(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態の感光体カートリッジ(画像形成ユニット)が装着された画像形成装置を
図1に基づいて説明する。
【0014】
(画像形成装置)
図1は、画像形成装置60のシート搬送方向に沿った断面概略図である。画像形成装置60は、シートPにトナー画像を転写し定着して、シートにトナー画像を形成するようになっている。画像形成装置には、電子写真プロセスを用いる複写機、レーザビームプリンタ、ファクシミリ等がある。
【0015】
画像形成装置60の装置本体60Aの下部に設けられた給紙カセット50内のシートPは、ピックアップローラ59によって送り出されて、給紙ローラ対51によって、レジストローラ対53に搬送される。
【0016】
一方、感光体ドラム4は、矢印A方向に回転しながら、帯電ローラ5によって帯電され、レーザスキャナ54によって画像情報に応じたレーザLを照射されて静電潜像を形成される。静電潜像は、現像スリーブ7によってトナー現像されてトナー画像になる。
【0017】
レジストローラ対53は、シートの斜行を真っ直ぐに修正した後、感光体ドラム4上のトナー画像の位置に合わせて、シートを感光体ドラム4と転写ローラ8との転写ニップNPに送り込む。転写ローラ8は、感光体ドラム4上のトナー画像をシートに転写して、感光体ドラム4とでシートを定着器55に送り込む。定着器55は、シートを加熱加圧してトナー画像をシートに定着し、排紙ローラ対56に送り込む。排紙ローラ対56は、シートをシート排紙トレイ57に排出する。ピックアップローラ59から排紙ローラ対56までには、シートPを案内する搬送ガイド52が設けられている。以上の構成において、感光体ドラム4及び帯電ローラ5を有する感光体カートリッジ1、現像スリーブ7、転写ローラ8等は画像形成部(画像形成手段)62を構成している。
【0018】
(像担持体ユニット)
図2は、
図1の画像形成装置の左側面の開閉扉58を開いた図である。
図3は、像担持体ユニット100の外観斜視図であり、画像形成ユニットとしての感光体カートリッジ1に感光体保護ユニット70が装着されている図である。
図4は、
図3の感光体カートリッジ1を後下側から見た図である。
図5は、
図3の感光体カートリッジ1を下側から見た図である。
図6は、
図3のC−C矢視断面図であり、感光体保護ユニット70を取外した感光体カートリッジ1の図である。
【0019】
画像形成装置60において、トナー画像を担持する像担持体としての感光体ドラム4と、感光体ドラム4に接離可能に設けられ、接触して感光体ドラム4を帯電する帯電体としての帯電ローラ5等は、ユニット化されて、感光体カートリッジ1を形成している。感光体カートリッジ1は、画像形成装置60の装置本体60Aに着脱されるようになっている。
図1における装置本体60Aの左側壁は、
図2に示すように、開閉扉58によって開閉されるようになっている。感光体カートリッジ(画像形成ユニット)1は、開閉扉58を開いた状態で、後述する案内溝に案内されて、矢印B、J方向に移動可能となっており、装置本体60Aに対して着脱可能となっている。
【0020】
像担持体ユニット100(
図3)は、感光体カートリッジ(画像形成ユニット)1と感光体保護ユニット70とを備えている。感光体カートリッジ1は、フレーム80、感光体ドラム4、帯電ローラ5、クリーニングブレード6及び加圧ばね9等を備えている。また、感光体カートリッジ1には、後述する取外し可能な感光体保護ユニット70が装着されている。
【0021】
フレーム80は、右側壁81、左側壁82、右側壁81と左側壁82とを接続する天板83等で形成されている。右側壁81と左側壁82とには、感光体カートリッジ1を持つための取手
(取っ手)81a,82aが設けられている。
図6において、天板83の下側には、残留トナー回収箱84が設けられている。
