特許第6837488号(P6837488)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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6837488長手方向液圧機械式コンバーターを備える車軸ガイドアセンブリ及び関連する走行装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6837488
(24)【登録日】2021年2月12日
(45)【発行日】2021年3月3日
(54)【発明の名称】長手方向液圧機械式コンバーターを備える車軸ガイドアセンブリ及び関連する走行装置
(51)【国際特許分類】
   B61F 5/30 20060101AFI20210222BHJP
   B61F 5/38 20060101ALI20210222BHJP
【FI】
   B61F5/30 C
   B61F5/38 Z
【請求項の数】18
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2018-541414(P2018-541414)
(86)(22)【出願日】2017年2月6日
(65)【公表番号】特表2019-504796(P2019-504796A)
(43)【公表日】2019年2月21日
(86)【国際出願番号】EP2017052557
(87)【国際公開番号】WO2017140523
(87)【国際公開日】20170824
【審査請求日】2020年1月21日
(31)【優先権主張番号】16155620.4
(32)【優先日】2016年2月15日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】16203793.1
(32)【優先日】2016年12月13日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】511053632
【氏名又は名称】ボンバルディア トランスポーテイション ゲーエムベーハー
(73)【特許権者】
【識別番号】501479868
【氏名又は名称】カール・フロイデンベルク・カーゲー
【氏名又は名称原語表記】Carl Freudenberg KG
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフ アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ツォルドツ デトレフ
(72)【発明者】
【氏名】ワレ ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】ブラッドリー マシュー
【審査官】 諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭60−104460(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第03123858(DE,A1)
【文献】 国際公開第01/015954(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/170234(WO,A1)
【文献】 米国特許第04640198(US,A)
【文献】 特表2007−530330(JP,A)
【文献】 特開2013−256242(JP,A)
【文献】 特開2001−173714(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61F 5/30
B61F 5/38− 5/48
F16F 1/00− 6/00
F16F 9/00−15/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車軸ガイドアセンブリ(10)であって、
水平回転軸(100)と、該回転軸(100)に対して垂直な水平方向である手方向(200)とを規定する軸箱(14)と、
軸箱キャリア(20)と、
前記軸箱キャリア(20)に対する前記軸箱(14)の前記長手方向(200)に対して平行な前後運動を可能にするように、前記軸箱(14)の前側相互接続部(14A)と、前記軸箱キャリア(20)の前側相互接続部(16A)とに固定される前側長手方向液圧機械式コンバーター(32)、及び、前記軸箱(14)の後側相互接続部(14B)と、前記軸箱キャリア(20)の後側相互接続部(18B)とに固定される後側長手方向液圧機械式コンバーター(34)と、
を備え、
前記前側長手方向液圧機械式コンバーター(32)及び前記後側長手方向液圧機械式コンバーター(34)のそれぞれは、ハウジング(36)と、プランジャー(38)と、前記プランジャー(38)と前記ハウジング(36)との間の前記長手方向(200)に対して平行な相対前後運動を可能にするように、前記ハウジング(36)及び前記プランジャー(38)に固定されるエラストマー体(40)とを備え、前記ハウジング(36)と前記プランジャー(38)と前記エラストマー体(40)との間に単一の可変容積液圧室(42)が形成され、前記前側長手方向液圧機械式コンバーター(32)及び前記後側長手方向液圧機械式コンバーター(34)のそれぞれは、前記可変容積液圧室(42)を外部液圧回路(54、56、64、66、68、70、72、74)に接続する液圧ポート(44)を更に備えることを特徴とする、車軸ガイドアセンブリ。
【請求項2】
前記軸箱(14)は、軸受(28)を収容し、該軸受(28)は、該軸受(28)内に受ける車軸(30)の端部(52)の断面積ΑΦを規定する内径を有し、前記プランジャーは、前記長手方向(200)に対して垂直な平面において測定した有効面積Aeが、前記断面積ΑΦの半分よりも大きい、好ましくは前記断面積ΑΦよりも大きい、請求項1に記載の車軸ガイドアセンブリ。
【請求項3】
前記前側長手方向液圧機械式コンバーター(32)及び前記後側長手方向液圧機械式コンバーター(34)のそれぞれは、前記軸箱キャリア(20)に対する前記軸箱(14)の前記前後運動の周波数に伴って、準静剛性値から動剛性値まで増大する長手方向剛性を有し、前記プランジャー(38)及び前記エラストマー体(40)は、前記動剛性値と前記準静剛性値との比Rが、10を超える、好ましくは20を超える、好ましくは50を超えるような寸法を有する、請求項1又は2に記載の車軸ガイドアセンブリ。
【請求項4】
前記軸箱(14)と前記軸箱キャリア(20)の上部との間に設けられる垂直サスペンションユニット(24)を更に備える、請求項1〜3のいずれか1項に記載の車軸ガイドアセンブリ。
【請求項5】
