特許第6837529号(P6837529)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6837529
(24)【登録日】2021年2月12日
(45)【発行日】2021年3月3日
(54)【発明の名称】内蔵ブレーキ装置
(51)【国際特許分類】
   B62L 3/02 20060101AFI20210222BHJP
   B60T 11/04 20060101ALI20210222BHJP
   F16B 7/14 20060101ALI20210222BHJP
【FI】
   B62L3/02 Z
   B60T11/04
   F16B7/14 M
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-189219(P2019-189219)
(22)【出願日】2019年10月16日
【審査請求日】2019年10月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】519371585
【氏名又は名称】▲鐘▼ 江平
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】▲鐘▼ 江平
【審査官】 山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第108528604(CN,A)
【文献】 独国実用新案第202010012966(DE,U1)
【文献】 登録実用新案第3051649(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62L 1/00−5/20
B60T 10/00−11/34
F16B 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内蔵ブレーキ装置であって、
ブレーキハンドルと、キャスター部の回転を制御するブレーキと、前記ブレーキハンドルと前記ブレーキとを連結する接続部材と、前記ブレーキハンドルと前記キャスター部とを連結する主ボディとを備え、
前記主ボディは、互いに摺動・固定自在に嵌合された上ボディと下ボディとを含んで、長さ調節可能であり、
前記接続部材は、前記ブレーキハンドルに連結される上棒と、前記ブレーキに連結される下棒と、下ボディに設けられて上ボディの一端が挿入される嵌着部と、前記上棒と前記下棒とを連結する調節部とを有し、
前記上棒は、前記下棒が延伸挿入されるスライド部と、前記スライド部の内側であって、複数ののこぎり歯溝が上下方向に形成された嵌入溝とを有し、
前記嵌着部は、前記下ボディに設けた嵌合環部と、前記嵌合環部に軸着した嵌合環とを有し、
前記調節部は、前記下ボディに設けた下管サポートと、前記下管サポートに固着された下管体と、前記下管体内に設けられ、前記上棒および前記下棒が挿通されるスライド体と、前記下棒に連結され、前記スライド体内に設けられたばね配置部と、前記ばね配置部に向き合う位置に設置される嵌合体と、前記ばね配置部と前記嵌合体との間に設けられ、前記スライド部に延伸し、前記嵌入溝に形成された前記のこぎり歯溝に嵌着するばねと、を有し、前記スライド体は、前記嵌合体に係脱する方向にスライド可能であり、かつ、プッシュ部で前記嵌合体と係合する方向に押圧され、前記嵌合体は前記スライド体に係合して固定され、
前記スライド体は前記嵌合環の回動操作によって前記嵌合体に係脱し、
前記ばねは前記のこぎり歯溝にそれぞれ嵌着する上支持部と下支持部とを有し、
前記嵌合体には、前記主ボディの長さを調整する時に、前記スライド体と係合して固定された状態で、前記上棒が上昇し、前記のこぎり歯溝と前記上支持部及び前記下支持部との嵌着を介して前記上棒に連動する前記ばね及び前記ばねと連動する前記ばね配置部が上昇する過程において、前記上支持部を押圧して前記のこぎり歯溝から脱出させる上突出部と、前記上棒が下降し、前記のこぎり歯溝と前記上支持部及び前記下支持部との嵌着を介して前記上棒に連動する前記ばね及び前記ばねと連動する前記ばね配置部が下降する過程において、前記下支持部を押圧して前記のこぎり歯溝から脱出させる下突出部が形成されていることを特徴とする内蔵ブレーキ装置。
