特許第6837146号(P6837146)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6837146
(24)【登録日】2021年2月10日
(45)【発行日】2021年3月3日
(54)【発明の名称】分散型飛行制御システム
(51)【国際特許分類】
   B64C 13/18 20060101AFI20210222BHJP
   B64C 27/08 20060101ALI20210222BHJP
   B64D 47/00 20060101ALI20210222BHJP
【FI】
   B64C13/18 Z
   B64C27/08
   B64D47/00
【請求項の数】18
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2019-534879(P2019-534879)
(86)(22)【出願日】2016年12月22日
(65)【公表番号】特表2020-503209(P2020-503209A)
(43)【公表日】2020年1月30日
(86)【国際出願番号】US2016068377
(87)【国際公開番号】WO2018118070
(87)【国際公開日】20180628
【審査請求日】2019年8月16日
(31)【優先権主張番号】15/388,627
(32)【優先日】2016年12月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519225026
【氏名又は名称】キティー・ホーク・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】KITTY HAWK CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】特許業務法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カトラー・マーク・ジョンソン
(72)【発明者】
【氏名】ライヘルト・トッド
(72)【発明者】
【氏名】ジャクソン・ジェームズ
【審査官】 長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第07708229(US,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0023755(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0306787(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0299551(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0152404(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0018703(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0203224(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0180656(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0008673(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0098140(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0160658(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 13/18
B64C 27/08
B64D 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行制御システムであって、
プロセッサであって、
1つ以上の入力に応答して航空機の状態を変更するために、複数のアクチュエータの各々に対してコマンドのセットを生成し、
前記コマンドのセットを、前記複数のアクチュエータを含む全てより少ないアクチュエータに提供するように構成された、プロセッサ
を備え
前記プロセッサは、自動モードとパイロット制御モードとの間で切り替えが可能であり、
前記プロセッサおよび1つ以上の追加のプロセッサは、モードを同時に切り替えるように構成されている、飛行制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、
前記プロセッサは、対応するセンサのセットを有する、システム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムであって、
前記プロセッサは、対応するセンサのセットを有し、前記コマンドのセットは、前記センサのセットからのセンサデータに応答して生成される、システム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムであって、
前記プロセッサは、レートジャイロ、加速度計、磁力計、または気圧計を備える、対応するセンサのセットを有する、システム。
【請求項5】
請求項1に記載のシステムであって、
前記複数のアクチュエータは、前記複数のアクチュエータのゼロまたは1つのアクチュエータが作動してない場合に、前記航空機における飛行を可能にするように構成される、システム。
【請求項6】
請求項1に記載のシステムであって、
前記プロセッサは、1つのアクチュエータのみに物理的に接続される、システム。
【請求項7】
請求項1に記載のシステムであって、
前記複数のアクチュエータに対してコマンドのセットを生成し、前記コマンドのセットを前記複数のアクチュエータを含む全てより少ないアクチュエータに提供するように構成された1つ以上の追加のプロセッサを備える、システム。
【請求項8】
請求項7に記載のシステムであって、
等しい数のプロセッサとアクチュエータとを備える、システム。
【請求項9】
請求項1に記載のシステムであって、
前記複数のアクチュエータの1つのアクチュエータは、ただ1つの対応するプロセッサからコマンドを受信する、システム。
【請求項10】
請求項1に記載のシステムであって、
前記プロセッサは、基本的な自動操縦能力を提供する、システム。
【請求項11】
請求項1に記載のシステムであって、
前記プロセッサは、姿勢制御および姿勢レート制御を実行する、システム。
【請求項12】
請求項11に記載のシステムであって、
前記プロセッサは、パイロットから入力を受信する、システム。
【請求項13】
請求項11に記載のシステムであって、
