(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記管部材は、前記傾斜挿入部の端部に形成され、且つ、前記傾斜挿入部よりも傾く二段傾斜部を含む、請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の医療用糸挿入施術キット。
【背景技術】
【0002】
医療用糸は、損傷した筋肉・血管・神経・組織または傷や、手術切開部の連結または縫
合のためにかなり以前から使用されてきた。また、医療用糸は、二重瞼手術や老化、皮膚
弾力低下、外傷、過用、壊死などによって生ずる組織(tissue)や皮膚の垂下、しわなど
を除去するための施術などのためにも使用される。医療用糸を使用するリフティング施術
は、メスを使用せずに、針と糸とでもって、顔、あご、首、腹部、膣、胸、ヒップなどの
垂下した皮膚及び組織をリフティングし、しわを引き伸ばして広げる技術であって、皮膚
を過多に切開する必要なしに、傷跡の発生を最小化することができ、手術による出血や浮
腫が少なくて脚光を浴びている。
【0003】
しかし、従来の医療用糸を利用したリフティング施術においては、医療用糸を体内に挿
入して固定するために、医療用糸が挿入される身体の地点に1つの挿入穿孔ホールを形成
し、医療用糸を固定する身体の地点にさらに少なくとも1つの固定穿孔ホールを形成した
後、医療用糸を挿入穿孔ホールを介して挿入し、その後、それ自体で硬直性を有した医療
用糸を後方から押し上げ、医療用糸の前方端部を固定穿孔ホールに突出させ、身体外部に
再び出した後、結び目を作り、その後、結び目部位をさらに縫合するか、あるいは皮膚の
一部を切開して覆い包む施術を行った。
【0004】
しかし、そのように、医療用糸を、皮膚に挿入される穿孔ホールと、さらに皮膚から抜
け出る穿孔ホールとにいずれも通過させた後、医療用糸を身体に挿入して固定するリフテ
ィング施術では、皮膚に多数個の穿孔ホールを形成しなければならないという問題点があ
り、医療用糸を身体に挿入する作業が容易ではなく、リフティング施術に長時間が必要と
なり、患者に対する麻酔のレベルを高めなければならない関係から、施術の危険性が高い
という問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の基本的な目的は、前述のような従来技術の問題点を解決することである。さら
に詳細には、本発明の一つの目的は、医療用糸を生体組織に挿入する施術を簡便に行うこ
とができ、生体に可能な限り物理的傷をより少なく加えて施術を行うことができ、医療用
糸挿入施術の全体的所要時間を短縮させ、医療用糸を所定の位置に挿入し、しっかりと固
定させることである。
【0006】
本発明の他の目的は、医療用糸を生体組織に挿入することにより、生体の垂下した皮膚
及び組織をリフティングし、しわを除去することができるリフティング施術に使用される
施術装置及びそのような施術装置のキットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述の目的を達成するために、本発明の一実施形態による医療用糸挿入装置は、医療用
糸が挿入される経路を形成する中空の導管を具備する管部材と、前記管部材の導管内部に
挿入され、前記管部材より大きい剛性(stiffness)を有する支持ロッドを含む支持部材
と、を具備する挿入経路形成手段;及び前記挿入経路形成手段から支持部材が除去された
後、前記管部材を介して医療用糸を供給する医療用糸供給手段;を具備する。
【0008】
ここで、前記管部材の一側端部の外側面には、テーパタイプの傾斜挿入部が形成されて
いる。
【0009】
また、前記傾斜挿入部の端部には、前記傾斜挿入部よりさらに大きい角度のテーパタイ
プの二段傾斜部が形成されている。
【0010】
また、前記傾斜挿入部は、前記管部材の軸方向に平行に形成され、前記管部材の一側端
部を分岐させる少なくとも一つの切開ラインをさらに含む。
【0011】
一方、前記管部材は、前記医療用糸供給手段を収容するテーパタイプの中空の装着溝を
具備した締結部を含み、前記医療用糸供給手段は、挿入される医療用糸を中空の医療用糸
供給管内側に具備する医療用糸保有部を具備し、前記医療用糸保有部は、前記管部材の前
記装着溝に締結される相補的な形状を有するコネクタを具備する。
【0012】
