(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記連結軸は、軸方向の各先端部が前記一対の連結板を貫通して回動自在に連結され、各先端部に前記一対の連結板からの離脱を阻止する係止部材がそれぞれ着脱自在に装着されることを特徴とする請求項1に記載の排気バイパス装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1に記載された排気タービン過給機は、ウエストゲートバルブの開閉を制御するため、ウエストゲートバルブの基端部が取付けられて支持開閉する回転軸にねじりコイルばねを取付け、ウエストゲートブルブを閉じる方向のばね力を加えるようにしたものである。この場合、ねじりコイルばねは、ばね受け板によりタービン車室にボルトで固定され、一端部がこのばね受け板に取付けられ、回転軸と一体に回転するように支持され、他端部がセットプレートに形成した複数のばねセット孔に取付けられている。そのため、組付け作業が面倒なものとなり、また、装置が大型化してしまい、大きな配置スペースが必要となってしまう。
【0007】
本発明は上述した課題を解決するものであり、ウエストゲートバルブの良好な作動を確保すると共に作動部における摩耗の低減を可能として信頼性の向上を図る排気バイパス装置及び過給機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための本発明の排気バイパス装置は、駆動ロッドを軸方向に往復移動するアクチュエータと、ハウジングに回動自在に支持される支持軸と、一端部が前記駆動ロッドの先端部に回動自在に連結されて他端部が前記支持軸における軸方向の一端部に固定される連結リンクと、前記支持軸における軸方向の他端部に連結されるウエストゲートバルブと、前記駆動ロッドと前記連結リンクとの回動連結部の摩擦抵抗を増加させる摩擦抵抗部材と、を備えることを特徴とするものである。
【0009】
従って、アクチュエータの駆動ロッドを駆動すると、その駆動力が連結リンクに伝達され、連結リンクが支持軸を中心に回動し、ウエストゲートバルブを開閉する。このとき、摩擦抵抗部材により駆動ロッドと連結リンクとの回動連結部における摩擦抵抗が増加することから、排気脈動による連結リンクの振動が抑制される。そのため、ウエストゲートバルブの良好な作動を確保すると共にハウジングと支持軸との摺動部における摩耗を低減して信頼性の向上を図ることができる。
【0010】
本発明の排気バイパス装置では、前記摩擦抵抗部材は、前記駆動ロッドと前記連結リンクとの間に配置されて前記駆動ロッド及び前記連結リンクに押圧する付勢部材であることを特徴としている。
【0011】
従って、付勢部材は、その付勢力により駆動ロッド及び前記連結リンクを押圧することから、付勢部材と駆動ロッド及び付勢部材と連結リンクの間で摩擦抵抗が増加し、駆動ロッドと連結リンクとの相対位置を適正に保持することができる。
【0012】
本発明の排気バイパス装置では、前記駆動ロッドの先端部に平面形状をなす連結部が設けられ、前記付勢部材は、前記連結部の平面部と前記連結リンクの平面部との間に配置されることを特徴としている。
【0013】
従って、付勢部材が連結部の平面部と連結リンクの平面部を押圧することとなり、付勢部材が駆動ロッド及び連結リンクに対して適正に接触することで、駆動ロッドと連結リンクとの回動連結部における摩擦抵抗が増加させることができ、駆動ロッドと連結リンクとの相対位置を適正に保持することができる。
【0014】
本発明の排気バイパス装置では、前記連結部と前記連結リンクのいずれか一方に連結軸が設けられ、前記いずれか他方に連結孔が設けられ、前記連結軸が前記連結孔に嵌合することで前記連結部と前記連結リンクが回動自在に連結され、前記連結部と前記連結リンクとの間で前記連結軸の周囲に前記付勢部材が配置されることを特徴としている。
【0015】
従って、付勢部材を連結部と連結リンクとの間で連結軸の周囲に配置することで、付勢部材を効率良く配置することができ、スペースの有効利用を図ることで装置の大型化を抑制することができる。
【0016】
本発明の排気バイパス装置では、前記連結軸は、先端部に前記連結孔からの離脱を阻止する係止部材が着脱自在に装着されることを特徴としている。
【0017】
従って、連結軸の先端部に連結孔からの離脱を阻止する係止部材を装着することで、連結軸に係止された係止部材と連結部または連結リンクとの間で摩擦抵抗が発生し、駆動ロッドと連結リンクとの相対位置を適正に保持することができる。また、係止部材を連結軸に対して着脱自在とすることで、駆動ロッドと連結リンクを組付け性及びメンテナンス性を向上することができる。
