(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。また、以下の説明では、「前」「後」「左」「右」「上」「下」とは、特に断りのない限り、
図1に示すように遊技機10を正面側(遊技者側)から見た状態で指称するものとする。
なお、以降の説明における「有利」とは、遊技者に対して有利であることを指し、さらに、特に断りがない限り、いわゆるプレミア画像等の演出上の特典を除き、賞球の獲得量(遊技球の払い出し)に関して有利であることを指す。
【0011】
<概要>
本実施形態に係る遊技機10の詳細を説明する前に、本実施形態の特徴の概要を説明する。
本実施形態に係る遊技機10は、いわゆるパチンコ遊技機であり、特徴的な構成として、演出表示手段と、音声出力手段と、演出制御手段と、を少なくとも備える。
【0012】
演出表示手段は、装飾図柄の変動表示及び停止表示を行うものであり、液晶ディスプレイ装置の他、ドラム式やドットマトリックス式の表示装置により実現しうる。
本実施形態における演出表示手段は、例えば、演出表示装置80(メイン表示部81、サブ表示部82等)によって実現される。
【0013】
音声出力手段は、演出表示手段において停止している装飾図柄が変動を開始してから停止若しくは仮停止するまでの期間、又は演出表示手段において仮停止している装飾図柄が再変動してから停止若しくは仮停止するまでの期間のいずれかである変動期間において、複数とおりの音声を出力しうる。
本実施形態における音声出力手段は、例えば、スピーカ33によって実現される。
【0014】
ここで「停止している装飾図柄」とは、前回の図柄変動で最終的に停止し、今回の図柄変動の開始時点において停止している装飾図柄をいい、「仮停止している装飾図柄」と区別される。
ここで「仮停止している装飾図柄」とは、今回の図柄変動で変動していた装飾図柄が当該図柄変動の途中において再変動可能な状態で停止している装飾図柄をいい、小刻みに揺動する等して「停止している装飾図柄」と区別可能に表示される。
ここで「装飾図柄の停止」とは、今回の図柄変動において複数列の装飾図柄の全てが最終的に停止することをいう。本実施形態に即して言えば、各図柄変動において装飾図柄制御手段226によって決定された停止図柄の組み合わせ(左図柄81b、中図柄81c、右図柄81d)が演出表示装置80に停止表示されることをいう。
ここで「装飾図柄の仮停止」とは今回の図柄変動の途中において再変動可能な状態で、複数列の装飾図柄の一部又は全部が停止することをいう。本実施形態に即して言えば、演出表示装置80に仮停止する装飾図柄には、装飾図柄制御手段226によって決定され得る停止図柄の組み合わせに含まれるもの(数字の1〜7を模した装飾図柄)の他、一部の演出(例えば、後述の擬似連演出やゾーン予告演出)の実行に伴って表示され得る特殊な装飾図柄(特殊図柄81e等)も含まれる。
【0015】
演出制御手段は、演出表示手段及び音声出力手段を制御する。
本実施形態における演出制御手段は、例えば、第1副制御基板200又は第1副制御基板200と第2副制御基板300の協働によって実現される。
【0016】
演出制御手段は、一の変動期間の開始タイミングから次の変動期間の終了タイミングまでの第一期間に含まれ且つ互いに異なる複数のタイミングにおいて、一の楽曲に含まれる第一の楽曲パート及び第二の楽曲パートを、音声出力手段によって再生させる場合(以下、第一の場合と称する)がある。
ここで「一の変動期間の開始タイミングから次の変動期間の終了タイミングまでの第一期間に含まれ且つ互いに異なる複数のタイミング」とは、(i)「複数のタイミング」の一部が「一の変動期間」に含まれ、残りが「次の変動期間」に含まれる態様と、(ii)「複数のタイミング」の全部が「一の変動期間」に含まれる態様と、(iii)「複数のタイミング」の全部が「次の変動期間」に含まれる態様と、を少なくとも包含するものである。
ここで「楽曲」とは、複数の楽曲パートから構成されるひとまとまりの音楽(音声)である。本実施形態においては、旋律(メロディ)だけではなく、旋律に合わせて発される人声(歌声やセリフ)についても「楽曲」の一部として扱う。「一の楽曲(同一の楽曲)」とは、その楽曲の原曲として一般に認知されているものに限られず、編曲したもの(原曲とテンポが変化したもの、演奏形態を変化したもの(アカペラ等も含む)、複数の楽器で演奏される楽曲から一部の楽器から発せられる音のみを抽出したもの(歌声のみを抽出したものも含む))も含まれる。
ここで「楽曲パート」とは、「楽曲」を時間的に限定した一部である。「楽曲パート」は、楽曲を構成する基本構成(前奏、Aメロ、Bメロ、間奏、後奏等)に限られず、基本構成の一部(例えば特徴的なキーフレーズを含む小節)についても「楽曲パート」として扱い、又は複数の基本構成をひとまとまりとするもの(例えば1番と2番とから構成される楽曲の1番のみ)についても「楽曲」を時間的に限定したものであれば「楽曲パート」として扱う。
【0017】
本発明に係る遊技機(演出制御手段)は、第一の場合において第一の楽曲パートの再生を開始させる第一タイミングから第二の楽曲パートの再生を開始させる第二タイミングまでの時間長さ(以下、時間Δt1)が、一の楽曲における第一の楽曲パートの開始時から第二の楽曲パートの開始時までの時間長さ(以下、時間Δt2)と異なりうることを特徴とする。
ここで「一の楽曲における第一の楽曲パートの開始時から第二の楽曲パートの開始時までの時間長さ」とは、言い換えれば、一の楽曲を通して再生した場合における第一の楽曲パートの開始時から第二の楽曲パートの開始時までの時間長さである。
ここで「時間Δt1が時間Δt2と異なる」とは、双方の絶対値が異なる場合に限られず、前者が負の値になること、即ち第一の場合において第一の楽曲パートと第二の楽曲パートの再生順序が、一の楽曲を通して再生した場合における再生順序と逆転している場合も含まれる。
【0018】
上記のような特徴を有するので、本発明に係る遊技機は、第一期間(一の変動期間と次の変動期間)という限定的な期間において、同一の楽曲に含まれる複数の楽曲パートを再生させることによって、その期間における演出に一体感を持たせると共に、通常とは異なるタイミングで再生させることによって遊技者に違和感を与えることができ、その第一期間において実行される演出に対する遊技者の関心を強めることができる。特に、再生させる楽曲パートが有名なフレーズを含むものである場合には、その効果を好適に高めることができる。
なお、本発明を実施する遊技機は、必ずしも一の楽曲を通して再生可能な構成(一の楽曲の全部からなる音声データを有している構成)である必要はなく、一の楽曲が遊技者に認知されていることによって、時間Δt1が時間Δt2と異なることを遊技者が体感可能であれば上記の効果を奏する為、本発明の目的を達成できる。
【0019】
以下、本実施形態に係る遊技機10についてより具体的に説明する。
【0020】
<遊技機10の構造について>
まず、
図1から
図4を用いて、遊技機10の構造について説明する。
図1は、遊技機10の正面図である。
図2は、
図1に示す領域IIに配設される図柄表示装置90を示す図である。
図3は、
図1に示す領域IIIに配設される操作ボタン群及びその周辺を示す鳥瞰図である。
図4は、遊技機10内に設置される遊技盤50を示す図である。
なお、
図1から
図4に図示される各構成は、本実施形態の遊技機10を説明する上で必要なものを挙げたに過ぎず、ここに図示しない構成及び機能を遊技機10に追加してもよい。また、遊技機10はここに図示する構成の全部を必ずしも備えなくてもよく、本発明の効果を阻害しない範囲で一部の構成又は機能が省かれても良い。
【0021】
本実施形態の遊技機10は、いわゆるパチンコ機であり、多数の遊技釘(図示省略)が立設された遊技盤50の前面領域(以下、遊技領域50aと称す)に遊技球を発射し、遊技球が入賞口(例えば、大入賞口55等)に入球すると賞球が得られる遊技を行うものである。なお、以下の説明では、入賞口に遊技球が入球することを、単に「(入賞口に)入賞する」と表現する場合がある。
【0022】
遊技機10は、前後に開口する矩形枠状の外枠15と、外枠15の開口前面側に遊技盤50を着脱可能に保持する中枠(図示省略)と、遊技盤50の前面側を覆うよう構成された前枠20と、を備える。
【0023】
前枠20は、ヒンジ機構21により左端側を回動自在に支持され、中枠に対して開閉可能となっている。なお、前枠20は、シリンダ錠23により施錠・解錠が可能となっている。
前枠20は、遊技領域50aを覆うように配置された透明部材25を備え、透明部材25によって遊技領域50a及び遊技盤50を透視保護している。
前枠20は、遊技球を貯留する上球受け皿27及び下球受け皿29を備え、上球受け皿27と下球受け皿29は上下に離間して前枠20と一体的に設けられている。
前枠20は、下球受け皿29の右側方に操作ハンドル31を備え、操作ハンドル31の回動操作によって、上球受け皿27に貯留された遊技球が遊技領域50aに向けて発射されるようになっている。
【0024】
図3に示すように、上球受け皿27の上面には、遊技者に操作される操作ボタン群が配置されている。この操作ボタン群には、玉貸ボタン39a、プリペイドカードの返却操作を受け付ける返却ボタン39b、遊技中に発生する演出を切り替える又は遊技機10に関わる種々の情報を得るために行う遊技者の操作を受け付けることができる演出ボタン37、及びそれぞれ上、下、左、右への操作を指示するためのカーソルボタン38(38a、38b、38c、38d)などが含まれる。
また、上球受け皿27の側方には、図示しないモータ等のアクチュエータにより動作する可動装飾体22が設けられている。
【0025】
下球受け皿29の下部には、下球受け皿29に貯留された遊技球を下方へ排出する球抜き機構36が設けられている。この球抜き機構36を操作することにより、下球受け皿29の底面に形成された底面口(図示省略)が開口して、当該底面口から遊技球が自然落下して排出される。
なお、図示は省略するが、上球受け皿27には、球抜き機構36と同様に、操作することで貯留している球を下球受け皿29へ移動させる機構が設けられ、この機構と球抜き機構36の双方を操作することで、貯留している球を排出することが可能となる。
【0026】
前枠20の上枠部32の左側と右側にそれぞれ一対のスピーカ33(33a、33b)が配設されている。また、前枠20の上枠部32と左右側枠部34a、34bは光透過性のカバーにより形成されており、その内部にはそれぞれ演出ランプ35(35a、35b、35c)が配設されている。スピーカ33や演出ランプ35は、遊技中に発生する演出やエラー演出等と連動して音声出力又は点灯若しくは消灯することができる。
【0027】
演出表示装置80は、遊技盤50の略中央に配設されているメイン表示部81と、メイン表示部81の周囲に配設されているサブ表示部82で構成されている。サブ表示部82は、さらに、メイン表示部81の上方に配設されている上サブ表示部82aと、メイン表示部81の左側に配設されている左サブ表示部82bと、メイン表示部81の右側に配設されている右サブ表示部82cと、を含んでいる。
ここで、メイン表示部81は、固定式の液晶装置であり、上サブ表示部82a、左サブ表示部82b、右サブ表示部82cは、図示しないモータ等のアクチュエータにより動作する可動式の液晶装置である。
【0028】
メイン表示部81は、後述する第1特別図柄表示装置91又は第2特別図柄表示装置92における変動表示に連動して行われる装飾図柄の変動表示を表示することができ、さらに他の各種の演出も表示することができる。
メイン表示部81に表示される装飾図柄の変動表示において、表示される装飾図柄は、3つの図柄列をなす。各図柄列における装飾図柄の変動表示の方向は特に制限されず、例えば、上下方向、左右方向、奥行き方向、又はこれらの組合せ(斜め方向)のいずれであってもよい。
ここで、奥行き方向とは、実際にはメイン表示部81の表示画面上の平面的な変動表示であるにも関わらず、メイン表示部81の奧方から手前方向又はその逆方向に装飾図柄が変動表示しているかのように認識させる手法(例えば、遠近法)を用いた表示態様において、遊技者が認識する仮想的な方向をいう。
【0029】
また、メイン表示部81は、保留表示を表示(出力)することができる。保留表示が表示される領域と、装飾図柄が表示される領域とは、離間してもよいし重複してもよい。
ここで、保留表示とは、後述する作動保留情報のそれぞれに対応する表示であり、その形状や色彩等によって対応する作動保留情報に基づいて実行される図柄変動の有利度を示唆する場合がある。また、以下の説明において、保留表示を変化させる演出について「先読み保留変化演出」又は「保留変化演出」と称する場合がある。
メイン表示部81は、実行中の図柄変動(いわゆる当該変動)に対応しており、且つ保留表示に摸した表示を行うことができる。その表示を保留表示と区別して扱う場合には「当該保留表示」と表記し、当該保留表示と保留表示とを区別なく扱う場合には単に「保留表示」と表記される。
【0030】
上記のように、スピーカ33は音声出力手段である。また、スピーカ33は、メイン表示部81において停止している装飾図柄が変動を開始してから停止若しくは仮停止するまでの期間、又は演出表示手段において仮停止している装飾図柄が再変動してから停止若しくは仮停止するまでの期間のいずれかである変動期間において、複数とおりの音声を出力しうるように構成されている。
従って、スピーカ33は、本発明に係る音声出力手段であると換言できる。
【0031】
サブ表示部82のそれぞれは、主として演出に関連する演出画像を表示するだけでなく、移動可能に構成されている。
なお、それぞれの初期位置は、上サブ表示部82aはメイン表示部81を基準として上側であり、左サブ表示部82bはメイン表示部81を基準として左側であり、右サブ表示部82cはメイン表示部81を基準として右側であり、サブ表示部82のそれぞれは、これらの初期位置からメイン表示部81における装飾図柄の表示領域に重なる位置まで移動可能に構成されている。
【0032】
なお、本実施形態における演出表示装置80(メイン表示部81、上サブ表示部82a、左サブ表示部82b、右サブ表示部82c)には、いずれも液晶表示装置が採用されているが、本発明の実施はこれに限るものではない。例えば、ドラム式やドットマトリックス式等、多様な方式の表示装置を演出表示装置80として採用することができる。
【0033】
メイン表示部81の右下側には、複数の発光ダイオード(light emitting diode、以下LEDと称す)が配設されており、これらのLEDによって図柄表示装置90の表示領域が構成されており、図柄表示装置90には、特別図柄及び普通図柄が表示される。
図柄表示装置90はメイン表示部81よりも遊技者が視認しにくい位置に配設され、図柄表示装置90の表示領域はメイン表示部81の表示領域よりも小さい面積になっている。
なお、本実施形態における図柄表示装置90に係るLEDの配置や数は
図2に示すとおりであるが、これは一例であって、図柄表示装置90に係るLEDの配置や数はこの例に制限されるものではない。
【0034】
特別図柄とは、特別電動役物(例えば、特別電動役物65)を作動させるか否かを決定する図柄変動の結果として停止表示される図柄である。本実施形態における特別図柄には、第1特別図柄表示装置91に表示される第1特別図柄と第2特別図柄表示装置92に表示される第2特別図柄とが含まれる。
特別図柄は「特図」、第1特別図柄は「特
図1」、第2特別図柄は「特
図2」と略称される場合がある。
【0035】
普通図柄とは、普通電動役物(例えば、普通電動役物61)を作動させるか否かを決定する図柄変動の結果として停止表示される図柄である。本実施形態における普通図柄は、普通図柄表示装置93に表示される。
普通図柄は、「普図」と略称される場合があり、普通電動役物は「電チュー」と称される場合がある。
【0036】
図柄表示装置90には、更に、第1特別図柄保留ランプ94、第2特別図柄保留ランプ95、普通図柄保留ランプ96が設けられている。
第1特別図柄保留ランプ94は、保留されている特
図1の図柄変動の数を特定可能とし、第2特別図柄保留ランプ95は、保留されている特
図2の図柄変動の数を特定可能とし、普通図柄保留ランプ96は、保留されている普図の図柄変動の数を特定可能とし、いずれも、2つのLEDの点灯態様(本実施形態では、右常時点灯のみ=1、左右常時点灯=2、右側点滅+左側常時点灯=3、左右点滅=4)によって対応する図柄変動の数を特定可能とするものである。
【0037】
以下の説明では、第1特別図柄表示装置91又は第2特別図柄表示装置92で特図を変動表示させた後に特図を停止表示させる図柄変動を「特図の図柄変動」と称し、普通図柄表示装置93を変動表示させた後に普図を停止表示させる図柄変動を「普図の図柄変動」と称する場合がある。
また、以下の説明では、上述のメイン表示部81に表示される装飾図柄の変動表示は、「特図の図柄変動」や「普図の図柄変動」と区別して「装飾図柄の図柄変動」と称する場合がある。
なお、以下の説明では、単に「図柄変動」と称した場合には、特に断りがない限り特図の図柄変動を意味するものとする。
【0038】
遊技盤50の前面には、多数の遊技釘(図示省略)や風車52、装飾部材といった障害物が配置されていることにより、打ち出された遊技球が転動するように遊技領域50aが画成されている。
また、遊技領域50aの左側及び上側には、操作ハンドル31の回転操作により発射された遊技球を遊技領域50aの上部に案内するために設けられた湾曲形状の外レール51及び内レール53が配置されている。なお、外レール51は、遊技領域50a中央を基準として内レール53より外側に位置している。ここで、風車52とは、遊技球の落下の方向に変化を与えるための機構であって、くぎ状のものをいう。
【0039】
遊技機10は操作ハンドル31の回転操作量(例えば回転角度)の大小によって遊技球の打ち出しの強弱をつけることが可能になっており、より弱く打ち出された遊技球が転動する第1流路X(いわゆる左打ち)、より強く打ち出された遊技球が転動する第2流路Y(いわゆる右打ち)、のいずれか一方を遊技球が転動するように各種障害物が遊技領域50aに配置されている。
【0040】
図4には、主要な入賞口として、大入賞口55、第1始動口57、第2始動口59、ゲート63、一般入賞口67を図示する。ここで、図示する入賞口は一例であり、その数や配置は適宜変更しても構わない。
【0041】
