(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前身頃及び後身頃を構成する外装体と、前身頃から股間部を経て後身頃まで延在するように前記外装体の内側に設けられた内装体と、前身頃の両側部と後身頃の両側部とが接合されたサイドシール部とを有し、ウエスト開口及び脚開口が形成されてなるパンツ型の使い捨ておむつにおいて、
前記サイドシール部を有する前後方向範囲として定まる第1領域と、前記脚開口を形成する部分の前後方向範囲として定まる第2領域とを有し、前記第2領域の前後方向中間部には、前記内装体を二つ折りして肌面側に突出させた折り込み部分を有し、かつ、当該折り込み部分が吸収性材料を含まず、
前記第2領域の前後方向に有する吸収性材料が、前記折り込み部分となる前後方向中間部だけ有しておらず、
前記折り込み部分を構成する前記内装体の背合わせ部分が接合されている、ことを特徴とする使い捨ておむつ。
前記折り込み部分となる前記第2領域の前後方向中間部において、該前後方向中間部の幅方向の中央部には、前記前後方向に延びる吸収性材料不存在部の延在部分が設けられている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の使い捨ておむつ。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係る使い捨ておむつ及びその製造方法の実施形態について、図面を参照しつつ詳説する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要部を有する各種の変形例や応用例を含む。
【0020】
[使い捨ておむつ]
本発明に係る使い捨ておむつ100は、前身頃F及び後身頃Bを構成する外装体12と、前身頃Fから股間部を経て後身頃Bまで延在するように外装体12の内側に設けられた内装体200と、前身頃Fの両側部と後身頃Bの両側部とが接合されたサイドシール部12Aを有し、ウエスト開口WO及び脚開口LOが形成されてなるパンツ型の使い捨ておむつである。そして、
図1及び
図2に要部を示すように、サイドシール部12Aを有する前後方向範囲として定まる第1領域Tと、脚開口LOを形成する部分の前後方向範囲として定まる第2領域Lとを有しており、その第2領域Lの前後方向中間部20には、内装体200を二つ折りして肌面側に突出させた折り込み部分23を有し、かつ、折り込み部分23が吸収性材料を含まないように構成されている。この吸収性材料を含まない部分は、吸収性材料不存在部24といい、
図2に示すように折り込み部分23を構成する。
【0021】
こうした使い捨ておむつ100は、
図1及び
図2に示すように、股下部である第2領域Lの前後方向中間部20には、内装体200を二つ折りして肌面側に突出させた凸状の折り込み部分23を有するので、その折り込み部分23が前後方向を区分する遮蔽構造となって排泄した便と尿を分離することができる。その結果、便と尿が吸収体上で混ざらないようになり、便が吸収体を覆うことによる尿の吸収性能の低下を防ぐことができるとともに、尿と便が混合することによって起き易い肌荒れを防ぐことができる。さらに、その折り込み部分23は、非肌面側のバックシートである液不透過性シート11を含めて肌面側に突出するように折り込まれているが、前後方向中間部20の全幅域で折り込まれた折り込み部分23には吸収性材料が存在しないので、凸状の折り込み部分23の厚さが薄くなっており、装着時の違和感を低減することができる。
【0022】
以下、使い捨ておむつの構成要素を順次説明する。
【0023】
図3〜
図16は、パンツ型の使い捨ておむつの一例100を示している。断面図における点模様部分は、シート等の各構成部材を接合する接合手段としての接着剤を示しており、ホットメルト接着剤等のベタ、ビード、カーテン、サミット又はスパイラル塗布等により、また、弾性伸縮部材の固定部分はこれに代えて又はこれとともにコームガンやシュアラップ塗布等の弾性伸縮部材の外周面への塗布により形成されるものである。各構成部材を接合する接合手段としては、ヒートシールや超音波シール等の溶着手段を用いることもできる。
【0024】
使い捨ておむつ100は、前身頃F及び後身頃Bを構成する外装体12F,12Bと、前身頃Fから股間部を経て後身頃Bまで延在するように外装体12F,12Bの内側に設けられた内装体200とを備えている。そして、前身頃Fの外装体12Fの両側部と後身頃Bの外装体12Bの両側部とが接合されてサイドシール部12Aが形成されている。符号Yは、展開状態におけるおむつの全長(前身頃Fのウエスト開口WOの縁から後身頃Bのウエスト開口WOの縁までの縦方向長さ)を示しており、符号Xは、展開状態におけるおむつの全幅を示している。
【0025】
内装体200は、尿等の排泄物等を吸収保持する部分であり、外装体12F,12Bは着用者の身体に対して内装体200を支えるための部分である。外装体12F,12Bの上部開口は、装着者の胴を通すウエスト開口WOとなり、内装体200の幅方向両側において外装体12F,12Bの下縁及び内装体200の側縁によりそれぞれ囲まれる部分が脚を通す脚開口LOとなる。
【0026】
また、使い捨ておむつ100は、サイドシール部12Aを有する縦方向範囲(ウエスト開口WOから脚開口LOの上端に至る縦方向範囲)として定まる第1領域Tと、脚開口LOを形成する部分の前後方向範囲(前身頃Fのサイドシール部12Aを有する縦方向領域と後身頃Bのサイドシール部12Aを有する縦方向領域との間)として定まる第2領域Lとを有する。第1領域Tは、概念的にウエスト開口WOの縁部を形成する「ウエスト縁部」Wと、これよりも下側の部分である「ウエスト下方部」Uとに分けることができる。通常、第1領域T内に幅方向伸縮応力が変化する境界(例えば弾性伸縮部材の太さや伸長率が変化する)を有する場合は、最もウエスト開口WO側の境界よりもウエスト開口WO側がウエスト縁部Wとなり、このような境界が無い場合は吸収体56又は内装体200よりもウエスト開口WO側がウエスト縁部Wとなる。これらの縦方向の長さは、製品のサイズによって異なり、適宜定めることができるが、一例を挙げると、ウエスト縁部Wは15mm〜40mm、ウエスト下方部Uは65〜120mmとすることができる。一方、第2領域Lの両側縁は被着者の脚周りに沿うように括れており、ここが着用者の脚を入れる部位となる。この結果、展開状態の使い捨ておむつは、全体として略砂時計形状をなしている。
