(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも1つの実質的に水平の区域は2つの別々の実質的に水平の区域を含み、実質的に水平の区域の一方はシートの最も薄い部分を形成し、実質的に水平の区域の他方はシートの最も厚い部分を形成する、請求項1に記載のシート。
少なくとも1つのテーパー状の区域は1対の対向して傾斜しているテーパー状の区域を含み、少なくとも1つの実質的に水平の区域は、1対の対向して傾斜しているテーパー状の区域の間に配置されている実質的に水平の中央の区域を含み、及び/又は少なくとも1つの実質的に水平の区域は、1対の対向して傾斜しているテーパー状の区域によって互いから離隔されている2つの実質的に平坦な端部の区域を含む、請求項1に記載のシート。
シートは、少なくとも第1のポリマー層、及び第1のポリマー層に隣接する第2のポリマー層を含む多層シートであり、シート中に存在している少なくとも1種類のポリマー樹脂はポリ(ビニルアセタール)樹脂を含み、第1及び第2のポリマー層の少なくとも1つはポリ(ビニルアセタール)樹脂及び少なくとも1種類の可塑剤を含む、請求項1に記載のシート。
シートは特徴(ii)を示し、中心線の反対側に位置する2つの対向して傾斜しているテーパー状の区域を更に含み、対向して傾斜しているテーパー状の区域のそれぞれは2つの傾斜区域の1つを含む、請求項9に記載のシート。
シートは特徴(iii)を更に示し、少なくとも1つの実質的に水平の区域は、中心線によって二分されている実質的に水平の中央の区域を含み、及び/又は少なくとも1つの実質的に水平の区域は、互いから離隔しており、中心線の反対側に位置する2つの実質的に水平の端部の区域を含む、請求項9に記載のシート。
シートは、少なくとも第1のポリマー層、及び第1のポリマー層に隣接する第2のポリマー層を含む多層ポリマーシートを含み、第1及び第2のポリマー層の少なくとも1つはポリ(ビニルアセタール)樹脂及び少なくとも1種類の可塑剤を含む、請求項9に記載のシート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[025]本明細書においては、安全ガラスパネルなどの多層パネルにおいて用いるのに好適なポリマー樹脂シート及び中間膜を記載する。幾つかの態様によれば、本発明のポリマーシート及び中間膜には、少なくとも1つのテーパー状の部分又は区域を含めることができる。本明細書において用いる「テーパー状」という用語は、ポリマーシート又は中間膜における不均一又は変化する厚さの領域を指す。幾つかの態様においては、テーパー状の区域は概してくさび形状の断面を有していて、テーパー状の区域の厚さがその長さ及び/又は幅の少なくとも一部に沿って変化し、テーパー状の区域の1つの端部は他よりも大きな厚さを有するようになっていてよい。テーパー状の区域によって画定される少なくとも1つのくさび角度は実質的に一定であってよく、或いは変化していてよく、テーパー状の区域は線状及び/又は湾曲した厚さプロファイルを有していてよい。少なくとも1つのテーパー状の区域を有するポリマーシート及び中間膜の更なる態様は、直ぐ下記において詳細に議論する。ここで記載するポリマーシート及び中間膜は、例えば自動車及び航空機用途において用いるためのヘッドアップディスプレイ(HUD)パネルなどの種々のタイプの多層パネルにおいて有用である可能性がある。
【0013】
[0026]本明細書において用いる「ポリマー樹脂シート」及び「樹脂シート」という用語は、場合によっては1種類以上の可塑剤と混合され、シートに成形されている1種類以上のポリマー樹脂を指す。ポリマーシートには1種類以上の更なる添加剤を更に含めることができ、1以上の樹脂層を含めることができる。幾つかの態様においては、ポリマーシートは、本明細書に記載する1以上の中間膜を形成するために用いる中間体ポリマー樹脂シートであってよい。本明細書において用いる「中間膜」という用語は、少なくとも1つの硬質基材と共に用いて多層パネルを形成するのに好適な可能性がある単層又は多層ポリマーシートを指す。「モノリシック」中間膜という用語は単一のポリマーシートで形成されている中間膜を指し、一方で「複数層」及び「多層」という用語は、共押出、積層、又は他の形態で互いと結合されている互いの上に積層されている2以上の樹脂層を有する中間膜を指す。
【0014】
[027]少なくとも1つのテーパー状の区域を含むことに加えて、本明細書に記載するポリマーシート及び中間膜にはまた、0.05mrad未満のくさび角度を形成する対向面を有する少なくとも1つの実質的に水平の区域も含めることができる。実質的に水平の区域は、0.025mrad未満、0.010mrad未満、又は0のくさび角度を有していてよい。実質的に水平の区域は均一な厚さを有していてよい。
【0015】
[028]幾つかの態様においては、ポリマーシート又は中間膜には、少なくとも約1、少なくとも約2、少なくとも約3、少なくとも約4、又はそれ以上の実質的に水平の区域を含めることができ、これらはシート又は中間膜の1以上のテーパー状の区域に隣接して配置することができる。幾つかの態様においては、ポリマーシート又は中間膜には水平の区域を含めなくてよい。存在させる場合には、実質的に水平の区域は、シート又は中間膜の最も薄い部分を形成していてよく、或いは水平の区域はシート又は中間膜の最も厚い部分を形成していてよい。シート又は中間膜が2以上の水平の区域を含む場合には、少なくとも1つの水平の区域はシート又は中間膜の最も薄い部分を形成していてよく、或いは少なくとも1つの他の水平の区域はシート又は中間膜の最も厚い部分を形成していてよい。少なくとも1つのテーパー状の区域及び少なくとも1つの随意的な水平の区域を有するポリマーシート及び中間膜の具体例は、直ぐ下記において図面に関連して詳細に議論する。
【0016】
[029]本発明の幾つかの態様によれば、少なくとも1つのテーパー状の区域及び場合によっては少なくとも1つの水平の区域を含んでいてよいポリマーシート又は中間膜は、増大した表面粗さの領域を含む少なくとも一つの表面を有していてよい。かかる粗さは、例えば、ポリマーシートをその形成中にメルトフラクチャーすること、及び/又は例えばエンボス加工のような形成後加工することによって生成させることができる。エンボス加工によって増大した表面粗さの領域を形成する場合には、これは「エンボス加工された表面領域」と呼ぶ場合がある。ポリマーシート又は中間膜の少なくとも一つの表面がエンボス加工された表面領域を含む場合には、エンボス加工された領域の全表面積は、ポリマーシート又は中間膜の少なくとも一つの表面の全面積の少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は少なくとも約97%であってよい。幾つかの態様においては、ポリマーシート又は中間膜の少なくとも一つの表面の全面積の約5%未満、約3%未満、約2%未満、又は約1%未満は、エンボス加工されていなくてよい。
【0017】
[030]シート又は中間膜のエンボス加工された表面領域は、R
zによって測定して少なくとも約10ミクロン(μm)、少なくとも約15μm、少なくとも約20μm、少なくとも約25μm、少なくとも約30μm、又は少なくとも約35μm、及び/又は約120μm以下、約100μm以下、約80μm以下、又は約75μm以下の表面粗さを有していてよく、或いはそれは約10μm〜約120μm、約15μm〜約100μm、又は約20μm〜約90μmの範囲の表面粗さを有していてよい。ポリマーシートの表面の表面粗さ:R
zは、国際標準化機構のDIN−ES−ISO−4287及び米国機械学会のASME−B46.1にしたがって、10点平均粗さによって測定される。一般に、これらのスケール下において、R
zは、連続サンプリング長さの単一の粗さ深さ:R
zi(即ち、サンプリング長さ内の最も高いピークと最も深い谷部の間の垂直距離)の算術平均値として計算される。
【0019】
国際標準化機構のDIN−ES−ISO−4287及び米国機械学会のASME−B46.1にしたがうR
z値の計算のグラフ表示を
図1に与える。計算において、それぞれのトレースの長さ(l
R)は17.5ミリメートルであり、これはそれぞれ2.5ミリメートルの7つの連続試料長さ(l
c)から構成される。測定長さ(l
m)は12.5ミリメートルであり、これはそれぞれのトレースの1番目及び最後のセクションを排除することによって得られる5つの連続試料長さ(l
c)から構成される。
【0020】
[031]本発明の幾つかの態様においては、ポリマーシート又は中間膜のエンボス加工された表面領域の粗さは、実質的に均一であってよい。例えば、エンボス加工された表面領域の少なくとも約75%が、エンボス加工された表面領域全体に関する平均R
z値の約25%以内の表面粗さを有していてよい。言い換えれば、エンボス加工された表面領域の少なくとも75%は、エンボス加工された表面領域全体に関する平均R
z値よりも25%以下高く及び25%以下低い表面粗さを有していてよい。
【0021】
[032]幾つかの態様においては、エンボス加工された表面領域の少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は少なくとも約97%は、エンボス加工された表面領域全体の平均R
z値の約25%以内、約20%以内、約15%以内、約10%以内、又は約5%以内の表面粗さを有していてよい。幾つかの態様においては、エンボス加工された表面領域の少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、又は少なくとも約95%は、エンボス加工された表面領域全体の平均R
