(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
内容物を充填するためのポケット部を備えた容器フィルムと、前記ポケット部を塞ぐようにして前記容器フィルムに取着されたカバーフィルムとを備えたブリスターパックを製造するためのブリスター包装機であって、
帯状の前記容器フィルムを搬送しつつ、該容器フィルムに前記ポケット部を形成するポケット部形成手段と、
前記ポケット部に前記内容物を充填する充填手段と、
前記ポケット部に前記内容物が充填された前記容器フィルムに対し、前記ポケット部を塞ぐようにして帯状の前記カバーフィルムを取着するシール手段と、
前記容器フィルムに前記カバーフィルムが取着された帯状包装体から前記ブリスターパックを打抜く打抜手段と、
前記容器フィルムに前記カバーフィルムが取着された帯状包装体であって、前記ブリスターパックを打抜く前の前記帯状包装体の上面に洗浄水を供給する洗浄水供給手段とを備えたことを特徴とするブリスター包装機。
前記逆流規制手段は、前記シール手段と前記洗浄水供給手段との間に設けられ、前記洗浄水供給手段の上流側より前記帯状包装体上の洗浄水に向けエアを噴射するエア噴射手段であることを特徴とする請求項3に記載のブリスター包装機。
内容物を充填するためのポケット部を備えた容器フィルムと、前記ポケット部を塞ぐようにして前記容器フィルムに取着されたカバーフィルムとを備えたブリスターパックを製造するためのブリスターパックの製造方法であって、
帯状の前記容器フィルムを搬送しつつ、該容器フィルムに前記ポケット部を形成するポケット部形成工程と、
前記ポケット部に前記内容物を充填する充填工程と、
前記ポケット部に前記内容物が充填された前記容器フィルムに対し、前記ポケット部を塞ぐようにして帯状の前記カバーフィルムを取着するシール工程と、
前記容器フィルムに前記カバーフィルムが取着された帯状包装体から前記ブリスターパックを打抜く打抜工程と、
前記シール工程の後工程かつ前記打抜手段の前工程において、前記帯状包装体の上面に洗浄水を供給する洗浄水供給工程とを備えたことを特徴とするブリスターパックの製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ポケット部に充填される内容物の容量や種類によっては、充填工程においてポケット部から内容物があふれたり、その後のシール工程までの搬送過程においてポケット部から内容物がこぼれる等して、ポケット部外の容器フィルム一般部にまで内容物が付着してしまう場合がある。
【0007】
このような場合、その後のシール工程において、ポケット部の周縁部に対しカバーフィルムがシールされて製造された帯状包装体は、シールされていない容器フィルム一般部とカバーフィルムとの間の未シール部分に内容物を挟み込んだ状態のまま、次の打抜工程へと搬送されていくこととなる(
図4参照)。
【0008】
上記打抜工程において用いられる打抜装置は、帯状包装体の上方に配置された上型と、帯状包装体の下方に配置された下型とを備え、両型が上下方向に沿って互いに接近する方向又は互いに離間する方向へ相対移動可能に構成されている。
【0009】
一般に、上型には、帯状包装体からブリスターパックを打抜くためのパンチと、これを保持するパンチホルダと、ブリスターパックを打抜く際に帯状包装体を上から押えるためのストリッパとが設けられ、下型には、ブリスターパックを打抜く際にパンチが挿入される挿入孔を有するダイが設けられている。
【0010】
かかる構成の下、打抜装置は、上型(パンチホルダ)を降下させると共に、下型(ダイ)を上昇させ、ストリッパにより帯状包装体をダイに押え付けつつ、パンチをダイの挿入孔内へ押し込んでいくことにより、ブリスターパックを打抜く構成となっている。
【0011】
そのため、打抜工程においてブリスターパックを打抜く際、帯状包装体の未シール部分に挟まれた内容物が打抜装置(パンチやダイなど)に付着してしまうおそれがある。
【0012】
