(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6837590
(24)【登録日】2021年2月12日
(45)【発行日】2021年3月3日
(54)【発明の名称】複合プラスチック材料の製造方法及び複合プラスチック材料
(51)【国際特許分類】
C08L 101/00 20060101AFI20210222BHJP
C08J 11/12 20060101ALI20210222BHJP
C08J 3/20 20060101ALI20210222BHJP
C08K 3/04 20060101ALI20210222BHJP
C08K 7/06 20060101ALI20210222BHJP
C08K 3/34 20060101ALI20210222BHJP
B29C 70/06 20060101ALI20210222BHJP
B29C 70/28 20060101ALI20210222BHJP
B09B 3/00 20060101ALI20210222BHJP
【FI】
C08L101/00
C08J11/12CER
C08J3/20 BCER
C08K3/04
C08K7/06
C08K3/34
B29C70/06
B29C70/28
B09B3/00 301W
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2020-72374(P2020-72374)
(22)【出願日】2020年4月14日
(65)【公開番号】特開2020-176261(P2020-176261A)
(43)【公開日】2020年10月29日
【審査請求日】2020年5月29日
(31)【優先権主張番号】特願2019-79943(P2019-79943)
(32)【優先日】2019年4月19日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517044498
【氏名又は名称】土田 哲大
(74)【代理人】
【識別番号】100120086
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼津 一也
(74)【代理人】
【識別番号】100191204
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 春彦
(74)【代理人】
【識別番号】100139262
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 和昭
(73)【特許権者】
【識別番号】511001183
【氏名又は名称】土田 保雄
(73)【特許権者】
【識別番号】520446252
【氏名又は名称】土田 文子
(73)【特許権者】
【識別番号】520446263
【氏名又は名称】古賀 衣都美
(74)【代理人】
【識別番号】100120086
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼津 一也
(72)【発明者】
【氏名】土田 哲大
(72)【発明者】
【氏名】西田 治男
【審査官】
藤井 明子
(56)【参考文献】
【文献】
特開平05−255520(JP,A)
【文献】
特開2006−150294(JP,A)
【文献】
特開2001−223495(JP,A)
【文献】
特開2013−241608(JP,A)
【文献】
特開2018−122299(JP,A)
【文献】
特開昭51−007075(JP,A)
【文献】
特開2016−147956(JP,A)
【文献】
特開昭59−011332(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00−101/14
C08K 3/00−13/08
B09B 1/00−5/00
B29C 70/00−70/88
B29B 17/00−17/04
C08J 3/00−3/28、11/00−11/28、99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも(a)カーボンブラックと熱可塑性樹脂を含む自動車用部品由来のプラスチック材料と、(b)炭素繊維、又は炭素繊維と樹脂成分を含む炭素繊維含有樹脂材料の一方又は双方と、を溶融混合する工程を含む複合プラスチック材料の製造方法であって、
前記カーボンブラックと前記炭素繊維の質量比が4.5:1〜1:8となるように、前記(a)と前記(b)とを溶融混合することを特徴とする複合プラスチック材料の製造方法。
【請求項2】
少なくとも(a)カーボンブラックと熱可塑性樹脂を含む自動車用部品由来のプラスチック材料と、(b)炭素繊維、又は炭素繊維と樹脂成分を含む炭素繊維含有樹脂材料の一方又は双方と、を溶融混合する工程を含む複合プラスチック材料の製造方法であって、
