(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6837090
(24)【登録日】2021年2月10日
(45)【発行日】2021年3月3日
(54)【発明の名称】冷蔵室用の筐体
(51)【国際特許分類】
F25D 21/10 20060101AFI20210222BHJP
F25D 23/02 20060101ALI20210222BHJP
F25D 23/08 20060101ALI20210222BHJP
F25D 21/04 20060101ALI20210222BHJP
F25D 21/08 20060101ALI20210222BHJP
【FI】
F25D21/10 A
F25D23/02 301A
F25D23/02 301F
F25D23/02 303Q
F25D23/08 Z
F25D21/04 E
F25D21/04 L
F25D21/04 N
F25D21/08 G
【請求項の数】6
【外国語出願】
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2019-66678(P2019-66678)
(22)【出願日】2019年3月29日
(65)【公開番号】特開2019-215150(P2019-215150A)
(43)【公開日】2019年12月19日
【審査請求日】2019年7月11日
(31)【優先権主張番号】201830440
(32)【優先日】2018年5月4日
(33)【優先権主張国】ES
(73)【特許権者】
【識別番号】519114616
【氏名又は名称】アミゼルー,エス.エル.
【氏名又は名称原語表記】AMISERRU,S.L.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ミゲル エンジェル イグレシアス バリェステール
【審査官】
飯星 潤耶
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第06470949(US,B1)
【文献】
特開2004−100241(JP,A)
【文献】
米国特許第05203175(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0192187(US,A1)
【文献】
米国特許第06155060(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 13/00−13/06
F25D 21/04−21/12
F25D 23/02,23/08
E06B 9/11− 9/174
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷蔵室へのアクセス開口部(3)を閉じるのに好適な冷蔵室用の筐体であって、摺動冷蔵ドア(1)及び急開ドア(2)であって、前記摺動冷蔵ドア(1)及び前記急開ドア(2)の両方は前記冷蔵室への前記アクセス開口部(3)の一方の同じ側で組み立てられ、前記急開ドア(2)は垂直支柱(4)が設けられたフレームと、前記垂直支柱(4)のガイド(41)に沿って移動可能である前記冷蔵室の低温に曝される少なくとも1つの軟質シート(21,22)とを備える、前記摺動冷蔵ドア(1)及び急開ドア(2)と、前記軟質シート(21,22)を巻く及び開くために保護用カバー(51)が設けられた電動ドラム(5)とを備え、前記急開ドア(2)の前記フレームの前記垂直支柱(4)は、
−外側面上に、対応する前記垂直支柱(4)内に空気を導入するファン(6)が結合される少なくとも1つの口(42)と、
−前記垂直支柱の内側に、前記ファン(6)によって供給される前記空気を前記垂直支柱(4)の下側エリアに指向する偏向板(61)と、及び前記偏向板(61)の下に、前記供給された空気を加熱するための電気抵抗器(7)と、
−内側面上に、前記冷蔵室の前記低温に曝される前記軟質シート(21)の表面、内側、または外側の1つに、熱風を供給するための及び霜を前記軟質シート(21)から除去するための、熱風出口(43)と、を備えることを特徴とする、筐体。
【請求項2】
前記急開ドア(2)の前記フレームの前記垂直支柱(4)のそれぞれは、異なる高さに配列されるファン(6)、偏向板(61)、抵抗器(7)、及び熱風出口(43)のいくつかのグループを含むことを特徴とする、請求項1に記載の筐体。
