(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
(本発明の第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る微細気泡含有水生成装置を前記
図1ないし
図4に基づいて説明する。
前記各図において本実施形態に係る微細気泡含有水生成装置1は、水の電気分解用の陽極部11と陰極部12を対向状態としつつ交互に複数並べて一体化して形成される対向電極部10と、この対向電極部10の周囲部分と外部との間で水を流通可能とする状態で対向電極部10を支持する本体部20と、本体部20に配設され、対向電極部10の陽極部11と陰極部12間に水の流通状態を生じさせる前記水流発生手段としてのポンプ部30と、対向電極部10に電力を供給する前記給電手段としての給電部40と、この給電部40と電気的に接続されて給電部40から対向電極部10への電力供給を制御する制御回路部50と、洗浄水タンク90における水の流動状態を検出して制御回路部50に対し検出状態を伝える検出部60とを備える構成である。
【0025】
なお、本実施形態の微細気泡含有水生成装置1における対向電極部20や通電のための各部品などの、水の電気分解により電解水や気泡を生成する仕組み自体については、水素水生成器など、公知の電解水生成装置と同様のものであり、詳細な説明を省略する。
【0026】
また、本実施形態の微細気泡含有水生成装置1を設ける洗浄水タンク90は、給水を制御するボールタップ91、使用者が排水操作を行うハンドル(レバー)92、タンク内からの洗浄水排出を制御するフロート弁93、給水の一部を手洗水としてタンク上部から吐出する手洗カラン94等を備える水洗トイレ用の公知の装置であり、詳細な説明を省略する。
【0027】
前記対向電極部10は、金属製薄板からなる陽極部11と陰極部12とを所定間隔で対向状態としつつ交互に複数並べて一体化して形成されるものであり、陽極部11と陰極部12の並ぶ向きを上下方向に一致させるようにして本体部20に取り付けられて、洗浄水タンク90内の底部に支持される構成である。
【0028】
この対向電極部10をなす陽極部11と陰極部12には、気泡を洗浄水タンク90内の水中に進みやすくする貫通孔11a、12aがそれぞれ複数穿設される構成である。これら陽極部11と陰極部12は制御回路部50と電気的に接続されて通電を制御される。
【0029】
こうした対向電極部10に対し、その周囲には常時水が存在するようにされており、制御回路部50による制御下で通電を実行することで、水の電気分解を行わせて電解水を生成すると共に微細気泡を発生させ、電解水と微細気泡を洗浄水タンク90内の水に導入できる仕組みである。
【0030】
この対向電極部10は、これを支持する本体部20に対し着脱可能とされており、対向電極部10を本体部20から取り外した場合には、対向電極部10に対し析出物を除去するなどメンテナンスを行える他、新品と交換することができる。
【0031】
なお、対向電極部10をなす陽極部11と陰極部12は、金属製の単純な平板状の薄板として形成される構成に限らず、表面積を増やすように凹凸やリブを設けたり、細かく蛇腹状に多数回屈曲させた形状を有するものとすることもできる。
【0032】
前記本体部20は、略枠状体として形成され、対向電極部10、ポンプ部30、制御回路部50、及び検出部60を一体に取り付けられてなり、洗浄水タンク90内の底面に着脱可能に配設されるものである。この本体部20と、これに取り付けられる対向電極部10、ポンプ部30、制御回路部50、及び検出部60の各部品は、洗浄水タンク90に対しタンク内側で本体部20ごと着脱されることとなる。
【0033】
この本体部20は、洗浄水タンク90内に配設されると共に、洗浄水タンク90の内部空間に対し開放状態となっていることで、この本体部20で支持する対向電極部10の周囲及び陽極部11と陰極部12との間の隙間に、洗浄水タンク90内の水を流通可能とする仕組みである。そして、本体部20は、対向電極部10を本体部20内の上部に配置するよう支持しており、対向電極部10で発生した気泡を洗浄水タンク90内の水に移行しやすくしている。
【0034】
また、本体部20は、洗浄水タンク90の底に配設されており、洗浄水タンク90からの水の排出を制御するフロート弁93の機構上、フロート弁93が開いて洗浄水タンク90から洗浄水が排出される際も、洗浄水タンク90から洗浄水が完全に排出される前にフロート弁93は閉止状態となり、洗浄水タンク90内に水が常に一定量残ることから、本体部20はタンク内の水中に一部没した状態を維持し、対向電極部10の周囲に常に水が存在する状態が確保されている。
【0035】
この本体部20の一部は、対向電極部10の上側に位置して対向電極部10をカバー状に覆う配置とされており、対向電極部10を人が誤って触れないよう隔離、保護する一方、水や気泡は通過可能として、対向電極部10における水の電気分解や、対向電極部10側から洗浄水タンク90の内部空間側への電解水及び気泡の進行を妨げないものとなっている。
【0036】
前記ポンプ部30は、水流発生手段として本体部20内に対向電極部10の側方に位置するようにして配設され、対向電極部10の陽極部11と陰極部12間に水の流通状態を生じさせるものであり、制御回路部50と電気的に接続されて給電部40から電力供給可能とされる構成である。このポンプ部30は、本体部20内に配設可能な小型のものとされるが、電力を供給されて作動し、水を送給する機能については公知の電動ポンプと同様のものであり、詳細な説明を省略する。
【0037】
ポンプ部30は、給電手段をなす給電部40から電力を供給される制御回路部50の制御に基づいて作動し、洗浄水タンク90の水を取り入れて対向電極部10の各陽極部11と陰極部12間に送り出すこととなる。
【0038】
このポンプ部30で対向電極部10の陽極部11と陰極部12間に生じさせる水流の流速を調整することで、対向電極部10表面から気泡が剥がされて離脱するタイミングを調節制御し、洗浄水タンク90の水に導入する微細気泡の大きさを適切なものとすることができる。例えば、水流の流速を大きくすると、発生気体の気泡がより小さい状態で各電極部(陽極部11と陰極部12)から離れて洗浄水タンク90の水中に導入されることとなり、水中を上昇しにくい微細気泡がより長い時間にわたって水中に保持される状態が見込める。
【0039】
また、例えば、水流の流速を小さくすると、発生気体の気泡が隣接するものと繋がって成長し、気泡がより大きくなった状態で各陽極部11から離れて洗浄水タンク90の水中に達することとなり、水中を上昇しやすい大きな気泡を速やかに水中から空気中に放出させる状態が見込める。
【0040】
なお、ポンプ部30と対向電極部10との配置関係については、対向電極部10の隙間の連続方向と平行にポンプ部30から水を導入可能な例として示しているが、これに限らず、ポンプ部からの水が対向電極部の電極面に対し直角となる向きで送られて、水流が電極部の各貫通孔や電極部の側方を経て電極部間の領域に出入りしながら洗浄水タンク90に向けて進行するように配置を設定する構成とすることもできる。
