(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態に係る温度センサ1について図面を参照して説明する。
温度センサ1は、
図1に示すように、一対のリード線17,17が引き出されるセンサ素子10と、センサ素子10を保持する保持体30と、リード線17,17と保持体30を周囲から覆い、少なくとも横断面における径方向に伸縮が可能な固定筒50と、を備える。温度センサ1は、固定筒50が伸縮の可能な素材で構成されているために、少ない工数で、かつ、リード線17,17の絶縁被覆17B,17Bに与える機械的なダメージを抑えながら、リード線17,17を保持体30に固定できる。
以下、温度センサ1の構成要素を説明した後に、温度センサ1が奏する効果について説明する。
【0014】
〔センサ素子10:
図1および
図4〕
センサ素子10は、
図1および
図4に示すように、感熱体11と、感熱体11の周囲を覆うガラス製の保護層13と、感熱体11に電気的に接続される一対の引出線15,15と、引出線15,15のそれぞれに接続されるリード線17,17と、を備える。引出線15,15とリード線17,17により本発明の一対の電線が構成される。また、センサ素子10は、感熱体11、保護層13、引出線15,15およびリード線17,17の前端部分を覆う保護体19を備える。なお、温度センサ1において、
図1および
図4に示すように、感熱体11が設けられる側を前(F)と定義し、その逆側を後(B)と定義する。ただし、この定義は相対的なものとする。また、温度センサ1において、
図1および
図4に示すように、長手方向(L)、幅方向(W)および高さ方向(H)が定義される。この定義は本実施形態の説明の便宜のために用いられるものであり、本発明を特定するものではない。
【0015】
[感熱体11]
感熱体11は、例えば、サーミスタ(thermistor)が適用される。サーミスタはthermally sensitive resistorの略称であり、温度によって電気抵抗が変化することを利用して温度を測定する金属酸化物である。
サーミスタは、NTC(negative temperature coefficient)とPTC(positive temperature coefficient)に区分されるが、感熱体11にはいずれのサーミスタをも使用できる。
【0016】
NTCサーミスタとして典型的なスピネル構造を有するマンガン酸化物(Mn
3O
4)を基本組成とする酸化物焼結体を感熱体11に用いることができる。この基本構成にM元素(Ni、Co、Fe、Cu、Al及びCrの1種又は2種以上)を加えたM
XMn
3−XO
4の組成を有する酸化物焼結体を感熱体11に用いることができる。さらに、V、B、Ba、Bi、Ca、La、Sb、Sr、Ti及びZrの1種又は2種以上を加えることができる。
また、PTCサーミスタとして典型的なペロブスカイト構造を有する複合酸化物、例えばYCrO
3を基本構成とする酸化物焼結体を感熱体11に用いることができる。
【0017】
[保護層13]
ガラス製の保護層13は、感熱体11を封止して気密状態に保持することによって、環境条件に基づく感熱体11の化学的、物理的変化を抑えるとともに、感熱体11を機械的に保護する。ガラス製の保護層13は、感熱体11の全体に加えて引出線15,15の前端を覆い、引出線15,15を封着する。
なお、ガラス製の保護層13を設けることは、本実施形態において好ましい例にすぎず、保護層13を設けることは任意である。
【0018】
[引出線15,15]
引出線15,15は、感熱体11の図示を省略する一対の電極にそれぞれが電気的に接続される。
引出線15,15は、保護層13により封着されるため、好ましくは線膨張係数が保護層13を構成するガラスと近似するジュメット線が用いられる。なお、ジュメット線は、鉄とニッケルを主成分とする合金を導体(芯線)として用い、そのまわりを銅で被覆した導線である。
【0019】
[リード線17,17]
リード線17,17は、
図4に示すように、導体からなる芯線17A,17Aと、芯線17A,17Aの周囲を覆う絶縁被覆17B,17Bと、を備える。リード線17,17の一端側は、所定の範囲で芯線17A,17Aが絶縁被覆17Bから露出している。この芯線17A,17Aの露出した部分と引出線15,15とが電気的に接続される。
