特許第6837169号(P6837169)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6837169
(24)【登録日】2021年2月10日
(45)【発行日】2021年3月3日
(54)【発明の名称】ブラシクリーナー
(51)【国際特許分類】
   A46B 15/00 20060101AFI20210222BHJP
   A45D 24/30 20060101ALI20210222BHJP
【FI】
   A46B15/00 Z
   A45D24/30
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2020-53399(P2020-53399)
(22)【出願日】2020年3月5日
【審査請求日】2020年3月5日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520101993
【氏名又は名称】天谷 水咲
(72)【発明者】
【氏名】天谷 水咲
【審査官】 柿沼 善一
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭62−015238(JP,U)
【文献】 実開昭61−082432(JP,U)
【文献】 実開平06−082930(JP,U)
【文献】 特開2001−245727(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3037334(JP,U)
【文献】 実開昭58−049934(JP,U)
【文献】 特開2007−021167(JP,A)
【文献】 実開昭57−090640(JP,U)
【文献】 実開昭63−191930(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A46B 1/00−17/08
A45D 24/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部(11)と持ち手部(12)とから成り、前記ベース部(11)の取り付け面(T)には、複数の凹部(11a)を備えると共に、少なくとも前記凹部(11a)の周囲がエラストマー材料から成るクリーナー本体(1)と;軸部(21)の両端に繊維集合体(22)を備えた綿棒(2)と;を含んで構成され、
前記クリーナー本体(1)の凹部(11a)に対して、前記綿棒(2)の一端部が、凹部(11a)内を弾性変形させた状態で繊維集合体(22)から軸部(21)まで差し込まれて脱着自在に固定されていることを特徴とするブラシクリーナー。
【請求項2】
前記ベース部(11)の取り付け面(T)に、複数の凹部(11a)が、直交する二方向に均等間隔で並んでいることを特徴とする請求項1記載のブラシクリーナー。
【請求項3】
前記クリーナー全体(1)が、表裏一方の面に取り付け面(T)が形成された厚板状の形態から成り、更にこのクリーナー本体(1)の両側面に持ち手(12)として指かけ溝が厚板の長さ方向に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のブラシクリーナー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘアブラシに挟まった髪の毛や埃を取り除くのに好適なヘアブラシクリーナーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ヘアブラシに付着した、或いは絡まった髪の毛や埃、汚れを取り除く器具として、本体部上に複数の突起が並んだくし状またはブラシ状の掃除具(以下、「ブラシクリーナー」という)が知られている(特許文献1〜2参照)。これら従来のブラシクリーナーは、本体部を手で持って、突起の先端部をヘアブラシの根元部分に接触させた状態で本体部をヘアブラシの根元部分に沿ってスライドさせることで、ヘアブラシを綺麗に掃除することができる。
【0003】
また従来においては、上記ブラシクリーナーの持ち運びや保管をヘアブラシと一緒に行えるように、ブラシクリーナーをヘアブラシの本体内に部品として収納する技術も公知となっている(特許文献3参照)。この従来技術では、ヘアブラシの衛生状態が悪くなる度にヘアブラシの本体内からブラシクリーナーを取り出してヘアブラシの掃除を行うことができる。
