特許第6837292号(P6837292)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士機械製造株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6837292-対基板作業機 図000002
  • 特許6837292-対基板作業機 図000003
  • 特許6837292-対基板作業機 図000004
  • 特許6837292-対基板作業機 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6837292
(24)【登録日】2021年2月12日
(45)【発行日】2021年3月3日
(54)【発明の名称】対基板作業機
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/08 20060101AFI20210222BHJP
   H05K 13/04 20060101ALI20210222BHJP
【FI】
   H05K13/08 Q
   H05K13/04 M
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-102135(P2016-102135)
(22)【出願日】2016年5月23日
(65)【公開番号】特開2017-212240(P2017-212240A)
(43)【公開日】2017年11月30日
【審査請求日】2019年5月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】100191433
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 友希
(72)【発明者】
【氏名】黒田 英矢
(72)【発明者】
【氏名】竹田 昌弘
【審査官】 今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】 特許第6473172(JP,B2)
【文献】 特開2003−101300(JP,A)
【文献】 特開2009−027202(JP,A)
【文献】 特開2012−064833(JP,A)
【文献】 特開2005−116869(JP,A)
【文献】 特開2006−086185(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00−13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を固定する基板固定装置と、
その基板固定装置に固定された基板に対して作業を行う対基板作業装置と、
その基板固定装置に固定された基板の表面を撮像する撮像装置と、
その撮像装置によって撮像された撮像対象の位置ズレ量が設定公差の範囲内にある場合にその撮像対象が基準マークであると認識し、その認識された基準マークを基準とする作業を実行すべく前記対基板作業装置を制御する制御装置と
を備えた対基板作業機であって、
前記制御装置は、前記撮像装置によって撮像された撮像対象の位置ズレ量が設定公差の範囲内にない場合にその撮像対象が基準マークでないと認識し、対基板作業機の作動を停止し、
前記基板固定装置に固定された基板が、前記基準マークとして、基板全体の基準を示す全体基準マークと、部分領域の基準を示す部分領域基準マークとが設けられたものである場合に、前記部分領域基準マークの認識のための前記設定公差が、前記全体基準マークの認識のための前記設定公差より小さくされ、
前記基板固定装置に固定された基板が、前記全体基準マークとして互いに離間した1対の全体基準マークが、前記部分領域基準マークとして1つの部分領域に対して互いに離間した1対の部分領域基準マークが設けられたものである場合に、
前記全体基準マークの認識のための設定公差が、前記1対の全体基準マークの相対位置ズレ量の設定公差として、それら1対の全体基準マークの離間距離に対する設定公差を含み、前記部分領域基準マークの認識のための設定公差が、前記1対の部分領域基準マークの相対位置ズレ量の設定公差として、それら1対の部分領域基準マークの離間距離に対する設定公差を含み、
前記1対の部分領域基準マークの離間距離に対する設定公差が、前記1対の全体基準マークの離間距離に対する設定公差より小さくされたことを特徴とする対基板作業機。
【請求項2】
