特許第6837303号(P6837303)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サッポロビール株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6837303-包装装置 図000002
  • 特許6837303-包装装置 図000003
  • 特許6837303-包装装置 図000004
  • 特許6837303-包装装置 図000005
  • 特許6837303-包装装置 図000006
  • 特許6837303-包装装置 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6837303
(24)【登録日】2021年2月12日
(45)【発行日】2021年3月3日
(54)【発明の名称】包装装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 57/02 20060101AFI20210222BHJP
   B65B 57/10 20060101ALI20210222BHJP
   B65B 5/06 20060101ALI20210222BHJP
【FI】
   B65B57/02 C
   B65B57/10 D
   B65B5/06
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-152374(P2016-152374)
(22)【出願日】2016年8月3日
(65)【公開番号】特開2018-20796(P2018-20796A)
(43)【公開日】2018年2月8日
【審査請求日】2019年7月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】303040183
【氏名又は名称】サッポロビール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】壁下 守
(72)【発明者】
【氏名】福田 知行
(72)【発明者】
【氏名】垰畑 陽平
(72)【発明者】
【氏名】熊本 実
【審査官】 長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−019707(JP,A)
【文献】 特開2010−006393(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 57/02
B65B 57/10
B65B 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の容器をカートンに充填する包装装置であって、
前記複数の容器の先端部が前記カートンに入った後の前記カートンの位置情報を検出する検出手段と、
前記位置情報と、前記複数の容器が前記カートンに入る前の前記カートンの基準位置情報と、を比較し、前記複数の容器を充填する充填方向における前記カートンの位置の変化量が所定量以上となる場合に、充填時における不具合が発生したと判定する判定手段と、
を備える包装装置。
【請求項2】
前記複数の容器の先端部が前記カートンに入る前に、前記充填方向における前記カートンの位置を前記基準位置情報が示す位置となるように位置決めする位置決め手段、を備える請求項1に記載の包装装置。
【請求項3】
前記検出手段は、前記複数の容器を充填する側とは逆側であって、前記カートンから所定の距離をおいて設置された光電センサである請求項1又は請求項2に記載の包装装置。
【請求項4】
前記複数の容器は、前記複数の容器の天面を覆う天面部と、前記複数の容器の底面を覆う底面部と、前記複数の容器の両側を覆う一対の側面部と、を備える包装体によって包装されている請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の包装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の容器をカートンに充填する包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、缶ビールや缶ジュースといった飲料缶等の容器(以下、適宜「充填対象物」という)をカートンに充填するための包装装置について、研究開発が進められている。
【0003】
例えば、特許文献1には、複数の折り曲げ部を有する板状の箱材を折り曲げて箱形状に成形しながら該箱材によって物品を包装する包装装置であって、箱形状にされる途中の状態にある箱材の内側に物品を押し込む押し込み機構と、該箱材の内側フラップが規定角度を超えて折り曲げられた異常が発生したことを検知するセンサと、該箱材の内側フラップと外側フラップとが重なる部分に糊を提供する糊提供部と、該箱材の外側フラップを内側フラップに押し付けて外側フラップを内側フラップに接着させる押圧機構と、前記センサによって前記異常の発生が検知された際にエラー処理を実行するエラー処理部と、を備えることを特徴とする包装装置が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、ケーサーのコンベアにて搬送される包装資材としてのシートのフラップが、前記コンベアの搬送方向に沿って設けられたフラップガイドにて正しく案内されるように折り曲げられているか否かを検査するシートフラップの折り曲げ状態検査装置であって、前記フラップガイドにて正しく案内されているフラップが通過すべき領域にて前記フラップを検出する正常状態検出センサと、前記正常状態検出センサの出力信号に基づいて、前記フラップの折り曲げ状態が正常か否かを判別する判別手段と、を備えたことを特徴とするシートフラップの折り曲げ状態検査装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−341859号公報
