特許第6836921号(P6836921)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6836921
(24)【登録日】2021年2月10日
(45)【発行日】2021年3月3日
(54)【発明の名称】スマートツーポンプ装置、制御及び方法
(51)【国際特許分類】
   F04B 49/22 20060101AFI20210222BHJP
   F16K 31/12 20060101ALI20210222BHJP
   F16K 3/24 20060101ALI20210222BHJP
   F16K 11/07 20060101ALI20210222BHJP
【FI】
   F04B49/22
   F16K31/12
   F16K3/24 D
   F16K11/07 K
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-14932(P2017-14932)
(22)【出願日】2017年1月31日
(65)【公開番号】特開2017-150476(P2017-150476A)
(43)【公開日】2017年8月31日
【審査請求日】2020年1月17日
(31)【優先権主張番号】62/289,531
(32)【優先日】2016年2月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516173429
【氏名又は名称】ジーエイチエスピー・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】GHSP, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100096758
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100114845
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 雅和
(74)【代理人】
【識別番号】100148781
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 友和
(72)【発明者】
【氏名】デビット マイケル ミッティア
(72)【発明者】
【氏名】ブレイドリー ジョン ヴェセリオ
【審査官】 山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−000946(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第03639122(DE,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第0949008(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 49/22
F16K 3/24
F16K 11/07
F16K 31/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
別個の第1の流体冷却回路及び第2の流体冷却回路を有するポンプ装置であって:
第1のポンプ及び第2のポンプ;
前記第1のポンプ及び前記第2のポンプにそれぞれ接続される第1の入口及び第2の入口を画定するとともに、前記第1の冷却回路及び前記第2の冷却回路にそれぞれ接続される第1の出口及び第2の出口を有する回路変更弁
を備え、
前記弁は、前記第1の入口及び前記第2の入口並びに前記第1の出口及び前記第2の出口に対してシフト可能なスプールを有し;
前記弁及び前記スプールは、前記第1のポンプによって生じる圧力差によって、前記スプールが第1の位置にシフトするとともに、前記第1のポンプ及び前記第2のポンプを、前記第1の入口が前記第2の出口に接続され、前記第2の入口が前記第1の出口に接続される直列構成で接続するように構成されており、したがって、前記第1のポンプ及び前記第2のポンプからの流体を、前記第1の回路及び前記第2の回路の双方を通して直列で流し;
前記弁及び前記スプールは、前記第2のポンプによって生じる圧力差によって、前記スプールが第2の位置にシフトするとともに、前記第1のポンプ及び前記第2のポンプを、前記第1の入口が前記第1の出口に接続され、前記第2の入口が前記第2の出口に接続される並列構成で接続するように構成されており、したがって、前記第1のポンプからの流体を前記第1の回路のみを通して流し、前記第2のポンプからの流体を前記第2の回路のみを通して流す、ポンプ装置。
