(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記欠陥検出手段は、前記画素群が除外された前記第1比較画像を構成する前記複数の画素それぞれの輝度と、前記画素群が除外された前記第2比較画像を構成する前記複数の画素それぞれの輝度と、の比を同じ位置の画素同士で取り、当該比が一定基準を満たしている画素の有無に基づいて欠陥を検出する、
請求項1に記載の画像検査装置。
前記欠陥検出手段は、前記第1比較画像の各画素のうち、輝度が一定値未満の画素群を前記画像検査の処理対象外の画素群として特定し、特定した当該画素群を前記第1比較画像及び前記第2比較画像から除外し、前記画素群が除外された前記第1比較画像を構成する前記複数の画素それぞれの輝度と、前記画素群が除外された前記第2比較画像を構成する前記複数の画素それぞれの輝度と、を同じ位置の画素同士で比較する、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像検査装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(画像検査装置100の構成)
まず、本発明の一実施形態に係る画像検査装置100の構成を、
図1等を参照して説明する。画像検査装置100は、所定の台STに置かれた検査対象Kの外観を検査し、欠陥を検出する装置である。画像検査装置100は、ディスプレイ110と、カメラ120と、コンピュータ130と、を備える。検査対象Kは、樹脂製の包装用フィルム、車のボディ、又は、車のバンパなどである。欠陥は、キズ、ゴミ、塗装剥げなどである。
【0013】
ディスプレイ110は、自発光型であり、画像を表示することで、当該画像を表す表示光L1を検査対象Kに照射する。このようにして、検査対象Kは、ディスプレイ110により照明される。ディスプレイ110は、拡散板により光を面状に出射する液晶ディスプレイ、光を面状に出射するEL(Electro Luminescence)ディスプレイなどが好ましい。表示光L1は、検査対象Kにより反射される。以下、検査対象Kにより反射された表示光L1を、反射光L2という。ディスプレイ110は、一般的なディスプレイと同様、横方向(X軸(
図2参照)が延びる方向)に長尺な画面を有する。
図1のY軸方向は、ディスプレイの縦方向である。
【0014】
ディスプレイ110は、検査対象Kを照明するときに表示する画像として、明暗パターン画像11(
図2(A))、又は、無地画像15(
図2(B))を表示する。
【0015】
明暗パターン画像11は、縦方向に交互に並んだ複数の明部11Aと複数の暗部11Bとからなる。複数の明部11Aと複数の暗部11Bとは、明暗が繰り返し(周期的に)現れた明暗パターンを構成している。各明部11Aは、横方向(X軸方向)に長尺な長方形状の明るい領域であり、例えば白色の領域である。各暗部11Bは、横方向(X軸方向)に長尺な長方形状の暗い領域である。各暗部11Bは、明部11Aよりも暗く(輝度値が低く)、例えば、黒色の領域(表示光を出射しない領域)である。明暗パターン画像11による照明時、検査対象Kには、当該明暗パターン画像11が示す明暗パターンが映る。
【0016】
無地画像15は、輝度が一様な、例えば白色の画像である。従って、無地画像15による照明時、検査対象Kは、全体的に明るく照明される。
【0017】
カメラ120は、例えば、CCD(charge coupled device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)を用いたデジタルカメラである。カメラ120は、反射光L2を受光することで、ディスプレイ110により照明された検査対象Kを撮影する。
【0018】
コンピュータ130は、
図3に示すように、ハードディスク131と、CPU(Central Processing Unit)132と、RAM(Random Access Memory)133と、入出力装置134と、I/O(Input Output)135と、を備える。
【0019】
ハードディスク131は、後述の画像検査処理で用いられるプログラム、データを記憶している。ハードディスク131を、フラッシュメモリなどの他の補助記憶装置に代えてもよい。
【0020】
CPU132は、ハードディスク131に記憶されたプログラムをRAM133に読み出して実行することで、後述の画像検査処理を実行する。CPU132は、後述の画像検査処理を実行するときに、ハードディスク131に記憶されたデータ(例えば、明暗パターン画像11の画像データ、及び、無地画像15の画像データなど)を使用する。なお、コンピュータ130は、CPU132に代えて又は加えて、GPU(Graphics Processing Unit)又はDSP(Digital Signal Processor)などを備えてもよい。この場合、GPU又はDSPなどが画像検査処理の少なくとも一部を実行してもよい。画像検査処理は、例えば、一以上のプロセッサがプログラムを実行することにより行われればよい。画像検査処理の少なくとも一部は、論理回路などプログラムによらない処理回路などによって行われても良い(この場合、コンピュータ130が当該処理回路を備えるものとする)。
【0021】
RAM133には、ハードディスク131に記憶されたプログラム及びデータが読み出される。RAM133は、CPU132のメインメモリである。また、RAM133には、画像検査処理の実行中に生成されたデータ(後述の画像データ等)が保持される。RAMは、VRAM(Video RAM)などを含んでもよい。RAM133は、フラッシュメモリなどであってもよい。
【0022】
入出力装置134は、ディスプレイなどの表示装置、音声出力装置、キーボード、マウスなどを含んで構成される。表示装置は、CPU132の制御のもとで所定の画像を表示する。音声出力装置は、CPU132の制御のもとで音声を出力する。キーボード、マウスは、操作されたときに操作内容に応じた信号をCPU132に供給する。CPU132は、供給された信号に応じた処理を行う。
【0023】
I/O135には、ディスプレイ110及びカメラ120が接続される。CPU132は、映像信号をI/O135を介してディスプレイ110に供給する。ディスプレイ110は、供給された映像信号に基づいて画像を表示する。このように、CPU132は、映像信号の供給により、ディスプレイ110を制御する。また、CPU132は、撮影を指示する制御信号をカメラ120にディスプレイ110に供給する。カメラ120は、当該制御信号が供給されると、撮影動作を行い、ディスプレイ110により照明された検査対象Kを撮影する。カメラ120は、当該撮影により得られた撮影画像を示す画像データをコンピュータ130に供給する。コンピュータ130に供給される画像データは、I/O135に入力され、RAM133に保持される。