z値の約25%以内の表面粗さを有していてよく、幾つかの態様においては、エンボス加工された表面領域の少なくとも約75%は、エンボス加工された表面領域全体の平均R
z値の約20%以内、約15%以内、約10%以内、又は約5%以内の表面粗さを有していてよい。幾つかの態様においては、エンボス加工された表面領域の少なくとも約90%は、エンボス加工された表面領域全体の平均R
z値の約15%以内の表面粗さを有していてよい。
【0022】
[033]ここで
図2を参照すると、代表的なテーパー状の中間膜の断面図が与えられている。
図2に示すように、中間膜のテーパー状の区域は、テーパー状の区域の第1の境界において測定される最小厚さ:T
min、及びテーパー状の区域の第2の境界において測定される最大厚さ:T
maxを有する。幾つかの態様においては、T
minは、少なくとも約0.25ミリメートル(mm)、少なくとも約0.40mm、又は少なくとも約0.60mm、及び/又は1.2mm以下、約1.1mm以下、又は約1.0mm以下であってよい。更に、T
minは、0.25mm〜1.2mm、0.4mm〜1.1mm、又は0.60mm〜1.0mmの範囲であってよい。幾つかの態様においては、T
maxは、少なくとも約0.38mm、少なくとも約0.53mm、又は少なくとも約0.76mm、及び/又は2.2mm以下、約2.1mm以下、又は約2.0mm以下であってよい。更に、T
maxは、0.38mm〜2.2mm、0.53mm〜2.1mm、又は0.76mm〜2.0mmの範囲であってよい。幾つかの態様においては、T
maxとT
minの間の差は、少なくとも約0.13mm、少なくとも約0.15mm、少なくとも約0.2mm、少なくとも約0.25mm、少なくとも約0.3mm、少なくとも約0.35mm、少なくとも約0.4mm、及び/又は1.2mm以下、約0.9mm以下、約0.85mm以下、約0.8mm以下、約0.75mm以下、約0.7mm以下、約0.65mm以下、又は約0.6mm以下であってよい。更に、T
maxとT
minの間の差は、0.13mm〜1.2mm、0.25mm〜0.75mm、又は0.4mm〜0.6mmの範囲であってよい。幾つかの態様においては、テーパー状の区域の第1と第2の境界の間の距離(即ちテーパー状の区域の幅)は、少なくとも約5センチメートル(cm)、少なくとも約10cm、少なくとも約15cm、少なくとも約20cm、又は少なくとも約30cm、及び/又は約200cm以下、約150cm以下、約125cm以下、約100cm以下、又は約75cm以下であってよい。更に、テーパー状の区域の幅は、5cm〜200cm、15cm〜125cm、又は30cm〜75cmの範囲であってよい。
【0023】
[034]
図2に示すように、テーパー状の中間膜は、対向する第1及び第2の外側末端部を含む。幾つかの態様においては、第1と第2の外側末端部の間(即ち中間膜の幅)は、少なくとも約20cm、少なくとも約40cm、又は少なくとも約60cm、及び/又は約400cm以下、約200cm以下、又は約100cm以下であってよい。更に、中間膜の幅は、20cm〜400cm、40cm〜200cm、又は60cm〜100cmの範囲であってよい。
図2に示す態様においては、テーパー状の区域の第1及び第2の境界は、中間膜の第1及び第2の外側末端部から内側に離隔している。かかる態様においては、中間膜の一部のみがテーパー状である。テーパー状の区域が中間膜の一部のみを形成している場合には、中間膜の幅とテーパー状の区域の幅との比は、少なくとも約0.05:1、少なくとも約0.1:1、少なくとも約0.2:1、少なくとも約0.3:1、少なくとも約0.4:1、少なくとも約0.5:1、少なくとも約0.6:1、又は少なくとも約0.7:1、及び/又は約1:1以下、約0.95:1以下、約0.9:1以下、約0.8:1以下、又は約0.7:1以下であってよい。更に、中間膜の幅とテーパー状の区域の幅との比は、0.05:1〜1:1、又は0.3:1〜0.9:1の範囲であってよい。下記に議論する別の態様においては、中間膜全体がテーパー状であってよい。中間膜全体がテーパー状である場合には、テーパー状の区域の幅は中間膜の幅に等しく、テーパー状の区域の第1及び第2の境界は、それぞれ第1及び第2の外側末端部に位置する。かかる態様によれば、中間膜は水平の区域を有していなくてよい。
【0024】
[035]
図2に示すように、中間膜のテーパー状の区域は、第1及び第2のテーパー状の区域の境界が中間膜の第1の(上)表面と交差する中間膜の2つの点を通って伸びる第1の基準線と、第1及び第2のテーパー状の区域の境界が中間膜の第2の(下)表面と交差する2つの点を通って伸びる第2の基準線との間に形成される角度として規定されるくさび角度を有する。幾つかの態様においては、テーパー状の区域のくさび角度は、少なくとも約0.10ミリラジアン(mrad)、少なくとも約0.13mrad、少なくとも約0.15mrad、少なくとも約0.2mrad、少なくとも約0.25mrad、少なくとも約0.3mrad、少なくとも約0.35mrad、少なくとも約0.4mrad、及び/又は約1.2mrad以下、約1.0mrad以下、約0.9mrad以下、約0.85mrad以下、約0.8mrad以下、約0.75mrad以下、約0.7mrad以下、約0.65mrad以下、又は約0.6mrad以下であってよい。更に、テーパー状の区域のくさび角度は、0.13mrad〜1.2mrad、0.25mrad〜0.75mrad、又は0.4mrad〜0.6mradの範囲であってよい。
【0025】
[036]テーパー状の区域の第1及び第2の表面がそれぞれ平面状である場合には、テーパー状の区域のくさび角度は、単純に第1の(上)表面と第2の(下)表面の間の角度である。幾つかの態様においては、くさび角度は、線状の厚さプロファイルを有する実質的に一定のくさび角度であってよい。しかしながら、下記において更に詳細に議論するように、幾つかの態様においては、テーパー状の区域は、曲線状の厚さプロファイル及び連続的に変化するくさび角度を有する少なくとも1つの変動角度の区域を含んでいてよい。更に、幾つかの態様においては、テーパー状の区域は2以上の一定角度の区域を含んでいてよい。これらの態様においては、一定角度の区域のそれぞれは線状の厚さプロファイルを有していてよいが、一定角度の区域の少なくとも2つは異なるくさび角度を有していてよい。
【0026】
[037]
図2に示すように、中間膜は、テーパー状の区域と第1及び第2の外側末端部の間に位置する1対の水平の区域を含むものとして示されている。第1の外側末端部とテーパー状の区域の間に配置される第1の水平の区域は、中間膜の最も薄い部分を形成する。
図2に示すように、第1の水平の区域は、テーパー状の層の最小厚さ:T
minにほぼ等しい厚さを有する。
図2に示す中間膜のテーパー状の区域と第2の外側末端部の間に配置される第2の水平の区域は、中間膜の最も厚い部分を形成する。
図2に示すように、第2の水平の区域は、テーパー状の層の最大厚さ:T
maxにほぼ等しい厚さを有する。
図2に示すように、それぞれの水平の区域の上表面及び底表面は互いに対して平行であるので、第1及び第2の水平の区域のそれぞれは、0.10未満、約0.05未満、又は0のくさび角度を有していてよい。幾つかの態様においては、
図2に示す第1及び第2の水平の区域の少なくとも1つは、中間膜に存在させなくてよい。
【0027】
[038]ここで
図3〜8を参照すると、本発明の種々の態様にしたがって構成される種々のテーパー状の中間膜が示されている。
図3は、中間膜20の第1の外側末端部24aから中間膜20の第2の外側末端部24bに完全に及んでいるテーパー状の区域22を含む中間膜20を示す。この構造においては、テーパー状の区域の第1及び第2の境界は、中間膜の第1及び第2の外側末端部24a、bに位置する。
図3に示す中間膜20のテーパー状の区域22の全体は、単純に中間膜20の平面状の第1(上)及び第2(下)の平面状の表面の間に形成される角度である一定のくさび角度:θを有する。
【0028】
[039]
図4は、テーパー状の区域32及び水平の区域33を含む中間膜30を示す。テーパー状の区域32の第1の境界35aは中間膜30の第1の外側末端部34aに位置し、一方でテーパー状の区域32の第2の境界35bは、テーパー状の区域32と水平の区域33が交わる箇所に位置する。テーパー状の区域32は、一定角度の区域36及び変動角度の区域37として
図4に示す、異なるくさび角度を有する2つの傾斜区域を含む。一定角度の区域36は線状の厚さプロファイル及び実質的に一定のくさび角度:θ
cを有し、一方で変動角度の区域37は曲線状の厚さプロファイル及び連続的に変化するくさび角度を有する。変動角度の区域37の出発くさび角度は一定のくさび角度:θ
cに等しく、変動角度の区域37の終了くさび角度は0である。
図4に示す中間膜30は、テーパー状の区域32全体の全体的なくさび角度よりも大きい一定のくさび角度:θ
cを有する。
【0029】
[040]
図5は、第1の水平の区域43aと第2の水平の区域43bの間に位置するテーパー状の区域42を含む中間膜40を示す。テーパー状の区域42の第1の境界45aは、テーパー状の区域42と第1の水平の区域43aが交わる箇所に位置し、一方でテーパー状の区域42の第2の境界45bは、テーパー状の区域42と水平の区域43bが交わる箇所に位置する。テーパー状の区域42は、第1の変動角度の区域47aと第2の変動角度の区域47bの間に位置する一定角度の区域46を含む。第1の変動角度の区域47aは、一定の厚さの第1の領域43aと一定角度の区域46の間の遷移区域を形成する。第2の変動角度の区域47bは、一定の厚さの第2の領域43bと一定角度の区域46の間の遷移区域を形成する。一定角度の区域46は線状の厚さプロファイル及び一定のくさび角度:θ