【請求項2】
前記スプールは、前記第1のポンプの開始時点、及び、前記第2のポンプの開始時点、並びに、前記第1の弁入口と前記第2の弁入口との間に圧力差が存在する任意の時点における前記第1の回路及び前記第2の回路内の流体圧力に反応するスプールシフト機構を組み込む、請求項1に記載のポンプ装置。
【請求項3】
前記弁シフト機構の前記スプールは、別個の制御部に動作可能に接続されず、その代わりに、前記第1の弁入口及び前記第2の弁入口内の流体圧力のみによって動作され、したがって、前記スプールをシフトさせて前記第1のポンプ及び前記第2のポンプを選択的に制御する、請求項2に記載のポンプ装置。
【請求項4】
前記弁の前記スプールは、スプールハウジングと相互作用し、該スプールに作用する第1の弁入口と第2の弁入口との間の流体の差圧によって生じる所定の力に達するまで、該スプールの移動に対する機械的な抵抗を生じる、請求項3に記載のポンプ装置。
【請求項5】
前記ポンプ装置は前記第1の冷却回路及び前記第2の冷却回路を含み;前記第1の冷却回路は、車両のパワートレーン、エンジン、トランスミッション、関連する補助システム及びそれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つを冷却するためのものであり、前記第2の冷却回路は、バッテリ、電源、インバータ、ターボ過給加熱システム、車両加熱システム;及びそれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つを冷却するためのものである、請求項4に記載のポンプ装置。
【請求項6】
第1の流体冷却回路及び第2の流体冷却回路を制御する方法であって:
第1のポンプ及び第2のポンプを準備すること;
前記第1のポンプ及び前記第2のポンプにそれぞれ接続される第1の入口及び第2の入口を画定するとともに、前記第1の冷却回路及び前記第2の冷却回路にそれぞれ接続される第1の出口及び第2の出口を有する回路変更弁を準備することであって;前記弁は、前記第1の入口及び前記第2の入口並びに前記第1の出口及び前記第2の出口に対してシフト可能なスプールを有すること;
前記第1のポンプが、前記第2のポンプが前記第2の弁入口において生成するよりも大きい圧力を前記第1の弁入口において生成する場合、それによって、前記スプールをシフトさせることであって、前記第1のポンプ及び前記第2のポンプを、前記第1の入口が前記第2の出口に接続され、前記第2の入口が前記第1の出口に接続される直列構成で接続させ、したがって、前記第1のポンプ及び前記第2のポンプからの流体を、前記第1の回路及び前記第2の回路の双方を通して直列で流すこと;並びに
前記第2のポンプが、前記第1のポンプが前記第1の弁入口において生成するよりも大きい圧力を前記第2の弁入口において生成する場合、それによって、前記スプールをシフトさせることであって、前記第1のポンプ及び前記第2のポンプを、前記第1の入口が前記第1の出口に接続され、前記第2の入口が前記第2の出口に接続される並列構成で接続させ、したがって、前記第1のポンプからの流体を前記第1の回路のみを通して流し、前記第2のポンプからの流体を前記第2の回路のみを通して流すこと
を含む、方法。
【請求項7】
前記第1の弁入口と前記第2の弁入口との間の圧力差は、前記第1のポンプからの流体圧力によって前記スプールを第1の位置にシフトさせ、前記第2の弁入口と前記第1の弁入口との間の圧力差は、前記第2のポンプからの流体圧力によって前記スプールを第2の位置にシフトさせる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
第1の流体冷却回路及び第2の流体冷却回路を制御する方法であって:
それぞれ容積式である第1のポンプ及び第2のポンプを準備すること;
前記第1のポンプ及び前記第2のポンプにそれぞれ接続される第1の入口及び第2の入口を画定するとともに、前記第1の冷却回路及び前記第2の冷却回路にそれぞれ接続される第1の出口及び第2の出口を有する回路変更弁を準備することであって;前記弁は、前記第1の入口及び前記第2の入口並びに前記第1の出口及び前記第2の出口に対してシフト可能なスプールを有すること;