【特許文献2】特開2009−161211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
包装装置は、単位時間あたりの処理数が膨大であることから、この包装装置による各処理の際に発生する不具合(不良、異常等)を完全に無くすことは非常に困難である。
よって、特許文献1、2に係る技術のように、包装装置における不具合の発生を検出する技術が多数提案されている。そして、特許文献1、2に係る技術は、包装装置におけるカートンのフラップの不具合の発生に着目した技術であり、当該フラップの折り曲げ状態が所望の状態になっていないという不具合の発生を検出することができる。
【0007】
本発明者らは、包装装置における不具合の発生の状況を検討したところ、特許文献1、2に係る技術が着目する不具合とは別の不具合として、充填対象物がカートンに充填される際、双方が過度に接触することによって、双方又は一方が損傷してしまうという不具合が稀に発生することを確認した。
そして、このような不具合を適切に検出するような方法については、これまで存在しなかった。
【0008】
そこで、本発明は、充填対象物をカートンに充填する際に発生する不具合を適切に検出することが可能な包装装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題は、以下の手段により解決することができる。
(1)複数の容器をカートンに充填する包装装置であって、前記複数の容器の先端部が前記カートンに入った後の前記カートンの位置情報を検出する検出手段と、前記位置情報と、前記複数の容器が前記カートンに入る前の前記カートンの基準位置情報と、を比較し、前記複数の容器を充填する充填方向における前記カートンの位置の変化量が所定量以上となる場合に、充填時における不具合が発生したと判定する判定手段と、を備える包装装置。
(2)前記複数の容器の先端部が前記カートンに入る前に、前記充填方向における前記カートンの位置を前記基準位置情報が示す位置となるように位置決めする位置決め手段、を備える前記1に記載の包装装置。
(3)前記検出手段は、前記複数の容器を充填する側とは逆側であって、前記カートンから所定の距離をおいて設置された光電センサである前記1又は前記2に記載の包装装置。
(4)前記複数の容器は、前記複数の容器の天面を覆う天面部と、前記複数の容器の底面を覆う底面部と、前記複数の容器の両側を覆う一対の側面部と、を備える包装体によって包装されている前記1から前記3のいずれか1つに記載の包装装置
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る包装装置によれば、充填方向におけるカートンの位置の変化量に基づいて不具合の発生を判定していることから、複数の容器とカートンとが過度に接触し充填方向においてカートンが大きく押された場合に、不具合が発生したと判定することができる。
よって、本発明に係る包装装置によれば、充填対象物である複数の容器をカートンに充填する際に発生する不具合を適切に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態に係る包装装置の斜視図である。
図2】従来の包装装置の上面図である。
図3】充填対象物とカートンとの間で過度の接触が発生した状態の上面図である。
図4】カートンの後側端部の拡大図であって、(1)は、充填対象物がカートンに入る際の影響が全くなかった場合の上面図であり、(2)は、充填対象物がカートンに入る際の影響が大きかった場合の上面図である。
図5】本実施形態に係る包装装置の上面図である。
図6】本実施形態に係る充填方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る包装装置、及び充填方法を実施するための形態(実施形態)について、図を参照して説明する。
なお、以下の説明において参照する図面は、本実施形態の構成を概略的に示したものであり、各部材のスケールや間隔、位置関係等を誇張したり、部材の一部の図示を省略したりしているものがある。
【0014】
[カートン]
まず、本実施形態に係る包装装置、及び充填方法に使用するカートンについて、図1を参照して説明する。
カートン10は、充填対象物20を収容し、包装するための箱体である。