cを有し、一方で第1及び第2の変動角度の区域47a及び47bは曲線状の厚さプロファイル及び連続的に変化するくさび角度を有する。第1の変動角度の区域47aの出発くさび角度は0に等しく、第1の変動角度の区域47bの終了くさび角度は一定のくさび角度:θ
cに等しい。第2の変動角度の区域47bの出発くさび角度は一定のくさび角度:θ
cに等しく、第2の変動角度の区域47bの終了くさび角度は0に等しい。
図5に示す中間膜40は、テーパー状の区域42全体の全体的なくさび角度よりも大きい一定のくさび角度:θ
cを有する。
【0030】
[041]
図6は、一定の厚さの第1領域53aと第2の領域53bの間に位置するテーパー状の区域52を含む中間膜50を示す。中間膜50のテーパー状の区域52は、一定角度の区域を含まない。それどころか、中間膜50のテーパー状の区域52全体は、曲線状の厚さプロファイル及び連続的に変化するくさび角度を有する変動角度の区域である。上記に記載したように、テーパー状の区域52の全体的なくさび角度:θは、テーパー状の区域52の第1及び第2の境界55a及び55bが中間膜50の第1の(上)表面と交わる2つの点を通って伸びる第1の基準線「A」と、テーパー状の区域52の第1及び第2の境界55a及び55bが中間膜50の第2の(下)表面と交わる2つの点を通って伸びる第2の基準線「B」との間の角度として測定される。しかしながら、テーパー状の区域52内において、曲線状の厚さプロファイルは、テーパー状の区域52全体の全体的なくさび角度:θよりも大きいか、小さいか、又は等しくてよい無限数のくさび角度を与える。
【0031】
[042]
図7は、水平の区域を含まない中間膜60を示す。それどころか、中間膜60のテーパー状の区域62は中間膜60全体を形成する。而して、テーパー状の区域60の第1及び第2の境界65a及び65bは、中間膜60の第1及び第2の外側末端部64a及び64bに位置する。中間膜60のテーパー状の区域62は、第1及び第2の変動角度の区域47a及び47bによって離隔されている第1、第2、及び第3の一定角度の区域46a、46b及び46cとして
図7に示す、異なるくさび角度を有する2つより多い傾斜区域を含む。第1、第2、及び第3の一定角度の区域46a、46b及び46cは、それぞれ線状の厚さプロファイルを有し、それぞれは、それぞれ固有の第1、第2、及び第3の一定のくさび角度:θ
c1、θ
c2、θ
c3を有する。第1の変動角度の区域47aは、第1の一定角度の区域46aと第2の一定角度の区域46bの間の遷移区域として機能する。第2の変動角度の区域47bは、第2の一定角度の区域46bと第3の一定角度の区域46cの間の遷移区域として機能する。上記で議論したように、テーパー状の区域62の全体的なくさび角度:θは、第1の基準線「A」と第2の基準線「B」の間の角度として測定される。第1の一定のくさび角度:θ
c1は、テーパー状の区域62の全体的なくさび角度:θよりも小さい。第2の一定のくさび角度:θ
c2は、テーパー状の区域62の全体的なくさび角度:θよりも大きい。第3の一定のくさび角度:θ
c3は、テーパー状の区域62の全体的なくさび角度:θよりも小さい。第1の変動角度の区域47aのくさび角度は、第1の一定のくさび角度:θ
c1から第2の一定のくさび角度:θ
c2へ連続的に増加する。第2の変動角度の区域47bのくさび角度は、第2の一定のくさび角度:θ
c2から第3のくさび角度:θ
c3へ連続的に減少する。
【0032】
[043]
図8は、一定の厚さの第1の領域73aと第2の領域73bの間に位置するテーパー状の区域72を含む中間膜70を示す。テーパー状の区域72の第1境界75a及び第2の境界75bは、中間膜70の第1及び第2の外側末端部74a及び74bから内側に離隔している。中間膜70のテーパー状の区域72は、異なるくさび角度を有する2以上の傾斜区域を含んでいてよく、
図8に示すように、第1、第2、第3、及び第4の変動角度の区域77a、77b、77c、及び77d、並びに第1、第2、及び第3の一定角度の区域76a、76b、及び76cを含んでいてよい。第1の変動角度の区域77aは、一定の厚さの第1の領域73aと第1の一定角度の区域76aの間の遷移区域として機能する。第2の変動角度の区域77bは、第1の一定角度の区域76aと第2の一定角度の区域76bの間の遷移区域として機能する。第3の変動角度の区域77cは、第2の一定角度の区域76bと第3の一定角度の区域76cの間の遷移区域として機能する。第4の変動角度の区域77dは、第3の一定角度の区域76cと一定の厚さの第2の領域73bの間の遷移区域として機能する。第1、第2、及び第3の一定角度の区域76a、76b、及び76cは、それぞれ線状の厚さプロファイルを有し、それぞれは、それぞれ固有の第1、第2、及び第3の一定のくさび角度:θ
c1、θ
c2、θ
c3を有する。上記で議論したように、第1、第2、第3、及び第4の変動角度の区域77a、77b、77c及び77dは、変動角度の区域77の一方の側における一定角度の区域のくさび角度から、変動角度の区域77の他方の側における一定角度の区域のくさび角度へ連続的に遷移するくさび角度を有する。
【0033】
[044]上記で議論したように、テーパー状の中間膜は、それぞれがテーパー状の区域全体の全体的な幅よりも小さい幅を有し、それぞれがテーパー状の区域全体の全体的なくさび角度と同じか又は異なるくさび角度を有する1以上の傾斜区域を含んでいてよい。例えば、テーパー状の区域は、実質的に一定角度の区域及び/又は変動角度の区域であってよい1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、又はそれ以上の傾斜区域を含んでいてよい。複数の一定角度の区域を用いる場合には、一定角度の区域は、隣接する一定角度の区域の間で遷移するように働く変動角度の区域によって互いから離隔していてよい。
【0034】
[045]幾つかの態様においては、例えばそれぞれの一定角度の区域などのそれぞれの傾斜区域の幅は、少なくとも約2cm、少なくとも約5cm、少なくとも約10cm、少なくとも約15cm、又は少なくとも約20cm、及び/又は約150cm以下、約100cm以下、又は約50cm以下であってよい。幾つかの態様においては、それぞれの傾斜区域又はそれぞれの一定角度の区域の幅と、テーパー状の区域全体の全体的な幅との比は、少なくとも約0.1:1、少なくとも約0.2:1、少なくとも約0.3:1、又は少なくとも約0.4:1、及び/又は約0.9:1以下、約0.8:1以下、約0.7:1以下、約0.6:1以下、又は約0.5:1以下であってよい。
【0035】
[046]幾つかの態様においては、それぞれの一定角度の区域のくさび角度は、少なくとも約0.10mrad、少なくとも約0.13mrad、少なくとも約0.15mrad、少なくとも約0.2mrad、少なくとも約0.25mrad、少なくとも約0.3mrad、少なくとも約0.35mrad、又は少なくとも約0.4mrad、及び/又は約1.2mrad以下、約1.0mrad以下、約0.9mrad以下、約0.85mrad以下、約0.8mrad以下、約0.75mrad以下、約0.7mrad以下、約0.65mrad以下、又は約0.6mrad以下であってよい。更に、それぞれの一定角度の区域のくさび角度は、0.13mrad〜1.2mrad、0.25mrad〜0.75mrad、又は0.4mrad〜0.6mradの範囲であってよい。幾つかの態様においては、少なくとも1つの一定角度の区域のくさび角度は、テーパー状の区域全体の全体的なくさび角度よりも少なくとも約0.01mrad、少なくとも約0.05mrad、少なくとも約0.1mrad、少なくとも約0.2mrad、少なくとも約0.3mrad、又は少なくとも約0.4mrad大きい。幾つかの態様においては、少なくとも1つの一定角度の区域のくさび角度は、テーパー状の区域全体の全体的なくさび角度よりも少なくとも約0.01mrad、少なくとも約0.05mrad、少なくとも約0.1mrad、少なくとも約0.2mrad、少なくとも約0.3mrad、又は少なくとも約0.4mrad小さい。幾つかの態様においては、少なくとも1つの一定角度の区域のくさび角度は、テーパー状の区域全体の全体的なくさび角度よりも約0.4mrad以下、約0.3mrad以下、約0.2mrad以下、約0.1mrad以下、約0.05mrad以下、又は約0.01mrad以下大きい。幾つかの態様においては、少なくとも1つの一定角度の区域のくさび角度は、テーパー状の区域全体の全体的なくさび角度よりも約0.4mrad以下、約0.3mrad以下、約0.2mrad以下、約0.1mrad以下、約0.05mrad以下、又は約0.01mrad以下小さい。
【0036】
[047]ここで
図9及び10を参照すると、本発明の幾つかの態様にしたがって構成される2種類のポリマー樹脂シートが与えられている。
図9及び10のそれぞれに示すそれぞれのポリマーシート80及び90は、テーパー状の区域A及びBとして示される対向して傾斜しているテーパー状の区域、及び少なくとも1つの水平の区域を含む。シート80及び90のそれぞれのテーパー状の区域は、1対の第1及び第2の境界線の間に画定されており、少なくとも1つのくさび角度を含む。最大厚さ(