前記第1のポンプの流れ方向が反転すると、前記スプールを第1の位置にシフトさせる、前記第2の入口における圧力よりも小さい前記第1の入口における陰圧を生成すること;並びに
前記第2のポンプの流れ方向が反転すると、前記スプールを第2の位置にシフトさせる、前記第1の入口における圧力よりも小さい前記第2の入口における陰圧を生成すること
を含む、方法。
【請求項9】
車両装置であって:
動力装置、及び、該動力装置に接続されるエネルギー源を含む車輪付き車両であって、前記動力装置及び前記エネルギー源の双方が熱を発生させる、車輪付き車両;
前記動力装置及び前記エネルギー源にそれぞれ接続される、別個の第1の流体冷却回路及び第2の流体冷却回路;
第1のポンプ及び第2のポンプ;
前記第1のポンプ及び第2のポンプにそれぞれ接続される第1の入口及び第2の入口、並びに、前記第1の冷却回路及び前記第2の冷却回路にそれぞれ接続される第1の出口及び第2の出口を画定する弁ハウジング;
前記第1の入口及び前記第2の入口並びに前記第1の出口及び前記第2の出口に対してシフト可能な単一のスプール;
前記第1の入口及び前記第2の入口並びに前記第1の出口及び前記第2の出口の1つ又は複数に動作可能に接続されるスプールシフトデバイス
を備え、
前記弁及び前記スプール並びに前記スプールシフトデバイスは、前記第1のポンプによって生じる流体の圧力差によって、前記スプールが第1の位置にシフトするとともに、前記第1のポンプ及び前記第2のポンプを、前記第1の入口が前記第2の出口に接続され、前記第2の入口が前記第1の出口に接続される直列構成で接続するように構成及び動作可能に相互接続され、したがって、前記第1のポンプ及び前記第2のポンプからの流体を、前記第1の回路及び前記第2の回路の双方を通して直列で流し;
前記弁及び前記スプールは、前記第2のポンプによって生じる流体の圧力差によって、前記スプールが第2の位置にシフトするとともに、前記第1のポンプ及び前記第2のポンプを、前記第1の入口が前記第1の出口に接続され、前記第2の入口が前記第2の出口に接続される並列構成で接続するように構成されており、したがって、前記第1のポンプからの流体を前記第1の回路のみを通して流し、前記第2のポンプからの流体を前記第2の回路のみを通して流す、車両装置。
【請求項10】
前記スプールの振動を防止するように前記弁ハウジングに取り付けられる振動防止デバイスを含む、請求項9に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搭載された熱発生システム(例えば、バッテリタンク等の電源、並びに、例えば、エンジン及びトランスミッション又は過給機等のパワートレーン)を冷却するために冷却流体を圧送するように使用されるような、車両における圧送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両は、(電気及びハイブリッド車両における)車両のバッテリタンク並びに車両のパワートレーン等の、車両の熱発生構成要素を冷却する冷却回路を含む(例えば、燃焼機関冷却用の不凍液、及び、トランスミッション用のトランスミッション液)。従来から、これは、別個のポンプを使用して行われてきた。しかし、ポンプのうちの1つが故障した場合、そのポンプの冷却回路は不十分であるか又は故障し、関連する車両構成要素がすぐに過熱される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の弁は、可能性としては、2つのポンプから1つ又は複数の回路への流れを制御するために使用することができる。しかし、そのようなシステムは、複数の弁及び/又は複雑な弁を必要とし、選択的な作動のための制御システムも必要とする。設計の自由度が高く、性能が効果的であり、ロバストかつ耐久性があるが、最小限の構成要素しか使用せず、概ね複雑ではない構成要素を使用する、単純化されたシステムが所望されている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の1つの態様では、別個の第1の流体冷却回路及び第2の流体冷却回路を有するポンプ装置が、第1のポンプ及び第2のポンプ;並びに、第1のポンプ及び第2のポンプにそれぞれ接続される第1の入口及び第2の入口を画定するとともに、第1の冷却回路及び第2の冷却回路にそれぞれ接続される第1の出口及び第2の出口を有する弁ハウジングを有する回路変更弁を備える。