【請求項3】
前記急開ドア(2)及び前記電動ドラム(5)は、前記冷蔵室の側面開口部の付近で前記アクセス開口部(3)に取り付けられ、前記電動ドラム(5)の前記保護用カバー(51)の内側に、霜が前記下側エリア内で形成されることを防止する電気抵抗器(8)を組み込んでいることを特徴とする、請求項1または2のいずれか1項に記載の筐体。
【請求項4】
前記急開ドア(2)は、同時に起こる巻き付けに並行する2つの軟質シート(21,22)を備え、前記垂直支柱(4)の前記熱風出口(43)は、前記軟質シート(21,22)の前記ガイド(41)の間に含まれるように画定されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の筐体。
【請求項5】
前記急開ドア(2)は、単一の閉鎖軟質シート(21)を有し、前記熱風出口(43)は、便利に、前記冷蔵室に向かって配向する前記軟質シート(21)の外側表面上に前記熱風を供給するように配列されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の筐体。
【請求項6】
冷蔵室へのアクセス開口部(3)を閉じるのに好適な冷蔵室用の筐体であって、摺動冷蔵ドア(1)及び急開ドア(2)であって、前記摺動冷蔵ドア(1)及び前記急開ドア(2)の両方は前記冷蔵室への前記アクセス開口部(3)の一方の同じ側で組み立てられ、前記急開ドア(2)は垂直支柱(4)が設けられたフレームと、前記垂直支柱(4)のガイド(41)に沿って移動可能である前記冷蔵室の低温に曝される少なくとも1つの軟質シート(21,22)とを備える、前記摺動冷蔵ドア(1)及び急開ドア(2)と、前記軟質シート(21,22)を巻く及び開くために保護用カバー(51)が設けられた電動ドラム(5)とを備え、前記急開ドア(2)は、前記急開ドア(2)の上部における前記冷蔵室の内側に向かって配向する側に加熱デバイス(9)を備え、前記加熱デバイス(9)は、前記加熱デバイス(9)の前記内側に、下側エリアに向かって可変速度で空気を吹き込むファン(6)と、前記ファン(6)によって発射する前記空気を加熱する電気抵抗器(7)とを有し、前記加熱デバイス(9)は、下側エリア内に、前記冷蔵室の前記低温に曝される前記急開ドアの前記軟質シート(22)に向かって熱風を発射するスリット(91)を有し、霜が前記軟質シート(22)上に形成されることを防止することを特徴とする、筐体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の目的は、冷蔵室へのアクセス開口部を閉じるのに好適な冷蔵室用の筐体であり、摺動冷蔵ドア及び急開ドアを備え、当該急開ドアは、垂直支柱が設けられたフレームを有し、垂直支柱のガイドに沿って移動可能である冷蔵室の低温に曝される少なくとも1つの軟質シートと、当該軟質シートを巻く及び開くために保護用カバーが設けられた電動ドラムとを備える。
【0002】
冷蔵室用の筐体は、霜が冷蔵室の低温に曝される回転ドアの軟質シート上に形成されることを防止すること、最終的に、さらに、氷または霜が保護用カバーの内側に位置する軟質シートの巻き付けエリア内で形成することを防止することが意図される構造的特殊性を有する。
【0003】
本発明は、冷蔵室の分野に適用可能である。
【背景技術】
【0004】
同じ出願者の文書である特許文献1には、摺動冷蔵ドアと、それと平行に位置し、室の内側に向かう方向に、外側冷蔵ドアが開いているままの状態である間に、熱損失を最小にすることが意図される急開ドアとを備える、冷蔵室用の閉鎖システムが説明されている。
【0005】
当該先行技術では、冷蔵ドアまたは断熱ドア、及び急開ドアの両方は、冷蔵室へのアクセス開口部の外側部に位置付けられ、その状態では、急開ドアの軟質シートは、冷蔵室の内側から低温に曝されたままの状態であるが、当該軟質シートを巻く及び開くことに関連する電動ドラムは、室へのアクセス開口部の外側部に配列される。
【0006】
