特許第6837075号(P6837075)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6837075
(24)【登録日】2021年2月10日
(45)【発行日】2021年3月3日
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20210222BHJP
   H05K 13/04 20060101ALI20210222BHJP
   H05K 13/08 20060101ALI20210222BHJP
【FI】
   H05K13/02 D
   H05K13/04 A
   H05K13/08 Q
【請求項の数】4
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2018-550928(P2018-550928)
(86)(22)【出願日】2016年11月17日
(86)【国際出願番号】JP2016084033
(87)【国際公開番号】WO2018092228
(87)【国際公開日】20180524
【審査請求日】2019年3月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】特許業務法人ネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】100162237
【弁理士】
【氏名又は名称】深津 泰隆
(74)【代理人】
【識別番号】100191433
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 友希
(72)【発明者】
【氏名】松本 達
(72)【発明者】
【氏名】石川 一真
【審査官】 中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−248796(JP,A)
【文献】 特開平07−009381(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/097904(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/103027(WO,A1)
【文献】 特開2009−164276(JP,A)
【文献】 特開2004−281958(JP,A)
【文献】 特開平11−008497(JP,A)
【文献】 特開2014−027270(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00−13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意の位置に載置された部品を保持可能な保持具を有する保持ヘッドと、
任意の位置に載置された部品を撮像する撮像装置と、
前記保持ヘッドを移動させる移動装置と、
制御装置と
を備え、
前記制御装置が、
第1の高さに載置された部品を前記保持具により保持し、前記保持具により保持された部品を設定位置に載置するように、前記保持ヘッドと前記移動装置との作動を制御する第1作動制御部と、
前記第1作動制御部により前記設定位置に載置された部品を撮像する第1撮像部と、
前記第1の高さと異なる第2の高さに載置された部品を前記保持具により保持し、前記保持具により保持された部品を前記設定位置に載置するように、前記保持ヘッドと前記移動装置との作動を制御する第2作動制御部と、
前記第2作動制御部により前記設定位置に載置された部品を撮像する第2撮像部と、
前記第1撮像部の撮像により得られた撮像データと、前記第2撮像部の撮像により得られた撮像データとに基づいて、載置された部品の位置ズレ量を演算する演算部と
を有し、
前記制御装置は、前記位置ズレ量に基づいて、前記部品の前記保持具による保持高さ毎に、前記保持具による前記部品の保持位置を補正する作業機。
【請求項2】
前記作業機が、
部品が散在されるステージと、
前記ステージに散在された部品を保持可能な前記保持具を有する前記保持ヘッドと、
前記保持具により保持された部品を載置するための載置部と
を備え、前記載置部に載置された状態で部品を供給する請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
任意の位置に載置された部品を保持可能な保持具を有する保持ヘッドと、
任意の位置に載置された部品を撮像する撮像装置と、
前記保持ヘッドを移動させる移動装置と、
制御装置と
を備え、
前記制御装置が、
第1の高さに載置された部品を前記保持具により保持し、前記保持具により保持された部品を設定位置に載置するように、前記保持ヘッドと前記移動装置との作動を制御する第1作動制御部と、
前記第1作動制御部により前記設定位置に載置された部品を撮像する第1撮像部と、
前記第1の高さと異なる第2の高さに載置された部品を前記保持具により保持し、前記保持具により保持された部品を前記設定位置に載置するように、前記保持ヘッドと前記移動装置との作動を制御する第2作動制御部と、
前記第2作動制御部により前記設定位置に載置された部品を撮像する第2撮像部と、
前記第1撮像部の撮像により得られた撮像データと、前記第2撮像部の撮像により得られた撮像データとに基づいて、載置された部品の位置ズレ量を演算する演算部と
を有する作業機であって、
前記作業機が、
部品が散在されるステージと、
前記ステージに散在された部品を保持可能な前記保持具を有する前記保持ヘッドと、
前記保持具により保持された部品を載置するための載置部と
を備え、前記載置部に載置された状態で部品を供給する作業機。
【請求項4】
前記第1作動制御部が、
前記第1の高さに載置された部品を前記保持具により保持し、前記保持具により保持された部品を前記ステージの所定の位置に載置した後に、再度、その部品を前記保持具により保持し、前記載置部に設定された前記設定位置に載置するように、前記保持ヘッドと前記移動装置との作動を制御し、
前記第2作動制御部が、
前記第2の高さに載置された部品を前記保持具により保持し、前記保持具により保持された部品を前記ステージの前記所定の位置に載置した後に、再度、その部品を前記保持具により保持し、前記設定位置に載置するように、前記保持ヘッドと前記移動装置との作動を制御する請求項2または請求項3に記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、任意の位置に載置された部品を保持可能な保持具を有する保持ヘッドと、保持ヘッドを移動させる移動装置とを備えた作業機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
作業機には、任意の位置に載置された部品を保持可能な保持具を有する保持ヘッドと、保持ヘッドを移動させる移動装置とを備え、保持具により保持された部品を所定の位置に載置する作業を行うものがある。このような作業機では、保持具の昇降時における移動方向が、鉛直方向等の予め設定されている方向に対して傾いている場合があり、保持具の昇降時における移動方向の傾きを考慮して、部品の保持作業,載置作業等を行うことが好ましい。下記特許文献には、保持具を撮像し、撮像データに基づいて、保持具の昇降時における移動方向の傾きを演算し、その傾きを考慮して、部品の保持作業,載置作業等を行うことが記載されている。
【0003】