前記前側長手方向液圧機械式コンバーター(32)及び前記後側長手方向液圧機械式コンバーター(34)のそれぞれは、前記エラストマー体(40)の長手方向剛性の少なくとも10倍、好ましくは少なくとも20倍、好ましくは50倍の長手方向剛性を有し、前記エラストマー体(40)の横方向剛性の2倍未満、好ましくは前記エラストマー体(40)の横方向剛性よりも小さな横方向剛性を有し、前記エラストマー体(40)の垂直方向剛性の2倍未満、好ましくは前記エラストマー体(40)の垂直方向剛性よりも小さな垂直方向剛性を有する分離ばね(526)を更に備える、請求項1〜4のいずれか1項に記載の車軸ガイドアセンブリ。
【請求項6】
前記軸箱(14)の前記前側相互接続部(14A)は、前記軸箱キャリア(20)の前記前側相互接続部(16A)に面し、前記軸箱(14)の前記後側相互接続部(14B)は、前記軸箱キャリア(20)の前記後側相互接続部(18B)に面する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の車軸ガイドアセンブリ。
【請求項7】
前記軸箱キャリア(20)の前記前側相互接続部(16A)及び前記後側相互接続部(18B)は、前記軸箱(14)の前記前側相互接続部(14A)と前記後側相互接続部(14B)との間に位置する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の車軸ガイドアセンブリ。
【請求項8】
前記水平回転軸(100)は、前記軸箱キャリア(20)の前記前側相互接続部(16A)と後側相互接続部(18B)との間に長手方向に位置する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の車軸ガイドアセンブリ。
【請求項9】
前記軸箱キャリア(20)は、前記軸箱(14)の周囲のリングを形成する、請求項8に記載の車軸ガイドアセンブリ。
【請求項10】
前記軸箱キャリア(20)を走行装置枠(22)に接続する垂直サスペンションアセンブリ(426)を更に備える、請求項1〜9のいずれか1項に記載の車軸ガイドアセンブリ。
【請求項11】
前記軸箱キャリア(20)は、走行装置(12)の走行装置枠(22)の構成部分である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の車軸ガイドアセンブリ。
【請求項12】
前記走行装置枠(22)は、可撓性である、請求項11に記載の車軸ガイドアセンブリ。
【請求項13】
前記車軸ガイドアセンブリは、前記液圧室(42)に液圧的に接続される液槽(58)を更に備え、好ましくは、この接続は、前記液槽(58)から前記液圧室(42)に向かう流体の流れのみを可能にするチェック弁によって行われ、前記液槽(58)は、好ましくは、前記液圧室(42)の容積の少なくとも2倍の容積を有する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の車軸ガイドアセンブリ。
【請求項14】
鉄道車両の走行装置(12)であって、請求項1〜13のいずれか1項に記載の少なくとも一対の車軸ガイドアセンブリ(10)と、第1の可変容積液圧室(42)と第2の可変容積液圧室(42)との間の液圧接続を確立する第1の液圧回路(54、64、68、72)と、第3の可変容積液圧室(42)と第4の可変容積液圧室(42)との間の液圧接続を確立する第2の液圧回路(56、66、70、74)とを備え、前記第1の可変容積液圧室、前記第2の可変容積液圧室、前記第3の可変容積液圧室、及び前記第4の可変容積液圧室(42)は、全て異なる液圧室であり、前記第1の可変容積液圧室、前記第2の可変容積液圧室、前記第3の可変容積液圧室、及び前記第4の可変容積液圧室のそれぞれは、前記一対の車軸ガイドアセンブリ(10)のうちの一方の前記車軸ガイドアセンブリ(10)の前記前側長手方向液圧機械式コンバーター(32)及び前記後側長手方向液圧機械式コンバーター(34)のうちの一方の前記可変容積液圧室(42)である、走行装置。
【請求項15】
前記第1の液圧回路(54、64、68、72)は、前記一対の前記車軸ガイドアセンブリ(10)のうちの一方の前記車軸ガイドアセンブリ(10)の前記前側長手方向液圧機械式コンバーター(32)の前記可変容積液圧室(42)と、前記一対の前記車軸ガイドアセンブリ(10)のうちの他方の前記車軸ガイドアセンブリ(10)の前記前側長手方向液圧機械式コンバーター(32)の前記可変容積液圧室(42)との間の液圧接続を確立し、第2の液圧回路(56、66、70、74)は、前記一対の前記車軸ガイドアセンブリ(10)のうちの一方の前記車軸ガイドアセンブリ(10)の前記後側長手方向液圧機械式コンバーター(34)の前記可変容積液圧室(42)と、前記一対の前記車軸ガイドアセンブリ(10)のうちの他方の前記車軸ガイドアセンブリ(10)の前記後側長手方向液圧機械式コンバーター(34)の前記可変容積液圧室(42)との間の液圧接続を確立する、請求項14に記載の走行装置。
【請求項16】
前記走行装置は、少なくとも前側輪軸(50)及び後側輪軸(50)を更に備え、前記前側輪軸(50)の端部(52)は、前記一対の車軸ガイドアセンブリ(10)の前側車軸ガイドアセンブリ(10)の前記軸箱(14)によって支持され、前記後側輪軸(50)の端部(52)は、前記一対の車軸ガイドアセンブリ(10)の後側車軸ガイドアセンブリ(10)の前記軸箱(14)によって支持される、請求項14又は15に記載の走行装置。
【請求項17】
前記走行装置は、少なくとも1つの輪軸(50)を更に備え、前記輪軸(50)の左端部(52)は、前記一対の車軸ガイドアセンブリ(10)のうちの左側車軸ガイドアセンブリ(10)の前記軸箱(14)によって支持され、前記輪軸(50)の右端部(52)は、前記一対の車軸ガイドアセンブリ(10)のうちの右側車軸ガイドアセンブリ(10)の前記軸箱(14)によって支持される、請求項14又は15に記載の走行装置。
【請求項18】
前記走行装置は、同じ前記車軸ガイドアセンブリ(10)の、前記前側長手方向液圧機械式コンバーター(32)の前記液圧室(42)と、前記後側長手方向液圧機械式コンバーター(34)の前記液圧室(42)との間の液圧接続を有しない、請求項14〜17のいずれか1項に記載の走行装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両の車軸ガイドアセンブリ及び走行装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されている鉄道車両用の2軸台車(bogie:ボギー)は、車軸ガイドアセンブリを備える。この車軸ガイドアセンブリは、前側輪軸の左輪を台車の中央横断垂直面に対して接近及び離遠(towards and away from:接離)して移動させる一対の左前部液圧シリンダーと、前側輪軸の右輪を中央横断垂直面に対して接近及び離遠して移動させる一対の右前部液圧シリンダーと、後側輪軸の左輪を中央横断垂直面に対して接近及び離遠して移動させる一対の左後部液圧シリンダーと、後側輪軸の左輪を中央横断垂直面に対して接近及び離遠して移動させる一対の右後部液圧シリンダーと、中央横断垂直面に対してそれぞれ接近及び離遠する前側輪軸のそれぞれ左輪及び右輪の移動が、中央横断垂直面に対してそれぞれ接近及び離遠する前側輪軸のそれぞれ左輪及び右輪の移動をもたらすことを確保する液圧接続部とを備える。換言すれば、前側輪軸及び後側輪軸のステアリングは、鉄道線路の急カーブをうまく通り抜けるために連係される。
