(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記起歪領域とは異なる領域に設けられ、前記一対の第1方向ひずみ受感素子及び前記一対の第2方向ひずみ受感素子と同一材料で形成され、且つ前記一対の第1方向ひずみ受感素子又は前記一対の第2方向ひずみ受感素子と共にホイートストンブリッジ回路を構成する一対の固定抵抗素子を更に備える請求項2に記載の起歪体。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態>
本発明のひずみゲージ及び多軸力センサの実施形態について、ひずみゲージ20と、これを適用する3軸力センサ100を例として、
図1〜
図4を参照して説明する。
【0016】
図1に、ひずみゲージ20が3軸力センサ100の起歪体11(
図3(a)、
図3(b)参照)に取り付けられる前の状態を示す。ひずみゲージ20は、
図1に示す通り、矩形の基材21と、基材21の表面上にプリントされた回路パターンCPを含む。基材21は、受感領域21s及びこれを挟む不感領域21n1、21n2を有し、回路パターンCPは、6つのひずみ受感素子X
1、X
2、Y
1、Y
2、Z
1、Z
2と、4つの固定抵抗素子RX
1、RX
2、RY
1、RY
2と、8つの端子T
1〜T
8と、これらを接続する配線Wとを含む。なお、以下の説明では、ひずみゲージ20及びこれを含む3軸力センサ100において、不感領域21n1、21n2が受感領域21sを挟む方向をy方向(第2方向)とし、基材21の表面上においてy方向に直交する方向をx方向(第1方向)とする。また、x方向及びy方向に直交する軸の方向をz方向(第3方向)とする。
【0017】
ここで、
図3(a)及び
図3(b)に示す3軸力センサ100において、起歪板11は、3軸力センサ100に荷重作用部12を介して加えられる外部からの荷重を受けてひずむ円板状である。起歪板11におけるひずみは、起歪板11の表面及び裏面(z方向に直交する上下面)において生じ、起歪板11の側面(z方向と平行な周面)においては生じないか無視できるほど小さい。本明細書においては、本実施形態における起歪板11の表面及び裏面のように、起歪板11のうち外部荷重を受けてひずむ領域を「起歪領域」と呼ぶこととする。起歪板11の径及び厚さは任意である。
【0018】
荷重作用部12は、起歪板11の表面の中央から、起歪板11の回転軸Aの方向(z方向)に直立する。荷重作用部12は、外部からの荷重を受けて移動し、起歪板11にひずみを生じさせる部分であり、例えば断面形状が正方形の角柱である。荷重作用部12は、角柱の中心軸が起歪板11の回転軸Aと一致するよう、即ち起歪板11と同軸状に、起歪板11の表面に設けられている。起歪板11及び荷重作用部12は、例えば合成樹脂素材により一体成形されている。
【0019】
図1に戻って、基材21は、可撓性を有する例えば樹脂フィルムであり、中央の円形状の受感領域21sと、受感領域21sを挟む一対の不感領域21n1、21n2とを有する。樹脂フィルムとしては、ポリエステル、ポリイミド等を使用することができる。また、受感領域21s、不感領域21n1、21n2をそれぞれ異なる材料より形成することも可能であるが、これらを同一の材料により形成して全領域の温度特性(抵抗温度係数等)を等しくすることが望ましい。また、この場合は、一体に形成された材料(例えばポリエステル、ポリイミド等のシート)内の近傍の部位より受感領域21s、不感領域21n1、21n2を一体に切り出して基材21を形成することがより望ましい。これにより各領域の温度特性をより均一にすることができる。
【0020】
受感領域21sは、起歪板11の裏面に貼り付けられる領域であるため、起歪板11の裏面と同等かそれより小さい径を有する。受感領域21sの一面上には、中心cをx方向に挟んでひずみ受感素子(第1方向ひずみ受感素子)X
1、X
2が、y方向に挟んでひずみ受感素子(第2方向ひずみ受感素子)Y
1、Y
2が形成されており、外周に沿ってひずみ受感素子(第3方向ひずみ受感素子)Z
1、Z
2が形成されている。
【0021】
ひずみ受感素子X
1、X
