特許第6836906号(P6836906)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6836906改変バイオポリマーならびにその生成および使用の方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6836906
(24)【登録日】2021年2月10日
(45)【発行日】2021年3月3日
(54)【発明の名称】改変バイオポリマーならびにその生成および使用の方法
(51)【国際特許分類】
   C08B 31/04 20060101AFI20210222BHJP
【FI】
   C08B31/04
【請求項の数】16
【全頁数】60
(21)【出願番号】特願2016-571300(P2016-571300)
(86)(22)【出願日】2015年6月2日
(65)【公表番号】特表2017-525784(P2017-525784A)
(43)【公表日】2017年9月7日
(86)【国際出願番号】US2015033688
(87)【国際公開番号】WO2015187631
(87)【国際公開日】20151210
【審査請求日】2018年5月31日
(31)【優先権主張番号】62/006,317
(32)【優先日】2014年6月2日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519429015
【氏名又は名称】アナヴォ・テクノロジーズ,リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】アユーブ,アリ
(72)【発明者】
【氏名】ブレイ,ジェイムズ・チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ライアン・ニコラス
【審査官】 三木 寛
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2005/030845(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/064741(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/096891(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/180643(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/022127(WO,A1)
【文献】 米国特許第05599916(US,A)
【文献】 Starch/Starke,1992年,Vol.44 Nr.3,p.81-90
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08B 31/04
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋結合した電荷改変デンプンを生成する方法であって、
デンプンと、水と、クエン酸と、媒とを組み合わせるステップであって、前記水が前記デンプンの少なくとも20重量%の量で存在し、前記触媒がアルカリ系触媒である、ステップと
前記デンプンを、前記水と、前記クエン酸と、前記触媒の存在下で、反応押出プロセスを使用して溶融混合し、均質な反応混合物を形成するステップであって、前記均質な反応混合物が可塑化デンプンを含む、ステップと、
前記均質な反応混合物中で前記可塑化デンプンと前記クエン酸を前記反応押出プロセスを使用して反応させ、および架橋結合して、架橋結合した電荷改変デンプンを形成するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記反応させおよび架橋結合するステップが同時に生じる、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記架橋結合した電荷改変デンプンを発泡させるステップをさらに含み、任意選択的に、前記発泡させるステップが超臨界窒素(N炭酸カルシウム(CaCO)、水および/または超臨界二酸化炭素(CO)から選択される発泡剤を用いて行われる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記架橋結合した電荷改変デンプンが、0.1〜500ミクロンの平均直径を有する複数の細孔を含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記組み合わせるステップが、キトサン、前記デンプン、前記水、前記クエン酸、及び記触媒を組み合わせるステップを含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記架橋結合した電荷改変デンプンが正味正電荷または正味負電荷を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記架橋結合した電荷改変デンプンが、カルボキシル、スルホネート、スルフェート、及び/またはホスフェート基を含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記組み合わせるステップ前記反応押出プロセスを使用して行われる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
押出機中で行われる、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
一段式直接押出プロセスまたは多段式押出プロセスである、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記押出機が少なくとも2つの反応ゾーンを含み、第1の反応ゾーンで前記デンプンを電荷改変し、電荷改変デンプンを提供するステップと、前記電荷改変デンプンを第2の反応ゾーンで架橋結合するステップとを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記架橋結合した電荷改変デンプンが、10ミクロン〜1000ミクロンの範囲の直径を有する粒子の形態である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記反応させるステップおよび/または架橋結合するステップが、250〜500の範囲のスクリューRPMを有する押出機中で行われる、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記架橋結合した電荷改変デンプンを、80℃〜180℃の範囲の温度で、0.5分〜24時間の範囲のある期間にわたって加熱するステップをさらに含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記架橋結合した電荷改変デンプンが、陰イオン性である、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記架橋結合した電荷改変デンプンが、滴定によって決定した場合に少なくとも3meq/gの電荷密度を有する、陰イオン性の架橋結合した電荷改変デンプンである、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願データ]
本出願は、引用することにより本明細書の一部をなすものとする、2014年6月2日に出願された米国特許仮出願第62/006,317号の利益を主張する。
【0002】
[発明の分野]
本発明は、電荷改変バイオポリマー、架橋結合バイオポリマーおよび架橋結合した電荷改変バイオポリマーを含む改変バイオポリマーに関する。本発明の改変バイオポリマーの生成および使用の方法も提供する。
【背景技術】
【0003】
バイオポリマーは、用途が多いため、興味深い。例えば、バイオポリマーは、おむつ、衛生用製品および創傷被覆材などにおける吸収剤として有用であり得、吸着剤として有用であり得る。さらに、バイオポリマーは環境にやさしい製品を提供するという利点を有し得る。
【0004】
しかし、バイオポリマーを有用な製品に形成および/または加工する方法、例えば、従来の不均質な湿式化学法は、しばしば、複雑で、費用がかかり、非効率的であり得る。
【0005】
本発明は、改変バイオポリマーならびにその生成および使用の方法を提供することによって、当技術分野における先の欠点に対処する。
【発明の概要】
【0006】
本発明の第一の態様は、架橋結合した電荷改変バイオポリマーを生成する方法であって、バイオポリマーと少なくとも1種の電荷改変剤を組み合わせて、均質な反応混合物を形成すること、均質な反応混合物中でバイオポリマーと少なくとも1種の電荷改変剤を反応させること、および均質な反応混合物中でバイオポリマーを架橋結合して、架橋結合した電荷改変バイオポリマーを形成することを含む方法を含む。
【0007】
方法は、バイオポリマーと少なくとも1種の電荷改変剤を反応させて、電荷改変バイオポリマーを形成することを含むことができる。いくつかの実施形態では、電荷改変バイオポリマーを、任意選択的に電荷改変されていてもよい異なるバイオポリマーと架橋結合することができる。
【0008】
方法は、任意選択的に反応押出プロセスを使用して、押出機中で均質な反応混合物を形成することを含むことができる。
【0009】
本発明の別の態様は、架橋結合した電荷改変デンプン−キトサンを生成する方法であって、デンプン、キトサン、少なくとも1種の電荷改変剤、触媒および可塑剤を組み合わせて、均質な反応混合物を形成すること、デンプンおよびキトサンを電荷改変して、電荷改変デンプンおよび電荷改変キトサンを形成すること、ならびに電荷改変デンプンと電荷改変キトサンを架橋結合して、架橋結合した電荷改変デンプン−キトサンを形成することを含む方法を含む。
【0010】
本発明のさらなる態様では、架橋結合した電荷改変デンプン−キトサンを生成する方法は、デンプン、第1の電荷改変剤および触媒を組み合わせて、電荷改変デンプンを含む均質な反応混合物を形成すること、電荷改変デンプンを含む均質な反応混合物に電荷改変キトサンおよび可塑剤を加えること、ならびに電荷改変デンプンと電荷改変キトサンを架橋結合して、架橋結合した電荷改変デンプン−キトサンを形成することを含む。
【0011】
本発明の別の態様は、架橋結合した電荷改変デンプン−キトサンを生成する方法であって、デンプン、第1の電荷改変剤および触媒を組み合わせて、電荷改変デンプンを形成すること、電荷改変デンプン、電荷改変キトサンおよび可塑剤を含む均質な反応混合物を形成すること、ならびに電荷改変デンプンと電荷改変キトサンを架橋結合して、架橋結合した電荷改変デンプン−キトサンを形成することを含む方法を含む。
【0012】
本発明のさらなる態様は、本発明の方法に従って調製される架橋結合した電荷改変バイオポリマーを含む。
【0013】
本発明の別の態様は、滴定によって決定した場合に、少なくとも3meq/gの電荷密度を有する、架橋結合した電荷改変バイオポリマーを含む。
【0014】
本発明のさらなる態様は、従来の方法を使用して調製された架橋結合した電荷改変バイオポリマーと比較して電荷密度および/または架橋結合の程度が増大した、架橋結合した電荷改変バイオポリマーを含む。
【0015】
本発明の付加的な態様は、従来の方法を使用して調製された架橋結合した電荷改変バイオポリマーと比較して多孔性および/または孔径が増大した、架橋結合した電荷改変バイオポリマーを含む。
【0016】
本発明のさらなる態様は、流体を吸収する方法であって、本発明の架橋結合した電荷改変バイオポリマーを流体と接触させ、それによって、流体を吸収することを含む方法を含む。
【0017】
本発明の別の態様は、従来の方法を使用して調製された架橋結合した電荷改変バイオポリマーと比較して塩の取り込みおよび/または金属キレート化特性が増大した、架橋結合した電荷改変バイオポリマーを含む。
【0018】
本発明の別の態様は、溶液中の塩および/または金属の量を低減させる方法であって、本発明の架橋結合した電荷改変バイオポリマーを、塩および/または金属を含む溶液と接触させ、塩および/または金属が、架橋結合した電荷改変バイオポリマーに結合し、それによって、溶液中の塩および/または金属の量を低減させることを含む方法を含む。
【0019】
次に、本発明の前述の態様および他の態様を、本明細書に記載の他の実施形態に関して、さらに詳細に記載する。本発明は様々な形態で具体化することができ、本明細書に記載されている実施形態に限定されると解釈されるべきでないことを理解されたい。むしろ、これらの実施形態は、本開示が完全かつ完璧になるように、および本開示が本発明の範囲を当業者に十分に伝えるように提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1A】不均質相反応の概略図である。
図1B】均質相反応の概略図である。
図2】本発明の実施形態による、複数の注入ゾーンおよび反応ゾーンを備える平行2軸押出機を示す図である。
図3】本発明の実施形態による未改変ヘミセルロースおよび電荷改変ヘミセルロースに関するFTIRスペクトルを示す図である。
図4】本発明の実施形態による未改変ペクチンおよび電荷改変ペクチンに関するFTIRスペクトルを示す図である。
図5】本発明の実施形態による未改変ダイズタンパク質および電荷改変ダイズプロテインに関するFTIRスペクトルを示す図である。
図6】本発明の実施形態による例示的スクリュー構成を示す図である。
図7A-7F】A)33×での市販の陽イオン性デンプン、B)1000×での市販の陽イオン性デンプン、C)市販の陽イオン性デンプンのEDS塩素マップ、D)33×での本発明の方法に従って調整した陽イオン性デンプン、E)1000×での本発明の方法に従って調整した陽イオン性デンプン、およびF)本発明の方法に従って調整した陽イオン性デンプンのEDS塩素マップのSEM画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明をさらに十分に以下に記載する。しかし、本発明は、様々な形態で具体化することができ、本明細書に記載されている実施形態に限定されると解釈されるべきでない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が完全かつ完璧になるように、および本開示により本発明の範囲が当業者に十分に伝わるように提供される。
【0022】
本明細書において本発明の説明に使用される用語は、特定の実施形態のみを説明することを目的とし、本発明を限定することを意図するものではない。本発明および添付の特許請求の範囲の説明で使用される場合、単数形「1つ(a)」、「1つ(an)」および「その(the)」は、文脈において別段示さない限り、同様に複数形も含むことが意図される。
【0023】
別段定義しない限り、本明細書で使用される(技術用語および科学用語を含む)すべての用語は、この発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。一般に使用される辞書で定義される用語などの用語は、本出願および関連技術野の文脈におけるその意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明確にそのように定義されない限り、理想的な意味または過度に形式的な意味で解釈されるべきでないことをさらに理解されたい。本明細書において本発明の説明で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明することを目的とし、本発明を限定することを意図するものではない。本明細書で言及するすべての刊行物、特許出願、特許および他の参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。用語に不一致がある場合、本明細書を優先する。
【0024】
また、本明細書で使用する場合、「および/または」は、列挙される関連項目の1つまたは複数のありとあらゆる可能な組み合わせを指し、包含し、および選択肢(「または」)として解釈される場合は、組み合わせがないことを指し、包含する。
【0025】
文脈上別段示さない限り、本明細書に記載されている本発明の様々な特色を任意の組み合わせで使用することができることが特に意図される。さらに、本発明は、本発明のいくつかの実施形態において、本明細書に記載されている任意の特色または特色の組み合わせを除外または省略できることも企図する。例示するために、複合体が成分A、BおよびCを含むことを本明細書が述べる場合、A、BもしくはCのうちのいずれかまたはそれらの組み合わせを省略および放棄できることが特に意図される。
【0026】
本明細書で使用する場合、移行句「本質的に〜からなる(consisting essentially of)」(および文法的変形)は、特許請求される発明の、記載されている材料またはステップ「ならびに基本的および新規な特徴(複数可)に実質的に影響を及ぼさないもの」を包含すると解釈すべきである。In re Herz、537 F.2d 549、551〜52、190 U.S.P.Q.461、463(CCPA 1976)(強調は原文通り)を参照されたい。MPEP§2111.03もまた参照されたい。したがって、本明細書で使用する場合、用語「本質的に〜からなる(consisting essentially of)」は、「含む(comprising)」と等しいと解釈されるべきでない。
【0027】
本明細書で使用する場合、用語「約」は、例えば、量または濃度などの測定可能な値に言及する場合、特定の値の±20%までの変動、例えば、これらに限定されないが、特定の値の±20%、±15%、±10%、±5%、±1%、±0.5%またはさらに±0.1%、およびその特定の値を指すことを意味する。例えば、Xが測定可能な値である場合、「約X」は、XおよびXの±20%、±15%、±10%、±5%、±1%、±0.5%またはさらに±0.1%の変動を含むことを意味する。測定可能な値に関して本明細書で提供される範囲は、任意の他の範囲および/またはその中の個々の値を含むことができる。
【0028】
本発明のいくつかの実施形態によれば、改変バイオポリマー、例えば、電荷改変バイオポリマー、架橋結合バイオポリマーおよび/または架橋結合した電荷改変バイオポリマーが本明細書で提供される。本発明の架橋結合した電荷改変バイオポリマーは、電荷改変および架橋結合された1種のバイオポリマーを含むことができる。いくつかの実施形態では、本発明の架橋結合した電荷改変バイオポリマーは、架橋結合され、バイオポリマーの少なくとも1種が電荷改変された、2種以上の異なるバイオポリマーを含むことができる。2種以上の異なるバイオポリマーを、互いに架橋結合することができる。ある種の実施形態では、架橋結合した電荷改変バイオポリマーは、架橋結合され、バイオポリマーの両方が電荷改変されていてもよい、2種の異なるバイオポリマーを含むことができる。
【0029】
本明細書で使用する場合、「バイオポリマー」は、ポリマーのモノマー単位の大部分に存在する少なくとも1つの遊離アミンおよび/またはヒドロキシル基を有し、生きている生物が生成するポリマーまたはその誘導体であるポリマーを指す。いくつかの実施形態では、遊離アミンおよび/またはヒドロキシル基は、ポリマー骨格の各モノマー単位に存在することができる。例示的バイオポリマーとしては、これらに限定されないが、タンパク質および/または多糖が挙げられる。当業者が理解するように、バイオポリマーは、(例えば、実験室合成によって)合成的に得ることができ、ならびに/または自然界から(例えば、生きているもしくは死んだ生物から)得ることができるおよび/もしくは由来し得る。したがって、バイオポリマーは自然界に見られるポリマー(すなわち、天然のバイオポリマー)と同じでもよく、またはその誘導体でもよい。例えば、本発明のバイオポリマーは生きている生物が生成するポリマーの誘導体でもよく、その誘導体は、自然界からバイオポリマーを得るまたは単離するのに使用される合成方法によってもたらされる。いくつかの実施形態では、バイオポリマーは、細菌および/または微生物が生成するポリマーでもよい。