【0041】
前記給電部40は、給電手段として、制御回路部50と電気的に接続され、外部の電源(商用電源など)から電力供給を受けて、制御回路部50を介して対向電極部10及びポンプ部30に電力供給可能とされるACアダプタ等の公知の電源装置であり、洗浄水タンク90の外側に配置される構成である。
【0042】
前記制御回路部50は、本体部20に防水状態として配設され、対向電極部10とポンプ部30に電気的に接続されると共に、給電部40とも電力供給を受ける状態で接続されて、対向電極部10とポンプ部30への給電部40からの電力供給を制御するものである。
【0043】
制御回路部50は、検出部60と通信を行って検出部60から出力される検出状態を表す制御信号を受信可能とされ、洗浄水タンク90における水の流動状態を検出した検出部60からの制御信号による検出状態伝達を受けてから、適切なタイミング(例えば、洗浄水を排出した洗浄水タンク90が給水により新たに満水状態に至り、タンク内の水の過剰な流動が治まって電気分解で発生した気泡及び電解水を問題なく水に導入可能な時点など)で対向電極部10とポンプ部30への電力供給を開始させる仕組みである。
【0044】
そして、制御回路部50は、検出部60からの制御信号を受けた後、あらかじめ設定された所定期間にわたり、対向電極部10とポンプ部30への電力供給を継続させる制御を行い、洗浄水タンク90内の水に微細気泡や電解水を十分に導入した後の所定タイミングで、対向電極部10とポンプ部30への電力供給を終了させることとなる。
【0045】
制御回路部50の対向電極部10等への電力供給を継続させる期間の算出基準は、検出部60からの制御信号を受けた時点となっているが、これに限らず、洗浄水タンク90の満水状態を検出する他のセンサを設け、こうしたセンサで満水状態を検出し、検出に係る制御信号を制御回路部50が受けた時点を基準として、カウントされる所定時間後まで対向電極部10等への電力供給を継続させるよう制御を行う構成とすることもできる。
【0046】
また、制御回路部50は、あらかじめ設定されたタイミングで対向電極部10やポンプ部30への電力供給を開始、終了するようにされる他に、検出部60での水の流動状態の検出のタイミングやその頻度から、洗浄水タンク90からの平均的な水排出間隔を学習し、洗浄水タンク90から洗浄水が排出される予想時点の直前の、微細気泡や電解水を十分に洗浄水に導入可能な所定期間にわたり、対向電極部10とポンプ部30への電力供給を行って、電気分解で発生した気泡及び電解水を洗浄水に導入するように制御を行う構成とすることもできる。この場合、洗浄水タンク90からの水排出の直前に電気分解を実行して気泡及び電解水を洗浄水に導入でき、洗浄水に導入した微細気泡の洗浄能力や電解水の除菌能力が時間経過により低下するようなことがなく、洗浄水において洗浄能力や除菌能力を最大限に発揮させられ、便器の洗浄と除菌を効率よく実行できる。
【0047】
この他、制御回路部に制御信号を送信可能な所定の操作部を設け、この操作部への使用者の操作入力がなされて、操作部からの制御信号を制御回路部が受け取ると、操作に対応させて対向電極部10とポンプ部30への電力供給を開始又は終了するように制御を実行する構成としてもかまわない。
【0048】
前記検出部60は、本体部20に配設され、洗浄水タンク90内での本体部20近傍における水の流動状態を検出して、制御回路部50に対し検出状態を伝えるものである。具体的には、例えば、排水や給水により生じる水の流動に伴う水圧変化を検出するセンサや、水圧変化に応じて開閉状態が切り替わるスイッチとすることができる。
【0049】
検出部60は制御回路部50と電気的に接続されて制御信号をやり取り可能とされるか、制御回路部50と無線通信可能とされて、洗浄水タンク90における水排出を検出した際に、所定の制御信号を制御回路部50に発信する。制御回路部50では検出部60からの信号を受け取って水の流動状態の検出状態を判別し、対向電極部10とポンプ部30への電力供給制御を行う。
【0050】
次に、本実施形態に係る微細気泡含有水生成装置の使用状態について説明する。前提として、洗浄水タンク90の外に設けられる給電手段としての給電部40が、外部の電源(図示を省略)と接続されて電力供給を継続的に行える状態となっており、給電部40からの電力伝送に基づいて、制御回路部50を通じた対向電極部10やポンプ部30への電力供給が可能な状態にあるものとする。また、洗浄水タンク90には対向電極部10、ポンプ部30、及び制御回路部50と一体の本体部20があらかじめ配設された上で、洗浄水タンク90には使用のつど十分な量の水が補給されるものとする。
【0051】
使用者の洗浄水を流すハンドル(レバー)92操作により、洗浄水タンク90のフロート弁93が開放し、洗浄水タンク90から水が洗浄水として便器へ向け排出されると、この水排出に伴う水の流動状態を検出部60が検出し、検出に係る制御信号が、検出部60から制御回路部50に送信される。
【0052】
この制御信号を制御回路部50が受信すると、制御回路部50は、所定時間経過後の適切なタイミングで対向電極部10とポンプ部30への電力供給を開始させることとなる。洗浄水タンク90からの水の排出を経ても、洗浄水タンク90内には一定量の水が残ることで、対向電極部10の周囲には水が存在しており、仮にこの時点で制御回路部50が対向電極部10の陽極部11及び陰極部12への通電を実行したとしても、対向電極部10周囲の水の電気分解を進行させることができる。
【0053】
洗浄水の排出後、洗浄水タンク90ではフロート弁93が閉止すると共にボールタップ91の作動により給水状態となり、洗浄水タンク90には時間を置かずに水が補給される。洗浄水タンク90においては、水の継続的な補給によりタンク内の水が満水状態に達すると、ボールタップ91が閉止状態に移行して給水終了となる。
【0054】
制御回路部50は、タンクの満水状態に至った後しばらく経って、タンク内の水の過剰な流動が治まり、電気分解で発生した気泡及び電解水を問題なく水に導入可能な段階で、且つ次に洗浄水が排出使用される機会より前となる所定タイミングで、あらかじめ設定された生成速度で発生気体の気泡が得られるように、対向電極部10の陽極部11及び陰極部12への通電を実行して、対向電極部10周囲の水の電気分解を進行させる。
【0055】
対向電極部10の陽極部11及び陰極部12への通電による水の電気分解は、対向する陽極部11と陰極部12に挟まれた領域で進行していく。公知の電気分解の場合と同様、陰極部12では還元により気体(例えば、水素など)が表面に気泡として多数発生し、且つ各気泡が成長する状態となる。また、陽極部11側では、酸化により気体(例えば、酸素など)が表面に気泡として多数発生し、且つ各気泡が成長する状態となる。加えて、陽極部11及び陰極部12の各近傍では電気分解に伴い電解水がそれぞれ生じ、特に、一方の電極側で除菌効果の高い電解水(例えば、次亜塩素酸を含むもの)が生じることとなる。
【0056】