2は、それぞれy方向をグリッドの幅方向として、互いに平行に形成されている。ひずみ受感素子X
1とひずみ受感素子X
2とは、それぞれ中心cから等距離の位置に形成されており、ひずみ受感素子X
1とひずみ受感素子X
2との間のx方向の距離は、荷重作用部12のx方向の幅よりも大きい。
【0022】
ひずみ受感素子Y
1、Y
2は、それぞれx方向をグリッドの幅方向として、互いに平行に形成されている。ひずみ受感素子Y
1とひずみ受感素子Y
2とは、それぞれ中心cから等距離の位置に形成されており、ひずみ受感素子Y
1とひずみ受感素子Y
2との間のy方向の距離は、荷重作用部12のy方向の幅よりも大きい。
【0023】
ひずみ受感素子Z
1、Z
2は、それぞれ円弧状であり、受感領域21sの周方向をグリッドの幅方向として、x方向に対向して形成されている。ひずみ受感素子Z
1、Z
2は、ひずみ受感素子X
1、X
2、Y
1、Y
2の中心cとは反対側(外側)に配置されている。
【0024】
一対の不感領域21n1、21n2は、y方向に受感領域21sを挟む形状である。
【0025】
不感領域21n1の表面上における受感領域21sから遠い部分には、それぞれx方向に延びる固定抵抗素子(第1方向固定抵抗素子)RX
1、RX
2が、x方向に並んで形成されており、受感領域21sに近い部分には、x方向に並ぶ4つの端子T
1、T
2、T
3、T
4が形成されている。すなわち、不感領域21n1においては、固定抵抗素子RX
1、RX
2が端子T
1〜T
4の、受感領域21sとは反対側に配置されている。
【0026】
同様に、不感領域21n2の表面上における受感領域21sから遠い部分には、それぞれx方向に延びる固定抵抗素子(第2方向固定抵抗素子)RY
1、RY
2が、x方向に並んで形成されており、受感領域21sに近い部分には、x方向に並ぶ4つの端子T
5、T
6、T
7、T
8が形成されている。すなわち、不感領域21n2においては、固定抵抗素子RY
1、RY
2が端子T
5〜T
8の、受感領域21sとは反対側に配置されている。
【0027】
図1及び
図2に示す通り、配線Wは、ひずみ受感素子X
1、X
2、固定抵抗素子RX
1、RX
2を接続して第1ブリッジ回路(第1ホイートストンブリッジ回路)BC1を構成している。また、ひずみ受感素子X
1と固定抵抗素子RX
1との間に端子T
1が、ひずみ受感素子X
1、X
2の間に端子T
2が、固定抵抗素子RX
1、RX
2の間に端子T
3が、ひずみ受感素子X
2と固定抵抗素子RX
2との間に端子T
4が接続されている。
【0028】
同様に、配線Wは、ひずみ受感素子Y
1、Y
2、固定抵抗素子RY
1、RY
2を接続して第2ブリッジ回路(第2ホイートストンブリッジ回路)BC2を構成している。ひずみ受感素子Y
1と固定抵抗素子RY
1の間に端子T
8が、ひずみ受感素子Y
1、Y
2の間に端子T
6が、固定抵抗素子RY
1、RY
2の間に端子T
7が、ひずみ受感素子Y
2と固定抵抗素子RY
2の間に端子T
5が接続されている。
【0029】
ひずみ受感素子Z
1の一端はひずみ受感素子X
1と固定抵抗素子RX
1との間において第1ブリッジ回路BC1に接続されており、他端はひずみ受感素子Y
1と固定抵抗素子RY
1との間において第2ブリッジ回路BC2に接続されている。同様に、ひずみ受感素子Z
2の一端はひずみ受感素子X
2と固定抵抗素子RX
2との間において第1ブリッジ回路BC1に接続されており、他端はひずみ受感素子Y
2と固定抵抗素子RY
2との間において第2ブリッジ回路BC2に接続されている。これにより、一対の対辺部に第1ブリッジ回路BC1と第2ブリッジ回路BC2をそれぞれ有し、他の一対の対辺部にひずみ受感素子Z
1、Z
2をそれぞれ有する第3ブリッジ回路(第3ホイートストンブリッジ回路)BC3を構成している。
【0030】
回路パターンCPに含まれるひずみ受感素子X
1、X
2、Y
1、Y
2、Z
1、Z
2、固定抵抗素子RX
1、RX
2、RY
1、RY
2、配線Wは互いに同じ材料により、さらに好ましくは一つの材料内の近傍の部位により形成されている。この材料は、一例として銅、銅/ニッケルなどの銅合金等である。回路パターンCPの基材21上へのプリントは、フォトエッチング、印刷、蒸着、スパッタリング等により行うことができる。