図9におけるT
Amax及びT
Bmax、並びに
図10におけるT
max)、及び最小厚さ(
図9におけるT
min、並びに
図10におけるT
Amin及びT
Bmin)などのテーパー状の区域の寸法、並びにそれぞれのくさび角度に関するタイプ及び範囲は、上記に記載した1以上の範囲内であってよい。幾つかの態様においては、ポリマーシート80及び90は、
図9及び10に示すように中心線に対して対称であって、中心線の一方の側におけるテーパー状の区域が他方のテーパー状の区域の鏡像であるようになっていてよい。他の態様においては、テーパー状の区域A及びBの形状が異なっていて、シートがその中心線に対して非対称であるようになっていてよい。
図9及び10においては
図5に示す中間膜と同様の外形を有するものとして示しているが、本発明の幾つかの態様にしたがって構成されるポリマーシートのテーパー状の区域の外形は、上記の
図3〜8に示す1以上の形状を含む任意の好適な形状であってよい。
【0037】
[048]
図9及び10に示すように、ポリマーシート80及び90は、それぞれ対向して傾斜しているテーパー状の区域A及びBの間に配置される中央の水平の区域を含む。ポリマーシートのテーパー状の区域が
図9に示すように互いに向かって対向して傾斜している場合には、2つのテーパー状の区域の間に配置される中央の水平の区域は、シートの最も薄い部分を形成していてよい。或いは、テーパー状の区域が
図10に示すように互いから離れて対向して傾斜している場合には、中央の水平の区域はシートの最も厚い部分を形成していてよい。更に、
図9及び10に示すように、ポリマーシート80及び90は、互いから離隔しており、中心線の反対側に位置する1対の外側の水平の区域を更に含んでいてよい。外側の水平の区域は、
図9に示すようにシートの最も厚い部分、或いは
図10に示すようにシートの最も薄い部分を形成していてよい。
図9及び10においては2つのテーパー状の区域を含むように示しているが、ここに記載するポリマーシートは、
図9及び10に示す態様の一方又は両方と同様に構成される少なくとも約3つ、少なくとも約4つ、又は少なくとも約5つのテーパー状の区域を含んでいてよい。或いは、外側の水平の区域の1以上を、ポリマーシート80及び/又は90に存在させないようにすることができる。
【0038】
[049]ここに記載するポリマー樹脂シート及び中間膜には、少なくとも1種類のポリマー樹脂を含めることができる。樹脂は、例えば1種類以上の熱可塑性ポリマーなどの任意の好適なポリマーであってよい。好適な熱可塑性ポリマーの例としては、ポリ(ビニルアセタール)樹脂、ポリウレタン(PU)、ポリ(エチレン−co−ビニル)アセテート(EVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ(塩化ビニル−co−メタクリレート)、ポリエチレン、ポリオレフィン、エチレンアクリレートエステルコポリマー、ポリ(エチレン−co−ブチルアクリレート)、シリコーンエラストマー、エポキシ樹脂、並びに上記に示した任意のポリマーから誘導されるエチレン/カルボン酸コポリマー及びそのイオノマーのような酸コポリマー、並びにこれらの組合せを挙げることができるが、これらに限定されない。幾つかの態様においては、熱可塑性ポリマーは、ポリ(ビニルアセタール)樹脂、ポリ塩化ビニル、及びポリウレタンからなる群から選択することができ、或いは樹脂には1種類以上のポリ(ビニルアセタール)樹脂を含めることができる。
【0039】
[050]ここに記載するポリマーシート又は中間膜が少なくとも1種類のポリ(ビニルアセタール)樹脂を含む場合には、ポリ(ビニルアセタール)樹脂は任意の好適な方法にしたがって形成することができる。ポリ(ビニルアセタール)樹脂は、ポリビニルアルコールを酸触媒の存在下で1種類以上のアルデヒドによってアセタール化することによって形成することができる。得られる樹脂は、次に、例えば米国特許2,282,057及び2,282,026、並びに"Vinyl Acetal Polymers", Encyclopedia of Polymer Science & Technology, 3版, vol.8, p.381-399, B.E. Wade (2003)に記載されているもののような公知の方法にしたがって分離し、安定化し、乾燥することができる。得られるポリ(ビニルアセタール)樹脂は、他に示していない限りにおいては、ASTM−D1396にしたがって測定して少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約75重量%、少なくとも約80重量%、又は少なくとも約85重量%の全アセタール化度を有していてよい。ポリ(ビニルアセタール)樹脂中のアルデヒド残基の全量はアセタール成分として総称することができ、ポリ(ビニルアセタール)樹脂の残りは残留ヒドロキシル及び残留アセテート基であり、これは下記において更に詳細に議論する。
【0040】
[051]ポリ(ビニルアセタール)樹脂には、任意の好適なアルデヒドの残基を含めることができ、幾つかの態様においては、少なくとも1種類のC
1〜C
10アルデヒド、少なくとも1種類のC
4〜C
8アルデヒドの残基を含めることができる。好適なC
4〜C
8アルデヒドの例としては、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、2−メチルバレルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、2−エチルヘキシルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、及びこれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。ポリ(ビニルアセタール)樹脂には、樹脂のアルデヒド残基の全重量を基準として少なくとも約20重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、又は少なくとも約70重量%の少なくとも1種類のC
4〜C
8アルデヒドの残基を含めることができ、及び/又は約90重量%以下、約85重量%以下、約80重量%以下、約75重量%以下、約70重量%以下、又は約65重量%以下の少なくとも1種類のC
4〜C
8アルデヒド、或いは約20重量%〜約90重量%、約30重量%〜約80重量%、又は約40重量%〜約70重量%の範囲の少なくとも1種類のC
4〜C
8アルデヒドを含めることができる。C
4〜C
8アルデヒドは上記に示した群から選択することができ、或いはこれはn−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、2−エチルヘキシルアルデヒド、及びこれらの組合せからなる群から選択することができる。
【0041】
[052]ポリ(ビニルアセタール)樹脂がポリ(ビニルn−ブチラール)(PVB)樹脂である場合には、アセタール成分又は全アルデヒド残基の90重量%より多く、少なくとも約95重量%、少なくとも約97重量%、又は少なくとも約99重量%は、n−ブチルアルデヒドの残基を含んでいてよい。更に、ポリ(ビニルn−ブチラール)樹脂は、その樹脂のアルデヒド残基の全重量を基準として10重量%未満、約5重量%以下、約2重量%以下、約1重量%以下、又は約0.5重量%以下のn−ブチルアルデヒド以外のアルデヒドの残基を含んでいてよい。
【0042】
[053]幾つかの態様においては、存在する場合には、ポリマーシート又は中間膜中のポリ(ビニルアセタール)樹脂は、ここに与える1以上の範囲内の残留ヒドロキシル含量及び残留アセテート含量を有していてよい。本明細書において用いる「残留ヒドロキシル含量」及び「残留アセテート含量」という用語は、それぞれ処理が完了した後に樹脂上に残留しているヒドロキシル及びアセテート基の量を指す。例えば、ポリビニルn−ブチラールは、ポリ酢酸ビニルをポリビニルアルコールに加水分解し、次にポリビニルアルコールをn−ブチルアルデヒドによってアセタール化してポリビニルn−ブチラールを形成することによって製造することができる。ポリ酢酸ビニルを加水分解するプロセスにおいては、全てのアセテート基がヒドロキシル基に転化する訳ではなく、残留アセテート基が樹脂上に残留する。同様に、ポリビニルアルコールをアセタール化するプロセスにおいては、全てのヒドロキシル基がアセタール基に転化する訳ではなく、同様に樹脂上に残留ヒドロキシル基が残留する。その結果、殆どのポリ(ビニルアセタール)樹脂は、ポリマー鎖の一部として、残留ヒドロキシル基(ビニルヒドロキシル基として)、及び残留アセテート基(酢酸ビニル基として)の両方を含む。残留ヒドロキシル含量及び残留アセテート含量は、ポリマー樹脂の重量を基準とする重量%で表され、他に示していない限りにおいてASTM−D1396にしたがって測定される。
【0043】
