【文献】
TOWNES, Jennifer A. et al.,The development of new bicyclic pyrazole-based cytokine synthesis inhibitors,Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,2004年,vol.14,pp.4945-4948
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記(4〜6員)ヘテロシクロアルキルが、アゼチジニル、テトラヒドロピラゾリル、テトラヒドロオキサジニル、テトラヒドロピリミジニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、オキサゾリジニルおよびピロリジニルからなる群から選択される、請求項18に記載の化合物、または薬学的に許容できるその塩。
(6S)−3−(4−クロロ−2−メチルフェニル)−N−シクロプロピル−6−フルオロ−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキサミド、または薬学的に許容できるその塩。
4−[2−(アゼチジン−1−イルカルボニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−3−イル]−2−フルオロ−5−メチルベンゾニトリル、または薬学的に許容できるその塩。
3−(4−シアノ−5−フルオロ−2−メチルフェニル)−N−シクロプロピル−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキサミド、または薬学的に許容できるその塩。
【発明を実施するための形態】
【0016】
この文章内の見出しは、読者によるその見直しを円滑にするためだけに利用されている。それらの見出しは、本発明または特許請求の範囲をいかようにも限定されるものとして解釈されるべきではない。
非限定的に、本発明は、以下の態様を含む。
[態様1]
式I:
【化1】
[式中、
R
1は、(C
3〜C
8)シクロアルキル、(4〜10員)ヘテロシクロアルキル、(C
6〜C
10)アリールおよび(5〜10員)ヘテロアリールからなる群から選択される置換基であり、ここで、前記(C
3〜C
8)シクロアルキル、(4〜10員)ヘテロシクロアルキル、(C
6〜C
10)アリールおよび(5〜10員)ヘテロアリールは、1から5個のR
5で置換されていてもよく、
R
2およびR
3は、水素、置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキル、(C
3〜C
8)シクロアルキル、(4〜10員)ヘテロシクロアルキル、(C
6〜C
10)アリールおよび(5〜10員)ヘテロアリールからなる群からそれぞれ独立して選択され、ここで、前記(C
3〜C
8)シクロアルキル、(4〜10員)ヘテロシクロアルキル、(C
6〜C
10)アリールおよび(5〜10員)ヘテロアリールは、1から5個のR
6で置換されていてもよく、または
R
2およびR
3は、それらが結合した窒素と一緒になって、(4〜10員)ヘテロシクロアルキルまたは(5〜10員)ヘテロアリールを形成し、ここで、前記(4〜10員)ヘテロシクロアルキルおよび(5〜10員)ヘテロアリールは、1から5個のR
6で置換されていてもよく、
存在する場合、R
4は、各出現において、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、−SF
5、ニトロ、置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキル、置換されていてもよい(C
2〜C
6)アルケニル、置換されていてもよい(C
2〜C
6)アルキニル、置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキルチオ、置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルコキシ、−N(R
7)(R
8)、−N(R
7)(C=(O)R
8)、−C(=O)N(R
7)(R
8)、−O−C(=O)−N(R
7)(R
8)、−C(=O)−R
7および−C(=O)−OR
7からなる群から独立して選択され、
存在する場合、R
5およびR
6は、各出現において、ハロゲン、オキソ、シアノ、ヒドロキシ、−SF
5、ニトロ、置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキル、置換されていてもよい(C
2〜C
6)アルケニル、置換されていてもよい(C
2〜C
6)アルキニル、置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキルチオ、置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルコキシ、−N(R
7)(R
8)、−N(R
7)(C=(O)R
8)、−C(=O)N(R
7)(R
8)、−O−C(=O)−N(R
7)(R
8)、−C(=O)−R
7および−C(=O)−OR
7からなる群から独立して選択され、
R
7およびR
8は、各出現において、水素および(C
1〜C
6)アルキルからなる群から独立して選択され、
aは、0、1、2または3から選択される整数によって表される]
の化合物または薬学的に許容できるその塩。
[態様2]
R
1が、フェニルまたはナフチルから選択される、置換されていてもよい(C
6〜C
10)アリールである、態様1に記載の化合物、または薬学的に許容できるその塩。
[態様3]
R
1が、置換されていてもよい(C
6〜C
10)アリールであり、前記アリールは、フェニルである、態様2に記載の化合物、または薬学的に許容できるその塩。
[態様4]
R
1が、置換されていてもよい(5〜10員)ヘテロアリールである、態様1に記載の化合物、または薬学的に許容できるその塩。
[態様5]
R
1が、トリアゾリル、イミダゾリル、フラニル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリルまたは1,3,4−オキサジアゾリル、オキサゾリル、チオフェニル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリル、インダゾリル、ベンゾフラニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチエニル、ベンズオキサジアゾリル、ベンゾチアゾリル、イソベンゾチオフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンズイソオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾジオキソリル、フラノピリジニル、プリニル、イミダゾピリジニル、イミダゾピリミジニル、ピロロピリジニル、ピラゾロピリジニル、ピラゾロピリミジニル、チエノピリジニル、トリアゾロピリミジニル、トリアゾロピリジニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、キナゾリニル、オキソクロメニルおよび1,4−ベンゾオキサジニルからなる群から選択される、置換されていてもよい(5〜10員)ヘテロアリールであり、そのそれぞれは、1から3個のR
5で置換されていてもよい、態様4に記載の化合物、または薬学的に許容できるその塩。
[態様6]
R
1が、置換されていてもよい(5〜10員)ヘテロアリールであり、前記ヘテロアリールは、ピリジニル、トリアゾロピリジニル、ピラゾロピリジニルおよびベンゾオキサゾリルからなる群から選択される、態様5に記載の化合物、または薬学的に許容できるその塩。
[態様7]
R
1が、置換されていてもよい(5〜6員)ヘテロアリールであり、前記ヘテロアリールは、ピリジニルである、態様5に記載の化合物、または薬学的に許容できるその塩。
[態様8]
R
1が、1から3個のR
5で置換されており、ここで、各R
5は、ハロゲン、シアノ、置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキルおよび置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルコキシからなる群から独立して選択される、態様1から7のいずれか一項に記載の化合物、または薬学的に許容できるその塩。
[態様9]
R
5が、フルオロまたはクロロから選択されるハロゲンである、態様8に記載の化合物、または薬学的に許容できるその塩。
[態様10]
R
5が、置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキルであり、前記アルキルは、メチル、エチルまたはプロピルから選択され、前記メチル、エチルおよびプロピルは、1から3個のフッ素原子で置換されていてもよい、態様8に記載の化合物、または薬学的に許容できるその塩。
[態様11]
R
5が、置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルコキシであり、前記アルコキシは、メトキシ、エトキシまたはプロポキシから選択され、前記メトキシ、エトキシおよびプロポキシは、1から3個のフッ素原子で置換されていてもよい、態様8に記載の化合物、または薬学的に許容できるその塩。
[態様12]
R
2およびR
3が、水素、置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキル、(C
3〜C
8)シクロアルキルおよび(5〜6員)ヘテロアリールからなる群からそれぞれ独立して選択され、化学的に容認できる場合、前記(C
3〜C
8)シクロアルキルおよび(5〜6員)ヘテロアリールは、1から3個のR
6で置換されていてもよい、態様1から11のいずれか一項に記載の化合物、または薬学的に許容できるその塩。
[態様13]
R
2およびR
3の一方が、水素であり、他方が、置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキルである、態様12に記載の化合物、または薬学的に許容できるその塩。
[態様14]
前記置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキルが、メチル、エチル、プロピルおよびイソプロピルからなる群から選択される、態様13に記載の化合物、または薬学的に許容できるその塩。
[態様15]
R
2およびR
3の一方が、水素であり、他方が、1から3個のR
6で置換されていてもよい(C
3〜C
8)シクロアルキルである、態様12に記載の化合物、または薬学的に許容できるその塩。
[態様16]
前記置換されていてもよい(C
3〜C
8)シクロアルキルが、シクロプロピル、シクロブチルおよびシクロペンチルからなる群から選択される、態様15に記載の化合物、または薬学的に許容できるその塩。
[態様17]
前記置換されていてもよい(C
3〜C
8)シクロアルキルが、シクロプロピルである、態様16に記載の化合物、または薬学的に許容できるその塩。
[態様18]
R
2およびR
3が、それらが結合した窒素と一緒になって、1から3個のR
6で置換されていてもよい、(4〜6員)ヘテロシクロアルキルを形成する、態様1から11のいずれか一項に記載の化合物、または薬学的に許容できるその塩。
[態様19]
前記(4〜6員)ヘテロシクロアルキルが、アゼチジニル、テトラヒドロピラゾリル、テトラヒドロオキサジニル、テトラヒドロピリミジニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、オキサゾリジニルおよびピロリジニルからなる群から選択される、態様18に記載の化合物、または薬学的に許容できるその塩。
[態様20]
前記(4〜6員)ヘテロシクロアルキルが、アゼチジニルである、態様19に記載の化合物、または薬学的に許容できるその塩。
[態様21]
R
6が、ハロゲン、オキソ、シアノ、ヒドロキシ、置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキルおよび置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルコキシからなる群から独立して選択される、態様12から20のいずれか一項に記載の化合物、または薬学的に許容できるその塩。
[態様22]
各R
4が、存在する場合、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、−SF
5、ニトロ、置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキルおよび置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルコキシからなる群から独立して選択される、態様1から21のいずれか一項に記載の化合物、または薬学的に許容できるその塩。
[態様23]
R
4が、ハロゲンであり、前記ハロゲンは、フルオロまたはクロロから選択される、態様22に記載の化合物、または薬学的に許容できるその塩。
[態様24]
R
4が、置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキルである、態様22に記載の化合物、または薬学的に許容できるその塩。
[態様25]
aが、0、1または2から選択される整数である、態様1から24のいずれか一項に記載の化合物、または薬学的に許容できるその塩。
[態様26]
式II:
【化2】
[式中、
R
2およびR
3は、水素、置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキルおよび(C
3〜C
8)シクロアルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され、ここで、前記(C
3〜C
8)シクロアルキルは、1から3個のR
6で置換されていてもよく、または
R
2およびR
3は、それらが結合した窒素と一緒になって、1から3個のR
6で置換されていてもよい(4〜6員)ヘテロシクロアルキルを形成し、
存在する場合、各R
4は、ハロゲンまたは置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキルから独立して選択され、
存在する場合、R
5およびR
6は、各出現において、ハロゲン、シアノ、置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキルおよび置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルコキシからなる群から独立して選択され、
aは、0、1または2から選択される整数である]
の化合物または薬学的に許容できるその塩。
[態様27]
R
2およびR
3の一方が、水素であり、他方が、置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキルであり、前記(C
1〜C
6)アルキルは、メチル、エチル、プロピルおよびイソプロピルからなる群から選択される、態様26に記載の化合物、または薬学的に許容できるその塩。
[態様28]
R
2およびR
3の一方が、水素であり、他方が、(C
3〜C
8)シクロアルキルであり、ここで、前記(C
3〜C
8)シクロアルキルは、シクロプロピルである、態様26に記載の化合物、または薬学的に許容できるその塩。
[態様29]
R
2およびR
3が、それらが結合した窒素と一緒になって、1から3個のR
6で置換されていてもよい(4〜6員)ヘテロシクロアルキルを形成する、態様26に記載の化合物、または薬学的に許容できるその塩。
[態様30]
前記(4〜6員)ヘテロシクロアルキルが、アゼチジニルである、態様29に記載の化合物、または薬学的に許容できるその塩。
[態様31]
アゼチジン−1−イル[3−(4−クロロ−2−メチルフェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−イル]メタノン;
3−(4−クロロ−2−メチルフェニル)−N−シクロプロピル−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキサミド;
アゼチジン−1−イル[3−(4−クロロ−2,5−ジフルオロフェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−イル]メタノン;
アゼチジン−1−イル[3−(4−クロロ−2,3−ジフルオロフェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−イル]メタノン;
3−(4−シアノ−5−フルオロ−2−メチルフェニル)−N−シクロプロピル−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキサミド;
(6S)−3−(4−クロロ−2−メチルフェニル)−N−シクロプロピル−6−フルオロ−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキサミド;
(6S)−3−(4−クロロ−2,5−ジフルオロフェニル)−N−シクロプロピル−6−フルオロ−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキサミド;
3−(4−クロロ−2−メチルフェニル)−N−シクロプロピル−6,6−ジフルオロ−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキサミド;
3−(4−クロロフェニル)−N−シクロプロピル−5−メチル−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキサミド;
3−(4−クロロフェニル)−N−シクロプロピル−7−メチル−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキサミド;
3−(4−シアノ−3−フルオロフェニル)−N−シクロプロピル−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキサミド;
3−(4−クロロフェニル)−N−シクロプロピル−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキサミド;
3−(4−クロロ−3−フルオロフェニル)−N−シクロプロピル−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキサミド;
アゼチジン−1−イル[3−(3,4−ジクロロフェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−イル]メタノン;
アゼチジン−1−イル[3−(4−クロロ−3−フルオロフェニル)−6,7−ジヒド
ロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−イル]メタノン;
3−(4−クロロ−2,5−ジフルオロフェニル)−N−シクロプロピル−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキサミド;
3−(4−クロロ−5−フルオロ−2−メチルフェニル)−N−シクロプロピル−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキサミド;
4−[2−(アゼチジン−1−イルカルボニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−3−イル]−2−フルオロ−5−メチルベンゾニトリル;
3−(4−クロロフェニル)−N−シクロプロピル−6,6−ジフルオロ−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキサミド;
アゼチジン−1−イル[3−(4−クロロフェニル)−5−メチル−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−イル]メタノン、塩酸塩;
N−シクロプロピル−3−(3,4−ジクロロフェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキサミド;
アゼチジン−1−イル[3−(4−クロロフェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−イル]メタノン;
4−[2−(アゼチジン−1−イルカルボニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−3−イル]−2,6−ジフルオロベンゾニトリル;
アゼチジン−1−イル[3−(3,5−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−イル]メタノン;
N−シクロプロピル−3−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキサミド、塩酸塩;
3−(4−シアノ−2−メチルフェニル)−N−シクロプロピル−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキサミド;
N−シクロプロピル−3−[2−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−4−イル]−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキサミド;
3−(5−シアノ−2−フルオロフェニル)−N−シクロプロピル−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキサミド;
N−シクロプロピル−3−(ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキサミド;
3−(4−シアノ−2,5−ジフルオロフェニル)−N−シクロプロピル−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキサミド;
3−(6−シアノピリジン−3−イル)−N−シクロプロピル−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキサミド;
アゼチジン−1−イル[3−(3−クロロフェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−イル]メタノン;
3−(3−クロロフェニル)−N−シクロプロピル−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキサミド;
3−(4−クロロ−3−フルオロフェニル)−N−(プロパン−2−イル)−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキサミド;
3−(4−クロロ−3−フルオロフェニル)−N−メチル−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキサミド;
3−(4−シアノ−5−フルオロ−2−メチルフェニル)−N−エチル−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキサミド;
3−(4−クロロ−5−フルオロ−2−メチルフェニル)−N−メチル−6,7−ジヒ
ドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキサミド;
3−(4−クロロ−5−フルオロ−2−メチルフェニル)−N−エチル−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキサミド;
3−(4−クロロ−2,5−ジフルオロフェニル)−N−エチル−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキサミド;
3−(4−クロロ−3−フルオロフェニル)−N−シクロプロピル−6−フルオロ−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキサミド;
アゼチジン−1−イル[3−(4−クロロ−2−フルオロフェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−イル]メタノン;
3−(4−クロロ−2−フルオロフェニル)−N−シクロプロピル−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキサミド;
3−(4−クロロフェニル)−N−シクロプロピル−6−フルオロ−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキサミド;
3−(4−クロロ−2−メチルフェニル)−N−シクロプロピル−6−フルオロ−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキサミド;
3−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−N−シクロプロピル−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキサミド;
3−(4−クロロ−2,3−ジフルオロフェニル)−N−シクロプロピル−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキサミド;
3−(4−クロロ−3,5−ジフルオロフェニル)−N−シクロプロピル−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキサミド;
アゼチジン−1−イル[3−(4−クロロ−5−フルオロ−2−メチルフェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−イル]メタノン;
アゼチジン−1−イル[3−(4−クロロ−3,5−ジフルオロフェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−イル]メタノン;
4−[2−(アゼチジン−1−イルカルボニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−3−イル]−2,5−ジフルオロベンゾニトリル;
3−(4−シアノ−5−フルオロ−2−メチルフェニル)−N−シクロプロピル−6−フルオロ−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキサミド;
(6R)−3−(4−シアノ−5−フルオロ−2−メチルフェニル)−N−シクロプロピル−6−フルオロ−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキサミド;
(6S)−3−(4−シアノ−5−フルオロ−2−メチルフェニル)−N−シクロプロピル−6−フルオロ−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキサミド;
(6S)−3−(4−シアノ−5−フルオロ−2−メチルフェニル)−N−シクロプロピル−6−フルオロ−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキサミド;
(6S)−3−(4−クロロフェニル)−N−シクロプロピル−6−フルオロ−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキサミド;
(6R)−3−(4−クロロフェニル)−N−シクロプロピル−6−フルオロ−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキサミド;
(6R)−3−(4−クロロ−5−フルオロ−2−メチルフェニル)−N−シクロプロ
ピル−6−フルオロ−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキサミド;
(6S)−3−(4−クロロ−5−フルオロ−2−メチルフェニル)−N−シクロプロピル−6−フルオロ−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキサミド;および
3−(4−クロロ−2,5−ジフルオロフェニル)−N−シクロプロピル−6,6−ジフルオロ−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキサミド
からなる群から選択される、態様1に記載の化合物、または薬学的に許容できるその塩。
[態様32]
(6S)−3−(4−クロロ−2−メチルフェニル)−N−シクロプロピル−6−フルオロ−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキサミド、または薬学的に許容できるその塩。
[態様33]
4−[2−(アゼチジン−1−イルカルボニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−3−イル]−2−フルオロ−5−メチルベンゾニトリル、または薬学的に許容できるその塩。
[態様34]
3−(4−シアノ−5−フルオロ−2−メチルフェニル)−N−シクロプロピル−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキサミド、または薬学的に許容できるその塩。
[態様35]
PDE4A、PDE4BおよびPDE4Cアイソフォームによって媒介される疾患または状態に罹患している患者を治療する方法であって、前記治療を必要とする前記患者に、治療有効量の、態様1から34のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容できるその塩を投与するステップを含み、ここで、前記疾患または状態が、統合失調症、うつ病、不安神経症、物質乱用、アルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、慢性閉塞性肺疾患、炎症、脳卒中、喘息、脳血管疾患およびアレルギー性結膜炎からなる群から選択される、方法。
[態様36]
態様1から34のいずれか一項に記載の化合物、または薬学的に許容できるその塩と、薬学的に許容できる添加剤とを含む、医薬組成物。
【0017】
定義および例示
特許請求の範囲を包含する本願全体を通して使用される場合、下記の用語は、具体的に別段の指示がない限り、以下で定義する意味を有する。複数形および単数形は、数の指示以外、交換可能なものとして扱われるべきである:
【0018】
本明細書において使用される場合、用語「n員」は、nが整数である場合、典型的には、環形成原子の数がnである部分における環形成原子の数を記述するものである。例えば、ピリジンは6員ヘテロアリール環の一例であり、チアゾールは5員ヘテロアリール基の一例である。
【0019】
本明細書内の種々の場所において、本発明の化合物の置換基が群または範囲で開示されている。具体的には、本発明は、そのような群および範囲のメンバーのありとあらゆる個々のサブ組合せを包含することが意図されている。例えば、用語「(C
1〜C
6)アルキル」は、具体的には、C
1アルキル(メチル)、C
2アルキル(エチル)、C
3アルキル、C
4アルキル、C
5アルキルおよびC
6アルキルを包含することが意図されている。別の例として、用語「(5〜10員)ヘテロシクロアルキル基」は、具体的には、任意の5、6、7、8、9、および10員ヘテロシクロアルキル基を包含することが意図されている。
【0020】
用語「(C
1〜C
6)アルキル」は、本明細書において使用される場合、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルおよびn−ヘキシル等であるがこれらに限定されない、1から6個の炭素原子を含有する飽和分枝鎖または直鎖アルキル基を指す。