制御回路部50は、電気分解に係る対向電極部10への通電と共に、ポンプ部30への通電も合わせて行っており、電気分解と同時に、ポンプ部30による対向電極部10の陽極部11と陰極部12間への水の送給がなされ、陽極部11と陰極部12の間には水が流れる状態となっている。
【0057】
こうして電気分解を行う中、陽極部11や陰極部12の表面で発生した気泡は、水の流れがない場合は所定の大きさまで成長後、その浮力により陽極部11や陰極部12を離れることとなるが、ポンプ部30が陽極部11と陰極部12の間に十分な水流を生じさせていることで、陽極部11や陰極部12で発生した気泡のこれらの表面からの離脱を促せることとなる。
【0058】
したがって、陽極部11や陰極部12の表面に発生した気泡は、あまり成長せず小さい微細気泡(例えば、ウルトラファインバブル)の状態のまま、陽極部11や陰極部12の表面から離れ、陽極部11や陰極部12の側方あるいは貫通孔を通って上方へ向かい、水中を本体部20から洗浄水タンク90内へと進む。
【0059】
このように対向電極部10から洗浄水タンク90の水中に達する気泡を小さい微細気泡としていることで、気泡の浮力を抑えて水中により長く留まらせることができる。すなわち、洗浄水として使用される水において、微細気泡の量を十分なものとすることができ、微細気泡の洗浄促進の機能を最大限発揮させられる。
【0060】
気泡の大きさは、制御回路部50によるポンプ部30の作動状態の制御で、水流の流速を変えて、水流が気泡を対向電極部10の各表面から引き離す度合いを変化させることで調整でき、微細気泡におけるマイクロバブルの割合を多くしたり、逆にウルトラファインバブルの割合を多くすることが可能である。
【0061】
また、給電されて作動するポンプ部30が、対向電極部10の陽極部11と陰極部12の間に十分な水流を生じさせることで、対向電極部10と洗浄水タンク90内の水との接触機会を増やし、水の電気分解を促して微細気泡や電解水を効率よく発生させることができる。
【0062】
制御回路部50は、対向電極部10とポンプ部30への電力供給を継続させる中、検出部60からの制御信号を受けてからの経過時間が、あらかじめ設定された電気分解を終了すべき所定経過時間に達したことを判別すると、制御回路部50は対向電極部10とポンプ部30への電力供給を停止させ、水の電気分解を行わない状態に移行する。
【0063】
使用者がトイレを使用し、ハンドル(レバー)92を操作して、洗浄のために洗浄水タンク90から水が便器へ向け排出されると、微細気泡や電解水を含む洗浄水が便器を洗浄することとなる。洗浄水に含まれる微細気泡や電解水により、洗浄能力及び除菌能力は水のみの場合に比べて大きく向上しており、便器の洗浄と除菌を従前同様の洗浄水を流す操作のみで効率よく且つ強力に進めて、便器の清潔度合いの著しい改善が図れる。特に、ウルトラファインバブルを含む水は物体表面と付着異物との間への浸透力が高い性質から、便器表面の清浄化能力に優れ、洗浄後の便器を清浄な状態に確実に移行させられる。
また、洗浄水の一部は、洗浄後の便器におけるトラップの水封部に留まることから、微細気泡や電解水を含んで除菌効果を有する水が便器の除菌された状態を長時間保持できることとなる。
【0064】
そして、この使用者のトイレ使用の後のハンドル(レバー)92操作で、洗浄水タンク90内の水が洗浄水として排出されるたびに、上記の制御回路部50の制御による水の電気分解のプロセスが繰り返されることとなり、常に洗浄水として電気分解により生じた微細気泡と電解水を含む水を使用でき、洗浄対象の便器を清潔で且つ除菌された状態に維持できる。
【0065】
トイレを頻繁に使用しない場合、洗浄水タンク90内の洗浄水も使用されないまま放置状態となるが、電気分解で発生させたウルトラファインバブルや一部の電解水成分は水中に比較的長期にわたり残留可能であり、タンク内の洗浄水の高い洗浄効果を維持できる。また、洗浄水タンク90内は、ほぼ連続して、電気分解により生じた微細気泡と電解水を含む水が存在していることから、タンク内の環境も清潔な状態に維持される。
【0066】
洗浄水タンク90における長期の使用により対向電極部10やポンプ部30にメンテナンスや交換の必要が生じた場合には、洗浄水タンク90の蓋を開け、対向電極部10やポンプ部30をこれらと一体の本体部20ごと洗浄水タンク90から取り外し、必要に応じて対向電極部10やポンプ部30をさらに本体部20から取り外して、これらに対するメンテナンス等を行うこととなる。
【0067】
本体部20に取り付けた対向電極部10やポンプ部30、制御回路部50をあらためて洗浄水タンク90内に配設する場合には、洗浄水タンク90の蓋を開けて、各部品を本体部20ごと洗浄水タンク90内側の所定箇所に取り付けることとなる。この場合、本体部20と各部品の洗浄水タンク90への取付に係り、補給されたタンク内の水に対し電気分解で生じた電解水や気泡を適切に導入できるように、取付位置や向きの目安となる目印(マーク)を本体部20と洗浄水タンク90内面の双方に設けたり、本体部20が洗浄水タンク90に対し取付位置及び向きが適切となる場合のみ、互いに嵌合して本体部20が洗浄水タンク90に取付可能な形状となるように形成するのが好ましい。
【0068】
このように、本実施形態に係る微細気泡含有水生成装置は、洗浄水タンク90内に本体部20で支持された電気分解用の対向電極部10を設け、対向電極部10の周囲及び各電極間に洗浄水タンク90内の水を流通させて電気分解を行い、電気分解により発生した微細気泡と電解水を洗浄水タンク90内の水に導入することから、洗浄水タンク90内の水に微細気泡による洗浄機能と電解水による除菌機能を付与して、これを洗浄水として洗浄水タンク90から排出して使用した際には、便器を確実に洗浄できると共に便器の除菌を実行でき、さらに、洗浄水の一部が便器のトラップに水封部分として留まり、便器への汚れの再付着防止や便器の除菌を図る状態を所定時間保持できることとなり、便器を清潔で安全な状態に維持できる。
【0069】
また、対向電極部10で電気分解して得た微細気泡と電解水を洗浄水として使用される水に直接導入する簡略な構造として、容易に設置することができ、導入のためのコストを抑えられると共に、微細気泡や電解水が水中に留まりやすく、水の洗浄能力と除菌能力をできる限り高めた状態で洗浄水として便器へ送り出せる。
【0070】
なお、前記実施形態に係る微細気泡含有水生成装置においては、対向電極部10等の各部品を取り付けた本体部20を洗浄水タンク90内の底部に配設する構成としているが、これに限らず、本体部20を洗浄水タンク90における水面位置より下側にあたる側壁部内面の所定箇所に配設する構成とすることもでき、前記実施形態同様に、本体部20で支持する対向電極部10の周囲に洗浄水タンク90内の水を流通させて、対向電極部10から電気分解で生じた微細気泡や電解水を洗浄水タンク90内の水に導入することができる。
【0071】
ただし、本体部20を、洗浄水タンク90の側壁部内面における、洗浄水排出の際にタンク内水位が一時的に本体部20を下回り、本体部20周囲に水が存在しないようになる箇所に配設する際は、