【0003】
特許文献2において、軸箱のうちの1つと台車枠との間にそれぞれ取り付けられる特殊なブッシュを備える台車を提供することが提案されている。上記ブッシュは、円筒状の外筐と、外筐内に同軸に受けるボルトと、ボルトの両側において外筐とボルトとの間に位置する2つの室を形成するように、外筐とボルトとを接続するエラストマー体とを備える。2つの対向する室は、流体で満たされる。2つの室間には、外筐内でのブッシュ軸の前後運動を可能にするように流体経路が形成される。アクティブステアリングシステムを構成するように、圧力源を有する異なるブッシュの室を相互接続する更なる流体接続を設けることができる。ブッシュの形状に起因して、エラストマーの量が制限され、ポンプ面積も制限される。結果として、これらの特殊なブッシュの有効性及び寿命が制限される。
【0004】
同様のブッシュが、特許文献3に開示されている。周波数に伴って変化する剛性を得るために、ブッシュの2つの室間に弧状のチャネルが設けられる。ブッシュの周波数応答は、所与のパラメーターのセットに関して、ポンプ面積と、チャネルの長さ及び断面積とに依存する。剛性は、周波数に伴って増加する。しかしながら、そのサイズに起因して、ブッシュの能力は制限される。
【0005】
主サスペンションシステムを介して一対の輪軸上に支持される走行装置枠を備える、鉄道車両の走行装置ユニットが、特許文献4に開示されている。2つの輪軸は、横断方向における走行装置枠に対する第1の輪軸の第1の横断方向変位が、横断方向における走行装置枠に対する第2の輪軸の同一方向の第2の横断方向変位をもたらすように、連結機構を介して互いに連結される。それと同時に、連結機構は、垂直軸の周りでの走行装置枠に対する第1の輪軸の第1の回転が、走行装置枠に対する第2の輪軸の反対方向における第2の回転をもたらすようになっている。連結機構は、円筒状の外筐と、外筐内に同軸に受けるボルトと、4つの室を形成するように外筐とボルトとを接続するエラストマー体とをそれぞれ備えるブッシュを備える。そのサイズに起因して、ブッシュの能力は制限される。
【0006】
特許文献5に開示されている主サスペンションシステムは、ジャーナル軸受リテーナーと鉄道軌道の側枠との間に接続される一対の離間した垂直ばねを備える。角度を有して配置されたエラストマーばねの対も、下側支持ハウジングと、ジャーナル軸受リテーナーの角度付きの両端部との間に接続され、横方向剛性及び長手方向剛性をもたらす。しかしながら、これらのエラストマーばねは、周波数に応じた剛性をもたらさない。
【0007】
特許文献6に示されている鉄道台車は、軸箱と、台車枠と、軸箱と台車枠との間の主サスペンションとを備える。主サスペンションは、2つの流体ばねを備え、軸箱によって規定される車軸の回転軸は、2つの流体ばねの間に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】独国特許第3123858号
【特許文献2】欧州特許第1228937号
【特許文献3】欧州特許第1457706号
【特許文献4】国際公開第2014/170234号
【特許文献5】米国特許第4932330号
【特許文献6】国際公開第2005/091698号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、従来の走行装置の空間要件内で、長いストローク及び向上した能力をもたらす、より丈夫な液圧機械式コンバーターを備える車軸ガイドアセンブリを提供することを目指す。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様によれば、
水平回転軸と、この回転軸に対して垂直な長手水平方向とを規定する軸箱と、
軸箱キャリアと、
軸箱キャリアに対する軸箱の長手方向に対して平行な前後運動を可能にするように、軸箱の前側相互接続部と、軸箱キャリアの前側相互接続部とに固定される前側長手方向液圧機械式コンバーター、及び、軸箱の後側相互接続部と、軸箱キャリアの後側相互接続部とに固定される後側長手方向液圧機械式コンバーターと、
を備え、
前側長手方向液圧機械式コンバーター及び後側長手方向液圧機械式コンバーターのそれぞれは、ハウジングと、プランジャーと、プランジャーとハウジングとの間の長手方向に対して平行な相対前後運動を可能にするように、ハウジング及びプランジャーに固定されるエラストマー体とを備え、ハウジングとプランジャーとエラストマー体との間に単一の可変容積液圧室が形成され、前側長手方向液圧機械式コンバーター及び後側長手方向液圧機械式コンバーターのそれぞれは、可変容積液圧室を外部液圧回路に接続する液圧ポートを更に備える、車軸ガイドアセンブリが提供される。
【0011】
1つの液圧機械式コンバーターが軸箱の各側に設けられ、各液圧機械式コンバーターにプランジャーとハウジングとの間の単一の可変容積液圧室が設けられる場合、各可変容積液圧室には従来技術よりも多くの空間が利用可能になる。液圧機械式コンバーターの有効ポンプ面積及びストロークの双方が増大することができる。より大きな有効ポンプ面積と、より大きなエラストマー体のサイズとが、大きなポンプ面積に起因する比較的鈍い動的応答と、車軸ガイドアセンブリの動剛性と静剛性とのより大きな比とを規定する主要な要因である。
【0012】
軸箱は、軸受を収容し、この軸受は、この軸受内に受ける車軸の端部の断面積ΑΦを規定する内径を有し、プランジャーは、長手方向に対して垂直な平面において測定した有効面積Aeが、断面積ΑΦの半分よりも大きい、好ましくは断面積ΑΦよりも大きいことが好ましい。
【0013】
エラストマー体は、プランジャーとハウジングとの間の断面が、環状、好ましくは円形、楕円形、又は矩形である。好ましい一実施形態によれば、エラストマー体に過度な応力を与えないように、エラストマー体は、プランジャーに面するハウジングの環状円筒状又は円錐台状の表面と、ハウジングに面するプランジャーの環状円筒状又は円錐台状の表面とに固定することができる。
【0014】
前側長手方向液圧機械式コンバーター及び後側長手方向液圧機械式コンバーターのそれぞれは、軸箱キャリアに対する軸箱の前後運動の周波数に伴って、準静剛性値から動剛性値まで増大する長手方向剛性を有し、プランジャー及びエラストマー体は、動剛性値と準静剛性値との比Rが、10を超える、好ましくは20を超える、好ましくは50を超えるような寸法を有することが好ましい。結果として、車軸ガイドアセンブリは、準静的長手方向荷重に対する柔軟な応答、特に受動的な操向動作を有し、同時に、より高い周波数において蛇行動(hunting oscillations)を効率的に打ち消す。
【0015】
プランジャーとハウジングとの間に、プランジャーの収縮運動を制限する当接部を設けることができる。快適性を増すために、当接部には、エラストマーバッファーが設けられることが好ましい。
