(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1に開示されるように、工作機械においてワークの回収に用いられるワークバケットが知られている。このようなワークバケットにおいて、ワークの形状または大きさによっては、ワークがワークに付着したクーラントを介してバケット本体の内壁に張り付く可能性がある。この場合、ワークバケットからのワークの払い出しを円滑に行なうことができない。
【0005】
そこでこの発明の目的は、上記の課題を解決することであり、ワークがバケット本体の内壁に付着することを防ぐワークバケットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の1つの局面に従ったワークバケットは、内壁を有し、内壁により囲まれた空間にワークが投入されるバケット本体と、内壁に設けられ、空間に向けて空気を噴出する空気噴出部とを備える。空気噴出部は、内壁を覆うように設けられる被覆部材を有する。被覆部材には、空気が流れる第1空気通路と、第1空気通路を空間に向けて開口させる開口部とが設けられる。
この発明の別の局面に従ったワークバケットは、内壁を有し、内壁により囲まれた空間にワークが投入されるバケット本体と、内壁に設けられ、空間に向けて空気を噴出する空気噴出部とを備える。バケット本体は、所定軸を中心に回動可能に支持される。バケット本体には、空間が開放され、ワークが投入される投入口が設けられる。内壁は、所定軸を挟んで投入口と対向する底部と、底部から立ち上がり、所定軸を挟んで互いに対向する第1側部および第2側部と、底部から立ち上がり、所定軸の軸方向において互いに対向する第3側部および第4側部とを有する。底部、第1側部、第2側部、第3側部および第4側部のうちの、少なくとも底部、第1側部および第2側部に、空気噴出部が設けられる。
この発明のさらに別の局面に従ったワークバケットは、内壁を有し、内壁により囲まれた空間にワークが投入されるバケット本体と、内壁に設けられ、空間に向けて空気を噴出する空気噴出部と、バケット本体を所定軸を中心に回動可能に支持する支持体と、支持体に接続される軸体とを備える。軸体には、空気噴出部に向けて空気を導入する第2空気通路が設けられる。
この発明
のさらに別の局面に従ったワークバケットは、内壁を有し、内壁により囲まれた空間にワークが投入されるバケット本体と、内壁に設けられ、空間に向けて空気を噴出する空気噴出部とを備える。
【0007】
このように構成されたワークバケットによれば、空気噴出部によりバケット本体の内壁側から空間に向けて空気を噴出することによって、バケット本体の内壁にワークが張り付くことを防止できる。
【0008】
また好ましくは、空気噴出部は、内壁を覆うように設けられる被覆部材を有する。被覆部材には、空気が流れる第1空気通路と、第1空気通路を空間に向けて開口させる開口部とが設けられる。
【0009】
このように構成されたワークバケットによれば、第1空気通路を流れる空気を開口部を通じて空間に向けて噴出することによって、ワークバケットの内壁にワークが張り付くことを防止できる。
【0010】
また好ましくは、被覆部材には、互いに間隔を設けて複数の開口部が設けられる。
【0011】
このように構成されたワークバケットによれば、内壁のより広い範囲において、ワークの張り付きを防止することができる。
【0012】
また好ましくは、被覆部材は、樹脂製である。
【0013】
このように構成されたワークバケットによれば、樹脂製の被覆部材によりバケット本体に投入されるワークを適切に保護しつつ、樹脂製の被覆部材に第1空気通路および開口部を容易に設けることができる。
【0014】
また好ましくは、被覆部材は、空間を画定する表面を有する。表面は、内壁に向けて凹む凹部と、空間に向けて突出し、空間に向けて突出する先端に頂面を有する凸部とが交互に並ぶ凹凸形状を有する。複数の開口部は、頂面で開口する開口部を含む。
【0015】
このように構成されたワークバケットによれば、被覆部材の表面を凹凸形状とすることにより、被覆部材の表面と、その表面に対するワークの接地面との接触面積を低減させることができる。これにより、ワークバケットの内壁にワークが張り付くことをより効果的に防止できる。