弁は、第1の入口及び第2の入口並びに第1の出口及び第2の出口に対してシフト可能なスプールを有する。弁及びスプールは、第1のポンプが第2のポンプと比較して圧力差を生成する場合、スプールがシフトし、第1のポンプ及び第2のポンプを、第1の入口が第2の出口に接続され、第2の入口が第1の出口に接続される直列構成で接続するように構成されており、したがって、第1のポンプ及び第2のポンプからの流体を、第1の回路及び第2の回路の双方を通して直列で流す。弁及びスプールは、第2のポンプが第1のポンプと比較して圧力差を生成する場合、スプールが異なる位置にシフトし、第1のポンプ及び第2のポンプを、第1の入口が第1の出口に接続され、第2の入口が第2の出口に接続される並列構成で接続するように更に構成されており、したがって、第1のポンプからの流体を第1の回路のみを通して流し、第2のポンプからの流体を第2の回路のみを通して流す。
【0005】
本発明のより狭い態様では、スプール上の戻り止め特徴部が、弁ハウジング、プラグ等の特徴部に接し、スプールに作用する第1の弁入口と第2の弁入口との間の流体の差圧によって生じる所定の力に達するまで、スプールの移動に対する機械的な抵抗を提供する。所定の力は、設計によって、スプールの位置を第1の位置から第2の位置に変化させ、並列構成又は直列構成等の所望の流体回路の形態を選択するように、所望の切り換え圧力差まで調整可能である。
【0006】
別のより狭い態様では、振動防止(anti-dithering)デバイスが弁に関連付けられ、弁のスプールの許容不可能な振動及び/又は揺れを防止する。
【0007】
第1の流体冷却回路及び第2の流体冷却回路を制御する方法が、第1のポンプ及び第2のポンプを準備すること;並びに、第1のポンプ及び第2のポンプにそれぞれ接続される第1の入口及び第2の入口を画定するとともに、第1の冷却回路及び第2の冷却回路にそれぞれ接続される第1の出口及び第2の出口を有する弁ハウジングを有する回路変更弁を準備することであって;弁は、第1の入口及び第2の入口並びに第1の出口及び第2の出口に対してシフト可能なスプールを有することを含む。方法は、第1のポンプが第2のポンプの前に開始されるか、又は、第2の弁入口と比較して第1の弁入口において十分な圧力の差を生じる場合に、スプールを第1の位置に移動させ、第1のポンプ及び第2のポンプを、第1の入口が第2の出口に接続され、第2の入口が第1の出口に接続される直列構成で接続させ、したがって、第1のポンプ及び第2のポンプからの流体を、第1の回路及び第2の回路の双方を通して直列で流すことを含む。方法は、第2のポンプが第1のポンプの前に開始されるか、又は、第1の弁入口と比較して第2の弁入口において十分な圧力の差を生じる場合に、スプールを第2の位置に移動させ、第1のポンプ及び第2のポンプを、第1の入口が第1の出口に接続され、第2の入口が第2の出口に接続される並列構成で接続させ、したがって、第1のポンプからの流体を第1の回路のみを通して流し、第2のポンプからの流体を第2の回路のみを通して流すことを含む。
【0008】
第1の流体冷却回路及び第2の流体冷却回路を制御する方法であって、容積式の第1のポンプ及び第2のポンプを準備すること、第1のポンプ及び第2のポンプにそれぞれ接続される第1の入口及び第2の入口を画定するとともに、第1の冷却回路及び第2の冷却回路にそれぞれ接続される第1の出口及び第2の出口を有する回路変更弁を準備することであって;弁は、第1の入口及び第2の入口並びに第1の出口及び第2の出口に対してシフト可能なスプールを有すること、第1のポンプの流れ方向が反転すると、スプールを第1の位置にシフトさせる、第2の入口における圧力よりも小さい、第1の入口における真空又は陰圧を生成すること、並びに、第2のポンプの流れ方向が反転すると、スプールを第2の位置にシフトさせる、第1の入口における圧力よりも小さい、第2の入口における真空又は陰圧を生成することを含む、方法。弁は、スプールの第1の位置及び第2の位置が、第1の冷却回路及び第2の冷却回路における冷却液の流れに有利に影響を与え、ポンプの動作に有利に影響を与えるように接続される。
【0009】