【0030】
さらなる例示的バイオポリマーとしては、これらに限定されないが、(アミロースおよび/またはアミロペクチンを含む)デンプン、キトサン、ヘミセルロース、リグニン、セルロース、キチン、アルギネート、デキストラン、プラン(pullanes)、ポリヒドロキシアルカノエート、フィブリン、シクロデキストリン、タンパク質(例えば、ダイズタンパク質)、多糖(例えば、ペクチン)および/またはポリ乳酸が挙げられる。
【0031】
本発明の方法で使用されるバイオポリマーは、約20重量%以下の水分含量を有することができる。いくつかの実施形態では、バイオポリマーは、重量基準で約20%、15%、10%、5%またはそれ以下の水分含量を有することができる。ある種の実施形態では、バイオポリマーは、約5%〜約20重量%または約10%〜約15重量%の範囲の水分含量を有することができる。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、例えば、約20重量%以下の水分含量を有するデンプンなどのバイオポリマーを利用し、バイオポリマーは、粉末状でもよい。
【0032】
本発明の方法で使用されるバイオポリマーは、約10,000ダルトン以上の分子量を有することができる。いくつかの実施形態では、バイオポリマーは、約10,000、20,000、30,000、40,000、50,000、60,000、70,000、80,000、90,000、100,000、200,000、300,000、400,000、500,000、600,000、700,000、800,000、900,000、1,000,000、2,000,000、3,000,000、4,000,000ダルトンまたはそれ以上の分子量を有することができる。ある種の実施形態では、バイオポリマーは、約50,000ダルトン以上の分子量を有することができる。いくつかの実施形態では、バイオポリマーは、約100,000ダルトン〜約4,000,000ダルトン、約500,000ダルトン〜約3,000,000ダルトン、または約1,000,000ダルトン〜約2,000,000ダルトンの分子量を有することができる。いくつかの実施形態では、本発明の改変バイオポリマー(例えば、架橋結合した電荷改変バイオポリマー)を調製するのに1種のバイオポリマーのみが使用される場合、バイオポリマーは、約50,000ダルトンを越える分子量を有することができる。いくつかの実施形態では、本発明の改変バイオポリマー(例えば、架橋結合した電荷改変バイオポリマー)を調製するのに2種以上の異なるバイオポリマーが使用される場合、2種以上の異なるバイオポリマーの少なくとも1種は、約10,000ダルトン以上、例えば、約20,000、30,000、40,000、50,000ダルトンまたはそれ以上などの分子量を有することができる。ある種の実施形態では、約50,000ダルトンを越える分子量を有するバイオポリマーを、任意選択的に約10,000ダルトンを越える分子量を有する第2の異なるバイオポリマーとともに使用して、本発明の改変バイオポリマー(例えば、架橋結合した電荷改変バイオポリマー)を調製することができる。いくつかの実施形態では、バイオポリマーは多分散性でもよい。
【0033】
いくつかの実施形態では、本発明の方法で使用されるバイオポリマーは、デンプンでもよい。例示的デンプンとしては、これらに限定されないが、ジャガイモデンプン、コムギデンプン、タピオカデンプン、キャッサバデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、ワキシートウモロコシデンプン、ワキシーコムギデンプン、ワキシーコメデンプン、ワキシーソルガムデンプン、ワキシーキャッサバデンプン、ワキシーオオムギデンプンおよび/またはワキシージャガイモデンプンが挙げられる。デンプンは、約70%w/w以上のアミロペクチン含量および約30%w/w以下のアミロース含量を有することができる。ある種の実施形態では、デンプンは、約70%、75%、80%、85%、90%、95%w/wまたはそれ以上のアミロペクチン含量、および約30%、25%、20%、15%、10%、5%w/wまたはそれ以下のアミロース含量を有することができる。いくつかの実施形態では、デンプンは、90%未満、例えば、約85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%などのアミロペクチン含量を有することができる。いくつかの実施形態では、デンプンは、約10%〜約85%、例えば、約25%〜約85%または約50%〜約80%などの範囲のアミロペクチン含量を有することができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、デンプンは水可溶性(例えば、アルファ化デンプン)でもよい。ある種の実施形態では、デンプンを蒸気爆発させて、アルファ化デンプンを形成することができる。いくつかの実施形態では、本発明の方法で使用されるデンプンは、天然のデンプンと比較して結晶化度が低減していてもよい。ある種の実施形態では、本発明の方法で使用されるバイオポリマーは、キトサンでもよい。キトサンは、約50%〜約100%の脱アセチル化度を有することができる。いくつかの実施形態では、キトサンは、約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%の脱アセチル化度を有することができる。ある種の実施形態では、キトサンは、約70%〜約100%の範囲の、または約80%を越える脱アセチル化度を有することができる。いくつかの実施形態では、キトサンは、約80,000ダルトンを越える分子量を有することができる。
【0035】
本発明の方法で使用されるバイオポリマーを、本明細書に記載の方法に従って(例えば、均質な反応混合物中でバイオポリマーを電荷改変剤と反応させることによって)、電荷改変することができる。しかし、当業者が認識するように、バイオポリマーは、もともと電荷を保有する場合がある(すなわち、バイオポリマーは、本発明の方法によらないで電荷がバイオポリマーに存在するという点において、天然に帯電され得る)。したがって、本発明の方法は、バイオポリマーに存在する電荷を帯電させることができる(例えば、電荷の種類および/または量)。いくつかの実施形態では、電荷改変バイオポリマーは、例えば、室温の水および/もしくは極性有機溶媒などの極性溶媒、ならびに/または室温の非極性溶媒に可溶性(例えば、部分的にまたは完全に可溶性)であり得る。いくつかの実施形態では、本発明の電荷改変バイオポリマーは、室温の極性および/または非極性溶媒に少なくとも70%可溶性であり得る。電荷改変度の指標および/または特徴として、溶解度を使用することができる。
【0036】
本明細書で使用する場合、「電荷改変剤」は、バイオポリマーのアミンおよび/またはヒドロキシル基と反応することができる1つの部分ならびに適切な条件下で、例えばあるpHで、正に帯電していてもよい、または負に帯電していてもよい第2の部分を含む、分子または化合物を指す。本明細書で使用する場合、「部分」は、特定の機能的または構造的特徴を有する分子または化合物の一部を指す。例えば、部分は、化合物の官能基または反応部を含むことができる。当業者が認識するように、強酸性部分(例えば、−SOH)または弱酸性部分(例えば、−COOH)は負に帯電している部分を形成することができ、強塩基性部分(例えば、−NHOH)または弱塩基性部分(−NH)は正に帯電している部分を形成することができる。
【0037】
電荷改変剤は、正に帯電している基、例えばこれらに限定されないが、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、第4級アンモニウム、スルホニウムおよび/またはホスホニウム基でもよい、少なくとも1つの部分を含むことができる。正に帯電している部分を有し得る例示的電荷改変剤としては、これらに限定されないが、エチレンイミン、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンイミン、シアナミド、β−モルホリノエチルクロリド、β−ジエチルアミノエチルクロリド、S−ジエチルアミノ1,2−エポキシプロパンジメチルアミノエチルメタクリレート、エポキシ3−メチルアンモニウム、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド(例えば、QUAB(登録商標)151)、N−(2,3−エポキシプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド、(4−クロロブテン−2)トリメチルアンモニウムクロリド、2−クロロエチルメチルエチルスルホニウムヨージドおよび/またはZ−クロロエチルトリブチルホスホニウムクロリドが挙げられる。いくつかの実施形態では、電荷改変剤は、第3級アミノアルキル基、ヒドロキシアルキル基、第4級アンモニウムアルキル基またはヒドロキシアルキル基を含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、任意選択的に触媒の存在下において、均質な反応混合物中でバイオポリマーと電荷改変剤を反応させることによって、正に帯電している部分をバイオポリマー中よび/またはバイオポリマー上に導入することができる。この反応は、乾燥溶融方法でもよく、および/またはエーテル化もしくはエステル化反応でもよい。
【0039】
電荷改変剤は、負に帯電している基、例えばこれらに限定されないが、カルボキシル、スルホネート、スルフェートおよび/またはホスフェート基(例えば、トリポリリン酸ナトリウム)でもよい、少なくとも1つの部分を含むことができる。負に帯電している部分を有し得る例示的電荷改変剤としては、これらに限定されないが、酸(例えば、クエン酸、氷酢酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)および/もしくはジエチレントリアミン五酢酸(DTPA));モノハロゲン置換脂肪酸(例えば、モノクロロ酢酸);アセテート(例えば、モノクロロ酢酸ナトリウム);無水物(例えば、コハク酸無水物、マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物および/もしくはオクテニルコハク酸無水物);アクリル酸、クロトン酸またはイタコン酸のアルキルエステル(例えば、アクリル酸、クロトン酸もしくはイタコン酸のメチルおよびエチルエステル);アクリロニトリル;過ヨウ素酸ナトリウム;スルホン;ならびに/またはスルホン酸(例えば、ハロアルカンスルホン酸、クロロオキシプロパンスルホン酸、エポキシプロパンスルホン酸、クロロオキシプロパンスルホン酸、エポキシプロパンスルホン酸、エテンスルホン酸および/もしくはそれらの塩)が挙げられる。
【0040】
いくつかの実施形態では、アルカリ系触媒の存在下において、均質な反応混合物中でバイオポリマーと電荷改変剤を反応させることによって、負に帯電している部分をバイオポリマー中に導入することができる。ある種の実施形態では、電荷改変剤はアクリロニトリルでもよく、アルカリ系触媒の存在下におけるバイオポリマーとアクリロニトリルの反応の後に、シアノエチル基の加水分解が続いてもよい。電荷改変剤が過ヨウ素酸ナトリウムである場合、バイオポリマーを用いる反応の後に、例えばこれに限定されないが、亜塩素酸ナトリウムで処理することによる、ならびに/または亜硫酸水素ナトリウムおよび/もしくは亜硫酸水素カリウムによって処理することによる、カルボニル基をカルボキシル基に変換する処理が続いてもよい。ある種の実施形態では、バイオポリマーを不飽和酸(例えば、マレイン酸)の無水物および亜硫酸水素塩と反応させることによって、カルボキシル基とスルホネート基の両方をバイオポリマー中に導入することができる。亜硫酸水素塩は、多糖半エステルの不飽和結合と反応することができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、電荷改変剤は、バイオポリマーのアミンおよび/またはヒドロキシル基と反応して、電荷改変バイオポリマーを提供することができる。電荷改変バイオポリマーは陽イオン性(すなわち、正味正電荷を有する)でもよいし、または陰イオン性(すなわち、正味負電荷を有する)でもよい。いくつかの実施形態では、電荷改変バイオポリマーは、正に帯電している部分と負に帯電している部分の両方を含むことができる。
【0042】
本発明の方法で使用されるバイオポリマーは、架橋剤をバイオポリマーと、および任意選択的に電荷改変されていてもよい少なくとも1種の異なるバイオポリマーと任意選択的に反応させることによって、架橋結合することができる。いくつかの実施形態では、架橋剤を少なくとも1種の電荷改変バイオポリマーと反応させることができる。本明細書で使用する場合、「架橋剤」は、2つ以上のバイオポリマー鎖および/またはバイオポリマーの一部を一緒に連結する化合物を指し、バイオポリマーは任意選択的に電荷改変されている。連結は、共有結合またはイオン結合を介して達成することができる。いくつかの実施形態では、連結は、バイオポリマーまたは異なるバイオポリマーの部分または基を介してもよい。
【0043】
例示的架橋剤としては、これらに限定されないが、エピクロロヒドリン、グルタルアルデヒド、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、酒石酸、トリメタリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、イオン性架橋剤(例えば、塩化カルシウム、水酸化カルシウムなど)、ポリ(エチレングリコール)ジグリシジルエーテル(PEGDE)、ポリ(プロピレングリコール)ジグリシジルエーテル(PPGDE)ならびに/または無水物、例えば、コハク酸無水物およびマレイン酸無水物が挙げられる。いくつかの実施形態では、架橋剤は無毒である。
【0044】
いかなる特定の理論にも拘束されることを望むものではないが、いくつかの実施形態では、例えばクエン酸などの電荷改変剤は、押出機の内部で加熱される場合、脱水して無水物をもたらすことができる。反応混合物中に存在する、例えばデンプンなどのバイオポリマー由来の遊離ヒドロキシル基は、無水物と反応して、デンプンクエン酸を形成することができる。さらに、いかなる特定の理論にも拘束されることを望むものではないが、いくつかの実施形態では、バイオポリマーおよび/または電荷改変バイオポリマーのさらなる脱水によって、バイオポリマーおよび/または電荷改変バイオポリマーの架橋結合が生じることが可能になり得る。いくつかの実施形態では、バイオポリマーおよび/または電荷改変バイオポリマーの架橋結合は、押出機の内部の熱によって、および/または例えば熱による後処理プロセスなどの後処理プロセス中に達成することができる。いくつかの実施形態では、電荷改変バイオポリマーは、無水の酸の開環重合を使用して調製することができる。
【0045】
本発明の改変バイオポリマー(例えば、架橋結合した電荷改変バイオポリマー)は、その中に形成される複数の細孔またはボイド空間を含むことができる。細孔またはボイド空間は約0.1ミクロン〜約500ミクロン、例えばこれらに限定されないが、約10ミクロン〜約500ミクロン、約50ミクロン〜約500ミクロン、約100ミクロン〜約400ミクロンまたは約250ミクロン〜約500ミクロンの平均直径を有することができる。ある種の実施形態では、細孔またはボイド空間は約0.1ミクロン、1ミクロン、10ミクロン、25ミクロン、50ミクロン、100ミクロン、150ミクロン、200ミクロン、250ミクロン、300ミクロン、350ミクロン、400ミクロン、450ミクロンまたは500ミクロンの平均直径を有することができる。
【0046】
いくつかの実施形態では、本発明の改変バイオポリマー(例えば、架橋結合した電荷改変バイオポリマー)は、正味正電荷(すなわち、陽イオン性である)または正味負電荷(すなわち、陰イオン性である)を有する。ある種の実施形態では、改変バイオポリマー(例えば、架橋結合した電荷改変バイオポリマー)は高分子両性電解質である。いくつかの実施形態では、改変バイオポリマーは高分子電解質でもよく、これは、(例えば、改変バイオポリマーに存在するイオン化基の数が原因で)親水性であり得る。いくつかの実施形態では、本発明の改変バイオポリマー(例えば、架橋結合した電荷改変バイオポリマー)は、超吸水剤でもよい。いくつかの実施形態では、本発明の超吸水剤は、その重量に対して約15倍以上(例えば、20×、30×、40×、50×、100×など)の量で流体を吸収することができる。いくつかの実施形態では、超吸水剤は、室温で約20倍以上(例えば、25×、30×など)の量で0.9%食塩水を、および/または室温で約35倍以上(例えば、40×、45×など)の量で水を吸収することができる。いくつかの実施形態では、本発明の架橋結合した電荷改変バイオポリマーは、押出機中で電荷改変および架橋結合される。本発明のいくつかの実施形態は、1ステップ押出プロセスで架橋結合した電荷改変バイオポリマーを提供することができる。
【0047】
本発明の改変バイオポリマー(例えば、架橋結合した電荷改変バイオポリマー)は生物吸着剤でもよく、および/または生分解性でもよい。本明細書で使用する場合、「生物吸着剤」は、(例えば、流体の除去に利用され得る)吸収剤ならびに/または(例えば、イオン交換材料および/もしくは金属キレート化材料として利用され得る)吸着剤を指すことができる。いくつかの実施形態では、生物吸着剤は超吸水剤でもよい。
【0048】
本発明の改変バイオポリマー(例えば、架橋結合した電荷改変バイオポリマーおよび/または電荷改変バイオポリマー)は、滴定によって決定した場合に、約3meq/g以上の電荷密度を有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、実施例1.1に記載されているように滴定することによって、電荷密度を決定することができる。いくつかの実施形態では、改変バイオポリマーは、滴定によって決定した場合に、約3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10meq/gまたはそれ以上の電荷密度を有することができる。ある種の実施形態では、改変バイオポリマーは、滴定によって決定した場合に、少なくとも約5meq/gの電荷密度を有することができる。
【0049】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、改変バイオポリマーの大部分にわたって実質的に均一に分布した電荷改変を有する改変バイオポリマー(例えば、架橋結合した電荷改変バイオポリマーおよび/または電荷改変バイオポリマー)を提供することができる。したがって、改変バイオポリマーは、実質的に均一な電荷密度を有することができる。いくつかの実施形態では、例えば水などの溶媒に改変バイオポリマーを曝露した後に不溶性物質の存在を評価することによって、改変バイオポリマーの電荷密度の均一性を決定することができる。粒子(例えば、1〜10μmの粒子など)の観察によって、粒子および/または改変バイオポリマー内に電荷改変がないことが示され得る。いくつかの実施形態では、1種または複数の分光分析法、例えばこれらに限定されないが、帯電部分の対イオンのEDS、EPSおよび/またはTOF−SIMSを使用して、改変バイオポリマーの電荷密度分布を決定および/または評価することができる。いくつかの実施形態では、対イオンの不均等分布および/または対イオンを欠く粒子(例えば、1〜10μmの粒子)の存在は、改変バイオポリマーの電荷の分布に関して不均一性および/または不均質性を示す。
【0050】