前記1対の全体基準マークの離間距離に対する設定公差および前記1対の部分領域基準マークの離間距離に対する設定公差が、それらの離間距離に応じた大きさに設定されている請求項1に記載の対基板作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に電子部品を装着する部品装着機等の基板に対する作業を行う対基板作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
部品装着機等の対基板作業機では、基板固定装置によって基板を固定し、その固定された基板に対して、電子部品の装着,接着剤の塗布,検査等の対基板作業を行う。それらの対基板作業は、基板固定装置によって固定された基板の位置(以下、「固定位置」と言う場合がある)に基づいて行われ、その固定位置は、多くの対基板作業機では、基板に設けられた基準マークを撮像装置によって撮像し、その撮像結果に基づいて取得される。つまり、対基板作業は、認識された基準マークを基準として行われるのである。一方で、下記特許出願に記載されているように、一部の基板では、対基板作業の精度を高める必要等の理由から、基板全体の位置基準となる全体基準マークの他に、部分的な基板の領域(以下、「部分領域」と言う場合がある)の基準となる部分領域基準マークが設けられ、その部分領域における対基板作業が、その部分領域基準マークを基準として行われるようにされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−101300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
基板には、プリント配線のランド等、様々な物が表面に設けられ、あるいは、表示されており、撮像によって基準マークを認識する場合、撮像対象が基準マークであることの確認、つまり、認識されるべき基準マークが認識されたことを確認するための処理が行われる。その確認処理が、的確に行われることが望まれており、特に、全体基準マークと部分領域基準マークとが併設されているような基板においては、基準マークの数が多いことに加え、対基板作業に高い精度が要求される等の理由から、上記要望を満足させることが、対基板作業機の実用性を向上させることに繋がる。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、実用性の高い対基板作業機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明の対基板作業機は、
基板を固定する基板固定装置と、
その基板固定装置に固定された基板に対して作業を行う対基板作業装置と、
その基板固定装置に固定された基板の表面を撮像する撮像装置と、
その撮像装置によって撮像された撮像対象の位置ズレ量が設定公差の範囲内にある場合にその撮像対象が基準マークであると認識し、その認識された基準マークを基準とする作業を実行すべく前記対基板作業装置を制御する制御装置と
を備えた対基板作業機であって、
前記基板固定装置に固定された基板が、前記基準マークとして、基板全体の基準を示す全体基準マークと、部分領域の基準を示す部分領域基準マークとが設けられたものである場合に、前記部分領域基準マークの認識のための前記設定公差が、前記全体基準マークの認識のための前記設定公差より小さくされたことを特徴とする。
【0006】
ちなみに、本発明における上記「撮像対象」は、撮影された画像のなかで、基準マークとして特定された物を意味し、「撮像対象の位置ズレ量」とは、撮像対象が基準マークであったならば、その基準マークが存在すべき位置(「正規位置」,「理論位置」等を呼ぶこともできる)からの撮像対象の位置のズレを意味する。なお、「固定された基板に対して行われる作業」、つまり、「対基板作業」は、部品の装着作業,その装着作業に先立って行われる接着剤塗布作業,装着作業の結果を検査する検査作業等、種々のものが含まれ、同様に、「対基板作業装置」は、部品装着装置,接着剤塗布装置,検査装置等の種々のものが、また、「対基板作業機」は、部品装着機,接着剤塗布機,検査機等の種々のものが含まれる。さらに、「部分領域」は、例えば、1つの基板に回路パターンが同一の複数の子基板によって構成されている場合におけるその複数の子基板の1つが該当する。また、例えば部品装着作業において特に精度を要求される部品の装着に関して、その部品の近傍に基準マークを設けて、その部品の装着をその基準マークを基準に行う場合があり、その場合におけるその部品が装着される領域およびその近傍の領域も、部分領域に該当する。