大入賞口55は遊技領域50aの右下部に配置されている。大入賞口55には大入賞口センサ72が付設されており、大入賞口センサ72の検知結果によって大入賞口55への入賞が判定されて、大入賞口55への入賞に対して決められた数(本実施形態では、15)の賞球が付与される。
なお、本実施形態において、第1流路Xから転動する場合と比較して、第2流路Yから転動する場合に多くの遊技球が大入賞口55に向けて転動するように各障害物が配置されている。
【0042】
大入賞口55には特別電動役物65が付設されている。特別電動役物65は、大入賞口55への入賞が容易である開放状態又は入球が困難である閉鎖状態に可換に遷移する部材であり、特別電動役物ソレノイド41により開放状態又は閉鎖状態のいずれかに遷移する。
より具体的には、特別電動役物65は、後述する特図当否判定によって大当りが導出されたことに起因して設定される大当り遊技の少なくとも一部において開放状態になり、これに伴って大入賞口55への入賞が許容される。このように、特別電動役物65が開放状態である場合には大入賞口55への入賞が容易となるため、賞球を獲得できる機会が大幅に増大する大当り遊技は有利な遊技状態であると言える。
なお、特別電動役物65は、「アタッカー」と称され、特別電動役物ソレノイド41によって特別電動役物65が開放状態となることを、「アタッカー開放」と称する場合がある。
また、特図当否判定によって小当りが導出されたことに起因する小当り遊技の少なくとも一部においても特別電動役物65が開放状態となるが、上記の大当り遊技と比較して当該開放状態となる時間が短い。そのため、小当り遊技は、大当り遊技よりも有利度の低い遊技状態と言える。
【0043】
第1始動口57は、遊技領域50aの中央下部に配置されている。第1始動口57には第1始動口センサ70が付設されており、第1始動口センサ70の検知結果によって第1始動口57への入賞が判定されて、第1始動口57への入賞に対して決められた数(本実施形態では、4)の賞球が付与される。第1始動口57に係る入賞が判定された場合の少なくとも一部において、特
図1の図柄変動が行われることとなる。
なお、本実施形態に係る遊技領域50aは、第2流路Yから転動した場合に比べて、第1流路Xから転動した場合に多くの遊技球が第1始動口57に向けて転動するように、遊技釘等の障害物が配置されているものとする。
【0044】
第2始動口59は、遊技領域50aの右下部に配置されている。第2始動口59には第2始動口センサ71が付設されており、第2始動口センサ71の検知結果によって第2始動口59への入賞が判定されて、第2始動口59への入賞に対して決められた数(本実施形態では、1)の賞球が付与される。
第2始動口59への入賞が判定された場合の少なくとも一部において、特
図2の図柄変動が行われることとなる。
なお、本実施形態に係る遊技領域50aは、第1流路Xから転動した場合に比べて、第2流路Yから転動した場合に多くの遊技球が第2始動口59に向けて転動するように、遊技釘等の障害物が配置されているものとする。
【0045】
第2始動口59に繋がる流路には普通電動役物61が配設されている。普通電動役物61は、第2始動口59に遊技球への入球が容易である開放状態又は入球が困難である閉鎖状態に可換に遷移する部材であり、普通電動役物ソレノイド40により開放状態又は閉鎖状態のいずれかに遷移する。
より具体的には、普通電動役物61は、普図の図柄変動で当選して行われる普図当り遊技の少なくとも一部において開放状態になり、これに伴って第2始動口59への入賞が許容される。このように、普通電動役物61が開放状態である場合には、第2始動口59への入賞が容易となるため、賞球により遊技球の減少を抑えつつ、特
図2の図柄変動が実行される機会を大幅に増大し得る。
【0046】
ゲート63は、遊技領域50aの右中央部に配置されている。ゲート63には、ゲートセンサ74が付設されており、ゲートセンサ74の検知結果によってゲート63への入賞が判定される。ゲート63に係る入賞が判定された場合の少なくとも一部において、普図の図柄変動が行われることとなる。
なお、本実施形態において、第1流路Xから転動する場合と比較して、第2流路Yから転動する場合に多くの遊技球がゲート63に向けて転動するように各障害物が配置されている。
【0047】
一般入賞口67は、遊技領域50aの左下部に配置されている。一般入賞口67には、一般入賞口センサ73が付設されており、一般入賞口センサ73の検知結果によって一般入賞口67への入賞が判定されて、一般入賞口67への入賞に対して決められた数(本実施形態では、4)の賞球が付与される。
なお、本実施形態において、第2流路Yから転動する場合と比較して、第1流路Xから転動する場合に多くの遊技球が一般入賞口67に向けて転動するように各障害物が配置されているが、第2流路Yから転動する場合に多くの遊技球が一般入賞口67に向けて転動するように各障害物が配置されるようにしてもよい。また、一般入賞口67が複数個設けられていてもよい。
【0048】
アウト口69は、遊技領域50aの最下部に配置されている。遊技領域50aに打ち込まれ、上述した各入賞口に入球しなかった遊技球はアウト口69に落入し、アウト球として処理される。
【0049】
ここまで、本実施形態における遊技機10の構造について説明してきたが、これらは一具体例であって、別の構成によって本発明を実施することもできる。
【0050】
<遊技機10の制御構成について>
次に、
図5を用いて、本実施形態に係る遊技機10が備える制御構成を説明する。
図5は、遊技機10が備える制御構成を示すブロック図である。なお、
図5に示す制御構成は、本実施形態の遊技機10を説明する上で必要となるものであり、遊技機10は、
図5で図示しない制御構成を備えていてもよい。
【0051】
主制御基板100は、遊技に関する各種の演算処理を行うCPU101と、制御プログラムや各種データ等を記憶したROM102と、一時記憶領域となるワークエリアやバッファメモリとして機能するRAM103と、周辺基板や各デバイスとの間の信号を入出力するI/Oポート104と、乱数(ハード乱数)を生成する乱数回路105と、を備えており、これらが内部バスを介して相互に接続されている。
【0052】
CPU101は、ROM102に格納された各種の制御プログラムを読み出して演算処理を行うことで、遊技の主制御に係る各種処理を実行する。RAM103は、電源基板(図示省略)のバックアップ電源によってバックアップされている。なお、RAM103のバックアップされる領域は、電源断が生じた場合、電源断時に保持していたスタックポインタや各レジスタ等のデータを記憶しておくための領域となっており、電源断復帰時には当該領域でバックアップされている情報に基づいて遊技機の状態が電源断の生じる前の状態に復帰可能である。
【0053】
主制御基板100は、第1始動口センサ70、第2始動口センサ71、大入賞口センサ72、一般入賞口センサ73、ゲートセンサ74などと電気的に接続されており、I/Oポート104を介して、これらのセンサからの検出信号をCPU101に入力可能に構成されている。
【0054】
主制御基板100は、第1特別図柄表示装置91、第2特別図柄表示装置92、普通図柄表示装置93、第1特別図柄保留ランプ94、第2特別図柄保留ランプ95、及び普通図柄保留ランプ96にも電気的に接続されており、I/Oポート104を介してこれらの表示装置及びこれらの保留ランプを制御可能に構成されている。
主制御基板100は、普通電動役物ソレノイド40及び特別電動役物ソレノイド41にも電気的に接続されており、I/Oポート104を介してこれらのソレノイドを制御可能に構成されている。
更に、主制御基板100は、上述の玉貸ボタン39aや返却ボタン39bなどを含むメイン操作部39に電気的に接続されており、メイン操作部39に設けられたセンサによる操作検知状態の変化によってメイン操作部39の各種操作を検知可能に構成されている。
【0055】
主制御基板100と第1副制御基板200との間は、少なくとも、主制御基板100から第1副制御基板200へのデータ送信が可能となるように接続されている。例えば、主制御基板100と第1副制御基板200との間は、8本のパラレル信号線および1本のストローブ線で接続されており、主制御基板100から第1副制御基板200へと向かう単一方向のみで通信可能に接続され、主制御基板100から第1副制御基板200へ各種の演出制御コマンドが送信される。
なお、第1副制御基板200から主制御基板100へデータを送信することはできず、また、第1副制御基板200は、主制御基板100に対してデータの送信を要求できないように構成されている。
【0056】
第1副制御基板200は、主制御基板100からの演出制御コマンドに基づき遊技演出に関する各種の演算処理を行うCPU201、演出制御プログラムや各種データ等を記憶したROM202、一時記憶領域となるワークエリアやバッファメモリとして機能するRAM203と、周辺基板や各デバイスとの間の信号を入出力するI/Oポート204と、を備えており、これらが内部バスを介して相互に接続されている。第1副制御基板200は、CPU201がROM202に記憶された制御プログラムに従って遊技演出に係る主要な制御を実行可能となるように、構成されている。
第1副制御基板200は、上述の演出ボタン37やカーソルボタン38などに電気的に接続されており、センサによる操作検知状態の変化によってそれら各操作部の各種操作を検知可能に構成されている。
【0057】
また、第1副制御基板200は、主制御基板100からの演出制御コマンドに基づく演出制御処理にて、第2副制御基板300へ画像演出および音響演出を指示する画像制御コマンド、演出ランプ35の点灯を制御するためのランプ制御データ、可動装飾体22及びサブ表示部82の可動を制御するための可動制御データなどを生成する。
第1副制御基板200は、第2副制御基板300と双方向通信が可能に接続されており、画像および音響に関する画像制御コマンドが第1副制御基板200から第2副制御基板300へ送信される一方、その応答として、当該制御コマンドを正常に受信できた旨を示す応答コマンド(ACKコマンド)が第2副制御基板300から第1副制御基板200へ送信される。
【0058】
また、第1副制御基板200は、演出ランプ35と電気接続されており、I/Oポート204を介して、ランプ制御データを送信する。そして、演出ランプ35は、第1副制御基板200から送信されるランプ制御データによって点灯が制御されるように構成されている。
【0059】
第1副制御基板200は、可動装飾体22及びサブ表示部82とも電気接続されており、I/Oポート204を介して、可動制御データを送信する。
そして、可動装飾体22及びサブ表示部82は、第1副制御基板200から送信される可動制御データによって可動が制御されるように構成されている。
【0060】
第2副制御基板300は、第1副制御基板200からの画像制御コマンドに基づき画像や音響などの演出に関する各種の演算処理を行うCPU301と、画像制御プログラムや各種データ等を記憶したROM302と、一時記憶領域となるワークエリアやバッファメモリとして機能するRAM303と、周辺基板や各デバイスとの間の信号を入出力するI/Oポート304とを備えており、CPU301がROM302に記憶された制御プログラムに従って画像演出に係る主要な制御を実行するように構成されている。
その他、第2副制御基板300には、図示を省略するが、CPU301から受信した制御信号に基づき演出内容に沿った画像データを生成するVDPと、CPU301から受信した制御信号に基づき演出内容に沿った音声データを生成する音源ICとを搭載している。VDPは、いわゆる画像プロセッサであり、CPU301からの指示に応じて画像ROMに記憶された画像データを読み込み、これを画像処理して生成した画像データを演出表示装置80へ送信する。このVDPには、画像ROMから読み出された画像データの展開・加工に使用される高速のVRAMが接続されている。音源ICは、CPU301からの指示に応じて音声ROMに記憶された音声データを読み込み、読み込んだ音声データを合成処理して生成した最終的な音声データを増幅器を介してスピーカ33に出力する。
【0061】
以上説明したように、第1副制御基板200からの画像制御コマンドに基づいて第2副制御基板300が演出表示装置80における画像表示及びスピーカ33における音声出力を制御している。
従って、第1副制御基板200又は第1副制御基板200及び第2副制御基板300の協働によって、演出表示手段及び音声出力手段を制御する演出制御手段を実現しているものと言える。
【0062】
払出制御基板400は、主な構成として、CPU401、ROM402およびRAM403を備えている。
払出制御基板400は、主制御基板100と双方向通信可能に接続されており、主制御基板100からの払出制御コマンドに基づいて賞球払出ユニットを駆動させて賞球を払い出すための制御を実行するとともに、発射ハンドルの操作量に基づき球送り機構と発射機構とを同期的に駆動させて遊技球の発射を制御する。
【0063】
<遊技機10の機能構成について>
次に、
図6を用いて、本実施形態に係る遊技機10が備える機能構成を説明する。
図6は、遊技機10が備える機能構成を示すブロック図である。なお、
図6に示す機能構成は、本実施形態の遊技機10を説明する上で必要となるものであり、遊技機10は、
図6で図示しない機能構成を備えていてもよい。
【0064】
主制御基板100は、
図6に示すように、入球判定手段110、メイン乱数発生手段115、メイン保留制御手段120、事前判定手段130、特図抽選手段140、普図抽選手段150、大当り遊技制御手段160、図柄表示制御手段165、電動役物制御手段170、遊技状態制御手段175、メイン情報記憶手段180、メインエラー制御手段185、及びメインコマンド管理手段190を備えており、これらの手段は、
図5を用いて説明した主制御基板100上の各制御構成によって実現されるものを機能的に表したものである。
【0065】
なお、メイン情報記憶手段180は、主制御基板100が備える手段によって読み出されたデータや、当該手段における演算によって導出されたデータ等を各々に対応する格納領域に一時的に記憶する手段である。特に、メイン情報記憶手段180の送信コマンド格納領域に記憶されたデータ(演出制御コマンド)は、記憶された後にコマンド送信手段によって後述する第1副制御基板200のサブコマンド管理手段270に向けて送信される。
【0066】
入球判定手段110は、各入賞口に設けられたセンサの検知結果に基づいて各入賞口への入賞を判定する。
【0067】
メイン乱数発生手段115は、乱数回路105によって更新範囲が異なる複数種類の乱数を生成可能であり、入賞口への入賞が判定されたタイミングで乱数回路105から当該入賞口に対応する一又は複数の乱数を取得(ラッチ)する。
より具体的には、メイン乱数発生手段115は、第1始動口57又は第2始動口59への入賞が判定された場合には、後述する特図当否判定用の乱数、転落当否判定用の乱数、特図停止図柄抽選用の乱数、及び特図変動パターン抽選用の乱数を取得する。ゲート63への入賞が判定された場合には、後述する普図当否判定用の乱数、普図図柄抽選用の乱数、及び普図変動パターン抽選用の乱数をメイン情報記憶手段180の対応する格納領域に格納する。
【0068】
メイン保留制御手段120は、特図の図柄変動の保留、及び普図の図柄変動の保留に関する制御を行う。特
図1に関しては、第1始動口57への入賞を契機として取得された、特図当否判定用の乱数、転落当否判定用の乱数、特図停止図柄抽選用の乱数、及び特図変動パターン抽選用の乱数を、特
図1の作動保留情報として保留する(記憶させる)。
より具体的には、メイン保留制御手段120は、特
図1の作動保留情報が保留されるごとに1加算され、特
図1の作動保留情報が使用される(特図抽選手段140の抽選で用いられる)ごとに1減算される保留カウンタ(以下、「特
図1保留カウンタ」と称する)を備え、特
図1保留カウンタの値が上限値(本実施形態では、4)となるまで、当該作動保留情報をメイン情報記憶手段180の現在の特
図1保留カウンタに対応する格納領域に記憶させ、作動保留情報が使用されるごとに、使用された作動保留情報をクリアし、残りの作動保留情報を、特
図1保留カウンタの小さいものから順に、現在の格納領域から現在の特
図1保留カウンタよりも1少ない特
図1保留カウンタに対応する格納領域に移動(シフト)させる制御を行う。
メイン保留制御手段120は、特
図2及び普図に関してもそれぞれ、特
図1に関する上述の制御と同様の制御を行う。特
図2の保留カウンタは特
図2保留カウンタと称する。
また、以降の説明では、「作動保留情報の保留」を「図柄変動の保留」と表現する場合がある。
また、メイン保留制御手段120は、特
図1又は特
図2の作動保留情報(保留カウンタ)を更新(加算又は減算)した際に、特
図1保留カウンタ及び特
図2保留カウンタの値を含む演出制御コマンド(保留コマンド)を生成し、当該コマンドをメイン情報記憶手段180の送信コマンド格納領域に記憶させる。
なお、本実施形態では、特
図1に対応する作動保留情報及び特
図2に対応する作動保留情報の双方が保留されている場合には、特
図2に対応する作動保留情報が優先的に使用される。
【0069】
事前判定手段130は、所定の事前判定のタイミングにおいて特図の作動保留情報が保留された場合に、当該作動保留情報を対象とした先読み演出のための事前判定を実行する。
より具体的には、事前判定手段130は、今回保留した作動保留情報の各乱数を読み出し、特図当否判定の事前判定、転落当否判定の事前判定、特図停止図柄抽選の事前判定、特図変動パターン抽選の事前判定を実行する。各事前判定では、各事前判定に対応する抽選に用いられる抽選テーブル(詳細は、後述)と同等の抽選テーブル(図示省略)を用いられる。そのため、これらの事前判定は、後に実行される抽選の結果と同一の結果が導出される。
また、事前判定手段130は、導出された事前判定の結果を含む演出制御コマンド(事前判定コマンド)を生成し、当該コマンドをメイン情報記憶手段180の送信コマンド格納領域に記憶させる。
なお、上述の通り、事前判定コマンドは、所定の事前判定のタイミングにおいて特図の作動保留情報が保留された場合に送信される(生成され、メイン情報記憶手段180の送信コマンド格納領域に記憶される)ものであるため、上述の保留コマンドに続いて送信されることとなる。
【0070】
