特許第6837504号(P6837504)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6837504
(24)【登録日】2021年2月12日
(45)【発行日】2021年3月3日
(54)【発明の名称】電気治療装置
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/26 20060101AFI20210222BHJP
【FI】
   A61N1/26
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-10299(P2019-10299)
(22)【出願日】2019年1月24日
(65)【公開番号】特開2019-136495(P2019-136495A)
(43)【公開日】2019年8月22日
【審査請求日】2019年9月17日
(31)【優先権主張番号】15/895,004
(32)【優先日】2018年2月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】310020769
【氏名又は名称】ホー,ホイ ミン マイケル
(74)【代理人】
【識別番号】100093779
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】ホー,ホイ ミン マイケル
【審査官】 北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/008541(WO,A1)
【文献】 特開2011−015988(JP,A)
【文献】 特開2010−057804(JP,A)
【文献】 特開昭59−057668(JP,A)
【文献】 米国特許第04431000(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/00 − 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも直流電源ユニット、制御ユニット、パルス出力回路及び少なくとも1つの電極シート、電圧調整回路を含む、刺激強度を漸増可能な電気治療装置であって、
前記直流電源ユニットは前記電気治療装置が必要とする電力を提供することができ、
前記制御ユニットは複数の制御信号を前記パルス出力回路に伝送することができ、
前記パルス出力回路が前記直流電源ユニットから電力を受電した後に所定波形の電流パルス信号を生成し、且つ前記電流パルス信号を各前記電極シートに伝送させることができ、
前記電圧調整回路は前記直流電源ユニット、前記制御ユニット及び前記パルス出力回路とそれぞれ互いに電気的に接続され、且つ前記制御ユニットから送られてくる第1制御信号に従って、前記パルス出力回路に出力する電圧を調整することができ、前記パルス出力回路が出力する電流パルス信号のパルス波形が振幅変動を呈することができるようにさせて、出力電流を小電流から所定値まで徐々に増大させ、人体の経穴に対する各前記電極シートの刺激強度を徐々に弱から強にさせることで、人の手が経穴を押圧する力や触圧を模倣でき
前記電圧調整回路は、
一端が前記制御ユニットから送られてくる第1制御信号を受信することができる第1レジスタと、
ベースは前記第1レジスタのもう一端に接続され、エミッタは接地され、コレクタは第2レジスタの一端に接続される第1トランジスタと、
ベースは前記第2レジスタのもう一端に接続され、エミッタは前記パルス出力回路と接続され、コレクタは前記直流電源ユニットから送られてくる電力を受電することができる第2トランジスタと、
一端は前記第2トランジスタのコレクタと接続されることができ、もう一端は前記第2トランジスタのベースと接続されることができる第3レジスタと、
一端は前記第2トランジスタのベースと接続され、もう一端は接地される第1コンデンサとを含み、
前記第1レジスタが前記第1制御信号を受信する前に、前記第1レジスタはローレベルの状態にあり、且つ前記第1トランジスタはオフ状態を呈しており、前記第1コンデンサは飽和状態を呈しており、
前記第1レジスタが前記第1制御信号を受信した後に、前記第1トランジスタが導通状態を呈し、且つ前記第1コンデンサが放電を開始し、前記第1コンデンサの放電が完了に至ると、前記第1レジスタをローレベルの状態に回復させ、且つ前記第1コンデンサに充電を開始させ、