いくつかの実施形態では、改変バイオポリマーは、従来の方法を使用して調製された改変バイオポリマー(例えば、架橋結合した電荷改変バイオポリマー)と比較して、電荷密度および/または架橋結合の程度が増大している。改変バイオポリマーの調製方法に関連して本明細書で使用する場合、「従来の方法」は、バイオポリマーが固体(例えば、粒子)であり、方法での少なくとも1つの反応物とのバイオポリマーの反応がバイオポリマーの固体界面で生じる、改変バイオポリマーの調製方法を指す。いくつかの実施形態では、従来の方法は、均質な反応混合物の形成を含まない、および/または溶融押出プロセス、例えば反応押出プロセスを含まない方法でもよい。いくつかの実施形態では、従来の方法は、半乾燥プロセス、多相プロセス、固形物質との液体界面を有するプロセスおよび/または不均質プロセスでもよい。ある種の実施形態では、従来の方法は、不均質な湿式化学法および/または多相プロセスでもよい。
【0051】
改変バイオポリマーは、従来の方法を使用して調製された改変バイオポリマーと比較して少なくとも約5%以上増大している、電荷密度および/または架橋結合の程度を有することができる。いくつかの実施形態では、改変バイオポリマーは、従来の方法を使用して調製された改変バイオポリマーと比較して少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、150%、200%またはそれ以上増大している、電荷密度および/または架橋結合の程度を有することができる。
【0052】
いくつかの実施形態では、本発明の改変バイオポリマー(例えば、架橋結合した電荷改変バイオポリマーおよび/または架橋結合バイオポリマー)中に存在する架橋結合の程度または量は、改変バイオポリマーに機械的剛性を提供することができ、および/または改変バイオポリマーの機械的剛性度と相関し得る。
【0053】
いくつかの実施形態では、本発明の改変バイオポリマー(例えば、架橋結合した電荷改変バイオポリマー)は、約0.01以上、例えば、約0.01〜約0.3の範囲などの置換度を有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、改変バイオポリマーは、約0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3またはそれ以上の置換度を有することができる。いくつかの実施形態では、改変バイオポリマーは、約0.09〜約0.3または約0.1〜約0.25の範囲の置換度を有することができる。いくつかの実施形態では、窒素含量によって置換度を測定することができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、本発明の改変バイオポリマー(例えば、架橋結合した電荷改変バイオポリマー)は、約5g/g以上、例えば約5g/g〜約100g/gの範囲などの自由膨潤容量(FSC)を有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、改変バイオポリマーは、約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100またはそれ以上のFSCを有することができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、本発明の改変バイオポリマー(例えば、架橋結合した電荷改変バイオポリマー)は、約1g/g以上、例えば約1g/g〜約60g/gの範囲などの遠心保持容量(CRC)を有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、改変バイオポリマーは、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60またはそれ以上のCRCを有することができる。
【0056】
本発明の改変バイオポリマー(例えば、架橋結合した電荷改変バイオポリマー)は、複数の細細孔および/またはボイド空間を含むことができる。改変バイオポリマーは、従来の方法を使用して調製された改変バイオポリマーと比較して、多孔性および/または孔径が増大し得る。多孔性は、細孔またはボイド空間の数を増加させることによって、増大させることができる。細孔またはボイド空間は、実質的に同じサイズ(例えば、サイズまたは直径が約20%未満変動する)でもよいし、異なるサイズでもよい。改変バイオポリマーは、従来の方法を使用して調製された改変バイオポリマーと比較して少なくとも約5%以上増大している多孔性および/または孔径を有することができる。いくつかの実施形態では、改変バイオポリマーは、従来の方法を使用して調製された改変バイオポリマーと比較して少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、150%、200%またはそれ以上増大している多孔性および/または孔径を有することができる。
【0057】
いくつかの実施形態では、改変バイオポリマーは、従来の方法を使用して調製された改変バイオポリマーと比較して、より均一な多孔性および/または孔径を有することができる。より均一な多孔性は、改変バイオポリマー全体にわたってより均一にまたは均等に分散した細孔またはボイド空間の数を含むことができる。いくつかの実施形態では、より均一な孔径は、改変バイオポリマー全体にわたって細孔またはボイド空間のより均一な直径を含むことができる。ある種の実施形態では、改変バイオポリマーの多孔性および/または孔径は、従来の方法を使用して調製された改変バイオポリマーの多孔性および/または孔径と比較してより均一であり得、改変バイオポリマーの2つ以上の定められた領域を比較して決定した場合に、従来の方法を使用して調製された改変バイオポリマーの2つ以上の定められた領域と比較して、約20%未満、例えば、約20%、15%、10%、5%またはそれ以下などで変動し得る。
【0058】
本発明の改変バイオポリマー(例えば、架橋結合した電荷改変バイオポリマー)は、流体(例えば、水、炭化水素、油、アルコール、水溶液、非水溶液、イオン性溶液、例えば塩溶液、生体液、例えば血液および/もしくは尿、ガス、廃水ならびに/もしくはフラッキング流体)、帯電種(例えば、イオン、例えばカリウムイオン(K)、カルシウムイオン(Ca2+)、ナトリウムイオン(Na)、塩素イオン(Cl)、フッ化物イオン(F)、亜リン酸イオン(PO3−)、硫酸イオン(SO2−)、亜硫酸イオン(SO2−)、リン酸イオン(PO3−)、多原子イオンおよび/もしくは金属イオン;帯電ペプチド、ポリペプチド、核酸および/もしくはオリゴヌクレオチドなど)ならびに/または金属(例えば、鉛、水銀、カドミウム、ヒ素、銅、クロム、タリウム、セレン、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、銀、ホウ素など)の隔離、結合、吸収、キレート、取り込み、吸着などを行うことができる。いくつかの実施形態では、本発明の改変バイオポリマー(例えば、架橋結合した電荷改変バイオポリマー)は、流体中に存在する種、例えばこれらに限定されないが、イオン種および/または金属を物理的に吸着することができる。該種は、流体に溶解されていてもよい。ある種の実施形態では、改変バイオポリマーは、例えば、水素結合、共有結合、ファンデルワールス/吸着結合および/またはイオン結合などを介して、流体、帯電種および/または金属に結合することができる。
【0059】
ある種の実施形態では、本発明の改変バイオポリマー(例えば、架橋結合した電荷改変バイオポリマー)は、イオンおよび/または金属の隔離、結合、吸収、キレート、取り込み、吸着などを行うことができる。金属は、イオン化形態、例えば塩の形態でもよい。当業者が認識するように、金属は、いくつかのイオン化形態、例えば、一価、二価、多価の陰イオンおよび/または陽イオンの形態で存在し得る。本発明の改変バイオポリマーが隔離、結合、吸収、キレート、取り込み、吸着などを行うことができる、任意のイオン化形態でのさらなる例示的イオンおよび/または金属としては、これらに限定されないが、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、バリウム、ストロンチウム、マンガン、銀、セシウム、亜鉛、カドミウム、セレン、カルシウム、マグネシウム、鉄、ラジウム、水銀、銅、鉛、ニッケル、クロム、ヒ素、金、ウラン、クロリド、ブロマイド、ナイトレート、ヨージド、カーボネート、サルフェートおよび/またはホスフェートが挙げられる。
【0060】
いくつかの実施形態では、本発明の改変バイオポリマー(例えば、架橋結合した電荷改変バイオポリマー)は、有機物の隔離、結合、吸収、キレート、取り込み、吸着などを行うことができる。例示的有機物としては、これらに限定されないが、トルエン、キシレン、ベンゼン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、アセトンおよび/またはメタノールが挙げられる。
【0061】
本発明の改変バイオポリマー(例えば、架橋結合した電荷改変バイオポリマー)は、従来の方法を使用して調製された改変バイオポリマーと比較して増大した量または濃度の流体、帯電種および/または金属の隔離、結合、吸収、キレート、取り込み、吸着などを行うことができる。改変バイオポリマーは、従来の方法を使用して調製された改変バイオポリマーと比較して少なくとも約5%以上増大した量または濃度の流体、帯電種および/または金属の隔離、結合、吸収、キレート、取り込み、吸着などを行うことができる。いくつかの実施形態では、改変バイオポリマーは、従来の方法を使用して調製された改変バイオポリマーと比較して少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、150%、200%またはそれ以上増大した量または濃度の流体、帯電種および/または金属の隔離、結合、吸収、キレート、取り込み、吸着などを行うことができる。
【0062】
いくつかの実施形態では、本発明の改変バイオポリマーは、デンプンおよびキトサンを含むことができる。デンプンとキトサンは両方とも、電荷改変されていてもよく、互いに架橋結合されて、架橋結合した電荷改変デンプン−キトサンバイオポリマーを形成することができる。
【0063】
本発明のいくつかの実施形態によれば、電荷改変バイオポリマーを生成する方法が提供され得る。この方法は、均質な反応混合物中でバイオポリマーと少なくとも1種の電荷改変剤を反応させて、電荷改変バイオポリマーを形成することを含むことができる。いくつかの実施形態では、方法は、任意選択的に可塑剤および/または触媒とともにバイオポリマーと少なくとも1種の電荷改変剤を組み合わせて、均質な反応混合物を形成することを含むことができる。いくつかの実施形態では、方法は、均質な反応混合物中で2種以上の異なるバイオポリマーを電荷改変剤と反応させることを含むことができる。任意選択的に、反応ステップに先立って、(例えば、本発明の方法に従って)2種以上の異なるバイオポリマーの少なくとも1種を電荷改変することができる。
【0064】
本発明のいくつかの実施形態によれば、架橋結合バイオポリマーを生成する方法が提供され得る。この方法は、均質な反応混合物中でバイオポリマーと少なくとも1種の架橋剤を反応させて、架橋結合バイオポリマーを形成することを含むことができる。いくつかの実施形態では、方法は、任意選択的に可塑剤および/または触媒とともに、バイオポリマーおよび少なくとも1種の架橋剤を組み合わせて、均質な反応混合物を形成することを含むことができる。いくつかの実施形態では、方法は、均質な反応混合物中で2種以上の異なるバイオポリマーを架橋剤と反応させることを含むことができる。
【0065】
本発明のいくつかの実施形態によれば、架橋結合した電荷改変バイオポリマーを生成する方法が提供され得る。この方法は、均質な反応混合物中でバイオポリマーと少なくとも1種の電荷改変剤を反応させて、電荷改変バイオポリマーを形成すること、および均質な反応混合物中でその電荷改変バイオポリマーを架橋結合して、架橋結合した電荷改変バイオポリマーを形成することを含むことができる。いくつかの実施形態は、均質な反応混合物中で2種以上の異なるバイオポリマーを少なくとも1種の電荷改変剤と反応させて、少なくとも1種の電荷改変バイオポリマーを形成することを含むことができる。いくつかの実施形態では、均質な反応混合物中で電荷改変バイオポリマーを1種または複数の異なるバイオポリマーと架橋結合することができ、1種または複数の異なるバイオポリマーは、例えば、組み合わせ、反応および/または架橋結合ステップに先立って、任意選択的に電荷改変されていてもよい。いくつかの実施形態では、本発明の方法に従って調製される電荷改変バイオポリマーは、本発明の架橋結合した電荷改変バイオポリマーを調製するのに使用される。いくつかの実施形態では、バイオポリマーと少なくとも1種の電荷改変剤を組み合わせて、均質な反応混合物を形成することができる。
【0066】
いくつかの実施形態では、本発明の方法の1つまたは複数のステップ(例えば、組み合わせ、反応および/または架橋結合ステップ)は、本方法の別のステップと同時におよび/または連続的に生じ得る。例えば、いくつかの実施形態では、本発明の電荷改変バイオポリマーを形成するための反応ステップが架橋結合ステップと同時に生じて、本発明の架橋結合した電荷改変バイオポリマーを形成することができる。いくつかの実施形態では、さらなる例としては、電荷改変バイオポリマーを形成するための反応ステップが生じた後に、本発明の架橋結合した電荷改変バイオポリマーを形成するための架橋結合ステップが生じ得ることが挙げられる。いくつかの実施形態では、反応ステップおよび架橋結合ステップは、押出機の異なる反応ゾーンで生じる。
【0067】
いくつかの実施形態では、架橋結合した電荷改変バイオポリマーを生成する方法は、任意選択的に可塑剤、架橋剤および/もしくは触媒とともに、第1の電荷改変バイオポリマーおよび第1の電荷改変バイオポリマーと異なる第2の電荷改変バイオポリマーを組み合わせて、均質な反応混合物を形成すること、ならびに均質な反応混合物中で第1と第2の電荷改変バイオポリマーを架橋結合して、架橋結合した電荷改変バイオポリマーを形成することを含むことができる。第1および/または第2の電荷改変バイオポリマーは、本発明の方法に従って電荷改変することができる。
【0068】
いくつかの実施形態は、架橋結合した電荷改変バイオポリマーを生成する方法であって、第1のバイオポリマー、第1のバイオポリマーと異なる第2のバイオポリマー、少なくとも1種の電荷改変剤、可塑剤および任意選択的に触媒を組み合わせて、均質な反応混合物を形成すること、第1のバイオポリマーと第2のバイオポリマーを少なくとも1種の電荷改変剤と反応させて、電荷改変された第1のバイオポリマーおよび電荷改変された第2のバイオポリマーを形成すること、ならびに電荷改変された第1のバイオポリマーと電荷改変された第2のバイオポリマーを架橋結合して、架橋結合した電荷改変バイオポリマーを形成することを含む方法を含む。
【0069】
いくつかの実施形態では、架橋結合した電荷改変バイオポリマーを生成する方法は、第1のバイオポリマー、第1の電荷改変剤および任意選択的に触媒を混合して、電荷改変された第1のバイオポリマーを含む均質な反応混合物を形成すること、電荷改変された第2のバイオポリマーおよび可塑剤を電荷改変された第1のバイオポリマーを含む均質な反応混合物に加えること、ならびに電荷改変された第1のバイオポリマーと電荷改変された第2のバイオポリマーを架橋結合して、架橋結合した電荷改変バイオポリマーを形成することを含む。いくつかの実施形態では、電荷改変された第2のバイオポリマーは本発明の方法に従って調製される。
【0070】
いくつかの実施形態は、架橋結合した電荷改変バイオポリマーを生成する方法であって、第1のバイオポリマー、第1の電荷改変剤および任意選択的に触媒を混合して、電荷改変された第1のバイオポリマーを形成すること、電荷改変された第1のバイオポリマー、電荷改変された第2のバイオポリマーおよび可塑剤を含む均質な反応混合物を形成すること、ならびに電荷改変された第1のバイオポリマーと電荷改変された第2のバイオポリマーを架橋結合して、架橋結合した電荷改変バイオポリマーを形成することを含む方法を含む。いくつかの実施形態では、電荷改変された第2のバイオポリマーは本発明の方法に従って調製される。
【0071】
いくつかの実施形態では、架橋結合した電荷改変バイオポリマーを生成する方法は、第1のバイオポリマー、任意選択的に電荷改変された第2のバイオポリマーおよび少なくとも1種の電荷改変剤を含む均質な反応混合物を形成すること、均質な反応混合物中で第1のバイオポリマーと少なくとも1種の電荷改変剤を反応させて、電荷改変バイオポリマーを形成すること、ならびに均質な反応混合物中で電荷改変バイオポリマーと第2のバイオポリマーを架橋結合して、架橋結合した電荷改変バイオポリマーを形成することを含む。いくつかの実施形態では、第2のバイオポリマーは、本発明の方法に従って電荷改変することができる。
【0072】
いくつかの実施形態では、架橋結合した電荷改変バイオポリマーを生成する方法は、第1のバイオポリマーおよび少なくとも1種の電荷改変剤を含む第1の均質な反応混合物を形成すること、第1の均質な反応混合物中で第1のバイオポリマーと少なくとも1種の電荷改変剤を反応させて電荷改変バイオポリマーを形成すること、電荷改変バイオポリマーを任意選択的に電荷改変された第2のバイオポリマーと組み合わせて、第2の均質な反応混合物を形成すること、ならびに第2の均質な反応混合物中で電荷改変バイオポリマーと第2のバイオポリマーを架橋結合して、架橋結合した電荷改変バイオポリマーを形成することを含む。いくつかの実施形態では、第2のバイオポリマーは、本発明の方法に従って電荷改変することができる。
【0073】
いくつかの実施形態では、本発明の改変バイオポリマー(例えば、架橋結合した電荷改変バイオポリマー)を生成する方法は、連続プロセスで生じ得るおよび/または行われ得る。いくつかの実施形態では、反応および/または架橋結合ステップは、連続プロセスで生じ得るおよび/または行われ得る。連続プロセスは、プロセスにおいて反応を中断する中間ステップを含まないものである。例示的中間ステップとしては、これらに限定されないが、緩衝液を変更することまたは生成物を得る前に洗浄ステップを設けることが挙げられる。連続プロセスは、任意選択的に反応押出プロセスを使用して、押出機中で行うことまたは実施することができる。例えば、連続プロセスは、同じ時または異なる時にすべての反応物が押出機に加えられるプロセスを含み、そのプロセスは、改変バイオポリマーが押出されるまで連続して生じる(すなわち、中間ステップのために中断することがない)。連続プロセスは、押出機中で行われるまたは実施される本発明の方法のステップ、例えば、反応および/または架橋結合ステップを含むこともできる。
【0074】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、連続プロセス、続いて非連続プロセス、例えばこれに限定されないが、後処理ステップを含むことができる。ある種の実施形態では、本発明の方法は、連続プロセス、非連続プロセス(例えば、バッチプロセス)、および任意選択的にその後の連続プロセスを含むことができる。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、電荷改変バイオポリマー(例えば、電荷改変デンプン)を調製するための連続プロセスを含むことができ、次いで電荷改変バイオポリマーは、任意選択的にバッチプロセスでもよい後処理を受けることができる。方法は、任意選択的に電荷改変されていてもよい別のバイオポリマー(例えば、キトサン)と電荷改変バイオポリマーを反応させることができる、別の連続プロセスをさらに含むことができる。
【0075】
本明細書で使用する場合、「反応押出プロセス」は、バイオポリマーが化学的および物理的の両方で改変されるプロセスを指す。反応押出プロセスは、バイオポリマーの化学修飾、例えばこれらに限定されないが、バイオポリマーへのグラフト、バイオポリマーの架橋結合、バイオポリマーの機能化および/またはバイオポリマーの電荷改変を提供することができる。いくつかの実施形態では、反応押出プロセスは、バイオポリマーの重合および/または分岐を提供することができる。重合および/または分岐は、コポリマーを提供するために、異なるバイオポリマーを用いてもよい。例示的な物理的改変は、例えばこれらに限定されないが、粉末、粒子および/または固体形態から溶解または溶融形態へ、バイオポリマーの形態を変化させることであり得る。