このとき、前記医療用糸の端部には、前記医療用糸を生体の組織内に固定させるための
医療用糸支持体が形成されてもいる。
【0013】
一方、前記医療用糸は、ループ形状を有し、両端部が寄せ集められた方向に、前記医療
用糸支持体が配置されてもいる。
【0014】
前記医療用糸支持体は、前記医療用糸の挿入方向側端部から反対側端部に行くほど直径
が大きくなる截頭型円錐状にもなる。
【0015】
選択的には、前記医療用糸は、前記医療用糸の挿入方向側端部の直径が反対側端部の直
径より大きくもなる。
【0016】
また、選択的には、前記医療用糸は、前記医療用糸の挿入方向側端部に向かって傾くよ
うに突出した逆とげを具備することができる。
【0017】
また、前記医療用糸支持体の最大径は、前記医療用糸供給管の内径と同じ、あるいはそ
れより小さい。
【0018】
一方、中空の前記装着溝の内側面には、半径内側方向に突出する肩部が形成される。
【0019】
本発明の選択的実施形態による医療用糸挿入装置において、前記管部材は、前記医療用
糸供給手段を収容するテーパタイプの中空の装着溝を具備した締結部を含み、前記医療用
糸供給手段は、医療用糸と、前記医療用糸の端部に形成され、医療用糸を生体の組織内に
固定させるための医療用糸支持体と、を含む。
【0020】
本発明の他の特徴による医療用糸挿入施術キットは、医療用糸が挿入される経路を形成
する中空の導管を具備する管部材と、前記管部材の導管内部に挿入され、前記管部材より
大きい剛性を有する支持ロッドを含む支持部材と、を具備する挿入経路形成手段;前記挿
入経路形成手段から支持部材が除去された後、前記管部材を介して医療用糸を供給する医
療用糸供給手段;及び前記管部材の導管内で摺動可能であり、前記医療用糸を前記管部材
の導管を介してプッシュするプッシュ手段;を含む。
【0021】
ここで、前記挿入経路形成手段は、生体組織内に挿入される穿孔ホールを形成する穿孔
手段をさらに具備する。
【0022】
前記プッシュ手段は、前記挿入経路形成手段及び前記医療用糸供給手段を貫通して突出
する長さのプッシュロッドを具備する。
【発明の効果】
【0023】
本発明の医療用糸挿入装置、及びそれを具備した医療用糸挿入施術キットによれば、次
のような効果を具現することができる。
【0024】
第一に、挿入される医療用糸に、生体の組織に固定される支持体が形成されており、医
療用糸の一端部を組織に挿入するための穿孔ホールのみを生体組織に形成すればよいので
、生体組織に対する損傷を低減させることができる。
【0025】
第二に、1つの穿孔ホールに医療用糸を挿入しさえすれば、皮膚のしわを防止するため
の施術が終了するので、施術が簡便になる。
【0026】
第三に、穿孔ホールに医療用糸を挿入するための経路形成手段の端部は、医療用糸が通
過しながらも、経路形成手段の端部が生体組織内に進入が容易なように、テーパタイプに
なって形成されており、生体組織内への進入時に、摩擦を減らすことができる。
【0027】
第四に、医療用糸が挿入される挿入経路形成手段の管部材が可撓性があり、生体皮膚組
織内での進行が容易ではないが、管部材内部に、管部材より大きい剛性の支持部材を挿入
した状態で、生体組織内で挿入経路形成手段が前進するので、所望する挿入経路を容易に
形成することができる。
【0028】
第五に、挿入経路形成手段の端部をテーパタイプに形成した傾斜挿入部に、さらにそれ
よりさらに大きい角度でテーパタイプの二段傾斜部を形成し、挿入経路形成手段の進入摩
擦力をさらに低減させることができ、施術作業が容易になる。
【0029】
第六に、傾斜管挿入部の端部に切開ラインを形成し、医療用糸を組織内の一定地点で支
持するための支持体が形成された医療用糸が、傾斜管挿入部を容易に抜け出ることができ
る。
【0030】
第七に、それ自体で剛性が不足した医療用糸が、生体組織に進入することができるよう
に別途のプッシュ手段を具備することにより、医療用糸の剛性不足による前進作用の困難
さを解決することができる。
【0031】
第八に、医療用糸の挿入経路を形成した後、医療用糸供給手段を管部材に嵌め込むこと
ができ、挿入経路を形成する過程では、医療用糸が干渉しなくなり、挿入経路形成作業が
容易になりながら、同時に医療用糸の損傷も防止することができる。
【0032】
第九に、医療用糸の挿入施術が容易になり、結局、医療用糸挿入施術の全体的所要時間
が短縮される。
【0033】
