(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6837730
(24)【登録日】2021年2月15日
(45)【発行日】2021年3月3日
(54)【発明の名称】マイクロホンに基づいた植物保護ドローンのダイヤフラムポンプの散布量テスト方法
(51)【国際特許分類】
G01F 1/00 20060101AFI20210222BHJP
G01F 11/08 20060101ALI20210222BHJP
【FI】
G01F1/00 H
G01F11/08
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2020-534543(P2020-534543)
(86)(22)【出願日】2018年12月11日
(65)【公表番号】特表2021-504716(P2021-504716A)
(43)【公表日】2021年2月15日
(86)【国際出願番号】CN2018120305
(87)【国際公開番号】WO2019137134
(87)【国際公開日】20190718
【審査請求日】2020年6月1日
(31)【優先権主張番号】201810696286.X
(32)【優先日】2018年6月29日
(33)【優先権主張国】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520193507
【氏名又は名称】農業農村部南京農業機械化研究所
【氏名又は名称原語表記】NANJING INSTITUTE OF AGRICULTURAL MECHANIZATION, MINISTRY OF AGRICULTURE AND RURAL AFFAIRS
(74)【代理人】
【識別番号】100205936
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 海龍
(74)【代理人】
【識別番号】100132805
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 貴之
(72)【発明者】
【氏名】徐 陽
(72)【発明者】
【氏名】薛 新宇
(72)【発明者】
【氏名】孫 竹
(72)【発明者】
【氏名】顧 偉
(72)【発明者】
【氏名】崔 龍飛
(72)【発明者】
【氏名】常 春
(72)【発明者】
【氏名】孔 偉
(72)【発明者】
【氏名】秦 維彩
(72)【発明者】
【氏名】張 学進
(72)【発明者】
【氏名】張 玲
【審査官】
岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】
特表2017−522558(JP,A)
【文献】
中国実用新案第205499375(CN,U)
【文献】
中国実用新案第205485466(CN,U)
【文献】
独国特許出願公開第102009022107(DE,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0111546(US,A1)
【文献】
特開平7−4995(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/00−13/00
G01F17/00−22/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロホンに基づいた植物保護ドローンのダイヤフラムポンプの散布量テスト方法であって、
前記マイクロホンは、植物保護ドローン上の前記ダイヤフラムポンプの音波信号を収集すると共に前記音波信号を音声制御ユニットに送信するステップ1と、
前記音声制御ユニットは、前記音波信号をアナログ信号に変換して、前記アナログ信号をコントローラに送信するステップ2と、
前記コントローラは、前記アナログ信号を受信し、信号に対し音声スペクトル分析を実行して音波スペクトグラムを得るステップ3と、
前記音波スペクトグラムを通じて前記ダイヤフラムポンプ動作の時間帯を判断し、前記ダイヤフラムポンプ動作の時間帯の前記音波スペクトグラムを選択するステップ4と、