前記複合プラスチック材料の樹脂成分と前記炭素繊維の質量比が99:1〜80:20となるように、前記(a)と前記(b)とを混合することを特徴とする複合プラスチック材料の製造方法。
【請求項3】
少なくとも(a)カーボンブラックと熱可塑性樹脂を含む自動車用部品由来のプラスチック材料と、(b)炭素繊維、又は炭素繊維と樹脂成分を含む炭素繊維含有樹脂材料の一方又は双方と、を溶融混合する工程を含む複合プラスチック材料の製造方法であって、
前記炭素繊維の長さが1〜15mmであることを特徴とする複合プラスチック材料の製造方法。
【請求項4】
少なくとも(a)カーボンブラックと熱可塑性樹脂を含む自動車用部品由来のプラスチック材料と、(b)炭素繊維、又は炭素繊維と樹脂成分を含む炭素繊維含有樹脂材料の一方又は双方(炭素繊維単独の場合を除く)と、を溶融混合する工程を含む複合プラスチック材料の製造方法であって、
前記(b)のうち、前記炭素繊維含有樹脂材料が、炭素繊維を含む廃樹脂材料に由来するものであることを特徴とする複合プラスチック材料の製造方法。
【請求項5】
前記(a)の自動車用部品由来のプラスチック材料が、自動車破砕残渣由来のプラスチック材料であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の複合プラスチック材料の製造方法。
【請求項6】
少なくとも下記の(a)と(b)と(c)を溶融混合する工程を含む複合プラスチック材料の製造方法。
(a)カーボンブラックと熱可塑性樹脂を含む自動車用部品由来のプラスチック材料。
(b)炭素繊維、又は炭素繊維と樹脂成分を含む炭素繊維含有樹脂材料の一方又は双方。
(c)相溶化剤
【請求項7】
前記複合プラスチック材料の樹脂成分と前記炭素繊維の質量比が99:1〜60:40、さらに前記複合プラスチック材料の樹脂成分と前記相溶化剤の質量比が99.8:0.2〜95:5となるように、前記(a)と前記(b)と前記(c)を混合することを特徴とする請求項6に記載の複合プラスチック材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の廃棄に伴い大量に発生する自動車破砕残渣(シュレッダーダストレジデュー:ASR)の中のプラスチック成分等の自動車用部品由来のプラスチック材料を再利用し、高強度、電磁波シールド性能及び帯電防止性を有する複合プラスチック材料を製造する方法及び複合プラスチック材料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、使用済み自動車は、バッテリー、エンジン、タイヤ等の有価部品が取り外された後にプレス及びシュレッダー処理され、鉄屑として再利用されている。このシュレッダー処理時にプラスチック、ゴム、鉄、アルミニウム、銅等々が混在したシュレッダーダストが発生する。約1トンの使用済み自動車1台のシュレッダー処理で約200kgのシュレッダーダストが発生し、日本で年間およそ100万トンのシュレッダーダストが使用済み自動車から発生している。このシュレッダーダストは、埋め立て処分されるか、廃棄物焼却炉にて燃焼・溶融処理されている。
【0003】
ASR中のプラスチック成分は、成分組成が複雑でかつ黒色であるため、比重分離や光学分離が難しく、そのほとんどが焼却処分されていた。しかし、近年、ASRの分離技術が向上し、ゴムや木屑等の異物を分離するだけでなく、タルク等の無機フィラー成分の量に応じたグレード分割技術も開示されている(非特許文献1参照)。しかしながら、分離されたASRは、バージン樹脂に比べて、機械的物性に劣るため、その再利用はほとんど広がっていないのが現状である。従って、回収され分離、グレード分割されたASRについても、バージン樹脂と同様に付加価値を持った性能及び/又は機能が要求されている。また、自動車用部品に使用されるプラスチック部品の多くにはカーボンブラックが充填材として含まれているが、プラスチック材料として再利用する場合に、そのままでは導電性や帯電防止性を殆ど示さない。そのため、導電性、電磁波シールド性能、帯電防止性等の機能を付与するためには、何らかの処理が必要である。
【0004】
一方、炭素繊維で強化された樹脂材料は、今後、様々な構造材料分野での利用が期待されている。自動車の軽量化のために、炭素繊維強化樹脂は、車の外板材料として広く利用されることが予測されている(非特許文献2参照)。
【0005】
しかしながら、使用済みの炭素繊維強化樹脂は、強度の保持が必ずしも保証できないことから、構造材料としての再利用が難しいこと、リサイクルのための破砕が困難であること等の理由から、炭素繊維強化樹脂材料のマテリアルリサイクルはあまり進んでいないのが現状である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】平成27年度低炭素型3R技術・システム実証事業(ASRから材料リサイクルを図る仕組みづくり)報告書(平成28年2月29日、豊田通商株式会社、https://www.env.go.jp/recycle/car/pdfs/h27_report01_mat05.pdf)