【0021】
用語「置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキル」は、本明細書において使用される場合、1個または複数の水素原子が、ハロゲン、オキソ、シアノ、ヒドロキシ、−SF
5、ニトロ、−N(R
7)(R
8)、−N(R
7)(C(=O)R
8)、−N(R
7)C(=O)−OR
8、−C(=O)−N(R
7)(R
8)、−O−C(=O)−N(R
7)(R
8)、−C(=O)−R
7、−C(=O)−OR
7、および(C
3−C
8)シクロアルキルからなる群から選択される置換基によって置きかえられており、ここで、R
7およびR
8は、それぞれ独立して、水素または置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキルである、上記で定義した通りの(C
1〜C
6)アルキルを指す。例えば、(C
1〜C
6)アルキル部分は、1個または複数のハロゲン原子で置換されて、「ハロ(C
1〜C
6)アルキル」を形成することができる。ハロ(C
1〜C
6)アルキルの代表例は、フルオロメチル、2−フルオロエチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、およびペンタフルオロエチルを包含するがこれらに限定されない。
【0022】
用語「(C
2〜C
6)アルケニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する直鎖または分枝鎖基を包含する、2から6個の炭素原子を有し、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する、脂肪族炭化水素を指す。代表例は、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル(アリル)、イソプロペニル、2−メチル−1−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル等を包含するがこれらに限定されない。本発明の化合物が(C
2〜C
6)アルケニル基を含有する場合、化合物は、純粋なE(エントゲーゲン)形態、純粋なZ(ツザンメン)形態、またはそれらの任意の混合物として存在し得る。
【0023】
用語「置換されていてもよい(C
2〜C
6)アルケニル」は、1個または複数の水素原子が、ハロゲン、オキソ、シアノ、ヒドロキシ、−SF
5、ニトロ、−N(R
7)(R
8)、−N(R
7)(C(=O)R
8)、−N(R
7)C(=O)−OR
8、−C(=O)−N(R
7)(R
8)、−O−C(=O)−N(R
7)(R
8)、−C(=O)−R
7、−C(=O)−OR
7、および(C
3−C
8)シクロアルキルからなる群から選択される置換基によって置きかえられており、ここで、R
7およびR
8は、それぞれ独立して、水素または置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキルである、上記で定義した通りの(C
2〜C
6)アルケニルを指す。
【0024】
用語「(C
2〜C
6)アルキニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する直鎖および分枝鎖を包含する、2から6個の炭素原子および少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する、脂肪族炭化水素を指す。代表例は、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニルおよびヘキシニルを包含するがこれらに限定されない。
【0025】
用語「置換されていてもよい(C
2〜C
6)アルキニル」は、1個または複数の水素原子が、ハロゲン、オキソ、シアノ、ヒドロキシ、−SF
5、−N(R
7)(R
8)、−N(R
7)(C(=O)R
8)、−N(R
7)C(=O)−OR
8、−C(=O)−N(R
7)(R
8)、−O−C(=O)−N(R
7)(R
8)、−C(=O)−R
7、−C(=O)−OR
7、および(C
3−C
8)シクロアルキルからなる群から選択される置換基によって置きかえられており、ここで、R
7およびR
8は、それぞれ独立して、水素または置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキルである、上記で定義した通りの(C
2〜C
6)アルキニルを指す。
【0026】
用語「(C
1〜C
6)アルコキシ」は、本明細書において使用される場合、酸素原子を経由して親分子部分と結合している、上記で定義した通りの(C
1〜C
6)アルキル基を指す。(C
1〜C
6)アルコキシの代表例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、2−プロポキシ、ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシおよびヘキシルオキシを包含するがこれらに限定されない。
【0027】
用語「置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルコキシ」は、本明細書において使用される場合、1個または複数の水素原子が、ハロゲン、オキソ、シアノ、ヒドロキシ、−SF
5、ニトロ、−N(R
7)(R
8)、−N(R
7)(C(=O)R
8)、−N(R
7)C(=O)−OR
8、−C(=O)−N(R
7)(R
8)、−O−C(=O)−N(R
7)(R
8)、−C(=O)−R
7、−C(=O)−OR
7、および(C
3−C
8)シクロアルキルからなる群から選択される置換基によって置きかえられており、ここで、R
7およびR
8は、それぞれ独立して、水素または置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキルである、上記で定義した通りの(C
1〜C
6)アルコキシ基を指す。例えば、(C
1〜C
6)アルコキシは、1個または複数のハロゲン原子で置換されて、「ハロ(C
1〜C
6)アルコキシ」を形成することができる。ハロ(C
1〜C
6)アルコキシの代表例は、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、2−フルオロエトキシ、トリフルオロメトキシおよびペンタフルオロエトキシを包含するがこれらに限定されない。
【0028】
用語「(C
1〜C
6)アルキルチオ」は、本明細書において使用される場合、硫黄原子を経由して親分子部分と結合している、上記で定義した通りの(C
1〜C
6)アルキル基を指す。(C
1〜C
6)アルキルチオの代表例は、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ等を包含するがこれらに限定されない。
【0029】
用語「置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキルチオ」は、本明細書において使用される場合、1個または複数の水素原子が、ハロゲン、オキソ、シアノ、ヒドロキシ、−SF
5、ニトロ、−N(R
7)(R
8)、−N(R
7)(C(=O)R
8)、−N(R
7)C(=O)−OR
8、−C(=O)−N(R
7)(R
8)、−O−C(=O)−N(R
7)(R
8)、−C(=O)−R
7、−C(=O)−OR
7、および(C
3−C
8)シクロアルキルからなる群から選択される置換基によって置きかえられており、ここで、R
7およびR
8は、それぞれ独立して、水素または置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキルである、上記で定義した通りの(C
1〜C
6)アルキルチオ基を指す。
【0030】
本明細書において使用される場合、用語「(C
3〜C
8)シクロアルキル」は、飽和炭素環式分子から水素を除去することによって得られた環式フレームワークが3から8個の炭素を有する、炭素環式置換基を指す。「(C
3〜C
6)シクロアルキル」は、3から6個の炭素原子を有する飽和炭素環式分子から水素を除去することによって得られた炭素環式置換基を指す。「シクロアルキル」は、単環式環であってよく、その例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルを包含する。シクロアルキルの定義内には、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロペンテニル、シクロヘプテニルおよびシクロオクテニル等であるがこれらに限定されない不飽和非芳香族シクロアルキルも包含される。代替として、シクロアルキルは、「(C
4〜C
8)ビシクロアルキル」等、1個を超える環を含有し得る。用語「(C
4〜C
8)ビシクロアルキル」は、4から8個の炭素原子を含有する二環式環系を指す。ビシクロアルキルは、ビシクロ[1.1.0]ブタニル、ビシクロ[2.1.0]ペンタニル、ビシクロ[2.2.0]ヘキサニル、ビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、ビシクロ[3.2.0]ヘプタニルおよびビシクロ[3.3.0]−オクタニル等、縮合していてよい。用語「ビシクロアルキル」は、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニルおよびビシクロ[1.1.1]ペンタニル等であるがこれらに限定されない架橋ビシクロアルキル系も包含する。
【0031】
用語「置換されていてもよい(C
3〜C
8)シクロアルキル」は、1個または複数の水素原子が、ハロゲン、オキソ、シアノ、ヒドロキシ、−SF
5、ニトロ、置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキル、置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルコキシ、置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキルチオ、−N(R
7)(R
8)、−N(R
7)(C(=O)R
8)、−N(R
7)C(=O)−OR
8、−C(=O)−N(R
7)(R
8)、−O−C(=O)−N(R
7)(R
8)、−C(=O)−R
7、−C(=O)−OR
7、および(C
3−C
8)シクロアルキルからなる群から選択される置換基によって置きかえられており、ここで、R
7およびR
8は、それぞれ独立して、水素または置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキルである、上記で定義した通りの(C
3〜C
8)シクロアルキルを指す。
【0032】
「ヘテロシクロアルキル」は、本明細書において使用される場合、環炭素原子の少なくとも1個が、窒素、酸素または硫黄から選択されるヘテロ原子で置きかえられている、上記で定義した通りのシクロアルキルを指す。用語「(4〜6員)ヘテロシクロアルキル」は、ヘテロシクロアルキル置換基が合計4から6個の環原子を含有し、その少なくとも1個がヘテロ原子であることを意味する。用語「(4〜8員)ヘテロシクロアルキル」は、ヘテロシクロアルキル置換基が合計4から8個の環原子を含有し、その少なくとも1個がヘテロ原子であることを意味する。「(4〜10員)ヘテロシクロアルキル」は、ヘテロシクロアルキル置換基が合計4から10個の環原子を含有することを意味する。「(6員)ヘテロシクロアルキル」は、ヘテロシクロアルキル置換基が合計6個の環原子を含有し、その少なくとも1個がヘテロ原子であることを意味する。「(5員)ヘテロシクロアルキル」は、ヘテロシクロアルキル置換基が合計5個の環原子を含有し、その少なくとも1個がヘテロ原子であることを意味する。ヘテロシクロアルキルは、最大合計10員を持つ単環であってよい。代替として、上記で定義した通りのヘテロシクロアルキルは、一緒に縮合している2または3個の環を含んでよく、ここで、少なくとも1個のそのような環は、ヘテロ原子を環原子として含有する(すなわち、窒素、酸素または硫黄)。ヘテロシクロアルキル置換基は、適切な原子価を有する窒素原子を介して、または任意の環炭素原子を介して、本発明の化合物のピラゾロオキサジンコアと結合していてよい。ヘテロシクロアルキル置換基は、ピラゾロオキサジンコア上のアミド部分の窒素と結合していてもよい。ヘテロシクロアルキル部分は、適切な原子価を有する窒素原子において、または任意の利用可能な炭素原子において、1個または複数の置換基で置換されていてもよい。
【0033】
「ヘテロシクロアルキル」の定義内には、ピリジニル環またはピリミジニル環等であるがこれらに限定されない、フェニルもしくはナフチル環と、またはヘテロアリール環と縮合しているヘテロシクロアルキルも包含される。
【0034】
ヘテロシクロアルキル環の例は、アゼチジニル、ジヒドロフラニル、ジヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロトリアジニル、テトラヒドロピラゾリル、テトラヒドロオキサジニル、テトラヒドロピリミジニル、オクタヒドロベンゾフラニル、オクタヒドロベンゾイミダゾリル、オクタヒドロベンゾチアゾリル、イミダゾリジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、ピラゾリジニル、チオモルホリニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチアジニル、テトラヒドロチアジアジニル、テトラヒドロ−オキサゾリル、モルホリニル、オキセタニル、テトラヒドロジアジニル、オキサジニル、オキサチアジニル、キヌクリジニル、クロマニル、イソクロマニル、ジヒドロベンゾジオキシニル、ベンゾジオキソリル、ベンゾオキサジニル、インドリニル、ジヒドロベンゾフラニル、テトラヒドロキノリル、イソクロミル、ジヒドロ−1H−イソインドリル、2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタノニル、3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタニル等を包含するがこれらに限定されない。ヘテロシクロアルキル環のさらなる例は、テトラヒドロフラン−2−イル、テトラヒドロフラン−3−イル、イミダゾリジン−1−イル、イミダゾリジン−2−イル、イミダゾリジン−4−イル、ピロリジン−1−イル、ピロリジン−2−イル、ピロリジン−3−イル、ピペリジン−1−イル、ピペリジン−2−イル、ピペリジン−3−イル、ピペリジン−4−イル、ピペラジン−1−イル、ピペラジン−2−イル、1,3−オキサゾリジン−3−イル、1,4−オキサゼパン−1−イル、イソチアゾリジニル、1,3−チアゾリジン−3−イル、1,2−ピラゾリジン−2−イル、1,2−テトラヒドロチアジン−2−イル、1,3−チアジナン−3−イル、1,2−テトラヒドロジアジン−2−イル、1,3−テトラヒドロジアジン−1−イル、1,4−オキサジン−4−イル、オキサゾリジノニル、2−オキソ−ピペリジニル(例えば、2−オキソ−ピペリジン−1−イル)等を包含する。
【0035】
用語「置換されていてもよいヘテロシクロアルキル」[例えば、置換されていてもよい(4〜10員)ヘテロシクロアルキル]は、1個または複数の水素原子が、化学的に容認できる場合、ハロゲン、オキソ、シアノ、ヒドロキシ、−SF
5、ニトロ、置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキル、置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルコキシ、置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキルチオ、−N(R
7)(R
8)、−N(R
7)(C(=O)R
8)、−N(R
7)C(=O)−OR
8、−C(=O)−N(R
7)(R
8)、−O−C(=O)−N(R
7)(R
8)、−C(=O)−R
7、−C(=O)−OR
7および(C
3〜C
8)シクロアルキルからなる群から選択される置換基によって置きかえられており、ここで、R
7およびR
8は、それぞれ独立して、水素または置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキルである、上記で定義した通りのヘテロシクロアルキルを指す。
【0036】
「(C
6〜C
10)アリール」は、フェニルまたはナフチル等の6から10個の炭素原子を含有するコンジュゲートしたπ電子系を有する全炭素単環式または縮合環多環式芳香族基を指す。
【0037】
用語「置換されていてもよい(C
6〜C
10)アリール」は、1個または複数の水素原子が、ハロゲン、オキソ、シアノ、ヒドロキシ、−SF
5、ニトロ、置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキル、置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルコキシ、置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキルチオ、−N(R
7)(R
8)、−N(R
7)(C(=O)R
8),−N(R
7)C(=O)−OR
8、−C(=O)−N(R
7)(R
8)、−O−C(=O)−N(R
7)(R
8)、−C(=O)−R
7、−C(=O)−OR
7および(C
3〜C
8)シクロアルキルからなる群から選択される置換基によって置きかえられており、ここで、R
7およびR
8は、それぞれ独立して、水素または置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキルである、上記で定義した通りの(C
6〜C
10)アリールを指す。
【0038】
本明細書において使用される場合、用語「ヘテロアリール」は、少なくとも1個の環中に、酸素(O)、硫黄(S)および窒素(N)からそれぞれ独立して選択される1個または複数のヘテロ原子環員(環形成原子)を持つ、単環式または縮合環多環式芳香族複素環式基を指す。「(5〜14員)ヘテロアリール」環は、環原子の少なくとも1個がヘテロ原子(すなわち、酸素、窒素または硫黄)であり、残りの環原子が、炭素、酸素、窒素および硫黄からなる群から独立して選択される、5から14個の環原子を有するヘテロアリール環を指す。「(5〜10員)ヘテロアリール」環は、環原子の少なくとも1個がヘテロ原子(すなわち、酸素、窒素または硫黄)であり、残りの環原子が、炭素、酸素、窒素および硫黄からなる群から独立して選択される、5から10個の環原子を有するヘテロアリール環を指す。「(5〜10員)窒素含有ヘテロアリール」環は、環原子の少なくとも1個が窒素であり、残りの環原子が、炭素および窒素からなる群から独立して選択される、5から10個の環原子を有するヘテロアリール環を指す。「(5〜6員)ヘテロアリール」は、環原子の少なくとも1個がヘテロ原子(すなわち、酸素、窒素または硫黄)であり、残りの環原子が、炭素、酸素、窒素および硫黄からなる群から独立して選択される、5から6個の環原子を有するヘテロアリール環を指す。「(5〜6員)窒素含有ヘテロアリール」は、環中のヘテロ原子の1個が窒素である、5から6個の環原子を有するヘテロアリール環を指す。「(6員)窒素含有ヘテロアリール」は、環中のヘテロ原子の1個が窒素である、6個の環原子を有するヘテロアリール環を指す。「(5員)窒素含有ヘテロアリール」は、環中のヘテロ原子の1個が窒素である、5個の環原子を有するヘテロアリール環を指す。ヘテロアリールは、単環または2もしくは3個の縮合環からなってよい。ヘテロアリールの例は、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニルおよびピリダジニル等の6員環置換基;トリアゾリル、イミダゾリル、フラニル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、1,2,3−、1,2,4、1,2,5−または1,3,4−オキサジアゾリル、オキサゾリル、チオフェニル、チアゾリル、イソチアゾリルおよびピラゾリル等の5員ヘテロアリール;インドリル、インダゾリル、ベンゾフラニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアゾリル、イソベンゾチオフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンズイソオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾジオキソリル、フラノピリジニル、プリニル、イミダゾピリジニル、イミダゾピリミジニル、ピロロピリジニル、ピラゾロピリジニル、ピラゾロピリミジニル、チエノピリジニル、トリアゾロピリミジニル、トリアゾロピリジニル(例えば、[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル)およびアントラニリル等の6/5員縮合環置換基;ならびにキノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、キナゾリニル、オキソクロマニルおよび1,4−ベンゾオキサジニル等の6/6員縮合環置換基を包含するがこれらに限定されない。
【0039】
ヘテロアリールは、本明細書において定義されている通りの、シクロアルキル基と、またはヘテロシクロアルキル基と縮合していてもよいことを理解されたい。
【0040】
ヘテロアリール置換基は、適切な原子価を有する窒素原子を介して、もしくは任意の環炭素原子を介して、本発明の化合物のピラゾロオキサジンコアと、またはピアゾロオキサジンコア上のアミド部分の窒素と結合していてよい。ヘテロアリール部分は、適切な原子価を有する窒素原子において、または任意の利用可能な炭素原子において、1個または複数の置換基で置換されていてもよい。
【0041】
用語「置換されていてもよい(5〜14員)ヘテロアリール」、「置換されていてもよい(5〜6員)ヘテロアリール」および「置換されていてもよい(5〜6員)窒素含有ヘテロアリール」は、1個または複数の水素原子が、化学的に容認できる場合、ハロゲン、オキソ、シアノ、ヒドロキシ、−SF
5、ニトロ、置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキル、置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルコキシ、置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキルチオ、−N(R
7)(R
8)、−N(R
7)(C(=O)R
8)、−N(R
7)C(=O)−OR
8、−C(=O)−N(R
7)(R
8)、−O−C(=O)−N(R
7)(R
8)、−C(=O)−R
7、−C(=O)−OR
7および(C
3〜C
8)シクロアルキルからなる群から選択される置換基によって置きかえられており、ここで、R
7およびR
8は、それぞれ独立して、水素または置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキルである、上記で定義した通りの(5〜14員)ヘテロアリール、(5〜6員)ヘテロアリールおよび(5〜6員)窒素含有ヘテロアリールを指す。置換基は、任意の利用可能な炭素原子においてヘテロアリール部分と、またはヘテロ原子が適切な原子価を有する窒素である場合にはヘテロ原子と、結合していてよい。
【0042】
「ハロ」または「ハロゲン」は、本明細書において使用される場合、塩素、フッ素、臭素またはヨウ素原子を指す。
【0043】
「ヒドロキシ」または「ヒドロキシル」は、本明細書において使用される場合、−OH基を意味する。
【0044】
「シアノ」は、本明細書において使用される場合、−CN基を意味し、これは、
【0046】
「ニトロ」は、本明細書において使用される場合、−NO
2基を意味する。
【0047】
「オキソ」は、本明細書において使用される場合、=O部分を意味する。オキソが炭素原子上で置換されている場合、これらは一緒になってカルボニル部分[−C(=O)−]を形成する。オキソが硫黄原子上で置換されている場合、これらは一緒になってスルホニル部分[−S(=O)−]を形成し、2個のオキソ基が硫黄原子上で置換されている場合、これらは一緒になってスルホキシド部分[−S(=O)2−]を形成する。
【0048】
「置換されていてもよい」は、本明細書において使用される場合、置換が任意選択であり、したがって、非置換および置換されている原子および部分の両方を包含することを意味する。「置換されている」原子または部分は、指定された原子または部分上の任意の水素を、示されている置換基(指定された原子または部分上のすべての水素原子が、示されている置換基からの選択で置きかえられているものまでを包含する)からの選択で置きかえることができ、但し、指定された原子または部分の正常な原子価を超えず、置換は安定化合物をもたらすことを示す。例えば、メチル基(すなわち、−CH
3)が置換されていてもよいならば、炭素原子上の最大3個の水素原子を置換基で置きかえることができる。
【0049】
本明細書において使用される場合、定めのない限り、置換基の結合点は置換基の任意の好適な位置からであり得る。例えば、ピリジニル(またはピリジル)は、2−ピリジニル(またはピリジン−2−イル)、3−ピリジニル(またはピリジン−3−イル)または4−ピリジニル(またはピリジン−4−イル)であり得る。
【0050】
置換基との結合が、環中の2個の原子を接続する結合と交差しているように示されている場合、そのような置換基は、置換可能であるその環中の環形成原子のいずれかと結合(すなわち、1個または複数の水素原子と結合)していてよい。例えば、上記の式Iに示されている通り、R
4は、置換可能であるテトラヒドロピラン環の任意の環形成原子と結合していてよい。
【0051】
「治療有効量」は、治療されている障害の症状の1つまたは複数をある程度まで軽減するであろう、投与される化合物の量を指す。
【0052】
「患者」は、例えば、ブタ、ウシ、ニワトリ、ウマ、モルモット、マウス、ラット、スナネズミ、ネコ、ウサギ、イヌ、サル、チンパンジーおよびヒト等の温血動物を指す。
【0053】
「治療すること」または「治療する」は、本明細書において使用される場合、別段の指示がない限り、そのような用語が当てはまる障害もしくは状態、またはそのような障害もしくは状態の1つもしくは複数の症状を、回復させること、緩和すること、その進行を阻害すること、または予防することを意味する。用語「治療」は、本明細書において使用される場合、別段の指示がない限り、「治療すること」がすぐ上で定義された通りの治療する行為を指す。用語「治療すること」は、対象のアジュバントおよびネオアジュバント治療も包含する。
【0054】
「薬学的に許容できる」は、物質または組成物が、製剤を構成する他の原料および/またはそれにより治療されている哺乳動物と、化学的にかつ/または毒物学的に適合しなくてはならないことを意味する。
【0055】
「アイソフォーム」は、同じタンパク質の数種の異なる形態のいずれかを意味する。
【0056】
「アイソザイム」または「アイソエンザイム」は、アミノ酸配列が異なるが同じ化学反応を触媒する酵素の密接に関係するバリアントを意味する。
【0057】
「異性体」は、以下で定義する通りの「立体異性体」および「幾何異性体」を意味する。
【0058】
「立体異性体」は、それぞれRまたはS配置で存在し得る、1つまたは複数のキラル中心を保有する化合物を指す。立体異性体は、すべてのジアステレオマー、エナンチオマーおよびエピマー形態ならびにそれらのラセミ体および混合物を包含する。
【0059】
「幾何異性体」は、シス、トランス、アンチ、エントゲーゲン(E)およびツザンメン(Z)形態ならびにそれらの混合物で存在し得る化合物を指す。
【0060】
本明細書では、用語「置換基」、「ラジカル」および「基」を交換可能に使用する。
【0061】
置換基が、ある群から「独立して選択される」として記述されているならば、置換基の各事例は、互いに独立して選択される。したがって、各置換基は、他の置換基と同一であってよく、または異なっていてよい。
【0062】
本明細書において使用される場合、用語「式I」は、以後、「本発明の化合物」と称され得る。そのような用語は、その水和物、溶媒和物、異性体、結晶性および非結晶性形態、同形、多形ならびに代謝産物を包含する、本発明の化合物のすべての形態を包含するようにも定義されている。例えば、本発明の化合物、または薬学的に許容できるその塩は、非溶媒和および溶媒和形態で存在し得る。溶媒または水が密接に結合している場合、錯体は、湿度とは無関係に、明確な化学量論を有することになる。しかしながら、溶媒または水の結合が弱い場合、チャネル溶媒和物および吸湿性化合物のように、水/溶媒含有量は湿度および乾燥条件に依存することになる。そのような事例では、非化学量論を基準とする。
【0063】
本発明の化合物は、クラスレートまたは他の錯体として存在し得る。クラスレート、薬物−宿主包接錯体等の錯体が、本発明の範囲内に包含され、ここで、薬物および宿主は、化学量論的または非化学量論的量で存在する。化学量論的または非化学量論的量であってよい、2つ以上の有機および/または無機成分を含有する本発明の化合物の錯体も包含される。得られた錯体は、イオン化、部分イオン化、または非イオン化であってよい。そのような錯体の総説については、J Pharm Sci.、64(8)、1269〜1288、Haleblian著(1975年8月)を参照されたい。
【0064】
本発明の化合物のいくつかは、不斉炭素原子を有する。本発明の化合物の炭素−炭素結合は、本明細書において、実線(
【0067】
【化5】
)を使用して示されることがある。不斉炭素原子との結合を示すための実線の使用は、その炭素原子におけるすべての可能な立体異性体(例えば、具体的なエナンチオマー、ラセミ混合物等)が包含されることを示すことを意味する。不斉炭素原子との結合を示すための中実楔または破線楔の使用は、示されている立体異性体が存在することを示すことを意味する。ラセミ化合物中に存在する場合、中実楔および破線楔は、絶対立体化学よりもむしろ相対立体化学を定義するために使用される。そのような示されている相対立体化学を保有するラセミ化合物には、(+/−)が付けられる。別段の定めがない限り、本発明の化合物は、シスおよびトランス異性体、RおよびSエナンチオマー等の光学異性体、ジアステレオマー、幾何異性体、回転異性体、配座異性体、アトロプ異性体、ならびにそれらの混合物(ラセミ体およびジアステレオマー対等)を包含する、立体異性体として存在できることが意図されている。本発明の化合物は、1種類を超える異性を呈し得る。対イオンが光学活性の、例えば、D−乳酸もしくはL−リジン、またはラセミの、例えば、DL−酒石酸もしくはDL−アルギニンである酸付加または塩基付加塩も包含される。
【0068】
任意のラセミ体が結晶化する場合、2つの異なる種類の結晶が可能である。第一の種類は、等モル量で両エナンチオマーを含有する1つの均質な形態の結晶が生成される、上記で言及したラセミ化合物(真のラセミ体)である。第二の種類は、それぞれが単一のエナンチオマーを含む2種の形態の結晶が等モル量で生成されるラセミ混合物またはコングロメレートである。
【0069】
本発明の化合物は、無機または有機酸から誘導される塩の形態で使用されてよい。特定の化合物に応じて、化合物の塩は、異なる温度および湿度における薬学的安定性の強化、または水もしくは油中での望ましい溶解性等、塩の物理的特性のうちの1つまたは複数により、有利となり得る。いくつかの場合において、化合物の塩は、化合物の単離、精製および/または分割における助剤として使用されることもある。
【0070】