この種類のドアのさらなる欠点は、冷蔵室の内側から低温に曝されたままの状態である急開ドアの軟質シート上における霜の形成である。これは、この霜が、かなり及び不規則に、軟質シートの厚さを増加させ、軟質シートが電動ドラム上で巻かれるとき、ドアの開口動作中に、電動ドラムの保護用カバーに接して突き当たる可能性がある非常に厚い巻物を形成することが原因で発生する。
【0007】
2つの平行な軟質シート(それらの間に断熱室が作られている)を有する急開ドアの場合、霜の厚さは、軟質シート(具体的には、冷蔵室の低温に曝される軟質シート)の1つの上だけに生じ、協調的に2つの軟質シートの移動を行わせることなく、これにより、急開ドアの動作エラーを生じさせる可能性がある。
【0008】
軟質シートを伴う急開ドアのいくつかの先行技術が存在し、当該先行技術は、両方の軟質シートの間に含まれる空間内に空気を発射するための手段を組み込んでいることが事実であるが、提案された解決策は、特に、前述されたものと同様に、冷蔵室用の筐体の場合に効果的ではない。これは、主に、高温の空気が開口部の上側エリアに向かって移動し、霜が冷蔵室の内側に存在する低温と接触する軟質シートの下部に形成することを防止しないという事実に起因して、発射された空気が、均一方式で軟質シートの全表面に到達しないためである。
【0009】
出願者は、説明された問題を満足するように解決し、本発明のものに類似する特徴を有する先行技術の存在に関知しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】スペイン国発明特許第2166246号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的の冷蔵室用の筐体は、主請求項の序文に想定されるように、冷蔵室へのアクセス開口部を閉じるのに好適であり、摺動冷蔵ドア及び急開ドアを備え、当該急開ドアは、垂直支柱が設けられたフレームと、垂直支柱のガイドに沿って移動可能である室の低温に曝される少なくとも1つの軟質シートと、当該軟質シートを巻く及び開くために保護用カバーが設けられた電動ドラムとを備え、当該筐体は、前述に説明された問題を満足するように解決すること、具体的には、霜が、室の低温に曝される急開ドアの軟質シート上に形成することを防止することが意図される特徴を有する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
それを行うために及び本発明に従って、急開ドアのフレームの垂直支柱は、外側面上に、対応する垂直支柱に空気を導入するために、ファンが結合される少なくとも1つの口と、垂直支柱の内側に、垂直支柱の下側エリアにファンによって供給される空気を指向する偏向板と、当該偏向板の下に、供給された空気を加熱するための電気抵抗器と、内側面上に、室の低温に曝される軟質シートの内側または外側の表面の1つに、熱風を供給するための及び当該軟質シートからの霜の除去のための出口とを備える。
【0013】
言及された反射板の急開ドアの非常に垂直な支柱の内側、及び反射板の下にある供給された空気を加熱することに関連する電気抵抗器の配列(それらの組み立てを簡略化することに加えて、熱風が、低温に曝される急開ドアの軟質シートの内側表面または外側表面に沿って高くなる急開ドアの下側エリアに向かうことを確実にする)は、霜が軟質シートの表面の任意の点に形成されないことを確実にする。
【0014】
この目的を確実にするために、ドアの高さに応じて、急開ドアのフレームの垂直支柱のそれぞれが、異なる高さに配列されるファン、反射体、抵抗器、及び熱風出口のいくつかのグループを組み込み、熱風が軟質シートの上側エリア、中間エリア、及び下側エリアに到達することを確実にすることが予測されている。
【0015】
本発明の一実施形態では、急開ドアは、電動ドラムの保護用カバーの内側に、氷または霜が当該エリア内で形成することを防止する電気抵抗器を組み込んでいる。
【0016】
冷蔵室の低温に曝される急開ドアの軟質シート片側または別側に熱風出口を配列することができることと、当該急開ドアは、単一の軟質シート、または相互に平行に配列され、及び電動ドラム内で同時に巻かれる、もしくは開かれる2つの軟質シートを有し得ることとに言及する価値がある。
【0017】
本発明の代替の実施形態では、霜が、室の内側に向かって配向する急開ドアの軟質シート上に形成されることを防止するための手段は、上部に配列され、フレームの垂直支柱内には存在しない。