【特許文献1】国際公開第2014/103027号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献に記載の技術によれば、保持具の昇降時における移動方向の傾きを演算することで、部品の保持作業,載置作業等を適切に行うことが可能となるが、保持具の昇降時における移動方向の傾きを、更に好適に演算することで、部品の保持作業,載置作業等を、更に適切に実行することが可能となる。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、保持具の昇降時における移動方向の傾きを好適に推定することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本明細書は、任意の位置に載置された部品を保持可能な保持具を有する保持ヘッドと、任意の位置に載置された部品を撮像する撮像装置と、前記保持ヘッドを移動させる移動装置と、制御装置とを備え、前記制御装置が、第1の高さに載置された部品を前記保持具により保持し、前記保持具により保持された部品を設定位置に載置するように、前記保持ヘッドと前記移動装置との作動を制御する第1作動制御部と、前記第1作動制御部により前記設定位置に載置された部品を撮像する第1撮像部と、前記第1の高さと異なる第2の高さに載置された部品を前記保持具により保持し、前記保持具により保持された部品を前記設定位置に載置するように、前記保持ヘッドと前記移動装置との作動を制御する第2作動制御部と、前記第2作動制御部により前記設定位置に載置された部品を撮像する第2撮像部と、前記第1撮像部の撮像により得られた撮像データと、前記第2撮像部の撮像により得られた撮像データとに基づいて、載置された部品の位置ズレ量を演算する演算部とを有し、前記制御装置は、前記位置ズレ量に基づいて、前記部品の前記保持具による保持高さ毎に、前記保持具による前記部品の保持位置を補正する作業機を開示する。また、本明細書は、任意の位置に載置された部品を保持可能な保持具を有する保持ヘッドと、任意の位置に載置された部品を撮像する撮像装置と、前記保持ヘッドを移動させる移動装置と、制御装置とを備え、前記制御装置が、第1の高さに載置された部品を前記保持具により保持し、前記保持具により保持された部品を設定位置に載置するように、前記保持ヘッドと前記移動装置との作動を制御する第1作動制御部と、前記第1作動制御部により前記設定位置に載置された部品を撮像する第1撮像部と、前記第1の高さと異なる第2の高さに載置された部品を前記保持具により保持し、前記保持具により保持された部品を前記設定位置に載置するように、前記保持ヘッドと前記移動装置との作動を制御する第2作動制御部と、前記第2作動制御部により前記設定位置に載置された部品を撮像する第2撮像部と、前記第1撮像部の撮像により得られた撮像データと、前記第2撮像部の撮像により得られた撮像データとに基づいて、載置された部品の位置ズレ量を演算する演算部とを有する作業機であって、前記作業機が、部品が散在されるステージと、前記ステージに散在された部品を保持可能な前記保持具を有する前記保持ヘッドと、前記保持具により保持された部品を載置するための載置部とを備え、前記載置部に載置された状態で部品を供給する作業機を開示する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、高さの異なる位置に載置された部品を所定の位置に載置した場合の部品の載置位置のズレ量を演算することで、保持具の昇降時における移動方向の傾きを好適に推定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】部品実装機を示す斜視図である。
図2】部品実装機の部品装着装置を示す斜視図である。
図3】ばら部品供給装置を示す斜視図である。
図4】部品供給ユニットを示す斜視図である。
図5】部品供給ユニットを示す透過図である。
図6】部品供給ユニットを示す透過図である。
図7】部品散在装置を示す斜視図である。
図8】部品散在装置を示す斜視図である。
図9】部品保持ヘッドを示す斜視図である。
図10】リード部品が収納された状態の部品受け部材を示す図である。
図11】部品実装機の制御装置を示すブロック図である。
図12】ステージに散在されたリード部品を示す概略図である。
図13】吸着ノズルの昇降時の移動方向を示す概略図である。
図14】部品受け部材に載置された部品の概略図である。
図15】載置台が載置された状態のステージを示す平面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態として、本発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。
【0009】
(A)部品実装機の構成
図1に、部品実装機10を示す。部品実装機10は、回路基材12に対する部品の実装作業を実行するための装置である。部品実装機10は、装置本体20、基材搬送保持装置22、部品装着装置24、撮像装置26,28、部品供給装置30、ばら部品供給装置32、制御装置(図11参照)34を備えている。なお、回路基材12として、回路基板、三次元構造の基材等が挙げられ、回路基板として、プリント配線板、プリント回路板等が挙げられる。
【0010】
装置本体20は、フレーム部40と、そのフレーム部40に上架されたビーム部42とによって構成されている。基材搬送保持装置22は、フレーム部40の前後方向の中央に配設されており、搬送装置50とクランプ装置52とを有している。搬送装置50は、回路基材12を搬送する装置であり、クランプ装置52は、回路基材12を保持する装置である。これにより、基材搬送保持装置22は、回路基材12を搬送するとともに、所定の位置において、回路基材12を固定的に保持する。なお、以下の説明において、回路基材12の搬送方向をX方向と称し、その方向に直角な水平の方向をY方向と称し、鉛直方向をZ方向と称する。つまり、部品実装機10の幅方向は、X方向であり、前後方向は、Y方向である。
【0011】
部品装着装置24は、ビーム部42に配設されており、2台の作業ヘッド60,62と作業ヘッド移動装置64とを有している。各作業ヘッド60,62は、吸着ノズル(図2参照)66を有しており、吸着ノズル66によって部品を保持する。また、作業ヘッド移動装置64は、X方向移動装置68とY方向移動装置70とZ方向移動装置72とを有している。そして、X方向移動装置68とY方向移動装置70とによって、2台の作業ヘッド60,62は、一体的にフレーム部40上の任意の位置に移動させられる。また、各作業ヘッド60,62は、図2に示すように、スライダ74,76に着脱可能に装着されており、Z方向移動装置72は、スライダ74,76を個別に上下方向に移動させる。つまり、作業ヘッド60,62は、Z方向移動装置72によって、個別に上下方向に移動させられる。
【0012】
撮像装置26は、下方を向いた状態でスライダ74に取り付けられており、作業ヘッド60とともに、X方向,Y方向およびZ方向に移動させられる。これにより、撮像装置26は、フレーム部40上の任意の位置を撮像する。撮像装置28は、図1に示すように、フレーム部40上の基材搬送保持装置22と部品供給装置30との間に、上を向いた状態で配設されている。これにより、撮像装置28は、作業ヘッド60,62の吸着ノズル66に保持された部品を撮像する。
【0013】
部品供給装置30は、フレーム部40の前後方向での一方側の端部に配設されている。部品供給装置30は、トレイ型部品供給装置78とフィーダ型部品供給装置(図示省略)とを有している。トレイ型部品供給装置78は、トレイ上に載置された状態の部品を供給する装置である。フィーダ型部品供給装置は、テープフィーダ(図示省略)、スティックフィーダ(図示省略)によって部品を供給する装置である。
【0014】