【0031】
ひずみゲージ20は、基材21の、回路パターンCPが形成された面とは反対側の面が起歪板11に接するように、起歪板11に貼り付けられている。
【0032】
具体的には、基材21の受感領域21sは、中心cが起歪板11の回転軸Aに一致するように、起歪板11の裏面に貼り付けられている。なお、上記の通りひずみ受感素子X
1、X
2の間のx方向の距離は荷重作用部12のx方向の寸法より大きく、ひずみ受感素子Y
1、Y
2間のy方向の距離は荷重作用部12のy方向の寸法より大きい。したがって、基材21の受感部21sを起歪板11に貼り付けた状態においては、ひずみ受感素子X
1、X
2及びひずみ受感素子Y
1、Y
2は、それぞれ、x方向及びy方向において荷重作用部12の外側の、ひずみが比較的大きく生じる領域に配置される。なお、
図1及び
図4においては、起歪板11に基材21を貼り付けた状態における荷重作用部12の輪郭を点線で示し、荷重作用部12とひずみ受感素子X
1、X
2、Y
1、Y
2との位置関係を示している。
【0033】
3軸力センサ100に貼り付けられた基材21において、不感領域21n1に形成された端子T
1、T
2、T
3、T
4、不感領域21n2に形成された端子T
5、T
6、T
7、T
8は、起歪板11の径方向外側(即ち、起歪領域の外側)に露出している。
【0034】
次に、本実施形態のひずみゲージ20及び3軸力センサ100の使用方法と動作について説明する。
【0035】
3軸力センサ100を例えばロボットハンドの触覚センサとして用いる場合には、まず、3軸力センサ100を、ロボットハンドの指先に固定する。次いで、端子T
1〜T
8と信号処理部(不図示)とを、それぞれ、リード線L
1〜L
8(
図2)を用いて接続する。端子T
1〜T
8とリード線L
1〜L
8の接合は任意の方法で行うことができ、例えばはんだや異方性導電フィルム(ACF)を用いて行うことができる。
【0036】
端子T
1、T
5は、それぞれ、リード線L
1、L
5により、信号処理部の電源(不図示)に接続される。端子T
2、T
3、端子T
6、T
7、端子T
4、T
8は、それぞれ、リード線L
2、L
3、リード線L
6、L
7、リード線L
4、L
8により、信号処理部内のアンプ(不図示)を介して、信号処理部内の演算部(不図示)に接続される。
【0037】
3軸力センサ100の動作時には、電源により端子T
1と端子T
5との間に入力電圧Eiをかける。第1ブリッジ回路BC1、第2ブリッジ回路BC2、第3ブリッジ回路BC3を構成する各ひずみ受感素子の抵抗値及び各固定抵抗素子の抵抗値は、基材21の受感領域21sにたわみがない状態において、端子T
2、T
3間で電圧が等しくなり、端子T
6、T
7間で電圧が等しくなり、端子T
4、T
8間で電圧が等しくなるように調整されている。したがって、起歪板11にひずみが生じておらず、受感領域21sにたわみがない状態(
図3(a))においては、端子T
2、T
3間、端子T
6、T
7間、端子T
4、T
8間に電位差はなく、演算部はひずみを算出しない。
【0038】
次に、荷重作用部12にx方向の荷重が付加されると、荷重作用部12が荷重を受けて移動し、起歪板11にひずみを生じさせる(
図3(b))。この時、起歪板11に貼り付けられたひずみゲージ20の基材21の受感領域21sも、起歪板11と一体にたわみ、ひずみ受感素子X
1には圧縮ひずみが、ひずみ受感素子X
2には伸びひずみが生じる。これにより、ひずみ受感素子X
1、X
2の抵抗値がそれぞれ変化し、ひずみ受感素子X
1、X
2を含む第1ブリッジ回路BC1の端子T
2、T
3間に電位差が生じる。演算部はこの電位差に基づいて、起歪板11に生じたひずみの量を求め、荷重作用部12に作用したx方向の荷重の大きさを求める。なおこの時、起歪領域の外側、すなわち不感領域21n1及び21n2にはひずみは生じておらず、固定抵抗素子RX
1、RX
2の抵抗値は一定である。荷重作用部12にy方向の荷重が付加された場合も、同様にして作用したy方向の荷重の大きさを求める。
【0039】