当該過程中、前記第2トランジスタが先にオフ状態から導通状態に変更され、次に導通状態から増幅状態に変更されて飽和状態に至り、こうして前記第2トランジスタを流れる電流を漸増させることができ、これによって前記パルス出力回路から出力されるパルス波形がローレベルから所定のハイレベルまで漸増できるようになっていることを特徴とする、電気治療装置。
【請求項2】
前記電圧調整回路、前記制御ユニット及び前記パルス出力回路のそれぞれと電気的に接続され、且つ前記制御ユニットから送られてくる第2制御信号を受信し、また前記電圧調整回路から送られてくる電力を受電することができ、
一端が前記制御ユニットから送られてくる前記第2制御信号を受信することができる第4レジスタと、
ベースは前記第4レジスタのもう一端に接続され、エミッタは接地され、コレクタは第5レジスタの一端に接続される第3トランジスタと、
ベースは前記第5レジスタのもう一端に接続され、コレクタは前記パルス出力回路と接続され、エミッタは前記第2トランジスタのエミッタと接続される第4トランジスタと、
一端は前記第4トランジスタのベースと接続され、もう一端は前記第4トランジスタのエミッタと接続される第6レジスタと、を含む出力制御回路をさらに含み、
前記第4レジスタが前記第2制御信号を受信した後に、前記第2制御信号がハイレベルである場合には、前記第3トランジスタと前記第4トランジスタを順に導通させて、前記第2制御信号がローレベルである場合には、前記第3トランジスタと前記第4トランジスタがオフ状態を呈するようにさせることで、前記出力制御回路が前記パルス出力回路に送る電力を調整し、これにより前記パルス出力回路から出力されるパルス波形を調整することを特徴とする、請求項に記載の電気治療装置。
【請求項3】
前記直流電源ユニットと前記制御ユニットの間に設けられ、前記直流電源ユニットから送られてくる直流電流を受電することができ、且つ第1電圧で直流電流を前記制御ユニットに出力することができる昇圧型電圧安定化回路を更に含み、
前記直流電源ユニットから送られてくる直流電流の電圧が閾値を下回る状態において、前記昇圧型電圧安定化回路が直流電流に対して昇圧処理を行い、これにより前記第1電圧で直流電流を前記制御ユニットに出力し続けることができることを特徴とする、請求項に記載の電気治療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気治療装置に関し、特に様々な電流パルス信号のパルス波形を出力可能であり、いずれも刺激強度の漸増が可能な電気治療装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
理学療法(Physiotherapy又はPhysical Therapy)は、現代及び従来医学において非常に重要な部分であり、主に光、電気、水、冷、熱、力などの物理的要素及び運動療法を利用して患者の問題を評価し治療するというものである。
その中で、「電気治療」は疼痛の軽減、筋肉の増強、筋委縮の緩和又は予防、筋痙攣の軽減及び皮膚の血液循環促進などの特性を有するため、ますます多くの人々が治療手段として「電気治療」を受け入れるようになっている。
【0003】
現在「電気治療」には数多くの方法があり、例えば低周波電気刺激(又は経皮的末梢神経電気刺激という)、中周波干渉波などがある。
その中で、低周波電気刺激は周波数が1,000Hz以下の低周波(通常は0-100Hz)を使用し、実際の使用においては、電気治療装置が生成する電気治療用パルス信号(electrical nerve stimulation pulses)が人体の皮膚に貼られた電極シートを通過することで神経を刺激し、これにより鎮痛の効果を得るというものである。
中周波干渉波は、周波数が1,000-1,000,000Hzの間の周波数を使用するが、電磁波は10,000Hzを超えると熱が生じるため、臨床ではいずれも周波数が1,000Hz-10,000Hzの間の中周波が使用されておる。実際の使用においては、中周波干渉波では一般的に2組の電極シートが採用され、その周波数の差は0-100Hzの間であり、例えば2,100Hzと2,000Hzなどとし、通電後に2組の電極シートによって中周波が皮膚を通過し、深部組織で電流干渉が生じ、0-100Hzの低周波が発生するというものである。
このように、上記の方法により、適当な電流を利用して筋肉を刺激することで治療目的を効果的に達成することができる。
【0004】
「電気治療」は疼痛の軽減(例えば腰痛、変形性関節炎、リウマチ様関節炎、靭帯損傷、腱炎、筋・筋膜性疼痛症候群など)に対し顕著な効果を有するため、多くの患者が治療期間に「電気治療」を併用し、薬(鎮痛剤など)の使用を減らすことができている。
