(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
気流発生装置と、該気流発生装置が発生した気流の流路を内部に形成する送風管と、該送風管内の気流の方向を切替え制御する切替ユニットと、前記気流発生装置、及び前記切換ユニットを制御する制御手段と、
前記送風管内を流れる気流を受けて前記送風管内を走行する移動体と、
少なくとも一部が前記送風管に沿って前記送風管に隣接配置された搬送体経路と、
紙葉を保持可能に構成されて前記搬送体経路内を走行する搬送体と、
前記搬送体経路の端部に設けられた端部停止位置に向けて移動してきた前記搬送体を該端部停止位置にて停止させ、且つ該端部停止位置を越えて移動することを禁止するストッパと、
を備え、
前記移動体は移動体側磁性体を備え、前記搬送体は搬送体側磁性体を備え、
前記移動体側磁性体と前記搬送体側磁性体が近接位置関係にあるときに前記移動体側磁性体と前記搬送体側磁性体との間に作用する磁力に基づく反発により、前記移動体の移動に連動して前記搬送体を移動させる構成を備え、
前記制御手段は、
前記移動体が前記近接位置関係にある前記搬送体を所定の方向に移動させている過程で前記搬送体が途中停止したことにより前記移動体が先行移動して前記近接位置関係の範囲内から離脱したときに、前記移動体により前記搬送体を元の走行方向とは逆方向へ移動させて所定の前記端部停止位置に停止させ、且つ前記ストッパにより前記元の走行方向とは逆方向への移動を禁止し、
その後、前記移動体だけを前記搬送体から更に離間する方向へ走行させて一旦停止させてから前記反発力に抗し得る速度にて前記搬送体に向けて走行させることにより前記移動体を前記近接位置関係の範囲内に復帰させることを特徴とする紙葉搬送システム。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を図面に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0011】
A.第1の本発明に係る紙葉搬送システム
以下に第1の本発明に係る紙葉搬送システムの基本的構成、及び動作について説明する。
紙葉搬送システムは、パチンコ、パチスロ等の各種遊技機を設置した遊技場における島設備に設置される。以下の実施形態では紙葉の一例として紙幣を中心に説明するが、金券、商品券等の有価証券、カード、その他、紙幣以外の紙葉(シート)にも本発明を適用することができる。
【0012】
〔島設備の概略構成〕
図1は、複数の遊技機を含む島設備の概略構成を示す斜視図である。
各遊技機1は、島設備L(L1、L2…)に設置され、各島設備Lの対向する2つの側面に8台ずつ、合計16台の遊技機1が背中合わせに配置されている。なお、各島設備Lの間には、遊技者又は遊技場の店員が通行する通路が設けられ、各通路には遊技機1毎に椅子(図示省略)が設けられる。
各島設備Lには、遊技機1毎に台間機2が設置される。台間機2は、投入された紙幣を受け入れる紙幣挿入口(紙幣投入部)、及び、投入された紙幣の金額に応じた個数のパチンコ球を払い出す遊技媒体払出装置等を備える。図示する島設備Lには、台間機2から挿入された紙幣を島設備Lの一端部に配置された金庫ユニット700に搬送する紙幣搬送システム10が設置されている。
【0013】
図2は、複数の遊技機を含む島設備の概略構成を示す平面図である。
島設備Lに設置された紙幣搬送システム10は、台間機2の紙幣挿入口から挿入された紙幣を内部に受け入れる受入ユニット(紙幣受入れ装置)600、島設備Lの長手方向(遊技機1の配列方向)に延在し、受入ユニット600が受け入れた紙幣を搬送する搬送管400、及び、搬送管400の一方端に配置される金庫ユニット700等を備える。
【0014】
〔紙幣搬送システムの概略構成〕
<全体概要>
図3は、紙幣搬送システムの概略構成を示す模式図である。第1の本発明の一実施形態に係る紙幣搬送システム(紙葉の搬送機構)10は、空気流と磁力を利用して紙幣を搬送する点に特徴がある。
紙幣搬送システム10は、気体の流路(気流路101)を形成する送風管100と、送風管100内を所定方向に流れる気流を受けて送風管100内を走行する(移動する)移動体200と、送風管100内を流れる気流を制御する送風制御ユニット300と、少なくとも一部が送風管100に沿って送風管100に隣接配置された搬送管400(搬送路401)と、紙幣(紙葉)を保持可能に構成されて搬送管400内を走行する(移動する)搬送体500と、を備える。搬送管400は、紙幣の搬送路401(紙幣(紙葉)搬送経路、搬送空間)を形成する。
移動体200は移動体側磁性体(移動体側磁石213)を備え、搬送体500は搬送体側磁性体(搬送体側磁石523)を備える。移動体側磁性体と搬送体側磁性体の少なくとも一方は磁石から構成される。
【0015】
また、紙幣搬送システム10は、外部から投入された紙幣を受け入れて搬送管400内の所定位置に待機させる受入ユニット600と、搬送体500により搬送されてきた紙幣を収容する紙幣収容部を備えた金庫ユニット700と、紙幣搬送システム10を構成する各部を制御する管理ユニット(制御手段)800と、を備える。
本例においては、管理ユニット800を収容した筐体801内に、送風制御ユニット300と金庫ユニット700とが収容されている。
紙幣搬送システム10は、送風管100内を流れる気流によって送風管100内に配置した移動体200を送風管100の長手方向に進退移動させると共に、移動体200との間に作用する磁力によって搬送管400内に配置した搬送体500を送風管100の長手方向に沿って移動させる点に特徴がある。即ち、紙幣搬送システム10は、移動体側磁石213と搬送体側磁石523との間に作用する磁力に基づく吸着、及び/又は、反発により、気流を受けた移動体200の移動に連動して搬送体500を移動させる点に特徴がある。
【0016】
<各部の概要>
送風管100は、長手方向の少なくとも一部に移動体200が送風管100の長手方向に沿って走行する移動経路部分111を含む。移動経路部分111は搬送管400と並列に、且つ隣接して配置されている。
移動体200は、送風管100内を所定方向に流れる気流を受けて送風管100内を移動する。移動体200に搭載された移動体側磁石213は、搬送体500に対して磁力による反発作用、及び/又は、吸着作用を与える。移動体200は磁力により、自身の移動に連動させて移動体200を移動させる。
送風制御ユニット300は、送風管100内に所定方向の気流を発生(生成)させると共に気流の流量、流速を変更可能なブロア(気流発生装置)310を備える。送風制御ユニット300は、送風管100内に第一方向(紙幣回収方向、矢印B方向)への気流と、第一方向とは逆方向である第二方向(搬送体戻し方向、矢印C方向)への気流を交互に発生させることで、送風管100内で移動体200を往復移動させる。
搬送管400は、紙幣及び搬送体500が移動する空間を形成する。
搬送体500は、搬送路401内の所定位置にて待機する紙幣を受け取って起立させた状態で保持し、搬送路401内を移動することによって紙幣を金庫ユニット700に向けて搬送する。搬送体500に搭載された搬送体側磁石523は、移動体200に備える移動体側磁石213から磁力による吸着作用、及び/又は、反発作用を受ける。搬送体500は、気流を受けた移動体200の移動に連動して搬送管400内を移動する。
【0017】
ここで、移動体200と搬送体500との間に吸着力のみを作用させる場合は、移動体200と搬送体500に搭載する磁性体の双方を磁石としてもよいし、一方を磁石とし他方を鉄等の磁性体としてもよい。移動体200と搬送体500との間に反発力のみを作用させる場合は、移動体200と搬送体500に搭載する磁性体の双方を磁石から構成する。
受入ユニット(紙幣受入れ装置)600は、台間機2の紙幣挿入口(紙幣挿入部)から挿入された紙幣を内部に受け入れて、紙幣を搬送路401内の所定位置に待機させる。受入ユニット600は、台間機2毎に設けられる。受入ユニット600は、搬送管400の長手方向に所定間隔を空けて複数個設置される。
金庫ユニット700は、搬送体500により搬送されてきた紙幣を収容する紙幣収容部や、紙幣収容部への紙幣の収容に関わる各部材を駆動する駆動機構等を備えている。
【0018】
管理ユニット(制御手段)800は、紙幣搬送システム10を構成する各部の動作を制御する。管理ユニット800は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備え、これらがバスを介して接続された一般的なコンピュータ装置を含んで構成される。CPUは、紙幣搬送システム10の全体を制御する演算装置である。ROMは、CPUが実行する制御プログラムやデータ等を記憶する不揮発性のメモリである。RAMはCPUのワークエリアとして使用される揮発性のメモリである。CPUがROMに記憶された制御プログラムを読み出してRAMに展開して実行することにより、各種の機能が実現される。
【0019】
〔紙幣搬送システムの詳細構成〕
第1の本発明の実施形態に係る紙幣搬送システムの各部の詳細構成について説明する。
<送風管>
送風管について、
図3と
図4を参照しながら説明する。
図4は、移動体と搬送体が磁力により反発する場合における、移動体とこれを含む送風管、及び搬送体とこれを含む搬送管の縦断面図である。
図3に示す送風管100は、移動経路部分111を含む第一送風管110と、後述する切替弁325(
図5参照)を介して第一送風管110との間でエンドレス状の気流路101を形成する第二送風管120とを備える。
紙幣搬送システム10は磁力を利用して搬送体500を移動させるため、送風管100の移動経路部分111は移動体200の走行と磁力に基づく搬送体500の走行に影響を与えない構成を備える。移動経路部分111はその全体が非磁性体から構成されることが望ましいが、移動体200と搬送体500の走行に影響を与えない範囲で一部に磁性体を含んでもよい。
移動経路部分111は、移動経路部分111内に配置された移動体200と搬送管400内に配置された搬送体500との間に磁力を作用可能な構成(管の厚さ、管同士の離隔、或いは形状等)を備える。
【0020】
