(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような発泡機では、代表的な課題の1つとして、生成した発泡体を吹付けるスプレーガンが詰まることが挙げられる。スプレーガンの詰まりが発生した場合、その状態で吹き付けを行って形成させた発泡体は、2つの流体の混合比率が適正値から外れることになる。そのように生成された発泡体は、断熱性能や物理性能の本来のものと比較して劣るものとなってしまう。そのため施工のやり直しを行わなければならなくなり、原料や施工時間を浪費することになる。
【0005】
また、スプレーガンの詰まりを放置した場合、スプレーガンに流体を流す流路内で逆流が生じ流路内においても詰まりが発生するおそれがある。この場合、流路を切断して詰まりを除く必要があり、こうした復旧作業は非常に煩雑であり、長時間を要するものである。
【0006】
こうした課題に対処する装置として、特許文献1には、2つの流体を流路内に圧送する計量ポンプに上下限接点付き圧力計を設けた、2成分混合吐出装置におけるインターロック装置が開示されている。これは2つの流体の一方または両方の圧力が設定圧力から外れた時に、ポンプを停止させるものである。しかしながら、現場吹き付け型発泡機においては、施工対象によって形成させる発泡体の厚みが異なり、それにより各流体を流す流路内の圧力を変更する必要がある。例えば、薄い発泡体を形成させる場合は、各流路内の圧力を5.5MPa程度に設定する必要があり、厚い発泡体を形成させる場合は、各流路内の圧力を11MPa程度に設定する必要がある。そのため、こうしたインターロック装置では、スプレーガンの詰まりを検出するためには、施工対象ごとに上限値、下限値を何度も調整し直す必要があった。
【0007】
また、現場吹き付け発泡では、混合させる流体を流路内に供給するポンプは通常、重量が大きいため、施工場所と離れて設置されている。このため、施工現場においてスプレーガンを操作するオペレータは、スプレーガンの詰まりを復旧させるために、まず、施工現場から離れた箇所に設置されているポンプの元へ行き、これらを停止状態にする必要がある。そして、スプレーガンの掃除を行った後に、各流路内の圧力を調節して、再度ポンプを稼働状態にした後に施工現場に戻る必要があった。このため、二人で作業を行うか、一人で往復しながら作業を行う必要があり、復旧作業に時間がかかるという課題があった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、スプレーガンの詰まりを早期に検出することによって低品質の発泡体の生成を防止すると共に、発泡体の吹付けを一時中断して再開する際の復旧時間を短縮することができる現場吹き付け型発泡機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明によれば、第一の流体と、前記第一の流体とは異なる第二の流体とを混合させ、発泡体を生成させて、施工現場において吹付ける現場吹付け型発泡機であって、前記第一の流体を流す第一の流路と、前記第二の流体を流す第二の流路と、前記第一の流体を前記第一の流路内に供給する第一のポンプと、前記第二の流体を前記第二の流路内に供給する第二のポンプと、前記第一の流路内の圧力を測定する第一の圧力計と、前記第二の流路内の圧力を測定する第二の圧力計と、前記第一の圧力計と前記第二の圧力計との測定値の差が所定の閾値を超えたときに、前記第一のポンプと前記第二のポンプとを自動的に停止させる制御装置とを備える、現場吹付け型発泡機が提供される。
【0010】
すなわち、請求項1の発明では、第一の圧力計と第二の圧力計との測定値の差が所定の閾値を超えたときに、制御装置が、第一のポンプ及び第二のポンプを自動的に停止させる。これにより、スプレーガンの詰まりを早期に検出して、低品質の発泡体の生成を防止することができる。その結果、施工のやり直しによる原料や施工時間の浪費を抑制することができる。
【0011】
請求項2の発明によれば、前記第一の流路及び前記第二の流路にはそれぞれ、これら流路内の圧力を減圧する減圧バルブが設けられている、請求項1に記載の現場吹付け型発泡機が提供される。
【0012】
すなわち、請求項2の発明では、第一の流路及び第二の流路のうちのより内圧の高い方の流路に取り付けられている減圧バルブを開放することによって、当該流路内の圧力を減圧して、もう一方の流路内の圧力と同等にすることができる。
【0013】
