm×25mm×10mmに切り出し、切り出し片を作製した。次に、切り出し片を、糸鋸を用いてダンベル状1号形(測定部の長さ40mm、幅10mm、厚み10mm)に切り抜き、試験片とした。試験片を500mm/分の試験速度で引張試験を実施し、引張り時の最大引張応力、及び破断時の伸びを測定した。この最大引張応力を成形体の引張り強さとした。
なお、引張り強さは0.4〜1MPaを好適な範囲として評価した。
【0052】
<成形性の評価>
架橋発泡粒子について、標準的に成形スチーム圧0.20MPa(G)で成形した発泡粒子成形体の他に、成形体の融着性、外観(間隙(ボイド)の度合い)、回復性(成型後の膨張または収縮の回復性)の観点から、成形スチーム圧を変化させて発泡粒子成形体を成形し、以下の基準で成形性を評価した。
(融着性)
発泡粒子成形体の融着性は、以下の方法により評価した。発泡粒子成形体を折り曲げて破断し、破断面に存在する発泡粒子の数(C1)と破壊した発泡粒子の数(C2)とを求め、上記発泡粒子に対する破壊した発泡粒子の比率(C2/C1×100)を材料破壊率として算出した。異なる試験片を用いて前記測定を5回行い、それぞれの材料破壊率を求め、それらを算術平均して融着性を以下の基準で評価した。
材料破壊率90%以上:A
材料破壊率20%以上90%未満:B
材料破壊率20%未満:C
(外観(間隙の度合い))
表面外観の評価として、発泡粒子成形体の中央部から100mm×100mmの範囲を試験片として切り出し、試験片の角から対角線上に線を引き、その線上の1mm×1mmの大きさ以上のボイド(間隙)の数を数え、以下のように評価した。
ボイドの数が5個未満:A
ボイドの数が5個以上10個未満:B
ボイドの数が10個以上:C
(回復性)
型内成形で用いた縦250mm、横200mm、厚み20mmの平板形状の金型の寸法に対応する発泡粒子成形体における端部(端より10mm内側)と中心部(縦方向、横方向とも2等分する部分)の厚みを計測した。次いで、発泡粒子成形体の厚み比(成形体中心部の厚み/成形体端部の厚み×100(%))を算出し、以下のように評価した。
厚み比が95%以上の場合:A
厚み比が90%以上95%未満:B
厚み比が90%未満:C
成形スチーム圧を変えた場合であっても、評価の高い成形体が得られる場合には、成形可能条件幅が広く、より優れた発泡粒子であると判断できる。また、低い成形圧で成形できる場合は、成形サイクルが短縮され生産性が向上するため、優れた発泡粒子であるとも言える。
【0053】
(実施例1)
<マルチブロック共重合体の粒子の作製>
密度887g/L、融点120℃、メルトフローレイト5.4g/10分(190℃、荷重2.16kg)、ショアA硬度86の、ポリエチレンブロックとエチレン/α−オレフィン共重合体ブロックとを有するエチレン/α-オレフィン・マルチブロック共重合体(ダウ・ケミカル社製、 INFUSE 9530;曲げ弾性率 28MPa)100重量部に対して、気泡調整剤としてホウ酸亜鉛(富田製薬(株)製、ホウ酸亜鉛2335、平均粒子径:6μm)を1000重量ppm添加して押出機に投入し、溶融混練してφ2mmのダイからストランド状に押し出し、水中で冷却してからペレタイザーにて粒子重量が約5mgとなるようにカットして造粒し、マルチブロック共重合体の粒子(重合体粒子)を得た。
【0054】
<架橋発泡粒子の作製>
得られた重合体粒子1kgを分散媒である水3リットル、分散剤としてカオリンを3g、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムを0.04g、架橋剤としてジクミルパーオキサイドをマルチブロック共重合体100重量部に対して0.8重量部配合し、発泡剤として二酸化炭素(ドライアイス)4重量部を容積5Lの密閉容器内に仕込み、撹拌下で架橋・発泡温度である160℃まで昇温し、30分保持した後、内容物を大気圧下に放出して架橋発泡粒子を得た。この時の密閉容器内の蒸気圧は2.5MPa(G)であった。