図5に示すように、本体部20が水を所定量貯留可能な略箱状の貯留部21を有し、所定の開放部分を通じて水が流通可能とされるこの貯留部21に、対向電極部10を収容配設する構成とすることもできる。この場合、本体部20の貯留部21に一旦水が入ると、本体部周囲に水が存在しない状況に至っても、対向電極部10の周囲及び電極間には水がある状態をそのまま維持できることから、対向電極部10に対し本体部20より外から水の流通がない時期でも、対向電極部10を常時水と接触させて、電気分解を無理なく実行でき、洗浄水タンク90への給水がなされて本体部周囲に水が達するタイミングとは別個に最適なタイミングで電気分解を行え、電気分解を実行する時間も長く確保できる。
【0072】
また、前記実施形態に係る微細気泡含有水生成装置においては、対向電極部10等の各部品を取り付けた本体部20を洗浄水タンク90とは別体としてタンク内に設置する構成としているが、これに限らず、
図6に示すように、洗浄水タンク90内から見て凹部をなすタンクの一部を本体部25とし、この本体部25内に対向電極部10、ポンプ部30、及び制御回路部50を設けて、本体部25を洗浄水タンク90と一体に取り扱う構成としてもかまわない。この場合、洗浄水タンク90の凹部が、本体部25において水を所定量貯留可能な貯留部を兼ねることとなり、対向電極部10の周囲及び電極間に水がある状態を維持できる。
【0073】
また、前記実施形態に係る微細気泡含有水生成装置において、水流発生手段として制御回路部50で作動状態を制御されるポンプ部30を設ける構成としているが、これに限られるものではなく、別の水流発生手段を設ける構成とすることもでき、例えば、
図7に示すように、水流発生手段としてポンプ部に代えてヒータ32を配設する構成とすることもできる。この場合、ヒータ32は給電部40から制御回路部50を通じて電力を供給されて発熱し、周囲の水を加熱して水の熱対流を生じさせることで、前記同様に対向電極部10の各陽極部11と陰極部12間に水の流通状態を与えることができる。
【0074】
こうして、本体部10内のヒータ32から発生する熱で水の熱対流を生じさせ、この熱対流に基づいて対向電極部10の陽極部11と陰極部12間に水を流通させるようにして、ヒータ32を水流発生手段として用いることで、水流発生手段の構造を簡略化できると共に、水流を発生させるのに可動部分を有する機構が不要となり、故障が生じにくく、水の流通に係る信頼性を高められる。
【0075】
このようなヒータ等の発熱源から発生する熱で水を加熱し、熱対流を利用して対向電極部10の陽極部11と陰極部12間に水を流通させるようにする場合、
図8に示すように、対向電極部15をなす陽極部16と陰極部17の並ぶ向きを上下方向と直角をなす向きとし、陽極部16と陰極部17の間の隙間が上下方向に連続するように配置する構成とすることもでき、発熱源(ヒータ32)で加熱された水が陽極部16と陰極部17の間での上昇を他から特に妨げられることなく継続でき、陽極部16と陰極部17の間で水が連続して流通する状態を確保できることとなり、熱対流に伴う流速をできるだけ大きくして水素気泡の引き離し性を向上させ、貯水部へ向かう水素気泡をより小さくして水素気泡の上昇を抑え、水中の水素濃度を高められると共に、流通する水と対向電極部との接触頻度を高められ、電気分解の効率を高められる。
【0076】
この他、さらに別の水流発生手段として、例えば、本体部や対向電極部を、洗浄水タンク90内で給水により生じた水の流れの影響が対向電極部の周囲や電極間に及ぶように形成することもでき、この場合、こうした洗浄水タンク90への給水に伴って発生する水流をそのまま水流発生手段で生じさせた流れと見なすことができ、この流れがある中で対向電極部10により電気分解を行わせ、微細気泡を発生させるようにすれば、対向電極部10間に水流を生じさせることのみを目的として特別な水流発生手段を設けずに済むこととなる。
【0077】
また、前記実施形態に係る微細気泡含有水生成装置においては、洗浄水タンク90内に収める対向電極部10やポンプ部30等の各部品を本体部20と一体化し、これら各部品に対するメンテナンス等の取り扱いに際して、これら各部品を本体部20ごと洗浄水タンク90に対しまとめて着脱する構成としているが、これに限られるものではなく、対向電極部10やポンプ部30等の各部品を本体部20に対し分離可能としたり、これら各部品をそれぞれ取り付けられた本体部の一部を本体部の他部に対し分離可能としたり、あるいは一部の部品を本体部を介さず直接洗浄水タンク90に着脱可能に取り付けるようにして、対向電極部10等の各部品を全てまとめてではなく、一又は複数の部品ごとに分けて洗浄水タンク90に対し着脱可能とする構成としてもかまわない。
【0078】
(本発明の第2の実施形態)
前記第1の実施形態に係る微細気泡含有水生成装置においては、電力供給のために、洗浄水タンク90外の給電部40と洗浄水タンク90内の制御回路部50とをケーブル43で接続すると共に、ケーブル43の制御回路部側はコネクタ44による一般的な直接導体接続を採用し、合わせて導体接続部分や、これらケーブル、コネクタ等部品の防水を図る構成としているが、これに限らず、
図9に示すように、洗浄水タンク90の外側の給電部40とタンク内の受電部45との間で、非接触で電力伝送を行うようにして、本体部20に取り付けた各部品への電力供給でケーブル等導体を介さない構成とすることもでき、電力供給に際し、タンク外部からタンク内に通じる電力供給用のケーブル等を不要として、洗浄水タンク90の外側にケーブル等が現れないようにすることができると共に、制御回路部50周囲の防水状態を確保しつつの電力線端子接続等の複雑な構造が不要となり、部品点数を減らして電気的接続構造を簡略化できると共に、制御回路部50を取り付ける本体部20の防水に係る構造も簡略化でき、コストダウンが図れる。
【0079】
上記の場合で、前記給電部40との組で非接触電力伝送を行う受電部45が、原理的に発熱しやすいことは既知であるが、この点を利用して、
図10に示すように、受電部46を水流発生手段として用いる構成とすることもできる。
【0080】
この場合、受電部46は、電力伝送に伴う発熱で周囲の水を加熱し、水の熱対流を生じさせる。こうした熱による水の対流に伴う上昇流の発生で、受電部46近くに配設された対向電極部10の各陽極部11と陰極部12周囲で水の上向きの流れが生じ、他部分から水がこの陽極部11と陰極部12との間の領域へ流れ込もうとすると共に、陽極部11と陰極部12との間から水が周囲に出ようとして、各陽極部11と陰極部12間に水の流通状態を与えることとなる。
【0081】
このように電力伝送を行うチャンバー部10内の受電部46から発生する熱で水の熱対流を生じさせ、この熱対流に基づいて対向電極部10の陽極部11と陰極部12間に水を流通させるようにして、受電部46を水流発生手段としても用いることで、受電部46の他に別途水流発生手段を設けずに済み、構造を簡略化できると共に、水流を発生させるのに可動部分を有する機構が不要となり、故障が生じにくく、水の流通に係る信頼性を高められる。