【請求項2】
前記上棒と前記ブレーキハンドルとの間に設けたブレーキ固定器を備え、
前記ブレーキハンドルは、前端と、前記前端の逆側に位置する末端と、前記前端と前記末端との間に形成される作動溝を有し、
前記末端は、ブレーキ未作動位置、一般のブレーキ位置、及びブレーキ固定位置間で変化することが可能であり、前記ブレーキ未作動位置に向けて付勢され、
前記ブレーキ固定器は、前記上ボディに固着された外殻と、前記外殻に固定され、前記作動溝に摺動可能に挿通された軸棒と、前記外殻内に設けられた引掛部と、前記上棒、前記外殻および前記ブレーキハンドルに連結され、前記ブレーキハンドルの動作を受けて前記ブレーキを作動させる接続線とを備え、
前記引掛部は、ブレーキ溝と、前記ブレーキ溝の上方に設けた固定溝を有し、
前記ブレーキハンドルの末端が、ブレーキ未作動位置および一般のブレーキ位置にある時、前記ブレーキハンドルの前端が前記ブレーキ溝に係合し、前記ブレーキハンドルの末端をブレーキ固定位置に切り替えると、前記ブレーキハンドルの前端は前記ブレーキ溝から前記固定溝に移動し、前記末端の前記ブレーキ未作動位置への移動が規制されて、ブレーキ動作が継続されることを特徴とする請求項1に記載の内蔵ブレーキ装置。
【請求項3】
前記ブレーキハンドルに導輪部を設け、前記接続線を前記導輪部に巻きつけて外殻に固設してあることを特徴とする請求項2に記載の内蔵ブレーキ装置。
【請求項4】
前記ブレーキ固定器は、前記上棒に設けられ、前記接続線に連結される上棒体と、前記上棒体と前記外殻との間に設けられたスプリングとを備え、前記スプリングが前記上棒体を押圧することにより、前記ブレーキハンドルの末端が前記ブレーキの未作動位置に向けて付勢されることを特徴とする請求項2に記載の内蔵ブレーキ装置。
【請求項5】
前記嵌合体において前記スライド体に向き合う箇所にへこみ部を形成し、前記スライド体において前記へこみ部に対して突出するスライド突出体を有し、前記プッシュ部の押圧を受けた前記スライド体の前記スライド突出体は前記へこみ部箇所に嵌入されて、前記嵌合体とスライド体とが係合することを特徴とする請求項1或いは2に記載の内蔵ブレーキ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車、キックボード等のボディに内蔵された内蔵ブレーキ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図1に示す通り、従来の内蔵ブレーキ装置1は、ブレーキハンドル11と、キャスター部Aの動きを制御するブレーキ12と、ブレーキハンドル11とブレーキ12を連結させる接続部材13と、上部にブレーキハンドル11が取り付けられ、下部にキャスター部Aが取り付けられた主ボディ2とを備える。
接続部材13は主ボディ2内に設けられ、主ボディ2は相互を嵌着させた上ボディ21と下ボディ22によって構成される。接続部材13は、ブレーキハンドル11に連結された上棒131と、ブレーキ12に連結された下棒132と、上棒131と下棒132のそれぞれを連結させる連結部材133を有する。連結部材133には貫通孔1331を設け、上棒131を連結部材133の一端に固定し、貫通孔1331には下棒132を挿着する。
【0003】
上ボディ21と下ボディ22とを摺動させて主ボディ2の長さを調節する際、下棒132を貫通孔1331内で直接スライドさせると、同時に上棒131もまた上ボディ21、下ボディ22に沿って移動し、適当位置に調節することができる。