打抜装置に内容物が付着したまま放置すると、付着した内容物の腐敗等に起因した衛生面上の問題が発生することは勿論のこと、内容物の固着や打抜装置の腐食など、打抜装置の故障の原因にもなり得る種々の不具合が発生するおそれがあった。そのため、従来では、打抜装置の清掃作業を頻繁に行う必要があった。
【0013】
本発明は、上記事情等に鑑みてなされたものであり、その目的は、内容物の付着等を抑制することのできるブリスター包装機及びブリスターパックの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
以下、上記課題を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0015】
手段1.内容物を充填するためのポケット部を備えた容器フィルムと、前記ポケット部を塞ぐようにして前記容器フィルムに取着されたカバーフィルムとを備えたブリスターパックを製造するためのブリスター包装機であって、
帯状の前記容器フィルムを搬送しつつ、該容器フィルムに前記ポケット部を形成するポケット部形成手段と、
前記ポケット部に前記内容物を充填する充填手段と、
前記ポケット部に前記内容物が充填された前記容器フィルムに対し、前記ポケット部を塞ぐようにして帯状の前記カバーフィルムを取着するシール手段と、
前記容器フィルムに前記カバーフィルムが取着された帯状包装体(帯状のブリスターフィルム)から前記ブリスターパックを打抜く打抜手段と、
前記容器フィルムに前記カバーフィルムが取着された帯状包装体であって、前記ブリスターパックを打抜く前の前記帯状包装体の上面に洗浄水を供給する洗浄水供給手段とを備えたことを特徴とするブリスター包装機。
【0016】
上記手段1によれば、ブリスターパックを打抜く前の帯状包装体の上面に洗浄水を供給することにより、帯状包装体上に洗浄水を載せた状態でブリスターパックの打抜きを行うことができる。
【0017】
これにより、ブリスターパックの打抜きと同時に、帯状包装体の上面側から流れ落ちる洗浄水によって、帯状包装体の未シール部分に挟まれた内容物や、打抜手段(パンチやダイなど)に付着した内容物を洗い流すことができる。
【0018】
結果として、内容物が打抜手段に付着・固着しにくくなり、内容物の付着等に起因した種々の不具合の発生を抑制することができる。ひいては、打抜手段の清掃作業等の頻度を少なくすることができる。
【0019】
手段2.前記洗浄水供給手段は、前記シール手段と前記打抜手段の間に設けられていることを特徴とする手段1に記載のブリスター包装機。
【0020】
洗浄水供給手段を打抜手段と同一位置に設けることや、打抜手段と一体に設けることは、包装機の構成を複雑化するおそれがある。
【0021】
これに対し、上記手段2によれば、打抜手段の上流側において、洗浄水を帯状包装体上に供給し、該洗浄水を帯状包装体の搬送に伴って打抜手段へ搬送することができる。ひいては、帯状包装体上に洗浄水を載せた状態でブリスターパックの打抜きを行うことができる。結果として、包装機の構成を複雑化することなく、洗浄水供給手段を設けることができる。
【0022】
手段3.前記帯状包装体上の洗浄水が前記シール手段側へ流れるのを規制する逆流規制手段を備えたことを特徴とする手段1又は2に記載のブリスター包装機。
【0023】
通常、打抜工程が行われる際には、ブリスターパックの打抜きに先立って、打抜手段の上型と下型が型閉じされ、帯状包装体が上型と下型(ストリッパとダイ)により把持される。
【0024】
このため、帯状包装体上の洗浄水が上型(ストリッパ)等により押しやられ、上流側のシール手段へ向かうおそれがある。
【0025】
特に上記手段2に係る構成の下、洗浄水を載せた状態で帯状包装体が打抜手段へ搬送される構成となっている場合には、帯状包装体自体が停止しても、その上面に載った洗浄水は慣性により勢いよく打抜手段側(下流側)へ向かうこととなる。そして、型閉じされた上型(ストリッパ)によって、洗浄水の流れが堰き止められると共に、該洗浄水の一部が逆方向(上流側)へ跳ね返り、シール手段へ向かうおそれがある。