【0007】
なお、上記本発明の対基板作業機は、
前記基板固定装置に固定された基板が、前記全体基準マークとして互いに離間した1対の全体基準マークが、前記部分領域基準マークとして1つの部分領域に対して互いに離間した1対の部分領域基準マークが設けられたものである場合に、
前記全体基準マークの認識のための設定公差が、前記1対の全体基準マークの相対位置ズレ量の設定公差として、それら1対の全体基準マークの離間距離に対する設定公差を含み、前記部分領域基準マークの認識のための設定公差が、前記1対の部分領域基準マークの相対位置ズレ量の設定公差として、それら1対の部分領域基準マークの離間距離に対する設定公差を含み、
前記1対の部分領域基準マークの離間距離に対する設定公差が、前記1対の全体基準マークの離間距離に対する設定公差より小さくされることが望ましい。
【0008】
その場合、本発明の対基板作業機は、
前記1対の全体基準マークの離間距離に対する設定公差および前記1対の部分領域基準マークの離間距離に対する設定公差が、それらの離間距離に応じた大きさに設定されることが望ましい。
【発明の効果】
【0009】
基板固定装置の多くは、コンベア装置によって停止させられた基板を固定するものであることから、コンベア装置の停止精度の関係で、その基板固定装置によって固定される基板の固定位置(「回転位置」、すなわち、「回転位相」,「方位」を含む概念である)は、比較的ズレが大きいことが考えられる。そのことに鑑み、全体基準マークの比較的大きな位置ズレを許容すべく、本発明の対基板作業機では、上記全体基準マークの認識のための設定公差が大きくされている。全体基準マークが認識できた場合は、その全体基準マークによって、基板全体の位置が把握され、その基板上の各所の位置、つまり、基板上の座標(以下、「基準座標」と呼ぶことがある)が決定され、その座標に基づいて、部分領域基準マークが認識されるため、その部分領域基準マークの位置ズレは比較的小さいと考えられる。そのことに鑑み、本発明の対基板作業機では、部分領域基準マークの認識のための設定公差が小さくされているのである。また、部分領域は、比較的狭い領域であるため、部分領域基準マークと誤認する可能性のある物が撮像対象とされる場合がある。そのことをも考慮して、その誤認を回避するためにも、部分領域基準マークの認識のための設定公差が小さくされているのである。以上のことから、本発明の対基板作業機によれば、上述の基準マークの確認処理、つまり、認識されるべき基準マークが認識されたことを確認するための処理が的確に行われることになる。
【0010】
また、一般に、全体基準マークであれば、基板の回転位置を取得するために、基板の外縁部の対角位置に1対の全体基準マークが設けられることが多く、部分領域基準マークであれば、部分領域の回転位置を取得するために、部分領域の外縁部の対角位置に1対の部分領域基準マークが設けられることが多い。そのような場合、基準マークの確認処理として、それら1対の基準マークの離間距離のズレ、つまり、1対の基準マークの相対的な位置のズレ量は、基準マークの確認処理のためのパラメータとして有効である。詳しく言えば、例えば、可撓性のある基板、すなわち、フレキシブル基板であるような場合には、基板の撓みをも考慮して、基準マークの確認処理を行うことが特に有効である。そのような基板では、1対の全体基準マーク間の離間距離のズレ量は、比較的大きく、一方で、1対の部分領域基準マーク間の離間距離のズレ量は、その領域が比較的狭いことが多く、比較的小さいと考えることができる。そのようなことを考慮して、1対の部分領域基準マークの離間距離に対する設定公差が、1対の全体基準マークの離間距離に対する設定公差より小さくされることが望ましいのである。それら1対の基準マーク間の離間距離をそのように設定することで、より的確な基準マーク確認処理が行えることになる。
【0011】
許容できる1対の基準マーク間の離間距離のズレ量は、その離間距離に応じたものとすることが望ましい。つまり、離間距離が大きい程、大きく、小さい程、小さくすることが望ましいのである。そのように、1対の基準マークの離間距離に対する設定公差を、その離間距離に応じた大きさに設定されることで、より的確な基準マーク確認処理が行えることになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の対基板作業機の一実施例としての部品装着機の全体構成を示す図である。
