【実施例】
【0013】
出願人は、人が経穴をマッサージする際には、毎回の押圧力を普通は弱から徐々に強くしており、これによって感じる痛みを軽減できるだけでなく、人が力に徐々に適応できるようにさせることで経穴マッサージの心地良さを与えていることに気付いた。そこで、出願人は上記の特性に基づき、本発明の刺激強度を漸増可能な電気治療装置を設計した。
図2を参照する。
1つの実施例では、電気治療装置1は少なくとも直流電源ユニット11(乾電池など)、制御ユニット13、パルス出力回路15及び少なくとも1つの電極シート17を含む。
その中で、直流電源ユニット11(電池など)は電気治療装置1の動作に必要な電力を提供することができ、制御ユニット13は複数の制御信号をパルス出力回路15に伝送することができ、パルス出力回路15が直流電源ユニット11から電力を受電した後に、所定波形の電流パルス信号を生成し、且つ電流パルス信号を各電極シート17に伝送させることができ、各電極シート17に対応する電流パルス信号を出力させて、対応するマッサージ手法を形成することができる。
ここで言う「マッサージ手法」とは、隣り合う電流パルス信号の間隔の変更、電流パルス信号の強弱の変更など、人の手によるマッサージを模倣する方式をいう。
【0014】
ここで特に言及すべき点として、上記の電源ユニット11、制御ユニット13、パルス出力回路15と電極シート17などの接続関係は、大抵は周知の電気治療装置のハードウェアアーキテクチャであるが、本発明は別途に以下の技術的特徴を追加している。再び
図2を参照する。
本実施例では、電気治療装置1はさらに電圧調整回路12を含む。
その中で、電圧調整回路12は直流電源ユニット11、制御ユニット13及びパルス出力回路15とそれぞれ互いに電気的に接続され、また制御ユニット13は第1制御信号を生成し、且つ電圧調整回路12に伝送することができ、電圧調整回路12は第1制御信号に従って、パルス出力回路15に出力する電圧を調整することができ、パルス出力回路15から出力される電流パルス信号のパルス波形P1、P2が振幅変動(
図3の虚円が示す通り、ローレベルから所定のハイレベルまで漸増する)を呈するようにさせて、出力電量を小電流から所定値まで漸増させることができる。
この時、人体(経穴など)に対する各電極シート17の刺激強度が徐々に弱から強になることで、人の手で経穴を押圧する力や触圧感覚が模倣される。
【0015】
上記の技術的特徴を詳細に開示するため、
図4及び
図5を参照する。
図4には
図2のハードウェアアーキテクチャの回路図が含まれており、また
図5には電圧調整回路12の回路図が含まれている。
本実施例では、電圧調整回路12は第1レジスタR1、第1トランジスタQ1、第2トランジスタQ2、第3レジスタR3及び第1コンデンサC1を含む。
その中で、第1レジスタR1の一端は制御ユニット13から送られてくる第1制御信号を受信することができ、もう一端は第1トランジスタQ1のベース(B、base)に接続され、また第1トランジスタQ1のエミッタ(E、Emitter)は接地され、第1トランジスタQ1のコレクタ(C、Collector)は第2レジスタR2の一端に接続され、第2レジスタR2のもう一端は第2トランジスタQ2のベース(B)に接続され、第2トランジスタQ2のエミッタ(E)はパルス出力回路15に接続され、第2トランジスタQ2のコレクタ(C)は直流電源ユニット11から送られてくる電力を受電することができ、さらに、第3レジスタR3の一端は第2トランジスタQ2のコレクタ(C)に接続されることができ、第3レジスタR3のもう一端は第2トランジスタQ2のベース(B)及び第1コンデンサC1の一端に接続されることができ、第1コンデンサC1のもう一端は接地される。
【0016】
続けて
図4〜
図6を参照する。
図6は制御ユニット13から出力される制御信号である。その中で、A1の制御信号(波形)は電圧調整回路12に出力され、A2〜A4の制御信号(波形)は初期マッサージ手法波形であり、その他の回路(パルス出力回路15など)に出力され、これらの初期マッサージ手法波形によって使用者の欲する各種の最終マッサージ手法波形に組み合わせることが可能となる。
電圧調整回路12の動作原理について説明する。
最初に第1レジスタR1が第1制御信号を受信する前に、第1レジスタR1はローレベル(若しくは低レベルという)の状態にあり、且つ第1トランジスタQ1はオフ状態を呈しており、第1コンデンサC1は飽和状態を呈している。