さらに、「電気治療」は電気刺激を有し、筋肉を収縮させて筋肉や関節の活動能力を維持することができるため、医療従事者は電極シートを用いて適当な波形、振幅及び周波数の電磁波を伝導し、患者の要治療部位を刺激することができ、痛みの治療や病気のリハビリに「電気治療」が利用されている。
【0005】
しかし、出願人は本発明の技術分野に長年従事し、長期に渡り関連技術の発展に注目してきた中で、従来の「電気治療」に使用されている電気治療装置の多くが直面する2つの問題に気付いた。
それは、(1)刺激の痛みが使用者に与える不快感や恐怖(即ち、快適度という問題)、及び(2)神経の調節(即ち、感覚(神経細胞)系の固定刺激に対する反応性が一定時間を経て変化(低減)する)又は使用者の体性神経系の調節麻痺(即ち、調節麻痺と言う問題)により、電気治療の刺激が疼痛の軽減や筋肉状態の促進に対して効果を発揮しなくなるという問題であり、各問題点については以下の説明の通りである。
【0006】
((1)「快適度(Comfort level)」問題)
図1を参照する。周知の電気治療装置は通常1組の所定波形セットに基づいて、対応する電気治療用パルス波形S1〜S3を出力する。
その中で、電気治療用パルス波形S1〜S3のそれぞれは複数のパルス電流によって形成され、またパルス波形S1〜S3のそれぞれは出力開始時にハイレベル(矩形波形態など)で固定されている。それはつまり使用者が突然強い刺激力を感じ、使用者に不快感や痛みを覚えさせてしまうということである。これはなぜ一部の使用者が痛みを恐れて「電気治療」を拒むかを説明するものと言える。
【0007】
((2)「調節麻痺(Accommodation)」問題)
一般的に、電気治療の期間に使用者に施す刺激の強度、波長、周波数及び波間休止時間が固定されている場合、使用者の刺激力強度の感知レベル、及び実際の固定された刺激力に対する神経や筋肉の反応は、刺激力の強度を実際には変えていなくても、時間と共に低下してしまう。
感覚及び体性神経の反応が徐々に低下することに対応するため、通常は使用者若しくは電気治療を施す理学療法士が強度を増やしたり、手動でパルス電流の周波数を変更したり、又は手動でパルス電流の波形を変更したりして神経の調節を防いでいるが、使用者や理学療法士にとって、電気治療装置を使用者に適合する相応しい方法で余分に手動操作しなければならないというのは非常に困難且つ不便である。
とはいえ手動で強度、周波数、波形及び休止時間を変更しないなら、若しくはそれが相応しく行われないなら、不快且つ効果のない治療経験となる可能性がある。
【0008】
よって、本発明が提出する課題は、従来技術における上記の欠点を克服すること、また使用者に無痛且つ快適なTENS及びEMS刺激を提供すること、さらに使用者にプログラム化変調のTENS及びEMS刺激を提供することで、神経の調節を防ぎ、電気治療による疼痛の軽減や筋肉状態の増強をより効果的にすることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の電気治療製品の使用上存在する欠点である、人の手によるマッサージの弱から強の力を模倣できず、且つ単一で変化のない刺激強度が使用者の「調節麻痺(Accommodation)」を招くという問題に鑑み、発明者の多年に渡る研究開発経験を基に、多くの研究、テスト及び改良を重ねた結果、ついに100種類以上の独特な感覚の可変コンビネーション刺激を出力できるよう設計することに成功した。
この独特な装置はそれ自体に強度の漸増や波形の変調、周波数の変調、及び波間休止時間の変調を提供する能力を備えており、以下に開示する通り、全治療期間において調節麻痺又は体性神経の調節を防ぐことで、使用者に無痛、快適且つ緩和マッサージのような感覚を提供し、同時に装置の疼痛軽減や筋肉状態の増強効果を大幅に向上させている。
また、使用者・理学療法士が治療期間に強度、波形、周波数又は休止時間を手動で変更する必要はない。
本発明の電気治療装置は、従来技術において作用が類似するものよりも更に良好なユーザーエクスペリエンスを提供し、より良好に疼痛の軽減や筋肉状態の増強を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、刺激強度を漸増可能な電気治療装置を提供すること、また波形、周波数及び刺激波間休止時間の変調を提供することで、調節麻痺及び使用者の体性神経系の調節を防ぐことを目的としている。