【非特許文献2】精密工学会誌、81巻、6号。489−493頁、2015年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、自動車用部品に由来するプラスチック材料に新たな性能及び/又は機能を付与し、付加価値を有する新たな複合プラスチック材料の製造方法及び複合プラスチック材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様は、少なくとも下記の(a)と(b)とを溶融混合する工程を含む複合プラスチック材料の製造方法を提供することにより、上記課題を解決するものである。
【0009】
(a)カーボンブラックと熱可塑性樹脂を含む自動車用部品由来のプラスチック材料。
(b)炭素繊維、又は炭素繊維と樹脂成分を含む炭素繊維含有樹脂材料の一方又は双方。
【0010】
自動車用部品由来のプラスチック材料に炭素繊維を配合することにより、予期しえない機械的強度の向上と新たに電磁波シールド特性及び帯電防止特性を発現させることができる。
【0011】
本発明の第1の態様に係る複合プラスチック材料の製造方法において、前記カーボンブラックと前記炭素繊維の質量比が4.5:1〜1:8となるように、前記(a)と前記(b)とを混合することが好ましい。
【0012】
本発明の第1の態様に係る複合プラスチック材料の製造方法において、前記複合プラスチック材料の樹脂成分と前記炭素繊維の質量比が99:1〜80:20となるように、前記(a)と前記(b)とを溶融混合することが好ましい。
【0013】
本発明の第1の態様に係る複合プラスチック材料の製造方法において、前記炭素繊維の長さが1〜15mmであってもよい。
【0014】
本発明の第1の態様に係る複合プラスチック材料の製造方法において、前記(a)の自動車用部品由来のプラスチック材料が、自動車破砕残渣由来のプラスチック材料であってもよい。
【0015】
本発明の第1の態様に係る複合プラスチック材料の製造方法において、前記(b)のうち、炭素繊維含有樹脂材料が、炭素繊維を含む廃樹脂材料に由来するものであってもよい。
【0016】
本発明の第2の態様は、1又は複数種類の樹脂成分からなり、少なくとも1種類の熱可塑性樹脂を含むマトリックスと、カーボンブラックと、炭素繊維を含み、前記樹脂成分と前記炭素繊維の質量比が99:1〜80:20である複合プラスチック材料を提供することにより上記課題を解決するものである。
【0017】
本発明の第2の態様に係る複合プラスチック材料において、更にタルクを含んでいてもよい。
【0018】
本発明の第3の態様は、少なくとも下記の(a)と(b)と(c)を溶融混合する工程を含む複合プラスチック材料の製造方法を提供することにより上記課題を解決するものである。
(a)カーボンブラックと熱可塑性樹脂を含む自動車用部品由来のプラスチック材料。
(b)炭素繊維、又は炭素繊維と樹脂成分を含む炭素繊維含有樹脂材料の一方又は双方。
(c)相溶化剤
【0019】
本発明の第3の態様に係る複合プラスチック材料の製造方法において、前記複合プラスチック材料の樹脂成分と前記炭素繊維の質量比が99:1〜60:40、さらに前記複合プラスチック材料の樹脂成分と前記相溶化剤の質量比が99.8:0.2〜95:5となるように、前記(a)と前記(b)と前記(c)を混合してもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ASRからの分別により回収されるプラスチック材料等の自動車用部品由来のプラスチック材料に、バージン材料と同等以上の機械的強度に加え、新たに導電性、電磁波シールド性能及び帯電防止性能を付与することができる複合プラスチック材料の製造方法及び複合プラスチック材料が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】複合プラスチック材料の降伏点強度を示すグラフである。
【
図2】複合プラスチック材料の破断強度を示すグラフである。
【
図3】複合プラスチック材料の引張弾性率を示すグラフである。
【
図4】複合プラスチック材料の原料として用いた自動車用部品由来のプラスチック材料(「ASR」)の電磁波シールド性能を示すグラフである。
【
図5】複合プラスチック材料の原料として用いた炭素繊維含有樹脂材料(「CF」)の電磁波シールド性能を示すグラフである。
【
図6】複合プラスチック材料(ASR:CF=9:1)の電磁波シールド性能を示すグラフである。
【
図7】複合プラスチック材料(ASR:CF=8:2)の電磁波シールド性能を示すグラフである。
【
図8】複合プラスチック材料(ASR:CF=7:3)の電磁波シールド性能を示すグラフである。
【
