特許第6837774号(P6837774)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6837774カテーテルおよびガイドワイヤ連携挿入システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6837774
(24)【登録日】2021年2月15日
(45)【発行日】2021年3月3日
(54)【発明の名称】カテーテルおよびガイドワイヤ連携挿入システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/37 20160101AFI20210222BHJP
   A61M 25/09 20060101ALI20210222BHJP
   A61M 25/08 20060101ALN20210222BHJP
【FI】
   A61B34/37
   A61M25/09 530
   !A61M25/08 500
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-154130(P2016-154130)
(22)【出願日】2016年8月5日
(65)【公開番号】特開2018-19987(P2018-19987A)
(43)【公開日】2018年2月8日
【審査請求日】2019年6月28日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520503049
【氏名又は名称】前沿産業設計研究(深セン)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001704
【氏名又は名称】特許業務法人山内特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】郭 書祥
【審査官】 高松 大
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−527344(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/010177(WO,A1)
【文献】 特開平04−073069(JP,A)
【文献】 特表2015−503395(JP,A)
【文献】 特開2001−276089(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/125744(WO,A1)
【文献】 特開2009−273827(JP,A)
【文献】 特表2008−541797(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/37
A61M 25/09
A61M 25/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテル、および該カテーテル用のガイドワイヤを挿入する手術のためのシステムであって、
施術者が直接操作するマスター側操作装置と、該マスター側操作装置の動作に追随して動作し、被施術者に前記ガイドワイヤを挿入するスレーブ側送り装置と、が備えられ、
前記スレーブ側送り装置には、前記ガイドワイヤ挿入時に、前記ガイドワイヤに加えられる反力を検知する力検知センサが備えられ、
前記スレーブ側送り装置は、前記ガイドワイヤを挿入するガイドワイヤ送り装置と、前記カテーテルを挿入するカテーテル送り装置と、を含んで構成されており、
前記力検知センサは、前記ガイドワイヤに沿う力伝達部材に設けられたひずみゲージによって前記ガイドワイヤに加えられている反力を検知し、かつ、前記ガイドワイヤの回転機構よりも被施術者側に設けられており、
前記ガイドワイヤおよび前記カテーテルの少なくともいずれかを、前記ガイドワイヤの挿抜方向に固定する位置決めリングを有し、
該位置決めリングは、前記力伝達部材に対して、2つのスラストベアリングに挟まれることにより、前記ガイドワイヤの挿抜方向に固定されるとともに、前記ガイドワイヤを中心として回転可能である、
ことを特徴とするカテーテルおよびガイドワイヤ連携挿入システム。
【請求項2】
前記ガイドワイヤ送り装置、または前記カテーテル送り装置の少なくともいずれか一方には、
前記ガイドワイヤ、または前記カテーテルを把持するためのロックブロックが設けられており、
該ロックブロックの外周のテーパ面が締め付けられることにより、該ロックブロックが前記ガイドワイヤまたは前記カテーテルを固定する、
ことを特徴とする請求項記載のカテーテルおよびガイドワイヤ連携挿入システム。
【請求項3】
前記ロックブロックは、
電磁クラッチにより前記テーパ面が締め付けられる、
ことを特徴とする請求項記載のカテーテルおよびガイドワイヤ連携挿入システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カテーテルおよびガイドワイヤ連携挿入システムに関する。さらに詳しくは、遠隔操作が可能なマスタースレーブ型のカテーテルおよびガイドワイヤ連携挿入システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、内視鏡下手術用の手術ロボットに関する器具マニピュレータ、およびロボット手術システムについて開示されている。このロボット手術システムは、医師がマスターコントローラを操作し、これに追随する手術用マニピュレータを動作させるマスタースレーブ型の遠隔操作が可能な手術ロボットである。遠隔操作が可能であることにより、患者や医師の移動の負担を軽減できるというメリットがある。
【0003】