請求項3の発明によれば、前記第一のポンプ及び前記第二のポンプは、前記施工現場から離間した位置に設置されており、現場吹付け型発泡機はさらに、前記施工現場から前記第一のポンプ及び前記第二のポンプを作動させる遠隔操作装置を備える、請求項1又は2に記載の現場吹付け型発泡機が提供される。
【0014】
すなわち、請求項3の発明では、現場吹付け型発泡機のオペレータは、通常、施工現場から離間した箇所に設置されている第一のポンプ及び第二のポンプに併設されている制御装置まで移動することなく、遠隔操作装置によって施工現場から、第一のポンプ及び第二のポンプを作動状態にすることができる。その結果、オペレータひとりでの作業する場合には作業効率が向上し、あるいは効率的な作業のために、制御装置の操作盤を操作するためのさらなる人員を確保する必要がなくなる。
【0015】
請求項4の発明によれば、前記遠隔操作装置が、前記第一の圧力計と前記第二の圧力計との測定値を表示する圧力表示部を備える、請求項3に記載の現場吹付け型発泡機が提供される。
【0016】
すなわち、請求項4の発明では、より高い圧力値を示している方の流路に取り付けられている減圧バルブを開放して、当該流路内の圧力を減圧する際に、施工現場から移動することなく圧力が高くなっている流路を特定することができ、正確に圧力を調節することができる。
【発明の効果】
【0017】
請求項1〜4の発明によれば、スプレーガンの詰まりを早期に検出して、低品質の発泡体の生成を防止することができる。その結果、施工のやり直しによる原料や施工時間の浪費を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
これより、
図1を参照しつつ、本発明の実施形態に係る現場吹付け型発泡機について説明する。本実施形態に係る現場吹付け型発泡機1は、第一の流体及び第二の流体にそれぞれ相当するポリオール及びイソシアネートを混合させ、発泡体に相当するポリウレタンフォームを生成させて、施工現場において吹付けることのできる発泡機である。
【0020】
現場吹付け型発泡機1は、イソシアネートを収容するイソシアネートタンク11と、イソシアネートタンク11からイソシアネートをイソシアネート流路13に供給するイソシアネートポンプ15と、イソシアネート流路13内の圧力を測定するイソシアネート流路圧力計17とを備える。現場吹付け型発泡機1はさらに、ポリオールを収容するポリオールタンク21と、ポリオールタンク21からポリオールをポリオール流路23に供給するポリオールポンプ25と、ポリオール流路23内の圧力を測定するポリオール流路圧力計27とを備える。
【0021】
イソシアネートポンプ15及びポリオールポンプ25は、例えば複動型のプランジャポンプであるが、イソシアネート流路13及びポリオール流路23にそれぞれ定量供給できるポンプであれば、どのような種類のポンプであってもよい。また本実施形態では、イソシアネートポンプ15及びポリオールポンプ25は、連動して作動及び停止するように制御されている。
【0022】
本実施形態に係る現場吹付け型発泡機1はさらに、イソシアネート流路13及びポリオール流路23のそれぞれに、これら流路13、23内の圧力を減圧するための減圧バルブ19、29が設けられている。ここでは、減圧バルブ19、29は三方弁であるが、イソシアネート流路13又はポリオール流路23を減圧する際に、後述するスプレーガン31を各流路13、23から取り外すことなく、流路13、23からイソシアネート又はポリオールを抜き出すことができれば、どのような弁であってもよい。
【0023】
本実施形態では、現場吹付け型発泡機1はさらに、イソシアネートとポリオールとを混合撹拌させることによって生成されるウレタンフォームを所望の箇所に吹付け発泡させるスプレーガン31を備える。なお、イソシアネート及びポリオールは、スプレーガン31に供給される前に、これらの反応を促進させるためにイソシアネート流路13及びポリオール流路23にそれぞれ設けられたヒーターHによって加熱される。本実施形態では、ヒーターHは、ポリオール及びイソシアネートを20〜60℃、好ましくは30〜50℃に加熱する。
【0024】
本実施形態では、イソシアネート流路13及びポリオール流路23が、施工現場Fにおいてスプレーガン31で発泡体を吹付けられるように、イソシアネートポンプ15及びポリオールポンプ25から施工現場Fまで延長されている。つまり、イソシアネートポンプ15及びポリオールポンプ25は、施工現場Fから離間した位置に設置されている。
【0025】