図9】複合プラスチック材料(ASR:CF=6:4)の電磁波シールド性能を示すグラフである。
【
図10】複合プラスチック材料(ASR:CF=5:5)の電磁波シールド性能を示すグラフである。
【
図11】複合プラスチック材料の引張強度を示すグラフである。
【
図12】複合プラスチック材料のひずみエネルギーを示すグラフである。
【
図13】複合プラスチック材料の体積抵抗と表面抵抗を示すグラフである。
【
図14】複合プラスチック材料(ASR(タルク5%以下)+炭素繊維10%+MAPP1%)の電磁波シールド性能を示すグラフである。
【
図15】複合プラスチック材料(ASR(タルク5%以下)+炭素繊維30%+MAPP1%)の電磁波シールド性能を示すグラフである。
【
図16】複合プラスチック材料(ASR(タルク15〜28%)+炭素繊維30%+MAPP1%)の電磁波シールド性能を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態に係る複合プラスチック材料の製造方法及び複合プラスチック材料について説明する。本発明の第1の実施の形態に係る複合プラスチック材料の製造方法(以下、単に「複合プラスチック材料の製造方法」と略称する場合がある。)は、少なくとも下記の(a)と(b)とを溶融混合する工程を含んでいる。
【0023】
(a)カーボンブラックと熱可塑性樹脂を含む自動車用部品由来のプラスチック材料。
(b)炭素繊維(b−1)、又は炭素繊維と樹脂成分を含む炭素繊維含有樹脂材料(b−2)の一方又は双方。
【0024】
すなわち、複合プラスチック材料の製造方法は、上記の(a)と、上記の(b−1)及び(b−2)の一方又は双方((a)及び(b−1)、(a)及び(b−2)、(a)、(b−1)及び(b−2))を溶融混合する工程を含んでいる。
【0025】
ここで、「プラスチック材料」とは、熱可塑性樹脂を主成分とし、加熱することによって融解又は軟化し、応力を印加することによって容易に流動又は塑性変形しうるものを意味する。自動車用部品に用いられるプラスチック材料の大半は、ポリプロピレン、ポリエチレン及びそれらの共重合体である。また、「樹脂材料」には、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂の両者が含まれる。
【0026】
本発明において、「複合」とは、熱溶融可能なプラスチック材料と自動車用部品由来のプラスチック中に含まれるタルク等の無機フィラー成分、カーボンブラックのような有機フィラー成分、また、炭素繊維含有樹脂材料中の炭素繊維成分等の不融不溶の成分とが混合した状態を意味する。ここでタルクは自動車用部品由来のプラスチック中には頻繁に添加される無機フィラーであり、プラスチックの剛性の向上には不可欠な成分である。しかし、ASR中のタルクの含有量が変化すると、本発明の複合プラスチックの物性の安定性を阻害する場合がある。そのため、タルクの含有量を一定範囲内に限定したASRを用いて本発明の複合プラスチックを製造することでより安定で効果的な性能向上と機能付与が可能となる。タルクの含有量を一定範囲内に収める方法としては、ラマン分光分析法による分別技術が開示されており、例えば、タルク含量として、5%以下、5%〜15%、15%〜28%、および28%以上の範囲で分別が可能である。それぞれのタルク含有ASRに本発明の複合プラスチックの製造方法を適用することは、安定的に剛性を制御した複合プラスチックを製造することができるため好ましい態様である。
【0027】
自動車用部品由来のプラスチック材料とは、自動車用部品製造時の規格外品、修理等の際に発生する廃棄品、2005年に施行された自動車リサイクル法に基づき、自動車メーカーが引取り・再資源化を義務づけられた廃自動車由来のプラスチック成分(自動車用部品由来のプラスチック材料)である。使用済み自動車からエアバッグ類やフロン類、ドア、エンジン等の部品を取り外し、破砕(シュレッディング)して得られるASRから、有用金属を回収した後に残る残渣を、ゴム、布帛等と分別して得られるプラスチック成分が、自動車用部品由来のプラスチック材料である。現在、解体・破砕の段階で約8割(重量比)の資源が回収されているが、資源回収後に残った2割弱の残渣を適正処理することで、車両全体の9割以上が再資源化されることになる。
【0028】
