特許第6837251号(P6837251)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6837251
(24)【登録日】2021年2月12日
(45)【発行日】2021年3月3日
(54)【発明の名称】釣り用ルアー及びルアーボディ
(51)【国際特許分類】
   A01K 85/16 20060101AFI20210222BHJP
【FI】
   A01K85/16
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2020-116058(P2020-116058)
(22)【出願日】2020年7月6日
【審査請求日】2020年7月7日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513024616
【氏名又は名称】株式会社LONGIN
(74)【代理人】
【識別番号】110002055
【氏名又は名称】特許業務法人JAZY国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 仁
【審査官】 大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】 特開2018−143224(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/092668(WO,A1)
【文献】 特開2011−050374(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3025248(JP,U)
【文献】 米国特許第6484434(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 85/00−85/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
腹部側に凹部が設けられたルアーボディと、
前記凹部の内部に取り付けられ、前記凹部より外部に露出せずに設けられたフックアイと、
このフックアイに連結され、一部は前記凹部に位置し、他部は前記凹部より露出したスプリットリングと、
このスプリットリングに吊下げ部を介して取り付けられたフックを備えていることを特徴とする釣り用ルアー。
【請求項2】
下側に凹部が設けられたルアーボディと、
前記凹部の内部に取り付けられ、前記凹部より外部に露出せずに設けられたフックアイと、
このフックアイに連結され、一部は前記凹部に位置し、他部は前記凹部より露出したスプリットリングと、
このスプリットリングに吊下げ部を介して取り付けられたフックを備えていることを特徴とする釣り用ルアー。
【請求項3】
前記フックアイは、前記凹部の底部に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の釣り用ルアー。
【請求項4】
前記フックは、基端部に形成され、前記スプリットリングに揺動自在に取り付けられる吊下げ部と、
この吊下げ部に連なる軸部と、
この軸部から先端側に設けられた針先部を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の釣り用ルアー。
【請求項5】
前記凹部の形状は、その開口部の縁部において、前記フックの軸部又は針先部の揺動範囲を規制することを特徴とする請求項4に記載の釣り用ルアー。
【請求項6】
前記凹部によって規制される前記フックの軸部又は針先部の揺動範囲は、前記針先部が前記ルアーボディの背側に達しない範囲であることを特徴とする請求項5に記載の釣り用ルアー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ルアーフィッシングに用いる釣り用ルアー及びそのルアーボディに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般にルアーフィッシングに用いる釣り用ルアーとして、小魚に似せたルアーボディの腹部や尾びれ部にフックをぶら下げた構造のものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
図5はこのような一般的な釣り用ルアー100を示す側面図である。釣り用ルアー100は、小魚を模したルアーボディ110を備えている。ルアーボディ110の腹部(ベリー)側には、フックアイ120,121が設けられている。また、先端側にはラインアイ122、後端側にはフックアイ123、背側にはバックアイ124が設けられている。
【0004】
フックアイ120には、スプリットリング130を介してフロントフック140が取り付けられている。フックアイ121には、スプリットリング131を介してリアフック141が取り付けられている。フロントフック140は、輪状に形成された吊下げ部140aと、吊下げ部140aの下部に設けられた軸部140bと、この軸部140bからJ字状に延びた3本の針先部140cを備えている。リアフック141は、輪状に形成された吊下げ部141aと、吊下げ部141aの下部に設けられた軸部141bと、この軸部141bからJ字状に延びた3本の針先部141cを備えている。
【0005】