ブレーキ12を作動させる時、操作者がブレーキハンドル11を握って力をいれると、連動する上棒131が上に移動し、それと同時に連結部材133が上棒131と連動して傾斜し、さらに、下棒132と貫通孔1331とが嵌着状態であるため、下棒132は上棒131と連動して、その力をブレーキ12に働かせることでブレーキ作動を起こさせる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の内蔵ブレーキ装置1は、長期的に繰り返しブレーキを使用すると、貫通孔1331が下棒132によって摩耗し易く、貫通孔1331が徐々に拡大されてしまうという問題が発生する。貫通孔1331が拡大すると、上棒131が上に引っ張られる際に、連結部材133の貫通孔1331と下棒132との嵌着状態が悪くなり、ブレーキ作動の効果が発揮されなくなる。よって、使用上の不都合を招き、改善が必要であった。
また、内蔵ブレーキ装置1は、操作者がブレーキハンドル11を持続的に握ってこそ、ブレーキ12による効果が発揮される。したがって、操作者がブレーキハンドル11から手を放すとブレーキ12は失効する。操作者がブレーキハンドル11を握っていない状態では内蔵ブレーキ装置1を固定できないため、使用上の不便性があり、改善が必要であった。
本発明が解決しようとする課題は、迅速に主ボディの長さを調節でき、しかも確実にブレーキを作動させることが可能な内蔵ブレーキ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、内蔵ブレーキ装置に関し、ブレーキハンドルと、キャスター部の回転を制御するブレーキと、前記ブレーキハンドルと前記ブレーキとを連結する接続部材と、前記ブレーキハンドルと前記キャスター部とを連結する主ボディとを備え、前記主ボディは、互いに摺動・固定自在に嵌合された上ボディと下ボディとを含んで、長さ調節可能であり、前記接続部材は、前記ブレーキハンドルに連結される上棒と、前記ブレーキに連結される下棒と、下ボディに設けられて上ボディの一端が挿入される嵌着部と、前記上棒と前記下棒とを連結する調節部とを有し、前記上棒は、前記下棒が延伸挿入されるスライド部と、前記スライド部の内側であって、複数ののこぎり歯溝が上下方向に形成された嵌入溝とを有し、前記嵌着部は、前記下ボディに設けた嵌合環部と、前記嵌合環部に軸着した嵌合環とを有し、前記調節部は、前記下ボディに設けた下管サポートと、前記下管サポートに固着された下管体と、前記下管体内に設けられ、前記上棒および前記下棒が挿通されるスライド体と、前記下棒に連結され、前記スライド体内に設けられたばね配置部と、前記ばね配置部に向き合う位置に設置される嵌合体と、前記ばね配置部と前記嵌合体との間に設けられ、前記スライド部に延伸し、前記嵌入溝に形成された前記のこぎり歯溝に嵌着するばねと、を有し、前記スライド体は、前記嵌合体に係脱する方向にスライド可能であり、かつ、プッシュ部で前記嵌合体と係合する方向に押圧され、前記嵌合体は前記スライド体に係合して固定され、前記スライド体は前記嵌合環の回動操作によって前記嵌合体に係脱し、前記ばねは前記のこぎり歯溝にそれぞれ嵌着する上支持部と下支持部とを有し、前記嵌合体には、前記主ボディの長さを調整する時に、前記スライド体と係合して固定された状態で、前記上棒が上昇し、前記のこぎり歯溝と前記上支持部及び下支持部との嵌着を介して前記上棒に連動する前記ばね及び前記ばねと連動する前記ばね配置部が上昇する過程において、前記上支持部を押圧して前記のこぎり歯溝から脱出させる上突出部と、前記上棒が下降し、前記のこぎり歯溝と前記上支持部及び下支持部との嵌着を介して前記上棒に連動する前記ばね及び前記ばね配置部が下降する過程において、前記下支持部を押圧して前記のこぎり歯溝から脱出させる下突出部が形成されている。
【0006】
主ボディの長さを調節する時は、嵌合環を回動操作して緩める。すると、スライド体は嵌合体と係合して定位させ、下棒を固定させ、嵌合体とばねとを非連動状態とする。
この状態で上ボディと下ボディとを伸縮調節し、上棒を移動させる。
このとき、ばねは上棒と連動して移動し、その過程において嵌合体によって位置制限されるため、ばねののこぎり歯溝に対する嵌着固定力が低下する。