【0027】
<内装体>
内装体200は任意の形状とすることができるが、図示の形態では長方形である。内装体200は、
図5〜
図7に示すように、身体側となる表面シート30と、非身体側となる液不透過性シート11と、これらの間に介在された吸収要素50とを備えているものであり、吸収機能を担う本体部である。符号40は、表面シート30を透過した液を速やかに吸収要素50へ移行させるために、表面シート30と吸収要素50との間に設けられた中間シート(セカンドシート)を示しており、符号60は、内装体200の両脇に排泄物が漏れるのを防止するために、内装体200の両側に設けられた、身体側に起立する立体ギャザーを示している。
【0028】
(表面シート)
表面シート30は、液を透過する性質を有するものであり、例えば、有孔又は無孔の不織布や、多孔性プラスチックシート等を例示することができる。また、このうち不織布は、その原料繊維が何であるかは特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維等や、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維等を例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。例えば、柔軟性、ドレープ性を求めるのであれば、スパンボンド法、スパンレース法が、嵩高性、ソフト性を求めるのであれば、エアスルー法、ポイントボンド法、サーマルボンド法が、好ましい加工方法となる。
【0029】
表面シート30は、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートを貼り合せて得た積層シートからなるものであってもよい。同様に、表面シート30は、平面方向に関して、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートからなるものであってもよい。
【0030】
立体ギャザー60を設ける場合、表面シート30の両側部は、液不透過性シート11と立体ギャザー60との間を通して、吸収要素50の裏側まで回りこませ、液の浸透を防止するために、液不透過性シート11及び立体ギャザー60に対してホットメルト接着剤等により接着するのが好ましい。
【0031】
(中間シート)
表面シート30を透過した液を速やかに吸収体へ移行させるために、表面シート30より液の透過速度が速い、中間シート(「セカンドシート」とも呼ばれている)40を設けることができる。この中間シート40は、液を速やかに吸収体56へ移行させて吸収体56による吸収性能を高めるばかりでなく、吸収した液の吸収体56からの「逆戻り」現象を防止し、表面シート30上を常に乾燥した状態とすることができる。中間シート40は省略することもできる。
【0032】
中間シート40としては、表面シート30と同様の素材や、スパンレース、スパンボンド、SMS、パルプ不織布、パルプとレーヨンとの混合シート、ポイントボンド又はクレープ紙を例示できる。特にエアスルー不織布が嵩高であるため好ましい。エアスルー不織布には芯鞘構造の複合繊維を用いるのが好ましく、この場合、芯に用いる樹脂はポリプロピレン(PP)でもよいが剛性の高いポリエステル(PET)が好ましい。目付けは20〜80g/m
2が好ましく、25〜60g/m
2がより好ましい。不織布の原料繊維の太さは2.2〜10dtexであるのが好ましい。不織布を嵩高にするために、原料繊維の全部又は一部の混合繊維として、芯が中央にない偏芯の繊維や中空の繊維、偏芯且つ中空の繊維を用いるのも好ましい。
【0033】
図示の形態の中間シート40は、吸収体56の幅より短く中央に配置されているが、全幅にわたって設けてもよい。中間シート40の長手方向の長さは、吸収体56の長さと同一でもよいし、液を受け入れる領域を中心にした短い長さ範囲内であってもよい。
【0034】
(液不透過性シート)
液不透過性シート11の素材は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂等からなるプラスチックフィルムや、不織布の表面にプラスチックフィルムを設けたラミネート不織布、プラスチックフィルムに不織布等を重ねて接合した積層シート等を例示することができる。液不透過性シート11には、近年、ムレ防止の観点から好まれて使用されている不透液性かつ透湿性を有する素材を用いることが好ましい。透湿性を有するプラスチックフィルムとしては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得られた微多孔性プラスチックフィルムが広く用いられている。このほかにも、マイクロデニール繊維を用いた不織布、熱や圧力をかけることで繊維の空隙を小さくすることによる防漏性強化、高吸水性樹脂又は疎水性樹脂や撥水剤の塗工といった方法によりプラスチックフィルムを用いずに液不透過性としたシートも、液不透過性シート11として用いることができる。
【0035】
液不透過性シート11は、図示のように吸収要素50の裏側に収まる幅とする他、防漏性を高めるために、吸収要素50の両側を回りこませて吸収要素50の表面シート30側面の両側部まで延在させることもできる。この延在部の幅は、左右それぞれ5〜20mm程度が適当である。
【0036】
また、液不透過性シート11の内側、特に吸収体56側の面に、液分の吸収により色が変化する排泄インジケータを設けることができる。
【0037】
(立体ギャザー)
立体ギャザー60は、内装体200の両側部に沿って前後方向全体にわたり延在する帯状部材であり、表面シート30上を伝わって横方向に移動する尿や軟便を遮断し、横漏れを防止するために設けられているものである。本実施の形態の立体ギャザー60は、内装体200の側部から起立するように設けられ、付け根側の部分は幅方向中央側に向かって斜めに起立し、中間部より先端側の部分は幅方向外側に向かって斜めに起立するものである。
【0038】