本実施形態に係る現場吹付け型発泡機1は、イソシアネートとポリオールとの反応を促進させる、本実施形態では二酸化炭素である発泡剤を液体状で収容する発泡剤タンク41と、発泡剤タンク41から発泡剤を発泡剤流路43に供給する発泡剤ポンプ45とを備える。発泡剤流路43は、開閉弁47を介してポリオール流路23に接続されており、当該開閉弁47を開閉することによって、所定の量の発泡剤をポリオール流路23に流すことができる。ポリオール流路23に流入した発泡剤をポリオールとより混合させるために、ポリオール流路23には、ポリオール流路23と発泡剤流路43との合流箇所Jの下流にスタティックミキサーMが設けられている。なお、二酸化炭素は、液体状(亜臨界状態及び超臨界状態を含む)でポリオールと混合されるものであり、発泡剤タンク41内では液体状でも気体状でもよく、気体状の場合は発泡剤流路43に冷却装置を設けて、液化させてもよい。
【0026】
現場吹付け型発泡機1はさらに、イソシアネート流路圧力計17及びポリオール流路圧力計27の測定値を取得するように、かつイソシアネートポンプ15及びポリオールポンプ25を作動及び停止させることができるように電気的に接続されている制御装置51を備える。この制御装置51は、イソシアネートポンプ15及びポリオールポンプ25に併設されており、イソシアネートポンプ15及びポリオールポンプ25を作動状態及び停止状態に切り替えることのできる操作盤(図示しない)を備える。
【0027】
本実施形態では、制御装置51は、CPU(マイクロプロセッサ)、メモリ、入力ポート、出力ポートなどを備えたPLC(プログラマブルロジックコントローラ)であるが、これはアナログ式制御回路又は機械式制御を行うものであってもよい。
【0028】
本実施形態に係る現場吹付け型発泡機1はさらに、制御装置51及び後述する通信手段を介して、施工現場Fからイソシアネートポンプ15及びポリオールポンプ25を作動状態又は停止状態にさせることのできる遠隔操作装置61を備える。
【0029】
遠隔操作装置61は、以下に示すような通信手段により制御装置51と接続されている。通信手段は有線又は無線のものである。有線の通信手段としては、例えばLANケーブルや光ファイバーケーブル等が挙げられる。また、無線の通信手段としては、例えば、携帯電話の通信規格、広帯域移動無線アクセスシステム及び近距離無線通信規格等が挙げられる。これらは、それぞれの通信手段を利用できる通信機器を制御装置51及び遠隔操作装置61に取り付けることによって、これらを接続することができる。
【0030】
携帯電話の通信規格としては、第2世代移動通信システムとしてPDC,GSM(登録商標),cdmaOne等、第3世代移動通信システムとしてW−CDMA、CDMA2000、HSPA、EV−DO、LTE等、第4世代移動通信システムとしてLTE−Advanced等が挙げられる。また、広帯域移動無線アクセスシステムとしては、WiMAX(登録商標)、XGP、モバイルWiMAX、WiMAX2、WiMAX2+、AXGP等が挙げられる。これらの通信規格により、インターネットを介して制御装置51と遠隔操作装置61とを接続することができる。
【0031】
さらに、近距離無線通信規格としては、ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、無線LAN等が挙げられる。これらの通信規格により、制御装置51と遠隔操作装置61とを直接に又は中継機を介して接続することができる。建築物内で施工を行う場合、制御装置51を建築物外に設置するならば、少なくとも一つの中継器は建築物の外に置くことが好ましい。また、中継機の電源は建築物の電源を利用することで、設置を容易に行うことができる。
【0032】
これらの無線の通信手段において、携帯電話の通信規格や広帯域移動無線アクセスシステムを用いれば、制御装置と施工場所の距離を気にせず、接続が可能であり好ましい。
【0033】
これらの無線の通信手段において、近距離無線通信規格を用いれば、インターネットを介さず、接続が可能であり、携帯電話の通信規格や広帯域移動無線アクセスシステムが使用できない地域においても使用することができる。近距離無線通信規格の中でも、通信の暗号化が可能であり、中継機を介することで大きな建築物であっても通信を行うことができるZigbee(登録商標)や無線LANが好ましく、通信を行うための部品を容易に入手でき、構築が容易である無線LANがより好ましい。
【0034】
また、無線LANであれば、中継機を介して接続することが難しい場合においても、携帯電話の通信規格でテザリンク可能な通信機器や無線LAN接続可能な広帯域移動無線アクセスシステムの通信機器により、インターネットを介することで、接続することもできる。
【0035】