本発明の目的は、相互接続されるとともに電気油圧式弁によって制御される2つのポンプの動作を制御する制御部及び構成要素の多くを排除することである。本発明の改良は、そうでなければポンプが接続されるポンプ及び冷却回路を制御するために必要な電気的なハードウェア、ソフトウェア、電磁石及び配線ハーネス等の幾つかのアイテムの必要性を大きく低下させる。本発明の改良は、2つのポンプの制御可能な出力部を使用して好ましい流体回路の形態を選択することも可能にする。
【0010】
本発明の目的は、2つのポンプのうちの一方が故障した場合であっても、連続的な冷却を提供することが可能な、冷却システムにおけるツーポンプ圧送システムを提供することである。
【0011】
本発明のこれら及び他の態様、目的及び特徴は、以下の明細書、特許請求の範囲及び添付の図面を検討すれば当業者によって理解及び認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】バッテリ冷却回路及びパワートレーン冷却回路に並列構成で(すなわち別個の回路で)接続されている2つのポンプ及び回路変更弁を含むポンプ装置の概略図であり、弁は、一方のポンプが流体をバッテリ冷却回路を通して移動させ、他方のポンプが流体をパワートレーン冷却回路を通して移動させる状態にある。
図2】バッテリ冷却回路及びパワートレーン冷却回路に並列構成で(すなわち別個の回路で)接続されている2つのポンプ及び回路変更弁を含むポンプ装置の概略図であり、弁は、一方のポンプが流体をバッテリ冷却回路を通して移動させ、他方のポンプが流体をパワートレーン冷却回路を通して移動させる状態にある。
図3図1及び図2と同様のポンプ装置の概略図であるが、弁がシフトしており、したがって、回路を直列構成で接続し(すなわち直列で組み合わせられ)、弁は、双方のポンプ(又は所望であれば、ポンプのうちの一方のみ)が、流体を、組み合わせられたバッテリ冷却及びパワートレーン冷却回路を通して移動させる状態にある。
図4図1及び図2と同様のポンプ装置の概略図であるが、弁がシフトしており、したがって、回路を直列構成で接続し(すなわち直列で組み合わせられ)、弁は、双方のポンプ(又は所望であれば、ポンプのうちの一方のみ)が、流体を、組み合わせられたバッテリ冷却及びパワートレーン冷却回路を通して移動させる状態にある。
図5図1図4に示されている機能制御と同様の機能制御を生じるような構成で接続されている2つのポンプ及び回路切り換え弁を組み込む、プロトタイプの二重のポンプ装置の斜視図である。
図6図1図4に示されている機能制御と同様の機能制御を生じるような構成で接続されている2つのポンプ及び回路切り換え弁を組み込む、プロトタイプの二重のポンプ装置の分解斜視図である。
図7】ガスケット及び弁に向かって取った、図5及び図6における弁の平面図である。
図8図7と同様の平面図であるが、下にあるポートをより良く示すためにガスケットが取り外されている。
図9図5の装置の斜視図であり、弁ハウジングは透明なものとして示されており、弁ハウジングは入力部1及び2並びに出力部A及びBを画定し、弁スプールは第1の位置にあり、入力部1から出力部Aへの流路(強調された)を示している。
図9A】流体の移動の経路をより良く示すように構造が排除されている、入力部1から出力部Aへの流体の流れの図である。
図10図9と同様の装置の斜視図であり、弁ハウジングは透明なものとして示されており、弁スプールはシフトされた第2の位置にあり、入力部1から出力部Bへの流路(強調された)を示している。
図10A】流体の移動の経路をより良く示すように構造が排除されている、入力部1から出力部Bへの流体の流れの図である。
図11図9と同様の装置の斜視図であり、弁ハウジングは透明なものとして示されており、弁スプールは第1の位置にあり、入力部2から出力部Bへの流路(強調された)を示している。
図11A】流体の移動の経路をより良く示すように構造が排除されている、入力部2から出力部Bへの流体の流れの図である。
図12図9と同様の装置の斜視図であり、弁ハウジングは透明なものとして示されており、弁スプールはシフトされた第2の位置にあり、入力部2から出力部Aへの流路(強調された)を示している。
図12A】流体の移動の経路をより良く示すように構造が排除されている、入力部2から出力部Aへの流体の流れの図である。
図13】スプールの振動を防止するとともに、第1の入口と第2の入口との間の規定の閾値の圧力差が存在するまでスプール位置の変化に対する抵抗を与える、スプールの端のOリング及びプラグ上の戻り止めを示す、スプールの端及び弁体の同一直線上にあるプラグの部分断面平面図である。