フックアイ123には、スナップスイベル150を介してブレード160が取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-080720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したようにフックアイを介してフックを取り付ける釣り用ルアーにあっては、次のような問題があった。すなわち、図6に示すように、フロントフック140やリアフック141が使用中や引き上げた後にルアーボディ110の背側に回り、針先部140cがルアーボディ110に引っ掛かり、容易に取り外せないことがあった。また、バックアイ124にラインを取り付けるような釣り方法の場合には、ラインに針先部140cが引っ掛かることもあった。この場合も容易に取り外せない。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、フックがルアーボディやラインに引っ掛かることを防止できる釣り用ルアー及びルアーボディを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の釣り用ルアーは、腹部側に凹部が設けられたルアーボディと、前記凹部の内部に取り付けられ、前記凹部より外部に露出せずに設けられたフックアイと、このフックアイに連結され、一部は前記凹部に位置し、他部は前記凹部より露出したスプリットリングと、このスプリットリングに揺動自在に取り付けられたフックを備えていることを特徴とする。
【0010】
本発明の釣り用ルアーは、下側に凹部が設けられたルアーボディと、前記凹部の内部に取り付けられ、前記凹部より外部に露出せずに設けられたフックアイと、このフックアイに連結され、一部は前記凹部に位置し、他部は前記凹部より露出したスプリットリングと、このスプリットリングに揺動自在に取り付けられたフックを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の釣り用ルアーによれば、凹部に設けられたフックアイに取り付けられたフックが凹部の開口部に干渉し、フックの揺動範囲を規制でき、フックの針先部がルアーボディやラインに引っ掛かる不具合を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態である釣り用ルアーを示す側面図である。
図2】同釣り用ルアーを構成するルアーボディを示す縦断面図である。
図3】同ルアーボディを示す下面図である。
図4】同釣り用ルアーを逆さにした場合を示す側面図である。
図5】一般的な釣り用ルアーを示す側面図である。
図6】同釣り用ルアーの問題点を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
【0017】
図1は本発明の実施形態である釣り用ルアー10を示す側面図、図2は釣り用ルアー10を構成するルアーボディ20を示す縦断面図、図3はルアーボディ20を示す下面図である。釣り用ルアー10は、ルアーボディ20の先端のラインアイ23に接続された釣り糸に引っ張られるようにして水中または水面付近に位置して周囲の魚を引きつけるように機能する。
【0018】
釣り用ルアー10は、小魚を模したルアーボディ20を備えている。ルアーボディ20は、プラスチックや金属、ゴム等で形成されている。ルアーボディ20は、前部20a,中央部20b,後部20cから構成されている。ルアーボディ20の前部20a,中央部20bの下側となる腹部(ベリー)側には、それぞれ凹部21,22が設けられている。凹部21,22の底部には、それぞれフックアイ21a,22aが設けられている。フックアイ21a,22aは、金属材製である。
【0019】
ルアーボディ20の先端側にはラインアイ23、背側にはバックアイ24、後端側にはフックアイ25が設けられている。ラインアイ23、バックアイ24、フックアイ25はいずれも金属材製である。
【0020】
フックアイ21aには、金属材製のスプリットリング30を介して金属材製のフロントフック40が取り付けられている。フックアイ22aには、金属材製のスプリットリング31を介して金属材製のリアフック41が取り付けられている。フロントフック40は、輪状に形成された吊下げ部40aと、吊下げ部40aの下部に設けられた軸部40bと、この軸部40bからJ字状に延びた3本の針先部40cを備えている。リアフック41は、輪状に形成された吊下げ部41aと、吊下げ部41aの下部に設けられた軸部41bと、この軸部41bからJ字状に延びた3本の針先部41cを備えている。針先部40c,41cの先端には、魚が食いついた後に針が外れ難くするためのかえし(バーブ)が設けられている。
【0021】
ラインアイ23は釣り糸に結びつけられる。フックアイ25には、スナップスイベル50を介してブレード60が取り付けられている。
【0022】
凹部21,22は、その開口部の縁部において、フロントフック40及びリアフック41の軸部40b,41b又は針先部40c,41cに干渉し、フロントフック40及びリアフック41の揺動範囲を規制する深さに形成されている。凹部21,22によって規制されるフロントフック40及びリアフック41の揺動範囲は、針先部40c,41cがルアーボディ20の背側に達しない範囲である。
【0023】
このように構成された釣り用ルアー10は、次のようにして用いる。なお、ルアーボディ20のみ準備されている場合には、ラインアイ23に釣り糸を結びつける。フックアイ25には、スナップスイベル50を介してブレード60を取り付ける。次に、フックアイ21aに、フロントフック40、フックアイ22aに、リアフック41を取り付ける。
【0024】
このような状態で海・川に釣り用ルアー10を投入し、魚釣りを行う。この時、フロントフック40及びリアフック41は、揺動自在であるが、フロントフック40及びリアフック41の軸部40b,41b又は針先部40c,41cが凹部21,22の開口部の縁部に干渉し、大きく揺動することがない。例えば、針先部40c,41cがルアーボディ20の背側に達することはなく、針先部40c,41cがルアーボディ20に引っ掛かることがない。したがって、常にフロントフック40及びリアフック41が水中において揺動し、魚がルアーボディ20に食いついた際に針先部40c,41cが魚に口内に引っ掛かる等して有効に機能する。