【0026】
このように洗浄水がシール手段へ流れてしまうと、シール手段自体や包装体のシール部分が冷却されてしまい、シール不良が生じるおそれがある。
【0027】
これに対し、上記手段3によれば、逆流規制手段を備えることにより、洗浄水がシール手段側へ流れるのを規制することができ、上記不具合の発生を防止することができる。
【0028】
手段4.前記逆流規制手段は、前記シール手段と前記洗浄水供給手段との間に設けられ、前記洗浄水供給手段の上流側より前記帯状包装体上の洗浄水に向けエア(空気等の気体)を噴射するエア噴射手段であることを特徴とする手段3に記載のブリスター包装機。
【0029】
上記手段4によれば、帯状包装体に接触することなく、その上面に載った洗浄水の逆流を規制することができる。これにより、製品品質の低下抑制を図ることができる。
【0030】
手段5.内容物を充填するためのポケット部を備えた容器フィルムと、前記ポケット部を塞ぐようにして前記容器フィルムに取着されたカバーフィルムとを備えたブリスターパックを製造するためのブリスターパックの製造方法であって、
帯状の前記容器フィルムを搬送しつつ、該容器フィルムに前記ポケット部を形成するポケット部形成工程と、
前記ポケット部に前記内容物を充填する充填工程と、
前記ポケット部に前記内容物が充填された前記容器フィルムに対し、前記ポケット部を塞ぐようにして帯状の前記カバーフィルムを取着するシール工程と、
前記容器フィルムに前記カバーフィルムが取着された帯状包装体(帯状のブリスターフィルム)から前記ブリスターパックを打抜く打抜工程と、
前記シール工程の後工程かつ前記打抜手段の前工程において、前記帯状包装体の上面に洗浄水を供給する洗浄水供給工程とを備えたことを特徴とするブリスターパックの製造方法。
【0031】
上記手段5によれば、上記手段1と同様の作用効果が奏される。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。まず製造対象となるブリスターパック1について詳しく説明する。
【0034】
図2(a),(b)に示すように、本実施形態におけるブリスターパック1は、1つのポケット部2を備えた容器フィルム3と、ポケット部2の開口部を塞ぐようにして容器フィルム3に取着されたカバーフィルム4とを有している。
【0035】
ポケット部2には、内容物5が充填されている〔
図2(b)等参照〕。内容物5としては、例えばゼリー、ジャム、ヨーグルト、コーヒー用ミルク、ガムシロップ、バターなどの食料品が挙げられる。勿論、例示した食料品に限らず、他の食料品がポケット部2に充填される構成としてもよい。また、食料品に限らず、医薬品や化粧品などの内容物がポケット部2に充填される構成としてもよい。
【0036】
本実施形態における容器フィルム3は、例えばPVC(ポリ塩化ビニル)等の熱可塑性樹脂材料によって構成されている。また、容器フィルム3には、ポケット部2の開口部周縁から外方へ延出するようにフランジ部3aが形成されている。
【0037】
一方、カバーフィルム4は、アルミ蒸着合成樹脂フィルムに他種の合成樹脂フィルムをラミネートしたフィルムにより形成されており、容器フィルム3(フランジ部3a)に対し剥離可能に取着されている。
【0038】
また、本実施形態のブリスターパック1では、その周縁部のうちの1箇所において、容器フィルム3(フランジ部3a)と、カバーフィルム4とが接着しないように製造されている。これにより、かかる箇所のカバーフィルム4が、ブリスターパック1を開封する際の摘み部4aとなる。
【0039】
ここでブリスターパック1の開封手順について説明する。まず、一方の手で容器フィルム3側を掴むと共に、他方の手でカバーフィルム4の摘み部4aを摘む。続いて、摘み部4aを摘みつつ、容器フィルム3からカバーフィルム4を引き剥がしていく。これにより、ブリスターパック1の開封が完了し、ポケット部2に充填された内容物5を取出すことができる。
【0040】