また、上棒に順調な伸縮調節を行わせ、調節を終えた後は、嵌合環を固定するだけで、嵌合体はスライド体の定位を受けなくなり、それと同時に下棒には非固定状態が形成される。これにより、上棒と下棒には連動状態が築かれるため、ブレーキ時はブレーキハンドルを握るとすぐに、上棒と下棒が同時に引っ張り動かされてブレーキを作動させる。
【0007】
前記上棒と前記ブレーキハンドルとの間に設けたブレーキ固定器を備え、前記ブレーキハンドルは、前端と、前記前端の逆側に位置する末端と、前記前端と前記末端との間に形成される作動溝を有し、前記末端は、ブレーキ未作動位置、一般のブレーキ位置、及びブレーキ固定位置間で変化することが可能であり、前記ブレーキ未作動位置に向けて付勢され、前記ブレーキ固定器は、前記上ボディに固着された外殻と、前記外殻に固定され、前記作動溝に摺動可能に挿通された軸棒と、前記外殻内に設けられた引掛部と、前記上棒、前記外殻および前記ブレーキハンドルに連結され、前記ブレーキハンドルの動作を受けて前記ブレーキを作動させる接続線とを備え、前記引掛部は、ブレーキ溝と、前記ブレーキ溝の上方に設けた固定溝を有し、前記ブレーキハンドルの末端が、ブレーキ未作動位置および一般のブレーキ位置にある時、前記ブレーキハンドルの前端が前記ブレーキ溝に係合し、前記ブレーキハンドルの末端をブレーキ固定位置に切り替えると、前記ブレーキハンドルの前端は前記ブレーキ溝から前記固定溝に移動し、前記末端の前記ブレーキ未作動位置への移動が規制されて、ブレーキ動作が継続されることがある。
【0008】
前記ブレーキハンドルに導輪部を設け、前記接続線を前記導輪部に巻きつけて外殻に固設することが望ましい。
前記ブレーキ固定器は、前記上棒に設けられ、前記接続線に連結される上棒体と、前記上棒体と前記外殻との間に設けられたスプリングとを備え、前記スプリングが前記上棒体を押圧することにより、前記ブレーキハンドルの末端が前記ブレーキの未作動位置に向けて付勢されることがある。
前記嵌合体において前記スライド体に向き合う箇所にへこみ部を形成し、前記スライド体において前記へこみ部に対して突出するスライド突出体を有し、前記プッシュ部の押圧を受けた前記スライド体の前記スライド突出体は前記へこみ部箇所に嵌入されて、前記嵌合体とスライド体とが係合してもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、嵌合環を回動操作して緩めるだけで、迅速に主ボディの長さを調節することができ、嵌合環を操作してロックすれば、上軸と下軸とを連動させて確実にブレーキを作動させることができ、長期間使用してもブレーキが作動しにくくなる心配がない。
ブレーキハンドルの末端をブレーキ固定位置に切り替えて、ブレーキハンドルの前端をブレーキ溝から固定溝に移動した状態で維持できるようにすれば、ブレーキハンドルを持続的に握っていなくても、ブレーキの作動を継続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】従来の内蔵ブレーキ装置を示し、(a)は側面図、(b)はb部分の拡大断面図である。
図2】本発明の第一実施形態による内蔵ブレーキ装置を示し、(a)は一部を破断した側面図、(b)はb部分の拡大断面図である。
図3】本発明の第一実施形態を示す内蔵ブレーキ装置の分解斜視図である。
図4】本発明の第一実施形態を示す内蔵ブレーキ装置の要部断面図である。
図5】本発明の第一実施形態を示す内蔵ブレーキ装置の主ボディの長さ調節時における要部拡大断面図である。
図6】本発明の第一実施形態を示す内蔵ブレーキ装置の主ボディ伸長時における要部断面図である。
図7】本発明の第一実施形態を示す内蔵ブレーキ装置の主ボディ収縮時における要部断面図である。
図8】本発明の第一実施形態を示す内蔵ブレーキ装置の主ボディの長さ固定時における要部拡大断面図である。
図9】本発明の第二実施形態における内蔵ブレーキ装置を示し、(a)は側面図、(b)はb部分の拡大断面図である。