図6において、残留トナー回収箱84の左側の入口84aには、左側に延びたクリーニングブレード6が設けられている。クリーニングブレード6は、感光体ドラム4の外周に接触し、矢印A方向に回転する感光体ドラム4の外周に残留したトナーを感光体ドラム4から除去して、残留トナー回収箱84に案内するようになっている。残留トナーは、感光体ドラム4にトナー画像を転写した後、感光体ドラム4の外周に残っているトナーである。
【0022】
図5において、右側壁81と左側壁82との外側には、外側に向けて第1の案内片13と、第2の案内片14(右側壁81の第2の案内片14は不図示)とが突設されている。第1の案内片13は、後述する装置本体60Aに設けられたガイド部材40(
図2、
図11)に形成された第1の案内溝42に係合するようになっている。また、第2の案内片14は、ガイド部材40(
図1、
図11)に形成された第2の案内溝43に係合するようになっている。
【0023】
図5において、感光体ドラム4と帯電ローラ5は、右側壁81と左側壁82とに回転自在に設けられている。帯電ローラ5の長手方向の両端の金属軸11は、右側壁81と左側壁82とに設けられた帯電ローラ軸受10に保持されている。帯電ローラ軸受10(後述する
図10)は、感光体ドラム4に対して接近離間する方向に移動するように右側壁81と左側壁82とに設けられて、帯電ローラ加圧ばね9によって、感光体ドラム4に接近する方向に押圧されている。これによって、帯電ローラ5は、感光体ドラム4に常時押圧されている。
【0024】
ここで、
図1、
図5、
図6に基づいて、画像形成装置60の装置本体60Aに装着された感光体カートリッジ1の動作を説明する。
【0025】
帯電ローラ加圧ばね9によって感光体ドラム4に当接している帯電ローラ5は、感光体ドラム4に従動回転して、帯電ローラ軸受け10と帯電ローラ加圧ばね9を介して、作像高圧基板(図示せず)より電圧を印加されている。高電圧が印加された帯電ローラ5は、感光体ドラム4の外周に電位を与える。帯電された感光体ドラム4は、レーザスキャナ54によりレーザLが照射されて、露光された部分のみ、電位が下がり静電潜像が形成される。静電潜像は、感光体ドラム4に対して所定の間隔を持って配置された現像スリーブ7より供給されたトナーによって現像されて、トナー画像となる。
【0026】
回転する感光体ドラム4と転写ローラ8とが接触する転写ニップNPには、シートが進入して挟まれて搬送される。転写ローラ8には、所定の高電圧が印加されている。このため、感光体ドラム4上のトナー画像は、シートに転写される。転写後、感光体ドラム4に残っている残留トナーは、クリーニングブレード6により掻き落とされる。残留トナーが掻き落とされた感光体ドラム4は、電位が下がり初期状態になり、次のトナー画像の形成のため、帯電ローラ5によって帯電される。なお、以上の感光体カートリッジ1における帯電ローラ5は、感光体ドラム4に従動回転するようになっているが、モータ等の駆動源の回転力を受けて回転するようになっていてもよい。
【0027】
(感光体保護ユニット70)
図7は、感光体保護ユニット70の外観斜視図である。
図8は、
図7のD−D矢視断面図である。
図9は、
図8の感光体保護ユニット70を
図6の感光体カートリッジ1に装着した図である。
図10は、
図9の状態から保護カバー2で感光体ドラム4を覆った図である。
【0028】
感光体保護ユニット
(保護ユニット)70は、主に、保護カバー
(保護カバー部)2と、離間部材
(離間部)3とを備えて、感光体カートリッジ1に対して着脱可能に装着されている。
【0029】
保護カバー(保護手段、保護部材)2は、断面半円状に湾曲した長尺の樋状の部材である。
図10に示すように、保護カバー2は、
図6に示す感光体ドラム4の転写ローラ8と現像スリーブ7とが当接する周辺の領域を覆うように形成され、感光体ドラム4が傷つけられたり、外光に晒されたりしないように感光体ドラム4を保護する部材である。すなわち、保護カバー2は、感光体ドラム4を保護可能になっている。なお、感光体ドラム4の保護カバー2に覆われていない領域は、
図6に示すように、天板83、残留トナー回収箱84、クリーニングブレード6等によって覆われて保護されている。
【0030】
図7において、保護カバー2の両端の上側角部には、保護カバー2を感光体カートリッジ1に着脱可能に取付けるための保護カバー軸受部