尚、後述するように、本実施形態のブリスターパック1は、帯状の容器フィルム3と帯状のカバーフィルム4とが取着されてなる帯状包装体としてのブリスターフィルム35〔
図3参照〕から最終製品たるブリスターパック1を打抜く工程等を経て製造される。尚、
図3では、便宜上、ブリスターフィルム35の部分に散点模様を付している。
【0041】
次に、上記ブリスターパック1を製造するためのブリスター包装機10の構成について説明する。
【0042】
図1に示すように、ブリスター包装機10では、ロール状の原反から引き出された帯状の容器フィルム3がチェーンクリップコンベア11等により下流側へ向け間欠搬送されていく。尚、チェーンクリップコンベア11のクリップ部11a(
図3参照)は、容器フィルム3やブリスターフィルム35のフィルム幅方向(Y方向)両端部を把持するように構成されている。
【0043】
容器フィルム3原反の下流側には、まず加熱装置12及びポケット部形成装置13が設けられている。加熱装置12及びポケット部形成装置13によって、本実施形態におけるポケット部形成手段が構成される。
【0044】
加熱装置12は、容器フィルム3を挟んで上下に配置される上型12a及び下型12bを備え、容器フィルム3のポケット部2の形成範囲を部分的に加熱可能に構成されている。
【0045】
ポケット部形成装置13は、ポケット部2の形状とおよそ相似的で小さいプラグ(図示略)を有した上型13aと、ポケット部2の形状に対応した成形凹部(図示略)を有した下型13bとを備えている。
【0046】
そして、まず容器フィルム3が加熱装置12により加熱され比較的柔軟になった状態において、上型13a及び下型13bが互いに接近する方向へ相対移動する。続いて、上型13aからプラグが突出し、ポケット部2の大まかな形状を形成する。最後に上型13aからエアを吹き付け、容器フィルム3を下型13bの成形凹部に押し付けることで、容器フィルム3の所定位置にポケット部2が成形される。なお、このポケット部2の成形は、容器フィルム3の搬送動作間のインターバルの際に行われる。
【0047】
さらに、ポケット部形成装置13の下流側には、ポケット部2に内容物5を充填する充填手段としての充填装置14が設けられている。
【0048】
一方、帯状に形成されたカバーフィルム4の原反は、前記容器フィルム3とは別にロール状に巻回されて配置されている。該原反から引き出されたカバーフィルム4は、充填装置14の下流側に設けられた受けローラ15へと案内されている。カバーフィルム4は、受けローラ15まで案内されることで、ポケット部2を塞ぐようにして容器フィルム3に重ねられることとなる。
【0049】
受けローラ15の下流側には、シール手段としてのシール装置16が設けられている。シール装置16は、自身の下面が所定のシール温度に加熱される上型16aと、ポケット部2に対応する凹部(符号略)が形成された下型16bとを備えており、両型16a、16bが上下動可能かつ圧接可能に構成されている。
【0050】
そして、上型16a及び下型16b間に、容器フィルム3及びカバーフィルム4が送り込まれ、両フィルム3、4が両型16a、16bによって圧接されることで、容器フィルム3に対しカバーフィルム4が貼着されることとなる。これにより、内容物5が充填されたポケット部2をカバーフィルム4で密封した状態の帯状のブリスターフィルム35が製造される。但し、本実施形態では、ポケット部2周囲のフランジ部3a相当箇所だけが、カバーフィルム4が貼着(シール)されたシール部4b(
図3の斜線部参照)となり、他の部位は、カバーフィルム4が貼着されていない未シール部4cとなる。
【0051】
シール装置16の下流側には、逆流規制手段(エア噴射手段)としてのエア噴射装置17と、洗浄水供給手段としての洗浄水供給装置18とが設けられている。以下、エア噴射装置17及び洗浄水供給装置18について詳しく説明する。但し、便宜上、洗浄水供給装置18について先に説明する。
【0052】