そして、カートン10は、例えば、底面部11、天面部12、2つの側面部13から構成される角筒体と、底面部11の端部に連設される底面フラップ11a、11bと、天面部12の端部に連設される天面フラップ12a、12bと、側面部13の端部に連設される側面フラップ13a、13bと、を備えたラップアラウンド式の箱体である。
【0015】
図1に示すカートン10は、天面部12及び底面部11が四角形を呈する構成であるが、4つのコーナー部分(図1の前側の左右端部分と後側の左右端部分)がデッドスペースとなる場合があるため、この4つのコーナー部分を無くし、天面部12及び底面部11が八角形を呈する構成としてもよい。また、天面部12及び底面部11の形状は、4つのコーナー部分の其々に複数の角を設けて、十二角形、十六角形…としてもよく、さらに、1つのコーナー部分のみを無くすような五角形、2つのコーナー部分のみを無くすような六角形としてもよい。
【0016】
このカートン10は、包装装置Aによって充填対象物20が充填される際、天面部12が開いているとともに、充填対象物20を充填する側(以下、適宜「充填側」という:図1の前側)の2つの側面フラップ13a、13aは開き、充填対象物20を充填する側とは逆側(以下、適宜「充填逆側」という:図1の後側)の2つの側面フラップ13b、13bは閉じている(又は、略閉じている)。
なお、このカートン10は、包装装置Aの移送手段5によって充填対象物20が充填された後、連結面14が天面部12に固定されることによって角筒体が形成されるとともに、各フラップによって角筒体の開口部が閉塞されることによって箱体となる。
【0017】
[充填対象物]
次に、本実施形態に係る包装装置、及び充填方法に使用する充填対象物について、図1を参照して説明する。
充填対象物20は、複数の容器21である。そして、容器21の形状、サイズ、材質、個数などについては特に限定されない。ただし、容器21の形状については、ペットボトルのような形状のものより、缶ビール、缶ジュースのような蓋部と底部とを備える略円筒形状のものが好ましい。また、容器21のサイズ(容量)については、例えば、1L以下であり、500ml以下が好ましく、350mlや250mlであってもよい。
【0018】
図1では、充填対象物20は、包装体22に包装された容器群を示しているが、容器21は包装体22に包装されていなくてもよく、複数の容器21が纏められていない状態、いわゆるルース品の状態であってもよい。
【0019】
ただし、充填対象物20が包装体22に包装された容器群である場合、包装体22の先端部のスリーブ22dが、カートン10の側面部13の充填側の端部と干渉し易く、スリーブ22dやカートン10の破損が生じ易いことから、本発明の効果(不具合の適切な検出)が顕著に現れるため、非常に好ましい。
なお、包装体22は、複数の容器21の天面を覆う天面部22aと、複数の容器21の底面を覆う底面部22bと、複数の容器21の両側を覆う一対の側面部22cと、を備える。
【0020】
[本実施形態に係る包装装置の構成]
次に、本実施形態に係る包装装置の構成について、図1を参照(適宜図5参照)して説明する。
本実施形態に係る包装装置Aは、複数の容器21(充填対象物20)をカートン10に充填し、カートン10で包装する装置である。
包装装置Aは、検出手段1と、判定手段2と、を備える。また、包装装置Aは、位置決め手段70(図5参照)をさらに備えていてもよい。さらに、包装装置Aは、移送レーン3と、移送ガイド4と、移送手段5と、カートンレーン6と、カートンガイド7と、制御手段(図示せず)と、を備えていてもよい。
以下、本実施形態に係る包装装置Aの各構成について説明する。
【0021】
(検出手段)
検出手段1は、充填対象物20の先端部がカートン10に入った後のカートン10の位置情報を検出する手段である。
そして、検出手段1は、カートン10の位置情報を検出できる構成であれば特に限定されず、光電センサ、レーザセンサ、超音波センサ等の非接触型のセンサであっても、接触型のセンサであってもよい。
なお、検出手段1によって得られた検出結果は、判定手段2に送信される。
【0022】
検出手段1は、充填逆側(図1の後側)であって、カートン10から所定の距離をおいて設置される。そして、検出手段1は、例えば、投光部と受光部とを備える公知の光電センサであって、投光部がカートン10の側面フラップ13bに光Lを投光し、側面フラップ13bにて反射した光Lを受光部が受光することにより、充填方向(図1の前後方向)におけるカートン10(詳細にはカートン10の側面フラップ13b)までの距離を検出する。
なお、図1では、説明をし易くするために充填対象物20がカートン10に入っていない状態を示しているが、実際は、検出手段1によって位置情報を検出するタイミングにおいて、充填対象物20の先端部はカートン10に入った状態(図5のSCの状態)となっている。
この検出手段1による詳細な検出の方法は、後記の本実施形態に係る充填方法において説明する。
【0023】
(判定手段)
判定手段2は、充填対象物20の先端部がカートン10に入った後のカートン10の「位置情報」と、充填対象物20がカートン10に入る前のカートン10の「基準位置情報」と、を比較し、充填方向(図1の前後方向)におけるカートン10の位置の変化量が所定量以上となる場合に、充填時における不具合が発生したと判定する手段である。