【0018】
本発明の排気バイパス装置では、前記駆動ロッドの先端部に一対の連結板が所定間隔を空けて対向して設けられ、前記一対の連結板の間に前記連結リンクが配置されて連結軸により回動自在に連結され、前記一対の連結板と前記連結リンクとの間で前記連結軸の周囲に前記付勢部材が配置されることを特徴としている。
【0019】
従って、駆動ロッドの先端部に一対の連結板とその間に配置された連結リンクを連結軸により連結し、連結軸の周囲に付勢部材を配置することで、付勢部材における一対の連結板及び連結リンクとの接触面積を増加させることで、駆動ロッドと連結リンクとの相対位置を適正に保持することができ、また、付勢部材を効率良く配置し、スペースの有効利用を図ることで装置の大型化を抑制することができる。
【0020】
本発明の排気バイパス装置では、前記連結軸は、軸方向の各先端部が前記一対の連結板を貫通して回動自在に連結され、各先端部に前記一対の連結板からの離脱を阻止する係止部材がそれぞれ着脱自在に装着されることを特徴としている。
【0021】
従って、連結軸の各先端部に一対の連結板からの離脱を阻止する係止部材を装着することで、連結軸に係止された係止部材と各連結板との間で摩擦抵抗が発生し、駆動ロッドと連結リンクとの相対位置を適正に保持することができる。また、係止部材を連結軸に対して着脱自在とすることで、駆動ロッドと連結リンクを組付け性及びメンテナンス性を向上することができる。
【0022】
本発明の排気バイパス装置では、前記一対の連結板は、それぞれ切欠部が形成され、前記連結軸は、前記連結リンクに固定されて前記一対の連結板の切欠部に挿脱自在であることを特徴としている。
【0023】
従って、連結リンクに固定された連結軸を各連結板の切欠部に挿脱自在とすることで、駆動ロッドと連結リンクを組付け性及びメンテナンス性を向上することができる。
【0024】
本発明の排気バイパス装置では、前記付勢部材は、圧縮コイルばねであることを特徴としている。
【0025】
従って、付勢部材を圧縮コイルばねとすることで、構造の簡素化を図ることができる。
【0026】
また、本発明の過給機は、コンプレッサと、タービンと、前記コンプレッサと前記タービンとを同軸上に連結する回転軸と、前記排気バイパス装置と、を備えることを特徴とするものである。
【0027】
従って、過給機の作動時に、ウエストゲートバルブを開閉するとき、摩擦抵抗により駆動ロッドと連結リンクとの回動連結部における摩擦抵抗が増加することから、排気脈動による連結リンクの振動が抑制される。そのため、ウエストゲートバルブの良好な作動を確保すると共にハウジングと支持軸との摺動部における摩耗を低減して信頼性の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の排気バイパス装置及び過給機によれば、ウエストゲートバルブの良好な作動を確保すると共に作動部における摩耗の低減を可能として信頼性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る排気バイパス装置及び過給機の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
【0031】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の排気バイパス装置が適用されるエンジンを表す概略構成図である。
【0032】
第1実施形態において、
図1に示すように、エンジン10は、多気筒式の内燃機関である。シリンダブロック上にシリンダヘッドが締結されて構成されるエンジン本体11は、複数のシリンダボア12が設けられ、各シリンダボア12にシリンダライナ(図示略)を介してピストン13がそれぞれ上下移動自在に支持されている。エンジン本体11は、図示しないが、下部にクランクシャフトが回転自在に支持されており、各ピストン13がコネクティングロッド14を介してクランクシャフトにそれぞれ連結されている。
【0033】
燃焼室15は、シリンダボア12の壁面及び下面とピストン13の頂面とにより区画されて構成されている。燃焼室15は、上方、つまり、エンジン本体11に吸気ポート16及び排気ポート17が並んで形成されており、吸気ポート16及び排気ポート17に対して吸気弁18及び排気弁19の下端部がそれぞれ位置している。この吸気弁18及び排気弁19は、エンジン本体11に軸方向に沿って移動自在に支持されると共に、吸気ポート16及び排気ポート17を閉止する方向(
