(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本開示の実施の形態を図面を用いて説明する。
図1は基板生産ライン10の構成を示す構成図であり、
図2は共有フォルダ40へのアクセスを示す説明図である。基板生産ライン10は、
図1に示すように、基板Sに所定の作業を行う複数の作業装置20と、作業対象の基板Sの情報を管理する情報管理装置30とを備える。なお、複数の作業装置20は、上流側(
図1の左側)から基板Sを搬入し、所定の作業を行って下流側(
図1の右側)へ搬出する。なお、基板Sの搬送方向(
図1の左右方向)がX方向であり、水平面内でX方向に直交する方向がY方向であり、X方向およびY方向に直交する上下方向がZ方向である。
【0011】
本実施形態の基板生産ライン10は、複数の作業装置20として、印刷装置21と、印刷検査装置22と、実装装置23,25と、搬送装置24と、実装検査装置26とを備える。なお、基板生産ライン10の作業装置20の数はこれに限られるものではないし、これら以外の作業装置を備えてもよい。また、隣接する作業装置20間では、基板Sの搬出入に関する信号のやり取りが可能である。
【0012】
また、基板生産ライン10は、基板Sに設けられた基板情報を読み取るための読取装置12,14を備える。基板情報は、バーコードや2Dコードなどの各種コードとして設けられてもよいし、ICチップなどとして設けられてもよい。また、基板情報は、例えば、基板Sの種類を示す基板種情報や基板Sを識別する基板ID情報、基板Sのサイズを示す基板サイズ情報などを含む。読取装置12は、印刷装置21の上流側の搬入口即ち基板生産ライン10の最も上流側の位置に設けられており、基板生産ライン10で作業が開始される基板Sの情報を読み取る。また、読取装置14は、搬送装置24の近傍に設けられており、後述するように搬送装置24から出し入れされる基板Sの情報を読み取る。読取装置12,14は、例えば、基板情報として設けられた各種コードを読み取るコードリーダや各種コードを撮像して画像を出力する撮像装置としたり、基板情報として設けられたICチップを読み取るICチップリーダとしたりすることができる。
【0013】
印刷装置21は、搬送コンベア21aと、印刷部21bと、印刷制御部21cとを備え、基板Sに粘性流体であるはんだを印刷する。搬送コンベア21aは、基板Sの幅方向(Y方向)に間隔を空けて設けられ、搬送幅を変更可能な一対のコンベアベルトにより基板Sを搬送する。印刷部21bは、スクリーンマスクに形成されたパターン孔にスキージを用いてはんだを押し込むことにより印刷を行う。印刷制御部21cは、搬送コンベア21aや印刷部21bを含む印刷装置21の全体を制御するものであり、情報管理装置30と情報をやり取りし、後述する共有フォルダ40へのアクセスも可能である。また、印刷制御部21cは、読取装置12により読み取られた基板情報を取得したり、読取装置12により撮像された画像から基板情報を取得したりする。
【0014】
印刷検査装置22は、搬送コンベア22aと、印刷状態測定部22bと、印刷検査制御部22cとを備え、基板Sのはんだの印刷状態を検査する。搬送コンベア22aは、搬送コンベア21aと同様に構成されている。印刷状態測定部22bは、基板Sを撮像した画像に基づいてはんだの印刷ずれ量などを測定する。印刷検査制御部22cは、印刷検査装置22の全体を制御するものであり、情報管理装置30と情報をやり取りし、共有フォルダ40へのアクセスも可能である。
【0015】
実装装置23は、搬送コンベア23aと、実装部23bと、実装制御部23cとを備え、基板Sに部品を配置(実装)する。搬送コンベア23aは、搬送コンベア21aと同様に構成されている。実装部23bは、部品を吸着する吸着ノズルを有し、吸着ノズルを部品の供給位置から基板Sの実装位置まで移動させて基板Sに部品を実装する。実装制御部23cは、実装装置23の全体を制御するものであり、情報管理装置30と情報をやり取りし、共有フォルダ40へのアクセスも可能である。また、実装装置25は、実装装置23と同様に、搬送コンベア25aと、実装部25bと、実装制御部25cとを備える。
【0016】