送風管100を搬送管400とは別個独立した構成とすることにより、送風管100内に気密的な流路を形成することができる。送風管100の外部への空気漏れによる移動体200の搬送力の低下を防止できる。また、空気流の発生に使用するブロアとして比較的安価且つ低出力のブロア310を採用でき、紙幣搬送システム10の低コスト化を実現する。仮に紙幣の搬送距離の増大に伴って送風管100が長尺化した場合であっても、送風管100内の空気流を確実に制御できる。また、移動体200を空気流により走行させるため、送風管100内にはギヤや搬送ベルト等の機械的な構成、配線や電気的な接点を配置する必要がなくなり、送風管100及び内部に配置される移動体200の耐久性が向上する。また、気密的に構成された気流路101には外部空気が流入しないため、外部空気中の塵埃等を巻き込むことがなく、気流路101内をクリーンに保つことができる。
【0021】
<移動体>
移動体200は空気圧を受けて送風管100内を移動可能な形状、構造であればよい。
図4に示すように、移動体200は複数の分割片210、210…がヒンジ部211によって移動体200の走行方向(送風管100の長手方向)に沿って順次結合された構成を有する。本例に示す各分割片210は同一の構成を有し、各分割片210は夫々移動体側磁石213を備える。
移動体200は、搬送体500に磁力を作用可能な位置・姿勢・及び形状にて配置された複数の移動体側磁石213を備える。本例において、移動体側磁石213は、移動体200の搬送管400寄りに配置されている。移動体200に備えられた複数の移動体側磁石213は移動体200の走行方向に互いに離間して配置されている。本例において各移動体側磁石213は、N極(一方の極)が搬送管400側(図中上側)に、S極(他方の極)が図中下側に向くように、分割片210に取り付けられている。
本例に示す移動体200は、3つの分割片210から構成されている。分割片210同士は、ヒンジ部211を中心として図中上下方向と紙面奥行き方向に所定の範囲内で角度変位可能に結合されている。このような構成とすることにより、移動体200は、送風管100が上下左右方向に湾曲した気流路101を形成する場合であっても、各分割片210が変位しながら送風管100内をスムーズに移動可能となる。
【0022】
<送風管と移動体との関係>
移動経路部分111の内面形状と移動体200の外面形状(構造)は、移動経路部分111の長手方向に沿って伸びる仮想軸を中心として、移動体200が移動経路部分111に対して相対回転しないように形成される。例えば、移動経路部分111の横断面形状(長手方向と直交する断面における形状)と、移動体200の分割片210の横断面形状は矩形状に構成される。上記構成を備えることによって、移動体側磁石213のN極(一方の極)が常に搬送管400側を向くように、移動経路部分111内における移動体200の姿勢を維持できる。
【0023】
<送風制御ユニット>
図5(a)〜(c)は、第1の本発明の一実施形態に係る送風管と送風制御ユニットとの関係を示す模式図である。
本実施形態に係る送風制御ユニット300は、一定方向に流れる気流を発生させる単一のブロア310と、送風管100内の空気流の方向を制御する切替ユニット320(切替弁325)と、を備える。送風制御ユニット300は切替ユニット320によって、送風管100内の空気流の方向を第一の方向(紙幣回収方向、矢印B方向)又はその反対方向である第二の方向(移動体戻し方向、矢印C方向)に切り替える点に特徴がある。
送風制御ユニット(空気流制御装置)300は、気流の排出方向を制御する切替ユニット(空気流切替ユニット)320と、切替ユニット320を介してエンドレス状の気流路を形成する第一循環配管330と、第一循環配管330の適所に配置されて第一循環配管内を一定方向に流れる気流を発生させるブロア310とを備える。
【0024】
切替ユニット320は、夫々外部配管と接続する4つの流路323(第一流路323a〜第四流路323d:ポート)が形成されたケーシング321と、4つの流路323の合流部(交差部)に配置されて各流路323間の連通状態、及び/又は、連通時の開度を切り替える切替弁325とを有している。各流路323は、夫々外部配管である排気管331、吸気管333、第一送風管110、第二送風管120と連通・接続される。本例において各流路323は十字状(放射状)に配置されている。本例に示す切替弁325は、ボールバルブ等のロータリー式のバルブであり、切替弁325がケーシング321内で所定の角度だけ回転することによって、各流路323間の連通状態及び各流路323の開度が切り替えられる。
切替弁325は電動弁であり、モータによって駆動されて回転角度を制御される。モータには例えばステッピングモータを用いることができる。切替弁325は、例えば、管理ユニット800が駆動パルスに基づきステッピングモータの回転角度を制御することによって所望の回転角度に制御される。もちろん、切替弁325を回転させる駆動手段及び切替弁325の回転角度の制御には他の方式を用いてもよい。例えば切替ユニット320に、切替弁325と連動して回転するロータリーエンコーダと、ロータリーエンコーダの回転角度を検知するセンサとを搭載し、管理ユニット800が切替弁325の回転角度をフィードバック制御する構成としてもよい。
【0025】
第一循環配管330は、一端部(第一循環配管330の一端部330a)を切替ユニット320の第一流路323aに連通接続され、他端部をブロア310の排気口に連通接続された排気管331と、一端部をブロア310の吸気口に連通接続され、他端部(第一循環配管330の他端部330b)を切替ユニット320の第二流路323bに連通接続された吸気管333と、を備える。
送風管(第二循環配管)100は、一端部100aを切替ユニット320の第三流路323cに連通接続され、他端部100bを切替ユニット320の第四流路323dに連通接続されており、切替ユニット320を介してエンドレス状の気流路を形成する。送風管100は内部に配置した移動体200を気流により図中矢印B方向とC方向とに往復移動させる。
本例に係る送風管100は、移動体200の移動経路部分111を形成する第一送風管110と、第一送風管110と連通接続された第二送風管120とを備えている。第一送風管110が第三流路323cに連通接続され、第二送風管120が第四流路323dに連通接続されている。
【0026】
<<切替ユニットの動作:ニュートラル状態>>
図5(a)は、ニュートラル状態を示している。
切替弁325は第一流路323aと第二流路323bとを連通させるが、第一及び第二流路323a、323bと、第三及び第四流路323c、323dとを連通させないニュートラル姿勢にある。
このため、空気流は第一循環配管330内において矢印A(A1、A2)方向に循環し、送風管100内に気流は発生しない。従って、移動体200は送風管100内において停止した状態となる。
【0027】
<<切替ユニットの動作:第一の連通状態>>
図5(b)は、送風管100内に第一の方向(矢印B1、B2方向)に流れる気流を発生させる第一の状態を示している。この状態は、例えば、搬送体500が回収した紙幣を金庫ユニット700に搬送する紙幣の回収動作状態である。
切替弁325は、第一流路323aと第四流路323dを連通させ、第二流路323bと第三流路323cとを連通させる第一連通姿勢にある。このとき、第一流路323a及び第四流路323dは、第二流路323b及び第三流路323cとは連通しない。
空気は第一循環配管330と送風管100との間でエンドレス状に循環する。即ち、排気管331から排出されて第一流路323aに流入した空気(矢印A1方向)は切替弁325により第四流路323dから第二送風管120に流入する(矢印B1方向)。第一送風管110を矢印B2方向に流れて第三流路323cに流入した空気は、切替弁325により第二流路323bから吸気管333に流入して(矢印A2方向)ブロア310に戻り、再び排気管331から排出される。
【0028】
<<切替ユニットの動作:第二の連通状態>>
図5(c)は、送風管100内に第二の方向(矢印C1、C2方向)に流れる気流を発生させる第二の状態を示している。この状態は、例えば、搬送体500を金庫ユニット700側(管理ユニット800側)から、搬送管400の遠位端側に戻すための戻し動作状態である。
切替弁325は、第一流路323aと第三流路323cとを連通させ、第二流路323bと第四流路323dを連通させる第二連通姿勢にある。このとき、第一流路323a及び第三流路323cは、第二流路323b及び第四流路323dとは連通しない。
空気は第一循環配管330と送風管100との間でエンドレス状に循環する。即ち、排気管331から排出されて第一流路323aに流入した空気(矢印A1方向)は切替弁325により第三流路323cから第一送風管110に流入する(矢印C1方向)。第二送風管を矢印C2方向に流れて第四流路323dに流入した空気は、切替弁325により第二流路323bから吸気管333に流入して(矢印A2方向)ブロア310に戻り、再び排気管331から排出される。
【0029】
<<切替ユニットの動作:まとめ>>
このように、切替ユニット320を介して2つのエンドレス状の配管(第一循環配管330と送風管100)を接続することにより、単一のブロア310により一定方向(矢印A方向)の気流を発生させつつ、切替弁325の姿勢を切り替えて、送風管100内に気流を発生させないニュートラル状態、送風管100内に第一の方向(矢印B方向)に流れる気流を発生させる第一の連通状態、送風管100内に第二の方向(矢印C方向)に流れる気流を発生させる第二の連通状態の3つの状態を切り替えることができる。
また、切替弁325が取る上記3姿勢の中間の姿勢では、上記3状態とは連通状態が変化する。即ち、本実施形態においてはケーシング321内における切替弁325の角度に応じて、各流路の連通関係と各流路の開度を調整することができるため、各流路の開度に応じた風量の気流を送風管100内に発生させることができる。即ち、送風管100内の風速に応じて移動体200の速度を可変させることができる。