図1にて上方)に付勢支持されている。吸気弁18及び排気弁19は、図示しない吸気カムシャフト及び排気カムシャフトの吸気カム及び排気カムが作用することで、吸気ポート16及び排気ポート17を開閉することができる。また、燃焼室15は、上方、つまり、エンジン本体11に燃料噴射弁20が設けられている。燃料噴射弁20は、燃焼室15に高圧燃料を噴射することができる。
【0034】
従って、エンジン10は、クランクシャフトが2回転する間に、吸気行程、圧縮行程、膨張行程、排気行程の4行程を実行することとなり、このとき、吸気カムシャフト及び排気カムシャフトが1回転し、吸気弁18及び排気弁19が吸気ポート16及び排気ポート17を開閉することとなる。
【0035】
エンジン本体11は、吸気ポート16に吸気通路21が連結され、排気ポート17に排気通路22が連結されている。過給機23は、コンプレッサ24とタービン25とが回転軸26により一体に回転するように連結されて構成されている。この過給機23は、エンジン本体11の排気通路22を流れる排ガスによりタービン25が回転し、タービン25の回転が回転軸26により伝達されてコンプレッサ24が回転し、このコンプレッサ24が空気を圧縮して吸気通路21からエンジン本体11に供給する。また、吸気通路21にインタークーラ27が装着されている。
【0036】
排気通路22は、タービン25の装着位置に対応して排気バイパス装置28が設けられている。排気通路22は、タービン25より排ガスの流れ方向の上流側の位置から分岐し、タービン25より排ガスの流れ方向の下流側の位置に接続されるバイパス通路29が設けられている。作動通路30は、一端部が吸気通路21におけるコンプレッサ24とインタークーラ27の間に連結され、他端部が排気バイパス装置28のアクチュエータに連結されている。なお、図示しないが、作動通路30は、三方電磁弁が設けられており、アクチュエータと吸気通路21を連通している時間と、アクチュエータと大気を連通している時間を交互に切り替え、また、その時間の 比率を変えることで、アクチュエータ内部の圧力を吸気圧力と大気圧との間の任意の圧力に設定できる。そのため、排気バイパス装置28は、吸気通路21における吸気圧によりバイパス通路29を開閉することで、タービン25のバイパスする排ガス量、つまり、タービン25に供給する排ガス量を調整することができる。
【0037】
そのため、エンジン本体11は、吸気通路21から燃焼室15に空気が供給されると、ピストン13の上昇によりこの空気が圧縮され、燃料噴射弁20から燃焼室15に高圧燃料が噴射されると、この高圧燃料が着火して燃焼する。そして、発生した燃焼ガスは、排ガスとして排気通路22に排出される。燃焼室15から排出された排ガスは、過給機23におけるタービン25を回転させることで、回転軸26を介してコンプレッサ24を回転し、燃焼室15に対して過給を行う。また、排気バイパス装置28によりバイパス通路29が開放されると、排ガスは、このバイパス通路29を通ることでタービン25を迂回する。
【0038】
ここで、排気バイパス装置28について説明する。
図2は、排気バイパス装置の全体構成を表す斜視図である。
【0039】
排気バイパス装置28は、
図2に示すように、アクチュエータ31と、連結ロッド32と、連結リンク33と、支持軸34と、支持筒(ブッシュ)35と、ウエストゲートバルブ36とを備えている。
【0040】
アクチュエータ31は、駆動ロッド41が設けられ、吸気圧に応じてこの駆動ロッド41を軸方向に往復移動するものである。アクチュエータ31は、図示しないが、内部に仕切弁により2部屋に区画され、この仕切弁に駆動ロッド41の基端部が連結されている。仕切弁は、一方の部屋に収容されたばねの付勢力により駆動ロッド41が引き込まれる方向(
図2にて、右方向)に付勢されている。また、他方の部屋に吸気圧を作用させる作動管42(作動通路30)が連結されている。そのため、アクチュエータ31は、仕切弁に作用するばねの付勢力により駆動ロッド41が引き込まれた位置で停止している。そして、作動管42を通して他方の部屋に吸気圧が作用すると、仕切弁がばねの付勢力に抗して移動し、仕切弁と一体の駆動ロッド41が突出する方向に移動する。
【0041】
駆動ロッド41は、先端部に連結部43を介して連結ロッド32の基端部が連結されている。駆動ロッド41と連結部43と連結ロッド32は、ほぼ一直線上に配置されている。この連結ロッド32は、先端部に連結リング部44が設けられている。