「炭素繊維含有樹脂材料」としては、現在、航空機や自動車の素材として、鉄よりも軽量かつ高強度の複合材料として急速に利用が広がっている炭素繊維強化樹脂(CFRP)使用後の破砕物又は熱可塑性樹脂に炭素繊維を含有させた炭素繊維強化熱可塑性樹脂(CFTRP)が挙げられる。従来のCFRPは、高強度を最優先にしているため、樹脂成分として、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を用いていた。しかしながら、CFRPが自動車用部品に利用されるに至って、成形加工性の重要性が高まり、熱可塑性樹脂がマトリックス樹脂として用いられるようになってきている。複合プラスチック材料の製造方法において使用される炭素繊維含有樹脂材料は、熱可塑性樹脂をマトリックス樹脂として用いたCFTRPの方が溶融加工性に優れ、より好適に用いられる。実際の製造現場では、CFRPのシートから必要な部分をカットし、残りの4〜5割が廃棄されるため,大量の繊維状の廃棄物が生じてきている。ここで、CFRPは、燃えにくいのが大きな利点であるが、その反面、その焼却処理には膨大な燃料費を要する。そのため、その殆どが埋め立て処理されているのが実情である。
【0029】
炭素繊維の直径は特に制限されないが、例えば5μm〜10μmである。炭素繊維の長さも特に制限されないが、例えば1mm〜15mmであり、好ましくは5mm〜8mmである。炭素繊維の長さは、機械的物性や電気的物性発現の面では長い方が有効であるが、溶融成形性の面では短い方が有効である。
【0030】
熱可塑性樹脂と炭素繊維の質量比は、99:1〜80:20であることが好ましい。炭素繊維の量が多い方が、機械的物性や電気的物性発現に有効であるが、量が少ない方が、溶融成形性の面では有効である。
【0031】
自動車用部品由来のプラスチック材料と炭素繊維含有樹脂材料の混合は、加熱して熱可塑性樹脂成分を溶融した状態で行われる。この場合、双方の原料の樹脂成分が同一であることが好ましいが、双方の原料の樹脂成分が異なる場合であっても、双方の樹脂が相溶であれば、なんら問題なく分子レベルで混合することができる。双方の樹脂が非相溶であった場合、適切な相溶化剤を添加することによって、均一に混合することが可能である。このような相溶化剤として、例えば、ポリエチレンとポリプロピレンの場合、ポリエチレン連鎖ブロックとポリプロピレン連鎖ブロックを有するブロック共重合体又はグラフト共重合体が好適に用いられる。また、炭素繊維は接着性を高めるために表面酸化処理などによって極性を持たせることがよく行われる。その場合に用いる相溶化剤としては、一般的に入手可能な相溶化剤を何ら制限なく用いることも可能であるが、その分子内に極性基を分子内に有することが望ましい。好適に用いられる相溶化剤としては、無水マレイン酸変性ポリプロピレンや無水マレイン酸変性ポリエチレンなどがある。さらに、炭素繊維は樹脂との接着性を高めるために、その表面がサイジング剤によって塗布されている。サイジング剤は樹脂の化学特性や組成に合わせて調製されることが多いが、炭素繊維本体よりも樹脂との親和性は改善されており、本発明においては、サイジング剤塗布の炭素繊維およびそれを含有した樹脂組成物をそのまま利用することも好適な態様である。
【0032】
この場合、樹脂成分と炭素繊維の質量比が99:1〜80:20となるように、両者を混合することが好ましい。炭素繊維の量が多い方が、機械的物性や電気的物性発現に有効であるが、量が少ない方が、溶融成形性の面では有効である。また、相溶化剤を添加する場合には、炭素繊維をより多く含有させることも好適な態様となる。複合プラスチック材料の樹脂成分と炭素繊維の質量比が99:1〜60:40、さらに複合プラスチック材料の樹脂成分と相溶化剤の質量比が99.8:0.2〜95:5となるようにそれぞれ混合することが好ましい。
【0033】
自動車用部品由来のプラスチック材料と、炭素繊維含有樹脂材料を混合する際の混合比は、要求される性能及び機能に応じて適宜選択することができる。この際、カーボンブラックと炭素繊維の比は、4.5:1〜1:8重量比、より好ましくは、4:1〜1:2重量比の範囲で選択できる。ここで、一般的な自動車破砕残渣(ASR)由来のプラスチック材料中に含まれるカーボンブラックの量は10重量%程度であるため、混合の結果、良好な帯電防止性能や電磁波シールド性能を発現するには、例えば、20重量%の炭素繊維含有樹脂材料との混合比率としては、9:1〜2:8の重量比、より好ましくは、4:1〜1:1の重量比の範囲で選択することができる。後述する実施例でも述べるように、自動車用部品由来のプラスチック材料と炭素繊維含有樹脂材料を混合する際の混合比が、4:6〜5:5(1:1)の重量比範囲である場合に、良好な機械的強度と電磁波シールド性能及び帯電防止性能を発現する。しかしながら、現状、大量のASRが排出されており、その一方で炭素繊維の排出量は相対的に少ない。そのため、ASRを有効にリサイクルするために、自動車用部品由来のプラスチック材料としてASR由来のプラスチック材料を主成分として炭素繊維含有樹脂材料と混合することが、実際上実施しやすく、かつ溶融成形性の面で好ましい態様である。
【0034】
複合プラスチック材料の製造方法により得られる本発明の第2の実施の形態に係る複合プラスチック材料(以下、単に「複合プラスチック材料」と略称される場合がある。)は、炭素繊維を含むことにより、高強度、導電性、電磁波シールド性能及び帯電防止性等の特性が付与される。