(被支持部)21が保護カバー2と一体に形成されている。保護カバー軸受部21は、保護カバー2の長手方向に対して交差する向きで、かつ内側に向けて互いに平行に延びた1対の弾性片21aを有している。1対の弾性片21aの間には、スリット27が形成されている。
図8に示すように、1対の弾性片21aの先端部の対向した部分には、凹部21bが形成されている。この凹部21bは、
図9に示すように、感光体カートリッジ1の右側壁81と左側壁82との対向する面に互いに接近する方向に突出した軸
(支持部)12を受け入れて、1対の弾性片21aの弾力によって挟持するようになっている。1対の弾性片21aが軸12に装着された状態で、弾性片21aが延びる方向は、軸12が延びる方向に対して直交する方向となっている。保護カバー2は、1対の弾性片21aを軸12から着脱することによって、感光体カートリッジ1に対して着脱することができるようになっている。この結果、感光体保護ユニット70は、感光体カートリッジ1に着脱できるようになっている。
【0031】
図7において、保護カバー2の長手方向の両端部の円弧部の中央付近には、該両端部から該長手方向に突出した突起部23が設けられている。突起部(被当接部)23は、装置本体60Aに形成された後述するストッパ部41(後述する
図11、
図12)に当接するようになっている。保護カバー2の長手方向の両端部の保護カバー軸受部21と突起部23との間の位置には、保護カバー2から離れて保護カバー軸受部21から突起部23に向けて延びた弾性を有する舌片28が設けられている。舌片28の先端部には、突起22が突起部23と同じ向きに突設されている。突起22は、保護カバー2によって感光体ドラム4を保護する際に、右側壁81、左側壁82(
図6)に形成された貫通孔である被係合孔29に係合するようになっている。保護カバー2の長手方向の中央部分の外側には、外側に向けて突出した平板状の摘み24が突設してある。摘み24は、保護カバー2を感光体カートリッジ1から取外すとき、ユーザが掴む部分である。
図7において、保護カバー2の下側両端部に付近には、後述する離間部材3が感光体ドラム4と帯電ローラ5との間に進入したか否かを確認する確認窓25が形成されている。確認窓25は、保護カバー2に形成された貫通孔である。
【0032】
離間部材(離間手段)3は、
図7において保護カバー2の回転端部2aの両端部に設けられている。離間部材3は、
図10に示すように、加圧ばね9に抗して感光体ドラム4と帯電ローラ5の帯電ローラの金属軸11との間に進入して、
図11に示すように感光体ドラム4と帯電ローラ5とを約1mm離間させるようになっている。1mmは、参考数値であって、本発明を限定する数値ではない。
図8において、離間部材3は、保護カバー2の回転端部2aの両角近くに形成された支持軸71に支持される軸受部33を有している。軸受部33は、弾性を備えて支持軸71を囲むようにして形成され、離間部材3を支持軸71に対して着脱できるように開口部33aが形成されている。このため、離間部材3は、支持軸71を中心にして、保護カバー2の回転方向E1、E2と同じ方向E1、E2に回転するようになっている。また、支持軸71に対して軸受部33は遊嵌されているため、保護カバー2および離間部材3の回転(保護解除)時に伴う離間部材3の感光体ドラム4への当接力を小さくすることで感光体ドラム4の表面への傷等を防止している。離間部材3の回転方向E1、E2の前後には、凹部31,32が形成されている。凹部31,32は、離間部材3が、感光体ドラム4と帯電ローラ5の金属軸11との間に進入しとき、感光体ドラム4と金属軸11とを受け入れる部分である。凹部31は、感光体ドラム4を受け入れる部分であり、感光体ドラム4の外周に合った円弧面に形成されている。凹部32は、帯電ローラの金属軸11を受け入れる部分であり、金属軸11の外周に合った円弧面に形成されている。凹部31,32は、感光体ドラム4と金属軸11を受け入れて、感光体カートリッジ1の搬送中或いは取り扱い中の振動によって、離間部材3が感光体ドラム4と金属軸11との間から抜け出るのを防止するために形成されている。しかも、帯電ローラ5の金属軸11には、加圧ばね9の弾力が感光体ドラム4側に加わっているため、離間部材3は、抜けにくくなっている。