その後、A2〜A4が初期マッサージ手法波形を出力する前に、A1が先に1つのパルス(即ち第1制御信号)を第1レジスタR1に出力する。
この時、第1トランジスタQ1は導通状態を呈しており、且つ第1コンデンサC1が放電を開始し、パルスが終了する前に第1コンデンサC1が放電を完了し、第1レジスタR1をローレベルの状態に回復させ、且つ第1コンデンサC1に充電を開始させ、上記過程中、第2トランジスタQ2が先にオフ状態から導通状態に変更され、次に導通状態から増幅状態に変更されて飽和状態に至る。
第1コンデンサC1が充電を開始する時、A2〜A4が対応する初期マッサージ手法波形の出力を開始することで、第2トランジスタQ2を流れる電流を漸増させることができる。これによってパルス出力回路15から出力されるパルス波形(即ち最終マッサージ手法波形)が振幅変動(
図3が示す通り)を呈することができるようにしている。
【0017】
再び
図4及び
図5を参照する。上記の効果以外に、本発明の電圧調整回路12はさらに別の効果も有している。それは即ち、電気治療装置1が出力を開始した瞬間に昇圧回路が出力されたパルス波形に引き起こす干渉を電圧調整回路12が解消できるというものである。上記本発明の電気治療装置1と周知の電気治療製品との違いを詳しく示すため、
図7A〜7Bを参照する。
ここで特に言及すべき点として、
図7A〜7Bは周知の電気治療製品と電気治療装置1の波形出力画面をそのままキャプチャしたものであるため、試験の関連データや文字が見られる。以下では主にパルス波形N1、N2に対して行った分析を説明する故に、それらの試験データや文字については特に説明しないが、本案全体の技術的特徴に影響するものではないことを理解されたい。
一般的に、周知の電気治療製品中には通常、昇圧回路が設けられている。
図7Aは周知の電気治療製品であるオムロン(OMRON)社から発売されているHV−F128の試験結果である。その中で、使用者が周知の電気治療製品の段階ダイヤルを高く調節して電圧を上げた場合(例えば92ボルトまで上げる)、
図7Aの虚線フレーム箇所からはっきりと分かるように、各パルス波形N1がいずれも干渉を受けており、且つ最初が高く後に安定しているが、この現象は人体に極度の不適応を引き起こすものである。それはつまり周知の電気治療製品が出力する各パルス波形N1が人体にとって極めて大きな衝撃感を生じさせるということであり、特に高齢者が周知の電気治療製品を使用した場合には、これによる損傷を一層容易に被ってしまう。
一方で、再び
図7Bを参照すると、使用者が本発明の電気治療装置1の段階ダイヤル(図示しない)を高く調節して電圧を上げた場合(例えば84ボルトまで上げる)、
図7Bの虚線フレーム箇所からはっきりと分かるように、本発明の電気治療装置1から出力されるパルス波形N2は元々の緩やかに上昇する特性が保たれている。それはつまり本発明の電圧調整回路12が、出力されたパルス波形N2に対して昇圧回路が引き起こす干渉を確実に解消できているということである。
【0018】
ここで特に言及すべき点として、周知の電気治療製品中では通常、パルス出力回路15に近似した回路構造しか設けられていない。それは主に周知の電気治療製品の「マッサージ手法」が非常に簡単で単一なため、複雑で多変的なパルス波形を出力する必要がないからである。
しかし、本発明が達成しようとする効果及び目的は、複雑で多変的な波形Qを出力可能にし、100種類以上の「マッサージ手法」を模倣可能にして、使用者が感じる刺激強度を適切に変更することで「調節麻痺(Accommodation)」という問題の発生を低減できるようにすることであるため、出願人は特に電気治療装置1中に出力制御回路14を追加し、出力制御回路14をその後段のパルス出力回路15と連係させることで、複雑で多変的なパルス波形Q(
図8の通り)を出力可能にしている。
図4及び
図9を参照する。本実施例では、出力制御回路14は電圧調整回路12、制御ユニット13及びパルス出力回路15のそれぞれと電気的に接続され、且つ制御ユニット13から送られてくる第2制御信号を受信し、また電圧調整回路12から送られてくる電力を受電することができる。
【0019】
再び
図4及び
図9を参照する本実施例では、出力制御回路14は第4レジスタR4、第3トランジスタQ3、第4トランジスタQ4及び第6レジスタR6を含む。