【0035】
「高強度」とは、引張強度、弾性係数、ビッカース硬さ等の機械的強度が高いことを意味する。一般的に、変形に対して抗するフィラーの添加は、弾性率の向上をもたらすが、フィラーとプラスチックとの界面が十分に接着していない場合、引張強度や曲げ強度は低下する。したがって、弾性率のみならず、引張強度や曲げ強度の向上をもって高強度とみなすことができる。「導電性」は電気を通す性質をいい、本発明においては、複合プラスチック材料の原料となる自動車用部品由来のプラスチック材料よりも低い電気抵抗率を有することを意味する。
【0036】
「電磁波シールド性能」とは、隔壁によって仕切られた二つの場所の間を電磁場が流れるのを制限する隔壁の機能である。無線周波数の電磁波を遮断するための電磁波シールド性能は、RF遮蔽としても知られている。
【0037】
「帯電防止性」とは、静電気の帯電を防止することをいい、この目的で使用される添加剤を帯電防止剤と呼ぶ。一般的にプラスチックは、静電気を帯びやすく(帯電性)、プラスチックフィルムに帯電した静電気は、製造工程、二次加工工程や最終製品など、それぞれの段階において不具合を発生させる原因となりやすい。例えば、袋の状態で帯電した場合は、周囲のほこりや異物を引き付け、袋が汚染され易くなることが知られている。
【0038】
本発明において、自動車用部品由来のプラスチック材料と炭素繊維含有プラスチック材料を混合することによって、後述する実施例で示すように、驚くべきことに単独の場合よりもはるかに優れた強度、導電性、電磁波シールド性能、及び帯電防止性を発現することが見いだされた。これは、ASR中の成分と炭素繊維とが溶融混合により接触することによってはじめて発現した性能及び機能である。
【0039】
複合プラスチック材料は、上述のとおり、自動車用部品由来のプラスチック材料等の自動車用部品由来のプラスチック材料と炭素繊維含有樹脂材料を混合することによって製造される。複合プラスチックに用いる高分子材料としては、自動車用プラスチックとして用いられるものであれば何ら制限無く用いることが可能である。好適に用いられる熱可塑性樹脂を例示すると、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン類;ポリスチレンやアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、アクリロニトリル−スチレン(AS)樹脂、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン(MBS)樹脂等のスチレン系樹脂類;ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)等の芳香族ポリエステル類;ポリ乳酸やポリカプロラクトン、ポリ(3−ヒドロキシ酪酸)、ポリテトラメチルグリコリド、ポリグリコール酸等の脂肪族ポリエステル類等を挙げることができる。
【0040】
本発明に係る複合プラスチック材料を溶融成形する方法は、炭素繊維を樹脂成分中に均一に分散させることのできる方法であれば、公知の方法を何ら制限なく利用することができる。好適な溶融混練法としては、射出成形機を用いた射出成形法、押出成形機を用いた押出成形法、ブロー成形機を用いたブロー成形法等があり、さらに押出成形法によって作製したシート状の成形体を原料に、真空成形機を用いた真空成形法や圧縮成形機を用いた圧縮成形法による深絞り成形が好適に用いられる。これらの成形法の中でも、汎用性と拡張性等の点から、射出成形法と押出成形法がより好適に用いられる。
【0041】
射出成形法とは、加熱溶融させた材料を金型キャビティー内に射出注入し、冷却・固化させる事によって、成形品を得る方法であり、スプルー及びランナーと呼ばれる部分を通って、成形体の金型キャビティー内に溶融した複合プラスチックが充填される。ここで、炭素繊維は溶融しないので、溶融流動性を必要とする射出成形を実施する際には、流動性に優れた熱可塑性樹脂が選択される。
【0042】
押出成形法とは、加熱されたシリンダーの中でスクリューの回転に伴うせん断応力と発熱により溶融・混合した材料をダイスの押出口から一定速度で押し出しながら冷却固化させる成形法である。射出成形のような高い流動性は必要としないので、押出口から押し出された後、変形しないような粘性の高い高分子量の熱可塑性樹脂が選択される。さらに、押出成形法においては、スクリューによる混練が効果的に行われる。スクリューの形状及び回転方向は様々にあり、用途目的に応じて選択可能である。本発明の複合プラスチック材料の製造においては、より混練度を高めるために、二軸同方向回転スクリューによる混練がより好適な方法である。
【0043】