図10】本発明の第二実施形態を示す内蔵ブレーキ装置のブレーキ作動時における要部断面図である。
図11】本発明の第二実施形態を示す内蔵ブレーキ装置のブレーキ動作固定時における要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第一実施形態)
図2図8は本発明の第一実施形態を示す。
図2に示すように、本発明の第一実施形態による内蔵ブレーキ装置3は、ブレーキハンドル31と、キャスター部Bの回転を制御するブレーキ32と、ブレーキハンドル31とブレーキ32とを連結する接続部材33と、ブレーキハンドル31とキャスター部Bとを連結する主ボディ4とを備える。
【0012】
接続部材33は主ボディ4内に設ける。
主ボディ4は、相互に摺動・固定自在に嵌合される上ボディ41と下ボディ42によって構成され、上ボディ41と下ボディ42とを摺動させて主ボディ4の長さを調節する。上ボディ41の上部にはブレーキハンドル31が取り付けられ、下ボディ42の下部にはキャスター部Bが取り付けられる。
また、接続部材33は、ブレーキハンドル31に連結される上棒331と、ブレーキ32に連結される下棒332と、下ボディ42に設けて上ボディ41の一端と連結される嵌着部333と、上棒331と下棒332とを連結する調節部334を備える。
【0013】
図3に示す通り、上棒331は、下棒332が延伸挿入されるスライド部3311と、スライド部3311の内側であって、複数ののこぎり歯溝33120が上下方向に形成された嵌入溝3312とを有し、のこぎり歯溝33120はスライド部3311の一方の側壁面に形成される。
図2の(b)及び図3に示す通り、嵌着部333は、下ボディ42の上端部外周に設けた嵌合環部3331と、嵌合環部3331に軸着した嵌合環3332とを有する。
【0014】
調節部334は、下ボディ42に設けた下管サポート3340と、下管サポート3340に固着された下管体3341と、下管体3341内に設けられ、上棒331と下棒332が摺動可能に挿通されるスライド体3342と、下棒332に連結され、スライド体3342内に設けられるばね配置部3343と、ばね配置部3343に向き合う位置に設置される嵌合体3344と、ばね配置部3343と嵌合体3344間に設けられ、スライド部3311に延伸し、のこぎり歯溝33120に嵌着されるばね3345と、スライド体3342に設けられ、スライド体3342を嵌合体3344方向に押圧するプッシュ部3346を有する。
スライド体3342は、嵌合体3344に係脱する方向へスライド可能であり、プッシュ部3346によって嵌合体3344と係合する方向へ付勢されている。また、嵌合体3344はスライド体3342と係合して定位される。
【0015】
図4に示す通り、ばね3345の両端にはそれぞれ、のこぎり歯溝33120の異なる位置に係脱可能に嵌着される上支持部33451と下支持部33452とが設けられる。
嵌合体3344は、上支持部33451の上方に臨んで設置され、上支持部33451を押圧可能な上突出部33441と、下支持部33452の下方に臨んで設置され、下支持部3342を押圧可能な下突出部33442とを備える。
【0016】
本実施形態において、図2の(b)および図5に示すように、嵌合体3344のスライド体3342と対応する位置にへこみ部33440を設け、スライド体3342のへこみ部33440と対応する位置にスライド突出体33420を設ける。これにより、スライド体3342がプッシュ部3346から押圧力を受けた時、スライド体3342のスライド突出体33420がへこみ部33440内に延伸し、嵌合体3344をスライド体3342に対して固定させる。
【0017】