より詳細には、立体ギャザー60は、内装体200の前後方向長さに等しい長さを有する帯状のギャザーシート62を幅方向に折り返して二つに折り重ねるとともに、ギャザーシート折り返し部及びその近傍のシート間に、細長状弾性伸縮部材63を長手方向に沿って伸長状態で、幅方向に間隔をあけて複数本固定してなるものである。立体ギャザー60のうち先端部と反対側に位置する基端部(幅方向においてギャザーシート折り返し部と反対側の端部)は、内装体200の側縁部の裏面に固定された取付部分65とされ、この取付部分65以外の部分は、取付部分65から突出する突出部分66(ギャザーシート折り返し部側の部分)とされている。また、突出部分66は、幅方向中央側に向かう付け根側部分と、この付け根側部分の先端から幅方向外側に折り返された先端側部分とからなる。この形態は面接触タイプの立体ギャザーであるが、幅方向外側に折り返されない線接触タイプの立体ギャザー(図示略)も採用することができる。そして、突出部分66のうち前後方向両端部が、倒伏状態で表面シート30の側部表面に対してホットメルト接着剤(これに代えて又はこれとともにヒートシールや超音波シール等の素材溶着による固定手段を用いることもできる)により固定された前後固定部67とされ、一方で、これらの間に位置する前後方向中間部は、非固定の自由部分68とされ、この自由部分68に前後方向に沿う細長状弾性伸縮部材63が伸長状態で固定されている。
【0039】
ギャザーシート62としては、スパンボンド不織布(SS、SSS等)やSMS不織布(SMS、SSMMS等)、メルトブロー不織布等の柔軟で均一性・隠蔽性に優れた不織布に、必要に応じてシリコン等により撥水処理を施したものを好適に用いることができる。その繊維目付けは、10〜30g/m
2程度とするのが好ましい。細長状弾性伸縮部材63としては、糸ゴム等を用いることができる。スパンデックス糸ゴムを用いる場合は、太さは470〜1240dtexが好ましく、620〜940dtexがより好ましい。固定時の伸長率は、150〜350%が好ましく、200〜300%がより好ましい。なお、用語「伸長率」は自然長を100%としたときの値を意味する。また、図示のように、二つに折り重ねたギャザーシートの間に防水フィルム64を介在させることもできる。
【0040】
立体ギャザー60の自由部分に設けられる細長状弾性伸縮部材63の本数は、2〜6本が好ましく、3〜5本がより好ましい。配置間隔60dは、3〜10mmが適当である。このように構成すると、細長状弾性伸縮部材63を配置した範囲で肌に対して面で当たり易くなる。細長状弾性伸縮部材63は、先端側だけでなく付け根側に配置してもよい。
【0041】
立体ギャザー60の取付部分65の固定対象は、内装体200における表面シート30、液不透過性シート11、吸収要素50等適宜の部材とすることができる。
【0042】
こうした立体ギャザー60では、細長状弾性伸縮部材63の収縮力が前後方向両端部を近づけるように作用するが、突出部分66のうち前後方向両端部が起立しないように固定されるのに対して、それらの間は非固定の自由部分とされているため、自由部分のみが
図5に示すように身体側に当接するように起立する。特に、取付部分65が内装体200の裏面側に位置していると、股間部及びその近傍において立体ギャザー60が幅方向外側に開くように起立するため、立体ギャザー60が脚周りに面で当接するようになり、フィット性が向上するようになる。
【0043】
立体ギャザー60の寸法は適宜定めることができるが、乳幼児用紙おむつの場合は、例えば
図9に示すように、立体ギャザー60の起立高さ(展開状態における突出部分66の幅方向長さ)W6は15〜60mm、特に20〜40mmであるのが好ましい。また、立体ギャザー60を表面シート30の表面と平行になるように、平坦に折り畳んだ状態において最も内側に位置する折り目間の離間距離W3は60〜190mm、特に70〜140mmであるのが好ましい。
【0044】
なお、図示形態と異なり、内装体200の左右各側において立体ギャザーを二重に(二列)設けることもできる。
【0045】
(吸収要素)
吸収要素50は、吸収体56と、この吸収体56の全体を包む包装シート58とを有する。包装シート58は省略することもできる。
【0046】
(吸収体)
吸収体56は、繊維の集合体により形成することができる。この繊維集合体としては、綿状パルプや合成繊維等の短繊維を積繊したものの他、セルロースアセテート等の合成繊維のトウ(繊維束)を必要に応じて開繊して得られるフィラメント集合体も使用できる。繊維目付けとしては、綿状パルプや短繊維を積繊する場合は、例えば100〜300g/m
2程度とすることができ、フィラメント集合体の場合は、例えば30〜120g/m
2程度とすることができる。合成繊維の場合の繊度は、例えば、1〜16dtex、好ましくは1〜10dtex、さらに好ましくは1〜5dtexである。フィラメント集合体の場合、フィラメントは、非捲縮繊維であってもよいが、捲縮繊維であるのが好ましい。捲縮繊維の捲縮度は、例えば、1インチ当たり5〜75個、好ましくは10〜50個、さらに好ましくは15〜50個程度とすることができる。また、均一に捲縮した捲縮繊維を用いる場合が多い。吸収体56中には高吸収性ポリマー粒子を分散保持させるのが好ましい。
【0047】
吸収体56は長方形形状でもよいが、
図1及び
図2に示すように、前端部、後端部及びこれらの間に位置し、前端部及び後端部と比べて幅が狭い括れ部56Nとを有する砂時計形状をなしていると、吸収体56自体と立体ギャザー60の、脚周りへのフィット性が向上するため好ましい。また、吸収体の寸法は適宜定めることができるが、前後方向及び幅方向において、内装体200の周縁部又はその近傍まで延在しているのが好ましい。なお、符号56Xは、吸収体56の幅を示している。
【0048】
(高吸収性ポリマー粒子)
吸収体56には、その一部又は全部に高吸収性ポリマー粒子を含有させることができる。高吸収性ポリマー粒子とは、「粒子」以外に「粉体」も含む。高吸収性ポリマー粒子としては、この種の吸収性物品に使用されるものをそのまま使用でき、例えば500μmの標準ふるい(JISZ8801−1:2006)を用いたふるい分け(5分間の振とう)でふるい上に残る粒子の割合が30質量%以下のものが望ましく、また、180μmの標準ふるい(JISZ8801−1:2006)を用いたふるい分け(5分間の振とう)でふるい上に残る粒子の割合が60質量%以上のものが望ましい。
【0049】