【0024】
ここで「位置情報」とは、判定手段2が検出手段1から受信する情報である。そして、この「位置情報」とは、充填対象物20の先端部がカートン10に入った後のカートン10、つまり、図5のSC、SDの状態のカートン10の位置に関する情報であって、充填対象物20がカートン10に入る際の影響(ひっかかり、接触等)を受けた後の状態のカートン10の位置(充填方向における位置)に関する情報である。
一方、「基準位置情報」とは、判定手段2に記録(事前に入力、格納)されている情報である。そして、この「基準位置情報」とは、充填対象物20がカートン10に入る前のカートン10、つまり、図5のSA、SBの状態のカートン10の位置に関する情報であって、充填対象物20がカートン10に入る際の影響を受けていない状態のカートン10の位置(充填方向における位置)に関する情報である。
【0025】
判定手段2が不具合の発生の有無の基準とする「所定量以上」との情報は、判定手段2に記録されている情報である。そして、この「所定量以上」は、適宜設定すればよいが、5mm以上とするのが好ましく、3mm以上とするのがより好ましい。このように設定することにより、正常な充填作業においてカートン10にわずかな位置のズレが生じた場合に、不具合が発生したと判定手段2が誤って判定してしまうのを回避することができる。
【0026】
判定手段2は、例えば、マイクロコンピュータであり、図示はしないが、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、各種インタフェース等の電子回路を含んで構成される。そして、ROMに記憶されたプログラムを読み出してRAMに展開し、CPUが判定等の各種処理を実行するようになっている。
なお、判定手段2による詳細な判定の方法については、後記の本実施形態に係る充填方法において説明する。
【0027】
(位置決め手段)
位置決め手段70とは、充填対象物20の先端部がカートン10に入る前に、充填方向におけるカートン10の位置を基準位置情報が示す位置となるように位置決めする手段である。
図5に示すように、位置決め手段70は、カートンガイド7よりも前方向に突出する板材である。そして、位置決め手段70は、右側から左側に移送されてくるカートン10の後側端部を後側から前側に押圧することによって、充填方向におけるカートン10の位置決めを行う。
【0028】
図5に示すように、位置決め手段70の前方向への突出幅(カートンガイド7を基準とした突出距離)は、位置決め手段70によって位置決めされたカートン10の充填方向における位置が、判定手段2に記録されている基準位置情報が示す位置となるように設定されていればよい。
また、位置決め手段70の左右方向における設定場所は、カートン10が図5のSCの状態(充填対象物20の先端部がカートン10に入っている状態)となる前に位置決めできる場所であればよい。よって、位置決め手段70は、図5に示すとおりSBの状態のカートン10に対して位置決めできる構成であってもよいし、図5のSAの状態のカートン10に対して位置決めする構成であってもよい。
【0029】
位置決め手段70は、前記した構成であることにより、カートン10が右側から左側に移送される際において、前後方向における前側から後側へのカートン10のズレを修正する役割を果たすことができる。
【0030】
(移送レーン、移送ガイド、移送手段)
移送レーン3とは、充填対象物20をカートン10に導くレーンであり、一端がカートン10の開口部付近(底面部11の先端部付近)に位置している。
移送ガイド4とは、移送レーン3上の充填対象物20の移送をガイドする部材であり、移送レーン3上の充填対象物20の両サイド(図1の左右側)に設けられている。
移送手段5は、移送レーン3上の充填対象物20をカートン10に移送する手段であり、充填対象物20の一端部(図1の前側の端部)をカートン10側(図1の後側)に押圧する。
【0031】
そして、図5に示すように、移送レーン3、移送ガイド4、移送手段5は、左右方向に複数組が連設されており、カートン10が右側から左側に移送される速度と同速度で、右側から左側に移動する。
【0032】
(カートンレーン、カートンガイド)
カートンレーン6とは、右側から左側にカートン10を移送するためのレーンであり、カートンレーン6上のカートン10の開口部を移送レーン3の先端部と向かい合った状態とする。なお、カートンレーン6には、右側から左側に移送されるカートン10の側面13を外側から押圧して、適切なカートン10の移送を補助する移送補助手段(図示せず)が設けられている。
【0033】
カートンガイド7とは、カートン10が後側に移動し過ぎるのを防止するガイドである。詳細には、カートンガイド7は、右側から左側に移送されるカートン10の一端部(側面フラップ13bの端部)に接触しながら僅かに前側に押圧することによって、前後方向におけるカートン10のある程度の位置決めを行う。
【0034】
(制御手段)
制御手段(図示せず)は、前記した移送レーン3、移送ガイド4、移送手段5、カートンレーン6、移送補助手段(図示せず)の動きを制御する手段である。