【0016】
好ましい一実施形態によれば、車軸ガイドアセンブリは、軸箱と軸箱キャリアの上部との間に設けられる垂直サスペンションユニットを更に備える。垂直サスペンションユニットは、長手方向とは独立して垂直方向における剛性及び撓みを制御するために、長手方向液圧機械式コンバーターとは独立していることが好ましい。1つの実施形態によれば、垂直サスペンションユニットは、回転軸に対して平行な垂直横断平面においてV字形断面を有するシェブロンばねを備える。また、垂直サスペンションユニットは、横断方向、すなわち、軸箱の回転軸に対して平行な方向における剛性をもたらす。代替的には、垂直サスペンションユニットは、水平平面において延在する一組の平坦なエラストマー部材を備えるサンドイッチばねを備える。軸箱の下の利用可能な空間を活用するために、垂直サスペンションユニットは、軸箱と軸箱キャリアの下部との間にエラストマーパッドを設けることができる。
【0017】
例えば、垂直サスペンションユニットの剛性が低いことにより、垂直方向及び/又は横断方向における軸箱の撓みが顕著である場合、液圧機械式コンバーターをこれによる変位から解放することが望ましい場合がある。このために、前側長手方向液圧機械式コンバーター及び後側長手方向液圧機械式コンバーターのそれぞれは、エラストマー体の長手方向剛性の少なくとも10倍、好ましくは少なくとも20倍、好ましくは50倍の長手方向剛性を有し、エラストマー体の横方向剛性の2倍未満、好ましくはエラストマー体の横方向剛性よりも小さな横方向剛性を有し、エラストマー体の垂直方向剛性の2倍未満、好ましくはエラストマー体の垂直方向剛性よりも小さな垂直方向剛性を有する分離ばねを更に備える。
【0018】
全ての実施形態において、定義上、軸箱の前側相互接続部は、軸箱の後側相互接続部の長手方向前方に位置する。同様に、軸箱キャリアの前側相互接続部は、軸箱キャリアの後側相互接続部の前方に位置する。実際には、軸箱の前側相互接続部は、軸箱キャリアの前側相互接続部に面し、軸箱の後側相互接続部は、軸箱キャリアの後側相互接続部に面する。1つの実施形態によれば、軸箱キャリアの前側相互接続部及び後側相互接続部は、軸箱の前側相互接続部と後側相互接続部との間に位置する。この実施形態は、後付けされる走行装置が、軸箱の長手方向前方及び後方に利用可能な自由空間を同じだけ有しない場合に特に興味深いものであることがわかる。代替的な一実施形態によれば、回転軸は、軸箱キャリアの前側相互接続部と後側相互接続部との間に長手方向に位置する。特に、軸箱は、軸箱キャリアの前部と後部との間に長手方向に位置することができる。1つの特定の実施形態によれば、軸箱キャリアは、軸箱の周囲のリングを形成する。
【0019】
1つの実施形態によれば、垂直サスペンションアセンブリは、軸箱キャリアを走行装置枠に接続する。軸箱キャリアと走行装置枠との間の垂直サスペンションユニットは、長手方向液圧機械式コンバーターに悪影響を与えずに、垂直方向における相当の大きさの撓みを可能にする。垂直サスペンションユニットが、軸箱と軸箱キャリアとの間、及び軸箱キャリアと走行装置枠との間の双方に設けられる場合、軸箱キャリアと走行装置枠との間の垂直サスペンションユニットは、軸箱と軸箱キャリアとの間の垂直サスペンションユニットよりも低い剛性、好ましくは1.5倍超低い剛性を有することが好ましい。
【0020】
代替的な一実施形態によれば、軸箱キャリアは、走行装置の走行装置枠の構成部分である。これは、特に、可撓性の走行装置枠に関して可能である。
【0021】
1つの実施形態によれば、液槽は、液圧室に液圧的に接続され、好ましくは、この接続は、液槽から液圧室に向かう流体の流れのみを可能にするチェック弁によって行われ、液槽は、好ましくは、液圧室の容積の少なくとも2倍の容積を有する。液槽は、温度補償容積を提供し、漏れが生じた場合の臨時の期間に、液圧回路における損失を補うとともにシステムの機能を維持するように、追加の作動液を送達する。槽には、漏れインジケーターを設けることができることが有利である。液槽は、フェールセーフ動作を確実にするように、適切な弁機構、特にチェック弁を介して液圧室に接続することができる。
【0022】
本発明の別の態様によれば、上記に記載の少なくとも一対の車軸ガイドアセンブリと、第1の可変容積液圧室と第2の可変容積液圧室との間の液圧接続を確立する第1の液圧回路と、第3の可変容積液圧室と第4の可変容積液圧室との間の液圧接続を確立する第2の液圧回路とを備え、第1の可変容積液圧室、第2の可変容積液圧室、第3の可変容積液圧室、及び第4の可変容積液圧室は、全て異なる液圧室であり、第1の可変容積液圧室、第2の可変容積液圧室、第3の可変容積液圧室、及び第4の可変容積液圧室のそれぞれは、一対の車軸ガイドアセンブリのうちの一方の車軸ガイドアセンブリの前側長手方向液圧機械式コンバーター及び後側長手方向液圧機械式コンバーターのうちの一方の可変容積液圧室である、鉄道車両の走行装置が提供される。第1の液圧回路及び/又は第2の液圧回路は、液槽を更に備えることが好ましい。可変容積液圧室間の液圧接続は、輪軸が準静的荷重を受ける際に、作動液の循環及び圧力の均衡を可能にするのに効果的である。
【0023】
1つの選択肢は、各車軸ガイドアセンブリの前側長手方向液圧機械式コンバーターの可変容積液圧室を、同じ車軸ガイドアセンブリの後側長手方向液圧機械式コンバーターの可変容積液圧室に接続することである。
【0024】
しかしながら、好ましい代替的な実施形態は、同じ車軸ガイドアセンブリの、前側長手方向液圧機械式コンバーターの液圧室と、後側長手方向液圧機械式コンバーターの液圧室との間の液圧接続を有しない。
【0025】
別の選択肢は、走行装置の横方向の各側にある一方の車軸ガイドアセンブリの前側長手方向液圧機械式コンバーターの可変容積液圧室を、走行装置の横方向の同じ側にある他方の車軸ガイドアセンブリの後側長手方向液圧機械式コンバーターの可変容積液圧室に接続するとともに、走行装置の横方向の各側にある上記一方の車軸ガイドアセンブリの後側長手方向液圧機械式コンバーターの可変容積液圧室を、走行装置の横方向の同じ側にある上記他方の車軸ガイドアセンブリの前側長手方向液圧機械式コンバーターの可変容積液圧室に接続することである。
【0026】
第1の液圧回路は、一対の車軸ガイドアセンブリのうちの一方の車軸ガイドアセンブリの前側長手方向液圧機械式コンバーターの可変容積液圧室と、一対の車軸ガイドアセンブリのうちの他方の車軸ガイドアセンブリの前側長手方向液圧機械式コンバーターの可変容積液圧室との間の液圧接続を確立し、第2の液圧回路は、一対の車軸ガイドアセンブリのうちの一方の車軸ガイドアセンブリの後側長手方向液圧機械式コンバーターの可変容積液圧室と、一対の車軸ガイドアセンブリのうちの他方の車軸ガイドアセンブリの後側長手方向液圧機械式コンバーターの可変容積液圧室との間の液圧接続を確立することが好ましい。
【0027】