特図抽選手段140は、特図当否判定手段141、特図停止図柄抽選手段142、特図変動パターン導出手段143、及び転落当否判定手段144を備え、転落当否判定手段144、特図当否判定手段141、特図停止図柄抽選手段142、特図変動パターン導出手段143の順に各手段による処理を実行する。特図抽選手段140は、特図の変動開始条件が充足された際に、メイン情報記憶手段180に保留されている作動保留情報のうちの最先の作動保留情報を読み出す。
「特図の変動開始条件が充足される」とは、その一例として、大当り中ではないこと、特
図1及び特
図2のいずれも図柄変動中でないこと、特
図1及び特
図2のうちの少なくともいずれか一方に作動保留情報が存在することの全ての条件が充足されたことである。
【0071】
図7は、主制御基板100における抽選で用いられる抽選テーブルを模式的に示す図である。
図7で示す抽選テーブルを含む以下の抽選テーブルを用いた抽選では、読み出した乱数に対して抽選テーブルに記憶された抽選値があらかじめ定められた順序に従って順次加算され、キャリー(桁あふれ)が発生した抽選値に対応する結果が当該抽選の結果として導出される。
以降の説明では、説明の便宜上、抽選テーブルに名前を付しているが、名前に対応する抽選テーブルに含まれる抽選値等のデータが各ROMに識別可能に記憶されていればよく、これらの名前は、当該データが記憶される領域を特定するものではない。また、以降で図示される抽選テーブルには、説明の便宜上記載された項目や、抽選値として「−」又は「0」が記載されているが、これらは各ROMに記憶されたデータを示すものではない。また、抽選に使用される乱数範囲の最大値と同一の抽選値が抽選テーブルに記載されている場合には、当該結果が100%導出されるため、必ずしも抽選を行う必要はない。
【0072】
特図当否判定手段141は、図柄変動の開始時に、特図当否判定用の乱数を読み出し、読み出した乱数と特図当否判定用の抽選テーブルを用いて大当り、小当たり、はずれのいずれに該当するかを抽選によって決定する。
図7(a)は、特
図1当否判定用の抽選テーブルを示したものであり、当該抽選で用いられる乱数の範囲は、0〜65535である。そのため、特
図1において特図抽選状態が低確率の場合(以下、「特図低確」と略称する場合がある)には、200/65536の確率で大当り、300/65536の確率で小当り、残りの65036/65536の確率ではずれとなり、特
図1において特図抽選状態が高確率の場合(以下、「特図高確」と略称する場合がある)には、500/65536の確率で大当り、300/65536の確率で小当り、残りの64736/65536の確率ではずれとなる。
【0073】
図7(b)は、特
図2当否判定用の抽選テーブルを示したものであり、当該抽選で用いられる乱数の範囲は、特
図1当否判定の場合と同様に、0〜65535である。そのため、特
図2の特図低確では、200/65536の確率で大当り、残りの65336/65536の確率ではずれとなり、特
図2の特図高確では、500/65536の確率で大当り、残りの65036/65536の確率ではずれとなる。
【0074】
このように、特図高確は、特図低確よりも大当りが導出される確率が高く、特図低確よりも有利度が高い状態であると言える。また、本実施形態における特
図2当否判定では、小当りが導出されないようになっている。
【0075】
以上説明したように、本実施形態における遊技機10は、図柄変動ごとに特典(例えば、大当り)に係る当否抽選を行うものと言える。
【0076】
特図停止図柄抽選手段142は、特図当否判定手段141によって大当りが導出された場合に、特図停止図柄抽選用の乱数を読み出し、読み出した乱数と特図停止図柄抽選用の抽選テーブルを用いて特図の停止図柄を抽選によって決定する。
図7(c)は、特
図1停止図柄抽選用の抽選テーブルを示したものであり、当該抽選で用いられる乱数の範囲は、0〜99である。そのため、特
図1では、大当りが導出された際に、50/100の確率で図柄A、50/100の確率で図柄Bが停止図柄として決定される。
ここで、図柄Aは、大当り遊技中に特別電動役物65が十分な時間(概ね9球入賞する程度)に亘って解放される回数(ラウンド数(R数))が8であり、且つ大当り遊技終了後に特図低確且つ普図高確(詳細は後述)となる図柄(以下、「通常図柄」と称する場合があり、当該図柄に係る大当りを「通常大当り」と称する場合がある)である。一方、図柄Bは、ラウンド数(R数)が9であり、且つ大当り遊技終了後に特図高確且つ普図高確となる図柄(以下、「確変図柄」と称する場合があり、当該図柄に係る大当りを「確変大当り」と称する場合がある)である。よって、図柄Bは、ラウンド数及びその後の特図抽選状態の双方において、図柄Aよりも有利な図柄である。
【0077】
図7(d)は、特
図2停止図柄抽選用の抽選テーブルを示したものであり、当該抽選で用いられる乱数の範囲は、特
図1停止図柄抽選と同様に、0〜99である。そのため、特
図2では、大当りが導出された際に、70/100の確率で図柄a、10/100の確率で図柄b、20/100の確率で図柄cとなる。
ここで、図柄aは、ラウンド数が16であり、且つ大当り遊技終了後に特図高確且つ普図高確となる確変図柄であり、図柄bは、ラウンド数が9であり、かつ大当り遊技終了後に特図高確且つ普図高確となる確変図柄である。一方、図柄cは、ラウンド数が8であり、大当り遊技終了後に特図低確且つ普図高確となる通常図柄である。よって、図柄c、図柄b、図柄aの順に有利度が高くなると言える。
【0078】
上述の通り、本実施形態は、特
図1による大当り遊技終了後の特図高確となる割合(50/100)と、特
図2による大当り遊技終了後の特図高確となる割合(80/100)とが異なっている。この違いは、例えば、大当り遊技中に遊技球が大入賞口55内に設けられた特定領域を通過した場合に大当り遊技終了後に特図高確とする機能を備え、特定領域の通過が容易となるラウンド(本実施形態では、9ラウンド目)を設けるか否かを特図の停止図柄によって変えることで実現可能である。
以降の説明では、特図当否判定手段141による特図当否判定の結果が大当りを示し、且つ、特図停止図柄抽選手段142により確変図柄が決定された場合を「特図抽選の結果が確変大当りを示す場合」と表記し、特図当否判定手段141による特図当否判定の結果が大当りを示し、且つ、特図停止図柄抽選手段142により通常図柄が決定された場合を「特図抽選の結果が通常大当りを示す場合」と表記する場合がある。更に、特図当否判定手段141による特図当否判定の結果が大当りを示し、且つ、特図停止図柄抽選手段142により図柄aが決定された場合を「特図抽選の結果が16ラウンド確変大当りを示す場合」と表記し、同様に図柄bが決定された場合を「特図抽選の結果が9ラウンド確変大当りを示す場合」と表記する場合がある。
【0079】
また、特図停止図柄抽選手段142は、特図当否判定手段141によって大当りが導出されなかった場合には、特
図1の小当り時は図柄C、特
図1のはずれ時は図柄D、特
図2のはずれ時は図柄dを停止図柄として一律に決定する。
【0080】
特図変動パターン導出手段143は、特図変動パターン(変動時間)を導出する。具体的には、特図変動パターン導出手段143は、現在の特図変動パターン導出状態(詳細は、後述)と今回の特図当否判定手段141の抽選結果とに基づいて、複数種類の特図変動パターン抽選テーブル(図示省略)の中から今回の特図変動パターンを導出するための一つの特図変動パターン抽選テーブルを選択し、選択した特図変動パターン抽選テーブルと特図変動パターン抽選用の乱数とを用いて一つの特図変動パターンを導出する。
特図変動パターン導出手段143は、導出された特図変動パターンを指定する演出制御コマンド(変動開始コマンド)を生成し、当該コマンドをメイン情報記憶手段180の送信コマンド格納領域に記憶させる。なお、変動開始コマンドには、特図変動パターン導出状態Cが開始されてからの図柄変動の回数の情報が少なくとも含まれている。
【0081】
転落当否判定手段144は、メイン情報記憶手段180の判定領域に記憶された転落当否判定用の乱数を読み出し、読み出した乱数と転落当否判定用の抽選テーブルを用いて転落当否判定に当選するか否かを抽選によって決定する。
図7(e)は、転落当否判定用の抽選テーブルを示したものであり、当該抽選で用いられる乱数の範囲は、0〜65535である。そのため、130/65536の確率で転落当否判定に当選する。
なお、転落当否判定は、特
図1と特
図2で共通して行われ、特図高確における特図当否判定の前に行われる。そのため、図柄変動の開始時に特図高確であったとしても、転落当否判定に当選した場合には、直後の特図当否判定において特図低確用の抽選テーブルが用いられることとなる。
【0082】
普図抽選手段150は、普図の図柄変動中でない場合に、メイン情報記憶手段180に保留されている作動保留情報のうちの最先の作動保留情報を読み出し、読み出した乱数を用いて、普図の当否を判定する普図当否判定を実行する。この普図当否判定によって普通電動役物61が開放状態に制御されることとなる普図当りに当選した場合に、普図抽選手段150は、普図の停止図柄を抽選により決定する普図停止図柄抽選、及び普図の変動パターン(変動時間)を抽選により決定する普図変動パターン抽選を実行する。
普図当否判定では、普図抽選状態が高確率の状態(「普図高確」と略称する場合がある)と、普図抽選状態が低確率の状態(「普図低確」と略称する場合がある)とがある。本実施形態では、普図高確では、65535/65536の確率で普図当りとなり、残りの1/65536の確率ではずれとなる一方、普図低確では、1/65536の確率で普図当りとなり、残りの65535/65536の確率ではずれとなる。なお、普図低確では、普図当りとならない(65536/65536ではずれとなる)ようにしてもよい。
【0083】
普図停止図柄抽選では、普通電動役物61の開放状態となるパターンが異なる複数種類の停止図柄から、普図停止図柄抽選用の抽選テーブル(図示省略)を用いた抽選によって一つの停止図柄が決定される。なお、普図当否判定ではずれとなった場合には、特
図1、2と同様に、停止図柄が一律に決定される。
【0084】
また、普図変動パターン抽選では、特図変動パターン抽選と同様に、複数種類の普図変動パターンから、普図変動パターン抽選用の抽選テーブル(図示省略)を用いた抽選によって一つの普図変動パターンが決定される。
【0085】
大当り遊技制御手段160は、特図当否抽選の結果が大当りである場合、決定された大当り図柄に応じて、大当り開始デモに係るデモ時間、及び大当り終了デモに係るデモ時間を決定する。
大当り遊技制御手段160は、大当り開始時には、大当り開始デモに係るデモ時間を含む演出制御コマンド(大当り開始コマンド)を生成し、メイン情報記憶手段180の送信コマンド格納領域に記憶させ、大当り終了時には、大当り終了デモに係るデモ時間を含む演出制御コマンド(大当り終了コマンド)を生成し、メイン情報記憶手段180の送信コマンド格納領域に記憶させる。
また、大当り遊技制御手段160は、特図当否抽選の結果が小当りの場合も同様に、小当り開始デモに係る時間、及び小当り終了デモに係るデモ時間を決定し、小当り開始時には、小当り開始デモに係るデモ時間を含む演出制御コマンド(小当り開始コマンド)を生成し、メイン情報記憶手段180の送信コマンド格納領域に記憶させ、小当り終了時には、小当り終了デモに係るデモ時間を含む演出制御コマンド(小当り終了コマンド)を生成し、メイン情報記憶手段180の送信コマンド格納領域に記憶させる。
【0086】
なお、上述したように、大当り中については特図の変動開始条件が充足されず、特図の図柄変動及び装飾図柄の図柄変動が実行されない。従って、本実施形態では、大当り中については装飾図柄が停止しているものとして扱う。
【0087】
図柄表示制御手段165は、特
図1の特図変動パターン(変動時間)に従って、特
図1を第1特別図柄表示装置91に変動表示させるとともに、変動時間の経過後に特図停止図柄抽選によって決定された停止図柄で特
図1を停止表示させる。同様に、第2特別図柄の特図変動パターン(変動時間)に従って、特
図2を第2特別図柄表示装置92に変動表示させるとともに、変動時間の経過後に特図停止図柄抽選によって決定された停止図柄で特
図2を停止表示させる。
図柄表示制御手段165は、特
図1及び特
図2の表示に係る時間(変動時間、停止表示時間)を管理するための特図遊技タイマを有し、特図を停止表示させる際に(特図遊技タイマの値が「0」となるタイミングで)、装飾図柄の確定表示を要求するための演出制御コマンド(変動停止コマンド)を生成し、当該コマンドをメイン情報記憶手段180の送信コマンド格納領域に格納する。
【0088】
図柄表示制御手段165は、普図の普図変動パターン(変動時間)に従って、普図を普通図柄表示装置93に変動表示させるとともに、変動時間の経過後に普図を普図停止図柄抽選によって決定された停止図柄で停止表示させる。
図柄表示制御手段165は、普図の表示に係る時間(変動時間、停止表示時間)を管理するための普図遊技タイマを有する。
【0089】
電動役物制御手段170は、特図当否抽選の結果が大当りとなった場合、特図の停止表示後に、特別電動役物ソレノイド41に制御信号を出力し、特別電動役物65を特図の停止図柄に対応する解放パターンに従って開放させる。大当り遊技は、特別電動役物65の1回の開閉動作を1回のラウンド遊技とし、当該ラウンド遊技を規定ラウンド数(本例では、16R、9R、8R)だけ連続して実行する遊技状態である。
電動役物制御手段170は、特図当否抽選の結果が小当りとなった場合、特図の停止表示後に、特別電動役物ソレノイド41に制御信号を出力し、特別電動役物65を短期間(0.05秒)だけ開放させる。
また、電動役物制御手段170は、普図当否抽選に当選した場合、普通電動役物ソレノイド40に制御信号を出力して、普通電動役物61を普図の停止図柄に対応する開放パターンに従って開放させる。
【0090】
遊技状態制御手段175は、特図抽選状態を制御する。具体的には、遊技状態制御手段175は、上述の通り、通常大当りに係る大当り遊技の開始時に特図低確とし、確変大当りに係る大当り遊技の終了時に特図高確とし、特図高確における転落当否判定に当選した場合には、その時点(特図当否判定の前)で特図低確とする。
加えて、遊技状態制御手段175は、普図抽選状態を制御する。具体的には、遊技状態制御手段175は、大当り遊技の開始時には、大当りに係る図柄に関わらず、普図低確とし、通常大当りに係る大当り遊技の終了時に100回の図柄変動が行われるまで普図高確とし(100回の図柄変動後には普図低確とする)、確変大当りに係る大当り終了時に次回の大当り遊技の開始まで(例えば、大当りが導出されるのに十分な有限の回数(例えば、5000回)を設定する場合も含む)普図高確とし、普図高確における転落当否判定に当選した場合には、当該図柄変動の終了時に普図低確とする。なお、特図低確且つ普図高確の状態を低確時短と称する場合がある。
【0091】
また、遊技状態制御手段175は、上述の特図変動パターン導出状態を制御する。この特図変動パターン導出状態の遷移については、
図8を参照しながら説明する。
図8は、特図抽選状態及び普図抽選状態による遊技状態の遷移、及び特図変動パターン導出状態の遷移を示した状態遷移図である。
特図変動パターン導出状態は、特図低確且つ普図低確に対応する特図変動パターン導出状態A、特図高確且つ普図高確に対応する特図変動パターン導出状態B、及び特図低確且つ普図高確に対応する特図変動パターン導出状態Cに大別できる。
各特図変動パターン導出状態間の遷移には、例えば、次のような条件が設けられる。遷移条件(i)は確変大当りに係る大当り遊技の終了であり、遷移条件(ii)は通常大当りに係る大当り遊技の終了であり、遷移条件(iii)は100回目の図柄変動の終了であり、遷移条件(iv)は転落当否判定に当選した図柄変動の終了である。
【0092】
また、遊技状態制御手段175は、特図抽選状態、普図抽選状態、及び特図変動パターン導出状態の更新が発生した場合に、更新後の各状態を含む演出制御コマンド(遊技状態指定コマンド)を生成し、当該コマンドをメイン情報記憶手段180の送信コマンド格納領域に記憶させる。
【0093】
メイン情報記憶手段180は、上述の通り、各手段によって読み出されたデータや、各手段による演算等によって導出されたデータ等を一時的に記憶の結果導出されたデータ等を各々に対応する格納領域に一時的に記憶する手段である。
【0094】
メインエラー制御手段185は、I/Oポート104の入力情報を監視し、遊技機10がエラー状態であるか否かを判定する。エラー状態であると判定された場合には、当該エラー情報を含む演出制御コマンド(エラーコマンド)をメイン情報記憶手段180の送信コマンド格納領域に格納する。
なお、メインエラー制御手段185は、例えば、磁気センサ(図示省略)の検知によるエラー状態等、重要度の高いエラー状態となった場合には、払出制御基板400に遊技球の発射を規制させる等、エラーコマンドをメイン情報記憶手段180の送信コマンド格納領域に格納する以外の処理を実行するようにしてもよい。
【0095】
メインコマンド管理手段190は、メイン情報記憶手段180の送信コマンド格納領域に演出制御コマンドが記憶されている場合に、当該演出制御コマンドを第1副制御基板200に向けて送信する。
なお、各演出制御コマンドは、原則として、メイン情報記憶手段180の送信コマンド格納領域に記憶された順番に従って送信される。
【0096】
第1副制御基板200は、
図6に示すように、サブ乱数発生手段210、通常演出制御手段220、サブエラー制御手段230、ランプ制御手段240、可動役物制御手段250、サブ情報記憶手段260、及びサブコマンド管理手段270を備えており、これらの手段は、
図5を用いて説明した第1副制御基板200上の各制御構成によって実現されるものを機能的に表したものである。
なお、サブ情報記憶手段260は、第1副制御基板200が備える手段によって読み出されたデータや、当該手段における演算によって導出されたデータ等を各々に対応する格納領域に一時的に記憶する手段である。また、メインコマンド管理手段190から送信された演出制御コマンドは、サブコマンド管理手段270によってサブ情報記憶手段260の受信コマンド格納領域に記憶される。
【0097】
サブ乱数発生手段210は、CPU201によってプログラム処理で更新される乱数(ソフトウェア乱数)を生成可能であり、通常演出制御手段220による各抽選(詳細は後述)が実行されるタイミングで乱数を取得する。