ある塩が、患者に投与されることが意図されている場合(例えば、インビトロの状況で使用されるのとは対照的に)、該塩は、好ましくは、薬学的に許容できる。用語「薬学的に許容できる塩」は、本発明の化合物を、そのアニオンまたはカチオンが、哺乳類による消費に好適であると概してみなされている酸または塩基と組み合わせることによって調製された塩を指す。薬学的に許容できる塩は、親化合物と比較して大きいそれらの水溶解度により、本発明の方法の生成物として特に有用である。
【0071】
本発明の化合物の好適な薬学的に許容できる酸付加塩は、可能な場合、塩酸、臭化水素酸、フッ化水素酸、ホウ酸、ホウフッ化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸、カルボン酸、スルホン酸および硫酸等であるがこれらに限定されない無機酸、ならびに、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グリコール酸、イソチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、マレイン酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、コハク酸、トルエンスルホン酸、酒石酸およびトリフルオロ酢酸等の有機酸から誘導されたものを包含する。好適な有機酸は、概して、脂肪族、脂環式、芳香族、芳香脂肪族(araliphatic)、複素環式、カルボン酸およびスルホン酸クラスの有機酸を包含するがこれらに限定されない。
【0072】
好適な有機酸の具体例は、酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、ジグルコン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、グロクロン酸、マレイン酸、フマル酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、ステアリン酸、サリチル酸、p−ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸(パモ酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パントテン酸、トルエンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、スルファニル酸、シクロヘキシルアミノ−エタンスルホン酸、アルゲン酸、β−ヒドロキシ酪酸、ガラクタル酸、ガラクツロン酸、アジピン酸、アルギン酸、酪酸、樟脳、樟脳スルホン酸、シクロペンタンプロピオン酸、ドデシル硫酸、グリコヘプタン酸、グリセロリン酸、ヘプタン酸、ヘキサン酸、ニコチン酸、2−ナフタレン−スルホン酸、シュウ酸、パルモ酸、ペクチン酸、3−フェニルプロピオン酸、ピクリン酸、ピバル酸、チオシアン酸およびウンデカン酸を包含するがこれらに限定されない。
【0073】
さらに、本発明の化合物が酸性部分を担持する場合、好適な薬学的に許容できるその塩は、アルカリ金属塩、例えば、ナトリウムまたはカリウム塩;アルカリ土類金属塩、例えば、カルシウムまたはマグネシウム塩;ならびに好適な有機リガンドと形成された塩、例えば、第四級アンモニウム塩を包含し得る。別の実施形態において、塩基塩は、アルミニウム塩、アルギニン塩、ベンザチン塩、コリン塩、ジエチルアミン塩、ジオールアミン塩、グリシン塩、リジン塩、メグルミン塩(N−メチルグルカミン)、オラミン塩、トロメタミン塩および亜鉛塩を包含する、非毒性塩を形成する塩基から形成される。
【0074】
有機塩は、トロメタミン、ジエチルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミンおよびプロカイン等の、第二級、第三級または第四級アミン塩から作製され得る。塩基性窒素含有基は、低級アルキル(C
1〜C
6)ハロゲン化物(例えば、塩化、臭化およびヨウ化メチル、塩化、臭化およびヨウ化エチル、塩化、臭化およびヨウ化プロピル、ならびに塩化、臭化およびヨウ化ブチル)、硫酸ジアルキル(例えば、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、硫酸ジブチル、および硫酸ジアミル)、長鎖ハロゲン化物(例えば、塩化、臭化およびヨウ化デシル、塩化、臭化およびヨウ化ラウリル、塩化、臭化およびヨウ化ミリスチル、ならびに塩化、臭化およびヨウ化ステアリル)、アリールアルキルハロゲン化物(例えば、臭化ベンジルおよび臭化フェネチル)ならびにその他等の物質で四級化されていてよい。
【0075】
一実施形態において、酸および塩基のヘミ塩、例えばヘミ硫酸塩およびヘミカルシウム塩も形成され得る。
【0076】
本発明のある特定の化合物は、幾何異性体として存在し得る。本発明の化合物は、1つまたは複数の不斉中心を保有していてよく、それ故に、2つ以上の立体異性形態として存在し得る。本発明は、本発明の化合物のすべての個々の立体異性体および幾何異性体ならびにそれらの混合物を包含する。個々のエナンチオマーは、キラル分離によって、または合成において関連する鏡像異性体を使用することによって得ることができる。
【0077】
加えて、本発明の化合物は、非溶媒和、ならびに水、エタノール等の薬学的に許容できる溶媒との溶媒和形態で、存在することができる。概して、溶媒和形態は、本発明の目的のために非溶媒和形態と同等であるとみなされる。化合物は、1つまたは複数の結晶性状態、すなわち多形として存在してもよいし、非晶質固体として存在してもよい。すべてのそのような形態は、特許請求の範囲によって包括される。
【0078】
本発明の化合物のいわゆる「プロドラッグ」も、本発明の範囲内である。それ故に、それら自体は薬理活性をほとんどまたは全く有し得ない本発明の化合物のある特定の誘導体は、体内または体表面に投与されると、例えば加水分解開裂によって、所望の活性を有する本発明の化合物に変換され得る。そのような誘導体を、「プロドラッグ」と称する。プロドラッグの使用についてのさらなる情報は、「Pro−drugs as Novel Delivery Systems、第14巻、ACS Symposium Series(T.HiguchiおよびW.Stella)および「Bioreversible Carriers in Drug Design」、Pergamon Press、1987(E.B.Roche編、American Pharmaceutical Association)において見ることができる。本発明に従うプロドラッグは、例えば、本発明の化合物中に存在する適切な官能基を、例えば、「Design of Prodrugs」、H.Bundgaard著(Elsevier、1985)において記述されている通り、「プロ部分」として当業者に公知のある特定の部分で置きかえることによって生成され得る。
【0079】
本発明は、保護基を含有する本発明の化合物も包括する。当業者ならば、本発明の化合物を、精製または貯蔵に有用であり、患者への投与前に除去できる、ある特定の保護基を用いて調製することもできることが分かるであろう。官能基の保護および脱保護は、「Protective Groups in Organic Chemistry」、J.F.W.McOmie編、Plenum Press(1973)ならびに「Protective Groups in Organic Synthesis」、第3版、T.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts、Wiley−Interscience(1999)において記述されている。
【0080】
本発明は、1個または複数の原子が、同じ原子番号を有するが、原子質量または質量数が自然界で優勢な原子質量または質量数とは異なる原子によって置きかえられている、本明細書において列挙されているものと同一である薬学的に許容できる同位体標識化合物もすべて包含する。本発明の化合物への包含に好適な同位体の例は、
2H、
3H等の水素;
11C、
13Cおよび
14C等の炭素;
36Cl等の塩素;
18F等のフッ素;
123Iおよび
125I等のヨウ素;
13Nおよび
15N等の窒素;
15O、
17Oおよび
18O等の酸素;
32P等のリン;ならびに
35S等の硫黄の同位体を包含するがこれらに限定されない。本発明のある特定の同位体標識化合物、例えば、放射性同位体を組み込んだものは、薬物および/または基質組織分布研究(例えば、アッセイ)において有用である。放射性同位体トリチウム、すなわち
3H、および炭素−14、すなわち
14Cは、それらの組み込みの容易性および即時の検出手段を考慮すると、この目的に特に有用である。重水素、すなわち
2H等のより重い同位体による置換は、より優れた代謝安定性によって生じるある特定の治療上の利点、例えば、インビボ半減期の増大または必要用量の減少を生じさせることができ、それ故、一部の状況において好ましい場合がある。
11C、
15F、
18F、
15Oおよび
13N等の陽電子放射同位体による置換は、基質受容体占有率を調査するための陽電子放射断層撮影法(PET)研究において有用となり得る。本発明の同位体標識化合物は、概して、当業者に公知である従来の技術によって、または付随するスキームにおいて、ならびに/もしくは実施例および調製において記述されているものと類似のプロセスによって、これまでに用いられた非標識試薬の代わりに適切な同位体標識試薬を使用することにより、調製され得る。本発明に従う薬学的に許容できる溶媒和物は、結晶化の溶媒が同位体置換されていてよいもの、例えば、D
2O、アセトン−d
6またはDMSO−d
6を包含する。後述する実施例1〜104において例示されている化合物を包含する本発明の化合物は、重水素化およびトリチウム化同位体ならびに上記で論じられているすべての他の同位体等であるがこれらに限定されない、これらの化合物の同位体標識型を包含する。
【0081】
化合物
式Iの化合物は、上述した通り、6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジンコアを含有し、ここで、コアは、1から3個のR
5で置換されていてもよいR
1部分によって3位で置換されており、R
4部分によって5、6および/または7位で置換されていてもよく、6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジンコアの2位と結合しているアミド部分の窒素は、R
2およびR
3で置換されている。
【0082】
一実施形態において、上述した通りの式I中、R
1は、置換されていてもよい(C
3〜C
8)シクロアルキルである。R
1が、置換されていてもよい(C
3〜C
8)シクロアルキルである場合、シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルからなる群から選択される。
【0083】
別の実施形態において、上述した通りの式I中、R
1は、置換されていてもよい(4〜10員)ヘテロシクロアルキルである。R
1が、置換されていてもよい(4〜10員)ヘテロシクロアルキルである場合、ヘテロシクロアルキルは、アゼチジニル、ジヒドロフラニル、ジヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロトリアジニル、テトラヒドロピラゾリル、テトラヒドロオキサジニル、テトラヒドロピリミジニル、オクタヒドロベンゾフラニル、オクタヒドロベンズイミダゾリル、オクタヒドロベンゾチアゾリル、イミダゾリジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、オキサゾリジニル、イソチアゾリジニル、チアゾリジニル、ピラゾリジニル、チオモルホリニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチアジニル、テトラヒドロチアジアジニル、テトラヒドロオキサゾリル、モルホリニル、オキセタニル、テトラヒドロジアジニル、ジヒドロオキサジニル、オキサチアジニル、キヌクリジニル、クロマニル、イソクロマニル、ジヒドロベンゾジオキシニル、ベンゾジオキソリル、ベンゾオキサジニル、インドリニル、ジヒドロベンゾフラニル、テトラヒドロキノリル、イソクロマニル、ジヒドロ−1H−イソインドリル、2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタノニル、3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサニルおよび3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタニルからなる群から選択される。
【0084】
別の実施形態において、上述した通りの式I中、R
1は、フェニルまたはナフチルから選択される、置換されていてもよい(C
6〜C
10)アリールである。
【0085】
ある特定の他の実施形態において、R
1が、置換されていてもよい(C
6〜C
10)アリールである場合、アリールは、フェニルである。
【0086】
別の実施形態において、上述した通りの式I中、R
1は、置換されていてもよい(5〜10員)ヘテロアリールである。
【0087】
ある特定の実施形態において、R
1は、置換されていてもよい(5〜10員)ヘテロアリールである。
【0088】
ある特定の他の実施形態において、R
1は、置換されていてもよい(5〜6員)ヘテロアリールである。
【0089】
ある特定の実施形態において、R
1が、置換されていてもよい(5〜10員)ヘテロアリールである場合、ヘテロアリールは、トリアゾリル、イミダゾリル、フラニル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、1,2,3−、1,2,4、1,2,5−、または1,3,4−オキサジアゾリル、オキサゾリル、チオフェニル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリル、インダゾリル、ベンゾフラニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアゾリル、イソベンゾチオフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンズイソオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾジオキソリル、フラノピリジニル、プリニル、イミダゾピリジニル、イミダゾピリミジニル、ピロロピリジニル、ピラゾロピリジニル、ピラゾロピリミジニル、チエノピリジニル、トリアゾロピリミジニル、トリアゾロピリジニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、キナゾリニル、オキソクロメニルおよび1,4−ベンゾオキサジニルからなる群から選択される。
【0090】
ある特定の他の実施形態において、R
1が、置換されていてもよい(5〜10員)ヘテロアリールである場合、ヘテロアリールは、ピリジニル、トリアゾロピリジニル、ピラゾロピリジニルおよびベンゾオキサゾリルからなる群から選択される。
【0091】
ある特定の実施形態において、R
1が、置換されていてもよい(5〜6員)ヘテロアリールである場合、ヘテロアリールは、(5員)窒素含有ヘテロアリールである。例えば、(5員)窒素含有ヘテロアリールは、ピラゾリル、イミダゾリルおよびトリアゾリルからなる群から選択される。
【0092】
ある特定の実施形態において、R
1が、置換されていてもよい(5〜6員)ヘテロアリールである場合、ヘテロアリールは、(6員)窒素含有ヘテロアリールである。例えば、(6員)窒素含有ヘテロアリールは、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニルおよびピリダジニルからなる群から選択される。ある特定の実施形態において、(6員)窒素含有ヘテロアリールは、ピリジニルである。
【0093】
先行する実施形態のいずれかにおいて、化学的に容認できる場合、R
1は、1から3個のR
5で置換されていてもよく、各R
5は、ハロゲン、シアノ、置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキルおよび置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルコキシからなる群から独立して選択される。
【0094】
ある特定の実施形態において、R
5は、フルオロまたはクロロから選択されるハロゲンである。
【0095】
ある特定の他の実施形態において、R
5は、置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキルであり、アルキルは、メチル、エチルまたはプロピルから選択され、メチル、エチルおよびプロピルは、1から3個のフッ素原子で置換されていてもよい。例えば、置換されていてもよいアルキルは、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、フルオロエチル、ジフルオロエチル、トリフルオロエチル等を包含するがこれらに限定されない。
【0096】
また別の実施形態において、R
5は、置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルコキシであり、アルコキシは、メトキシ、エトキシまたはプロポキシから選択され、メトキシ、エトキシおよびプロポキシは、1から3個のフッ素原子で置換されていてもよい。例えば、置換されていてもよいアルコキシは、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、フルオロエトキシ、ジフルオロエトキシ、トリフルオロエトキシ等を包含するがこれらに限定されない。
【0097】
R
1の上述の亜属のいずれかを、上記および以後に記述されている通りのR
2、R
3およびR
4についての実施形態のいずれかと一緒に組み合わせることができることを理解されたい。
【0098】
別の実施形態において、上述した通りの式I中、R
2およびR
3は、水素、置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキル、(C
3〜C
8)シクロアルキルおよび(5〜6員)ヘテロアリールからなる群からそれぞれ独立して選択され、化学的に容認できる場合、(C
3〜C
8)シクロアルキルおよび(5〜6員)ヘテロアリールは、1から3個のR
6で置換されていてもよい。
【0099】
ある特定の実施形態において、上述した通りの式I中、R
2およびR
3の一方は、水素であり、他方は、置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキルである。
【0100】
ある特定の実施形態において、R
2およびR
3の一方が、置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキルである場合、アルキルは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル、ペンチルおよびヘキシルからなる群から選択される。
【0101】
ある特定の実施形態において、R
2およびR
3の一方が、置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキルである場合、アルキルは、メチル、エチル、プロピルおよびイソプロピルからなる群から選択される。
【0102】
別の実施形態において、上述した通りの式I中、R
2およびR
3の一方は、水素であり、他方は、(C
3〜C
8)シクロアルキルであり、ここで、シクロアルキルは、1から3個のR
6で置換されていてもよい。
【0103】
ある特定の実施形態において、R
2およびR
3の一方が、置換されていてもよい(C
3〜C
8)シクロアルキルである場合、シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチルまたはビシクロ[1.1.1]ペンチルから選択される。
【0104】
ある特定の実施形態において、R
2およびR
3の一方が、置換されていてもよい(C
3〜C
8)シクロアルキルである場合、シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチルおよびシクロペンチルから選択される。
【0105】
ある特定の実施形態において、R
2およびR
3の一方が、置換されていてもよい(C
3〜C
8)シクロアルキルである場合、シクロアルキルは、シクロプロピルである。
【0106】
別の実施形態において、上述した通りの式I中、R
2およびR
3の一方は、水素であり、他方は、(5〜6員)ヘテロアリールであり、ここで、ヘテロアリールは、1から3個のR
6で置換されていてもよい。
【0107】
ある特定の実施形態において、R
2およびR
3の一方が、置換されていてもよい(5〜6員)ヘテロアリールである場合、ヘテロアリールは、トリアゾリル、イミダゾリル、フラニル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、1,2,3−、1,2,4、1,2,5−もしくは1,3,4−オキサジアゾリル、オキサゾリル、チオフェニル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニルまたはピリダジニルから選択される。
【0108】
ある特定の実施形態において、R
2およびR
3の一方が、置換されていてもよい(5〜6員)ヘテロアリールである場合、ヘテロアリールは、(5〜6員)窒素含有ヘテロアリールである。
【0109】
ある特定の実施形態において、R
2およびR
3の一方が、置換されていてもよい(5〜6員)窒素含有ヘテロアリールである場合、ヘテロアリールは、トリアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニルまたはピリダジニルから選択される。
【0110】
ある特定の実施形態において、R
2およびR
3の一方が、置換されていてもよい(5〜6員)窒素含有ヘテロアリールである場合、ヘテロアリールは、トリアゾリル、ピラゾリルまたはピリミジニルから選択される。
【0111】
別の実施形態において、上述した通りの式I中、R
2およびR
3は、それらが結合した窒素と一緒になって、1から3個のR
6で置換されていてもよい(4〜6員)ヘテロシクロアルキルを形成する。
【0112】
ある特定の実施形態において、R
2およびR
3が、それらが結合した窒素と一緒になって、(4〜6員)ヘテロシクロアルキルを形成する場合、ヘテロシクロアルキルは、アゼチジニル、テトラヒドロピラゾリル、テトラヒドロオキサジニル、テトラヒドロピリミジニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、オキサゾリジニルおよびピロリジニルからなる群から選択される。
【0113】
ある特定の実施形態において、R
2およびR
3が、それらが結合した窒素と一緒になって、(4〜6員)ヘテロシクロアルキルを形成する場合、ヘテロシクロアルキルは、アゼチジニルである。
【0114】
先行する実施形態のいずれかにおいて、R
2およびR
3の一方が、1から3個のR
6で置換されている、(C
3〜C
8)シクロアルキルもしくは(5〜6員)ヘテロアリールであるか、またはR
2およびR
3が、それらが結合した窒素と一緒になって、1から3個のR
6で置換されていてもよい(4〜6員)ヘテロシクロアルキルを形成する場合、R
6は、各出現において、ハロゲン、オキソ、シアノ、ヒドロキシ、置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキルおよび置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルコキシからなる群から独立して選択される。
【0115】
ある特定の実施形態において、R
6がハロゲンである場合、ハロゲンは、フルオロおよびクロロから選択される。
【0116】
ある特定の他の実施形態において、R
6が、置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキルである場合、アルキルは、メチル、エチルまたはプロピルから選択され、メチル、エチルおよびプロピルは、1から3個のフッ素原子で置換されていてもよい。例えば、置換されていてもよいアルキルは、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、フルオロエチル、ジフルオロエチル、トリフルオロエチル等を包含するがこれらに限定されない。
【0117】
また別の実施形態において、R
6が、置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルコキシである場合、アルコキシは、メトキシ、エトキシまたはプロポキシから選択され、メトキシ、エトキシおよびプロポキシは、1から3個のフッ素原子で置換されていてもよい。例えば、置換されていてもよいアルコキシは、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、フルオロエトキシ、ジフルオロエトキシ、トリフルオロエトキシ等を包含するがこれらに限定されない。
【0118】
R
2およびR
3の上述の亜属のいずれかを、上記および以後に記述されている通りの実施形態のいずれかと一緒に組み合わせることができることを理解されたい。
【0119】
別の実施形態において、上述した通りの式I中、各R
4は、存在する場合、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、−SF
5、ニトロ、置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキルおよび置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルコキシからなる群から独立して選択される。
【0120】
ある特定の実施形態において、R
4が、ハロゲンである場合、ハロゲンは、フルオロまたはクロロから選択される。
【0121】
ある特定の他の実施形態において、R
4が、置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキルおよび/または置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルコキシである場合、(C
1〜C
6)アルキルおよび(C
1〜C
6)アルコキシは、前述の実施形態のいずれかにおいて上述した通りである。
【0122】
R
4の上述の亜属のいずれかを、上述した通りのR
1、R
2およびR
3についての実施形態のいずれかと一緒に組み合わせることができることを理解されたい。
【0123】
別の実施形態において、先行する実施形態のいずれかにおいて、上述した通りの式I中、aは、0、1または2から選択される整数である。ある特定の実施形態において、aは、0である。ある特定の他の実施形態において、aは、1である。ある特定の他の実施形態において、aは、2である。
【0124】
ある特定の他の実施形態において、本発明は、式II:
【0125】
【化6】
[式中、
R
2およびR
3は、水素、置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキルおよび(C
3〜C
8)シクロアルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され、ここで、(C
3〜C
8)シクロアルキルは、1から3個のR
6で置換されていてもよく、または
R
2およびR
3は、それらが結合した窒素と一緒になって、1から3個のR
6で置換されていてもよい(4〜6員)ヘテロシクロアルキルを形成し、
存在する場合、各R
4は、ハロゲンまたは置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキルから独立して選択され、
存在する場合、R
5およびR
6は、各出現において、ハロゲン、シアノ、置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキルおよび置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルコキシからなる群から独立して選択され、
aは、0、1または2から選択される整数である]
の化合物または薬学的に許容できるその塩を対象とする。
【0126】
ある特定の実施形態において、上述した通りの式II中、R
2およびR
3の一方は、水素であり、他方は、置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキルである。例えば、(C
1〜C
6)アルキルは、メチル、エチル、プロピルおよびイソプロピルからなる群から選択され得る。
【0127】
ある特定の他の実施形態において、上述した通りの式II中、R
2およびR
3の一方は、水素であり、他方は、1から3個のR
6で置換されていてもよい(C
3〜C
8)シクロアルキルである。例えば、(C
3〜C
8)シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチルおよびシクロペンチルからなる群から選択され得る。ある特定の実施形態において、(C
3〜C
8)シクロアルキルは、シクロプロピルである。
【0128】
ある特定の実施形態において、上述した通りの式II中、R
2およびR
3は、それらが結合した窒素と一緒になって、1から3個のR
6で置換されていてもよい(4〜6員)ヘテロシクロアルキルを形成する。例えば、(4〜6員)ヘテロシクロアルキルは、アゼチジニルである。
【0129】
別の実施形態において、本発明の選択された化合物は、それを必要とする哺乳動物(好ましくはヒト)に、治療有効量のPDE4B活性を阻害するのに有用な本発明の化合物を投与すること、より好ましくは、PDE4Bに対する改善された結合親和性を有し、同時にPDE4Dに対するより低い阻害活性を保有する、ある量の本発明の化合物を投与することを含む、PDE4B媒介性障害を治療することのために有用となり得る。
【0130】
ある特定の他の実施形態において、本発明の選択された化合物は、PDE4Bアイソフォームに対する結合親和性を呈し得る。
【0131】