ここで、移動体200の移動速度をブロア310の風量制御により調整することも可能である。例えばブロア310の風量は、ブロア310の羽根の回転速度をPWM(Pulse Width Modulation)制御によりを可変させることによって調整可能である。しかし、ブロア310の回転速度の可変応答性よりも切替弁325の回転応答性の方が高いため、移動体200の速度調整を迅速に行うためには、切替弁325の回転角度を調整する方が有利である。
【0030】
<搬送管>
搬送管(搬送経路)400について、
図4及び
図6を参照して説明する。
図6は、搬送管と搬送体との関係を示した斜視図である。
図6においては、搬送管400の内部を、一部露出させた状態を示している。
紙幣搬送システム10において搬送体500は磁力を利用して搬送されるため、搬送管400は磁力に基づく搬送体500の走行に影響を与えない材料から構成される。搬送管400はその全体が非磁性体から構成されることが望ましいが、搬送体500の走行に影響を与えない範囲で一部に磁性体を含んでもよい。
搬送管400は、移動経路部分111内に配置された移動体200と搬送管400内に配置された搬送体500との間に磁力を作用可能な構成(管の厚さ、管同士の離隔、或いは形状等)を備える。
【0031】
本例において、搬送管400は送風管100の上方に配置されているが、送風管100と搬送管400との位置関係についてはこれに限らない。搬送管400は送風管100の下方に配置されてもよいし、搬送管400を送風管100の側方に配置されてもよい。
なお、本例において搬送路401を構成する手段として搬送管400を例示したが、搬送路401を構成する手段は管状である必要はなく、搬送路401の一部又は全部が外部に開放された構成としても、本発明を実施可能である。つまり、搬送管400はその内部に搬送路401としての長尺な空間を形成できればどのような形態であってもよい。
【0032】
<搬送体>
図4及び
図6に示すように、搬送体500は、搬送路401内において送風管100寄りの位置に配置されて、移動体200からの磁力を受ける搬送ベース510と、搬送ベース510の送風管100とは反対側に設けられた紙幣回収保持部540とを備える。
【0033】
<<搬送ベース>>
搬送ベース510は、複数の分割片520、520…が、ヒンジ部521によって搬送体500の走行方向(搬送管400の長手方向)に沿って順次結合された構成を有する。本例に示す各分割片520は夫々搬送体側磁石523を備えている。
搬送ベース510は、移動体200から磁力の作用を受けることが可能な位置・姿勢・及び形状にて配置された複数の搬送体側磁石523を備える。本例において、搬送体側磁石523は、搬送ベース510の送風管100寄りに配置されている。搬送ベース510に備えられた、複数の搬送体側磁石523は搬送体500の走行方向に互いに離間して配置されている。本例において各搬送体側磁石523は、N極(一方の極)が送風管100側(図中下側)を向き、S極(他方の極)が図中上側に向くように、分割片520に取り付けられている。搬送ベース510は、移動体200から磁力による反発力を受けて搬送管400内で磁気浮上する。
本例に示す搬送ベース510は4つの分割片520から構成されている。分割片520同士は、ヒンジ部521を中心として図中上下方向と紙面奥行き方向に所定の範囲内で角度変位可能に結合されている。このような構成とすることにより、搬送体500は、搬送管400が上下左右方向に湾曲した搬送路401を形成する場合であっても、搬送管400内をスムーズに移動可能となる。
【0034】
<<紙幣回収保持部>>
紙幣回収保持部540は、搬送ベース510上に配置されている。紙幣回収保持部540は、搬送管400の長手方向の島端側(金庫ユニット700に対して遠位端側)の端部に、送風管100から離間する方向に起立した支柱部材541と、支柱部材541から幅方向に突出する回収部材(回収爪)544を備える。支柱部材541は、搬送ベース510の幅方向の中間部から上方に突出している。
紙幣回収保持部540は、紙幣Pを、紙幣Pの長手方向が搬送管400の長手方向に沿うように、且つ起立した姿勢で保持する。紙幣Pの一方の長辺(
図6中、下側に位置する長辺)は搬送ベース510によって支持される。紙幣の後端縁(一方の短辺)は支柱部材541又は回収部材544によって支持される。
【0035】
<搬送管と搬送体の関係>
搬送管400は、その内部に、送風管100寄りに配置されたベース搬送路402と、送風管100とは反対の側に配置された紙幣搬送路403とを備える。ベース搬送路402は搬送体500の搬送ベース510が走行する横長の空間であり、紙幣搬送路403は搬送体500の紙幣回収保持部540、及び紙幣回収保持部540に保持された紙幣が走行する縦長の空間である。
本例に示す搬送体500は、移動体200から磁力による反発力を受けて走行するため、ベース搬送路402と搬送ベース510は、搬送ベース510のベース搬送路402からの離脱(紙幣搬送路403側への移動)を禁止し、搬送ベース510の位置を移動体200から磁力の作用を受けられる位置に維持するように構成されている。
ベース搬送路402の内面形状と搬送ベース510外面形状は、ベース搬送路402の長手方向に沿って伸びる仮想軸を中心として、搬送ベース510がベース搬送路402に対して相対回転しないように形成される。例えば、ベース搬送路402の横断面形状と、搬送ベース510の横断面形状は矩形状に構成される。上記構成を備えることによって、搬送体側磁石523のN極(一方の極)が常に送風管100側を向くように、ベース搬送路402内における移動体200の姿勢が維持される。
【0036】
<移動体と搬送体との関係>
移動体側磁性体と搬送体側磁性体との関係について説明する。
<<反発のみ>>
図4に示すように、移動体200と搬送体500の双方に互いに反発する向きに1個以上の磁石を配置して、移動体200と搬送体500との間に反発力のみを作用させてもよい。移動体200と搬送体500との間に反発力のみを作用させる場合は、移動体200と搬送体500の少なくとも一方には、走行方向に所定の間隔を空けて複数個の磁石を配置することが望ましい。移動体200と搬送体500の少なくとも一方に、走行方向に複数個の磁石を配置することによって、搬送体500が移動体200から反発力を受けて走行する際に、移動体側磁石213と搬送体側磁石523とが互い違いに配列される。即ち、搬送体500が走行する際に、搬送体500は移動体200に対して相対的に位置決めされる。この場合、特に、移動体200と搬送体500に備える磁石の個数を1個違いにするのが好適である。言い換えれば、nを自然数とした場合、移動体200と搬送体500の一方にn個の磁石を配置し、他方にn+1個の磁石を配置するのが好適である。
搬送管400を送風管100の上方に配置して、搬送体500と移動体200との間に反発力を作用させる場合、搬送体500が搬送管400内で浮上するので、搬送体500が搬送管400に接触しにくくなる。従って、搬送管400との摩擦による搬送体500の搬送力の低下を防止し、搬送体500を円滑に移動させることが可能となる。また、搬送体500と搬送管400との接触が抑制されるため、各部材の接触による微細なダスト(粉塵)の発生を防止できる。
なお、移動体200と搬送体500との間に反発力を作用させる場合は、移動体200と搬送体500に備える磁石の個数を増大させることによって、搬送力を向上させることができる。
【0037】
<<吸着のみ>>
図7は、移動体と搬送体が磁力により吸着する場合における移動体と搬送体を含む送風管と搬送管の縦断面図である。
図示する例では、移動体側磁石213と搬送体側磁石523が互いに吸着する姿勢で移動体200と搬送体500に取り付けられている。移動体側磁石213と搬送体側磁石523の長手方向位置は、送風管100と搬送管400の壁を介して整合するため、移動体200に対する搬送体500の位置決めが容易となる。
移動体200と搬送体500との間に磁力に基づく吸着力のみを作用させる場合は、移動体200と搬送体500に搭載する磁性体の少なくとも一方が磁石であればよい。例えば、搬送体500と移動体200の一方に磁石を配置し、他方には磁石に吸着する磁石以外の磁性体(例:鉄板)を配置してもよい。
移動体200と搬送体500との間に磁力に基づく吸着力のみを作用させる場合は、搬送体500と移動体200に少なくとも1組の磁性体(例:磁石と磁石の組、又は磁石と鉄板の組)を配置すれば足りる。
【0038】
<<反発と吸着>>
移動体200と搬送体500との間には、反発力と吸着力の双方を作用させてもよい。即ち、移動体200と搬送体500には、互いに反発力を作用させる磁石の組と、互いに吸着力を作用させる磁石の組とが混在していてもよい。反発力と吸着力の双方を作用させる例については、
図8に基づき後述する。
【0039】
<<磁石の向き>>
上記実施形態においては、磁石の各極を上下方向(送風管100と搬送管400の積層方向)に向けて配置しているが、磁石の各極を走行方向に向けて(例えば金庫ユニット側にN極、島端側/遠位端側にS極を向けて)配置してもよい。また、磁石の各極を走行方向に対して斜めに傾けて配置してもよい。磁石の向きに応じて磁力の作用を適宜調整可能となる。
【0040】
<<磁石の向き:縦型配置>>
図8は、移動体側磁石の各極を走行方向に向けて配置した場合における移動体と搬送体を含む送風管と搬送管の縦断面図である。
図示する例では、移動体側磁石213は、N極(一方の極)が金庫ユニット側(図中左側)に、S極(他方の極)が遠位端側(図中右側)に向くように、分割片210に取り付けられている。また、搬送体側磁石523は、N極が送風管100側に、S極が図中上方を向くように分割片520に取り付けられている。
移動体側磁石213の金庫ユニット側の面(N極)は搬送体側磁石523(N極)と反発し、移動体側磁石213の遠位端側の面(S極)は搬送体側磁石523(N極)と吸着するため、移動体200と搬送体500との間に反発力と吸着力の双方を作用させることができる。
【0041】
〔送風制御に係る変形実施形態1〕
図9は、送風制御ユニットの第一の変形例を示す図である。