【0004】
他方、従来においては、ブラシクリーナーではないものの、ブラシ具として複数の綿棒が本体部に並べて固定されたヘアブラシも提案されている(特許文献2参照)。またこのヘアブラシに関しては、本体部に取り付けられた綿棒が使用により汚れた際、綿棒の基部が固定された取り換えシートを交換することで、丸ごと新しい綿棒に取り換えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭62−15238公報
【特許文献2】実開昭51−4562公報
【特許文献3】実開昭47−36658公報
【特許文献4】実開昭61−82432公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
「特許文献1〜3に記載された従来技術の課題」
上記特許文献1〜3に記載されたブラシクリーナーは、ヘアブラシの髪の毛や埃等を取り除くことができるが、その取り除いた髪の毛や埃等がブラシクリーナーの突起に付着、または絡まってしまった場合、再使用するにはヘアブラシを掃除するのと同じようにその髪の毛や埃等をブラシクリーナーから綿棒などを使って取り除かなければならなくなり面倒である。
【0007】
「特許文献4に記載された従来技術の課題」
また上記特許文献4に記載されたヘアブラシは脱着可能な各先端部を本体の取り付け面に設けるヘアブラシであり、本体に綿棒その他吸湿性部材が固定できるように本体の取り付け面に備える凹部が綿棒その他吸湿性部材の形状に合わせているとは限らない上に、取り付け面に差し込む綿棒その他吸湿性部材の一端部が繊維集合体を備えていて抜け止めの役割を果たしているとも限らない。また凹部自体が本体の取り付け面に備わっているどうかが不明であり、ヘアブラシ本体と綿棒その他吸湿性部材とが不安定にならず確実に接着するとは限らない。よって本体に綿棒その他吸湿性部材が装着できても、使用する際にかかる横方向の力に弱く、差し込んだ綿棒その他吸湿性部材が倒れやすく外れやすい。したがって使用中に綿棒その他吸湿性部材が本体の取り付け面から抜けるときがある。その上綿棒その他吸湿性部材を交換する際、倒れやすく外れやすいが故に一本ずつ綿棒その他吸湿性部材を抜こうすると交換しなくてもよい部分でも抜けてしまい、一部の綿棒その他吸湿性部材の交換が困難である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記の問題を踏まえて、ブラシクリーナーを、ベース部11と持ち手部12とから成り、前記ベース部11の取り付け面Tには、複数の凹部11aを備えると共に、少なくとも前記凹部11aの周囲がエラストマー材料から成るクリーナー本体1と;軸部21の両端に繊維集合体22を備えた綿棒2と;を含んで構成し、前記クリーナー本体1の凹部11aに対して、前記綿棒2の一端部を、凹部11a内を弾性変形させた状態で差し込まれて脱着自在に固定することにより課題を解決した(※詳細は発明の効果で説明する)。
【0009】
スライドして使用する際に綿棒2からの圧力がブラシの根元部分にかかると同時にその分綿棒2にもブラシの根元部分からの圧力がかかる為、複数の凹部11aを均等間隔に並べないと一部の綿棒2だけに過度な圧力がかかり、破損する綿棒2が発生する。また本発明においては、上記ベース部11の取り付け面Tに、複数の凹部11aを直交する二方向に均等間隔で並べることで、綿棒2に対するブラシの根元部分からの圧力が均等に分散され、使用中に綿棒2が破損することがない。
【0010】
また本発明では、上記クリーナー本体1を、表裏一方の面に取り付け面Tが形成された厚板状の形態から構成し、更にこのクリーナー本体1の両側面に持ち手部12として指かけ溝を厚板の長さ方向に形成することにより、クリーナー本体1の取り付け面Tをブラシの根元部分に確実に真上から接触させることができる上に、スライドして使用する際にブラシの根元部分にかける力を調節することができる。よってヘアブラシをより綺麗に掃除することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明においては、クリーナー本体に差し込んだ綿棒の繊維集合体をヘアブラシの根元部分に接触させた状態でクリーナー本体をヘアブラシの根元部分に沿ってスライドさせることによって、ヘアブラシに挟まった髪の毛や埃を取り除くことができる。綿棒を差した状態のクリーナー本体の上から、使用面を下にした状態のヘアブラシを置くこともできる。さらにブラシクリーナーの各先端部となる綿棒を脱着可能にすることによって、ブラシクリーナーの衛生状態が悪くなった時に綿棒をクリーナー本体から抜くことでブラシクリーナーに挟まった髪の毛や埃を取り除くことができる。
