(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述したような従来技術にかかる人検知技術は、区画に設けられている空調設備や照明設備などの設備の制御に用いることを目的としている。このため、得られる人検知結果は、区画に設定したX−Y座標系における座標値からなる人位置だけである。したがって、それぞれの位置座標に存在する人が誰なのかを特定することはできないという問題点があった。
【0006】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、区画に存在する人と人位置とを容易に特定できる人検知技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するために、本発明にかかる人検知装置は、区画に設置された熱画像センサで検出した熱画像から、前記区画に存在する人の人位置を検知する人検知装置であって、前記熱画像センサで検出した熱画像を周期的に取得する熱画像取得部と、取得した前記熱画像を時系列で画像処理して、前記区画の床面温度より高い高温部分を追跡することにより、前記区画に存在する人の人位置を検知する人追跡部と、前記区画に存在する人ごとに、前記人追跡部で検知された前記人の前記人位置と前記人を識別する人識別情報との組が登録された人検知情報を記憶する記憶部と、通信回線を介して接続された携帯端末からの検知要求に応じて、前記区画内に設けられている人特定エリアから検知した人の人位置と、前記検知要求に含まれている人識別情報との組を、前記人検知情報に登録する人特定部とを備えている。
【0008】
また、本発明にかかる上記人検知装置の一構成例は、前記熱画像取得部が、前記検知要求に応じて、前記熱画像センサから新たな熱画像を取得し、前記人追跡部は、前記新たな熱画像から前記人特定エリアに存在する新たな人の人位置を検知し、前記人特定部は、前記新たな人の人位置と前記検知要求に含まれている人識別情報との組を、前記人検知情報に登録するようにしたものである。
【0009】
また、本発明にかかる上記人検知装置の一構成例は、通信回線を介して接続された利用者端末からの確認要求に応じて、指定された人識別情報と対応する人位置を前記区画の人検知情報から検索し、得られた人位置を示す確認データを前記利用者端末へ配信する配信処理部をさらに備えている。
【0010】
また、本発明にかかる上記人検知装置の一構成例は、前記配信処理部が、前記指定された人識別情報と対応する人位置が前記区画の人検知情報に登録されていない場合、人位置が不明である旨の確認データを前記利用者端末へ配信するようにしたものである。
【0011】
また、本発明にかかる人検知方法は、熱画像取得部が、区画に設置された熱画像センサで検出した熱画像から、前記区画に存在する人の人位置を検知する人検知装置で用いられる人検知方法であって、熱画像取得部が、前記熱画像センサで検出した熱画像を周期的に取得する熱画像取得ステップと、人追跡部が、取得した前記熱画像を時系列で画像処理して、前記区画の床面温度より高い高温部分を追跡することにより、前記区画に存在する人の人位置を検知する人追跡ステップと、記憶部が、前記区画に存在する人ごとに、前記人追跡部で検知された前記人の前記人位置と前記人を識別する人識別情報との組が登録された人検知情報を記憶する記憶ステップと、人特定部が、通信回線を介して接続された携帯端末からの検知要求に応じて、前記区画内に設けられている人特定エリアから検知した人の人位置と、前記検知要求に含まれている人識別情報との組を、前記人検知情報に登録する人特定ステップとを備えている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、利用者が区画に設けられている人特定エリアで携帯端末を操作するだけで、利用者の人位置と利用者の人識別情報とが人検知装置で対応付けられることになる。したがって、人検知装置で区画から検知した人位置に存在する人が誰なのかを容易に特定することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
まず、
図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる人検知システム1について説明する。
図1は、人検知システムの構成を示すブロック図である。
この人検知システム1は、オフィスなどのように人が複数の区画を利用するような施設に設けられて、各区画で得られた熱画像に基づいた人検知結果を、利用者へ提供するシステムである。本実施の形態では、人検知結果から区画に存在する、特定の人の人位置を利用者に配する場合について説明する。