図2】実施例の部品装着機において、対基板作業としての部品装着作業が行われる基板を模式的に示す図である。
図3】実施例の部品装着機において行われる基準マーク認識処理を示すフローチャートである。
図4】基準マークを撮像した際のカメラによる取得画像の一例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の代表的な実施形態を、電子部品を回路基板に装着する部品装着機に関する実施例として、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、請求可能発明は、下記実施例の他、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
【実施例】
【0014】
[A]部品装着機の構成
実施例の部品装着機は、図1に示す部品装着システムに組み込まれており、そのシステムは、システムベース10と、そのシステムベース10に並んで配置された2つの部品装着機12とを含んで構成される。その2つの部品装着機12は、互いに同じ構成を有しており、その1つ1つが、実施例の対基板作業機としての部品装着機である。
【0015】
部品装着機12は、ベース14と、そのベース14上に配設されたフレーム16とによって構成される本体を備えている。ベース14上の前後方向における中央部には、コンベア装置18が配設され、前方部には、それぞれが部品供給装置として機能する複数の部品フィーダ20が左右方向に並んで配設されている。また、フレーム16には、対基板作業装置としての部品装着装置22が支持されている。部品装着装置22は、部品保持デバイスである吸着ノズルを有する装着ヘッド24と、その装着ヘッド24を前後左右および上下に移動させるヘッド移動装置26とを含んで構成されている。
【0016】
コンベア装置18は、前後2レーンにおいて基板を左右に搬送する装置で、それぞれのレーンに対して、前後に対向するように立設されてそれぞれがコンベアベルト(図示を省略)を周回可能に支持する1対の支持板28と、その1対の支持板28の間に配設されて下方から基板を持ち上げるための昇降台30とを備えている。コンベアベルトによって、基板Sは左右方向に搬送され、部品装着作業に際し、設定された位置にまで搬送されてきた基板Sは、昇降台30が上昇させられることによって、1対の支持板28の各々の上端に係止された状態で固定される。つまり、コンベア装置18は、部品装着作業の際に基板Sを固定する基板固定装置として機能するものとされている。
【0017】
部品装着作業は、ヘッド移動装置26によって、装着ヘッド24が、部品フィーダ20とコンベア装置18によって固定された基板Sとの間を移動させられつつ行われる。詳しく言えば、装着ヘッド24は、部品フィーダ20から供給される部品を吸着ノズルにおいて保持し、その保持した部品をコンベア装置18によって固定された基板S上に載置するのである。部品装着作業におけるコンベア装置18,部品フィーダ20,部品装着装置22等の制御は、操作パネルが一体化された制御装置32によって行われる。
【0018】
後に詳しく説明するが、コンベア装置18と部品フィーダ20との間には、部品カメラ34が設けられ、装着ヘッド24に保持された部品はその部品カメラ34によって撮像され、撮像によって得られた画像に対する処理によって、部品の保持位置のズレ量が取得され、そのズレ量を考慮しつつ、基板Sへの部品の載置が行われる。一方、基板Sの表面を撮像する基板カメラ36が装着ヘッド24と併設され、ヘッド移動装置26によって装着ヘッド24と一体的に移動させられるようになっている。撮像装置としての基板カメラ36は、部品装着作業に際し、基板Sに設けられた基準マークを撮像し、その得られた画像の処理によって、固定された基板Sの位置のズレ量、つまり、固定位置のズレ量が取得され、そのズレ量を考慮しつつ、基板Sへの部品の載置が行われる。それらの画像処理,ズレ量の取得も、制御装置32によって行われる。
【0019】
[B]基板とそれに設けられた基準マーク
部品装着機12において部品装着作業が行われる基板は、例えば、図2(a),(b)に示すようなものである。図2に示す基板Sは、いわゆるマルチ基板と呼ばれるものであり、複数の子基板が集合したようなものである。言い換えれば、基板Sは、回路パターンが互いに同じとされた複数の部分領域が設けられたものである。具体的には、図2(a)に示す基板Sには、縦2×横2のマトリクス状に4つの部分領域Aが設けられており、図2(b)に示す基板Sには、縦6×横8のマトリクス状に48の部分領域Aが設けられている。