図14図5と同様の弁を有するが、入口及び出口を形成する一体的な構造、ポンプインペラのらせん形状、取り付けタブ及び関連する特徴部を含む、弁ハウジングに一体化されたポンプ構造を有するよりコンパクトな設計を有する、変更されたポンプ装置の斜視図である。
図15】上述した2つのポンプ及び弁の構成の方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ポンプ装置30(図1)が、乗用車及び乗客を運ぶとともに積み荷を運ぶ他の車輪付きの車両等の車両において使用するために設けられ、車両は、車両のパワートレーン、エンジン、トランスミッション、関連する補助システム及びそれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つを冷却する第1の冷却回路;並びに、バッテリ、電源、インバータ、ターボ過給加熱システム、車両加熱システム;及びそれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つを冷却する第2の冷却回路等の複数の冷却回路を有する。本発明の装置は、ポンプ及び冷却システムの制御を簡略化し、構成要素を減らし及び/又は排除し(したがって全重量を低減し)、ポンプの故障に備えた一体化されたバックアップを提供し、コンパクトな一体化されたシステムを提供する。
【0014】
図示のポンプ装置30(図1)は、第1のポンプ31及び第2のポンプ32、並びに、第1の冷却回路34及び第2の冷却回路35に動作可能に接続される弁33を含み、弁33は、ポンプが所望のシーケンスにおいて選択的に開始されるため、第1の入口及び第2の入口における最初の圧力差によって制御されるスプール36を有する。これは、圧送システムの制御を大きく簡略化するとともに構成要素を減らす。具体的には、スプール36の移動は、第1のポンプ31及び/又は第2のポンプ32から供給される最初の圧力によって制御される。図示の弁33は、第2の弁入口における第2のポンプ32の流体回路圧力が、第1のポンプ31からの第1の弁入口よりも大きい場合に(ポンプ31が最初にオンにされたとき等の図1)、弁33のスプール36がシフトし(図1では左側に)、第1のポンプ31及び第2のポンプ32を並列構成で接続させ(図2)、それによって、第1のポンプ31が、流体を、第1の回路34のみを通して移動させ、第2のポンプ32が、流体を、第2の回路35のみを通して移動させるように構成及び相互接続される。しかし、第1の弁入口における第1のポンプ31の流体回路圧力が、第2のポンプ32からの第2の弁入口よりも大きい場合に(ポンプ32が最初にオンにされるが、ポンプ31は依然としてオフであるとき等の図3及び図4)、弁33のスプール36がシフトし(図3では右側に)、第1のポンプ31及び第2のポンプ32を直列構成で接続させ(図4)、流体が、第1の回路34を通って、次に第2の回路35を通って直列で圧送される。
【0015】
この構成によって、弁の制御が、単にポンプが最初に作動されるか又はポンプが他方のポンプと比較して十分な圧力差を生じることによって達成されるため、多くの弁構成要素及び制御構成要素が排除される。同様にこの構成によって、例えばポンプのうちの一方が故障した場合に、一方のポンプが、他方のポンプに対して一時的なバックアップとして(すなわち、回路を直列で接続することによって)働くことができる。この構成によって、一方のポンプが、双方の回路の連続的なポンプとして働くことができるが、双方のポンプを作動することによって付加的な冷却を提供することができる。なお、2つのポンプは、ポンプが並列で動作するときは、第1の冷却速度が各冷却回路において提供されるが、ポンプが直列で動作するときは、異なる冷却速度が組み合わせられた回路において提供されるように、異なる圧送体積を提供することができる。代替的には、ポンプは互いに対するバックアップとして働くことができ、この場合、一方は、正常に動作していないポンプが修理されるまで、冷却流体を圧送し続けるように一時的措置として使用される。
【0016】