【0042】
支持軸34は、円柱形状をなし、ハウジング(図示略)に固定された円筒形状をなす支持筒35に回動自在に支持されている。支持軸34の外周面と支持筒35の内周面との間には、支持筒35に対して支持軸34が回動することができる程度の隙間が確保されている。
【0043】
連結リンク33は、所定厚さの板形状をなし、平面視が長円形状をなしている。連結リンク33は、一端部に連結軸45が一体に形成され、この連結軸45が連結ロッド32の連結リング部44に嵌合し、互いに回動自在に連結されている。そして、連結軸45は、連結リング部44より軸方向に先端側に係止ピン(係止部材)46が係止することで、連結リング部44に対する連結軸45の抜け止めがなされている。また、連結リンク33は、他端部が支持軸34における軸方向の一端部に溶接部47により固定されている。そして、ウエストゲートバルブ36は、支持軸34における軸方向の他端部に固定されている。そのため、連結リンク33とウエストゲートバルブ36は、支持軸34を中心に回動することができる。
【0044】
この場合、駆動ロッド41と連結部43と連結ロッド32の長手方向(直線方向)と、支持軸34の軸方向は、ほぼ直交する方向に配置されている。また、連結リンク33における連結軸45の軸方向と、支持軸34の軸方向は、ほぼ平行となる方向に配置されている。
【0045】
そのため、アクチュエータ31を作動すると、駆動ロッド41が突出する軸方向に移動し、連結部43を介して連結ロッド32が同方向に移動する。連結ロッド32が長手方向に移動すると、連結ロッド32と連結リンク33が相対回動し、連結リンク33は、支持軸34と共にこの支持軸34を中心に回動する。そして、支持軸34が回動すると、支持軸34に一体に設けられたウエストゲートバルブ36が移動し、閉止位置から開放位置へ変位する。
【0046】
本実施形態の排気バイパス装置28は、連結ロッド32と連結リンク33との間に摩擦抵抗部材が配置されている。
図3は、排気バイパス装置における連結ロッドと連結リンクの連結部を表す平面図、
図4は、連結ロッドと連結リンクの連結部を表す断面図である。
【0047】
図3及び
図4に示すように、連結ロッド32は、基端部が駆動ロッド41の先端部に連結部43を介して連結されており、先端部に連結リング部44が設けられている。連結リング部44は、円形の連結孔51が形成されている。一方、連結リンク33は、一端部に連結軸45が一体に形成され、この連結軸45が連結リング部44の連結孔51に嵌合している。連結リンク33に設けられた連結軸45は、先端部に中心を径方向に貫通する貫通孔52が形成されている。
【0048】
係止ピン46は、直線部46aと屈曲部46bが設けられている。この係止ピン46は、直線部46aが連結軸45の貫通孔52に貫通し、屈曲部46bが連結軸45の外周面に密着することで、連結軸45に対して脱落自在に装着される。連結リンク33の連結軸45と連結リング部44は、この係止ピン46により連結孔51からの連結軸45の抜け止めがなされている。連結軸45の外周面と連結孔51の内周面との間には、連結ロッド32の連結リング部44に対して連結リンク33の連結軸45が回動することができる程度の隙間が確保されている。
【0049】
排気バイパス装置28は、連結ロッド32と連結リンク33との回動連結部の摩擦抵抗を増加させる摩擦抵抗部材としての圧縮コイルばね61が設けられている。この圧縮コイルばね61は、連結ロッド32の先端部と連結リンク33の一端部との間に配置されて連結ロッド32及び連結リンク33に押圧する付勢部材である。
【0050】
連結リンク33の一端部に設けられた連結軸45が、連結ロッド32の連結リング部44に形成された連結孔51に嵌合することで、連結ロッド32と連結リンク33が回動自在に連結されている。圧縮コイルばね61は、連結リング部44と連結リンク33との間で連結軸45の周囲に配置されている。圧縮コイルばね61は、軸方向の各端部に座部62,63が設けられ、座部62が連結リンク33の平面部33aに接触し、座部63が平面形状をなす連結リング部44の平面部44aに接触している。なお、この場合、圧縮コイルばね61は、座部62,63側にも平面部を設けることが望ましい。
【0051】
