(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施形態に係る二次電池の熱暴走抑止システム(以下、単に「熱暴走抑止システム」という。)1は、
図1や
図2で示すように、筐体(二次電池用筐体)3と冷却剤供給源5と配管7と選択弁9とを備えて構成されている。
【0024】
ここで、説明の便宜のために、水平な所定の一方向を横方向とし、水平な所定の他の一方向であって横方向に対して直交する方向を前後方向とし、横方向と前後方向とに対して直交する方向を上下方向とする。
【0025】
筐体3の内部空間は、仕切り壁(たとえば、矩形な平板状の仕切り板;棚板)11によって複数の蓄電池室13(13A、13B、13C、13D)に仕切られる。
【0026】
さらに説明すると、筐体3は、たとえば、矩形な枡状の筐体本体部15と、この筐体本体部15の前面の矩形な開口部を開閉する扉17とを備えて構成されている。矩形な枡状の筐体本体部15は、下端部に位置している1枚の底板19と、この底板19から上方に起立している2枚の側板21および1枚の裏板23と、これらの側板21および裏板23の上端を塞いでいる1枚の天板25とを備えている。
【0027】
なお、筐体本体部15は、底板19と側板21と裏板23と天板25とが一体になっている所定形状のものに適宜折り曲げ加工等をすることで形成される。また、
図1では、図を見やすくするために、扉17の表示を省略している。
【0028】
筐体本体部15の前面に位置している開口部が扉17で塞がれた状態では、筐体3の外形は、直方体状に形成され、底板19と側板21と裏板23と扉17と天板25との内側には、直方体状の内部空間が形成される。扉17(筐体本体部15でもよい)には、扉17で塞がれる筐体3内に外気を取り入れるための空気導入部(空気導入孔)27(
図26、
図29参照)が設けられており、筐体本体部15(扉17でもよい)には、扉17で塞がれる筐体3内の空気等を筐体3外に排出するための空気排出部(空気排出孔)29(
図26、
図29参照)が設けられる。
【0029】
空気導入孔27は筐体3の下部に設けられており、空気排出孔29は筐体3の上部に設けられている。扉17が閉じられた状態で空気導入孔27と空気排出孔29とを塞いだとすれば、筐体3の外部と筐体3の内部空間との間は、完全な気密性が確保されていないが、概ね遮断される。
【0030】
仕切り壁11は、複数設けられており、筐体3の内部空間を、たとえば、上下方向で複数の蓄電池室(直方体状の蓄電池室)13A、13B、13C、13Dに仕切る。また、仕切り壁11は、これらの厚さ方向が上下方向になり、お互いが上下方向で所定の距離だけ離れるようにして、筐体3の内部空間内で、筐体本体部15に一体的に設けられている。
【0031】
仕切り壁11の横方向の両端のそれぞれは、各側板21それぞれに固定されており、仕切り壁11の後端は裏板23から僅かに離れており、扉17が閉じられた状態では、仕切り壁11の前端は、扉17から僅かに離れている。そして、扉17が閉じられた状態では、空気導入部27から筐体3内に入った空気が、蓄電池室13D、蓄電池室13C、蓄電池室13B、蓄電池室13Aをこの順に通って、空気排出孔29から筐体3の外部に排出される。筐体3内の上記空気の流れによって、二次電池モジュール33が空冷される。
【0032】
また、筐体3には、筐体3内の上記空気の流れを強制的につくる空気流生成部61(
図26、
図29参照)が設けられている。空気流生成部61は、たとえば、空気排出部29に設置された排気ファンで構成されている。
【0033】
冷却剤供給源5は、たとえば、筐体3とは別個になっており、筐体3の外部に設けられている。
【0034】
配管7は、各蓄電池室13A、13B、13C、13Dのそれぞれに設置されている二次電池モジュール33(複数の二次電池モジュール33AA、33AB・・・33BA、・・・;
図1参照)側で、複数本の配管7A、7B、7C、7Dに分岐している。そして、配管7を介して、各蓄電池室13A、13B、13C、13Dそれぞれの内部に、冷却剤供給源5から、二次電池モジュール33を冷やすための冷却剤を放出(供給;吐出)する。
【0035】
さらに説明すると、冷却剤供給源5は、筐体(冷却剤用筐体)35と冷却剤貯蔵容器37とを備えて構成されている。冷却剤が貯蔵されている冷却剤貯蔵容器37は、筐体35内に設置されている。冷却剤貯蔵容器37内には、冷却剤(たとえば二酸化炭素)が貯蔵(収容)されている。
【0036】
冷却剤貯蔵容器37の冷却剤の放出口には、この放出口を開閉するための容器弁39が設けられている。配管7は、容器弁39の先に設けられ、容器弁39が開いたときに、冷却剤貯蔵容器37内の冷却剤が、配管7を通って蓄電池室13内まで送られる。また、冷却剤供給源5には、操作パネル(たとえばLCD等の表示部とタッチパネルやスイッチ等の入力部を備えた操作パネル)41と、制御部(CPUとメモリとを備えて構成されている制御部)43とが設けられている。
【0037】
冷却剤は、圧縮液化された状態で、冷却剤貯蔵容器37内に貯蔵されており、容器弁39を出たときや後述するノズル45を出たときに断熱膨張し温度が低下する。
【0038】
配管7は、メイン配管(主配管)7Mと、サブ配管(分岐配管)7A、7B、7C、7Dとを備えて構成されている。メイン配管7Mは、冷却剤用筐体35と二次電池用筐体3とを貫通する。これにより、メイン配管7Mの一端部は、冷却剤用筐体35の内部に入り込み、メイン配管7Mの中間部は、冷却剤用筐体35と二次電池用筐体3との間で延伸し、メイン配管7Mの他端部は、二次電池用筐体3の内部に入り込んでいる。
【0039】
冷却剤用筐体35の内部に入り込んでいるメイン配管7Mの一端は、容器弁39に接続される。二次電池用筐体3の内部に入り込んでいるメイン配管7Mの他端部は、上下方向に延伸し、仕切り壁11を貫通する。二次電池用筐体3の内部に入り込んでいるメイン配管7Mの他端には栓がされている。