洗浄水供給装置18は、ブリスターパック1を打抜く前のブリスターフィルム35の上面(カバーフィルム4側)に洗浄水Hを供給するためのものであり、後述する打抜装置19の上流側に設けられている。
【0053】
図4に示すように、洗浄水供給装置18は、ブリスターフィルム35のフィルム幅方向(
図4の奥行方向)に沿って延び図示しない洗浄水供給源に接続された洗浄水供給管18aと、該洗浄水供給管18aの延在方向所定間隔ごとに設けられた複数の放水口(吐水口)18bとを有し、前記洗浄水供給源から供給される洗浄水Hを洗浄水供給管18a及び放水口18bを介して、ブリスターフィルム35上面のフィルム幅方向略全域に対し略均等に供給可能に構成されている。
【0054】
本実施形態の各放水口18bは、それぞれ鉛直下方位置よりも、ややフィルム搬送方向(X方向)下流側斜め下方に向いており、洗浄水Hがブリスターフィルム35上をフィルム搬送方向下流側に向かうように放水(吐水)する構成となっている。かかる構成により、ブリスターフィルム35上の洗浄水Hがシール装置16側へ流れるのを規制することができる。つまり、かかる構成も本実施形態における逆流規制手段として機能することとなる。
【0055】
エア噴射装置17は、洗浄水供給装置18によってブリスターフィルム35の上面に供給される洗浄水Hに向けエア(空気等の気体)Eを噴射し、洗浄水Hがシール装置16側へ流れるのを規制するためのものであり、シール装置16と洗浄水供給装置18との間に設けられている。
【0056】
エア噴射装置17は、ブリスターフィルム35のフィルム幅方向に沿って延び図示しないエアブロアに接続されたエア供給管17aと、該エア供給管17aの延在方向所定間隔ごとに設けられた複数のエアブローノズル17bとを有し、前記エアブロアから供給されるエアEをエア供給管17a及びエアブローノズル17bを介して、ブリスターフィルム35上面のフィルム幅方向略全域に対し略均等に噴射可能に構成されている。
【0057】
本実施形態の各エアブローノズル17bは、それぞれ鉛直下方位置よりも、ややフィルム搬送方向(X方向)下流側斜め下方に向いており、エアEがブリスターフィルム35上をフィルム搬送方向下流側に向かうように噴射する。
【0058】
洗浄水供給装置18の下流側には、ブリスターフィルム35からブリスターパック1を打抜く打抜手段としての打抜装置19が設けられている。打抜装置19の詳細については後述する。
【0059】
打抜装置19の下方には、ブリスターフィルム35から打抜かれる各ブリスターパック1が落下する位置に対応してコンベア21が設けられている。かかるコンベア21によって、ブリスターパック1は完成品用ホッパ22へと移送される。
【0060】
さらに、コンベア21の下方には、ブリスターパック1の打抜き時に、該ブリスターパック1と共に打抜装置19から流れ落ちる洗浄水Hを受けるための洗浄水貯留手段としての受け皿23が設けられている。
【0061】
打抜装置19の下流側には、ブリスターパック1の打抜き後に残ったスクラップ部35aを裁断する裁断装置25が配設されている。そして、スクラップ部35aは、裁断装置25において所定寸法に裁断され、スクラップ用ホッパ27に貯留される。
【0062】
ブリスター包装機10の概略は以上のとおりであるが、以下において打抜装置19について
図4,5を参照して詳しく説明する。
【0063】
打抜装置19は、略水平方向(X方向)に沿って搬送されるブリスターフィルム35の上方(カバーフィルム4側)に配置された上型38と、ブリスターフィルム35の下方(容器フィルム3側)に配置された下型39と、両型38,39を駆動する図示しない駆動機構とを備えている。駆動機構としては、モータ、流体圧シリンダ、カム伝達機構等を採用することができる。これにより、両型38,39は、上下方向(Z方向)に沿って、互いに接近する方向又は互いに離間する方向へ相対移動可能に構成されている。
【0064】
上型38は、ブリスターフィルム35からブリスターパック1を打抜くためのパンチ41と、これを保持するパンチホルダ42と、ブリスターパック1を打抜く際にブリスターフィルム35を上から押えるためのストリッパ43とを備えている。