【0016】
また好ましくは、バケット本体は、所定軸を中心に回動可能に支持される。バケット本体には、空間が開放され、ワークが投入される投入口が設けられる。内壁は、所定軸を挟んで投入口と対向する底部と、底部から立ち上がり、所定軸を挟んで互いに対向する第1側部および第2側部と、底部から立ち上がり、所定軸の軸方向において互いに対向する第3側部および第4側部とを有する。底部、第1側部、第2側部、第3側部および第4側部のうちの、少なくとも底部、第1側部および第2側部に、空気噴出部が設けられる。
【0017】
このように構成されたワークバケットによれば、バケット本体の回動動作に伴ってワークの張り付きが生じやすいと想定される底部、第1側部および第2側部に空気噴出口を設けることによって、ワークバケットの内壁にワークが張り付くことをより確実に防止できる。
【0018】
また好ましくは、ワークバケットは、バケット本体を所定軸を中心に回動可能に支持する支持体と、支持体に接続される軸体とをさらに備える。軸体には、空気噴出部に向けて空気を導入する第2空気通路が設けられる。
【0019】
このように構成されたワークバケットによれば、空気噴出部への空気の導入路が外部に露出することを抑制できる。
【発明の効果】
【0020】
以上に説明したように、この発明に従えば、ワークがバケット本体の内壁に付着することを防ぐワークバケットを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0023】
図1は、この発明の実施の形態におけるワークバケットを用いた工作機械を示す斜視図である。
図1を参照して、工作機械100は、回転するワークに工具を接触させることによって、ワーク加工を行なう旋盤である。工作機械100は、コンピュータによる数値制御によって、ワーク加工のための各種動作が自動化されたNC(Numerically Control)工作機械である。
【0024】
図1中には、水平方向に平行なZ軸と、Z軸方向と直交し、鉛直方向に対して斜め方向に延びるX軸とが示されている。
図1を示す紙面の斜め右下の手前側が、+Z軸方向に対応し、
図1を示す紙面の斜め左上の奥側が、−Z軸方向に対応する。
【0025】
工作機械100は、スプラッシュガード21と、扉部(不図示)とを有する。スプラッシュガード21は、扉部とともに、加工エリア150を区画形成している。加工エリア150は、ワークの加工が行なわれる空間であり、ワーク加工に伴う切屑または切削油等の異物が加工エリア150の外側に漏出しないように密閉されている。扉部が開状態とされることによって、加工エリア150が外部空間に開放される。
【0026】
工作機械100は、ワーク主軸26と、刃物台(不図示)とをさらに有する。ワーク主軸26は、Z軸方向に延びる回転中心軸110を中心にワークを回転させる。ワーク主軸26は、ワークを着脱可能に保持するためのチャック27を有する。チャック27は、Z軸方向に直交するスプラッシュガード21の側面22から、加工エリア150内に突出するように設けられている。
【0027】
刃物台は、加工エリア150内に設けられている。刃物台は、複数の工具を着脱可能に保持可能なように構成されている。刃物台は、Z軸方向に延びる旋回中心軸を中心にして旋回可能であり、その旋回動作に伴って、複数の工具を旋回中心軸の周方向に移動させるタレットタイプである。刃物台は、Z軸方向と、X軸方向とに移動可能である。
【0028】
図2は、ワークバケットの動作を示す図である。
図1および
図2を参照して、工作機械100は、ワークバケット10をさらに有する。ワークバケット10は、加工エリア150内に設けられている。ワークバケット10は、ワーク主軸26から加工後のワークを自動的に回収するための装置である。
【0029】
ワークバケット10は、バケット本体51と、支持体31と、軸体40とを有する。バケット本体51は、一方向を向いて開口された箱形状を有する。バケット本体51は、金属製である。バケット本体51は、ワークを収容可能な空間53を形成している。バケット本体51には、投入口52が設けられている。投入口52は、空間53を加工エリア150内の空間に開放する開口からなる。投入口52は、矩形形状の開口面を有する。