【0040】
また、メイン配管7Mの他端部(二次電池用筐体3の内部に入り込んでいる部位)は、前後方向では蓄電池室13の後方に位置しており、横方向では蓄電池室13の一端部に位置している。
【0041】
サブ配管7A、7B、7C、7Dは、各蓄電池室13A、13B、13C、13Dそれぞれの内部に1本設けられている。たとえば、サブ配管7Aは、蓄電池室13A内で横方向に延伸し、サブ配管7Aの一端は、メイン配管7Mに接続されている。サブ配管7Aの他端(先端)には栓がされている。また、サブ配管7Aは、上下方向では二次電池モジュール33AA、33AB、33AC(蓄電池室13A内)の上方に位置し、前後方向では、二次電池モジュール33AA、33AB、33AC(蓄電池室13A内)の後方に位置する。
【0042】
サブ配管7Bは、サブ配管7Aと同様にして、蓄電池室13B内に設けられ、サブ配管7Cも、サブ配管7Aと同様にして、蓄電池室13C内に設けられ、サブ配管7Dも、サブ配管7Aと同様にして、蓄電池室13D内に設けられる。これにより、配管7が二次電池モジュール33側で分岐している。
【0043】
選択弁9(9A、9B、9C、9D)は、分岐している配管7A、7B、7C、7Dのそれぞれに設けられている。すなわち、二方弁で構成されている選択弁9Aが、サブ配管7Aの途中でサブ配管7Aの一端部(メイン配管7M側の端部)に設けられ、メイン配管7Mとサブ配管7Aとの間を閉状態もしくは開状態にする。同様にして、選択弁9Bが、サブ配管7Bの途中に設けられ、選択弁9Cが、サブ配管7Cの途中に設けられ、選択弁9Dが、サブ配管7Dの途中に設けられる。
【0044】
また、選択弁9よりも他端側のサブ配管7Aの部位には、所定の間隔をあけてノズル45が設けられ、容器弁39と選択弁9Aとが開状態になったときに、冷却剤貯蔵容器37内の冷却剤が、ノズル45から蓄電池室13A内の二次電池モジュール33(33AA、33AB、33AC)に向けて放出される。同様にして、選択弁9よりも他端側のサブ配管7Bの部位には、所定の間隔をあけてノズル45が設けられ、選択弁9よりも他端側のサブ配管7Cの部位には、所定の間隔をあけてノズル45が設けられ、選択弁9よりも他端側のサブ配管7Dの部位には、所定の間隔をあけてノズル45が設けられる。
【0045】
さらに説明すると、サブ配管7Aの基端には、選択弁9Aが設けられ、サブ配管7Aの、選択弁9Aよりも先端側の部位には、複数のノズル45AA、45AB、45ACが横方向で所定の間隔をあけて設けられる。同様にして、サブ配管7Bには選択弁9Bと複数のノズル45BA、45BB、45BCが設けられ、サブ配管7Cには選択弁9Cと複数のノズル45CA、45CB、45CCが設けられ、サブ配管7Dには選択弁9Dと複数のノズル45DA、45DB、45DCが設けられる。
【0046】
そして、容器弁39が閉じられており、各選択弁9A、9B、9C、9Dが閉じられている状態から、容器弁39とたとえば選択弁9Aとが開くと、冷却剤貯蔵容器37から、メイン配管7Mとサブ配管7Aとを通って流れてきた冷却剤が、ノズル45AA、45AB、45ACから、蓄電池室13Aの内部のみに放出される。
【0047】
二次電池モジュール(電池ユニット)33は、1つの蓄電池室(電池収容室)13内に、たとえば、横方向に所定の間隔をあけならんで複数設置される。すなわち、1つの蓄電池室13Aの内部には、二次電池モジュール33AA、33AB、33ACが、横方向に所定の間隔をあけならぶ。
【0048】
各ノズル45のそれぞれは、各二次電池モジュール33のそれぞれに向けて、冷却剤を放出する。たとえば、ノズル45AAは、二次電池モジュール33AAに向けて冷却剤を放出し、ノズル45ABは、二次電池モジュール33ABに向けて冷却剤を放出し、ノズル45ACは、二次電池モジュール33ACに向けて冷却剤を放出する。
【0049】
ここで、二次電池モジュール33について詳しく説明する。
【0050】
1つの二次電池モジュール33は、
図3や
図4で示すように、複数の素電池(電池セル;単電池)47(47A〜47H)と、複数の素電池47を一体的に支持している素電池支持体49と、外部電極51(51A、51B)とを備えて構成されている。なお、二次電池モジュール33や素電池47を、単に「二次電池」と呼んでもよい。また、素電池支持体49は、
図3では図示されておらず、
図4では、詳細な表示を省略している。
【0051】
素電池47は、容器53と、この容器53内に設けられている電極(図示せず)および電解質(図示せず)およびセパレータ(図示せず)と、容器53から僅かに突出している端子55とを備えて構成されている。
【0052】
ここで、説明の便宜のために、二次電池モジュール33における所定の一方向をX方向とし、X方向に対して直交する所定の一方向をY方向とし、X方向とY方向とに対して直交する方向をZ方向とする。
【0053】
素電池47(容器53)は、たとえば、X方向、Y方向、Z方向それぞれで所定の寸法を有する直方体状に形成されている。素電池47のZ方向の一端面からは一対の端子(+端子、−端子)55が僅かに突出する。
【0054】
素電池支持体49に支持される複数の素電池47A〜47Hは、お互いが一体化しており、Y方向で所定の間隔をあけてならんでいる。そして、各素電池47A〜47Hから突出する一方の各端子(X方向一端側の各端子)55のそれぞれは、Y方向で+端子、−端子が交互にならぶ。各素電池47A〜47Hから突出している他の各端子(X方向他端側の各端子)55のそれぞれも、Y方向で−端子、+端子が交互にならぶ。
【0055】
また、素電池支持体49に支持される各素電池47A〜47Hは、複数の導電性のある端子接続部材57で直列接続される。この直列接続される各素電池47A〜47Hの一端の端子(
図3(a)や