送風制御ユニット300Bは、送風管100の一端部100aに排気口を接続されたブロア310aと、送風管100の他端部100bに排気口を接続されたブロア310bと、両ブロア310a、310bの吸気口同士を接続する接続配管340とを備えた構成であってもよい。送風管100(第一送風管110、第二送風管120)は、2台のブロア310a、310bと接続配管340とを介してエンドレス状に構成される。
ブロア310a、310bのオンオフ及び風量は、管理ユニット800により制御される。
【0042】
送風管100内に第一の方向(矢印B方向)に流れる気流を発生させる場合(第一の状態、紙幣の回収動作状態)は、一方のブロア310bをオンにして気流を発生させ、他方のブロア310aをオフにする。送風管100内を流れた空気は、ブロア310aの排気口に流入してブロア310aの吸気口から排出される。空気は更に接続配管340を通ってブロア310bの吸気口に戻り、ブロア310bの排気口から排出される。
送風管100内に第二の方向(矢印C方向)に流れる気流を発生させる場合(第二の状態、搬送体戻し状態)は、一方のブロア310bをオフにし、他方のブロア310aをオンにして気流を発生させればよい。
【0043】
このように、2台のブロアを用いても、送風管100内に第一の方向の空気流と第二の方向の空気流とを発生させることができる。
本例においては、2台のブロア310a、310bの吸気口同士を接続配管340により接続しているため、気密的に構成された気流路101内で空気を効率的に循環させることができる。
【0044】
〔送風制御に係る変形実施形態2〕
図10は、送風制御ユニットの第二の変形例を示す図である。
送風制御ユニット300Cは、送風管100の一端部100aと他端部100bとに夫々ブロア310a、310bを備える構成であってもよい。ブロア310a、310bのオンオフ及び風量は、管理ユニット800により制御される。
送風管100内に第一の方向(矢印B方向)に流れる気流を発生させる場合(第一の状態、紙幣の回収動作状態)は、一方のブロア310bをオンにして気流を発生させ、他方のブロア310aをオフにする。ブロア310bは吸気口から外部エアを内部に取り込んで送出することで、送風管100内に矢印B方向の気流を発生させる。また、この気流はブロア310aの排気口からブロア310a内に取り込まれて吸気口から排出される。
送風管100内に第二の方向(矢印C方向)に流れる気流を発生させる場合(第二の状態、搬送体戻し状態)は、一方のブロア310bをオフにして、他方のブロア310aをオンにして気流を発生させればよい。
本例においては、気流路101を循環路とするための配管が不要となるため、構成が簡略化される。
【0045】
B.第2の本発明に係る紙葉搬送システム
<<紙葉搬送システムの基本構造>>
次に、第2の本発明に係る紙葉搬送システムについて説明する。
なお、第2の本発明は、第1の本発明に係る紙葉搬送システム10中の受入ユニット(紙葉受入れ装置)600、搬送管400、搬送体500等をより具体化した内容を有しており、
図1乃至
図10を参照しつつ、同一部分には同一符号を付して説明する。
図11は受入ユニット(紙幣受入れ装置)600を備えた紙幣搬送システム10の正面図であり、
図12は同紙幣搬送システムの平面図であり、
図13は同紙幣搬送システムの正面左側斜視図であり、
図14は同紙幣搬送システムの正面右側斜視図である。
また、
図15は受入ユニットと搬送管400との連結部の構成を示す斜視図であり、
図16は
図15中における搬送管の一部を縦断面で示す斜視図であり、
図17は受入ユニットと搬送管400との連結部の構成を示す横断面斜視図であり、
図18は紙幣搬送装置Cの一部の横断面図である。
【0046】
第2の本発明に係る紙幣搬送システム10は、気体の流路を形成する送風管100、移動体200、送風制御ユニット300、ブロア310等の他に、少なくとも一部が送風管100に沿って送風管100に隣接配置された本流としての搬送管400(搬送路401)、搬送管400内を移動する紙幣搬送用の搬送体(紙幣搬送シャトル)500、及び搬送路401に沿って複数箇所設けられ、且つ紙幣を搬送体500に移載させるために待機させる支流としての待機部450を備えた紙幣搬送装置Cと、外部から一枚ずつ投入された紙幣Pを受け入れて各待機部450に移動させるために各待機部毎に配置される受入ユニット600と、紙幣搬送装置C、受入ユニット600等の駆動対象物を駆動する駆動装置(搬送機構620等)と、金庫ユニット700と、これらを制御する制御手段(管理ユニット)800と、を概略備えている。
更に、移動体200は移動体側磁性体213を備え、搬送体500は搬送体側磁性体523を備え、移動体側磁性体と搬送体側磁性体の少なくとも一方が磁石であり、移動体側磁性体と搬送体側磁性体との間に作用する磁力に基づく吸着、及び/又は、反発により、気流を受けた移動体の移動に連動して搬送体を移動させる。
【0047】
搬送体経路としての搬送路401は、本実施形態では直線状の経路で延びているが、これは一例であり、曲線的な経路を含むループを形成するようにしてもよい。
なお、実際の遊技場の島設備Lでは、受入ユニット600は
図1に示した台間機2に含まれており、各台間機2に隣接した位置には遊技機1が配置されているが、本実施形態では遊技機を省略して説明する。
受入ユニット600は、投入された紙幣を受け入れる紙幣受入部(紙幣受入部)605と、紙幣受入部605に投入された紙幣を待機部450に向けて順次移送(案内)する導入部610と、導入部610を構成するローラ、ベルト、モータ等の搬送機構620等(詳細は図示しない)を備える。
搬送路401を移動する搬送体500は、各受入ユニット600が連通している各待機部450を通過する過程で各待機部に停止している紙幣を順次回収して搬送体上に起立状態で移載して重ねて保持する紙幣回収保持部(移載手段)540を備えている。紙幣回収保持部は既に移載されている先行紙幣の一面(側面)に後続の紙幣の一面(側面)を重ねて保持する構成を備えている。
【0048】
搬送路401は
図11乃至
図14における右側端部(初期位置)と金庫システム700内部の紙幣排出位置との間に延在しており、搬送路401内における搬送体500の現在位置、通過の有無、タイミングをリアルタイムで確認するために搬送路内の各所に図示しない搬送体用のセンサ(フォトセンサ)が配置されている。例えば、初期位置、各待機部450、金庫システム700、その他の適所に搬送体検知用のセンサを配置する。また、送風管100の長手方向各所にも移動体200の位置、通過の有無、タイミングを検知する移動体用のセンサが配置されている。
制御手段800は、ある受入ユニット600の待機部450に紙幣が存在しないことが待機部内のセンサにより検知されている時には、導入部610の搬送機構620を駆動して紙幣受入れ部に投入された後続の紙幣を待機部に移送し、待機部への移動が検知、確認された時点で停止させる。更に、待機部450に紙幣が待機していることが検知されている時に、紙幣受入れ部605に後続の紙幣が投入されたことが検知された場合には、導入部610の搬送機構620を駆動することにより受け入れて該導入部内に停止させる。このため、遊技機の利用者は、紙幣等の紙幣を二枚連続して投入することができ、待機時間を短縮できる。
【0049】
<<受入ユニット600>>
図15乃至
図18に示すように、受入ユニット(紙幣受入装置)600は、受入ユニットの筐体601の正面に設けられて一枚ずつ投入されてきた紙幣を受け容れる紙幣受入部(紙幣受入口)605と、紙幣受入部605から筐体601の内部に向けて配置されて受け入れた紙幣を待機部450に導入する導入部610と、を備える。導入部610は、紙幣受入部605に投入された紙幣を待機部450に向けて順次移送(案内)する空間である導入経路612と、導入経路に沿って配置されたローラ、ベルト、プーリ、ギヤ、モータ等々から成る搬送機構620と、を概略備えている。
導入部610には投入された紙幣の真贋、金種等を識別、判定する識別部630が設けられており、受入不能であると判定された場合には制御手段800は搬送機構620を逆転させて紙幣受入部605から排出する。識別部630により受入可能と判定された紙幣は導入部610内を搬送機構620により待機部450に向けて搬送される。
導入経路612は、
図17、
図18に示すように紙幣受入部605から搬送路401に向かって直交するように延びる第1導入経路部613と、第1導入経路部613と連通接続されて搬送路401と略並行な方向で且つ金庫ユニット700から離間する退避方向Rへ延びる第2導入経路部615と、第2導入経路部615の終端部に配置された反転ローラ617の外周面側に形成され、第2導入経路部615を待機部450と連通させる反転路(反転部)619と、を備えている。反転路619は待機部450と直接連通しており、反転路を通過した紙幣は待機部450に進入し、待機部450内で停止する。反転路619は反転ローラ617の外周面と、該外周面と所定の搬送空間を隔てて対向配置された搬送ガイド板619aとの間に係止される。
【0050】
待機部450は、筐体455内に形成された紙幣搬送、待機用の空間であり、搬送路401側のガイド板460と、該ガイド板460との間に所定の搬送空間を隔てて配置された他のガイド板465とから形成されている。待機部450は、長手方向長が最長の紙幣の後端縁が反転路619を通過し終わった状態で、搬送路401と並行な伸長姿勢を維持しつつ待機できるような長さ、形状に設計する。待機部内に待機している紙幣は、搬送体(紙幣キャリア)500が通過する際に回収爪544が紙幣の後端縁と接して前進方向Pへ押圧しつつ待機部から搬送体上に移載できるように位置決めされる必要がある。また、待機部内に待機している紙幣の後端は反転ローラ617等の反転用の駆動手段と充分に離間することにより、反転ローラ等が駆動しても影響を受けずに待機し続けることができるように構成されている。
【0051】
図18に示すように、紙幣受入部605内には紙幣の進入を検知する通紙センサS1が設けられ、その下流側の適所、例えば識別部630の入口、及び出口、第1導入経路部613と第2導入経路部615との接続部、反転路619等には夫々他の通紙センサS2〜S5が設けられる。
待機部450には反転路619から紙幣が進入してきたことを検知するセンサS6、及び待機部から紙幣が回収されたことを検知するセンサS7が夫々配置される。