より具体的には、この実施形態では、弁33は、弁体80(「弁ハウジング」とも称される)内に部分的に画定される、相互接続される流体通路とともに2つのポンプ31、32に取り付けられる。(第1のポンプ31の前に第2のポンプ32を開始させること等によって)第1のポンプ31よりも大きい第2のポンプ32によって圧力差を生じることは(図1)、弁33のスプール36をシフトさせ、それによって、第1のポンプ及び第2のポンプが、「並列冷却回路」(例えばトランスミッション冷却回路及びバッテリ冷却回路)と称される別個の個々の流体管路に接続される(図2を参照のこと)。具体的には、(第1のポンプが依然としてオフの状態で)ポンプ32がオンにされると、加圧流体が、第2のポンプから第2の入口51に、制御通路52に沿って弁33のスプール36の端まで通り、スプール36を左側にシフトさせる。左側にシフトすると、加圧流体は、第2の入口51から流入通路53、54に、第2の出口55まで通る。流体は、通路62を通っては流れない。第1のポンプ31がそれに続いてオンにされると(またスプール36が、その他端における継続した圧力に起因してシフトしない)、流体は、弁の第1の入口56から通過通路57、58に、第1の出口59まで通る。なお、制御管路60に沿って通る加圧流体は、スプール36の反対端に対する制御通路52の対抗する流体圧力、及び、スプールボア内に設計される任意の付加的な戻り止めの力(図13)に起因して、弁33のスプール36をシフトさせない。
【0017】
代替的には、第2のポンプ32よりも大きい第1のポンプ31によって差圧を生じること(図3)(すなわち、第1のポンプ31を最初に開始させること)は、弁33のスプール36をシフトさせ(図3では右側に)、それによって、第1のポンプ及び第2のポンプが、「直列冷却回路」と称される同じ回路(図4)において直列で接続される(例えば、流体は、収集槽/タンクから第1のポンプを通ってトランスミッションに圧送され、第2のポンプ、及び次にバッテリに戻り、次に収集槽に戻るか、又は、システム要件に応じて第1のポンプに圧送し戻される)。具体的には、第1のポンプ31が最初にオンにされるか又はより迅速に圧送し、圧力差を生じるよう命令される場合、加圧流体は、第1の入口56から制御通路60に沿って弁33のスプール36の左側まで通り、スプール36を右側にシフトさせる。右側にシフトすると、加圧流体は、第1の入口56から流入通路61、62に、第2の出口55まで通る。第2のポンプ32がそれに続いてオンにされると(そしてスプール36がシフトしない)、流体は、第2の入口51から通過通路57、58に、第1の出口59まで通る。したがって、(双方のポンプがオンにされる場合)回路及び圧送において双方のポンプ31及び32によって直列の回路が確立される。なお、制御管路52に沿って通る加圧流体は、スプール36の反対端に対する制御通路60の対抗する流体圧力、及び、スプールボア内に設計される任意の付加的な戻り止めの力(図13)に起因して、弁33のスプール36をシフトさせない。また、第2のポンプ32から通る加圧流体は、第2の入口51内へ、流入通路57、58に、第1の出口59まで通る。なお、ポンプ31又は32のうちの一方を、ポンプ寿命を節減するために所望であれば、また、一方のポンプが、必要とされる流体の送達のシステム体積を処理することができれば、遮断することができる。
【0018】
重要な特徴は、この構成が、(簡略化された製造及び簡略化された組み立ての双方に関して)既知の同様のシステムにおける多くの電子制御部及びセンサ、並びに、他の比較的高価な構成要素を排除し、したがって、はるかに低コストの全体的なシステム及びより低重量の全体的なシステムをもたらすことである。本発明の装置は、可能性としては、バッテリ(又はインバータ)の冷却が必要とされ、トランスミッション又は燃焼機関も冷却を必要とする、ハイブリッド及び電動車両に特に有用である。本発明の弁体が、いかなる漏出も槽に流れ戻るように設計及び位置付けられ、これは、同じ流体を用いて、双方の車両アクセサリ(例えばトランスミッション及びバッテリ)を冷却するためであることに留意されたい。この漏出は、スプールの端において捕捉された流体によって生じるスプールの固定も防止する。また、本発明の弁システムは、コンパクトであり、最小減のスペース要件に合わせて設計され、したがって、より小さい低重量車両内へのその配置を容易にする。
【0019】
図1図4における装置30の特性及び特徴を組み込む、例示的なプロトタイプの二重ポンプ装置が図5及び図6に示されている。同一及び同様の特徴並びに特性は、同じ符号を用いるが文字「A」を含めて特定されている。これは、冗長な説明を減らすためになされている。
【0020】