【0024】
(画像検査処理)
次に、CPU132が実行する画像検査処理を、
図5を参照して説明する。なお、ステップS101〜S109は、明暗パターン画像11(
図2(A))を用いた欠陥検出である。当該欠陥検出は、検査対象Kに付けられたキズ等の欠陥の検出に好適である。ステップS111〜S118は、無地画像15(
図2(B))を用いた欠陥検出である。当該欠陥検出は、検査対象Kに付着したゴミ、検査対象Kの塗装剥がれ等の欠陥の検出に好適である。
【0025】
CPU132は、まず、明暗パターン画像11を用いた照明による第1撮影処理を実行する(ステップS101)。
【0026】
第1撮影処理において、CPU132は、ハードディスク131に記憶された画像データに基づいてディスプレイ110を制御し、明暗パターン画像11をディスプレイ110に表示させるとともに、明暗パターン画像11の明部11A及び暗部11B(明暗パターン画像11が示す明暗パターン)を移動させる。CPU132は、明部11A及び暗部11Bを、これらが並んだ方向(ここでは、縦方向)に一周期分移動させる。例えば、CPU132は、
図4(A)の状態から、明部11A及び暗部11Bを下方にスライドさせる。これにより、最下位置の明部11A又は暗部11Bが徐々に下方に消えていき、その分、新たな明部11A又は暗部11Bが上から徐々に現れる(
図4(A)→(B)→(C)→(D)→(E)参照)。そして、
図4(E)のように明部11Aと暗部11Bとが
図4(A)の状態と同じ状態となったときに、明部11A及び暗部11Bの移動は終了する。このように、明部11A及び暗部11B(明暗パターン)を「一周期分移動させる」とは、ある状態の明部11A及び暗部11Bの明暗パターンを初期パターンとし(
図4(A))、当該明部11A及び暗部11Bの移動によって変化する当該明部11A及び暗部11Bの明暗パターンが初期パターンと同じになるまで(又は、後述のカメラ120による撮影が終了するまで)、明部11A及び暗部11B(明暗パターン)を移動させることをいう。
【0027】
さらに、第1撮影処理において、CPU132は、明暗パターン画像11の表示中に、カメラ120も制御し、カメラ120により検査対象Kを一定間隔で所定回数撮影する。例えば、
図4(A)の初期状態での照明時を1回目の撮影タイミングとし、これ以降、一定間隔で検査対象Kを撮影する。例えば、RAM133に所定期間毎にタイマ値が更新されるタイマを設け、当該タイマ値が予め定められた複数の値のいずれかになるごとにカメラ120に撮像を行わせる。このようにして、カメラ120は、検査対象Kを撮影した複数の撮影画像を得る。なお、当該複数の撮影画像それぞれは、明部11A及び暗部11Bに対応した明暗パターンが表面に映った検査対象Kを撮影した画像であり、各画像で検査対象Kに映った各明暗パターンは異なっている。特に、検査対象Kの各部分(欠陥部分を含む)は、明部11Aと暗部11Bとが通過する。なお、前記複数の撮影画像を撮影画像1〜N(Nは、2以上の自然数)とする。カメラ120は、撮影画像1〜Nそれぞれを示す画像データ1〜Nをコンピュータ130に供給する。CPU132は、画像データ1〜NをRAM133に保持する。この実施の形態では、撮影画像1〜Nはグレースケールの画像とする。例えば、カメラ120が撮影画像としグレースケールの画像を得てもよいし、カメラ120はカラー画像を得て、CPU132が画像処理によりグレースケールの画像に変換してもよい。撮像画像1〜Nは、カメラ120が撮影した画像に対してCPU132が所定の画像処理(強調処理等)を施したものであってもよい。
【0028】
ステップS101のあと、CPU132は、画像データ1〜N、つまり、撮影画像1〜Nに基づいて差分画像Sを生成する(ステップS102)。具体的には、CPU132は、撮影画像1〜Nそれぞれの同じ座標に位置する各画素の輝度値(例えば、256階調に対応した0〜255いずれかの値を取る)を比較し、各座標に位置する画素それぞれについて最大輝度値(例えば明部11Aにより照明されたときの輝度値)と最小輝度値(例えば暗部11Bにより照明されたときの輝度値)とを特定する。そして、CPU132は、各座標に位置する画素それぞれについて最大輝度値を集めた最大輝度値画像を生成するとともに、各座標に位置する画素それぞれについて最小輝度値を集めた最小輝度値画像を生成する。そして、CPU132は、最大輝度値画像と最小輝度値画像との差分を取り、差分画像Sを生成する。
【0029】
例えば、i番目の画像の座標(x,y)の画素の輝度をPxy(i)とすると、CPU132は、最大輝度値画像Qxyを、Qxy=max(Pxy(i))、最小輝度値画像Rxyを、Rxy=min(Pxy(i))から求める(i=1,2,3・・・N)。また、CPU132は、差分画像Sxyを、Sxy=max(Pxy)−min(Pxy)で求める。例えば、最も左上の画素の輝度値が、撮影画像1で最も高く、撮影画像Nで最も低い場合、当該撮影画像1の最も左上の画素の輝度値から当該撮影画像Nの最も左上の画素の輝度値を減じた値が、差分画像Sの最も左上の画素の輝度値になる。
【0030】
CPU132は、最大輝度値画像、最小輝度値画像を生成せずに、各画素について最大輝度値−最小輝度値の値を算出し、算出した各値を各画素の輝度値として差分画像Sを生成してもよい。
【0031】
ここで、従来の差分画像Sの使用法について説明する。一般に、撮影画像にキズ等の欠陥が写っている場合、上記最大輝度値と、上記最小輝度値との差は、欠陥のない正常の部分における明るさの差よりも小さい。つまり、差分画像Sにおいて欠陥が写った部分の輝度値は、正常部分の輝度値よりも減少する。差分画像Sの各輝度値は、最大輝度値と最小輝度値との差であるためである。従来は、このようなことを利用し、差分画像Sにおいて閾値以上である輝度値の画素を「1」(白)、閾値未満である輝度値の画素を「0」(黒)とした2値化画像を生成し、「0」の画素領域を欠陥として検出していた。しかしながら、検査対象Kに起伏があると、検査対象Kがディスプレイ110により一様に照明されない場合がある。具体的には、検査対象Kにおける、明部11A(又は暗部11B)によって照明された領域に明領域と暗領域(明領域よりも暗い領域)とが生じてしまう場合がある。このような場合、差分画像における前記暗領域に対応する部分は、前記明領域に対応する部分に比べ、その輝度値(最大輝度値と最小輝度値との差)が全体的に低くなる(正常部分であっても低くなる)。このため、従来の方法では、このような暗領域全体が欠陥として誤検出されていた。この実施の形態では、このような不都合を解消すべく、差分画像Sに基づいて以下の処理を行う。