前記プロセッサは、上位フライト命令を処理するように構成されたプロセッサから入力を受信する、システム。
【請求項14】
請求項に記載のシステムであって、
前記プロセッサは、自動モードの上位プロセッサから入力を受信し、パイロット制御モードのパイロット制御部から入力を受信する、システム。
【請求項15】
飛行制御システムであって、
プロセッサであって、
1つ以上の入力に応答して航空機の状態を変更するために、複数のアクチュエータの各々に対してコマンドのセットを生成し、
前記コマンドのセットを、前記複数のアクチュエータを含む全てより少ないアクチュエータに提供するように構成された、プロセッサ
を備え、
前記プロセッサは、自動モードとパイロット制御モードとの間で切り替えが可能であり、
前記プロセッサおよび1つ以上の追加のプロセッサは、パイロット指示に基づいてモードを切り替えるように構成されている、飛行制御システム。
【請求項16】
飛行制御システムであって、
プロセッサであって、
1つ以上の入力に応答して航空機の状態を変更するために、複数のアクチュエータの各々に対してコマンドのセットを生成し、
前記コマンドのセットを、前記複数のアクチュエータを含む全てより少ないアクチュエータに提供するように構成された、プロセッサ
を備え、
前記プロセッサは、自動モードとパイロット制御モードとの間で切り替えが可能であり、
前記プロセッサは、自動モードの上位プロセッサから入力を受信し、パイロット制御モードのパイロット制御部から入力を受信し、
前記複数のアクチュエータのアクチュエータは、状態を前記上位プロセッサに報告する、飛行制御システム。
【請求項17】
飛行制御システムであって、
プロセッサであって、
1つ以上の入力に応答して航空機の状態を変更するために、複数のアクチュエータの各々に対してコマンドのセットを生成し、
前記コマンドのセットを、前記複数のアクチュエータを含む全てより少ないアクチュエータに提供するように構成された、プロセッサ
を備え、
前記複数のアクチュエータに対してコマンドのセットを生成し、前記コマンドのセットを前記複数のアクチュエータを含む全てより少ないアクチュエータに提供するように構成された1つ以上の追加のプロセッサを備え、
前記プロセッサは、電気的に分離されている、飛行制御システム。
【請求項18】
請求項1に記載のシステムであって、
前記航空機は、マルチコプタを含む、システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
航空機の飛行において、自動飛行制御は必要不可欠である。自動飛行制御または自動操縦プログラムの安全は、重要である。自動飛行制御システムは、故障を予防するために一種の冗長性を必要としうる。自動飛行制御システムにおける冗長性の構築は、複雑でありまたは費用がかかりうる。
【図面の簡単な説明】
【0002】
本発明の様々な実施形態は、以下の発明を実施するための形態および付随する図面において開示される。
【0003】
図1】非冗長飛行制御システムの実施形態を表す図。
【0004】
図2】三重冗長飛行制御システムの実施形態を表す図。
【0005】
図3A】分散型飛行制御システムを用いるマルチコプタの実施形態を表す図。
【0006】
図3B】分散型飛行制御システムを用いるマルチコプタの実施形態を表す図。
【0007】
図4】分散型飛行制御システムの実施形態を表す図。
【0008】
図5】分散型飛行制御システムにおける接続の実施形態を表す図。
【0009】
図6】分散型飛行制御システムの実施形態を表す図。
【0010】
図7】分散型飛行制御システムのモード切替機構の実施形態を表す図。
【0011】
図8】モード切替決定プロセスの実施形態を表すフロー図。
【0012】
図9】航空機における分散型飛行制御システムの実施形態を表す図。
【0013】
図10】分散型飛行制御システムプロセスを表すフロー図。
【0014】
図11】分散型飛行制御システムのフライトコンピュータの実施形態を表す図。
【0015】
図12】分散型飛行制御システムフローの実施形態を表す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、プロセス、装置、システム、組成物、コンピュータ可読記憶媒体において具現化されるコンピュータプログラム製品、ならびに/または、プロセッサ(プロセッサに結合されたメモリに格納された命令、および/もしくは、そのメモリによって提供された命令を実行するように構成されたプロセッサ)を含む様々な方法によって実施されうる。本明細書では、これらの実施形態または本発明が取りうる他の形態は、技術と呼ばれてよい。一般に、開示のプロセスの工程の順序は、本発明の範囲内で変更されてよい。特に明記されない限り、タスクを実行するように構成されると説明されるプロセッサまたはメモリなどの構成部品は、一定の時間にタスクを実行するように一時的に構成される一般構成部品、または、タスクを実行するように作られた特定構成部品として実装されてよい。本明細書で用いられる「プロセッサ」との用語は、1つ以上のデバイス、回路、および/または、コンピュータプログラム命令などのデータを処理するように構成された処理コアと呼ばれる。
【0017】
本発明の1つ以上の実施形態の詳細な説明は、本発明の原理を表す付随の図と併せて以下に提供される。本発明は、そのような実施形態と関連して説明されるが、いずれの実施形態にも限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ限定され、本発明は、多くの変更、修正、および同等物を含む。多くの特定の詳細は、本発明の十分な理解を提供するために以下の説明に記載される。これらの詳細は、例示の目的で提供され、本発明は、これらの特定の詳細の一部または全てなしに特許請求の範囲に従って実施されてよい。明確性のために、本発明に関する技術分野において周知の技術内容は、本発明が不必要に曖昧にならないように詳細には説明されていない。
【0018】
分散型飛行制御システムについて説明される。飛行制御システムは、1つ以上の入力に応答して航空機の状態を変更するために複数のアクチュエータの各々に対してコマンドのセットを生成するように構成されたプロセッサを備える。入力は、所望の姿勢または姿勢変更速度を含んでよい。いくつかの実施形態では、飛行制御システムは、センサのセットを備え、コマンドのセットは、センサの読み取りに応答して生成される。プロセッサは、複数のアクチュエータを含む全てより少ないアクチュエータにコマンドのセットを提供するように構成される。いくつかの実施形態では、航空機は、多数のアクチュエータのうちゼロまたは1つのアクチュエータが作動していない場合に航空機における飛行を可能にするように構成された複数のアクチュエータを備える。システムは、複数のプロセッサを備えてよい。システムは、等しい数のプロセッサとアクチュエータとを備えてよい。プロセッサおよびアクチュエータは、各アクチュエータが対応するプロセッサから命令を受信する1対1の関係を有してよい。