ばら部品供給装置32は、フレーム部40の前後方向での他方側の端部に配設されている。ばら部品供給装置32は、ばらばらに散在された状態の複数の部品を整列させて、整列させた状態で部品を供給する装置である。つまり、任意の姿勢の複数の部品を、所定の姿勢に整列させて、所定の姿勢の部品を供給する装置である。以下に、部品供給装置32の構成について詳しく説明する。なお、部品供給装置30および、ばら部品供給装置32によって供給される部品として、電子回路部品,太陽電池の構成部品,パワーモジュールの構成部品等が挙げられる。また、電子回路部品には、リードを有する部品,リードを有さない部品等が有る。
【0015】
ばら部品供給装置32は、図3に示すように、本体80と、部品供給ユニット82と、撮像装置84と、部品引渡し装置86とを有している。
【0016】
(a)部品供給ユニット
部品供給ユニット82は、部品供給器88と部品散在装置(図4参照)90と部品戻し装置(図5参照)92とを含み、それら部品供給器88と部品散在装置90と部品戻し装置92とが一体的に構成されたものである。部品供給ユニット82は、本体80のベース96に着脱可能に組み付けられており、ばら部品供給装置32では、5台の部品供給ユニット82が、X方向に1列に並んで配設されている。
【0017】
(i)部品供給器
部品供給器88は、概して直方体の箱形状をなし、図4及び図5に示すように、Y方向に延びるように配設されている。なお、Y方向を部品供給器88の前後方向と記載し、図5での左方向を前方と、図5での右方向を後方と記載する場合がある。つまり、部品供給ユニット82において、部品戻し装置92が配設されている側に向かう方向を、前方と記載し、部品供給器88が配設されている側に向かう方向を、後方と記載する場合がある。
【0018】
部品供給器88は、上面と前面とにおいて開口しており、上面の開口は、部品の投入口97とされ、前面の開口は部品の排出口98とされている。部品供給器88では、投入口97の下方に、傾斜板104が配設されている。傾斜板104は、部品供給器88の後方側の端面から中央方向に向かって、部品供給器88の幅方向(X方向)の全体に配設されており、前方側の端部が下方に位置するように傾斜している。
【0019】
また、傾斜板104の前方側には、図5に示すように、コンベア装置106が配設されている。コンベア装置106は、1対のローラ108,110とコンベアベルト112とを有している。1対のローラ108,110の各々は、部品供給器88の内部において、部品供給器88の幅方向に延びるように配設されており、部品供給器88の幅方向の全体に架け渡されている。また、ローラ108は、傾斜板104の前方側の端部、つまり、傾斜板104の最も下方に位置する端部とクリアランスのある状態で対向している。なお、傾斜板104の前方側の端部とローラ108とのクリアランスは、部品供給器88によって供給される部品より小さくされている。また、ローラ110は、ローラ108の前方側の斜め上方に配設されている。そして、コンベアベルト112が、1対のローラ108,110に巻き掛けられている。なお、コンベアベルト112は、幅広とされており、コンベアベルト112の幅方向の寸法は、部品供給器88の幅方向の内寸より僅かに小さくされている。
【0020】
また、1対のローラ108,110は軸心周りに回転可能とされており、回転装置114の作動により制御可能に回転する。なお、各ローラ108,110の回転方向は、図5での反時計回りの方向とされている。これにより、コンベアベルト112が、1対のローラ108,110の間において、図5での反時計回りに回転する。つまり、コンベアベルト112による搬送方向は、傾斜板104の前端部から前方に向かって斜め上方とされている。なお、コンベアベルト112の表面、つまり、搬送面には、コンベアベルト112の幅方向に延びるように、複数の突起部115が形成されている。複数の突起部115は、コンベアベルト112の回転方向において一定の間隔で形成されており、その間隔は、部品供給器88によって供給される部品の長さ方向の寸法より長くされている。
【0021】
また、コンベア装置106のローラ110の前方側の斜め上方には、ブラシ保持部123が配設されている。ブラシ保持部123は、部品供給器88の幅方向に延びるように配設されており、部品供給器88の幅方向の全体に架け渡されている。そして、そのブラシ保持部123の下端部には、コンベア装置106のローラ110に向かって延び出すように、幅広のブラシ124が取り付けられている。なお、ブラシ124の幅方向の寸法は、部品供給器88の幅方向の内寸より僅かに小さくされており、ローラ110に巻き掛けられているコンベアベルト112と、部品供給器88の幅方向の全体に渡って、クリアランスのある状態で対向している。なお、ブラシ124の先端と、ローラ110に巻き掛けられているコンベアベルト112とのクリアランスは、部品供給器88によって供給される部品の厚さ方向の寸法より長く、厚さ方向の寸法の2倍未満とされている。
【0022】
また、コンベア装置106のローラ110の前方側の斜め下方には、傾斜板126が配設されている。傾斜板126は、部品供給器88の前方側の端面からローラ110の下方に向かって、部品供給器88の幅方向の全体に配設されており、後方側の端部が下方に位置するように傾斜している。さらに、その傾斜板126の下方にも、傾斜板128が配設されている。傾斜板128は、コンベア装置106の中央部の下方から部品供給器88の排出口98に向かって、部品供給器88の幅方向の全体に配設されており、前方側の端部が下方に位置するように傾斜している。なお、傾斜板128の後方側の端部は、傾斜板126の後方側の端部より後方に位置しており、その傾斜板128の後方側の端部は、上方に向かって直角に屈曲されている。また、傾斜板128の前方側の端部は、概して水平となるように後方に向かって屈曲されている。
【0023】
また、ベース96には、図4に示すように、1対のサイドフレーム部130が組み付けられている。1対のサイドフレーム部130は、対向した状態で互いに平行且つ、Y方向に延びるように立設されている。そして、1対のサイドフレーム部130の間の距離は、部品供給器88の幅方向の寸法より僅かに大きくされており、1対のサイドフレーム部130の間に、部品供給器88が着脱可能に装着されている。
【0024】
(ii)部品散在装置
部品散在装置90は、部品支持部材150と部品支持部材移動装置152とを含む。部品支持部材150は、ステージ156と1対の側壁部158とによって構成されている。ステージ156は、概して長手形状の板形状をなし、1対のサイドフレーム部130の間に装着された部品供給器88の下方から前方に延び出すように、配設されている。なお、ステージ156の上面は、概して水平とされており、図5に示すように、部品供給器88の傾斜板128の屈曲された前方側の端部と僅かなクリアランスのある状態で配設されている。また、1対の側壁部158は、図4に示すように、ステージ156の長手方向の両側部に立設された状態で固定されており、各側壁部158の上端は、ステージ156の上面より上方に延び出している。
【0025】
また、部品支持部材移動装置152は、図5に示すように、ガイドレール160とスライダ162とを含む。ガイドレール160は、部品支持部材150の下方において、ステージ156の長手方向に延びるように配設されている。スライダ162は、ガイドレール160にスライド可能に取り付けられており、電磁モータ(図11参照)166の作動により、任意の位置にスライドする。また、部品支持部材150のステージ156は、連結機構168を介してスライダ162に連結されている。これにより、部品支持部材150は、部品支持部材移動装置152の作動によりY方向に移動し、部品供給器88の下方に格納された格納状態(図6参照)と、部品供給器88の下方から露出した露出状態(図5参照)との間で移動する。