前記ダイヤフラムポンプから発せられた前記音波信号の振幅閾値範囲内にない他の振幅を前記ダイヤフラムポンプ動作の時間帯の前記音波スペクトグラム内からろ過除去するステップ5と、
フーリエ変換法により、前記ステップ5で得られた前記音波スペクトグラムを解析し、前記ダイヤフラムポンプ動作の時間帯内の各時点のダイヤフラム往復運動の音波周波数を得るステップ6と、
前記ダイヤフラムポンプの異なる流量の動作状態における前記ダイヤフラムの前記音波周波数を事前に校正し、前記ダイヤフラムポンプ内の前記ダイヤフラム音波周波数と前記ダイヤフラムポンプ流量の関係式を得るステップ7と、
前記ステップ6で得られた前記ダイヤフラムポンプ動作の時間帯内の各時点の前記ダイヤフラム往復運動の前記音波周波数を前記ステップ7の関係式に代入して、前記ダイヤフラムポンプ動作の時間帯内の各時点に対応する流量を得るステップ8と、
を含むことを特徴とする、マイクロホンに基づいた植物保護ドローンのダイヤフラムポンプの散布量テスト方法。
【請求項2】
前記音声制御ユニットは、前記音波信号をアナログ信号に変換する音波アナログ変換ユニットを含み、前記コントローラがワンチップマイコンを用いることを特徴とする、請求項1に記載のマイクロホンに基づいた植物保護ドローンのダイヤフラムポンプの散布量テスト方法。
【請求項3】
前記ステップ4は、具体的に、
前記音波スペクトグラムを通じて前記音波スペクトグラム内の正側振幅段階の時点を選択し、前記時点は前記ダイヤフラムポンプのオン時点であり、前記音波スペクトグラムを通じて前記音波スペクトグラム内の負側振幅段階の時点を選択し、前記時点が前記ダイヤフラムポンプのオフ時点であり、前記ダイヤフラムポンプがオンにする時点と次の隣接する前記ダイヤフラムポンプのオフ時点との間の時間帯は前記ダイヤフラムポンプ動作の時間帯であるステップ(1)と、
前記ダイヤフラムポンプ動作の時間帯内の前記音波スペクトグラムを選択するステップ(2)と、
を含むことを特徴とする、請求項1に記載のマイクロホンに基づいた植物保護ドローンのダイヤフラムポンプの散布量テスト方法。
【請求項4】
前記正側振幅段階の時点は、具体的に段階変化の閾値をあらかじめ設定し、ある時点での振幅が増大し、かつ増大した変化値が前記段階変化の閾値より大きい場合、該時点が正側振幅段階の時点であることを含み、
前記負側振幅段階の時点は、具体的に段階変化の閾値をあらかじめ設定し、ある時点での振幅が増大し、かつ増大した変化値が前記段階変化の閾値より大きい場合、該時点が負側振幅段階の時点であることを含む、
ことを特徴とする、請求項3に記載のマイクロホンに基づいた植物保護ドローンのダイヤフラムポンプの散布量テスト方法。
【請求項5】
前記ステップ5は、前記ダイヤフラムポンプ動作の時間帯内の前記音波スペクトグラムに基づき前記音波スペクトグラム内の振幅を決定し、前記ダイヤフラムポンプから発せられる前記音波信号の振幅閾値範囲をあらかじめ設定し、前記ダイヤフラムポンプから発せられた前記音波信号の前記振幅閾値範囲内にない他の振幅を前記ダイヤフラムポンプ動作の時間帯の前記音波スペクトグラム内からろ過除去することを含むことを特徴とする、請求項3に記載のマイクロホンに基づいた植物保護ドローンのダイヤフラムポンプの散布量テスト方法。
【請求項6】
前記ステップ6は、
フーリエ変換法により前記ステップ5で得られた前記音波スペクトグラムを解析することで、前記ダイヤフラムポンプ動作の時間帯内の前記ダイヤフラム往復運動の周波数特性を解析し、前記ダイヤフラムポンプ動作の時間帯内の各時点に対応するスペクトル図を得るステップ(1)と、
前記スペクトル図内の0Hzに最も近く、振幅の変化が大きく、周波数倍増に属さない音波周波数(この音波周波数は、ダイヤフラムポンプ動作の時間帯内のスペクトル図に対応する時点のダイヤフラム往復運動の音波周波数であり、前記スペクトル図内の振幅変化が大きい音波周波数は振幅変化値が振幅変化閾値より大きい音波周波数であることを意味する)を選択するステップ(2)と、