【0033】
次に、感光体保護ユニット70を感光体カートリッジ1に装着する動作を説明する。
【0034】
先ず、
図6に示す軸12に、
図7、
図8に示す保護カバー軸受部21の1対の弾性片21aの間を挿入し、凹部21bを係合させて、保護カバー軸受部21を支持させる。これによって、感光体保護ユニット70は、右側壁81と左側壁82との間で、軸12に支持されて、
図9に示すように軸12を中心にして矢印E1、E2方向に回転自在に感光体カートリッジ1に装着されることになる。なお、軸12は、右側壁81と左側壁82とに互いに向き合う向きに突設されているが、右側壁81の軸12は、図示省略してある。
【0035】
その後、
図10に示すように、保護カバー2を矢印E1の方に回転させて、感光体ドラム4に接近させながら、離間部材3も矢印E1方向に回転させて、離間部材3を感光体ドラム4と金属軸11との間に加圧ばね9の弾力に抗して進入させる。離間部材3は、凹部31が感光体ドラム4に係合し、凹部32が金属軸11に係合した状態で、加圧ばね9の弾力によって、感光体ドラム4と金属軸11との間に挟まれた状態になる。このため、離間部材3は、感光体ドラム4と金属軸11との間から抜け出るのを防止される。また、保護カバー2が矢印E1方向に回転したとき、保護カバー2に設けられている舌片28の突起22が右側壁81と左側壁82とのそれぞれの被係合孔29に係合する。このため、保護カバー2は、感光体ドラム4から離れる矢印E2の方向への回転を防止される。このようにして、離間部材3が抜け止めされ、かつ保護カバー2が矢印E2の方向に回転するのを防止されることによって、感光体カートリッジ1の搬送中或いは取り扱い中の振動によって、感光体保護ユニット70が感光体ドラム4から離れることを防止される。離間部材3が感光体ドラム4と金属軸11との間に確実に装着されているか否かは、確認窓(開口部)25から目視によって確認することができる。確認窓25は、切欠きであってもよい。
【0036】
次に、感光体保護ユニット70を装着された感光体カートリッジ1を画像形成装置60の装置本体60Aに装着する動作を説明する。
図11は、感光体カートリッジ1を画像形成装置60の装置本体60Aに装着する前の図である。
図12は、感光体カートリッジ1を画像形成装置60の装置本体60Aに装着した図である。
【0037】
図5において、感光体カートリッジ1の右側壁81と左側壁82との外側には、外側に向けて第1の案内片13と、第2の案内片14(右側壁81の第2の案内片14は不図示)とが突設されている。画像形成装置の装置本体60Aに設けられたガイド部材40(
図1、
図11)には、第1の案内溝42と第2の案内片14とが、
図1において、装置本体60Aの左側面側から右側面側に延びて形成されている。
【0038】
感光体カートリッジ1を装置本体60Aに装着する前に転写ローラ8を装置本体60Aから外しておく。そして、ユーザは、
図3に示す取手81a,82aを掴んで、第1の案内片13を第1の案内溝42に進入させ、第2の案内片14を第2の案内溝43に進入させる。
図5に示すように、第1の案内片13と第2の案内片14は、それぞれ2つ(
図5の右側の第2の案内片14は図示省略)、都合4つ設けられている。このため、感光体カートリッジ1は、装置本体60Aに対して4点支持されながら、矢印B方向に押し込まれる。
【0039】
感光体カートリッジ1は、装置本体60Aに対して、矢印B方向に押し込まれている途中において、
図11に示すように、感光体保護ユニット70に設けられている突起部23が、ガイド部材40に突設されたストッパ部41に当接する。
【0040】
突起部23がストッパ部41に当接したままで、感光体カートリッジ1がさらに装置本体60A内に押し込まれると、