ある特定の実施形態において、本発明の化合物は、PDE4DアイソフォームよりもPDE4Bアイソフォームに対して強化された結合親和性を有し、そのため、化合物は、PDE4DアイソフォームよりもPDE4Bアイソフォームに対して約2倍から約550倍の結合親和性を示す。ある特定の他の実施形態において、本発明の化合物は、PDE4DアイソフォームよりもPDE4Bアイソフォームに対して、約2倍から約10倍の結合親和性を示す。ある特定の他の実施形態において、本発明の化合物は、PDE4DアイソフォームよりもPDE4Bアイソフォームに対して、約11倍から約30倍の結合親和性を示す。ある特定の他の実施形態において、本発明の化合物は、PDE4DアイソフォームよりもPDE4Bアイソフォームに対して、約31倍から約90倍の結合親和性を示す。ある特定の他の実施形態において、本発明の化合物は、PDE4DアイソフォームよりもPDE4Bアイソフォームに対して、約91倍から約125倍の結合親和性を示す。ある特定の他の実施形態において、本発明の化合物は、PDE4DアイソフォームよりもPDE4Bアイソフォームに対して、約126倍から約225倍の結合親和性を示す。ある特定の他の実施形態において、本発明の化合物は、PDE4DアイソフォームよりもPDE4Bアイソフォームに対して、約226倍から約350倍の結合親和性を示す。ある特定の他の実施形態において、本発明の化合物は、PDE4DアイソフォームよりもPDE4Bアイソフォームに対して、約351倍から約550倍の結合親和性を示す。ある特定の実施形態において、本発明の化合物は、PDE4DアイソフォームよりもPDE4Bアイソフォームに対して、少なくとも約5倍の結合親和性を示す。ある特定の実施形態において、本発明の化合物は、PDE4DアイソフォームよりもPDE4Bアイソフォームに対して、少なくとも約10倍の結合親和性を示す。ある特定の実施形態において、本発明の化合物は、PDE4DアイソフォームよりもPDE4Bアイソフォームに対して、少なくとも約20倍の結合親和性を示す。ある特定の他の実施形態において、本発明の化合物は、PDE4DアイソフォームよりもPDE4Bアイソフォームに対して、少なくとも約40倍の結合親和性を示す。ある特定の他の実施形態において、本発明の化合物は、PDE4DアイソフォームよりもPDE4Bアイソフォームに対して、少なくとも約50倍の結合親和性を示す。ある特定の他の実施形態において、本発明の化合物は、PDE4DアイソフォームよりもPDE4Bアイソフォームに対して、少なくとも約75倍の結合親和性を示す。ある特定の他の実施形態において、本発明の化合物は、PDE4DアイソフォームよりもPDE4Bアイソフォームに対して、少なくとも約100倍の結合親和性を示す。ある特定の他の実施形態において、本発明の化合物は、PDE4DアイソフォームよりもPDE4Bアイソフォームに対して、少なくとも約200倍の結合親和性を示す。ある特定の他の実施形態において、本発明の化合物は、PDE4DアイソフォームよりもPDE4Bアイソフォームに対して、少なくとも約300倍の結合親和性を示す。ある特定の他の実施形態において、本発明の化合物は、PDE4DアイソフォームよりもPDE4Bアイソフォームに対して、最大約550倍の結合親和性を示す。PDE4BおよびPDE4Dアイソフォームに対する本発明の化合物の結合親和性を、以下の実験の項の表9に示す。
【0132】
別の実施形態において、本発明は、本発明の化合物、または薬学的に許容できるその塩を、少なくとも1つの薬学的に許容できる添加剤と混和して含む、医薬組成物を提供する。
【0133】
また別の実施形態において、それを必要とする患者への本発明の化合物の投与は、他のPDE4アイソフォーム、とりわけPDE4Dアイソフォームに対する結合親和性を有する化合物の投与に関連すると現在考えられている、嘔吐、下痢および悪心等の胃腸の不快感の減少にもつながり得、患者コンプライアンスの向上および全体的な治療成果をもたらす。
【0134】
別の実施形態において、本発明は、中枢神経系(CNS)、神経炎症性、代謝性、自己免疫性および炎症性疾患または障害を治療する方法であって、そのような治療を必要とする哺乳動物、特にヒトに、治療有効量の、本発明の化合物、または薬学的に許容できるその塩を投与するステップを含む、方法を提供する。
【0135】
別の実施形態において、本発明は、中枢神経系(CNS)、神経炎症性、自己免疫性および炎症性疾患または障害を治療するための医薬の製造における、本発明の化合物、または薬学的に許容できるその塩の使用を提供する。
【0136】
薬理学
PDE4ファミリーのホスホジエステラーゼ(PDE)は、第二のメッセンジャー環状ヌクレオチド、アデノシン3’,5’−環状一リン酸(cAMP)の選択的高親和性加水分解を特徴とする。PDE4A、PDE4BおよびPDE4Dサブタイプは、脳の全体にわたって広く発現され、PDE4A、PDE4BおよびPDE4Dサブタイプの局部的な細胞内分布が明確であることが公知であるのに対し、PDE4Cサブタイプは、中枢神経系の全体にわたってより低レベルで発現される(Siuciak,J.A.ら、Antipsychotic profile of rolipram:efficacy in rats and reduced sensitivity in mice deficient in the phosphodiesterase−4B(PDE4B)enzyme、Psychopharmacology(2007)192:415〜424を参照)。PDE4サブタイプの位置により、PDE4サブタイプは、中枢神経系疾患および障害のための新たな治療を探索するための興味深い標的となる。例えば、PDE4Bは、統合失調症の遺伝的感受性因子として同定されている(Millar,J.K.ら、Disrupted in schizophrenia 1 and phosphodiesterase 4B:towards an understanding of psychiatric illness、J.Physiol.584(2007)401〜405頁を参照)。
【0137】
PDE4阻害剤ロリプラムは、神経炎症およびアポトーシス媒介性cAMP/CREBシグナル伝達の減衰を介してAβ誘発性記憶欠損を治療するまたは回復させるのに有用であることが示されている。したがって、PDE4はADに関連する認知欠損の治療の潜在的標的である(Wang,C.ら、The phosphodiesterase−4 inhibitor rolipram reverses Aβ−induced cognitive impairment and neuroinflammatory and apoptotic responses in rats、International Journal of Neuropsychopharmacology(2012)、15、749〜766を参照)。
【0138】
PDE4阻害剤は、cAMPカスケードを正規化することによる抗うつ効果も保有し得る(Fujita,M.ら、Downregulation of Brain Phosphodiesterase Type IV Measured with
11C−(R)−Rolipram Positron Emission Tomography in Major Depressive Disorder、Biological Psychiatry、72、2012、548〜554を参照)。
【0139】
さらに、PDE4阻害剤は、多発性硬化症の治療を暗示する治療活性を保有することが示されている(Sun,X.ら、Rolipram promotes remyelination possibly via MEK−ERK signal pathway in cuprizone−induced demyelination mouse、Experimental Neurology 2012;237:304〜311を参照)。
【0140】
上記を考慮すると、ある特定の実施形態において、本発明の化合物は、神経学的、神経変性および/または精神医学的障害を包含する、中枢神経系の状態または疾患の治療への幅広い治療用途を有する。神経学的、神経変性および/または精神医学的障害は、(1)気分[情動]障害;(2)不安障害を包含する、神経症的、ストレス性および身体表現性障害;(3)ヒトを包含する哺乳動物における認知障害の症状を含む障害;(4)注意欠陥、実行機能欠陥(ワーキングメモリー欠陥)、衝動制御の機能不全、錐体外路症状、大脳基底核の機能不良に基づく障害を含む障害;(5)通常は小児期および青年期に発症が起こる行動および情緒障害;(6)心理的発達の障害;(7)主として中枢神経系を侵す全身萎縮;(8)錐体外路および運動障害;(9)生理的乱れおよび物理的要因に関連する行動症候群;(10)成人の人格および行動の障害;(11)統合失調症および他の精神病性障害;(12)精神活性物質使用による精神および行動障害;(13)過度な性的衝動を含む性的機能不全;(14)精神遅滞;(15)虚偽性障害、例えば、急性幻覚躁病;(16)エピソード性および発作性障害、てんかん;(17)ナルコレプシー;(18)認知症ならびに(19)筋萎縮性側索硬化症を包含するがこれらに限定されない。
【0141】
本発明によって治療することができる気分[情動]障害の例は、双極性障害I型、軽躁病(躁病および混合型)、双極性障害II型;単一うつ病エピソードまたは再発性大うつ病性障害、慢性うつ病、精神病性うつ病、小うつ病性障害、産後の発症を伴ううつ病性障害、精神病性症状を伴ううつ病性障害等のうつ病性障害;気分循環症、気分変調、安寧等の持続性気分[情動]障害;月経前症候群(PMS)および月経前不快気分障害を包含するがこれらに限定されない。
【0142】
本発明によって治療することができる神経症的、ストレス性および身体表現性障害の例は、不安障害、社会不安障害、全般性不安障害、広場恐怖症を伴うまたは伴わないパニック障害、特定恐怖症、社会恐怖症、慢性不安障害;強迫性障害;心的外傷後ストレス障害(PTSD)、急性ストレス障害等の、重度のストレスに対する反応および適応障害;離人症−現実感喪失症候群等の他の神経症的障害を包含するがこれらに限定されない。
【0143】
「認知障害の症状を含む障害」においてここで使用されるような語句「認知障害」は、記憶、知性、学習および論理能力等の1つもしくは複数の認知的側面における正常以下の機能もしくは次善の機能、または、同じ全年齢人口内の他の個体と比較した特定の個体における注意および実行機能(ワーキングメモリー)を指す。
【0144】
本発明によって治療することができる「認知障害の症状を含む障害」の例は、健忘症、精神病(統合失調症)、パーキンソン病、アルツハイマー病、多発脳梗塞性認知症、老年性認知症、レビー小体認知症、脳卒中、前頭側頭型認知症、進行性核上麻痺、ハンチントン病、HIV疾患(HIV関連認知症)、脳外傷および薬物乱用に主として関係するがこれらだけではない、認知欠損;軽度認知障害ADHD、アスペルガー症候群、ならびに加齢に伴う記憶機能障害;術後または集中ケア療法に関連する認知低下またはせん妄を包含するがこれらに限定されない。
【0145】
本発明によって治療することができる、通常は乳児期、小児期および青年期において最初に診断される障害の例は、活動および注意の乱れ、注意欠陥/多動性障害(ADHD)、多動性行為障害を包含する多動性障害;注意欠陥障害(ADD);うつ病性行為障害を包含するがこれに限定されない行為障害;一過性チック障害、慢性運動または音声チック障害、音声および多発運動性の合併したチック障害(ジル・ドゥ・ラ・トゥレット症候群)、物質誘発性チック障害を包含するチック障害;自閉症障害;バッテン病、過度の自慰、爪を噛むこと、鼻をほじることおよび親指しゃぶりを包含するがこれらに限定されない。
【0146】
本発明によって治療することができる心理的発達の障害の例は、アスペルガー症候群およびレット症候群、自閉症障害、精神遅滞および常同運動に関連する小児自閉症および過活動性障害、運動機能の特異的発達障害、学力の特異的発達障害を包含するがこれらに限定されない広汎性発達障害を包含するがこれらに限定されない。
【0147】
本発明によって治療することができる、主として中枢神経系を侵す全身萎縮の例は、ハンチントン病および筋萎縮性側索硬化症を包含する、主として大脳基底核を侵す多発性硬化症全身萎縮を包含するがこれらに限定されない。
【0148】
本発明によって治療することができる、大脳基底核の機能不良および/または変性を伴う錐体外路および運動障害の例は、パーキンソン病;脳炎後パーキンソニズム等の二次性パーキンソニズム;他の障害に含まれるパーキンソニズム;ニーマン・ピック病、レビー小体病;大脳基底核の神経変性疾患;振戦、本態性振戦および薬物誘発性振戦、ミオクローヌス、舞踏病および薬物誘発性舞踏病、薬物誘発性チックおよび器質因性のチック、薬物誘発性急性ジストニア、薬物誘発性遅発性ジスキネジー、筋肉けいれん、ならびに振戦を包含する筋痙直または衰弱に関連する障害を含む、他の錐体外路および運動障害;精神障害(痙直、ダウン症候群および脆弱性X症候群を包含する)、L−ドーパ誘発性ジスキネジー;むずむず脚症候群ならびにスティッフマン症候群を包含するがこれらに限定されない。
【0149】
本発明によって治療することができる、大脳基底核の機能不良および/または変性を伴う運動障害のさらなる例は、限局性ジストニア、多巣性ジストニアまたは分節性ジストニア、捻転性ジストニア、大脳半球、全身性および遅発性ジストニア(精神薬理学的薬物によって誘発されたもの)を包含するがこれらに限定されないジストニアを包含するがこれらに限定されない。限局性ジストニアは、頸部ジストニア(斜頸)、眼瞼けいれん(まぶたのけいれん)、虫垂ジストニア(書痙のような四肢におけるけいれん)、または下顎ジストニアおよびけいれん性発声障害(声帯のけいれん);神経弛緩薬性悪性症候群(NMS)、神経弛緩薬誘発性パーキンソニズム、神経弛緩薬誘発性早期発症または急性ジスキネジー、神経弛緩薬誘発性急性ジストニア、神経弛緩薬誘発性急性アカシジア、神経弛緩薬誘発性遅発性ジスキネジー、ならびに神経弛緩薬誘発性振戦を包含するがこれらに限定されない神経弛緩薬誘発性運動障害を包含する。
【0150】
本発明による生理的乱れおよび物理的要因に関連する行動症候群の例は、非器質性過眠症、睡眠覚醒スケジュールの非器質性障害(概日リズム睡眠障害)、不眠症、睡眠時随伴症および睡眠不足を包含するがこれらに限定されない非器質性睡眠障害;出生後および分娩後うつ病を包含する産じょく期に関連する精神および行動障害;神経性無食欲症、神経性過食症、むちゃ食い障害、過食症、肥満、強迫性摂食障害および氷食症を包含するがこれらに限定されない摂食障害を包含するがこれらに限定されない。
【0151】
本発明によって治療することができる、成人の人格および行動の障害の例は、情緒不安定の、境界型、強迫神経症性、強迫性、依存性および受動攻撃型パーソナリティ障害を包含するがこれらに限定されないパーソナリティ障害;間欠性爆発性障害、病的賭博、病的放火(放火狂)、病的盗難(窃盗癖)、抜毛癖を包含する習慣および衝動障害(衝動制御障害);ミュンヒハウゼン症候群を包含するがこれらに限定されない。
【0152】
本発明によって治療することができる、統合失調症および他の精神病性障害の例は、異なる種類の継続性またはエピソード性統合失調症(例えば、偏執性、破瓜型、緊張型、未分化型、残留および統合失調症様障害);統合失調症性障害(境界型、潜伏性、精神病前、前駆症状的、偽神経症性偽精神病性統合失調症および統合失調型パーソナリティ障害等);持続性妄想性障害;急性、一過性および持続性精神病性障害;誘発性妄想性障害;異なる種類の統合失調性感情障害(例えば、躁うつまたは混合型);産じょく期精神障害他、ならびに特定不能の非器質性精神障害を包含するがこれらに限定されない。
【0153】
本発明によって治療することができる、精神活性物質使用による精神および行動障害の例は、アルコール、オピオイド、カンナビノイド、鎮静剤または睡眠薬、コカインの使用による精神および行動障害;カフェインを包含する他の刺激物質の使用による精神および行動障害、薬物依存および乱用(例えば、麻薬依存、アルコール依存症、アンフェタミンおよびメタンフェタミン依存、オピオイド依存、コカイン中毒、ニコチン依存、ならびに薬物離脱症候群、ならびに再発予防)、幻覚剤、タバコ(ニコチン)、揮発性溶剤の使用による精神および行動障害、ならびに、下記のサブタイプ症状:有害な使用、依存症候群、離脱状態、およびせん妄を伴う離脱状態を包含する、多剤使用および他の精神活性物質の使用による精神および行動障害を包含するがこれらに限定されない。
【0154】
本発明によって治療することができる認知症の例は、血管性認知症、クロイツフェルト・ヤコブ(Creutzfeld−Jacob)病、HIV、頭部外傷、パーキンソン病、ハンチントン病、ピック病による認知症、アルツハイマー型の認知症を包含するがこれらに限定されない。
【0155】
ある特定の実施形態において、本発明は、治療有効量の本発明の化合物の、それを必要とする患者への投与による、統合失調症の治療のための方法を対象とする。
【0156】
ある特定の他の実施形態において、本発明はさらに、治療有効量の本発明の化合物の、それを必要とする患者への投与による、統合失調症に関連する認知機能障害の治療のための方法を対象とする。
【0157】
上記で言及した中枢神経系障害に加えて、好酸球、好中球および単球における、スーパーオキシド産生、脱顆粒、走化性および腫瘍壊死因子(TNF)放出の阻害をcAMP増大に加えて包含する、種々の自己免疫性および炎症性細胞応答に対するPDE阻害剤の効果について記述している、広範な文献が当技術分野にはある。したがって、本発明の化合物は、自己免疫性および炎症性疾患を治療するために有用となり得る(Schett,G.ら、Apremilast:A novel PDE4 Inhibitor in the Treatment of Autoimmune and Inflammatory Diseases、Ther.Adv.Musculoskeletal Dis.2010;2(5):271〜278を参照)。例えば、本発明の化合物は、ベーチェット病に関連する口腔潰瘍の治療に有用となり得る。本発明の化合物は、関節炎に関連する疼痛の治療(Hess,A.ら、Blockade of TNF−α rapidly inhibits pain responses in the central nervous system、PNAS、第108巻、第9号、3731〜3736(2011)を参照)または乾癬もしくは乾癬性関節炎の治療(Schafer,P.、Apremilast mechanism of action and application to psoriasis and psoriatic arthritis、Biochem.Pharmacol.(2012)、15;83(12):1583〜90を参照)にも有用となり得る。したがって、本発明の化合物は、強直性脊椎炎の治療にも有用となり得る[Patan,E.ら、Efficacy and safety of apremilast,an oral phosphodiesterase 4 inhibitor,in ankylosing spondylitis、Ann.Rheum.Dis.(2102年9月14日)を参照]。本発明の化合物の投与によって治療可能な他の状態は、喘息、慢性または急性気管支収縮、慢性気管支炎、気管支拡張症、小気道閉塞、気腫、閉塞性または炎症性気道疾患、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、COPD、塵肺症、季節性アレルギー性鼻炎または通年性アレルギー性鼻炎または副鼻腔炎、および急性肺損傷(ALI)等であるがこれらに限定されない急性および慢性気道疾患を包含するがこれらに限定されない。
【0158】
また別の実施形態において、本発明の化合物は、関節リウマチ、痛風、ならびに炎症に関連する発熱、浮腫および疼痛、好酸球関連障害、皮膚炎または湿疹、じんましん、結膜炎、ブドウ膜炎、乾癬、炎症性腸疾患、敗血症、敗血性ショック、肝臓損傷、肺高血圧症、肺水腫、骨量減少疾患、ならびに感染症を治療するために有用となり得る。
【0159】
また別の実施形態において、本発明の化合物は、がんを治療するために有用となり得る。例えば、本発明の化合物は、脳腫瘍(例えば、髄芽腫)の治療に有用となり得る(Schmidt,A.L.、BDNF and PDE4,but not GRPR,Regulate Viability of Human Medulloblastoma Cells、J.Mol.Neuroscience(2010)40:303〜310を参照)。本発明の化合物は、黒色腫を治療するためにも有用となり得る(Marquette,A.ら、ERK and PDE4 cooperate to induce RAF isoform switching in melanoma、Nature Structural&Molecular Biology、第18巻、第5号、584〜91、2011を参照)。ある特定の実施形態において、本発明の化合物は、白血病、例えば、慢性リンパ球性白血病を治療するために有用となり得る(Kim,D.H.ら、Type 4 Cyclic Adenosine Monophosphate Phosphodiesterase as a Therapeutic Target in Chronic Lymphocytic Leukemia、Blood Journal of The American Society of Hematology、1998年10月1日、第92巻、第7号 2484〜2494参照)。他の実施形態において、化合物は、脳または眼の(ophthamological)腫瘍を治療するために有用となり得る。
【0160】
ある特定の他の実施形態において、本発明の化合物は、糖尿病または糖尿病に関連する疾患を治療するために有用となり得る(Vollert,S.ら、The glucose−lowering effects of the PDE4 inhibitors roflumilast and roflumilast−N−Oxide in db/db mice、Diabetologia(2012)55:2779〜2788、Wouters,E.F.M.ら、Effect of the Phosphodiesterase 4 Inhibitor Roflumilast on Glucose Metabolism in Patients with Treatment−Naive,Newly Diagnosed Type 2 Diabetes Mellitus、Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism 2012、97、1720〜1725を参照)。他の例は、糖尿病性黄斑変性、糖尿病性ニューロパチー、肥満、2型糖尿病(インスリン非依存性真性糖尿病)、メタボリックシンドローム、グルコース不耐性、尿失禁(例えば、膀胱過活動)、糖尿病性黄斑浮腫、腎症および関連する健康リスク、症状または障害を包含するがこれらに限定されない。そのため、化合物を使用して、過体重または肥満の個体の体脂肪または体重を低減させることもできる。
【0161】
ある特定の他の実施形態において、本発明の化合物は、内皮活性の強化、内皮障壁機能の低下および/または敗血性ショック等の血管新生の強化;血管性浮腫、末梢性浮腫、交通性または非交通性水頭症、血管浮腫、脳浮腫;ナトリウム利尿(natriuria)病理の低減;喘息、鼻炎、関節炎およびリウマチ性疾患を包含する炎症性疾患、ならびに自己免疫疾患;急性腎または肝不全、肝機能不全;乾癬、過敏性腸疾患(IBD)、クローン病、ならびに良性/悪性新生物に関連する障害の予防および治療において有用となり得る。
【0162】
ある特定の他の実施形態において、本発明の化合物は、脊髄損傷、脊髄浮腫、脊髄腫瘍、脊髄の血管奇形または異常、脊髄空洞症、および水脊髄症を包含する、脊髄および/または末梢神経系の疾患を治療するために有用となり得る。
【0163】
ある特定の他の実施形態において、本明細書に記述されている化合物はさらに、冠動脈疾患における、脳血管疾患(脳動脈硬化症、脳アミロイド血管症、遺伝性脳出血および脳低酸素虚血を包含する)における、および/または末梢血管疾患における血栓症誘発性組織梗塞;安定および不安定狭心症、一過性虚血発作、脳卒中、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、脳梗塞、再灌流傷害(脳/心臓)、外傷性脳損傷、硬膜下、硬膜外またはくも膜下出血、片頭痛、群発および緊張性頭痛、胎盤不全、バイパス、血管形成術、ステント留置術、および心臓弁置換術等の外科的手技後の血栓症、を包含するがこれらに限定されない、血栓症、塞栓症または虚血性障害に関連する障害の予防および治療において有用である。
【0164】
ある特定の他の実施形態において、本明細書に記述されている化合物はさらに、疼痛状態および障害を治療するために有用である。そのような疼痛状態および障害の例は、炎症性疼痛、痛覚過敏、炎症性痛覚過敏、片頭痛、がん疼痛、変形性関節炎疼痛、術後疼痛、非炎症性疼痛、神経障害性疼痛、末梢神経障害性疼痛症候群、化学療法誘発性ニューロパチー、複合性局所疼痛症候群、HIV感覚性ニューロパチー、腫瘍浸潤に続発するニューロパチー、疼痛を伴う糖尿病性ニューロパチー、幻肢痛、ヘルペス後神経痛、乳房切除後疼痛、三叉神経痛、中枢神経障害性疼痛症候群、中枢性卒中後疼痛、多発性硬化症疼痛、パーキンソン病疼痛および脊髄損傷疼痛を包含する神経障害性疼痛のサブカテゴリーを包含するがこれらに限定されない。
【0165】
ある特定の他の実施形態において、本明細書に記述されている化合物はさらに、創傷を治療する(または創傷治癒を促進する)、熱傷、瘢痕化および関連状態のために有用である。
【0166】
ある特定の他の実施形態において、本明細書に記述されている化合物はさらに、神経損傷障害(眼損傷、糖尿病性黄斑浮腫もしくは目の黄斑変性を包含する網膜症、耳鳴り、聴覚機能障害および喪失、ならびに脳浮腫を包含する)を治療するために有用である。
【0167】
ある特定の他の実施形態において、本明細書に記述されている化合物はさらに、移植片拒絶反応、同種移植の拒絶反応、腎および肝不全、ならびにむずむず脚症候群を治療するために有用である。
【0168】
製剤
本発明の化合物は、経口的に投与され得る。経口投与には、化合物が胃腸管に入るような嚥下が関与し得、または化合物が口から血流に直接入る口腔もしくは舌下投与を用いてもよい。
【0169】
別の実施形態において、本発明の化合物は、血流中、筋肉中または内臓器官中に直接投与されてもよい。非経口投与に好適な手段は、静脈内、動脈内、腹腔内、髄腔内、脳室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内および皮下を包含する。非経口投与に好適なデバイスは、針(顕微針を包含する)注射器、無針注射器および注入技術を包含する。
【0170】
別の実施形態において、本発明の化合物を、皮膚または粘膜に局所的に(すなわち真皮にまたは経皮的に)投与することで化合物の全身吸収につながるように製剤化してもよい。別の実施形態において、本発明の化合物を、鼻腔内にまたは吸入によって投与することで化合物の全身吸収につながるように製剤化することもできる。別の実施形態において、本発明の化合物を、経直腸的にまたは経膣的に投与することで化合物の全身吸収につながるように製剤化してよい。
【0171】
化合物および/または化合物を含有する組成物の投薬レジメンは、患者の種類、年齢、体重、性別および医学的状態;状態の重症度;投与経路;ならびに用いられる特定の化合物の活性を包含する多様な要因に基づく。それ故に、投薬レジメンは広く変動し得る。1日当たり体重1キログラムにつき約0.01mgから約100mgの投薬量レベルが、上記で示した状態の治療において有用である。一実施形態において、本発明の化合物の総日用量(単回または分割用量で投与される)は、典型的には、約0.01から約100mg/kgである。別の実施形態において、本発明の化合物の総日用量は、約0.1から約50mg/kg、別の実施形態において、約0.5から約30mg/kg(すなわち、体重1kg当たりの本発明の化合物のmg)である。一実施形態において、投薬は、0.01から10mg/kg/日である。別の実施形態において、投薬は、0.1から1.0mg/kg/日である。投薬量単位組成物は、日用量を構成するために、そのような量またはその約数の量を含有し得る。多くの場合において、化合物の投与は、1日に複数回(典型的には4回以下)繰り返されることになる。所望の場合、典型的には、1日に複数回用量を使用して総日用量を増大させてよい。
【0172】
経口投与では、組成物は、患者に対する投薬量の対症調整のために、0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0、50.0、75.0、100、125、150、175、200、250および500ミリグラムの活性成分を含有する錠剤の形態で提供され得る。医薬は、典型的には、約0.01mgから約500mgの活性成分、または別の実施形態において、約1mgから約100mgの活性成分を含有する。静脈内への用量は、定速注入中、約0.1から約10mg/kg/分の範囲であってよい。
【0173】
本発明による好適な対象は、哺乳類対象を包含する。本発明による哺乳動物は、イヌ、ネコ、ウシ、ヤギ、ウマ、ウシ、ブタ、げっ歯類、ウサギ、霊長類等を包含するがこれらに限定されず、胎内哺乳動物を包括する。一実施形態において、ヒトは好適な対象である。ヒト対象は、いずれのジェンダーおよび任意の発達段階であってもよい。
【0174】
別の実施形態において、本発明は、本明細書において列挙されている状態の治療用医薬の調製のための、本発明の1つまたは複数の化合物の使用を含む。
【0175】
上記で言及した状態の治療のために、本発明の化合物を、化合物自体として投与することができる。代替として、薬学的に許容できる塩は、親化合物と比較して大きいそれらの水溶解度により、医学的用途に好適である。
【0176】
別の実施形態において、本発明は、医薬組成物を含む。そのような医薬組成物は、薬学的に許容できる担体とともに提示される本発明の化合物を含む。担体は、固体、液体または両方であってよく、化合物とともに、単位用量組成物、例えば錠剤として製剤化されてよく、これは、0.05から95重量%の活性化合物を含有することができる。本発明の化合物を、標的化可能な薬物担体としての好適なポリマーとカップリングしてよい。他の薬理的活性物質が存在していてもよい。
【0177】
本発明の化合物は、任意の好適な経路によって、好ましくはそのような経路に適合された医薬組成物の形態で、意図されている治療に有効な用量で投与され得る。活性化合物および組成物は、例えば、経口的に、経直腸的に、非経口的に、または局所的に(例えば、鼻腔内または眼内)投与され得る。
【0178】
固体投薬形態の経口投与は、例えば、所定量の少なくとも1つの本発明の化合物をそれぞれ含有する、硬もしくは軟カプセル剤、丸剤、カシェ剤、ロゼンジ剤、または錠剤等の不連続単位で提示され得る。別の実施形態において、経口投与は、散剤または顆粒剤形態であってよい。別の実施形態において、経口投薬形態は、例えば、ロゼンジ剤等の舌下剤である。そのような固体剤形において、本発明の化合物は、通常、1つまたは複数のアジュバントと組み合わせられる。そのようなカプセル剤または錠剤は、制御放出製剤を含有し得る。カプセル剤、錠剤および丸剤の事例において、剤形は、緩衝剤を含んでもよいし、腸溶コーティングを用いて調製されてもよい。
【0179】
別の実施形態において、経口投与は、液体投薬形態であってよい。経口投与のための液体剤形は、例えば、当技術分野において一般に使用される不活性賦形剤(例えば、水)を含有する、薬学的に許容できる乳剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤を包含する。そのような組成物は、湿潤剤、乳化剤、懸濁化剤、香味剤(例えば、甘味剤)、および/または着香剤等のアジュバントも含み得る。
【0180】
別の実施形態において、本発明は、非経口投薬形態を含む。「非経口投与」は、例えば、皮下注射、静脈内注射、腹腔内注射、筋肉内注射、胸骨内注射、および注入を包含する。注射用調製物(すなわち、滅菌注射用水溶液または油脂性懸濁液)は、公知の技術により、好適な分散剤、湿潤剤、および/または懸濁化剤を使用して製剤化され得、デポー製剤を含み得る。
【0181】
別の実施形態において、本発明は、局所投薬形態を含む。「局所投与」は、例えば、経皮パッチもしくはイオントフォレーシスデバイスを介するもの等の経皮投与、眼内投与、または鼻腔内もしくは吸入投与を包含する。局所投与のための組成物は、例えば、局所ゲル剤、スプレー剤、軟膏剤およびクリーム剤も包含する。局所製剤は、皮膚または他の患部への活性成分の吸収または浸透を強化する化合物を包含し得る。本発明の化合物が経皮デバイスによって投与される場合、投与は、レザバーおよび多孔質膜式または固体マトリックス型のいずれかのパッチ剤を使用して達成されるであろう。この目的のための典型的な製剤は、ゲル剤、ヒドロゲル剤、ローション剤、液剤、クリーム剤、軟膏剤、撒布剤、包帯剤、フォーム剤、フィルム剤、皮膚パッチ剤、ウエハー剤、移植片、スポンジ、繊維、絆創膏およびマイクロ乳剤を包含する。リポソームを使用してもよい。典型的な担体は、アルコール、水、鉱油、流動ワセリン、白色ワセリン、グリセリン、ポリエチレングリコールおよびプロピレングリコールを包含する。浸透強化剤を組み込んでよく、例えば、FinninおよびMorgan、J.Pharm.Sci.、88(10)、955〜958(1999)を参照されたい。