装置30A(図5)は、2つのポンプ31A及び32A、並びに、回路34A及び35Aに動作可能に接続されるスプール36Aを有する回路切り換え弁33Aを含む。弁ハウジング80A(図6)は、弁33を動作可能に支持するスプール室81A、及び、界面において流体シールガスケット65Aを使用してスプール室81Aに取り付けられるポーティングカバー82Aを含む。弁ハウジング80Aは、(第1のポンプ31Aの出力部に接続される)第1の入口56A、第1の出口59A、(第2のポンプ32Aの出力部に接続される)第2の入口51A、及び、第2の出口55Aを含む。図7は、ガスケット65A及び弁33Aに向かって取った、図5及び図6の弁の平面図であり;図8は、図7と同様の平面図であるが、下にあるポート及び入口/出口をより良く示すためにガスケットが取り外されている。
【0021】
図9は、図5の装置の斜視図であり、弁ハウジングは透明なものとして示されており、弁ハウジングは入力部1及び2並びに出力部A及びBを画定し、弁スプールは第1の位置(左側にシフトされた)にあり、入力部1から出力部Aへの流路(強調された)を示している。
【0022】
図10は、図9と同様の装置の斜視図であり、弁ハウジングは透明なものとして示されており、弁スプールはシフトされた第2の位置(右側にシフトされた)にあり、入力部1から出力部Bへの流路(強調された)を示している。
【0023】
図11は、図9と同様の装置の斜視図であり、弁ハウジングは透明なものとして示されており、弁スプールは第1の位置(左側にシフトされた)にあり、入力部2から出力部Bへの流路(強調された)を示している。
【0024】
図12は、図9と同様の装置の斜視図であり、弁ハウジングは透明なものとして示されており、弁スプールはシフトされた第2の位置(右側にシフトされた)にあり、入力部2から出力部Aへの流路(強調された)を示している。
【0025】
図13は、スプール36Aの端、並びに、弁体81A(「スプール室」とも称される)の同一直線上にあるプラグ83Aの部分断面平面図である。プラグ83A及び弁体81Aは振動防止デバイスを形成する。図示の振動防止デバイスは、プラグ83A内のボア85A、ボア85A内の環状隆起部86A、及び、スプール36Aの端から延びる突起87A上のOリング88Aを含み、Oリング88A及び隆起部86Aの相互作用がスプールの振動を防止する。
【0026】
図14は、図5と同様の弁を有するが、弁ハウジングに一体化されたポンプ構造を有する、よりコンパクトな設計を有する変更されたポンプ装置の斜視図である。
【0027】
本革新は、多くの二重ポンプ構造に利点を提供する。特に、本革新は、可能性としては、2015年5月21日に出願された、共有され、認められた、係属中の米国特許出願第14/718,671号(その開示は読み手の利益のために本明細書に援用される)に示されているマルチポンプシステムとともに使用されるとともに、マルチポンプシステムに利点を提供することができる。これらの利点は、電子機器の統合、及び、制御のための必要な電気部品の低減、回路部の冷却における利点、並びに、単一の配線ハーネスへの共通のコネクタを用いた、改善された電気接続等を含む。
【0028】
図1図12に示されている実施形態は、スプール室を、非常に異なる別個のユニットとして示している。スプール室及びポーティングカバーを含む弁ハウジング(80)が、図14に示されているようにポンプ(31、32)のポンプハウジングの特徴を含むことができることが意図され、したがって、アセンブリが、スプール室を、コンパクトなアセンブリ内でモータ/ポンプのはるかに近くに位置決めすることを可能にする。スプールの直径及びボアのサイズを、機能を損なうことなく、特定の車両システムの機能要件に合うように低減することができることにも留意されたい。
【0029】
図15は、上述した2つのポンプ及び弁構成に関連する使用方法を示すフロー図である。
【0030】
本発明の概念から逸脱することなく、上述した構造に対して変形及び変更を行うことができることが理解され、さらに、そのような概念が、以下の特許請求の範囲にそれらの文言によって別途明記されない限り、これらの特許請求の範囲に包含されるよう意図されることが理解される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図9A
図10
図10A
図11
図11A
図12
図12A
図13
図14
図15