【0015】
人検知システム1は、複数の熱画像センサTと人検知装置10とを備えている。
熱画像センサTは、サーモパイルセンサなどの一般的な熱画像センサからなり、区画Dの天井Sや壁(図示せず)に配置されて、区画Dの床面の熱画像を検出するセンサ端末である。この際、これら熱画像センサTは、例えば区画Dの天井に、それぞれの撮像エリアが交差するような間隔でマトリクス状に配置されている。
なお、このようにして熱画像センサTが設置されている区画Dが複数あれば、これら複数の区画Dを人検知システム1の検知対象とすることができる。
【0016】
人検知装置10は、全体としてサーバ装置などの情報処理装置からなり、通信回線L1を介して各熱画像センサTから取得した熱画像から、区画Dに存在する人の人位置を検知する装置である。
利用者端末20は、PC、タブレット、スマートホンなどの情報処理端末からなり、例えばブラウザでの利用者操作に応じて、通信回線L2を介して人検知装置10にアクセスすることにより、任意の区画Dに存在する任意の人の人位置を取得して画面表示する機能を有している。
【0017】
携帯端末22は、タブレットやスマートホンなどの携帯端末からなり、利用者の検知要求操作に応じて、予め設定されている利用者の人識別情報を含む検知要求を無線送信する機能を有している。
無線基地局21は、通信回線L2を介して人検知装置10と接続されて、携帯端末22から無線送信された検知要求を受信して人検知装置10へ転送する機能を有している。
【0018】
[人検知装置]
人検知装置10は、主な機能部として、センサI/F部11、通信I/F部12、記憶部13、熱画像取得部14、人追跡部15、人特定部16、および配信処理部17が設けられている。これら機能部のうち、熱画像取得部14、人追跡部15、人特定部16、および配信処理部17は、中央処理装置(CPU)とプログラムとが協働することにより実現されている。
【0019】
センサI/F部11は、通信回線L1を介して区画Dに配置された各熱画像センサTとデータ通信を行う機能を有している。
通信I/F部12は、通信回線L2を介して利用者端末20とデータ通信を行う機能を有している。
【0020】
記憶部13は、ハードディスクや半導体メモリなどの記憶装置からなり、人検知装置10での人検知処理に用いる各種の処理情報やプログラムを記憶する機能を有している。
主な処理情報として、各熱画像センサTから取得した熱画像のほか、区画Dに存在する人の人検知結果を示す人検知情報がある。
【0021】
図2は、区画の人検知例である。この検知例では、区画Dに、人として「P11」、「P12」、「P13」、「P14」が存在している。また、区画Dには、例えば出入口付近の位置に、人ひとりが入れるほどの面積を有する、人特定エリアNが設けられている。
【0022】
図3は、人検知情報の構成例である。人検知情報には、人を識別する人IDごとに、人識別情報、X座標、およびY座標が登録されている。X,Y座標は、区画Dに予め設定した原点Oを基準とするX−Y座標系における座標値である。
例えば、人「P11」には、人識別情報として名前「アズビル太郎」が登録されており、この人の人位置として「X11」,「Y11」が登録されている。これにより、人「アズビル太郎」が人位置「X11」,「Y11」に存在していることが分かる。
【0023】
熱画像取得部14は、センサI/F部11および通信回線L1を介して熱画像センサTで検出された熱画像を周期的に取得して記憶部13に保存する機能を有している。
人追跡部15は、記憶部13に保存されている熱画像を時系列で画像処理して、熱画像に含まれている床面の床面温度よりも高い高温部分を人として追跡することにより区画Dに存在する人の人位置を検知し、検知した人位置に基づいて、記憶部13に保存されている人検知情報の人位置を更新する機能を有している。ここでの追跡手法については、例えば特許文献2などの公知の手法を用いればよい。
【0024】
人特定部16は、通信回線L2を介して接続された携帯端末22からの検知要求に応じて、区画D内に設けられている人特定エリアNから検知した人の人位置と、検知要求に含まれている人識別情報との組を、記憶部13の人検知情報に登録する機能を有している。
配信処理部17は、通信回線L2および通信I/F部12を介して利用者端末20に各種データを配信する機能とを有している。
【0025】
[第1の実施の形態の動作]