を含むことを特徴とする、請求項5に記載のマイクロホンに基づいた植物保護ドローンのダイヤフラムポンプの散布量テスト方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物保護ドローン技術分野に関し、特に、マイクロホンに基づいた植物保護ドローンのダイヤフラムポンプの散布量テスト方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、農業用無人航空機(UNMANNED AERIAL VEHICLE、UAV)の出現に伴い航空植保分野の研究及び活用が益々幅広くなってきた。当然植物保護ドローンは、特に中国、日本、韓国等の東アジア地域で急速に発展している。無人航空機で植保作業に当たる時、機具の作業効果および効率は、生産コストおよび農地の増収に関連し、農家の無人航空機を使用する意気込みに直接影響を及ぼしていた。
【0003】
現在、植物保護ドローンの空中の散布量の検出が困難となり、その原因として(i)従来の渦流量計の体積が大きくて重いため、ドローンに取り付けるのに適していなく;(ii)従来の流量計の測定範囲は、大きく、0.5〜2L/MINの小流量の測定が困難で、小管径の取り付けに適さず;(iii)農薬空中散布は、高濃度の農薬が用いられるため被測定媒体の粘度が大きく、内蔵の流量計が農薬の硬化により詰まって故障しやすく、
植物保護ドローンでの作業時の散布量及び散布エリアを正確に得るため、散布量のテスト問題を解決することが急務となっていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、マイクロホンに基づいた植物保護ドローンのダイヤフラムポンプの散布量テスト方法を提供すること。このマイクロホンに基づいた植物保護ドローンのダイヤフラムポンプの散布量テスト方法は、従来の流量計を取り付ける必要がなく、マイクロホンによる音波測定の方法を使用してダイヤフラム往復運動の音波信号を読み取り、フーリエ変換およびローパスフィルタリング分析を介してダイヤフラム運動の周波数を解析し、最後に得られた周波数情報によりダイヤフラムポンプの現在の流量を解析や計算するだけで、その結果も正確かつ信頼できる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために本発明では次のような技術的手段を講じた。
マイクロホンに基づいた植物保護ドローンのダイヤフラムポンプの散布量テスト方法であって、
マイクロホンは、植物保護ドローン上のダイヤフラムポンプの音波信号を収集すると共に音波信号を音声制御ユニットに送信するステップ1と、
音声制御ユニットは、音波信号をアナログ信号に変換して、アナログ信号をコントローラに送信するステップ2と、
コントローラは、アナログ信号を受信し、信号に対し音声スペクトル分析を実行して音波スペクトグラムを得るステップ3と、
音波スペクトグラムを通じてダイヤフラムポンプ動作の時間帯を判断し、ダイヤフラムポンプ動作の時間帯の音波スペクトグラムを選択するステップ4と、
ダイヤフラムポンプから発せられた音波信号の振幅閾値範囲内にない他の振幅をダイヤフラムポンプ動作の時間帯の音波スペクトグラム内からろ過除去するステップ5と、
フーリエ変換法により、ステップ5で得られた音波スペクトグラムを解析し、ダイヤフラムポンプ動作の時間帯内の各時点のダイヤフラム往復運動の音波周波数を得るステップ6と、
ダイヤフラムポンプの異なる流量の動作状態におけるダイヤフラムの音波周波数を事前に校正し、ダイヤフラムポンプ内のダイヤフラム音波周波数とダイヤフラムポンプ流量の関係式を得るステップ7と、
ステップ6で得られたダイヤフラムポンプ動作の時間帯内の各時点のダイヤフラム往復運動の音波周波数をステップ7の関係式に代入して、ダイヤフラムポンプ動作の時間帯内の各時点に対応する流量を得るステップ8と、
を含む。
【0006】
本発明のさらに改善された技術的手段として、前記音声制御ユニットは、
前記音波信号をアナログ信号に変換する音波アナロ
グ変換ユニットを含み、前記コントローラがワンチップマイコンを用いる。
【0007】
本発明のさらに改善された技術的手段として、前記ステップ4は、
音波スペクトグラムを通じて音波スペクトグラム内の正側振幅段階の時点を選択し、前記時点はダイヤフラムポンプのオン時点であり、音波スペクトグラムを通じて音波スペクトグラム内の負側振幅段階の時点を選択し、前記時点がダイヤフラムポンプのオフ時点であり、ダイヤフラムポンプがオンにする時点と次の隣接するダイヤフラムポンプのオフ時点との間の時間帯はダイヤフラムポンプ動作の時間帯であるステップ(1)と、