本実施形態では、芯線17Aに接続されたパッド17C,17Cに引出線15の端部が溶接等により接合されることで、引出線15,15と芯線17A,17Aとが電気的に接続される。各リード線17,17の他端は、必要に応じて他の電線を介して、図示しない回路基板に接続される。
【0020】
[保護体19]
保護体19は、
図4に示すように、感熱体11と、保護層13と、感熱体11から引き出される引出線15,15と、引出線15,15に接続されるリード線17,17の一部区間とに亘りセンサ素子10を覆っている。
保護体19は、感熱体11、引出線15,15およびリード線17,17の芯線17A,17Aを衝撃等の外力から保護する。
保護体19は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等のフッ素系樹脂から形成されるのが好ましい。この保護体19は、これらの樹脂材料の他、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂を問わず、適宜な樹脂材料を用いて構成することもできる。
保護体19が透明な樹脂から構成されていると、保護体19の透視によるセンサ素子10の外観検査が可能である。
【0021】
保護体19は、好ましい一例として、長手方向(L)に延びる直方体状の外観形状を有するが、円柱状などの他の外観形状としてもよい。
保護体19は、例えば、金型にセンサ素子10を配置し、射出成形により製造することができる。
【0022】
〔保持体30:
図1,
図2,
図3〕
次に、
図1〜
図3を参照して、保持体30について説明する。
保持体30は、好ましくは、金属材料から構成された単一の部材からなり、センサ素子10が載せられる。
【0023】
保持体30に使用される金属材料は、一般に、樹脂等の他の材料と比べて顕著に熱伝導率が高いので、保持体30を温度測定対象に接するように温度センサ1を配置すれば、温度測定対象の温度変化は保持体30に覆われる感熱体11に迅速に伝達される。この迅速な熱伝達を得るために、保持体30を構成する金属材料としては、例えば、鉄系合金であるステンレス鋼、りん青銅から選択されるのが好ましい。ただし、保持体30に熱伝達の機能を必要としない場合には、必要な剛性を備える樹脂材料等の他の材料から構成されていてもよい。
【0024】
さて、保持体30は、平面視して矩形でかつ偏平な形状を有している基部31と、基部31の前(F)の側に設けられる保持部33と、基部31の後(B)の側に設けられる抜け止め構造37と、を備える。保持体30は、保持部33が展開された形状の例えばステンレス鋼板からなる全体が偏平な打ち抜き材を作成しておき、保護体19を所定位置に配置した後に、曲げ加工することにより保護体19をカシメすることで保持部33を形成することができる。一対のリード線17,17は、基部31に幅方向(W)に並んで支持される。
【0025】
[保持部33(第1保持部34,第2保持部35):
図1,
図2,
図3]
保持部33は、
図1〜
図3に示すように、保護体19の前(F)の側において保護体19を固定する第1保持部34と、第1保持部34より後(B)の側において保護体19を固定する第2保持部35と、を備える。第1保持部34と第2保持部35は、保護体19を保持することにより基部31に対して保護体19を固定する点では同じ機能を有するものの、以下のような違いを有している。つまり、第1保持部34はカシメにより保護体19を保持、固定すること自体が主目的である。これに対して、第2保持部35は第1保持部34よりも広い面積を持って保護体19に接することで、保護体19を介して基部31から伝達される熱を感熱体11に向けて放出することを主目的とする。したがって、第2保持部35が保護体19を保持する力は第1保持部34に比べて弱くてもよい。
【0026】
第1保持部34は、
図2および
図3に示すように、基部31の幅方向(W)の両方の端縁32,32に連なる接続端34Aと、接続端34Aに連なり接続端34Aから高さ方向(H)に立ち上がる側板34Bと、側板34Bに連なり基部31と平行をなす平板34Cと、を備える。
第1保持部34は、幅方向(W)に間隔を空けて設けられる一対の側板34B,34Bにより保護体19を幅方向(W)に押圧して保持する。また、第1保持部34は、高さ方向(H)に間隔を空けて設けられる基部31と平板34C,34Cにより保護体19を高さ方向(H)に押圧する。これら幅方向(W)と高さ方向(H)の押圧によって、保護体19は第1保持部34によってカシメによる固定がなされる。