[054]幾つかの態様においては、ここに記載するポリ(ビニルアセタール)樹脂粒子を形成するために用いる樹脂は、少なくとも約14重量%、少なくとも約14.5重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約15.5重量%、少なくとも約16重量%、少なくとも約16.5重量%、少なくとも約17重量%、少なくとも約17.5重量%、少なくとも約18重量%、少なくとも約18.5重量%、少なくとも約19重量%、少なくとも約19.5重量%、及び/又は約45重量%以下、約40重量%以下、約35重量%以下、約33重量%以下、約30重量%以下、約27重量%以下、約25重量%以下、約22重量%以下、約21.5重量%以下、約21重量%以下、約20.5重量%以下、又は約20重量%以下、或いは約14重量%〜約45重量%、約16重量%〜約30重量%、約18重量%〜約25重量%、約18.5重量%〜約20重量%、又は約19.5重量%〜約21重量%の範囲の残留ヒドロキシル含量を有していてよい。幾つかの態様においては、ポリ(ビニルアセタール)樹脂は、少なくとも約8重量%、少なくとも約9重量%、少なくとも約10重量%、又は少なくとも約11重量%、及び/又は約16重量%以下、約14.5重量%以下、約13重量%以下、約11.5重量%以下、約11重量%以下、約10.5重量%以下、約10重量%以下、約9.5重量%以下、又は約9重量%以下、或いは約8重量%〜約16重量%、約9重量%〜約15重量%、又は約9.5重量%〜約14.5重量%の範囲の残留ヒドロキシル含量を有していてよい。
【0044】
[055]ポリ(ビニルアセタール)樹脂の残留アセテート含量は、例えば、約25重量%以下、約20重量%以下、約15重量%以下、約12重量%以下、約10重量%以下、約8重量%以下、約5重量%以下、約2重量%以下、又は約1重量%以下であってよく、及び/又はポリ(ビニルアセタール)樹脂は、少なくとも約1重量%、少なくとも約2重量%、少なくとも約3重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約12重量%、又は少なくとも約15重量%のアセテート含量を有していてよい。
【0045】
[056]ポリ(ビニルアセタール)樹脂に加えて、ポリマーシートには少なくとも1種類の可塑剤を更に含めることができる。可塑剤は、樹脂100部あたり少なくとも約5部(phr)、少なくとも約10phr、少なくとも約15phr、少なくとも約20phr、少なくとも約25phr、少なくとも約30phr、少なくとも約35phr、少なくとも約40phr、少なくとも約45phr、少なくとも約50phr、少なくとも約55phr、少なくとも約60phr、少なくとも約65phr、又は少なくとも約70phr、及び/又は約120phr以下、約110phr以下、約105phr以下、約100phr以下、約95phr以下、約90phr以下、約85phr以下、約75phr以下、約70phr以下、約65phr以下、約60phr以下、約55phr以下、約50phr以下、約45phr以下、又は約40phr以下、或いは約5phr〜約120phr、約10phr〜約110phr、約20phr〜約90phr、又は約25phr〜約75phrの範囲の量でシート又は中間膜中に存在させることができる。
【0046】
[057]本明細書において用いる「樹脂100部あたりの部」又は「phr」という用語は、重量基準で樹脂100部に対して存在する可塑剤の量を指す。例えば、30gの可塑剤を100gの樹脂に加えた場合には、可塑剤は30phrの量で存在する。樹脂シート又は中間膜が2種類以上の樹脂を含む場合には、可塑剤の重量を存在する樹脂の合計量と比較して樹脂100部あたりの部を求める。更に、本明細書においてシート又は中間膜の可塑剤含量が与えられている場合には、これはシート又は中間膜を製造するために用いた混合物又は溶融体中の可塑剤の量に関して与えられている。
【0047】
[058]好適な可塑剤の例としては、トリエチレングリコールジ(2−エチルヘキサノエート)(3GEH)、トリエチレングリコールジ(2−エチルブチレート)、トリエチレングリコールジヘプタノエート、テトラエチレングリコールジヘプタノエート、テトラエチレングリコールジ(2−エチルヘキサノエート)(4−GEH)、ポリエチレングリコールビス(2−エチルヘキサノエート)、ジプロピレングリコールジベンゾエート、ジヘキシルアジペート、ジオクチルアジペート、ヘキシルシクロヘキシルアジペート、ジイソノニルアジペート、ヘプチルノニルアジペート、ジ(ブトキシエチル)アジペート、及びビス(2−(2−ブトキシエトキシ)エチル)アジペート、ジブチルセバケート、ジオクチルセバケート、並びにこれらの混合物を挙げることができるが、これらに限定されない。可塑剤は、トリエチレングリコールジ(2−エチルヘキサノエート)、テトラエチレングリコールジ(2−エチルヘキサノエート)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択することができる。
【0048】
[059]更に、シート又は中間膜に特定の特性又は特徴を与えるために、他の添加剤をシート又は中間膜中に存在させることができる。かかる添加剤としては、染料、顔料、安定剤、例えば紫外線安定剤、酸化防止剤、アンチブロッキング剤、難燃剤、IR吸収剤又は遮断剤、例えばインジウムスズオキシド、アンチモンスズオキシド、六ホウ化ランタン(LaB
6)、及びセシウムタングステンオキシド、加工助剤、流動向上添加剤、潤滑剤、耐衝撃性改良剤、成核剤、熱安定剤、UV吸収剤、分散剤、界面活性剤、キレート剤、カップリング剤、接着剤、プライマー、強化添加剤、充填剤、及びこれらの組合せを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0049】
[060]図面においては示していないが、幾つかの態様においては、ここに記載するテーパー状のポリマーシート又は中間膜は、2以上の個々の層を含む多層シート又は中間膜であってよいことを理解すべきである。シート又は中間膜が複数の個々の層を含む場合には、個々の層の全てがテーパー状であってよく、個々の層の一部がテーパー状であってよく、或いは個々の層の1つのみがテーパー状であってよい。幾つかの態様において、シート又は中間膜が3つの別々のポリマー層を含む場合には、少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は3つ全部の層の少なくとも一部をテーパー状にして、多層のテーパー状中間膜を形成することができる。
【0050】
[061]シート又は中間膜が多層シート又は中間膜である場合には、これは少なくとも第1の樹脂層及び第2の樹脂層を含んでいてよく、ここで第1及び第2の樹脂層はシート又は中間膜内において互いに対して隣接している。第1及び第2の樹脂層のそれぞれには、上記に記載した少なくとも1種類のポリマー樹脂を、場合によっては少なくとも1種類の可塑剤及び/又は1種類以上の上記記載の添加剤と組み合わせて含めることができる。幾つかの態様においては、それぞれの層中に存在する第1及び第2のポリマーは異なる組成を有していてよい。例えば幾つかの態様においては、第1のポリマー樹脂は、同じ層又は異なる層中に存在する他のポリ(ビニルアセタール)樹脂の残留ヒドロキシル含量及び/又は残留アセテート含量と異なる残留ヒドロキシル含量及び/又は残留アセテート含量を有するポリ(ビニルアセタール)樹脂であってよい。ポリマーシート又は中間膜が2種類以上のポリ(ビニルアセタール)樹脂を含む幾つかの態様においては、第1と第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の残留ヒドロキシル含量の間の差はまた、少なくとも約2重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約12重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%、又は少なくとも約30重量%であってもよい。
【0051】
[062]本明細書において用いる「・・重量%異なる」又は「差は少なくとも・・重量%である」という用語は、1つの数値を他から減じることによって計算される2つの与えられた重量%の間の差を指す。例えば、12重量%の残留ヒドロキシル含量を有するポリ(ビニルアセタール)樹脂は、14重量%の残留ヒドロキシル含量を有するポリ(ビニルアセタール)樹脂よりも2重量%低い残留ヒドロキシル含量を有する(14重量%−12重量%=2重量%)。本明細書において用いる「差」という用語は、他の値よりも高いか又は低い値を指すことができる。
【0052】
[063]ポリマーシート又は中間膜が2種類以上のポリ(ビニルアセタール)樹脂を含む場合には、ポリ(ビニルアセタール)樹脂の少なくとも1つは、シート又は中間膜中の他のポリ(ビニルアセタール)樹脂と異なる残留アセテート含量を有していてよい。幾つかの態様においては、2種類以上のポリ(ビニルアセタール)樹脂の残留アセテート含量の間の差は、少なくとも約2重量%、少なくとも約3重量%、少なくとも約4重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約8重量%、又は少なくとも約10重量%であってよい。他の態様においては、2種類以上のポリ(ビニルアセタール)樹脂の残留アセテート含量の間の差は上記に与えた範囲内であってよく、或いはこの差は約3重量%未満、約2重量%以下、約1重量%以下、又は約0.5重量%以下であってよい。
【0053】
[064]ポリマーシート又は中間膜が2以上の隣接する層を含む場合には、第1及び第2の樹脂層は異なるガラス転移温度を示していてよい。ガラス転移温度又はT
gは、ポリマーのガラス状態からゴム状態への転移を示す温度である。ポリマー樹脂又はシートのガラス転移温度は、動的機械熱分析(DTMA)によって求めることができる。DTMAは、試料の貯蔵(弾性)係数(G’)(パスカル)、損失(粘性)係数(G”)(パスカル)、及びtanδ(G”/G’)を、与えられた振動数及び温度スイープ速度において温度の関数として測定する。次に、温度スケールでのtanδピークの位置によってガラス転移温度を求める。ここに与えるガラス転移温度は、剪断モード下で1Hzの振動数及び3℃/分の温度スイープ速度において求められる。