【0076】
少なくとも1種の電荷改変剤は、均質な反応混合物中に存在するバイオポリマーの約5%〜約200重量%またそれ以上の量で、均質な反応混合物中に存在することができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の電荷改変剤は、重量基準で、均質な反応混合物中に存在するバイオポリマーの約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%またはそれ以上の量で、均質な反応混合物中に存在することができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の電荷改変剤は、均質な反応混合物中に存在するバイオポリマーの少なくとも約75重量%の量で、均質な反応混合物中に存在することができる。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、均質な反応混合物中に存在する少なくとも1種の電荷改変剤を、バイオポリマーの少なくとも約75重量%の量で含むことができ、少なくとも1.5meq/g改変バイオポリマーの電荷密度を有する改変バイオポリマーを提供することができる。
【0077】
均質な反応混合物は、単相中のすべての成分の溶融混合物である。いくつかの実施形態では、押出機を使用して均質な反応混合物を得ることができる。ある種の実施形態では、押出機中で反応押出プロセスを使用して均質な反応混合物を得ることができる。均質な反応混合物は、単一の液相の形態でもよい。均質な反応混合物は、従来の方法と比較して、成分または反応物の均一な分布を提供することができる。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、均質な反応混合物の形成の結果、従来の方法と比較してより均一におよび/または完全に生じる化学反応を提供することができる。いくつかの実施形態では、均質な反応混合物中のバイオポリマーは、溶融した熱可逆性物でもよい。バイオポリマーは、1種または複数の試薬と熱機械的におよび/または化学的に反応して、本発明の電荷改変バイオポリマーを形成することができ、これは熱可逆性および/または粘弾性材料であり得る。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、バイオポリマー中に存在する水素結合および/または結晶性ドメインを除去する。これによって、バイオポリマーのすべてまたは実質的にすべての部分が、化学反応、例えば電荷改変および/または架橋結合などに利用可能になり得る。
【0078】
いくつかの実施形態では、均質な反応混合物は可塑化バイオポリマーを含むことができ、これによって、バイオポリマー全体にわたって、部分へのより多くの接近が可能になる。これに対して、(例えば、改変バイオポリマーが、希釈懸濁液中で、または濃縮ゲル溶液を用いて、コーティングプロセスによって合成される)不均質相反応では、表面の部分は試薬に曝露されるが、内側の部分は曝露されないので、試薬に曝露される部分(例えば、遊離ヒドロキシル)の量は限られている。したがって、図1Aで示すように、この反応は、例えば、水性懸濁液中のいずれかの半結晶性顆粒の直接転換によって、または乾燥プロセスとして、固形顆粒の表面で行われる。図1Bは、均質相反応の例示的概略図を示し、ここでは、可塑剤の存在下にあるバイオポリマーが可塑化されて、熱可逆性挙動を得る。熱機械的エネルギーの作用下で、デンプン顆粒は溶融する。混合物を加熱することによって、可塑剤がデンプンに吸着することができ、機械的エネルギーおよび熱エネルギーを導入することで、バイオポリマーの顆粒構造の破壊が生じ得る。可塑剤の存在下において、バイオポリマー顆粒を連続相に移すことができ、部分(例えば、遊離ヒドロキシル基)を、試薬と反応するのに利用可能であり得る。いくつかの実施形態では、均質な反応混合物は、従来の方法、例えば表面(例えば、固形のバイオポリマー顆粒の表面)でのみ達成されるものなどと対照的に、バイオポリマー鎖に沿っておよび/またはバイオポリマー全体にわたってより均一に、改変(例えば、電荷改変)を分布させるのに役立ち得る。
【0079】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、顆粒構造および/または形態を欠く改変バイオポリマー(例えば、電荷改変バイオポリマーおよび/または架橋結合した電荷改変バイオポリマー)を提供することができる。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、バイオポリマーおよび/または改変バイオポリマーの結晶構造および/またはドメインを破壊または除去することができる。
【0080】
ある種の実施形態では、本発明の方法は、従来の方法における同じ反応のキネティクスよりも速いキネティクスを有する反応を提供することができる。本発明の方法における少なくとも1つの反応の速度は、従来の方法における同じ反応の速度と比較して増大し得る。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、従来の方法と比較して、本発明の改変バイオポリマーを生成するための反応に関して全体的により速い速度を提供する。いくつかの実施形態では、可塑剤は、バイオポリマーおよび電荷改変剤とともに、均質な反応混合物中に存在することができる。いくつかの実施形態では、可塑剤をバイオポリマーおよび少なくとも1種の電荷改変剤と組み合わせて、均質な反応混合物を形成することができる。可塑剤は、均質な反応混合物中に存在するバイオポリマーの約10%〜約400重量%またはそれ以上の量で、均質な反応混合物中に存在することができる。いくつかの実施形態では、可塑剤は、重量基準で、均質な反応混合物中に存在するバイオポリマーの約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%、210%、220%、230%、240%、250%、260%、270%、280%、290%、300%、310%、320%、330%、340%、350%、360%、370%、380%、390%、400%またはそれ以上の量で、均質な反応混合物中に存在することができる。いくつかの実施形態では、可塑剤は、均質な反応混合物中に存在するバイオポリマー(例えば、デンプン)の少なくとも約30重量%以上の量で、均質な反応混合物中に存在することができる。いくつかの実施形態では、可塑剤は、均質な反応混合物中に存在するバイオポリマー(例えば、キトサン、ヘミセルロース、ペクチンおよび/またはダイズタンパク質)の少なくとも約100重量%以上の量で、均質な反応混合物中に存在することができる。
【0081】
いくつかの実施形態では、例えばクエン酸などの反応性可塑剤(すなわち、可塑剤と試薬の両方として働く可塑剤)が使用される場合、可塑剤は、重量基準で、均質な反応混合物中に存在するバイオポリマー(例えば、デンプン)の約100%、125%、150%、175%、200%またはそれ以上の量で、存在することができる。いくつかの実施形態では、反応性可塑剤は、均質な反応混合物中に存在するバイオポリマー(例えば、デンプン)の約70%〜約175重量%、例えば、約75%〜約100%または約90%〜約150%などの量で、存在することができる。いくつかの実施形態では、例えば水およびいくつかのpHでのグリセロールなどの非反応性可塑剤(すなわち、材料を押出することができるように機能するのみであり、試薬として働かない可塑剤)が使用される場合は、可塑剤は、約100%以下、例えば、75%未満、50%未満、または25%未満の量で存在することができる。いくつかの実施形態では、非反応性可塑剤は、均質な反応混合物中に存在するバイオポリマーの約20%〜約200重量%、例えば、約20%〜約50%、約75%〜約100%または約90%〜約150%などでの量で存在することができる。
【0082】
可塑剤は、ガラス転移温度(T)を低下させることができる。いくつかの実施形態では、可塑剤は、バイオポリマーの可動性、作業性、伸展性および/または加工性を向上させることができ、ガラス転移温度(T)を下げることによって、そのようにすることができる。ある種の実施形態では、本発明の方法によって押出されることになるバイオポリマーは、熱可逆性でなくてもよい。したがって、熱可逆性でないバイオポリマーを押出するために、可塑剤を加えて、ガラス転移温度(T)を下げる必要がある。
【0083】
可塑剤は、バイオポリマーの変形の張力、硬度、密度、粘性および/または静電荷を低減することができ、同時に、バイオポリマー鎖の可動性、破砕抵抗性および/または比誘電率を増大させることができる。これらに限定されないが、結晶化度、光学的透明度、電気伝導率、燃焼挙動および/または生分解抵抗性などのバイオポリマーの他の特性も、可塑剤を含むことによって影響を受ける可能性がある。いくつかの実施形態では、可塑剤は、バイオポリマーの結晶構造中に存在する水素結合を破壊することができ、これによって、熱加工を妨げる結晶性ドメインを壊すことができる。
【0084】
いくつかの実施形態では、可塑剤によって、バイオポリマーが溶融されおよび/または熱可逆性になり、単相をもたらすことが可能になる。いくつかの実施形態では、可塑剤は、バイオポリマーの固有の結晶化度を溶媒和すること、および水素結合を破壊することによって、Tを下げることができる。これは、従来溶融処理が可能でないバイオポリマーの溶融処理を可能にし得る。
【0085】
可塑剤は、低分子量の非揮発性化合物でもよい。さらなる例示的可塑剤としては、これらに限定されないが、クエン酸、リン酸トリフェニル、ショウノウ油、酢酸アミル、アリイ尿素(allyurea)、クエン酸エステル、フタル酸エステル、フタル酸ジオクチル、脂肪酸エステル、ベンゾエート、タルトレート、塩素化炭化水素、アジピン酸のエステル、ポリオール(例えば、グリセロール、エチレングリコール(EG)、ジエチレングリコール(DEG)、トリエチレングリコール(TEG)、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール(PG)、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、脂肪酸および/もしくは植物油)、レシチン、ワックス、アミノ酸、界面活性剤ならびに/または水が挙げられる。
【0086】
いくつかの実施形態では、クエン酸は均質な反応混合物中に存在し、電荷改変剤と可塑剤の両方として機能することができる。
【0087】
触媒は、任意選択的に、均質な反応混合物中に存在することができる。いくつかの実施形態では、触媒および/または可塑剤をバイオポリマーおよび少なくとも1種の電荷改変剤と組み合わせて、均質な反応混合物を形成することができる。触媒は、均質な反応混合物中に存在するバイオポリマーの約1%〜約100重量%またはそれ以上の量で、均質な反応混合物中に存在することができる。いくつかの実施形態では、触媒は、重量基準で、均質な反応混合物中に存在するバイオポリマーの約1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%またはそれ以上の量で、均質な反応混合物中に存在することができる。
【0088】
触媒は、電荷改変および/または架橋結合反応を加速することができる。いくつかの実施形態では、触媒は、pHを調整して、化学結合の開始を増進することができる。例示的触媒としては、これらに限定されないが、次亜リン酸ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウムおよび/または腐食剤(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウムなど)が挙げられる。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12のpHで行うことができる。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、約9〜約12、約10〜約12、約2〜約7または約2〜約5の範囲のpHで行うことができる。
【0089】
いくつかの実施形態では、触媒は開始剤でもよい。いくつかの実施形態では、架橋結合ステップは、任意選択的に開始剤の存在下において、バイオポリマーを少なくとも1種の架橋剤と反応させることを含むことができる。バイオポリマーは電荷改変バイオポリマーでもよい。例示的開始剤としては、これらに限定されないが、ペルオキシド、例えば、アシルペルオキシド(例えば、過酸化ベンゾイル)およびジアルキルまたはアラルキルペルオキシド(例えば、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、クミルブチルペルオキシド、1,1−ジ−t−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルペルオキシヘキサンおよびビス(t−ブチルペルオキシソプロピル)ベンゼン);ケトンペルオキシド(例えば、シクロヘキサノンペルオキシドおよびメチルエチルケトンペルオキシド);ナトリウムメトキシド、過硫酸カリウム、セリウムアンモニウム、水酸化ナトリウムおよび/またはアゾ化合物(例えば、アゾビスイソブチロニトリル)が挙げられる。
【0090】
開始剤は、均質な反応混合物中に存在するバイオポリマーの約1%〜約100重量%またはそれ以上の量で、均質な反応混合物中に存在することができる。いくつかの実施形態では、開始剤は、重量基準で、均質な反応混合物中に存在するバイオポリマーの約1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%またはそれ以上の量で、均質な反応混合物中に存在することができる。
【0091】
任意選択の添加剤を、改変バイオポリマーの調製方法で使用することができる。例示的な任意選択の添加剤としては、これらに限定されないが、染料、色素、有機フィラー、無機フィラー、柔軟剤(例えば、鉱物油および合成油)、難燃剤、結晶化促進剤、安定化剤(例えば、熱および光安定化剤)、結合剤(tie−agents)、核形成剤、他のポリマー(例えば、非バイオポリマー)などが挙げられる。
【0092】
均質な反応混合物を形成することは、任意選択的に少なくとも1種の可塑剤、触媒(例えば、開始剤)および/または任意選択の添加剤とともに、少なくとも1種のバイオポリマーと少なくとも1種の電荷改変剤を溶融混合することを含むことができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1種のバイオポリマー、少なくとも1種の電荷改変剤、少なくとも1種の可塑剤および任意選択的に触媒を組み合わせて、均質な反応混合物を形成することができる。いくつかの実施形態では、均質な反応混合物は、反応押出プロセスを使用して形成および/または調製することができる。反応押出プロセスは、押出機中で行うことができる。
【0093】
ある種の実施形態では、少なくとも2種の異なるバイオポリマーを含む均質な反応混合物を形成することができる。いくつかの実施形態では、電荷改変バイオポリマーおよび任意選択的に電荷改変されていてもよい少なくとも1種の異なるバイオポリマーを含む均質な反応混合物を形成することができる。均質な反応混合物中に2種のバイオポリマーが存在する場合、第1のバイオポリマーは、均質な反応混合物中に存在する第2のバイオポリマーの約10%〜約200重量%またはそれ以上の量で、均質な反応混合物中に存在することができる。いくつかの実施形態では、第1のバイオポリマーは、重量基準で、均質な反応混合物中に存在する第2のバイオポリマーの約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%またはそれ以上の量で、均質な反応混合物中に存在することができる。
【0094】
いくつかの実施形態では、第1のバイオポリマーおよび第2のバイオポリマーは、0.1:1〜4:1(第1のバイオポリマー:第2のバイオポリマー)の範囲の比、例えば、0.5:1〜2:1または1:1〜3:1などの範囲の比で、均質な反応混合物中に存在することができる。ある種の実施形態では、第1のバイオポリマーおよび第2のバイオポリマーは、約0.5:1、1:1または1:0.5の比で、均質な反応混合物中に存在することができる。
【0095】
いくつかの実施形態では、反応および/または架橋結合ステップ(複数可)は、均質な反応混合物中で行うことおよび/または実施することができる。反応および/または架橋結合ステップ(複数可)は、反応押出プロセスを使用して行うことおよび/または実施することができる。いくつかの実施形態では、反応および/または架橋結合ステップ(複数可)は、約80℃〜約200℃の範囲の温度で、例えば、約80℃〜約120℃、約80℃〜約150℃、約90℃〜約120℃、約100℃〜約120℃、約100℃〜約200℃、約150℃〜約180℃または約110℃〜約130℃の範囲の温度で行うことができる。ある種の実施形態では、反応および/または架橋結合ステップ(複数可)は、約90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149または150℃の温度で行うことができる。いくつかの実施形態では、反応および/または架橋結合ステップ(複数可)は、約140℃以下の温度で行うことができる。
【0096】
いくつかの実施形態では、反応および/または架橋結合ステップ(複数可)は、バイオポリマーおよび/または改変バイオポリマーの分解を回避する温度で行うことができる。いくつかの実施形態では、温度がバイオポリマーに対する分解温度より低いままである場合、バイオポリマーの電荷改変量増大のために、反応および/または架橋結合ステップの温度を上げることを提供することができる。いくつかの実施形態では、反応ステップは、約100℃〜約175℃、例えば、約120℃〜約140℃または約100℃〜150℃などの範囲の温度で、行うことおよび/または実施することができる。いくつかの実施形態では、架橋結合ステップは、約120℃以上、例えば、約120℃〜約175℃または約120℃〜約140℃などの範囲の温度で行うことおよび/または実施することができる。
【0097】
本発明の方法のための1つまたは複数のプロセス条件を、例えば超吸収剤、イオン交換樹脂などのような特定の改変バイオポリマーおよび/または例えば電荷改変度、架橋結合度などのような改変バイオポリマーの特定の特性を提供するように改変することができる。本発明の方法のための加工条件例としては、これらに限定されないが、押出機の種類(例えば、単軸スクリュー対2軸スクリュー)、スクリューの直径(D)、スクリューの長さ(L)(L/Dは、押出機の構成を説明するのに使用され得る)、スクリューの構成(すなわち、穏やかな運搬要素から押出機内の均一な混合を増強するおよび/または化学反応を加速するように設計され得る、より剪断が激しい要素におよび得るセクションを押出機内に含む、剪断誘導の特定の種類)、温度(全体的および様々な押出機ゾーンに沿うプロファイル)、スクリューRPM、両方の温度を他のゾーンから独立して変えることができ、配合物の異なる成分を加えることができる、分離した押出機ゾーンの数、ならびに異なるゾーンへの異なる配合物要素の供給速度が挙げられる。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の独立に制御されるプロセス変数の組み合わせは、滞留時間、機械的エネルギー入力(SME)および/または剪断の従属変数に影響し得る。スクリューRPMの変化は、押出機中の剪断、加熱および/または滞留時間の変化を引き起こし得る。
【0098】