外科手術の一つに血管内治療がある。この血管内治療とは、血管内に挿入した医療機器によって行われる治療全般を言い、種々の目的や形態を持ったカテーテル(医療用に用いられる中空の柔らかい管)を血管内に導入することで治療を行う。カテーテルを目的の箇所に導入する際は、例えば脚のつけ根の部分にある血管からガイドワイヤを先行させ、そのガイドワイヤに嵌装されたカテーテルを血管内に挿入する。ガイドワイヤを目的の場所に移動させる際に、医師はX線撮影されている画像を確認し、かつ、手元のガイドワイヤから伝わる感触によりガイドワイヤを進める。
【0004】
カテーテルを用いた血管内治療は、低侵襲治療であり患者に負担をかけないという点では優れているものの、ガイドワイヤの挿入時にX線による撮影が必要であることから、X線による医師の被爆が問題となっていた。これに対し、特許文献1に記載のマスタースレーブ型の手術ロボットを適用しようという研究がおこなわれている。非特許文献1には、ガイドワイヤを挿入するガイドワイヤ挿入システムで必要となる、ガイドワイヤからの力信号を測定する方法が開示されている。
【0005】
特許文献1に開示の方法は、患者である被施術者側からの情報は、映像によるもののみであるため、施術者の触覚により得られる情報が必要となる、カテーテル等の挿入システムにそのまま用いることはできない。また、非特許文献1では、マスタースレーブ型のガイドワイヤ挿入システムのスレーブ側での力測定の方法が開示されているが、カテーテル、またはガイドワイヤのみで採用される力測定の方法が開示されているにすぎない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015−211865号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】李他1名、「遠隔操作におけるカテーテルスレーブ側にかかる力測定システムの開発」、第32回日本ロボット学会学術講演会(2014年9月4日〜6日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記事情に鑑み、ガイドワイヤとカテーテルを、それぞれ独立して操作することが可能な、マスタースレーブ型のカテーテルおよびガイドワイヤ連携挿入システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1発明のカテーテルおよびガイドワイヤ連携挿入システムは、カテーテル、および該カテーテル用のガイドワイヤを挿入する手術のためのシステムであって、施術者が直接操作するマスター側操作装置と、該マスター側操作装置の動作に追随して動作し、被施術者に前記ガイドワイヤを挿入するスレーブ側送り装置と、が備えられ、前記スレーブ側送り装置には、前記ガイドワイヤ挿入時に、前記ガイドワイヤに加えられる反力を検知する力検知センサが備えられ、前記スレーブ側送り装置は、前記ガイドワイヤを挿入するガイドワイヤ送り装置と、前記カテーテルを挿入するカテーテル送り装置と、を含んで構成されており、前記力検知センサは、前記ガイドワイヤに沿う力伝達部材に設けられたひずみゲージによって前記ガイドワイヤに加えられている反力を検知し、かつ、前記ガイドワイヤの回転機構よりも被施術者側に設けられており、前記ガイドワイヤおよび前記カテーテルの少なくともいずれかを、前記ガイドワイヤの挿抜方向に固定する位置決めリングを有し、該位置決めリングは、前記力伝達部材に対して、2つのスラストベアリングに挟まれることにより、前記ガイドワイヤの挿抜方向に固定されるとともに、前記ガイドワイヤを中心として回転可能であることを特徴とする。
発明のカテーテルおよびガイドワイヤ連携挿入システムは、第1発明において、前記ガイドワイヤ送り装置、または前記カテーテル送り装置の少なくともいずれか一方には、前記ガイドワイヤ、または前記カテーテルを把持するためのロックブロックが設けられており、該ロックブロックの外周のテーパ面が締め付けられることにより、該ロックブロックが前記ガイドワイヤまたは前記カテーテルを固定することを特徴とする。
発明のカテーテルおよびガイドワイヤ連携挿入システムは、第発明において、前記ロックブロックは、電磁クラッチにより前記テーパ面が締め付けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
第1発明によれば、スレーブ側送り装置が、ガイドワイヤを挿入するガイドワイヤ送り装置と、カテーテルを挿入するカテーテル送り装置とを含んで構成されていることにより、ガイドワイヤとカテーテルを、独立して操作することができ、ガイドワイヤとカテーテルを連携して挿入することができる。
また、力検知センサが、ガイドワイヤの回転機構よりも被施術者側に設けられていることにより、ガイドワイヤからの反力を精度よく検出することができる。
発明によれば、ロックブロックの外周のテーパ面が締め付けられ、ガイドワイヤ等を固定することにより、ロックブロックの締め付け力が過大にガイドワイヤ等に付加されるのを防止できる。
発明によれば、ロックブロックは、電磁クラッチによりテーパ面が締め付けられることにより、テーパ面締め付けの時間が短くなり、施術時間を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係るカテーテルおよびガイドワイヤ連携挿入システムを構成するスレーブ側送り装置の全体斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係るカテーテルおよびガイドワイヤ連携挿入システムの模式図である。
図3図1のスレーブ側送り装置を構成するガイドワイヤ送り装置の内部斜視図である。