圧縮コイルばね61は、連結ロッド32の連結リング部44と連結リンク33との間に配置されていることから、その付勢力により座部62が連結リンク33の平面部33aを押圧し、座部63が連結リング部44の平面部44aを押圧している。そのため、圧縮コイルばね61は、連結ロッド32の連結リング部44及び連結リンク33に対して摩擦抵抗が生じている。また、圧縮コイルばね61は、その付勢力により連結ロッド32と連結リンク33が離間する方向に付勢されることから、係止ピン46が連結ロッド32における連結リング部44の平面部44bに接触している。係止ピン46と連結ロッド32の連結リング部44との間に摩擦抵抗が生じている。
【0052】
上述した構成により、連結ロッド32と連結リンク33は、圧縮コイルばね61の付勢力により互いに離間する方向に付勢支持されることとなる。このとき、圧縮コイルばね61は、座部62が連結リンク33の平面部33aを押圧し、座部63が連結リング部44の平面部44aを押圧している。また、連結リング部44の平面部44bが係止ピン46を押圧している。そのため、連結ロッド32と連結リンク33は、圧縮コイルばね61の付勢力により互いに回動方向における位置が拘束されることとなる。即ち、連結ロッド32と連結リンク33が相対的に回動するとき、圧縮コイルばね61の各座部62,63と連結リング部44の平面部44a及び連結リンク33の平面部33aとの摩擦抵抗、連結リング部44の平面部44bと係止ピン46との摩擦抵抗、圧縮コイルばね61の付勢力の全てに打ち勝って回動することとなる。その結果、排気脈動によりウエストゲートバルブ36(
図2参照)が振動しようとしても、連結ロッド32と連結リンク33は、その位置が圧縮コイルばね61により保持されているために振動することが抑制され、連結ロッド32と連結リンク33との摺動部、また、支持軸34と支持筒35との摺動部における摩耗の発生が抑制される。
【0053】
このように第1実施形態の排気バイパス装置にあっては、駆動ロッド41を軸方向に往復移動するアクチュエータ31と、ハウジングに回動自在に支持される支持軸34と、一端部が駆動ロッド41の先端部に回動自在に連結されて他端部が支持軸34における軸方向の一端部に固定される連結リンク33と、支持軸34における軸方向の他端部に連結されるウエストゲートバルブ36と、駆動ロッド41に連結された連結ロッド32と連結リンク33との回動連結部の摩擦抵抗を増加させる摩擦抵抗部材としての圧縮コイルばね61とを設けている。
【0054】
従って、圧縮コイルばね61がその付勢力により連結ロッド32と連結リンク33に押圧することから、両者の回動連結部における摩擦抵抗が増加し、排気脈動による連結ロッド32と連結リンク33の振動が抑制される。そのため、ウエストゲートバルブ36の良好な作動を確保することができると共に、ハウジングと支持軸34との摺動部における摩耗を低減して信頼性の向上を図ることができる。
【0055】
この場合、摩擦抵抗部材を付勢部材として圧縮コイルばね61を適用し、連結ロッド32と連結リンク33との間に圧縮コイルばね61を配置し、連結ロッド32及び連結リンク33を押圧している。従って、圧縮コイルばね61と連結ロッド32及び圧縮コイルばね61と連結リンク33の間で摩擦抵抗が増加し、連結ロッド32と連結リンク33との相対位置を適正に保持することができる。
【0056】
第1実施形態の排気バイパス装置では、連結ロッド32の先端部に平面形状をなす連結リング部44を設け、圧縮コイルばね61を連結リング部44の平面部44aと連結リンク33の平面部33aとの間に配置される。従って、圧縮コイルばね61が連結リング部44の平面部44aと連結リンク33の平面部33aを押圧することとなり、圧縮コイルばね61が連結ロッド32及び連結リンク33に対して適正に接触することで、連結ロッド32と連結リンク33との回動連結部における摩擦抵抗が増加させることができ、連結ロッド32と連結リンク33との相対位置を適正に保持することができる。
【0057】
第1実施形態の排気バイパス装置では、連結リンク33に連結軸45を設け、連結リング部44に連結孔51を設け、連結軸45が連結孔51に嵌合することで連結ロッド32と連結リンク33を回動自在に連結し、圧縮コイルばね61を連結リング部44と連結リンク33との間で連結軸45の周囲に配置している。従って、圧縮コイルばね61を効率良く配置することができ、スペースの有効利用を図ることで装置の大型化を抑制することができる。
【0058】