【0055】
<発泡粒子成形体の作製>
得られた架橋発泡粒子を密閉容器に投入し、0.2MPa(G)の圧縮空気で12時間加圧して架橋発泡粒子内に0.10MPa(G)の内圧を付与し、取り出した後、縦250mm、横200mm、厚み20mmの平板形状の金型に該架橋発泡粒子を充填し、クラッキングを20%として、水蒸気で加熱後、冷却して金型より成形体を取り出す型内成形を行い、さらに該発泡粒子成形体を60℃に調整されたオーブン内で12時間加熱乾燥養生した後に取り出し、発泡粒子成形体を得た。得られた成形体の成形体密度、融着性、引張り強さ、引張り伸びを評価し、各種条件等と合わせて表1に示す。
【0056】
(実施例2)
架橋発泡粒子を製造する際、二酸化炭素の量を2.5重量部に変更して、発泡時の蒸気圧を1.8MPa(G)とした以外は実施例1と同様にして架橋発泡粒子及び発泡粒子成形体を製造した。
【0057】
(実施例3)
架橋発泡粒子を製造する際、二酸化炭素の量を2重量部に変更して、発泡時の蒸気圧を1.5MPa(G)とした以外は実施例1と同様にして架橋発泡粒子及び発泡粒子成形体を製造した。
【0058】
(実施例4)
気泡調整剤をポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の粉末(セイシン企業(株)社製、商品名:TFW−1000、平均粒子径10μm)に変更し、二酸化炭素の量を5重量部に変更して、発泡時の蒸気圧を3.0MPa(G)とした以外は実施例1と同様の操作で発泡粒子を得、表に示す条件で成形を行い、発泡粒子成形体を得た。気泡調整剤を変えることによって、平均表層厚みを薄くすることができた。
【0059】
(実施例5)
気泡調整剤をタルクに変更し、二酸化炭素の量を5重量部に変更して、発泡時の蒸気圧を3.0MPa(G)とした以外は実施例1と同様の操作で発泡粒子を得、表1に示す条件で成形を行い、発泡粒子成形体を得た。
【0060】
(実施例6)
気泡調整剤のホウ酸亜鉛量を500重量ppmとし、二酸化炭素の量を5重量部に変更して、発泡時の蒸気圧を3.0MPa(G)とした以外は、実施例1と同様の操作で発泡粒子を得、表1に示す条件で成形を行い、発泡粒子成形体を得た。
【0061】
(実施例7)
気泡調整剤のホウ酸亜鉛量を重量200ppmとし、二酸化炭素の量を5重量部に変更して、発泡時の蒸気圧を3.0MPa(G)とした以外は、実施例1と同様の操作で発泡粒子を得、表1に示す条件で成形を行い、発泡粒子成形体を得た。
【0062】
(実施例8)
気泡調整剤をPTFE(有機粉末)に変更し、PTFE量を3000重量ppmに増量した。また、二酸化炭素の量を3重量部に変更して、発泡時の蒸気圧を2.2MPa(G)とした以外は、実施例1と同様の操作で発泡粒子を得、表1に示す条件で成形を行い、発泡粒子成形体を得た。
【0063】
(比較例1)
発泡剤を2重量部に減量し、発泡条件の蒸気圧を1.4MPa(G)とした以外は実施例1と同様の操作で発泡粒子を得たものの、表層の厚みが厚い為、成形時の融着性に劣り、引張り特性も悪化した。実施例8と対比すると、成形体密度は同程度であるが、引張り伸びの数値が低下しており、引張り物性に劣ることが確認された。
【0064】
(比較例2)
気泡調整剤を用いず、二酸化炭素の量を5重量部に変更し、蒸気圧を3.0MPa(G)とした以外は実施例1と同様の操作で発泡粒子を得たものの、気泡径が大きすぎるため、融着性に劣り、引張り特性も低下した。実施例3と対比すると、成形体密度は120g/Lと同程度であるが、引張り伸びの数値が低下しており、引張り物性に劣ることが確認された。
【0065】
【表1】