電気治療装置は少なくとも直流電源ユニット、制御ユニット、パルス出力回路及び少なくとも1組の電極シートを含む。
その中で、直流電源ユニットは電気治療装置が必要とする電力を提供することができ、制御ユニットは複数の制御信号をパルス出力回路に伝送することができ、パルス出力回路が直流電源ユニットから電力を受電した後に所定波形の電流パルス信号を生成し、且つ電流パルス信号を各電極シートに伝送させることができる。
本発明は、電気治療装置がさらに電圧調整回路を含むことを特徴としている。
電圧調整回路は直流電源ユニット、制御ユニット及びパルス出力回路とそれぞれ互いに電気的に接続され、且つ制御ユニットから送られてくる第1制御信号に従って、パルス出力回路に出力する電圧を調整することができ、パルス出力回路が出力する電流パルス信号のパルス波形が振幅変動を呈することができるようにさせて、出力電流を小電流から所定値まで徐々に増大させ、人体の経穴に対する各電極シートの刺激強度を徐々に弱から強にさせることで、人の手が経穴を押圧する力や触圧を模倣することができる。
また、電圧調整回路は、第1レジスタと、第1トランジスタと、第2トランジスタと、第3レジスタと、第1コンデンサとを含む。
第1レジスタは、一端が制御ユニットから送られてくる第1制御信号を受信することができる。
第1トランジスタは、ベースは第1レジスタのもう一端に接続され、エミッタは接地され、コレクタは第2レジスタの一端に接続される。
第2トランジスタは、ベースは第2レジスタのもう一端に接続され、エミッタはパルス出力回路と接続され、コレクタは直流電源ユニットから送られてくる電力を受電することができる。
第3レジスタは、一端は第2トランジスタのコレクタと接続されることができ、もう一端は第2トランジスタのベースと接続されることができる。
第1コンデンサの一端は第2トランジスタのベースと接続され、もう一端は接地される。
第1レジスタが第1制御信号を受信する前に、第1レジスタはローレベルの状態にあり、且つ第1トランジスタはオフ状態を呈しており、第1コンデンサは飽和状態を呈している。
第1レジスタが第1制御信号を受信した後に、第1トランジスタが導通状態を呈し、且つ第1コンデンサが放電を開始し、第1コンデンサの放電が完了に至ると、第1レジスタをローレベルの状態に回復させ、且つ第1コンデンサに充電を開始させる。
当該過程中、第2トランジスタが先にオフ状態から導通状態に変更され、次に導通状態から増幅状態に変更されて飽和状態に至り、こうして第2トランジスタを流れる電流を漸増させることができ、これによってパルス出力回路から出力されるパルス波形がローレベルから所定のハイレベルまで漸増できるようになっている。
【0011】
本発明の目的、技術的特徴及びその効果をより認識し理解できるよう、以下は実施例を図面と合わせて詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】周知の電気治療装置から出力される電気治療用パルス波形の概略図である。
図2】本発明の電気治療装置のハードウェアブロック図である。
図3】本発明の電気治療装置から出力される電気治療用パルス波形の概略図である。
図4】本発明の電気治療装置の回路図である。
図5】本発明の電圧調整回路の回路図である。
図6】本発明の制御ユニットから出力される制御信号の概略図である。
図7A】周知の電気治療製品のパルス波形の概略図である。
図7B】本発明の電気治療装置のパルス波形の概略図である。
図8】本発明の電気治療装置の別のパルス波形の概略図である。
図9】本発明の出力制御回路の回路図である。
図10】本発明の制御ユニットから出力される制御信号の概略図である。
図11A】本発明が出力・使用可能なパルス波形の1形態である。
図11B】本発明が出力・使用可能なパルス波形の別形態である。
図11C】本発明が出力・使用可能なパルス波形の別形態である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0013】
出願人は、人が経穴をマッサージする際には、毎回の押圧力を普通は弱から徐々に強くしており、これによって感じる痛みを軽減できるだけでなく、人が力に徐々に適応できるようにさせることで経穴マッサージの心地良さを与えていることに気付いた。そこで、出願人は上記の特性に基づき、本発明の刺激強度を漸増可能な電気治療装置を設計した。図2を参照する。
1つの実施例では、電気治療装置1は少なくとも直流電源ユニット11(乾電池など)、制御ユニット13、パルス出力回路15及び少なくとも1つの電極シート17を含む。