ダイヤフラムポンプ動作の時間帯内の音波スペクトグラムを選択するステップ(2)と、
を含む。
【0008】
本発明のさらに改善された技術的手段として、前記正側振幅段階の時点は、具体的に段階変化の閾値をあらかじめ設定し、ある時点での振幅が増大し、かつ増大した変化値が段階変化の閾値より大きい場合、該時点が正側振幅段階の時点であることを含み、
前記負側振幅段階の時点は、具体的に段階変化の閾値をあらかじめ設定し、ある時点での振幅が増大し、かつ増大した変化値が段階変化の閾値より大きい場合、該時点が負側振幅段階の時点であることを含む。
【0009】
本発明のさらに改善された技術的手段として、前記ステップ5は、
ダイヤフラムポンプ動作の時間帯内の音波スペクトグラムに基づき前記音波スペクトグラム内の振幅を決定し、ダイヤフラムポンプから発せられる音波信号の振幅閾値範囲をあらかじめ設定し、ダイヤフラムポンプから発せられた音波信号の振幅閾値範囲内にない他の振幅をダイヤフラムポンプ動作の時間帯の音波スペクトグラム内からろ過除去することを含む。
【0010】
本発明のさらに改善された技術的手段として、前記ステップ6は、
フーリエ変換法によりステップ5で得られた音波スペクトグラムを解析することで、ダイヤフラムポンプ動作の時間帯内のダイヤフラム往復運動の周波数特性を解析し、ダイヤフラムポンプ動作の時間帯内の各時点に対応するスペクトル図を得るステップ(1)と、
スペクトル図内の
0Hzに最も近く、振幅の変化が大きく、周波数倍増に属さない音波周波数(この音波周波数は、ダイヤフラムポンプ動作の時間帯内のスペクトル図に対応する時点のダイヤフラム往復運動の音波周波数であり、前記スペクトル図内の振幅変化が大きい音波周波数は振幅変化値が振幅変化閾値より大きい音波周波数であることを意味する)を選択するステップ(2)と、
を含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、従来の流量計を取り付ける必要がなく、従来の流量計の占有体積、取付難易度などの欠陥を解決する。本発明は、マイクロホンによる音波測定の方法を使用して、植物保護ドローン内のダイヤフラムポンプ内のダイヤフラム往復運動の音波信号を読み取り、フーリエ変換およびローパスフィルタリング分析を介してダイヤフラム運動の周波数を解析し、最後に得られた周波数情報によりダイヤフラムポンプの現在の流量を解析や計算するだけで、その結果も正確かつ信頼できる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、
図1乃至
図4を参照しつつ本発明の具体的実施形態をさらに説明する。
【0014】
現在市場上の90%以上の植物保護ドローンは、ダイヤフラムポンプ1で農薬を散布し、ダイヤフラムポンプ1の動作原理が外部モータによりポンプ体内のダイヤフラム往復運動を駆動し、薬剤をノズルに圧送する。ダイヤフラムポンプ1内のダイヤフラム往復運動の過程で、ポンプ本体を流れる液体の流速とダイヤフラム運動の周波数は正の相関関係がある。本実施形態は、マイクロホンによる音波測定の方法を使用して、ダイヤフラム往復運動の音波信号を読み取り、フーリエ変換およびローパスフィルタリング分析を介してダイヤフラム運動の周波数を解析し、最後に得られた周波数情報によりダイヤフラムポンプ1の現在の流量を解析や計算する。具体的な構造は、次のとおりである。
【0015】
図1を参照すると、マイクロホンに基づいた植物保護ドローンのダイヤフラムポンプの散布量テスト装置は、植物保護ドローンと、植物保護ドローンのダイヤフラムポンプ1と、マイクロホン2と、音声制御ユニット3と、コントローラ4(ワンチップマイコン)と、を含み、マイクロホン2がダイヤフラムポンプ1に取り付けられ、音声制御ユニット3を通じてコントローラ4(ワンチップマイコン)に接続される。
【0016】
図2を参照すると、マイクロホンに基づいた植物保護ドローンのダイヤフラムポンプの散布量テスト方法は、次のステップを含み、
(ステップ1)