【0027】
次に、第2保持部35は、
図2および
図3に示すように、基部31の幅方向(W)の一方の端縁32に連なる接続端35Aと、接続端35Aに連なり接続端35Aから高さ方向(H)に立ち上がる第1側板35Bと、第1側板35Bに連なり基部31と平行をなす平板35Cと、平板35Cに連なり第1側板35Bと平行をなす第2側板35Dと、を備える。第2側板35Dの先端35Eには、基部31から微小の隙間が空けられている。
第2保持部35は、基部31に加えて、第1側板35B、平板35Cおよび第2側板35Dにより保護体19を周囲から面接触するように取り囲んでいる。第2保持部35により取り囲まれる保護体19の内部には、感熱体11が設けられる。しかも、第1側板35B、平板35Cおよび第2側板35Dを含む第2保持部35は、長手方向(L)の寸法が第1保持部34に比べて大きく設定されることで、第2保持部35から感熱体11への熱伝達の機能を十分に発揮できるようになっている。
【0028】
[抜け止め構造37:
図1,
図2,
図3]
次に、
図1〜
図3を参照して、抜け止め構造37を説明する。
抜け止め構造37は、基部31の後(B)の側において基部31と一体をなして構成される。
図1(a),(b)に示すように、基部31、抜け止め構造37およびリード線17,17を包囲するように、固定筒50が保持体30に装着される。これにより、基部31と固定筒50とでリード線17,17を高さ方向(H)から挟み込むことで、リード線17,17が基部31に対して固定される。この際、抜け止め構造37は、固定筒50が基部31から抜け落ちるのを抑えるとともに、固定筒50にその内側に向けた張力を発生させる。
【0029】
抜け止め構造37は、
図2および
図3に示すように、基部31の幅方向(W)の両方の端縁32,32から幅方向(W)の外側に向けてそれぞれが張り出す第1突起37A,37Aと、第2突起37B,37Bと、を備える。第1突起37Aと第1突起37Aのそれぞれの先端の幅方向(W)の間隔をW2および第2突起37Bと第2突起37Bのそれぞれの先端の幅方向(W)の間隔をW1とする。そうすると、間隔W1,W2は、基部31の幅方向(W)の寸法W3よりも大きい。詳しくは後述するが、これは固定筒50が装着されたときに、固定筒50に張力を発生させるためである。第1突起37Aと第2突起37Bの間は、第1突起37Aと第2突起37Bの先端よりも幅方向(W)の中心に向けて窪んでいるが、その窪みの間の寸法は、寸法W3よりも大きく設定されている。
【0030】
〔固定筒50:
図1(b),
図5〕
次に、固定筒50について、
図1(b)および
図5を参照して説明する。
【0031】
固定筒50は、一例として、筒状に形成されるグラスウールから構成される。グラスウールとは、ガラス繊維でできた、綿状の素材をいう。グラスウールは、よく知られているように、建築物の断熱材、空調ダクトの配管の断熱材などとして用いられる。
グラスウールは、断熱性を有する他に、伸縮性を有しており、固定筒50は断熱性の他にこの伸縮性を利用することにより、リード線17,17を基部31に固定することができる。
固定筒50は、
図5(a)に示すように、センサ素子10に装着される前の初期状態において、一例として真円の横断面形状を有している。
ただし、グラスウールおよび真円は一例に過ぎず、次に説明する所定の固定機能を発揮する限り、固定筒50の素材、開口形状は任意である。
固定筒50は、
図1(b)に示すように、センサ素子10の基部31の後端Fの側に形成された抜け止め構造37およびリード線17,17を包囲するように装着される。これにより、固定筒50は基部31に対するリード線17,17の相対的な移動を拘束する。ここで、固定筒50の長さは、抜け止め構造37を内包できる程度の長さを有していれば、その長さは本実施形態に限定されない。例えば、固定筒50の前(F)側の端部が保護体19の後(B)側の端部に重畳する長さを有していても良い。
【0032】
固定筒50は、抜け止め構造37およびリード線17,17を内包するように装着すると、
図5(b)に示すように、幅方向(W)に押し広げられる一方、高さ方向(H)に押しつぶされる。こうして、固定筒50からリード線17,17に対して図中の下向きに押圧力P1が加えられる。この押圧力P1は、装着された固定筒50が抜け止め構造37から幅方向(W)に押し広げる張力Tにより生じる。これと同時に、リード線17,17は基部31から図中の上向きに押圧力P2を受ける。これら押圧力P1,P2を生じさせることにより、固定筒50は、リード線17,17を基部31に固定する機能を発揮することができる。