【0065】
ストリッパ43は、弾性手段(弾性部材)としてのコイルばね44を介して、パンチホルダ40に対し上下方向に相対変位可能に組付けられると共に、下方へ付勢されている。
【0066】
下型39は、ブリスターパック1を打抜く際にパンチ41が挿入される挿入孔45aが形成されたダイ45を備えている。
【0067】
さて、以上のように構成されたブリスター包装機10によってブリスターパック1を製造する手順及びその作用効果について、特にポケット部2に内容物5が充填され、密封されたブリスターフィルム35が形成された後の主要な工程を中心に説明する。
【0068】
ポケット部2を形成するポケット部形成工程、ポケット部2に内容物5を充填する充填工程、容器フィルム3にカバーフィルム4を取着するシール工程等を経て形成されたブリスターフィルム35は、エア噴射装置17及び洗浄水供給装置18へと搬送され、洗浄水供給工程が行われる。
【0069】
尚、充填工程においてポケット部2から内容物5があふれたり、その後のシール工程までの搬送過程においてポケット部2から内容物5がこぼれる等して、ポケット部2外の容器フィルム3の一般部にまで内容物5が付着してしまった場合には、ブリスターフィルム35は、その後のシール工程においてシールされない容器フィルム3の一般部とカバーフィルム4との間の未シール部4cに内容物5を挟み込んだ状態のまま(
図4参照)、次の洗浄水供給工程へと搬送されていくこととなる。
【0070】
洗浄水供給工程では、ブリスターパック1を打抜く前のブリスターフィルム35の上面に対し洗浄水供給装置18から洗浄水Hを供給する。
【0071】
尚、図示はしないが、フィルム幅方向両端部をクリップ部11aにより把持されたブリスターフィルム35の上面に洗浄水Hが供給された場合、該ブリスターフィルム35は、洗浄水Hの重みによって、そのフィルム幅方向中央付近が凹むように、フィルム幅方向に緩やかに湾曲した状態となるため、フィルム幅方向両端側から洗浄水Hが流れ落ちにくくなっている。
【0072】
このように洗浄水供給装置18から洗浄水Hを供給するの同時に、洗浄水供給装置18の上流側に位置するエア噴射装置17から、ブリスターフィルム35上面の洗浄水Hに向けエアEを噴射する。
【0073】
但し、本実施形態では、洗浄水Hの供給やエアEの噴射が、ブリスターフィルム35の間欠動作に合わせて間欠的に行われるわけではなく、常時連続して行われる構成となっている。勿論、これに限らず、洗浄水Hの供給やエアEの噴射が、ブリスターフィルム35の間欠動作に合わせて間欠的に行われる構成としてもよい。
【0074】
その後、ブリスターフィルム35は、打抜装置19へと搬送され、打抜工程が行われる。尚、ブリスターフィルム35が打抜装置19へ搬送される際、打抜装置19の上流側に位置する洗浄水供給装置18においてブリスターフィルム35上に供給された洗浄水Hも併せて打抜装置19へ搬送されることとなる。
【0075】
打抜装置19では、通常時、すなわちブリスターフィルム35の搬送中においては、上型38(パンチ41、パンチホルダ42、ストリッパ43)がブリスターフィルム35から上方へ離間した待機位置に位置すると共に、下型39(ダイ45)がブリスターフィルム35から下方へ離間した待機位置に位置している。
【0076】
そして、間欠搬送されるブリスターフィルム35が所定位置に停止されると、上型38が降下すると共に、下型39が上昇し、ストリッパ43によりブリスターフィルム35がダイ45に押え付けられた状態となる〔
図5(a)参照〕。
【0077】
この際、ブリスターフィルム35自体は停止するが、その上面に載った洗浄水Hは慣性により勢いよく打抜装置19側へ向かうこととなる。そして、ブリスターフィルム35を押え付けたストリッパ43によって、洗浄水Hの流れが堰き止められると共に、該洗浄水Hの一部が逆方向へ跳ね返り、上流側へ向かう。本実施形態では、このように上流側へ向かう洗浄水Hがシール装置16まで達するのをエア噴射装置17から噴射されるエアEによって規制している。