【0019】
航空機は、自動化の段階によって制御されてよい。分散型飛行制御システムは、1つ以上のフライトコンピュータを備えてよい。1つ以上のフライトコンピュータの1つのフライトコンピュータは、自動操縦ソフトウェアを実行してよい。フライトコンピュータは、プロセッサおよびセンサのセットを備えてよい。分散型飛行制御システムは、安全上の理由で冗長要素を備えてよい。例えば、システムは、一ヶ所の故障もないことが求められうる。分散型飛行制御システムは、冗長性が航空機に物理的に構築された冗長駆動する航空機において用いられてよい。例えば、航空機は、制御可能な飛行にとって必要以上のアクチュエータを備えてよい。分散型飛行制御システムは、冗長駆動する航空機をうまく利用してよい。航空機の物理的冗長性は、飛行制御システムの冗長性を実施するために用いられてよい。各アクチュエータは、別々のプロセッサによって制御されてよい。いくつかの実施形態では、各プロセッサは、全てのアクチュエータを考慮して全てのアクチュエータに対する命令を算出するが、1つのアクチュエータのみを制御する。プロセッサは、1つのアクチュエータのみに物理的に接続されてよい。プロセッサが誤作動した場合は、航空機の1つのアクチュエータのみが影響を受けうる。分散型飛行制御システムは、実行が簡単で、冗長な自動操縦ハードウェアの設定を備えてよい。
【0020】
図1は、非冗長飛行制御システムの実施形態を表す図である。図のフライトコンピュータおよびアクチュエータは、同じ航空機に設置されてよい。図の例では、入力は、フライトコンピュータ100に提供される。入力は、航空機の計器から収集された情報を含んでよい。入力は、制御部またはインタフェースを介してパイロットから送信された信号を含んでよい。フライトコンピュータ100は、入力を処理し、航空機のアクチュエータに対して、入力に基づいて航空機を所望の飛行軌道に乗せる命令を決定してよい。フライトコンピュータ100は、命令をアクチュエータ_1 102、アクチュエータ_2 104、アクチュエータ_3 106、およびアクチュエータ_4 108に提供してよい。アクチュエータは、航空機の飛行軌道に影響を与える航空機の物理的構成要素を含んでよい。アクチュエータは、モータ、フラップ、プッシュロッド、操縦面、機構、物質界と相互に作用する構成要素、または任意の適した物体を備えてよい。
【0021】
フライトコンピュータ100は、全てのアクチュエータに対して命令を生成してよい。アクチュエータは、所望の飛行を実現するために調整されてよい。例えば、航空機の左側のロータおよび航空機の右側のロータは、航空機の回転を防止するために反対方向に回転するように指示されてよい。非冗長飛行制御システムは、構築しやすいが、安全性の懸念を引き起こしうる。フライトコンピュータ100が誤作動した場合のバックアップシステムが示されていない。フライトコンピュータ100におけるただ1つのエラーでも航空機を墜落させる可能性がある。
【0022】
図2は、三重冗長飛行制御システムの実施形態を表す図である。三重冗長飛行制御システムは、冗長性を提供するために3つのフライトコンピュータを用いる。図の例では、入力は、フライトコンピュータ_1 200、フライトコンピュータ_2 202、およびフライトコンピュータ_3 204に提供される。フライトコンピュータは、情報を判定部206に提供する。フライトコンピュータは各々、航空機の全てのアクチュエータに対する命令を別々に決定してよい。判定部206は、どの命令をアクチュエータに提供するかを決定するために用いられてよい。判定部206は、ボーティング方式を用いてよい。例えば、フライトコンピュータ_1 200およびフライトコンピュータ_2 202はアクチュエータ_1 208に対して同じ命令を生成するが、フライトコンピュータ_3 204は生成しない場合は、判定部206は、多数のフライトコンピュータが同意した命令を伝達してよい。図の例では、判定部206は、命令をアクチュエータ_1 208、アクチュエータ_2 210、アクチュエータ_3 212、およびアクチュエータ_4 214に提供する。
【0023】
三重冗長飛行制御システムは、航空機の自動操縦における冗長性を提供し、一ヶ所の故障も排除してよい。しかし、システムは、実施するのが複雑で費用がかかりうる。判定部206は、複雑なハードウェアまたは複雑なソフトウェアを備えてよい。判定部206は、そのハードウェアまたはソフトウェアにおいて冗長要素を必要としてよい。システムのハードウェアまたはソフトウェアは、終始冗長性を念頭に設計される必要があるだろう。
【0024】
いくつかの航空機については、非冗長飛行制御システムまたは三重冗長飛行制御システムは、コスト、複雑さ、または安全性の懸念から実行可能ではない。いくつかの航空機は、それらの特性に基づいて飛行制御システムに適した特定の特性を発揮してよい。分散型飛行制御システムは、物理的に冗長な航空機を効率的に利用してよい。
【0025】
図3Aは、分散型飛行制御システムを用いるマルチコプタの実施形態を表す図である。いくつかの実施形態では、マルチコプタは、本質的に不安定である。マルチコプタは、マルチコプタがフリップするのを防ぐために能動制御または自動操縦を必要としてよい。マルチコプタは、単独自動パイロット制御に対するその制御システムにおいて電子装置を必要としてよい。分散型飛行制御システムは、パイロットが手動でマルチコプタを操縦できるのに必要な最低限の自動操縦機能を提供してよい。システムは、姿勢制御または姿勢レート制御を含む、マルチコプタに必要な基本レベルの自動操縦機能を提供してよい。最小限の入力量が提供されると、分散型飛行制御システムは、航空機が制御されていないローリング、ピッチング、またはヨーイングするトルクを引き起こすことを防いでよい。分散型飛行制御システムは、マルチコプタの安定を保つために適した機体のトルクを生成してよい。システムは、全てのアクチュエータ(例えば、モータ)が同じであるマルチコプタなどの航空機において円滑かつ体裁よく用いられてよい。
【0026】
図の航空機は、両側に5つのロータを有する機体300を備える。ロータ302、ロータ306、ロータ310、および、ロータ312、ロータ316、ロータ320は、それぞれ機体300の左側と右側に機体に隣接して設置される。ロータ304およびロータ308は、ロータ302、ロータ306、ロータ310に隣接して設置される。ロータ314およびロータ318は、ロータ312、ロータ316、ロータ320に隣接して設置される。外側のロータ304、ロータ308、ロータ314およびロータ318は、2つの内側のロータ(例えば、機体に隣接するロータ)の間に設置されてよい。ロータの構成は、マルチコプタが広い翼幅を有することを可能にしてよい。