【0082】
この他、上記の場合で、
図11に示すように、給電部40との組で非接触電力伝送を行う関係上、通電状態となる受電部47を、対向電極部18における陽極部と陰極部のいずれか一方を兼ねるものとして用い、板状の電極板を複数重ねて配置した対向電極部と置き換える構成とすることもできる。
【0083】
この構成の場合、受電部47は、耐食性を有する金属材部分が露出したコイル部を有して本体部20に配設され、対向電極部18における陽極部と陰極部のいずれか一方を兼ねるようにされることで、給電部40と受電部47との間で非接触電力伝送がなされ、且つ対向電極部18をなす他方の電極にも通電がなされると、受電部47と他方の電極との間で水の電気分解が生じ、受電部47では通電に伴って露出金属部分に気泡が発生することとなる。
【0084】
こうして対向電極部18の一方の電極を兼ねる受電部47の金属材部分が、周囲の水の電気分解を進行させ、金属表面で気体を発生させることで、受電部47の他に別途同極側の電極を設けずに済み、構造を簡略化できると共に、受電部47での電力伝送に伴って発生する熱が水の熱対流をもたらし、受電部近傍に水の流通状態を与える一種の水流発生手段としても作用することとなり、電極をなす受電部47近傍における水の流通を促して、受電部47の金属材部分と貯水部内の水とを接触しやすくし、水の電気分解をより効率よく進められる。
【0085】
また、前記第1の実施形態に係る微細気泡含有水生成装置においては、外部の電源からの電力を給電手段としての給電部40を経由して洗浄水タンク90内の対向電極部10等に供給する構成としているが、この他、本体部20に充電可能な電池55を防水状態で配設し、対向電極部10への通電及びポンプ部30への通電に係る電力供給を電池55から行う構成とすることもでき、装置を簡略な構成として取り扱い性を向上させられる。この場合、電池55への充電を、
図12に示すように、洗浄水タンク90の外側の給電部40とタンク内の受電部45との間の非接触電力伝送により実行する構成とすれば、公知の非接触電力伝送による二次電池の充電機構を採用して、より簡略にシステムを構築できると共に、充電のたびに洗浄水タンク90内から本体部20を取り出して電池55を充電可能な状態とする作業の手間が省ける。
【0086】
(本発明の第3の実施形態)
前記実施形態に係る微細気泡含有水生成装置においては、洗浄水タンク90内の本体部20近傍における水の流動状態を検出して制御回路部50に対し検出状態を伝える検出部60を設けて、検出部60からの検出状態伝達を受けた後、制御回路部50が適切なタイミングで対向電極部10への電力供給を開始させる構成としているが、この他、
図13に示すように、洗浄水タンク90における水排出を検出して制御回路部50に対し検出状態を伝える検出部65を、洗浄水タンク90のフロート弁93等の排水機構部分に配設し、この検出部65からの検出状態伝達を受けてから、制御回路部50が所定のタイミングで対向電極部10への電力供給を開始させる構成とすることもできる。
【0087】
なお、検出部65としては、具体的には、例えばフロート弁93の開放状態を検出するセンサや、フロート弁93の開閉に応じて開閉状態が切り替わるスイッチとすることができる。また、こうしたフロート弁93を検出対象とする以外に、例えば、洗浄操作用のハンドル(レバー)92の操作に基づく傾動状態を検出するようにしてもかまわない。
【0088】
この場合、検出部65が水排出を検出すると、排水や給水を経た後の、洗浄水タンク内の水が電気分解で発生した気泡及び電解水を問題なく導入できる状態にある所定のタイミングで、制御回路部50が対向電極部10への電力供給を開始させて、電気分解が行われることから、対向電極部10周囲の水に対し適切なタイミングで電気分解を行って、洗浄水タンク90内の水に対し、微細気泡や電解水を無駄なく十分に導入することができ、洗浄水に微細気泡や電解水による洗浄能力や除菌能力を適切に付与できると共に、微細気泡や電解水の導入から洗浄水の排出まで過剰に時間が経過しないようにして、洗浄能力や除菌能力を十分に発揮できる期間に洗浄水を排出して使用できることとなり、便器の洗浄と除菌を効率よく実行できる。
【0089】
一方、
図14に示すように、洗浄水タンク90内への水供給を検出して制御回路部50に対し検出状態を伝える給水検出部70を、洗浄水タンク90の給水機構部分に配設し、この給水検出部70からの検出状態伝達を受けてから、制御回路部50が所定のタイミングで対向電極部10への電力供給を開始させる構成とすることもできる。
【0090】
この場合も、給水検出部70が水供給を検出すると、制御回路部50が所定時間経過の後に対向電極部10への電力供給を開始させて、電気分解が行われることから、対向電極部10周囲の水に対し適切なタイミングで電気分解を行って、洗浄水タンク90内の水に対し、微細気泡や電解水を無駄なく十分に導入することができ、洗浄水に微細気泡や電解水による洗浄能力や除菌能力を適切に付与できると共に、微細気泡や電解水の導入から洗浄水の排出まで過剰に時間が経過しないようにして、洗浄能力や除菌能力を十分に発揮できる期間に洗浄水を排出して使用できることとなり、便器の洗浄と除菌を効率よく実行できる。
【0091】
(本発明の第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態に係る微細気泡含有水生成装置水処理装置を
図15及び
図16に基づいて説明する。
前記各図において本実施形態に係る微細気泡含有水生成装置2は、前記第1の実施形態同様、対向電極部10と、本体部20と、ポンプ部30と、給電部40と、制御回路部50とを備える一方、異なる点として、本体部10の設置箇所を洗浄水タンク90の蓋部95上側の、水を吐出する手洗カラン94の下側とし、検出部60に代えて、洗浄水タンク90における水排出を検出して制御回路部50に対し検出状態を伝える検出部65を、洗浄水タンク90のフロート弁93等の排水機構部分に配設する構成を有するものである。
【0092】
なお、本実施形態における対向電極部10、ポンプ部30、給電部40、及び制御回路部50は、前記第1の実施形態と同様の構成であり、詳細な説明を省略する。また、本実施形態における検出部65は、前記第3の実施形態と同様の構成であり、詳細な説明を省略する。
【0093】
前記本体部20は、水を所定量貯留可能な貯留部21を有すると共に、この貯留部21と外部との間で水を流通可能とする開放部分を複数設けられてなり、洗浄水タンク90の蓋部95上面における手洗カラン94吐出口の下方位置に着脱可能に取り付けられる構成である。この本体部20の貯留部21に、対向電極部10が着脱可能に収容配設される。
【0094】
本体部20は、前記第1の実施形態と同様、対向電極部10、ポンプ部30、及び制御回路部50を一体に取り付けられて、これらを支持するものである。この本体部20と、これに取り付けられる対向電極部10、ポンプ部30、及び制御回路部50の各部品は、洗浄水タンク90に対し本体部20ごと着脱されることとなる。
【0095】