【0030】
バケット本体51は、チャック27(回転中心軸110)よりも下方に設けられている。バケット本体51は、Z軸方向においてチャック27とオーバーラップする範囲を有しつつ、チャック27よりも+Z軸方向に寄った位置に設けられている。ワークは、投入口52を通じて空間53に投入される。
【0031】
バケット本体51は、支持体31によって、第1回動中心軸130(所定軸)を中心に回動可能に支持されている。第1回動中心軸130は、Z軸方向に延びている。第1回動中心軸130は、第1回動中心軸130の軸方向に見て、投入口52と、バケット本体51の重心位置との間に位置している。バケット本体51は、外力が加えられない状態において、投入口52が上方を向いて開口する姿勢とされる。
【0032】
支持体31は、基部32と、第1アーム部33と、第2アーム部34とを有する。第1アーム部33および第2アーム部34は、バケット本体51に対して、第1回動中心軸130を中心に回動可能なように接続されている。基部32は、第1アーム部33および第2アーム部34を接続している。
【0033】
基部32は、第1回動中心軸130の軸方向に延びている。第1アーム部33は、+Z軸方向における基部32の端部から、第1回動中心軸130の半径方向内側に向けて延びている。第1アーム部33は、第1回動中心軸130の軸上において、バケット本体51に対して接続されている。第2アーム部34は、−Z軸方向における基部32の端部から、第1回動中心軸130の半径方向内側に向けて延びている。第2アーム部34は、第1アーム部33と平行に延びている。第2アーム部34は、第1回動中心軸130の軸上において、バケット本体51に対して接続されている。
【0034】
軸体40は、支持体31に接続されている。軸体40は、加工エリア150内でバケット本体51を支持している。
【0035】
軸体40は、第1軸体41と、第2軸体46とを有する。第1軸体41は、支持体31(基部32)に接続されている。第1軸体41は、Z軸方向における基部32の中間位置において基部32に接続されている。第1軸体41は、基部32から第1回動中心軸130の半径方向外側に向けて延びている。
【0036】
第2軸体46は、スプラッシュガード21および第1軸体41を接続している。第2軸体46は、第2回動中心軸120の軸上で延びている。第2回動中心軸120は、第1回動中心軸130(Z軸)と平行である。第2回動中心軸120は、チャック27(回転中心軸110)よりも下方に位置している。
【0037】
−Z軸方向における第2軸体46の端部は、スプラッシュガード21(側面22)と接続されている。第2軸体46は、スプラッシュガード21(側面22)から+Z軸方向に離れた位置で、第1軸体41と接続されている。
【0038】
ワークバケット10は、アクチュエータ48をさらに有する。アクチュエータ48は、回転運動を出力するモータ等からなる。アクチュエータ48は、加工エリア150の外部に設けられている。
【0039】
アクチュエータ48は、第2軸体46と接続されている。第2軸体46は、アクチュエータ48からの回転運動が伝達されることによって、第2回動中心軸120を中心にして順方向または逆方向に回動可能である。第2軸体46の回動動作に伴って、第1軸体41が第2回動中心軸120を中心に揺動し、バケット本体51が第2回動中心軸120の周方向に移動する。
【0040】
ワークバケット10は、ワーク回収箱161をさらに有する。ワーク回収箱161は、加工エリア150の外部に設けられている。ワーク回収箱161は、第2軸体46(第2回動中心軸120)よりも下方に設けられている。ワーク回収箱161は、Z軸方向に見て、第2回動中心軸120を挟んでチャック27(回転中心軸110)の反対側に設けられている。
【0041】
ワーク回収箱161には、回収口162が設けられている。回収口162は、Z軸方向と直交する水平方向を向いて開口している。回収口162は、加工エリア150の内部を向いて開口している。
【0042】