【0027】
マルチコプタのアクチュエータは、ロータを備えてよい。マルチコプタは、冗長駆動してよい。航空機の所望の飛行を維持するために厳密に必要であるよりも多くのロータが存在してよい。例えば、マルチコプタは、10のロータのうち1つが作動していない場合に許容できる飛行性能を実現してよい。航空機は、1つのロータが作動しているが望ましく動作していない場でも所望の飛行を維持することができるように、物理的に冗長であってよい。例えば、航空機は、1つのロータが望ましくない方向に、または望ましくない速度で回転している場合でもフリップオーバーしないだろう。物理的に冗長な航空機は、分散型航空制御システムによく適しうる。
【0028】
いくつかの実施形態では、1つのロータが故障した場合は、航空機は、故障を検出し、トルクのバランスを取るために反対側のロータをオフできる。いくつかの実施形態では、ロータ同士は、連通されていない。いくつかの実施形態では、フライトコンピュータの出力でのクロスカップリングは起こらない。分散型飛行制御システムのフライトコンピュータにおけるフィードバック制御アルゴリズムは、ロータの故障を解決してよい。フライトコンピュータは、機体の位置または完全姿勢を検出してよい。それらは、所望の姿勢を実現するために適切なモータ速度を決定してよい。モータが誤作動して所望の位置が実現されない場合は、システムは、正しい状態が実現されるまで速度または推力を調整し続けてよい。
【0029】
図3Aのマルチコプタは、スモールフォームファクタを有するように設計されてよい。マルチコプタは、低高度および低速で飛行してよい。マルチコプタは、低コストになるように設計されてよい。いくつかの実施形態では、分散型飛行制御システムは、低価格部品から作られた単純な解決策である。システムは、低価格航空機向けに設計されてよい。
【0030】
いくつかの実施形態では、分散型飛行制御システムは、無人航空機に用いられる。例えば、図のマルチコプタは、完全に自動化されてよい。いくつかの実施形態では、分散型飛行制御システムは、有人航空機に用いられる。
【0031】
図3Bは、分散型飛行制御システムを用いるマルチコプタの実施形態を表す図である。図の例では、マルチコプタは、機体350、ならびに、ロータ352、ロータ354、ロータ356、ロータ358、ロータ360、ロータ362、ロータ364、およびロータ366を備える。8つのロータは、機体350の周りに配置される。ロータは、ブームまたはビームによって取り付けられてよい。分散型飛行制御システムは、標準的なマルチコプタにおいて用いられてよい。分散型飛行制御システムは、標準的な航空機において用いられてよい。例えば、システムは、2つの翼を備える航空機において用いられてよい。
【0032】
図4は、分散型飛行制御システムの実施形態を表す図である。図の例では、入力は、フライトコンピュータ_1 400、フライトコンピュータ_2 404、フライトコンピュータ_3 408、およびフライトコンピュータ_4 412に提供される。入力は、所望の姿勢または所望の姿勢レートを含んでよい。入力は、パイロット制御部または上位フライトコンピュータから供給されてよい。
【0033】
フライトコンピュータ_1 400は、入力をアクチュエータ_1 402に提供する。フライトコンピュータ_2 404は、入力をアクチュエータ_2 406に提供する。フライトコンピュータ_3 408は、入力をアクチュエータ_3 410に提供する。フライトコンピュータ_4 412は、入力をアクチュエータ_4 414に提供する。いくつかの実施形態では、フライトコンピュータは、航空機のアクチュエータごとに存在する。各フライトコンピュータは、他のフライトコンピュータを認識しなくてよい。各フライトコンピュータは、それがシステムに存在する唯一のフライトコンピュータであるかのように動作してよい。フライトコンピュータは、互いの間に通信がなく、互いから分離されてよい。システムの全てのフライトコンピュータは、同一であってよい。それらは、同一のハードウェアおよび同一のソフトウェアを備えてよい。フライトコンピュータは、プロセッサ、センサのセット、およびコンピュータアルゴリズムを備えてよい。センサのセットは、レートジャイロ、加速度計、または磁力計を備えてよい。いくつかの実施形態では、フライトコンピュータは、いくつかの集積回路を備えた基板である。例えば、1つの集積回路は、マイクロプロセッサとして機能するが、別の集積回路は、加速度計として機能してよい。各フライトコンピュータは、航空機の全てのアクチュエータに対する命令を決定してよい。フライトコンピュータは、その入力(例えば、所望の姿勢または所望の姿勢レート)および収集したセンサデータに基づいて命令を決定してよい。フライトコンピュータは、航空機のバランスを維持しながら所望の姿勢または所望の姿勢レートを実現するために、アクチュエータに対する命令を決定してよい。例えば、マルチコプタは、本質的に不安定であり、フライトコンピュータが設置するトルク制御ループを必要としてよい。
【0034】
いくつかの実施形態では、各フライトコンピュータは、1つのアクチュエータのみに物理的に接続される。フライトコンピュータに対応するアクチュエータは、そのアクチュエータ向けの命令のみを受信してよい。いくつかの実施形態では、航空機のアクチュエータは、他のアクチュエータから分離される。アクチュエータ同士は、連通されなくてよい。いくつかの実施形態では、フライトコンピュータは、全てのアクチュエータに対する命令を物理的に接続されているアクチュエータに提供する。アクチュエータは、アクチュエータの位置に基づいて正しい命令を利用してよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、分散型飛行制御システムは、構築しやすいまたはプログラムしやすいフライトコンピュータの使用を可能にする。コンピュータは、低価格のプロセッサを備えてよい。分散型飛行制御システムの配線は、フライトコンピュータが分離されているため単純であってよい。1つのフライトコンピュータにおいてエラーが発生した場合は、唯一それに対応するアクチュエータのみが影響を受けてよい。物理的に冗長な航空機であるため、航空機の飛行軌道は、アクチュエータが誤作動した場合も希望通りに進行しうる。アクチュエータごとに別々のフライトコンピュータを用いることで、フライトコンピュータの故障が解決されるアクチュエータレベルに伝わることができる。飛行制御装置または速度制御装置で起こるエラーは、航空機の唯一対応するアクチュエータにおいて望ましくない動作をもたらしうる。冗長駆動する航空機において、アクチュエータの望ましくない動作は、航空機の飛行軌道に大きな影響を与えない。
【0036】