搬送装置24は、搬送コンベア24aと、幅追従用センサ24bと、搬送制御部24cとを備え、実装装置23,25の間に配置されて実装装置23から実装装置25へ基板Sを搬送する。搬送コンベア24aは、基板Sの幅方向に間隔を空けて設けられ、搬送幅を変更可能な一対のコンベアベルトにより基板Sを搬送する。幅追従用センサ24bは、上流側の実装装置23における搬送コンベア23aのコンベアベルトの位置を検知するように、搬送コンベア24aの先端側に取り付けられている。搬送制御部24cは、搬送装置24の全体を制御するものであり、幅追従用センサ24bからの検知信号に基づいて搬送コンベア23aの幅に追従するように搬送コンベア24aの幅を変更させる。また、搬送制御部24cは、情報管理装置30と情報をやり取り不能で、共有フォルダ40へのアクセスも不能である。なお、搬送装置24は、作業者により、搬送コンベア24a上の基板Sを取り出したり、搬送コンベア24a上に基板を挿入したりすることができる。
【0017】
実装検査装置26は、搬送コンベア26aと、実装状態測定部26bと、実装検査制御部26cとを備え、基板Sの部品の実装状態を検査する。搬送コンベア26aは、搬送コンベア21aと同様に構成されている。実装状態測定部26bは、基板Sを撮像した画像に基づいて部品の実装ずれ量などを測定する。実装検査制御部26cは、実装検査装置26の全体を制御するものであり、情報管理装置30と情報をやり取りし、共有フォルダ40へのアクセスも可能である。
【0018】
情報管理装置30は、
図1に示すように、管理制御部32と、バックアップフォルダ34と、管理代行部36と、表示操作部38と、共有フォルダ40とを備える。管理制御部32は、CPUやROM、RAMなどを備え、情報管理装置30の全体を制御すると共に基板生産ライン10の各作業装置20の情報管理を行う。バックアップフォルダ34は、HDDなどの不揮発性メモリであり、バックアップ対象の各種情報が記憶される。管理代行部36は、基板搬送装置24の代わりに共有フォルダ40にアクセスして情報を管理する。表示操作部38は、例えばタッチパネル及び操作ボタンなどを備え、作業者への各種情報の表示や作業者からの各種操作の入力を行う。共有フォルダ40は、HDDなどの不揮発性メモリであり、
図2に示すように、第1〜第5格納領域41〜45の計5つの格納領域を有し、各格納領域に基板情報ファイルFL(基板関連情報)が格納(記憶)される。なお、
図3は、基板情報ファイルFLの一例を示す説明図である。
【0019】
第1格納領域41は、印刷装置21の印刷制御部21cが作成した基板情報ファイルFL1が格納される。印刷制御部21cは、上述した読取装置12を介して取得した基板情報に基づいて基板情報ファイルFL1を作成して第1格納領域41に格納する。なお、印刷検査装置22の印刷検査制御部22cは、第1格納領域41に格納された基板情報ファイルFL1を読み込んで認識可能である。
【0020】
第2格納領域42は、印刷検査装置22の印刷検査制御部22cにより基板情報ファイルFL2が格納される。印刷検査制御部22cは、第1格納領域41から読み込んだ基板情報ファイルFL1に印刷結果情報を加えた基板情報ファイルFL2を作成して第2格納領域42に格納する。なお、印刷検査制御部22cは、印刷結果情報として、例えば印刷ずれが生じている位置毎のX方向のずれ量ΔxやY方向のずれ量Δy、回転方向のずれ量Δθなどの印刷位置ずれ量などを加える。なお、実装装置23の実装制御部23cは、第2格納領域42に格納された基板情報ファイルFL2を読み込んで認識可能である。
【0021】
第3格納領域43は、実装装置23の実装制御部23cにより基板情報ファイルFL3が格納される。実装制御部23cは、第2格納領域42から読み込んだ基板情報ファイルFL2に実装結果情報を追加した基板情報ファイルFL3を作成して第3格納領域43に格納する。なお、実装制御部23cは、実装結果情報として、例えば、印刷位置ずれ量などに応じて実装された部品の実装位置ずれ量の情報、実装すべき部品を実装できなかった場合の未実装部品の情報、比較的高さのある実装済み部品の高さ情報、基板Sの搬送方向における実装済み部品のはみ出し量の情報などを追加する。実装位置ずれ量の情報は、実装時の補正に伴って生じる位置ずれ量の情報であり、X方向のずれ量ΔxやY方向のずれ量Δy、回転方向のずれ量Δθなどを含む。また、未実装部品の情報は、部品の落下などにより実装できなかった未実装部品の本来の実装位置(x,y)や部品種に関する情報である。また、実装済み部品の高さ情報は、実装済み部品の高さが高いために後工程でその部品との干渉回避動作が必要となる場合における、実装済み部品の実装位置(x,y)および高さに関する情報である。実装済み部品のはみ出し量の情報は、コネクタなどの部品が基板Sの端部から搬送方向にはみ出て実装された場合における、基板S外へのはみ出し量に関する情報である。なお、管理代行部36は、第3格納領域43に格納された基板情報ファイルFL3を読み込んで認識可能である。