その中で、直流電源ユニット11(電池など)は電気治療装置1の動作に必要な電力を提供することができ、制御ユニット13は複数の制御信号をパルス出力回路15に伝送することができ、パルス出力回路15が直流電源ユニット11から電力を受電した後に、所定波形の電流パルス信号を生成し、且つ電流パルス信号を各電極シート17に伝送させることができ、各電極シート17に対応する電流パルス信号を出力させて、対応するマッサージ手法を形成することができる。
ここで言う「マッサージ手法」とは、隣り合う電流パルス信号の間隔の変更、電流パルス信号の強弱の変更など、人の手によるマッサージを模倣する方式をいう。
【0014】
ここで特に言及すべき点として、上記の電源ユニット11、制御ユニット13、パルス出力回路15と電極シート17などの接続関係は、大抵は周知の電気治療装置のハードウェアアーキテクチャであるが、本発明は別途に以下の技術的特徴を追加している。再び図2を参照する。
本実施例では、電気治療装置1はさらに電圧調整回路12を含む。
その中で、電圧調整回路12は直流電源ユニット11、制御ユニット13及びパルス出力回路15とそれぞれ互いに電気的に接続され、また制御ユニット13は第1制御信号を生成し、且つ電圧調整回路12に伝送することができ、電圧調整回路12は第1制御信号に従って、パルス出力回路15に出力する電圧を調整することができ、パルス出力回路15から出力される電流パルス信号のパルス波形P1、P2が振幅変動(図3の虚円が示す通り、ローレベルから所定のハイレベルまで漸増する)を呈するようにさせて、出力電量を小電流から所定値まで漸増させることができる。
この時、人体(経穴など)に対する各電極シート17の刺激強度が徐々に弱から強になることで、人の手で経穴を押圧する力や触圧感覚が模倣される。
【0015】
上記の技術的特徴を詳細に開示するため、図4及び図5を参照する。図4には図2のハードウェアアーキテクチャの回路図が含まれており、また図5には電圧調整回路12の回路図が含まれている。
本実施例では、電圧調整回路12は第1レジスタR1、第1トランジスタQ1、第2トランジスタQ2、第3レジスタR3及び第1コンデンサC1を含む。
その中で、第1レジスタR1の一端は制御ユニット13から送られてくる第1制御信号を受信することができ、もう一端は第1トランジスタQ1のベース(B、base)に接続され、また第1トランジスタQ1のエミッタ(E、Emitter)は接地され、第1トランジスタQ1のコレクタ(C、Collector)は第2レジスタR2の一端に接続され、第2レジスタR2のもう一端は第2トランジスタQ2のベース(B)に接続され、第2トランジスタQ2のエミッタ(E)はパルス出力回路15に接続され、第2トランジスタQ2のコレクタ(C)は直流電源ユニット11から送られてくる電力を受電することができ、さらに、第3レジスタR3の一端は第2トランジスタQ2のコレクタ(C)に接続されることができ、第3レジスタR3のもう一端は第2トランジスタQ2のベース(B)及び第1コンデンサC1の一端に接続されることができ、第1コンデンサC1のもう一端は接地される。
【0016】
続けて図4図6を参照する。図6は制御ユニット13から出力される制御信号である。その中で、A1の制御信号(波形)は電圧調整回路12に出力され、A2〜A4の制御信号(波形)は初期マッサージ手法波形であり、その他の回路(パルス出力回路15など)に出力され、これらの初期マッサージ手法波形によって使用者の欲する各種の最終マッサージ手法波形に組み合わせることが可能となる。
電圧調整回路12の動作原理について説明する。
最初に第1レジスタR1が第1制御信号を受信する前に、第1レジスタR1はローレベル(若しくは低レベルという)の状態にあり、且つ第1トランジスタQ1はオフ状態を呈しており、第1コンデンサC1は飽和状態を呈している。
その後、A2〜A4が初期マッサージ手法波形を出力する前に、A1が先に1つのパルス(即ち第1制御信号)を第1レジスタR1に出力する。
この時、第1トランジスタQ1は導通状態を呈しており、且つ第1コンデンサC1が放電を開始し、パルスが終了する前に第1コンデンサC1が放電を完了し、第1レジスタR1をローレベルの状態に回復させ、且つ第1コンデンサC1に充電を開始させ、上記過程中、第2トランジスタQ2が先にオフ状態から導通状態に変更され、次に導通状態から増幅状態に変更されて飽和状態に至る。