1つの実施形態によれば、走行装置は、少なくとも前側輪軸及び後側輪軸を更に備え、それにより、前側輪軸の端部は、一対の車軸ガイドアセンブリの前側車軸ガイドアセンブリの軸箱によって支持され、後側輪軸の端部は、一対の車軸ガイドアセンブリの後側車軸ガイドアセンブリの軸箱によって支持されるようになっている。特に、1つの選択肢は、走行装置の横方向の各側にある一方の車軸ガイドアセンブリの前側長手方向液圧機械式コンバーターの可変容積液圧室を、走行装置の横方向の同じ側にある他方の車軸ガイドアセンブリの前側長手方向液圧機械式コンバーターの可変容積液圧室に接続するとともに、後側長手方向液圧機械式コンバーターの可変容積液圧室に関しても同様に接続することである。これにより、2つの輪軸が、垂直軸の周りで反対方向に回転することが確実になる。同様の効果を有する別の選択肢は、走行装置の横方向の各側にある一方の車軸ガイドアセンブリの前側長手方向液圧機械式コンバーターの可変容積液圧室を、走行装置の横方向の他方の側にある他方の車軸ガイドアセンブリの後側長手方向液圧機械式コンバーターの可変容積液圧室に接続するとともに、他の2つの可変容積液圧室間も同様に接続し、交差接続部を形成することである。
【0028】
しかしながら、最も好ましい選択肢によれば、走行装置は、少なくとも1つの輪軸を備え、輪軸の左端部は、一対の車軸ガイドアセンブリのうちの左側車軸ガイドアセンブリの軸箱によって支持され、輪軸の右端部は、一対の車軸ガイドアセンブリのうちの右側車軸ガイドアセンブリの軸箱によって支持される。この実施形態では、例えば、車両の加速又は減速時の輪軸の長手方向並進運動は制限されるが、垂直軸の周りでの輪軸の回転は依然として可能である。さらに、この実施形態は、漏れが生じた場合のフェールセーフ動作モードを提供する。
【0029】
走行装置は、同じ車軸ガイドアセンブリの、前側長手方向液圧機械式コンバーターの液圧室と、後側長手方向液圧機械式コンバーターの液圧室との間の液圧接続を有しないことが好ましい。
【0030】
本発明の第1の態様によれば、
水平回転軸と、回転軸に対して垂直な長手水平方向とを規定する軸箱と、
軸箱キャリアであって、軸箱が、軸箱キャリアの前部と後部との間に長手方向に位置する、軸箱キャリアと、
軸箱キャリアに対する軸箱の長手方向に対して平行な前後運動を可能にするように、軸箱と軸箱キャリアの前部とに固定される前側長手方向液圧機械式コンバーター、及び、軸箱と軸箱キャリアの後部とに固定される後側長手方向液圧機械式コンバーターと、
を備え、
前側長手方向液圧機械式コンバーター及び後側長手方向液圧機械式コンバーターのそれぞれは、ハウジングと、プランジャーと、プランジャーとハウジングとの間の長手方向に対して平行な相対前後運動を可能にするように、ハウジング及びプランジャーに固定されるエラストマー体とを備え、ハウジングとプランジャーとエラストマー体との間に単一の可変容積液圧室が形成され、前側長手方向液圧機械式コンバーター及び後側長手方向液圧機械式コンバーターのそれぞれは、可変容積液圧室を外部液圧回路に接続する液圧ポートを更に備える、車軸ガイドアセンブリが提供される。
【0031】
さらに、本発明の他の利点及び特徴は、単に非限定的な例として与えられているにすぎず、添付図面に表されている本発明の具体的な実施形態の以下の説明からより明瞭に明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図3の断面線I−Iに沿った長手方向垂直平面による、本発明の第1の実施形態に係る鉄道車両の走行装置の車軸ガイドアセンブリの長手方向断面図である。
図2図1の断面線II−IIに沿った水平平面による、図1の車軸ガイドアセンブリの断面図である。
図3図1の断面線III−IIIに沿った、図1の車軸ガイドアセンブリの垂直断面図である。
図4図1の断面線IV−IVに沿った垂直断面図である。
図5】本発明の第2の実施形態に係る車軸ガイドアセンブリの長手方向断面図である。
図6】本発明の第3の実施形態に係る車軸ガイドアセンブリの長手方向断面図である。
図7】水平平面による図6の車軸ガイドアセンブリの断面図である。
図8】本発明の第4の実施形態に係る車軸ガイドアセンブリの長手方向断面図である。
図9】本発明の第5の実施形態に係る車軸ガイドアセンブリの長手方向断面図である。
図10】本発明の第6の実施形態に係る車軸ガイドアセンブリの長手方向断面図である。
図11】本発明の第7の実施形態に係る車軸ガイドアセンブリの長手方向断面図である。
図12図10の車軸ガイドアセンブリの分解図である。
図13】本発明の先行する実施形態のうちのいずれか1つに係る車軸ガイドアセンブリのセットが設けられた第1の実施形態の走行装置の概略図である。
図14】本発明の先行する実施形態のうちのいずれか1つに係る車軸ガイドアセンブリのセットが設けられた第2の実施形態の走行装置の概略図である。
図15】本発明の先行する実施形態のうちのいずれか1つに係る車軸ガイドアセンブリのセットが設けられた第3の実施形態の走行装置の概略図である。
図16】本発明の先行する実施形態のうちのいずれか1つに係る車軸ガイドアセンブリのセットが設けられた第4の実施形態の走行装置の概略図である。
図17】本発明の先行する実施形態のうちのいずれか1つに係る車軸ガイドアセンブリのセットが設けられた第5の実施形態の走行装置の概略図である。
図18】フェールセーフ動作モードで動作している図17の走行装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
対応する参照符号は、図のそれぞれにおける同じ部分又は対応する部分を参照する。
【0034】
鉄道車両の走行装置12の車軸ガイドアセンブリ10が、図1図4に示されている。この車軸ガイドアセンブリ10は、走行装置12の枠22のC字形端部によって形成される軸箱キャリア20の前部16と後部18との間に長手方向に位置する軸箱14を備える。軸箱キャリア20は、垂直主サスペンションユニット24によって軸箱14上に支持される。垂直主サスペンションユニット24は、軸箱14によって規定される回転軸100に対して平行な垂直横断平面においてV字形の断面を有するシェブロンばね26を備える。当該技術分野において既知のように、軸箱14は、車軸30の端部をガイドする軸受28、通常はころ軸受を収容する。
【0035】
前側長手方向液圧機械式コンバーター32は、軸箱キャリア20に対する軸箱14の長手方向200に対して平行な前後運動を可能にするように、軸箱14の前側相互接続部14Aと、軸箱キャリア20の前部16によって形成される軸箱キャリア20の前側相互接続部16Aとに固定され、後側長手方向液圧機械式コンバーター34は、軸箱14の後側相互接続部14Bと、軸箱キャリア20の後部18によって形成される軸箱キャリア20の前側相互接続部18Bとに固定される。この文脈において及び本願全体において、長手方向200は、基準位置における軸箱によって規定される水平回転軸100に対して垂直な水平方向である。前側長手方向液圧機械式コンバーター32及び後側長手方向液圧機械式コンバーター34のそれぞれは、軸箱14に固定されるか又は軸箱14と一体のハウジング36と、軸箱キャリア20に固定されるか又は軸箱キャリア20と一体のプランジャー38と、ハウジング36及びプランジャー38に加硫によって接着されるか又は別様にシール式に固定される環状エラストマー体40とを備え、ハウジング36とプランジャー38とエラストマー体40との間に単一の可変容積液圧室42を形成するようになっている。可変容積液圧室42を液圧回路に接続する液圧出入口ポート44(図2を参照)が設けられる。これについては、図9図13に関して後述する。