【0026】
(iii)部品戻し装置
部品戻し装置92は、図7に示すように、部品回収容器180と容器搖動装置181とを含む。部品回収容器180は、概して箱状をなし、底面が円弧形状とされている。部品回収容器180は、部品支持部材150のステージ156の前方側の端部において搖動可能に保持されており、容器搖動装置181の作動により、揺動する。この際、部品回収容器180は、開口を上方に向けた回収姿勢(図7参照)と、開口を部品支持部材150のステージ156の上面に向けた戻し姿勢(図8参照)との間で搖動する。
【0027】
(b)撮像装置
撮像装置84は、図3に示すように、カメラ290とカメラ移動装置292とを含む。カメラ移動装置292は、ガイドレール296とスライダ298とを含む。ガイドレール296は、部品供給器88の上方において、ばら部品供給装置32の幅方向(X方向)に延びるように、本体80に固定されている。スライダ298は、ガイドレール296にスライド可能に取り付けられており、電磁モータ(図11参照)299の作動により、任意の位置にスライドする。また、カメラ290は、下方を向いた状態でスライダ298に装着されている。
【0028】
(c)部品引渡し装置
部品引渡し装置86は、図3に示すように、部品保持ヘッド移動装置300と部品保持ヘッド302と2台のシャトル装置304とを含む。
【0029】
部品保持ヘッド移動装置300は、X方向移動装置310とY方向移動装置312とZ方向移動装置314とを含む。Y方向移動装置312は、X方向に延びるように、部品供給ユニット82の上方に配設されたYスライダ316を有しており、Yスライダ316は、電磁モータ(図11参照)319の駆動により、Y方向の任意の位置に移動する。X方向移動装置310は、Yスライダ316の側面に配設されたXスライダ320を有しており、Xスライダ320は、電磁モータ(図11参照)321の駆動により、X方向の任意の位置に移動する。Z方向移動装置314は、Xスライダ320の側面に配設されたZスライダ322を有しており、Zスライダ322は、電磁モータ(図11参照)323の駆動により、Z方向の任意の位置に移動する。
【0030】
部品保持ヘッド302は、図9に示すように、ヘッド本体330と吸着ノズル332とノズル旋回装置334とノズル回転装置335とを含む。ヘッド本体330は、Zスライダ322と一体的に形成されている。吸着ノズル332は、部品を保持するものであり、ホルダ340の下端部に着脱可能に装着されている。ホルダ340は、支持軸344において屈曲可能とされており、ノズル旋回装置334の作動により、ホルダ340が上方向に90度屈曲する。これにより、ホルダ340の下端部に装着されている吸着ノズル332は、90度旋回し、旋回位置に位置する。つまり、吸着ノズル332は、ノズル旋回装置334の作動により、非旋回位置と旋回位置との間で旋回する。また、ノズル回転装置335は、吸着ノズル332をそれの軸心周りに回転させる。
【0031】
また、2台のシャトル装置304の各々は、図3に示すように、部品キャリヤ388と部品キャリヤ移動装置390とを含み、部品供給ユニット82の前方側に横方向に並んで、本体80に固定されている。部品キャリヤ388には、5個の部品受け部材392が、横方向に一列に並んだ状態で装着されており、各部品受け部材392に、部品が載置される。
【0032】
詳しくは、ばら部品供給装置32で供給される部品は、図10に示すように、リードを有する電子回路部品(以下、「リード部品」と略す場合がある)410であり、リード部品410は、ブロック状の部品本体412と、部品本体412の底面から突出する2本のリード414とから構成されている。また、部品受け部材392には、リード部品410に応じた形状の部品受容凹部416が形成されている。部品受容凹部416は、段付き形状の凹部であり、部品受け部材392の上面に開口する本体部受容凹部418と、その本体部受容凹部418の底面に開口するリード受容凹部420とから構成されている。そして、リード部品410は、リード414が下方を向く姿勢で、部品受容凹部416の内部に挿入される。これにより、リード414がリード受容凹部420に挿入されるとともに、部品本体412が本体部受容凹部418に挿入された状態で、リード部品410が部品受容凹部416の内部に載置される。
【0033】
また、部品キャリヤ移動装置390は、図3に示すように、板状の長手部材であり、前後方向に延びるように、部品供給ユニット82の前方側に配設されている。部品キャリヤ移動装置390の上面には、部品キャリヤ388が前後方向にスライド可能に配設されており、電磁モータ(図11参照)430の駆動により、前後方向の任意の位置にスライドする。なお、部品キャリヤ388が、部品供給ユニット82に接近する方向にスライドした際には、部品保持ヘッド移動装置300による部品保持ヘッド302の移動範囲内に位置する部品受取位置までスライドする。一方、部品キャリヤ388が、部品供給ユニット82から離れる方向にスライドした際には、作業ヘッド移動装置64による作業ヘッド60,62の移動範囲内に位置する部品供給位置までスライドする。
【0034】
また、制御装置34は、図11に示すように、統括制御装置450と、複数の個別制御装置(図では1つのみ図示されている)452と、画像処理装置454とを含む。統括制御装置450は、コンピュータを主体として構成されたものであり、基材搬送保持装置22,部品装着装置24,撮像装置26,撮像装置28,部品供給装置30,ばら部品供給装置32に接続されている。これにより、統括制御装置450は、基材搬送保持装置22,部品装着装置24,撮像装置26,撮像装置28,部品供給装置30,ばら部品供給装置32を統括して制御する。複数の個別制御装置452は、コンピュータを主体として構成されたものであり、基材搬送保持装置22,部品装着装置24,撮像装置26,撮像装置28,部品供給装置30,ばら部品供給装置32に対応して設けられている(図では、ばら部品供給装置32に対応する個別制御装置452のみが図示されている)。ばら部品供給装置32の個別制御装置452は、部品散在装置90,部品戻し装置92,カメラ移動装置292,部品保持ヘッド移動装置300,部品保持ヘッド302,シャトル装置304に接続されている。これにより、ばら部品供給装置32の個別制御装置452は、部品散在装置90,部品戻し装置92,カメラ移動装置292,部品保持ヘッド移動装置300,部品保持ヘッド302,シャトル装置304を制御する。また、画像処理装置454は、撮像装置84に接続されており、撮像装置84により撮像された撮像データを処理する。その画像処理装置454は、ばら部品供給装置32の個別制御装置452に接続されている。これにより、ばら部品供給装置32の個別制御装置452は、撮像装置84により撮像された撮像データを取得する。
【0035】
(B)部品実装機の作動