図4の上側の端子)には、外部電極(外部電極部材)51Aが接続され、各素電池47A〜47Hの他端の端子(
図3(a)や
図4の下側の端子)にも、外部電極(外部電極部材)51Bが接続される(
図22(a)等も併せて参照)。
【0056】
二次電池モジュール33は、このX方向が横方向と一致し、Y方向が前後方向と一致し、Z方向の端子側(+側)が上になり底面側(―側)が下になり上下方向と一致して、仕切り壁11の上に載置される。なお、上記説明では、各素電池47A〜47Hが直列接続されているが、各素電池47が並列接続されていてもよい。さらに、各素電池47について、直列接続と並列接続とが併用されていてもよい。たとえば、6つの素電池47について、2つの素電池47を並列接続したものを3組設け、これらの3組の素電池47を直列接続してもよい。
【0057】
また、二次電池モジュール33のそれぞれには、
図4で示すように、二次電池モジュール33(素電池47)の温度を検出する温度センサ59が設けられている。温度センサ59は、各二次電池モジュール33それぞれ(各素電池47それぞれでもよい)の温度を検出する。
【0058】
そして、制御部43の制御の下、各温度センサ59のうちの所定の温度センサで検出した温度が所定の閾値(たとえば、素電池47が熱暴走を開始する温度である120℃)を超えたときに、上記所定の温度センサ59を備えた二次電池モジュール33が設置されている蓄電池室13のみに冷却剤を供給する。
【0059】
たとえば、
図1で示す蓄電池室13B内の二次電池モジュール33BCの温度センサ59が温度上昇を検出したときに、容器弁39と選択弁9Bとを開いて、蓄電池室13B内の二次電池モジュール33BA、33BB、33BCのみに向けて、冷却剤放出部65から冷却剤を放出する。
【0060】
なお、上記説明では、蓄電池室13ごとに冷却剤を放出するようになっているが、1つの二次電池モジュール33に対して1つの選択弁9を設け、温度上昇が検出された二次電池モジュール33のみに向けて冷却剤を放出するように構成してもよい。この場合、筐体3内をさらに仕切り、1つの蓄電池室13内に、1つの二次電池モジュール33を設けることが望ましい。
【0061】
ここで、容器弁39による冷却剤貯蔵容器37の冷却剤の放出口の開閉(特に、閉状態から開状態にする場合)について例を掲げて詳しく説明する。
【0062】
起動装置を構成する電磁開放器(図示せず)が、制御部43から送信された起動信号(温度上昇による起動信号)を受信すると、電磁開放器(図示せず)が作動する。そして、電磁開放器に連結された針(図示せず)が突出して起動ガスが充填されている起動用ガス容器(図示せず)の封板を破り、導管(図示せず)内に起動ガスが送出される。
【0063】
この送出された起動ガスが冷却剤貯蔵容器37の頭部の容器弁39に導かれ、容器弁39の封板(図示せず)を破り、容器弁39が閉状態から開状態になる。
【0064】
なお、放出された冷却剤は、配管7を介して圧力スイッチ(図示せず)にも導かれ、放出ガスの圧力によって圧力スイッチが作動し、その出力信号が制御部43に入力され、配管7内のガス圧が所定圧まで高まったことを検出した圧力スイッチの信号を受信したとき制御部43は、電磁開放器への起動信号をOFF状態にする。
【0065】
配管7の冷却剤放出部(放出口)65は、上述したように、蓄電池室13に設置されている二次電池モジュール33(素電池47)に向けて冷却剤を放出するノズル45を備える。
図1や
図2等の各図で示す矢印A1は、冷却剤の流れを示す。
【0066】
さらに説明すると、配管7Aには、ノズル45AAとノズル45ABとノズル45ACとが設けられており、ノズル45AAは二次電池モジュール33AAに向けて冷却剤を放出し、ノズル45ABは二次電池モジュール33ABに向けて冷却剤を放出し、ノズル45ACは二次電池モジュール33ACに向けて冷却剤を放出する。
【0067】
同様にして、配管7Bには、ノズル45BA、45BB、45BCが設けられており、配管7Cには、ノズル45CA、45CB、45CCが設けられており、配管7Dには、ノズル45DA、45DB、45DCが設けられている。
【0068】
ノズル45は、二次電池モジュール33(素電池47)の冷却を促進するために設置されている。すなわち、冷却剤放出部65にノズル45を設置していることで、ノズル45から出てきた冷却剤が効率良く二次電池モジュール33に吹き付けられる(
図5の矢印A1参照)。さらに説明すると、ノズル45を設けてあることで、配管7から放出された冷却剤の大部分が二次電池モジュール33に吹き付けられる。
【0069】
ノズル45は、
図6で示すように構成されており、複数(たとえば3つ)の小孔71を通って冷却剤が放出される。ノズル45から放出された冷却剤は、
図5に矢印A1で示すように、たとえば円錐状になって広がり、そのほとんどが、二次電池モジュール33に向かって吹き付けられる。
【0070】
なお、配管7にノズル45を設けることに代えてもしくは加えてホーン69を設けてもよい。
【0071】
たとえば、
図7(a)(b)で示すように、二次電池モジュール33の冷却をさらに促進するためにノズル45の先端にホーン69を設けてもよい。ホーン69を設けてあることで、配管7からノズル45を通って放出された冷却剤が、ホーン69に遮られて必要以上に広がることなく、冷却剤のほぼ総てが二次電池モジュール33の上面に直接吹き付けられる。
【0072】
ホーン69について詳しく説明すると、ホーン69は、筒状に形成されている。ただし、筒の断面形状(筒の中心軸に対して直交する平面による断面の形状)は、一定の形状ではなく中心軸の延伸方向で変化する。
【0073】