【0078】
その後、パンチ41がさらに降下し、ブリスターフィルム35上に洗浄水Hを載せた状態のまま、パンチ41がダイ45の挿入孔45aに入り込んでいく〔
図5(b)参照〕。そして、さらにパンチ41を挿入孔45a内へ押し込んでいくことにより、ブリスターフィルム35からブリスターパック1が打抜かれる〔
図5(c)参照〕。打抜かれたブリスターパック1は、挿入孔45a内を落下してコンベア21上に案内され、完成品用ホッパ22へと移送される。
【0079】
同時に、ブリスターフィルム35の未シール部4cに挟まれた内容物5や、打抜装置19(パンチ41やダイ45など)に付着した内容物5などが存在する場合には、これらの内容物5が、ブリスターフィルム35の上面側から流れ落ちる洗浄水Hによって洗い流される。
【0080】
その後、上型38及び下型39がブリスターフィルム35から離間すると共に、ブリスターフィルム35上に残存した洗浄水Hが、ブリスターパック1の打抜き後にブリスターフィルム35に形成された打抜孔35b等を介して流れ落ち、ダイ45の上面を洗い流しながら、ダイ45の周囲や挿入孔45aを介して、さらに下方へ流れ落ち、ブリスターパック1の打抜き時に流れ落ちた洗浄水Hと共に、コンベア21の側方等を通り、受け皿23に集められる。
【0081】
このようにして、ブリスターパック1の打抜工程が終了すると、ブリスターパック1の製造が完了する。
【0082】
以上詳述したように、本実施形態によれば、洗浄水供給装置18を備え、ブリスターパック1を打抜く前のブリスターフィルム35の上面に洗浄水Hを供給することにより、ブリスターフィルム35上に洗浄水Hを載せた状態でブリスターパック1の打抜きを行うことができる。
【0083】
これにより、ブリスターパック1の打抜きと同時に、ブリスターフィルム35の上面側から流れ落ちる洗浄水Hによって、ブリスターフィルム35の未シール部4cに挟まれた内容物5や、打抜装置19(パンチ41やダイ45など)に付着した内容物5を洗い流すことができる。
【0084】
結果として、打抜装置19に内容物5が付着・固着しにくくなり、内容物5の付着等に起因した種々の不具合の発生を抑制することができる。ひいては、打抜装置19の清掃作業等の頻度を少なくすることができる。
【0085】
また、本実施形態では、洗浄水供給装置18が打抜装置19の上流側(シール装置16と打抜装置19の間)に設けられている。これにより、打抜装置19の上流側において、洗浄水Hをブリスターフィルム35上に供給し、該洗浄水Hをブリスターフィルム35の搬送に伴って打抜装置19へ搬送することができる。結果として、ブリスター包装機10の構成を複雑化することなく、洗浄水供給装置18を設けることができる。
【0086】
さらに、本実施形態では、ブリスターフィルム35上の洗浄水Hがシール装置16側へ流れるのを規制するための逆流規制手段が設けられている。具体的には、洗浄水供給装置18の上流側より、ブリスターフィルム35上の洗浄水Hに向けエアEを噴射するエア噴射装置17を備えている。結果として、シール装置16やブリスターフィルム35のシール部分が冷却されてシール不良が生じるおそれを低減することができる。
【0087】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0088】
(a)製造対象となるブリスターパック1の構成は、上記実施形態に限定されるものではない。
【0089】
例えば上記実施形態におけるブリスターパック1は、1つのポケット部2を備えた構成となっているが、これに限らず、1つのブリスターパックに複数のポケット部が形成された構成としてもよい。また、ブリスターパック1やポケット部2の大きさや形状等に関しても、上記実施形態に限定されるものではなく、異なる構成を採用してもよい。
【0090】