【0036】
この好ましい実施形態において、環状エラストマー体40とハウジング36との間の相互接続部46、及び環状体40とプランジャー38との間の相互接続部48は、円筒状であり同軸である。これにより、プランジャー38及びハウジング36が互いに対して長手方向200に動く際に、環状エラストマー体40のみが剪断応力を受けることが確実になる。環状体40の径方向寸法、すなわち、2つの相互接続部46、48間の距離は、好ましくは長手方向寸法よりも大きい。
【0037】
この構成の結果、各長手方向液圧機械式コンバーター32、34の長手方向200における剛性は低くなるが、径方向、特に垂直方向及び横断方向における剛性ははるかに高くなる。シェブロンばね26は、垂直方向及び横断方向において液圧機械式コンバーター32、34よりも高い剛性を有するが、長手方向200においては低い剛性を有する。結果として、垂直主サスペンションユニット24は、垂直荷重の主経路となり、横断方向荷重を、長手方向荷重の主経路をなす液圧機械式コンバーター32、34と分け合う。
【0038】
この幾何構成により、また特にその大きなポンプ面積により、液圧機械式コンバーター32、34は、印加される荷重の周波数とともに大幅に増大する剛性を有する。これは以下の記載からより明らかになる。
【0039】
軸方向荷重が非常に低い周波数において変動する場合、作動液は、ハウジング36に対するプランジャー38の動きと同調して、液圧ポート44を通して可変容積液圧室42を出入りする。液圧機械式コンバーターの静剛性Cstaticは、主にエラストマー体40の幾何構成に依存し、エラストマー体40の径方向寸法と長手方向寸法との比が増大すると、減少する。
【0040】
軸箱14の長手方向移動の周波数が増大すると、作動液が液圧室42を出入りする動きは、プランジャー38とハウジング36との相対運動と次第に同調しなくなる。この周波数が十分高い場合、作動液が液圧室を出入りする動きは有意でなくなるので、液圧室42は略閉じた室とみなすことができる。この挙動は、作動液の粘度と、液圧室に接続する液圧回路、特に接続管の長さ及び直径とに依存する。プランジャーとハウジングとの相対前後運動は、液圧室内の作動液が非圧縮性であるにもかかわらず、エラストマー体40の動的な膨張変形によって依然として可能である。したがって、エラストマー体40は、より高い周波数で静剛性Cstaticに追加される動的膨張剛性Cswellによって特徴付けられる。この動的膨張剛性は、液圧機械式コンバーターの有効ポンプ面積Aに対しておおよそ線形に増加し、有効ポンプ面積Aは、液圧室の基本的な容積変動ΔVと、対応するプランジャーとハウジングとの基本的な長手方向相対運動Δxとの比である。
【数1】
【0041】
実際には、ポンプ面積Aは、プランジャーの有効面積Ae、すなわち、長手方向に対して垂直な平面Pにおけるハウジング内のプランジャーの表面の幾何学的投影面積以上である。換言すれば、プランジャーの有効面積Aeが大きくなると、長手方向液圧機械式コンバーター32、34のポンプ面積Aと、動的膨張剛性Sswellと、動剛性と静剛性との比Rとが大きくなる。経験則として、プランジャーの有効面積Aeは、軸箱のころ軸受を貫通する車軸の回転軸に対して垂直な平面において測定した車軸の断面積ΑΦの半分よりも大きいことが好ましい。
【数2】
【0042】
車軸の各側における液圧機械式コンバーターの配置の幾何構成によって、有効ポンプ面積Aを大きくすることができ、動剛性も非常に大きくなる。それと同時に、静剛性は低く抑えることができ、これにより、動剛性と静剛性との比が、好ましくは10を超える、好ましくは20を超える、及び好ましくは50を超える大きさになる。
【0043】
動剛性と静剛性とのこの高い比に起因して、車軸ガイドアセンブリは、低周波数において様々な長手方向荷重に対してスムーズな応答をもたらし、より高い周波数では比較的鈍い応答をもたらす。このことは、特に有利である。車軸ガイドアセンブリは、準静的な長手方向荷重に対して非常に低い剛性Cstaticを伴って応答し、それにより、車軸30は、自然に垂直軸の周りに回転し、カーブにおいて所定位置をとる。長手方向液圧機械式コンバーター32、34のストロークは、従来のエラストマー製又は流体弾性のブッシュの場合よりも大きく、それにより、カーブにおける車軸30の十分な撓みが確保される。一方、高周波数の長手方向振動に応じて、システムは、成分Cswellを含む高い動剛性をもたらし、それにより、蛇行動を効率的に打ち消すとともに優れた安定性をもたらす。
【0044】
システムの周波数応答におけるカットオフ周波数は、液圧機械式コンバーター32、34の特性だけでなく、液圧回路の特性にも依存する。カットオフ周波数は、4Hz未満、理想的には0.5Hz〜1.5Hzであることが好ましい。
【0045】
本発明の第2の実施形態に係る鉄道車両の走行装置12の車軸ガイドアセンブリ10が、図5に示されている。この車軸ガイドアセンブリ10は、走行装置の枠22のC字形端部によって形成されるリング状の軸箱キャリア20の前部16と後部18との間に長手方向に位置する軸箱14と、C字形の下側ブラケット120とを備える。軸箱キャリア20は、垂直主サスペンションユニット24によって軸箱14上に支持され、垂直主サスペンションユニット24は、水平平面に延在する一組の平坦なエラストマー部材を備えるサンドイッチばね126を備える。
【0046】
前側長手方向液圧機械式コンバーター32は、軸箱キャリア20に対する軸箱14の、走行装置12の長手方向200に対して平行な前後運動を可能にするように、軸箱14と、軸箱キャリア20の前部16とに固定され、後側長手方向液圧機械式コンバーター34は、軸箱14と、軸箱キャリア20の後部18とに固定される。前側長手方向液圧機械式コンバーター32及び後側長手方向液圧機械式コンバーター34のそれぞれは、軸箱14に固定されるか又は軸箱14と一体のハウジング36と、軸箱キャリア20に固定されるか又は軸箱キャリア20と一体のプランジャー38と、ハウジング36及びプランジャー38に加硫によって接着されるか又は別様にシール式に固定される環状エラストマー体40とを備え、ハウジング36とプランジャー38とエラストマー体40との間に単一の可変容積液圧室42を形成するようになっている。この実施形態では、環状エラストマー体とプランジャーとの間の相互接続部は、錐台形状であり、環状体とハウジングとの間の相互接続部と同軸である。