第十に、医療用糸を生体組織の所定の位置に挿入させ、しっかりと固定させることがで
きる。
【0034】
第十一に、組織を引き上げることができる医療用糸を身体に挿入することにより、身体
の垂下した皮膚及び組織をリフティングし、しわを除去することができる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面を参照して、本発明について詳細に説明する。本発明の図面に図示された実
施形態は、理解の一助とするために、特定部分の大きさが拡大されて図示されてもいる。
従って、構成要素間の大きさの比は、必ずしも本発明の図面に限定されるものではない。
【0037】
本発明の一実施形態による医療用糸挿入施術キットは、医療用糸の進路を形成する挿入
経路形成手段と、医療用糸を供給する医療用糸供給手段と、を含む医療用糸挿入装置;及
び挿入経路形成手段内で摺動され、医療用糸を後方からプッシュするプッシュ手段;を含
み、必要な場合、医療用糸を挿入する生体の皮膚組織を穿孔する穿孔手段も含む。
【0038】
図1は、本発明の一実施形態による医療用糸挿入装置の挿入経路形成手段100の組み
立てられた状態に係わる斜視図であり、
図2は、
図1の挿入経路形成手段の分解斜視図で
ある。
【0039】
図1及び
図2を参照すれば、本発明の一実施形態による医療用糸挿入装置は、医療用糸
が挿入される経路を形成する中空の導管124を具備する管部材120と、前記管部材1
20の導管124内部に挿入され、前記管部材120より大きい剛性(stiffness)を有
する支持ロッド114を含む支持部材110と、を具備する挿入経路形成手段100を具
備する。
【0040】
前記挿入経路形成手段100の管部材120は、生体の皮膚組織内で前進するので、組
織を損傷させないように、所定の可撓性を有する弾性の材質から形成される。例えば、前
記管部材120の導管124は、シリコン材質によって形成されてもよい。
【0041】
前記挿入経路形成手段100の支持部材110は、前記管部材120が可撓性を有する
ことにより、生体の皮膚組織内で前進するのに容易ではないという問題点を是正するため
に、管部材120内に挿入され、前記管部材120に必要なレベルの剛性を提供する。
【0042】
また、前記支持部材110は、施術者が把持するための支持部材の握り112から長手
方向に形成された支持台116から細長く延長された支持ロッド114を含むが、前記支
持ロッド114において、握り112の反対側には、支持ロッドの先端部118が形成さ
れる。
【0043】
図1及び
図2において、右側方向は、生体組織内の進行方向を示す。
【0044】
一方、前記管部材120の導管124の内側には、支持部材110の支持ロッド114
が挿入されて摺動され、前記支持部材110の支持ロッド114は、施術者が握り112
を後方(図面の左側方向)に引くことにより、前記管部材120の導管124と分離され
る。
【0045】
前記管部材120は、前記支持部材110の握り112に形成された支持台116より
小径に突設された挿入部108が挿入されて嵌め込まれる装着ホール126を具備した締
結部122を有する。前記装着ホール126の内側面は、テーパタイプになるように中空
の直径が変化して傾斜面をなす。
【0046】
前記装着溝126の内側面には、結合される部材の載置のために、半径内側方向に突出
する肩部が形成されている。
【0047】
従って、前記支持部材110の先端部118は、
図1に図示されているように、前記管
部材120の装着溝126を通過して導管124内部に置かれ、前記先端部118は、前
記管部材120の傾斜挿入部128を貫通していない位置に配置される。支持部材110
が管部材120に完全に挿入された状態で、前記支持部材110の先端部118は、実質
的に管部材120の傾斜挿入部128まで延長され、傾斜挿入部128を支持する。
【0048】
図3A及び
図3Bは、
図2のA部分に係わる2つの実施形態の拡大図である。
【0049】
図3Aを参照すれば、前記支持部材110の支持ロッド114の先端部118は、その
側断面が楕円の一部形状に形成され、
図3Bを参照すれば、前記支持部材100の支持ロ
ッド114の先端部118は、その側断面が円形の一部形状にもなる。前記支持ロッド1
14は、前記管部材120の導管124内に挿入された状態で組み込まれるので、前記支
持ロッド114の外径は、前記管部材120の導管124の内径より小さいか、あるいは