第1実施形態の排気バイパス装置では、連結軸45の先端部に連結孔51からの離脱を阻止する係止ピン46を着脱自在に装着している。従って、連結軸45に係止された係止ピン46と連結リング部44との間で摩擦抵抗が発生し、連結ロッド32と連結リンク33との相対位置を適正に保持することができる。また、係止ピン46を連結軸45に対して着脱自在とすることで、連結ロッド32と連結リンク33とを容易に組付けることができると共に、部品の交換時に容易に取り外すことができ、組付け性及びメンテナンス性を向上することができる。
【0059】
また、第1実施形態の過給機にあっては、コンプレッサ24と、タービン25と、コンプレッサ24とタービン25とを同軸上に連結する回転軸26と、排気バイパス装置28とを設けている。従って、過給機23の作動時に、ウエストゲートバルブ36を開閉すると、圧縮コイルばね61がその付勢力により連結ロッド32と連結リンク33に押圧することから、両者の回動連結部における摩擦抵抗が増加し、排気脈動による連結ロッド32と連結リンク33の振動が抑制される。そのため、ウエストゲートバルブ36の良好な作動を確保することができると共に、ハウジングと支持軸34との摺動部における摩耗を低減して信頼性の向上を図ることができる。
【0060】
[第2実施形態]
図5は、第2実施形態の排気バイパス装置における連結ロッドと連結リンクの連結部を表す平面図、
図6は、連結ロッドと連結リンクの連結部を表す断面図である。
【0061】
第2実施形態において、
図5及び
図6に示すように、排気バイパス装置は、アクチュエータ31(
図2参照)と、連結ロッド71と、連結リンク72と、支持軸34(
図2参照)と、支持筒35(
図2参照)と、ウエストゲートバルブ36(
図2参照)とを備えている。
【0062】
連結ロッド32は、基端部が駆動ロッド41(
図2参照)の先端部に連結部43を介して連結されており、先端部に連結ブロック81が設けられている。連結ブロック81は、所定間隔を空けて対向して設けられる一対の連結板82,83が縦壁部84により連結され、両側部に側壁部85が設けられて構成されている。連結ロッド32は、一方の側壁部85に連結されている。一対の連結板82,83は、縦壁部84と逆側に切欠部86,87が形成されている。
【0063】
一方、連結リンク72は、一端部における各平面部72a,72b側にそれぞれ連結軸88,89が一体に形成されている。そして、連結リンク72は、連結ブロック81の連結板82,83の間に配置され、各連結軸88,89が切欠部86,87に配置されることで、連結リンク72が連結ブロック81に対して連結軸88,89により回動自在に連結される。この場合、切欠部86,87が連結板82,83の端部に開口するように設けられていることから、連結軸88,89を切欠部86,87に容易に挿脱することができる。
【0064】
また、この連結軸88,89は、軸方向の各先端部が連結板82,83を貫通して回動自在に連結されており、各先端部にこの連結板82,83からの離脱を阻止する係止ピン(係止部材)91,92がそれぞれ着脱自在に装着されている。各係止ピン91,92は、直線部91a,92aと屈曲部91b,92bが設けられている。この係止ピン91,92は、直線部91a,92aが連結軸88,89を径方向に貫通し、屈曲部91b,92bが連結軸88,89の外周面に密着することで、連結軸88,89に対して脱落自在に装着される。連結リンク72の連結軸88,89と連結ブロック81は、この係止ピン91,92により切欠部86,87からの連結軸88,89の軸方向の抜け止めがなされている。連結軸88,89の外周面と切欠部86,87の内面との間には、連結ロッド71の連結ブロック81に対して連結リンク72の連結軸88,89が回動することができる程度の隙間が確保されている。
【0065】
排気バイパス装置は、連結ロッド71と連結リンク72との回動連結部の摩擦抵抗を増加させる摩擦抵抗部材としての圧縮コイルばね93,94が設けられている。この圧縮コイルばね93,94は、連結ブロック81の連結板82,83と連結リンク72の一端部との間に配置されて連結板82,83及び連結リンク72に押圧する付勢部材である。
【0066】
連結リンク72の一端部に設けられた連結軸88,89が、連結ロッド32の連結ブロック81における各連結板82,83の各切欠部86,87に配置されることで、連結ロッド71と連結リンク72が回動自在に連結されている。圧縮コイルばね93,94は、連結板82,83と連結リンク72との間で連結軸88,89の周囲に配置されている。圧縮コイルばね93,94は、軸方向の各端部の座部が連結板82,83の平面部及び連結リンク72の平面部に接触している。