【0022】
第4格納領域44は、搬送装置24の代わりに管理代行部36により基板情報ファイルFL4が格納される。管理代行部36は、第3格納領域43から読み込んだ基板情報ファイルFL3を基板関連情報ファイルFL4として第4格納領域44に格納する。なお、実装装置25の実装制御部25cは、第4格納領域44に格納された基板情報ファイルFL4を読み込んで認識可能である。
【0023】
第5格納領域45は、実装装置25の実装制御部25cにより基板情報ファイルFL5が格納される。実装制御部25cは、第4格納領域44から読み込んだ基板情報ファイルFL4に、上述したような実装結果情報を追加した基板情報ファイルFL5を作成して第5格納領域45に格納する。なお、実装検査装置26の実装検査制御部26cは、第5格納領域45に格納された基板情報ファイルFL5を読み込んで認識可能である。
【0024】
また、管理制御部32は、搬送装置24を除く各作業装置20(印刷装置21や印刷検査装置22、実装装置23,25、実装検査装置26)と情報をやり取り可能である。管理制御部32は、搬送装置24を除く各作業装置20に基板Sの生産開始指示を出力したり、はんだの印刷位置や部品毎の実装位置、部品毎の実装数、実装順などを含む基板Sの生産関連情報を出力したりする。管理制御部32は、搬送装置24を除く各作業装置20から基板Sの生産状況を入力したり、消耗品(はんだや部品)の消費状況などを入力したりする。また、管理制御部32は、バックアップフォルダ34や共有フォルダ40に情報を格納したり、バックアップフォルダ34や共有フォルダ40から情報を読み出したり、表示操作部38に情報を表示したり、表示操作部38から操作内容を入力したりする。
【0025】
以下は、こうして構成された本実施形態の基板生産ライン10の作動についての説明である。
図4,
図5は、基板Sおよび基板情報ファイルFLの受け渡しの一例を示す説明図である。
図4では、印刷装置21、印刷検査装置22、実装装置23と、第1格納領域41、第2格納領域42とを示す。また、
図5では、実装装置23、搬送装置24、実装装置25と、第3格納領域43、第4格納領域44とを示す。
【0026】
図4に示すように、印刷装置21の印刷制御部21cは、読取装置12を介して基板情報を取得すると(S100)、基板Sが印刷装置21内にないことを確認してから、基板情報に含まれる基板Sの幅情報に基づいて搬送コンベア21aの幅を変更する(S110)。次に、印刷制御部21cは、搬送コンベア21aを制御して基板Sを搬入し(S120)、基板情報に対応する生産関連情報の印刷位置に基づいて印刷部21bを制御して基板Sにはんだを印刷する(S130)。印刷制御部21cは、基板Sへの印刷を行うと、S100で取得した基板情報を含む基板情報ファイルFL1を作成し共有フォルダ40の第1格納領域41に格納する(S140)。また、印刷制御部21cは、基板Sを搬出可能であることを示す搬出可能信号を下流側の印刷検査装置22に送信する(S150)。
【0027】
搬出可能信号を受信した印刷検査装置22の印刷検査制御部22cは、共有フォルダ40の第1格納領域41にアクセスして基板情報ファイルFL1を読み込んで第1格納領域41から基板情報ファイルFL1を削除する(S200)。また、印刷検査制御部22cは、基板Sが印刷検査装置22内にないことを確認してから、基板情報ファイルFL1に含まれる基板Sの幅情報に基づいて搬送コンベア22aの幅を変更するなどの段取り替えを行って(S210)、基板Sを搬入可能であることを示す搬入可能信号を上流側の印刷装置21に送信する(S220)。搬入可能信号を受信した印刷装置21の印刷制御部21cは、搬送コンベア21aを制御して基板Sを搬出する(S160)。また、印刷検査制御部22cは、搬送コンベア22aを制御して基板Sを搬入する(S230)。
【0028】