遠隔操作装置61は、上記通信手段を通して制御装置51に制御情報を入力するための制御アプリケーションをダウンロードして利用することのできる携帯型情報端末であることが好ましい。このようにすることで、施工場所において飛散した発泡体が付着して携帯型情報端末が使用できなくなった場合でも、容易にかつ低コストで代替機を用意することができる。携帯型情報端末として、例えば携帯電話、スマートフォン、ポータブルメディアプレイヤー、携帯ゲーム機等の汎用の携帯型情報端末を使用することができる。
【0036】
また、遠隔操作装置61は入力手段がタッチパネルであることが好ましい。遠隔操作装置61の画面に直接触れて操作することで、より直感的に操作することができ、入力ミスを減らすことができる。
【0037】
また、遠隔操作装置61は音声入力できることが好ましい。これにより、現場吹付け型発泡機1のオペレータは、施工を行っている最中に、画面を見ることなく遠隔操作装置61の操作を行うことができる。
【0038】
また、本実施形態では、遠隔操作装置61は、イソシアネート流路圧力計17及びポリオール流路圧力計27の測定値を表示する圧力表示部(図示しない)をさらに備える。ここでは、遠隔操作装置61は、イソシアネート流路圧力計17及びポリオール流路圧力計27の測定値を制御装置51から上記通信手段を介して取得する。しかしながら、遠隔操作装置61は、イソシアネート流路圧力計17及びポリオール流路圧力計27の測定値をこれら圧力計17、27から直接取得してもよい。
【0039】
これより、本実施形態に係る現場吹付け型発泡機1の作動工程について説明する。
【0040】
まず、制御装置51の制御盤を操作することによって、あるいは遠隔操作装置61に入力することによって、イソシアネートポンプ15及びポリオールポンプ25を作動状態にする。それにより、オペレータは、スプレーガン31を操作して施工現場Fでの発泡体の吹付けを開始する。
【0041】
制御装置51は、発泡体の吹付けの間中、イソシアネート流路圧力計17及びポリオール流路圧力計27の測定値を監視しており、これらの測定値の差が所定の閾値を超えると、イソシアネートポンプ15及びポリオールポンプ25を自動的に停止させる。
【0042】
イソシアネートポンプ15及びポリオールポンプ25が停止状態になっているときに、オペレータは、イソシアネート流路13及びポリオール流路23とスプレーガン31との間の連通を遮断して、これら流路13、23からスプレーガン31を取外す。そして、スプレーガン31の内部を洗浄して、スプレーガン31の詰まりを解消する。なお、イソシアネート流路13及びポリオール流路23とスプレーガン31との間の連通の遮断は、例えば各流路13、23のスプレーガン31の近傍箇所に設けられた開閉弁(図示しない)を閉弁することによって行ってもよいし、減圧バルブ19、29に各流路13、23を閉鎖できるバルブを選択してもよい。
【0043】
次に、本実施形態では、遠隔操作装置61の圧力表示部に表示されているイソシアネート流路13及びポリオール流路23の圧力を参照して、より高い圧力値を示している方の流路13、23に取り付けられている減圧バルブ19、29を開放する。これにより、イソシアネート又はポリオールの一部を流路13、23から抜き出すことによって、当該流路内の圧力を減圧して、もう一方の流路の圧力と同等にする。
【0044】
次に、先ほど開弁した減圧バルブ19、29を閉弁すると共に、スプレーガン31をイソシアネート流路13及びポリオール流路23に取り付けて、これら流路13、23と連通させる。そして最後に、本実施形態では遠隔操作装置61によって、イソシアネートポンプ15及びポリオールポンプ25を施工現場Fから作動状態にすることによって、施工現場Fでの発泡体の吹付けを再開する。
【0045】
上記、工程を発泡体の吹付けを完了するまで繰り返すことによって、所望のように発泡体を施工現場Fに吹付けることができる。
【0046】
なお、イソシアネート流路圧力計17及びポリオール流路圧力計27の測定値の差の上記閾値は、通常は3〜15MPaに設定される。閾値を3MPaよりも小さくすると、スプレーガン31の詰まり以外の原因、例えば原料の粘度等に起因する流路13、23内の圧力変動によってポンプ15、25が頻繁に停止してしまうため好ましくない。また、閾値を15MPaよりも大きくすると、スプレーガン31の詰まりが悪化するまでポンプ15、25が停止せず、長時間にわたって低品質の発泡体を生成することになり、さらにその後のスプレーガン31や流路13、23の洗浄が非常に煩雑になる。
【0047】