部品実装機10は、上述した構成によって、基材搬送保持装置22に保持された回路基材12に対して部品の装着作業が行われる。具体的には、回路基材12が、作業位置まで搬送され、その位置において、クランプ装置52によって固定的に保持される。次に、撮像装置26が、回路基材12の上方に移動し、回路基材12を撮像する。これにより、回路基材12の保持位置の誤差に関する情報が得られる。また、部品供給装置30若しくは、ばら部品供給装置32は、所定の供給位置において、部品を供給する。なお、ばら部品供給装置32による部品の供給に関しては、後で詳しく説明する。そして、作業ヘッド60,62の何れかが、部品の供給位置の上方に移動し、吸着ノズル66によって部品を保持する。続いて、部品を保持した作業ヘッド60,62が、撮像装置28の上方に移動し、撮像装置28によって、吸着ノズル66に保持された部品が撮像される。これにより、部品の保持位置の誤差に関する情報が得られる。そして、部品を保持した作業ヘッド60,62が、回路基材12の上方に移動し、保持している部品を、回路基材12の保持位置の誤差,部品の保持位置の誤差等を補正し、回路基材12上に装着する。
【0036】
(C)ばら部品供給装置の作動
(a)ばら部品供給装置によるリード部品の供給
ばら部品供給装置32では、リード部品410が、作業者によって部品供給器88の投入口97から投入され、その投入されたリード部品410が、部品供給ユニット82,部品引渡し装置86の作動により、部品キャリヤ388の部品受け部材392に載置された状態で供給される。詳しくは、作業者は、部品供給器88の上面の投入口97から、リード部品410を投入する。この際、部品支持部材150は、部品支持部材移動装置152の作動により、部品供給器88の下方に移動しており、格納状態とされる(図6参照)。なお、部品支持部材150が格納状態とされている際に、部品支持部材150の前方側の端部に配設された部品回収容器180は、部品供給器88の前方に位置しており、部品回収容器180の開口を上方に向けた姿勢(回収姿勢)とされている。
【0037】
部品供給器88の投入口97から投入されたリード部品410は、部品供給器88の傾斜板104の上に落下し、傾斜板104の前方側の下端まで転がり落ちる。この際、傾斜板104の前方側の下端まで転がり落ちたリード部品410は、傾斜板104の前方側の下端と、コンベア装置106の後方側の下端との間に山積される。つまり、傾斜板104の前方側の下端と、コンベア装置106の後方側の下端との間が、リード部品410を収容するための収容部100として機能している。そして、コンベア装置106の回転装置114が作動されることで、コンベア装置106のコンベアベルト112が図6での反時計回りに周回する。これにより、収容部100に山積されたリード部品410が、コンベアベルト112によって前方側の斜め上方に向かって搬送される。
【0038】
そして、コンベアベルト112によって斜め上方に向かって搬送されたリード部品410は、コンベア装置106の前方側の上端とブラシ124との間を通過し、コンベア装置106の前方側の上端とブラシ124との下方に配設された傾斜板126の上に落下する。その傾斜板126の上に落下したリード部品410は、傾斜板126の上を後方に向かって転がり落ち、傾斜板126の下方に配設された傾斜板128の上に落下する。その傾斜板128の上に落下したリード部品410は前方に向かって転がり落ち、部品供給器88の前方側の排出口98から排出される。このように、コンベア装置106の前方側の上端から落下したリード部品410は、一旦、傾斜板126の上に落下し、その後に、傾斜板128に上に落下する。そして、部品供給器88の排出口98からリード部品410が排出される。
【0039】
また、部品支持部材150は、部品供給器88の排出口98からリード部品410が排出されるタイミングに合わせて、部品支持部材移動装置152の作動により、部品供給器88の下方から前方に向かって移動させられる。これにより、部品供給器88の排出口98から排出されたリード部品410が、部品支持部材150のステージ156の上面に排出される。
【0040】
そして、部品支持部材150が、格納状態から前方に向かって移動させられ、露出状態に至ると、部品支持部材150の移動が停止される。これにより、ステージ156の上面全体にリード部品410が散在される。なお、部品供給器88では、部品支持部材150の移動が停止するタイミングに合わせて、部品供給器88からリード部品410が最後に排出されるように、コンベア装置106の作動が停止される。
【0041】
上述した手順に従って、部品供給器88から部品支持部材150のステージ156の上にリード部品410が散在されると、撮像装置84のカメラ290が、カメラ移動装置292の作動により、部品支持部材150の上方に移動させられ、リード部品410を撮像する。そして、部品支持部材150の上面に散在された複数のリード部品410が、撮像データに基づいて、吸着ノズル332によってピックアップ可能なリード部品(以下、「ピックアップ対象部品」と記載する場合がある)と、吸着ノズル332によってピックアップ不可能なリード部品(以下、「非ピックアップ対象部品」と記載する場合がある)とに分けられる。
【0042】
ピックアップ対象部品と非ピックアップ対象部品との区分け手法は、本発明とは関係ないため、簡単に説明するが、凹凸面等の吸着し難い面が上を向いた状態のリード部品410,リード414が部品支持部材150の上面に接触し、傾いた状態のリード部品410等が、非ピックアップ対象部品に区分けされ、それ以外のリード部品410が、ピックアップ対象部品に区分けされる。また、ピックアップ対象部品に区分けされたリード部品410に対して、撮像データに基づいて、部品支持部材150上での位置、リード部品410の姿勢等の情報が取得される。
【0043】
そして、取得されたピックアップ対象部品の位置情報に基づいて、ピックアップ対象部品の上方に、部品保持ヘッド302が、部品保持ヘッド移動装置300の作動により移動させられ、吸着ノズル332によってピックアップ対象部品が吸着保持される。なお、吸着ノズル332によってピックアップ対象部品が吸着保持される際には、吸着ノズル332は、非旋回位置に位置している。
【0044】
次に、リード部品410が吸着ノズル332によって保持された後に、部品保持ヘッド302が部品キャリヤ388の上方に移動させられる。この際、部品キャリヤ388は、部品キャリヤ移動装置390の作動により、部品受取位置に移動する。また、部品保持ヘッド302が部品キャリヤ388の上方に移動する際に、吸着ノズル332は、旋回位置に旋回される。なお、旋回位置の吸着ノズル332に保持されたリード部品410のリード414が、鉛直方向での下方を向くように、吸着ノズル332は、ノズル回転装置335の作動により、回転される。
【0045】
部品保持ヘッド302が部品キャリヤ388の上方に移動すると、リード414が鉛直方向での下方を向いた状態のリード部品410が、部品受け部材392の部品受容凹部416内に挿入される。これにより、リード部品410は、図10に示すように、リード414を鉛直方向での下方に向けた状態で、部品受け部材392に載置される。
【0046】
そして、リード部品410が部品受け部材392に載置されると、部品キャリヤ388は、部品キャリヤ移動装置390の作動により、部品供給位置に移動する。部品供給位置に移動した部品キャリヤ388は、作業ヘッド60,62の移動範囲に位置しているため、ばら部品供給装置32では、この位置においてリード部品410が供給される。このように、ばら部品供給装置32では、リード414が下方を向き、リード414が接続された底面と対向する上面が上方を向いた状態で、リード部品410が供給される。このため、作業ヘッド60,62の吸着ノズル66は、適切にリード部品410を保持することが可能となる。
【0047】
(b)リード部品の回収、及び補給