【0098】
通常演出制御手段220は、演出モード制御手段221、演出ルート決定手段222、先読み演出制御手段223、サブ保留制御手段224、演出内容決定手段225、装飾図柄制御手段226、及び大当り演出制御手段227を備える。
【0099】
演出モード制御手段221は、遊技状態指定コマンドが送信された場合に、主制御基板100側で管理された特図変動パターン導出状態との整合性をとるかたちで、演出モードの遷移を制御する。
本実施形態における演出モードは、通常モード、低確時短モード、確変モードに大別される。特図変動パターン導出状態Aには通常モード、特図変動パターン導出状態Bには確変モード、特図変動パターン導出状態Cには低確時短モードが対応する。
また、演出モード制御手段221は、事前判定コマンドが送信された場合に、その事前判定コマンドに含まれる事前判定の結果(例えば、今回保留された図柄変動に対応する特図変動パターン導出状態)に基づいて、遊技状態指定コマンドが送信された場合と同様の手法で、今回保留された図柄変動に対応する演出モードを決定することもできる。
【0100】
演出ルート決定手段222は、事前判定コマンドが送信された場合に、当該コマンドに含まれる事前判定の結果に基づいて、今回保留された図柄変動に対応する演出モードに対応する複数種類の演出ルートから今回保留された図柄変動に対応する一の演出ルートを決定(設定)する。但し、演出ルート決定手段222は、変動開始コマンドで指定される特図変動パターン、現在設定されている演出モードなどに基づいて演出ルートを決定することもできる。
演出ルートとは、上述したとおり、図柄変動の開始から終了までの演出であって、当該図柄変動における特図当否判定の結果を報知するための演出の流れを特定可能とするものであり、当該図柄変動で実行される演出の内容は、当該図柄変動に対応する演出ルートに従って決定されることとなる。また、演出モードに対応する演出ルートの組合せは、演出モードごとに異なる。
【0101】
先読み演出制御手段223は、事前判定コマンドが送信された場合に、当該コマンドに含まれる事前判定の結果(事前判定された特図変動パターンを含む)に基づいて先読み演出の内容を決定する。
先読み演出とは、先読み対象の図柄変動(対象変動)が開始される前の一又は複数回の図柄変動に亘って、先読み対象の図柄変動における特図当否判定の結果に対する期待度や、先読み対象の図柄変動において実行される演出の内容を示唆する演出である。
【0102】
サブ保留制御手段224は、保留コマンドの受信があった場合に、当該コマンドに含まれる特
図1保留カウンタと特
図2保留カウンタの情報に基づいて、メイン表示部81の保留表示領域(図示省略)に、特
図1保留カウンタに対応する数の保留表示と、特
図2保留カウンタに対応する数の保留表示とを表示させるための演出データを設定する。
なお、保留表示は、大当り遊技の期待度等の有利度を示唆する種々の態様に変化する先読み保留変化演出の対象となる表示であり、当該先読み保留変化演出は、上述した先読み演出制御手段223によって制御される。
【0103】
演出内容決定手段225は、変動開始コマンドが送信された場合に、該コマンドに含まれる種々の情報(上述の特図変動パターンを含む)に基づいて、今回の図柄変動において実行する予告演出の内容を決定する。
より具体的には、演出ルート決定手段222は、決定された演出ルートの各段階において、実行する演出の内容(演出パターン)を、当該演出ルートに対応する演出パターン抽選テーブル(不図示)を用いた抽選等によって決定する。このようにすることで、決定された演出ルートに係る(に従って実行される)演出の内容を変えることができるとともに、一つの図柄変動における演出に繋がりを持たせることができる。また、同一の演出ルートが決定された場合であっても、実行される演出を多彩にすることもできる。
また、演出ルートに対して実行する演出の内容が一義的に対応づけられていてもよく、このような場合であっても、演出ルートは、図柄変動の開始から終了までの演出であって、当該図柄変動における特図当否判定の結果を報知する演出の過程を規定するものと言える。
【0104】
装飾図柄制御手段226は、変動開始コマンドが送信された場合に、演出内容決定手段225によって決定された演出内容等に基づいて、装飾図柄の最終的な停止図柄の組み合わせ(左図柄・中図柄・右図柄)を決定する。なお、以下の説明では、特に断りがない限り、装飾図柄の最終的な停止を、単に、装飾図柄の停止と表現する場合がある。
本実施形態における装飾図柄には、数字の「1」を模した「1図柄」、数字の「2」を模した「2図柄」、数字の「3」を模した「3図柄」、数字の「4」を模した「4図柄」、数字の「5」を模した「5図柄」、数字の「6」を模した「6図柄」、及び数字の「7」を模した「7図柄」があり、以降の説明では、「1図柄」、「3図柄」、「5図柄」、「7図柄」を総称して「奇数図柄」と称し、「2図柄」、「4図柄」、「6図柄」を総称して「偶数図柄」と称する場合がある。
【0105】
装飾図柄制御手段226は、停止させる装飾図柄の組合せを特図の停止図柄に対応させて決定することができる。具体的には、図柄Aと図柄cには偶数図柄揃い(例えば、「2図柄」−「2図柄」−「2図柄」)を対応させ、図柄Bと図柄bには7図柄揃いを除く奇数図柄揃い(例えば、「1図柄」−「1図柄」−「1図柄」)を対応させ、図柄aには7図柄揃いを対応させ、図柄Cと図柄Dと図柄dにはバラケ目(いずれの図柄揃いもない図柄の組合せ)を対応させている。
なお、停止させる装飾図柄の組合せを特図の停止図柄に対応させるにあたっては、必ずしも上述の対応関係とする必要はなく、例えば、図柄bに偶数図柄揃いを対応させるなど、上述の対応関係に対して停止させる装飾図柄の組合せの期待度が高くならない組合せであれば、一部の場合(上述の対応関係となる割合よりも低い割合)で上述の対応関係とは異なる装飾図柄の組合せを採用してもよく、このような場合であっても、停止させる装飾図柄の組合せが特図の停止図柄と対応していると言える。
【0106】
大当り演出制御手段227は、大当り開始コマンドが送信された場合に、当該コマンドに含まれる情報等に基づいて、大当り遊技中であることを報知する大当り演出の内容を決定する。なお、大当り演出には、大当り遊技の開始を報知する開始デモ演出、ラウンド遊技中であることを報知するラウンド演出、及び大当り遊技の終了を報知する終了デモ演出が存在する。
【0107】
通常演出制御手段220は、第1副制御基板200が備える上述の手段によって決定された演出内容に従って、各演出の実行タイミングで当該演出に対応する各デバイスの演出データを読み出す。なお、読み出した演出データに画像及び音響に係る演出データがある場合には、当該演出データに基づいて画像及び音響に関する画像制御コマンドを生成し、当該コマンドをサブ情報記憶手段260の送信コマンド格納領域に格納する。
【0108】
サブエラー制御手段230は、エラーコマンドが送信された場合に、エラー演出パターンを決定し、当該エラー演出パターンに従ってエラー演出を実行するための演出データを読み出す。
なお、サブエラー制御手段230は、独自に(メインエラー制御手段185と独立して)遊技機10がエラー状態であるか否かを判定し、エラー状態であると判定した場合にエラー演出を実行する演出データを読み出すようにしてもよく、当該エラー状態としては、例えば、普図低確時におけるゲート63の入賞回数に基づいて判定される右打ちエラー状態がある。
【0109】
ランプ制御手段240は、演出ランプ35の点灯を制御するためのランプ制御データを保持しており、通常演出制御手段220によって読み出された演出データに演出ランプ35に対応する演出データがある場合には、当該演出データに基づいてランプ制御データを読み出し、読み出したランプ制御データを演出ランプ35へ送信する。
【0110】
可動役物制御手段250は、可動装飾体22及びサブ表示部82の可動を制御するための可動制御データを保持しており、通常演出制御手段220によって読み出された演出データに可動役物に対応する演出データがある場合には、当該演出データに基づいて可動制御データを読み出し、読み出した可動制御データを可動装飾体22及びサブ表示部82へ送信する。
【0111】
サブ情報記憶手段260は、上述の通り、第1副制御基板200が備える手段によって読み出されたデータや、当該手段における演算によって導出されたデータ等を各々に対応する格納領域に一時的に記憶する手段である。
【0112】
サブコマンド管理手段270は、主制御基板100から送信された演出制御コマンドを受信し、受信した演出コマンドをサブ情報記憶手段260の受信コマンド格納領域に記憶させ、サブ情報記憶手段260の送信コマンド格納領域に画像制御コマンドが記憶されている場合には、当該画像制御コマンドを第2副制御基板300に向けて送信する。なお、各画像制御コマンドは、原則として、サブ情報記憶手段260の送信コマンド格納領域に記憶された順番に従って送信される。
【0113】
<始動口入球時の処理について>
続いて、始動口入球時の処理について、
図9を用いて説明する。
【0114】
図9は、始動口入球時処理の処理手順を示すフローチャートである。
なお、
図9に図示される処理手順は、一例であり、内容的に支障のない範囲でその順序等を変更することができ、実行タイミングの一部又は全部が互いに重複するものを含んでもよい。また、
図9に図示される各処理は始動口入球時に主制御基板100によって実行される主たる処理であり、必ずしも全ての処理を示すものではない。
【0115】
まず、始動口入球時処理について
図9の記載に沿って説明する。ここで「始動口入球時処理」とは、第1始動口57又は第2始動口59に対して遊技球が入球した後に実行される一連の処理である。
第1始動口57及び第2始動口59に付設されている第1始動口センサ70及び第2始動口センサ71の検知結果に基づいて、入球判定手段110が第1始動口57又は第2始動口59への入賞を判定する(ステップS102)。入球判定手段110が入賞を判定するまで(ステップS102のNO)、ステップS104以降の処理は行われないまま待機となる。
また、第1始動口57又は第2始動口59への入賞が判定されたとしても(ステップS102のYES)、メイン保留制御手段120により管理される特
図1又は特
図2保留カウンタが上限値(例えば4)に達していれば(ステップS104のYES)、ステップS106以降の処理は行われないまま待機となる。
以降、説明の便宜のために、第1始動口57への入賞が判定された場合に特化して処理手順を説明するものとする。なお、第2始動口59への入賞が判定された場合も、対象が特
図2となることのみ相違し、他の処理内容は同様である。
【0116】
第1始動口57への入賞が判定され(ステップS102のYES)、かつ特
図1保留カウンタが上限値に達していないとき(ステップS104のNO)、メイン乱数発生手段115が各種乱数を生成する(ステップS106)。例えば、特図当否判定用の乱数、転落当否判定用の乱数、特図停止図柄抽選用の乱数、及び特図変動パターン抽選用の乱数が生成される。
メイン保留制御手段120は、ステップS106で生成された各種乱数を取得し、それら乱数を特
図1の作動保留情報として保留する(記憶させる)(ステップS108)。
続いて、メイン保留制御手段120は、特
図1保留カウンタに1加算し(ステップS11)、加算後の特
図1保留カウンタの値を含む保留コマンドを生成し、メイン情報記憶手段180の送信コマンド格納領域に記憶させる。これにより、メインコマンド管理手段190がその送信コマンド格納領域に記憶されている保留コマンドを第1副制御基板200に向けて送信する(ステップS112)。
ここで、ステップS110及びS112は、ステップS106及びS108と並行に実行されてもよいし、それらよりも先に実行されてもよい。
【0117】
事前判定手段130は、所定の事前判定タイミングにおいて特
図1の作動保留情報が保留(記憶)された場合に(ステップS114のYES)、その作動保留情報を対象とした先読み演出のための事前判定を実行する(ステップS116)。事前判定では、例えば、対象となる作動保留情報の各種乱数を読み出し、特図当否判定の事前判定、転落当否判定の事前判定、特図停止図柄抽選の事前判定、特図変動パターン抽選の事前判定を実行する。各事前判定では、その作動保留情報に基づいて特図抽選手段140により実行される各抽選の結果と同一の結果が導出される。
事前判定手段130は、ステップS116における事前判定の結果を含む事前判定コマンドを生成し、メイン情報記憶手段180の送信コマンド格納領域に記憶させる。これにより、メインコマンド管理手段190がその送信コマンド格納領域に記憶されている事前判定コマンドを第1副制御基板200に向けて送信する(ステップS118)。
【0118】
<図柄変動の変動開始時の処理について>
続いて、図柄変動の変動開始時の処理について、
図10を用いて説明する。
【0119】
図10は、図柄変動開始処理の処理手順を示すフローチャートである。
なお、
図10に図示される処理手順は、一例であり、内容的に支障のない範囲でその順序等を変更することができ、実行タイミングの一部又は全部が互いに重複するものを含んでもよい。また、
図10に図示される各処理は図柄変動開始時に主制御基板100によって実行される主たる処理であり、必ずしも全ての処理を示すものではない。
【0120】
図柄変動開始処理の処理手順について
図10の記載に沿って説明する。ここで「図柄変動開始処理」とは、第1特別図柄表示装置91又は第2特別図柄表示装置92で行われる特図の図柄変動を開始させる際に行われる一連の処理である。
まず、特図抽選手段140は、特図の変動開始条件が充足されているか否かを判定する(ステップS202)。例えば、大当り遊技中ではないこと、特
図1及び特
図2のいずれも図柄変動中でないこと、特
図1及び特
図2のうちの少なくともいずれか一方に作動保留情報が存在することの全ての条件が充足されているか否かが判定される。
ステップS202の判定が否定されるとき(ステップS202のNO)、ステップS204以降の処理は実行されずに、その図柄変動開始処理は終了となる。
【0121】
ステップS202の判定が肯定されると(ステップS202のYES)、特図抽選手段140は、メイン情報記憶手段180に保留されている作動保留情報のうちの最先の作動保留情報を読み出す(ステップS204)。
最先の作動保留情報が読み出されると、メイン保留制御手段120は、その読み出された作動保留情報をクリアし、残りの作動保留情報の格納領域をシフトさせ、読み出された作動保留情報に対応する特
図1又は特
図2の保留カウンタを1減算する(ステップS206)。
続いて、特
図1又は特
図2の保留カウンタが更新されたため、メイン保留制御手段120は、減算後の特
図1又は特
図2の保留カウンタの値を含む保留コマンドを生成し、メイン情報記憶手段180の送信コマンド格納領域に記憶させる。これにより、メインコマンド管理手段190がその送信コマンド格納領域に記憶されている保留コマンドを第1副制御基板200に向けて送信する(ステップS208)。
【0122】
ステップS204で最先の作動保留情報が読み出されると、転落当否判定手段144が、その作動保留情報の転落当否判定用乱数を取得し、その乱数と転落当否判定用の抽選テーブル(
図7(e)参照)を用いて転落当否判定に当選するか否かを抽選によって決定する(ステップS210)。
続いて、特図当否判定手段141が、その作動保留情報の特図当否判定用乱数を取得し、その乱数と特図当否判定用の抽選テーブル(
図7(a)及び
図7(b)参照)を用いて大当り、小当たり、はずれのいずれに該当するかを抽選によって決定する(ステップS212)。このとき、特図抽選状態が特定され、その特図抽選状態に対応する抽選テーブルが参照される。
更に、特図停止図柄抽選手段142が、ステップS212の特図当否判定の結果に基づいて、特図の停止図柄を決定する(ステップS214)。具体的には、特図停止図柄抽選手段142は、ステップS214の特図当否判定の結果が大当りを示す場合には、当該作動保留情報の特図停止図柄抽選用乱数を取得し、その乱数と特図停止図柄抽選用の抽選テーブル(
図7(c)、及び
図7(d)参照)を用いて特図の停止図柄を抽選によって決定する。ステップS214の特図当否判定の結果が小当り又ははずれを示す場合には、特図停止図柄抽選手段142は、固定的に決められている特図の小当り用の停止図柄又は特図のはずれ用の停止図柄を一律に決定する。
加えて、特図変動パターン導出手段143が、ステップS210、S212及びS214の結果に基づいて、特図変動パターンを導出する(ステップS216)。例えば、特図変動パターン導出手段143は、遊技状態制御手段175により制御される現在の特図変動パターン導出状態を特定し、この特図変動パターン導出状態とステップS210、S212及びS214の結果に基づいて、複数種類の特図変動パターン抽選テーブルの中から一つの特図変動パターン抽選テーブルを選択し、選択した特図変動パターン抽選テーブルと当該作動保留情報の特図変動パターン抽選用乱数とを用いて一つの特図変動パターンを導出する。
【0123】
特図変動パターン導出手段143は、ステップS216で導出された特図変動パターンを指定する変動開始コマンドを生成し、当該コマンドをメイン情報記憶手段180の送信コマンド格納領域に記憶させる。このとき、その変動開始コマンドには、低確時短に対応する特図変動パターン導出状態Cが開始されてからの図柄変動の回数の情報が少なくとも含まれる。これにより、メインコマンド管理手段190がその送信コマンド格納領域に記憶されている変動開始コマンドを第1副制御基板200に向けて送信する(ステップS218)。
【0124】
<演出に採用される楽曲について>
続いて、本実施形態の遊技機10が行う種々の演出に採用される楽曲について説明する。
当該楽曲は、本実施形態における遊技機10のモチーフになっているアニメの主題歌(メインテーマ)であり、一般的な遊技者に広く認知されているものである。本実施形態の説明において当該楽曲について「原曲」と述べる場合、最も世間に広く認知されている形式と解される当該アニメの主題歌として認識されている形式(ボーカルの歌声を含む形式)を指す。
【0125】
図11は、本発明に係る演出に使用される楽曲(原曲)の基本構成を示す図である。