また、スプレーガン31に、例えばフージョンCS(商標)(グラコ社製)を使用する場合は、スプレーガン31自体に逆止弁が内蔵されていることから、スプレーガン31に詰まりが生じにくいので、上記閾値を5MPa程度に設定することができる。これにより、スプレーガン31の詰まりを防止しつつ、スレプーガン31の詰まり以外の原因でポンプ15、25が不意に停止してしまうことを抑制することができる。
【0048】
なお、本実施形態の場合では、上記閾値は10MPa程度に設定することが好ましい。これは、本実施形態では、ポリオール流路23に発泡剤流路43から一定の圧力で発泡剤を注入するので、イソシアネート流路13とポリオール流路23との間で圧力差が生じることによって、不意にポンプ15、25が停止してしまうことを抑止するためである。
【0049】
これより、本実施形態に係る現場吹付け型発泡機1の作用効果について説明する。
【0050】
(1) 本実施形態に係る現場吹付け型発泡機1では、イソシアネート流路圧力計17及びポリオール流路圧力計27の測定値が所定の閾値を超えると、制御装置51が、イソシアネートポンプ15及びポリオールポンプ25を自動的に停止させる。これにより、スプレーガン31の詰まりを早期に検出して、低品質の発泡体の生成を防止することができる。その結果、施工のやり直しによる原料や施工時間の浪費を抑制することができる。さらには、スプレーガン31の詰まりを放置して、イソシアネート流路13及び/又はポリオール流路23内で逆流が生じ、これら流路13、23内においても詰まりが生じることを防止することができる。
【0051】
(2) 本実施形態では、イソシアネート流路13及びポリオール流路23に減圧バルブ19、29が設けられており、より内圧の高い方の流路13、23に取り付けられている減圧バルブ19、29を開放することによって、当該流路内の圧力を減圧して、もう一方の流路内の圧力と同等にすることができる。これにより、その後のスプレーガン31の詰まりを抑制することができる。
【0052】
(3) 本実施形態に係る現場吹付け型発泡機1は遠隔操作装置61を備える。本実施形態では、イソシアネートポンプ15及びポリオールポンプ25が自動的に停止状態にされたときに、遠隔操作装置61を操作することによって、イソシアネートポンプ15及びポリオールポンプ25を施工現場Fから作動状態にすることができ、発泡体の吹付けを再開することができる。これにより、オペレータは、施工現場Fから離間した箇所に設置されているイソシアネートポンプ15及びポリオールポンプ25に併設されている制御装置51まで移動することなく、遠隔操作装置61によって施工現場Fから、イソシアネートポンプ15及びポリオールポンプ25を作動状態にすることができる。その結果、オペレータひとりで作業する場合には、発泡体の吹付けを一時中断して再開する際の復旧時間を短縮することができ、あるいは効率的な作業のために、制御装置51の操作盤を操作するためのさらなる人員を確保する必要がなくなる。
【0053】
(4) 本実施形態では、遠隔操作装置61は、イソシアネート流路圧力計17及びポリオール流路圧力計27の測定値を表示する圧力表示部をさらに備える。これにより、上述のように、より高い圧力値を示している方の流路13、23に取り付けられている減圧バルブ19、29を開放して、当該流路内の圧力を減圧する際に、施工現場Fから移動することなく圧力が高くなっている流路を特定することができ、正確に圧力を調節することができる。
【0054】
なお、上記実施形態の構成要素を任意に組み合わせて現場吹付け型発泡機を構成してもよい。すなわち、本発明の特徴および機能を実現できる限り、本発明は実施形態の現場吹付け型発泡機に限定されない。
【0055】
例えば、現場吹付け型発泡機1は、本実施形態では遠隔操作装置61を備えているが、遠隔操作装置を備えていなくてもよい。この場合においても、制御装置51によって、スプレーガン31での詰まりを早期に検出して、スプレーガン31にさらに詰まりが生じること防止することができ、本発明の課題を解決することができる。
【0056】
また、本実施形態では、イソシアネート流路13及びポリオール流路23に減圧バルブ19、29が設けられているが、減圧バルブ19、29は設けられていなくてもよい。この場合においては、ポンプ15、25の停止状態でスプレーガン31を作動させて両方の流路13、23の内圧を下げてこれら内圧を揃えることができる。しかしながら、スプレーガン31の種類によっては、ポリオールとイソシアネートの一方が他方の側の流路に逆流して、スプレーガンの詰まりが悪化するおそれがあるので、減圧バルブ19、29によって流路13、23を減圧することがより好ましい。