高吸収性ポリマー粒子の材料としては、特に限定無く用いることができるが、吸水量が40g/g以上のものが好適である。高吸収性ポリマー粒子としては、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系等のものがあり、でんぷん−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、でんぷん−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物やアクリル酸(塩)重合体等のものを用いることができる。高吸収性ポリマー粒子の形状としては、通常用いられる粉粒体状のものが好適であるが、他の形状のものも用いることができる。
【0050】
高吸収性ポリマー粒子としては、吸水速度が70秒以下、特に40秒以下のものが好適に用いられる。吸水速度が遅すぎると、吸収体56内に供給された液が吸収体56外に戻り出てしまう所謂逆戻りを発生し易くなる。
【0051】
また、高吸収性ポリマー粒子としては、ゲル強度が1000Pa以上のものが好適に用いられる。これにより、嵩高な吸収体56とした場合であっても、液吸収後のべとつき感を効果的に抑制できる。
【0052】
高吸収性ポリマー粒子の目付け量は、当該吸収体56の用途で要求される吸収量に応じて適宜定めることができる。したがって一概には言えないが、50〜350g/m
2とすることができる。ポリマーの目付け量が50g/m
2未満では、吸収量を確保し難くなる。350g/m
2を超えると、効果が飽和する。
【0053】
必要であれば、高吸収性ポリマー粒子は、吸収体56の平面方向で散布密度又は散布量を調整できる。たとえば、液の排泄部位を他の部位より散布量を多くすることができる。男女差を考慮する場合、男用は前側の散布密度(量)を高め、女用は中央部の散布密度(量)を高めることができる。また、吸収体56の平面方向において局所的(例えばスポット状)にポリマーが存在しない部分を設けることもできる。
【0054】
(包装シート)
包装シート58を用いる場合、その素材としては、ティッシュペーパ、特にクレープ紙、不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等を用いることができる。ただし、高吸収性ポリマー粒子が抜け出ないシートであるのが望ましい。クレープ紙に換えて不織布を使用する場合、親水性のSMS不織布(SMS、SSMMS等)が特に好適であり、その材質はポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレン複合材等を使用できる。目付けは、5〜40g/m
2、特に10〜30g/m
2のものが望ましい。
【0055】
包装シート58の包装形態は適宜定めることができるが、製造容易性や前後端縁からの高吸収性ポリマー粒子の漏れ防止等の観点から、吸収体56の表裏面及び両側面を取り囲むように筒状に巻き付け、且つその前後縁部を吸収体56の前後から食み出させ、この食み出し部分を表裏方向に潰してホットメルト接着剤等の接合手段により接合する形態が好ましい。
【0056】
(股間部カバーシート)
内装体200における液不透過性シート11の裏面には、内装体200の露出部分の一部(例えば腹側外装体12Fと背側外装体12Bとの間に露出する部分の前後方向全体にわたるが、内装体200の前後端まで延びず、また幅方向両側縁も内装体200の両側縁までは達しない程度)又は全体を覆うように、股間部カバーシート12Mを貼り付けることもできる。股間部カバーシート12Mとしては、後述する外装体12F,12Bに用いられるものと同様の素材を用いることができる。
【0057】
<外装体>
外装体12は、前身頃Fを構成する部分である前側外装体12Fと、後身頃Bを構成する部分である後側外装体12Bとからなり、前側外装体12F及び後側外装体12Bは脚側で連続しておらず、離間されている。この離間距離L8は150〜250mm程度とすることができる。図示しないが、外装体12は、股間を介して腹側から背側まで連続する一体的なものとすることもでき、その場合、前述の股間部カバーシート12Mを省略することができる。つまり、本発明における前身頃F及び後身頃Bを個別に構成する外装体12F,12Bが前者の形態に相当し、前身頃F及び後身頃Bを一体的に構成する外装体12が後者の形態に相当する。
【0058】
外装体12F,12Bは、第1領域Tと対応する縦方向範囲である胴周り部を有する。また、本形態では、前側外装体12Fには第2領域Lと対応する部分を有していないが、後側外装体12Bは第1領域Tから第2領域L側に延び出る臀部カバー部14を有している。図示しないが、前側外装体12Fにも第1領域Tから第2領域L側に延び出る鼠蹊カバー部を設けたり、鼠径カバー部は設けるものの臀部カバー部は設けない形態としたり、前側外装体12F及び後側外装体12Bの両方に第2領域Lと対応する部分を設けなくてもよい。また、図示形態では、臀部カバー部14の下縁は曲線とされているが、前側外装体12Fの下縁と同様、幅方向に沿う直線状に形成してもよい。
【0059】
外装体12F,12Bは、
図5〜
図7に示されるように、二枚のシート材12S,12Hを積層してホットメルト接着剤や溶着等の接合手段により接合して形成されたものであり、内側に位置する内側シート材12Hはウエスト開口WOの縁までしか延在していないが、外側シート材12Sは内側シート材12Hのウエスト側の縁を回り込んでその内側に折り返されており、この折り返し部分12rは内装体200のウエスト側端部上までを被覆するように延在されている。
【0060】
シート材12S,12Hとしては、シート状のものであれば特に限定無く使用できるが、不織布であるのが好ましい。不織布は、その原料繊維が何であるかは特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維等や、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維等を例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。不織布を用いる場合、その目付けは10〜30g/m
2程度とするのが好ましい。また、外装体12F,12Bの総目付けは20〜60g/m
2程度であるのが好ましい。
【0061】