例を掲げてさらに詳しく説明すると、筒状のホーン69の断面形状は、円環状もしくは楕円環状もしくは矩形な環状(「ロ」字状)等の環状に形成されているが、中心軸の延伸方向の一端(ノズル45側の端)では、径が最小になり、中心軸の延伸方向の他端(二次電池モジュール33側の端)に向かうにしたがって、径が次第に大きくなり、中心軸の延伸方向の他端では、径が最大になる。また、中心軸の延伸方向の一端から他端に向かうにしたがって、一定の割合で径が次第に大きくなるが、径が大きくなる割合が次第に大きくなっていてもよいし、次第に小さくなっていてもよい。
【0074】
ホーン69は、すでに理解されるように、径が最小になっている一端が、配管7に設置されているノズル45に接続されており、径が最大になっている他端が、二次電池モジュール33側になるようにして、配管7やノズル45に設置される。
【0075】
また、配管7やノズル45に設置されているホーン69は、この中心軸が、前後方向から見たときには、上下方向に延伸しており、横方向から見ると斜めに延伸している(上側後方から下側前方に向かって延伸している)。そして、ホーン69の環状の下端面や下端面内側の下端の開口部は、水平に展開しており、ホーン69の中心軸に対して斜めになっている。
【0076】
これにより、横方向や前後方向から見ると、二次電池モジュール33の水平な上面と、ホーン69の水平な下端面とは、お互いが僅かに離れて平行になる。
【0077】
上下方向でホーン69の環状の下端面を見ると、たとえば、
図7(d)で示すように、ホーン69の環状の下端面は、直方体状の二次電池モジュール33の形状に合わせた矩形状に形成されている。そして、上下方向で見ると、二次電池モジュール33とほぼ重なる。なお、上下方向で見たときに、ホーン69の環状の下端面が二次電池モジュール33から若干はみ出してもよいし、ホーン69の環状の下端面が二次電池モジュール33の内側に位置してもよい。また、ホーン69の環状の下端面の形状を、
図7(d)に二点鎖線で示すように、楕円形状に形成してもよい。
【0078】
ノズル45にホーン69を設けた場合、
図7(c)で示すように、ノズル45に複数の小孔71を設けてあり、冷却剤がノズル45から直交する方向(ノズル45の中心軸に対して直交する方向)に放出される。この放出された冷却剤が、ホーン69によってガイドされて、二次電池モジュール33に向かう。
【0079】
なお、ホーン69は、ノズル45を間にして配管7に接続されているが、ノズル45を削除し、ホーン69が、配管7に直接接続されてもよい。
【0080】
ところで、上記説明では、ノズル45やホーン69の中心軸が斜めに延びており、配管7(ノズル45)から放出された冷却剤が、二次電池モジュール33の上(二次電池モジュール33の上端よりも上側の箇所)から斜め下方に向かって流れ、二次電池モジュール33に吹き付けられる。
【0081】
これに対して、
図9(c)、
図10(a)(b)(c)で示すように、ノズル45やホーン69の中心軸が、上下方向に延びていてもよいし、
図17等で示すように、ノズル45やホーン69の中心軸が、水平方向に延びていてもよい。
【0082】
図10(a)(b)で示す態様では、円錐側面状もしくは四角錐側面状のホーン69の中心軸が、上下方向に延びており、上下方向で見たときに、上記中心軸が二次電池モジュール33の中心とほぼ一致している。
【0083】
図9(c)で示す態様では、ホーン69の環状の断面が中心軸の延伸方向で一定の形状(一定の径の円環や矩形な環状)になっている。たとえば、ホーン69が円筒枡状になっている。
図10(c)で示すものでは、ホーン69の上側の内部空間73がたとえば球状に形成され、ホーン69の下側の内部空間75が、たとえば円錐台状もしくは四角錐台状に形成されることで、ホーン69の環状の断面が中心軸の延伸方向で変化する。
【0084】
図17で示す態様では、円錐側面状もしくは四角錐側面状のホーン69が、二次電池モジュール33の後方に位置し、ホーン69の中心軸が前後方向に延び、前後方向で見たときに、上記中心軸が二次電池モジュール33の中心とほぼ一致する。そして、二次電池モジュール33の側面(たとえば後面)に冷却剤が吹き付けられる。なお、
図9(c)や
図10(c)で示す形態のホーン69を、
図17で示すように、中心軸が水平方向に延伸する態様で設けてもよい。
【0085】
また、ホーン69を設けない場合において、
図8(a)(b)、
図9(a)(b)、
図15、
図16等で示すように、ノズル45から放出される冷却剤の方向が上下方向や水平方向になっていてもよい。
【0086】
図8(a)(b)、
図9(a)(b)で示す態様では、ノズル45から放出される冷却剤の方向が、冷却剤の拡散はあるものの、主として上下方向(上から下に向かう方向)になっており、冷却剤が二次電池モジュール33の上面に吹き付けられる。
【0087】
また、
図15で示す態様では、ノズル45から放出される冷却剤の方向が、冷却剤の拡散はあるものの、主として水平方向であって前後方向と横方向とに対して斜めの方向になる。
図16で示す態様では、ノズル45から放出される冷却剤の方向が、前後方向(後から前に向かう方向)になる。
図16で示す態様では、ノズル45から放出された冷却剤が、二次電池モジュール33の後面の中央部に吹き付けられる。
【0088】
ここで、冷却剤放出部65のさらなる変形例について説明する。
【0089】
さらなる変形例では、配管7(サブ配管7A、7B、7C、7D)が、
図14や
図15等で示すように、各蓄電池室13のそれぞれに設置される二次電池モジュール33の近傍で、配管7AA、7AB・・・にさらに分岐しており、冷却剤放出部65が分岐している配管7AA、7AB・・・に設けられている。
【0090】
たとえば、
図14で示すように、サブ配管7Aの途中から、分岐した配管7AA、7ABが延びる。配管7AA(7AB)は、お互いが隣接する二次電池モジュール33の間の空間で前後方向に延びる。また、配管7AA(7AB)の前端には、ノズル45が設けられ、このノズル45から、お互いが隣接している二次電池モジュール33それぞれの側面(たとえば側面の中央)に向かって、冷却剤を放出する。