次に、
図4を参照して、本実施の形態にかかる人検知装置10の動作について説明する。
図4は、人検知動作および人検知開始動作を示すシーケンス図である。ここでは、状況データが居室者の在席状況からなる場合を例として説明する。
【0026】
[人検知動作]
まず、人検知動作について説明する。
熱画像センサTは、熱画像の送信タイミングが到来した場合(ステップ100)、区画Dの熱画像を検出し(ステップ101)、検出した熱画像を人検知装置10へ送信する(ステップ102)。
この際、熱画像センサTは、人検知装置10からの取得要求に応じて、検出した熱画像を人検知装置10へ返送するようにしてもよい。
【0027】
熱画像取得部14は、熱画像センサTから自律的に送信される熱画像を受信することにより区画Dの熱画像を取得し、記憶部13に保存する(ステップ103)。
人追跡部15は、記憶部13に保存されている時系列の熱画像を画像処理し、床面の床面温度よりも高い温度部分を人として追跡することにより、区画Dにおける人の位置を検知する人追跡処理を実行する(ステップ104)。
この後、人追跡部15は、得られた人位置に基づいて、記憶部13に保存されている人検知情報の人位置を更新し(ステップ105)、一連の状況データ生成動作を終了する。
【0028】
[人検知開始動作]
次に、人検知開始動作について説明する。
利用者は、例えば区画Dに入った際、人特定エリアNに移動し、所持する携帯端末22で検知要求操作を行う(ステップ110)。これにより、携帯端末22から検知要求が無線送信され、これが無線基地局21で受信された後、通信回線L2を介して人検知装置10へ転送される(ステップ111)。
【0029】
人検知装置10の熱画像取得部14は、通信I/F部12を介して携帯端末22からの検知要求を受信した場合、新たな熱画像の取得を要求する取得要求をセンサI/F部11および通信回線L1を介して熱画像センサTへ送信する(ステップ112)。
熱画像センサTは、人検知装置10から取得要求を受信した場合、区画Dの新たな熱画像を検出し(ステップ113)、検出した新たな熱画像を人検知装置10へ返送する(ステップ114)。
【0030】
熱画像取得部14は、熱画像センサTから返送された新たな熱画像を受信し、記憶部13に保存する(ステップ115)。
人追跡部15は、記憶部13に保存されている新たな熱画像を画像処理し、人追跡処理と同様にして、区画Dの人特定エリアNに存在する利用者(新たな人)の人位置を検知する(ステップ116)。
【0031】
この後、人特定部16は、人追跡部15で検知された利用者の人位置と、携帯端末22からの検知要求に含まれている人識別情報との組を、記憶部13の人検知情報に追加し(ステップ117)、人検知を開始した旨を示す人検知開始を、通信回線L2を介して携帯端末22へ返送する(ステップ118)。
携帯端末22は、人検知装置10から返送された人検知開始を受信して画面表示し(ステップ119)、一連の状況データ配信動作を終了する。
【0032】
図5は、追加後の区画の人検知例である。
図6は、追加後の人検知情報の構成例である。
図5の状況において、携帯端末22からの検知要求を受信した場合、人検知装置10は、人特定エリアN内に存在する利用者「P15」の人位置を検知するとともに、検知要求に含まれる利用者の人識別情報を取得し、これら利用者の人位置と人識別情報との組を記憶部13の人検知情報に登録する。これにより、
図6に示すように、利用者「P15」の人識別情報「アズビル三郎」と人位置「X15」,「Y15」が、人検知情報に追加登録され、これ以降、区画Dにおける利用者の追跡が開始される。
【0033】
[第1の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、人追跡部15が、取得した熱画像を時系列で画像処理して高温部分を追跡することにより人位置を検知し、記憶部13が、区画Dに存在する人ごとに、人追跡部15で検知された人の人位置と人を識別する人識別情報との組が登録された人検知情報を記憶し、人特定部16が、通信回線L2を介して接続された携帯端末22からの検知要求に応じて、区画D内に設けられている人特定エリアNから検知した人の人位置と、検知要求に含まれている人識別情報との組を、人検知情報に登録するようにしたものである。
【0034】
より具体的には、熱画像取得部14が、検知要求に応じて、熱画像センサTから新たな熱画像を取得し、人追跡部15が、新たな熱画像から人特定エリアNに存在する新たな人の人位置を検知し、人特定部16が、新たな人の人位置と検知要求に含まれている人識別情報との組を、人検知情報に登録するようにしたものである。