外装体12F,12Bには、胴周りに対するフィット性を高めるために、シート材12S,12H間に糸ゴム等の細長状弾性伸縮部材15〜17,19が所定の伸長率で設けられている。細長状弾性伸縮部材15〜17,19としては、合成ゴムを用いても、天然ゴムを用いてもよい。外装体12F,12Bの両シート材12S,12Hの貼り合せや、その間に挟まれる細長状弾性伸縮部材15〜17,19の固定には、種々の塗布方法によるホットメルト接着又はヒートシールや超音波接着を用いることができる。外装体12F,12Bの全面を強固に固定すると、シートの風合いを損ねるため好ましくない。これらを組合せて、細長状弾性伸縮部材15〜17,19の接着を強固にし、それ以外の部分は接着しないか弱く接着するのが好ましい。
【0062】
より詳細には、外装体12F,12Bのウエスト縁部Wにおける内側シート材12Hの内側面と外側シート材12Sの折り返し部分12rの外側面との間には、幅方向全体にわたり連続するように、複数のウエスト縁部弾性伸縮部材17が上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸長率で幅方向に沿って伸長された状態で固定されている。また、ウエスト縁部弾性伸縮部材17のうち、ウエスト下方部Uに隣接する領域に配設される1本又は複数本については、内装体200と重なっていてもよいし、内装体200と重なる幅方向中央部を除いてその幅方向両側にそれぞれ設けてもよい。このウエスト縁部弾性伸縮部材17としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm
2、特に0.1〜1.0mm
2程度)の糸ゴムを、4〜12mmの間隔で3〜22本程度、それぞれ伸長率150〜400%、特に220〜320%程度で固定するのが好ましい。また、ウエスト縁部弾性伸縮部材17は、その全てが同じ太さと伸長率にする必要はなく、例えばウエスト縁部Wの上部と下部で弾性伸縮部材の太さと伸長率が異なるようにしてもよい。
【0063】
また、外装体12F,12Bのウエスト下方部Uにおける内側シート材12Hの外側面と外側シート材12Sの内側面との間には、内装体200と重なる幅方向中央部を除いて、その上側及び幅方向両側の各部位に、幅方向全体にわたり連続するように、細長状弾性伸縮部材からなるウエスト下方部弾性伸縮部材15,19が複数本、上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸長率で幅方向に沿って伸長された状態で固定されている。
【0064】
ウエスト下方部弾性伸縮部材15,19としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm
2、特に0.1〜1.0mm
2程度)の糸ゴムを、1〜15mm、特に3〜8mmの間隔で5〜30本程度、それぞれ伸長率200〜350%、特に240〜300%程度で固定するのが好ましい。
【0065】
また、後側外装体12Bの臀部カバー部14における内側シート材12Hの外側面と外側シート材12Sの内側面との間には、内装体200と重なる幅方向中央部を除いて、その幅方向両側の各部位に、幅方向全体にわたり連続するように、細長状弾性伸縮部材からなるカバー部弾性伸縮部材16が複数本、上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸長率で幅方向に沿って伸長された状態で固定されている。
【0066】
カバー部弾性伸縮部材16としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm
2、特に0.1〜1.0mm
2程度)の糸ゴムを、5〜40mm、特に5〜20mmの間隔で2〜10本程度、それぞれ伸長率150〜300%、特に180〜260%で固定するのが好ましい。
【0067】
前側外装体12Fに鼠径カバー部を設ける場合には同様にカバー部弾性伸縮部材を設けることができる。
【0068】
なお、図示のように、ウエスト下方部弾性伸縮部材15,19及びカバー部弾性伸縮部材16が、内装体200と重なる部分の一部又は全部を除いてその幅方向両側にそれぞれ設けられていると、内装体200が幅方向に必要以上に収縮することがなく、モコモコと見た目が悪かったり吸収性が低下したりすることがない。この形態には、幅方向両側にのみ弾性伸縮部材が存在する形態の他、内装体200を横切ってその幅方向一方側から他方側まで弾性伸縮部材が存在しているが、内装体200と重なる部分CT(
図17参照)の一部又は全部では弾性伸縮部材が細かく切断され、収縮力が作用せず(実質的には、弾性伸縮部材を設けないことに等しい)に、その幅方向両側のみが収縮力作用部分として構成されている形態も含まれる。もちろんウエスト下方部弾性伸縮部材15,19及びカバー部弾性伸縮部材16の配設形態は、上記例に限るものではなく、内装体200と重なる部分CTを含めて幅方向全体にわたり伸縮力が作用するように、ウエスト下方部弾性伸縮部材15,19及びカバー部弾性伸縮部材16の一部又は全部を、内装体200を横切ってその幅方向一方側から他方側まで設けることもできる。
【0069】
<折り込み部分>
折り込み部分23は、
図1及び
図2に示すように、第2領域Lの前後方向中間部20がそれよりも前後両側の部分21,22の間に肌面側に突出させる態様で折り込まれて形成されたものであり、吸収性材料を含まない凸状部分である。この折り込み部分23は、前後方向を区分する遮蔽構造となって排泄した便と尿を分離するので、便と尿が吸収体上で混ざらないようになり、便が吸収体を覆うことによる尿の吸収性能の低下を防ぐことができる。さらに、その折り込み部分23は、非肌面側のバックシートを含めて肌面側に突出するように折り込まれているが、前後方向中間部の全幅域で折り込まれた折り込み部分には吸収性材料が存在しないので、凸状の折り込み部分23の厚さT1(
図12参照)が薄くなっており、装着時の違和感を低減することができる。
【0070】
さらに具体的には、
図13〜
図16に示すように、少なくとも第2領域Lの前後方向中間部20が、それよりも前後両側の部分21,22の間に、内装体200を二つ折りして肌面側に突出させる凸状態様で折り込まれて、吸収性材料不存在部24からなる折り込み部分23が形成されている。
図13〜
図18では、折り込み部分は符号23を付して説明する。
【0071】
折り込み部分23の折り込み深さ70dは、