図5に示す通り、操作者が主ボディ4の長さを調節する時は、嵌合環3332を回動操作して緩める(押し上げる)。嵌合環3332を押し下げた状態では、スライド体3342が押し込まれて嵌合体3344から離間しているが、嵌合環3332を押し上げると、スライド体3342はプッシュ部3346の押圧を受けて嵌合体3344方向にスライド突出体33420がへこみ部33440内に挿入されるまで移動するため、嵌合体3344はスライド体3342に固定される。嵌合体3344にはばね配置部3343が連結され、ばね配置部3343には下棒332が連結されているので、同時にばね配置部3343および下棒332もスライド体3342に固定される。
次に、上ボディ41を下ボディ42に対して上下動させると、それとともに上棒331も移動する。
【0018】
図5及び図6に示すように、上ボディ41を上方へ引っ張ると、上棒331は上ボディ41の作動を受けて上方向に引っ張られて移動し、主ボディ4の長さを変化させることができる。このとき、上棒331に連動するばね3345が同時に上方向に移動し、嵌合体3344はスライド体3342によって固定される。ばね3345が上へと移動する過程において、ばね3345の上支持部33451は嵌合体3344の上突出部3341の押圧を受けてのこぎり歯溝33120から脱出し、ばね3345の下支持部33452だけがのこぎり歯溝33120に嵌着固定される。これにより、上棒331に対するばね3345の嵌着固定力を弱め、上棒331は下棒332に対して引っ張られて上昇し、必要な長さに調節することができる。
【0019】
図7に示すように、上ボディ41を下方へ押すと、上棒331は上ボディ41の作動を受けて下方向に移動し、主ボディ4の長さを収縮させる。この時、上棒331に連動するばね3345も同時に下へと移動する。嵌合体3344はスライド体3342によって固定され、ばね3345が下へと移動する過程において、ばね3345の下支持部33452は嵌合体3344の下突出部33442によって押圧され、のこぎり歯溝33120から脱出する。これにより、ばね3345の上支持部33451だけがのこぎり歯溝33120に嵌着固定され、さらに、上棒331に対するばね3345の嵌着固定力を低下させるため、上棒331は下棒332に対して下方へ移動して必要な長さに調節される。
これにより、主ボディ4の長さを迅速に調節し、使用における利便性を高める効果を有する。
【0020】
図8に示す通り、主ボディ4の長さを調節した後は、操作者が嵌合環3332を押し下げてロックすると、嵌合環3332がスライド体3342を押圧し、スライド体3342と嵌合体3344とが分離する。すなわちスライド突出体33420とへこみ部33440とが分離状態となり、嵌合体3344はスライド体3342によって固定されない状態となる。ばね3345は上棒331に緊密に係止され、上棒331と下棒332とは相互に固定状態となる。
ブレーキ作動を行って、ブレーキハンドル31を操作し、上棒331がブレーキハンドル31に連動すると、上棒331と下棒332とが連動することによって、ばね配置部3343、ばね3345、嵌合体3344もまた同時に移動する。そして、下棒332によってブレーキ32が作動すると、ブレーキ効果が発揮される。
【0021】
(第二実施形態)
図9図11は、本発明の第二実施形態を示す。
第二実施形態において、第一実施形態と同様の構造および作用についての詳細な説明は省く。
【0022】
第二実施形態において、内蔵ブレーキ装置3は、上棒331とブレーキハンドル31との間に設けたブレーキ固定器34を備える。
ブレーキハンドル31には前端311と、前端311とは逆側にある末端312と、前端311と末端312との間の位置に形成される作動溝313を備える。
末端312の位置は、ブレーキ未作動位置、一般のブレーキ位置、及びブレーキ固定位置間で変化させる。
作動溝313は、ブレーキハンドル31の末端312が未作動位置および一般のブレーキ位置にある時は、ほぼ上下方向に沿う直線部分と、直線部分の上端から上方に向かって次第に前端311側へ傾斜する傾斜部分とを備える。
【0023】