第1コンデンサC1が充電を開始する時、A2〜A4が対応する初期マッサージ手法波形の出力を開始することで、第2トランジスタQ2を流れる電流を漸増させることができる。これによってパルス出力回路15から出力されるパルス波形(即ち最終マッサージ手法波形)が振幅変動(図3が示す通り)を呈することができるようにしている。
【0017】
再び図4及び図5を参照する。上記の効果以外に、本発明の電圧調整回路12はさらに別の効果も有している。それは即ち、電気治療装置1が出力を開始した瞬間に昇圧回路が出力されたパルス波形に引き起こす干渉を電圧調整回路12が解消できるというものである。上記本発明の電気治療装置1と周知の電気治療製品との違いを詳しく示すため、図7A〜7Bを参照する。
ここで特に言及すべき点として、図7A〜7Bは周知の電気治療製品と電気治療装置1の波形出力画面をそのままキャプチャしたものであるため、試験の関連データや文字が見られる。以下では主にパルス波形N1、N2に対して行った分析を説明する故に、それらの試験データや文字については特に説明しないが、本案全体の技術的特徴に影響するものではないことを理解されたい。
一般的に、周知の電気治療製品中には通常、昇圧回路が設けられている。
図7Aは周知の電気治療製品であるオムロン(OMRON)社から発売されているHV−F128の試験結果である。その中で、使用者が周知の電気治療製品の段階ダイヤルを高く調節して電圧を上げた場合(例えば92ボルトまで上げる)、図7Aの虚線フレーム箇所からはっきりと分かるように、各パルス波形N1がいずれも干渉を受けており、且つ最初が高く後に安定しているが、この現象は人体に極度の不適応を引き起こすものである。それはつまり周知の電気治療製品が出力する各パルス波形N1が人体にとって極めて大きな衝撃感を生じさせるということであり、特に高齢者が周知の電気治療製品を使用した場合には、これによる損傷を一層容易に被ってしまう。
一方で、再び図7Bを参照すると、使用者が本発明の電気治療装置1の段階ダイヤル(図示しない)を高く調節して電圧を上げた場合(例えば84ボルトまで上げる)、図7Bの虚線フレーム箇所からはっきりと分かるように、本発明の電気治療装置1から出力されるパルス波形N2は元々の緩やかに上昇する特性が保たれている。それはつまり本発明の電圧調整回路12が、出力されたパルス波形N2に対して昇圧回路が引き起こす干渉を確実に解消できているということである。
【0018】
ここで特に言及すべき点として、周知の電気治療製品中では通常、パルス出力回路15に近似した回路構造しか設けられていない。それは主に周知の電気治療製品の「マッサージ手法」が非常に簡単で単一なため、複雑で多変的なパルス波形を出力する必要がないからである。
しかし、本発明が達成しようとする効果及び目的は、複雑で多変的な波形Qを出力可能にし、100種類以上の「マッサージ手法」を模倣可能にして、使用者が感じる刺激強度を適切に変更することで「調節麻痺(Accommodation)」という問題の発生を低減できるようにすることであるため、出願人は特に電気治療装置1中に出力制御回路14を追加し、出力制御回路14をその後段のパルス出力回路15と連係させることで、複雑で多変的なパルス波形Q(図8の通り)を出力可能にしている。
図4及び図9を参照する。本実施例では、出力制御回路14は電圧調整回路12、制御ユニット13及びパルス出力回路15のそれぞれと電気的に接続され、且つ制御ユニット13から送られてくる第2制御信号を受信し、また電圧調整回路12から送られてくる電力を受電することができる。
【0019】
再び図4及び図9を参照する本実施例では、出力制御回路14は第4レジスタR4、第3トランジスタQ3、第4トランジスタQ4及び第6レジスタR6を含む。
その中で、第4レジスタR4の一端は制御ユニットから送られてくる第2制御信号を受信することができ、もう一端は第3トランジスタQ3のベース(B)と接続されることができ、第3トランジスタQ3のエミッタ(E)は接地され、第3トランジスタQ3のコレクタ(C)は第5レジスタR5の一端と接続され、また第4トランジスタQ4のベース(E)は第5レジスタR5のもう一端と接続され、また第4トランジスタQ4のコレクタ(C)はパルス出力回路15と接続され、第4トランジスタQ4のエミッタ(E)は第2トランジスタQ2のエミッタ(E)に接続され、第6レジスタR6の一端は第4トランジスタQ4のベース(B)と接続されることができ、そのもう一端は第4トランジスタQ4のエミッタ(E)に接続される。
【0020】