【0054】
[065]多層シート又は中間膜中の第1の樹脂層と第2の樹脂層のガラス転移温度の差は、少なくとも約3℃、少なくとも約5℃、少なくとも約8℃、少なくとも約10℃、少なくとも約12℃、少なくとも約15℃、少なくとも約18℃、少なくとも約20℃、少なくとも約22℃、又は少なくとも約25℃であってよい。第1及び第2の樹脂層の一方は、少なくとも約26℃、少なくとも約28℃、少なくとも約30℃、少なくとも約33℃、少なくとも約35℃℃、及び/又は約70℃以下、約65℃以下、約60℃以下、約55℃以下、約50℃以下、或いは約26℃〜約70℃、約30℃〜約60℃、約35℃〜約50℃の範囲のガラス転移温度を有していてよい。第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の他方は、25℃以下、約20℃以下、約15℃以下、約10℃以下、約5℃以下、約0℃以下、約−5℃以下、約−10℃以下のガラス転移温度を有していてよい。
【0055】
[066]単一層であれ複数層であれ、ここに記載するシート及び中間膜は任意の好適な方法にしたがって形成することができる。ポリマーシート及び中間膜を形成する代表的な方法としては、溶液キャスト、圧縮成形、射出成形、溶融押出、メルトブロー、及びこれらの組合せを挙げることができるが、これらに限定されない。2以上の樹脂層を含む多層中間膜はまた、例えば共押出、ブローンフィルム、メルトブロー、浸漬被覆、溶液被覆、ブレード塗布、パドル塗布、エアナイフ塗布、印刷、粉末被覆、噴霧被覆、及びこれらの組合せのような任意の好適な方法にしたがって製造することもできる。本発明の種々の態様においては、ポリマーシート又は中間膜は押出又は共押出によって形成することができる。
【0056】
[067]形成したら、上記に記載したエンボス加工された表面領域を形成するために、ポリマーシート又は中間膜の少なくとも一部を、少なくとも1組のローラーに通すことによってエンボス加工することができる。ここで
図11及び12を参照すると、本発明の1以上の態様にしたがってエンボス加工されたポリマーシートを製造するために好適な1対のローラー110及び112が与えられている。特に、
図11及び12に示すように、ローラー110及び112は、エンボス加工プロセス中にポリマーシートを通過させるためのニップ120をその間に画定する。
図11及び12において上部ローラー110として示すローラーの少なくとも1つは、ニップ120を通過するポリマーシートの表面の少なくとも一部の上にエンボスパターンを与えるための山部及び溝部のパターンを有するエンボス加工ローラーであってよい。ローラー110の表面は、例えば直線状の鋸歯パターンなどの任意の好適なパターンを有していてよく、ポリマーシートの表面の少なくとも一部の上に同じであるがネガのパターンを与えることができる。
図11及び12に示すローラー110、112の対は、押出機及びダイ(図示せず)の直後に冷却ロールを介在させないで配置することができ、或いはローラーは、押出ダイの出口に配置される1以上の冷却ローラー(図示せず)の後に配置することができる。更に、幾つかの態様においては、ローラー110及び112の対は、シートを形成するために用いる製造ラインから離すことができ、固定型の貯蔵ロール(図示せず)からの予め形成されて再加熱されたポリマーシートをエンボス加工するように構成することができる。
【0057】
[068]エンボス加工ローラーには、金属ローラー又は金属表面を有するローラーを含めることができる。幾つかの態様においては、エンボス加工ローラーは加熱ローラーであってよく、少なくとも約100℃、少なくとも約110℃、少なくとも約120℃、又は少なくとも約130℃、及び/又は約250℃以下、約240℃以下、約230℃以下、約220℃以下の表面温度を有していてよい。更に、幾つかの態様においては、エンボス加工ローラーの表面は、約100℃〜約250℃、約110℃〜約240℃、約120℃〜約220℃の範囲の温度を有していてよい。或いは、エンボス加工ローラーは加熱ローラーでなくてよく、ポリマーシートの温度と同等の温度を有していてよい。幾つかの態様においては、エンボス加工ローラーの表面の少なくとも一部を、粘着防止剥離被覆及び/又は潤滑材料で被覆して、ポリマー樹脂がローラーに粘着するのを抑止することができる。
【0058】
[069]
図11及び12において示すように、ポリマーシート又は中間膜をエンボス加工するために用いるローラーの対の他のローラー112は、エンボス加工ローラーでなくてよい。この非エンボス加工ローラー112の表面は実質的に平滑であってよく、シートがニップ120を通過する際に接触するポリマーシートの表面にいかなる顕著な程度の表面粗さも与えないものであってよい。ローラー112の表面は任意の好適な材料で形成することができ、幾つかの態様においては、これはゴム又はゴム様の材料で少なくとも部分的に被覆することができる。一態様によれば、
図11及び12においてローラー112として示す非エンボス加工ローラーの表面の少なくとも一部を被覆するために用いるゴム又はゴム様の材料は、ASTM−D−2240にしたがって測定して少なくとも約20、少なくとも約30、少なくとも約40、及び/又は約100以下、約95以下、約90以下、約85以下のショアA硬度を有していてよい。更に、幾つかの態様においては、非エンボス加工ローラーの少なくとも一部の上に存在するゴム被覆のショアA硬度は、約20〜約100、約30〜約95、約40〜約90の範囲であってよい。
【0059】
[070]幾つかの態様においては、
図11及び12において示すように、ローラー110及び112は、ローラー110及び112のそれぞれの回転軸130及び132が、エンボス加工されるポリマーシートの最小くさび角度よりも小さくなるように配向することができる。例えば、ローラー110及び112のニップ120を通過するポリマーシートが少なくとも約0.10mradの最小くさび角度を有する場合には、ローラー110及び112の回転軸130、132の間の角度は0.10mrad未満であってよい。幾つかの態様においては、ローラー110及び112の回転軸130、132の間の角度は、約0.10mrad未満、約0.075mrad未満、約0.05mrad未満、又は約0.01mrad未満であってよく、或いはこれは例えば
図12に示すようにローラー110と112が平行である場合には0であってよい。互いに対して平行に配向されている場合であっても、ローラー110及び112は、ここに記載するようにテーパー状の中間膜又はシートをエンボス加工して、上記に記載した範囲で全体的な均一さを有する表面粗さR
zを達成することを可能にすることができる。
【0060】
[071]更に、本発明の種々の態様にしたがってポリマーシート及び中間膜をエンボス加工するために用いるシステムには、必要に応じて例えば1以上の固定ローラー、テンションローラー、冷却ローラー、及び他の加熱及び/又は冷却されたローラーのような任意の好適な数の他の構成要素を含めることができる。幾つかの態様においては、テーパー状のシート又は中間膜をエンボス加工するために用いるシステムには、
図11及び12において示すローラー110及び112の対の前又はその後に配置するローラーの少なくとも1つの他の対を含めることができる。ローラーの他の対はローラー110及び112と同様に構成することができ、少なくとも1つのエンボス加工ローラーを含めることができる。しかしながら、
図11及び12において示すローラー110及び112の対とは対比的に、第2の対のエンボス加工ローラーは下部ローラーであってよく、上部ローラーはエンボス加工されていなくてよい。このように構成されている2対のローラーを装備するシステムを用いると、エンボス加工システムを通してシングルパスで、テーパー状のシート又は中間膜の両方の側をエンボス加工することを可能にすることができる。
【0061】
[072]再び
図11を参照すると、運転中においては、上記に記載したテーパー状のシート又は中間膜であってよいポリマーシート100を、
図11に示すようにローラー110及び112のニップ120に通すことができる。通過中は、
図11において上表面102として示されるポリマーシート100の表面の少なくとも一部を、表面の少なくとも一部をエンボス加工するのに十分な条件下で上部ローラー110のエンボス加工表面116の少なくとも一部と接触させることができる。幾つかの態様においては、ニップ120を通過するシート100の温度は、少なくとも約0℃、少なくとも約10℃、少なくとも約20℃、少なくとも約30℃、及び/又は約90℃以下、約80℃以下、約70℃以下であってよく、或いはこれは約0℃〜約90℃、約10℃〜約80℃、又は約20℃〜約70℃の範囲であってよい。他の態様においては、ニップ120を通過するシート100の温度は、少なくとも約90℃、少なくとも約100℃、少なくとも約110℃、少なくとも約120℃、及び/又は約230℃以下、約225℃以下、約220℃以下であってよく、或いはこれは約90℃〜約230℃、約110℃〜約225℃、又は約120℃〜約220℃の範囲であってよい。
【0062】