この本体部20は、洗浄水タンク90上側で給水時に水を吐出する手洗カラン94の下側に配設されると共に、貯留部21を外部に対し開放状態とすることで、貯留部21に配設した対向電極部10の周囲及び陽極部11と陰極部12との間の隙間に、手洗カラン94から吐出されて洗浄水タンク90内に入ろうとする水を流通可能としている。そして、本体部20に対し、手洗カラン94から水が続けて吐出されて貯留部21に流入することで、電気分解により対向電極部10で発生した気泡及び電解水を導入された水が、貯留部21から順次あふれて洗浄水タンク90内に流下する仕組みである。
【0096】
また、本体部20は、水を貯留可能とした貯留部21を有しており、この貯留部21に一旦水が入ると、貯留部21に水が常に一定量残ることから、本体部20に対し手洗カラン94からの給水がなされない状況に至っても、対向電極部10の周囲及び電極間に常に水が存在する状態が確保されている。
【0097】
この本体部20の一部は、対向電極部10の上側に位置して対向電極部10をカバー状に覆う配置とされており、対向電極部10を人が誤って触れないよう隔離、保護する一方、水や気泡は通過可能として、対向電極部10における水の電気分解や、対向電極部10側から貯留部21上部の水への電解水及び気泡の進行を妨げないものとなっている。
【0098】
次に、本実施形態に係る微細気泡含有水生成装置の使用状態について説明する。前提として、前記第1の実施形態同様、洗浄水タンク90の外に設けられる給電部40が、外部の電源(図示を省略)と接続されて電力供給を継続的に行える状態となっており、給電部40からの電力伝送に基づいて、制御回路部50を通じた対向電極部10やポンプ部30への電力供給が可能な状態にあるものとする。また、洗浄水タンク90上には対向電極部10、ポンプ部30、及び制御回路部50と一体の本体部20があらかじめ配設された上で、洗浄水タンク90には使用のつど十分な量の水が補給され、給水の一部が手洗水として手洗カラン94から吐出され、タンク蓋部の孔から洗浄水タンク90内に入るものとする。
【0099】
使用者の洗浄水を流すハンドル(レバー)92操作により、洗浄水タンク90のフロート弁93が開放し、洗浄水タンク90から水が洗浄水として便器へ向け排出されると、この水排出状態を検出部65が検出し、検出に係る制御信号が、検出部65から制御回路部50に送信される。
【0100】
この制御信号を制御回路部50が受信すると、制御回路部50は、対向電極部10とポンプ部30への電力供給を開始させる。本体部20の貯留部21には以前に手洗カラン94から吐出された水の一部が残っていることで、対向電極部10の周囲には水が存在しており、制御回路部50は、あらかじめ設定された生成速度で発生気体の気泡が得られるように、対向電極部10の陽極部11及び陰極部12への通電を実行して、対向電極部10周囲の水の電気分解を進行させる。
【0101】
洗浄水の排出後、洗浄水タンク90ではフロート弁93が閉止すると共にボールタップ91の作動により給水状態となり、洗浄水タンク90に水が補給される。同時に、給水の一部が手洗カラン94から吐出されて本体部20内に流れ込むため、対向電極部10の周囲には新たな水が到達、流通でき、水の電気分解を問題なく継続可能である。手洗カラン94から吐出されて本体部20に達した水は、本体部20の貯留部21に流入し、貯留部21の容量を超えた分の水が貯留部21からあふれて本体部外に出た後、タンク蓋部95の孔96から洗浄水タンク90内に流れ込み、当初から洗浄水タンク90内に供給された水を含む洗浄水タンク90内の水と合流する。
【0102】
なお、給水開始により手洗カラン94から吐出された水の本体部20内への到達に先行して、対向電極部10での電気分解を開始していることで、本体部20の貯留部21からあふれ出る初期の水についても微細気泡と電解水を十分に含む状態として洗浄水タンク90内に向かわせることができる。
【0103】
対向電極部10での電気分解は、前記第1の実施形態同様、陰極部12では還元により気体(例えば、水素など)が表面に気泡として多数発生し、且つ各気泡が成長する状態となる。また、陽極部11側では、酸化により気体(例えば、酸素など)が表面に気泡として多数発生し、且つ各気泡が成長する状態となる。加えて、陽極部11及び陰極部12の各近傍では電気分解に伴い電解水がそれぞれ生じ、特に、一方の電極側で除菌効果の高い電解水(例えば、次亜塩素酸を含むもの)が生じることとなる。
【0104】
制御回路部50は、電気分解に係る対向電極部10への通電と共に、ポンプ部30への通電も合わせて行っており、電気分解と同時に、ポンプ部30による対向電極部10の陽極部11と陰極部12間への水の送給がなされ、陽極部11と陰極部12の間には水が流れる状態となっている。
【0105】
こうしてポンプ部30が陽極部11と陰極部12の間に十分な水流を生じさせていることで、陽極部11や陰極部12の表面に発生した気泡は、あまり成長せず小さい微細気泡(例えば、ウルトラファインバブル)の状態のまま、陽極部11や陰極部12の表面から離れ、陽極部11や陰極部12の側方あるいは貫通孔を通って上方へ向かい、本体部20の貯留部21からあふれる水と共に洗浄水タンク90内へ進む。これにより、微細気泡と電解水を含む水が洗浄水タンク90内の水と合わさり、これらを一まとまりの微細気泡や電解水を含む洗浄水として使用可能となる。
【0106】
気泡の大きさは、前記第1の実施形態同様、制御回路部50によるポンプ部30の作動状態の制御で、水流の流速を変えて、水流が気泡を対向電極部10の各表面から引き離す度合いを変化させることで調整でき、微細気泡におけるマイクロバブルの割合を多くしたり、逆にウルトラファインバブルの割合を多くすることが可能である。
【0107】
また、給電されて作動するポンプ部30が、対向電極部10の陽極部11と陰極部12の間に十分な水流を生じさせることで、対向電極部10と本体部20の貯留部21に流入した水との接触機会を増やし、水の電気分解を促して微細気泡や電解水を効率よく発生させることができる。
【0108】
洗浄水タンク90においては、水の継続的な補給によりタンク内の水が満水状態に達すると、ボールタップ91が閉止状態に移行して給水終了となる。これに合わせて、手洗カラン94からの水の吐出も停止し、本体部20内への水供給が終了となる。
【0109】
制御回路部50は、こうして手洗カラン94からの水の吐出停止に伴う本体部20への給水が終了した後も、対向電極部10とポンプ部30への電力供給を継続させているが、このように手洗カラン94からの水の吐出が停止して間もなく、排水検出部60からの制御信号を受けてからの経過時間が、あらかじめ設定された電気分解を終了すべき所定経過時間に達したことを判別すると、制御回路部50は対向電極部10とポンプ部30への電力供給を停止させ、水の電気分解を行わない状態に移行する。
【0110】