【0020】
先に説明したように、コンベア装置18によって固定された基板Sに、部品装着装置22によって、部品が載置されるのであるが、コンベア装置18によって固定された基板Sの位置、すなわち、固定位置は、コンベア装置18による搬送の際の停止精度,前後方向のクリアランス等の関係で、ばらつきが生じる。具体的には、前後方向位置においても左右方向位置においてもズレが生じ、また、回転方向位置(回転位相,方位)においてもズレが生じる。そのズレを考慮して部品装着作業を行う必要があるため、基板Sには、基準マークが設けられている。
【0021】
具体的には、図2(a),(b)のいずれの基板Sにも、当該基板Sの右上の角,左下の角に1対の基準マークFM1が設けられており、部分領域Aごとに、当該部分領域Aの左上の角,右下の角に1対の基準マークFM2が設けられている。基準マークFM1は、基板Sの全体の位置を把握するためのものであり、全体基準マークと呼ぶことのできるものである。一方、基準マークFM2は、部分領域Aに載置される部品の基準となるマークであり、部分領域基準マークと呼ぶことのできるものである。部分領域基準マークFM2は、部分領域Aにおける部品の装着位置の精度を向上させるために設けられている。
【0022】
[C]基準マークの認識
基準マークの認識ための処理は、コンベア装置18によって基板が固定された後、部品がその基板に載置される前に行われる。詳しく言えば、図3に示すフローチャートに示す基準マーク認識プログラムを、制御装置32が実行することによって行われる。
【0023】
上記プログラムに従った処理では、まず、ステップ1(以下、「S1」と略す。他のステップも同様である。)において、1対の全体基準マークFM1の一方が撮像される。基準マークの撮像は、具体的には、ヘッド移動装置26によって、基板カメラ36が基準マークの上方に移動させられて行われる。基板カメラ36の移動位置は、基準マークが存在すべき理論上の位置(以下、「マーク正規位置」と言う場合がある)が基板カメラ36の視野の中心に位置する位置である。全体基準マークFM1の場合は、つまり、基板が正規の位置(理論上の位置)に固定されたと仮定した場合においてその全体基準マークFM1が存在すべき位置が、マーク正規位置となり、その場合において基板カメラ36によって撮像される画像は、例えば、図4に示すようなものとなる。
【0024】
次いで、S2において、S1において撮像された画像のデータに基づいて、全体基準マークFM1が特定され、その全体基準マークFM1のマーク正規位置からの左右方向(以下、「X方向」と言う場合がある)および前後方向(以下「Y方向」という場合がある)における位置X,Yとともに位置ズレ量ΔX,ΔYが取得されれる。ちなみに、図4に示す場合について説明すれば、位置X,Yは、当該部品装着機12に対して設定されている基準位置を基準とした位置であり、また、位置ズレ量ΔX,ΔYは、図に示すようなものとなる。なお、基準マークの特定は、予め登録されているその基準マークの形状,大きさ等に基づいて、画像の中から、その基準マークに相当する形状,大きさの撮像対象を見つけることによって行われる。
【0025】
図4から解るように、基板には、基準マークだけでなく、配線パターンP(「ランド」と呼ぶこともできる)も設けられており、基準マーク以外の物も、撮像対象として撮像され得る。図では、配線パターンPのターミナルTが、形状,大きさとも、全体基準マークFM1に類似しており、そのターミナルTが、全体基準マークFM1として誤認識される可能性がある。そのこと等を考慮して、上記位置ズレ量ΔX,ΔYに対して公差TΔXΔX1,TΔY1が設定されており、続くS3において、それら位置ズレ量ΔX,ΔYが設定公差TΔX1,TΔY1のY1の範囲内にあるか否かが判断される。判断の結果、位置ズレ量ΔX,ΔYのいずれかが設定公差TΔX1,TΔY1の範囲内でない場合には、S4において、基準マークを誤認識した旨が報知され、当該部品装装着機12の作動が停止させられる。
【0026】
全体基準マークFM1の位置ズレ量ΔX,ΔYの両者が設定公差TΔX1,TΔY1の範囲内にある場合にには、S5の処理を経て、1対の全体基準マークFM1の他方について、S1〜S3の処理が行われる。1対の全体基準マークFM1の両方について、位置ズレ量ΔX,ΔYが設定公差TΔX1,TΔY1の範囲内にあにあると判断された場合には、S6の処理が行われる。