いくつかの実施形態では、反応および/または架橋結合ステップ(複数可)は、押出機中で行うことができる。反応および/または架橋結合ステップ(複数可)は、約0.1分〜約30分、例えば、約0.1分〜約10分、約0.5分〜約5分、約1分〜約10分、約1分〜約5分または約1分〜約3分などの範囲の滞留時間を有する押出機中で行うことができる。ある種の実施形態では、反応および/または架橋結合ステップ(複数可)は、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30分の滞留時間を有する押出機中で行うことができる。いくつかの実施形態では、反応および/または架橋結合ステップ(複数可)は、約5分の滞留時間を有する押出機中で行うことができる。いくつかの実施形態では、反応および/または架橋結合ステップの滞留時間を増大させることによって、バイオポリマーの電荷改変の量を増大させることができる。
【0099】
反応および/または架橋結合ステップ(複数可)は、約10〜約500rpm、例えばこれらに限定されないが、約10〜約200、約50〜約200、約100〜約200、約125〜250、約100〜約500または約90〜約130の範囲のスクリューRPMを有する押出機中で行うことができる。ある種の実施形態では、反応および/または架橋結合ステップ(複数可)は、約40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490または500rpmの範囲のスクリューRPMを有する押出機中で行うことができる。いくつかの実施形態では、反応および/または架橋結合ステップ(複数可)は、約120rpmのスクリューrpmを有する押出機中で行うことができる。
【0100】
いくつかの実施形態では、反応および/または架橋結合ステップ(複数可)は、少なくとも約20kJ/kgの特定の機械的エネルギー(SME)値を有する押出機中で行うことができる。ある種の実施形態では、反応および/または架橋結合ステップ(複数可)は、約20kJ/kg〜約500kJ/kgまたは約25kJ/kg〜約250kJ/kgの範囲のSME値を有する押出機中で行うことができる。当業者に既知の方法を使用して、SME値を測定することができる。
【0101】
バイオポリマーを電荷改変剤と反応させるステップおよびバイオポリマーを架橋結合するステップは、同時に生じ得る。代わりにまたはさらに、いくつかの実施形態では、バイオポリマーを電荷改変剤と反応させるステップおよびバイオポリマーを架橋結合するステップを、連続的に行うことができる。したがって、いくつかの実施形態では、バイオポリマーを電荷改変剤と反応させるステップを最初に行って電荷改変バイオポリマーを形成することができ、次いでその電荷改変バイオポリマーを用いて架橋結合ステップを行うことができる。
【0102】
本発明の方法を実施するための例示的デバイスとしては、これらに限定されないが、共回転性および逆回転性の2軸スクリュー、熱動力学的配合機、高剪断ミキサー、擢型ミキサー、スタティックミキサーブレンダー、開放式混合ロール、密閉式バンバリーミキサー、混練機、単軸スクリュー押出機、ベント式スクリュー押出機および/または2軸スクリュー押出機(例えば、平行または円錐2軸スクリュー押出機)が挙げられる。いくつかの実施形態では、本発明の方法を行うために押出機が使用される。例示的スクリュー構成としては、図6に図示されるものが挙げられる。低剪断スクリュー構成は、スクリュープロファイルに沿って少数の剪断誘導要素またはゾーンを含んでいてもよいし、これらを含んでいなくてもよく、ここでは、剪断誘導要素またはゾーンは、所与の質量流量に対する押出モーターのトルクまたは負荷を増大させる、混合、混練および/または逆転要素またはゾーンを含むことができる。中および/または高剪断スクリュー構成は、低剪断スクリュー構成と比較して数が増加した剪断誘導要素またはゾーンを含むことができる。
【0103】
いくつかの実施形態では、押出機に加える前に、本発明の方法の1つまたは複数のステップに関する成分または反応物を一緒に乾燥混合することができる。代わりにまたはさらに、混合される成分または反応物を押出機に供給する2つ以上の供給機(例えば、ロスインウエイトフィーダー)を使用することができる。ある種の実施形態では、例えば共押出において混合成分の溶融物を供給するために、複数の押出機を使用することができる。いくつかの実施形態では、1種または複数の成分または反応物を粉末状で押出機に加えることができる。ペレット化、造粒および/または粉砕などの従来の手段によって、成分および/または混合ブレンドを、サイジングすることができる。
【0104】
本発明の方法は、一段式直接押出プロセスまたは多段式押出プロセスとして実施および/または行うことができる。いくつかの実施形態では、方法はインライン配合を含む。いくつかの実施形態では、方法は少なくとも2つの反応ゾーンを含む押出機中で行われ、少なくとも2つの反応ゾーンは、本発明の改変バイオポリマー(例えば、架橋結合した電荷改変バイオポリマー)を調製するための方法における1つまたは複数のステップに使用される。例えば、本発明の方法は、第1の反応ゾーンでバイオポリマーと少なくとも1種の電荷改変剤を反応させて、電荷改変バイオポリマーを形成し、第2の反応ゾーンでその電荷改変バイオポリマーを架橋結合して、架橋結合した電荷改変バイオポリマーを形成することを含むことができる。
【0105】
いくつかの実施形態では、押出機に加えられる際の1種または複数の試薬は粉末状でもよく、液体またはペーストの形態でなくてもよい。いくつかの実施形態では、粉末状の1種または複数の試薬は約20重量%以下の水分含量を有することができる。いくつかの実施形態は、バイオポリマーおよび/もしくは帯電バイオポリマーを粉末状で押出機に加えることならびに/または1種もしくは複数のさらなる試薬(例えば、電荷改変剤、可塑剤、架橋剤など)を押出機に粉末状で加えることを含む。1種または複数のさらなる試薬は、同じ反応ゾーンまたはバイオポリマーおよび/もしくは帯電バイオポリマーと異なる反応ゾーンに加えることができる。
【0106】
いくつかの実施形態では、押出機は、1つの完全な反応器として使用され、これによって、反応が押出機の全長を通して生じることが可能になり得る。2つ以上の反応ゾーンが提供される場合、1つまたは複数の反応ゾーンにおける1つまたは複数のプロセス条件(例えば、温度、剪断など)は独立に提供することができ、および/または変えることができる。いくつかの実施形態は、別の反応ゾーンと比較して、少なくとも1つの反応ゾーンにおいて異なる温度および/またはスクリュー要素を提供することを含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、バイオポリマー(例えば、デンプン)、可塑剤、電荷改変剤および触媒の混合物を押出機の供給ゾーンに導入することができ、押出機において、その混合物は均質な反応混合物を形成することができる。押出機の1つまたは複数の反応ゾーンの温度を変更することによって、押出機中で起こる反応を修正する(例えば、加速するおよび/または遅らせる)ことができる。いくつかの実施形態では、押出機の1つまたは複数の反応ゾーンの温度を上げることによって、反応を加速することができる。いくつかの実施形態は、混合および/または剪断誘導性反応を促進するために、スクリュー中に強力な混合要素を有することによって、もう1つの反応ゾーン、例えば押出機のゾーン3および/またはゾーン5などに剪断を導入することを含むことができる。いくつかの実施形態では、異なる反応ゾーンの長さおよび/または押出機それ自体の長さ(例えば、注入ゾーンを押出機の末端により近付けることによる)を変更または調整することができ、そのような変更または調整は、反応の程度を修正することができる。押出機の長さは、一般に、長さを直径で割った比またはL/Dと定義される。
【0107】
いくつかの実施形態では、連続的な反応器として押出機を使用することができる。例えば、いくつかの実施形態では、バイオポリマー(例えば、デンプン)、可塑剤および電荷改変剤の混合物を押出機の供給ゾーンに導入することができる。混合物は、スクリュー上の運搬要素を使用して、1つまたは複数の反応ゾーン(例えば、1つまたは複数の最初の反応ゾーン、例えば、ゾーン1および2など)を通って運ばれるにつれて、加熱され得、電荷改変剤がバイオポリマーと反応して、電荷改変バイオポリマーが形成され得る。次いで、架橋剤を固形または液体のいずれかの形態で1つまたは複数の反応ゾーン(例えば、ゾーン3)に加えて、架橋結合した電荷改変バイオポリマーを形成することができる。いくつかの実施形態では、架橋剤を電荷改変バイオポリマーと混合するために、電荷改変剤が加えられた反応ゾーン(複数可)の後に、1つまたは複数の反応ゾーン(例えば、ゾーン4および/または5)のスクリュー上に強力な混合スクリュー要素を置くことができる。1つまたは複数の反応ゾーン(例えば、ゾーン4および/または5)の異なる温度および/または異なるスクリュー要素によって、架橋結合反応を促進することができる。いくつかの実施形態では、発泡剤(例えば、水)を(例えば、押出機の末端近くの反応ゾーンにおいて、例えば、ゾーン6などで)押出機に注入することができ、これによって、ダイから出る時に、架橋結合した電荷改変バイオポリマーを膨張させることができる。いくつかの実施形態は、押出機の供給ゾーンに導入されるバイオポリマーが粉末状であることを含む。
【0108】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、本発明の改変バイオポリマー(例えば、架橋結合した電荷改変バイオポリマー)を発泡させることを含むことができる。セルの孔を開口および/または増大させることなどによって発泡を行って、改変バイオポリマーの孔および/またはボイドサイズを誘導することができる。発泡は、流体、帯電種および/または金属の封鎖、結合、吸収、キレート化、取り込みなどの増大に役立ち得る。いくつかの実施形態では、改変バイオポリマーは、開口し、結合した細孔を有することができ、これは、改変バイオポリマー内の物質移動および改変バイオポリマーのイオン結合部位への流体中のイオンの接近を促進することができる。改変バイオポリマーを発泡させることによって、改変バイオポリマーの粘弾性特性を改変する(例えば、増大させるまたは低下させる)ことができる。いくつかの実施形態では、改変の量または程度は、発泡時に改変バイオポリマー中に吸収される流体(例えば、水、二酸化炭素、窒素など)の量によって変動し得る。
【0109】
発泡剤は、化学薬剤でもよいし、物理的因子でもよい。例示的発泡剤としては、これらに限定されないが、超臨界窒素(N)炭酸カルシウム(CaCO)、水(例えば、蒸気)および/または超臨界二酸化炭素(CO)が挙げられる。
【0110】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、本発明の改変バイオポリマーを処理すること(すなわち、後処理)、例えば、押出後に、電荷改変バイオポリマーおよび/または架橋結合した電荷改変バイオポリマーを熱処理することなどを含むことができる。本発明の後処理は、本発明の改変バイオポリマー中に存在する架橋結合の程度を増大させることができ、ならびに/または改変バイオポリマーの電荷密度および/もしくは電荷改変を増大および/もしくは向上させることができる。いくつかの実施形態では、本発明の後処理は、改変バイオポリマーの可溶性ゲル画分を低下させることができる。固体形態の改変バイオポリマーを後処理することができる。いくつかの実施形態では、本発明の後処理は、本発明の改変バイオポリマーの特性を微調整および/または改変することができる。
【0111】
後処理は、改変バイオポリマーを加熱することを含むことができる。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、約80℃〜約180℃、例えば、約100℃〜約150℃または約120℃〜約140℃などの範囲の温度で、約0.5分〜約24時間、例えば、約5分〜約180分または約30分〜約90分などの範囲のある期間にわたって、改変バイオポリマーを加熱することを含むことができる。いくつかの実施形態では、後処理は、約110℃〜約130℃の温度で、約60分〜約120分の範囲のある期間にわたって、改変バイオポリマーを加熱することを含むことができる。いくつかの実施形態では、後処理は、約130℃〜約150℃の温度で、約10分〜約50分の範囲のある期間にわたって、改変バイオポリマーを加熱することを含むことができる。
【0112】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、例えば改変バイオポリマーをすすぐこと、透析することなどによって、未反応試薬、可溶性および/もしくは低分子量種ならびに/または本発明の改変バイオポリマー由来の分解産物を除去することを含むことができる。いくつかの実施形態は、後処理後の改変バイオポリマー由来の未反応試薬を除去することを含む。本発明のいくつかの実施形態は、改変バイオポリマーを乾燥すること(例えば、約40℃の温度で乾燥すること)を含むことができる。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、従来の手段、例えば、ペレット化、造粒、ミリングおよび/または粉砕によって、改変バイオポリマーをサイジングすることを含むことができる。
【0113】
本発明のいくつかの実施形態によれば、本発明の方法は、デンプン、少なくとも1種の電荷改変剤、任意選択的に少なくとも1種の可塑剤および任意選択的に触媒を含む均質な反応混合物を形成すること、およびデンプンと少なくとも1種の電荷改変剤を反応させて、電荷改変デンプンを形成することを含むことができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の電荷改変剤は、例えばクエン酸などの酸でもよく、任意選択の少なくとも1種の可塑剤は、水および/またはグリセロールでもよく、および/または任意選択の触媒は、次亜リン酸ナトリウムでもよい。反応ステップは、0.1:1〜4:1(電荷改変剤:デンプン)の範囲の比で、例えば、0.5:1〜2:1または1:1〜3:1などの範囲の比で、デンプンと電荷改変剤(例えば、クエン酸)を反応させることを含むことができる。
【0114】
電荷改変デンプンを別のバイオポリマー、例えばキトサンなどと架橋結合して、架橋結合した電荷改変デンプン−キトサンを形成することができる。いくつかの実施形態では、キトサンは、電荷改変、例えばこれに限定されないが、プロトン化される。ある種の実施形態では、方法は、電荷改変デンプンをキトサン、少なくとも1種の可塑剤および任意選択的に電荷改変剤と組み合わせること、ならびに電荷改変デンプンとキトサンを架橋結合することを含むことができる。いくつかの実施形態では、電荷改変剤は、酸(例えば酢酸、例えば氷酢酸または濃酢酸)でもよく、キトサンと反応して、電荷改変デンプンと架橋結合することができる電荷改変キトサンを形成することができる。いくつかの実施形態では、電荷改変キトサンは、キトサンの重量基準で、約1%〜約40%、例えば、約2.5%〜約13%または約20%〜約40%の量の酢酸をキトサンと反応させることによって調製することができ、ここでは、水の存在なしでキトサンに酢酸を直接加える。
【0115】
架橋結合した電荷改変デンプン−キトサンを調製する方法は、約5wt%〜約50wt%の範囲の量のデンプンおよび約5wt%〜約50wt%の範囲の量のキトサンを押出機中に提供して、均質な反応混合物を形成することを含むことができる。いくつかの実施形態では、キトサンは、電荷改変キトサンでもよい。均質な反応混合物は、約5wt%〜約40wt%の範囲の量の電荷改変剤(例えば、クエン酸)、約0.1wt%〜約5wt%の範囲の量の触媒、および約20wt%〜約40wt%の範囲の量の可塑剤をさらに含むことができる。
【0116】
いくつかの実施形態によれば、本発明の方法は、デンプン、キトサン、少なくとも1種の電荷改変剤、触媒および可塑剤を組み合わせて、均質な反応混合物を形成すること、デンプンおよびキトサンを電荷改変して、電荷改変デンプンおよび電荷改変キトサンを形成すること、ならびに電荷改変デンプンと電荷改変キトサンを架橋結合して、架橋結合した電荷改変デンプン−キトサンを形成することを含むことができる。いくつかの実施形態では、組み合わせステップは、すべての成分を実質的に同時に押出機中に提供すること、加えること、供給すること、注入することなどによって行うことができる。これによって、電荷改変反応および架橋結合反応が同時に生じることが可能になり得る。
【0117】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、デンプン、第1の電荷改変剤および触媒を組み合わせて、電荷改変デンプンを含む均質な反応混合物を形成すること、キトサン、可塑剤および任意選択的に第2の電荷改変剤を、電荷改変デンプンを含む均質な組成物に加えること、ならびに電荷改変デンプンとキトサンを架橋結合して、架橋結合した電荷改変デンプン−キトサンを形成することを含むことができる。いくつかの実施形態では、キトサンを、電荷改変剤、例えば、氷酢酸などの存在下において、電荷改変することができ、および/または押出機に加えることができる。いくつかの実施形態では、方法は、押出機の複数の入口部を使用することができる。例えば、押出機中の第1の入口部および/または反応ゾーンで、デンプン、第1の電荷改変剤および触媒を加えることができ、押出機中の第2の入口部および/または反応ゾーンで、キトサン、可塑剤および任意選択的に第2の電荷改変剤を加えることができる。これによって、電荷改変反応および架橋結合反応が同時におよび/または連続的に生じることが可能になり得る。
【0118】
ある種の実施形態では、本発明の方法は、デンプン、第1の電荷改変剤および触媒を組み合わせて、電荷改変デンプンを形成すること、電荷改変デンプン、キトサン、可塑剤および任意選択的に第2の電荷改変剤を含む均質な反応混合物を形成すること、ならびに電荷改変デンプンとキトサンを架橋結合して、架橋結合した電荷改変デンプン−キトサンを形成することを含むことができる。これによって、電荷改変反応および架橋結合反応が連続的に生じることが可能になり得る。いくつかの実施形態では、電荷改変剤、例えば、氷酢酸などの存在下において、キトサンを電荷改変する、および/または押出機に加えることができる。
【0119】
いくつかの実施形態では、押出機中で均質な反応混合物を形成することによって、電荷改変デンプンを調製および/または形成する。電荷改変デンプンを押出することができ、押出物を任意選択的に、粉末に粉砕するおよび/またはペレット化することができる。次いで、押出物をキトサン、可塑剤および任意選択的に第2の電荷改変剤と組み合わせて、均質な反応混合物を形成することができる。
【0120】
本発明の方法は、形成された改変バイオポリマー(例えば、架橋結合した電荷改変バイオポリマー)を提供することができる。いくつかの実施形態では、方法は、本発明の形成された改変バイオポリマーを提供するために、粉砕、ミリング、ペレット化、延伸、圧縮、成形などを含むことができる。成形体は、いかなる形および/またはサイズのものでもよい。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、実質的に均一なサイズおよび/または形(例えば、サイズおよび/また形が約20%未満変動する)の複数の成形体を提供する。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、様々な粒径および/または形を提供する。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、ビーズ、カラム、シート、粉末、粒子(例えば、ナノ粒子、微粒子など)、リボン、繊維、フィルム、ペレットなどの形態の改変バイオポリマー(例えば、架橋結合した電荷改変バイオポリマー)を提供することができる。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、約1ミクロン〜2,000ミクロンの範囲の、例えばこれらに限定されないが、約10ミクロン〜約1000ミクロン、約100ミクロン〜約1000ミクロンまたは約300〜約800ミクロンの範囲の直径を有する粒子の形態の改変バイオポリマーを提供することができる。いくつかの実施形態では、約300〜約800ミクロンまたは約500ミクロン未満の範囲の粒径を有する本発明の改変バイオポリマー(例えば、架橋結合した電荷改変バイオポリマー)は、吸収剤としての使用に適し得る。いくつかの実施形態では、約10〜約150ミクロンまたは約100ミクロン未満の範囲の粒径を有する本発明の改変バイオポリマー(例えば、架橋結合した電荷改変バイオポリマー)は、イオン交換材料としての使用に適し得る。