【0182】
目への局所投与に好適な製剤は、例えば、本発明の化合物が好適な担体に溶解または懸濁された点眼剤を包含する。眼内または耳内投与に好適である典型的な製剤は、等張のpH調整した滅菌生理食塩水中の微粒化懸濁液または溶液の滴の形態であってよい。眼内および耳内投与に好適な他の製剤は、軟膏剤、生物分解性(例えば、吸収性ゲルスポンジ、コラーゲン)および非生物分解性(例えば、シリコーン)移植片、ウエハー剤、レンズ、ならびにニオソームまたはリポソーム等の微粒子または小胞系を包含する。架橋ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ヒアルロン酸、セルロース性ポリマー、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースもしくはメチルセルロース、またはヘテロ多糖ポリマー、例えば、ジェランガム等のポリマーを、塩化ベンザルコニウム等の保存剤と一緒に組み込んでよい。そのような製剤は、イオントフォレーシスによって送達されてもよい。
【0183】
鼻腔内投与または吸入による投与では、本発明の活性化合物は、患者が圧搾するもしくは噴出させるポンプスプレー容器からの液剤もしくは懸濁剤の形態で、または加圧容器もしくはネブライザーからのエアゾールスプレー提示として、好適な噴射剤を使用して、うまく送達される。鼻腔内投与に好適な製剤は、典型的には、乾燥粉末吸入器からの乾燥粉末(単独で、例えばラクトースとの乾式混和物中の混合物として、または例えばホスファチジルコリン等のリン脂質と混合された混合構成成分粒子としてのいずれか)の形態で、または、加圧容器、ポンプ、スプレー、噴霧器(好ましくは、電気流体力学を使用して霧状ミストを生成する噴霧器)もしくはネブライザーからのエアゾールスプレーとして、1,1,1,2−テトラフルオロエタンもしくは1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン等の好適な推進剤を使用してもしくは使用せずに、投与される。鼻腔内使用では、散剤は、生体接着剤、例えば、キトサンまたはシクロデキストリンを含み得る。
【0184】
別の実施形態において、本発明は、経直腸投薬形態を含む。そのような経直腸投薬形態は、例えば、坐剤の形態であってよい。ココアバターは慣習的な坐剤基剤であるが、種々の代替物を適宜使用してよい。
【0185】
薬学分野において公知である他の担体材料および投与モードを使用してもよい。本発明の医薬組成物は、有効な製剤および投与手順等、周知の調剤技術のいずれかによって調製され得る。有効な製剤および投与手順に関する上記の考察は、当技術分野において周知であり、標準的な教科書において記述されている。薬物の製剤化は、例えば、Hoover,John E.、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Co.、Easton、Pennsylvania、1975;Libermanら編、Pharmaceutical Dosage Forms、Marcel Decker、New York、N.Y.、1980;およびKibbeら編、Handbook of Pharmaceutical Excipients(第3版)、American Pharmaceutical Association、Washington、1999において論じられている。
【0186】
本発明の化合物を、単独でまたは他の治療剤と組み合わせて、種々の状態または病状の治療において使用することができる。本発明の化合物および他の治療剤を、同時に(同じ剤形でまたは別個の剤形でのいずれか)または順次に投与してよい。例示的な治療剤は、例えば、代謝型グルタミン酸受容体アゴニストであってよい。
【0187】
「組み合わせた」2つ以上の化合物の投与は、2つの化合物が、一方の存在が他方の生物学的作用を変化させるように時間的に十分近接して投与されることを意味する。2つ以上の化合物は、同時に、同時発生的にまたは順次に投与され得る。加えて、同時投与は、投与前に化合物を混合することによって、または同じ時点であるが異なる解剖学的部位にもしくは異なる投与経路を使用して化合物を投与することによって行われ得る。
【0188】
語句「同時発生的投与」、「共投与」、「同時投与」および「同時に投与される」は、化合物が組み合わせて投与されることを意味する。
【0189】
本発明は、本発明のPDE4阻害剤化合物および1つまたは複数の追加の薬学的活性剤の組合せの使用を包含する。活性剤の組合せが投与されるならば、活性剤は、別個の剤形で、または単一の剤形中で組み合わせて、順次にまたは同時に投与され得る。したがって、本発明は、ある量の、(a)本発明の化合物または該化合物の薬学的に許容できる塩を含む第一の薬剤;(b)第二の薬学的活性剤;および(c)薬学的に許容できる担体、ビヒクルまたは希釈剤を含む、医薬組成物も包含する。
【0190】
治療される疾患、障害または状態に応じて、種々の薬学的活性剤が、本発明の化合物と併せて使用するために選択され得る。本発明の組成物と組み合わせて使用され得る薬学的活性剤は、限定されないが、以下を包含する:
(i)ドネペジル塩酸塩(ARICEPT、MEMAC)、サリチル酸フィゾスチグミン(ANTILIRIUM)、硫酸フィゾスチグミン(ESERINE)、メトリホネート、ネオスチグミン、ガンスチグミン、ピリドスチグミン(MESTINON)、アンベノニウム(MYTELASE)、デメカリウム、デビオ9902(ZT−1としても公知である;Debiopharm)、リバスチグミン(EXELON)、ラドスチギル、NP−0361、ガランタミン臭化水素酸塩(RAZADYNE、RIMINYL、NIVALIN)、タクリン(COGNEX)、トルセリン、マレイン酸ベルナクリン、メモキン、ヒューペルジンA(HUP−A;NeuroHitech)、フェンセリン、エドロホニウム(ENLON、TENSILON)およびINM−176等の、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤;
(ii)汎HLA DR結合エピトープとコンジュゲートしているAβ
1〜15(PADRE)、ACC−001(Elan/Wyeth)、ACI−01、ACI−24、AN−1792、Affitope AD−01、CAD106、およびV−950等の、アミロイド−β(または、そのフラグメント);
(iii)ポネズマブ、ソラネズマブ、バピネオズマブ(AAB−001としても公知である)、AAB−002(Wyeth/Elan)、ACI−01−Ab7、BAN−2401、静脈内Ig(GAMMAGARD)、LY2062430(ヒト化m266;Lilly)、R1450(Roche)、ACU−5A5、huC091、および国際特許公開第WO04/032868号、同第WO05/025616号、同第WO06/036291号、同第WO06/069081号、同第WO06/118959号に、米国特許公開第US2003/0073655号、同第US2004/0192898号、同第US2005/0048049号、同第US2005/0019328号に、欧州特許公開第EP0994728号および同第1257584号に、ならびに米国特許第5,750,349号に開示されているもの等の、アミロイド−βに対する抗体(または、それらのフラグメント);
(iv)ディメボン、ダブネチド、エプロジセート、ロイプロリド、SK−PC−B70M、セレコキシブ、ロバスタチン、アナプソス、オキシラセタム、プラミラセタム、バレニクリン、ニセルゴリン、コロストリニン、ビスノルシムセリン(BNCとしても公知である)、NIC5−15(Humanetics)、E−2012(エーザイ株式会社)、ピオグリタゾン、クリオキノール(PBT1としても公知である)、PBT2(Prana Biotechnology)、フルルビプロフェン(ANSAID、FROBEN)およびそのR−エナンチオマータレンフルビル(FLURIZAN)、ニトロフルルビプロフェン、フェノプロフェン(FENOPRON、NALFON)、イブプロフェン(ADVIL、MOTRIN、NUROFEN)、イブプロフェンリシネート、メクロフェナム酸、メクロフェナム酸ナトリウム(MECLOMEN)、インドメタシン(INDOCIN)、ジクロフェナクナトリウム(VOLTAREN)、ジクロフェナクカリウム、スリンダク(CLINORIL)、スリンダク硫化物、ジフルニサル(DOLOBID)、ナプロキセン(NAPROSYN)、ナプロキセンナトリウム(ANAPROX、ALEVE)、ARC031(Archer Pharmaceuticals)、CAD−106(Cytos)、LY450139(Lilly)、インスリン分解酵素(インスリシンとしても公知である)、イチョウ(gingko biloba)抽出物EGb−761(ROKAN、TEBONIN)、トラミプロセート(CEREBRIL、ALZHEMED)、エプロジセート(FIBRILLEX、KIACTA)、化合物W[3,5−ビス(4−ニトロフェノキシ)安息香酸]、NGX−96992、ネプリライシン(中性エンドペプチダーゼ(NEP)としても公知である)、シロイノシトール(シリトールとしても公知である)、アトルバスタチン(LIPITOR)、シンバスタチン(ZOCOR)、KLVFF−(EEX)3、SKF−74652、メシル酸イブタモレン、ASP−1702、SCH−745966、JNJ−715754、AMG−0683、AZ−12304146、BMS−782450、GSK−188909、NB−533、E2609およびTTP−854等のBACE阻害剤;ELND−007等のガンマセクレターゼモジュレーター;ならびに、TTP488(Transtech)およびTTP4000(Transtech)、およびPTI−777を包含する米国特許第7,285,293号において記述されているもの等のRAGE(糖化最終産物の受容体)阻害剤等の、アミロイド低下または阻害剤(アミロイド産生、蓄積および線維化を低減させるものを包含する);
(v)グアンファシン(INTUNIV、TENEX)、クロニジン(CATAPRES)、メタラミノール(ARAMINE)、メチルドパ(ALDOMET、DOPAMET、NOVOMEDOPA)、チザニジン(ZANAFLEX)、フェニレフリン(ネオシネフリンとしても公知である)、メトキサミン、シラゾリン、グアンファシン(INTUNIV)、ロフェキシジン、キシラジン、モダフィニル(PROVIGIL)、アドラフィニルおよびアルモダフィニル(NUVIGIL)等の、アルファ−アドレナリン受容体アゴニスト;
(vi)カルテオロール、エスモロール(BREVIBLOC)、ラベタロール(NORMODYNE、TRANDATE)、オクスプレノロール(LARACOR、TRASACOR)、ピンドロール(VISKEN)、プロプラノロール(INDERAL)、ソタロール(BETAPACE、SOTALEX、SOTACOR)、チモロール(BLOCADREN、TIMOPTIC)、アセブトロール(SECTRAL、PRENT)、ナドロール(CORGARD)、酒石酸メトプロロール(LOPRESSOR)、コハク酸メトプロロール(TOPROL−XL)、アテノロール(TENORMIN)、ブトキサミンおよびSR59230A(Sanofi)等の、ベータ−アドレナリン受容体遮断剤(ベータ遮断薬);
(vii)アミトリプチリン(ELAVIL、ENDEP)、ブトリプチリン、メシル酸ベンズトロピン(COGENTIN)、トリヘキシフェニジル(ARTANE)、ジフェンヒドラミン(BENADRYL)、オルフェナドリン(NORFLEX)、ヒヨスチアミン、アトロピン(ATROPEN)、スコポラミン(TRANSDERM−SCOP)、臭化メチルスコポラミン(PARMINE)、ジシクロベリン(BENTYL、BYCLOMINE、DIBENT、DILOMINE)、トルテロジン(DETROL)、オキシブチニン(DITROPAN、LYRINEL XL、OXYTROL)、臭化ペンチエネート、プロパンテリン(PRO−BANTHINE)、シクリジン、イミプラミン塩酸塩(TOFRANIL)、イミプラミンマレイン酸塩(SURMONTIL)、ロフェプラミン、デシプラミン(NORPRAMIN)、ドキセピン(SINEQUAN、ZONALON)、トリミプラミン(SURMONTIL)およびグリコピロレート(ROBINUL)等の、抗コリン薬;
(viii)カルバマゼピン(TEGRETOL、CARBATROL)、オクスカルバゼピン(TRILEPTAL)、フェニトインナトリウム(PHENYTEK)、フォスフェニトイン(CEREBYX、PRODILANTIN)、バルプロ酸ナトリウム(DEPAKOTE)、ガバペンチン(NEURONTIN)、プレガバリン(LYRICA)、トピラメート(TOPAMAX)、バルプロ酸(DEPAKENE)、バルプロ酸ナトリウム(DEPACON)、1−ベンジル−5−ブロモウラシル、プロガビド、ベクラミド、ゾニサミド(TRERIEF、EXCEGRAN)、CP−465022、レチガビン、タランパネルおよびプリミドン(MYSOLINE)等の、抗けいれん薬;
(ix)ルラシドン(LATUDA、SM−13496としても公知である;大日本住友製薬株式会社)、アリピプラゾール(ABILIFY)、クロルプロマジン(THORAZINE)、ハロペリドール(HALDOL)、イロペリドン(FANAPTA)、デカン酸フルペンチキソール(DEPIXOL、FLUANXOL)、レセルピン(SERPLAN)、ピモジド(ORAP)、デカン酸フルフェナジン、塩酸フルフェナジン、プロクロルペラジン(COMPRO)、アセナピン(SAPHRIS)、ロキサピン(LOXITANE)、モリンドン(MOBAN)、パーフェナジン、チオリダジン、チオチキセン、トリフルオロペラジン(STELAZINE)、ラメルテオン、クロザピン(CLOZARIL)、ノルクロザピン(ACP−104)、リスペリドン(RISPERDAL)、パリペリドン(INVEGA)、メルペロン、オランザピン(ZYPREXA)、クエチアピン(SEROQUEL)、タルネタント、アミスルピリド、ジプラシドン(GEODON)、ブロナンセリン(LONASEN)およびACP−103(Acadia Pharmaceuticals)等の、抗精神病薬;
(x)ロメリジン、ジコノチド、ニルバジピン(ESCOR、NIVADIL)、ジペルジピン、アムロジピン(NORVASC、ISTIN、AMLODIN)、フェロジピン(PLENDIL)、ニカルジピン(CARDENE)、ニフェジピン(ADALAT、PROCARDIA)、MEM1003およびその親化合物ニモジピン(NIMOTOP)、ニソルジピン(SULAR)、ニトレンジピン、ラシジピン(LACIPIL、MOTENS)、レルカニジピン(ZANIDIP)、リファリジン、ジルチアゼム(CARDIZEM)、ベラパミル(CALAN、VERELAN)、AR−R18565(AstraZeneca)ならびにエネカジン等の、カルシウムチャネル遮断薬;
(xi)ニテカポン、トルカポン(TASMAR)、エンタカポン(COMTAN)およびトロポロン等の、カテコールO−メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤;
(xii)アトモキセチン、レボキセチン、ヨヒンビン、カフェイン、フェンメトラジン、フェンジメトラジン、ペモリン、フェンカムファミン(GLUCOENERGAN、REACTIVAN)、フェネチリン(CAPTAGON)、ピプラドロール(MERETRAN)、デアノール(ジメチルアミノエタノールとしても公知である)、メチルフェニデート(DAYTRANA)、塩酸メチルフェニデート(RITALIN)、デクスメチルフェニデート(FOCALIN)、アンフェタミン(単独で、または他のCNS刺激物質、例えば、ADDERALL(アスパラギン酸アンフェタミン、硫酸アンフェタミン、デキストロアンフェタミンサッカレートおよび硫酸デキストロアンフェタミン)と組み合わせて)、硫酸デキストロアンフェタミン(DEXEDRINE、DEXTROSTAT)、メタンフェタミン(DESOXYN)、リスデキサンフェタミン(VYVANSE)およびベンズフェタミン(DIDREX)等の、中枢神経系刺激物質;
(xiii)プレドニゾン(STERAPRED、DELTASONE)、プレドニゾロン(PRELONE)、酢酸プレドニゾロン(OMNIPRED、PRED MILD、PRED FORTE)、プレドニゾロンリン酸ナトリウム(ORAPRED ODT)、メチルプレドニゾロン(MEDROL);酢酸メチルプレドニゾロン(DEPO−MEDROL)およびコハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム(A−METHAPRED、SOLU−MEDROL)等の、コルチコステロイド;
(xiv)アポモルヒネ(APOKYN)、ブロモクリプチン(PARLODEL)、カベルゴリン(DOSTINEX)、ジヒドレキシジン、ジヒドロエルゴクリプチン、フェノルドパム(CORLOPAM)、リスリド(DOPERGIN)、テルグリド、ペルゴリド(PERMAX)、ピリベジル(TRIVASTAL、TRASTAL)、プラミペキソール(MIRAPEX)、キンピロール、ロピニロール(REQUIP)、ロチゴチン(NEUPRO)、SKF−82958(GlaxoSmithKline)、カリプラジン、パルドプルノックスおよびサリゾタン等の、ドーパミン受容体アゴニスト;
(xv)クロルプロマジン、フルフェナジン、ハロペリドール、ロキサピン、リスペリドン、チオリダジン、チオチキセン、フルオロペラジン、テトラベナジン(NITOMAN、XENAZINE)、7−ヒドロキシアモキサピン、ドロペリドール(INAPSINE、DRIDOL、DROPLETAN)、ドンペリドン(MOTILIUM)、L−741742、L−745870、ラクロプリド、SB−277011A、SCH−23390、エコピパム、SKF−83566およびメトクロプラミド(REGLAN)等の、ドーパミン受容体アンタゴニスト;
(xvi)ブプロピオン、サフィナミド、マレイン酸ノミフェンシン(MERITAL)、バノキセリン(GBR−12909としても公知である)およびそのデカン酸エステルDBL−583ならびにアミネプチン等の、ドーパミン再取り込み阻害剤;
(xvii)バクロフェン(LIORESAL、KEMSTRO)、サクロフェン、ペントバルビタール(NEMBUTAL)、プロガビド(GABRENE)およびクロメチアゾール等の、ガンマ−アミノ−酪酸(GABA)受容体アゴニスト;
(xviii)シプロキシファン、チプロリサント(tiprolisant)、S−38093、イルダビサント、ピトリサント、GSK−239512、GSK−207040、JNJ−5207852、JNJ−17216498、HPP−404、SAR−110894、trans−N−エチル−3−フルオロ−3−[3−フルオロ−4−(ピロリジン−1−イルメチル)フェニル]−シクロブタンカルボキサミド(PF−3654746、ならびに、米国特許公開第US2005−0043354号、同第US2005−0267095号、同第US2005−0256135号、同第US2008−0096955号、同第US2007−1079175号および同第US2008−0176925号;国際特許公開第WO2006/136924号、同第WO2007/063385号、同第WO2007/069053号、同第WO2007/088450号、同第WO2007/099423号、同第WO2007/105053号、同第WO2007/138431号および同第WO2007/088462号;ならびに米国特許第7,115,600号において開示されているもの)等の、ヒスタミン3(H3)アンタゴニスト;
(xix)酢酸グラチラマー(コポリマー−1としても公知である;COPAXONE)、MBP−8298(合成ミエリン塩基性タンパク質ペプチド)、フマル酸ジメチル、フィンゴリモド(FTY720としても公知である)、ロキニメクス(LINOMIDE)、ラキニモド(ABR−215062およびSAIK−MSとしても公知である)、ABT−874(ヒト抗−IL−12抗体;Abbott)、リツキシマブ(RITUXAN)、アレムツズマブ(CAMPATH)、ダクリズマブ(ZENAPAX)およびナタリズマブ(TYSABRI)等の、免疫モジュレーター;
(xx)メトトレキサート(TREXALL、RHEUMATREX)、ミトキサントロン(NOVANTRONE)、ミコフェノール酸モフェチル(CELLCEPT)、ミコフェノール酸ナトリウム(MYFORTIC)、アザチオプリン(AZASAN、IMURAN)、メルカプトプリン(PURI−NETHOL)、シクロホスファミド(NEOSAR、CYTOXAN)、クロラムブシル(LEUKERAN)、クラドリビン(LEUSTATIN、MYLINAX)、アルファ−フェトプロテイン、エタネルセプト(ENBREL)、および4−(ベンジルオキシ)−5−[(5−ウンデシル−2H−ピロール−2−イリデン)メチル]−1H,1’H−2,2’−ビピロール(PNU−156804としても公知である)等の、免疫抑制薬;
(xxi)インターフェロンベータ−1a(AVONEX、REBIF)およびインターフェロンベータ−1b(BETASERON、BETAFERON)を包含する、インターフェロン;
(xxii)単独であるか、またはDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤(例えば、カルビドパ(SINEMET、CARBILEV、PARCOPA)、ベンセラジド(MADOPAR)、α−メチルドパ、モノフルオロメチルドパ、ジフルオロメチルドパ、ブロクレシンまたはm−ヒドロキシベンジルヒドラジン)と組み合わせた、レボドパ(または、そのメチルもしくはエチルエステル);
(xxiii)メマンチン(NAMENDA、AXURA、EBIXA)、アマンタジン(SYMMETREL)、アカンプロセート(CAMPRAL)、ベソンプロジル、ケタミン(KETALAR)、デルセミン、デキサナビノール、デキセファロキサン、デキストロメトルファン、デキストロルファン、トラキソプロジル、CP−283097、ヒマンタン、インダンタドール、イペノキサゾン、L−701252(Merck)、ランシセミン、レボルファノール(DROMORAN)、LY−233536およびLY−235959(いずれもLilly)、メタドン、(DOLOPHINE)、ネラメキサン、ペルジンホテル、フェンシクリジン、チアネプチン(STABLON)、ジゾシルピン(MK−801としても公知である)、EAB−318(Wyeth)、イボガイン、ボアカンギン、チレタミン、リルゾール(RILUTEK)、アプチガネル(CERES0TAT)、ガベスチネルならびにレマセミド等の、N−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)受容体アンタゴニスト;
(xxiv)セレギリン(EMSAM)、塩酸セレギリン(l−デプレニール、ELDEPRYL、ZELAPAR)、ジメチルセレギリン、ブロファロミン、フェネルジン(NARDIL)、トラニルシプロミン(PARNATE)、モクロベミド(AURORIX、MANERIX)、ベフロキサトン、サフィナミド、イソカルボキサジド(MARPLAN)、ニアラミド(NIAMID)、ラサギリン(AZILECT)、イプロニアジド(MARSILID、IPROZID、IPRONID)、CHF−3381(Chiesi Farmaceutici)、イプロクロジド、トロキサトン(HUMORYL、PERENUM)、ビフェメラン、デソキシペガニン(desoxypeganine)、ハルミン(テレパシンまたはバナステリン(banasterine)としても公知である)、ハルマリン、リネゾリド(ZYVOX、ZYVOXID)およびパージリン(EUDATIN、SUPIRDYL)等の、モノアミンオキシダーゼ(MAO)阻害剤;
(xxv)セビメリン、レベチラセタム、塩化ベタネコール(DUVOID、URECHOLINE)、イタメリン、ピロカルピン(SALAGEN)、NGX267、アレコリン、L−687306(Merck)、L−689660(Merck)、ヨウ化フルトレトニウム(FURAMON、FURANOL)、ベンゼンスルホン酸フルトレトニウム、p−トルエンスルホン酸フルトレトニウム、McN−A−343、オキソトレモリン、サブコメリン、AC−90222(Acadia Pharmaceuticals)およびカルバコール(CARBASTAT、MIOSTAT、CARBOPTIC)等の、ムスカリン様受容体(特に、M1サブタイプ)アゴニスト;
(xxvi)ボスチニブ、コンドリアーゼ、アリモクロモル(airmoclomol)、ラモトリジン、ペランパネル、アニラセタム、ミナプリム(minaprime)、リルゾール、N−ヒドロキシ−1,2,4,9−テトラヒドロ−3H−カルバゾール−3−イミン、デスモテプラーゼ、アナチバント、アスタキサンチン、ニューロペプチドNAP(例えば、AL−108およびAL−208;いずれもAllon Therapeutics)、ニューロストロール(neurostrol)、ペランパネル(perampenel)、イスプロニクリン、ビス(4−β−D−グルコピラノシルオキシベンジル)−2−β−D−グルコピラノシル−2−イソブチルタルトレート(ダクチロリン(dactylorhin)BまたはDHBとしても公知である)、ホルモバクチン、キサリプロデン(XAPRILA)、ラクタシスチン、ジメボリン塩酸塩(DIMEBON)、ジスフェントン(CEROVIVE)、アルンジン酸(ONO−2506、PROGLIA、CEREACT)、シチコリン(シチジン5’−ジホスホコリンとしても公知である)、エダラボン(RADICUT)、AEOL−10113およびAEOL−10150(いずれもAeolus Pharmaceuticals)、AGY−94806(SA−450およびMsc−1としても公知である)、顆粒球コロニー刺激因子(AX−200としても公知である)、BAY−38−7271(KN−387271としても公知である;Bayer AG)、アンクロド(VIPRINEX、ARWIN)、DP−b99(D−Pharm Ltd)、HF−0220(17−β−ヒドロキシエピアンドロステロン;Newron Pharmaceuticals)、HF−0420(オリゴトロピン(oligotropin)としても公知である)、ピリドキサール5’−リン酸(MC−1としても公知である)、マイクロプラスミン、S−18986、ピクロゾタン、NP031112、タクロリムス、L−セリル−L−メチオニル−L−アラニル−L−リシル−L−グルタミル−グリシル−L−バリン、AC−184897(Acadia Pharmaceuticals)、ADNF−14(National Institutes of Health)、スチルバズレニルトロン、SUN−N8075(第一サントリー生物医学研究所)ならびにゾナンパネル等の、神経保護薬;
(xxvii)エピバチジン、ブプロピオン、CP−601927、バレニクリン、ABT−089(Abbott)、ABT−594、AZD−0328(AstraZeneca)、EVP−6124、R3487(MEM3454としても公知である;Roche/Memory Pharmaceuticals)、R4996(MEM63908としても公知である;Roche/Memory Pharmaceuticals)、TC−4959およびTC−5619(いずれもTargacept)ならびにRJR−2403等の、ニコチン性受容体アゴニスト;
(xxviii)アトモキセチン(STRATTERA)、ドキセピン(APONAL、ADAPIN、SINEQUAN)、ノルトリプチリン(AVENTYL、PAMELOR、NORTRILEN)、アモキサピン(ASENDIN、DEMOLOX、MOXIDIL)、レボキセチン(EDRONAX、VESTRA)、ビロキサジン(VIVALAN)、マプロチリン(DEPRILEPT、LUDIOMIL、PSYMION)、ブプロピオン(WELLBUTRIN)およびラダキサフィン(radaxafine)等の、ノルエピネフリン(ノルアドレナリン)再取り込み阻害剤;
(xxix)(a)PDE1阻害剤(例えば、ビンポセチン(CAVINTON、CERACTIN、INTELECTOL)および米国特許第6,235,742号において開示されているもの)、(b)PDE2阻害剤(例えば、エリスロ−9−(2−ヒドロキシ−3−ノニル)アデニン(EHNA)、BAY60−7550および米国特許第6,174,884号において開示されているもの)、(c)PDE3阻害剤(例えば、アナグレリド、シロスタゾール、ミルリノン、オルプリノン、パログレリルおよびピモベンダン)、(d)PDE4阻害剤(例えば、アプレミラスト、イブジラスト、ロフルミラスト、ロリプラム、Ro20−1724、イブジラスト(KETAS)、ピクラミラスト(RP73401としても公知である)、CDP840、シロミラスト(ARIFLO)、ロフルミラスト、トフィミラスト、オグレミラスト(GRC3886としても公知である)、テトミラスト(OPC−6535としても公知である)、リリミラスト(lirimifast)、テオフィリン(UNIPHYL、THEOLAIR)、アロフィリン(LAS−31025としても公知である)、ドキソフィリン、RPR−122818またはメセンブリン)ならびに(e)PDE5阻害剤(例えば、シルデナフィル(VIAGRA、REVATIO)、タダラフィル(CIALIS)、バルデナフィル(LEVITRA、VIVANZA)、ウデナフィル、アバナフィル、ジピリダモール(PERSANTINE)、E−4010、E−4021、E−8010、ザプリナスト、イオデナフィル(iodenafil)、ミロデナフィル、DA−8159、ならびに国際特許出願第WO2002/020521号、同第WO2005/049616号、同第WO2006/120552号、同第WO2006/126081号、同第WO2006/126082号、同第WO2006/126083号および同第WO2007/122466号において開示されているもの)、(f)PDE7阻害剤;(g)PDE8阻害剤;(h)PDE9阻害剤(例えば、BAY73−6691(Bayer AG)、ならびに米国特許公開第US2003/0195205号、同第US2004/0220186号、同第US2006/0111372号、同第US2006/0106035号、およびUSSN12/118,062(2008年5月9日出願)において開示されているもの)、(i)2−({4−[1−メチル−4−(ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−3−イル]フェノキシ}メチル)キノリン−3(4H)−オンおよびSCH−1518291等のPDE10阻害剤;ならびに(j)PDE11阻害剤を包含するがこれらに限定されない、ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤;
(xxx)キニーネ(その塩酸塩、二塩酸塩、硫酸塩、重硫酸塩およびグルコン酸塩を包含する)、クロロキン、サントキン、ヒドロキシクロロキン(PLAQUENIL)、メフロキン(LARIAM)およびアモジアキン(CAMOQUIN、FLAVOQUINE)等の、キノリン;
(xxxi)ASP−1702、SCH−745966、JNJ−715754、AMG−0683、AZ−12304146、BMS−782450、GSK−188909、NB−533、LY−2886721、E−2609、HPP−854、(+)−酒石酸フェンセリン(POSIPHEN)、LSN−2434074(LY−2434074としても公知である)、KMI−574、SCH−745966、Ac−rER(N