そして、印刷検査制御部22cは、印刷状態測定部21bを制御して基板Sの印刷状態を検査する(S240)。印刷検査制御部22cは、基板情報に対応する生産関連情報に含まれる印刷位置と照合して印刷ずれの有無を判定し、印刷ずれの位置毎に印刷位置ずれ量を取得する。印刷検査制御部22cは、基板Sの印刷状態の検査を行うと、基板情報ファイルFL1の内容に印刷位置ずれ量などの印刷結果情報を加えた基板情報ファイルFL2を作成し共有フォルダ40の第2格納領域42に格納する(S250)。そして、基板Sの搬出可能信号を下流側の実装装置23に送信する(S260)。
【0029】
搬出可能信号を受信した実装装置23の実装制御部23cは、共有フォルダ40の第2格納領域42にアクセスして基板情報ファイルFL2を読み込んで第2格納領域42から基板情報ファイルFL2を削除する(S300)。また、実装制御部23cは、基板Sが実装装置23内にないことを確認してから、基板情報ファイルFL2に含まれる基板Sの幅情報に基づいて搬送コンベア23aの幅を変更するなどの段取り替えを行って(S310)、基板Sの搬入可能信号を上流側の印刷検査装置22に送信する(S320)。搬入可能信号を受信した印刷検査装置22の印刷検査制御部22cは、搬送コンベア22aを制御して基板Sを搬出する(S270)。また、実装制御部23cは、搬送コンベア23aを制御して基板Sを搬入する(S330)。
【0030】
そして、実装制御部23cは、実装部23bを制御して基板Sに部品を実装する(S340)。なお、実装制御部23cは、印刷位置ずれ量が含まれた基板情報ファイルFL2を読み込んでいるから、その印刷位置ずれ量に基づいて補正した実装位置に部品を精度よく実装することができる。基板Sに部品を実装すると、
図5に示すように、実装制御部23cは、基板情報ファイルFL2に実装結果情報を加えた基板情報ファイルFL3を作成し共有フォルダ40の第3格納領域43に格納する(S350)。実装制御部23cは、上述したように、実装結果情報として部品の実装位置ずれ量の情報や未実装部品の情報、実装済み部品の高さ情報、実装済み部品のはみ出し量の情報などを加える。次に、実装制御部23cは、基板Sの搬出可能信号を下流側の搬送装置24に送信する(S360)。
【0031】
搬出可能信号を受信した搬送装置24の搬送制御部24cは、搬送装置24内に基板Sがないことを確認してから、幅追従用センサ24bを用いて上流側の実装装置23における搬送コンベア23aの幅に追従するように搬送コンベア24aの幅を変更する(S400)。そして、搬送制御部24cは、基板Sの搬入可能信号を上流側の実装装置23に送信する(S410)。搬入可能信号を受信した実装装置23の実装制御部23cは、搬送コンベア23aを制御して基板Sを搬出する(S370)。また、搬送制御部24cは、搬送コンベア24aを制御して基板Sを搬入し(S420)、搬送コンベア24a上の略中央位置などの所定位置まで基板Sを搬送して待機させる(S430)。次に、搬送制御部24cは、基板Sの搬出可能信号を下流側の実装装置25に送信する(S440)。搬送装置24は、下流側の実装装置25から搬入可能信号を受信するまで基板Sを待機可能であるから、実装装置23、25間の基板Sのバッファとして機能するものとなる。
【0032】
一方、実装制御部23cにより基板情報ファイルFL3が共有フォルダ40の第3格納領域43に格納されると、管理代行部36は、第3格納領域43にアクセスして基板情報ファイルFL3を読み込んで第3格納領域42から基板情報ファイルFL3を削除する(S600)。また、管理代行部36は、読み込んだ基板情報ファイルFL3を基板情報ファイルFL4として作成し第4格納領域44に格納する(S610)。これにより、搬送装置24の搬送制御部24cが共有フォルダ40にアクセスできなくても、基板情報ファイルFLを第3格納領域43から第4格納領域44に受け渡すことができる。
【0033】
搬送装置24からの搬入可能信号を受信した実装装置25の実装制御部25cは、共有フォルダ40の第4格納領域44にアクセスして基板情報ファイルFL4を読み込んで第4格納領域44から基板情報ファイルFL4を削除する(S500)。実装制御部25cは、基板Sが実装装置25内にないことを確認してから、基板情報ファイルFL4に含まれる基板Sの幅情報に基づいて搬送コンベア25aの幅を変更するなどの段取り替えを行って(S510)、基板Sの搬入可能信号を上流側の搬送装置24に送信する(S520)。搬入可能信号を受信した搬送装置24の搬送制御部24cは、搬送コンベア24aを制御して基板Sを搬出する(S450)。また、実装制御部25cは、搬送コンベア25aを制御して基板Sを搬入する(S530)。なお、基板情報ファイルFL3以降の実装結果情報には、基板Sの搬送方向における部品のはみ出し量の情報が含まれている。このため、実装制御部25cが基板Sの端部位置を検知して搬送コンベア25aを停止させる場合に、端部位置を誤検知するのを防止して基板Sを精度よく停止させることができる。