第1導入経路部613は、識別部630を含む入口側経路部613aと、下流側の後続紙幣用の待機用経路部613bとを備えている。識別部630を通過する際に得られた識別情報に基づいて受入可能であると判定された紙幣は、待機用経路部613bに移動し、待機部450内に先行する待機紙幣が存在しないことがセンサS6、S7等により検知されている場合には、第2導入経路部615、反転路619を経て待機部450内に搬送される。なお、後続紙幣の待機位置の範囲は、待機用経路部613bを越えて反転路619に達してもよい。
【0052】
紙幣後端が反転路619を通過したことが検知された後、紙幣先端、或いは紙幣後端が適正な待機位置に達したことがセンサS6、センサS7等により検知された時点で搬送を停止されて待機状態に移行する。なお、待機状態に移動した時点における紙幣後端の位置は、反転路を構成する反転ローラ617等の導入部610側の搬送手段と接触しない位置とすることにより、反転ローラを含む上流側の搬送機構が後続紙幣を搬送するために駆動されたとしても干渉されることがなく、停止した状態を維持できる。例えば、後続の紙幣が識別部に630より受入できないと判定されたことにより第1導入経路部613、及び第2導入経路部615の搬送機構が逆転駆動されたとしても待機部内に停止している紙幣の位置、動作に影響を与えることはない。
待機部内の紙幣P1が搬送体500により回収されて待機部内に存在しないことが検知された時、それまで反転路619よりも上流側の経路部613b、615中に待機していた後続紙幣P2は、反転ローラ617を含む搬送機構の駆動再開により反転路を経て待機部450内に送り込まれる。
【0053】
<<搬送体(紙幣回収シャトル)>>
図19(a)(b)(c)及び(d)は回収部材(回収爪)が開放した状態にある搬送体500の外観斜視図、正面図、平面図、及び(a)のA−A断面図であり、
図20(a)及び(b)は回収部材(回収爪)が閉じた状態にある搬送体500の外観斜視図、及び平面図である。
図21は搬送管400と搬送体500との位置関係を示す一部断面図である。
図22(a)(b)(c)及び(d)は搬送体500が前進する過程で回収部材が待機部内に進入して待機紙幣を回収する手順を示す平面横断面図である。
図23は搬送体が後退する過程で一方の回収爪が変形する状態を示す平面横断面図である。
【0054】
図19乃至
図21に示した搬送体500は、搬送ベース510と回収部材544の構成が
図6に示した搬送体とは若干異なる。
即ち、搬送ベース510は、複数の分割片520をヒンジ521を介して上下左右方向へ(或いは、斜め方向へも)変位自在に連結すると共に、
図19(d)中に示す各分割片内の内部空間520a内に搬送体側磁石(搬送体側磁性体)523を配置した構成を有する。また、各分割片520の両側面には、回転自在なローラ525を配置することにより搬送管400内の移動をスムーズにしている。また、支柱部材541の上部には搬送管内壁との間の抵抗を低減するためのローラ545が回転自在に配置されている。
紙幣回収保持部(移載手段)540は、紙幣Pを、紙幣Pの長手方向が搬送管400の長手方向と並行になるように、且つ起立した姿勢で保持する。横長、且つ起立状態にある紙幣Pの下側の長辺は搬送ベース510(各分割片520)の上面(平坦面)によって支持される。紙幣の後端縁(一方の短辺)は支柱部材541、及び回収部材544によって支持される。
【0055】
各分割片520には、その幅方向両端縁に紙幣の脱落を防ぐ突条520bが設けられているが、突条520bの内側に位置する領域520cは平坦面となっており、紙幣の下側長辺を安定して支持できるようになっている。また、各分割片520の内側の領域520cは長手方向に連通しているため、紙幣は複数の分割片の内側領域520cに跨がって載置されることができる。
搬送ベース510上に立設された紙幣回収保持部540は、搬送管400の長手方向の島端側(金庫ユニット700に対して遠位端側)の端部に、送風管100から離間する方向に起立した支柱部材541と、支柱部材541から幅方向に平面視で翼状(鋭角状、或いは鈍角状)に突出し(拡開し)、且つ支柱部材541側の軸支部541aによって横方向へ開閉自在に軸支された2つの回収爪544から成る回収部材544を備える。図示した軸支部541aは支柱部材541と並行、即ち垂直な姿勢であるため、軸支部回りに回動する回収爪544は水平方向へ開閉する。なお、回収爪の回動方向はこれ以外の方向であってもよい。
【0056】
回収部材544は、回収部材が上下二対ある
図6の構成例とは異なり、支柱部材541の所定の高さ位置に一対配置されている。回収部材544を構成する2つの回収爪544は、
図19中に示した拡開状態が最大開放角度にあり、これ以上は開放方向へ回動できない一方で、拡開状態から閉じる方向へは回動することができる。
図20は2つの回収爪544が最小開放角度にある状態(閉止状態)を示している。また、各回収爪544はその軸支部541aに設けたバネ(弾性部材)541bにより開放する方向へ常時弾性付勢されている。搬送体500が搬送路401上を金庫ユニット700へ向かう前進方向Pへ移動する際には各回収爪544はバネ541bにより拡開した姿勢を維持するため、待機部450内に起立状態で停止している紙幣の後端縁を回収爪により引っ掛けて待機部内を前進方向Pへ移動させつつ搬送ベース510上に移載することができる。搬送ベース510が搬送路401内を金庫ユニット700へ向けて前進方向Pへ移動する過程で回収爪544が拡開した姿勢を維持できるように、搬送管400の両内壁であって各回収爪が通過する箇所には、回収爪用通路としての凹所405(
図16、
図21)が形成されている。各凹所405は、各待機部450内においては各回収爪が各待機部内の紙幣の後端縁に接触できるようにレイアウトされている。なお、各回収爪544は独立して開閉動作するように構成するのが好ましく、その場合には一つのコイルバネ(或いはトーションバネ)により各回収爪を個別に回動させるように構成しても良いし、バネ541bを回収爪毎に設けるようにしてもよい。
【0057】
図19に示した拡開状態にある各回収爪544は、軸支部541aにより回動自在に軸支された内側の基端片544aと、基端片544aから搬送体の幅方向外側に伸びる中間片544bと、中間片544bから斜め前進方向へ屈曲、或いは湾曲して突出した端部片544cと、を備えている。回収爪544が待機部450内を通過する際には、主として中間片544b、及び端部片544cが待機部450内に進入し、待機紙幣の後端縁に接触しながら紙幣全体を前進方向へ押し出す。端部片544cは中間片544bの端部から斜めに突出しているため、中間片544bと接した紙幣後端縁が中間片の面に沿って幅方向外側へ位置ズレしようとしても端部片544cがこれを確実に阻止することができる。待機紙幣が搬送ベース510上に移載した後は、端部片544cは積載した紙幣が幅方向に位置ズレしたり、落下することを防止する。
図19のように各回収爪544が拡開した姿勢において、中間片544bが搬送路401の幅方向と並行か、或いは前進方向Pへ向けて傾斜した姿勢となるように構成することにより、中間片が待機部内の紙幣後端縁と接触した際にこれを確実に係止して前進方向へ押圧することを可能にする。
【0058】
このように、回収部材544は、支柱部材により略水平方向へ開閉自在に軸支された一対の回収爪を備え、各回収爪は幅方向外側に突出した拡開姿勢と、幅方向内側に退避した退避姿勢との間を開閉し、且つ弾性部材により拡開姿勢に付勢されている。
各回収爪544は、以上のような構成を有しているため、搬送路401を間に挟んで交互に異なった長手方向位置にある各待機部内の紙幣を回収する際に、搬送体を直線移動させるだけで各回収爪により確実に回収し、搬送体の幅方向中央部に紙幣を集めることが可能となる。
なお、搬送体500が搬送路内を退避方向Rへ移動する場合には、回収爪が待機部内の紙幣と干渉するが、紙幣と接触して移動し続ける過程で弾性部材の付勢に抗して当該回収爪は閉じる方向へ姿勢変更する。このため、待機紙幣を損傷する等の影響を与えることなく、スムーズに戻り方向へ移動し続けることができる。
搬送ベース510上に既に紙幣が起立状態で積載されている状態で、回収してきた後続の紙幣を既積載紙幣の一面(一側面)に対して後続紙幣の一面を重ねて順次積載する方式を採るため、後続紙幣の先端縁が既積載紙幣の後端縁に突き当たって積載不能に陥ることがない。
【0059】
また、
図18、
図22、
図23等に示すように、待機部450と搬送路401との間に両者を隔てる仕切板としてのガイド板460を設けると共に、ガイド板460の前進方向寄りの端部に紙幣を搬送路401へ抜き出すための開口部460aを設ける。ガイド板460には回収爪544が通過できる図示しないスリットを紙幣搬送方向と並行に形成することにより、回収爪が待機部内を通過する際にガイド板460が妨げとなることを防いでいる。また、他方のガイド板465にも回収爪544が通過できる図示しないスリットを紙幣搬送方向と並行に形成することにより、回収爪が待機部内を通過する際にガイド板465が妨げとなることを防いでいる。
待機部内の紙幣が回収爪により後端縁を押圧されて前進方向Pへ移動する過程では紙幣先端は開口部460aから搬送路401へ向けて突出し、待機部から離脱する。この際に、紙幣先端縁が確実に搬送路側へガイドされるように紙幣を搬送路へ向けてガイドする傾斜面460bを開口部に設ける(
図19、
図22、
図23)。
【0060】
このように待機部450内の紙幣が回収爪により押圧されて待機部内を搬送路401へ向けて移動する過程では必ず紙幣先端部からの長手方向へ沿った移動となる。つまり、ガイド板460があるため、待機部内の待機紙幣は搬送路401と直交(接近)する方向へ移動することはできず、待機部の長手方向に沿って前進方向Pへ移動しつつ開口部460aから搬送体上に向けて移動することとなる。また、搬送体上の既積載紙幣と待機部内の待機紙幣は、ガイド板460を間に挟んで、同じ高さ位置、同じ姿勢となるように位置関係が予め設定され、且つ紙幣の厚さ方向(搬送路の幅方向)位置が確実にずれるように(紙幣同士が干渉しないように)配置されている。このため、開口部460aから押し出された紙幣が搬送体上に移載完了した時には既積載紙幣の一側面にスムーズに重ねて積載されることとなる。このため、紙幣同士の端縁が衝突して位置ズレなどの積載不良や落下を起こすことがない。