図5は、分散型飛行制御システムにおける接続の実施形態を表す図である。いくつかの実施形態では、飛行制御システムで用いられる配線またはワイヤハーネスは、フライトコンピュータに航空機において利用可能なアクチュエータのサブセットへの命令を提供させる。図の例では、4つのアクチュエータが存在する。分散型飛行制御システムは、4つのアクチュエータを備える航空機に設置されてよい。図の例では、フライトコンピュータ_1 500、フライトコンピュータ_2 504、フライトコンピュータ_3 508、フライトコンピュータ_4 512は各々、4つの出力を生成する。出力は、航空機の各アクチュエータに対する命令であってよい。各フライトコンピュータは、全てのアクチュエータに対する命令を決定してよく、各アクチュエータの命令は、異なる配線で提供される。各フライトコンピュータは、アクチュエータに接続されていない、出力が用いられていない1つ以上の配線を有してよい。例えば、各フライトコンピュータは、アクチュエータに接続されている1つのアクチュエータ命令出力配線を有するが、フライトコンピュータからの全ての他のアクチュエータ命令出力配線は、どのアクチュエータにも接続されていない。図のように、フライトコンピュータ_1 500は、アクチュエータ_1 502に物理的に接続され、他のアクチュエータには接続されていない。フライトコンピュータ_2 504は、アクチュエータ_2 506に物理的に接続され、他のアクチュエータには接続されていない。フライトコンピュータ_3 508は、アクチュエータ_3 510に物理的に接続され、他のアクチュエータには接続されていない。フライトコンピュータ_4 512は、アクチュエータ_4 514に物理的に接続され、他のアクチュエータには接続されていない。
【0037】
図6は、分散型飛行制御システムの実施形態を表す図である。いくつかの実施形態では、分散型飛行制御システムは、複数のレベルのフライトコンピュータを有する。上位フライトコンピュータは、次に下位フライトコンピュータに提供される単純なコマンドのセットへの複雑な命令を減らしてよい。上位フライトコンピュータは、航空機の位置および速度を制御しうるが、下位フライトコンピュータは、航空機の姿勢を制御する。アクチュエータは、下位フライトコンピュータから命令を受信してよい。図の例では、入力は、上位フライトコンピュータ600に提供される。
【0038】
入力は、ユーザインタフェースからの入力を含んでよい。例えば、パイロットは、緯度および経度を入力してよい。入力は、悪天候の場所の回避、人口密度の低い地域上空の飛行、または最短経路の選択に対する定めなどの条件を含んでよい。入力は、複雑な飛行軌道を実行する命令を含んでよい。上位フライトコンピュータは、入力に基づいて航空機にとって適切な速度または位置を決定してよい。上位フライトコンピュータは、所望の速度または位置を実現するために航空機を自動的に針路を決定または制御してよい。上位フライトコンピュータは、入力に基づいて所望の姿勢または所望の姿勢変化比率を決定し、所望の姿勢または所望の姿勢変化比率を下位フライトコンピュータに提供してよい。上位フライトコンピュータ600は、下位フライトコンピュータ_1 602、下位フライトコンピュータ_2 604、下位フライトコンピュータ_3 608、および下位フライトコンピュータ_4 610に与えられる命令を決定する。
【0039】
図のように、下位フライトコンピュータ_1 602は、入力をアクチュエータ_1 612に提供する。下位フライトコンピュータ_2 604は、入力をアクチュエータ_2 614に提供する。下位フライトコンピュータ_3 608は、入力をアクチュエータ_3 616に提供する。下位フライトコンピュータ_4 610は、入力をアクチュエータ_4 618に提供する。下位フライトコンピュータは、ロータの速度、フラップの傾斜角度、使用推力の量、または他の適した要素を決定してよい。下位フライトコンピュータは、完全なフィードバック制御を実施してよい。例えば、下位フライトコンピュータは、航空機の実際の姿勢または姿勢レートを決定し、航空機の所望の姿勢または姿勢レートと比較してよい。下位フライトコンピュータは、次に、存在する場合は2つの値の差を低減させる命令を決定してよい。航空機は、2、10、22、または任意の適した数のアクチュエータを備えてよい。航空機は、等しい数の下位フライトコンピュータを備えてよい。
【0040】
図7は、分散型飛行制御システムのモード切替機構の実施形態を表す図である。いくつかの実施形態では、下位フライトコンピュータは、上位フライトコンピュータによって制御される、または、手動で(例えば、パイロットによって)制御される選択肢を有する。下位フライトコンピュータは、飛行の基準レベルを維持するために、アクチュエータの動作を常に計算してよい。それらは、さらに、上位フライトコンピュータ、または、航空機の飛行軌道を導くパイロットによって与えられた命令を計算に入れてよい。フライトコンピュータは各々、上位フライトコンピュータをリッスンすることから手動制御をリッスンすることにいつ切り替えるかを決定するための独立したコードまたはハードウェアを備えてよい。制御は、上位フライトコンピュータにおいて誤作動が検出された場合、または、ばらつきが検出された場合に、手動モードに切り替わることが望ましい。いくつかの実施形態では、航空機の実態は、追跡されて航空機の所望の状態と比較される。実態が所望の状態を適切に追跡していない場合は、システムは、誤作動が検出されたことを伝えてよい。パイロットの制御は、スイッチ、ボタン、アプリケーション、または、モードを選択する他の手段を含んでよい。
【0041】
いくつかの実施形態では、システムの下位フライトコンピュータは同一である。しかし、各下位フライトコンピュータは、それ自体のセンサのセットを備えてよい。コンピュータは、センサデータを用いてモードの切り替えが必要かどうかを決定してよい。異なる下位フライトコンピュータは、異なる仕様のセンサを備えてよい。下位フライトコンピュータは、航空機の様々な位置に設置されることで、センサデータを多様にしてよい。フライトコンピュータ同士をリンクさせないことで、それらは異なる時間にモードを切り替える決定をしてよい。
【0042】