バケット本体51は、第2軸体46の回動動作に伴って、チャック27(回転中心軸110)の直下に位置決めされる第1位置(
図2中のバケット本体51Aに示される位置)と、ワーク回収箱161に近接して位置決めされる第2位置(
図2中のバケット本体51Bに示される位置)との間で移動可能である。
【0043】
ワーク主軸26に保持されたワークの加工が完了したあと、バケット本体51が、第1位置に位置決めされる。バケット本体51は、投入口52が上方を向いて開口する姿勢とされている。チャック27によるワークの保持を解除することによって、ワークが、投入口52を通じて、バケット本体51内の空間53に投入される。
【0044】
次に、第2軸体46を第2回動中心軸120を中心に回動動作させることによって、バケット本体51を第1位置から第2位置に向けて移動させる。このとき、バケット本体51は、第1回動中心軸130を中心に回動することによって、投入口52が上方を向いて開口する姿勢を維持する。
【0045】
バケット本体51が第2位置に近づくと、姿勢制御機構(不図示)がバケット本体51と係合する。バケット本体51は、第1回動中心軸130を中心に回動することによって、投入口52が上方を向いて開口する姿勢から、投入口52が水平方向を向いて開口する姿勢に変化する。バケット本体51が第2位置に位置決めされた時に、バケット本体51の投入口52が、ワーク回収箱161の回収口162と対向する。ワークは、自重によって、バケット本体51内の空間53から、投入口52および回収口162を順に通じて、ワーク回収箱161内に払い出しされる。
【0046】
なお、ワーク主軸26に対するバケット本体51の進退動作は、上記に限られない。たとえば、ピストン等の直動式アクチュエータを用いて、バケット本体51をZ軸方向に直交する水平方向に移動させる構成であってもよい。また、本実施の形態では、バケット本体51からのワークの払い出しが、第1回動中心軸130を中心とするバケット本体51の回動動作によって実現されているが、これに限られず、たとえば、バケット本体51の底部が開動作することによって、バケット本体51内のワークが払い出しされてもよい。
【0047】
図3は、
図1中のワークバケットを示す上面図である。
図4は、
図3中のIV−IV線上の矢視方向に見たワークバケットを示す断面図である。
図5は、
図4中のV−V線上の矢視方向に見たワークバケットを示す断面図である。
図6は、
図4中の2点鎖線VIで囲まれた範囲のワークバケットを示す断面図である。
【0048】
図3から
図6を参照して、バケット本体51は、内壁56を有する。空間53は、内壁56に囲まれた空間により区画形成されている。内壁56は、底部56Tと、第1側部56Rと、第2側部56Sと、第3側部56Pと、第4側部56Qとを有する。
【0049】
底部56Tは、第1回動中心軸130を挟んで投入口52と対向している。底部56Tは、第1回動中心軸130と平行な平面からなる。底部56Tは、平面視した場合に、矩形形状を有する。バケット本体51が投入口52が上方を向いて開口する姿勢とされた場合に、底部56Tは上方を向いている。第1回動中心軸130を中心とするバケット本体51の回動動作に伴って、底部56Tの傾きが変化する。
【0050】
第1側部56Rおよび第2側部56Sは、底部56Tから立ち上がっている。第1側部56Rおよび第2側部56Sは、第1回動中心軸130を挟んで互いに対向している。第1側部56Rおよび第2側部56Sは、第1回動中心軸130と平行な平面からなる。バケット本体51が投入口52が上方を向いて開口する姿勢とされた場合に、第1側部56Rおよび第2側部56Sは斜め上方向を向いている。第1回動中心軸130を中心とするバケット本体51の回動動作に伴って、第1側部56Rおよび第2側部56Sの傾きが変化する。
【0051】
第3側部56Pおよび第4側部56Qは、底部56Tから立ち上がっている。第3側部56Pおよび第4側部56Qは、第1回動中心軸130の軸方向において互いに対向している。第3側部56Pおよび第4側部56Qは、第1回動中心軸130と直交する平面からなる。第3側部56Pおよび第4側部56Qは、第1側部56Rおよび第2側部56Sとともに、投入口52の開口縁を規定している。第3側部56Pおよび第4側部56Qは、第1回動中心軸130を中心とするバケット本体51の姿勢に拘わらず、水平方向(Z軸方向)を向いている。