制御手段は、移送レーン3、移送ガイド4、移送手段5、カートンレーン6、移送補助手段(図示せず)を、右側から左側に所定速度で移動させるとともに、移送手段5を所定速度で前側から後側に所定速度で移動させる。
なお、前記した判定手段2が、制御手段による制御を全て行う構成になっていてもよく、その場合は、制御手段を別途設ける必要はない。
【0035】
[本実施形態に係る充填方法(包装装置の動作)]
次に、本実施形態に係る充填方法について、図5、6を参照(適宜図4参照)して説明する。なお、前記した本実施形態にかかる包装装置の動作も併せて説明する。
本実施形態に係る充填方法は、検出工程S2と、判定工程S3と、を含む。また、本実施形態に係る充填方法は、検出工程S2の前に位置決め工程S1をさらに含んでいてもよい。
以下、本実施形態に係る充填方法の各工程について説明する。
【0036】
(位置決め工程)
位置決め工程S1とは、充填対象物20の先端部がカートン10に入る前に、充填方向におけるカートン10の位置を基準位置情報が示す位置となるように位置決めする工程である。
そして、位置決め工程S1では、図5のSA→SBに示すように、右側から左側に移送されるカートン10の後側端部が、位置決め手段70によって後側から前側に押圧されることにより、充填方向におけるカートン10の位置決めが行われる。
【0037】
(検出工程)
検出工程S2とは、充填対象物20の先端部がカートン10に入った後のカートン10の位置情報を検出する工程である。
そして、検出工程S2では、図5のSCに示すように、充填対象物20の先端部がカートン10に入った後のタイミング、かつ、カートン10が検出手段1の前方に到達したタイミングで、制御手段(図示せず)が検出手段1に対して、光Lの投射、及び光Lの受光を実施(距離の検出を実施)するように制御する。
【0038】
充填対象物20がカートン10に入る際の影響(ひっかかり、接触等)が全くなかった場合(以下、適宜「正常な場合」という)、検出工程S2において、図4(1)が示すような状態で検出手段1がカートン10の位置情報を検出する。なお、この正常な場合の位置情報と判定手段2に記録されている「基準位置情報」とは一致する。
一方、充填対象物20がカートン10に入る際の影響が大きかった場合(以下、適宜「不具合が生じた場合」という)、図4(2)が示すような状態で検出手段1がカートン10の位置情報を検出する。
【0039】
検出工程S2では、後記の判定工程S3において「カートンの位置の変化量」を正確に算出すべく、「基準位置情報」のカートン10の位置情報が図4(1)のように側面部13から距離Mbの位置の情報であった場合、検出手段1が検出するのも同様に、側面部13から距離Mbの位置の情報を検出する。
そして、距離Mbについては、特に限定されないものの、カートン10の位置の変化量を適切に検出すべく、50mm以下が好ましく、30mm以下がより好ましい。
【0040】
(判定工程)
判定工程S3とは、充填対象物20の先端部がカートン10に入った後のカートン10の「位置情報」と、充填対象物20がカートン10に入る前のカートン10の「基準位置情報」と、を比較し、充填方向におけるカートン10の位置の変化量が所定量以上となる場合に、充填時における不具合が発生したと判定する工程である。
【0041】
判定工程S3では、判定手段1が、検出手段1から受信した「位置情報」(例えば、図4(2)に示す状態の情報)と、判定手段2に記録されている「基準位置情報」(例えば、図4(1)に示す状態の情報)を比較し、充填方向におけるカートン10の位置の変化量Maが前記した所定量以上となる場合に、充填時における不具合が発生したと判定する。
【0042】
判定工程S3において、図5のように2つの検出手段1によって2つの「位置情報」を取得する場合は、少なくとも一方の変化量Maが前記した所定量以上となる場合に、充填時における不具合が発生したと判定する。
【0043】
(その他の工程)
検出工程S2の後、カートン10に充填対象物20が全て充填され(図5のSDの状態)、カートン10が箱体に組み立てられることにより、充填対象物20がカートン10によって包装されることとなる。
【0044】
[本実施形態に係る包装装置、及び充填方法の効果]
次に、本実施形態に係る包装装置、及び充填方法の効果について、図1〜6を参照して説明する。
【0045】
図2に示す従来の包装装置BによるSa→Sb→Sc→Sdの一連の処理のうち、Scの状態において、充填対象物20とカートン10とが過度に接触してしまう可能性があった。このScの状態において、図3に示すような充填対象物20とカートン10との過度な接触が発生すると、充填対象物20である包装体22のフラップ22dや、カートン10の先端部(側面部13の端部や側面フラップ13a)が損傷してしまう。そして、図2に示す従来の包装装置Bでは、前記のような事態を適切に検出することが不可能であった。
本実施形態に係る包装装置Aは、検出手段1を備えることにより、充填対象物20の先端部がカートン10に入った後のカートン10の位置情報を検出することができ、判定手段2を備えることにより、検出手段1が検出した「位置情報」と判定手段2に記録されている「基準位置情報」とを比較し、充填方向におけるカートン10の位置の変化量を得ることができる。その結果、本実施形態に係る包装装置Aによると、得られた変化量が所定量以上となる場合に、図3に示すような充填対象物20とカートン10との過度な接触が発生したと判断することができ、充填時の不具合の発生を適切に検出することができる。