【0091】
また、
図15で示すように、サブ配管7Aの途中から、分岐した配管7AA、7AB、7ACが延びる。配管7AA(7AB、7AC)は、「Y」字状に形成されていることで、二次電池モジュール33側でさらに2つに分岐している。配管7AA(7AB、7AC)の先端の2箇所には、ノズル45が設けられており、これらのノズル45から、お互いが隣接している二次電池モジュール33それぞれの後面に向かって、冷却剤を放出する。
【0092】
また、
図9(a)(b)で示すように、サブ配管7Aの途中から、分岐した配管7AAの先端に、延長用配管7Xを介してノズル45を設けてもよい。配管7AAや延長用配管7Xは、ノズル45を二次電池モジュール33の中央部に近づけるために設けたものである。
【0093】
別の変形例では、配管7(サブ配管7A、7B、7C、7D)を分岐することに代えてもしくは加えて、
図11、
図13、
図18、
図19等で示すように、配管7が各蓄電池室13のそれぞれに設置される二次電池モジュール33の近傍で曲がっている(曲がりくねっている)。そして、冷却剤放出部65が曲がっている配管7に設けられている。
【0094】
たとえば、
図11で示すように、サブ配管7Aの途中から分岐して延びている配管7AAを上下方向で見て「J」字状に曲げている。配管7AAは、二次電池モジュール33の上で二次電池モジュール33の上面から僅かに離れている。配管7AAには、
図12で示すように、多数の小孔77が設けられ、これらの小孔77から、二次電池モジュール33の上面に向かって、冷却剤を放出する。
【0095】
また、
図13で示すように構成してもよい。
図13で示す態様は、配管7AAが上下方向で見て「U」字状に曲がっている点が、
図11や
図12で示す態様とは異なる。
図13で示す配管7AAの両端は、サブ配管7Aに接続される。
【0096】
また、
図18で示すように、サブ配管7Aの途中から、分岐した配管7AA、7ABが曲がって延びていてもよい。配管7AA(7AB)は、お互いが隣接している二次電池モジュール33の間の空間で前後方向に延びる。さらに説明すると、配管7AA(7AB)は、横方向で見たときに、
図18(c)で示すように、「J」字状に形成される。
図18(c)で示す配管7AA(7AB)にも、
図12で示すように、多数の小孔が設けられ、これらの小孔から、お互いが隣接している2つの二次電池モジュール33それぞれの側面に向かって、冷却剤を放出する。
【0097】
また、
図19で示すように構成してもよい。
図19(a)(b)で示す態様は、配管7AAが横方向で見て「S」字状に曲がっている点が、
図18で示す態様と異なる。
図19(c)で示す態様は、配管7AAを複数(たとえば3つ)に分岐して、横方向で見て、食器のフォーク状(枝状)にしている点が、
図18で示す態様と異なる。
図19(d)で示す態様は、配管7AAが横方向で見て「8」字状に曲がっている点が、
図18で示す態様と異なる。
【0098】
なお、
図19で示す態様では、お互いが隣接している二次電池モジュール33の側面に冷却剤を吹き付けているが、配管7AAを、
図11で示すように二次電池モジュール33の上に設け、二次電池モジュール33の上面に冷却剤を吹き付けてもよい。
【0099】
また、さらなる変形例において、配管7の冷却剤放出部65が、
図8(a)(b)で示すように、1つの二次電池モジュール33に対して1箇所もしくは複数個所(少なくとも1箇所)設けられていてもよい。
【0100】
図8(b)で示す態様では、サブ配管7Aの途中から、分岐した配管7AAに、複数の(たとえば3つの)ノズル45が設けられている。そして、各ノズル45から冷却剤が放出され、各ノズル45の下方に位置する1つの二次電池モジュール33の上面の複数個所に、冷却剤が吹き付けられる。なお、
図8(b)で示す態様において、1つの二次電池モジュール33の上面に代えてもしくは加えて、
図14、
図15等で示すように、1つの二次電池モジュール33の側面に冷却剤を吹き付けてもよい。さらに、ノズル45の先にホーン69を設けてもよい。
【0101】
また、
図8(c)で示す態様では、ノズル45もホーン69も設けておらず、サブ配管7Aの途中から分岐した配管7AAに多数の小孔77を設け、これらの小孔77から1つの二次電池モジュール33の上面に冷却剤を放出する。この態様でも、配管7の冷却剤放出部65が、1つの二次電池モジュール33に対して複数設けられている。
図11、
図12、
図13、
図14、
図15、
図18、
図19で示す態様でも、1つの二次電池モジュール33に対して、冷却剤放出部65が複数設けられている。
【0102】
ところで、上記説明では、配管7の冷却剤放出部65が1つの二次電池モジュール33に対して少なくとも1箇所設けられているとしているが、
図20や
図21で示すように、複数の二次電池モジュール(1つの蓄電池室13内に設置されている複数の二次電池モジュール)33に対して、1つの冷却剤放出部65が設けられている構成であってもよい。
【0103】
たとえば、
図20で示すように、1つの蓄電池室13A内でのメイン配管7Mの途中に1つの選択弁9と1つのノズル45とを設け、この1つのノズル45から放出した冷却剤を、蓄電池室13A内に設置されている複数の二次電池モジュール33AA、33AB、33ACの総てに吹き付ける構成であってもよい。
【0104】
また、
図21で示すように、1つの蓄電池室13A内でのメイン配管7Mの途中に1つの選択弁9と1つのノズル45とさらに1つのホーン69とを設け、この1つのノズル45やホーン69から放出した冷却剤を、蓄電池室13A内に設置されている複数の二次電池モジュール33AA、33AB、33ACの総てに吹き付ける構成であってもよい。
【0105】
図21で示す態様では、