【0052】
第4側部56Qは、スプラッシュガード21の側面22から見て、第3側部56Pよりも手前側に配置されている。バケット本体51が第2位置(
図2中のバケット本体51Bに示される位置)に位置決めされた場合に、第2側部56Sは、第1側部56Rの下方に配置される。
【0053】
ワークバケット10は、空気噴出部60をさらに有する。空気噴出部60は、内壁56に設けられている。空気噴出部60は、空間53に向けて空気を噴出するように構成されている。
【0054】
空気噴出部60は、底部56T、第1側部56R、第2側部56S、第3側部56Pおよび第4側部56Qのうちの、少なくとも底部56T、第1側部56Rおよび第2側部56Sに設けられている。空気噴出部60は、底部56T、第1側部56Rおよび第2側部56Sに設けられている。
【0055】
空気噴出部60は、被覆部材61を有する。被覆部材61は、ポリプロピレンまたはポリアミド等の樹脂製である。被覆部材61は、内壁56を覆うように設けられている。被覆部材61は、被覆部材61が覆う箇所のバケット本体51の厚み方向と同じ方向が厚み方向となる平板形状を有する。
【0056】
被覆部材61は、被覆底部61Tと、第1被覆側部61Rと、第2被覆側部61Sと、第3被覆側部61Pと、第4被覆側部61Qとを有する。被覆底部61Tは、内壁56の底部56Tを覆うように設けられている。第1被覆側部61Rは、内壁56の第1側部56Rを覆うように設けられている。第2被覆側部61Sは、内壁56の第2側部56Sを覆うように設けられている。第3被覆側部61Pは、内壁56の第3側部56Pを覆うように設けられている。第4被覆側部61Qは、内壁56の第4側部56Qを覆うように設けられている。
【0057】
被覆部材61には、第1空気通路66と、開口部67とが設けられている。第1空気通路66および開口部67は、被覆底部61T、第1被覆側部61Rおよび第2被覆側部61Sに設けられている。
【0058】
第1空気通路66には、空気が流れる。開口部67は、第1空気通路66を空間53に向けて開口させる。開口部67は、第1空気通路66および空間53の間を連通させるように設けられている。被覆部材61には、複数の開口部67が設けられている。複数の開口部67は、互いに間隔を設けて配置されている。
【0059】
被覆底部61T、第1被覆側部61Rおよび第2被覆側部61Sの各被覆部材61には、複数の第1空気通路66が設けられている。複数の第1空気通路66は、第1回動中心軸130と平行に延びている。複数の第1空気通路66は、各被覆部材61において、第1回動中心軸130と直交する方向に互いに間隔を開けて設けられている。
【0060】
第1空気通路66は、内壁56と、内壁56から遠ざかる方向に凹む形状をなす被覆部材61の凹面とによって、区画形成されている。なお、被覆部材61に第1回動中心軸130の軸方向に延びる孔が設けられており、その孔の内側に第1空気通路66が設けられる構成であってもよい。
【0061】
被覆底部61T、第1被覆側部61Rおよび第2被覆側部61Sの各被覆部材61には、複数の開口部67が設けられている。開口部67は、各被覆部材61をその厚み方向に貫通し、第1空気通路66に繋がる貫通孔からなる。開口部67は、円形の開口形状をなしている。複数の開口部67は、各被覆部材61において、第1回動中心軸130の軸方向と、第1回動中心軸130の軸方向に直交する方向とに互いに間隔を開けて設けられている。
【0062】
なお、複数の開口部67の間隔は、被覆底部61T、第1被覆側部61Rおよび第2被覆側部61Sの間で異なる大きさであってもよい。たとえば、被覆底部61Tにおける複数の開口部67の間隔は、第1被覆側部61Rにおける複数の開口部67の間隔よりも小さく、第2被覆側部61Sにおける複数の開口部67の間隔が、被覆底部61Tにおける複数の開口部67の間隔よりもさらに小さい構成であってもよい。
【0063】