図2(B)に示す折り込み部分23の高さhを規定するものであるので、どの程度の高さhにするかを考慮して適宜定めればよい。折り込む深さ70dが浅過ぎると折り込み部分23の高さhが小さくなり、前後方向を区分する遮蔽構造としてはやや不十分になって排泄した便と尿との分離が十分でないことがある。その折り込み深さ70dは、30〜50mmとすることが好ましく、その結果、
図2(B)に示す折り込み部分23の高さhを20〜40mmの範囲で肌面側に突出させることができる。この範囲の高さhの折り込み部分23は、排泄した便と尿を分離する遮蔽構造の高さとして好ましく機能する。その高さhが小さすぎると、排泄した便と尿を分離できずに遮蔽構造の高さとして不十分な場合があり、その高さhが大きすぎると、肌面側に突出しすぎて折り込み部分23の立設形状を保持できずに倒れて寝てしまうおそれがあり、排泄した便と尿を分離する遮蔽構造の機能を果たせないことがある。
【0072】
なお、所定の高さhの折り込み部分23を形成するためには、吸収性材料不存在部24の前後方向の長さL2(
図2及び
図12参照)もその高さhを実現できる長さとする必要がある。そうした吸収性材料不存在部24の前後方向の長さL2は、設計する高さhに応じて設定すればよいが、通常、40〜80mmであればよい。なお、吸収性材料不存在部24は、幅方向は全て吸収性材料が無いものであればよいが、本発明の効果(装着時の違和感がない)を阻害しない範囲であれば、幅方向の両端部に少し吸収性材料が存在するものでも構わない。
【0073】
折り込み部分23は、
図1及び
図2に示すように、その折り込み部分23を構成する内装体200の背合わせ部分が接合されている。この背合わせ部分は、対向する非肌面同士が接合された部分である。折り込み部分23では非肌面同士が対向しているが、その対向した非肌面同士を接合することにより、折り込み部分23の形状を保持している。このときの接合は、接合部材70bで接合すればよく、例えば、ホットメルト接着剤等の各種接着剤や、フックテープ等の接合テープ、超音波シールやヒートシール等の溶着手段、メカニカルファスナー等を用いることができる。一例として、接着剤は所定の位置に塗布して設けることが好ましく、接合テープは幅方向(
図1参照)に連続して設けてもよいし断続的に設けてもよい。接合部材70bの設置寸法は、その接合部材70bの種類によって異なるが、背合わせ部分である対向する非肌面の寸法を超えない大きさで設けられる。接着剤のように薄い厚さで塗布形成できるものであれば、ほぼ背合わせ部分の全体に設けてもよいが、厚く設けた接着剤や厚いフックテープのようにある程度厚さがある場合は、
図11に示すように、対向する非肌面の寸法よりも小さくすることが好ましい。
【0074】
こうした接合部材70bは、対向する非肌面の一方の面又は両方の面に設けることができ、折り込み部分23を接合させることができる。例えば、
図2(A)や
図12(A)に示すように対向する非肌面の両方の面に接合部材70bを設けてもよいし、
図10や
図11に示すように対向する非肌面の一方の面に接合部材70bを設けてもよく、接合部材70bの種類に応じて任意に設けることができる。例えば、ホットメルト接着剤等の場合は両方の面でも片方の面でもよいが、接合テープの場合は片面に設ける場合のほうが好ましいことがあるので、その接合部材の特徴に応じて任意に設けることができる。なお、この折り込み部分23の対向面を構成する非肌面は、上記した液不透過性シート11を有するので、折り込み部分23は液体物の防壁として機能することができる。
【0075】
接合部材70bは、
図1及び
図2に示すように、前後方向に交差する方向(幅方向)に設けられており、その設置形態は、幅方向に連続的でも断続的でもよいが、接合部材70bの種類によっては、
図10に示すように、断続的であることがより好ましい。断続的に接合部材70bを設けることにより、装着時に幅方向に縮まった際に、凸状の折り込み部分23を保持しつつ折れ曲がり易くすることができる。特に剛性のある接合部材70bを断続的に設けた場合は遮蔽構造をより安定した形状で保持することができる。例えば接合部材70bとしてフックテープを採用した場合には、そのフックテープの剛性により折り込み部分23の強度がでるので形状安定性の点で好ましい。このとき、
図10に示すように、フックテープを一繋ぎにせず、断続的に隙間を1〜7mm開けて設けることにより、装着時、
図11に示すように、幅方向に縮まった際に折り込み部分23の形状が折れ曲がり易くなって立設方向の潰れが発生し難いという利点がある。仮に立設方向の潰れが発生すると、前後方向を区分する遮蔽構造としてはやや不十分になって排泄した便と尿との分離が十分でないことがある。
【0076】
折り込み部分23は、吸収性材料不存在部24を折り込んで形成するので、表面シート30や液不透過性シート11等の他のシートを備えた内装体200を折り込んだものであっても、その厚さT1(
図12参照)は薄いものとなっており、その結果、装着時の違和感がない又はかなり小さいものとなっている。そうした厚さT1は、接合部材70bの厚さにも影響するが、例えば1〜4mmであることが好ましい。接合部材70bの選定に当たっても、折り込み部分23の厚さT1を考慮して選択されることが好ましい。
【0077】
折り込み部分23は、装着時に幅方向に縮んだ際に、幅方向に断続的に設けられた接合部材同士の隙間が折れ曲がり位置となるように構成することが好ましい。折り込み部分23に設ける接合部材70bの大きさ、断続的に設ける位置、接合部材同士の隙間等を設定することにより、おむつ100を装着して幅方向に縮んだ際に、規定の形状に折れ曲がった構造形態となる。
【0078】
図12は、折り込み部分23となる第2領域Lの前後方向中間部において、前後方向中間部の幅方向の中央部に設けられた吸収性材料不存在部の延在部分25を示している。この延在部分25は、
図12に示すように、吸収性材料不存在部24から延びた部分である。この延在部分25は、装着時にその延在部分25の端部を起点として内装体200が外側に折れ曲がり易くなる。その結果、延在部分25が無い場合の内装体200の折れ曲がり態様と比較すると、遮蔽構造として機能する折り込み部分23の高さhが、延在部分25の長さ領域で確保されるようになり、結果として便と尿との分離をより効果的に行うことができる。