【0025】
また、釣り用ルアー10を引き上げた際に、針先部40c,41cがルアーボディ20に引っ掛かることがないため、使用者が針先部40c,41cをルアーボディ20から取り外す等の余計な作業を行う必要が無い。
【0026】
なお、バックアイ24にラインを取り付けるような釣り方法の場合においても、ラインに針先部40c,41cが引っ掛かることがなく、取り外し作業に煩わされることはない。
【0027】
さらに、小さなルアーボディに大きな針(フロントフックやリアフック等)を装着した釣り用ルアーでは、前述したような針の引っ掛かり、糸(ライン)のもつれを生むので、そのような構成は採用できなかったが、本発明によれば、小さなルアーボディに大きな針を装着することも可能となるので、小さなルアーボディで大型の魚を釣り上げることも可能となり、釣りの範囲は各段に広がるといった効果がある。
【0028】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなくその趣旨を逸脱しない範囲で種々の改良・変更が可能であることは勿論である。
【0029】
例えば、上述した例ではルアーボディとして小魚を模したものを用いたが、小動物、昆虫等の形態を模したものや長円形・楕円形のような抽象形状のものでもよい。また、小魚型のルアーボディとして、その尾びれ部分が中折れ式で左右に揺動するものを用いてもよい。フックの形状は3本型に限られず、1本型でも2本型でも良く、使用するルアーの幅や形状、目的の魚によって適したものを用いてよい。また、スナップスイベル50及びブレード60を取り付けずにリップを設けるようにしてもよい。また、凹部の形状は円の他、長円・楕円、矩形状でも良い。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]腹部側に凹部が設けられたルアーボディと、前記凹部の内部に取り付けられたフックアイと、このフックアイに連結されたスプリットリングと、このスプリットリングに吊下げ部を介して取り付けられたフックを備えている釣り用ルアー。
[2]下側に凹部が設けられたルアーボディと、前記凹部の内部に取り付けられたフックアイと、このフックアイに連結されたスプリットリングと、このスプリットリングに吊下げ部を介して取り付けられたフックを備えている釣り用ルアー。
[3]前記フックアイは、前記凹部の底部に設けられている[1]又は[2]に記載の釣り用ルアー。
[4]前記フックは、基端部に形成され、前記スプリットリングに揺動自在に取り付けられる吊下げ部と、この吊下げ部に連なる軸部と、この軸部から先端側に設けられた針先部を備えている[1]又は[2]に記載の釣り用ルアー。
[5]前記凹部の形状は、その開口部の縁部において、前記フックの軸部又は針先部の揺動範囲を規制する[4]に記載の釣り用ルアー。
[6]前記凹部によって規制される前記フックの軸部又は針先部の揺動範囲は、前記針先部が前記ルアーボディの背側に達しない範囲である[5]に記載の釣り用ルアー。
[7]疑似餌状に形成されたボディ本体と、このボディ本体の腹部側に設けられた凹部と、この凹部の底部に設けられ、フックを取り付けるためのフックアイを備えているルアーボディ。
[8]疑似餌状に形成されたボディ本体と、このボディ本体の下側に設けられた凹部と、この凹部の底部に設けられ、フックを取り付けるためのフックアイを備えているルアーボディ。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、釣り糸に引っ張られるようにして水中または水面付近に位置して疑似餌として動作し、周囲の魚を引きつけるように機能する釣り用ルアー及びルアーボディとして有効である。
【符号の説明】
【0031】
10…釣り用ルアー、20…ルアーボディ、21…凹部、21a…フックアイ、22…凹部、22a…フックアイ、23…ラインアイ、24…バックアイ、25…フックアイ、30…スプリットリング、31…スプリットリング、40…フロントフック、40a…吊下げ部、40b…軸部、40c…針先部、41…リアフック、41a…吊下げ部、41b…軸部、41c…針先部、50…スナップスイベル、60…ブレード、100…釣り用ルアー、110…ルアーボディ、120…フックアイ、121…フックアイ、122…ラインアイ、123…フックアイ、124…バックアイ、130…スプリットリング、131…スプリットリング、140…フロントフック、140a…吊下げ部、140b…軸部、140c…針先部、141…リアフック、141a…吊下げ部、141b…軸部、141c…針先部、150…スナップスイベル、160…ブレード。
【要約】
【課題】フックがルアーボディに引っ掛かることを防止できる釣り用ルアーを提供することにある。
【解決手段】本発明は、腹部側に凹部21,22が設けられたルアーボディ20と、凹部21,22の底部に取り付けられたフックアイ21a,22aと、このフックアイ21a,22aに連結されたスプリットリング30,31と、スプリットリング30,31に揺動自在に取り付けられたフロントフック40、リアフック41を備え、フロントフック40、リアフック41は、スプリットリング30,31に揺動自在に取り付けられる吊下げ部40a,41aと、吊下げ部40a,41aに連なる軸部40b,41bと、この軸部40b,41bから先端側に設けられた針先部40c,41cを備え、凹部21,22の形状は、その開口部の縁部において、フロントフック40、リアフック41の軸部40b,41b又は針先部40c,41cの揺動範囲を針先部40c,41cがルアーボディ20の背側に達しない範囲であることを特徴とする。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6