当該楽曲は、いわゆるAABA進行で構成される楽曲である。説明の便宜上、同じ旋律(メロディ)を1つの基本構成と分類すると、当該楽曲は、前奏1、Aメロ1、Aメロ2、Bメロ1、Aメロ3、後奏1、間奏、前奏2、Aメロ4、Aメロ5、Bメロ2、Aメロ6、後奏2の順で再生される構成になっている。
図11は、上記の各基本構成に含まれる小節ごとに区分して図示する(例えば、「前1−1」、「A1−1」等)。なお、原曲は、ブリッジとなる不図示の短いフレーズが各フレーズの間に挟まる構成になっている。
【0126】
上記の構成のうち、Aメロ又はBメロに分類される構成には旋律に合わせて発せされる歌(メイン・ボーカルの歌声)が割り当てられており、当該歌についても楽曲の一部として扱う。
また、上記の構成のうち、前奏1及び前奏2の最終小節(
図11で「前1−8」及び「前2−6」と図示する楽曲パート)、Bメロ1とAメロ2との間の不図示のブリッジ部分、Bメロ2とAメロ6との間の不図示のブリッジ部分、後奏1及び後奏2の一部の小節(
図11で「後1−1」〜「後1−4」及び「後2−1」〜「後2−4」と図示する楽曲パート)には、旋律に合わせて発せされるコーラス(バックグラウンド・ボーカルの歌声)が割り当てられており、当該コーラスについても楽曲の一部として扱う。
【0127】
Aメロ1、Aメロ2、及びAメロ3は、それぞれ主旋律については同じになっているが、アレンジが若干異なる。Bメロ1は、Aメロ1、Aメロ2、及びAメロ3のいずれとも主旋律が異なっている。
Aメロ4、Aメロ5、及びAメロ6は、それぞれAメロ1、Aメロ2、及びAメロ3と同じ旋律になっているが、割り当てられている歌が異なる。Bメロ2は、Bメロ1と同じ旋律になっているが、割り当てられている歌が異なる。
【0128】
以下の説明において、
図11に図示される前半部分の基本構成(前奏1、Aメロ1、Aメロ2、Bメロ1、Aメロ3、及び後奏1)を当該楽曲の「1番に係る楽曲パート」と称し、後半部分の基本構成(前奏2、Aメロ4、Aメロ5、Bメロ2、Aメロ6、及び後奏2)を当該楽曲の「2番に係る楽曲パート」と称し、間奏はどちらにも含まれないものとして扱う。
【0129】
本発明に係る演出については、上記のコーラスが割り当てられている「前1−8」の楽曲パートをキーフレーズとして多用する構成になっており、スピーカ33から当該楽曲パートが出力(再生)されると、以後の演出展開において各種演出が発展する(例えば、大当りの当選期待度が高い演出が実行される)ように構成されている為、その結果として当該楽曲パートの再生のみをもって遊技者の期待感を高めることとなる。
【0130】
なお、本実施形態における遊技機10は、
図11に図示される楽曲の全てを再生させる為の音声データを有していないものとする。即ち、第1副制御基板200(演出制御手段)は、音声出力手段によって当該楽曲(一の楽曲)を通して再生させる場合がない。
但し、本発明の実施はこれに限られず、当該楽曲に相当するものを通して再生させる場合がある遊技機において、本発明を実施してもよい。
【0131】
<上記の楽曲を用いた演出の実施例について>
次に、
図11に図示した楽曲を用いた演出の実施例について説明する。
図12は、或る一回の図柄変動において当該楽曲の一部である楽曲パートを用いて演出を実行する場合のタイムチャートである。
図13は、連続して実行される図柄変動において当該楽曲の一部である楽曲パートを用いて演出を実行する場合のタイムチャートである。
図14及び
図15は、メイン表示部81に表示される演出画像の一具体例を示す図である。
なお、上記の各図は、
図11に図示した楽曲を用いた演出の全てを図示するものではなく、以下の説明は、これらに図示しない状況において当該楽曲を用いた演出を実行することを排除するものではない。
また、
図12及び
図13に図示される楽曲パートは、そのタイムチャートに係る演出の実行中に再生される音声(楽曲パートを含む)の全てとは限らず、不図示の音声がスピーカ33から出力されることを許容する。
また、
図12及び
図13に楽曲パートを再生させる期間として図示されるものは、不図示の音源ICがCPU301から受信した制御信号に基づいて、期間ごとに当該期間に再生させる楽曲パートに係る音声データを生成するものであるが、単一の期間として図示されるものに対して単一の音声データが生成されるものとは限られず、本発明に係る要件を充足する範囲内において、単一の期間に対して複数の音声データが生成されてもよいし、複数の期間に対して単一の音声データが生成されてもよい。
【0132】
図12のタイムチャートにおいて「擬似1」「擬似2」「擬似3」「擬似4」と図示されている期間は、擬似連演出における各擬似変動を表すものである。
ここで「擬似連演出」とは、一回の図柄変動中に複数回の装飾図柄の変動が行われているかのような心証を遊技者に与える演出である(当該演出中における複数回の装飾図柄の各変動を、以下の説明において擬似変動と称する場合がある)。
「擬似変動」は、図柄変動の開始時から最初に装飾図柄が仮停止するまでの期間を指すものであってもよく、仮停止している装飾図柄が再変動してから再び仮停止するまでの期間を指すものであってもよい。本実施形態では、前者の擬似変動を「擬似1回目」又は「擬似1」と称する場合があり、後者の擬似変動を「擬似X回目(Xは擬似1を基準として遊技者が認識する擬似変動の回数が入る)」又は「擬似X」と称する場合がある。
なお、擬似連演出の演出態様は、必ずしも通常の装飾図柄(後述する数字を摸した装飾図柄)が仮停止することを擬似変動の区切りとする必要はなく、遊技者にとって認識可能な区切りをもって複数回の擬似変動を遊技者に認識させれば足りる。例えば、通常の装飾図柄とは異なる特殊な装飾図柄(特殊図柄)が仮停止することを擬似変動の区切りとしてもよいし、メイン表示部81の一部領域に「×2」「×3」・・・等と表示して擬似変動の進行を遊技者に認識させてもよいし、スピーカ33による音声出力(BGMの変化を含む)や演出ランプ35の発光出力によって擬似変動の区切りを遊技者に認識させてもよい。なお、擬似連演出に用いられる特殊図柄は、遊技者に演出の連続性を認識させる文字図柄(「連続」、「継続」、「NEXT」等)を含むもの、又は特定のキャラクターを摸したキャラクター図柄であることが一般的であるが、必ずしもこのような態様に限られるものではない。
【0133】
図12のタイムチャートにおいて「T1」「T2」「T3」と図示されている時点は、擬似連演出における各擬似変動の区切りとなり得る制御上のタイミングを表すものである。
本実施形態における擬似連演出の実行において、擬似1回目から擬似2回目に発展する場合には、基本的には、制御タイミングT1に後述の特殊図柄81eが仮停止する。また、擬似2回目から擬似3回目に発展する場合には、基本的には、制御タイミングT2に後述の特殊図柄81eが仮停止する。擬似3回目から擬似4回目に発展する場合には、基本的には、制御タイミングT3に後述の特殊図柄81eが仮停止する。
但し、必ずしも制御タイミングT1、制御タイミングT2及び制御タイミングT3が、それぞれ擬似1回目から擬似2回目への発展、擬似2回目から擬似3回目への発展、擬似3回目から擬似4回目への発展に一意に対応している訳ではなく、制御タイミングT2や制御タイミングT3が擬似1回目から擬似2回目への発展に対応してもよいし、制御タイミングT3が擬似2回目から擬似3回目への発展に対応してもよい。
また、制御タイミングT1、制御タイミングT2及び制御タイミングT3において行われる擬似変動の区切りは、必ずしも特殊図柄の仮停止に限られず、上述した区切りの態様のいずれと置換してもよい。
【0134】
本実施形態では、制御タイミングT1、制御タイミングT2及び制御タイミングT3は変動開始時を基準として不変の時間が与えられているもの(予め定められた一律のもの)であり、具体的には、変動開始時から14秒、変動開始時から19秒、及び変動開始時から27秒と定められている。
なお、この実施形態は一具体例であり、擬似変動の区切りとなり得る制御上のタイミングが、種々の条件に応じて変動するもの(例えば、演出抽選によって定められるもの)であってもよい。また、擬似変動の区切りとなり得る制御上のタイミングが、本実施形態と同様に予め定められた一律のものであったとしても、本実施形態とは異なるタイミングに適宜変更してもよい。
【0135】
上述したように、制御タイミングT1、制御タイミングT2及び制御タイミングT3は各擬似変動の区切りとなりうるタイミングであり、その前後の擬似変動の双方(一の変動期間及び次の変動期間の双方)に属するものとして取り扱う。
なお、当然のことではあるが、上記の一の変動期間と次の変動期間との間(区切り)には、装飾図柄が停止又は仮停止している時間帯が存在する。本実施形態では、装飾図柄が停止又は仮停止している時間帯に「複数のタイミング」の一部又は全部が含まれている態様についても「一の変動期間の開始タイミングから次の変動期間の終了タイミングまでの第一期間」に「複数のタイミング」が含まれるものとして扱う。
【0136】
図12(A)に示すタイムチャートは、制御タイミングT1までに図柄変動が停止する場合(当該図柄変動に対して導出された特図変動パターンが、変動開始時から制御タイミングT1までの時間以下である場合)において再生されるBGM(バックグラウンドミュージック)の基本的な再生態様を示すものである。
当該場合は、基本的には変動開始時から変動終了時まで、その図柄変動における背景表示(例えば、
図14(a)に図示される背景表示81a)に依存して選択される楽曲パート(以下、背景依存楽曲パートと称する場合がある)が再生される。なお、
図12(A)に示すタイムチャートは、変動開始時から制御タイミングT1の全てにわたって背景依存楽曲パートが再生されるように図示されているが、当然ながら図柄変動が制御タイミングT1より前に停止する場合には、制御タイミングT1の経過を待たずに当該背景依存楽曲パートの再生が停止しうる。
【0137】
ここでBGMとは、スピーカ33から再生される音声制御上、他の音声(種々の効果音等)に比べて再生の優先順位が低い音声であり、他の音声がスピーカ33から再生される場合にはBGMの再生が制限されうる(BGMの再生を停止する、音量を零にする(ミュートにする)、音量が小さくなる、再生が中断される等)。
上記の背景依存楽曲パートは、BGMの一種であり、その時点におけるメイン表示部81の背景表示に依存して選択的に再生される楽曲パートである。背景表示は、上述の演出モードに応じて選択的に表示される他、特定の先読み演出に応じて選択的に表示されたり、一の演出モードを複数とおりに区分した演出状態(演出ステージ)に応じて選択的に表示されたり、するものである。背景依存楽曲パートは、その背景表示がメイン表示部81に継続して表示されている期間にわたって原則としてBGMとして再生される為、複数の図柄変動に跨がって再生が継続されうる。
なお、本実施形態における背景依存楽曲パートは、
図11に図示する楽曲とは異なる別の楽曲又は当該楽曲に含まれない別の楽曲パートであることを前提として説明するが、背景依存楽曲パートの少なくとも一部が
図11に図示する楽曲又は当該楽曲に含まれる楽曲パートを含む実施態様を排除するものではない。
【0138】
図12(B)に示すタイムチャートは、制御タイミングT1に擬似連演出の発展契機となる特殊図柄(例えば、
図14(c)に図示される特殊図柄81e)が仮停止して制御タイミングT2までに図柄変動が停止する場合(当該図柄変動に対して導出された特図変動パターンが、擬似2回目で終了する擬似連演出に対応している場合)において再生される効果音とBGMの基本的な再生態様を示すものである。
【0139】
図12(B)に示す場合は、基本的には変動開始時から制御タイミングT1まで上記の背景依存楽曲パートが再生され、制御タイミングT1に特殊図柄81eが仮停止することを契機に「前1−8」の楽曲パートを含む効果音(以下、キーフレーズ効果音と称する場合がある)が再生され、キーフレーズ効果音の終了後に遊技者が認識可能となるように「前奏1」及び「Aメロ1」の楽曲パートを含むBGM(以下、AメロBGMと称する場合がある)が再生される。
換言すれば、
図12(B)に示す場合は、
図11に図示する楽曲に含まれる楽曲パートの再生開始タイミングが、擬似1回目と擬似2回目の区切り及び擬似2回目の途中と、計2回含まれ、擬似1回目と擬似2回目を「第一期間」と解すれば、当該場合は本発明の「第一の場合」に相当する。
【0140】
より具体的には、特図の変動開始時に装飾図柄の変動も開始される(
図14(a)参照)。次に、制御タイミングT1より前のタイミング(左図柄81b、右図柄81dの順に仮停止したタイミング)においてメイン表示部81においてリーチ状態が形成される(
図14(b)参照)。ここでリーチ状態とは、複数列にわたって変動している装飾図柄のうち最終停止列を除く列において同種の装飾図柄が仮停止している状態をいう。また、本実施形態では、リーチ状態において行われる演出又は当該状態になったことを契機として行われる演出をリーチ演出と称する場合がある。
続いて、右図柄81dが再変動すると共に特殊図柄81eがメイン表示部81の表示領域外からフレームインする形式でメイン表示部81の中央部までスクロールし(
図14(c)参照)、左図柄81b、中図柄81c及び右図柄81dを視認不能とするように(より上位レイヤーに)フラッシュ表示81fが表示され、且つ、メイン表示部81の中央部で(フラッシュ表示81fより上位のレイヤーに)特殊図柄81eが仮停止する(
図14(d)参照)。当該特殊図柄81eの仮停止を契機として擬似2回目が開始され、メイン表示部81の右上隅部に2回目の擬似変動である旨を表す擬似回数表示81gが表示される(
図15(a)参照)。
ここで、
図14(c)に図示する状態から
図14(d)に図示する状態に移行するタイミングが上記の制御タイミングT1に相当し、フラッシュ表示81fの表示及び特殊図柄81eの仮停止に合わせてキーフレーズ効果音が再生される。なお、キーフレーズ効果音は、フラッシュ表示81fの表示及び特殊図柄81eの仮停止に対応する効果音に分類される音声であって、各種BGMより再生の優先順位が高いものである。
【0141】
なお、上記の
図14(a)〜(d)及び
図15(a)に基づいて説明した演出態様は、擬似連演出が発展する際の一具体例であり、遊技機10は他の演出態様で擬似連演出が発展する場合があってもよい(擬似連演出の発展パターンを複数有してもよい)。
また、擬似連演出の発展契機となる特殊図柄は、特殊図柄81eに限られず、遊技機10は複数とおりの特殊図柄を有してもよい。
【0142】
上記のように擬似1回目(一の変動期間)から擬似2回目(次の変動期間)に発展する場合において同一の楽曲(
図11に図示する楽曲)に係る楽曲パートが複数再生される場合(本発明に係る第一の場合に相当)、本発明の目的を達成する範囲内において、効果音とBGMの再生開始タイミングや再生終了タイミングは変更可能である。
【0143】
例えば、
図12(B)のタイムチャートでは、擬似1回目と擬似2回目の区切り(制御タイミングT1)背景依存をキーフレーズ効果音の再生開始タイミングであるものとして図示し、擬似2回目の途中をキーフレーズ効果音の再生終了タイミングであるものとして図示したが、キーフレーズ効果音が擬似1回目から擬似2回目に発展するか否かを煽る(どちらになるか不明な状態)ことを目的とする効果音であるならば、キーフレーズ効果音の再生開始タイミングは制御タイミングT1より前(擬似1回目の途中)であることが好ましく、キーフレーズ効果音の再生終了タイミングは制御タイミングT1の以後(擬似1回目と擬似2回目の区切り以後)であることが好ましい。
換言すれば、上記の変形例は、
図11に図示する楽曲に含まれる楽曲パートの再生開始タイミングが、擬似1回目の途中及び擬似1回目と擬似2回目の区切り以後と、計2回含まれ、擬似1回目と擬似2回目を「第一期間」と解すれば、当該変形例は本発明の「第一の場合」に相当する。
【0144】
また、背景依存楽曲パートの再生終了タイミング及びAメロBGMの再生開始タイミングは、それぞれキーフレーズ効果音の再生開始タイミング及び再生終了タイミングと厳密に一致させる必要はなく、背景依存楽曲パートの再生期間とキーフレーズ効果音の再生期間が重複してもよいし、キーフレーズ効果音の再生期間とAメロBGMの再生期間とが重複してもよい。言い換えれば、キーフレーズ効果音は、背景依存楽曲パート(擬似1回目のBGM)とAメロBGM(擬似2回目のBGM)とを接続する役割を果たすものであることが好ましく、且つ、キーフレーズ効果音は背景依存楽曲パートとAメロBGMより再生の優先順位が高いので、キーフレーズ効果音の再生開始タイミングは背景依存楽曲パートの再生終了タイミングより前でもよく、キーフレーズ効果音の再生終了タイミングはAメロBGMの再生開始タイミングより後でもよい。
【0145】
なお、
図12(B)に示すタイムチャートは、キーフレーズ効果音の再生が終了してから制御タイミングT2までの全ての期間にわたってAメロBGMが再生されるように図示されているが、当然ながら制御タイミングT1と制御タイミングT2の途中で図柄変動が停止する場合又は不図示の他の演出用音声(例えばリーチ演出用の音声)が再生される場合には、制御タイミングT2の経過を待たずに当該AメロBGMの再生が停止しうる。
また、キーフレーズ効果音の再生が終了してから制御タイミングT2までの時間長さと、AメロBGMの全てを再生する為の時間長さは、必ずしも一致しなくてよい。前者が後者より短い場合にはAメロBGMは途中で再生停止とすればよく、前者が後者より長い場合にはAメロBGMをループ再生(最後まで再生した後に最初から繰り返す再生)をすればよい。
【0146】
図12(C)に示すタイムチャートは、制御タイミングT1及び制御タイミングT2に擬似連演出の発展契機となる特殊図柄が仮停止して制御タイミングT3までに図柄変動が停止する場合(当該図柄変動に対して導出された特図変動パターンが、擬似3回目で終了する擬似連演出に対応している場合)において再生される効果音とBGMの基本的な再生態様を示すものである。
【0147】
図12(C)に示す場合は、基本的には変動開始時から制御タイミングT1まで上記の背景依存楽曲パートが再生され、制御タイミングT1に特殊図柄81eが仮停止することを契機にキーフレーズ効果音が再生され、当該キーフレーズ効果音の終了後に遊技者が認識可能となるようにAメロBGMが再生され、制御タイミングT2に再び特殊図柄81eが仮停止することを契機にキーフレーズ効果音が再生され、当該キーフレーズ効果音の終了後に遊技者が認識可能となるように「Bメロ1」の楽曲パートを含むBGM(以下、BメロBGMと称する場合がある)が再生される。