【0012】
またブラシクリーナーに髪の毛や埃等がひどく絡まって挟まっている場合はひどく絡まっている範囲の部分の各綿棒を同時に抜くことによって簡単に取り除くことができる。さらに空いているヘアブラシ本体の凹部に新しい綿棒を差すことでクリーナー本体を再使用できる。髪の毛や埃等がひどく絡まっているのが原因で使用中に動かす力と反対方向の髪の毛や埃等の力がかかって綿棒が抜けてしまうことがなくなる。
【0013】
本体の凹部が差し込む綿棒の形状に合わせ本体の凹部に差し込む綿棒の一端部が繊維集合体を備えていることによって繊維集合体が抜け止めの役割を果たし、綿棒が本体の凹部から抜けることはない。また使用する際にかかる横方向の力に強くなっているので、差し込んだ綿棒が倒れたり外れたりにくくになる。よって使用中に綿棒が本体の取り付け面から抜けることはない。また差し込んだ綿棒が倒れたり外れたりしにくくなったので一部の綿棒の交換が容易になり、交換したい綿棒だけを本体から抜くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明のブラシクリーナーを表す全体斜視図である。
図2】本発明の第一実施形態のブラシクリーナーを表す断面説明図である。
図3】本発明の第二実施形態のブラシクリーナーを表す全体斜面図である。
図4】本発明の第三実施形態のブラシクリーナーを表す全体斜面図である。
図5】本発明の第四実施形態のブラシクリーナーを表す全体斜面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
「第一実施形態」
[1]全体構成について
図1及び図2に本発明に係るブラシクリーナーの第一実施形態を示す。図1においてブラシクリーナーは、クリーナー本体1がベース部11と持ち手部12で構成されており、クリーナー本体1の双方の幅の長さが長い方の曲面を持ち手部12とする。厚板状のクリーナー本体1の取り付け面Tに複数の凹部11aを形成してベース部11を設けると共に、図2に示すように取り付け面Tの各凹部11aに綿棒2の一端部を脱着可能に差し込んで構成している。綿棒2の両端に繊維集合体22が付属している。
【0016】
[2]使用方法について
本実施形態の場合、凹部11aに綿棒2を差し込むことによって綿棒2が抜けることはない。綿棒2を差した状態のクリーナー本体1の双方の取っ手部12を手でつかみ、凹部11aがない面を手の平にあてたまま持って使用する。クリーナー本体1に差し込んだ綿棒2の繊維集合体22をヘアブラシの根元部分に接触させた状態でクリーナー本体1をヘアブラシの根元部分に沿ってスライドさせる。これによりヘアブラシに挟まった髪の毛や埃を取り除くことができる。凹部11aから綿棒2を抜いて交換でき、クリーナー本体1を再使用することが可能である。綿棒2を差した状態のクリーナー本体1の上から、使用面を下にした状態のヘアブラシを置くことができる。
【0017】
[3]クリーナー本体について
本実施形態ではクリーナー本体1の全体がエラストマー材料で構成されているが、少なくとも凹部11aの周囲がエラストマー材料であれば、全体がエラストマー材料だけでなく部分でもよく、その他の部分がシリコーンゴムだけでなく合成ゴム、天然ゴム、熱可塑性エラストマー、軟質樹脂で構成されていてもよい。本実施形態ではクリーナー本体1の取り付け面は長方形状の厚板状であるが、他の形態で取り付け面Tが楕円形状、多角形状の厚板状でもよい。本実施形態ではベース部11の凹部11aが幅に3つ×長さ方向5つ、合計15個並んでいるが、凹部11aが一定間隔で配置であれば、他の形態で凹部11aの数、配置は自由である。
【0018】
本実施形態ではクリーナー本体1の幅が長い方の曲面を持ち手部12としているが、持ち手部12が凹部11aがある面以外のクリーナー本体1に接続されているのであれば、他の形態で持ち手部12がクリーナー本体1の外側に接続した状態でもよい(※詳細は後述する)。また持ち手部12は全周に曲面上の窪みを設けるだけでなく、部分的でもよい。
【0019】