ばら部品供給装置32では、部品支持部材150のステージ156の上にピックアップ対象部品が散在されている際には、散在されているピックアップ対象部品のピックアップが繰り返され、ピックアップされたピックアップ対象部品が部品受け部材392に載置される。そして、部品受け部材392の装着された部品キャリヤ388が部品供給位置に移動されることで、リード部品410の供給が行われる。ただし、部品支持部材150のステージ156の上にピックアップ対象部品が散在されていない場合、つまり、ピックアップ可能なリード部品410が全てピックアップされ、非ピックアップ対象部品のみがステージ156の上に残存している場合には、ステージ156からリード部品410をピックアップすることができない。
【0048】
このため、ばら部品供給装置32では、そのような場合に、ステージ156の上に残存しているリード部品410が部品回収容器180に回収される。そして、部品回収容器180に回収されたリード部品410が、ステージ156の上に、再度、散在され、リード部品410の姿勢が変化されることで、ステージ156からのリード部品410のピックアップが再開される。
【0049】
詳しくは、部品支持部材150が、部品支持部材移動装置152の作動により、部品供給器88の下方に向かって移動させられる。つまり、部品支持部材150が、露出状態(図5参照)から格納状態(図6参照)に向かって移動させられる。この際、部品支持部材150の前端部に配設されている部品回収容器180は、開口を上方に向けた姿勢、つまり、回収姿勢とされている。そして、部品支持部材150の移動に伴って、部品支持部材150のステージ156上のリード部品410は、部品供給器88の傾斜板128の前方側の端部によって堰き止められる。さらに、部品支持部材150が、図6に示すように、格納状態に至るまで移動させられると、ステージ156上のリード部品410が、部品回収容器180の内部に掻き落とされる。
【0050】
続いて、部品支持部材150が、部品支持部材移動装置152の作動により、格納状態から前方に向かって移動させられる。そして、部品支持部材150が格納状態から所定量、前方に向かって移動したタイミングで、部品戻し装置92の容器搖動装置181が作動し、部品回収容器180が搖動する。これにより、部品回収容器180の姿勢が、開口を上方に向けた姿勢(回収姿勢)から、開口をステージ156に向けた姿勢(戻し姿勢)に勢いよく変化する。この際、部品回収容器180に回収されたリード部品410が、ステージ156に向かって勢いよく放出される。これにより、部品回収容器180からステージ156の上にリード部品410が散在されることで、リード部品410の姿勢が変更され、ステージ156の上から、再度、リード部品410がピックアップされる。
【0051】
(D)部品保持ヘッドによる部品の保持位置の補正
ばら部品供給装置32では、上述したように、ステージ156の上に散在された部品が、撮像装置84のカメラ290により撮像され、その撮像データに基づいて部品の位置が演算される。続いて、その演算された部品位置に向かって、部品保持ヘッド302の吸着ノズル332を下降させることで、部品を吸着ノズル332により保持する。そして、部品保持ヘッド302が、部品受け部材392の上方に移動され、吸着ノズル332を部品受け部材392に向かって下降させることで、吸着ノズル332に保持された部品が部品受け部材392の部品受容凹部416に載置される。これにより、部品が部品受け部材392に載置された状態で供給される。
【0052】
しかしながら、ばら部品供給装置32では、部品がステージ156の上に種々の姿勢で散在されており、部品の姿勢に応じて、吸着ノズル332による部品の保持高さが異なるため、種々の要因により、部品の保持位置がズレて、部品を部品受け部材392の部品受容凹部416に適切に載置できない虞がある。
【0053】
詳しくは、例えば、リード部品410の部品本体412が直方体形状である場合に、図12に示すように、部品本体412の所定の側面460がステージ156の上面に接触している場合には、その側面460と対向する側面462が、吸着ノズル332による吸着保持面となる。また、部品本体412の側面460の隣の側面464がステージ156の上面に接触している場合には、その側面464と対向する側面466が、吸着ノズル332による吸着保持面となる。このように、ばら部品供給装置32では、ステージ156に散在される部品の姿勢に応じて、吸着ノズル332による部品の保持高さが異なる。
【0054】
また、吸着ノズル332が昇降される際の移動方向が、鉛直方向からズレている場合、ステージ156に散在された部品を撮像するカメラ290の撮像方向が、鉛直方向からズレている場合等には、部品の保持高さの相違によって、部品の保持位置がズレる虞がある。具体的に、図13に示すように、吸着ノズル332の昇降時の移動軌跡470が、鉛直方向に延びる鉛直線472に対して傾斜している場合、つまり、吸着ノズル332が昇降される際の移動方向が、鉛直方向からズレている場合について説明する。
【0055】
例えば、ステージ156の上に直接的に載置された部品478が吸着ノズル332により保持される際に、吸着ノズル332が部品478の所定の位置(中央位置)を保持すると仮定する。このように仮定し、部品478が、図中の点線で示すように、ステージ156の上面より高い位置に載置されている場合には、吸着ノズル332は、部品478の所定の位置(中央位置)でなく、その所定位置からズレた位置を保持する。つまり、吸着ノズル332による部品の保持高さが異なる場合には、吸着ノズル332による部品の保持位置が異なる。
【0056】
そして、吸着ノズル332が、部品478の所定の位置からズレた位置を保持している場合に、その部品478が部品受け部材392の上に載置されると、その載置位置は、吸着ノズル332によって所定の位置を保持されている部品の載置位置と異なる。つまり、吸着ノズル332が、部品478の所定の位置を保持している場合に、その部品478が載置されると、その部品478は、図14の実線で示す位置に載置される。一方、吸着ノズル332が、部品478の所定の位置からズレた位置を保持している場合に、その部品478が載置されると、その部品478は、図14の点線で示す位置に載置される。図から解るように、図中の実線で示す部品478の載置位置と、図中の点線で示す部品478の載置位置とは大きくズレており、このような場合には、図中の実線で示す部品478は、部品受け部材392の部品受容凹部416に適切に載置されるが、図中の点線で示す部品478は、部品受け部材392の部品受容凹部416に適切に載置されない虞がある。
【0057】
このようなことに鑑みて、ばら部品供給装置32では、異なる高さに載置された部品が吸着ノズル332により保持され、その保持された部品が所定の位置に載置される。そして、異なる高さに載置された部品の所定の位置への載置位置のズレ量を演算し、そのズレ量に基づいて、吸着ノズル332による部品の保持位置が補正される。詳しくは、直方体形状の載置台480が、作業者によって、図15に示すように、ステージ156の上面の任意の位置に載置される。この際、載置台480がステージ156の上面に載置された際の載置台480の高さ方向の寸法は、H(図13参照)とされている。そして、部品478が、作業者によって、載置台480の上面の任意の位置に載置される。なお、ここで用いられる部品478は、吸着ノズル332による部品の保持位置を補正する際に用いられる専用部品とされており、直方体形状とされている。
【0058】