それと同じに形成される。
【0050】
図4Aないし
図4Eは、前記管部材120が生体組織を貫通するとき、進行方面の傾斜
挿入部128のさまざまな実施形態の拡大図である。
【0051】
図4Aないし
図4Eを参照すれば、傾斜挿入部128は、前記管部材120の導管12
4の一側端部にテーパタイプに形成されるが、そのような傾斜挿入部128の端部には、
傾斜挿入部128よりさらに傾くようにテーパタイプの二段傾斜部129が形成される。
【0052】
前記二段傾斜部129の中央には、中空の出口127が形成されるが、前記出口127
を介して、医療用糸及び支持体を含む医療用糸組立体が排出される。中空の出口127の
内径D1は、前記医療用糸組立体が通過することができる大きさに形成されるが、前記内
径D1より小さいサイズに医療用糸組立体が形成されることにより、前記医療用糸組立体
が、出口127を緩い状態で通過するのではなく、内径D1を弾性的に拡張させながら通
過する。
【0053】
図4Aでは、医療用糸組立体が出口127を弾性的に拡張させながら通過するように、
前記傾斜挿入部128には、いかなる切開ラインも形成されていない。しかし、
図4Bで
は、傾斜挿入部128に、長手方向に平行方向に、1本の切開ライン125が形成されて
いる。従って、医療用糸組立体が出口127を通過して排出されるとき、切開ライン12
5に沿って、傾斜挿入部128が湾曲して反ることにより、医療用糸組立体をして、出口
127を容易に通過して排出させる。
【0054】
図4Cには、切開ライン125が出口127を中心に互いに対面して2個形成された実
施形態が図示されており、
図4Dには、切開ライン125が出口127を中心に120°
間隔で3個形成された実施形態が図示されており、
図4Eには、切開ライン125が出口
127を中心に90°間隔で4個形成された実施形態が図示されている。
【0055】
図5には、本発明の一特徴の医療用糸挿入施術キットの一部になる穿孔手段200の斜
視図が図示されている。前記穿孔手段200は、施術者が、前記挿入経路形成手段100
の開始位置を形成し、挿入経路形成手段100が進行する組織内の進路に係わる大まかな
経路を確保するための手段である。
【0056】
前記穿孔手段200は、皮膚組織に穿孔ホールを形成するために、細長い穿孔ロッド2
12の端部に鋭い穿孔部214を具備し、前記穿孔ロッド212において、穿孔部214
の反対側端部には、握り210が形成される。
【0057】
本発明の一特徴による医療用糸挿入施術キットは、
図1の挿入経路形成手段100から
支持部材110が除去された後、管部材120に締結される医療用糸供給手段400(図
7A)において、医療用糸をプッシュするためのプッシュ手段300(
図6)を具備する
。
【0058】
前記プッシュ手段300は、施術者が把持するプッシュ手段300の握り310と、前
記握りから延長されるプッシュロッド312と、前記プッシュロッド312の端部に形成
され、医療用糸と接触して医療用糸をプッシュするプッシュ部314と、を含む。
【0059】
前記プッシュロッド312は、挿入経路形成手段100及び医療用糸供給手段400(
図7A)を貫通して突出する長さに形成される。
【0060】
図7Aは、医療用糸を供給する医療用糸供給手段400の斜視図であり、
図7Bは、図
7AのC部分に係わる拡大図である。
【0061】
図7A及び
図7Bを参照すれば、前記医療用糸供給手段400は、前記挿入経路形成手
段100が生体組織内に挿入され、医療用糸が挿入された経路が確保された後、管部材1
20が組織内に挿入されている状態を維持した状態で、支持部材110が除去された後に
前記管部材120に連結される。
【0062】
前記管部材120は、前記医療用糸供給手段400が連結されるテーパタイプの中空の
装着溝126(
図2)を具備した締結部122を含み、前記医療用糸供給手段400は、
挿入される医療用糸410を中空の医療用糸供給管426内側に具備する医療用糸保有部
420を具備する。
【0063】
このとき、前記医療用糸保有部420は、前記管部材120の前記装着溝126に締結
される相補的な形状を有するコネクタ424が形成された本体422を具備する。
【0064】
図7Bを参照すれば、前記医療用糸410の端部には、前記医療用糸を生体組織内に固