図12に示すように、保護カバー2が軸12を中心にして、矢印E2の方向に回転する。この保護カバー2の矢印E2方向への回転に伴って、離間部材3は、感光体ドラム4と金属軸11との間から、引っ張られて抜き取られる。ここで、金属軸11は、加圧ばね9によって感光体ドラム4側に常時押圧されている。このため、離間部材3が抜き取られると、金属軸11を有している帯電ローラ5が感光体ドラム4に、圧接される。また、保護カバー2が矢印E2の方向に回転すると、突起22が被係合孔29から抜け出る。保護カバー2は、矢印E2方向の回転に伴って、離間部材3が感光体ドラム4と金属軸11との間から抜け出ることと、突起22が被係合孔29から抜け出ることとによって、感光体カートリッジ1に対して回転自在(回転可能)の状態になる。
【0041】
その後、ユーザは、取手81a,82aを掴んだまま、感光体カートリッジ1を、感光体ドラム4が
図6に示す現像スリーブ7に接近した位置まで押し込む。この状態から、ユーザが、
図2乃至
図4に示す摘み24を摘まんで、矢印Bと反対方向の矢印J方向に引くと、保護カバー軸受部21が軸12から抜き取られて、感光体保護ユニット70が感光体カートリッジ1から外される。このとき、保護カバー軸受部21の1対の弾性片21aの先端部が、押し込み方向Bに沿った向きに向いているため、感光体保護ユニット70が感光体カートリッジ1に対して容易に外れる構成となっている。また、感光体カートリッジ1に対して感光体保護ユニット70が外される前の状態では、1対の弾性片21aの先端部が押し込み方向Bと交差する方向を向いている。そのため、保護カバー2の回転時には軸12から1対の弾性片21aが外れにくい構成となっている。その後、転写ローラ8を装置本体60Aに装着して感光体ドラム4に圧接させることで、画像形成装置60による画像形成動作が可能となる。
【0042】
なお、感光体カートリッジ1を装置本体60Aに着脱するとき、開閉扉58の開閉にともなって、感光体ドラム4(
図3)の三角形状の接続部4aに着脱される不図示のアダプターが接続部4aに着脱して、感光体ドラム4に回転が伝達されるようになっている。
【0043】
ところで、離間部材3は、
図7において、保護カバー2の両端部(両端の下側角部)に帯電ローラ5に対向して設けられている。このため、上記の動作説明において、離間部材3が帯電ローラ5の金属軸11と感光体ドラム4との間から抜け出るとき、帯電ローラ5が感光体ドラム4に平行移動して接近し、帯電ローラ5のほぼ全体が感光体ドラム4に一度に線接触することが多い。このような場合、各部の構造如何によっては、感光体ドラム4が衝撃を受けることがある。
【0044】
この場合、
図7に示す保護カバー2の両端部に設けられた離間部材3の代わりに、
図13、
図14、
図15に示す離間部材(103A,103B),(203A,203B),303の内、いずれかの離間部材を設けて、衝撃を和らげることができる。
【0045】
図13に示す2つの離間部材103A,103Bの内、一方の離間部材(例えば、
図13(A))は、
図7に示す保護カバー2の一方の端部に設けられ、他方の離間部材(例えば、
図13(B))は、保護カバー2の他方の端部に設けられるようになっている。この左右の離間部材103A,103Bにも、支持軸71に遊嵌する軸受部133a,133b、感光体ドラム4を受け入れる凹部131a,131b及び帯電ローラ5の金属軸11を受け入れる凹部132a,132bが形成されている。さらに、離間部材103A,103Bを支持軸71に着脱できるようにする開口部133aa,133baも形成されている。この2つの離間部材103A,103Bの特徴は、一方の離間部材103Aの凹部132aの中心OAから先端までの長さL1が、他方の離間部材103Bの中心OBから先端までの長さL2よりも短い(L1<L2)ことである。
【0046】
このように長さの異なる左右の離間部材103A,103Bが帯電ローラ5と感光体ドラム4との間から抜け出るとき、長さの短い離間部材103Aが先に抜け出ることになる。このため、加圧バネ9によって両端を感光体ドラム4側へ付勢されている帯電ローラ5は、多少斜めになって、長さの短い離間部材103Aが位置する端部から感光体ドラム4に圧接されて、最後、全体が感光体ドラム4に線接触することになる。このように、左右の離間部材103A,103Bが帯電ローラ5と感光体ドラム4との間から抜け出るタイミングがずれることによって、帯電ローラ5の全体が一度に感光体ドラム4に線接触するのを防止することができる。よって、帯電ローラ5が感光体ドラム4に圧接されるときの衝撃を和らげることができる。