また、第1空気通路66および開口部67が、被覆底部61T、第1被覆側部61Rおよび第2被覆側部61Sに加えて、第3被覆側部61Pおよび第4被覆側部61Qに設けられる構成であってもよい。
【0064】
第3被覆側部61Pには、分岐空気通路74が設けられている。分岐空気通路74は、第1回動中心軸130の軸方向に見た場合に、第1回動中心軸130の軸上から、被覆底部61T、第1被覆側部61Rおよび第2被覆側部61Sが配置される三方に向けて延びている。分岐空気通路74は、被覆底部61Tに向けて延びる先で、被覆底部61Tに設けられた複数の第1空気通路66に連通している。分岐空気通路74は、第1被覆側部61Rに向けて延びる先で、第1被覆側部61Rに設けられた複数の第1空気通路66に連通している。分岐空気通路74は、第2被覆側部61Sに向けて延びる先で、第2被覆側部61Sに設けられた複数の第1空気通路66に連通している。
【0065】
ワークバケット10は、第1ボス部71と、第2ボス部72とをさらに有する。第1ボス部71および第2ボス部72は、第1回動中心軸130を中心とする円柱形状を有する。第1ボス部71および第2ボス部72は、空間53の外側に設けられている。第1ボス部71は、第3側部56Pの裏側からバケット本体51に接続されている。第2ボス部72は、第4側部56Qの裏側からバケット本体51に接続されている。
【0066】
支持体31には、第1挿入孔35と、第2挿入孔36とが設けられている。第1挿入孔35は、第1アーム部33に設けられている。第1挿入孔35は、第1回動中心軸130の軸方向において第1アーム部33を貫通する貫通孔からなる。第2挿入孔36は、第2アーム部34に設けられている。第2挿入孔36は、第1回動中心軸130の軸方向において第2アーム部34を貫通する貫通孔からなる。
【0067】
第1挿入孔35に第1ボス部71が挿入され、第2挿入孔36に第2ボス部72が挿入されることによって、第1アーム部33および第2アーム部34が、バケット本体51に対して、第1回動中心軸130を中心に回動可能なように接続されている。
【0068】
第1ボス部71およびバケット本体51には、ボス内空気通路73が設けられている。第1ボス部71およびバケット本体51には、第1回動中心軸130の軸上で延び、第1ボス部71およびバケット本体51を貫通し、第3側部56Pに開口する孔が設けられており、その孔の内側にボス内空気通路73が設けられている。ボス内空気通路73は、分岐空気通路74に連通している。
【0069】
軸体40には、第2空気通路80が設けられている。第2空気通路80は、空気噴出部60に向けて空気を導入する。第2空気通路80は、第1軸体41および第2軸体46に設けられている。第1軸体41は、筒形状を有し、その内側に第2空気通路80が設けられている。第2軸体46には、第2回動中心軸120の軸上で延びる孔が設けられており、その孔の内側に第2空気通路80が設けられている。
【0070】
ワークバケット10は、配管39をさらに有する。配管39の一方端は、継手37を介して、第1軸体41に接続されている。配管39の他方端は、継手38を介して、第1ボス部71に接続されている。第2空気通路80およびボス内空気通路73は、配管39によって、互いに連通されている。
【0071】
第2空気通路80には、加工エリア150の外部において、コンプレッサ等の空気供給源からの配管が接続されている。空気供給源からの空気は、第2空気通路80、ボス内空気通路73および分岐空気通路74を挙げて順に通って、被覆底部61T、第1被覆側部61Rおよび第2被覆側部61Sに設けられた複数の第1空気通路66に供給される。空気は、第1回動中心軸130の軸方向に沿って複数の第1空気通路66を流れる間、複数の開口部67から空間53に向けて噴出される。
【0072】
図7は、ワークを示す斜視図である。
図8は、ワークの払い出し時におけるバケット本体内を示す断面図である。
【0073】
図1から
図8を参照して、第2位置(
図2中のバケット本体51Bに示される位置)に位置決めされたバケット本体51からワーク回収箱161内にワークを払い出す場合に、ワークWがワークWに付着したクーラントを介してバケット本体51の内壁に張り付く現象が起こり得る。たとえば、ワークWが