2−アセチル−D−アルギニル−L−アルギニン)、ロキシスタチン(E64dとしても公知である)およびCA074Me等の、β−セクレターゼ阻害剤;
(xxxii)BMS−708163(Avagacest)、WO20060430064(Merck)、DSP8658(大日本住友製薬株式会社)、ITI−009、L−685458(Merck)、ELAN−G、ELAN−Z、4−クロロ−N−[(2S)−3−エチル−1−ヒドロキシペンタン−2−イル]ベンゼンスルホンアミド等の、γ−セクレターゼ阻害剤およびモジュレーター;
(xxxiii)スピペロン、レボ−ピンドロール、BMY7378、NAD−299、S−(−)−UH−301、NAN190、レコゾタン等の、セロトニン(5−ヒドロキシトリプタミン)1A(5−HT
1A)受容体アンタゴニスト;
(xxxiv)バビカセリンおよびジクロナピン等の、セロトニン(5−ヒドロキシトリプタミン)2C(5−HT
2c)受容体アゴニスト;
(xxxv)PRX−03140(Epix)等の、セロトニン(5−ヒドロキシトリプタミン)4(5−HT
4)受容体アゴニスト;
(xxxvi)A−964324、AVI−101、AVN−211、ミアンセリン(TORVOL、BOLVIDON、NORVAL)、メチオテピン(メチテピンとしても公知である)、リタンセリン、ALX−1161、ALX−1175、MS−245、LY−483518(SGS518としても公知である;Lilly)、MS−245、Ro04−6790、Ro43−68544、Ro63−0563、Ro65−7199、Ro65−7674、SB−399885、SB−214111、SB−258510、SB−271046、SB−357134、SB−699929、SB−271046、SB−742457(GlaxoSmithKline)、Lu AE58054(Lundbeck A/S)およびPRX−07034(Epix)等の、セロトニン(5−ヒドロキシトリプタミン)6(5−HT
6)受容体アンタゴニスト;
(xxxvii)アラプロクレート、シタロプラム(CELEXA、CIPRAMIL)、エスシタロプラム(LEXAPRO、CIPRALEX)、クロミプラミン(ANAFRANIL)、デュロキセチン(CYMBALTA)、フェモキセチン(MALEXIL)、フェンフルラミン(PONDIMIN)、ノルフェンフルラミン、フルオキセチン(PROZAC)、フルボキサミン(LUVOX)、インダルピン、ミルナシプラン(IXEL)、パロキセチン(PAXIL、SEROXAT)、セルトラリン(ZOLOFT、LUSTRAL)、トラゾドン(DESYREL、MOLIPAXIN)、ベンラファキシン(EFFEXOR)、ジメリジン(NORMUD、ZELMID)、ビシファジン、デスベンラファキシン(PRISTIQ)、ブラソフェンシン、ビラゾドン、カリプラジン、ニューラルステムおよびテソフェンシン等の、セロトニン(5−HT)再取り込み阻害剤;
(xxxviii)神経成長因子(NGF)、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF;ERSOFERMIN)、ニューロトロフィン−3(NT−3)、カルディオトロフィン−1、脳由来神経栄養因子(BDNF)、ニューブラスチン、メテオリンおよびグリア由来神経栄養因子(GDNF)等の栄養因子、ならびに、プロペントフィリン、イデベノン、PYM50028(COGANE;Phytopharm)およびAIT−082(NEOTROFIN)等の栄養因子の産生を刺激する薬剤;
(xxxix)パリフルチン(paliflutine)、ORG−25935、JNJ−17305600およびORG−26041等の、グリシン輸送体−1阻害剤;
(xl)ペランパネル、ミバンパトル(mibampator)、セルランパネル(selurampanel)、GSK−729327、N−{(3S,4S)−4−[4−(5−シアノチオフェン−2−イル)フェノキシ]テトラヒドロフラン−3−イル}プロパン−2−スルホンアミド等の、AMPA型グルタミン酸受容体モジュレーター;
(xli)トファシチニブ、ルキソリチニブ、バリシチニブ、CYT387、GLPG0634、レスタウルチニブ、パクリチニブおよびTG101348等であるがこれらに限定されない、ヤヌスキナーゼ阻害剤(JAK);
(xlii)PF−06650833等であるがこれに限定されない、インターロイキン−1受容体関連キナーゼ4阻害剤(IRAK4)。
【0191】
本発明はさらに、上述した通りの治療方法を実施する際に使用するのに好適なキットを含む。一実施形態において、キットは、本発明の化合物のうちの1つまたは複数を含む第一の剤形および投薬量のための容器を、本発明の方法を行うのに十分な分量で含有する。
【0192】
別の実施形態において、本発明のキットは、本発明の1つまたは複数の化合物を含む。
【0193】
本発明の化合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩は、当技術分野において同じく公知である多様な方法によって調製され得る。後述する反応スキームは、有機化学の技術分野において公知の合成方法、または当業者によく知られている改変および誘導体化と一緒に、化合物を調製するための方法を例証するものである。その改変を包含するその他は、当業者に容易に明らかとなるであろう。
【0194】
本明細書において使用されている出発材料は、市販されているか、当技術分野において公知の常法(COMPENDIUM OF ORGANIC SYNTHETIC METHODS、第I〜XII巻(Wiley−Interscienceにより出版された)等の標準参考図書に開示されている方法等)により調製することができる。好ましい方法は、後述するものを包含するがこれらに限定されない。
【0195】
下記の合成シーケンスのうちのいずれかの間に、関係する分子のいずれかにおける感受性または反応性基を保護することが必要でありかつ/または望ましい場合がある。このことは、参照により本明細書に組み込まれる、T.W.Greene、Protective Groups in Organic Chemistry、John Wiley&Sons、1981;T.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts、Protective Groups in Organic Chemistry、John Wiley&Sons、1991;ならびにT.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts、Protective Groups in Organic Chemistry、John Wiley&Sons、1999;ならびにT.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts、Protective Groups in Organic Chemistry、John Wiley&Sons、2006において記述されているもの等、従来の保護基を利用して実現することができる。
【0196】
本発明の化合物または前記化合物もしくは互変異性体および放射性同位体の薬学的に許容できるその塩は、本明細書において以下で論じる反応スキームに従って調製することができる。別段の指示がない限り、スキーム中の置換基は、上記の通りに定義される。生成物の単離および精製は、通常の技術を有する化学者に公知である標準的な手順によって達成される。
【0197】
当業者であれば、いくつかの事例において、スキーム1における化合物が、ジアステレオマーおよび/またはエナンチオマーの混合物として生成され、これらを、結晶化、順相クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィーおよびキラルクロマトグラフィー等であるがこれらに限定されない従来の技術またはそのような技術の組合せを使用し、合成スキームの種々の段階において分離して、本発明の単一のエナンチオマーを得ることができることを認識するであろう。
【0198】
スキーム、方法および実施例において使用される種々の記号、上付き文字および下付き文字は、提示の利便性のためにかつ/またはそれらがスキームに導入される順序を反映するために使用され、添付の特許請求の範囲における記号、上付き文字または下付き文字に必ずしも対応するように意図されていないことが、当業者には理解されるであろう。スキームは、本発明の化合物を合成する際に有用な方法を代表するものである。それらは、本発明の範囲を何ら制約するものではない。
【0199】
以下のスキーム1は、上記で示されている通りの式Iの化合物の調製のための1つの合成経路を例証するものであり、ここで、その合成については先に記述された出発ヒドロキシピラゾールAA(WO2003/035644およびChemical&Pharmaceutical Bulletin 1983、31(4)、1228〜1234)を、塩素、臭素およびヨウ素等のS
N2反応を容易にする脱離基(LG)、ならびにメタンスルホネート、ベンゼンスルホネートおよびp−クロロベンゼンスルホネートを持つ、適切に置換された3−炭素鎖BBによってアルキル化する。このビスアルキル化は、AAを、BBと、適切な溶媒中、塩基の存在下で組み合わせて、ピラゾロ−オキサジン化合物CCを得ることによって達成され、その合成[式中、R
4=Hである]は、先に記述された(Journal of Medicinal Chemistry 2006、49(15)、4623;WO2003/093279、US2004/0132708およびWO2006/130588)。ビスアルキル化ステップ中に、BBの(R
4)
a置換基は、最終生成物、式Iまたはその保護変形形態において望ましいものと同じ部分によって表されるはずである。
【0200】
次のステップにおいて、ピラゾロ−オキサジン化合物CCを、N−ブロモコハク酸イミド(NBS)、N−ヨードコハク酸イミド(NIS)、臭素またはヨウ素等の求電子ハロゲン化試薬による、適切に不活性な溶媒中での処理によってハロゲン化して、ハロ−ピラゾロ−オキサジン化合物DDを得る(例えば、WO2011092187;Chemische Berichte 1976、109(1)、261〜7;Journal of Medicinal Chemistry 2012、55(17)、7636〜7649を参照)。
【0201】
さらなるステップにおいて、ハロ−ピラゾロ−オキサジンDDから式Iの化合物への転換は、2つの異なる反応シーケンスの1つを経由して起こる。
【0202】
1つの反応シーケンスは、鈴木−宮浦型カップリング反応(Chemical Society Reviews 2014、43、412〜443;Accounts of Chemical Research 2013、46、2626〜2634)から出発し、ここで、DDを、適切なボロネート(例えば、アルキル、アリールまたはヘテロアリール等)により、塩基、遷移金属触媒[潜在的にビス[ジ−tert−ブチル(4−ジメチルアミノフェニル)ホスフィン]ジクロロパラジウム(II)または1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)]および金属キレート配位子(概してホスフィンベース)の存在下、適切な溶媒中で処理して、適切なR
1部分を設置して、R
1置換エステルEEを提供する。このステップ中に、アルキル、アリールまたはヘテロアリールボロネートのR
1置換基は、最終生成物、式Iまたはその保護変形形態において望ましいものと同じ部分によって表されるはずである。
【0203】
次いで、エステルEEを、熱およびマグネシウムメトキシドまたは塩化カルシウム等のルイス酸の存在下、適切なアミンによるエステルEEの処理により、所望の式Iに変換する。代替として、EEから式Iへの転換は、エステルを、塩基性または酸性水による、好適な共溶媒中での処理によって酸に加水分解する、2ステッププロセスで行う。次いで、得られた酸を、2,4,6−トリプロピル−1,3,5,2,4,6−トリオキサトリホスフィナン2,4,6−三酸化物(T3P)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)等のアミドカップリング/脱水試薬の存在下、−20℃から100℃の範囲の温度での、適切なアミンによる処理によって、式Iに変換する。これらのステップのいずれか中に、アミンのR
2およびR
3置換基は、最終生成物、式Iまたはその保護変形形態において望ましいものと同じ部分によって独立して表されるはずである。
【0204】
既述の通り、ハロ−ピラゾロ−オキサジンDDから式Iの化合物への転換は、2つの異なる反応シーケンスの1つを経由して起こる。ハロ−ピラゾロ−オキサジン(DD)から式Iの化合物への変換のための第二のシーケンスは、中間体FFを提供するための、先に記述した通りの適切なアミンによる処理による、エステルから所望のアミドへの変換である。代替として、DDから中間体FFへの転換は、エステルを酸に加水分解し、次いで、得られた酸を、先に記述した通りに、アミドカップリング/脱水試薬の存在下、適切なアミンによる処理によって式Iに変換する、2ステッププロセスで行ってよい。これらのステップのいずれか中に、アミンのR
2およびR
3置換基は、最終生成物、式Iまたはその保護変形形態において望ましいものと同じ部分によって独立して表されるはずである。
【0205】
次いで、最後に、アミドFFを、適切なボロネート(例えば、アルキル、アリールまたはヘテロアリール等)[(RO)
2B−R
1]との鈴木−宮浦型カップリングを経由して、所望の式Iに変換する。このステップ中に、アルキル、アリールまたはヘテロアリールボロネートのR
1置換基は、最終生成物、式Iまたはその保護変形形態において望ましいものと同じ部分によって表されるはずである。
【0207】
実験手順
下記は、本発明の種々の化合物の合成を例証するものである。本発明の範囲内にある追加の化合物は、単独で、または当技術分野において概して公知である技術と組み合わせてのいずれかで、これらの実施例において例証されている方法を使用して調製され得る。
【0208】
実験は、概して、特に酸素または水分に感受性の試薬または中間体が用いられる場合、不活性雰囲気(窒素またはアルゴン)下で行った。市販の溶媒および試薬は、概して、さらに精製することなく使用した。適切な場合には、無水溶媒、概して、Acros Organics製AcroSeal(登録商標)製品またはEMD Chemicals製DriSolv(登録商標)製品を用いた。他の事例において、市販の溶媒を、4Å分子ふるいを詰めたカラムに、水について下記のQC標準に到達するまで、通過させた:a)ジクロロメタン、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミドおよびテトラヒドロフランについては100ppm未満;b)メタノール、エタノール、1,4−ジオキサンおよびジイソプロピルアミンについては180ppm未満。感受性の高い反応では、溶媒を、金属ナトリウム、水素化カルシウムまたは分子ふるいでさらに処理し、使用直前に蒸留した。生成物は、概して、真空下で乾燥させた後、さらなる反応に持ち越されるか、または生物学的試験に供された。質量分析データは、液体クロマトグラフィー質量分析(LCMS)、大気圧化学イオン化(APCI)またはガスクロマトグラフィー質量分析(GCMS)計測器のいずれかから報告される。核磁気共鳴(NMR)データについての化学シフトは、用いられる重水素化溶媒からの残存ピークを基準とした百万分率(ppm、δ)で表される。いくつかの例において、本発明のある特定の化合物のエナンチオマーを分離するために、キラル分離を行った(いくつかの例において、分離されたエナンチオマーは、それらの溶離順序により、ENT−1およびENT−2として指定され得る)。いくつかの例において、エナンチオマーの旋光度は、旋光計を使用して測定した。その観察された回転データ(またはその特異的な回転データ)により、時計回りのエナンチオマーは(+)−エナンチオマーとして指定され、反時計回りのエナンチオマーは(−)−エナンチオマーとして指定された。ラセミ化合物は、構造に隣接する(+/−)の存在によって示されてよく、これらの事例において、示されている立体化学は、化合物の置換基の(絶対ではなく)相対配置を表す。
【0209】
検出可能な中間体を経由して進行する反応には、概して、LCMSが続き、その後の試薬の添加前に完全変換まで進行した。他の実施例または方法における手順を参照する合成では、反応条件(反応時間および温度)は変動し得る。概して、反応には、薄層クロマトグラフィーまたは質量分析が続き、適切な場合には、ワークアップに供した。乾燥剤が特定されていない事例において、硫酸ナトリウムを用いてよい。精製は、実験間で変動してよく、概して、溶離液/勾配に使用した溶媒および溶媒比は、適切なR
fまたは保持時間を提供するように選択した。これらの調製および実施例におけるすべての出発材料は、市販されているか、または当技術分野において公知の方法によってもしくは本明細書において記述されている通りに調製することができるかのいずれかである。
【0210】
下記は、本明細書に記述されている実験手順において現れ得る略語である。
【0211】
略語:9−BBN=9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナン;BF
3・Et
2O=三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート;Boc=tert−ブトキシカルボニル;br=広域;n−BuLi=n−ブチルリチウム;t−BuONa=ナトリウムtert−ブトキシド;t−ButylXPhos=ジ−tert−ブチル[2’,4’,6’−トリ(プロパン−2−イル)ビフェニル−2−イル]ホスファン;Bz=ベンゾイル;CDCl
3=重クロロホルム;CD
3OD=重メタノール;d=二重線;dd=二重線の二重線;ddd=二重線の二重線の二重線;DBU=1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン;DCM=ジクロロメタン;DEPT=分極移動の無歪み増強;DMB=(2,4−ジメトキシフェニル)メチル;EDCまたはEDCI=1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド塩酸塩;EtOAc=酢酸エチル;EtOH=エタノール;g=グラム;h=時間;H
2O=水;HATU=O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート;HPLC=高速液体クロマトグラフィー;Hz=ヘルツ;K
2CO
3=炭酸カリウム;KF=フッ化カリウム;L=リットル;LCMS=液体クロマトグラフィー質量分析;m=多重線;M=モル濃度;MeOH=メタノール;mg=ミリグラム;MHz=メガヘルツ;min=分;mL=ミリリットル;μL=マイクロリットル;mmol=ミリモル;μmol=マイクロモル;Mo(CO)
6=モリブデンヘキサカルボニル;mol=モル;N=規定;N
2=窒素;NaH=水素化ナトリウム;NaHCO
3=重炭酸ナトリウム;NaOCl=次亜塩素酸ナトリウム;NaOH=水酸化ナトリウム;Na
2SO
4=硫酸ナトリウム;NEt
3=トリエチルアミン;NH
4Cl=塩化アンモニウム;NMR=核磁気共鳴;NOE=核オーバーハウザー効果;Pd(Amphos)
2Cl
2=ビス[ジ−tert−ブチル(4−ジメチルアミノフェニル)ホスフィン]ジクロロパラジウム(II);Pd
2(dba)
3=トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0);Pd(dppf)Cl
2=[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II);Pd(dtbpf)Cl
2=[1,1’−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II);Pd(PCy
3)
2Cl
2=ジクロロビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム(II);psi=ポンド毎平方インチ;q=四重線;rt=室温;s=一重線;T3P=2,4,6−トリプロピル−1,3,5,2,4,6−トリオキサトリホスフィナン2,4,6−三酸化物;TBAF=フッ化テトラブチルアンモニウム;TEA=トリエチルアミン;TEA・3HF=トリエチルアミンヒドロフルオリド;TFA=トリフルオロ酢酸;THF=テトラヒドロフラン;TLC=薄層クロマトグラフィー;tr=三重線。
【0212】
調製P1
エチル3−ブロモ−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキシレート(P1)
【0213】
【化8】
ステップ1。エチル5−ヒドロキシ−1H−ピラゾール−3−カルボキシレート(C1)の合成。
酢酸(150mL)を、トルエン(150mL)中のナトリウム1,4−ジエトキシ−1,4−ジオキソブタ−2−エン−2−オレート(30.0g、0.143mol)の溶液に滴下添加し、混合物を室温で30分間にわたって攪拌したら直ぐに、ヒドラジン一塩酸塩(85%、17g、0.29mol)を添加した。反応混合物を室温でさらに30分間にわたって攪拌し、その後、100℃で終夜加熱した。次いで、これを真空で濃縮し、酢酸エチル(500mL)で抽出し、有機層を、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(200mL)および飽和塩化ナトリウム水溶液(200mL)で順次に洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、生成物を黄色固体として提供した。収量:17g、0.11mol、77%。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 12.75 (br s, 1H), 5.91 (br s, 1H), 4.24
(q, J=7 Hz, 2H), 1.27 (t, J=7 Hz, 3H).
【0214】
ステップ2。エチル6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキシレート(C2)の合成。
炭酸カリウム(48.3g、349mmol)を、アセトニトリル(250mL)中のC1(13.65g、87.42mmol)の溶液に添加した。混合物を室温で15分間にわたって攪拌したら直ぐに、1,3−ジブロモプロパン(10mL、98mmol)を滴下添加し、反応混合物を16時間にわたって加熱還流した。次いで、これを室温に冷却させ、濾過し、濾過した固体をアセトニトリル(2×100mL)で洗浄した。濾液を真空で濃縮し、残留物を、シリカゲル上のクロマトグラフィー(勾配:ヘプタン中50%から95%酢酸エチル)を介して精製して、生成物を橙色油状物として得た。収量:10.48g、53.4mmol、61%。LCMS m/z 197.0[M+H]
+.
1H NMR (400 MHz, CDCl
3)
δ 6.03 (s, 1H), 4.39 (q, J=7.1
Hz, 2H), 4.34-4.30 (m, 2H), 4.26 (t, J=6.2 Hz, 2H), 2.33-2.26 (m, 2H), 1.39 (t,
J=7.1 Hz, 3H).
【0215】
ステップ3。エチル3−ブロモ−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキシレート(P1)の合成。
N−ブロモコハク酸イミド(6.00g、33.7mmol)を、アセトニトリル(100mL)中のC2(6.00g、30.6mmol)の溶液に小分けにして添加した。反応混合物を50℃で1時間にわたって攪拌した後、これを室温に冷却させ、真空で濃縮し、酢酸エチル(200mL)と水(150mL)とに分配した。有機層を、水(150mL)でおよび飽和塩化ナトリウム水溶液(100mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:ヘプタン中20%から80%酢酸エチル)により、残留コハク酸イミドを含有する材料を提供し、これを酢酸エチル(100mL)に溶解し、水(2×100mL)でおよび飽和塩化ナトリウム水溶液(100mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた黄色固体をペンタンで粉砕して、生成物を白色粉末として得た。収量:6.00g、21.8mmol、71%。LCMS m/z 276.9 (臭素同位体パターンが観察された) [M+H]
+.
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 4.44-4.40 (m, 2H), 4.42 (q, J=7.1 Hz, 2H), 4.26 (t, J=6.2 Hz, 2H),
2.36-2.29 (m, 2H), 1.41 (t, J=7.1 Hz, 3H).
【0216】
調製P2
アゼチジン−1−イル(3−ブロモ−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−イル)メタノン(P2)
【0217】
【化9】
メタノール(15mL)中のアゼチジン塩酸塩(2.46g、26.3mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(3.72g、28.8mmol)の混合物を、20℃で20分間にわたって攪拌したら直ぐに、P1(1.1g、4.0mmol)および塩化カルシウム(444mg、4.00mmol)を添加した。反応混合物を50℃で18時間にわたって攪拌した後、これを真空で濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:石油エーテル中0%から100%酢酸エチル)を使用して精製した。生成物は、白色固体として単離された。収量:900mg、3.14mmol、78%。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 4.44 (br dd, J=8.0, 7.5 Hz, 2H), 4.39 (dd,
J=5.3, 5.3 Hz, 2H), 4.22-4.13 (m, 4H), 2.37-2.26 (m, 4H).
【0218】
調製P3
3−ブロモ−N−シクロプロピル−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキサミド(P3)
【0219】
【化10】
メタノール(36mL)中の、P1(1.00g、3.64mmol)、シクロプロパンアミン(98%、2.60mL、36.8mmol)および塩化カルシウム(404mg、3.64mmol)の混合物を、50℃で終夜加熱した。溶媒を真空で除去し、残留物を水(50mL)と酢酸エチル(175mL)とに分配した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、生成物を白色固体として提供した。収量:1.00g、3.49mmol、96%。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 6.81 (br s, 1H), 4.39 (dd, J=5.3, 5.2 Hz,
2H), 4.16 (t, J=6.2 Hz, 2H), 2.89-2.81 (m, 1H), 2.35-2.27 (m, 2H), 0.86-0.79
(m, 2H), 0.64-0.58 (m, 2H).
【0220】
調製P4およびP5
エチル(6S)−6−フルオロ−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキシレート(P4)およびエチル(6R)−6−フルオロ−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキシレート(P5)
【0221】
【化11】
ステップ1。2−フルオロプロパン−1,3−ジオール(C3)の合成。
水素化アルミニウムリチウム(テトラヒドロフラン中1M溶液;53.3mL、53.3mmol)を、テトラヒドロフラン(210mL)中のジメチルフルオロプロパンジオエート(5.00g、33.3mmol)の0℃溶液に10分間かけて添加した。0℃で2分の攪拌後、氷浴を除去し、反応混合物を2時間かけて室温に加温させたら直ぐに、これを再度0℃に冷却した。L(+)−酒石酸、カリウムナトリウム塩の水溶液(ロッシェル塩;2N、100mL)を慎重に添加し、得られた混合物を室温で終夜攪拌した。酢酸エチルを添加し、水性層を酢酸エチルで3回抽出し、合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空で濃縮して、生成物を得た。収量:2.31g、24.6mmol、74%。
1H NMR (400 MHz, CD
3CN) δ 4.48 (五重線のd,
J=48.9, 4.7 Hz, 1H), 3.72-3.59 (m, 4H), 2.95 (br s, 2H).
【0222】
ステップ2。2−フルオロプロパン−1,3−ジイルビス(4−メチルベンゼンスルホネート)(C4)の合成。
4−メチルベンゼンスルホン酸無水物(16.8g、51.5mmol)を、ジクロロメタン(120mL)中のC3(2.31g、24.6mmol)の0℃溶液に添加した。次いで、トリエチルアミン(7.87mL、56.5mmol)を1分間かけて添加し、反応混合物を0℃で1時間にわたって攪拌したら直ぐに、これを飽和重炭酸ナトリウム水溶液および1M塩酸で順次に洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空で濃縮した。残留物をエタノール(50mL)で処理し、加熱還流し、次いで、氷浴中で冷却した。混合物を0℃で20分間にわたって攪拌した後、これを濾過し、収集した材料を冷エタノールで洗浄して、生成物を固体として得た。収量:8.42g、20.9mmol、85%。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.78 (br d, J=8.2 Hz, 4H), 7.38 (br d,
J=8.3 Hz, 4H), 4.82 (五重線のd, J=46.5, 4.4 Hz, 1H), 4.18
(br dd, J=20, 4.4 Hz, 4H), 2.48 (s, 6H).
【0223】
ステップ3。エチル6−フルオロ−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキシレート(C5)の合成。
N,N−ジメチルホルムアミド(150mL)中の、C4(20g、50mmol)、C1(8.2g、52mmol)、炭酸セシウム(48.5g、149mmol)およびヨウ化ナトリウム(7.5g、50mmol)の混合物を、100℃で2時間にわたって加熱した。水(1L)および酢酸エチル(500mL)を添加し、有機層を真空で濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:石油エーテル中1%から50%酢酸エチル)により、生成物を白色固体として提供した。収量:8.0g、37mmol、74%。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 6.10 (s, 1H), [5.32-5.27 (m)および5.21-5.16 (m), J
HF=46 Hz, 1H], 4.67-4.54 (m, 2H),
4.48-4.32 (m, 1H), 4.39 (q, J=7.1 Hz, 2H), 4.22 (br dd, J=36.6, 12.4 Hz, 1H),
1.39 (t, J=7.1 Hz, 3H).