本発明の第2の実施の形態に係る複合プラスチック材料の製造方法において、例えば、射出成形機を用いて複合プラスチック材料を成形する場合、高い溶融流動性が要求され、また、金型内に充填する前にスクリーンを通してサイズの大きい不融物を濾取するため、炭素繊維の長軸径が比較的小さい方に多く分布している方が成形性には有効である。一方、押出成形機を用いて複合プラスチックを成形する場合、長い繊維状の成分を含む炭素繊維は、溶融した熱可塑性樹脂の中で配向して流動する。そのため、結果として配向した炭素繊維粉末を含むコンポジットが得られるため、繊維強化による機械的物性の向上が発現しやすく好適な製造方法の態様である。
【0044】
以上説明した自動車用部品由来のプラスチック材料と炭素繊維含有樹脂材料を混合することにより製造される複合プラスチック材料は、マトリックス樹脂が同一又は相溶性を持っている場合、カーボンブラックと炭素繊維とをより均一に分散させることができる。これにより、本発明の第1及び第2の実施の形態に係る製造方法により得られ、自動車用部品由来のプラスチック材料と炭素繊維含有樹脂材料を混合してなる複合プラスチック材料は、この高強度、導電性、電磁波シールド性能及び帯電防止性を活用して、車載用各種電子デバイス、各種IT機器、IoT住宅機器、さらには各種医療用機器等の筐体、部品、部材等の多様な用途に好適に用いることができる。
【実施例】
【0045】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、これらの実施例は何ら本発明の範囲を制限するものではない。
【0046】
(実施例1)複合プラスチック材料の作成
自動車用部品由来のプラスチック材料は、九州メタル産業株式会社より提供されたASRを比重分別及びラマン分光分析によりグレード分割したタルク含量が5%未満でカーボンブラック含量が10重量%のポリプロピレン主体のASRペレットを用いた。また、炭素繊維含有樹脂材料(炭素繊維含量20重量%)は、東レ株式会社より提供された約5〜10mm長の裁断されたプリプレグ状の炭素繊維を含んだポリプロピレンペレットを用いた。これらの自動車用部品由来のプラスチック材料と炭素繊維含有樹脂材料は二軸押出機を用いて溶融混練法により作製した。溶融混練条件は、ホッパー温度:90℃、スクリュー上流部温度:180℃、スクリュー下流部温度:190℃、ダイス(出口)温度:200℃とした。そこに、自動車用部品由来のプラスチック材料と炭素繊維含有樹脂材料をホッパーから同時に投入し、回転速度30rpmで溶融混練し、最終的にダイスから複合プラスチックをストランド状に押し出した。
【0047】
二軸押出機で溶融混練した複合プラスチック材料を、熱プレス装置を用いて圧縮成形した。押出機より得られたストランド状のコンポジットをペレット状に細断した後、スペーサーを兼ねた鉄製型枠中に入れ、上下方向からポリエチレンテレフタレート(PET)製のシート、さらにその外側から鉄板で挟み込み、ASONE製熱プレス装置モデル:HC300−15を用いて圧縮成形した。成形条件は、成形温度150℃、溶融時間1分、プレス時間1分、プレス圧力10MPaとした。これを電磁波シールド性能測定用のサンプルとした。同様に、コンポジットをペレット状に細断したものを、JIS K6251、ISO37−1の型を1/3に縮小したサイズの厚さ1mmの鉄製型枠に入れて上記と同様の条件で成形したものを引張試験片とした。上記の各試験サンプルの厚さは、デジタルマイクロメーター(株式会社テクロック、長野、日本、モデルPG−01)を用いて1μmの分解能で10ヶ所測定し、平均膜厚とした。
【0048】
(実施例2)複合プラスチック材料の機械的強度測定
引張試験は、コンパクト引張圧縮試験機モデルIMC−18E0(井元製作所、京都、日本)を用いて行った。試験は23±2℃で1.0mm/minの引張速度で5回行った。
図1に複合プラスチックの降伏点強度、
図2に破断強度、
図3に引張弾性率を示す。この中で、サンプル名のASRとCFは、原材料の自動車用部品由来のプラスチック材料(ASR)と炭素繊維含有樹脂材料(CF)を示す。
図1〜3の結果から、複合プラスチックは原材料の単独プラスチックに比べて著しい強度向上が確認された。
【0049】
(実施例3)複合プラスチック材料の電磁波シールド性能の測定
電磁波シールド性能の測定は、ネットワークアナライザーモデルMS202C(アンリツ株式会社、神奈川県、日本)を用いて、同軸法(株式会社キーコム製)により、0.45〜15GHzの範囲を23±2℃で測定した。
図4に原料ASRの電磁波シールド性能、
図5に原料CFの電磁波シールド性能、
図6〜10に複合プラスチック(ASR:CF=9:1〜5:5)の電磁波シールド性能を示す。
図4の結果から、原料ASRは電磁波シールド性能を有しないことが確認された。
図5の結果から、原料CFには、−10dB程度の電磁波シールド性能があることが確認された。一方、
図6〜10の複合プラスチックの結果から、複合プラスチックは原材料ASRのよりもいずれも電磁波シールド性能が優れており、複合プラスチック(ASR:CF=8:2〜5:5)の範囲では、原料CFよりも優れた電磁波シールド性能が確認された。特に、