出力制御回路14の動作原理について説明すると、図4及び図9〜10を参照すると、B1の制御信号(波形)は電圧調整回路12に出力される。B2の制御信号(波形)は初期マッサージ手法波形であり、出力制御回路14に出力される。B3〜B4の制御信号(波形)はその他の初期マッサージ手法波形であり、その他の回路(パルス出力回路15など)に出力される。これらの初期マッサージ手法波形によって、パルス出力回路15に図8のようなパルス波形(即ち最終マッサージ手法波形)を出力させている。
また、第4レジスタR4が第2制御信号(即ちB2が出力する波形)を受信した後に、第2制御信号がハイレベル(若しくは高レベルという)である場合には、第3トランジスタQ3と第4トランジスタQ4を順に導通させる。
一方、第2制御信号がローレベルである場合には、第3トランジスタQ3と第4トランジスタQ4がオフ状態を呈するようにさせることで、出力制御回路14がパルス出力回路15に送る電力(即ち波形形態)が調整される。これにより、パルス出力回路15から出力されるパルス波形が調整され、こうして出力制御回路14とパルス出力回路15とを結合させることで、抓む、揉む、叩くなどのマッサージ手法及び弱から強までの力を効果的に模倣して、使用者に人がマッサージしているような感覚を与えることができる。同時に、各種のマッサージ手法を模倣するため、本発明の電気治療装置は、例えば図11A〜11Cが示すように、パルス電流の刺激強度、周波数又は波形を調整して対応するパルス波形を出力できるようにしなければならず、そのうち図11Aでは、波形形態はJ1、その周波数は46Hzであり、且つJ1の波形持続時間は5.4秒であり、継続的に循環する。
図11Bでは、波形形態はJ2、その周波数は30Hzであり、且つJ2の波形持続時間は6.5秒であり、継続的に循環する。
図11Cでは、波形形態はJ3、その周波数は15Hzであり、且つJ3の波形持続時間は6.5秒であり、継続的に循環する。
このように、使用者は同じ刺激強度だけを感じることがなく、これによって使用者の「調節麻痺(Accommodation)」という問題の発生を低減させており、且つ理学療法士がパルス強度を常に手動で調整する必要がなく、使用者に電気治療からもたらされる疼痛の軽減や筋肉状態の増強などの効果を感じさせることができる。
ここで言及すべき点として、図11A〜11Cは異なるパルス波形を示しているに過ぎず、J1〜J3の波形もやはり上記の実施例における出力電流が小電流から漸増するという特徴を備えていることを理解されたい。
【0021】
また、電気治療装置1の電池が低いf電力量にある場合に正常動作を維持できるようにするため、本発明はさらに電気治療装置1中に昇圧型電圧安定化回路16を増設するが、図2及び図4を参照すると、昇圧型電圧安定化回路16は直流電源ユニット11と制御ユニット13の間に設けられ、直流電源ユニット11から送られてくる直流電流を受電することができ、且つ第1電圧(3ボルトなど)で直流電流を制御ユニット13に出力することができる。直流電源ユニット11から送られてくる直流電流の電圧が閾値を下回る状態において、昇圧型電圧安定化回路16が直流電流に対して昇圧処理を行い、これにより第1電圧で直流電流を制御ユニット13に出力し続けることができる。
ここで言及すべき点として、図4は昇圧型電圧安定化回路16の回路図が別途に描かれており、その中で、「Batt_3V」の箇所は直流電源ユニット11(電池など)であり、「Vcc_3V」の箇所は制御ユニット13に接続され、回路が複雑になりすぎることを防いでいる。
【0022】
上述は本発明の好適な実施例に過ぎず、本発明が主張する請求項の範囲を限定するものではない。当業者であれば本発明が開示した技術内容に基づいて同等の効果が得られる改変を容易に想到し得るものであり、それらはすべて本発明の保護範囲を逸脱しない。
【符号の説明】
【0023】
S1〜S3 パルス波形
1 電気治療装置
11 直流電源ユニット
12 電圧調整回路
13 制御ユニット
14 出力制御回路
15 パルス出力回路
16 昇圧型電圧安定化回路
17 電極シート
P1、N1、N2、Q パルス波形
Q1 第1トランジスタ
Q2 第2トランジスタ
Q3 第3トランジスタ
Q4 第4トランジスタ
R1 第1レジスタ
R2 第2レジスタ
R3 第3レジスタ
R4 第4レジスタ
R5 第5レジスタ
R6 第6レジスタ
C1 第1コンデンサ
A1〜A4、B1〜B4 制御信号(波形)
J1〜J3 波形形態
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C