ブレーキ固定器34は、上ボディ41に固着された外殻341と、外殻341に固定され、作動溝313に摺動可能に挿通された軸棒342と、外殻341内に設けられた引掛部343と、上棒331、ブレーキハンドル31および外殻341に連結され、ブレーキハンドル31に動かされる接続線344と、接続線344を巻きつける導輪部345と、上棒331に設けられ、接続線344に連結させる上棒体346と、上棒体346と外殻341との間に設けられて、上棒体346を押し下げるスプリング347とを有する。
軸棒342を作動溝313に挿通することにより、ブレーキハンドル31が上ボディ41に対して回動可能に取り付けられ、ブレーキハンドル31の回動に伴って、軸棒342が作動溝313に沿って移動する。
接続線344は導輪部345の周囲に巻きつけて外殻341に固設し、接続線344がブレーキ過程において生じる摩耗を減らす。
また、引掛部343は、ブレーキ溝3431と、ブレーキ溝3431の上方に設けた固定溝3432を有し、スプリング347が上棒体346を押圧することで、接続線344は常時緊張状態を維持し、ブレーキ動作をさらにスムーズにする。
【0024】
図9の(b)に示すように、一般のブレーキ動作をおこなう前の常態において、末端312はブレーキ未作動位置にあり、前端311はブレーキ溝3431内に回動可能に係合している。この時、軸棒342は作動溝313の直線部分に挿通されている。
図10に示すように、一般のブレーキ動作時は、操作者がブレーキハンドル31の末端312を握り、末端312を一般ブレーキ位置に移動させる。しかも末端312を上方向に移動させる過程において、ブレーキハンドル31の前端311はブレーキ溝3431の押圧を受ける。ブレーキハンドル31を上に移動する時、連動される導輪部345は上に移動し、接続線344と上棒体346とが引っ張られ、それと同時に上棒331も連動して上昇し、さらに下棒332が上に移動してブレーキ32に力を働かせ、ブレーキ作用を達成する。また、軸棒342は作動溝313の直線部分に沿って相対的に下降する。
その逆に、ブレーキハンドル31を緩めると、スプリング347が上棒体346を圧して導輪部345とは逆方向に移動する。この時、軸棒342は作動溝313の直線部分に沿って相対的に上昇する。上棒体346が移動する過程において、連動される接続線344と導輪部345は下へと移動し、ブレーキハンドル31の末端312は未作動位置に戻り、それと同時にブレーキ動作が停止する。
【0025】
図11に示す通り、ブレーキ動作を固定したい場合、操作者はブレーキハンドル31の末端312を下に圧して、末端312を強制的にブレーキ固定位置に変える。すると、ブレーキハンドル31の前端311は、ブレーキ溝3431と固定溝3432との間の膨隆部を乗り越えて固定溝3432に移動する。前端311を移動する過程において、同時に導輪部345がさらに上に移動し、接続線344、上棒体346、上棒331、及び下棒332は引っ張られて、連動されるブレーキ32が作動する。また、軸棒342は作動溝313の直線部分から傾斜部分に移動する。作動溝313の傾斜部分はブレーキハンドル31の前端311が上昇するのに伴って横方向に向くよう回転し、スプリング347の復元力によって作動溝313を上下移動させようとする力が働いても、軸棒342と作動溝313とは相対移動することができず、この結果、ブレーキハンドル31の前端311は固定溝3432に固定される。
また、この状態で操作者がブレーキハンドル31を解放しても、ブレーキハンドル31の前端311の下降が規制されて、ブレーキハンドル31の前端311は固定溝3432に嵌着された状態に維持され、末端312はブレーキ固定位置に保たれ、ブレーキ32によるブレーキ動作を継続させる。これにより、ブレーキを固定させる効果を達成する。
【0026】
その逆に、ブレーキハンドル31の末端312を強制的に押し上げ、ブレーキハンドル31の前端311を固定溝3432からブレーキ溝3431に移動させた後、操作者がブレーキハンドル31を解放すると、末端312が未作動位置に戻り、それと同時にブレーキ動作が停止する。