音波信号収集:マイクロホン2は、植物保護ドローン上のダイヤフラムポンプ1の音波信号を収集すると共に音波信号を音声制御ユニット3に送信し、
(ステップ2)
音波アナロ
グ変換:音声制御ユニット3は、音波信号をアナログ信号に変換して、アナログ信号をコントローラ4に送信し、
(ステップ3)
音声スペクトル分析:コントローラ4は、アナログ信号を受信し、信号に対し音声スペクトル分析を実行して音波スペクトグラムを得;音波スペクトグラムは、
図3に示す通りで、音波スペクトグラムの横軸が時間を表し、縦軸が振幅を表し、波形は振幅が時間と伴に変化することを特徴とし、
(ステップ4)
音声スペクトル分析:音波スペクトグラムを通じてダイヤフラムポンプ動作の時間帯を判断し、ダイヤフラムポンプ動作の時間帯の音波スペクトグラムを選択し;
図3に示すように、T
11〜T
1Mは、ダイヤフラムポンプ動作の時間帯であり;T
21〜T
2Mは、ダイヤフラムポンプ動作の時間帯であり;T
31〜T
3Mは、ダイヤフラムポンプ動作の時間帯であり、
(ステップ5)
ローパスフィルタリング:ダイヤフラムポンプから発せられた音波信号の振幅閾値範囲内にない他の振幅をダイヤフラムポンプ動作の時間帯の音波スペクトグラム内からろ過除去し;ドローンの運転時のプロペラ、モータまたはその他の機械の振動が音波信号を起こすことができ、マイクロホンがポンプダイヤフラムポンプの運動情報を収集する際に、同時に各周波数帯域のクラッター信号を受信し、マイクロホンがダイヤフラムポンプヘッドに密接に取り付けられているためダイヤフラムポンプから発せられた音波信号の振幅が最大になり、植物保護ドローン機体上の他の音波信号の振幅が小さくし、時間周波数信号の変動が乱雑で音声スペクトル解析を通じて有効な音波強度を得て、ローパスフィルタリングを行い、
(ステップ6)
有効な音波周波数の特性解析:フーリエ変換法により、ステップ5で得られた音波スペクトグラムを解析し、ダイヤフラムポンプ動作の時間帯内の各時点のダイヤフラム往復運動の音波周波数を得、
(ステップ7)
ダイヤフラムポンプ流量の計算:ダイヤフラムポンプの異なる流量の動作状態におけるダイヤフラムの音波周波数を事前に校正し、ダイヤフラムポンプ内のダイヤフラム音波周波数とダイヤフラムポンプ流量の関係式を得、
(ステップ8)
ダイヤフラムポンプ流量の計算:ステップ6で得られたダイヤフラムポンプ動作の時間帯内の各時点のダイヤフラム往復運動の音波周波数をステップ7の関係式に代入して、ダイヤフラムポンプ動作の時間帯内の各時点に対応する流量を得る。
【0017】
前記音声制御ユニット3は、音波アナロ
グ変換ユニットを含み、前記コントローラ4がワンチップマイコンを用いる。
【0018】
前記ステップ4は、具体的に、
音波スペクトグラムを通じて音波スペクトグラム内の正側振幅段階の時点を選択し、前記時点はダイヤフラムポンプのオン時点であり、音波スペクトグラムを通じて音波スペクトグラム内の負側振幅段階の時点を選択し、前記時点がダイヤフラムポンプのオフ時点であり、ダイヤフラムポンプがオンにする時点と次の隣接するダイヤフラムポンプのオフ時点との間の時間帯はダイヤフラムポンプ動作の時間帯であるステップ(1)と、
ダイヤフラムポンプ動作の時間帯内の音波スペクトグラムを選択するステップ(2)と、
を含む。
【0019】
前記正側振幅段階の時点は、具体的に段階変化の閾値をあらかじめ設定し、ある時点での振幅が増大し、かつ増大した変化値が段階変化の閾値より大きい場合、該時点が正側振幅段階の時点であることを含む。前記負側振幅段階の時点は、具体的に段階変化の閾値をあらかじめ設定し、ある時点での振幅が増大し、かつ増大した変化値が段階変化の閾値より大きい場合、該時点が負側振幅段階の時点であることを含む。
図3に示すように、T
11〜T
1Mは、ダイヤフラムポンプ動作の時間帯であり;T
21〜T
2Mは、ダイヤフラムポンプ動作の時間帯であり;T
31〜T
3Mは、ダイヤフラムポンプ動作の時間帯である。
【0020】