【0047】
また、左右の離間部材103A,103Bは、長さが異なるため(L1<L2)、帯電ローラ5と感光体ドラム4との間に同時に進入することがなく、長さの長い離間部材103Bが先に進入した後、長さの短い離間部材103Aが後から進入することになる。このため、左右の離間部材103A,103Bを帯電ローラ5と感光体ドラム4との間に進入させるのに、
図7に示す長さが同じ離間部材3を同時に進入させる場合よりも、小さい力で容易に進入させることができる。
【0048】
図14に示す、左右の離間部材203A,203Bも、
図13に示す左右の離間部材103A,103Bと同様に、帯電ローラ5と感光体ドラム4との間から抜け出るタイミングがずれるようになっている。
【0049】
図14に示す2つの離間部材203A,203Bも、一方の離間部材(例えば、
図14(A))が、
図7に示す保護カバー2の一方の端部に設けられ、他方の離間部材(例えば、
図14(B))が、保護カバー2の他方の端部に設けられるようになっている。この左右の離間部材203A,203Bにも、感光体ドラム4を受け入れる凹部231a,231b及び帯電ローラ5の金属軸11を受け入れる凹部232a,232bが形成されている。
【0050】
この2つの離間部材203A,203Bは、支持軸71に遊嵌する軸受部である長孔233a,233bが形成されており、帯電ローラ5と感光体ドラム4との間に同時に進入する方向に、保護カバー2に対して移動可能に設けられている。そして、離間部材203Aの長孔233aの長さL3が、離間部材203Bの長孔の長さL4よりも短く(L3<L4)形成されている。このため、2つの離間部材203A,203Bは、支持軸71、保護カバー2に対する移動距離が異なっており、離間部材203Bの方が、離間部材203Aよりも移動距離が長い。なお、長孔233aと凹部231aとの距離L5と、長孔233bと凹部231bとの距離L6は、同じである(L5=L6)。また、長孔233aと凹部232aとの距離L7と、長孔233bと凹部232bとの距離L8は、同じである(L7=L8)。
【0051】
このように長孔233a,233bの長さの異なる離間部材203A,203Bは、帯電ローラ5と感光体ドラム4との間に進入するとき、左右の離間部材203A,203Bに対応する支持軸71が長孔の奥側233aa,233baに当接した状態で進入する。上記距離(L5=L6)、(L7=L8)であるから、左右の離間部材203A,203Bは、帯電ローラ5と感光体ドラム4との間に同時に進入する。しかし、左右の離間部材203A,203Bは、帯電ローラ5と感光体ドラム4との間から抜け出るとき、まず、離間部材203Aに対応する支持軸71が長さの短い長孔233aの手前側233abに当接する。その後、離間部材203Bに対応する支持軸71が長さの長い長孔233bの手前側233bbに当接する。このため、長孔の長さの短い離間部材203Aが先に、帯電ローラ5と感光体ドラム4との間から抜け出ることになる。したがって、加圧バネ9によって両端を感光体ドラム4側へ付勢されている帯電ローラ5は、多少斜めになって、長さの短い離間部材203Aが位置する端部から感光体ドラム4に圧接されて、最後、全体が感光体ドラム4に線接触することになる。
【0052】
このように、左右の離間部材203A,203Bが帯電ローラ5と感光体ドラム4との間から抜け出るタイミングがずれることによって、帯電ローラ5の全体が一度に感光体ドラム4に線接触するのを防止することができる。よって、帯電ローラ5が感光体ドラム4に圧接されるときの衝撃を和らげることができる。
【0053】
図15に示す離間部材303も、