【0034】
実装制御部25cは、基板Sを搬入すると、実装部25bを制御して基板Sに部品を実装する(S540)。なお、実装制御部25cは、印刷位置ずれ量や部品の実装位置ずれ量の情報、未実装部品の情報、実装済み部品の高さ情報などが含まれた基板情報ファイルFL4を読み込んでいる。このため、実装装置25は、実装装置23と同様に、印刷位置ずれ量に基づいて補正した実装位置に部品を精度よく実装することができる。また、実装装置25が実装する部品として、実装装置23で実装された部品の上に実装する後付けの部品がある場合、未実装部品の情報に基づいて、未実装であるにも拘わらず後付けの部品を実装するのを防止することができる。さらに、実装装置25は、実装装置23で比較的高さの高い部品が実装されている場合には、実装済み部品の高さ情報に基づいて、実装対象の部品を搬送する際に実装済み部品と干渉するのを適切に防止することができる。このように、実装装置25は、印刷結果情報や実装結果情報を含む基板情報ファイルFLを読み込んでから部品を実装するため、部品をより適切に実装することができる。
【0035】
以下、図示は省略するが、実装装置25と実装検査装置26は上述と同様に処理を行う。即ち、実装装置25は、基板情報ファイルFL4に実装装置25における実装結果を加えた基板情報ファイルFL5を作成し第5格納領域45に格納すると共に搬出可能信号を実装検査装置26に送信する。そして、実装装置25は、実装検査装置26からの搬入可能信号を受信すると基板Sを搬出する。また、実装検査装置26は、実装装置25からの搬出可能信号を受信すると、第5格納領域45にアクセスして基板情報ファイルFL5を読み込んで削除すると共に、基板情報ファイルFL5の基板Sの幅情報に基づいて搬送コンベア26aの幅を変更してから搬入可能信号を実装装置25に送信する。そして、実装検査装置26は、実装装置25から搬出された基板Sを搬入し、基板情報ファイルFL5の情報を参照しながら実装状態測定部26bにより基板Sの実装状態を検査する。
【0036】
ここで、本実施形態の基板生産ライン10の構成要素と本開示の基板生産ラインの構成要素との対応関係を説明する。作業装置20が作業装置に相当し、共有フォルダ40が共有フォルダに相当し、管理代行部35が管理代行部に相当する。作業装置20のうち、印刷装置21と印刷検査装置22と実装装置23,25と実装検査装置26が格納領域にアクセス可能な作業装置(第1作業装置)に相当し、搬送装置24が格納領域にアクセス不能な作業装置(第2作業装置)に相当する。また、搬送コンベア21a〜26aが搬送装置に相当し、幅追従用センサ24bが幅検知器に相当する。
【0037】
以上説明した本実施形態の基板生産ライン10では、情報管理装置30が、作業装置20の数に応じて複数に区分けされた格納領域41〜45を有する共有フォルダ40と、共有フォルダ40にアクセス不能な搬送装置24の代わりに共有フォルダ40にアクセスする管理代行部35とを備える。作業装置20のうち、搬送装置24以外の印刷装置21と印刷検査装置22と実装装置23,25と実装検査装置26は、共有フォルダ40にアクセスして格納領域間で基板情報ファイルFLを受け渡し可能である。このため、基板生産ライン10が、共有フォルダ40にアクセス不能な搬送装置24を備える場合でも、基板情報ファイルFLを途切れることなく格納領域41〜45間で受け渡すことができるから、基板情報ファイルFLの有効利用が可能となる。
【0038】
また、印刷装置21と印刷検査装置22と実装装置23,25と実装検査装置26は、基板情報ファイルFLに含まれる基板Sの幅情報に基づいて搬送コンベア21a,22a,23a,25a,26aの幅変更を行ったり、各種作業を行ったりする。搬送装置24は、基板情報ファイルFLを読み込むことなく、上流側の実装装置23の搬送コンベア23aの搬送幅に追従するように搬送コンベア24aの搬送幅を変更し、基板Sを搬送する。このため、搬送装置24の代わりに管理代行部36が基板情報ファイルFLを受け渡すものとしても、搬送装置24は適切に作業を行うことができる。