1つの下位フライトコンピュータが上位のコンピュータをリッスンすることからパイロットラインをリッスンすることに切り替える場合は、全てのフライトコンピュータは、同時に切り替えられてよい。全てのフライトコンピュータについて同じモードを維持することで、航空機のアクチュエータが航空機を効率的に飛行できるようにしてよい。いくつかの実施形態では、分散型飛行制御システムのフライトコンピュータ同士は連通する。フライトコンピュータおよびパイロットラインは、切り替えと連動するバスまたは通信ネットワークによって通信してよい。フライトコンピュータおよびパイロットラインは、論理ゲートを介して電気的に接続されてよい。図の例では、フライトコンピュータ_1、フライトコンピュータ_2、フライトコンピュータ_3、フライトコンピュータ_4、およびパイロットは、ORゲートに対する入力である。いくつかの実施形態では、フライトコンピュータおよびパイロットは、一連のORゲートに対する入力であり、各ORゲートは、2つの入力を有する。いくつかの実施形態では、航空機が1つのモードにあるときは、通信回線は、「低い」と読まれる、または、所定の電圧閾値未満である。フライトコンピュータまたはパイロットがモードを切り替える場合は、フライトコンピュータまたはパイロットの信号は、「高く」なってよい、または、所定の電圧閾値より上になってよい。信号の1つを高くすることで、全ての通信回線が高くなり、全てのフライトコンピュータおよびパイロットのモードを変更する。
【0043】
図8は、モード切替決定プロセスの実施形態を表すフロー図である。800では、フライトコンピュータがモードを切り替えたかどうかが決定される。プロセスは、システムの下位フライトコンピュータのうちのいずれかのフライトコンピュータがモードを切り替えたかどうかを確かめるためにチェックしてよい。モードを切り替えたフライトコンピュータがない場合は、プロセスは800を繰り返す。いくつかの実施形態では、プロセスは、800を繰り返す前に一定の期間中断する。フライトコンピュータがモードを切り替えた場合は、802において全てのフライトコンピュータのモードは切り替えられる。
【0044】
いくつかの実施形態では、800において、フライトコンピュータがモードを切り替えたかどうか、または、モード切り替えの指示を受信したかどうかが決定される。モード切り替えの指示は、パイロットまたは上位フライトコンピュータによって受信されてよい。例えば、上位フライトコンピュータが不正にアクセスされたことを上位フライトコンピュータが検出した場合は、上位フライトコンピュータは、下位フライトコンピュータを自動から手動に自動的に切り替えてよい。信号がパイロットの航空機制御から一定期間受信されない場合は、モードは、手動から上位フライトコンピュータモードに自動的に切り替えられてよい。
【0045】
図9は、航空機における分散型飛行制御システムの実施形態を表す図である。いくつかの実施形態では、システムは、2つのブームおよび機体を備える航空機によって用いられてよい。システムは、2つのブームに搭載されるロータを備えるマルチコプタで用いられてよい。図3のマルチコプタは、2つのブームまたはポンツーンの上方に設置されてよい。ブームは、膨張式または軽量であり、航空機を水上に着水できるようにしてよい。パイロットは、機体内に位置してよい。
【0046】
図の例では、分散型飛行制御システムの主な要素は、機体975に格納されている。マスタボード974は、機体975に位置する。マスタボード974は、バックプレーンとして機能してよい。システムの下位フライトコンピュータは、共通の回路基板上に配置されてよい。下位フライトコンピュータは、マスタボードに接続されてよい。図の例では、下位フライトコンピュータ950、954、958、962、966、952、956、960、964、968は、マスタボード974に搭載される。下位フライトコンピュータは、互いに電気的に分離されてよい。それらは、別々の電源に接続されてよい。下位フライトコンピュータは、センサのセットを備えるマイクロコントローラであってよい。センサは、磁力計、レートジャイロ、または加速度計などの一般的なスマートフォンセンサを備えてよい。下位フライトコンピュータは、それらのセンサから正確なデータを収集するために、航空機の機体の中央に搭載されてよい。上位フライトコンピュータ970もマスタボード974に搭載される。全地球測位システム971、レーダ972、およびカメラ973もマスタボード974に搭載され、データを上位フライトコンピュータ970に提供する。カメラ973は、ステレオカメラまたは赤外線カメラを含んでよい。ライダまたはソナなどの他のセンサも、データをマスタボードに提供してよい。
【0047】
図の例では、表示部942は、機体に存在する。表示部は、飛行情報を航空機のパイロットに提供してよい。表示分は、例えばタッチスクリーンによって、パイロットが航空機を制御できるようにしてよい。モードスイッチ944、パイロット制御部946、およびキルスイッチ948も機体に存在する。モードスイッチ944は、ボタン、スイッチ、または、パイロットが手動モードと上位フライトコンピュータ自動モードとの間で切り替えが可能な他の制御部を備えてよい。キルスイッチ948は、パイロットが全てのロータなど航空機の全てのアクチュエータへの電力を停止できるようにしてよい。パイロット制御部946は、航空機の位置を調節するためにパイロットが操作する1つ以上の対象物を備えてよい。例えば、操縦桿、操縦ハンドル、ペダル、レバー、または他の適切な制御部が用いられてよい。いくつかの実施形態では、起動ボタンが存在してよい。起動ボタンは、システムの電源をオンするために用いられてよい。パワーアップ機構およびパワーダウン機構は、誤作動を誘発する可能性を低下させるために物理的に分離されてよい。
【0048】
図の例では、上位フライトコンピュータ970は、パイロット制御部およびセンサから入力を受信する。上位フライトコンピュータは、パイロット制御部およびセンサの情報に基づいて下位フライトコンピュータに命令を提供してよい。例えば、航空機が自動モードにある間にパイロットが航空機の方向を急変させる場合は、上位フライトコンピュータは、直ちにパイロット制御部の入力が航空機の以前の経路に優先するようにしてよい。
【0049】
いくつかの実施形態では、下位フライトコンピュータは、ロータに接続される。下位フライトコンピュータは、ロータにも給電するバッテリによって給電されてよい。バッテリは、他のロータまたはフライトコンピュータから分離されてよい。図の例では、下位フライトコンピュータ952は、入力を電子速度制御装置978に提供する。電子速度制御装置978は、ロータ979に接続される。電子速度制御装置は、ロータが回転する速度を決定してよい。電子速度制御装置978は、バッテリ977を管理するバッテリ管理システム976と連通してよい。制御装置およびバッテリ管理システムは、アナログ接続を共有してよい。ロータ速度の増加は、より多くのバッテリ電源を用いることを含んでよい。
【0050】
図の例では、下位フライトコンピュータ952、956、960、964、968は、右側ブーム998に位置する5つのロータを制御する。下位フライトコンピュータ956は、ロータ983を制御する電子速度制御装置982を制御する。バッテリ981は、バッテリ管理システム980によって管理される。バッテリ981は、ロータ983および下位フライトコンピュータ956に給電する。下位フライトコンピュータ960は、電子速度制御装置986、ロータ988、バッテリ管理システム984、およびバッテリ985に対応する。下位フライトコンピュータ964は、電子速度制御装置992、ロータ993、バッテリ管理システム990、およびバッテリ991に対応する。下位フライトコンピュータ968は、電子速度制御装置996、ロータ997、バッテリ管理システム994、およびバッテリ995に対応する。