【0032】
CPU132は、差分画像Sの各画素の輝度値を一定範囲毎に均一化し、第1基準画像を生成する(ステップS103)。例えば、CPU132は、差分画像Sの各画素を、16×16の画素からなる画素群に分け、各画素群内の画素それぞれの輝度をその画素群の各画素の輝度値に基づいて均一化する。例えば、CPU132は、16×16の画素の各輝度値の、中央値、平均値等を当該16×16の画素それぞれの輝度値とすることで均一化を行う(
図6参照)。このようにして得られた画像が第1基準画像である。なお、中央値又は平均値による均一化は、平均化ともいう。
【0033】
また、ステップS103と同様の均一化を、第1基準画像よりも狭い範囲(例えば、4×4の画素の画素群)で行って第1検査画像を生成する(ステップS104)。均一化で採用する値(中央値、平均値等)は、第1基準画像と第1検査画像とで同じであってもよいし、異なってもよい。
【0034】
その後、CPU132は、第1基準画像における暗い領域を画像検査の処理対象外の領域として特定する(ステップS105)。例えば、CPU132は、第1基準画像を構成する各画素のうち、所定の輝度値以下の画素が所定の数以上集まった領域を特定する。このような領域の、明部11Aにより照明されたときの明るさと照明11Bにより照明されたときの明るさとの差は小さい。従って、当該領域は、元々暗い、検査対象K以外の領域(例えば、台ST)が写った領域である可能性が高い。このため、当該領域を画像検査の処理対象外の領域として扱う。当該領域は、ラベリング処理等により特定される。
【0035】
その後、CPU132は、当該処理対象外の領域を第1基準画像及び第1検査画像それぞれの画像から排除する(ステップS106)。例えば、CPU132は、処理対象外の領域を第1基準画像及び第1検査画像から削除する。又は、CPU132は、処理対象外の領域の画素の情報をRAM133に保持しておき、後述のステップS107において、当該保持している情報により特定される画素を処理の対象外とする。なお、ステップS106において処理対象外の領域が排除された画像を、第2基準画像及び第2検査画像と呼ぶ。第1検査画像に基づいて処理対象外の領域を排除してもよい。
【0036】
その後、CPU132は、第2基準画像及び第2検査画像それぞれの同じ座標の画素の輝度値同士を比較し、比較結果に応じた2値化画像を生成する(ステップS107)。例えば、CPU132は、
図7に示すように、XY座標が(50,100)の画素の輝度値同士を比較し、比較結果に応じて(50,100)の画素を「0」(黒)又は「1」(白)とする。CPU132は、このような処理を全画素について行い、2値化画像を生成する。
【0037】
ここで、第2基準画像は、差分画像Sの16×16の画素の輝度値(つまり、広い範囲の輝度値)を均一化したものであり(ステップS103)、欠陥が写った部分の輝度値の影響を少なくした画像である。第2基準画像は、差分画像Sにおける、16×16の画素(均一化する画素群)を単位とした、輝度(撮影画像1〜Nにおける最大輝度値−最小輝度値)の分布を示す基準となる画像とも言える。一方、第2検査画像は、差分画像Sの4×4の画素(つまり、狭い範囲(第2基準画像よりも狭い範囲))の輝度値を均一化したものであり(ステップS104)、欠陥が写った部分の輝度値の影響を受けている画像である。そして、第2基準画像及び第2検査画像それぞれの輝度値の比較により、差分画像Sにおける、ある画素の輝度値(撮影画像1〜Nにおける最大輝度値−最小輝度値)と、当該ある画素の周囲の複数の画素(厳密には、当該ある画素を含む上記16×16の画素)の輝度値(撮影画像1〜Nにおける最大輝度値−最小輝度値)の程度とが、どのような関係にあるかを局所的に把握できる。ある画素の輝度値が周囲の輝度値の程度よりも低い場合、当該ある画素は欠陥が写った部分の画素であると考えられる。このため、ステップS107では、CPU132は、第2基準画像及び第2検査画像それぞれの同じ座標の画素の輝度値同士を比較し、第2検査画像の輝度値が第2基準画像の輝度値よりも、予め定められた基準以上に低い部分の画素を「0」(黒)とし、それ以外の部分の画素を「1」(白)とする。前記の基準は、欠陥を精度良く検出できるように、例えば、実験等により予め導き出しておく。このように、この実施の形態では、差分画像Sにおいて局所的に輝度減少がある部分(欠陥と思われる部分)を捉えることができる。従って、検査対象Kに上記暗領域(照明されても比較的暗い領域)が発生してしまう場合であっても、暗領域全体でなく、当該欠陥が写った部分を精度良く2値化画像における黒の領域とすることができる。つまり、後の処理において、精度良く欠陥を検出できる。
【0038】
例えば、CPU132は、ステップS107において、第2基準画像及び第2検査画像それぞれの同じ座標の画素の輝度値の比(第2基準画像の画素の輝度値を分母とする。)を取り、当該比が所定値以上であれば、その座標の画素の画素値を「1」(白の画素)とし、それ以外の画素(前記比が所定値未満の画素)の画素値を「0」(黒の画素)とした2値化画像を生成する。前記の所定値は、欠陥を精度良く検出できるように、例えば、実験等により予め導き出しておく。
【0039】
その後、CPU132は、2値化画像に基づいて、欠陥の有無を判定し(ステップS108)、判定結果をRAM133に記録する(ステップS109)。例えば、2値化画像の黒の画素についてラベリングを行い、ラベリングにより特定された黒の画素の集まりであって画素数が所定数以上の画素の集まりを欠陥として判定する。この判定により欠陥が検出された場合、当該画素の集まりを含む所定範囲の画像を2値化画像又は差分画像Sから切り取り、切り取った画像(以下、欠陥有り画像という)と欠陥有りの情報とを判定結果としてRAM133の所定領域に格納する。なお、欠陥が検出されなかったときには、その旨(欠陥無し)を判定結果としてRAM133の処理領域に格納する。
【0040】