このように待機部内の待機紙幣と搬送体上の積載紙幣は互いに干渉しない位置関係にあるが、搬送体上の回収爪544だけが待機紙幣と干渉可能な位置関係にあり、回収爪が待機部の空間内に入り込んだ時に待機部内の紙幣後端を引っ掛けて待機位置から前進方向へ押圧して紙幣先端縁を開口部460aから突出させて、最後には紙幣全体を搬送体上に移載することができる。
【0061】
搬送ベース510が搬送路401内を金庫ユニット700から離間する退避方向Rへ移動する過程で回収爪544が障害物(待機部450内にある紙幣)に接触した場合には、回収爪544はバネ541bに抗しながら閉じる方向へ個別に回動(退避)することができ、障害物を通過した後は元の拡開位置に復帰するように構成されている。このため、搬送ベース510が退避方向Rへ移動する過程で一方の回収爪544が通過経路に位置する一つの待機部450内にある紙幣P1に接触することがあったとしても、当該回収爪は紙幣と接触しつつ移動する過程で閉じる方向へ退避しつつ紙幣を通過するので、移動をスムーズにすることができる(
図23を参照)。
図16に示すように搬送路401の2つの対向する内壁には夫々2つの回収爪544がスムーズに通過できるように凹所405が形成されている。凹所405は外側から見れば凸状部である。凹所405は搬送路401のほぼ全長(搬送体500の移動経路のほぼ全体)に渡って形成されているが、受入ユニット600が配置される箇所、即ち待機部450と干渉する範囲内においては存在していない。つまり、待機部450を内部に備えた外装体455(
図16、
図18)内では凹所405を構成する搬送路の凸状の壁部は除去されている。待機部450を形成している外装体455内の空間内には待機状態にある紙幣が配置されるため、凹所405を構成する凸状の壁部が待機部内にまで延在すると紙幣を待機させる空間と干渉するからである。また、待機部の外装体455内においては、待機部を形成するガイド板460、465に回収爪を回避するスリットが形成されているために、外装体内に進入した回収爪は待機紙幣と接して搬送することができる。
【0062】
次に、
図22に基づいて搬送体(紙幣回収保持部540)が搬送路401を金庫ユニットに向かう前進方向Pへ移動する過程で待機部450内に停止している紙幣を回収する手順について説明する。
図22(a)に示した状態では搬送体500の搬送ベース510の先端から約2/3の部分までは待機部450と重なる位置に達しているが、支柱部材541は待機部の後方に位置しているため、各回収爪544も待機部の後方にある。同図(b)(c)では支柱部材541は(a)よりも更に待機部450に接近しているが、各回収爪544は依然として待機部外にある。次いで、同図(d)では支柱部材541が待機部内に進入しており、待機部内に紙幣がある場合には当該待機部側の回収爪544が紙幣の後端縁と接してこれを前進方向Pへ押圧して移動させながら搬送路401の幅方向へ移動させるため、紙幣Pは起立姿勢を維持したまま搬送ベース510上に移載(回収)される。搬送ベース上に既に移載されている紙幣がある場合には既積載紙幣の側方に重ねて積載される。
搬送体500がこの待機部450を通過して移動方向下流側に位置する次の待機部内の紙幣を回収する場合には、次の待機部側に位置する回収爪544が紙幣を回収する。
【0063】
次に、
図23は搬送体500が搬送路401を金庫から離間する退避方向Rへ移動する過程で、回収爪544の一方が待機部450内に停止している紙幣Pを回避するために閉じる方向へ回動している状態を示している。
本発明に係る紙幣搬送システムによれば、搬送体を高速で移動させる場合であっても、各遊技媒体払出装置(受入ユニット)によって保持されている紙幣を確実、且つ迅速に回収して搬送体に移載すると同時に複数枚の紙幣を整列して保持しつつ、紙葉ジャムを生じさせることなく安定して搬送することができる。
【0064】
<<搬送体による紙葉の回収手順>>
以上の構成を備えた紙幣搬送システム10においては、待機部450、導入部610内の紙幣の有無との関係で、次のような各種の処理が可能である。
まず、
図24は搬送体による紙幣の回収手順、導入手順の一例を示すフローチャートである。
制御手段800は、ある待機部450内に紙幣が停止しており、且つ対応する導入部610に紙幣が存在しないことが検知されている時に(ステップS1 YES)、その待機部に対応する受入ユニット(紙幣受入れ装置)600に後続の紙幣が新たに投入されたことが検知された場合には(ステップS3 YES)、後続の紙幣を導入部610により受け入れて導入部内に停止(待機)させるように各部を制御する(ステップS5、7、9)。
これによれば、待機部450の上流側の導入部610内の任意の箇所を後続紙幣の待機部として利用できるので、待機部に紙幣が存在しない状態では二枚目の紙幣の投入が可能となる。
【0065】
次に、
図25は搬送体による紙葉の回収手順、導入手順の他例を示すフローチャートである。
制御手段800は、何れか一つの待機部450と、この待機部の上流側の導入部610内に異なった紙幣が夫々同時に待機状態にあることが検知されている時には(ステップS11、13 YES)、移動体200を用いて搬送体500を初期位置から金庫システム700の位置まで一回走査させることにより待機部450内の紙幣を回収すると共に(ステップS15)、導入部610内の紙幣を待機部450内に移動させるように各部を制御する(ステップS17)。
待機部450、及び導入部610内に紙幣が待機している状態にある時には、三枚目の紙幣を投入することができないが、以上のように制御することにより、導入部610内を空の状態にして三枚目の紙幣の投入を可能にすることができる。
【0066】
次に、
図26は搬送体による紙葉の回収手順、導入手順の他例を示すフローチャートである。
制御手段800は、全ての待機部450内において紙幣が待機状態となったことが検知された場合、或いは所定数以上(例えば、10箇所以上)の待機部内に紙幣が待機している状態となったことが検知された場合には(ステップS21 YES)、移動体200を用いて搬送体500を初期位置から金庫システム700の近傍位置まで一回走査させる(ステップS23)。これにより各待機部450内の紙幣を回収すると共に、導入部610内に紙幣が存在する場合にはこれらの紙幣を待機部に移動させるように各部を制御する(ステップS25、27)。
これにより、紙幣を投入することができない待機時間を短縮して利用者の利便性を高めることができる。
【0067】
C.第3の本発明に係る紙葉搬送システム、及び復旧方法
次に、第3の本発明に係る紙幣(紙葉)搬送システム、及び復旧方法について説明する。
図27(a)及び(b)は第3の本発明に係る紙幣搬送システムにおける送風管100、及び搬送体経路401の初期位置側部位の正面縦断面図、及び金庫システム(島端ユニット)側部位の正面縦断面図である。
図28(a)及び(b)は紙幣回収のために移動体が搬送体を正常に走行させている状態を示す正面図、及び搬送体が停止したために移動体が単独で先行している状態を示す正面図であり、
図29(a)及び(b)は復旧の為の制御手順を説明する正面図である。
なお、第1の発明、及び第2の本発明に係る
図1乃至
図26を併せて参照しつつ、第1の発明、及び第2の本発明と同一部分には同一符号を付して説明する。
また、
図28、
図29では、送風管、及び搬送体経路を夫々構成する壁部(管壁)は何れも図示を省略している。
【0068】
第3の本発明に係る紙幣搬送システム10は、気流発生装置(ブロアー)310と、気流発生装置が生成した気流の流路を内部に形成する送風管100と、送風管内の気流の方向を制御する切替ユニット320と、気流発生装置310、及び切換ユニット320を制御する制御手段800と、送風管100内を所定方向に流れる気流を受けて送風管内を走行する移動体200と、少なくとも一部が送風管に沿って送風管に隣接配置された搬送体経路400(401)と、紙幣を保持可能に構成されて搬送体経路内を走行する搬送体500と、を備える。
移動体200は、移動体側磁性体213を備え、搬送体500は搬送体側磁性体523を備える。そして、移動体と搬送体が所定の近接位置関係(ドッキング位置関係)にあるときに移動体側磁性体と搬送体側磁性体との間に作用する磁力に基づく反発により、近接位置関係を維持しながら、移動体の移動に連動して搬送体を移動させる構成を備えている。
制御手段800は、ジャム等の不具合によって搬送体が搬送体経路の途中で停止することにより移動体200が搬送体500との近接位置関係の範囲内から離脱している時に、搬送体を所定の端部停止位置に停止させつつ、移動体を搬送体から更に離間する方向へ走行させて一旦停止させる。続いて、磁性体間の反発力に抗し得る速度にて移動体を搬送体(端部停止位置)に向けて走行させることにより前記近接位置関係の範囲内に復帰させる。
【0069】
更に具体的には、制御手段800は、移動体200が近接位置関係にある搬送体500を所定の方向(前進方向P、又は退避方向R)に移動させている過程で搬送体が途中停止したことにより移動体が先行移動して近接位置関係の範囲内から離脱した場合に、移動体により搬送体を元の走行方向とは逆方向へ移動させて所定の端部停止位置に停止させる。その後、移動体だけを搬送体から更に離間する方向へ走行させて一旦停止させ、続いて、磁気反発力に抗し得る速度にて搬送体に向けて走行させることにより移動体を近接位置関係の範囲内に復帰(復旧)させる。
【0070】
本発明の紙幣搬送システム10では、
図27に示したように送風管100と搬送管400が近接した上下位置関係で並行に配設されている領域がある。この並行な配設領域内では送風管、及び搬送管を夫々構成する管壁を介して移動体200と搬送体500は
図28に示した如き直近の上下位置関係(近接位置関係)となることができる。移動体と搬送体が近接位置関係にある場合には、移動体と搬送体が夫々保持する磁性体213、523間の反発力(又は、吸引力)によりこの近接位置関係を維持(ドッキング)することが可能となり、移動体の動作に搬送体を連動して同期移動させることが可能となる。