また、上記実施形態では、容器フィルム3(フランジ部3a)とカバーフィルム4の一部を接着せず、開封する際の摘み部4aとなるように構成されたピールオープン式のブリスターパック1を採用しているが、これに限らず、容器フィルム3(フランジ部3a)とカバーフィルム4とが接着されない部位をなくし、摘み部4aが形成されない構成としてもよい。また、フランジ部3aの一部に予めハーフカット線などの破断線を形成しておき、開封の際には、該破断線に沿ってフランジ部3aを折り曲げ、その外縁部の一部分を破断し、該一部分を摘んでカバーフィルム4を引き剥がすような構成としてもよい。
【0091】
また、ピールオープン式のブリスターパックに限らず、ディスペンパック(登録商標)などの折曲げ開封式のブリスターパックを採用してもよい。
【0092】
(b)容器フィルム3やカバーフィルム4の材質等に関しても、上記実施形態に限定されるものではなく、異なる構成を採用してもよい。
【0093】
例えば上記実施形態では、容器フィルム3がPVCにより形成されているが、これに限らず、CPP(無延伸ポリプロピレン)やPET等の樹脂材料は勿論のこと、アルミニウム等の金属材料により形成される構成としてもよい。
【0094】
(c)ブリスターフィルム35の構成は上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、ブリスターパック1をブリスターフィルム35のフィルム搬送方向及びフィルム幅方向にそれぞれ2つずつ、計4つを同時に製造する構成となっているが、これに代えて、ブリスターフィルム35のフィルム搬送方向又はフィルム幅方向に1つ又は3つ以上製造する構成としてもよい。
【0095】
(d)洗浄水供給手段の構成は、上記実施形態の洗浄水供給装置18に限定されるものではなく、異なる構成を採用してもよい。
【0096】
例えば上記実施形態では、洗浄水供給装置18が打抜装置19の上流側(シール装置16と打抜装置19の間)に設けられている。これに限らず、洗浄水供給手段を打抜装置19と同一位置に設けた構成としてもよいし、打抜装置19と一体に設けた構成としてもよい。
【0097】
また、上記実施形態では、各放水口18bがそれぞれ鉛直下方位置よりも、ややフィルム搬送方向下流側斜め下方に向いており、洗浄水Hがブリスターフィルム35上をフィルム搬送方向下流側に向かうように放水する構成となっている。これに限らず、各放水口18bがそれぞれ鉛直下方位置を向き、鉛直下方に向け放水する構成としてもよい。
【0098】
(e)逆流規制手段の構成は、上記実施形態のように、洗浄水供給装置18の上流側よりブリスターフィルム35上の洗浄水Hに向けエアEを噴射するエア噴射装置17(エア噴射手段)や、洗浄水供給装置18の放水口18bからフィルム搬送方向下流側斜め下方に向け洗浄水Hを放水する構成などに限定されるものではなく、異なる構成を採用してもよい。
【0099】
例えば
図6に示すように、エア噴射装置17に代えて、洗浄水供給装置18の上流側において、ブリスターフィルム35の上面にゴム板80等の弾性部材を当接させ、洗浄水Hがシール装置16側へ流れるのを規制する構成としてもよい。
【0100】
また、
図7に示すように、シール装置16と打抜装置19との間の少なくとも一区間において、ブリスターフィルム35の搬送経路(チェーンクリップコンベア11のチェーン部の案内経路)を、ガイド歯車91,92(或いは、ガイドローラ)等によって、上流側よりも下流側が低くなるように傾斜させ、洗浄水Hがシール装置16側へ流れるのを規制する構成としてもよい。
【解決手段】ブリスター包装機10は、帯状の容器フィルム3にポケット部2を形成するポケット部形成装置13と、ポケット部2に内容物を充填する充填装置14と、ポケット部2に内容物が充填された容器フィルム3に対し、ポケット部2を塞ぐようにして帯状のカバーフィルム4を取着するシール装置16と、容器フィルム3にカバーフィルム4が取着されたブリスターフィルム35からブリスターパック1を打抜く打抜装置19と、ブリスターパック1を打抜く前のブリスターフィルム35の上面に洗浄水Hを供給する洗浄水供給装置18とを備えている。