次に、CPU132は、無地画像15を用いた照明による第2撮影処理を実行する(ステップS111)。第2撮影処理において、CPU132は、ハードディスク131に記憶された画像データに基づいてディスプレイ110を制御し、無地画像15をディスプレイ110に表示させるとともに、カメラ120も制御し、カメラ120により検査対象Kを撮影する。撮影回数は1回でよい。当該撮影で得られた撮影画像Xとする。カメラ120は、撮影画像Xを示す画像データXをコンピュータ130に供給する。CPU132は、画像データXをRAM133に保持する。RAM133に保持する撮影画像Xも上記と同様、グレースケールの画像とする。撮像画像Xは、カメラ120が撮影した画像に対してCPU132が所定の画像処理(強調処理等)を施したものであってもよい。
【0041】
その後、CPU132は、撮影画像Xの各画素の輝度値を一定範囲毎に均一化し、第3基準画像を生成する(ステップS112)。また、ステップS112と同様の均一化を、第3基準画像よりも狭い範囲で行って第3検査画像を生成する(ステップS113)。ステップS112及びS113は、ステップS103及びS104と同様の処理(差分画像Sが撮像画像Xに変更される)である。均一化の範囲、及び、均一化で採用する値(中央値、平均値等)との少なくとも一方は、ステップS103とステップS104とで異なってもよい。
【0042】
その後、CPU132は、第3基準画像における暗い領域を画像検査の処理対象外の領域として特定し(ステップS114)、特定した処理対象外の領域を第3基準画像及び第3検査画像それぞれの画像から排除する(ステップS115)。ここで、排除後の画像を第4基準画像及び第4検査画像とする。そして、CPU132は、第4基準画像及び第4検査画像それぞれの同じ座標の画素の輝度値を比較し、比較結果に応じた2値化画像を生成し(ステップS116)、欠陥候補の有無を判定し(ステップS117)、判定結果を記録する(ステップS118)。ステップS114〜S118は、ステップS105〜S109の処理を同様である。特にステップS118では、欠陥が検出された場合、欠陥として検出された画素の集まりを含む所定範囲の画像を2値化画像又は撮影画像Xから切り取り、切り取った画像(以下、欠陥有り画像という)と欠陥有りの情報とを判定結果としてRAM133の所定領域に格納する。なお、欠陥が検出されなかったときには、その旨(欠陥無し)を判定結果としてRAM133の処理領域に格納する。ステップS114〜S118により、上記と同様、検査対象Kに上記暗領域(明部11Aにより照明されても比較的暗い領域)が発生してしまう場合であっても、暗領域全体でなく、当該欠陥に対応する部分を精度良く2値化画像における黒の領域とすることができ、欠陥を精度良く検出できる。
【0043】
その後、CPU132は、RAM133の前記所定領域に格納された判定結果を参照する(ステップS120)。参照した判定結果に欠陥有りの情報が含まれる場合(ステップS120;Yes)、CPU132は、判定結果としてRAM133に格納された欠陥有り画像を欠陥候補として入出力装置134の表示装置に表示させたり、欠陥有りの旨の音声を入出力装置134の音声出力装置から出力させたりする、欠陥有りの報知を実行する(ステップS121)。参照した判定結果に欠陥無しの情報が含まれる場合(ステップS120;No)、又は、ステップS121のあとは、CPU132は、画像検査処理を終了する。なお、ステップS120;Noのときは、CPU132は、欠陥無しの情報を入出力装置134から出力してもよい。
【0044】
(本実施の形態の効果の説明)
この実施の形態では、第2基準画像の各画素の輝度値と第2検査画像の各画素の輝度値とを比較することにより(ステップS107)、差分画像Sにおける、ある部分の輝度値(撮影画像1〜Nにおける最大輝度値−最初輝度値)と、その周囲の部分の輝度値の程度(平均的な輝度値など)とを、局所的に比較するので、欠陥があったときの輝度値の減少を、前記ある部分が検査対象Kにおける前記暗領域(照明されても比較的暗い領域)内に位置しているか否かにかかわらず、適切に捉えることができる。特に、上述のように、第2基準画像の各画素の輝度値と第2検査画像の各画素の輝度値との比を取ることで、当該輝度値の減少を適切に捉えることができる。このため、本実施の形態は、前記従来の方法よりも、欠陥に対応する部分を、精度良く、2値化画像における黒の画像と変換することができ、検査対象Kに前記暗領域が生じたとしても、欠陥の検出の精度が良い。
【0045】
また、この実施の形態では、撮像画像Xについても、第4基準画像の各画素の輝度値と第4検査画像の各画素の輝度値とを比較し、比較結果に応じた2値化画像を生成するので、無地画像15により照明された検査対象Kに明るさの異なる部分が発生しても、上記と同様に、欠陥を精度良く検出できる。
【0046】
また、この実施の形態では、明暗パターン画像11を用いた欠陥検出(ステップS101〜S109)と、無地画像15を用いた欠陥検出(ステップS111〜S118)と、を行う。明暗パターン画像11を用いた欠陥検出は、その反射率が欠陥でない部分に比べて比較的大きく異なる欠陥(例えば、キズなど)等の検出に向いている。一方で、無地画像15を用いた欠陥検出(一様な明るさの面照明による欠陥検出)は、その反射率が欠陥でない部分に比べて異ならない欠陥(例えば、ホコリ等のゴミの付着、塗装剥がれなど)等の検出に向いている。従って、上記2つの欠陥検出を行うことで、多くの欠陥を精度良く検出できる。特に、この実施の形態では、上記2つの欠陥検出をディスプレイ110への画像表示により実現しているので、簡素な構成で上記2つの欠陥検出を行うことができる。
【0047】
さらに、この実施の形態では、各基準画像及び各検査画像から、処理対象外の領域を排除している(ステップS106、S115)。従って、その後の欠陥検出のための処理(ステップS107、S116)の負担を軽減している。また、処理対象外の領域の一部又は全部を欠陥と誤検出することも防止できる。
【0048】
(明暗パターンの他の例)
第1撮影処理で使用される明暗パターン画像は、上記明暗パターン画像11でなくてもよい。以下、明暗パターン画像のバリエーションについて説明する。なお、明部と暗部の説明等、上記実施の形態の説明と重複する説明は適宜省略する。
【0049】
(明暗パターン画像20)
図8の明暗パターン画像20は、第1パターン画像21と、第2パターン画像22とを有する。第1パターン画像21は、一点鎖線よりも左側の領域R1に表示される。第2パターン画像22は、一点鎖線よりも右側の領域R2に表示される。第1パターン画像21と、第2パターン画像22とは、ディスプレイ110の同じ画面上の異なる領域に同時に表示される。
【0050】