【0051】
図の例では、下位フライトコンピュータ950、954、958、962、966は、左側ブーム940に位置する5つのロータを制御する。下位フライトコンピュータ950は、ロータ904を制御する電子速度制御装置906を制御する。バッテリ900は、バッテリ管理システム902によって管理される。バッテリ900は、ロータ904および下位フライトコンピュータ950に給電する。下位フライトコンピュータ954は、電子速度制御装置914、ロータ912、バッテリ管理システム910、およびバッテリ908に対応する。下位フライトコンピュータ958は、電子速度制御装置922、ロータ920、バッテリ管理システム918、およびバッテリ916に対応する。下位フライトコンピュータ966は、電子速度制御装置930、ロータ928、バッテリ管理システム926、およびバッテリ924に対応する。下位フライトコンピュータ966は、電子速度制御装置938、ロータ936、バッテリ管理システム934、およびバッテリ932に対応する。
【0052】
いくつかの実施形態では、各下位フライトコンピュータは、直列接続によって電子速度制御装置に接続される。各下位フライトコンピュータは、飛行制御システムの他の接続から分離される別々の直列接続を有してよい。例えば、1つの下位フライトコンピュータと1つの電子速度制御装置との間の1つの直列接続における漏電は、飛行制御システムの他の下位フライトコンピュータまたは他の電子速度制御装置に影響を与えないだろう。
【0053】
パイロット制御部946は、アナログ接続によって上位フライトコンピュータ970に接続されてよい。いくつかの実施形態では、パイロット制御部の入力は、手動モードの間に上位フライトコンピュータに最初に入力されてよい。上位フライトコンピュータは、コマンドが下位フライトコンピュータに与えられる前に、パイロット指示を強化してよい。例えば、パイロットは、航空機がその現在の位置で静止を続けることを希望するときは、全てのパイロット指示を解除してよい。上位の飛行制御装置は、高度制御を行って、航空機が定位置から偏流されるのを防いでよい。手動モード中に上位の飛行制御装置を用いることで、航空機の位置がより正確に制御できるようになってよい。しかし、分散型飛行制御は、パイロット入力が下位フライトコンピュータに直接提供されるようにしてよい。図のように、パイロット制御部は、追加的に下位フライトコンピュータに独立して接続される。上位フライトコンピュータが故障した場合は、パイロットは、入力を下位フライトコンピュータに直接提供できる。
【0054】
分散型飛行制御システムの電子速度制御装置およびバッテリ管理システムは、イーサネット(登録商標、以下同じ)を介して接続されてよい。いくつかの実施形態では、電子速度制御装置およびバッテリ管理システムは、イーサネットネットワークを通じて、バッテリの状態、生成される熱量、または他の適した情報に関する情報を提供する。下位フライトコンピュータも、そのネットワークの一部であってよい。構成要素は、イーサネットスイッチに接続されてよい。Wi−Fi無線は、イーサネットネットワークに接続され、分散型飛行制御システムの構成要素についての情報をパイロットまたは地上に提供してよい。
【0055】
図10は、分散型飛行制御システムプロセスを表すフロー図である。プロセスは、システムの1つの下位フライトコンピュータによって実施されてよい。1000では、パイロット入力または上位フライトコンピュータ入力が受信される。1002では、全てのアクチュエータに対して対応する命令が決定される。下位フライトコンピュータは、受信した命令を達成し、所望の飛行の基準レベルも維持するために、航空機の全てのアクチュエータの位置または動作を決定してよい。1004では、アクチュエータ命令が1つのアクチュエータに提供される。下位フライトコンピュータは、1つのアクチュエータのみに物理的に接続されてよい。
【0056】
図11は、分散型飛行制御システムのフライトコンピュータの実施形態を表す図である。下位フライトコンピュータ1116は、センサのセットおよびプロセッサ1114を備える。図の例では、レートジャイロ1100、加速度計1102、磁力計1104、および気圧計1106は、センサデータをプロセッサ1114に提供する。プロセッサは、マイクロコントローラを備えてよい。プロセッサ1114は、姿勢推定器1108、姿勢制御装置1110、および状態機械112を備える。図のように、センサデータは、姿勢推定器1108に提供される。
【0057】
姿勢推定器は、提供されたセンサデータに基づいて航空機のおおよその実姿勢を決定してよい。姿勢推定値は、姿勢制御装置1110に提供される。図のように、姿勢制御装置1110は、状態機械1112から所望の姿勢を受信する。姿勢制御装置1110は、所望の姿勢と姿勢推定値との間に差が存在するかどうかを決定してよい。姿勢制御装置は、所望の姿勢に整合させるために、航空機の実姿勢の変更を意図したアクチュエータコマンドを決定してよい。姿勢制御装置1110は、アクチュエータコマンドを状態機械1112に提供する。
【0058】
状態機械1112は、所望の姿勢およびアクチュエータコマンドを受信する。所望の姿勢は、パイロットまたは上位フライトコンピュータによって提供されてよい。状態機械は、どの所望の姿勢を姿勢制御装置に提供するかを決定してよい。例えば、状態機械は、飛行制御システムが上位フライトコンピュータの制御時に自動モードに設定された場合は、パイロットからの入力を無視してよい。状態機械1112は、航空機に対するアクチュエータコマンドを出力する。いくつかの実施形態では、状態機械1112は、プロセス制御機構として機能する。例えば、状態機械は、航空機が着地し、飛行制御が行われるべきでない場合は、アクチュエータコマンドが送信されるのを防いでよい。提供されるコマンドは、航空機に基づいて異なるタイプのアクチュエータで変化してよい。例えば、モータコマンドは、マルチコプタに対して提供されてよい。
【0059】
いくつかの実施形態では、データは、プロセッサ1114によって収集され、上位フライトコンピュータに提供される。データは、センサデータまたは位置データを含んでよい。データは、ロギングのために用いられてよい。いくつかの実施形態では、航空機のアクチュエータは、システムの上位フライトコンピュータと連通してよい。アクチュエータは、その調子について報告してよい。システムは、故障したアクチュエータまたは誤作動したアクチュエータを他のアクチュエータで補うために、アクチュエータ調子情報を用いてよい。状態を折り返し報告することで、航空機が繰り返しのデフォルト方法より速く故障に適応できるようにしてよい。デフォルトによって、システムは、所望の飛行位置または軌道が達成されるまで、アクチュエータへの命令を繰り返してよい、または、継続して調整してよい。