使用者がトイレを使用し、ハンドル(レバー)92を操作して、洗浄水タンク90から水が便器へ向け排出されると、微細気泡や電解水を含む洗浄水が便器を洗浄することとなる。前記第1の実施形態同様、洗浄水に含まれる微細気泡や電解水により、洗浄能力及び除菌能力は水のみの場合に比べて大きく向上しており、便器の洗浄と除菌を効率よく且つ強力に進められ、便器の清潔度合いの著しい改善が図れる。また、洗浄水の一部は、洗浄後の便器におけるトラップの水封部に留まることから、微細気泡や電解水を含んで除菌効果を有する水が便器の除菌された状態を長時間保持できることとなる。
【0111】
そして、この使用者のトイレ使用の後のハンドル(レバー)92操作で、洗浄水タンク90内の水が洗浄水として排出されるたびに、洗浄水タンク90上側で上記の制御回路部50の制御による水の電気分解のプロセスが繰り返されることとなり、常に洗浄水として電気分解により生じた微細気泡と電解水を含む水を使用でき、洗浄対象の便器を清潔で且つ除菌された状態に維持できる。
【0112】
トイレを頻繁に使用しない場合、洗浄水タンク90内の洗浄水も使用されないまま放置状態となるが、電気分解で発生させたウルトラファインバブルや一部の電解水成分は水中に比較的長期にわたり残留可能であり、タンク内の洗浄水の高い洗浄効果を維持できる。また、洗浄水タンク90内や本体部20内は、ほぼ連続して、電気分解により生じた微細気泡と電解水を含む水が存在していることから、タンク内や本体部内の環境も清潔な状態に維持され、洗浄水に悪影響を与えることはない。
【0113】
長期の使用により対向電極部10やポンプ部30にメンテナンスや交換の必要が生じた場合には、対向電極部10やポンプ部30をこれらと一体の本体部20ごと洗浄水タンク90上から取り外し、必要に応じて対向電極部10やポンプ部30をさらに本体部20から取り外して、これらに対するメンテナンス等を行うこととなる。
【0114】
対向電極部10やポンプ部30、制御回路部50が取り付けられた本体部20をあらためて洗浄水タンク90上に配設する場合には、本体部20がちょうど手洗カラン94の吐出口下側に位置するように、本体部20を洗浄水タンク90上部に取り付けることとなる。この場合、本体部20の洗浄水タンク90上への取付に係り、手洗カラン94から吐出された水に対し電気分解で生じた電解水や気泡を適切に導入できるように、取付位置や向きの目安となる目印(マーク)を本体部20と洗浄水タンク90上面(蓋部95)の双方に設けたり、本体部20が洗浄水タンク90に対し取付位置及び向きが適切となる場合のみ、互いに嵌合して本体部20が洗浄水タンク90上に取付可能な形状となるように形成するのが好ましい。
【0115】
このように、本実施形態に係る微細気泡含有水生成装置は、対向電極部10を支持する本体部20が、洗浄水タンク90の上側で手洗カラン94吐出口の下方となる箇所に配設されることから、洗浄水タンク90への給水の際に手洗カラン94から吐出されて最終的にタンク内に流れ込む水に対し適切に電気分解を実行して、洗浄水タンク90内の水に微細気泡と電解水を導入できる状態を確保しつつ、洗浄水タンク90に対し対向電極部10等と一体の本体部20の取付けや取外しが容易に行え、対向電極部10をはじめとする各部のメンテナンスをスムーズに実行でき、保守作業の負担を減らせると共に、本体部20及びこれに取り付けられる対向電極部10以外の各部品が水没しない配置状態となることで、防水機構を簡略化でき、装置のコストを抑えられる。
【0116】
また、本体部20が水を流通可能とした貯留部21を有して、この貯留部21に対向電極部10を収容配設して、貯留部21に一旦水が入ると、本体部20に対し手洗カラン94からの給水がなされない状況に至っても、対向電極部10の周囲及び電極間に水がある状態をそのまま維持できることから、洗浄水タンク90からの水排出時や洗浄水タンク90が満水で給水がなされない状況など、本体部20に対し水の流通がない時期でも、対向電極部10を常時水と接触させて、電気分解を無理なく実行でき、電気分解を洗浄水タンク90への給水タイミングと別個に最適なタイミングで行って、洗浄水に対し効率よく微細気泡と電解水を導入することができる。
【0117】
なお、前記実施形態に係る微細気泡含有水生成装置においては、手洗カラン94から吐出された水をそのまま本体部20の貯留部21に導いて対向電極部10で電気分解を行わせると共に、貯留部21からあふれた水をそのまま本体部20外に導いて洗浄水タンク90に流入させる構成としているが、これに限らず、本体部20における、手洗カラン94から吐出された水と接触可能な略箱状の貯留部近傍の所定箇所、又は、貯留部からあふれた水と接触可能な貯留部近傍の所定箇所に、水が接すると少しずつこの水に溶け出して混入する薬剤(例えば、洗浄剤や芳香剤など)を配置して、手洗カラン94を経由して洗浄水タンク90に入る水に薬剤を添加し、これを洗浄水タンク90内の水全体に行き渡らせる構成とすることもできる。この薬剤としては、微細気泡や電解水に悪影響を与えないか、微細気泡や電解水の効果を促進する性質のものを用いるのが好ましい。なお、手洗カラン94から吐出された直後の対向電極部10と接する前の水に対する薬剤としては、電気分解を妨げないものを使用する。この場合、薬剤には、電気分解を促して微細気泡や電解水の発生効率を高めたり、電解水の性質を調整して除菌能力を高めたり他の好ましい特性を付与するような成分を付加することもできる。
【0118】
また、前記実施形態に係る微細気泡含有水生成装置においては、対向電極部10を含む各部品を取り付けられた本体部20を、洗浄水タンク90の上側で手洗カラン94吐出口の下方となる箇所に配設する構成としているが、これに限らず、
図17に示すように、対向電極部10を含む各部品を取り付けられた本体部20が、洗浄水タンク90の蓋部95の孔96下方となる洗浄水タンク90内所定箇所に吊り下げ状態で配設される構成とすることもできる。
【0119】
この場合も、洗浄水の排出後、洗浄水タンク90に水が補給されるのと同時に手洗カラン94から吐出された水が、一旦タンク蓋部95に達し、孔96に集中して流入する過程を経て、前記実施形態同様、本体部20内に流れ込み、電気分解で生じた電解水や気泡を導入された上で、本体部外にあふれ出て洗浄水タンク90内の水と合流することとなり、微細気泡と電解水を含む水を洗浄水タンク90内に保持して適切に洗浄水として使用できる。
また、手洗カラン94の下側を広く空いた状態にできることで、吐出時の手洗いを行いやすくすることができる。
【0120】
また、前記実施形態に係る微細気泡含有水生成装置において、水流発生手段として制御回路部50で作動状態を制御されるポンプ部30を設ける構成としているが、これに限られるものではなく、別の水流発生手段を適用する構成とすることもでき、例えば、本体部や対向電極部を、手洗カラン94からの吐水により生じた水の流れの影響が対向電極部の周囲や電極間に及ぶように形成することもでき、この場合、こうした手洗カラン94からの吐水に伴って発生する水流をそのまま水流発生手段で生じさせた流れと見なすことができ、この流れがある中で対向電極部10により電気分解を行わせ、微細気泡を発生させるようにすれば、対向電極部10間に水流を生じさせることのみを目的として特別な水流発生手段を設けずに済むこととなる。
【0121】