したがって、ブレーキハンドル31の前端311を固定溝3432またはブレーキ溝3431に嵌着することで、ブレーキ32をコントロールして、一般走行中にブレーキ作用を起こさせたり、ブレーキ32をロック固定する等の多様な動作を可能とする。
【0027】
本発明の内蔵ブレーキ装置3は、ブレーキの調節部334と嵌着部333との設計により、嵌合環3332を緩めることで、プッシュ部3346の押圧を受けたスライド体3342が嵌合体3344を定位させ、さらに下棒332を固定させ、上棒331と下棒332に非連動状態を形成させる。
上ボディ41と下ボディ42を伸縮調節させる時、ばね3345は嵌合体3344の定位を受けてのこぎり歯溝33120に対する嵌着固定力が低下し、上棒331に伸縮調節を行わせる。
【0028】
長さ調節を終えて、嵌合環3332を固定すると、上ボディ41と下ボディ42は嵌合環3332による固定を受け、それと同時に嵌合環3332はスライド体3342を押圧して、嵌合体3344はスライド体3342による定位を受けなくなり下棒332を緩める。これにより、上棒331と下棒332には連動状態が築かれる。
【0029】
また、適時、ブレーキ固定器34を設置することが可能であり、ブレーキハンドル31の前端311をブレーキ溝3431または固定溝3432内に嵌着することにより、一般走行におけるブレーキ32作動や、ブレーキ32のロック固定等をコントロールするマルチ方式を実現する。
【0030】
以上は本発明の実施形態の説明であって、本発明を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない変化や修飾は、すべて本発明の権利範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0031】
(従来技術)
1 内蔵ブレーキ装置
11 ブレーキハンドル
12 ブレーキ
13 接続部材
131 上棒
132 下棒
133 連結部材
1331 貫通孔
2 主ボディ
21 上ボディ
22 下ボディ
A キャスター部
(本発明)
3 内蔵ブレーキ装置
31 ブレーキハンドル
32 ブレーキ
33 接続部材
34 ブレーキ固定器
311 前端
312 末端
313 作動溝
331 上棒
332 下棒
333 嵌着部
334 調節部
341 外殻
342 軸棒
343 引掛部
344 接続線
345 導輪部
346 上棒体
347 スプリング
3311 スライド部
3312 嵌入溝
3331 嵌合環部
3332 嵌合環
3340 下管サポート
3341 下管体
3342 スライド体
3343 ばね配置部
3344 嵌合体
3345 ばね
3346 プッシュ部
3431 ブレーキ溝
3432 固定溝
33120 のこぎり歯溝
33420 スライド突出体
33440 へこみ部
33441 上突出部
33442 下突出部
33451 上支持部
33452 下支持部
4 主ボディ
41 上ボディ
42 下ボディ
B キャスター部
【要約】
【課題】迅速に主ボディの長さを調節でき、しかも確実にブレーキを作動させることが可能な内蔵ブレーキ装置を提供すること。
【解決手段】ブレーキハンドル31とブレーキ32を連結する接続部材33は上棒331と下棒332を有し、上棒331は複数ののこぎり歯溝を有し、下管サポート3340に固着された下管体3341内に、スライド体3342と、下棒332に連結したばね配置部3343と、ばね配置部3343と嵌合体3344の間に設けたばね3345とが設けられ、下ボディ42に設けた嵌合環3332の操作により、スライド体3342がプッシュ部3346で嵌合体方向に押圧され、嵌合体3344はスライド体3342によって定位され、ばね3345はのこぎり歯溝に嵌着する上支持部と下支持部を有し、嵌合体3344に上支持部を押圧する上突出部と、下支持部を押圧する下突出部が形成される。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11