【0039】
また、印刷装置21と印刷検査装置22と実装装置23,25は、基板情報ファイルFLを読み込むとその基板情報ファイルFLを削除し、作業を行うと基板情報ファイルFLを作成して格納領域に格納する。一方、管理代行部36は、搬送装置24に対応する第3格納領域43から基板情報ファイルFLを読み込んで削除すると共に第4格納領域44に基板情報ファイルFLを格納する。このため、基板情報ファイルFLを格納領域に順次格納して基板情報ファイルFLの有効利用を図ることができる。
【0040】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0041】
例えば、上述した実施形態では、搬送装置24において作業者により基板Sが取り出されたり挿入されたりすることなく各作業装置20が基板Sを順次受け渡していく場合を例示したが、これに限られるものではない。例えば、搬送装置24において、作業者により基板Sが取り出されたり、作業者により基板Sが挿入されたりしてもよい。
【0042】
作業者により基板Sが取り出される場合の基板Sおよび基板情報ファイルFLの受け渡しを
図6に示す。この
図6では、搬送装置24が実施形態と同様にS400〜S430の処理を行って基板Sを搬送コンベア24a上で待機させている際に、作業者により基板Sが抜き取られるものとする(S460)。作業者は、基板Sを抜き取る際に、その基板Sの基板情報を搬送装置24の近傍に設けられた読取装置14に読み取らせる。情報管理装置30の管理制御部32は、読取装置14に読み取られた基板情報(基板種情報や基板ID情報など)を取得すると(S700)、その基板情報に対応する基板情報ファイルFLを第3格納領域43、第4格納領域44から検索する(S710)。
図6では、S700で取得した基板情報に対応する基板情報ファイルFLが、第4格納領域44内の基板情報ファイルFL4であるものとする。なお、管理代行部36の処理タイミングによっては第3格納領域43の基板情報ファイルFL3が該当するため、管理制御部32は第3格納領域43、第4格納領域44から対応する基板情報ファイルFLを検索する。勿論、管理制御部32は、第1〜第5格納領域41〜45の全てを検索対象としてもよい。
【0043】
そして、管理制御部32は、基板情報ファイルFL4をバックアップファイルBFL1としてバックアップフォルダ34にバックアップし(S720)、第4格納領域から基板情報ファイルFL4を削除する(S730)。このように、共有フォルダ40にアクセスできない搬送装置24から基板Sが取り出される場合でも、共有フォルダ40から基板情報ファイルFLを適切に削除することができる。このため、基板生産ライン10上にない基板Sの基板情報ファイルFLが共有フォルダ40内に残るのを防止して、基板情報ファイルFLを適切に受け渡すことができる。なお、
図6の管理制御部32の全ての処理または一部の処理を管理代行部36が行うものとしてもよい。
【0044】
作業者により基板Sが挿入される場合の基板Sおよび基板情報ファイルFLの受け渡しを
図7に示す。この
図7では、搬送装置24の搬送コンベア24a上に基板Sがない場合に、作業者により基板Sが挿入されるものとする(S470)。作業者は、基板Sを挿入する際に、その基板Sの基板情報を読取装置14に読み取らせる。情報管理装置30の管理制御部32は、読取装置14に読み取られた基板情報(基板種情報や基板ID情報など)を取得すると(S800)、その基板情報に対応するバックアップファイルBFLをバックアップフォルダ34内から検索する(S810)。ここでは、
図6のS720でバックアップした基板Sが挿入されるものとする。なお、例えば基板Sを基板生産ライン10外で検査する必要が生じると作業者により基板Sが一旦取り出されて検査が行われ、検査結果が問題ない場合にその基板Sが挿入されることがある。管理制御部32は、バックアップフォルダ34内から該当するバックアップファイルBFL1を検索すると、そのバックアップファイルBFL1を読み込んでバックアップフォルダ34からバックアップファイルBFL1を削除すると共に(S820)、基板情報ファイルFL4として第4格納領域44に格納する(S830)。なお、バックアップフォルダ34内に該当するバックアップファイルBFLが存在しない場合、管理制御部32は、S800で取得した基板情報を含めた基板情報ファイルFLを新たに作成して第4格納領域44に格納すればよい。このように、共有フォルダ40にアクセスできない搬送装置24に基板Sが挿入される場合でも、搬送装置24に対応する第4格納領域44に基板情報ファイルFLを適切に追加することができる。このため、基板生産ライン10上に挿入された基板Sの受け渡しに伴って、基板情報ファイルFLを共有フォルダ40の各格納領域間で適切に受け渡すことができる。なお、