【0035】
これにより、利用者が人特定エリアNで携帯端末22を操作するだけで、利用者の人位置と利用者の人識別情報とが人検知装置10で対応付けられることになる。したがって、人検知装置10で区画Dから検知した人位置に存在する人が誰なのかを容易に特定することが可能となる。
【0036】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態にかかる人検知装置10について説明する。
本実施の形態では、利用者端末20からの確認要求に応じて、指定された人識別情報の人位置を利用者端末20へ配信する場合について説明する。
【0037】
配信処理部17は、通信回線L2および通信I/F部12を介して受信した利用者端末20からの確認要求に応じて、指定した人識別情報と対応する人位置を記憶部13の人検知情報から検索する機能と、得られた人位置を示す確認データを要求元の利用者端末20へ配信する機能とを有している。利用者端末20に対して配信する確認データについては、HTMLなどの記述言語を用いて作成したWeb画面で配信してもよく、メールやメッセージで配信してもよい。
【0038】
[第2の実施の形態の動作]
次に、
図7を参照して、本実施の形態にかかる人検知装置10の動作について説明する。
図7は、確認データ配信動作を示すシーケンス図である。
ここでは、確認データ配信動作について説明する。なお、人検知動作および人検知開始動作については、前述した
図4と同様であり、ここでの詳細な説明は省略する。
【0039】
[確認データ配信動作]
利用者端末20は、例えばブラウザにより、区画Dに存在する任意の人の人位置を確認するための確認要求操作が行われた場合(ステップ200)、利用者端末20から通信回線L2を介して人検知装置10へ確認要求が送信される(ステップ201)。
人検知装置10の配信処理部17は、通信I/F部12を介して利用者端末20から確認要求を受信した場合、確認要求で指定された区画Dに関する人検知情報を記憶部13から取得する(テップ202)。
【0040】
この後、配信処理部17は、確認要求で指定された人識別情報と対応する人位置を人検知情報から検索し(ステップ203)、得られた人位置を示す確認データを要求元の利用者端末20へ配信する(ステップ204)。
なお、配信処理部17は、指定された人識別情報と対応する人位置が区画Dの人検知情報に登録されていない場合、人位置が不明である旨の確認データを利用者端末20へ配信することになる。
【0041】
利用者端末20は、人検知装置10から配信された確認データを受信した場合、受信した確認データをブラウザにより画面表示し(ステップ205)、一連の確認データ配信動作を終了する。
【0042】
図8は、確認データの画面表示例である。ここでは、区画Dに存在する人の位置が、図形シンボルで表示されており、指定した人識別情報と対応する人の図形シンボルには、人識別情報が表示されている。これにより、指定した人識別情報と対応する人が、区画Dの度の位置に存在するかを極めて容易に確認することができる。
【0043】
[第3の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、配信処理部17が、利用者端末20からの確認要求に応じて、指定された人識別情報と対応する人位置を区画の人検知情報から検索し、得られた人位置を示す確認データを利用者端末20へ配信するようにしたものである。
【0044】
これにより、利用者端末20から検知状況や利用状況に関する状況要求を送信することなく、任意の検知対象に関する在席/離席や利用可否が、利用者端末20に自動的に配信されることになる。したがって、検知状況や利用状況の確認に関する利用者の操作負担を大幅に軽減できる。
【0045】
また、共用設備を予約システムでの予約管理している場合には、人検知装置10が予約システムと連携し、共用設備の利用開始の検出に応じて予約システムに共用設備の利用を自動予約し、共用設備の利用終了の検出に応じて予約システムに共用設備の予約を自動解除するようにしてもよい。これにより、予約システムに対する利用者の予約操作負担を大幅に削減できる。
【0046】
[実施の形態の拡張]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。また、各実施形態については、矛盾しない範囲で任意に組み合わせて実施することができる。