なお、張力Tは、固定筒50が抜け止め構造37に接することにより生じるので、抜け止め構造37の第1突起37A,37Aと、第2突起37B,37Bがリード線17,17よりも幅方向(W)の外側に張り出している必要がある。
【0033】
[固定筒50の装着手順:
図6]
図6を参照して、固定筒50をセンサ素子10に装着する手順を説明する。
はじめに、
図6(a)に示すように、固定筒50は、リード線17,17の他端側から挿入される。
次に、固定筒50をリード線17,17の一端側に移動させ、抜け止め構造37を覆う位置まで固定筒50を押し込む。この押し込む際に、固定筒50には
図5で示すように、押圧力P1,P2および張力Tが生じるので、固定筒50を押し込む作業には相応の力が必要である。また、この押し込みは、センサ素子10の位置を固定する一方で固定筒50を移動させてもよいし、固定筒50を固定する一方でセンサ素子10を移動させてもよい。
所定の装着位置まで固定筒50を移動させることで、本実施形態に係る温度センサ1が得られる。
【0034】
〔効果〕
次に、本実施形態に係る温度センサ1が奏する効果を説明する。
[基本的な効果]
温度センサ1は、固定筒50が装着されることにより、リード線17,17がセンサ素子10の基部31に固定される。固定筒50は伸縮が可能な素材で構成されている例を示している。ここで、リード線17,17を基部31に固定する手段として、例えばカシメを採用することもできるが、カシメはその作業にコストがかかるうえ、カシメによりリード線17,17に深刻なダメージを与えるおそれがある。
これに対し、本実施形態に係る固定筒50を用いれば、リード線17,17をセンサ素子10の基部31へ固定する際に与えるダメージを抑えることができるのに加えて、装着に格別の装置類が不要なため、作業の工数を減らすことができる。つまり、本実施形態によれば、移動が拘束されるリード線17,17の健全性が担保された温度センサ1を安価で得ることができる。
【0035】
[抜け止め構造37による効果]
温度センサ1は、抜け止め構造37を備える。したがって、温度センサ1は振動環境下において用いられたとしても、固定筒50が所定の装着位置から抜け落ちるのを抑えることができるので、基部31に対してリード線17,17を安定して固定できる。特に、以上で説明した実施形態は、基部31の幅方向(W)の両側の端縁32に抜け止め構造37を設けているので、幅方向(W)における抜け止めの効果が得られる。さらに、抜け止め構造37として、それぞれの端縁32,32の双方に第1突起37Aと第2突起37を設けているので、長手方向(L)における抜け止め効果が大きい。
【0036】
また、基部31には抜け止め構造37を構成する第1突起37A,37Aおよび第2突起37B,37Bが、リード線17,17よりも幅方向(W)の外側に突き出している。そのため、固定筒50からリード線17,17に対して押圧力P1およびP2が生じる。この押圧力P1およびP2により固定筒50が抜け止め構造37に接触することが担保されるので、基部31に対するリード線17,17の固定をより確実に行うことができる。
【0037】
[保持部33と固定筒50]
温度センサ1は、前(F)の側においては保持部33がセンサ素子10の保護体19を固定し、後(B)の側においては固定筒50がセンサ素子10のリード線17,17を基部31とともに固定する。したがって、温度センサ1はセンサ素子10の長手方向(L)の広い範囲で固定されているため、温度センサ1が振動環境下に置かれたとしても、保持部33および固定筒50の固定によりセンサ素子10の振動が抑えられる。
【0038】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に置き換えたりすることができる。
【0039】
[抜け止め構造37の構成]
本発明において抜け止め構造には、
図7(c)〜(g)に示す形態を採用することもできる。
図7(c)には、長手方向(L)に一つだけ突起38C,38Cを設けた場合を例示している。この形態においても、固定筒50は幅方向(W)の両側において突起38C,38Cに係止されることにより、所定の抜け止め効果が発揮される。