図7の管理制御部32の全ての処理または一部の処理を管理代行部36が行うものとしてもよい。
【0045】
上述した実施形態では、基板情報ファイルFLに、読取装置12,14により読み取られた基板情報(基板種情報や基板ID情報、基板サイズ情報)の他、各作業装置20で行われた印刷結果情報や実装結果情報などが含まれたが、これに限られない。例えば、基板情報ファイルFLが、印刷結果情報と実装結果情報のいずれか一方あるいは両方を含まずに、基板情報のみを含むものとしてもよいし、これら以外の情報を含んでもよい。なお、下流側の作業装置20での情報の有効利用を図るため、印刷結果情報や実装結果情報を含むものが好ましい。
【0046】
上述した実施形態では、管理代行部36が情報管理装置30に含まれるものとしたが、これに限られるものではない。例えば、
図8に示すように、情報管理装置30Aが管理代行部36を備えないものであり、情報管理装置30とは別の装置として構成され作業装置20の代わりに共有フォルダ40の格納領域にアクセスする情報管理代行装置136としてもよい。
【0047】
上述した実施形態では、共有フォルダ40の格納領域にアクセス不能な作業装置20として、実装機23,25間で基板Sを搬送する搬送装置24を例示したが、これに限られるものではない。例えば、搬送装置24が複数設けられてもよいし、搬送装置に限られず、基板Sの表裏を反転する反転装置としてもよいし、複数の基板Sを待機させる複数のバッファ領域を有するバッファ装置としてもよい。例えば、
図8に示すように、実装装置23、25の間で3つの基板Sを待機させるバッファ装置124などとしてもよい。バッファ装置124は、基板Sが搬入される度に搬送方向下流側(
図8の右側)に基板Sを順に送って待機させる。勿論、バッファ装置124が待機させる基板数は3つに限られないし、バッファ装置124の位置は実装装置23、25の間に限られない。また、バッファ装置124が複数の基板Sを待機可能な場合、図示するように、待機可能な基板Sの数に応じて複数の格納領域が設けられるものとする。ここでは、第3格納領域43と第5格納領域45との間に3つの格納領域144A、144B、144Cが設けられる。そして、情報管理代行装置136は、例えば、第3格納領域43に基板情報関連ファイルFL(FL3)が格納されると、その基板情報ファイルFLを読み込んで削除すると共に格納領域144Aに格納する。また、情報管理代行装置136は、格納領域144B内に基板情報関連ファイルFLが格納されてなければ、格納領域144A内の基板情報ファイルFLを読み込んで削除すると共に格納領域144Bに格納する。さらに、情報管理代行装置136は、格納領域144C内に基板情報関連ファイルFLが格納されてなければ、格納領域144B内の基板情報ファイルFLを読み込んで削除すると共に格納領域144Cに格納する。なお、格納領域144C内の基板情報ファイルFLは、実装装置25の実装制御部25cが読み込んで削除する。このように、バッファ装置124が待機可能な基板Sの数に応じて格納領域を複数設けることで、バッファ装置124で待機している各基板Sの基板情報ファイルFLを適切に管理することができる。なお、一のバッファ装置が複数のバッファ領域を備えるものを例示したが、搬送装置と反転装置が連続して配置される場合に、複数(この場合は2つ)の格納領域を連続して設けるものとしてもよい。
【0048】
本開示の基板生産ラインや情報管理装置、情報管理代行装置は、以下のように構成してもよい。
【0049】
本開示の基板生産ラインにおいて、前記第1作業装置は、自装置に対応する前記格納領域にアクセスして読み込んだ前記基板関連情報に基づいて前記所定作業または該所定作業前の準備動作を実行可能であり、前記第2作業装置は、前記基板関連情報を読み込むことなく前記所定作業または該所定作業前の準備動作を実行可能であるものとしてもよい。こうすれば、第2作業装置の代わりに管理代行部が基板関連情報を受け渡すものとしても、第2作業装置は所定作業または所定作業前の準備動作を適切に実行することができる。