【0121】
いくつかの実施形態では、本発明の改変バイオポリマー(例えば、架橋結合した電荷改変バイオポリマー)は、消費者製品、例えばこれらに限定されないが、おむつ、衛生用品および/または創傷被覆材として使用する、および/またはこれらを調製するために使用することができる。いくつかの実施形態では、本発明の改変バイオポリマー(例えば、架橋結合した電荷改変バイオポリマー)は、イオン交換樹脂および/もしくは吸収剤として使用する、ならびに/またはこれらを調製するために使用することができる。したがって、いくつかの実施形態では、本発明の改変バイオポリマーは、イオン交換樹脂、イオン除去樹脂、金属キレート化および/もしくは吸着樹脂、ならびに/または高性能吸収剤、例えば、超吸収剤などを含む吸収剤でもよい。いくつかの実施形態では、本発明の改変バイオポリマー(例えば、架橋結合した電荷改変バイオポリマー)は、流体からの夾雑物を除去することができ、および/または流体を吸収することができる。
【0122】
本発明の改変バイオポリマーに関するさらなる例示的産業および/または使用としては、これに限定されないが、水処理、例えば、水の脱イオン化用の使い捨てのイオン交換(例えば、研究室および/もしくは電子機器用)、飲用水の脱塩、飲用水の夾雑物および重金属吸着剤ならびに脱塩素用の活性炭代替物;衛生学的な超吸収剤用途(SAP)、例えば、乳児のおむつ用吸収剤、成人の失禁用吸収剤、女性の生理用吸収剤など;非衛生学的なSAP用途、例えば、海中ケーブルの被覆、再利用可能なゲル/氷パック、液体廃棄物の固化、ペット用パッド、肉用パッド、コンクリート添加剤、油および/もしくは炭化水素からの水分除去、液体/固体分離、廃液池の修復、塗料の固化、農業土壌および園芸土壌の改良、遺体安置所用吸収剤、全血または血液混合物用吸収剤、医療廃棄物の固化および流出制御、薬物送達システムならびに創傷被覆材など;エネルギー、例えば、水圧破砕逆流水の処理もしくは再使用、グアー代替水圧破砕用粘性化剤、水圧破砕摩擦低減添加剤、逸泥掘削流体添加剤、石油精製水処理、冷却塔水の軟化、ボイラー給水の脱イオン化、石炭灰およびフルベント(flu vent)の修復、ならびに核同位体除去など;採掘、例えば、金属採掘水の処理、採掘溶液からの金属の取り出し、および石炭採掘水の処理など;環境、例えば、揚水および処理水の修復、その場での反応性バリア(in situ reactive barrier)の修復ならびに汚泥の吸収および脱水など;包装、例えば、バイオベースの包装フィルムおよびバイオベースの構造包装など;紙、例えば、パルプおよび紙の強度増強剤および/もしくは紙のコーティングなど;織物、例えば、織物用接着剤、織物製造用デンプンエステル代替物および不織布用増粘剤など;ならびに/または建築、例えば、壁板の建築用接着剤などが挙げられる。いくつかの実施形態では、本発明の改変バイオポリマーは、紙産業、化粧品、組織工学、ヒドロゲル、薬物送達用途、フォトニクス用途において、ならびに/または凝集剤および/もしくは凝固剤として、有用であり得る。
【0123】
本発明を以下の非限定的実施例においてより詳細に説明する。
【0124】
[実施例1.1]
押出された電荷改変バイオポリマー(約2mmスケールでデンプンにグラフトされたクエン酸の例)
DSMが製造する2軸スクリュー円錐押出機、Leistritzが製造する平行2軸スクリュー押出機およびWegnerが製造する平行2軸スクリュー押出機を使用して、電荷改変デンプンを調製した。押出機の特性を表1に示す。ここに列挙される様々な押出機によって、研究室スケールから生産関連スケールへのスケーラビリティの実証が可能になる。さらに、複数の押出機によって、様々な押出機の構成およびサイズにわたって、プロセスパラメーターの入れ換えが可能になる。
【0125】
さらに、LestritzおよびWegnerが製造する平行2軸スクリュー押出機は、複数の反応ゾーンに対応しており、これによって、温度、スクリューおよび注入プロファイルを含む性能を高めることが可能になる。温度および注入プロファイルの例は、以下の実施例1.2、5.1および7に見出すことができる。
【0126】
【表1】
【0127】
電荷改変デンプンの調製では、それぞれの押出機を使用する際に、温度、スクリューRPMおよびクエン酸の量のパラメーターを変動させた。表2は、それぞれの押出機を使用して試験される温度、スクリューRPMおよびクエン酸の量の範囲を記載する。
【0128】
【表2】
【0129】
デンプン(天然のトウモロコシデンプン、品目18321,Batory Foods,Des Plaines IL)、電荷改変剤および可塑剤としてのクエン酸(品目756707,Univar、Downers Grove、IL)ならびに触媒としての次リン酸ナトリウム(SHP)(品目S1320,Spectrum Chemical,New Brunswick,NJ)を組み合わせ、粉末状に手で混合した。粉末混合物をカスタム粉末インジェクターに装填し、押出機の供給口に入れた。表2に示されるように、様々な量のクエン酸を混合物に加えた。表2に示されるように、得られた混合物を、種々の押出条件で粉末として押出機に加えた。この粉末混合物を押出機中で溶融−混合して、均質な混合反応物を形成し、この中でクエン酸をデンプンにグラフトして、デンプンクエン酸と呼ばれる電荷改変デンプンを形成した。いくつかの実施では、実施例5に記載されているように、この電荷改変デンプンを、その後に別のバイオポリマーに架橋結合するための前駆ポリマーとして利用した。押出に続いて、特定の試料を、120℃で90分間の真空オーブンによって熱による後処理にかけた。
【0130】
表3は、表4に記載の反応および以下に記載の反応を用いてDSM押出機で試験した特定のパラメーターを示す。それぞれの試料を滴定して、その電荷密度を決定し、FTIR(1720cm−1の波長)によって分析して、以下に記載の方法によってそれぞれの試料の相対的カルボキシル含量を決定した。さらに、材料性能の定性的な標準として、DI取り込みおよび抽出可能物(extractables)%などのパラメーターを測定した。
【0131】
【表3】
【0132】
フーリエ変換赤外分光法(FTIR)は、IRスペクトルにおける試料の吸光度/波長の透過度の測定法である。所与の波長での吸収されたIR照射の強度は、特定の共有結合と相関がある可能性がある。データを第1級アルコールのピーク(約1000cm−1)に対して標準化する場合、相対ピーク強度を使用して、ポリマー上の特性基の量(amount characteristic groups)を推定することができ、透過度低下または逆に吸光度増大は、試薬のグラフトの程度の増大を示す。クエン酸を用いて改変されたバイオポリマー、例えば、デンプンクエン酸などに関する目的の結合は、約1713cm−1でのカルボキシル(R−COH)結合を含み、透過度低下または逆に吸光度増大は、電荷密度の程度の増大を示す。
【0133】
逆滴定は、陰イオン性電荷改変バイオポリマー試料における電荷密度の測定法である。この測定技法の結果は、FTIRデータに対応する。実施例1.2、1.3、2.1、3.1、3.2および3.3とともに、実施例1.1において本明細書に記載するように、0.2〜0.3gの試料を50mlの0.05M NaOH溶液に1時間曝露した。フェノールフタレイン(品目3241N80、Thomas Scientific,Swedesboro,New Jersey)を1滴加え、溶液に混合して、中性の溶液に近づく視覚的指標として働かせた。pHプローブを使用して、混合および滴定の間、溶液の酸/アルカリ性をモニターした。次いで、約0.05ml/秒で0.05M HClを用いて、溶液を滴定した。中性pHに達するのに必要とされるHClの量を記録し、溶液中の過剰なNaOHを中和するのに必要とされるモル数と等しいと考えた。次いで、記録したモルと最初のモルの間の差を元の試料重量に対して標準化して、mol/gまたはmeq/gの電荷密度単位を得た。
【0134】
DI取り込みは、試料の膨張度(すなわち、所与の条件下における重量基準でのその吸収力)の尺度である。DI取り込みは、直径33mmの12〜14kD透析チューブ(品目684219,Carolina Biological,Burlington、North Carolina)中に約0.25g試料/cmを挿入することによって測定した。チューブの末端を密閉し、標識し、次いで、試料1グラムあたり20mlのDI水に72時間曝露した。72時間にわたって2〜3時間毎にDI水を交換した。次いで、試料を透析チューブから取り出し、秤量した。最初および最後の(湿潤)測定値の間の重量の変化を最初の質量に対して標準化して、試料1グラムあたりの吸収されたDI水のグラム(g/g)を得た。
【0135】
次いで、強制空気オーブンおよび/または凍結乾燥器を使用して試料を乾燥した。乾燥試料の重量と最初の試料の重量(透析前)の間の重量の減少を使用して、最初の試料の%として抽出可能物を計算した(収率の逆数)。これらの抽出可能物は、水と最初に接触する際に溶出する試料の量の測定を反映する。このパラメーターは、所与の試料における未反応部分、可塑剤および/または分解したポリマー生成物の質量分率を定性的に測定する。
【0136】
【表4】
【0137】
表3および表4から分かるように、本明細書に記載されている反応押出のプロセス例において、電荷改変デンプンを生成した。FTIRによって測定した場合の%透過度はデンプンのもの(94.5%)より有意に低下することが示されるが、滴定値は、デンプンのもの(0meq/g)より有意に増大することが示される。
【0138】
温度およびクエン酸(電荷改変剤)濃度は、インプットの増大が増加した電荷密度を示すパラメーターである。さらに、押出後に熱による後処理を含むことも研究し、後処理の追加も電荷密度の増大を示す。全試料にわたるDI取り込みパラメーターの相対的な類似性および相対的に低い値は、架橋結合の欠如を示す。抽出可能物値は過剰な試薬を示し、一般に電荷改変剤の濃度と同じ傾向を取る。FTIR透過度の値はおよそ35〜98%の範囲を達成したが、電荷密度の値はおよそ1〜6.5meq/gの範囲を達成した。
【0139】
[実施例1.2]
押出された電荷改変バイオポリマー(18mmスケールでデンプンにグラフトされたクエン酸の例)
Leistritzが製造する、複数の注入および反応ゾーンを有する平行2軸スクリュー押出機を、電荷改変デンプンクエン酸を調製するのにも使用した。これらの実験を実施して、様々な反応ゾーンを介して材料のスケーラビリティおよび挙動を決定した。押出機の特性を上記の表1に示す。図2は、ゾーン1より前およびゾーン3に位置するこの構成で注入口を有する、8ゾーン押出機を図示する。
【0140】
実施例1.1において上で述べた押出と同様の方法で原材料を調製した。しかし、スケールを説明するために、試料を1kg単位で混合し、Brabender(Duisburg、Germany)が製造する重量測定粉末供給機を使用して供給した。以下の研究は、フルスケール押出プロセスをシミュレートするために、複数の注入および反応ゾーンを利用した。利用したスクリュープロファイルは図6(中剪断スクリュー)に記載されている。デンプン、クエン酸およびSHPのそれぞれの粉末試料を(ゾーン1より前の)第1の注入ゾーンに供給し、ここで、この混合物を120℃で反応させた。いかなる特定の理論にも拘束されることを望むものではないが、この温度で、クエン酸が脱水して、遊離ヒドロキシル基とより速く反応する無水物をもたらす。各ゾーンに対する温度プロファイルを以下の表5に詳述する。デンプンクエン酸に対する押出および組成パラメーターを、以下の表6に記載されているように変動させた。いくつかの実施では、固体形態で押出した試料を、電荷改変デンプンを120℃で90分間オーブン中に置くことによって後処理した。プロセスパラメーターおよび得られる応答の特定例を、それぞれ以下の表7&8に示す。
【0141】
【表5】
【0142】
【表6】
【0143】
【表7】
【0144】
【表8】
【0145】
表7および8から分かるように、この研究は、反応押出プロセスによって電荷改変デンプンを生成することの実行可能性を実証した。FTIRによって測定した場合の%透過度は、デンプンのもの(94.5%)より有意に低下することが示されるが、滴定値は、デンプンのもの(0meq/g)より有意に増大することが示される。さらに、滴定とFTIR値には正の相関があることに留意されたい。いかなる特定の理論にも拘束されることを望むものではないが、この方法でのRPMの増大は、剪断の増加への応答として、電荷改変度を向上させることができるように思われる。
【0146】
[実施例1.3]
押出された電荷改変バイオポリマー(52mmスケールでデンプンにグラフトされたクエン酸の例)
Wegnerが製造する平行2軸スクリュー押出機を使用して電荷改変デンプンを調製し、スケーリングをさらに実証した。押出機の特性を上記の表1.1に示す。利用したスクリュープロファイルは、大部分は、図6(低剪断スクリュー)に記載されている単に運搬するスクリューに一致する。
【0147】
上記の押出プロセスと同様の方法で電荷改変デンプン用の原材料を調製した。しかし、この押出機のより大きなスケールおよび連続的な性質を説明するために、試料を約2kg単位で混合および注入した。デンプンクエン酸に対する押出および組成パラメーターを以下の表9に記載されているように変動させた。プロセスパラメーターおよび得られる応答の特定例を、それぞれ、以下の表10および表11にそれぞれ示す。いくつかの実施では、固体形態で押出した試料を、電荷改変デンプンを120℃で90分間オーブン中に置くことによって後処理した。
【0148】
【表9】
【0149】
【表10】
【0150】
【表11】
【0151】
この研究は、反応押出プロセスによって電荷改変デンプンを生成することの実行可能性を実証した。FTIRによって測定した場合の%透過度は、デンプンのもの(94.5%)より有意に低下することが示されるが、滴定値は、デンプンのもの(0meq/g)より有意に増大することが示される。実施例1.1E、1.2Cおよび1.3を使用して、同様の加工条件での試料を比較する。同様の応答から、これらの実施例に列挙されるパラメーターが押出機サイズのかなりの範囲(研究室のベンチトップから一般に使用される産業用サイズまでに相当する)にわたって入れ換え可能であると結論される。
【0152】
[実施例2.1]
押出された電荷改変バイオポリマー(デンプンにグラフトされたさらなる陰イオン性電荷改変剤の例)
クエン酸に加えて、さらなる陰イオン性電荷改変剤を以下の実施例で実証する。マレイン酸無水物(品目63200−500G−F、Sigma−Aldrich、MO、St.Louis)触媒(NaOH、ACS試薬、品目630、GFS Chemicals、Powell OH)および可塑剤を使用してデンプンを電荷改変して、陰イオン性デンプンを形成した。表12は、上記の実施例1.1に記載されているProcess 11、すなわち11mmの平行2軸スクリュー押出機を使用して試験した温度、スクリューrpmおよび試薬量の範囲を記載する。利用したスクリュープロファイルは、図6(中剪断スクリュー)に記載されている。プロセスパラメーターおよび得られる応答の特定例をそれぞれ以下の表13および14に示す。いくつかの実施では、固体形態で押出した試料を、電荷改変デンプンを120℃で90分間オーブン中に置くことによって後処理した。
【0153】
(滴定により測定した)電荷密度に加えて、それぞれの試料の溶解度も研究した。ここでは、(上記の透析プロセスに記載されているように)精製した試料を使用する。0.25gの試料を25mlのDI水とビーカー中で60Cで混合する。混合物の入ったビーカーをホットプレート上で撹拌し、60Cで15分間維持する。次いで、混合物を250g(1800RPM&半径7cm)で20分間遠心分離して、溶解した固形物を含む液体画分から固形画分を分離する。次いで、ピペットを使用して、液層をデカントして捨てる。デシケーターに保管され、あらかじめ重量が決定されているアルミニウムの秤量皿を使用して、残りの固形物を収集する。次いで、秤量皿および固形物を強制空気オーブン中で48時間40℃で乾燥する。秤量皿および試料を強制空気オーブンから取り出し、直ちに秤量する。最初の重量の分率としての試料重量を%溶解度として記録する。
【0154】
【表12】
【0155】
【表13】
【0156】
【表14】
【0157】
データによって、反応押出プロセスによって電荷改変デンプンが生成されたことが示された。FTIRによって測定した場合の%透過度は、デンプンのもの(94.5%)より有意に低下することが示されるが、滴定および溶解度値は、デンプンのもの(それぞれ0meq/gおよび7%)より有意に増大することが示される。電荷密度の範囲は1.3〜6.3meq/gまで変動し、溶解度は27〜86%まで変動した。デンプンの電荷改変レベルは、試薬濃度の増大とともに増大した。データは、電荷密度の増大に伴う溶解度の増大によってさらに確証された。
【0158】
[実施例2.2]
押出された電荷改変バイオポリマー(デンプンにグラフトされた陽イオン性電荷改変剤の例)
陰イオン性電荷に加えて、デンプンを電荷改変して、陽イオン性デンプンを形成した。陽イオン性電荷改変デンプンは、温度、スクリューrpm、電荷改変試薬(グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド[Sigma Aldrich品目50053−1L])の量、触媒(水酸化ナトリウム)および可塑剤の含量のパラメーターを変動させることによって調製した。表15は、Leistritzの11mm押出機において研究したパラメーターの範囲を記載する。
【0159】
【表15】
【0160】
デンプン粉末を粉末状の触媒(NaOH)と混合した。次いで、デンプンおよび触媒を含む混合物に可塑剤を加え、手で十分に混合した。次いで、この混合物を押出機中に入れた。
【0161】
表16は、表17に記載されている試験応答で試験した特定のパラメーターを示す。温度設定は、すべての加熱ゾーンに均一な温度を加えるように設定したこと留意されたい。温度プロファイルを他の実験で利用したが、それらは、ここで詳述しない。利用したスクリュープロファイルは図6(中剪断スクリュー)に記載されている。それぞれの試料を試験して、元素分析(環窒素の測定)によってその電荷密度(置換度)を決定した。
【0162】
元素分析を使用して、陽イオン性電荷改変バイオポリマー試料について電荷密度を測定することができ、一方滴定を使用して、陰イオン性電荷改変バイオポリマー試料について電荷密度を測定することができる。元素分析は、Perkin Elmer 2400 CHNS Analyzerを用いて行った。Perkin Elmer 2400を使用して、完全燃焼法によって、全元素状炭素、窒素、水素または硫黄を決定した。置換度(DS)は窒素によって決定し、以下の方程式(1):
DS=162.15×%N/1401−151.64×%N(1)
にしたがって計算し、ここでは、DSは置換度であり、%Nは測定された窒素含量である。さらに、%Nはほぼ0%であるが、ゼロではない数(例えば、0.002)である。正確性のために、これをすべての測定値から引いた。
【0163】
【表16】
【0164】
【表17】
【0165】
再度、この反応押出プロセスで電荷改変デンプンを生成した。置換度および溶解度値はデンプンのもの(それぞれ、0DSおよび0.4%溶解度)より有意に大きく、反応押出による陽イオン性デンプンの電荷改変を実証する。DS値の範囲が作られる。ここで達成されたDS値は、反応押出によって生成された陽イオン性デンプンについて以前に報告されたDS値よりも有意に高い。
【0166】