定させるための医療用糸支持体414が形成され、前記医療用糸支持体414は、前記医
療用糸供給管426の内部に配置されている。
【0065】
図7A及び
図7Bに図示された医療用糸供給手段400の例示的な実施形態において、
前記医療用糸410は、ループ形状を有し、両端部が寄せ集められた方向に、前記医療用
糸支持体414が配置される。このとき、前記医療用糸の支持体414は、前記医療用糸
の挿入方向側端部(図面の右側方向)から反対側端部(図面の左側方向)に行くほど直径
が大きくなる截頭型円錐状に形成されてもよい。すなわち、
図7Bに図示されているよう
に、医療用糸の支持体414において、医療用糸の挿入方向側端部の直径D1は、支持体
414の反対側端部の直径D2より小さく形成されるが、前記供給管426の内径D3は
、前記支持体414の最大径D2と同じであるか、あるいはそれよりさらに大きく形成さ
れる。
【0066】
一方、前記医療用糸供給管426内において、支持体414の設置位置を限定するため
に、医療用糸410の長手方向端部には結び目412が形成され、支持体414の設置位
置を指定することができる。
【0067】
図8は、本発明による医療用糸挿入装置において、例示的に、医療用糸が人体の顔に挿
入される位置P1と、固定される位置P2とを図示している。すなわち、本発明による医
療用糸挿入施術キットの穿孔手段200を利用して、医療用糸が皮膚組織に進入する位置
P1に穿孔手段を突き当てて穿孔ホールを形成し、医療用糸は、位置P1を介して挿入さ
れる挿入経路形成手段100によって組織内部に挿入され、所定の位置P2において、支
持体414によって組織に固定される。
【0068】
図9Aないし
図9Mは、本発明による医療用糸挿入施術キットを利用して、医療用糸を
生体組織に挿入する施術過程において、医療用糸挿入施術キットの各構成要素の使用順序
を図示している。
【0069】
図8及び
図9Aを参照すれば、穿孔手段200を利用して、生体の所定の位置P1を穿
孔する。続いて、施術者は、穿孔手段を抜き出した位置P1に、
図9Bに図示されている
ような挿入経路形成手段100を進入させる。このとき、前記挿入経路形成手段100は
、管部材120に支持部材110が組み付けられた状態で、生体組織に挿入される。この
過程において、管部材120自体は可撓性があり、管部材120自体だけでは皮膚組織内
において進入が容易ではないが、管部材120内に管部材より大きい剛性を有する支持部
材110が挿入され、管部材120の骨格の役割を果たし、挿入経路形成手段100は、
皮膚組織内において、実質的に所定の位置P2まで容易に進入する。
【0070】
次に、
図9Cに図示されているように、挿入経路形成手段100の端部が、皮膚組織の
実質として位置P2までに進入すれば、施術者は、管部材120が皮膚組織に挿入されて
いる状態で、挿入経路形成手段100から支持部材110のみを後退分離させて抜き取る
。
【0071】
次に、
図9D及び
図9Eに図示されているように、支持部材110が分離されて脱去さ
れたところに、すなわち、管部材120には、医療用糸供給手段400が挿入されて締結
される。このとき、前記装着溝126の内側面には、半径内側方向に突出する肩部126
aが形成されており、前記医療用糸供給手段400の一端部が管部材120の装着溝12
6に収容されれば、前記医療用糸供給管426(
図7A)の端部は前記肩部126aに載
置される。
【0072】
医療用糸供給手段400が挿入経路形成手段100の管部材120に締結された状態で
、
図9Fに図示されているように、プッシュ手段300が準備され、
図9G及び
図9Hに
図示されているように、プッシュ手段300を利用して、施術者は、管部材120に連結
された医療用糸供給手段400の医療用糸を後方からプッシュする。
【0073】
施術者が、プッシュ手段300を利用して医療用糸供給手段400の医療用糸をプッシ
ュすれば、医療用糸は、医療用糸供給手段400の供給管426を経て、挿入経路形成手
段100の管部材120内部にガイドされ、管部材120の端部の傾斜挿入部128の出
口127を介して抜け出る。
【0074】
医療用糸410が管部材120の傾斜挿入部を抜け出る過程において、
図9Jに図示さ
れているように、傾斜挿入部128は、医療用糸410が容易に抜け出るように、その直
径が拡張されて湾曲される。例えば、
図9Jに図示されているように、傾斜挿入部128