前記ステップ5のローパスフィルタリング法は、具体的に以下を含む。(A)ダイヤフラムポンプ動作の時間帯内の音波スペクトグラムに基づき前記音波スペクトグラム内の振幅を決定し、ダイヤフラムポンプから発せられる音波信号の振幅閾値範囲をあらかじめ設定し、ダイヤフラムポンプから発せられた音波信号の振幅閾値範囲内にない他の振幅をダイヤフラムポンプ動作の時間帯の音波スペクトグラム内からろ過除去し、ダイヤフラムポンプの実際の動作の時間帯内の音波スペクトルを得る。振幅閾値範囲は、実際にクラッター信号がないときに収集されたダイヤフラムポンプから発せられた音波信号の振幅範囲に基づき設定できる。(B)またダイヤフラムポンプ自体の音波周波数は、ダイヤフラムポンプの回回転速度度に関連しており、ダイヤフラムポンプの回転速度によりダイヤフラムポンプの動作周波数範囲を計算でき、その後ダイヤフラムポンプ動作の時間帯内の音波スペクトルに基づきダイヤフラムポンプ動作の時間帯内の周波数信号を決定し、ダイヤフラムポンプ動作の時間帯内からダイヤフラムポンプの動作周波数範囲内にある周波数信号を抽出し、ダイヤフラムポンプの動作周波数範囲内にない周波数信号をろ過除去してダイヤフラムポンプの実際の動作の時間帯内の音波スペクトルを得る。
【0021】
ローパスフィルタリングが完了すると、ダイヤフラムポンプの実際の動作の時間帯内の音波スペクトルを明確に得ることができるが、ここの音波にクラッター信号も含まれており、二次解析を行わなければならない。本実施形態はフーリエ変換法でダイヤフラムポンプ動作領域のダイヤフラム往復運動の周波数特性を解析し、すなわち、前記ステップ6を実行する。前記ステップ6には、具体的に以下が含まれる。
【0022】
(1)フーリエ変換法によりステップ5で得られた音波スペクトグラムを解析することで、ダイヤフラムポンプ動作の時間帯内のダイヤフラム往復運動の周波数特性を解析し、ダイヤフラムポンプ動作の時間帯内の各時点に対応するスペクトル図を得る。
【0023】
時間帯をt
i、i = 0、1、2、…として定義する。間隔t
iの複素変数を変換する。
【0024】
【数1】
式中、f(t)は、スペクトグラムを表し、スペクトグラムに対応する周期関数F(ω)、すなわち、
図4に示すスペクトル図が得られ、ここでtは時間を表し、ωは周波数を表す。
【0025】
(2)スペクトル図内の
0Hzに最も近く、振幅の変化が大きく、周波数倍増に属さない音波周波数(この音波周波数は、ダイヤフラムポンプ動作の時間帯内のスペクトル図に対応する時点のダイヤフラム往復運動の音波周波数であり、前記スペクトル図内の振幅変化が大きい音波周波数は振幅変化値が振幅変化閾値より大きい音波周波数であることを意味する)を選択する。
【0026】
図4は、横軸は周波数、縦軸が振幅である特定の時点に対応するスペクトル図であり、このスペクトル図からも分かるように、x=35.39は、スペクトル図に基づいて得られたダイヤフラム往復運動の音波周波数であり、x=70.74は振幅の変化も非常に大きいが、x=70.74およびx=35.39が整数倍の関係に属し、すなわちx=70.74の周波数が周波数倍増に属する。実験で測定された実際の周波数はf=33.88であるため、マイクロホン方法による周波数測定結果が比較的正確であった。
【0027】
本実施形態内の前記ステップ7内から0.15号のノズルが選択された時、ダイヤフラムポンプの異なる流量の動作状態における音波周波数(すなわち、ダイヤフラム音波周波数)を校正し、ダイヤフラムポンプ校正によりポンプ内のダイヤフラムの音波周波数とダイヤフラムポンプの流量との関係を得ることができ、最後にダイヤフラムポンプの流量を計算し;ダイヤフラムポンプの音波周波数に対応するダイヤフラムポンプの流量は下式で表される。
【0028】
【数2】
式中、xは音波周波数であり;f(x)はダイヤフラムポンプの流量である。校正を行う時、ダイヤフラムポンプに異なる電圧を印加することができ、各電圧の下に1つの対応する回転速度があり、回転速度により周波数を計算することで、ダイヤフラムポンプの異なる流量の動作状態における音波周波数を得、ダイヤフラムポンプ内のダイヤフラムの音波周波数とダイヤフラムポンプの流量との関係式を得た。
【0029】
本発明の保護範囲は、上記の実施形態を含むがこれらに限定されない。本発明の保護範囲は、特許請求の範囲を基準とし、本技術的手段に対して当業者が容易に思い付ける任意の置換、変形および改善は、本発明の保護範囲に網羅される。