【0224】
ステップ4。エチル(6S)−6−フルオロ−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキシレート(P4)およびエチル(6R)−6−フルオロ−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキシレート(P5)の単離。
P4およびP5のラセミ混合物(833mg)を、超臨界流体クロマトグラフィー(カラム:Phenomenex Lux Cellulose−4、5μm;移動相:4:1 二酸化炭素/メタノール)を使用して分離した。第一溶離エナンチオマーは、P4であり、この材料は、負(−)回転を呈した。分離のための収量:250mg、30%。第二溶離エナンチオマーは、P5であり、この材料は、正(+)回転を呈した。分離のための収量:241mg、29%。P4およびP5について示されている絶対配置は、P4のX線構造分析(以下を参照)に基づいて割り当てられ、結晶は、酢酸エチルおよびヘキサンからのP4の再結晶を介して得られた。
【0225】
P4についての単結晶X線構造決定
データ収集は、Bruker APEX回折計で室温において実施した。データ収集は、オメガおよびファイ走査からなるものであった。
【0226】
空間群P2
1においてSHELXソフトウェア一式を使用する直接的方法によって、構造を解明した。その後、完全行列最小二乗法によって構造を精密化した。すべての非水素原子を見つけ、異方性変位パラメーターを使用して精密化した。
【0227】
すべての水素原子を算出された位置に入れ、それらの担体原子に乗せた。最終精密化は、すべての水素原子についての異方性変位パラメーターを包含していた。
【0228】
尤度法(Hooft、2008)を使用する絶対構造の分析は、PLATON(Spek、2010)を使用して実施した。結果は、絶対構造が正確に割り当てられたことを示す。方法は、構造が正確である可能性が100.0であることを算出するものである。ホーフトパラメーターは、0.05のesdで、0.05として報告されている。
【0229】
最終R指数は3.2%であった。最終差フーリエは、欠落も間違った位置の電子密度もないことを明らかにした。
【0230】
適正な結晶、データ収集および精密化情報を、表1にまとめる。原子座標、結合距離、結合角、および変位パラメーターを、表2〜5に収載する。
【0231】
ソフトウェアおよび参考文献
SHELXTL、バージョン5.1、Bruker AXS、1997。
PLATON, A. L. Spek, J. Appl. Cryst. 2003,
36, 7-13.
MERCURY, C. F. Macrae, P. R. Edington, P.
McCabe, E. Pidcock, G. P. Shields, R. Taylor, M. TowlerおよびJ. van de Streek, J. Appl. Cryst. 2006, 39, 453-457.
OLEX2, O. V. Dolomanov, L. J. Bourhis, R.
J. Gildea, J. A. K. HowardおよびH.
Puschmann, J. Appl. Cryst. 2009, 42, 339-341.
R. W. W. Hooft, L. H. StraverおよびA. L. Spek, J. Appl. Cryst. 2008, 41,
96-103.
H. D. Flack, Acta Cryst. 1983, A39,
867-881.
【0239】
調製P6およびP7
エチル(6S)−3−ブロモ−6−フルオロ−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキシレート(P6)およびエチル(6R)−3−ブロモ−6−フルオロ−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキシレート(P7)
【0240】
【化12】
ステップ1。エチル3−ブロモ−6−フルオロ−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキシレート(C6)の合成。
N−ブロモコハク酸イミド(7.3g、41mmol)を、ジクロロメタン(120mL)中のC5(8.0g、37mmol)および酢酸(0.5mL)の溶液に添加し、反応混合物を室温で3時間にわたって攪拌した。真空での溶媒の除去後、残留物を、シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:石油エーテル中9%から50%酢酸エチル)を介して精製して、生成物を白色固体として得た。収量:8.5g、29mmol、78%。LCMS m/z 294.8 (臭素同位体パターンが観察された) [M+H]
+.
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ [5.37-5.31 (m)および5.25-5.20 (m), J
HF=45
Hz, 1H], 4.79-4.70 (m, 1H), 4.66-4.55 (m, 1H), 4.48-4.32 (m, 1H), 4.43 (q,
J=7.2 Hz, 2H), 4.29 (br dd, J=36.8, 12.9 Hz, 1H), 1.42 (t, J=7.2 Hz, 3H).
【0241】
ステップ2。エチル(6S)−3−ブロモ−6−フルオロ−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキシレート(P6)およびエチル(6R)−3−ブロモ−6−フルオロ−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキシレート(P7)の合成。
P6およびP7のラセミ混合物(1.0g)を、超臨界流体クロマトグラフィー(カラム:Phenomenex Lux Cellulose−3、5μm;移動相:4:1 二酸化炭素/メタノール)を使用して分離した。第一溶離エナンチオマーは、P6であり、この材料は、負(−)回転を呈した。分離のための収量:約500mg、約50%。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ [5.36-5.32 (m)および5.25-5.21
(m), J
HF=45 Hz, 1H], 4.79-4.70 (m, 1H), 4.67-4.56 (m, 1H), 4.48-4.33
(m, 1H), 4.43 (q, J=7.1 Hz, 2H), 4.29 (br dd, J=36.9, 12.9 Hz, 1H), 1.42 (t,
J=7.1 Hz, 3H).第二溶離エナンチオマーは、P7であり、この材料は、正(+)回転を呈した。分離のための収量:約500mg、約50%。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ [5.36-5.32 (m)および5.25-5.20
(m), J
HF=45 Hz, 1H], 4.79-4.70 (m, 1H), 4.67-4.56 (m, 1H), 4.49-4.32
(m, 1H), 4.43 (q, J=7.1 Hz, 2H), 4.29 (br dd, J=36.8, 12.8 Hz, 1H), 1.42 (t,
J=7.1 Hz, 3H).P6およびP7の絶対配置は、P5との相関関係を介して割り当てられた(以下のP7の代替合成を参照)。
【0242】
エチル(6R)−3−ブロモ−6−フルオロ−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキシレート(P7)の代替合成。
N−ブロモコハク酸イミド(229mg、1.29mmol)を、ジクロロメタン(5mL)中のP5(250mg、1.17mmol)の溶液に添加した。数滴の酢酸を添加し、反応混合物を室温で終夜攪拌した。次いで、これを、ジクロロメタンで希釈し、重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空で濃縮した。シリカゲル上のクロマトグラフィー(勾配:ヘプタン中0%から100%酢酸エチル)により、生成物を固体として得た。この材料は、正(+)回転を呈し、それがP7であることを確認した。収量:259mg、0.884mmol、76%。LCMS m/z 315.1 (臭素同位体パターンが観察された) [M+Na
+].
1H
NMR (400 MHz, CDCl
3) δ [5.36-5.32 (m)および5.25-5.20 (m), J
HF=45
Hz, 1H], 4.78-4.68 (m, 1H), 4.65-4.54 (m, 1H), 4.48-4.32 (m, 1H), 4.41 (q,
J=7.1 Hz, 2H), 4.29 (br dd, J=37.1, 12.8 Hz, 1H), 1.40 (t, J=7.1 Hz, 3H).
【0243】
調製P8およびP9
エチル5−メチル−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキシレート(P8)およびエチル7−メチル−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキシレート(P9)
【0244】
【化13】
1,3−ジブロモブタン(5.8g、27mmol)を、アセトニトリル(100mL)中のC1(4.0g、26mmol)および炭酸カリウム(14.1g、102mmol)の懸濁液に添加し、反応混合物を終夜加熱還流した。室温に冷却した後、これを濾過し、収集した固体をアセトニトリル(3×30mL)で洗浄した。合わせた濾液を真空で濃縮して、P8およびP9の混合物を黄色油状物として得た。
1H NMRにより、これは、ほぼ2〜3対1混合物であった。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3), P8と推定される副成分: δ 6.00 (s, 1H),
4.42-4.14 (m, 5H), 2.25-2.17 (m, 1H), 2.15-2.06 (m, 1H), 1.48 (d, J=6.3 Hz,
3H), 1.39 (t, J=7.1 Hz, 3H); P9と推定される主成分: δ 6.00 (s, 1H), 4.49-4.22 (m, 5H), 2.37
(dddd, J=14.4, 7.4, 5.6, 3.1 Hz, 1H), 2.01 (dddd, J=14.4, 7.8, 6.6, 3.1 Hz,
1H), 1.64 (d, J=6.5 Hz, 3H), 1.38 (t, J=7.1 Hz, 3H).この混合物を、シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:石油エーテル中17%から67%酢酸エチル)に供して、生成物を得た。示されている位置化学は、ブロモ誘導体C7およびC9に対して行われたNMR研究に基づいて割り当てられた(以下を参照)。P8の収量:0.9g、4mmol、15%。P9の収量:1.7g、8.1mmol、31%。
【0245】
調製P10
3−(4−クロロフェニル)−5−メチル−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボン酸(P10)
【0246】
【化14】
ステップ1。エチル3−ブロモ−5−メチル−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキシレート(C7)の合成。
テトラクロロメタン(30mL)中のP8(0.84g、4.0mmol)およびN−ブロモコハク酸イミド(0.86g、4.8mmol)の溶液を、60℃で3時間にわたって攪拌したら直ぐに、これを水(30mL)とジクロロメタン(50mL)とに分配した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液(30mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:石油エーテル中9%から50%酢酸エチル)により、生成物を黄色固体として得た。収量:0.80g、2.8mmol、70%。メチル基の位置は、C9の
13C NMRおよびDEPTスペクトルと比較したC7の
13C NMRスペクトルの調査を介して確立した。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 4.52-4.43 (m, 1H), 4.42 (q, J=7.1 Hz, 2H),
4.32 (ddd, ABXYパターンの半分, J=12.9, 5.8, 2.9 Hz, 1H), 4.19
(ddd, ABXYパターンの半分, J=12.8, 11.0, 5.4 Hz, 1H), 2.29-2.21
(m, 1H), 2.19-2.05 (m, 1H), 1.55 (d, J=6.3 Hz, 3H), 1.41 (t, J=7.1 Hz, 3H).
【0247】
ステップ2。エチル3−(4−クロロフェニル)−5−メチル−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキシレート(C8)の合成。
1,4−ジオキサン(10mL)および水(2.5mL)中のC7(332mg、1.15mmol)の溶液に、(4−クロロフェニル)ボロン酸(187mg、1.20mmol)、炭酸セシウム(560mg、1.72mmol)およびジクロロビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム(II)(39mg、53μmol)を添加した。反応混合物を、窒素でスパージすることによって脱気し、次いで、110℃で終夜攪拌したら直ぐに、これを水(10mL)と酢酸エチル(60mL)とに分配した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液(20mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空で濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:石油エーテル中9%から50%酢酸エチル)により、生成物を黄色固体として得た。この材料は、
1H NMR分析によって評価される通り、不純であった。収量: 0.38 g, 約60%純度,
0.7 mmol, 60%.
1H NMR (400 MHz, CDCl
3), 特徴的ピーク: δ 7.38 (br AB四重線, J
AB=8.6 Hz, Δν
AB=33.7 Hz, 4H), 4.35 (q, J=7.1 Hz,
2H), 1.49 (d, J=6.3 Hz, 3H), 1.34 (t, J=7.2 Hz, 3H).
【0248】
ステップ3。3−(4−クロロフェニル)−5−メチル−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボン酸(P10)の合成。
メタノール(6mL)中のC8(前ステップから、およそ60%純度のもの;250mg、0.47mmol)の溶液に、水酸化リチウム一水和物(79mg、1.9mmol)を添加し、反応混合物を60℃で終夜攪拌した。次いで、これを、濃塩酸の添加を介しておよそ6のpHに酸性化した。真空での揮発物の除去により、粗生成物(350mg)を得、これを、追加の精製なしに実施例9において使用した。LCMS m/z 292.7 (塩素同位体パターンが観察された) [M+H]
+.
【0249】
調製P11
3−(4−クロロフェニル)−7−メチル−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボン酸(P11)
【0250】
【化15】
ステップ1。エチル3−ブロモ−7−メチル−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキシレート(C9)の合成。
P9からC9への変換は、調製P10においてC7の合成について記述されている方法を使用して行い、生成物は、黄色固体として単離された。メチル基の位置は、C7の
13C NMRスペクトルと比較したC9の
13C NMRおよびDEPTスペクトルの調査を介して確立した。収量:1.1g、3.8mmol、76%。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 4.51-4.40 (m, 2H), 4.42 (q, J=7.2 Hz, 2H),
4.36 (ddd, J=11.3, 7.9, 3.1 Hz, 1H), 2.40 (dddd, J=14.6, 7.4, 5.4, 3.1 Hz, 1H),
2.10-2.00 (m, 1H), 1.64 (d, J=6.4 Hz, 3H), 1.41 (t, J=7.1 Hz, 3H).
【0251】
ステップ2。エチル3−(4−クロロフェニル)−7−メチル−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキシレート(C10)の合成。
C9から生成物への変換は、調製P10においてC8の合成について記述されている方法を使用して行った。生成物は、
1H NMR分析を介しておよそ60%純度の黄色固体として得られた。収量:1.2g、約60%純度、2mmol、50%。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3), 特徴的な生成物ピークのみ: δ 7.36 (br AB四重線, J
AB=8.7 Hz, Δν
AB=24.2 Hz, 4H), 4.34 (q, J=7.2 Hz,
2H), 1.68 (d, J=6.5 Hz, 3H), 1.31 (t, J=7.2 Hz, 3H).
【0252】
ステップ3。3−(4−クロロフェニル)−7−メチル−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボン酸(P11)の合成。
メタノール(6mL)中のC10(前ステップから、およそ60%純度のもの;320mg、0.6mmol)の溶液に、水酸化リチウム一水和物(126mg、3.00mmol)を添加し、反応混合物を60℃で終夜攪拌した。次いで、これを、濃塩酸の添加を介しておよそ6のpHに酸性化した。真空での揮発物の除去により、粗生成物(500mg)を得、これを、追加の精製なしに実施例10において使用した。LCMS m/z 292.8 (塩素同位体パターンが観察された) [M+H]
+.
【0253】
調製P12
3−ブロモ−N−シクロプロピル−6,6−ジフルオロ−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキサミド(P12)
【0255】
【化17】
ステップ1。2−ヒドロキシプロパン−1,3−ジイルビス(4−メチルベンゼンスルホネート)(C11)の合成。
p−トルエンスルホニルクロリド(747g、3.92mol)を、ピリジン(400mL)およびジクロロメタン(1.5L)中のプロパン−1,2,3−トリオール(180g、1.95mol)および4−(ジメチルアミノ)ピリジン(24g、0.20mol)の0℃溶液に小分けにして添加した。反応混合物を室温で終夜攪拌した後、これを氷水で処理し、濃塩酸の添加を介してpHを3に調整した。混合物をジクロロメタン(3×1L)で抽出し、合わせた有機層を乾燥させ、濾過し、真空で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:石油エーテル中9%から33%酢酸エチル)により、生成物を無色油状物として提供し、これは、
1H NMR分析により、不純であった。収量:280g、699mmol未満、36%未満。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3), 生成物ピークのみ: δ 7.77 (d, J=8.3
Hz, 4H), 7.36 (d, J=8.0 Hz, 4H), 4.10-4.01 (m, 5H), 2.47 (s, 6H).
【0256】
ステップ2。2−オキソプロパン−1,3−ジイルビス(4−メチルベンゼンスルホネート)(C12)の合成。
デス・マーチン・ペルヨージナン[1,1,1−トリス(アセチルオキシ)−1,1−ジヒドロ−1,2−ベンズヨードキソール−3−(1H)−オン](9.50g、22.4mmol)を、ジクロロメタン(100mL)中のC11(3.0g、7.5mmol)の溶液に添加し、反応混合物を室温で終夜攪拌した。飽和重炭酸ナトリウム水溶液および飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液を添加し、得られた混合物をジクロロメタンで抽出した。合わせた有機層を乾燥させ、濾過し、真空で濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:石油エーテル中9%から50%酢酸エチル)により、生成物を白色固体として得た。収量:2.0g、5.0mmol、67%。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.81 (d, J=8.3 Hz, 4H), 7.39 (d, J=8.1 Hz,
4H), 4.71 (s, 4H), 2.48 (s 6H).
【0257】
ステップ3。2,2−ジフルオロプロパン−1,3−ジイルビス(4−メチルベンゼンスルホネート)(C13)の合成。
ジクロロメタン(30mL)中のC12(1.2g、3.0mmol)の溶液を、(ジエチルアミノ)硫黄トリフルオリド(2.4g、15mmol)に0℃でゆっくりと添加した。反応混合物を40℃で6時間にわたって攪拌したら直ぐに、これを飽和重炭酸ナトリウム水溶液でゆっくりと処理した。得られた混合物をジクロロメタンで抽出し、有機層を乾燥させ、濾過し、真空で濃縮した。残留物を、シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:石油エーテル中9%から50%酢酸エチル)を介して精製して、生成物を薄黄色固体として提供した。収量:550mg、1.3mmol、43%。LCMS m/z 442.9 [M+Na
+].
1H NMR (400 MHz, CDCl
3)
δ 7.78 (br d, J=8.3 Hz, 4H),
7.39 (br d, J=8.0 Hz, 4H), 4.18 (t, J
HF=11.4 Hz, 4H), 2.48 (s, 6H).
【0258】
ステップ4。エチル6,6−ジフルオロ−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキシレート(C14)の合成。
N,N−ジメチルホルムアミド(13mL)中の、C13(460mg、1.1mmol)、C1(600mg、3.8mmol)、炭酸セシウム(1.1g、3.4mmol)およびヨウ化ナトリウム(140mg、0.93mmol)の混合物を、100℃に3時間にわたって加熱した。次いで、反応混合物を水(30mL)で希釈し、酢酸エチル(3×15mL)で抽出した。合わせた有機層を減圧下で濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:石油エーテル中0%から50%酢酸エチル)を介して精製し、生成物は、白色固体として単離された。収量:220mg、0.95mmol、86%。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 6.15 (s, 1H), 4.59 (br t, J
HF=12.4
Hz, 2H), 4.40 (q, J=7.2 Hz, 2H), 4.36 (br t, J
HF=10.4 Hz, 2H), 1.40
(t, J=7.2 Hz, 3H).
【0259】
ステップ5。エチル3−ブロモ−6,6−ジフルオロ−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキシレート(C15)の合成。
ジクロロメタン(30mL)中のC14(200mg、0.86mmol)およびN−ブロモコハク酸イミド(178mg、1.00mmol)の混合物を、室温で16時間にわたって攪拌した。次いで、反応混合物をジクロロメタン(50mL)で希釈し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空で濃縮して、生成物を黄色固体として得た。収量:230mg、0.74mmol、86%。
【0260】
ステップ6。3−ブロモ−N−シクロプロピル−6,6−ジフルオロ−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキサミド(P12)の合成。
メタノール(20mL)中の、C15(290mg、0.93mmol)、シクロプロパンアミン(2mL)および塩化カルシウム(100mg、0.90mmol)の混合物を、50℃に3時間にわたって加熱した。次いで、反応混合物を減圧下で濃縮し、残留物をジクロロメタン(80mL)で希釈し、水(15mL)および飽和塩化ナトリウム水溶液で順次に洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空で濃縮して、生成物を黄色固体として提供した。収量:250mg、0.78mmol、84%。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 4.50 (t, J
HF=11.9 Hz, 2H), 4.43
(t, J
HF=10.4 Hz, 2H), 2.90-2.81 (m, 1H), 0.89-0.80 (m, 2H),
0.66-0.58 (m, 2H).
【実施例】
【0261】
(実施例1)
アゼチジン−1−イル[3−(4−クロロ−2−メチルフェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−イル]メタノン(1)
【0262】
【化18】
1,4−ジオキサン(20mL)および水(0.5mL)中のP2(100mg、0.35mmol)の溶液に、(4−クロロ−2−メチルフェニル)ボロン酸(71mg、0.42mmol)、ビス[ジ−tert−ブチル(4−ジメチルアミノフェニル)ホスフィン]ジクロロパラジウム(II)[Pd(Amphos)
2Cl
2;13mg、18μmol]およびフッ化セシウム(161mg、1.06mmol)を添加し、反応混合物を100℃で15時間にわたって攪拌した。次いで、これを濾過し、濾液を真空で濃縮し、残留物を、逆相HPLC(カラム:Phenomenex Gemini C18、8μm;移動相A:アンモニア水、pH10;移動相B:アセトニトリル;勾配:38%から58%B)によって精製して、生成物を白色固体として提供した。収量:13.3mg、40μmol、11%。LCMS m/z 354.1 (塩素同位体パターンが観察された) [M+Na
+].
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.22 (br s, 1H), 7.18-7.13 (m, 2H),
4.34-4.28 (m, 2H), 4.28-4.17 (m, 4H), 4.11-4.04 (m, 2H), 2.37-2.28 (m, 2H),
2.27-2.17 (m, 2H), 2.20 (s, 3H).
【0263】
(実施例2)
3−(4−クロロ−2−メチルフェニル)−N−シクロプロピル−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキサミド(2)
【0264】
【化19】
トルエン(25mL)を含有するフラスコを排気し、窒素を投入した。P3(250mg、0.874mmol)および(4−クロロ−2−メチルフェニル)ボロン酸(298mg、1.75mmol)の添加は、各添加後に、同じ脱気手順を使用して行った。水(4.4mL)中のフッ化セシウム(664mg、4.37mmol)の溶液、続いて、1,2−ジクロロエタン(2.2mL)中のビス[ジ−tert−ブチル(4−ジメチルアミノフェニル)ホスフィン]ジクロロパラジウム(II)(77.2mg、0.109mmol)の溶液を添加し、反応混合物を100℃に16時間にわたって加熱した。次いで、これを真空で濃縮し、シリカゲル上のクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル)、続いて、逆相HPLC(カラム:Phenomenex Luna C18(2)、5μm;移動相A:水中0.1%ギ酸;移動相B:メタノール中0.1%ギ酸;勾配:30%から80%B)に供した。生成物は、固体として単離された。収量:67.5mg、0.203mmol、23%。LCMS m/z 332.1 (塩素同位体パターンが観察された) [M+H]
+.
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.20 (br s, 1H), 7.15 (AB四重線, 高磁場二重線が広がっている, J
AB=8.2 Hz, Δν
AB=10.7 Hz, 2H), 6.79 (br s, 1H), 4.27
(dd, J=5.1, 5.1 Hz, 2H), 4.20 (t, J=6.2 Hz, 2H), 2.79-2.70 (m, 1H), 2.33-2.24
(m, 2H), 2.17 (s, 3H), 0.78-0.71 (m, 2H), 0.56-0.49 (m, 2H).
【0265】
(実施例3)
アゼチジン−1−イル[3−(4−クロロ−2,5−ジフルオロフェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−イル]メタノン(3)
【0266】
【化20】
ステップ1。2−(4−クロロ−2,5−ジフルオロフェニル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(C16)の合成。
1,4−ジオキサン(80mL)中の、1−ブロモ−4−クロロ−2,5−ジフルオロベンゼン(9.00g、39.6mmol)、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’−オクタメチル−2,2’−ビ−1,3,2−ジオキサボロラン(15.1g、59.5mmol)および酢酸カリウム(7.8g、80mmol)の混合物を、窒素でのスパージを介して2分間にわたって脱気した。次いで、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(1.5g、2.0mmol)を添加し、反応混合物を100℃で18時間にわたって攪拌した。次いで、これを濾過し、濾液を真空で濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:石油エーテル中0%から10%酢酸エチル)に供して、生成物を黄色固体として得た。収量:6.1g、2.2mmol、56%。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.48 (dd, J=8.8, 4.9 Hz, 1H), 7.12 (dd,
J=8.0, 5.6 Hz, 1H), 1.36 (s, 12H).
【0267】
ステップ2。アゼチジン−1−イル[3−(4−クロロ−2,5−ジフルオロフェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−イル]メタノン(3)の合成。
1,4−ジオキサン(20mL)中の、P2(1.8g、6.3mmol)、C16(4.32g、15.7mmol)および炭酸セシウム(4.10g、12.6mmol)の混合物を、窒素でのスパージを介して2分間にわたって脱気した。次いで、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(460mg、0.63mmol)を添加し、反応混合物を100℃で18時間にわたって攪拌した。水(60mL)およびジクロロメタン(60mL)を添加した後、混合物を濾過し、濾液をジクロロメタン(3×40mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空で濃縮し、逆相HPLC(カラム:Phenomenex Gemini、10μm;移動相A:0.05%塩酸水溶液;移動相B:アセトニトリル;勾配:30%から70%B)により、生成物を薄黄色固体として提供した。収量:700mg、2.0mmol、32%。LCMS m/z 354.1 (塩素同位体パターンが観察された) [M+H]
+.
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.26 (dd, J=9.4, 6.4 Hz, 1H), 7.13 (dd, J=8.8, 6.3 Hz, 1H), 4.41
(br dd, J=7.8, 7.5 Hz, 2H), 4.36 (dd, J=5.3, 5.3 Hz, 2H), 4.22 (t, J=6.3 Hz,
2H), 4.14 (br dd, J=7.8, 7.8 Hz, 2H), 2.38-2.25 (m, 4H).
【0268】
(実施例4)
アゼチジン−1−イル[3−(4−クロロ−2,3−ジフルオロフェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−イル]メタノン(4)
【0269】
【化21】
ステップ1。エチル3−(4−クロロ−2,3−ジフルオロフェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキシレート(C18)の合成。
1,4−ジオキサン(8mL)および水(2mL)中の2−(4−クロロ−2,3−ジフルオロフェニル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(C17;この材料は、粗製および過剰で使用したことを除き、実施例3においてC16の合成について記述されている方法を使用して調製した)の溶液に、P1(150mg、0.545mmol)、ジクロロビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム(II)(20mg、27μmol)および炭酸セシウム(355mg、1.09mmol)を添加した。反応混合物を100℃で終夜攪拌したら直ぐに、これを真空で濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーを介して精製して、生成物を黄色固体として提供した。収量:24.1mg、70.3μmol、13%。LCMS m/z 342.9 (塩素同位体パターンが観察された) [M+H]
+.
【0270】
ステップ2。アゼチジン−1−イル[3−(4−クロロ−2,3−ジフルオロフェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−イル]メタノン(4)の合成。
アゼチジン塩酸塩(37.6mg、0.402mmol)、N,N−ジイソプロピルエチルアミンおよび塩化カルシウム(22.2mg、0.200mmol)を、メタノール(10mL)中のC18(35mg、0.10mmol)の溶液に添加し、反応混合物を50℃で終夜攪拌した。真空での溶媒の除去後、残留物を、逆相HPLC(カラム:Phenomenex Synergi C18、4μm;移動相A:水中0.225%ギ酸;移動相B:メタノール;勾配:40%から60%B)を使用して精製して、生成物を白色固体として得た。収量:11.2mg、31.6μmol、32%。LCMS m/z 354.2 (塩素同位体パターンが観察された) [M+H]
+.