荷重作用部12にZ方向の荷重が付加された場合には、起歪板11及び基材21の受感領域21sは中心が突出するように湾曲するため、ひずみ受感素子X
1、X
2、Y
1、Y
2、Z
1、Z
2の全てにおいて延びひずみが生じる。これにより、第1ブリッジ回路BC1の合成抵抗、第2ブリッジ回路BC2の合成抵抗、ひずみ受感素子Z
1、Z
2の抵抗値がそれぞれ変化し、第3ブリッジ回路BC3の端子T
4、T
8間に電位差が生じる。演算部はこの電位差に基づいて、起歪板11に生じたひずみの量を求め、荷重作用部12に作用したZ方向の荷重の大きさを求める。
【0040】
ここで、第1ブリッジ回路BC1の固定抵抗素子RX
1、RX
2、第2ブリッジ回路BC2の固定抵抗素子RY
1、RY
2を基材21上にプリントし、ひずみ受感素子X
1、X
2、Y
1、Y
2と同一の材料により形成する意義について説明する。
【0041】
(1)固定抵抗素子RX
1、RX
2、RY
1、RY
2をこのように形成することにより、固定抵抗素子RX
1、RX
2、RY
1、RY
2が、ひずみ受感素子X
1、X
2、Y
1、Y
2、Z
1、Z
2と同一の材料で、且つこれらに近接した位置に形成されることになる。ここで、温度変化に対する抵抗値の変化の割合を示す抵抗温度係数は、材料に依存する物性値であるため、本実施形態では全ひずみ受感素子と全固定抵抗素子の抵抗温度係数は等しい。また、固定抵抗素子RX
1、RX
2、RY
1、RY
2が基材21上に形成されており、ひずみ受感素子X
1、X
2、Y
1、Y
2、Z
1、Z
2の近傍に形成されているため、全ひずみ受感素子と全固定抵抗素子に影響する周囲温度の変化は実質的に同一となる。したがって、周囲温度に変化が生じた場合には、全ひずみ受感素子の抵抗値と全固定抵抗素子の抵抗値は同一の割合で変化する。
【0042】
第1ブリッジ回路BC1、第2ブリッジ回路BC2、第3ブリッジ回路BC3においては、それぞれに含まれる抵抗素子(ひずみ受感素子及び固定抵抗素子)の間で抵抗値のバランスが変化した場合に、端子T
2、T
3間、端子T
6、T
7間、端子T
4、T
8間に電位差が生じ、これに基づきひずみが検出される。したがって周囲温度の変化によりひずみ受感素子の抵抗値及び固定抵抗素子の抵抗値の間のバランスが変化した場合には、このバランスの変化により計測誤差が生じ得る。しかしながら、本実施形態においては、周囲温度に変化が生じた場合には、全ひずみ受感素子の抵抗値と全固定抵抗素子の抵抗値が同一の割合で変化するため、周囲の温度が変化した場合でも各素子間の抵抗値のバランスは変化せず、計測誤差の発生が抑制される。なお、回路パターンCPの形成時に、一体の塊りとして準備された材料(銅、銅合金等)の近傍の部位を用いてひずみ受感素子等を形成することで、ひずみ受感素子X
1、X
2、Y
1、Y
2、Z
1、Z
2、固定抵抗素子RX
1、RX
2、RY
1、RY
2、配線Wの抵抗温度係数をより均一とでき、計測誤差の発生をより良好に抑制することができる。
【0043】
(2)本実施形態のように、第1ブリッジ回路BC1の固定抵抗素子RX
1、RX
2、第2ブリッジ回路BC2の固定抵抗素子RY
1、RY
2を、基材21の不感領域21n1、21n2に形成し、以てひずみが生じない部分(起歪領域の外側)において、固定抵抗素子RX
1、RX
2、RY
1、RY
2を温度補償用のダミーゲージとして作用させることができる。したがって、周囲温度の変化により起歪板11を含む3軸力センサ100の本体部に膨張や収縮が生じた場合にも、この膨張や収縮によるひずみ受感素子X
1、X
2、Y
1、Y
2の抵抗値の変化を補償して、計測誤差の発生を抑制することができる。
【0044】
(3)固定抵抗素子RX
1、RX
2、RY
1、RY
2を基材21上にプリントして形成することにより、第1ブリッジ回路BC1、第2ブリッジ回路BC2、第3ブリッジ回路BC3を、それぞれ、基材21上で完結した閉回路として形成することができる。
【0045】