に形成された切開ラインを基準に、傾斜挿入部128が広がって直径が拡大され、その拡
大された直径の出口を介して、医療用糸410及び支持体414が抜け出る。
【0075】
次に、
図9Kに図示されているように、施術者は、プッシュ手段300をさらにプッシ
ュし、医療用糸410の支持体414を皮膚組織内に固定された位置に正確に合わせる。
この過程において、支持体414は截頭型円錐構造であるので、小径方向のみに移動する
ことができる一方向性を有するので、プッシュ手段300をプッシュする方向への追加的
な運動を介して支持体414の位置を指定する。
【0076】
支持体414が所定の位置に逹して固定されれば、次に、
図9Lに図示されているよう
に、プッシュ手段300、医療用糸供給手段400、挿入経路形成手段の管部材120を
いずれも後進させて抜き取る。この過程において、医療用糸410は、傾斜挿入部128
から完全に抜け出て皮膚組織内に配置される。
【0077】
図9Mに図示されているように、医療用糸410の支持体414は、截頭型円錐構造に
よって皮膚組織の所定地点に固定され、医療用糸410に形成された逆とげ413は、皮
膚組織を引き上げて固定する役割を行う。そのために、前記医療用糸410は、前記医療
用糸の挿入方向(図面で、右側方向)端部に向かって傾くように突出した逆とげ413を
具備する。
【0078】
その後、施術者は、医療用糸が挿入固定された状態で、皮膚組織を所定の方向にプッシ
ュすることにより、皮膚組織の引き上げ方向を合わせる。
【0079】
本発明の一実施形態に使用される医療用糸の支持体は、生体内に吸収されない材料によ
って製造されるが、目的によって、吸収が可能な(absorbable)材料によっても作られる
。例えば、ナイロン、ポリプロピレン(例えば、MESHなど)、ポリフッ化ビニリデン、ポ
リエステル、ステンレススチール、金、チタン、シリコン、メドポール、ゴアテックス、
メッシュ、ポリ乳酸(polylactic acid)、ポリジオキサノン(PDO、PDS)、乳酸
とグリコール酸(glycolic acid)とのコポリマーなどを使用することができるが、それ
らに制限されるものではない。生体内で吸収が可能な材料を使用する場合、身体内部の縫
合を実施した後、支持体を除去しなくともよいという利点がある。
【0080】
本発明の一実施形態に使用される医療用糸支持体の長さは、例えば、1〜10mmほど
であるが、それは一例であり、使用部位及びその目的によって調節可能である。本発明の
医療用糸支持体の両端の中空の直径は、例えば、小径の先方は約0.1〜2mmほど、大
径の後方は0.5〜5mmほどでもあるが、それは一例であり、糸の太さ及びその目的に
よって調節可能である。
【0081】
本発明の一実施形態によれば、逆とげが形成された医療用糸は、例えば、1筋、2筋、
3筋または4筋以上使用することができ、糸の太さ、使用目的によって適切にその数を調
節することができ、それぞれの医療用糸は、単一糸または多重糸がよられたり、あるいは
編まれたりしたものでもある。
【0082】
逆とげ413は、任意の必要な構成によって纎維上に配列され、本発明の技術分野にお
いて、周知されたものを含む任意の適切な方法を使用して形成される。そのような方法は
、ナイフまたはレーザ、プレス成形による射出成形、スタンピング、切断を含む。必要数
の鋭角の切断が医療用糸に作られる。逆とげ413の大きさは、本発明の技術分野の常識
の範囲において、目的によって適切に調節することができる。例えば、医療用糸に形成さ
れた逆とげ413の深さは、30〜100μmほどでもあり、医療用糸の直径によって調
節される。医療用糸の表面上に形成される逆とげ413間の間隔は、100μmないし1
mm、またはそれ以上でもある。
【0083】
本発明で使用される医療用糸は、例えば、高分子材料、金属材料または生物学的材料な
どさまざまな材料から作られるが、例えば、ポリプロピレン、金、ステンレススチール、
チタン、ナイロン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエステル、ブレイデッドシルク(braide
d silk)など吸収されない(non-adsorbable)材質からも作られ、あるいはポリジオキサ
ノン(PDO、PDS)のような吸収可能な(absorbable)材質からも作られるが、それ
らに制限されるものではない。