図27(a)に示した紙幣搬送システム10の上流端(初期位置)では、送風管100と搬送管400が夫々の管壁を介して直近の上下位置関係でドッキングしている。このドッキング状態においては、搬送体500は移動体200の進退動作に連動して搬送管400内を追従移動する。
【0071】
送風管100の上流側端部には移動体を停止させてそれ以上上流方向(退避方向R)へ移動させなくするためのストッパ130が配置されている。同様に、搬送管400の上流側端部には搬送体500を停止させてそれ以上上流方向へ移動させなくするためのストッパ410が配置されている。
また、
図27(b)に示した金庫システム(島端ユニット)内においても、上流側端部と同様に、送風管100の下流側端部には移動体を停止させてそれ以上下流方向へ移動させなくするためのストッパ131が配置されている。同様に、搬送管400の下流側端部には搬送体500を停止させてそれ以上下流方向へ移動させなくするためのストッパ411が配置されている。下流側端部において、搬送体がストッパ411によって停止している時に、ストッパ131により停止している移動体は、搬送体の長手方向略中央部に位置している(ドッキングしている)。
【0072】
次に、第3の本発明の特徴をなす移動体と搬送体との位置合わせのための制御手順(復旧方法)について、
図28、
図29、
図30に基づいて説明する。
なお、
図30は紙幣搬送システム10による移動体、及び搬送体の復旧方法を示すフローチャートである。
図28(a)のドッキング状態では、移動体200が前進方向Pへ走行することによりその直上に位置する搬送体500が連動して同方向へ移動する。紙幣の回収時には、搬送体500は第2の本発明中に示した受入ユニット600が配置された各位置において各待機部450内の紙幣を回収しながら同方向へ走行するが(
図30、ステップS1)、紙幣に折れ癖等の変形部があると搬送管400の湾曲した経路や、搬送管を構成する管壁の継ぎ目等に当該変形部が引っ掛かりを起こし、紙幣がジャムすることが有り得る。この場合、ジャムを起こした紙幣Pの抵抗により搬送体は走行を停止する。搬送体が急停止した場合には、
図28(b)のように搬送体は停止位置(中途停止位置)からそれ以上前進できなくなる一方で、高速走行する移動体だけが磁力による反発力に抗して近接位置関係の範囲内から離脱することにより搬送体から先行移動してしまう事態が発生する(
図30、ステップS2 YES、ステップS3 YES)。
【0073】
この場合、移動体と共に走行している筈の搬送体500だけが途中停止したことが検知された時点で、制御手段800は紙幣の損傷を防止するために空気流制御装置300(ブロア310)による送風を停止させることにより先行している移動体200を停止させる。その後、作業員が搬送体上から紙幣を除去する等のジャム処理を実施した上で(ステップS4)、移動体を
図28(a)に示したような搬送体の直近位置に戻すための復旧作業を実施することになる。
なお、
図28(b)中に示した距離L1は、磁性体間213、523間の反発力に起因して搬送体の直下位置(近接位置)に入り込むことができない移動体が搬送体に最も接近可能な距離を示している。
搬送体200の途中停止に伴って移動体を停止させた時点での両者間の距離は距離L1を越えていることがあるが、その離間位置から移動体を搬送体に向けて移動させたとしても距離L1を縮めることはできない。
【0074】
復旧作業では、
図28(b)のように搬送体から少なくとも距離L1だけ離間している移動体を同図(a)の如き正常な位置に復帰させるために搬送体に向けて後戻りさせる必要があるが、
図34との関係で説明したように、磁性体同士の反発力が極めて強いために途中停止している搬送体に移動体を接近させようとすると搬送体が逃げてしまい、距離L1を縮めることはできない。このため、途中停止している搬送体に対して位置関係の復旧(ドッキング)を行うことは、通常の手法では困難である。仮に、移動体により搬送体をストッパ410が設けられた端部停止位置にまで移動させて停止させてから、離間距離を縮めるべく移動体を搬送体に向けて通常の走行速度で接近させたとしても強い磁気反発力に抗して近接位置の範囲内に入り込むことは不可能である。
これに対して本発明では、移動体200(移動体側磁性体213)と搬送体500(搬送体側磁性体523)が
図28(b)のように近接位置関係の範囲内から離脱した場合に、次のような復旧のための制御を行う。即ち、まず途中停止した搬送体500上の紙幣を除去する(
図30、ステップS4)。次いで、ブロア310からの風力により移動体200を退避方向Rへ移動させることにより、搬送体経路の途中、即ち中途停止位置にある搬送体500を所定の端部停止位置、即ち
図29(a)に示した初期位置に停止させてストッパ410によって退避方向Rへの移動を禁止する(ステップS5、ステップS6 YES)。次いで、
図28(b)のように搬送体から距離L1だけ離間した位置にある移動体200を搬送体500から更に大きく離間する方向Pへ走行させて所定位置(距離L2の位置)で一旦停止させる(
図29(a)、
図30ステップS7、ステップS8 YES)。この間、搬送体は端部停止位置に居続ける。その後、磁性体間の反発力に抗し得る速度にて移動体を搬送体に向けて高速で走行させることにより
図29(b)に示したように移動体を近接位置関係の範囲内に復帰させることができる(ステップS9、ステップS10 YES)。移動体が近接位置関係の範囲内に達した時点で移動体を停止させる(ステップS11)。
なお、移動体、及び搬送体の動作状態(走行、及び停止の有無、タイミング、走行方向)、現在位置等々は、送風管100、搬送体経路400等の適所に設けた各種センサ等からの検知情報に基づいて判定される。移動体の走行速度は、風速制御ユニット300により制御することができる。
【0075】
以上は移動体が搬送体を前進方向Pへ走行させている過程において搬送体が停止して移動体が近接位置関係の範囲から離脱する事態が発生した場合の復旧処理である。
以上と同様の事態、及び復旧処理の必要性は、搬送体が金庫ユニット700から初期位置に向けて退避方向Rへ走行する過程においても発生し得る。
即ち、搬送体500は金庫ユニット700に達した時点で図示しない紙幣移載装置によって積載した紙幣を全て金庫ユニット側に移載し、その後は初期位置に戻るために退避方向Rへの移動を開始する。この退避方向への移動の過程においても何らかの原因により搬送体が停止し、先行して移動した移動体が近接位置関係の範囲から離脱する事態を想定することができる。
【0076】
図31(a)及び(b)は紙幣回収、及び金庫ユニット側への紙幣移載を完了した後に初期位置に戻るために移動体が搬送体を正常に走行させている状態を示す正面図、及び搬送体が停止したために移動体が単独で先行している状態を示す正面図であり、
図32(a)及び(b)は復旧の為の制御手順(復旧方法)を説明する正面図である。
この場合、走行している筈の搬送体が停止したことが検知された時点で、制御手段800は紙幣の損傷を防止するために空気流制御装置300(ブロア310)を停止させることにより移動体を停止させる。その後、作業員が搬送体が停止している原因を除去、解消した上で、移動体を
図31(a)に示した如く搬送体の直近位置に戻すための復旧作業を実施することになる。
復旧作業では、次のような復旧のための制御を行う。即ち、ブロア310を駆動して移動体200を退避方向Rへ気流により移動させることにより、
図31(b)に示した搬送体経路中の中途停止位置にある搬送体500を所定の端部停止位置、即ち
図32(a)に示した金庫ユニット側の端部停止位置に停止させてストッパ411によって前進方向Pへの移動を禁止する。次いで、搬送体から離間した位置にある移動体200を
図32(a)のように搬送体500から更に大きく離間する方向Rへ走行させて所定位置(距離L2)で一旦停止させる。この間、搬送体は端部停止位置に居続ける。その後、磁性体間の反発力に抗し得る速度にて搬送体に向けて高速で走行させ、
図32(b)に示したように移動体を近接位置関係の範囲内に復帰させた時点で移動体を停止させる。
なお、
図29(a)、及び
図32(a)の各位置にある移動体を搬送体に向けて高速移動させる際の速度、即ち磁性体間の反発力に抗しながら搬送体の直下位置に復帰するための速度の値は、反発力を生成する磁力の強度や移動体の重量にもよるが実験的に導き出すことが可能である。
【0077】
因みに通常の紙幣搬送時に搬送体(移動体)が前進方向P、及び退避方向Rへ走行する際の速度は1.5m/sec〜2.0m/secであるが、
図29(b)の復旧動作時の退避方向Rへの走行速度、或いは
図32(b)の復旧動作時の前進方向Pへの走行速度は3.0m/sec〜4.0m/secである。
このような復旧動作のための制御は、搬送体が停止したことを検知する度に実施してもよいし、搬送体が搬送体経路を所定回数往復動作(例えば、一往復)する度に一回実施するようにしてもよい。
【0078】
以上のような復旧のための制御手順を実施することにより、搬送体(搬送体側磁性体)が所定方向への走行中にジャムなどに起因して停止したことにより移動体(移動体側磁性体)だけが搬送体から離間して先行移動して磁力による連動が不可能な事態に陥った場合に、効果的に移動体を搬送体の直近位置に復旧させることができる。
なお、
図28乃至
図32中に図示した移動体200は、
図4、
図7、
図8等に示した移動体とは形状が異なる。
図33は、
図28乃至
図32中に図示した移動体200の外観斜視図であり、2つの分割片210と、各分割片210間を連結するシャフト215とを備え、シャフト215の両端部に設けた図示しないヒンジ部により各分割片は横方向に回動自在に軸支されている。また、各分割片210の上面には移動体側磁石213が配置され、各分割片の四隅にはローラ216が配置されて送風管100内をスムーズに移動できるように構成されている。
【0079】
〔本発明の構成、作用、効果のまとめ〕