本実施形態では凹部11aの横断面形状は縦長の直方体であるが、綿棒2の一端部が凹部11a内を弾性変形させた状態で差し込まれて脱着自在に固定できる形状であれば、自由である。凹部11aの深さ及び穴径は綿棒2の繊維集合体22の長さと直径とが合うのであれば、自由である。
【0020】
[4]綿棒について
本実施形態では繊維集合体22が綿材料で構成されていて細長い楕円体状であるが、繊維集合体22が不織布状に繊維が絡んだものであり、綿棒2の一端部が凹部11a内を弾性変形させた状態で差し込まれて脱着自在に固定できる形状であればよい。また繊維集合体22の形状は自由である。繊維集合体22の材料は脱脂綿以外のポリエステル繊維でもよく、本実施形態では綿棒2の軸部21が紙材料であるが、木や紙、プラスチックでもよい。
【0021】
「第二実施形態」
[1]全体構成について
図3に本発明に係るブラシクリーナーの第二実施形態を示す。本実施形態では、厚板状のベース部11の端部に棒状の持ち手部12を設けてクリーナー本体1を構成している。また持ち手部12はエラストマーか硬質材料であればよく、形状は持ち手部12のベース部11との接続部分付近の側面の双方でに曲面上の窪みがあり、ベース部11との接続部分遠方が丸みが帯びている。持ち手部12を真上から見るとこぼれそうな雫のような形状である。曲面上の窪みを指でつまむようにつかみ、その部分の下にあたるベース部11との接続部分遠方を手で包むようにするとクリーナー本体1を持つことができる。第一実施形態では使用してヘアブラシクリーナーの衛生状態が悪くなった場合、持ち手部12と取り付け面Tとの距離が近い為に取り付け面Tに絡まった髪の毛や埃が手に触れることがある。これでは使用中に手を汚してしまう可能性がある。本実施形態であることにより、持ち手12と取り付け面Tとの距離が遠くなり、ヘアブラシクリーナーの衛生状態が悪くなった場合にも完全に手を汚すことがなく使用することができる。第一実施形態その他の構成については、第一実施形態と同様である。
【0022】
「第三実施形態」
[1]全体構成について
図4に本発明に係るブラシクリーナーの第三実施形態を示す。細長い直方体のベース部11の下に半月状の持ち手部12を設けてクリーナー本体1を構成している。取り付け面Tの縦横比が大きく、凹部11を一列に並べて形成している。表面側に取り付け面T、裏面側に半月状の持ち手部12を設けていることによって、ベース部11と持ち手部12の体積を最小限にすることができ、クリーナー本体1全体をコンパクトにできる。よって持ち運びやすくなり、いつでもどこでもブラシクリーナーを使うことができる。その他の構成については、第一実施形態と同様である。
【0023】
「第四実施形態」
「1」全体構成について
図5に本発明に係るブラシクリーナーの第四実施形態を示す。小型の直方体のベース部11の下に棒状の持ち手部12を設けてクリーナー本体1を構成している。また持ち手部12の材料と形状は第二実施形態と同様である。表面側に取り付け面T、裏面側に棒状の持ち手部12を設けることにより、クリーナー本体1全体がコンパクトになって持ち運びやすくなる上に、凹部11の数が二つしかないのでブラシの一部だけを掃除したい時に最適で一部を重点的に掃除することができる。さらに綿棒の使用本数も減らせて資源の無駄がなくなる。その他の構成については、第一実施形態と同様である。
【符号の説明】
【0024】
1 クリーナー本体
11 ベース部
11a 凹部
12 持ち手部
2 綿棒
21 軸部
22 繊維集合体
T 取り付け面
【要約】
【課題】取り除いた髪の毛や埃等がブラシクリーナーの突起に付着、または絡まってしまった場合でも再使用でき、一部の綿棒の交換が容易であり、使用中に綿棒が本体の取り付け面から抜けず、ヘアブラシに挟まった髪の毛や埃を取り除くのに好適なヘアブラシクリーナーを提供する。
【解決手段】ベース部11と持ち手部12とから成り、前記ベース部11の取り付け面Tには、複数の凹部11aを備えると共に、少なくとも前記凹部11aの周囲がエラストマー材料から成るクリーナー本体1と;軸部21の両端に繊維集合体22を備えた綿棒2と;を含んでブラシクリーナーを構成する。前記クリーナー本体1の凹部11aに対して、前記綿棒2の一端部を、凹部11a内を弾性変形させた状態で差し込まれて脱着自在に固定する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5