【0018】
本発明の特徴は、下記に説明される添付図に示される例示的実施形態を考慮して、より容易に理解可能であろう。
【0019】
本明細書に提供される説明を補完するものとして、及び本発明の特徴をより容易に理解可能にすることを促進する目的のために、本発明の明細書には、例証としてのみで、限定されない、以下のことを表す一式の図面が添付される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、本発明による、冷蔵室用の筐体の例示的実施形態の概略外形図を示し、冷蔵ドア及び急開ドア(この場合、同じ2つの軟質シートを伴う)が、室に対するアクセス開口部の外側に組み立てられ、垂直面に沿った急開ドア及び室の一部の断面であることが示される。
【
図2】
図2は、冷蔵室の内側に向かって配向する急開ドアの軟質シートに熱風を供給するための手段の可視化を可能にするために、冷蔵室の内側から見られる及び断面の一部の
図1の筐体の正面図を示す。
【
図3】
図3は、変形実施形態の
図1と同様の図を示し、急開ドアが単一の軟質シートを有し、熱風出口において、軟質シートの外側表面上(すなわち、室の外側に向かって配向する表面上を意味する)に空気を発射することが示される。
【
図4】
図4は、本発明の代替の実施形態を示し、空気を加熱するためのファン及び抵抗器が、アクセス開口部の上部に位置付けられるデバイス内に収容され、及びフレームの垂直支柱内に存在せず、熱風を上部から下側エリアに向かって発射することが示される。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1に示される例示的実施形態では、筐体は、急開ドア(2)に接して組み立てられた摺動冷蔵ドア(1)を備え、それらは、順に、冷蔵室に対するアクセス開口部(3)の外側に設置される。
【0022】
急開ドア(2)は、保護用カバー(51)が設けられた電動ドラム(5)内で同時に巻かれる、または開かれる軟質シート(21,22)の移動のための垂直ガイド(41)を有する垂直支柱(4)が設けられたフレームを備える。
【0023】
図2に示されるように、垂直支柱(4)は、その外側面に、口(42)を有し、口(42)では、当該垂直支柱(4)の内側に向かって空気を吹き込むファン(6)が組み立てられている。
【0024】
垂直支柱(4)の内側に、空気の加熱を行う電気抵抗器(7)上で空気の循環を生じさせる、下層空気に向けて空気を指向する偏向板(61)がある。
【0025】
当該垂直支柱(4)は、アクセス開口部(3)を区切る内側面上で、この場合、急開ドア(2)の2つの軟質シート(21,22)の間に含まれる空間に向けられる熱風を供給するために、異なる高さに配列される出口(43)を有し、霜が、室の低温に曝される軟質シート(22)上に形成されることを防止する。
【0026】
図3に示される変形実施形態では、急開ドアは、単一の閉鎖軟質シート(21)を有し、出口(43)は、便利に、冷蔵室の外側に向かって配向する軟質シート(21)の外側表面上に熱風を供給するように配列される。
【0027】
図4に示される変形実施形態では、急開ドアは、その上部における冷蔵室の内側に向かって配向する側に加熱デバイス(9)(加熱デバイス(9)の内側に、下側エリアに向かって可変速度で空気を吹き込むファン(6)と、ファン(6)によって発射する空気を加熱する電気抵抗器(7)とを有する)を備え、当該加熱デバイス(9)は、下側エリア内に、室の低温に曝される急開ドアの軟質シート(22)に向かって熱風を発射するスリット(91)を有し、霜が軟質シート(22)上に形成されることを防止する。
【0028】
示される実施形態では、電動ドラム(5)は、冷蔵室の内側に対応するアクセス開口部の側に組み立てられ、筐体の組み立てを容易にする。これらの実施形態では、筐体は、保護用カバー(51)に区切られる空間の内側に、氷または霜が当該エリア内で形成されことを防止する電気抵抗器(8)を備える。
【0029】
本発明の本質を十分に説明してきたが、好ましい例示的実施形態に加えて、これによって、下記に主張する本発明の本質的特徴を改正することを意味しないという条件下で、説明される要素の材料、形状、サイズ、及びレイアウトを修正し得ることに関連する目的のために述べられる。