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.21-7.10 (m, 2H), 4.46-4.37 (m, 2H), 4.36
(dd, J=5.4, 4.9 Hz, 2H), 4.23 (t, J=6.2 Hz, 2H), 4.18-4.10 (m, 2H), 2.39-2.25
(m, 4H).
【0271】
(実施例5)
3−(4−シアノ−5−フルオロ−2−メチルフェニル)−N−シクロプロピル−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキサミド(5)
【0272】
【化22】
ステップ1。2−フルオロ−5−メチル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ベンゾニトリル(C19)の合成。
4−ブロモ−2−フルオロ−5−メチルベンゾニトリル(600mg、2.8mmol)を、実施例3においてC16の合成について記述されている方法を使用して、生成物に変換した。この場合、シリカゲルクロマトグラフィーは、石油エーテル中0%から30%酢酸エチルの勾配を使用して行い、生成物は、白色固体として得られた。収量:500mg、1.9mmol、68%。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.56 (d, J=9.4 Hz, 1H), 7.38 (d, J=5.9 Hz,
1H), 2.51 (s, 3H), 1.36 (s, 12H).
【0273】
ステップ2。3−(4−シアノ−5−フルオロ−2−メチルフェニル)−N−シクロプロピル−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキサミド(5)の合成。
[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(96mg、0.13mmol)を、1,4−ジオキサン(20mL)および水(2mL)中の、P3(750mg、2.62mmol)、C19(1.03g、3.94mmol)および炭酸セシウム(723mg、2.22mmol)の混合物に添加した。反応物を100℃で16時間にわたって攪拌した後、これを真空で濃縮し、酢酸エチル(10mL)に溶解し、水(5mL)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:石油エーテル中20%から40%酢酸エチル)により、生成物を白色固体として得た。収量:381.4mg、1.120mmol、43%。LCMS m/z 340.9 [M+H]
+.
1H NMR (400 MHz, CDCl
3)
δ 7.43 (d, J=6.5 Hz, 1H), 7.11
(d, J=9.7 Hz, 1H), 6.90 (br s, 1H), 4.34 (dd, J=5.3, 5.1 Hz, 2H), 4.22 (dd,
J=6.3, 6.2 Hz, 2H), 2.79-2.72 (m, 1H), 2.39-2.30 (m, 2H), 2.18 (s, 3H),
0.82-0.75 (m, 2H), 0.61-0.54 (m, 2H).
【0274】
(実施例6)
(6S)−3−(4−クロロ−2−メチルフェニル)−N−シクロプロピル−6−フルオロ−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキサミド(6)
【0275】
【化23】
ステップ1。エチル(6S)−3−(4−クロロ−2−メチルフェニル)−6−フルオロ−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキシレート(C20)の合成。
1,4−ジオキサン(5mL)および水(0.5mL)の脱気した混合物に、P6(2.50g、8.53mmol)、(4−クロロ−2−メチルフェニル)ボロン酸(1.60g、9.39mmol)、炭酸セシウム(5.56g、17.1mmol)および[1,1’−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(278mg、0.426mmol)を添加した。反応ベッセルを排気し、窒素を投入した。この排気サイクルを2回繰り返し、次いで、反応を室温で3時間にわたって進行させた。溶媒を真空で除去し、残留物をシリカゲル上でクロマトグラフ(溶離液:1:1 酢酸エチル/ヘプタン)して、生成物を提供した。収量:2.1g、6.2mmol、73%。LCMS m/z 339.4 (塩素同位体パターンが観察された) [M+H]
+.
1H NMR (400 MHz, CDCl
3), 特徴的ピーク: δ 7.24 (br s, 1H), 7.17 (br dd, ABXパターンの半分, J=8.2, 2.0 Hz, 1H), 7.13 (br d, AB四重線の半分,
J=8.2 Hz, 1H), [5.34-5.29 (m)および5.23-5.18 (m), J
HF=45
Hz, 1H], 4.30-4.13 (m, 3H), 2.16 (s, 3H), 1.23 (t, J=7.1 Hz, 3H).
【0276】
ステップ2。(6S)−3−(4−クロロ−2−メチルフェニル)−6−フルオロ−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボン酸(C21)の合成。
水酸化カリウム(13mmol)を、メタノール(10mL)中のC20(2.2g、6.5mmol)の溶液に添加し、反応混合物を室温で終夜攪拌した。次いで、これを氷浴中で冷却し、塩化水素溶液の添加を介して4〜5のpHに酸性化し、真空で濃縮した。この材料を、精製することなく後続のステップにおいて使用した。LCMS m/z 311.3 (塩素同位体パターンが観察された) [M+H]
+.
【0277】
ステップ3。(6S)−3−(4−クロロ−2−メチルフェニル)−N−シクロプロピル−6−フルオロ−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキサミド(6)の合成。
ジクロロメタン(50mL)中のC21(前ステップから、6.5mmol以下)およびシクロプロパンアミン(600mg、10.5mmol)の溶液を、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(2.49mL、14.3mmol)で処理した。次いで、2,4,6−トリプロピル−1,3,5,2,4,6−トリオキサトリホスフィナン2,4,6−三酸化物(4.55g、14.3mmol、酢酸エチル中50%溶液として)を添加し、反応混合物を室温で終夜攪拌した。次いで、これを、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(10mL)および飽和塩化ナトリウム水溶液(10mL)で順次に洗浄し、乾燥させ、濾過し、真空で濃縮した。得られた材料の一部を、超臨界流体クロマトグラフィー(カラム:Princeton 4−Ethylpyridine、5μm;移動相:4:1 二酸化炭素/エタノール)に供して、生成物を白色固体(0.89g)として得た。この材料は、粉末X線回折を介して結晶性であった。残りをメタノールから再結晶させて、追加の生成物(0.97g)を得た。2ステップにわたって合わせた収量:1.86g、5.32mmol、82%。LCMS m/z 350.4 (塩素同位体パターンが観察された) [M+H]
+.
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.24 (br s, 1H), 7.21 (d, AB四重線の半分, J=8.2
Hz, 1H), 7.17 (br dd, ABXパターンの半分, J=8.2, 1.4 Hz, 1H),
6.75 (br s, 1H), [5.34-5.29 (m)および5.23-5.18 (m), J
HF=45
Hz, 1H], 4.65-4.49 (m, 2H), 4.40 (ddd, ABXYパターンの半分,
J=36.7, 14.2, 3.3 Hz, 1H), 4.21 (dd, J=36.9, 12.7 Hz, 1H), 2.81-2.72 (m, 1H),
2.19 (s, 3H), 0.80-0.73 (m, 2H), 0.57-0.50 (m, 2H).
【0278】
(実施例7)
(6S)−3−(4−クロロ−2,5−ジフルオロフェニル)−N−シクロプロピル−6−フルオロ−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキサミド(7)
【0279】
【化24】
ステップ1。(6S)−3−ブロモ−N−シクロプロピル−6−フルオロ−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキサミド(C22)の合成。
トリメチルアルミニウム(トルエン中2M溶液;8mL、16mmol)を、トルエン(50mL)中のP6(2.5g、8.5mmol)およびシクロプロパンアミン(8mL)の溶液に添加し、反応混合物を80℃に2時間にわたって加熱した。水(200mL)を添加し、得られた混合物を酢酸エチル(3×100mL)で抽出し、合わせた有機層を乾燥させ、濾過した。濾液をシリカゲルで処理した後、これを濾過し、濾液を真空で濃縮して、生成物を黄色固体として提供した。収量:2.30g、7.56mmol、89%。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 6.81 (br s, 1H), [5.36-5.30 (m)および5.25-5.18 (m), J
HF=45.2 Hz, 1H], 4.77-4.67 (m, 1H),
4.53-4.42 (m, 1H), 4.42-4.21 (m, 2H), 2.88-2.80 (m, 1H), 0.86-0.79 (m, 2H),
0.64-0.58 (m, 2H).
【0280】
ステップ2。(6S)−3−(4−クロロ−2,5−ジフルオロフェニル)−N−シクロプロピル−6−フルオロ−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキサミド(7)の合成。
1,4−ジオキサン(15mL)および水(1.5mL)中の、C22(600mg、1.97mmol)、C16(850mg、3.10mmol)および炭酸セシウム(1.3g、4.0mmol)の混合物を、窒素でのスパージを介して2分間にわたって脱気したら直ぐに、[1,1’−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(30mg、46μmol)を添加した。反応混合物を100℃で3時間にわたって加熱した後、これを濾過し、真空で濃縮した。逆相HPLC(カラム:YMC−Triart C18、5μm;移動相A:水中0.225%ギ酸;移動相B:アセトニトリル;勾配:42%から62%B)を使用する精製により、生成物を黄色固体として得た。収量:257mg、0.691mmol、35%。LCMS m/z 371.9 (塩素同位体パターンが観察された) [M+H]
+.
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.28 (dd, J=9.0, 6.5 Hz, 1H, 推定; 溶媒ピークにより一部不明確), 7.15 (dd, J=8.6, 6.4 Hz, 1H), 6.87 (br s, 1H), [5.37-5.29 (m)および5.25-5.18 (m), J
HF=44.9 Hz, 1H], 4.69-4.59 (m, 1H), 4.51
(br dd, J=16.5, 15 Hz, 1H), 4.37 (ddd, ABXYパターンの半分,
J=36.5, 14.6, 3.0 Hz, 1H), 4.25 (dd, J=36.9, 12.8 Hz, 1H), 2.83-2.74 (m, 1H),
0.84-0.76 (m, 2H), 0.63-0.56 (m, 2H).
【0281】
(実施例8)
3−(4−クロロ−2−メチルフェニル)−N−シクロプロピル−6,6−ジフルオロ−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキサミド(8)
【0282】
【化25】
1,4−ジオキサン(3mL)および水(0.3mL)中の、P12(50mg、0.16mmol)、(4−クロロ−2−メチルフェニル)ボロン酸(40mg、0.23mmol)およびフッ化セシウム(73mg、0.48mmol)の混合物を、窒素でのスパージを介して2分間にわたって脱気した。ビス[ジ−tert−ブチル(4−ジメチルアミノフェニル)ホスフィン]ジクロロパラジウム(II)(10mg、14μmol)を添加し、反応混合物を100℃で16時間にわたって加熱した。次いで、これを濾過し、濾液を真空で濃縮し、逆相HPLC(カラム:DIKMA Diamonsil(2)C18、5μm;移動相A:水中0.225%ギ酸;移動相B:アセトニトリル;勾配:40%から60%B)により、生成物を白色固体として得た。収量:8mg、20μmol、12%。LCMS m/z 368.0 (塩素同位体パターンが観察された) [M+H]
+.
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.24 (br s, 1H), 7.18 (br s, 2H), 6.74 (br
s, 1H), 4.57 (t, J
HF=12.0 Hz, 2H), 4.34 (t, J
HF=10.4 Hz,
2H), 2.81-2.72 (m, 1H), 2.17 (s, 3H), 0.81-0.74 (m, 2H), 0.58-0.51 (m, 2H).
【0283】
(実施例9)
3−(4−クロロフェニル)−N−シクロプロピル−5−メチル−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキサミド(9)
【0284】
【化26】
N,N−ジメチルホルムアミド(5mL)中のP10(調製P10、ステップ3から;350mg、0.47mmol以下)の溶液に、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU;757mg、2.0mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(2mL)を添加した。反応混合物を室温で20分間にわたって攪拌したら直ぐに、これをシクロプロパンアミン(126mg、2.2mmol)で処理し、攪拌を室温で終夜続けた。反応混合物を、水(20mL)と酢酸エチル(60mL)とに分配し、有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液(10mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空で濃縮した。残留物を、逆相HPLC(カラム:Boston Symmetrix C18 ODS−H、5μm;移動相A:水中0.225%ギ酸;移動相B:アセトニトリル;勾配:40%から60%B)を使用して精製して、生成物を白色固体として得た。収量:52mg、0.16mmol、34%。LCMS m/z 331.8 (塩素同位体パターンが観察された) [M+H]
+.
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.57 (br d, J=8.3 Hz, 2H), 7.31 (br d, J=8.5 Hz, 2H), 6.90 (br s,
1H), 4.47-4.35 (m, 1H), 4.29-4.09 (m, 2H), 2.86-2.75 (m, 1H), 2.30-2.20 (m,
1H), 2.20-2.06 (m, 1H), 1.49 (d, J=6.0 Hz, 3H), 0.85-0.76 (m, 2H), 0.63-0.55
(m, 2H).
【0285】
(実施例10)
3−(4−クロロフェニル)−N−シクロプロピル−7−メチル−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキサミド(10)
【0286】
【化27】
P11から生成物への変換は、実施例9において9の合成について記述されている方法を使用して行った。この場合、生成物は、逆相HPLC(カラム:Phenomenex Synergi C18、4μm;移動相A:水中0.225%ギ酸;移動相B:アセトニトリル;勾配:45%から65%B)を介して精製し、白色固体として単離された。収量:68mg、0.20mmol、33%。LCMS m/z 331.9 (塩素同位体パターンが観察された) [M+H]
+.
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.56 (d, J=8.5 Hz, 2H), 7.31 (d, J=8.3 Hz, 2H), 7.00 (br s, 1H),
4.46-4.33 (m, 2H), 4.33-4.25 (m, 1H), 2.85-2.76 (m, 1H), 2.45-2.34 (m, 1H),
2.11-2.01 (m, 1H), 1.64 (d, J=6.3 Hz, 3H), 0.84-0.77 (m, 2H), 0.65-0.58 (m,
2H).
【0287】
(実施例11)
3−(4−シアノ−3−フルオロフェニル)−N−シクロプロピル−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキサミド(11)
【0288】
【化28】
ステップ1。エチル3−(4−シアノ−3−フルオロフェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキシレート(C23)の合成。
1,4−ジオキサン(10mL)および水(1mL)中の、P1(200mg、0.73mmol)、(4−シアノ−3−フルオロフェニル)ボロン酸(160mg、0.97mmol)および炭酸セシウム(400mg、1.23mmol)の混合物を、窒素でのスパージを介して2分間にわたって脱気した。ジクロロビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム(II)(10mg、14μmol)を添加し、反応混合物を100℃で16時間にわたって攪拌した。次いで、これを水(50mL)で希釈し、得られた混合物を酢酸エチル(3×100mL)で抽出し、合わせた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空で濃縮した。分取薄層クロマトグラフィーにより、生成物を黄色油状物として得た。収量:200mg、0.63mmol、86%。
【0289】
ステップ2。3−(4−シアノ−3−フルオロフェニル)−N−シクロプロピル−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキサミド(11)の合成。
メタノール(2mL)中の、C23(150mg、0.476mmol)、塩化カルシウム(50mg、0.45mmol)およびシクロプロパンアミン(0.5mL)の混合物を、50℃で2時間にわたって攪拌したら直ぐに、反応混合物を濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、逆相HPLC(カラム:Phenomenex Gemini C18、8μm;移動相A:アンモニア水、pH10;移動相B:アセトニトリル;勾配:36%から56%B)に供して、生成物を白色固体として提供した。収量:47.4mg、0.145mmol、30%。LCMS m/z 327.1 [M+H]
+.
1H NMR (400 MHz, CDCl
3)
δ 7.68-7.60 (m, 2H), 7.55 (dd,
J=7.8, 7.0 Hz, 1H), 6.99 (br s, 1H), 4.41 (dd, J=5.3, 5.0 Hz, 2H), 4.21 (t,
J=6.3 Hz, 2H), 2.86-2.79 (m, 1H), 2.40-2.33 (m, 2H), 0.87-0.81 (m, 2H),
0.65-0.59 (m, 2H).
【0290】
方法A
P1からの3−置換−N−置換−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキサミドの2ステップ合成
【0291】
【化29】
メタノール(2mL)中の、P1(55mg、200μmol)、塩化カルシウム(22mg、200μmol)および必要なアミンR
2R
3NH(800μmol)の混合物を、蓋をしたバイアル中、65℃で16時間にわたって振とうしたら直ぐに、Speedvac(登録商標)濃縮器を使用して溶媒を除去した。残留物を水(1mL)で希釈し、酢酸エチル(3×2mL)で抽出し、合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、Speedvac(登録商標)濃縮器を使用して濃縮して、粗中間体3−ブロモ−N−置換−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[5,1−b][1,3]オキサジン−2−カルボキサミドC24を提供した。1,4−ジオキサン中のこのC24の溶液(0.1M溶液、1.0mL、100μmol)を、必要なボロン酸またはボロン酸エステル試薬(150μmol)と混合し、続いて、炭酸セシウム水溶液(1M、200μL、200μmol)および[1,1’−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(1.3mg、2μmol)を添加し、反応バイアルに蓋をし、100℃で16時間にわたって振とうした。Speedvac(登録商標)濃縮器を使用して反応混合物を濃縮乾固した後、これを、下記のシステムの一方を使用する逆相HPLCに供して、生成物を得た:1)カラム:DIKMA Diamonsil(2)C18、5μm;移動相A:水中0.225%ギ酸;移動相B:アセトニトリル;勾配:25%から60%B。2)カラム:Phenomenex Gemini C18、8μm;移動相A:アンモニア水、pH10;移動相B:アセトニトリル;勾配:30%から70%B。
【0292】
【表6-1】
【0293】
【表6-2】
【0294】
【表6-3】
【0295】
【表7-1】
【0296】
【表7-2】
【0297】
【表7-3】
【0298】
【表7-4】
【0299】
【表7-5】
【0300】
【表7-6】
【0301】
【表7-7】
【0302】
【表7-8】
【0303】
実施例1〜58について上述した方法論を使用して、表8中の化合物も作製した。
【0304】
【表8】
【0305】
本発明の化合物に対するPDE4A、PDE4B、PDE4CおよびPDE4D結合親和性は、下記の生物学的アッセイを利用して決定した:
【0306】
生物学的アッセイ
ヒトPDE4A3コード配列(受託番号NP_001104779を持つ配列からの配列2から825)を、精製を補助するためのN末端His6親和性タグおよびC末端FLAG親和性タグを包含するように操作されたバキュロウイルス発現ベクターpFastBac(Invitrogen)にクローン化した。組換えバクミドを単離し、昆虫細胞をトランスフェクトしてウイルスストックを生成するために使用した。精製用の細胞ペーストを生成するために、昆虫細胞をウイルスストックに感染させ、感染72時間後に細胞を採取した。昆虫細胞ペーストを溶解し、遠心分離後、上清をNi−NTAアガロース(GE Healthcare)とバッチ結合(batch bound)させ、250mMのイミダゾールで溶離した。この溶離物をFLAG緩衝液(50mMのトリスHCL pH7.5、100mMのNaCl、5%グリセロール、1mMのTCEPにプロテアーゼ阻害剤を加えたもの)で希釈し、抗FLAG M2アガロース(Sigma)と4℃で終夜バッチ結合させた。アガロースをカラムに詰め、緩衝液で洗浄し、溶離物を含有する緩衝液で、250ug/mlのFlagペプチドを使用して溶離した。SDS−PAGEクマシーブルー染色を使用して画分を分析し、純度に基づいてプールした。プールした画分を、50mMのトリスHCL pH7.5、150mMのNaCl、10%グリセロール、2mMのTCEPにプロテアーゼ阻害剤を加えたもの中、S200 120mlカラム(GE Healthcare)でクロマトグラフした。PDE4A3画分を、SDS−PAGEクマシーブルー染色によって分析し、純度に基づいてプールし、50mMのトリスHCL pH7.5、100mMのNaCl、20%グリセロール、2mMのTCEPに対して透析し、凍結させ、−80℃で貯蔵した。
【0307】
アミノ酸置換S134E、S654A、S659AおよびS661Aをもたらす突然変異を持つヒトPDE4B1コード配列(受託番号Q07343を持つ配列からのアミノ酸122から736)を、精製を補助するためのN末端His6親和性タグを包含するように操作されたバキュロウイルス発現ベクターpFastBac(Invitrogen)、続いて、トロンビン開裂部位にクローン化した。組換えバクミドを単離し、昆虫細胞をトランスフェクトしてウイルスストックを生成するために使用した。精製用の細胞ペーストを生成するために、昆虫細胞をウイルスストックに感染させ、Seeger,T.F.ら、Brain Research 985(2003)113〜126において記述されている通り、感染72時間後に細胞を採取した。昆虫細胞ペーストを溶解し、遠心分離後、上清を、Seeger,T.F.ら、Brain Research 985(2003)113〜126において記述されている通り、Ni−NTAアガロース(Qiagen)でクロマトグラフした。PDE4を含有するNi−NTAアガロース溶離画分をプールし、Q緩衝液A(20mMのトリスHCl pH8、5%グリセロール、1mMのTCEP)で希釈してNaClを約100mMに低減させ、Source 15Q(GE Healthcare)カラムに装填した。Q緩衝液A/10%緩衝液Bでベースラインまで洗浄した後、PDE4Dを、緩衝液B(20mMのトリスHCl pH8、1MのNaCl、5%グリセロール、1mMのTCEP)の10%から60%の勾配で溶離した。PDE4D画分を、SDS−PAGEクマシーブルー染色によって分析し、純度に基づいてプールし、凍結させ、−80℃で貯蔵した。
【0308】
ヒトPDE4C1コード配列(受託番号NP_000914.2を持つ配列からのアミノ酸2から712)を、精製を補助するためのN末端His6親和性タグおよびC末端FLAG親和性タグを包含するように操作されたバキュロウイルス発現ベクターpFastBac(Invitrogen)にクローン化した。組換えバクミドを単離し、昆虫細胞をトランスフェクトしてウイルスストックを生成するために使用した。精製用の細胞ペーストを生成するために、昆虫細胞をウイルスストックに感染させ、感染72時間後に細胞を採取した。昆虫細胞ペーストを溶解し、遠心分離後、上清をNi−NTAアガロース(GE Healthcare)とバッチ結合させ、250mMのイミダゾールで溶離した。この溶離物をFLAG緩衝液(50mMのトリスHCL pH7.5、100mMのNaCl、5%グリセロール、1mMのTCEPにプロテアーゼ阻害剤を加えたもの)で希釈し、抗FLAG M2アガロース(Sigma)と4℃で終夜バッチ結合させた。アガロースをカラムに詰め、緩衝液で洗浄し、溶離物を含有する緩衝液で、250ug/mLのFlagペプチドを使用して溶離した。SDS−PAGEクマシーブルー染色を使用して画分を分析し、純度に基づいてプールした。プールした画分を、50mMのトリスHCL pH7.5、150mMのNaCl、10%グリセロール、2mMのTCEPにプロテアーゼ阻害剤を加えたもの中、S200 120mLカラム(GE Healthcare)でクロマトグラフした。PDE4C1画分を、SDS−PAGEクマシーブルー染色によって分析し、純度に基づいてプールし、50mMのトリスHCL pH7.5、100mMのNaCl、20%グリセロール、2mMのTCEPに対して透析し、凍結させ、−80℃で貯蔵した。
【0309】
ヒトPDE4D3コード配列(受託番号Q08499−2を持つ配列からのアミノ酸50から672)の一部を、Seeger,T.F.ら、Brain Research 985(2003)113〜126において記述されている通り、精製を補助するためのC末端His6親和性タグを包含するように操作されたバキュロウイルス発現ベクターpFastBac(Invitrogen)にクローン化した。組換えバクミドを単離し、昆虫細胞をトランスフェクトしてウイルスストックを生成するために使用した。精製用の細胞ペーストを生成するために、昆虫細胞を感染させ、感染72時間後に細胞を採取した。昆虫細胞ペーストを溶解し、遠心分離後、上清を、Seeger,T.F.ら、Brain Research 985(2003)113〜126において記述されている通り、Ni−NTAアガロース(Qiagen)でクロマトグラフした。PDE4を含有するNi−NTAアガロース溶離画分をプールし、Q緩衝液A(50mMのトリスHCl pH8、4%グリセロール、100mMのNaCl、1mMのTCEP、プロテアーゼ阻害剤EDTAフリー(Roche))で希釈してNaClを約200mMに低減させ、Q Sepharose(GE Healthcare)カラムに装填した。Q緩衝液Aでベースラインまで洗浄した後、PDE4Dを、緩衝液B(50mMのトリスHCl pH8、1MのNaCl、4%グリセロール、1mMのTCEP)の10%から60%の勾配で溶離した。PDE4D画分を、SDS−PAGEクマシーブルー染色によって分析し、純度に基づいてプールし、凍結させ、−80℃で貯蔵した。
【0310】
PDE4A3、PDE4B1、PDE4C1およびPDE4D3アッセイは、化合物によるインビトロでのヒト組換えPDE4A3、PDE4B1、PDE4C1およびPDE4D3酵素活性の阻害を測定するために、シンチレーション近接アッセイ(SPA)技術を使用する。PDE4A3、PDE4B1、PDE4C1およびPDE4D3アッセイは、酵素の濃度(80pMのPDE4A3、40pMのPDE4B1、40pMのPDE4C1および10pMのPDE4D3)を除き同一のパラメーターを使用して、並行して実行する。アッセイは、基質の約20%を変換するために十分なPDE4A3、PDE4B1、PDE4C1およびPDE4D3(1μMのcAMPは20nMの
3H−cAMP+980μMの冷cAMPからなる)を含有する50μLアッセイ緩衝液(50mMのTRIS pH7.5;1.3mMのMgCl
2;0.01%Brij)ならびに広範な阻害剤を用い、384ウェルフォーマットにおいて実施する。反応物を25℃で30分間にわたってインキュベートする。20μLの8mg/mLケイ酸イットリウム)SPAビーズ(PerkinElmer)の添加により、反応を停止させる。プレートを密封し(TopSeal、PerkinElmer)、ビーズを8時間にわたって静置させ、その後、TriLux MicroBetaで終夜読み取る。
【0311】
【表9-1】
【0312】
【表9-2】
【0313】
【表9-3】
【0314】
【表9-4】
【0315】
【表9-5】
【0316】
【表9-6】
【0317】
【表9-7】
【0318】
【表9-8】
【0319】
【表9-9】
【0320】
【表9-10】
【0321】
【表9-11】
【0322】
【表9-12】
【0323】
【表9-13】