本発明に係る紙葉搬送システム10は、搬送体経路401、該搬送体経路を移動する紙葉搬送用の搬送体500、及び搬送体経路に沿って複数箇所設けられ、且つ紙葉を搬送体に移載させるために待機させる待機部450を備えた紙葉搬送装置Cと、外部から一枚ずつ投入された紙葉を受け入れて各待機部に移動させるために各待機部毎に配置される紙葉受入れ装置(受入ユニット)600と、各紙葉受入れ装置、及び紙葉搬送装置Cを駆動する駆動装置と、これらを制御する制御手段800と、を備え、各紙葉受入れ装置は、投入された紙葉を待機部に向けて順次移送(案内)する導入部610を備え、搬送体は、待機部を通過する過程で該待機部に停止している紙葉を回収して該搬送体に移載して起立状態で保持する紙葉回収保持部(ピックアップ手段)540を備え、紙葉回収保持部は既に移載されている先行紙葉の一面に後続の紙葉の一面を重ねて保持する構成を備え、制御手段は、待機部に紙葉が停止している時に、紙葉受入れ装置に投入された後続の紙葉を導入部により受け入れて該導入部内に待機させることを特徴とする。
【0080】
本発明によれば、搬送体が待機部を高速で通過する過程で減速することなく待機部内の待機紙葉をピックアップして搬送体上に移載することができる。このため、受入ユニットから投入され待機部に待機している紙葉を確実、且つ迅速に回収して搬送体に移載すると同時に複数枚の紙葉を整列して保持しつつ、紙葉ジャムを生じさせることなく安定して搬送することができる。
搬送体上への紙葉の積載方法は、搬送体上の既積載紙葉の側面に重ねて行くという方法であるため、既存紙葉との衝突による積載不良などを防止できる。特に、搬送体上の紙葉と待機部内の紙葉は、ガイド板460を介して幅方向位置が確実にずれて干渉しないように構成されているため、紙葉同士の衝突を確実に防止できる。仮に、何れか一方の紙葉に折れ癖、その他の変形部があったとしても衝突のリスクを解消できる。
【0081】
本発明に係る紙葉搬送システム10では、紙葉回収保持部540は、搬送体経路401を移動する搬送ベース510上に立設された支柱部材541と、該支柱部材に設けられた回収部材544と、を備え、回収部材は、支柱部材により略水平方向へ開閉自在に軸支された一対の回収爪を備え、各回収爪は幅方向外側に突出した拡開姿勢と、幅方向内側に退避した退避姿勢との間を開閉し、且つ弾性部材により拡開姿勢に付勢されていることを特徴とする。
搬送体の回収部材だけが待機部内の紙葉の後端縁に対して後方から接触して待機部内を前方へ押圧搬送し、待機部から搬送路内へ抜き出し、最後は既積載紙葉の側面に重ねることができる。搬送体が搬送路内を戻る場合には回収部材が待機部内の紙葉と干渉するが、紙葉と接触して移動し続ける過程で弾性部材の付勢に抗して回収部材は退避方向へ姿勢変更するので、待機紙葉からの影響を受けることなく、或いは待機紙葉に影響を与えることなく、スムーズに戻り方向へ移動し続けることができる。
【0082】
本発明に係る紙葉搬送システム(搬送機構)10は、気体の流路(気流路101)を形成する送風管100と、送風管内を所定方向(矢印B方向、C方向)に流れる気流を受けて送風管内を走行する移動体200と、少なくとも一部が送風管に沿って送風管に隣接配置された搬送路401(搬送管400)と、紙葉(紙葉P)を保持可能に構成されて搬送路内を走行する搬送体500と、を備える。移動体は移動体側磁性体(移動体側磁石213)を備え、搬送体は搬送体側磁性体(搬送体側磁石523)を備え、移動体側磁性体と搬送体側磁性体の少なくとも一方が磁石から構成される。紙葉の搬送機構は、搬送体側磁性体と移動体側磁性体との間に作用する磁力に基づく吸着、及び/又は、反発により、気流を受けた移動体の移動に連動して搬送体を移動させることを特徴とする。
空気流を利用して移動体を走行させると共に、磁力を利用して移動体の移動に連動させて搬送体を走行させる。移動体及び搬送体を走行させるために、モータ、ギヤ、搬送ベルト等の機械的な駆動手段を必要としないため、搬送機構を構成する各部材の耐久性を向上させることができ、搬送機構のランニングコストを低減させることができる。
搬送体側磁性体と移動体側磁性体との間に反発力を作用させる場合は、搬送体が搬送路に接触しにくくなる。その結果、摩擦力の発生による搬送力の低下や各部材の接触によるダストの発生を防止できる。
【0083】
また、送風管と搬送路とを別個独立した構成としたので、送風管内に気密的な流路を形成することができる。送風管外部への空気漏れを防止できるので、搬送力の低下を防止できる。また、送風管内に気流を発生させる装置として、比較的安価且つ低出力の気流発生装置(ブロア310)を採用でき、搬送機構の低コスト化を実現する。仮に、紙葉の搬送距離が長距離化した場合であっても、気密的な送風管内における空気流の制御は容易である。
【0084】
本発明に係る空気流制御装置(送風制御ユニット300)は、外部配管と接続する第一乃至第四流路(323a〜323d)、及び、第一乃至第四流路の合流部に配置されて各流路間の連通状態を切り替える切替弁325を有した空気流切替ユニット320と、一端部330aを第一流路323aに、他端部330bを第二流路323bに連通接続され、空気流切替ユニットを介してエンドレス状の気流路を形成する第一循環配管330と、第一循環配管の適所に配置されて第一循環配管内を一定方向に流れる気流を発生させる気流発生装置(ブロア310)と、一端部100aを第三流路323cに、他端部100bを第四流路323dに接続され、空気流切替ユニットを介してエンドレス状の気流路を形成すると共に、内部に配置した移動体200を気流により所定方向に移動させる第二循環配管(送風管100)と、を備える。
切替弁は、第一及び第二流路間を連通させるニュートラル姿勢(
図5(a))と、第一及び第四流路間を連通させると共に第二及び第三流路間を連通させて、第二循環配管内に第一の方向に流れる気流を発生させる第一連通姿勢(
図5(b))と、第一及び第三流路間を連通させると共に第二及び第四流路間を連通させて、第二循環配管内に第二の方向に流れる気流を発生させる第二連通姿勢(
図5(c))と、に切り替え可能に構成されていることを特徴とする。
【0085】
本態様によれば、単一の気流発生装置により一定方向(矢印A方向)の気流を発生させつつ、切替弁の姿勢を切り替えて、送風管内に気流を発生させない状態、送風管内に第一の方向(矢印B方向)に流れる気流を発生させる状態、送風管内に第二の方向(矢印C方向)に流れる気流を発生させる状態の3つの状態を切り替えることができる。
本発明に係る紙葉搬送システム(搬送機構)10は、気流を生成すると共に、生成する気流の流速、流量を調整可能な気流発生装置310と、気流発生装置が生成した気流の流路を内部に形成する送風管100と、該送風管内の気流の方向を制御する切替ユニット320と、気流発生装置、及び切換ユニットを制御する制御手段800と、送風管内を流れる気流を受けて送風管内を走行する移動体200と、少なくとも一部が送風管に沿って送風管に隣接配置された搬送体経路400、401と、紙葉を保持可能に構成されて搬送体経路内を走行する搬送体500と、を備え、移動体200は移動体側磁性体213を備え、搬送体は搬送体側磁性体523を備え、移動体側磁性体と搬送体側磁性体が近接位置関係にあるときに移動体側磁性体と搬送体側磁性体との間に作用する磁力に基づく反発により、移動体の移動に連動して搬送体を移動させる構成を備え、制御手段は、移動体が近接位置関係にある搬送体を所定の方向に移動させている過程で搬送体が途中停止したことにより移動体が近接位置関係の範囲内から離脱したときに、移動体により搬送体を元の走行方向とは逆方向へ移動させて所定の端部停止位置に停止させ、その後、移動体だけを搬送体から更に離間する方向へ走行させて一旦停止させてから反発力に抗し得る速度にて搬送体に向けて走行させることにより移動体を近接位置関係の範囲内に復帰させることを特徴とする。
【0086】
狭い搬送体経路内を、紙葉を積載しながら高速走行する搬送体は紙葉ジャム、その他の何らかの原因により引っ掛かりを起こして途中停止することが想定される。この場合、搬送体を動かすために走行していた移動体は搬送体との間の磁力反発の範囲を超えて先行し、両者は分離状態となる。本発明では、搬送体が停止する原因を除去した後に、移動体を搬送体の近接位置に復帰させるために、搬送体を端部停止位置に移動させて停止させる。その後、移動体を搬送体から充分に離間する位置まで移動させてから、搬送体に向けて高速で移動させることにより近接位置の範囲内に復帰させる。
途中停止した搬送体の停止原因を除去処理した後に行われる復旧のための作業は、一連の動作として自動的、且つ迅速に実施することができるため、紙葉搬送システムの稼働率を大きく低下させることはない。
【0087】
また、本発明における紙葉搬送システム10における復旧方法は、上記構成を備えた紙葉搬送システムにおいて、移動体200が近接位置関係にある搬送体を所定の方向に移動させている過程で搬送体が途中停止したことにより移動体が先行移動して近接位置関係の範囲内から離脱したときに、移動体により搬送体を元の走行方向とは逆方向へ移動させて所定の端部停止位置に停止させるステップと、その後、移動体だけを搬送体から更に離間する方向へ走行させて一旦停止させるステップと、移動体を、一旦停止した位置から反発力に抗し得る速度にて搬送体に向けて走行させることにより移動体を近接位置関係の範囲内に復帰させるステップと、を備えたことを特徴とする。
この復旧方法によれば、途中停止した搬送体の停止原因を除去処理した後に行われる復旧のための作業を、一連の動作として自動的、且つ迅速に実施することができるため、紙葉搬送システムの稼働率を大きく低下させることはない。
【課題】搬送体が所定方向へ走行中に途中停止したことにより移動体だけが搬送体から離間して先行移動して磁力による連動が不可能な事態に陥った場合に、効果的に移動体を搬送体の直近位置に復旧させる。
【解決手段】移動体200と搬送体500が近接位置関係にあるときに各磁性体213、523間に作用する反発により、移動体の移動に連動して搬送体を移動させる構成を備え、搬送体が途中停止したことにより移動体が近接位置関係の範囲内から離脱したときに、搬送体を逆方向へ移動させて所定の端部停止位置に停止させ、その後、移動体だけを搬送体から更に離間する方向へ走行させから反発力に抗し得る速度にて搬送体に向けて走行させることにより移動体を近接位置関係の範囲内に復帰させる。