第1パターン画像21は、横方向(X軸方向)に交互に並んだ複数の明部21Aと複数の暗部21Bとからなる。複数の明部21Aと複数の暗部21Bとは、明暗が繰り返し(周期的に)現れた明暗パターンを構成している。各明部21A及び各暗部21Bは、Y軸方向を長尺方向とする帯形状(長方形)である。第1パターン画像21の明部21A及び暗部21B(明暗パターン)は、
図8(A)〜(E)に示すように、右方向(X軸の正方向)に徐々に移動(スライド)する。この移動に伴って、領域R1の左辺から新たな明部21A又は暗部21Bが徐々に現れ、領域R1にすでに表示されている最も右側に位置する明部21A又は暗部21Bが領域R1の右辺(一点鎖線)を限界として徐々に消えていく。
【0051】
第2パターン画像22は、横方向(X軸方向)に交互に並んだ複数の明部22Aと複数の暗部22Bとからなる。複数の明部22Aと複数の暗部22Bとは、明暗が繰り返し(周期的に)現れた明暗パターンを構成している。各明部22A及び各暗部22Bは、Y軸方向を長尺方向とする帯形状(長方形)である。明部22Aは、明部21Aよりも幅(X軸方向の長さ)が狭い。暗部22Bも暗部21Bよりも幅が狭い。このように、第2パターン画像22は、第1パターン画像21とは異なるパターンとなっており、特に、第2パターン画像22の方が明暗の繰り返しの周期が小さいパターンの画像となっている。第2パターン画像22の明部22A及び暗部22B(明暗パターン)は、第1パターン画像21の明暗パターンと同様に、右方向(X軸の正方向)に徐々に移動(スライド)する(
図8(A)〜(E)参照)。この移動に伴って、領域R2の左辺(一点鎖線)から新たな明部22A又は暗部22Bが徐々に現れ、領域R2にすでに表示されている最も右側に位置する明部22A又は暗部22Bが領域R2の右辺を限界として徐々に消えていく。
【0052】
CPU132は、ディスプレイ110を制御し、第1パターン画像21の明部21A及び暗部21B(明暗パターン)を一周期分移動させるとともに、第2パターン画像22の明部22A及び暗部22B(明暗パターン)を一周期分移動させる(
図8(A)〜(E)参照)。コンピュータ130は、2つの明暗パターンそれぞれの一周期分の移動を同時に開始させ、同時に終了させる速度で、両パターンを移動させる。従って、第1パターン画像21の明部21A及び暗部21Bの移動速度の方が、第2パターン画像22の明部22A及び暗部22Bの移動速度よりも早い。
【0053】
一般に明暗パターンは、その明部の幅及び暗部の幅が狭い(明暗の繰り返しの周期が小さい)と、小さな面積の欠陥を検出するのに好適となる(逆に大きな面積の欠陥は検出し難くなる)。逆に、その明部の幅及び暗部の幅が広い(明暗の繰り返しの周期が大きい)と、大きな面積の欠陥を検出するのに好適となる(逆に大きな面積の欠陥は検出し難くなる)。明暗パターン画像20では、第2パターン画像22の方が、第1パターン画像21よりも、その明暗の繰り返しの周期が小さいので、第2パターン画像22により細かい欠陥を検出し、第1パターン画像21により大きな欠陥を検出することができる。従って、検査対象Kの一部(第1領域)については大きな欠陥を検出し、他の一部(第2領域)については細かい欠陥を検出したいときに、第1パターン画像21を第1領域に映し、第2パターン画像22を第2領域に映すことで、好適に欠陥を検出することができる。また、検出したい欠陥が異なる2つの物をまとめて検査対象Kとすることもできる。
【0054】
また、第1パターン画像21と第2パターン画像22との各明部及び各暗部を同じ速度で移動させることも可能であるが、そのようにすると、第1パターン画像21の明部21A及び暗部21Bの一周期分の移動に時間がかかってしまう。第1パターン画像21の明部21A及び暗部21Bの移動速度を早くすることで、一周期分の移動期間を短くすることができ、1つの検査対象Kに対する画像検査の所要時間を短くすることができる。
【0055】
(明暗パターン画像30)
次に、明暗パターン画像30を、
図9を参照して説明する。
図9の明暗パターンの複数の明部及び複数の暗部は、それぞれ、X軸が延びる方向を長尺方向とした帯形状(長方形)になっている。明暗パターン画像30の各明部及び各暗部は、Y軸方向に沿って交互に並んでいる。
【0056】
検査対象K(
図9では、検査対象の表面として描かれている)は、その表面として、水平面と、傾斜面(当該傾斜面の法線方向がディスプレイ110の画面の法線方向(光軸方向)に直交する方向に傾斜した面)とを有する。このような検査対象Kを照明する際、ディスプレイ110に、同じ形状(同じ幅)の明部及び暗部からなる明暗パターン画像39を表示する場合、カメラ110で撮影された検査対象Kの画像における明暗パターン(検査対象Kに映ったパターン)の明部及び暗部の幅は、傾斜面と水平面とで異なる(
図9(B)参照)。具体的には、傾斜面に映った明部及び暗部の幅が、水平面に映った明部及び暗部の幅よりも広くなる。そうすると、水平面と傾斜面とで、欠陥の検出精度が異なってしまうことがある。
【0057】
一方、明暗パターン画像30は、第1パターン画像31(傾斜面を照明するパターン)と、第2パターン画像32(水平面を照明するパターン)とを有する。第1パターン画像31の明部及び暗部それぞれの幅は、第2パターン画像32の明部及び暗部それぞれの幅よりも狭い(明暗の繰り返しの周期が小さい)。このような構成により、検査対象Kに
図9のような傾斜面があったとしても、カメラで撮影された検査対象Kの表面に映った明暗パターンの明部及び暗部それぞれの幅を同じ長さとすることができる(明部と暗部との境界を等間隔にできる)(
図9(A)参照)。これにより、欠陥の検出精度を一定に保つことができる。
【0058】
(明暗パターン画像40)
次に、明暗パターン画像40を、
図10を参照して説明する。
図10の明暗パターンの複数の明部及び複数の暗部等についての説明は、
図9の説明に準じる。
【0059】
検査対象Kは、その表面として、水平面と、傾斜面(当該傾斜面の法線方向がディスプレイ110の画面の法線方向(光軸方向)に直交する方向から離れる方向に傾斜した面)とを有する。このような検査対象Kを照明する際、ディスプレイ110に、同じ形状(同じ幅)の明部及び暗部からなる明暗パターン画像49を表示する場合、カメラ110で撮影された検査対象Kの画像における明暗パターン(検査対象Kに映ったパターン)の明部及び暗部の幅は、傾斜面と水平面とで異なる(
図10(B)参照)。具体的には、傾斜面に映った明部及び暗部の幅が、水平面に映った明部及び暗部の幅よりも狭くなる。そうすると、水平面と傾斜面とで、欠陥の検出精度が異なってしまうことがある。また、上記各明暗パターンについて、暗部の幅と明部の幅とを異ならせてもよく、このような場合、