【0047】
この構成の結果、各長手方向液圧機械式コンバーター32、34の長手方向における剛性は低くなるが、径方向、特に垂直方向及び横断方向における剛性ははるかに高くなる。サンドイッチばね126は、垂直方向において液圧機械式コンバーター32、34よりも高い静剛性を有するが、長手方向及び横断方向においては低い剛性を有する。結果として、サンドイッチばね126は、垂直荷重の主経路となり、一方、液圧機械式コンバーター32、34は、長手方向荷重及び横断方向荷重の主経路をなす。静的長手方向荷重及び動的長手方向荷重に対する図5の車軸ガイドアセンブリ10の応答は、第1の実施形態のものと本質的に同様である。
【0048】
本発明の第3の実施形態に係る鉄道車両の走行装置12の車軸ガイドアセンブリ10が、図6及び図7に示されている。この車軸ガイドアセンブリ10は、走行装置12の枠22に固定されるリング状の枠部材によって形成される軸箱キャリア20の前部16と後部18との間に長手方向に位置する軸箱14を備える。軸箱キャリア20は、垂直主サスペンションユニット24によって軸箱14上に支持され、垂直主サスペンションユニット24は、上側エラストマーパッド226及び下側エラストマーパッド227を備える。軸箱キャリア20に対する軸箱14の、走行装置12の長手方向200に対して平行な前後運動を可能にするように、前側長手方向液圧機械式コンバーター32は、軸箱14と軸箱キャリア20の前部16との間に設けられ、後側長手方向液圧機械式コンバーター34は、軸箱14と、軸箱キャリア20の後部18との間に設けられる。前側長手方向液圧機械式コンバーター32及び後側長手方向液圧機械式コンバーター34のそれぞれは、軸箱キャリア20に固定されるか又は軸箱キャリア20と一体のハウジング36と、軸箱14と一体のプランジャー38と、ハウジング36及びプランジャー38に加硫によって接着されるか又は別様にシール式に固定される環状エラストマー体40とを備え、ハウジング36とプランジャー38とエラストマー体40との間に単一の可変容積液圧室42を形成するようになっている。この実施形態では、環状エラストマー体40とハウジング36との間の相互接続部46、及び環状体40とプランジャー38との間の相互接続部48は、テーパー状になっている。エラストマーバッファー338が、液圧機械式コンバーター32、34の収縮運動を制限するためのプランジャー38とハウジング36との間の当接部を形成する。静的長手方向荷重及び動的長手方向荷重に対する図6及び図7の車軸ガイドアセンブリの応答は、先行する実施形態のものと本質的に同様である。
【0049】
図1図7の種々の実施形態の車軸ガイドアセンブリは、垂直荷重に応じて変形を受ける可撓性の走行装置枠を備える走行装置に対して特に適合される。図8の実施形態は、通常の動作条件下では実質的に変形しないまま維持される剛性走行装置枠に対してより適合される。図8の車軸ガイドアセンブリ10は、リング状の軸箱キャリア20が走行装置枠22に強固に固定されない点で、図6及び図7の車軸ガイドアセンブリとは本質的に異なる。その代わり、走行装置枠22は、ゴムばねからなる一対の垂直主サスペンションユニット426に支えられ、このゴムばねにより、走行装置枠22と軸箱キャリア20との間の相当の垂直相対運動を可能にするとともに、大きく変形することなく長手方向荷重及び横方向荷重を伝達することが可能である。軸箱キャリア20と軸箱14との間の上側エラストマーパッド226及び下側エラストマーパッド227は、軸箱キャリア20と軸箱14との間の垂直相対運動及び横断方向相対運動を大幅に低減し、長手方向200に対して垂直方向における、前側液圧機械式コンバーター32及び後側液圧機械式コンバーター34のそれぞれのエラストマー体40の変形を制限するように、非常に高い剛性を維持することができる。静的長手方向荷重及び動的長手方向荷重に対する図8の車軸ガイドアセンブリ10の応答は、先行する実施形態のものと本質的に同様である。
【0050】
図9の軸箱ガイドアセンブリは、図1図4の実施形態から派生するが、その実施形態とは、軸箱14と長手方向液圧機械式コンバーター32、34のそれぞれとの間に更なるばね526が介在する点で異なる。この更なる分離ばね526は、液圧機械式コンバーター32、34の垂直方向剛性の2倍未満の垂直方向剛性を有し、液圧機械式コンバーター32、34の長手方向剛性の少なくとも10倍の長手方向剛性を有し、液圧機械式コンバーター32、34の横方向剛性の2倍未満の横方向剛性を有する。分離ばね526は、作動液で満たされた固定容積液圧室527の周囲のエラストマーリングとすることができる。
【0051】
図10の軸箱ガイドアセンブリは、図9の実施形態から派生するが、その実施形態とは、固定容積液圧室が設けられない点のみが異なる。
【0052】
本発明の第7の実施形態に係る鉄道車両の走行装置12の車軸ガイドアセンブリ10が、図11及び図12に示されている。この車軸ガイドアセンブリ10は、軸箱14と、走行装置12の枠22の端部によって形成される軸箱キャリア20とを備え、軸箱キャリア20は、主サスペンション24によって軸箱14上に支持され、主サスペンション24は、前側垂直主サスペンションユニット726A及び後側垂直主サスペンションユニット726Bを含む。軸箱14は、前側サスペンションユニット726Aと後側サスペンションユニット726Bとの間に長手方向に位置し、前側サスペンションユニット726A及び後側サスペンションユニット726Bは、それぞれ、軸箱14によって規定される回転軸100に対して平行な垂直横断平面においてV字形断面を有するシェブロンばねを含む。
【0053】
図11及び図12の軸箱ガイドアセンブリには、前側長手方向液圧機械式コンバーター32が設けられ、前側長手方向液圧機械式コンバーター32は、軸箱14の前側相互接続部14Aと、前側支柱722Aの前面によって形成される軸箱キャリア20の前側相互接続部16Aとに固定される。前側支柱722Aは、走行装置12の枠22と一体であるとともに、前側シェブロンばね726Aの傾斜部間に延在する。図11及び図12の軸箱ガイドアセンブリには、後側長手方向液圧機械式コンバーター34が更に設けられ、後側長手方向液圧機械式コンバーター34は、軸箱14の後側相互接続部14Bと、前側支柱722Aの後面によって形成される軸箱キャリア20の後側相互接続部16Bとに固定される。先行する実施形態とは異なり、軸箱14の前側相互接続部14A及び後側相互接続部14Bが互いに面しており、軸箱キャリアの前側相互接続部16B及び後側相互接続部16Bは、軸箱14の前側相互接続部14Aと後側相互接続部14Bとの間に位置する。この実施形態は、軸箱14と後側垂直主サスペンションユニット726Bとの間に僅かな空間しか利用可能でない場合の、走行装置12の後付けに特に適している。
【0054】