【0027】
S6では、1対の全体基準マークFM1の離間距離L(図2参照)が、S2において取得されたそれぞれの位置X,Yに基づいて取得され、それとともに、その離間距離Lと正規の離間距離との差である離間距離差ΔLが、1対の全体基準マークFM1の相対位置に関するズレ量(相対位置ズレ量)として取得される。ここの離間距離差ΔLについても公差TΔL1が設定されており、続くS7において、離間距離差ΔLが設定公差TΔL1の範囲内にあるか否かが判断される。判断の結果、離間距離差ΔLが設定公差TΔL1の範囲内でない場合には、S4において、基準マークを誤認識した旨が報知され、当該部品装着機12の作動が停止させられる。離間距離差ΔLが設定公差TΔL1の範囲内にあると判断された場合には、S8の処理理が行われる。
【0028】
S8では、S2で取得された1対の全体基準マークFM1の位置X,Yに基づいて、その基板に対する基準座標が設定される。基準座標は、基板の固定位置のズレを考慮して設定された座標であり、S9以下の処理は、その基準座標に基づいて実行される。具体的には、例えば、部分領域基準マークFM2の上記マーク正規位置も、基準座標に従った位置となる。
【0029】
S10以下の処理は、部分領域基準マークFM2についての処理であり、S9では、複数の部分領域AのうちのS10以下の処理を行う1つの領域が、設定された順位に従って、未だS10以下の処理が行われていない領域の中から特定される。そして、その特定された部分領域Aについて、S10〜S15の処理が行われる。このS10〜S15の処理は、先に説明したS1〜S7の処理と同様の処理であり、簡単に言えば、1つの部分領域Aの上記基準座標に従った部分領域基準マークFM2の位置X,Y,位置ズレ量ΔX,ΔY,離間距離差ΔLが取得され、それら位置ズレ量ΔX,ΔYが設定公差TΔX2,TΔY2の範囲内にあるか否か,離間距離差ΔLが設定公差TΔL2の範囲内にあるか否かが判断され、範囲内にない場合には、基準マークを誤認識した旨が報知される。
【0030】
S16において、全ての部分領域Aについての処理が行われたか否かが判断され、全ての部分領域AについてS10〜15の処理が繰り返される。全ての基準マークの認識処理が良好に行われた場合に、取得された各部分領域Aにおける部分領域基準マークFM2の位置X,Yに基づいて、各部分領域Aに対する部品装着作業が実行される。
【0031】
上述した基準マークの認識のための処理においては、基準マークの位置ズレ量ΔX,ΔY,相対位置ズレ量である離間距離差ΔLに基づいて、それらに対する設定公差TΔX1,TΔY1,TΔX2,TΔY2,設定公差TΔL1,TLΔ2を利用して、認識されるべき基準マークが認識されたことを確認するための処理が行われている。具体的には、S3,S7,S12,S15が基準マークの確認処理であり、それら確認処理において利用されている設定公差TΔX1,TΔY1,TΔX2,TΔY2,設定公差TΔL1,TΔL2に関して言えば、本部品装着機12では、部分領域基準マークFM2の確認のための設定公差TΔX2,TΔY2,TΔL2が、全体基準マークFM1の確認のための設定公差TΔX1,TΔY1,TΔL1よりも小さくされている。そのことによって、本部品装着機12においては、上記確認のための処理が、前述したように、的確に行われることになる。
【0032】
なお、図2から解るように、部分領域Aの数等に起因して、基板によって1対の部分領域基準マークFM2の離間距離Lが異なる。本部品装着機12では、先に説明したような理由から、1対の部分領域基準マークFM2の離間距離Lに応じて、設定公差TΔLが、離間距離Lが大きい程大きく、離間距離Lが小さいほど小さく設定されている。このことは、基準マークの確認処理をより的確なものとすることに貢献している。
【符号の説明】
【0033】
12:部品装着機〔対基板作業機〕 18:コンベア装置〔基板固定装置〕 22:部品装着装置〔対基板作業装置〕 32:制御装置 36:基板カメラ〔撮像装置〕 S:基板 A:部分領域 FM1:全体基準マーク FM2:部分領域基準マーク ΔX,ΔY:位置ズレ量 TΔX1,TΔY1,TΔX2,TΔY2:設定公差 ΔL:離間距離差〔相対位置ズレ量〕 TΔL1,TΔL2:設定公差
図1
図2
図3
図4