続いて、撮像装置84のカメラ290が載置台480の上方に移動され、カメラ290によって、載置台480の上に載置された部品478が撮像される。これにより、撮像により得られた撮像データに基づいて、部品478の載置位置が演算される。そして、その演算された載置位置に基づいて、部品保持ヘッド移動装置300の作動が制御され、部品478が吸着ノズル332によって保持される。次に、吸着ノズル332によって保持された部品478が、ステージ156の中央位置482に、一旦、載置される。ちなみに、ステージ156の中央位置482は、図中の×印で示される位置であり、その位置情報は個別制御装置452に記憶されている。つまり、個別制御装置452に記憶されているステージ156の中央位置482の位置情報に基づいて、部品保持ヘッド移動装置300の作動が制御され、吸着ノズル332によって保持された部品478がステージ156の中央位置に載置される。なお、図では、ステージ156の中央位置482を×印で示しているが、実際のステージ156の上面に×印は記されていない。
【0059】
続いて、カメラ290が、ステージ156の中央位置482の上方に移動され、カメラ290によって、中央位置482に載置された部品478が撮像される。これにより、撮像により得られた撮像データに基づいて、部品478の載置位置が演算される。そして、その演算された載置位置に基づいて、部品保持ヘッド移動装置300の作動が制御され、部品478が吸着ノズル332によって保持される。次に、吸着ノズル332によって保持された部品478が、シャトル装置304の部品受け部材392の所定の位置に載置される。なお、部品受け部材392の所定の位置の位置情報は個別制御装置452に記憶されており、その位置情報に基づいて、部品保持ヘッド移動装置300の作動が制御されることで、吸着ノズル332によって保持された部品478が、部品受け部材392の所定の位置に載置される。
【0060】
なお、部品の供給時には、部品受容凹部416が形成された部品受け部材392が用いられるが、載置台480を用いた部品478の撮像時には、部品受容凹部416が形成されていない部品受け部材392が用いられる。つまり、載置台480を用いた部品478の撮像が実行される前に、部品受容凹部416の形成された部品受け部材392が、部品キャリヤ388から取り外され、部品受容凹部416の形成されていない部品受け部材392が、部品キャリヤ388に取り付けられている。
【0061】
そして、吸着ノズル332によって保持された部品478が、部品受け部材392の所定の位置に載置されると、カメラ290が、その部品受け部材392の所定の位置の上方に移動され、カメラ290によって、部品受け部材392の所定の位置に載置された部品478が撮像される。これにより、撮像により得られた撮像データに基づいて、部品478の載置位置が演算される。つまり、載置台480の上に載置された部品478が吸着ノズル332によって保持された後に、その部品478が部品受け部材392に載置された載置位置(以下、「第1高さ部品載置位置」と記載する場合がある)が、撮像データに基づいて演算される。
【0062】
次に、第1高さ部品載置位置が演算されると、部品受け部材392の上に載置された部品478が、作業者によって、ステージ156の上面の任意の位置に載置される。つまり、部品478が、載置台480の上面高さ(第1の高さ)よりH低い高さ(第2の高さ)のステージ156の上面に載置される。なお、ステージ156の上面に載置された部品478は、図15中の点線で示されている。そして、部品478がステージ156の上面に載置されると、カメラ290が部品478の上方に移動され、カメラ290によって、ステージ156の上面に載置された部品478が撮像される。これにより、撮像により得られた撮像データに基づいて、部品478の載置位置が演算される。そして、その演算された載置位置に基づいて、部品保持ヘッド移動装置300の作動が制御され、部品478が吸着ノズル332によって保持される。次に、吸着ノズル332によって保持された部品478が、ステージ156の中央位置482に、一旦、載置される。
【0063】
続いて、カメラ290が、ステージ156の中央位置482の上方に移動され、カメラ290によって、中央位置482に載置された部品478が撮像される。これにより、撮像により得られた撮像データに基づいて、部品478の載置位置が演算される。そして、その演算された載置位置に基づいて、部品保持ヘッド移動装置300の作動が制御され、部品478が吸着ノズル332によって保持される。次に、吸着ノズル332によって保持された部品478が、部品受け部材392の所定の位置に載置される。なお、載置台480の上から保持された部品478が載置される部品受け部材392の所定の位置と、ステージ156の上から保持された部品478が載置される部品受け部材392の所定の位置とは、当然、同じである。
【0064】
そして、吸着ノズル332によって保持された部品478が、部品受け部材392の所定の位置に載置されると、カメラ290が、その部品受け部材392の所定の位置の上方に移動され、カメラ290によって、部品受け部材392の所定の位置に載置された部品478が撮像される。これにより、撮像により得られた撮像データに基づいて、部品478の載置位置が演算される。つまり、ステージ156の上面に載置された部品478が吸着ノズル332によって保持された後に、その部品478が部品受け部材392に載置された載置位置(以下、「第2高さ部品載置位置」と記載する場合がある)が、撮像データに基づいて演算される。
【0065】
次に、第1高さ部品載置位置と第2高さ部品載置位置とが演算されると、第1高さ部品載置位置と第2高さ部品載置位置とに基づいて、部品478の載置位置のズレ量α(図14参照)が演算される。これにより、載置台480の高さ寸法Hに対する部品478の載置位置のズレ量α、つまり、部品478の保持位置の高さの相違(H)に対する部品478の載置位置のズレ量αが推定される。また、異なる表現を用いれば、鉛直線472に対する吸着ノズル332の昇降時の移動軌跡470の傾斜角度が推定される。
【0066】
また、ステージ156の上に散在されたリード部品410の吸着ノズル332による保持高さが、散在された部品の姿勢毎に、特定されている。このため、載置台480の高さ寸法Hに対する部品478の載置位置のズレ量αに基づいて、散在された姿勢に応じて異なるリード部品410の吸着ノズル332による保持高さ毎に、吸着ノズル332によるリード部品410の保持位置が補正される。これにより、吸着ノズル332によるリード部品410の保持高さが、散在された姿勢に応じて異なる場合であっても、部品受け部材392への載置位置のズレ量を低減し、部品受け部材392の部品受容凹部416に適切にリード部品410を載置することが可能となる。
【0067】
特に、ばら部品供給装置32では、部品を保持する吸着ノズル332を撮像可能な撮像装置が設けられていないため、上述した載置台480を用いた保持位置の補正を実行する効果が充分に発揮される。詳しくは、例えば、部品実装機10には、撮像装置28が設けられており、撮像装置28は、部品を保持する吸着ノズル66を撮像することが可能である。このため、所定の高さに位置する吸着ノズル66と、その所定の高さと異なる高さに位置する吸着ノズル66とを撮像し、撮像データに基づいて、鉛直線に対する吸着ノズル66の昇降時の移動軌跡の傾斜角度を推定することが可能である。そして、その傾斜角度を利用して、吸着ノズル66による保持位置を補正することができる。一方、ばら部品供給装置32では、吸着ノズル332を撮像可能な撮像装置が設けられていないため、吸着ノズル332の撮像データを利用して吸着ノズル332の保持位置を補正することができない。このため、ばら部品供給装置32では、上述した載置台480を用いた保持位置の補正を実行する効果が充分に発揮される。
【0068】