換言すれば、
図12(C)に示す場合は、
図11に図示する楽曲に含まれる楽曲パートの再生開始タイミングが、擬似1回目と擬似2回目の区切りと、擬似2回目の途中と、擬似2回目と擬似3回目の区切りと、擬似3回目の途中と、計4回含まれている。従って、擬似1回目と擬似2回目を「第一期間」と解する場合には当該楽曲パートの再生開始タイミングが3回となり、擬似2回目と擬似3回目を「第一期間」と解する場合には当該楽曲パートの再生開始タイミングが4回となり、いずれの場合についても本発明に係る「第一の場合」に相当する。
【0148】
図12(C)に示すタイムチャートにおける各音声の制御タイミングとメイン表示部81の表示の関係、各音声の再生に係る優先順位についての本実施形態の説明、並びに、その変形例に関する説明は、
図12(B)に示すタイムチャートに関して説明した内容と重複する為、ここでの詳細な説明は省略する。
【0149】
なお、
図12(C)に示すタイムチャートは、2回目のキーフレーズ効果音の再生が終了してから制御タイミングT3までの全ての期間にわたってBメロBGMが再生されるように図示されているが、当然ながら制御タイミングT2と制御タイミングT3の途中で図柄変動が停止する場合又は不図示の他の演出用音声(例えばリーチ演出用の音声)が再生される場合には、制御タイミングT3の経過を待たずに当該BメロBGMの再生が停止しうる。
また、2回目のキーフレーズ効果音の再生が終了してから制御タイミングT3までの時間長さと、BメロBGMの全てを再生する為の時間長さは、必ずしも一致しなくてよい。前者が後者より短い場合にはBメロBGMは途中で再生停止とすればよく、前者が後者より長い場合にはBメロBGMをループ再生(最後まで再生した後に最初から繰り返す再生)をすればよい。
【0150】
図12(D)及び(E)に示すタイムチャートは、いずれも制御タイミングT1、制御タイミングT2及び制御タイミングT3に擬似連演出の発展契機となる特殊図柄が仮停止して制御タイミングT3より後に図柄変動が停止する場合(当該図柄変動に対して導出された特図変動パターンが、擬似4回目で終了する擬似連演出に対応している場合)において再生される効果音とBGMの基本的な再生態様を示すものである。
【0151】
図12(D)及び(E)に示す場合は、基本的には変動開始時から制御タイミングT1まで上記の背景依存楽曲パートが再生され、制御タイミングT1に特殊図柄81eが仮停止することを契機にキーフレーズ効果音が再生され、当該キーフレーズ効果音の終了後に遊技者が認識可能となるようにAメロBGMが再生され、制御タイミングT2に再び特殊図柄81eが仮停止することを契機にキーフレーズ効果音が再生され、当該キーフレーズ効果音の終了後に遊技者が認識可能となるようにBメロBGMが再生され、制御タイミングT3に3度目の特殊図柄81eの仮停止が行われることを契機にキーフレーズ効果音が再生される。
【0152】
制御タイミングT3より後における効果音とBGMの再生態様は、その後に(擬似4回目に)実行される演出によって異なる。
なお、本実施形態における擬似連演出は擬似4回目に発展した場合には、必ずリーチ演出に発展するように構成されており、各リーチ演出には各々に対応するリーチ演出用の音声が割り当てられている為、擬似4回目の終了時(図柄変動の終了時)までBメロBGMが遊技者に認識可能に再生される場合はない。但し、この実施態様は一具体例であり、本発明の実施において擬似4回目の終了時(図柄変動の終了時)までBメロBGMが再生されることは許容される。
【0153】
例えば、擬似4回目に行われる演出が、遊技機10によって実行され得るリーチ演出の中で最も信頼度(大当り期待度)が高いSリーチ演出である場合、Sリーチ演出に対応する音声が
図11に図示する楽曲の1番に係る楽曲パートの全て(前奏1、Aメロ1、Aメロ2、Bメロ1、Aメロ3、及び後奏1)になっており、他のリーチ演出用の音声に比べて長尺である為、BGMの再生が省かれて、今回の擬似連演出における3度目の特殊図柄81eの仮停止の直後から1番に係る楽曲パートが再生される(
図12(E)参照)。
或いは、擬似4回目に行われる演出が、遊技機10によって実行され得るSリーチ演出以外のリーチ演出である場合、今回の擬似連演出における3度目の特殊図柄81eの仮停止の直後から上記のBメロBGMが再生された後に、当該リーチ演出用の音声(演出依存楽曲パート)が再生される(
図12(D)参照)。
換言すれば、
図12(D)及び(E)に示す場合は、
図11に図示する楽曲に含まれる楽曲パートの再生開始タイミングが、擬似1回目と擬似2回目の区切りと、擬似2回目の途中と、擬似2回目と擬似3回目の区切りと、擬似3回目の途中と、擬似3回目と擬似4回目の区切りと、擬似4回目の途中と、計6回含まれている。従って、擬似1回目と擬似2回目を「第一期間」と解する場合には当該楽曲パートの再生開始タイミングが3回となり、擬似2回目と擬似3回目を「第一期間」と解する場合には当該楽曲パートの再生開始タイミングが4回となり、擬似3回目と擬似4回目を「第一期間」と解する場合には当該楽曲パートの再生開始タイミングが4回となり、いずれの場合についても本発明に係る「第一の場合」に相当する。
【0154】
ここで最も信頼度(大当り期待度)が高いSリーチ演出は、本実施形態においてはその信頼度が100%未満であることを前提として説明するが、信頼度が100%(大当り確定)であってもよい。
ここで演出依存楽曲パートとは、その時点において実行される演出に依存して選択的に再生される楽曲パートであり、その多くは当該演出専用の楽曲パートである。演出の選択は、上述した演出内容決定手段225や先読み演出制御手段223によって実行されるものである。
【0155】
図12(D)及び(E)に示すタイムチャートにおける各音声の制御タイミングとメイン表示部81の表示の関係、各音声の再生に係る優先順位についての本実施形態の説明、並びに、その変形例に関する説明は、
図12(B)に示すタイムチャートに関して説明した内容と重複する為、ここでの詳細な説明は省略する。
【0156】
上記の「第一の場合」に該当するものとして説明したもののうち、擬似1回目と擬似2回目を「第一期間」と解するものについては、
図11に図示する楽曲のうち「前1−8」を含むキーフレーズ効果音(第一の楽曲パート)を再生した後に、「前奏1(前1−1)」から開始されるAメロBGM(第二の楽曲パート)を再生させる為、
図11に示す原曲の再生順序と逆転しているので、時間Δt1は負の値となる。当然ながら、時間Δt2は正の値である為、時間Δt1と時間Δt2は異なる。
上記の「第一の場合」に該当するものとして説明したもののうち、擬似2回目と擬似3回目を「第一期間」と解するものについては、
図11に図示する楽曲のうち「前1−8」を含むキーフレーズ効果音、「前奏1(前1−1)」から開始されるAメロBGM、「前1−8」を含むキーフレーズ効果音、「Bメロ1(B1−1)」から開始されるBメロBGMの順に再生され、それぞれの再生開始タイミングの差分は原曲におけるものと相違する。従って、上記の4つの楽曲パートのうちいずれを「第一の楽曲パート」及び「第二の楽曲パート」と解する組み合わせであっても、時間Δt1と時間Δt2は異なる。
上記の「第一の場合」に該当するものとして説明したもののうち、擬似3回目と擬似4回目を「第一期間」と解するものについては、
図12(D)及び(E)に示す場合のいずれにおいても、「前1−8」を含むキーフレーズ効果音、「Bメロ1(B1−1)」から開始されるBメロBGM、「前1−8」を含むキーフレーズ効果音の順に再生される。更に、
図12(D)に示す場合には、その後に「Bメロ1(B1−1)」から開始されるBメロBGMが、
図12(E)に示す場合には、「前奏1(前1−1)」から開始されるSリーチ用の楽曲パートが、再生される為、それぞれの再生開始タイミングの差分は原曲におけるものと相違する。従って、上記の5つの楽曲パートのうちいずれを「第一の楽曲パート」及び「第二の楽曲パート」とする組み合わせであっても、時間Δt1と時間Δt2は異なる。
従って、上記の「第一の場合」に相当するいずれの場合についても、第一の楽曲パートの再生を開始させる第一タイミングから第二の楽曲パートの再生を開始させる第二タイミングまでの時間長さ(時間Δt1)が、一の楽曲における第一の楽曲パートの開始時から第二の楽曲パートの開始時までの時間長さ(時間Δt2)と異なりうるものと換言できる。
また、上記の「第一の場合」に相当する場合の一部において、第一の楽曲パートを再生させる第一タイミングより後の第二タイミングに第二の楽曲パートが再生され、且つ、一の楽曲においては第二の楽曲パートの開始時が第一の楽曲パートの開始時より前であるものと換言できる。
このように、一回の擬似連演出の中の連続する擬似変動において、同一の楽曲に含まれる楽曲パートを複数回再生する為、この連続する擬似変動に一体感を持たせることができる。また、それぞれの楽曲パートの再生開始タイミングの差分(時間Δt1)が、原曲における再生開始タイミングの差分(時間Δt2)と相違し、場合によって再生順序が逆転するので、遊技者に違和感を与えることができ、その結果として擬似連演出に対する遊技者の関心を強めることができる。
【0157】
上記の「第一の場合」に該当するものとして説明したもののうち、擬似1回目と擬似2回目を「第一期間」と解するものについては、擬似1回目の冒頭(変動開始時)においては背景依存楽曲パート(
図11に図示する楽曲とは異なる別の楽曲又は当該楽曲に含まれない別の楽曲パート)が再生される。本実施形態では、このような別の楽曲又は別の楽曲パートが「第一期間」において再生される態様は、「第一の場合」に該当する場合の全てではない。但し、本発明の実施はこれに限られず、「第一の場合」に該当する場合の全てにおいて「第一の楽曲パート」及び「第二の楽曲パート」より先に別の楽曲又は別の楽曲パートが再生されてもよい。
従って、第一の場合の少なくとも一部において、遊技機10(演出制御手段)は、第一期間内の或るタイミングに一の楽曲とは異なる別の楽曲又は一の楽曲に含まれない別の楽曲パートの再生を開始させ、該第一期間に含まれ且つ該或るタイミングの後に到来する第一タイミングに第一の楽曲パートの再生を開始させ、該第一期間に含まれ且つ該第一タイミングの後に到来する第二タイミングに第二の楽曲パートの再生を開始させてもよいものと換言できる。
このような場合については、一回の擬似連演出の中の連続する擬似変動(第一期間)において、
図11に示す楽曲(一の楽曲)に含まれる楽曲パートを複数回再生するだけではなく、別の楽曲又は別の楽曲パートを再生した後に一の楽曲に含まれる楽曲パート(第一の楽曲パート、第二の楽曲パート)の再生を始めるので、演出の雰囲気をその前後で変化させて、擬似連演出に対する遊技者の関心を強めることができる。
【0158】
上記の「第一の場合」に該当するものとして説明したもののうち、
図11に示す楽曲に含まれる楽曲パートの再生開始タイミングが3回以上含まれる場合(第二の場合)については、遊技機10(演出制御手段)は、当該楽曲(一の楽曲)に含まれる第三の楽曲パートを、第一期間に含まれ且つ第一タイミング及び第二タイミングのいずれよりも遅い第三タイミングに音声出力手段によって再生開始させるものと換言できる。
また、上記の第二の場合と解されるもののうち「第一の楽曲パート」及び「第三の楽曲パート」と解されるものが1小節からなるキーフレーズ効果音である場合、「第二の楽曲パート」は複数の小節からなるAメロBGM又はBメロBGMである。従って、第二の場合における第二の楽曲パートの再生時間が、第二の場合における第一の楽曲パートの再生時間及び第三の楽曲パートの再生時間の双方より長くなり得る。
このような場合については、一回の擬似連演出の中の連続する擬似変動(第一期間)において、上記の再生順序(第一の楽曲パート、第二の楽曲パート、第三の楽曲パートの順)のうち中間に位置する第二の楽曲パートを他の楽曲パートより長めに再生させるので、第一期間における演出の一体感を強めることができる。
【0159】
本実施形態では、上記の第二の場合と解されるもののうち「第一の楽曲パート」、「第二の楽曲パート」、及び「第三の楽曲パート」と解されるものが、それぞれキーフレーズ効果音、AメロBGM、及びキーフレーズ効果音である場合、全ての楽曲パートに
図11に図示する楽曲のキーフレーズとなるコーラスを含む「前1−8」が含まれる。従って、当該場合においては当該キーフレーズが擬似変動の回数(2回)を超える回数となる。
換言すれば、第二の楽曲パートが、第一の楽曲パート及び第三の楽曲パートの双方と重複しているキーフレーズ(重複パート)を含んでいることによって、第二の場合において遊技者にとってキーフレーズを認識可能な回数(3回)が第一期間に含まれる変動期間の回数(2回)を超える。
このような場合については、一回の擬似連演出の中の連続する擬似変動(第一期間)において、同じキーフレーズ(重複パート)が繰り返される為、第一期間における演出効果を強めることができる。
【0160】
なお、本発明の実施は上記に限られない。例えば、上記の重複パートが、第二の楽曲パートと、第一の楽曲パート又は第三の楽曲パートのうち一方と、に含まれる態様によって、本発明が実施されてもよい。当該態様では、遊技者にとって重複パートを認識可能な回数は第一期間に含まれる変動期間の回数(2回)に等しくなる。或いは、上記の重複パートが存在しない(第一の楽曲パート、第二の楽曲パート、及び第三の楽曲パートのいずれも重複しない)態様によって、本発明が実施されてもよい。
【0161】
上記の「第二の場合」に該当するものとして説明したもののうち、擬似1回目及び擬似2回目を「第一期間」と解し且つ擬似3回目にBメロBGMを再生するもの、並びに、擬似2回目及び擬似3回目を「第一期間」と解し且つ擬似4回目にBメロBGMを再生するものについては、遊技機10(演出制御手段)は、当該楽曲(一の楽曲)に含まれ且つ上記のキーフレーズ(重複パート)を含まない第四の楽曲パート(BメロBGM)を、第一期間の終了タイミングの次の変動期間において音声出力手段によって再生させうるものと換言できる。
このような場合については、第一期間の最中に限られず、その終了後においても同一の楽曲を用いることによって演出の一体感を継続しつつ、第一期間の終了後については重複パートを含まない第四の楽曲パートを用いるので、演出が切り替わった雰囲気も醸し出すことができる。
【0162】
図13において「ゾーンJ用楽曲パート」「ゾーンK用楽曲パート」「ゾーンL用楽曲パート」と図示されている期間は、後述する先読みゾーン予告の種別であるゾーン予告J、ゾーン予告K、ゾーン予告Lに対応しているBGM(楽曲パート)がスピーカ33から出力(再生)される期間を表している。
ここで「先読みゾーン予告」とは、先読み演出(事前判定手段130による事前判定に基づく演出)のうち、複数回の図柄変動に跨がって行われうる演出であり、一回の図柄変動で終了する場合(先読みゾーン予告への移行を煽るのみで実際には移行しない場合)があってもよい。「先読みゾーン予告」は、一般的には、当該演出が行われる期間(先読みゾーン)の移行及び終了が遊技者にとって認識可能な態様で行われるが、必ずしも当該期間の全てにわたって当該態様が維持されなくてもよい(当該期間の一部において当該態様が遊技者に認識不能であってもよい)。
【0163】
図13において「図柄変動1」「図柄変動2」「図柄変動3」とは、説明の便宜上、上記の先読みゾーン予告が実行される複数回の図柄変動を識別して図示するものである。
より具体的には、先読みゾーン予告の移行契機となる特殊図柄(例えば、
図14(c)に図示される特殊図柄81e)が最終的に停止する図柄変動を「図柄変動1」とし、その次の図柄変動を「図柄変動2」とし、その次の図柄変動を「図柄変動3」とするものである。
【0164】
図13(A)に示すタイムチャートは、ゾーン予告Jが実行される場合において再生される効果音とBGMの基本的な再生態様を示すものである。
より具体的には、
図13(A)に示す場合は、基本的には変動開始時から特殊図柄81eがメイン表示部81にて停止するまで、
図11に図示する楽曲とは別の楽曲又は別の楽曲パート(
図13では「その他楽曲パート」と図示する)が再生され、特殊図柄81eが停止することを契機にキーフレーズ効果音が再生され、キーフレーズ効果音の終了後に遊技者が認識可能となるようにゾーンJ用楽曲パートが再生される。なお、本実施形態におけるゾーンJ用楽曲パートは、
図11に図示する楽曲の1番に係る楽曲パートの全てと、「間奏」とをループ再生するものである。
換言すれば、
図13(A)に示す場合は、
図11に図示する楽曲に含まれる楽曲パートの再生開始タイミングが、図柄変動1及び図柄変動2のそれぞれに少なくとも1回ずつ(計2回)含まれ、図柄変動1及び図柄変動2を「第一期間」と解すれば、当該場合は本発明の「第一の場合」に相当する。
【0165】
より具体的には、図柄変動1の変動開始時に装飾図柄の変動も開始される(
図14(a)参照)。次に、左図柄81b、右図柄81dの順に仮停止したタイミングにおいてメイン表示部81においてリーチ状態が形成される(
図14(b)参照)。続いて、右図柄81dが再変動すると共に特殊図柄81eがメイン表示部81の表示領域外からフレームインする形式でメイン表示部81の中央部までスクロールし(
図14(c)参照)、図柄変動1の変動停止時の直前(
図13において装飾図柄停止と記すタイミング)に左図柄81b、中図柄81c及び右図柄81dを視認不能とするように(より上位レイヤーに)フラッシュ表示81fが表示され、且つ、メイン表示部81の中央部で(フラッシュ表示81fより上位のレイヤーに)特殊図柄81eが停止する(
図14(d)参照)。当該特殊図柄81eの停止を契機としてゾーン予告Jが開始され(ゾーンJ用楽曲パートの再生が開始され)、ゾーン予告Jに滞在している旨を示す帯表示81hが表示されると共に、メイン表示部81の右上隅部に装飾図柄の退避表示81jが表示される(
図15(b)参照)。装飾図柄の図柄変動を退避表示81jとすることにより、メイン表示部81の中央部で装飾図柄の図柄変動に阻害されることなく他の演出表示を表示すること(例えば、メイン表示部81の中央部に演出ボタン37の押下を促す画像を表示する等)ができるようになる。