図7(d)には、平面視して三角形状となる突起38D,38Dを設けた場合を例示している。この形態においても、固定筒50は、幅方向(W)の両側において突起38D,38Dに係止されることにより、所定の抜け止め効果が発揮される。
【0040】
図7(e)には、平面視して矩形となる突起38E,38Eを設けた場合を例示している。この形態においても、固定筒50は幅方向(W)の両側において突起38E,38Eに係止されることにより、所定の抜け止め効果が発揮される。
図7(f)には、平面視して円弧形状となる突起38F,38Fを設けた場合を例示している。この形態においても、固定筒50は、幅方向(W)の両側において突起38F,38Fに係止されることにより、所定の抜け止め効果が発揮される。
図7(g)は、基部31の両側の端縁32,32の一部を幅方向(W)の中心に向けて窪み38E,38Eを備える。この形態においては、固定筒50は、この窪み38E,38Eに入り込むことにより、固定筒50の抜け止めが実現される。
【0041】
さらに、以上で説明した抜け止め構造は、基部31の端縁32に設ける例を示したが、その機能を発揮する限り抜け止め構造を設ける位置は任意である。例えば、基部31のうら面に高さ方向(H)に突出する突起を設けることもできる。この抜け止め構造は、高さ方向(H)に固定筒50を押し広げることにより、リード線17,17を基部31に押し付けることができる。
本実施形態においては、好ましい形態として、抜け止め構造37を備える例を示したが、抜け止めを実現することができれば、本発明の温度センサ1は、抜け止め構造37を備えない構成にしても良い。例えば、固定筒50を静止摩擦係数の大きな素材や伸縮率の高い素材で構成すれば、抜け止め構造37を設けることなく固定筒50が抜け落ちるのを抑えることもできる。
【0042】
[固定筒50の形態]
以上で説明した固定筒50は、開口形状が真円形の例を示したが、前述したように、その形状は任意である。例えば、楕円形、三角形および矩形などの他の形状を有していてもよい。ただし、センサ素子10に装着した際に、必要な押圧力P1,P2が得られるように変形が可能であることが必要である。
固定筒50は、その軸線方向(長手方向(L))において、開口径が一定であってもよいし、開口径が異なる部分があってもよい。例えば、
図7(g)の窪み38E,38Eに対応するように、固定筒50において開口径の小さい部分を有していてもよい。
【0043】
次に、以上で説明した固定筒50は一例としてグラスウールで構成されることを示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、金属メッシュを筒状に成形した部材、シリコーン(Silicone)製のメッシュを筒状に形成した部材などを固定筒50として用いることができる。また、固定筒50は加熱すると収縮する性質、例えば、シリコーンゴム等の熱収縮性を備えた部材を用いてもよい。
【0044】
さらに、固定筒50はセンサ素子10に装着される前から筒状を有しているが、本発明はこれに限定されない。例えば、平面状のグラスウールなどからなる固定筒の素材を用意し、必要な装着位置において、この素材を筒状に巻き回した後に、接着するなどして固定筒50を構成してもよい。この固定筒50も、リード線17,17を基部31に押し付けることができるように当該素材を筒状に巻き回す必要がある。
【0045】
[センサ素子10]
次に、以上で説明したセンサ素子10は一例であり、本発明の温度センサにおいて、異なる形態のセンサ素子を用いることができる。例えば、センサ素子10の保護体19は横断面の形状が矩形であるが、本発明においては、横断面の形状が円形の保護体を用いることができる。
【0046】
[保持体30]
次に、以上で説明した保持体30は一例であり、本発明の保持体として、センサ素子10を保持する機能以外の機能を付加できる。例えば、温度測定対象に温度センサ1をねじ止めにより固定するためのラグ端子としての機能を備えることができる。
少ない工数で、電線、特に絶縁被覆に与える機械的なダメージを抑えることのできる接続部分を備える温度センサを提供することを課題とする。この課題は、感熱体11と、感熱体11に電気的に接続される一対の電線17,17と、感熱体11と一対の電線17,17の一部とを覆う保護体19とを備えるセンサ素子10と、センサ素子10の保持体30と、一対の電線17,17と保持体30を周囲から覆う伸縮が可能な固定筒50と、を備える温度センサ1により解決される。