【0067】
圧縮コイルばね93,94は、連結ロッド71の連結ブロック81における各連結板82,83と連結リンク72との間に配置されていることから、その付勢力により各連結板82,83と連結リンク72を押圧している。そのため、圧縮コイルばね93,94は、連結ロッド71の連結ブロック81及び連結リンク72に対して摩擦抵抗が生じている。
【0068】
上述した構成により、連結ロッド71と連結リンク72は、圧縮コイルばね93,94の付勢力により互いに離間する方向に付勢支持されることとなる。このとき、圧縮コイルばね93,94は、各連結板82,83と連結リンク72に押圧している。そのため、連結ロッド71と連結リンク72は、圧縮コイルばね93,94の付勢力により互いに回動方向における位置が拘束されることとなる。即ち、連結ロッド71と連結リンク72が相対的に回動するとき、圧縮コイルばね93,94の各座部と各連結板82,83及び連結リンク72との摩擦抵抗や圧縮コイルばね93,94の付勢力の全てに打ち勝って回動することとなる。その結果、排気脈動によりウエストゲートバルブ36(
図2参照)が振動しようとしても、連結ロッド71と連結リンク72は、その位置が圧縮コイルばね93,94により保持されているために振動することが抑制され、連結ロッド71と連結リンク72との摺動部、また、支持軸34と支持筒35(いずれも
図2参照)との摺動部における摩耗の発生が抑制される。
【0069】
このように第2実施形態の排気バイパス装置にあっては、連結ロッド71の先端部に連結された連結ブロック81に一対の連結板82,83を所定間隔を空けて対向して設け、一対の連結板82,83の間に連結リンク72を配置し連結軸88,89により回動自在に連結し、一対の連結板82,83と連結リンク72との間で連結軸88,89の周囲に圧縮コイルばね93,94を配置している。
【0070】
従って、圧縮コイルばね93,94がその付勢力により連結ロッド71と連結リンク72に押圧することから、両者の回動連結部における摩擦抵抗が増加し、排気脈動による連結ロッド71と連結リンク72の振動が抑制される。そのため、ウエストゲートバルブ36の良好な作動を確保することができると共に、ハウジングと支持軸34との摺動部における摩耗を低減して信頼性の向上を図ることができる。
【0071】
また、圧縮コイルばね93,94における各連結板82,83及び連結リンク72との接触面積を増加させることで、連結ロッド71と連結リンク72との相対位置を適正に保持することができ、また、圧縮コイルばね93,94を効率良く配置し、スペースの有効利用を図ることで装置の大型化を抑制することができる。
【0072】
第2実施形態の排気バイパス装置では、連結軸88,89の先端部に各連結板82,83の各切欠部86,87からの離脱を阻止する係止ピン91,92をそれぞれ着脱自在に装着している。従って、連結軸88,89の各先端部に係止ピン91,92を装着することで、連結軸88,89に係止された係止ピン91,92と各連結板82,83との間で摩擦抵抗が発生し、連結ロッド71と連結リンク72との相対位置を適正に保持することができる。また、係止ピン91,92を連結軸88,89に対して着脱自在とすることで、連結ロッド71と連結リンク72を組付け性及びメンテナンス性を向上することができる。
【0073】
第2実施形態の排気バイパス装置では、各連結板82,83にそれぞれ切欠部86,87を形成し、連結リンク72に固定された連結軸88,89を連結板82,83の切欠部86,87に挿脱自在としている。従って、連結ロッド71と連結リンク72を組付け性及びメンテナンス性を向上することができる。
【0074】
なお、上述した実施形態では、摩擦抵抗部材及び付勢部材として圧縮コイルばね61,93,94を適用したが、この構成に限定されるものではない。例えば、リング形状をなす板バネでもよく、また、金属材料に限らず、合成樹脂により形成してもよい。
【0075】
また、上述した実施形態では、連結ロッド32,71に連結孔51や切欠部86,87を設け、連結リンク33,72に連結軸45,88,89を設けたが、連結ロッドに支持軸を設け、連結リンクに連結孔や切欠部を設けてもよい。
【0076】
また、上述した実施形態では、駆動ロッド41の先端部に連結ロッド32,71を連結し、連結ロッド32,71の先端部と連結リンク33,72の一端部を回動自在に連結したが、駆動ロッド41の先端部と連結リンク33,72の一端部を直接回動自在に連結してもよい。