図10(B)の場合には、明暗がつぶれて、明部のみ、又は、暗部のみが傾斜面に映り、欠陥の検出精度が悪くなってしまうこともある。
【0060】
一方、明暗パターン画像40は、第1パターン画像41(傾斜面を照明するパターン)と、第2パターン画像42(水平面を照明するパターン)とを有する。第1パターン画像41の明部及び暗部それぞれの幅は、第2パターン画像42の明部及び暗部それぞれの幅よりも広い(明暗の繰り返しの周期が大きい)。このような構成により、検査対象Kに
図11のような傾斜面があったとしても、カメラで撮影された検査対象Kの表面に映った明暗パターンの明部及び暗部それぞれの幅を同じ長さとすることができる(明部と暗部との境界を等間隔にできる)。欠陥の検出精度を一定に保つことができるなど、上記不都合を解消できる。
【0061】
(明暗パターン画像30及び明暗パターン画像40のまとめ)
カメラ120により得られる撮影画像内の検査対象Kに映った明暗パターンを所望のパターンにしたいときには、例えば、ディスプレイ110に、当該所望のパターンとなる明暗パターンの画像を表示して検査対象Kを照明し、当該照明された検査対象Kをカメラ120により撮影する。そして、カメラ120による撮影により得られた検査対象Kの画像に写った明暗パターンをディスプレイ110に表示される明暗パターン画像が示す明暗パターンとするとよい(適宜パターンの形状の調整は行うものとする。)。このようなことは、例えば、ディスプレイ110の光軸とカメラ120の光軸とが、水平面に対して同じ角度だけ傾斜している場合に有効である。
【0062】
検査対象Kが、第1面と第2面とを有し、第2面(
図9では傾斜面、
図10では水平面)が、第1面(
図9では水平面、
図10では傾斜面)よりも、その法線方向(第1面が凸面のときには頂上の部分の法線方向又は凹面のときには底の法線方向)がディスプレイ110の画面の法線方向(光軸方向)に対して垂直に近いとき(両方向が成す角度が90度に近いとき)、第2面を照明する明暗パターン(第2面に照射される照明光の明暗パターン)の明暗の繰り返しの周期を、第1面を照明する明暗パターン(第1面に照射される照明光の明暗パターン)の明暗の繰り返しの周期よりも小さくするとよい(
図9及び
図10を参照)。これにより、撮影画像における検査対象Kに映った明暗パターンの明暗の繰り返しの周期を第1面と第2面とで大きく異なってしまうことを防止できる。
【0063】
(変形例)
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、上記実施の形態に対して種々の変形(構成要素の削除を含む。)が可能である。以下、変形例について説明するが、各変形例の少なくとも一部同士を組み合わせてもよい。
【0064】
(変形例1)
上記各検査画像を、差分画像S、撮像画像Xに変更して、画像検査処理を行ってもよい。つまり、ステップS104を省略し、ステップS105以降の処理で、第1検査画像の代わりに差分画像Sを用いてもよく、ステップS113を省略し、ステップS114以降の処理で、第3検査画像の代わりに撮像画像Xを用いてもよい。但し、この場合には、例えば少ない数の画素単位で発生するノイズ等の軽減が図れなくなってしまうおそれがある(検査画像を生成することで、ノイズ等を軽減できる)。また、上記各検査画像を生成するとき、CPU132は、輝度値を均一化した範囲に含まれる複数の画素を1画素(輝度値は、均一化したあとの値を取る)に変換して、各検査画像を生成してもよい。このときには、基準画像についても、検査画像の生成時に均一化した範囲と同じ範囲に含まれる複数の画素を1画素に変換するとよい。これにより、画素を少なくでき、処理の軽減が図れる。
【0065】
(変形例2)
基準画像及び検査画像の生成時(ステップS103、S104、S112、S113)における、輝度値を均一化する画素の範囲(画素数)、均一化に使用する値などは、ユーザが設定するようにしてもよい。例えば、ユーザが入出力装置134のキーボード及びマウスを操作して、輝度値を均一化する画素の範囲(画素数)、均一化する方法を指定すると、CPU132は、それ以降、指定された内容で画像検査処理を実行する。なお、均一化に使用する値とは、例えば、輝度値を均一化するときに置き換える値であり、均一化する対象の各画素の輝度値の中央値、各輝度値の平均値、各輝度値のうちの最大値、及び、各輝度値のうちの最小値などのうちのいずれかである。なお、均一化のときには、ノイズ等を考慮し、例えば、各輝度値のうちの、最大値等の第1基準以上の大きな値、及び/又は、最小値等の第2基準以下の小さな値を除外してから、前記の中央値、平均値、最大値、最小値を取ってもよい。
【0066】
(変形例3)
上記実施の形態における欠陥検出では、CPU132は、輝度値が下がっている部分を欠陥として検出しているが、輝度値が上がっている部分を欠陥として検出してもよい。CPU132は、同じ検査画像及び基準画像を用いて、2値化の基準等を代えることで複数の2値化画像を生成し、輝度値が下がっている部分と、輝度値が上がっている部分とのそれぞれを欠陥として検出するようにしてもよい。
【0067】
(変形例4)
2値化画像は、欠陥を「白」、正常部分を「黒」としてもよい。また、2値化画像を生成せずに欠陥の有無を判定してもよい。例えば、CPU132は、ステップS107において、第2基準画像及び第2検査画像それぞれの同じ座標の画素の輝度値の比を取り、当該比が前記所定値未満の画素を特定し、特定した画素の集まりが所定数以上の画素数であれば、欠陥があると判定してもよい。なお、第2基準画像及び第2検査画像それぞれの同じ座標の画素の輝度値の比が前記所定値以上又は未満であるとは、当該比に係数を乗算したり加減算したりして得られる計算値が、特定値以上又は未満であることを含む。例えば、前記計算値を算出する式に、前記比の代わりに前記所定値を入れて計算した値が前記特定値であれば、結局は、前記比が前記所定値以上又は未満であるといえる。
【0068】
(変形例5)
基準画像及び検査画像から処理対象外の領域を排除しなくてもよい。つまり、ステップS105〜S106、S114〜S115を省略してもよい。
【0069】
(変形例6)