実施例2.2Dでは、後処理を含むことによって、溶解度の同時低減を伴う置換度の増大が示され、これは、後の実施例で述べる架橋結合の存在を示すものである。
【0167】
[実施例3.1]
押出された電荷改変バイオポリマー(ヘミセルロースへの電荷グラフトの実証)
デンプンに加えて、さらなるバイオポリマーを利用して電荷改変を実証した。ヘミセルロース(ブナ材由来のキシラン>=90%、品目X4252、Sigma Aldrich,St.Louis MO)を、クエン酸を用いて電荷改変して、実施例1.1に記載されているDSM押出機を使用して陰イオン性ヘミセルロースを形成した。電荷改変ヘミセルロースの調製では、温度、スクリューrpmおよびクエン酸の量のパラメーターを変動させた。表18は、2軸スクリュー円錐押出機を使用して試験した温度、スクリューrpmおよびクエン酸の量の範囲を記載する。
【0168】
【表18】
【0169】
粉末状の試薬を50gバッチに手で混合し、カスタム粉末インジェクターを使用して、押出機中に装填し、相対的および定性的に一定であると決定された供給速度で押出機中に供給した。表19は、表20に記載されている試験応答で試験した特定のパラメーターを示す。電荷改変ヘミセルロースおよび未改変ヘミセルロースについてのFTIRスペクトルを図3に示す。電荷密度の値は、実施例1.1に記載されている滴定方法に従って報告する。本実施例では、未処理のバイオポリマーのものを上回る電荷密度の変化の程度を示すために、原材料の電荷密度の値を測定し、次いで、これを測定値から引くことに留意されたい。
【0170】
【表19】
【0171】
【表20】
【0172】
電荷改変ヘミセルロースを反応押出によって生成した。FTIR分析によって、%透過値は未改変ヘミセルロースのもの(91%)より有意に低く、滴定値は未改変ヘミセルロースのもの(0meq/G)より有意に大きいことが示され、これは、ヘミセルロースの電荷改変を示すものである。
【0173】
[実施例3.2]
押出された電荷改変バイオポリマー(ペクチンへの電荷グラフトの実証)
実施例1.1に記載されているDSM押出機を使用してペクチンにさらなるカルボン酸基をグラフトすることによって、ペクチン(品目76282、Sigma Aldrich,St.Louis,MO)を電荷改変して、ペクチンの陰イオン特性を増大させた。実験方法は、実施例3.1のものに従った。表21は、2軸スクリュー円錐押出機を使用して試験した温度、スクリューrpmおよびクエン酸の量の範囲を記載する。
【0174】
【表21】
【0175】
表22は、表23に記載されている試験応答で試験した特定のパラメーターを示す。試料に後処理を行った場合、試料を120℃で90分間真空オーブン中に置いた。それぞれの試料を試験して、その電荷密度(meq/g)および1720cm−1でのフーリエ変換赤外分光法(FTIR)による吸光度/透過度を決定した。電荷改変ペクチンおよび未改変ペクチンに関するFTIRスペクトルを図4に示す。電荷密度の値は、実施例1.1に記載されている滴定方法に従って報告する。本実施例では、未処理のバイオポリマーのものを上回る電荷密度の変化の程度を示すために、原材料の電荷密度の値を測定し、次いで、これを測定値から引くことに留意されたい。
【0176】
【表22】
【0177】
【表23】
【0178】
電荷改変ペクチンを反応押出によって生成した。FTIR分析によって、%透過値は未改変ペクチンのもの(63%)より有意に低く、滴定値は未改変ペクチンのもの(0meq/G)より有意に大きいことが示され、これは、ペクチンの電荷改変を示すものである。
【0179】
[実施例3.3]
押出された電荷改変バイオポリマー(ダイズタンパク質への電荷グラフトの実証)
実施例1.1に記載されているDSM押出機を使用して、ダイズタンパク質を電荷改変して、陰イオン性ダイズタンパク質を形成した。電荷改変ダイズタンパク質の調製では、実験方法は、実施例3.1のものに従った。表24は、2軸スクリュー円錐押出機を使用して試験した温度、スクリューrpmおよびクエン酸の量の範囲を記載する。
【0180】
【表24】
【0181】
表25は、表26に記載されている試験応答で試験した特定のパラメーターを示す。試料に後処理を行った場合、試料を120℃で90分間真空オーブン中に置いた。それぞれの試料を試験して、その電荷密度(meq/g)および1720cm−1でのフーリエ変換赤外分光法(FTIR)による吸光度/透過度を決定した。電荷改変ダイズタンパク質および未改変ダイズタンパク質に関するFTIRスペクトルを図5に示す。電荷密度の値は、実施例1.1に記載されている滴定方法に従って報告する。本実施例では、未処理のバイオポリマーのものを上回る電荷密度の変化の程度を示すために、原材料の電荷密度の値を測定し、次いで、これを測定値から引くことに留意されたい。
【0182】
【表25】
【0183】
【表26】
【0184】
電荷改変ダイズタンパク質を反応押出によって生成した。FTIR分析によって、%透過値は、未改変ダイズタンパク質のもの(93%)より有意に低く、滴定値は、未改変ペクチンのもの(0meq/G)より有意に大きいことが示され、これは、ダイズタンパク質の電荷改変を示すものである。電荷改変は、熱による後処理によって増強された。
【0185】
[実施例4.1]
押出された架橋結合バイオポリマー(様々な架橋剤で改変されたデンプンの実証)
電荷改変剤に加えて架橋剤を利用して、実施例1.1に記載されているDSM押出機を使用して、架橋結合デンプンを形成した。架橋結合デンプンの調製では、実験方法は、実施例1.1のものに従った。温度、スクリューrpmおよび架橋剤の量のパラメーターを変動させた。本実施例では、可塑剤として、デンプンに対して40wt%のレベルで水を使用した。架橋剤は、エピクロロヒドリン(EPI>=99%(GC)、品目45340、Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(PEDGE、Avg.MN500、品目475696、Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)およびポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(PPDGE、Avg.CA.640、品目406740、Sigma−Aldrich、MO、St.Louis)を触媒としての水酸化ナトリウムとともに含んでいた。表27は、2軸スクリュー円錐押出機を使用して試験した温度、スクリューrpmおよび架橋剤の量の範囲を記載する。表28は、表29に記載されている試験応答で試験した特定のパラメーターを示す。
【0186】
【表27】
【0187】
【表28】
【0188】
【表29】
【0189】
ここでは、反応押出プロセスによって架橋結合バイオポリマーを生成した。架橋剤を用いるデンプンの反応押出は、架橋剤の鎖長(分子量)が増大するにつれて、(EPI<PEDGE<PPDGE)、膨張値が非架橋結合デンプンのもの(0.4g/g)を越えて向上し、溶解度値が非架橋結合デンプンのもの(7%)に近づくことを示す。
【0190】
[実施例4.2]
押出された、架橋結合した電荷改変バイオポリマー(様々な架橋剤で改変された陽イオン性デンプンの実証)
デンプンに加えて、電荷改変デンプンを利用して、実施例1.1に記載されているDSM押出機を使用して、架橋結合した電荷改変デンプンを形成した。架橋結合した電荷改変デンプンの調製では、実験方法は、実施例4.1のものに従った。本実施例では、Aquasol Corp(Rock Hill、SC)が製造するAquaflocc330AWを陽イオン性デンプンとして使用した。さらなる市販の陽イオン性デンプンおよび実施例2.2に記載されている陽イオン性デンプンも利用した。温度、スクリューrpm、架橋剤の量および可塑剤のパラメーターを変動させた。架橋剤は、エピクロロヒドリン、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルおよびポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルを触媒としての水酸化ナトリウムとともに含んでいた。表30は、2軸スクリュー円錐押出機を使用して試験した温度、スクリューrpmおよび架橋剤の量の範囲を記載する。表31は、表32に記載されている試験応答で試験した特定のパラメーターを示す。
【0191】
【表30】
【0192】
【表31】
【0193】
【表32】
【0194】
ここでは、反応押出によって架橋結合した電荷改変バイオポリマーを作出した。溶解度の結果は、値が原材料のもの(84%)より有意に低いことを示す。ここでは、溶解度の低下は、増大した架橋結合度を示す。膨張の結果は、架橋結合の程度に応じて、原材料のもの(4.4g/g)より高いまたは低い場合がある。
【0195】
[実施例5.1]
押出された、架橋結合した電荷改変バイオポリマー(2ステップインライン方法を使用して複数のバイオポリマーを架橋結合することの実証)
2種の電荷改変バイオポリマーの架橋結合を実証するために、実施例1.1に記載されているLeistritzの18mm押出機を使用して、2ステップインラインプロセスを使用して、架橋結合した電荷改変デンプンクエン酸キトサンを調製した。デンプンへのクエン酸のグラフトは陰イオン性電荷をもたらし、これによって、逆滴定(meq/g)を使用して測定され得るような電荷の程度が変化する。酢酸を使用して、混合時にキトサンをプロトン化することができ、それによって、キトサンに陽イオン性電荷をもたらす。電荷改変キトサンは、水へのその溶解度のために、部分的(すなわち、50%以上)または完全に(100%)プロトン化されると考えられ得る。
【0196】
さらに、図2で示すような複数のゾーンを有する押出機によって、温度および注入プロファイルの実行が可能になる。架橋結合した電荷改変デンプンクエン酸キトサンを調製するための押出および組成パラメーターは、表33に記載されているように変動させた。ここでは、以下の表34で示すように、デンプン、クエン酸およびSHPの粉末試料を最初の注入ゾーンに供給し(ステップ1)、一方で、キトサン(Trading Resourcess,Cocoa Beach,FL)、酢酸(Sigma Aldrich、品目#A6283,St.Louis,MO)および可塑剤を同時に注入ゾーン3に加えた(ステップ2)。反応ゾーン1〜2を電荷改変に使用し、一方で、反応ゾーン3〜8を、電荷改変デンプンを電荷改変キトサンに架橋結合するのに使用した。各ゾーンに対する温度プロファイルを以下の表34に示す。利用したスクリュープロファイルは、大部分は、図6(中剪断スクリュー)に記載されている中剪断スクリューに一致する。デンプンへのクエン酸のグラフト反応後に、温度を100℃に低下させることによって、ゾーン3において押出機内部へのプロトン化されたキトサンの注入が可能になり、その後、ゾーン4および5で、それぞれ105℃および110℃に温度を上げて、デンプンカルボキシレートとキトサン骨格の遊離アミン基の間の架橋結合反応を惹起する。いくつかの実施では、固体形態で押出した試料を、電荷改変した架橋結合ポリマーを120℃で90分間オーブン中に置くことによって後処理した。以下に示される2つの混合物の同時注入を、2ステップインライン反応と定義する。
【0197】
【表33】
【0198】
【表34】
【0199】
プロセスパラメーターおよび得られる応答の特定例を、それぞれ以下の表35および表36に示す。測定応答(例えば、溶解度、DI取り込みおよび抽出可能物)を決定する方法は、実施例1に記載されている。FTIR分析については、キトサン系に架橋結合した電荷改変デンプンに関する目的の結合は、約1650cm−1でアミド−カルボニル(R−CO−CNH−R)を含む。
【0200】
【表35】
【0201】
【表36】
【0202】
実施例2に記載されているように、架橋結合を有さない電荷改変ポリマーは、電荷密度の増大に伴う溶解度の増大(5%超および最大で100%まで)を示す。電荷改変デンプンおよび電荷改変キトサンが存在するために、5%未満の溶解度値は架橋結合の存在を示す。FTIR分析は、改変および未改変キトサンが、26%の透過値を示し、改変および未改変デンプンが5%の値を示す場合、アミド−カルボニルストレッチの存在を確証する。26%を超える%透過値は、電荷改変キトサンに架橋結合した電荷改変デンプンの存在を示し、これは、2ステップインライン方法において、別のバイオポリマーに架橋結合した電荷改変バイオポリマーを形成する能力を確証するものである。
【0203】
[実施例5.2]
押出された、架橋結合した電荷改変バイオポリマー(2ステップ2パス方法を使用して複数のバイオポリマーを架橋結合することの実証)
電荷改変バイオポリマーを生成し、続いて、別のバイオポリマーに架橋結合することができる方法を実証するために、粉末化したデンプンクエン酸(すなわち、クエン酸−改変デンプン)を酢酸、キトサンおよび可塑剤と混合して、この混合物を粉末化形態にすることによって、実施例1.1で調製した電荷改変デンプンをキトサンと架橋結合した。粉末化電荷改変デンプンを得るために、ブレンダーを使用して、電荷改変デンプンを、粉末混合物中に目に見える塊/ムラがない、糖/デンプン均一物(consistency)に粉砕した。グリセロール[品目#0854,Amresco、Solon,OH]、クエン酸およびポリエチレングリコール[400、800、20,000の分子量、Sigma Aldrich、St.Louis,MO]から選択される少なくとも1種の可塑剤を、デンプンクエン酸、酢酸、キトサンおよび可塑剤からなる混合物に加えて、押出プロセス中に溶融混合を誘導した。得られた粉末混合物を、実施例1.1に記載されている電荷改変デンプンを調製するためのプロセスに類似した方法において、実施例1.1に記載されている押出機に加えた。押出のパラメーターおよび組成を以下の表37に従って変更した。
【0204】
【表37】
【0205】
ここで、2ステップでの反応の完了を、「2ステップ2パス」反応と定義する。架橋結合した電荷改変デンプンクエン酸キトサンに関するプロセスパラメーターおよび測定応答の例を、それぞれ、以下の表38および表39に示す。架橋結合した電荷改変デンプンクエン酸キトサンを調製するのに使用される電荷改変デンプンは、試料1.1Aに記載されているパラメーターに従って、実施例1に記載されているように、以前に調整した。
【0206】
化学的同一性を特徴づけ、その脱イオン水(DI)取り込み決定するため、および実施例1に記載されている方法に従って抽出可能物(収率の逆数)を測定するために、それぞれの試料をFTIRによって分析した。
【0207】
【表38】
【0208】
【表39】
【0209】
実施例5.1に記載されているように、キトサンに架橋結合したクエン酸改変デンプンは、FTIR分析にかけた時に、約1650cm−1でアミド−カルボニル(R−CO−CNH−R)ストレッチを示し得る。FTIR分析は、改変および未改変キトサンが、26%の透過値を示し、改変および未改変デンプンが5%の値を示す場合、アミド−カルボニルストレッチの存在を確証する。ここでは、59および62%(26%超)の%透過値は、電荷改変キトサンに架橋結合した電荷改変デンプンの存在を示し、これは、2ステップ2パス方法において別のバイオポリマーに架橋結合した電荷改変バイオポリマーを形成する能力を確証するものである。
【0210】
[実施例5.3]
押出された、架橋結合した電荷改変バイオポリマー(オールインワン法を使用して複数のバイオポリマーを架橋結合することの実証)
反応押出によって電荷改変と架橋結合が同時に起こることを実証するために、すべての原材料(すなわち、実施例5.1および5.2に記載されているデンプン、クエン酸、SHP、キトサン、酢酸および可塑剤)を粉末状で同時に注入して、複数の押出機を介する1回の注入で電荷改変および架橋結合反応を誘導した(ここでは、「オールインワン」反応と定義する)。ここでは、すべての原材料の混合物を、実施例1.1および1.3に記載されている電荷改変デンプンを調製するためのプロセスに類似した方法において、実施例1.1および1.3に記載されている押出機に加えた。以下の表40に従って押出パラメーターおよび組成を変更した。架橋結合した電荷改変デンプンクエン酸キトサンを調製するためのプロセスパラメーターの例を以下の表41に示し、測定応答を表42に示す。測定応答を決定する方法を、実施例1および2に示す。
【0211】
【表40】
【0212】
【表41】
【0213】
【表42】
【0214】
実施例5.1および5.2に記載されているように、キトサンに架橋結合したクエン酸改変デンプンは、FTIR分析にかけた時に、約1650cm−1でアミド−カルボニル(R−CO−CNH−R)ストレッチを示し得る。カルボニル基の存在はデンプンにおけるクエン酸電荷改変を示し、アミド−カルボニル基の存在は架橋結合を示す。FTIR分析は、改変および未改変キトサンが、26%の透過値を示し、改変および未改変デンプンが5%の値を示す場合、アミド−カルボニルストレッチの存在を確証する。ここでは、26%超の%透過値は、オールインワン法において、キトサンに架橋結合した電荷改変デンプンの電荷改変および架橋結合が同時に起こり、別のバイオポリマーに架橋結合した電荷改変バイオポリマーを形成することを示す。
【0215】
[実施例6]
IEX用途のための改変バイオポリマーの例(塩/重金属取り込みの実証)
電荷改変した架橋結合バイオポリマーのイオン除去性能を実証するために、実施例5.1、5.2および5.3に従って、キトサンに架橋結合したクエン酸改変デンプンを調製した。食塩水への暴露後に伝導率および灰含量によって測定する塩の取り込み能力について、試料を試験した。
【0216】
試験する灰含量は、高温暴露時の試料中の残留無機物質の尺度である。0.3gの試料を10%食塩(NaCl)水に5分間曝露し、次いで、手で圧搾して、吸収された液体を除去した。次いで、前もって重量を記録した、きれいな乾燥したガラスバイアルに試料を移した。次いで、TAPPIスタンダード:T211 om−02−「Ash in wood,pulp,paper and paperboard,combustion at 525℃」に従って、マッフル炉(Vulcan、モデル3−550)中で575℃で4時間高温に試料を曝露した。灰含量を決定するために、バイアルの重量をバイアルおよび灰からなる最終的に記録した重量から引いた。最終的な灰重量は、残留捕獲塩と考えられ、最終的な灰重量を最初の試料重量で割って、g NaCl/g試料(g/g)フォーマットにデータを標準化する。
【0217】
伝導率は、所与の溶液におけるイオン移動度の尺度である。伝導率の低下は、捕集イオン、システムエネルギー(すなわち、温度、圧力など)の変化および/または溶存イオンの電位(すなわち、酸/塩基の存在下におけるpH変化)に起因し得る。試料(0.3g)を25mlの10%NaCl溶液に曝露し、ここでは、最初の伝導率(Metler−Toledo伝導率測定器[モデル#51302530])が、標準偏差が3.7で142mS/cmであると測定された。最終的な伝導率の測定値は、イオン捕集に起因すると考えられたので、これを使用して、伝導率(捕集塩)におけるパーセント差を計算した。塩の取り込みは、以下の式:
取り込み=(体積(mL)塩分%Δ)/試料重量
によって得られた伝導率の低下と相関があり、
式中、%Δは、%伝導率変化である。%伝導率変化は、溶液中のNaClの質量の低減に起因し、試料重量に対して標準化される。得られた測定パラメーターは、NaCl/g試料として塩の取り込みをもたらす。
【0218】
【表43】
【0219】
ここでは、伝導率によって測定した場合の、架橋結合バイオポリマー(実施例4.2の方法によって調製した架橋結合した陽イオン性デンプン)の塩の取り込み結果は、0g/gの値を示す。いかなる特定の理論にも拘束されることを望むものではないが、(陽イオン性および陰イオン性電荷の両方を同時に含む)両性電荷の存在は、溶液中の遊離イオンとのポリマーの相互作用を向上させることが期待され、表43に示される。データによって、架橋結合バイオポリマーよりも大きな率で、電荷改変した架橋結合バイオポリマーが溶液からイオンを除去する能力が実証された。塩の取り込みは、上記の表43で示す灰含量の測定値によってさらに実証される。