図21(a)で示すように、平面視において、ホーン69下端の開口部と、各二次電池モジュール33とはお互いがほぼ重なっている。また、
図21(b)で示すように、ホーン69下端は、各二次電池モジュール33の上面と平行になって展開しており、各二次電池モジュール33の上面から僅かに離れている。
【0106】
ところで、上述したように、二次電池モジュール(1つの二次電池モジュール)33が、複数の素電池47を備えて構成され、各素電池47がお互いに所定の間隔をあけて一方向(Y方向)にならんで設けられるので、
図22(
図3、
図4も併せて参照)で示すように、お互いに隣接している素電池47の間には間隙79が形成される。
【0107】
そして、各素電池47を冷却するために、少なくとも各間隙79のそれぞれに冷却剤が放出されるように構成されている。
【0108】
さらに説明すると、
図22(a)で示すように、複数の素電池47で構成されている1つの二次電池モジュール33では、横方向の一方の側で複数の端子55が前後方向にならんでおり、このならんでいる各端子55が複数の端子接続部材57で適宜接続される。また、横方向の他方の側でも複数の端子55が前後方向にならんでおり、このならんでいる各端子55も複数の端子接続部材57で適宜接続される。これにより、横方向でほぼ二列にならんで端子接続部材57が設けられている。
【0109】
そして、サブ配管7Aの途中で分岐した配管7AAが、上下方向では、二次電池モジュール33の上で二次電池モジュール33から僅かに離れ、横方向では二次電池モジュール33の中央部に位置して、前後方向に延伸する。配管7AAの下端には、複数のノズル45(小孔でもよい)が設けられ、各ノズル45のそれぞれから各間隙79それぞれに向かって、冷却剤を放出する。
【0110】
また、
図24で示すように、各間隙79のそれぞれに、折れ曲がった板状の放熱部材81が設けられていてもよい。放熱部材81は、熱伝達率の高い金属等の材料で構成されている。
【0111】
さらに説明すると、
図24(a)で示す態様では、放熱部材81が波板状の材料で構成されており、間隙79に設けられている。平面視すると、波板は、正弦波状(三角波や矩形波等の他の波形状でもよい。)に形成され、波の複数の上端(波の振幅の極大値に相当する部位)が間隙79を構成する1の素電池47の側面に線接触し、波の複数の下端(波の振幅の極小値に相当する部位)が間隙79を構成する他の1の素電池47の側面に線接触する。なお、波板が矩形波状に形成されたときは、矩形波の上端部と矩形波の下端部とが素電池47の側面に面接触する。
【0112】
また、
図24(b)で示す態様では、放熱部材81が、波板状の材料と2枚の平板状の材料とで構成されており、1枚の平板状の材料の厚さ方向の一方の面のほぼ全面が一方の素電池47の側面のほぼ全面に面接触し、他の1枚の平板状の材料の厚さ方向の一方の面のほぼ全面が他方の素電池47の側面のほぼ全面に面接触し、2枚の平板状の材料の間に、
図24(a)で示す場合と同様にして、波板状の材料が設けられる。
【0113】
そして、放熱部材81が設けられている各間隙79のそれぞれに、冷却剤放出部65から冷却剤が放出される。放熱部材81が設けられている間隙79に放出された冷却剤は、放熱部材81の波板の間隙を通って上から下に流れる。
【0114】
なお、
図24(a)(b)で示す態様では、放熱部材81によって、たとえば、お互いに隣接する2つの素電池47が、お互いが離れる方向に付勢される。
【0115】
ところで、
図25で示すように、間隙79のほぼ総てが、熱伝達率の高い金属等の材料で構成されている放熱部材83で充填されていてもよい。この場合、少なくとも放熱部材83に向けて冷却剤放出部65から冷却剤が放出される。
【0116】
図25で示す態様についてさらに詳しく説明すると、側面視において(X方向から見ると)、「L」字状に形成されている放熱部材83の一方の直線状の部位(実際の形状は矩形な平板状になっている部位)が、お互いが隣接している2つの素電池47の間(間隙)79に挟まるようにして入り込む(
図25(b)参照)。この入り込んでいる部位の厚さ方向の一方の平面のほぼ全面が、一方の素電池47の側面のほぼ全面に面接触し、他方の平面のほぼ全面が、他方の素電池47の側面のほぼ全面に面接触する。
【0117】
「L」字状の放熱部材83の他方の直線状の部位(これも実際の形状が矩形な平板状になっている部位)の一方の平面(素電池47側の面)のほぼ全面が、お互いが隣接する2つの素電池47のうちの一方の素電池47の平面状の上面(一対の端子55の間で展開している平面のほぼ全面)に面接触する。
【0118】
また、放熱部材83には、フィン86が設けられている。フィン86は、複数の平板状のフィン構成体で構成されており、「L」字状の放熱部材83の他方の直線状の部位の他方面(素電池47とは反対側の面)のほぼ全面から上方に起立する。各フィン構成体の厚さ方向は、Y方向になっており、Y方向で所定の間隔をあけてならぶ。
【0119】
そして、冷却剤供給源5から供給される冷却剤が、少なくともフィン86に向けて冷却剤放出部65から放出される。フィン86が設けられていない場合には、「L」字状の放熱部材83の他方の直線状の部位に向けて冷却剤が放出される。
【0120】
なお、お互いが隣接している2つの素電池47の間に挟まるようにして入り込んでいる放熱部材83の部位に、Z軸方向(
図25(b)の左右方向)で貫通している複数の貫通孔や切り欠きを設け、これらの貫通孔や切り欠きを上から下に向かって冷却剤が通過するように構成してもよい。この場合、「L」字状の放熱部材83の一方の直線状の部位は、
図24で示す放熱部材81に類似する。
【0121】
次に、端子接続部材57を冷却剤で冷却する場合について、
図23を参照しつつ説明する。
【0122】
各素電池47の端子55は、
図22を用いて説明したように、端子接続部材57で接続されており、少なくとも端子接続部材57に向けて冷却剤放出部65から冷却剤が放出される。