[073]ニップ120におけるローラー110と112の間の力は、少なくとも約50ポンド/リニアインチ(pli)、少なくとも約75pli、又は少なくとも約100pli、及び/又は約300pli以下、約275pli以下、約250pli以下であってよい。幾つかの態様においては、ローラー110と112の間の力は、約50pli〜約300pli、約75pli〜約275pli、又は約100pli〜約250pliの範囲であってよい。シート100は、上記で詳細に記載したような実質的に均一なR
z値を有するエンボス加工された表面区域118を有していてよい。
【0063】
[074]得られるエンボス加工されたシートが、例えば
図9及び10に関して上記で議論したような2つの対向して傾斜しているテーパー状の区域を含む中間体ポリマー樹脂シートである場合には、エンボス加工されたシートをその中心線に沿って、又はその付近で切断して、1対の類似形状のエンボス加工されたテーパー状の中間膜を与えることができる。上記に記載した外形形状を有していてよいテーパー状の中間膜は、次に中間膜及び少なくとも1つの硬質基材を含む多層パネルにおいて用いることができる。任意の好適な硬質基材を用いることができ、幾つかの態様においては、これはガラス、ポリカーボネート、二軸配向PET、コポリエステル、アクリル樹脂、及びこれらの組合せからなる群から選択することができる。硬質基材がガラスを含む場合には、ガラスは、上記に示す群から選択することができる。硬質基材がポリマー材料を含む場合には、ポリマー材料にハードコート表面層を含めることができ、又は含めなくてもよい。幾つかの態様においては、多層パネルは1対の硬質基材を含み、その間に樹脂中間膜が配置される。
【0064】
[075]ガラスのような2つの硬質基材の間に樹脂層又は中間膜を積層する場合には、このプロセスに少なくとも次の:(1)2つの基材及び中間膜を組み立ててアセンブリにし;(2)IR放射材又は対流装置によってアセンブリを第1の短い時間加熱し;(3)アセンブリを、第1の脱気のために加圧ニップロール中に通し;(4)アセンブリを約60℃〜約120℃へ短時間加熱して、中間膜の縁部を封止するのに十分な一時的接着をアセンブリに与え;(5)アセンブリを第2の加圧ニップロール中に通して、中間膜の縁部を更に封止して更なる取扱いを可能にし;そして(6)アセンブリを、135℃〜150℃の間の温度及び150psig〜200psigの間の圧力において約30分〜90分間オートクレーブ処理する;工程を含めることができる。幾つかの態様にしたがって上記の工程(2)〜(5)において記載した中間膜−ガラス界面を脱気するための他の方法としては、真空バッグ及び真空リングプロセスが挙げられ、これらの両方ともここに記載する本発明の中間膜を用いる多層パネルを形成するために用いることができる。
【0065】
[076]幾つかの態様においては、ここに記載するエンボス加工されたテーパー状の中間膜は、積層後に従来のテーパー状の中間膜よりも増大した光学性能を示すことができる。明澄度は、ここに記載する中間膜の光学性能を示すために用いられる1つのパラメーターであり、曇り度値又は%を測定することによって求めることができる。曇り度値は、試料によって散乱した光を入射光に対して定量したものである。幾つかの態様においては、ここに記載するテーパー状の中間膜は、ASTM−D1003−13手順Bにしたがって光源Cを用いて2°の観察角度で測定して5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、約1%未満、又は約0.5%未満の曇り度値を有することができる。中間膜の曇り度は、Hunterlab UltraScan XE装置(Hunter Associates, Reston, VAから商業的に入手できる)のような分光光度計を用いて、それぞれが2.3mmの厚さを有する透明なガラス(PennsylvaniaのPittsburgh Glass Worksから商業的に入手できる)の2つのシートの間に積層した、0.76mmの厚さを有するポリマー試料について測定する。
【0066】
[077]更に、ここに記載するエンボス加工されたテーパー状の中間膜は、上記に記載のように2以上の硬質基材の間に積層した際に、3以下、2以下、又は1以下の色斑値を有することができる。色斑は、テクスチャー又はきめとして検出される光学品質の他の指標である。色斑は、そのレベルが過度に高いか又は過度に激しくて、それによって好ましくない外観をもたらす場合には視覚的欠陥である。色斑は、試験積層体に関するシャドウグラフの投影を、1〜4の範囲の色斑値(1は低い色斑(即ち少ない数の混乱)の基準を表し、4は高い色斑(即ち多数の混乱)の基準を表す)のシリーズ又はスケールを表す1組の標準積層体シャドウグラフと交互に定性的に比較することによって評価及び分類される。高い色斑は、特に自動車及び建築用途において概して好ましくないとみなされる。場合によっては、ゼロの色斑を有する(色斑がない)単一層の中間膜を有するモデル積層体を用いて、1の等級よりも低いような基準セットのスケールよりも低い色斑等級を有する試験積層体における評価を容易にする。ゼロ色斑の積層体のものと同様のシャドウグラフ投影を示す試験積層体は、ゼロの色斑等級を有すると評価される。試験積層体は、それぞれが2.3mmの厚さを有する透明なガラス(PennsylvaniaのPittsburgh Glass Worksから商業的に入手できる)の2つのシート、及び約35ミクロン〜40ミクロンのランダムな表面粗さ:R
z、及び0.76mm〜0.86mmの厚さを有する中間膜を用いて調製する。
【0067】
[078]中間膜の色斑値は、キセノンアークランプ、試料ホルダー、投影スクリーン、及びデジタルカメラを含むクリアモトルアナライザー(Clear Mottle Analyzer)(CMA)を用いて求めることができる。キセノンアークランプを用いてスクリーン上に積層試料のシャドウグラフを投影し、得られるシャドウグラフの画像を記録するようにカメラを構成する。次に、コンピューター画像化ソフトウエアを用いて画像をデジタル分析し、予め記録した標準試料の画像と比較して試料の色斑を求める。CMAを用いて色斑を測定する方法は、米国特許出願公開US−2012−0133764に詳細に記載されている。
【0068】
[079]中間膜の光学性能を求めるために用いる他のパラメーターは、透明度又は可視透過率(%T
vis)であり、これはASTM−D1003手順Bにしたがって、HunterLab UltraScan EXのような分光光度計を用い、光源Cを用いて2°の観察角度において測定される。中間膜の透明度は、約0.76mmの中間膜の厚さ及び2.3mmの透明ガラス(PennsylvaniaのPittsburgh Glass Worksから商業的に入手できる)の厚さを有するガラス積層体試料を分析することによって測定される。幾つかの態様においては、本発明のテーパー状の中間膜は、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約85.5%、少なくとも約86%、少なくとも約86.5%、少なくとも約87%、少なくとも約87.5%、少なくとも約88%、又は少なくとも約88.5%の可視透過率(%)を有することができる。より具体的には、本発明の中間膜は、ACA、UV安定剤、及び酸化防止剤の添加剤のみを含む中間膜に関しては85%より高く、或いは上述の顔料、IR吸収剤又は遮断剤のような更なる添加剤を含む中間膜に関しては80%より高い%T
visを有する。
【0069】
[080]ここに記載する中間膜から形成されるパネルは、例えば、自動車用フロントガラス及び窓、航空機用風防及び窓、船舶用途、鉄道用途等のような種々の輸送用途用のパネル、窓、扉、階段、通路、バラスター、装飾建築パネルのような構造建築パネル、ハリケーン用ガラス又は竜巻用ガラスのような耐候パネル、耐弾パネル、及び他の同様の用途などの種々の最終用途のために用いることができる。
【0070】
[081]ここに記載するテーパー状の中間膜を用いるフロントガラスの一態様を
図13a及び13bに与える。これは、厚さプロファイルが
図4の中間膜30と同様である中間膜180を示す。
図13a及び13bの中間膜180は、ガラスの2つのシートの間に中間膜を固定することによって自動車用フロントガラスにおいて用いるように構成されている。
図13aに示すように、中間膜180の第1の末端部184aはフロントガラスの底部に配置することができ、一方で中間膜180の第2の末端部184bはフロントガラスの上部に配置することができる。中間膜180のテーパー状の区域182は、フロントガラスのヘッドアップディスプレイが位置する領域に配置する。中間膜180のテーパー状の区域182は、一定角度の区域186及び変動角度の区域187を含む。
図13aに示すように、幾つかの態様においては、テーパー状の区域182は、中間膜180全体を横切って中間膜180の第1の側端部188aと第2の側端部188bの間に及んでいる。
図4と同様の
図13bは、フロントガラスの底部とフロントガラスの上部の間の中間膜180の厚さプロファイルを示す。
【0071】
[082]以下の実施例は、本発明を製造及び使用することを当業者に教示するために本発明を例示する意図であり、いかなるようにも発明の範囲を限定することは意図しない。
【実施例】
【0072】
[083]可塑化ポリ(ビニルn−ブチラール)樹脂を0.35mradのくさび角度を有する3層中間膜に共押出することによって幾つかの中間膜を形成した。次に、それぞれの中間膜を、加熱したテクスチャー加工金属ロールと変形可能なゴムロールの間でエンボス加工してエンボス加工された中間膜を形成した。それぞれの中間膜の上面及び底面の両方をエンボス加工するために、それぞれの中間膜をローラーに2回通した。中間膜の1つは第1の組の条件(条件1)下でエンボス加工し、他のものは異なる組の条件(条件2)下でエンボス加工した。それぞれの組の条件のロール温度及びニップ跡を下表1に示す。