各明暗パターンの明部及び暗部の形状は、例えば、照明光の光軸方向(照射方向)に対して垂直な面内で、明部と暗部とが交互に(周期的に)現れる形状であればよい。例えば、照射方向に対して垂直な面内で、全ての方向に対して周期的に明部と暗部とが交互に現れる明暗パターンを使用してもよい。また、明部は、暗部よりも明るいものであればよい。明部と暗部とのうちの一方の幅(明暗パターンを動かす方向に沿った長さ)と他の幅とを異ならせてもよい。各明暗パターンは、1つの明部及び1つの暗部と、1つの明部及び2つの暗部と、2つの明部及び1つの暗部と、複数の明部と複数の明部とのうちのいずれかから構成されていればよい。なお、1つの明部及び1つの暗部の場合であっても、明暗パターンの移動により、新たな明部又は暗部が表示されることがあるので、1つの明部及び1つの暗部からなる明暗パターンも、1つの明部及び1つの暗部を一周期とする周期的な明暗パターンとする。
【0070】
(変形例7)
上記第1パターン画像21等が示す明暗パターンと第2パターン画像22等が示す明暗パターンとは、異なる方向に移動してもよい。第1パターン画像21の明部21Aなどと第2パターン画像22の明部22Aなどとは、異なる方向にそって長尺であってもよい。
【0071】
(変形例8)
ディスプレイの代わりに、明部を形成するスリットを有するマスクと、当該マスクの裏に配置されたランプとを使用してもよい。
【0072】
(変形例8)
検査対象Kの形状等に応じて、明暗パターンは、3つ以上の異なるパターンを有してもよい。例えば、明暗パターン画像は、互いに異なる明暗パターンをそれぞれ示す3つ以上のパターン画像からなってもよい。また、明部等の明暗パターンの移動方向(明暗が繰り返されている方向)は、複数の明暗パターンそれぞれで異なってもよい。
【0073】
(変形例9)
1つの検査対象Kは、複数の製品等から構成されてもよい。例えば、第1パターン画像の照明対象を検査対象Kのうちの1つの製品とし、第2パターン画像の照明対象を検査対象Kのうちの他の1つの製品としてもよい。
【0074】
(変形例10)
欠陥検出の方法は、上記方法に限らず、適宜の方法を採用できる。例えば、明暗パターン画像11を用いた欠陥検出と、無地画像15を用いた欠陥検出を、1つのディスプレイ110により行うが、画像処理の方法(欠陥検出のアルゴリズム)は、他の方法を用いてもよい。ディスプレイ110を照明に用いることで、異なる態様の照明を容易に行うことができ、明暗パターン画像11を用いた欠陥検出(縞パターンによる照明を用いた欠陥検出)と、無地画像15を用いた欠陥検出(一様な明るさの面照明を用いた欠陥検出)とを、容易に行える。
【0075】
(変形例11)
上記実施の形態では、明暗パターンの方を動かしているが、当該明暗パターンは、検査対象Kに対して相対的に移動すればよく、検査対象Kの方を動かしてもよい。
【0076】
(変形例12)
明暗パターン画像11などの明暗パターンの画像と、無地画像15などの一様に明るい画像と、を一緒にディスプレイ110に表示し、それぞれの画像により、検査対象Kのうちの異なる領域を別々に照明してもよい。これによって、検出したい欠陥に応じた適切な照明を行える。
【0077】
(変形例13)
無地画像15の代わりに、多少の模様等がある画像(明暗パターン画像11等とは異なる非明暗パターンの画像であればよい。)が用いられてもよい。このような画像であっても、所定の種類の欠陥の検出には有利に働くことがある。上記画像検査処理のように、複数種類の画像を異なるタイミングで同じ表示領域に表示して、同じ領域を照明することにより、種類の異なる欠陥の検出を精度良く検出できる。
【0078】
(本明細書が開示する構成)
以下、上記実施の形態や変形例を一例とする構成を以下に記載する。以下の構成は、少なくとも一部同士を組み合わせてもよい。なお、以下で説明する各構成が行う画像処理には、任意の他の画像処理が含まれてもよい。
【0079】
(1)検査対象の欠陥の有無を、当該検査対象を画像化した検査対象画像(例えば、差分画像S又は撮影画像X)を用いて検査する画像検査を行う画像検査装置(例えば、画像検査装置100。なお、そのうちのコンピュータ130を画像検査装置として捉えてもよい。)であって、
前記検査対象画像を構成する複数の画素の輝度を第1画素群毎にその第1画素群に含まれる各画素の輝度に基づいて均一化した第1比較画像(例えば、各種基準画像)を生成する第1生成手段(例えば、少なくともステップS103又はS112を実行するCPU132)と、
前記検査対象画像を構成する前記複数の画素の輝度を前記第1画素群よりも画素数の小さい第2画素群毎にその第2画素群に含まれる各画素の輝度に基づいて均一化した第2比較画像(例えば、各種検査画像)を生成する第2生成手段(例えば、少なくともステップS104又はS113を実行するCPU132)と、
前記第1比較画像を構成する複数の画素それぞれの輝度と、前記第2比較画像を構成する複数の画素それぞれの輝度と、を同じ位置の画素同士で比較し、両輝度の関係が所定基準を満たしている画素の有無に基づいて欠陥を検出する欠陥検出手段(例えば、ステップS107〜S108又はS116〜S117を実行するCPU132)と、
を備える画像検査装置。
【0080】
検査対象画像は、検査対象の撮像画像の他、差分画像Sのように複数の撮像画像に基づいて得られる画像、撮像画像に対して所定の画像処理を施した画像など、検査対象を画像化した画像であればよい。検査対象画像は、上記実施の形態では、差分画像S及び撮像画像Xであるが、これら画像に対して適宜の画像処理を施した後の画像であってもよい。また、第1生成手段による第1比較画像の前記生成は、均一化以外の画像処理が含まれてもよい。このことは、第2生成手段についても同じである。前記均一化以外の画像処理に、ステップS105〜S106又はS114〜S115などの処理により、処理対象外の画像を第1〜第2比較画像から排除する処理が含まれてもよい。
【0081】
(2)前記欠陥検出手段は、前記第1比較画像を構成する前記複数の画素それぞれの輝度と、前記第2比較画像を構成する前記複数の画素それぞれの輝度と、の比を同じ位置の画素同士で取り、当該比が一定基準(例えば、前記所定値未満)を満たしている画素の有無に基づいて欠陥を検出する(例えば、ステップS107〜S108又はS116〜S117を実行するCPU132)、
ようにしてもよい。
【0082】
(3)前記第1生成手段は、前記複数の画素の輝度を前記第1画素群毎に平均化する(例えば、ステップS103又はS112を実行するCPU132)、
ようにしてもよい。
【0083】
(4)前記第2生成手段は、前記複数の画素の輝度を前記第2画素群毎に平均化する(例えば、ステップS104又はS113を実行するCPU132)、
ようにしてもよい。
【0084】
平均化は、第1画素群又は第2画素群に含まれる各画素の各輝度の中央値又は平均値を取ることであればよい。
【0085】