その中で、第4レジスタR4の一端は制御ユニットから送られてくる第2制御信号を受信することができ、もう一端は第3トランジスタQ3のベース(B)と接続されることができ、第3トランジスタQ3のエミッタ(E)は接地され、第3トランジスタQ3のコレクタ(C)は第5レジスタR5の一端と接続され、また第4トランジスタQ4のベース(E)は第5レジスタR5のもう一端と接続され、また第4トランジスタQ4のコレクタ(C)はパルス出力回路15と接続され、第4トランジスタQ4のエミッタ(E)は第2トランジスタQ2のエミッタ(E)に接続され、第6レジスタR6の一端は第4トランジスタQ4のベース(B)と接続されることができ、そのもう一端は第4トランジスタQ4のエミッタ(E)に接続される。
【0020】
出力制御回路14の動作原理について説明すると、
図4及び
図9〜10を参照すると、B1の制御信号(波形)は電圧調整回路12に出力される。B2の制御信号(波形)は初期マッサージ手法波形であり、出力制御回路14に出力される。B3〜B4の制御信号(波形)はその他の初期マッサージ手法波形であり、その他の回路(パルス出力回路15など)に出力される。これらの初期マッサージ手法波形によって、パルス出力回路15に
図8のようなパルス波形(即ち最終マッサージ手法波形)を出力させている。
また、第4レジスタR4が第2制御信号(即ちB2が出力する波形)を受信した後に、第2制御信号がハイレベル(若しくは高レベルという)である場合には、第3トランジスタQ3と第4トランジスタQ4を順に導通させる。
一方、第2制御信号がローレベルである場合には、第3トランジスタQ3と第4トランジスタQ4がオフ状態を呈するようにさせることで、出力制御回路14がパルス出力回路15に送る電力(即ち波形形態)が調整される。これにより、パルス出力回路15から出力されるパルス波形が調整され、こうして出力制御回路14とパルス出力回路15とを結合させることで、抓む、揉む、叩くなどのマッサージ手法及び弱から強までの力を効果的に模倣して、使用者に人がマッサージしているような感覚を与えることができる。同時に、各種のマッサージ手法を模倣するため、本発明の電気治療装置は、例えば
図11A〜11Cが示すように、パルス電流の刺激強度、周波数又は波形を調整して対応するパルス波形を出力できるようにしなければならず、そのうち
図11Aでは、波形形態はJ1、その周波数は46Hzであり、且つJ1の波形持続時間は5.4秒であり、継続的に循環する。
図11Bでは、波形形態はJ2、その周波数は30Hzであり、且つJ2の波形持続時間は6.5秒であり、継続的に循環する。
図11Cでは、波形形態はJ3、その周波数は15Hzであり、且つJ3の波形持続時間は6.5秒であり、継続的に循環する。
このように、使用者は同じ刺激強度だけを感じることがなく、これによって使用者の「調節麻痺(Accommodation)」という問題の発生を低減させており、且つ理学療法士がパルス強度を常に手動で調整する必要がなく、使用者に電気治療からもたらされる疼痛の軽減や筋肉状態の増強などの効果を感じさせることができる。
ここで言及すべき点として、
図11A〜11Cは異なるパルス波形を示しているに過ぎず、J1〜J3の波形もやはり上記の実施例における出力電流が小電流から漸増するという特徴を備えていることを理解されたい。
【0021】
また、電気治療装置1の電池が低いf電力量にある場合に正常動作を維持できるようにするため、本発明はさらに電気治療装置1中に昇圧型電圧安定化回路16を増設するが、
図2及び
図4を参照すると、昇圧型電圧安定化回路16は直流電源ユニット11と制御ユニット13の間に設けられ、直流電源ユニット11から送られてくる直流電流を受電することができ、且つ第1電圧(3ボルトなど)で直流電流を制御ユニット13に出力することができる。直流電源ユニット11から送られてくる直流電流の電圧が閾値を下回る状態において、昇圧型電圧安定化回路16が直流電流に対して昇圧処理を行い、これにより第1電圧で直流電流を制御ユニット13に出力し続けることができる。
ここで言及すべき点として、
図4は昇圧型電圧安定化回路16の回路図が別途に描かれており、その中で、「Batt_3V」の箇所は直流電源ユニット11(電池など)であり、「Vcc_3V」の箇所は制御ユニット13に接続され、回路が複雑になりすぎることを防いでいる。
【0022】
上述は本発明の好適な実施例に過ぎず、本発明が主張する請求項の範囲を限定するものではない。当業者であれば本発明が開示した技術内容に基づいて同等の効果が得られる改変を容易に想到し得るものであり、それらはすべて本発明の保護範囲を逸脱しない。