ブリッジ回路を構成するひずみ受感素子を基材上にプリントし、ブリッジ回路を構成する固定抵抗素子を基材の外部、例えば信号処理部に設ける場合には、ブリッジ回路を閉回路とするために、基材上のひずみ受感素子と信号処理部の固定抵抗素子とをリード線等により接続する必要がある。この場合、基材上の配線とリード線との接続は、基材上に設けられた電極にリード線を接合して行うが、電極とリード線との接合部に接合抵抗が生じるとこれがブリッジ回路内の抵抗となり大きなひずみ検出誤差の原因となるため、接合方法は、接合抵抗が実質的に無視できるほど小さいはんだ接合に限られている。
【0046】
しかしながら、はんだ接合を良好に行うためには、基材上に比較的大きな電極を設け、且つ複数の電極間のピッチを確保する必要があるため、基材が大きくなってしまう。また、はんだ接合を良好に行うためにはある程度の厚みを有してはんだを盛る必要があるため、3軸力センサの小型化の妨げにもなる。
【0047】
これに対し、本実施形態では、第1ブリッジ回路BC1、第2ブリッジ回路BC2、第3ブリッジ回路BC3が、それぞれ、基材21上で完結した閉回路として形成されており、端子T
1〜T
8を介した基材21と信号処理部との接続は、第1ブリッジ回路BC1、第2ブリッジ回路BC2、第3ブリッジ回路BC3を電源や演算部に接続するための接合にすぎない。したがって、本実施形態においては、端子T
1〜T
8とリード線L
1〜L
8との接合部において接合抵抗の発生が許容され、はんだ接合以外の任意の接合方法、例えば異方性導電フィルムを用いた接合を採用することができる。なお、異方性導電フィルムを用いることにより、電極の大きさ、電極間のピッチ、接合部の厚さをいずれもはんだ接合の場合の10分の1程度に抑えることができるため、3軸力センサ100の小型化を望む場合には異方性導電フィルムによる接合が有利である。
【0048】
本実施形態のひずみゲージ20及び3軸力センサ100の効果は以下の通りである。
【0049】
本実施形態のひずみゲージ20は、第1ブリッジ回路BC1の固定抵抗素子RX
1、RX
2、第2ブリッジ回路BC2の固定抵抗素子RY
1、RY
2を基材21上に形成しているため、上記(2)、(3)の効果を奏することができ、更に固定抵抗素子RX
1、RX
2、RY
1、RY
2をひずみ受感素子X
1、X
2、Y
1、Y
2と同一の材料により形成しているため上記(1)の効果を奏することができる。
【0050】
本実施形態のひずみゲージ20においては、受感領域21sには、ひずみ受感素子X
1、X
2、Y
1、Y
2、Z
1、Z
2のみが形成されており、端子T
1〜T
8及び固定抵抗素子RX
1、RX
2、RY
1、RY
2は不感領域21n1、21n2に形成されている。したがって、受感領域21sの径(寸法)を小さくすることができ、ひいては3軸力センサ100の起歪板11を小さくすることができる。起歪板11の小型化は3軸力センサ100の小型化につながり好ましい。
【0051】
本実施形態のひずみゲージ20においては、電極T
1〜T
8が不感領域21n1、21n2に設けられているため、必要に応じて、受感領域21sの径を大きくすることなく、電極T
1〜T
8の寸法を大きくし、リード線等との接合作業を容易とすることができる。
【0052】
本実施形態の3軸力センサ100は、ひずみゲージ20を備えるため、ひずみゲージ20の効果と同様の効果を奏することができる。
【0053】
上記実施形態において、次の変形態様を採用することもできる。
【0054】
ひずみゲージ20において、ひずみ受感素子Z
1、Z
2は、不感領域21n1及び/又は不感領域21n2に形成されていてもよい。この場合、不感領域21n1、21n2にはたわみが生じないため、ひずみ受感素子Z
1、Z
2は実質的に固定抵抗素子(第3方向固定抵抗素子)として作用する。
【0055】
ひずみ受感素子Z
1、Z
2が固定抵抗素子として作用する場合も、第1ブリッジ回路BC1を用いたx方向荷重の検出、第2ブリッジ回路BC2を用いたy方向荷重の検出は、上記実施形態と同様に行うことができる。また、Z方向荷重の検出も行うことができる。荷重作用部12にZ方向荷重が作用してひずみ検出素子X
1、X
2、Y
1、Y
2に抵抗値の変化が生じると、第1ブリッジ回路BC1の合成抵抗、第2ブリッジ回路BC2の合成抵抗がそれぞれ変化し、ひずみ受感素子Z
1、Z