上記のゾーン予告Jの実行は、図柄変動1から図柄変動2に跨がり、更に図柄変動2から図柄変動3に跨がりうる。なお、本実施形態におけるゾーン予告Jの実行期間のうち最終の図柄変動(
図13(A)に示す場合は図柄変動3)では、必ずリーチ演出に発展するように構成されており、各リーチ演出には各々に対応するリーチ演出用の音声が割り当てられている為、最終の図柄変動の変動停止時までゾーンJ用楽曲パートが遊技者に認識可能に再生される場合はない。但し、この実施態様は一具体例であり、本発明の実施において最終の図柄変動の変動停止時まで先読みゾーン予告用の楽曲パートが再生されることは許容される。
【0166】
なお、上記の
図14(a)〜(d)及び
図15(b)に基づいて説明した演出態様は、先読みゾーン予告に移行する際の一具体例であり、遊技機10は他の演出態様で先読みゾーン予告に移行する場合があってもよい(先読みゾーン予告の移行パターンを複数有してもよい)。
また、先読みゾーン予告の移行契機となる特殊図柄は、特殊図柄81eに限られず、遊技機10は複数とおりの特殊図柄を有してもよい。このとき、上記の擬似連演出の発展契機となる特殊図柄と先読みゾーン予告の移行契機となる特殊図柄は、異なる特殊図柄としてもよい。また、上記のゾーン予告Jへの移行契機になる特殊図柄と、後述するゾーン予告Kやゾーン予告Lへの契機になる特殊図柄とは、必ずしも共通の特殊図柄とする必要はなく、例えば各々に対応する特殊図柄が存在してもよい。
【0167】
なお、
図13(A)においては、キーフレーズ効果音の再生終了タイミングが、図柄変動2の変動開始時より後であるように図示するが、本発明の実施はこれに限られない。例えば、キーフレーズ効果音に相当する楽曲パートが図柄変動1の変動停止時より前に再生終了し、その直後(図柄変動1の変動開始時以前)にゾーンJ用楽曲パートに相当する楽曲パートが再生開始される態様で本発明が実施されてもよい。
換言すれば、ここで述べた変形例は、
図11に図示する楽曲に含まれる楽曲パートの再生開始タイミングが、図柄変動1に計2回含まれ、図柄変動1及び図柄変動2を「第一期間」と解すれば、当該場合は本発明の「第一の場合」に相当する。
【0168】
また、
図13(A)に関する上記の説明においては、
図11に図示する楽曲に含まれる楽曲パートの再生開始タイミングが少なくとも2回であると述べたが、例えば、図柄変動2において不図示のタイミングで2回目以降のキーフレーズ効果音が再生される等することによって、「第一期間」に当該再生開始タイミングが3回以上含まれる態様によって、ゾーン予告J等の先読みゾーン予告が実行される場合があってもよい。
【0169】
図13(B)及び(C)に示すタイムチャートは、それぞれゾーン予告K及びゾーン予告Lが実行される場合において再生される効果音とBGMの基本的な再生態様を示すものである。
図13(B)及び(C)に示す場合は、
図13(A)に示す場合と概ね同様であるが、キーフレーズ効果音の終了後に再生開始される各々の専用の楽曲パート(ゾーンK用楽曲パート及びゾーンL用楽曲パート)に
図11に図示する楽曲の楽曲パートが含まれない点(別の楽曲パートである点)において相違する。
換言すれば、
図13(B)及び(C)に示す場合は、
図11に図示する楽曲に含まれる楽曲パートの再生開始タイミングが、1回しか含まれないため、図柄変動1及び図柄変動2を「第一期間」と解したとしても、当該場合は本発明の「第一の場合」に該当しない。但し、不図示のタイミングでキーフレーズ効果音が再生される等によって、ゾーン予告K及びゾーン予告Lが実行される場合であっても本発明の「第一の場合」に該当する場合があることを排除するものではない。
【0170】
以上説明したように、(i)演出表示手段において停止している装飾図柄が変動を開始してから停止するまでの期間(例えば、
図13に図示する図柄変動1や図柄変動2等)、(ii)演出表示手段において停止している装飾図柄が変動を開始してから仮停止するまでの期間(例えば、
図12に図示する擬似変動1(最初の擬似変動))、(iii)演出表示手段において仮停止している装飾図柄が再変動してから仮停止するまでの期間(例えば、
図12に図示する擬似変動2及び擬似変動3の一部(途中の擬似変動))、(iv)演出表示手段において仮停止している装飾図柄が再変動してから停止するまでの期間(例えば、
図12に図示する擬似変動2及び擬似変動3の一部、又は擬似変動4(最終の擬似変動))のいずれを、本発明に係る「変動期間」と解しても、一の変動期間の開始タイミングから次の変動期間の終了タイミングまでの第一期間に含まれ且つ互いに異なる複数のタイミングにおいて、一の楽曲に含まれる第一の楽曲パート(例えば、キーフレーズ効果音等)及び第二の楽曲パート(例えば、AメロBGMやBメロBGM等)を、音声出力手段によって再生させる第一の場合があるものと換言できる。
【0171】
図13(B)及び(C)に示されるゾーン予告K及びゾーン予告Lは、複数回の図柄変動に跨がり得る先読みゾーン予告である点において共通しているが、後述するBGMの優先度が異なる点において相違する。なお、BGMの優先度については、<BGMの優先順位について>において詳細に説明する。
【0172】
図13に示すタイムチャートは、(A)〜(C)のいずれについても、3回の図柄変動に跨がって先読みゾーン予告を実行して終了する場合を図示するものであるが、これらの先読みゾーン予告のうち少なくとも一部が、2回の図柄変動に跨がって終了する場合があってもよいし、4回の図柄変動に跨がって終了する場合があってもよい。
【0173】
<各演出に対応するBGMについて>
続いて、各演出に対応するBGMについて、
図16を用いて説明する。
図16は、図柄変動の開始時(0秒)から制御タイミングT1(14秒)までの間に開始されうる演出と、各演出に対応するBGMを時間帯に区分して示す図である。
図16に図示する演出は、上記の要件を充足する演出の全てとは限らず、遊技機10は不図示の演出を実行しうる。また、
図16に図示する楽曲パートは、全てBGMに分類されるものであり、上記のキーフレーズ効果音等の他の音声については図示していない。従って、各BGMに対応する時間帯の少なくとも一部において他の音声の再生が優先される結果として当該BGMの再生が制限される場合があってもよい。
【0174】
予告演出Aは、制御タイミングT1に特殊図柄が仮停止することを遊技者に予期させる演出(特殊図柄の仮停止を煽る演出)であり、図柄変動の開始時から制御タイミングT1までの期間に実行されうるものである。ここで、予告演出Aによって仮停止が予期される特殊図柄は、擬似連演出の発展契機となる特殊図柄であってもよいし、先読みゾーン予告への移行契機となる特殊図柄であってもよいし、その他の特殊図柄(例えば、特定の予告演出の開始契機となる特殊図柄)であってもよい。
予告演出Aを経て擬似連演出に発展する場合、予告演出Aに対応する専用のBGMが設けられていないため、原則通り、
図12を用いて説明した順序で各BGMが再生される。具体的には、図柄変動の開始時から制御タイミングT1までについては背景依存楽曲パートが、制御タイミングT1から制御タイミングT2までについてはAメロBGMが、制御タイミングT2から制御タイミングT3までについてはBメロBGMが、制御タイミングT3以降についてはBメロBGMが、それぞれ再生される。
【0175】
予告演出Bは、制御タイミングT2に特殊図柄が仮停止することを遊技者に予期させる演出(特殊図柄の仮停止を煽る演出)であり、図柄変動の開始時から制御タイミングT2までの期間に実行されうるものである。ここで、予告演出Bによって仮停止が予期される特殊図柄は、擬似連演出の発展契機となる特殊図柄であってもよいし、先読みゾーン予告への移行契機となる特殊図柄であってもよいし、その他の特殊図柄(例えば、特定の予告演出の開始契機となる特殊図柄)であってもよい。
予告演出Bが実行される場合には、上述の予告演出Aが実行される場合と異なり、制御タイミングT1に特殊図柄が仮停止することはない。従って、予告演出Bを経て擬似連演出に発展する場合、図柄変動の開始時から制御タイミングT2までが擬似1回目として遊技者に認識され、制御タイミングT2以降が擬似2回目として遊技者に認識される。
予告演出Bは、予告演出Aと同様に、対応する専用のBGMが設けられていないため、予告演出Bを経て擬似連演出に発展する場合には、図柄変動の開始時から制御タイミングT2までについては背景依存楽曲パートが、制御タイミングT2から制御タイミングT3までについてはAメロBGMが、制御タイミングT3以降についてはBメロBGMが、それぞれ再生される。
【0176】
予告演出Cは、制御タイミングT1に特殊図柄が仮停止することを遊技者に予期させる演出(特殊図柄の仮停止を煽る演出)であり、図柄変動の開始時から制御タイミングT1までの期間に実行されうるものである。ここで、予告演出Cによって仮停止が予期される特殊図柄は、擬似連演出の発展契機となる特殊図柄であってもよいし、先読みゾーン予告への移行契機となる特殊図柄であってもよいし、その他の特殊図柄(例えば、特定の予告演出の開始契機となる特殊図柄)であってもよい。
予告演出Cに対しては専用のBGM(演出C用楽曲パート)が設けられているため、図柄変動の開始時から制御タイミングT1までについては演出C用楽曲パートが再生される。また、予告演出Cはいずれの演出パターンで実行されたとしても必ず制御タイミングT1までに終了する為、予告演出Cを経て擬似連演出に発展する場合については、制御タイミングT1以後に再生されるBGMの順序は、
図12を用いて説明した原則通りになる。具体的には、制御タイミングT1から制御タイミングT2までについてはAメロBGMが、制御タイミングT2から制御タイミングT3までについてはBメロBGMが、制御タイミングT3以降についてはBメロBGMが、それぞれ再生される。
【0177】
予告演出Dは、特定の予告演出が実行されるか否かを遊技者に予期させる演出であり、図柄変動の開始時から制御タイミングT1又は制御タイミングT2までの期間に実行されうるものである。ここで、予告演出Dによって予期される特定の予告演出には、擬似連演出が含まれない。言い換えれば、予告演出Dを経て擬似連演出に発展する場合はない。
予告演出Dに対しては専用のBGM(演出D用楽曲パート)が設けられており、図柄変動の開始時から予告演出Dが終了するまでの間は演出D用楽曲パートが再生される。なお、予告演出Dの演出パターンには、制御タイミングT1より前に終了する場合と、制御タイミングT1より後に終了する場合と、があるが、いずれの場合であっても演出D用楽曲パートの再生は図柄変動の開始時から予告演出Dが終了するまで一連なりに再生される。即ち、予告演出Dが実行される場合には、制御タイミングT1をBGMの区切りとすることがない。
【0178】
予告演出Eは、特定の予告演出(予告演出Dによって予期される演出より大当り期待度が高い予告演出であり、予期させる演出の一部に最も大当り期待度が高いSリーチ演出が含まれる)が実行されるか否かを遊技者に予期させる演出であり、図柄変動の開始時から制御タイミングT3までの期間に実行されうるものである。ここで、予告演出Eによって予期される特定の予告演出には、擬似連演出が含まれない。言い換えれば、予告演出Eを経て擬似連演出に発展する場合はない。
予告演出Eに対しては専用のBGM(演出E用楽曲パート)が設けられており、図柄変動の開始時から予告演出Eが終了するまでの間は演出E用楽曲パートが再生される。なお、予告演出Eの演出パターンには、制御タイミングT1より前に終了する場合と、制御タイミングT2より前に終了する場合と、制御タイミングT2より後に終了する場合と、があるが、いずれの場合であっても演出E用楽曲パートの再生は図柄変動の開始時から予告演出Eが終了するまで一連なりに再生される。即ち、予告演出Eが実行される場合には、制御タイミングT1及び制御タイミングT2をBGMの区切りとすることがない。
【0179】
予告演出Fは、特定の予告演出(最も大当り期待度が高いSリーチ演出)が実行されるか否かを遊技者に予期させる演出であり、図柄変動の開始時から制御タイミングT3を超える期間に実行されうるものである。ここで、予告演出Fによって予期される特定の予告演出には、擬似連演出が含まれない。言い換えれば、予告演出Fを経て擬似連演出に発展する場合はない。
予告演出Fに対しては専用のBGM(演出F用楽曲パート)が設けられており、図柄変動の開始時から予告演出Fが終了するまでの間は演出F用楽曲パートが再生される。なお、予告演出Fの演出パターンには、制御タイミングT1より前に終了する場合と、制御タイミングT2より前に終了する場合と、制御タイミングT3より前に終了する場合と、制御タイミングT3より後に終了する場合と、があるが、いずれの場合であっても演出F用楽曲パートの再生は図柄変動の開始時から予告演出Fが終了するまで一連なりに再生される。即ち、予告演出Fが実行される場合には、制御タイミングT1、制御タイミングT2及び制御タイミングT3をBGMの区切りとすることがない。
【0180】
予告演出Gは、制御タイミングT1又は制御タイミングT2に特殊図柄が仮停止することを遊技者に予期させる演出(特殊図柄の仮停止を煽る演出)であり、図柄変動の開始時から制御タイミングT1又は制御タイミングT2までの期間に実行されうるものである。ここで、予告演出Gによって仮停止が予期される特殊図柄は、擬似連演出の発展契機となる特殊図柄のみである。言い換えれば、予告演出Gは擬似連演出への発展を予期させる演出である。
予告演出Gに対しては専用のBGM(演出G用楽曲パート)が設けられている。従って、制御タイミングT1に特殊図柄が仮停止する場合には、図柄変動の開始時から制御タイミングT1までについては演出G用楽曲パートが再生され、制御タイミングT1から制御タイミングT2までについてはAメロBGMが、制御タイミングT2から制御タイミングT3までについてはBメロBGMが、制御タイミングT3以降についてはBメロBGMが、それぞれ再生される。
一方で、制御タイミングT2に特殊図柄が仮停止する場合には、図柄変動の開始時から制御タイミングT2までについては演出G用楽曲パートが再生され、制御タイミングT2から制御タイミングT3までについてはBメロBGMが、制御タイミングT3以降についてはBメロBGMが、それぞれ再生される。即ち、当該場合には、AメロBGMが再生される場合がない。これは、予告演出Gが、いわゆるステップアップ演出であり、段階的に擬似連演出への発展期待度を高める演出内容になっていることに起因する。言い換えれば、予告演出Gが制御タイミングT1を超えるまでステップアップが行われる場合には、そのステップアップ自体が擬似変動に類する位置付けになっており、当該場合には特殊図柄の仮停止を契機に擬似3回目に対応するBメロMGMを再生することによって、擬似2回目を省いたかのような心証を遊技者に与えることができる演出内容になっている。
【0181】
擬似連専用演出Hは、擬似連演出の一種であり、擬似変動の回数の増加を遊技者に期待させる演出である。上述した擬似連演出に発展しうる予告演出(例えば、予告演出G等)とは、擬似連演出と一体化した演出内容になっている点(擬似連専用演出Hが継続するほど擬似変動の回数が増加する等)において相違し、特殊図柄が仮停止する場合がない点においても相違する。
擬似連専用演出Hに対しては専用のBGM(演出H用楽曲パート)が設けられており、擬似変動ごとに演出H用楽曲パートがその冒頭から再生開始される。従って、図柄変動の開始時から制御タイミングT1まで、制御タイミングT1から制御タイミングT2まで、制御タイミングT2から制御タイミングT3まで、のいずれについても演出H用楽曲パートが再生される。なお、擬似連専用演出Hが実行される図柄変動が制御タイミングT3を超えて実行される場合、必ず制御タイミングT3を契機に別の演出(Sリーチ演出等)に接続して当該演出に対応する楽曲パートが再生される仕様になっているので、演出H用楽曲パートが制御タイミングT3より後に再生されることはない。
【0182】
擬似連専用演出Iは、擬似連演出の一種であり、擬似変動の回数の増加を遊技者に期待させる演出である。上述した擬似連演出に発展しうる予告演出(例えば、予告演出G等)とは、擬似連演出と一体化した演出内容になっている点(擬似連専用演出Iが継続するほど擬似変動の回数が増加する等)において相違し、特殊図柄が仮停止する場合がない点においても相違する。
擬似連専用演出Iに対しては専用のBGM(演出I用楽曲パート)が設けられており、図柄変動の開始時から擬似連専用演出Iが終了するまでの間は演出I用楽曲パートが再生される。なお、擬似連専用演出Iの演出パターンには、制御タイミングT1より前に終了する場合と、制御タイミングT2より前に終了する場合と、制御タイミングT2より後に終了する場合と、があるが、いずれの場合であっても演出I用楽曲パートの再生は図柄変動の開始時から擬似連専用演出Iが終了するまで一連なりに再生される。即ち、擬似連専用演出Iが実行される場合には、制御タイミングT1及び制御タイミングT2をBGMの区切りとすることがない。なお、擬似連専用演出Iが実行される図柄変動が制御タイミングT3を超えて実行される場合、必ず制御タイミングT3を契機に別の演出(Sリーチ演出等)に接続して当該演出に対応する楽曲パートが再生される仕様になっているので、演出I用楽曲パートが制御タイミングT3より後に再生されることはない。
【0183】
ゾーン予告J、ゾーン予告K、及びゾーン予告Lは、
図13等を用いて説明した先読みゾーン予告と同じであり、それぞれの実行期間におけるBGMとしては各々に対応するゾーンJ用楽曲パート、ゾーンK用楽曲パート及びゾーンL用楽曲パートが再生される。上述したように、ゾーンJ用楽曲パート、ゾーンK用楽曲パート及びゾーンL用楽曲パートは複数の図柄変動を跨がって再生されるBGMであるため、当然ながら制御タイミングT1、制御タイミングT2及び制御タイミングT3がBGMの区切りになることはない。
【0184】
ゾーン予告J、ゾーン予告K、及びゾーン予告Lの実行期間において、
図16に図示するその他の演出(予告演出A〜擬似連専用演出I)の少なくとも一部が実行されることが許容される。
このとき、
図16に図示するとおりにBGMを再生すると、ゾーン予告J、ゾーン予告K、及びゾーン予告Lの実行期間において複数のBGMがバッティングする可能性がある為、BGMの再生について優先順位をつけている。このBGMの優先順位については、後に詳述する。
【0185】
<BGMの優先順位について>
続いて、BGMの優先順位について、
図17及び
図18を用いて説明する。