当然ながら、軸箱14と後側垂直主サスペンションユニット726Bとの間に、軸箱14と前側垂直主サスペンションユニット726Aとの間よりも多くの空間がある場合、前側長手方向液圧機械式コンバーター32及び後側長手方向液圧機械式コンバーター34は、後側垂直主サスペンションユニット726Bの後側支柱722Bの長手方向両側に位置することができる。
【0055】
前側支柱722A及び後側支柱722Bが前側長手方向液圧機械式コンバーター32と後側長手方向液圧機械式コンバーター34との間に位置するように、前側長手方向液圧機械式コンバーター32及び後側長手方向液圧機械式コンバーター34を軸箱14の双方の長手方向端部に設けることも可能である。この変形形態は、前側支柱722Aの前(すなわち、図11の前側支柱の左側)及び後側支柱722Bの後ろ(すなわち、図11の後側支柱の右側)に、前側支柱722A及び後側支柱722Bのそれぞれと軸箱14のリング状中央部との間よりも多くの空間が利用可能である場合に特に有利である。
【0056】
別の実施形態によれば、前側支柱722Aと回転軸100との間に前側長手方向液圧機械式コンバーター32を設け、回転軸100と後側長手方向液圧機械式コンバーター34との間に後側支柱722Bを設けることも可能である。代替的には、後側支柱722Bと回転軸100との間に後側長手方向液圧機械式コンバーター34を設け、回転軸100と前側長手方向液圧機械式コンバーター32との間に前側支柱722Aを設けることも可能である。
【0057】
本発明に係る2対の車軸ガイドアセンブリを備える走行装置12が、図13に示されている。図13では、垂直主サスペンションユニットは、簡略化するために省かれている。図13の走行装置12は、2つの輪軸50を備える台車であり、2つの輪軸50のそれぞれは、車軸30の両端部52に左輪及び右輪51を備える。各車軸30の各端部52は、車軸ガイドアセンブリ10の軸箱14において回転するようにガイドされる。走行装置12の左又は右の同じ側にある2つの車軸ガイドアセンブリ10は、4つの独立した液圧回路54、56を介して互いに液圧的に接続される。より具体的には、左側にある前側車軸ガイドアセンブリ及び後側車軸ガイドアセンブリ10の前側液圧機械式コンバーター32の可変容積液圧室42は、液圧回路54を介して互いに接続され、左側にある前側車軸ガイドアセンブリ及び後側車軸ガイドアセンブリ10の後側液圧機械式コンバーター34の可変容積液圧室42は、液圧回路56を介して互いに接続される。同様の液圧接続が、走行装置10の右側にある車軸ガイドアセンブリ10間に設けられる。液槽58が、チェック弁60を介して液圧回路のそれぞれに接続され、温度及び漏れを補償する。各液槽58、又はより包括的には各液圧回路52、54には、漏れ検出器63が設けられることが好ましい。前側車軸と後側車軸との間のこのタイプの液圧リンクは、前側車軸及び後側車軸30の反対方向における受動的な操向をもたらす。
【0058】
個々の可変容積液圧室42間の代替的な接続が、図14に示されている。各側にある前側車軸ガイドアセンブリ10の前側液圧機械式コンバーター32の可変容積液圧室42は、走行装置12の同じ側にある後側車軸ガイドアセンブリ10の後側液圧機械式コンバーター34の可変容積液圧室42に、液圧回路64を介して接続され、一方、各側にある前側車軸ガイドアセンブリ10の後側液圧機械式コンバーター34の可変容積液圧室42は、走行装置の同じ側にある後側車軸ガイドアセンブリ10の前側液圧機械式コンバーター32の可変容積液圧室42に、液圧回路66を介して接続される。前側車軸と後側車軸との間のこのタイプの液圧リンクは、前側車軸及び後側車軸の同じ方向における受動的な操向をもたらす。
【0059】
個々の可変容積液圧室42間の代替的な接続が、図15に示されている。各側にある前側車軸ガイドアセンブリ10の前側液圧機械式コンバーター32の可変容積液圧室42は、走行装置12の他方の側にある後側車軸ガイドアセンブリ10の後側液圧機械式コンバーター34の可変容積液圧室42に、液圧回路154を介して接続され、一方、各側にある前側車軸ガイドアセンブリ10の後側液圧機械式コンバーター34の可変容積液圧室42は、走行装置の他方の側にある後側車軸ガイドアセンブリ10の前側液圧機械式コンバーター32の可変容積液圧室42に、液圧回路156を介して接続される。前側車軸と後側車軸との間のこのタイプの液圧リンクは、前側車軸及び後側車軸の反対方向における受動的な操向をもたらす。
【0060】
車軸のいずれかの回転速度に応じて2つのタイプの液圧回路間の構成、例えば、低速での図13又は図15の構成と、より高速での図14の構成とを切り替えるように、更なる分配弁を備える走行装置を設けることが適切である場合がある。
【0061】
車軸30の2つの対向する端部52をガイドするように本発明に係る2つの車軸ガイドアセンブリ10を備える輪軸50が、図16に示されている。2つの独立した液圧回路68、70が、それぞれ、1つの車軸ガイドアセンブリ10の前側液圧機械式コンバーター32の可変容積液圧室42を、同じ車軸ガイドアセンブリ10の後側液圧機械式コンバーター34の可変容積液圧室42に接続するように形成される。液槽58が、液圧回路68、70のそれぞれに設けられる。この実施形態は、1軸走行装置又は2軸台車において実現することができる。
【0062】
個々の可変容積液圧室42間の代替的な接続が、図17に示されている。2つの独立した液圧回路72、74が形成され、1つは、左右の車軸ガイドアセンブリ10の前側液圧機械式コンバーター32の可変容積液圧室42を互いに接続し、もう1つは、左右の車軸ガイドアセンブリの後側液圧機械式コンバーター32の可変容積液圧室42を接続する。液槽58は、液圧回路72、74のそれぞれに設けられる。この実施形態は、1軸走行装置又は2軸台車において実現することができる。この実施形態は、垂直軸の周りの回転に対する非常に低い静剛性と、長手方向軸に対して平行な車軸の並進運動の制限とを組み合わせる場合に特に有利である。これは、車軸の長手方向の並進を最小限に抑えて長手方向の力を伝達しながら、車両の制動又は加速時の操向性を維持するのに特に役立つ。
【0063】
さらに、この実施形態は、図18に示されているフェールセーフ動作モードを提供する。液圧回路のうちの1つ(図18における液圧回路72)が漏れを起こしており、その回路内に十分な作動液が残されていない場合、他の液圧回路の槽58は、その回路に追加の作動液を提供し、図18に示されている当接位置に向けて車軸30を付勢する。この位置では、輪軸50は、垂直軸の周りに回転することが可能でなく、安定位置に留まる。このために、各槽58は、それぞれの液圧回路の容積を上回る容量、すなわち、実際には、液圧室42の容量の少なくとも2倍の容量、好ましくは2倍を超える容量を有することが好ましい。
【0064】
上記例は、本発明の好ましい実施形態を示しているが、種々の他の構成、特に異なる実施形態による特徴の組合せも想定することができることが留意される。
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