図7に示す保護カバー2の両端部に設けられている離間部材3の代わりに設けられるようになっている。離間部材303にも、支持軸71に遊嵌する軸受部333a、感光体ドラム4を受け入れる凹部331及び帯電ローラ5の金属軸11を受け入れる凹部332が形成されている。さらに、離間部材303を支持軸71に着脱できるようにする開口部333aaも形成されている。この離間部材303の特徴は、感光体ドラム4と帯電ローラ5との間に進入する先端部が弾性部材(弾性体)303cで形成されていることである。
【0054】
このような離間部材303は、帯電ローラ5と感光体ドラム4から抜け出るとき、離間部材303の弾性部材303cを押し潰しながら出ることになる。したがって加圧バネ9によって両端を感光体ドラム4側へ付勢された帯電ローラ5は、離間部材3の弾性部材303cが潰れることで、感光体ドラム4に圧接されるときの衝撃を和らげることができる。なお、
図13に示す離間部材103A,103Bと、
図14に示す離間部材203A,203Bとの先端部も弾性部材で形成してもよい。
【0055】
以上、説明したように、感光体保護ユニット70は、感光体カートリッジ1に装着されて使用されると、次の利点が生じるようになっている。感光体カートリッジ1を部品として保管しておくとき、或いは、装置本体60Aに組み込む途中において、感光体ドラム4を覆うことができるため、感光体ドラム4に傷が付かないように感光体ドラム4を保護することができる。また、感光体ドラム4を覆うことができるため、外光によって、感光体ドラム4が不必要に露光されないように、感光体ドラム4を保護することができる。感光体カートリッジ1を装置本体60Aに組み込まれた途中までの間、離間部材3によって感光体ドラム4と帯電ローラ5とを離間させて、感光体ドラム4に帯電ローラ5の圧接跡が付かないようにするとともに、帯電ローラ5が変形するのを防止することができる。
【0056】
また、仮に、感光体保護ユニット70が感光体カートリッジ1に装着されたまま、装置本体60Aに装着されたとしても、突起部23とストッパ部41とが当接することによって、保護カバー2による感光体ドラム4の保護を解除することができる。これによって、感光体カートリッジ1の装着動作に伴って感光体保護ユニット70による感光体ドラム4の保護を解除することができる。また、感光体保護ユニット70の保護解除動作に伴って離間部材3による感光体ドラム4と帯電ローラ5との離間が解除される。そのため、ユーザは、感光体カートリッジ1を装置本体60Aに装着する動作に伴って、感光体ドラム4の保護解除および感光体ドラム4と帯電ローラ5との離間を解除することが可能となる。このような構成とすることで、ユーザの利便性を向上させることができる。また、感光体保護ユニット70による感光体ドラム4の保護が解除された後、感光体カートリッジ1から感光体保護ユニット70が取り外されない状態で開閉扉58が閉じられようとした場合は、開閉扉58が閉状態となることを妨げるようになっている。これは、保護カバー軸受部21の1対の弾性片21aが設けられていない端面が開閉扉58に当接するような構成となっているためである。そのため、感光体保護ユニット70が取り外されない状態のまま画像形成装置60を動作させてしまうことを防ぐことができる。また、ユーザは、突起部23とストッパ部41との当接によって、感光体カートリッジ1に感光体保護ユニット70が装着されたままであることが分かる。そのため、この時点で、ユーザによって感光体保護ユニット70を感光体カートリッジ1から取外させる構成としてもよい。
【0057】
以上説明した感光体カートリッジ1は、感光体保護ユニット70の離間部材3が感光体ドラム4と帯電ローラ5との間に進入した状態で、画像形成装置60が使用されることが防止される。そのため、離間部材3によって感光体ドラム4と帯電ローラが離間された状態で画像形成装置60が使用され、感光体ドラム4が損傷を受けることが防止される。
【0058】
以上説明した画像形成装置は、感光体保護ユニット70の離間部材3によって損傷を受けることを防止された感光体カートリッジ1を有する画像形成部62によって、シートに画像を形成するのでシートに品質の良いトナー画像を形成することができる。