【0123】
さらに説明すると、
図23では、サブ配管7Aの途中で分岐した配管7AAが、上下方向では、二次電池モジュール33の各端子接続部材(横方向の一方の側の端子接続部材)57の上で二次電池モジュール33から僅かに離れ、前後方向に延伸する。配管7AAの下端には、複数のノズル45(小孔でもよい)が設けられ、各ノズル45のそれぞれから各端子接続部材57に向かって、冷却剤を放出する。
【0124】
同様にして、サブ配管7Aの途中で分岐した配管7ABが、上下方向では、二次電池モジュール33の各端子接続部材(横方向の他方の側の端子接続部材)57の上で二次電池モジュール33から僅かに離れ、前後方向に延伸する。配管7ABの下端にも、複数のノズル45が設けられ、各ノズル45のそれぞれから各端子接続部材57に向かって冷却剤を放出する。
【0125】
ところで、配管7は、この全長にわたって、大気に対してむき出し状態で設置されているが、配管7の一部もしく配管7の全長が、断熱材で覆われていてもよい。
【0126】
また、熱暴走抑止システム1には、
図26や
図27で示すように、発煙剤87と煙検出部85とが設けられている。発煙剤87は、二次電池モジュール33(素電池47)に設けられており、素電池47の温度が所定の閾値(たとえば熱暴走を開始する温度である120℃)を超えたときに発煙する。
【0127】
さらに説明すると、発煙剤87は、
図28で示すように、発煙剤本体(たとえば、微量のパラフィンワックス)91と、発煙剤本体91を内部に収容している発煙剤収容体93とを備えて構成されており、素電池47に貼り付いている。
【0128】
煙検出部85として、たとえば、日本ドライケミカル社製の超高感度煙感知システムVESDAが採用される。
【0129】
そして、熱暴走抑止システム1では、煙検出部85が発煙剤87の煙を検出したときに、制御部43の制御の下、冷却剤供給源5から二次電池モジュール33(素電池47)に向け、上述したようにして、冷却剤が放出される。
【0130】
さらに説明すると、
図26で示すように、筐体3には、上述したように、空気導入部27と空気排出部29と空気導入部27から筐体3内と通って空気排出部29に排出される空気流を生成する空気流生成部(排気ファン)61とが設けられている。そして、排気ファン61の下流(空気の流れ方向で下流)で、排気ファン61のところに設けられている煙検出部85が、空気排出部29での空気流に含まれている発煙剤87の煙を検出する。
【0131】
なお、
図29で示すように、排気ファン61の下流で、排気ファン61から離れて煙検出部85が設けられていてもよい。
図26や
図29で示す態様では、排気ファン61を通過した空気のたとえば総てが、煙検出部85を通過する。
【0132】
また、冷却剤が放出されたときには、空気流生成部61は停止する。また、冷却剤が放出されたときに、空気導入部27と空気排出部29とが自動的に塞がれることが望ましい。
【0133】
なお、
図30で示すように、煙検出部85が蓄電池室13A、13B、13C、13Dごとに煙(発煙剤87から発生した煙)を検出するように構成してもよい。
【0134】
図30で示す態様では、煙吸入配管95(95A、95B、95C、95D)が、各蓄電池室13A、13B、13C、13Dのそれぞれと、煙検出部85とをつないでいる。そして、
図30では示してない排気ファンによって、空気排出部29に排出される空気流を生成する。煙検出部85の吸引装置によって各蓄電池室13A、13B、13C、13Dのそれぞれから煙検出部85に流れる空気流(矢印A2参照)が生成される。
【0135】
そして、煙が検出された蓄電池室13内の二次電池モジュール33のみに向けて冷却剤放出部65から冷却剤を放出する。たとえば、蓄電池室13Aで煙の発生を検出したときに、蓄電池室13A内にのみ、冷却剤を放出する。
【0136】
なお、発煙剤87は、
図33で示すように、各素電池47がならんでいる方向で、各素電池47それぞれの両面に設けられている(1つの素電池47に2つの発煙剤87が設けられている)が、1つの素電池47に少なくとも1つの発煙剤87が設けられていればよい。
【0137】
次に、熱暴走抑止システム1の動作について、
図30で示すように、煙検出部85が蓄電池室13A、13B、13C、13Dごとに煙を検出する構成を例に掲げて説明する。
【0138】
初期状態として、容器弁39と総ての選択弁9が閉状態になっている。
【0139】
上記初期状態で、素電池47の温度が平温(たとえば、60℃未満)である通常状態では、空気流生成部61が稼働して筐体3内を空気が流れ、二次電池モジュール33の冷却がされる。
【0140】
上記初期状態で、各蓄電池室13A、13B、13C、13Dのうちのある畜電池室(たとえば、蓄電池室13A)に設置されている二次電池モジュール33の素電池47の温度が、所定の閾値(たとえば120℃)になると、この温度上昇によって素電池47に設置されている発煙剤87が発煙する。この発煙によって発生した煙が、煙吸入配管95Aを通って、煙検出部85に到達する。
【0141】
煙検出部85で煙が検出されると、容器弁39と選択弁9Aとが開状態になり、蓄電池室13Aに設置されている二次電池モジュール33AA、33AB、33ACに冷却剤が吹き付けられ、二次電池モジュール33が冷却される。
【0142】
熱暴走抑止システム1によれば、各蓄電池室13のそれぞれに設置される二次電池モジュール33側で配管7が分岐しており、分岐している配管7A、7B、7C、7Dのそれぞれに選択弁9A、9B、9C、9Dが設けられているので、熱暴走が始まった二次電池モジュール33が設置されている蓄電池室13のみに冷却剤を供給し、熱暴走が始まった二次電池モジュール33が発火する前に、熱暴走が始まった二次電池モジュール33を速やかに冷却することができる。
【0143】