【0084】
図7Aに図示されているような本発明の一実施形態による医療用糸供給手段400に使
用された医療用糸410及び支持体414の医療用糸組立体以外にも、
図10Aないし図
10Cに例示的に図示された多様な形態の医療用糸410、並びに支持体414a及び逆
とげ414c,414eの医療用糸組立体が使用されてもよい。
【0085】
図10Aを参照すれば、医療用糸410は、一直線形態を有し、皮膚組織内に進入する
方向の端部には、一方向性を有する截頭型円錐構造の支持体414aが少なくとも一つ以
上配置され、医療用糸410の反対側端部には、医療用糸の挿入方向側端部(図面におい
て、右側方向)に向かって傾くように突出した多数の逆とげ414cが形成され、前記支
持体414aと前記逆とげ414cとの間には、前記支持体414aと反対方向への方向
性を有する截頭型円錐構造の固定部414bが多数配置されてもよい。
【0086】
選択的な実施形態として、
図10Bを参照すれば、医療用糸410は、一直線形態を有
し、皮膚組織内に挿入される方向の端部には、一方向性を有する截頭型円錐構造の支持体
414aが少なくとも一つ以上配置され、医療用糸410の反対側端部には、
図10Aの
逆とげの代わりに、支持体414aと反対方向の方向性を有する截頭型円錐構造の少なく
とも1つの固定部414d,414bが配置されてもよい。
【0087】
その場合、皮膚組織に進入する方向には、医療用糸のさらに大きい剛性が要求されるの
で、それを満足するために、皮膚組織に進入する方向への医療用糸の直径D5は、その反
対方向端部での医療用糸の直径D6より大きく形成される。
【0088】
選択的には、
図10Cに図示されているように、截頭型円錐構造の支持体414aの代
わりに、一方向性を有する逆とげ414c,414eが、医療用糸の両側端部に配置され
てもよい。
【0089】
図10Cを参照すれば、医療用糸410は、皮膚組織に進入する方向の端部に形成され
た逆とげが、皮膚組織に進入する方向の反対方向に向けて傾くように突出した逆とげ41
4eを具備し、前記逆とげ414eが配置された医療用糸の端部の反対側端部には、逆と
げ414eと反対方向に傾くように突出した逆とげ414dを具備する。
【0090】
その場合に、
図10Bと同様に、皮膚組織に進入する方向には、医療用糸のさらに大き
い剛性が要求されるので、それを満足するために、皮膚組織に進入する方向への医療用糸
の直径D7は、その反対方向端部での医療用糸の直径D8より大きく形成される。
【0092】
図11A及び
図11Bを参照すれば、
図9G及び
図9Lに図示された医療用糸挿入装置
において、医療用糸供給手段400の構成が変化された状態で図示されている。
図11A
及び
図11Bによる医療用糸供給手段は、医療用糸410と、医療用糸の端部に形成され
、医療用糸を生体組織内に固定させるための医療用糸支持体414と、を具備する。すな
わち、
図11A及び
図11Bによる変形された実施形態の医療用糸供給手段は、
図7Aの
医療用糸供給手段400において、医療用糸保有部420が省略された形態である。
【0093】
従って、
図11A及び
図11Bを参照すれば、前記医療用糸410と、その一端部に形
成された医療用糸支持体414とによって形成された医療用糸供給手段を、プッシュ手段
300のプッシュロッド312の端部に嵌め込み、分離可能になるように固定した後、管
部材120に挿入して医療用糸410をプッシュする。
【0094】
図面に図示された実施形態を参照して本発明を説明したが、それらは例示的なものに過
ぎず、本技術分野の通常の知識を有した者であるならば、それらから多様な変形、及び均
等な他の実施形態が可能であるという点を理解するであろう。特に、本発明の医療用糸挿
入装置は、たとえ顔肌のしわを減少させるためのリフティング施術(いわゆる、顔面挙上
施術)を例として挙げて説明したとしても、本発明の保護範囲は、それらに限定されるの
ではなく、人ではなく、動物を含め、身体の多様な部分において、垂下した皮膚や組織を
リフティングし、しわを減少させる施術を遂行するところにも適用され、皮膚しわ除去で
はない他の目的において、生体組織に引っ張り力を形成しなければならない医療的目的に
も使用される。従って、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想に
よって定められるものである。