【0050】
本開示の基板生産ラインにおいて、前記基板関連情報は、前記基板の幅情報を含み、前記複数の作業装置は、前記基板の幅に応じて搬送幅をそれぞれ変更可能な搬送装置を備え、前記第1作業装置は、前記所定作業前の準備動作として、前記基板関連情報に含まれる前記基板の幅情報に基づいて前記搬送装置の搬送幅の変更動作を実行し、前記第2作業装置は、上流側に隣接する前記作業装置が備える前記搬送装置の搬送幅を検知する幅検知器を備え、前記所定作業前の準備動作として、前記幅検知器により検知した搬送幅に一致するように自装置における前記搬送装置の搬送幅の変更動作を実行するものとしてもよい。こうすれば、第2作業装置の代わりに管理代行部が基板関連情報を受け渡すものとしても、第2作業装置は搬送装置の搬送幅を適切に変更して基板を受け渡すことができる。
【0051】
本開示の基板生産ラインにおいて、前記第1作業装置は、前記基板関連情報を読み込むと自装置に対応する前記格納領域から前記基板関連情報を削除し、前記所定作業を実行すると前記基板関連情報を作成して下流側に隣接する前記作業装置に対応する前記格納領域に格納し、前記管理代行部は、前記第2作業装置に対応する前記格納領域から前記基板関連情報を読み込んで該基板関連情報を削除すると共に、該基板関連情報を前記第2作業装置の下流側に隣接する前記作業装置に対応する前記格納領域に格納するものとしてもよい。こうすれば、基板関連情報を下流側の作業装置に対応する格納領域に順次格納して、基板関連情報の有効利用を確実に図ることができる。
【0052】
本開示の情報管理装置は、基板を受け渡し可能な複数の作業装置が前記基板に行う所定作業の情報を管理する情報管理装置であって、前記作業装置の数に応じて複数に区分けされ前記基板に関する基板関連情報を格納する格納領域を有し、前記複数の作業装置のうち前記格納領域にアクセス可能な作業装置により前記基板の受け渡しに伴って前記基板関連情報が前記格納領域間で受け渡される共有フォルダと、前記複数の作業装置のうち前記格納領域にアクセス不能な作業装置の代わりに前記共有フォルダにアクセスして、前記基板関連情報が前記格納領域間で受け渡されるように管理する管理代行部と、を備えることを要旨とする。
【0053】
本開示の情報管理装置は、共有フォルダと、管理代行部とを備える。共有フォルダは、作業装置の数に応じて複数に区分けされ基板関連情報を格納する格納領域を有し、格納領域にアクセス可能な作業装置により基板の受け渡しに伴って基板関連情報が格納領域間で受け渡される。また、管理代行部は、格納領域にアクセス不能な作業装置の代わりに共有フォルダにアクセスして、基板関連情報が格納領域間で受け渡されるように管理する。このため、基板生産ラインが共有フォルダの格納領域にアクセス不能な作業装置を備える場合でも、基板関連情報を格納領域間で受け渡すことができる。したがって、上述した基板生産ラインと同様に、複数に区分けされた格納領域において、作業装置間の基板の受け渡しに伴って基板関連情報を途切れることなく伝達することができるから、基板関連情報の有効利用が可能となる。
【0054】
本開示の情報管理代行装置は、基板を受け渡し可能で前記基板に所定作業を行う複数の作業装置の数に応じて複数に区分けされ前記基板に関する基板関連情報を格納する格納領域を有する共有フォルダの情報管理を代行する情報管理代行装置であって、前記共有フォルダは、前記複数の作業装置のうち前記格納領域にアクセス可能な作業装置により前記基板の受け渡しに伴って前記基板関連情報が前記格納領域間で受け渡され、前記複数の作業装置のうち前記格納領域にアクセス不能な作業装置の代わりに前記共有フォルダにアクセスして、前記基板関連情報が前記格納領域間で受け渡されるように管理することを要旨とする。
【0055】
本開示の情報管理代行装置は、複数の作業装置の数に応じて複数に区分けされ基板関連情報を格納する格納領域にアクセス不能な作業装置の代わりに共有フォルダにアクセスして、基板関連情報が格納領域間で受け渡されるように管理する。このため、上述した基板生産ラインと同様に、複数に区分けされた格納領域において、作業装置間の基板の受け渡しに伴って基板関連情報を途切れることなく伝達することができるから、基板関連情報の有効利用が可能となる。