図10に示した複合プラスチック(ASR:CF=5:5)では、−25〜−30dBという極めて優れた電磁波シールド性能が認められた。
【0050】
(実施例4)複合プラスチック材料の帯電防止性能の測定
帯電防止性能試験は、体積及び表面電気抵抗値の評価で実施した。体積及び表面電気抵抗値は、Hiresta UP(三菱化学アナリティック株式会社(神奈川県)、model)電極:φ50mm、ガードの内径:φ52.2.mm、プローブ:UR−100)を用いて測定した。1000Vの印加電圧で充電した後、体積及び表面抵抗値を得た。試験は23±2℃で1サンプルにつき3回行った。結果を表1に示す。原料のASRは高い抵抗値を示したが、これにCFを1割加えるだけでも、体積抵抗と表面抵抗のいずれもが測定範囲(10
3〜10
13Ω)よりも低い抵抗値を示し、著しい導電性の向上が認められた。
【0051】
【表1】
【0052】
(実施例5)複合プラスチック材料の作成
自動車用部品由来のプラスチック材料は、九州メタル産業株式会社より提供されたASRを比重分別及びラマン分光分析によりグレード分割したタルク含量が5%未満、および、5〜15%、15〜28%、29%以上の範囲で、カーボンブラック含量が10重量%のポリプロピレン主体の2種類のASRペレットを用いた。また、炭素繊維は吉野株式会社製炭素繊維チョップ1mmを用いた。さらに、相溶化剤として化薬ヌーリオン株式会社製無水マレイン酸変性ポリプロピレン(MAPP)を用いた。これらのASRと炭素繊維、および相溶化剤は二軸押出機を用いて溶融混練法により作製した。溶融混練条件は、ホッパー温度:120℃、スクリュー上流部温度:200℃、スクリュー下流部温度:200℃、ダイス(出口)温度:200℃とした。そこに、各材料をドライブレンドしたものをホッパーから投入し、回転速度30rpmで溶融混練し、最終的にダイスから複合プラスチックをストランド状に押し出した。
【0053】
二軸押出機で溶融混練した複合プラスチック材料を、熱プレス装置を用いて圧縮成形した。押出機より得られたストランド状のコンポジットをペレット状に細断した後、スペーサーを兼ねた鉄製型枠中に入れ、上下方向からポリエチレンテレフタレート(PET)製のシート、さらにその外側から鉄板で挟み込み、ASONE製熱プレス装置モデル:HC300−15を用いて圧縮成形した。成形条件は、成形温度150℃、溶融時間1分、プレス時間1分、プレス圧力10MPaとした。これを電磁波シールド機能測定用のサンプルとした。同様に、コンポジットをペレット状に細断したものを、JIS K6251、ISO37−1の型を1/3に縮小したサイズの厚さ1mmの鉄製型枠に入れて上記と同様の条件で成形したものを引張試験片とした。上記の各試験サンプルの厚さは、デジタルマイクロメーター(株式会社テクロック、長野、日本、モデルPG−01)を用いて1μmの分解能で10ヶ所測定し、平均膜厚とした。
【0054】
(実施例6)複合プラスチック材料の機械的強度測定
引張試験は、コンパクト引張圧縮試験機モデルIMC−18E0(井元製作所、京都、日本)を用いて行った。試験は23±2℃で1.0mm/minの引張速度で5回行った。
図11に複合プラスチックの引張強度、
図12に歪みエネルギーを示す。
図11と12の結果から、複合プラスチックにおいて、原材料の単独プラスチックに比べて著しい強度向上が確認された。
【0055】
(実施例7)複合プラスチック材料の帯電防止性能の測定
帯電防止性能試験は、体積及び表面電気抵抗値の評価で実施した。体積及び表面電気抵抗値は、Loresta UP(三菱化学アナリティック株式会社)を用いて測定した。1000Vの印加電圧で充電した後、体積及び表面抵抗値を得た。試験は23±2℃で1サンプルにつき3回行った。結果を
図13に示す。原料のASRは高い抵抗値を示したが、これに炭素繊維を加えることによって、体積抵抗と表面抵抗のいずれもが非常に低い抵抗値(<10
2Ω)を示し、著しい導電性の向上が認められた。
【0056】
(実施例8)複合プラスチック材料の電磁波シールド性能の測定
電磁波シールド性能試験は、ネットワークアナライザーモデルMS202C(アンリツ株式会社、神奈川県、日本)を用いて、同軸法(株式会社キーコム製)により、0.0375〜15GHzの範囲を23±2℃で測定した。
図14〜16に複合プラスチックの電磁波シールド性能を示す。
図14〜16の複合プラスチックの結果から、複合プラスチックはいずれも原材料ASRよりも電磁波シールド性能が優れており、複合プラスチックは、原料よりも優れた電磁波シールド性能が確認された。特に、
図15に示した複合プラスチック(ASR(タルク5%以下)+炭素繊維30%+MAPP1%)では、−70〜−100dB/mmという極めて優れた電磁波シールド性能が認められた。