図17は、各BGMに割り当てられている優先度を示す図である。
図18は、
図17に示した優先度を反映させたBGM再生の具体例を示すタイムチャートである。
なお、
図17に図示する優先度は、同じ時間帯に複数のBGMの再生が重複する場合に関するルールである。なお、本発明の実施において、必ずしもBGMの優先順位を示す制御用のデータを遊技機10が有している(ROM202等に記憶している)必要はなく、第1副制御基板200(CPU201)による制御の結果として予め定められたBGMの優先順位を実現可能に構成されていれば足りる。
上述したように、他の音声(例えば、上記のキーフレーズ効果音等)に比べてBGMに関する再生の優先順位が低いという点については、いずれのBGMにおいても同様である。また、
図17に図示する優先度は、値が小さいほど優先度が高い(優先度「4」、優先度「3」、優先度「2」、優先度「1」の順に優先度が高い)ものとする。
【0186】
図17に示すように、ゾーンJ用楽曲パート及びゾーンK用楽曲パートには優先度「1」が割り当てられており、演出E用楽曲パート及び演出F用楽曲パートには優先度「2」が割り当てられており、ゾーンL用楽曲パートには優先度「3」が割り当てられており、AメロBGM及びBメロBGMには優先度「4」が割り当てられている。
【0187】
優先度「1」が割り当てられているゾーンJ用楽曲パート及びゾーンK用楽曲パートは、いずれも実行期間が複数の図柄変動に跨がりうる先読みゾーン予告(ゾーン予告J、ゾーン予告K)に対応するBGMである。
優先度「2」が割り当てられている演出E用楽曲パート及び演出F用楽曲パートは、いずれも実行期間が単一の図柄変動に収まる予告演出(予告演出E、予告演出F)に対応するBGMである。
優先度「3」が割り当てられているゾーンL用楽曲パートは、実行期間が複数の図柄変動に跨がりうる先読みゾーン予告(ゾーン予告L)に対応するBGMである。
優先度「4」が割り当てられているAメロBGM及びBメロBGMは、図柄変動の途中で実行される擬似連演出の発展演出(特殊図柄81eの仮停止等)を契機として再生が開始されるBGMである。
ここで、
図17には図示されていないが、
図16に図示されている予告演出E及び予告演出Fとは異なる演出であって単一の図柄変動に収まるものに対応しているBGM(演出C用楽曲パート等)については、優先度「1」〜「4」が割り当てられているいずれのBGMよりも優先順位が低いものとする。
また、これまで説明したように、
図16及び
図17に図示している各BGM(楽曲パート)は、図柄変動中に音声出力手段(スピーカ33)によって再生されるものである点において共通しており、当然ながら別々の名称が付されているBGMは楽曲の内容が互いに相違する。
【0188】
以上説明したように、本実施形態において図柄変動中に音声出力手段によって再生されうるBGMには、以下のものが少なくとも含まれるものと言える。
(i)実行期間が複数の図柄変動に跨がりうる第一演出(ゾーン予告J、ゾーン予告K)に対応している第一BGM(ゾーンJ用楽曲パート、ゾーンK用楽曲パート)
(ii)実行期間が単一の図柄変動に収まる第二演出(予告演出E、予告演出F)に対応しており且つ第一BGMと相違する第二BGM(演出E用楽曲パート、演出F用楽曲パート)
(iii)実行期間が複数の図柄変動に跨がりうる第三演出(ゾーン予告L)に対応しており且つ第一BGM及び第二BGMのいずれとも相違する第三BGM(ゾーンL用楽曲パート)
(iv)単一の図柄変動に実行期間が収まる第四演出(予告演出C等)に対応しており、該図柄変動の開始時から再生が開始され且つ第一BGM、第二BGM、及び第三BGMのいずれとも相違する第四BGM(演出C用楽曲パート等)
(v)図柄変動の途中で実行される第五演出(特殊図柄の仮停止やキーフレーズ効果音の再生等)を契機として再生が開始され且つ第一BGM、第二BGM、第三BGM、及び第四BGMのいずれとも相違する第五BGM(AメロBGM、BメロBGM)
【0189】
また、本実施形態に係る遊技機10(演出制御手段)は、第一演出(ゾーン予告J、ゾーン予告K)又は第三演出(ゾーン予告L)のいずれの実行期間内に第四演出(予告演出C等)を実行する場合にも、第四BGMの再生を制限して第一BGM又は第三BGMを音声出力手段に再生させるものと言える。
【0190】
図18(A)に示すタイムチャートは、ゾーン予告Jの実行期間内の図柄変動(例えば、最終の図柄変動)において、変動開始時に予告演出Eが実行されて、予告演出Eの後にSリーチ演出が実行される場合のタイムチャートである。
図18(A)に示す場合、ゾーン予告Jに対応するBGM(ゾーンJ用楽曲パート)の優先度は予告演出EのBGM(演出E用楽曲パート)より高い。また、予告演出Eは、擬似連演出に発展しないので擬似変動の区切りとなる演出(特殊図柄の仮停止等)も発生せず、予告演出Eの実行期間(図柄変動の変動開始時から制御タイミングT3まで)については特殊図柄の仮停止に伴うキーフレーズ効果音も発生しない。従って、当該実行期間にわたってゾーンJ用楽曲パートが再生される。
一方、制御タイミングT3以後については、予告演出EからSリーチ演出の接続の為に不図示の可動装飾体が作動し、その作動に対応する効果音(役物SE)が再生されて、その後にSリーチ演出用の楽曲パートが再生される。なお、当該可動装飾体の作動に伴う役物SEの再生時間は、キーフレーズ効果音と同じ再生時間としてもよいし、キーフレーズ効果音と異なる再生時間としてもよい。
【0191】
図18(A)に関する説明を換言すれば、本実施形態の10(演出制御手段)は、第一演出(ゾーン予告J)の実行期間内に第二演出(予告演出E)を実行する場合(以下、(イ)の場合と称する)には、第二BGM(演出E用楽曲パート)の再生を制限して第一BGM(ゾーンJ用楽曲パート)を音声出力手段に再生させるものと言える。
【0192】
図18(B)に示すタイムチャートは、ゾーン予告Lの実行期間内の図柄変動(例えば、最終の図柄変動)において、変動開始時に予告演出Eが実行されて、予告演出Eの後にSリーチ演出が実行される場合のタイムチャートである。
図18(B)に示す場合、ゾーン予告Lに対応するBGM(ゾーンL用楽曲パート)の優先度は予告演出EのBGM(演出E用楽曲パート)より低い。また、予告演出Eは、擬似連演出に発展しないので擬似変動の区切りとなる演出(特殊図柄の仮停止等)も発生せず、予告演出Eの実行期間(図柄変動の変動開始時から制御タイミングT3まで)については特殊図柄の仮停止に伴うキーフレーズ効果音も発生しない。従って、当該実行期間にわたって演出E用楽曲パートが再生される。
一方、制御タイミングT3以後については、予告演出EからSリーチ演出の接続の為に不図示の可動装飾体が作動し、その作動に対応する役物SEが再生されて、その後にSリーチ演出用の楽曲パートが再生される。なお、当該可動装飾体の作動に伴う役物SEの再生時間は、キーフレーズ効果音と同じ再生時間としてもよいし、キーフレーズ効果音と異なる再生時間としてもよい。
【0193】
図18(B)に関する説明を換言すれば、本実施形態の10(演出制御手段)は、第三演出(ゾーン予告L)の実行期間内に第二演出(予告演出E)を実行する場合(以下、(ロ)の場合と称する)には、第三BGM(ゾーンL用楽曲パート)の再生を制限して第二BGM(演出E用楽曲パート)を音声出力手段に再生させるものと言える。
【0194】
図18(C)に示すタイムチャートは、ゾーン予告Jの実行期間内の図柄変動(例えば、最終の図柄変動)において、変動開始時に予告演出Cが実行されて、擬似4回目にSリーチ演出が実行される場合のタイムチャートである。
図18(C)に示す場合、ゾーン予告Jに対応するBGM(ゾーンJ用楽曲パート)の優先度は予告演出CのBGM(演出C用楽曲パート)より高く、AメロBGM及びBメロBGMの優先度より高い。しかしながら、当該場合には、擬似変動の区切りとなる特殊図柄の仮停止に伴うキーフレーズ効果音が各擬似変動の区切りに発生するので、擬似1回目から擬似3回目の期間(図柄変動の変動開始時から制御タイミングT3まで)については、ゾーンJ用楽曲パートとキーフレーズ効果音が擬似変動ごとに交互に再生される。また、擬似4回目(制御タイミングT3以後)については、3回目の特殊図柄の仮停止(制御タイミングT3)を契機として3回目のキーフレーズ効果音が再生され、その後にSリーチ演出用の楽曲パートが再生される。
【0195】
図18(C)に関する説明を換言すれば、本実施形態の10(演出制御手段)は、第一演出(ゾーン予告J)の実行期間内における同一の図柄変動において第四演出(予告演出C)を実行させた後に第五演出(特殊図柄の仮停止やキーフレーズ効果音の再生等)を実行させる場合(以下、(ハ)の場合と称する)、該図柄変動の開始時から第四BGM(演出C用楽曲パート)及び第五BGM(AメロBGM及びBメロBGM)の双方について再生を制限して第一BGM(ゾーンJ用楽曲パート)を音声出力手段に再生させるものと言える。
【0196】
図18(D)に示すタイムチャートは、ゾーン予告Lの実行期間内の図柄変動(例えば、最終の図柄変動)において、変動開始時に予告演出Cが実行されて、擬似4回目にSリーチ演出が実行される場合のタイムチャートである。
図18(D)に示す場合、ゾーン予告Lに対応するBGM(ゾーンL用楽曲パート)の優先度は予告演出CのBGM(演出C用楽曲パート)より高く、AメロBGM及びBメロBGMの優先度より高い。しかしながら、当該場合には、擬似変動の区切りとなる特殊図柄の仮停止に伴うキーフレーズ効果音が各擬似変動の区切りに発生するので、擬似1回目から擬似3回目の期間(図柄変動の変動開始時から制御タイミングT3まで)については、ゾーンL用楽曲パートとキーフレーズ効果音が擬似変動ごとに交互に再生される。また、擬似4回目(制御タイミングT3以後)については、3回目の特殊図柄の仮停止(制御タイミングT3)を契機として3回目のキーフレーズ効果音が再生され、その後にSリーチ演出用の楽曲パートが再生される。
【0197】
図18(D)に関する説明を換言すれば、本実施形態の10(演出制御手段)は、第三演出(ゾーン予告L)の実行期間内における同一の図柄変動において第四演出(予告演出C)を実行させた後に第五演出(特殊図柄の仮停止やキーフレーズ効果音の再生等)を実行させる場合(以下、(ニ)の場合と称する)、該図柄変動の開始時から第四BGM(演出C用楽曲パート)及び第五BGM(AメロBGM及びBメロBGM)の双方について再生を制限して第三BGM(ゾーンL用楽曲パート)を音声出力手段に再生させるものと言える。
【0198】
図18(E)に示すタイムチャートは、いずれの先読みゾーン予告の実行期間でもない図柄変動において、変動開始時に予告演出Cが実行されて、擬似4回目にSリーチ演出が実行される場合のタイムチャートである。
図18(E)に示す場合、先読みゾーン予告の実行期間ではないので、
図16を用いて説明したとおり、予告演出Cの実行期間(擬似1回目)については予告演出CのBGM(演出C用楽曲パート)が再生され、擬似2回目(制御タイミングT1から制御タイミングT2まで)については特殊図柄の仮停止に伴ってキーフレーズ効果音が再生された後にAメロBGMが再生され、擬似3回目(制御タイミングT2から制御タイミングT3まで)については特殊図柄の仮停止に伴ってキーフレーズ効果音が再生された後にBメロBGMが再生され、擬似4回目(制御タイミングT3以降)については特殊図柄の仮停止に伴ってキーフレーズ効果音が再生された後にSリーチ演出用の楽曲パートが再生される。
【0199】
図18(E)に関する説明を換言すれば、本実施形態の10(演出制御手段)は、第一演出(ゾーン予告J、ゾーン予告K)及び第三演出(ゾーン予告L)のいずれも実行されていない期間における同一の図柄変動において第四演出(予告演出C)を実行させた後に第五演出(特殊図柄の仮停止やキーフレーズ効果音の再生等)を実行させる場合(以下、(ホ)の場合と称する)、該図柄変動の開始時から第四BGM(演出C用楽曲パート)を再生し、該第五演出を契機として該第四BGM(演出C用楽曲パート)の再生を制限して第五BGM(AメロBGM及びBメロBGM)を音声出力手段に再生させるものと言える。
【0200】
以上説明したように、最終的には(制御タイミングT3の以後に)同じSリーチ予告演出を行う図柄変動であったとしても、それまでの経過(変動開始時から制御タイミングT3まで)に応じて再生させるBGMが変化するので、その経過期間の演出に強弱を付けることができ、最終的に行われるSリーチ演出に対する遊技者の期待感を多様なものにすることができる。
【0201】
なお、上記のBGMの優先順位の高低と、演出の信頼度(大当り期待度)の高低は必ずしも一致する必要はないが、前者と後者の傾向性が概ね一致することが好ましく、前者と後者の傾向性が完全に一致することがより好ましい。演出の強弱に対する遊技者の信頼性が向上し、各演出の演出効果を高めうるからである。
具体的には、上記の(イ)の場合における大当り期待度(特典の当選期待度)が、上記の(ロ)の場合における大当り期待度より高いことが好ましい。
また、上記の(ハ)の場合における大当り期待度(特典の当選期待度)が上記の(ニ)の場合における大当り期待度より高く、上記の(ニ)の場合における大当り期待度が上記の(ホ)の場合における大当り期待度より高いことがより好ましい。
【0202】
<他の変形例>
以上の説明で記載されていない変形例について、以下に列挙する。
上述した実施形態における遊技に関する仕様は、本発明の実施における一具体例であり、本発明の目的に反しない範囲内において適宜変更可能である。
例えば、特図高確且つ普図高確(確変モード)への遷移条件は、確変大当りに係る大当り遊技の終了に加えて、当該確変大当りにおけるアタッカー開放中にアタッカー内の特定領域(遊技球がアタッカーを通過した後に通過可能な特定領域)を通過すること(いわゆるV入賞)を含めてもよい。
また、特図高確且つ普図高確(確変モード)から特図低確且つ普図低確(通常モード)への遷移条件は、転落当否判定に当選した図柄変動の終了としたが、これに代えて所定回数の図柄変動の終了とする仕様(いわゆる回数切り確変)であってもよいし、これらのいずれも当該遷移条件としない仕様(いわゆるループ式確変)としてもよい。
また、小当り導出可能な仕様としたが、小当り導出不能(小当りの当選確率が零)である仕様としてもよい。
また、設定値の変更手段(設定変更手段)を備えない仕様としたが、設定変更手段を備える仕様としてもよい。ここで設定値とは、複数段階の設定値の中から選択的に設定されるものであり、設定変更手段を備える遊技機は、その時点で設定されている設定値によって大当りに当選する確率が定まる(設定値ごとに大当りの当選確率が変化し得る)。
【0203】
上述した実施形態では、本発明に係る「変動期間」に解しうるものの例として、擬似連演出を構成する各擬似変動や、装飾図柄の図柄変動を挙げたが、本発明の実施において「変動期間」と解しうるものはこれらに限られない。
例えば、
図14(b)〜(d)に図示するように、上述した実施形態においても、メイン表示部81においてリーチ状態が形成され(
図14(b)参照)、その後に右図柄81dが再変動し(
図14(c)参照)、その後に特殊図柄81eが仮停止又は停止する(
図14(d)参照)場合があるが、この期間についても「演出表示手段において仮停止している装飾図柄が再変動してから停止若しくは仮停止するまでの期間」である為、本発明に係る「変動期間」の要件を充足しうる。
或いは、いわゆる滑り演出や全回転リーチと称される演出についても、本発明に係る「変動期間」の要件を充足することが考えられる。
ここで滑り演出とは、仮停止している装飾図柄の一部又は全部を再変動させて再変動前より良い出目(例えば、リーチ状態やチャンス目等)にする演出をいう。
ここで全回転リーチとは、同種の装飾図柄が全ての列にわたって揃っている状態(図柄揃い)において仮停止した後に、当該状態を維持しながら装飾図柄を再変動させて図柄揃いを昇格させうる演出(例えば、通常大当りに対応する偶数図柄揃いから確変大当りに対応する7図柄揃いに昇格させる演出)をいう。
【0204】
以上で説明した本発明は、上述の説明に限定されるものではなく、本発明の目的が達成される限りにおける種々の変形、改良等の態様も含む。
【0205】
<付記>
(1)演出表示手段と、前記演出表示手段において停止している装飾図柄が変動を開始してから停止若しくは仮停止するまでの期間、又は前記演出表示手段において仮停止している装飾図柄が再変動してから停止若しくは仮停止するまでの期間のいずれかである変動期間において、複数とおりの音声を出力しうる音声出力手段と、前記演出表示手段及び前記音声出力手段を制御する演出制御手段と、を備え、前記演出制御手段は、一の変動期間の開始タイミングから次の変動期間の終了タイミングまでの第一期間に含まれ且つ互いに異なる複数のタイミングにおいて、一の楽曲に含まれる第一の楽曲パート及び第二の楽曲パートを、前記音声出力手段によって再生させる第一の場合があり、前記第一の場合において前記第一の楽曲パートの再生を開始させる第一タイミングから前記第二の楽曲パートの再生を開始させる第二タイミングまでの時間長さが、前記一の楽曲における前記第一の楽曲パートの開始時から前記第二の楽曲パートの開始時までの時間長さと異なりうる遊技機。
(2)前記第一の場合の一部である第二の場合において、前記演出制御手段は、前記一の楽曲に含まれる第三の楽曲パートを、前記第一期間に含まれ且つ前記第一タイミング及び前記第二タイミングのいずれよりも遅い第三タイミングに前記音声出力手段によって再生開始させ、前記第二の場合における前記第二の楽曲パートの再生時間が、前記第二の場合における前記第一の楽曲パートの再生時間及び前記第三の楽曲パートの再生時間の双方より長い(1)に記載の遊技機。
(3)前記第二の楽曲パートが、前記第一の楽曲パート又は前記第三の楽曲パートの少なくとも一方と重複している重複パートを含んでいることによって、前記第二の場合において遊技者にとって前記重複パートを認識可能な回数が前記第一期間に含まれる前記変動期間の回数以上となる(2)に記載の遊技機。
(4)前記第二の場合の少なくとも一部において、前記演出制御手段は、前記一の楽曲に含まれ且つ前記重複パートを含まない第四の楽曲パートを、前記第一期間の終了タイミングの次の変動期間において前記音声出力手段によって再生させうる(3)に記載の遊技機。
(5)前記演出制御手段は、前記音声出力手段によって前記一の楽曲を通して再生させる場合がない(1)から(4)のいずれか一つに記載の遊技機。