【0073】
【表1】
【0074】
[084]エンボス加工した後、上記で詳細に記載したR
z法を用いて、エンボス加工された試料のそれぞれの外側層の表面粗さを求めた。測定は、上面及び底面の両方に関して、テーパー状の中間膜のそれぞれの最も薄い部分(T
min)、最も厚い部分(T
max)、及び中間部分(T
mid)において行った。4つの中間膜のそれぞれに関する表面粗さ測定の結果を下表2にまとめる。
【0075】
[085]次に、エンボス加工された試料のそれぞれの複数の部分を、厚さ2.3mmの板ガラスのシートの間に配置して、幾つかのガラス/積層体/ガラス構造体を形成した。2つの構造体(構造体1及び2)を、上記に記載したような真空袋脱気(−1.0barの圧力で行った)にかけた。真空袋脱気工程を用いる温度プロファイルは、25℃の初期温度に10分間維持、次に120℃まで昇温する15分間の加熱期間を含んでいた。温度を120℃において10分間維持し、次に15分かけて50℃に低下させた。他の2つの構造体(構造体3及び4)は、3mmのニップ−ロール間隙及び4barのニップ−ロール圧力を用いるニップ−ロール脱気にかけた。ニップの前の温度は75℃〜80℃の間であった。
【0076】
[086]得られたパネルを、143℃の温度及び13barの圧力において20分間オートクレーブ処理した。オートクレーブ処理した後、上記に記載した方法にしたがって、オートクレーブ処理した試料のそれぞれの色斑値を、それぞれの中間膜の最も薄い部分、最も厚い部分、及び中間部分のそれぞれにおいて測定した。結果を下表2にまとめる。
【0077】
【表2】
【0078】
[087]上表2において示されるように、本発明の幾つかの態様によるエンボス加工されたテーパー状の中間膜は、良好な脱気性能及び良好な色斑特性の両方を示す。
[088]好ましい態様であると現在考えられているものを含む幾つかの態様の記載に関連して発明を開示したが、詳細な説明は例示の意図であり、本発明の範囲を限定すると理解すべきではない。当業者に理解されるように、本明細書において詳細に記載されているもの以外の態様は本発明に包含される。発明の精神及び範囲から逸脱することなく、記載されている態様の修正及び変更を行うことができる。
【0079】
[089]更に、本発明の任意の単一の構成要素に関して与えられている任意の範囲、値、又は特徴は、互換的な場合には、本発明の任意の他の構成要素に関して与えられている任意の範囲、値、又は特徴と互換的に用いて、本明細書全体にわたって与えられているそれぞれの構成要素に関して規定されている値を有する一態様を形成することができることが理解される。例えば、与えられている任意の範囲の可塑剤を含むことに加えて、与えられている任意の範囲の残留ヒドロキシル含量を有するポリ(ビニルブチラール)を含む中間膜を形成して、本発明の範囲内であるが、列記するのは煩雑である多くの変形体を形成することができる。更に、フタレート又はベンゾエートのような属又はカテゴリーに関して与えられている範囲はまた、他に示していない限りにおいて、ジオクチルテレフタレートのようなそのカテゴリーの属又は構成要素の中の種に適用することもできる。
本発明は以下の実施態様を含む。
(1)少なくとも1種類のポリマー樹脂を含む、中間膜を製造するために好適なポリマーシートであって;
シートは少なくとも1つのテーパー状の区域及び少なくとも1つの実質的に水平の区域を含み、テーパー状の区域は少なくとも0.10mradのくさび角度を有し、実質的に水平の区域は0.05mrad未満のくさび角度を有し;
シートは少なくとも1つのエンボス加工された表面を含み、エンボス加工された表面の少なくとも75%は、エンボス加工された表面全体に関する平均Rz値の25%以内のRz値を有する上記ポリマーシート。
(2)テーパー状の区域は、連続的に変化するくさび角度を有する少なくとも1つの変動角度の区域を含む、(1)に記載のシート。
(3)テーパー状の区域は、実質的に一定のくさび角度を有する少なくとも1つの一定角度の区域を更に含む、(2)に記載のシート。
(4)テーパー状の区域は、実質的に一定のくさび角度を有する少なくとも1つの一定角度の区域を含む、(1)に記載のシート。
(5)テーパー状の区域は、異なる実質的に一定のくさび角度を有する2以上の一定角度の区域を含む、(4)に記載のシート。
(6)少なくとも1つの実質的に水平の区域は2つの別々の実質的に水平の区域を含み、実質的に水平の区域の一方はシートの最も薄い部分を形成し、実質的に水平の区域の他方はシートの最も厚い部分を形成する、(1)に記載のシート。
(7)少なくとも1つのテーパー状の区域は1対の対向して傾斜しているテーパー状の区域を含み、少なくとも1つの実質的に水平の区域は、1対の対向して傾斜しているテーパー状の区域の間に配置されている実質的に水平の中央の区域を含み、及び/又は少なくとも1つの実質的に水平の区域は、1対の対向して傾斜しているテーパー状の区域によって互いから離隔されている2つの実質的に平坦な端部の区域を含む、(1)に記載のシート。
(8)エンボス加工された表面は20μm〜90μmの範囲の平均Rz値を有する、(1)に記載のシート。
(9)シートは、少なくとも第1のポリマー層、及び第1のポリマー層に隣接する第2のポリマー層を含む多層シートであり、シート中に存在している少なくとも1種類のポリマー樹脂はポリ(ビニルアセタール)樹脂を含み、第1及び第2のポリマー層の少なくとも1つはポリ(ビニルアセタール)樹脂及び少なくとも1種類の可塑剤を含む、(1)に記載のシート。
(10)少なくとも1種類のポリマー樹脂を含む、中間膜を製造するために好適なポリマーシートであって、
シートは、それぞれが少なくとも0.1mradのくさび角度を有する少なくとも2つの傾斜区域を含み、
シートは、次の特徴:
(i)2つの傾斜区域は異なるくさび角度を有する;
(ii)2つの傾斜区域は対向して傾斜している;
(iii)シートは0.05mrad未満のくさび角度を有する少なくとも1つの実質的に水平の区域を含む;
の1以上を示し;
シートは少なくとも1つのエンボス加工された表面を含み、エンボス加工された表面の少なくとも75%は、エンボス加工された表面全体に関する平均Rz値の25%以内のRz値を有する上記ポリマーシート。
(11)シートはその中心線に対して対称でない、(10)に記載のシート。
(12)シートは特徴(i)を示し、シートは、2つの傾斜区域の両方を含む1つのテーパー状の区域を更に含む、(11)に記載のシート。
(13)シートはその中心線に対して対称である、(10)に記載のシート。
(14)シートは特徴(ii)を示し、中心線の反対側に位置する2つの対向して傾斜しているテーパー状の区域を更に含み、対向して傾斜しているテーパー状の区域のそれぞれは2つの傾斜区域の1つを含む、(13)に記載のシート。
(15)シートは特徴(iii)を更に示し、少なくとも1つの実質的に水平の区域は、中心線によって二分されている実質的に水平の中央の区域を含み、及び/又は少なくとも1つの実質的に水平の区域は、互いから離隔しており、中心線の反対側に位置する2つの実質的に水平の端部の区域を含む、(13)に記載のシート。
(16)傾斜区域の少なくとも1つは、連続的に変化するくさび角度を有する変動角度の区域である、(10)に記載のシート。
(17)傾斜区域の少なくとも1つは、実質的に一定のくさび角度を有する一定角度の区域である、(16)に記載のシート。
(18)シートは、少なくとも第1のポリマー層、及び第1のポリマー層に隣接する第2のポリマー層を含む多層ポリマーシートを含み、第1及び第2のポリマー層の少なくとも1つはポリ(ビニルアセタール)樹脂及び少なくとも1種類の可塑剤を含む、(10)に記載のシート。
(19)(a)少なくとも1対のローラーであって、その間にニップが画定されており、ローラーの少なくとも1つはエンボス加工表面を含む、少なくとも1対のローラーを準備すること;
(b)ニップを通してローラーの間にポリマーシートを通過させること;及び
(c)通過中に、ポリマーシートを、ポリマーシートの少なくとも一つの表面の少なくとも一部の上にエンボス加工された領域を形成するのに十分な条件下でエンボス加工表面の少なくとも一部と接触させること;
を含み;
ポリマーシートは、少なくとも0.1mradの最小くさび角度を有する少なくとも1つのテーパー状の区域を含み、それぞれのローラーの回転軸の間に画定される角度は最小くさび角度よりも小さい、中間膜の製造方法。
(20)ローラーの回転軸の間に画定される角度は0.05mrad未満である、(19)に記載の方法。
(21)エンボス加工された領域の少なくとも75%は、エンボス加工された領域全体に関する平均Rz値の25%以内のRz値を有する、(19)に記載の方法。
(22)ローラーの他方の表面の少なくとも一部は、20〜90の範囲のショアA硬度を有するゴム材料で被覆されている、(19)に記載の方法。
(23)他の1対のローラーであって、その間に画定される第2のニップを有し、他の1対のローラーの少なくとも1つは第2のエンボス加工表面を含む、他の1対のローラーを更に含み;第2のニップを通してローラーの他の対の間にポリマーシートを通過させ、そして通過中に、ポリマーシートを、ポリマーシートの他の表面の少なくとも一部の上に他のエンボス加工された領域を形成するのに十分な条件下で第2のエンボス加工表面の少なくとも一部と接触させること;を更に含む、(19)に記載の方法。