図7に示される薄い円盤形状を有する場合に、このような現象が顕著となる。
【0074】
これに対して、本実施の形態におけるワークバケット10においては、バケット本体51の内壁56を覆うように被覆部材61を設けるとともに、被覆部材61に空気が流れる第1空気通路66と、第1空気通路66を空間53に向けて開口させる開口部67とを設けることによって、内壁56の側から空間53に向けて空気を噴出する。これにより、被覆部材61と、被覆部材61に対するワークWの接地面との間に薄膜状の空気層を介挿させ、被覆部材61の表面にワークWが張り付くことを防止できる。
【0075】
また、被覆部材61は樹脂製であるため、バケット本体51に投入されるワークWに傷が付くことを防ぎつつ、被覆部材61に第1空気通路66および開口部67を容易に設けることができる。
【0076】
また、第1回動中心軸130を中心に回動動作するバケット本体51においては、ワークWの張り付き現象が、バケット本体51の内壁56を覆う被覆部材61のうちの被覆底部61T、第1被覆側部61Rおよび第2被覆側部61Sに生じやすい。このため、第1空気通路66および開口部67を、被覆底部61T、第1被覆側部61Rおよび第2被覆側部61Sに設けることによって、ワークWの張り付き現象をより確実に防ぐことができる。
【0077】
また、被覆底部61T、第1被覆側部61Rおよび第2被覆側部61Sの各被覆部材61には、互いに間隔を設けて複数の開口部67が設けられている。このような構成により、被覆底部61T、第1被覆側部61Rおよび第2被覆側部61Sの各被覆部材61の平面方向におけるより広い範囲において、ワークWの張り付き現象を防止することができる。
【0078】
図9は、
図8中のワークバケットの変形例を示す断面図である。
図9を参照して、被覆部材61は、表面61aを有する。表面61aは、バケット本体51内の空間53を画定している。表面61aは、内壁56に向けて凹む凹部68pと、空間53に向けて突出し、空間53に向けて突出する先端に頂面69を有する凸部68qとが交互に並ぶ凹凸形状を有する。
【0079】
凹部68pは、互いに隣り合う開口部67の間を通って直線状に延びる溝形状を有する。凹部68pが直線状に延びる方向は、第1回動中心軸130の軸方向であってもよいし、第1回動中心軸130に直交する方向であってもよい。凹部68pは、第1回動中心軸130の軸方向に延びる複数の凹部68pと、第1回動中心軸130に直交する方向に延びる複数の凹部68pとが交わる格子状に設けられてもよい。
【0080】
このような構成によれば、被覆部材61の表面61aを凹凸形状とすることにより、被覆部材61の表面61aと、表面61aに対するワークWの接地面との接触面積を低減させることができる。これにより、ワークWの張り付き現象をより確実に防ぐことができる。
【0081】
以上に説明した、この発明の実施の形態におけるワークバケット10の構造についてまとめると、本実施の形態におけるワークバケット10は、内壁56を有し、内壁56により囲まれた空間53にワークが投入されるバケット本体51と、内壁56に設けられ、空間53に向けて空気を噴出する空気噴出部60とを備える。
【0082】
このように構成された、この発明の実施の形態におけるワークバケット10によれば、空気噴出部60によりバケット本体51の内壁56の側から空間53に向けて空気を噴出することによって、バケット本体51に対するワークの張り付き現象を防止できる。
【0083】
なお、本実施の形態では、バケット本体51の内壁56を覆う被覆部材61に第1空気通路66および開口部67を設ける構成について説明したが、このような構成に限られず、第1空気通路および開口部が、バケット本体51に直接、設けられる構成であってもよい。
【0084】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【解決手段】ワークバケットは、内壁56を有し、内壁56により囲まれた空間53にワークが投入されるバケット本体51と、内壁56に設けられ、空間53に向けて空気を噴出する空気噴出部60とを備える。