【0079】
こうした効果を奏する延在部分25は、
図12(A)に示すように、吸収性材料不存在部24の両側(前身頃Fの側と後身頃Bの側)に設けられていることが好ましい。また、延在部分25の前後方向の長さL3は、遮蔽構造として機能する折り込み部分23の高さhをある程度の長さ領域で確保するために、20〜60mmであることが好ましい。ある程度の長さ領域が、概ね、延在部分25の前後方向の長さL3となる。一方、延在部分25の幅方向の長さL4は、装着時にその延在部分25の端部を起点として内装体200が外側に折れ曲がり易くなることができる程度の長さは少なくとも必要であり、例えば5〜15mmの幅で設けられていることが好ましい。
【0080】
[使い捨ておむつの製造方法]
本発明に係る使い捨ておむつ100の製造方法は、前身頃F及び後身頃Bを個別又は一体的に構成する外装体12と、前身頃Fから股間部を経て後身頃Bまで延在するように外装体12の内側に設けられた内装体200と、を備えている。そして、前身頃Fの外装体12Fの両側部と後身頃Bの外装体12Bの両側部とが接合されてサイドシール部12Aが形成されることにより、ウエスト開口WO及び脚開口LOが形成されたパンツ型の使い捨ておむつの製造方法である。この製造方法は、内装体200が、吸収性材料のない吸収性材料不存在部24を前後方向中間部20に有した吸収体56を内蔵しているものを用いたものであって、外装体組立工程、内装体取付工程、折り畳み工程、折り込み部分形成工程、側部接合切り離し工程を少なくとも有している。
【0081】
外装体組立工程は、外装体12となる部分がその幅方向とMD方向とが一致するようにMD方向に繰り返し連続する外装帯状体を形成する工程である。内装体取付工程は、外装帯状体を、前記おむつの展開状態と同様の配置で且つおむつの幅方向がMD方向となるように搬送しつつ、この外装帯状体における個々の外装体12となる部位に、別途製造した展開状態の内装体を順次接合することによって、個々のおむつとなる部分が展開状態でMD方向に連続する内装組み付け体を形成する工程である。折り畳み工程は、前記内装組み付け体の前記吸収性材料不存在部24をCD方向に二つ折りすることによって、二つ折り帯状体を形成する工程である。折り込み部分形成工程は、二つ折り帯状体における二つ折り部分を、その前身頃側及び後身頃側の部分の間に折り込むことによって吸収性材料不存在部24からなる折り込み部分23を形成する工程である。側部接合切り離し工程は、個々のおむつの両側部となる部分において前身頃Fの外装体12F及び後身頃Bの外装体12Bを接合するとともに、個々のおむつの境界において前身頃Fの外装体12F及び後身頃Bの外装体12Bを切断し、個々のおむつを得る工程である。なお、MD方向は、Machine Direction(ライン流れ方向)を意味し、CD方向は、Crcss Machine Direction(ライン流れ方向の直交方向)を意味する。
【0082】
こうした製造方法を、
図17及び
図18の製造ラインを例にして説明する。この製造ラインは、おむつ幅方向がMD方向となる横流れ形態となっており、ここで腹側外装体12Fとなる前側伸縮帯12f及び背側外装体12Bとなる後側伸縮帯12bが形成されるとともに、別のラインで製造された内装体200が前側伸縮帯12f及び後側伸縮帯12bに取り付けられる。これら前側伸縮帯12f及び後側伸縮帯12bが、外装帯状体に相当する。なお、説明を判り易くするために、製造過程で連続している部材についても、製造後の部材と同じ符号を用いている。
【0083】
より詳細に説明すると、この製造ラインは、弾性部材取付工程301、弾性部材切断工程302、外装切断分割工程304、脚開口切断工程305、内装体取付工程306、外装折り返し工程307、折り畳み工程308、折り込み部分形成工程309、側部接合及び切り離し工程310を有している。このうち、吸収性材料がない吸収性材料不存在部24を前後方向中間部20に有した吸収体を折り込んで、吸収性材料不存在部24からなる折り込み部分23を形成するための折り込み部分形成工程309が、従来と比べて特徴的な工程となっている。
【0084】
すなわち、弾性部材取付工程301では、所定幅の帯状のシート材12Sをその連続方向に沿って搬送しつつ、このシート材12SにおけるCD方向に間隔を空けてほぼ全体にわたり、糸ゴム等の弾性伸縮部材15〜17,19をMD方向に伸張した状態で固定するとともに、その上面に更に所定幅の帯状のシート材12Hをその連続方向に沿って供給し貼り合わせ、伸縮帯を形成する。図示例では、二枚のシート材12S,12Hを貼り合わせて弾性伸縮部材15〜17,19を挟持する形態を想定しているが、一枚のシート材を二つ折り又はC折りして弾性伸縮部材を挟持することもできる。また、一方のシート材のCD方向の少なくとも一方の端部を他方のシート材の裏側(対向面と反対側)に折り返すこともできる。
【0085】
次いで、形成した伸縮帯12f,12bに対して、必要に応じて弾性部材切断工程302を行い、MD方向に所定の間隔を空けて、後に内装体200と重なる部分CTに位置する弾性伸縮部材15,16,19をヒートエンボス等の切断装置により切断し、当該部分CTにおいて弾性伸縮部材15,16,19の伸縮力が作用しない状態とする。
【0086】
次に、外装切断分割工程304において、スリッターにより、伸縮帯におけるCD方向中間の所定部位SLをMD方向に沿って切断し、前側伸縮帯12f及び後側伸縮帯12bに分割し、前側伸縮帯12f及び後側伸縮帯12bの間隔を所定距離まで拡大する。図示例では前側伸縮帯12f及び後側伸縮帯12bを一体的な伸縮帯として形成した後、外装切断分割工程304で別々に分割しているが、前側伸縮帯12f及び後側伸縮帯12bを別々のシート材を用いて形成することで、外装切断分割工程304を省略することも可能であり、その際にも二枚のシート材を貼り合わせて弾性伸縮部材を挟持する他、一枚のシート材を二つ折り又はC折りして弾性伸縮部材を挟持したり、一方のシート材のCD方向の少なくとも一方の端部を他方のシート材の裏側(対向面と反対側)に折り返したりすることができる。
【0087】