2の抵抗値が一定であっても、第3ブリッジ回路BC3の素子間の抵抗値のバランスが変化するためである。
【0056】
ひずみゲージ20は、ひずみ受感素子Z
1、Z
2を有さなくても良い。この場合は例えば、第1ブリッジ回路BC1、第2ブリッジ回路BC2は、ひずみ受感素子Z
1、Z
2に代えて、2本の円弧状の配線Wで接続される。
【0057】
ひずみ受感素子Z
1、Z
2が存在しない場合も、第1ブリッジ回路BC1を用いたx方向荷重の検出、第2ブリッジ回路BC2を用いたy方向荷重の検出は、上記実施形態と同様に行うことができる。このような変形態様のひずみゲージ20は、2軸力センサにおいて用いることができる。または、このような変形態様のひずみゲージが有する第1ホイートストンブリッジ及び第2ホイートストンブリッジを、信号処理部に形成された固定抵抗素子で繋いで第3ホイートストンブリッジを構成して、3軸力センサにおいて用いることもできる。
【0058】
ひずみゲージ20において、基材21の不感領域21n1、21n2に形成された固定抵抗素子RX
1、RX
2、RY
1、RY
2は、これらの少なくとも1つを基材21上に残し、他を基材21の外部、例えば信号処理部に設けても良い。このような態様であっても、第1ブリッジ回路BC1を構成する固定抵抗素子RX
1、RX
2及び第2ブリッジ回路BC2を構成する固定抵抗素子RY
1、RY
2の少なくとも1つを基材21上の不感領域21n1及び/又は21n2に設けることにより、ひずみゲージ20及び3軸力センサ100における温度誤差を抑制する効果を奏することができる。
【0059】
受感領域21sのy方向(第2方向)の一方側に設けられた不感領域21n1において、固定抵抗素子RX
1、RX
2と端子T
1〜T
4とをy方向(第2方向)に直交するx方向(第1方向)に沿って一列に配置してもよく、受感領域21sのy方向(第2方向)の他方側に設けられた不感領域21n2において、固定抵抗素子RY
1、RY
2と端子T
5〜T
8とをy方向(第2方向)に直交するx方向(第1方向)に沿って一列に配置してもよい。
【0060】
図4に示す通り、不感領域21n1の受感領域21sに近い部分に固定抵抗素子RX
1、RX
2が、受感領域21sから遠い部分に端子T
1〜T
4が形成されていてもよい。すなわち、不感領域21n1においては、端子T
1〜T
4が固定抵抗素子RX
1、RX
2の受感領域21sとは反対側に設けられていてもよい。不感領域21n2における固定抵抗素子RY
1、RY
2及び端子T
5〜T
8の配置も同様である。このように端子T
1〜T
8を外側に配置することで、端子T
1〜T
8へのリード線等の接合がより容易となる。
【0061】
端子T
1〜T
8のいずれか1つ以上が、受感領域21sに形成されていてもよい。この場合、荷重作用部12の下方に貼り付けられてひずみが生じにくい中心cの近傍に設けることが望ましい。
【0062】
受感領域21sにおいて、ひずみ受感素子Z
1、Z
2は、ひずみ受感素子X
1、X
2、Y
1、Y
2の中心c側(内側)に配置されていてもよい。また、ひずみ受感素子X
1、X
2、Y
1、Y
2はそれぞれ、そのグリッドの幅方向が受感領域21sの周方向となるよう円弧状に形成されていてもよい。このようなひずみゲージ20は、回転軸Aを中心とする円筒状の荷重作用部12が接続された起歪板11に貼り付けて良好に使用することができる。
【0063】
ひずみゲージ20の基材21の形状は任意であり、例えば楕円形状であってもよく、不感領域21n1、21n2のいずれか一方を有するのみでもよい。不感領域21n1、21n2のいずれか一方のみを有する基材21においては、この不感領域に固定抵抗素子RX
1、RX
2、RY
1、RY
2、端子T
1〜T
8のすべてが形成され得る。その他、基材21は、多軸力センサの起歪板に貼り付けられる受感領域と、当該領域の外側に配置される不感領域とを備える任意の形状とすることができる。
【0064】
上記実施形態のひずみゲージ20を、多軸力センサ以外の任意のセンサの起歪部材に用いることもできる。
【0065】
本発明の特徴を維持する限り、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。