また、前記実施形態に係る微細気泡含有水生成装置においては、洗浄水タンク90における水排出を検出して制御回路部50に対し検出状態を伝える排水検出部60を設けて、排水検出部60からの検出状態伝達を受けて、制御回路部50が対向電極部10への電力供給を開始させる構成としているが、これに限られるものではなく、例えば、本体部20に設けられて、手洗カラン94から吐出され流下した水が接したことを検出する検出手段を用いるようにし、この検出手段から検出状態伝達を受けて、制御回路部50が対向電極部10への電力供給を開始させる構成とすることもできる。この場合、本体部20上への水到達を検出して電気分解を行えることで、本体部20から離れた洗浄水タンク90内等に排水検出部や給水検出部といった外付けの検出手段を別途設けずに済み、装置構成を簡略化してコストダウンが図れることとなる。
【0122】
(本発明の第5の実施形態)
前記第4の実施形態に係る微細気泡含有水生成装置においては、対向電極部10を含む各部品を取り付けられた本体部20を、洗浄水タンク90の上側で手洗カラン94吐出口の下方となる箇所に配設する構成としているが、この他、
図18に示すように、対向電極部10を含む各部品を取り付けられた本体部20が、手洗カラン94より上流側の、ボールタップ91から手洗カラン94への給水管路途中の所定箇所に配設される構成とすることもできる。
【0123】
この場合、
図19に示すように本体部20は、中空の容器状として形成され、一方の開口端部をボールタップ91側の給水管路97端部に接続され、他方の開口端部を手洗カラン94側の給水管路98端部に接続されて配設される構成である。そして、ボールタップ91から手洗カラン94に向かって流れる水が通る本体部20の中空部22に、対向電極部10が配設されることとなる。
【0124】
この本体部20では、中空部22に配設した対向電極部10の周囲及び陽極部11と陰極部12との間の隙間に、手洗カラン94に向かう水を流通可能としている。そして、本体部20に対し、手洗カラン94からの手洗水吐出のためにボールタップ91側から水が供給され、中空部22に流入することで、電気分解により対向電極部10で発生した気泡及び電解水を導入された水が、中空部22から手洗カラン94側に進み、手洗カラン94から吐出されて最終的に洗浄水タンク90内に流下する仕組みである。
【0125】
このように、本実施形態に係る微細気泡含有水生成装置では、対向電極部10を支持する本体部20が、ボールタップ91から手洗カラン94への給水管路途中に配設されることから、洗浄水タンク90への給水の際に手洗カラン94から吐出されて最終的にタンク内に流れ込む水に対し適切に電気分解を実行して、洗浄水タンク90内の水に微細気泡と電解水を導入できる状態を確保しつつ、手洗カラン94より上流側に位置させた対向電極部10で電気分解を行って、手洗カラン94から吐出される水が既に微細気泡と電解水を含んだ状態とすることができ、トイレの使用者が手洗カラン94から吐出される水で手を洗う際に、手に対しても高い洗浄効果と除菌効果が発揮されることとなり、トイレ使用後の手を確実に清潔な状態にできる。
【0126】
また、本体部20が水を流通可能とした中空部22を有して、この中空部22に対向電極部10を収容配設して、中空部22に一旦水が入ると、本体部20に対しボールタップ91側からの給水がなされない状況に至っても、対向電極部10の周囲及び電極間に水がある状態をそのまま維持できることから、洗浄水タンク90からの水排出時や洗浄水タンク90が満水で給水がなされない状況など、本体部20に対し水の流通がない時期でも、対向電極部10を常時水と接触させて、電気分解を無理なく実行でき、電気分解を洗浄水タンク90への給水タイミングと別個に最適なタイミングで行って、洗浄水に対し効率よく微細気泡と電解水を導入することができる。
【0127】
(本発明の第6の実施形態)
前記第1ないし第5の各実施形態に係る微細気泡含有水生成装置は、一つの便器に対し専用のロータンクとしての洗浄水タンクが一台組み合わされる、家庭用トイレの洗浄システムにおける洗浄水タンク90に本発明装置を適用する例としているが、これに限られるものではなく、
図20に示すように、一台の洗浄水タンクから複数の便器に洗浄水を排出供給する公衆トイレ等の洗浄システムにおける洗浄水タンク99に対し、本発明装置を適用するようにすることもできる。
【0128】
具体的には、複数の便器100と管路で接続されて洗浄水を各便器100に供給可能な洗浄水タンク99内に、前記第1の実施形態と同様に、対向電極部10等の各部品を取り付けた本体部20を洗浄水タンク99内の底部に配設する構成とすることができる。
【0129】
ただし、洗浄水タンク99の容量は接続された便器の数に応じた水量を貯留可能なものとなっていることから、一つの便器の使用後の洗浄で、前記各実施形態のように洗浄水タンク90内の洗浄水がほとんど全て使用されるということはなく、洗浄水タンク99内の水が一部排出されてタンク内水位がわずかに低下するのみである。また、洗浄水タンク99への給水についても、タンク内水位が所定下限水位を下回った場合に給水が行われ、十分な貯留水量(満水量)に対応する水位に達すると給水が停止する仕組みである。
【0130】
このため、対向電極部10で電気分解を行って洗浄水タンク99内の水に微細気泡と電解水を導入するにあたっては、制御回路部50で対向電極部10への電力供給を制御すると共に、洗浄水タンク99の給水機構部分に洗浄水タンク99内への水供給を検出する給水検出部を配設して、この給水検出部から検出状態を制御回路部50に伝達可能とする。そして、給水検出部で水供給を検出すると、制御回路部50が対向電極部10への電力供給を開始させて、対向電極部10で電気分解を行わせることとなる。
【0131】
制御回路部50は、この後、給水検出部から検出状態を伝達されてからの経過時間が、あらかじめ設定された電気分解実行期間の終了時に達したこと、すなわち、電気分解で生じた微細気泡や電解水を洗浄水タンク99の満水量分に相当する水に十分に導入できるだけの時間が経過したこと、を判別すると、対向電極部10とポンプ部30への電力供給を停止させ、水の電気分解を行わない状態に移行する。この間、洗浄水タンク99においては、通常は水の継続的な補給により、タンク内の水が既に満水量に達し、給水停止となっている。
【0132】
こうした複数の便器100に洗浄水タンク99から洗浄水を供給する場合も、使用後の便器に対し、洗浄に係るハンドル等の操作がなされるか、使用者の離隔状態をセンサで検出して洗浄実行制御がなされると、前記各実施形態同様、洗浄のために洗浄水タンク99から水が便器へ向け排出され、微細気泡や電解水を含む洗浄水が便器を洗浄することとなる。
【0133】
この場合、洗浄水タンク99でまとめて微細気泡や電解水を含む洗浄水を用意することで、複数の便器に対し、微細気泡や電解水による洗浄能力や除菌能力を適切に付与した洗浄水を偏り無く供給して、各便器の洗浄と除菌を効率よく且つ強力に実行でき、洗浄対象となるいずれの便器についても、清潔で且つ除菌された状態に維持できる。