【0046】
また、本実施形態に係る包装装置Aは、位置決め手段70を備えることにより、充填対象物20の先端部がカートン10に入る前までにカートン10の位置を「基準位置情報」が示す位置に位置決めすることができる。その結果、本実施形態に係る包装装置Aによると、充填対象物20がカートン10に入る前までにおけるカートン10の移送中のズレを事前に修正することができ、充填対象物20がカートン10に入る際の影響(ひっかかり、接触等)の度合いを正確に判断することが可能となり、充填時の不具合の発生をより適切に検出することができる。
【0047】
本実施形態に係る充填方法は、検出工程S2を含むことにより、充填対象物20の先端部がカートン10に入った後のカートン10の位置情報を検出することができ、判定工程S3を含むことにより、検出工程S2において検出した「位置情報」と判定手段2に記録されている「基準位置情報」とを比較し、充填方向におけるカートン10の位置の変化量を得ることができる。その結果、本実施形態に係る充填方法によると、得られた変化量が所定量以上となる場合に、図3に示すような充填対象物20とカートン10との過度な接触が発生したと判断することができ、充填時の不具合の発生を適切に検出することができる。
【0048】
また、本実施形態に係る充填方法は、位置決め工程S1を備えることにより、充填対象物20の先端部がカートン10に入る前までにカートン10の位置を「基準位置情報」が示す位置に位置決めすることができる。その結果、本実施形態に係る充填方法によると、充填対象物20がカートン10に入る前までにおけるカートン10の移送中のズレを事前に修正することができ、充填対象物20がカートン10に入る際の影響(ひっかかり、接触等)の度合いを正確に判断することが可能となり、充填時の不具合の発生をより適切に検出することができる。
【0049】
[本実施形態に係る包装装置、及び充填方法の変形例]
図1、5に示す包装装置Aは、検出手段1を2つ備える構成であるが、1つでもよい。
包装装置Aが検出手段1を1つ備える構成の場合、カートン10の側面部13から内側に距離Mbとなる2つの箇所のいずれか一方が検出手段1の前方を通過するタイミングで距離を検出(つまり、1つのカートン10に対して1回検出)してもよいし、前記2つの箇所が検出手段1の前方を通過する2つのタイミングで距離を検出(つまり、1つのカートン10に対して2回検出)してもよい。
なお、検出手段1を2つ備える構成や、検出手段1を1つ備えるが1つのカートン10に対して2回距離を検出する構成であると、カートン10の左右の片側のみが充填逆側(図5の後側)に大きく変化してしまうような場合であっても、不具合が発生したと適切に判定することができる。
【0050】
図5に示す包装装置Aは、位置決め手段70がカートンガイド7と一体に構成されているが、位置決め手段70はカートンガイド7と別体として構成されていてもよい。
【0051】
図5に示す包装装置Aについて、カートン10、移送レーン3、移送ガイド4、移送手段5の右側から左側への移送速度、移送手段5の前側から後側への移送速度は、適宜、設定すればよい。
また、図5に示す包装装置Aは、カートン10等を右側から左側に移送する構成であるが、左側から右側に移送する構成であってもよい。
【0052】
図1に示す包装装置Aの各部材のサイズ等は適宜変更してもよい。例えば、使用するカートン10のサイズに合わせて、図1における移送レーン3の左右方向の幅を変更してもよい。また、充填対象物20をより適切にガイドするため、図1における移送ガイド4の上下方向の幅を広くしてもよいし、移送ガイド4を上下方向に複数設けてもよい。
【0053】
なお、本実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に記載したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、本実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、前記した機構や構成は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての機構や構成を示しているとは限らない。
【符号の説明】
【0054】
A 包装装置
1 検出手段
2 判定手段
3 移送レーン
4 移送ガイド
5 移送手段
6 カートンレーン
7 カートンガイド
10 カートン
11 底面部
11a、b 底面フラップ
12 天面部
12a、b 天面フラップ
13 側面部
13a、b 側面フラップ
14 連結面
20 充填対象物(複数の容器、包装体に包装された容器群)
21 容器
22 包装体
22a 天面部
22b 底面部
22c 側面部
22d スリーブ
70 位置決め手段
S1 位置決め工程
S2 検出工程
S3 判定工程
図1
図2
図3
図4
図5
図6