【0220】
[実施例7]
SAP用途のための改変バイオポリマーの例(超吸水剤を形成するように架橋結合した電荷改変デンプン(陽イオン性)の実証
市販の帯電した陽イオン性デンプン(AquaFlocc 330AW)および触媒を実施例1.1に記載されているP11押出機で使用して、超吸水ポリマーを調製した。図2に示されるものと類似した、複数のゾーンを有する押出機は、温度および注入プロファイルの実行を可能にする。利用したスクリュープロファイルは、図6(中剪断スクリュー)に記載されている。超吸収性材料用の材料を調製するための押出および組成パラメーターは、表44に記載されているように変動させた。超吸収ポリマーの調製では、粉末の陽イオン性デンプン(Aquafloc 330AW)および水酸化ナトリウムを、容積測定粉末供給機(olumetric MiniTwin Process 11、567−7660型、Thermo Electron/Thermo Fisher Scientific、Germany)を介して最初の注入ゾーンに供給し、一方で、可塑剤(グリセロール)を、液体インジェクターおよび対応するペリスタルティックポンプヘッド(Masterflex P/S Easy Load II、モデル番号955−0000、Thermo Fisher Scientific、USA)を備えるペリスタルティックポンプ(Masterflex P/Sペリスタルティックポンプ、モデル番号1300−3600−0004、Thermo Fisher Scientific、USA)を介して、注入ゾーン2に同時に加えた。いくつかの実施では、固体形態で押出した試料を、この改変した陽イオン性ポリマーをオーブン中に120℃で90分間置くことによって後処理した。以下で実証される2つの混合物の同時注入を、2ステップインライン反応と定義する。
【0221】
吸収ポリマーの調製では、温度、スクリューrpm、可塑剤、可塑剤の濃度および触媒の量のパラメーターを変動させた。表44は、11mmの平行2軸スクリュー押出機を使用して試験した温度、スクリューrpmおよび触媒の量の範囲を記載する。
【0222】
試料の流体の取り込みを測定するために、EDANA/INDA法WSP240.2.R3:free swell capacity in saline by gravimetric determinationを使用して、試料を吸収剤として試験した。重量測定法については、0.2gの試料を2”×2”のティーバッグに入れて密封した。このティーバッグ/試料の包みを溶液中に1時間浸水させ、次いで、つるして10分間乾燥させた。溶液は産業的に関連する用途(0.9%NaCl)に従って調製した。重量測定値は浸水前後に記録し、同じ条件にかけたティーバッグ対照試料に対して標準化した。計算は以下の通りであり、
【数1】
式中、Wはティーバッグ/試料の湿重量であり、Wはティーバッグ単独の湿重量であり、Wはティーバッグ/試料の最初の重量である。
【0223】
【表44】
【0224】
表45は、表46に示される特定の温度プロファイルおよび表47に記載されている試験応答を用いて試験した特定のパラメーターを示す。それぞれの試料を試験して、上記の方法に従ってその膨張能力を、および実施例2の方法に従って溶解度を決定した。
【0225】
【表45】
【0226】
【表46】
【0227】
【表47】
【0228】
表47の結果によって示されるように、反応押出は、産業的に関連する用途において液体を吸収するのに有用であるバイオポリマー材料を作製するのに使用される。
【0229】
[実施例8]
生物吸着剤用途のための改変バイオポリマーの例
さらに、試料の流体の取り込みを測定するために、改変したEDANA/INDA法WSP240.2.R3:free swell capacity in saline by gravimetric determinationを使用して、実施例7に記載される試料を他の流体用の吸収剤として試験した。ここでは、特定の0.9%NaCl(食塩水)の代わりに、表48で示すように、代替溶液を使用する。Instant Ocean Seal Saltを海水模擬物として使用した。油の基準物としてキャノーラ油、従来のモーター油および合成モーター油を使用し、ガソリンおよびディーゼル燃料を燃料の基準物として使用し、ウシの全血を血液の基準物として使用した。この結果は、以下の表48において、従来の超吸水性材料であるポリアクリル酸ナトリウム(Naポリ、品目432784,Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)と比較して、本発明の架橋結合した電荷改変バイオポリマーに関する性能の向上を実証した。
【0230】
【表48】
【0231】
表48の結果で示されるように、反応押出は、様々な産業的に関連する用途において液体を吸収するのに有用なバイオポリマー材料を作製するのに使用される。
【0232】
[実施例9]
比較均質性を示す改変バイオポリマーの例(均質性分析)
半導体EDS検出器を備えるJEOL JSM−6010LA走査型電子顕微鏡(SEM)を使用して、試料を特徴づけ、比較した。両面カーボンテープを使用してマウントに試料を接着し、20kVで分析した。顕微鏡写真を標的領域の対応するEDSスキャンとともに収集した。
【0233】
均質性の指標は、本発明の押出された陽イオン性デンプンとの市販の陽イオン性デンプンの比較から得られた(実施例2.2C)。Aquasol Corp(Rock Hill,SC)が製造するAquaFlocc330AWは、市販のデンプンを代表するものである。市販の陽イオン性デンプンは、乾燥プロセスで改変され、このプロセスは、デンプンを顆粒状に維持し、デンプンの表面改変のみを可能にすると考えられる。これに対して、いかなる特定の理論にも拘束されることを望むものではないが、押出プロセスは、バイオポリマー(例えば、デンプン)の顆粒構造を完全に破壊すると考えられる。
【0234】
市販のデンプンのSEM画像である図7Aおよび図7Bで分かるように、市販のデンプンは、デンプンの特徴的な顆粒構造を保持する。これに対して、本発明の方法に従って調製した押出された陽イオン性デンプンのSEM画像である図7Dおよび図7Eで分かるように、本発明の実施形態に従って押出されたデンプンは、顆粒構造の完全な破壊を示し、形態は、試料調製における形状(topology)からのみ生じる。これは、図7Aおよび図7B図7Dおよび図7Eと比較することにより分かる。
【0235】
さらに、水に曝露し、乾燥させた場合、市販のデンプンは不溶性物質の存在を示した。これらの不溶性物質は、無電荷または低く帯電された領域を示し、これは、不均質な加工の生成物である。これらの結果は、市販のデンプン(図7C)および本発明の方法に従って調製した押出された陽イオン性デンプン(図7F)に関するSEM画像の元素組成をマップするのに使用した、エネルギー分散X線分光分析(EDXSのEDS)によって確証された。図7Cで分かるように、明解な/定められた暗領域が存在し、分散した粒子が画像化されている。これによって、これらの粒子は、周囲の領域と比較して組成が異なる(塩素を欠く)ことが示される。これに対して、図7Fで分かるように、押出されたデンプンのEDSスキャンは、画像の右下に向かって、コントラストの段階的な変化を示す。この変化は、SEM画像において右下に向かう傾斜領域と相関する。しかし、図7Fの画像の左上もSEM画像において傾斜領域を示し、EDSマップではほとんど変化がない。したがって、ここでのいかなるコントラストも組成効果よりはむしろ陰影効果に由来し、したがって試料は均質であると結論することができる。
【0236】
前述のものは本発明の例示であり、本発明を制限すると解釈すべきでない。本発明は、以下の特許請求の範囲によって定義され、特許請求の範囲の均等物もその中に含まれる。本明細書で引用されるすべての刊行物、特許出願、特許、特許公報および他の参考文献は、参照が提供される文および/または段落に関連する教示のために、その全体が参照により組み込まれる。
出願時の請求の範囲は以下のとおりである。
[請求項1]
架橋結合した電荷改変バイオポリマーを生成する方法であって、
バイオポリマーと少なくとも1種の電荷改変剤を組み合わせ、均質な反応混合物を形成するステップと、
前記均質な反応混合物中で前記バイオポリマーと前記少なくとも1種の電荷改変剤を反応させるステップと、
前記均質な反応混合物中で前記バイオポリマーを架橋結合し、架橋結合した電荷改変バイオポリマーを形成するステップと
を含む方法。
[請求項2]
前記組み合わせるステップが、可塑剤および任意選択的に触媒を、前記バイオポリマーおよび前記少なくとも1種の電荷改変剤と組み合わせて、前記均質な反応混合物を形成するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
[請求項3]
前記可塑剤がクエン酸、水、グリセロール、ポリエチレングリコールおよび/またはソルビトールである、請求項2に記載の方法。
[請求項4]
前記少なくとも1種の電荷改変剤が、カルボキシル、スルホネート、スルフェート、ホスフェート、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、第4級アンモニウム、スルホニウムおよび/またはホスホニウム基を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
[請求項5]
前記触媒が次亜リン酸ナトリウム、硫酸水素ナトリウムおよび/または亜硫酸水素ナトリウムである、請求項2〜4のいずれか1項に記載の方法。
[請求項6]
前記反応させるステップの後に、前記バイオポリマーが正味正電荷または正味負電荷を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
[請求項7]
前記反応させるステップの後に、前記バイオポリマーが高分子両性電解質である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
[請求項8]
前記架橋結合するステップが、任意選択的に開始剤の存在下において、前記電荷改変バイオポリマーを少なくとも1種の架橋剤と反応させることをさらに含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
[請求項9]
前記少なくとも1種の架橋剤が酸(例えば、クエン酸)エピクロロヒドリン、グルタルアルデヒドおよび/または無水物である、請求項8に記載の方法。
[請求項10]
前記開始剤がペルオキシド、ペルオキシエステル、ヒドロペルオキシド、ケトンペルオキシドおよび/またはアゾ化合物である、請求項8に記載の方法。
[請求項11]
前記反応させるステップおよび架橋結合するステップが同時に生じる、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
[請求項12]
前記架橋結合した電荷改変バイオポリマーを発泡させるステップをさらに含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
[請求項13]
前記発泡させるステップが発泡剤を用いて行われる、請求項12に記載の方法。
[請求項14]
前記発泡剤が、超臨界二酸化炭素、水(例えば、蒸気)および/または超臨界窒素である、請求項13に記載の方法。
[請求項15]
前記架橋結合した電荷改変バイオポリマーが、約0.1〜約500ミクロンの平均直径を有する、その中に形成される複数のボイド空間を含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
[請求項16]
前記バイオポリマーが、少なくとも2種の異なるバイオポリマーを含み、任意選択的に前記少なくとも2種の異なるバイオポリマーのうちの1種が電荷改変バイオポリマーである、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
[請求項17]
前記少なくとも2種の異なるバイオポリマーが、デンプンおよびキトサンを含む、請求項16に記載の方法。
[請求項18]
前記架橋結合した電荷改変バイオポリマーが、正味正電荷または正味負電荷を有する、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
[請求項19]
前記架橋結合した電荷改変バイオポリマーが高分子両性電解質である、請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
[請求項20]
前記組み合わせるステップが、反応押出プロセスを使用して、前記バイオポリマーと前記少なくとも電荷改変剤を溶融混合するステップを含む、請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法。
[請求項21]
前記反応させるステップおよび架橋結合ステップが反応押出プロセスを使用して行われる、請求項1〜20のいずれか1項に記載の方法。
[請求項22]
押出機中で行われる、請求項1〜21のいずれか1項に記載の方法。
[請求項23]
一段式直接押出プロセスまたは多段式押出プロセスである、請求項22に記載の方法。
[請求項24]
前記押出機が少なくとも2つの反応ゾーンを含む、請求項22に記載の方法。
[請求項25]
バイオポリマーと少なくとも1種の電荷改変剤を第1の反応ゾーンで反応させるステップと、前記バイオポリマーを第2の反応ゾーンで架橋結合するステップとを含む、請求項24に記載の方法。
[請求項26]
インライン配合を含む、請求項24または25に記載の方法。
[請求項27]
前記架橋結合した電荷改変バイオポリマーが、定められた形状の成形体である、請求項1〜26のいずれか1項に記載の方法。
[請求項28]
架橋結合した電荷改変バイオポリマーが、約10ミクロン〜約1000ミクロンの範囲の直径を有する粒子の形態である、請求項1〜27のいずれか1項に記載の方法。
[請求項29]
前記反応させるステップおよび/または架橋結合するステップが約80℃〜約150℃の範囲の温度で、任意選択的に約80℃〜約120℃の範囲の温度で行われる、請求項1〜28のいずれか1項に記載の方法。
[請求項30]
前記反応させるステップおよび/または架橋結合するステップが、約0.1分〜約30
分の範囲の、任意選択的に約0.1分〜約10分の範囲の滞留時間を有する押出機中で行われる、請求項1〜29のいずれか1項に記載の方法。
[請求項31]
前記反応させるステップおよび/または架橋結合するステップが、約10〜約500の範囲の、任意選択的に約90〜約150の範囲のスクリューRPMを有する押出機中で行われる、請求項1〜30のいずれか1項に記載の方法。
[請求項32]
前記架橋結合した電荷改変バイオポリマーを、約100℃〜約150℃の範囲の温度で、約5分〜約24時間の範囲のある期間にわたって加熱するステップをさらに含む、請求項1〜31のいずれか1項に記載の方法。
[請求項33]
前記架橋結合した電荷改変バイオポリマーを、約5分〜約24時間の範囲のある期間にわたってUV照射するステップをさらに含む、請求項1〜32のいずれか1項に記載の方法。
[請求項34]
前記バイオポリマーがデンプンであり、前記少なくとも1種の電荷改変剤がクエン酸であり、これらを組み合わせて均質な反応混合物を形成し、反応させて電荷改変デンプンを形成する、請求項1に記載の方法。
[請求項35]
前記反応させるステップが、0.1:1〜4:1(クエン酸:デンプン)の範囲の比で、任意選択的に0.5:1〜2:1の範囲の比で、デンプンとクエン酸を反応させるステップを含む、請求項34に記載の方法。
[請求項36]
前記均質な反応混合物が、電荷改変キトサンおよび可塑剤をさらに含み、前記架橋結合ステップが、前記電荷改変キトサンを前記電荷改変デンプンと架橋結合して、架橋結合した電荷改変デンプン−キトサンを形成するステップを含む、請求項34または35のいずれか1項に記載の方法。
[請求項37]
前記架橋結合した電荷改変デンプン−キトサンが、デンプンのカルボキシル基とキトサンのアミノ基の間に共有結合を含む、請求項36に記載の方法。
[請求項38]
前記均質な反応混合物が、約5wt%〜約30wt%の範囲の量のデンプン、約5wt%〜約30wt%の範囲の量のクエン酸、約5wt%〜約30wt%の範囲の量の電荷改変キトサン、約0.1wt%〜約5wt%の範囲の量の触媒および約20wt%〜約40wt%の範囲の量の可塑剤を含む、請求項36または37のいずれか1項に記載の方法。
[請求項39]
反応押出プロセスを使用して押出機中で行われる、請求項34〜38のいずれか1項に記載の方法。
[請求項40]
請求項1〜39のいずれか1項に記載の方法に従って調製される、架橋結合した電荷改変バイオポリマー。
[請求項41]
生物吸着剤である、請求項40に記載の架橋結合した電荷改変バイオポリマー。
[請求項42]
滴定によって決定した場合に少なくとも3meq/gの電荷密度を有する、架橋結合した電荷改変バイオポリマー。
[請求項43]
従来の方法を使用して調製された架橋結合した電荷改変バイオポリマーと比較して電荷密度および/または架橋結合の程度が増大した、架橋結合した電荷改変バイオポリマー。
[請求項44]
従来の方法を使用して調製された架橋結合した電荷改変バイオポリマーと比較して多孔性および/または孔径が増大した、架橋結合した電荷改変バイオポリマー。
[請求項45]
従来の方法を使用して調製された架橋結合した電荷改変バイオポリマーと比較して塩の取り込みが増大した、架橋結合した電荷改変バイオポリマー。
[請求項46]
従来の方法を使用して調製された架橋結合した電荷改変バイオポリマーと比較して金属キレート化特性が増大した、架橋結合した電荷改変バイオポリマー。
[請求項47]
流体を吸収する方法であって、請求項1に記載の架橋結合した電荷改変バイオポリマーを流体と接触させるステップと、それによって、流体を吸収するステップとを含む方法。
[請求項48]
溶液中の塩および/または金属の量を低減させる方法であって、請求項1に記載の架橋結合した電荷改変バイオポリマーを塩および/または金属を含む溶液と接触させるステップを含み、前記塩および/または金属が、架橋結合した電荷改変バイオポリマーに結合し、それによって、前記溶液中の前記塩および/または金属の量を低減させる方法。
[請求項49]
デンプン、キトサン、少なくとも1種の電荷改変剤、触媒および可塑剤を組み合わせ、均質な反応混合物を形成するステップと、
前記デンプンおよびキトサンを電荷改変し、電荷改変デンプンおよび電荷改変キトサンを形成するステップと、
前記電荷改変デンプンと電荷改変キトサンを架橋結合し、架橋結合した電荷改変デンプン?キトサンを形成するステップと
を含む方法。
[請求項50]
デンプン、第1の電荷改変剤および触媒を組み合わせ、電荷改変デンプンを含む均質な反応混合物を形成するステップと、
前記電荷改変デンプンを含む前記均質な反応混合物に電荷改変キトサンおよび可塑剤を加えるステップと、
前記電荷改変デンプンと電荷改変キトサンを架橋結合し、架橋結合した電荷改変デンプン?キトサンを形成するステップと
を含む方法。
[請求項51]
電荷改変デンプンを含む前記均質な反応混合物が押出機中の第1の反応ゾーンで形成され、前記電荷改変キトサンおよび可塑剤が前記押出機中の第2の反応ゾーンで前記均質な反応混合物に加えられる、請求項50に記載の方法。
[請求項52]
デンプン、第1の電荷改変剤および触媒を組み合わせ、電荷改変デンプンを形成するステップと、
前記電荷改変デンプン、電荷改変キトサンおよび可塑剤を含む均質な反応混合物を形成するステップと、
前記電荷改変デンプンと電荷改変キトサンを架橋結合し、架橋結合した電荷改変デンプン?キトサンを形成するステップと
を含む方法。
[請求項53]
方法が反応押出プロセスを使用して行われる、請求項49、50または52のいずれか1項に記載の方法。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7A-7F】