この外装切断分割工程304の後において、必要に応じて前側伸縮帯12f及び後側伸縮帯12bの少なくとも一方のCD方向中央側端縁(脚開口部の縁Leとなる部分)を曲線状に切り落とす脚開口切断工程305を行う。図示形態では後側伸縮帯12bのCD方向中央側端縁のみ曲線状に切り落としているが、前側伸縮帯12fについても切り落とすことができ、また、トリムロスを完全になくす場合には脚開口切断工程を省略することもできる。
【0088】
次いで、内装体取付工程306では、前側伸縮帯12f及び後側伸縮帯12bをおむつの展開状態と同様の配置でCD方向に間隔を空けて平行に移送しつつ、別ラインで公知の手法により同時並行的に製造した展開状態の内装体200をMD方向に所定の間隔を空けて供給し、内装体200の前側の部分を前側伸縮帯12fに、及び内装体200の後側の部分を後側伸縮帯12bに対してそれぞれ接合して、個々のおむつとなる部分が展開状態でMD方向に連続する内装組み付け体を形成する。これらの接合及び固定はホットメルト接着剤やヒートシール等の適宜手段により行うことができる。
【0089】
なお、
図2(A)に示す接合部材70bとしては、ホットメルト接着剤等の各種接着剤や、フックテープ等の接合テープ、超音波シールやヒートシール等の溶着手段、メカニカルファスナー等を使用可能であるが、こうした接合部材70bは、その種類に応じた任意の工程で設けることができる。例えば、ホットメルト接着剤や接合テープ等を使用する場合は、折り込み部分形成工程で内装体200の非肌面の所定位置に設ければよい。
【0090】
次いで、必要に応じて前側伸縮帯12f及び後側伸縮帯12bのCD方向外側の端部を内装体200側に折り返す外装折り返し工程307を行った後、折り畳み工程308において、前側伸縮帯12fにおける内装体200の取り付け面と、後側伸縮帯12bにおける内装体200の取り付け面とが重なるように、内装組み付け体の吸収性材料不存在部24をCD方向中央で二つ折りして、二つ折り帯状体90を形成する。この折り畳み工程308よりも前に、必要に応じて、対向する前身頃F側の内面及び後身頃B側の内面の少なくとも一部を、接合手段80bにより剥離可能に接合して仮止め部80を設けてもよい。
【0091】
次いで、折り込み部分形成工程309で、二つ折り帯状体90における二つ折りの折り目を含む部分を、その前身頃F側及び後身頃B側の部分の間に折り込むことによって、吸収性材料不存在部24からなる折り込み部分23を形成する。折り込み部分23の形成手法は特に限定されないが、例えば、
図18に示すように、二つ折り帯状体90の間における、折り込み部分23の下端となる位置に、前後一対の上ガイドバー101,102をMD方向に沿って直線的に通すとともに、二つ折り帯状体90の折り返し部分の下側に、MD方向下流側に向かうにつれて上ガイドバー101,102より上側まで上昇する下ガイドバー103を配置し、二つ折り帯状体90が上ガイドバー101,102及び下ガイドバー103を通過する際、二つ折り帯状体90における二つ折りの折り目を含む部分が下ガイドバー103に当接して、前身頃F側及び後身頃B側の部分の間に押し込まれることによって折り込み部分23が形成される。なお、この説明における上下の方向表現はおむつの装着時の上下方向を基準としたものであり、設備の上下方向を基準としたものではない。
【0092】
その後、側部接合及び切り離し工程310において、個々のおむつの両側部となる部分において前側伸縮帯12f及び後側伸縮帯12bが接合されてサイドシール部12Aが形成されるとともに、前側伸縮帯12f及び後側伸縮帯12bを個々のおむつの境界において切断されて、個々のおむつDPが得られる。側部接合工程及び切り離し工程を順次的に行うことも、また同時的に行うことも本発明に含まれる。この製造方法によれば、従来の製造方法に対して折り込み部分形成工程を追加するだけの簡素な変更で、吸収性材料不存在部24からなる折り込み部分23を有する使い捨ておむつを製造することができる。
【0093】
他方、股間を介して腹側から背側まで連続する一体的な外装体を備えた使い捨ておむつを製造する場合には、外装切断分割工程304を行わずに、脚開口切断工程305において脚開口を打ち抜くようにすればよい。
【0094】
本発明に係る製造方法で製造されたに使い捨ておむつ100は、吸収体上で尿と便が混ざることを防止することができるので、便による尿の吸収を阻害することを防止することができる。また、便と尿が混ざることによる肌荒れの発生を防止することができる。
【0095】
[明細書中の用語の説明]
明細書中の以下の用語は、明細書中に特に記載が無い限り、以下の意味を有するものである。
・「前後(縦)方向」とは腹側(前側)と背側(後側)を結ぶ方向を意味し、「幅方向」とは前後方向と直交する方向(左右方向)を意味する。
・「伸長率」は、自然長を100%としたときの値を意味する。
・「ゲル強度」は次のようにして測定されるものである。人工尿(尿素:20wt%、食塩:8wt%、塩化カルシウム二水和物:0.3wt%、酸化マグネシウム七水和物:0.8wt%、純水:70.01wt%)49.0gに、高吸収性ポリマーを1.0g加え、スターラーで攪拌させる。生成したゲルを40℃×60%RHの恒温恒湿槽内に3時間放置したあと常温にもどし、カードメーター(I.techno Engineering社製:Curdmeter−MAX ME−500)でゲル強度を測定する。
・「目付け」は次のようにして測定されるものである。試料又は試験片を予備乾燥した後、標準状態(試験場所は、温度20±5℃、相対湿度65%以下)の試験室又は装置内に放置し、恒量になった状態にする。予備乾燥は、試料又は試験片を相対湿度10〜25%、温度50℃を超えない環境で恒量にすることをいう。なお、公定水分率が0.0%の繊維については、予備乾燥を行わなくてもよい。恒量になった状態の試験片から米坪板(200mm×250mm、±2mm)を使用し、200mm×250mm(±2mm)の寸法の試料を切り取る。試料の質量を測定し、20倍して1平米あたりの重さを算出し、目付けとする。
・「厚さ」は、自動厚さ測定器(KES−G5 ハンディ圧縮計測プログラム)を用い、荷重:10gf/cm
2、及び加圧面積:2cm
2の条件下で自動測定する。
・吸水量は、JIS K7223−1996「高吸水性樹脂の吸水量試験方法」によって測定する。
・吸水速度は、2gの高吸収性ポリマー及び50gの生理食塩水を使用して、JIS K7224−1996「高吸水性樹脂の吸水速度試験法」を行ったときの「終点までの時間」とする。