(5)前記検査対象が写った複数の撮影画像であって、前記検査対象の表面に映った明暗パターンの状態が異なる複数の撮影画像を取得する取得手段(例えば、ステップS101を実行するCPU132)と、
前記取得手段が取得した前記複数の撮影画像における同じ位置の各画素の輝度のうち最小の輝度と最大の輝度との差を各画素の輝度とした前記検査対象画像を生成する検査対象画像生成手段(例えば、ステップS102を実行するCPU132)と、
をさらに備えてもよい。
【0086】
(6)前記欠陥検出手段は、前記第1比較画像の各画素のうち、輝度が一定値未満の画素群を特定し、特定した当該画素群を前記第1比較画像及び前記第2比較画像から除外し、前記画素群が除外された前記第1比較画像を構成する前記複数の画素それぞれの輝度と、前記画素群が除外された前記第2比較画像を構成する前記複数の画素それぞれの輝度と、を同じ位置の画素同士で比較する(例えば、ステップS105〜S106又はS114〜S115を実行するCPU132)、
ようにしてもよい。
【0087】
(7)移動する明暗パターンの画像(例えば、明暗パターン画像11)をディスプレイに表示させることで前記検査対象を照明する第1照明制御手段(例えば、ステップS101を実行するCPU132)と、
非明暗パターンの画像(例えば、無地画像15)を前記ディスプレイに表示させることで前記検査対象を照明する第2照明制御手段(例えば、ステップS111を実行するCPU132)と、
前記明暗パターンの画像によって照明された前記検査対象をカメラにより複数回撮影し、当該検査対象が写った複数の第1撮影画像(例えば,撮影画像1〜N)を前記カメラから得るとともに、当該複数の第1撮影画像に基づいて第1画像(例えば、差分画像S)を得る第1画像取得手段(例えば、ステップS101を実行するCPU132)と、
前記非明暗パターンの画像によって照明された前記検査対象を前記カメラにより撮影し、当該検査対象が写った第2撮影画像を第2画像(例えば、撮像画像X)として前記カメラから得る第2画像取得手段(例えば、ステップS111を実行するCPU132)と、を備え、
前記画像処理装置は、前記第1画像を前記検査対象画像として用いて検査し、かつ、前記第2画像を前記検査対象画像として用いて検査する(例えば、画像検査処理を実行するCPU132)、
ようにしてもよい。
【0088】
(8)上記画像処理装置の各構成要素が行う処理をコンピュータに実行させるプログラム。なお、プログラムは、CD(Compact Disc)などの各種の記憶媒体に記録されてコンピュータに提供(インストール)されてもよいし、インターネットなどのネットワークを介してコンピュータに提供(インストール)されてもよい(他のプログラムも同じ)。
【0089】
(9)検査対象の欠陥の有無を、当該検査対象を画像化した検査対象画像(例えば、差分画像S又は撮影画像X)を用いて検査する画像検査装置(例えば、画像検査装置100。なお、そのうちのコンピュータ130を画像検査装置として捉えてもよい。)であって、
前記検査対象画像を構成する複数の画素の輝度を画素群毎にその画素群に含まれる各画素の輝度に基づいて値に均一化した比較画像を生成する生成手段(例えば、各種基準画像)を生成する生成手段(例えば、少なくともステップS103又はS112を実行するCPU132)と、
前記比較画像を構成する複数の画素それぞれの輝度と、前記検査対象画像を構成する複数の画素それぞれの輝度と、を同じ位置の画素同士で比較し、両輝度の関係が所定基準を満たしている画素の有無に基づいて欠陥を検出する欠陥検出手段(例えば、変形例1など)と、
を備える画像検査装置。
【0090】
検査対象画像、及び、生成手段による比較画像の前記生成などの説明は、上記(1)の検査対象画像、及び、第1生成手段による第1比較画像の前記生成などの説明に準じる。
【0091】
(10)上記画像処理装置の各構成要素が行う処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【0092】
(11)第1明暗パターンにより画像検査の検査対象の第1領域(例えば、検査対象Kの一部)を照明するとともに、前記第1明暗パターンとは異なる第2明暗パターンにより前記検査対象の前記第1領域とは異なる第2領域(例えば、検査対象Kの他の一部)を照明する照明手段(例えば、明暗パターン画像20、30、又は40を表示するディスプレイ110)と、
前記第1明暗パターンと前記第2明暗パターンとを前記検査対象に対して相対的に移動させる移動制御手段(例えば、ディスプレイ110に表示された表示画像を制御する(明暗パターンを移動させる)CPU132)と、
を備える照明装置。
【0093】
上記照明手段は、第1明暗パターンと第2明暗パターンとをともに表示する他、3つ以上の明暗パターンを表示する構成も含む。なお、上記照明装置の機能を、ディスプレイ110を制御するコンピュータ130に実現させるプログラム(第1明暗パターン及び第2明暗パターンをディスプレイ110に表示させたり、移動させたりすることをコンピュータに実行させるプログラム)によって実現してもよい。
【0094】
(12)前記照明手段は、前記第1明暗パターンの画像と前記第2明暗パターンの画像とを表示するときの表示光(前記各画像を示す表示光)により前記第1領域及び前記第2領域を照明するディスプレイ(例えば、明暗パターン画像20、30、又は40を表示するディスプレイ110)である、
ようにしてもよい。
【0095】
(13)前記移動制御手段は、前記第1明暗パターンと前記第2明暗パターンとを異なる速度で移動させる(例えば、
図8参照)、
ようにしてもよい。
【0096】
(14)前記第1明暗パターンと前記第2明暗パターンとは、明暗が周期的に繰り返されたパターンであり(例えば、
図8、
図10参照)、
前記第1明暗パターンの明暗の繰り返しの周期は、前記第2明暗パターンの明暗の繰り返しの周期よりも大きい(例えば、
図8、
図10参照)、
ようにしてもよい。
【0097】
(15)前記第2領域の法線方向の方が前記第1領域の法線方向よりも前記照明手段の光軸に対して垂直に近い(例えば、
図10参照)、
ようにしてもよい。
【0098】
(16)上記いずれかの照明装置(例えば、ディスプレイ110及びCPU132)と、
当該照明装置により照明された前記検査対象を複数回撮影することで、複数の撮影画像を得るカメラ(例えば、カメラ120)と、
前記カメラにより得られた前記複数の撮影画像に基づいて、前記第1領域と前記第2領域とについて欠陥の有無を検査する検査手段(例えば、ステップS102〜S108を行うCPU132など)と、を備える、
画像検査装置(例えば、画像検査装置100)。