【0060】
図12は、分散型飛行制御システムフローの実施形態を表す図である。図の例では、スイッチ1200は、上位フライトコンピュータの所望の姿勢およびパイロットの所望の姿勢を受信する。スイッチ1200は、飛行制御システムが手動モードか自動モードかに基づいて、総和ブロック1202に伝えるための所望の姿勢を決定してよい。総和ブロック1220は、所望の姿勢および姿勢推定を受信し、姿勢エラーまたはその2つの間の差を決定してよい。姿勢推定は、航空機の実姿勢の推定であってよい。図の姿勢制御装置1204は、姿勢エラーを受信し、姿勢エラーに基づいて航空機に対するアクチュエータコマンドを生成する。コマンドは、姿勢エラーをなくすように決定されてよい。アクチュエータコマンドは、安全ブロック1206に提供される。安全ブロック1206は、航空機が既に着地した、離陸シーケンスにある、または着陸シーケンスにある場合は、コマンドがアクチュエータに送信されるのを防いでよい。航空機がアクチュエータコマンドを受信する用意がある場合は、アクチュエータコマンドは、安全ブロックによって航空機1208に提供される。航空機のアクチュエータは、その状態についての情報をセンサ1210に提供してよい。例えば、アクチュエータが位置を変更したという信号が送信されてよい。いくつかの実施形態では、航空機のアクチュエータは、受信したコマンドに基づいて位置を変更し、センサは、位置の変化を検出する。情報は、航空機からセンサに明示的に送信されなくてよい。センサ1210は、センサデータを姿勢推定器1212に提供する。姿勢推定器1212は、受信したセンサデータを処理してよい。例えば、姿勢推定器は、信号ノイズは無視してよい。姿勢推定器1212は、センサデータに基づいて航空機の姿勢の推定値を決定してよい。姿勢推定器1212は、姿勢推定値を1202に提供してよい。いくつかの実施形態では、スイッチ1200および安全ブロック1206は、1つのソフトウェアブロック(例えば、状態機械)によって実行される。
【0061】
いくつかの実施形態では、下位フライトコンピュータの数は、アクチュエータの数より少なくてよい。例えば、各下位フライトコンピュータは、マルチコプタの2つのロータを制御してよい。2つのロータは、互いに向かい合ってよい。下位フライトコンピュータが故障した場合は、航空機はバランスを保つため、航空機が受ける悪影響はわずかだろう。
【0062】
上述の実施形態は、明確な理解のためにある程度詳細に説明されたが、本発明は、記載の詳細に限定されない。本発明を実施する多くの他の方法がある。開示の実施形態は、例示的であり、制限的でない。本発明は以下の適用例としても実現できる。
[適用例1]
飛行制御システムであって、
プロセッサであって、
1つ以上の入力に応答して航空機の状態を変更するために、複数のアクチュエータの各々に対してコマンドのセットを生成し、
前記コマンドのセットを、前記複数のアクチュエータを含む全てより少ないアクチュエータに提供するように構成された、プロセッサ
を備える、飛行制御システム。
[適用例2]
適用例1に記載のシステムであって、
前記プロセッサは、対応するセンサのセットを有する、システム。
[適用例3]
適用例1に記載のシステムであって、
前記プロセッサは、対応するセンサのセットを有し、前記コマンドのセットは、前記センサのセットからのセンサデータに応答して生成される、システム。
[適用例4]
適用例1に記載のシステムであって、
前記プロセッサは、レートジャイロ、加速度計、磁力計、または気圧計を備える、対応するセンサのセットを有する、システム。
[適用例5]
適用例1に記載のシステムであって、
前記複数のアクチュエータは、前記複数のアクチュエータのゼロまたは1つのアクチュエータが作動してない場合に、前記航空機における飛行を可能にするように構成される、システム。
[適用例6]
適用例1に記載のシステムであって、
前記プロセッサは、1つのアクチュエータのみに物理的に接続される、システム。
[適用例7]
適用例1に記載のシステムであって、
前記複数のアクチュエータに対してコマンドのセットを生成し、前記コマンドのセットを前記複数のアクチュエータを含む全てより少ないアクチュエータに提供するように構成された1つ以上の追加のプロセッサを備える、システム。
[適用例8]
適用例7に記載のシステムであって、
等しい数のプロセッサとアクチュエータとを備える、システム。
[適用例9]
適用例1に記載のシステムであって、
前記複数のアクチュエータの1つのアクチュエータは、ただ1つの対応するプロセッサからコマンドを受信する、システム。
[適用例10]
適用例1に記載のシステムであって、
前記プロセッサは、基本的な自動操縦能力を提供する、システム。
[適用例11]
適用例1に記載のシステムであって、
前記プロセッサは、姿勢制御および姿勢レート制御を実行する、システム。
[適用例12]
適用例11に記載のシステムであって、
前記プロセッサは、パイロットから入力を受信する、システム。
[適用例13]
適用例11に記載のシステムであって、
前記プロセッサは、上位フライト命令を処理するように構成されたプロセッサから入力を受信する、システム。
[適用例14]
適用例1に記載のシステムであって、
前記プロセッサは、自動モードとパイロット制御モードとの間で切り替えが可能である、システム。
[適用例15]
適用例14に記載のシステムであって、
前記プロセッサは、自動モードの上位プロセッサから入力を受信し、パイロット制御モードのパイロット制御部から入力を受信する、システム。
[適用例16]
適用例14に記載のシステムであって、
前記プロセッサおよび1つ以上の追加のプロセッサは、モードを同時に切り替えるように構成されている、システム。
[適用例17]
適用例14に記載のシステムであって、
前記プロセッサおよび1つ以上の追加のプロセッサは、パイロット指示に基づいてモードを切り替えるように構成されている、システム。
[適用例18]
適用例15に記載のシステムであって、
前記複数のアクチュエータのアクチュエータは、状態を前記上位プロセッサに報告する、システム。
[適用例19]
適用例7に記載のシステムであって、
前記プロセッサは、電気的に分離されている、システム。
[適用例20]
適用例1に記載のシステムであって、
前記航空機は、マルチコプタを含む、システム。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12