また、載置台480の上に載置された部品478も、ステージ156の上に載置された部品478も吸着ノズル332によって保持された後に、一旦、ステージ156の中央位置482に載置されてから、再度、吸着ノズル332によって保持され、部品受け部材392の上に載置される。これは、鉛直線472に対する吸着ノズル332の昇降時の移動軌跡470の傾斜角度(以下、「ノズル昇降時傾斜角度」と記載する場合がある)が、部品478の保持位置に応じて、僅かであるが、異なっている虞があり、部品478の保持位置に応じたノズル昇降時傾斜角度の相違の影響を低減するためである。
【0069】
詳しくは、図15に示すように、載置台480の上に載置された部品478の保持位置(実線で示される位置)と、ステージ156の上に載置された部品478の保持位置(点線で示される位置)とは異なっている。このため、載置台480の上に載置された部品478の保持位置におけるノズル昇降時傾斜角度と、ステージ156の上に載置された部品478の保持位置におけるノズル昇降時傾斜角度とが異なっている場合がある。このような場合には、保持位置に応じたノズル昇降時傾斜角度の相違が、部品受け部材392への部品478の載置位置のズレ量α(図14参照)に影響し、吸着ノズル332による保持位置を適切に補正できない虞がある。このため、載置台480の上に載置された部品478及び、ステージ156の上に載置された部品478が、一旦、ステージ156の中央位置482に載置され、それぞれの部品478が、中央位置482において、再度、吸着ノズル332によって保持される。これにより、保持位置に応じたノズル昇降時傾斜角度の相違を無くし、部品受け部材392への部品478の載置位置のズレ量αを適切に測定することが可能となり、吸着ノズル332による保持位置の適切な補正を担保することが可能となる。
【0070】
また、載置台480を用いた保持位置の補正は、ばら部品供給装置32が出荷される前に行われるが、従来の装置では、吸着ノズル332の昇降時の移動方向が、鉛直方向からズレている場合、ステージ156に散在された部品を撮像するカメラ290の撮像方向が、鉛直方向からズレている場合等に生じる吸着ノズル332による部品の保持位置のズレの補正は、出荷前に行われていなかった。このため、吸着ノズル332の昇降時の移動方向を鉛直方向とするべく、吸着ノズル332を上下方向に移動させる機構の組み付け時に、非常に高い組み付け精度が求められていた。また、カメラ290の撮像方向を鉛直方向とするべく、カメラ290の組み付け時に、非常に高い組み付け精度が求められていた。一方、載置台480を用いた保持位置の補正を行うことで、吸着ノズル332の昇降時の移動方向等が鉛直方向から多少ズレていても、部品受け部材392の部品受容凹部416に適切にリード部品410を載置することが可能となる。これにより、ばら部品供給装置32の組み付け精度をある程度、緩和することが可能となり、装置の組み付け時間の短縮を図ることが可能となる。
【0071】
また、個別制御装置452は、図11に示すように、第1作動制御部500と、第1撮像部502と、第2作動制御部504と、第2撮像部506と、演算部508とを有している。第1作動制御部500は、載置台480の上に載置された部品478を、一旦、ステージ156の中央位置に移動させた後に、部品受け部材392の所定の位置に載置させるための機能部である。第1撮像部502は、載置台480の上から部品受け部材392の所定の位置に載置された部品478をカメラ290により撮像するための機能部である。第2作動制御部504は、ステージ156の上に載置された部品478を、一旦、ステージ156の中央位置に移動させた後に、部品受け部材392の所定の位置に載置させるための機能部である。第2撮像部506は、ステージ156の上から部品受け部材392の所定の位置に載置された部品478をカメラ290により撮像するための機能部である。演算部508は、部品受け部材392への部品478の載置位置のズレ量αを演算するための機能部である。
【0072】
ちなみに、ばら部品供給装置32は、作業機の一例である。撮像装置84は、撮像装置の一例である。ステージ156は、ステージの一例である。部品保持ヘッド移動装置300は、移動装置の一例である。部品保持ヘッド302は、保持ヘッドの一例である。吸着ノズル332は、保持具の一例である。部品受け部材392は、載置部の一例である。個別制御装置452は、制御装置の一例である。第1作動制御部500は、第1作動制御部の一例である。第1撮像部502は、第1撮像部の一例である。第2作動制御部504は、第2作動制御部の一例である。第2撮像部506は、第2撮像部の一例である。演算部508は、演算部の一例である。
【0073】
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することが可能である。具体的には、例えば、上記実施例では、載置台480とステージ156との2箇所から部品受け部材392に移動された部品478のズレ量αが演算されているが、載置台480とステージ156との各々の高さと異なる高さに部品478を載置し、その部品478が部品受け部材392に載置された際の部品478のズレ量αを演算してもよい。つまり、載置台480とステージ156と別の部材との3箇所以上から、部品478を部品受け部材392に移動し、その際の部品478のズレ量αを演算してもよい。
【0074】
また、上記実施例では、鉛直方向を基準として、吸着ノズル332の昇降時の移動方向が傾斜している場合について説明しているが、部品保持ヘッド302の左右への移動方向、つまり、XY方向を含む平面に対して垂直な方向を基準としてもよく、ステージ156の上面に対して垂直な方向を基準としてもよい。
【0075】
また、上記実施例では、部品受け部材392への部品478の載置位置のズレ量αに基づいて、吸着ノズル332による部品の保持位置を補正しているが、吸着ノズル332により保持された部品の載置位置を補正してもよい。つまり、吸着ノズル332による部品の保持高さが異なる場合に、部品受け部材392への部品478の載置位置がズレることを考慮して、吸着ノズル332により保持された部品が、所定の位置からズレた位置に載置されるように、部品の載置位置を補正してもよい。
【0076】
上記実施例では、ばら部品供給装置32のステージ156の上から部品を保持する際に、上記手法に従って吸着ノズル332による部品の保持位置の補正が行われているが、別の位置から部品を保持する際に、上記手法に従って吸着ノズル332による部品の保持位置の補正を行ってもよい。具体的には、例えば、トレイ型供給装置の部品トレイの上から部品を保持する際に、上記手法に従って吸着ノズル332による部品の保持位置の補正を行ってもよい。
【0077】
また、上記実施例では、リードを有する部品に本発明が適用されているが、種々の種類の部品に本発明を適用することが可能である。具体的には、例えば、太陽電池の構成部品,パワーモジュールの構成部品,リードを有さない電子回路部品等に、本発明を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0078】
32:ばら部品供給装置(作業機) 84:撮像装置 156:ステージ 300:部品保持ヘッド移動装置(移動装置) 302:部品保持ヘッド(保持ヘッド) 332:吸着ノズル(保持具) 392:部品受け部材(載置部) 452:個別制御装置(制御装置) 500:第1作動制御部 502:第1撮像部 504:第2作動制御部 506:第2撮像部 508:演算部
図1
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