また、熱暴走抑止システム1によれば、
図30で示すようにして発煙剤87の煙を検出し、この煙が検出された蓄電池室13のみに冷却剤を供給するように構成されているので、少ない量の冷却剤で、熱暴走が始まった二次電池モジュール33の発火を確実に抑えることができる。
【0144】
また、熱暴走抑止システム1によれば、配管7の冷却剤放出部65に、二次電池モジュール33に向けて冷却剤を放出するためのノズル45やホーン69が設けられているので、冷却剤を無駄なく二次電池モジュール33に向けて放出することができ、熱暴走が始まった二次電池モジュール33を効率良く冷却することができる。
【0145】
また、熱暴走抑止システム1によれば、1つの二次電池モジュール33に対して配管7の冷却剤放出部65が少なくとも1箇所設けられているので、各二次電池モジュール33のうちのいずれの二次電池モジュール33で熱暴走があっても、熱暴走している二次電池モジュール33での発火を確実に抑えることができる。
【0146】
また、熱暴走抑止システム1によれば、配管7が各蓄電池室13のそれぞれに設置される二次電池モジュール33の近傍でさらに分岐し、また、曲がっており、これらの箇所に冷却剤放出部65が設けられているので、冷却対象となった二次電池モジュール33の全体をむらなくほぼ均一に冷却することができる。
【0147】
また、熱暴走抑止システム1によれば、二次電池モジュール33が複数の素電池47を備えて構成されており、お互いに隣接している素電池47の間に間隙79が形成されているので、素電池47が発生した熱を、通常状態においても効率良く冷却することができ、熱暴走の発生を抑制することができる。
【0148】
また、熱暴走抑止システム1によれば、素電池47間の間隙79に冷却剤が放出されるように構成されているので、熱暴走が始まった素電池47をこの広い表面から効率良く冷却することができる。
【0149】
また、熱暴走抑止システム1によれば、素電池47間の間隙79に、折れ曲がった板状の放熱部材81が設けられているので、より広い放熱面積を得て、素電池47を効率良く冷却することができる。
【0150】
また、熱暴走抑止システム1によれば、素電池47間の間隙79が放熱部材83で充填されているので、各素電池47同士を強個に固定することができるとともに、空気の流れで直接冷却するよりも熱伝達率の高い放熱部材83を介して、素電池47を効率良く冷却することができる。
【0151】
また、熱暴走抑止システム1によれば、放熱部材83に向けて冷却剤が放出されるように構成されているので、素電池47に向けて冷却剤を直接放出する場合に比べて、配管7や冷却剤放出部65の構成を簡素化しつつ、素電池47を効率良く冷却することができる。
【0152】
また、熱暴走抑止システム1によれば、放熱部材83にフィン86が設けられているので、素電池47の放熱面積を増やすことが容易になる。そして、フィン86に向けて冷却剤が放出されるように構成されているので、熱暴走が始まった素電池47を一層効率良く冷却することができる。
【0153】
また、熱暴走抑止システム1によれば、端子接続部材57に向けて冷却剤が放出されるように構成されているので、冷却のための部材を別途設けることなく簡素な構成で、素電池47を効率良く冷却することができる。
【0154】
また、熱暴走抑止システム1によれば、配管7を断熱材で覆うことで、二次電池モジュール33に向けて一層低温の冷却剤を放出することができる。
【0155】
また、熱暴走抑止システム1によれば、素電池47の温度が素電池47の熱暴走温度を超えたときに発煙剤87が発煙し、煙検出部85が発煙剤87から出てきた煙を検出するので、素電池47の熱暴走が始まったことを速やか検出することができる。そして、二次電池モジュール33の冷却を速やかに開始することができる。また、電気的な信号を発生する温度センサを用いることなく、発煙剤87を用いているので、温度検出のための配線が不要になり、断線等の故障のおそれを回避することができ、システムの構成を簡素化することができる。
【0156】
また、熱暴走抑止システム1によれば、発煙剤87が、各素電池47がならんでいる方向で、各素電池47それぞれの両面に設けられているので、各素電池47それぞれの温度上昇を確実に検出することができる。
【0157】
また、熱暴走抑止システム1によれば、空気流生成部61で筐体3の空気導入部27から筐体3内とを通って筐体の空気排出部29に排出される空気流を生成し、煙検出部85が空気排出部29での空気流に含まれている煙を検出するので、二次電池モジュール33を空気流によって効率良く冷やすことができるとともに、煙が発生したことを確実に検出することができる。
【0158】
また、熱暴走抑止システム1によれば、煙検出部85で発煙剤87が発生した煙を各蓄電池室13ごとに検出し、煙が検出された蓄電池室13内の二次電池モジュール33のみに向けて冷却剤を放出するので、冷却剤の消費量を少なくして、二次電池モジュール33を効率良く冷却することができる。
【0159】
ところで、上記説明では、二次電池モジュール33(素電池47)の温度上昇を、発煙剤87等を用いて検出するが、発煙剤87を用いることに代えてもしくは加えて、二次電池モジュール33(素電池47)の温度上昇を、素電池温度検出部97(温度センサ59)が発する電気信号で検出してもよい。素電池温度検出部97は、たとえば、サーミスタや熱電対やバイメタルで構成されている。
【0160】
さらに説明すると、
図31や
図32で示すように、各素電池47のそれぞれに、素電池47の温度を検出するバイメタル97を設け、このバイメタル97で、素電池47の温度が所定の閾値を超えたことが検出されたときに(素電池温度検出部97が発する信号が、素電池47の温度が熱暴走を開始する温度を超えたことを示したときに)、冷却剤供給源5から二次電池モジュール33に向けて冷却剤を放出するように、制御部43が冷却剤供給源5等を制御する。