図4図1のスレーブ側送り装置を構成するガイドワイヤ送り装置の断面図である。
図5図3のガイドワイヤ送り装置の反力測定機構等の部分構成図である。
図6図3のガイドワイヤ送り装置の回転機構の部分構成図である。
図7図3のガイドワイヤ送り装置のロックブロック部分の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図2には本発明の実施形態に係るカテーテルおよびガイドワイヤ連携挿入システム10の模式図を示す。本カテーテルおよびガイドワイヤ連携挿入システム10は、医者である施術者Dのマスター側と、患者である被施術者Pのスレーブ側の双方に専用の装置が設けられ、マスター側とスレーブ側とをインターネット等で接続することにより、それぞれを離れて設置することができる。
【0013】
マスター側には、施術者が直接操作するマスター側操作装置11が設けられている。このマスター側操作装置11は、医者である施術者Dが直接操作する装置である。カテーテル用のガイドワイヤの挿入には、ガイドワイヤをその軸方向に送る直動操作と、ガイドワイヤを回転させる回転操作とが必要になるが、この2つの操作について、マスター側操作装置11は、施術者Dがどのような操作を行ったかを検知することができる。マスター側には、このマスター側操作装置11からの検出値を取り込んだり、保存したりするマスター側制御部13が設けられている。
【0014】
スレーブ側には、ガイドワイヤを患者である被施術者Pに挿入するスレーブ側送り装置12が備えられている。このスレーブ側送り装置12は、ガイドワイヤの挿入に必要な、ガイドワイヤの直動操作と回転操作の2つの操作を行うことができる。スレーブ側には、さらにスレーブ側送り装置12に指令を出すスレーブ側制御部14が設けられている。
【0015】
マスター側制御部13とスレーブ側制御部14とは、インターネット等により通信を行うことができ、これにより、マスター側操作装置11の動作に追随して、スレーブ側送り装置12が動作するようになる。そして、施術者Dは、被施術者PのX線画像を見ながら、マスター側操作装置11を操作して、マスター側と離れた位置にあるスレーブ側のスレーブ送り装置12を操作して、ガイドワイヤの挿入を行う。マスター側とスレーブ側とを離れて設置することにより、施術者DのX線による被ばくをなくすることができるとともに、患者の移動の負担を軽減できる。
【0016】
図1には、本発明の実施形態に係るカテーテルおよびガイドワイヤ連携挿入システム10を構成するスレーブ側送り装置12の全体斜視図を示す。本実施形態に係るカテーテルおよびガイドワイヤ連携挿入システム10は、スレーブ側送り装置12に、ガイドワイヤ21を挿入するためのガイドワイヤ送り装置17と、カテーテル22を挿入するカテーテル送り装置16とを含んで構成されている。本実施形態では、被施術者Pに近い側に、ガイドワイヤ送り装置17が設けられ、その後ろ側にカテーテル送り装置16が設けられている。なお、本明細書では、特にことわりのない限り、被施術者Pに近い側を前側、被施術者Pから遠い側を後ろ側として表記する。また、カテーテル送り装置16の構成と、ガイドワイヤ送り装置17の構成とは、ほぼ同じであるので、ガイドワイヤ送り装置17について構成を説明し、説明が同じ部分については、カテーテル送り装置16の説明を省略する。
【0017】
ガイドワイヤ送り装置17は、ガイドワイヤ21を被施術者Pに挿入する装置であり、ガイドワイヤ21の直動操作と回転操作を行うことができる。また、施術者Dにガイドワイヤ21を挿入した時の反力を検出する機構を備える。ガイドワイヤ送り装置17は、回転操作や、反力を検出する機構を内部に備えた筐体26と、この筐体26を直動させて、ガイドワイヤ21の直動操作を行う送り装置24とを備えている。
【0018】
送り装置24は、ステッピングモータ、ボールねじ、リニアガイド等を含んで構成されており、スレーブ側制御部14からの指令により、筐体26をガイドワイヤ21の軸方向に直線的に動作させる。すなわちガイドワイヤ21の直動操作を行うことができる。
【0019】
スレーブ側送り装置12が、ガイドワイヤ21を挿入するガイドワイヤ送り装置17と、カテーテル22を挿入するカテーテル送り装置16とを含んで構成されていることにより、ガイドワイヤ21とカテーテル22を、独立して操作することができ、ガイドワイヤ21とカテーテル22を協調して挿入することができる。すなわち、カテーテル22とガイドワイヤ21の操作機構を直列または並列に配置して制御することにより、ガイドワイヤ21とカテーテル22が相互に独立して同時に動作可能とした。すなわち、一方が静止していて、他方が直進あるいは回転することや、一方が戻る方向に直進あるいは回転しながら、他方が進む方向に直進あるいは回転することなどを自由に設定することができる。これによりガイドワイヤ21とカテーテル22とが連携して挿入等を可能とする。本発明は実際の臨床応用において、施術者(医者)の操作を忠実に再現及び追従させることができ、遠隔的にカテーテル挿入手術が可能となった。
【0020】
図3は、ガイドワイヤ送り装置17の筐体26内の内部構造の斜視図であり、図4はガイドワイヤ送り装置17の筐体26内の断面図である。また、図5は、ガイドワイヤ送り装置17を構成する反力測定機構28等の分解斜視図であり、図6はガイドワイヤ送り装置17を構成する回転機構27の分解斜視図である。筐体26内の構成、すなわち図3、4に示されている機構により、ガイドワイヤ送り装置17は、ガイドワイヤ21の回転操作と、ガイドワイヤ21の反力の検出を行う。なお、図3から図6は、紙面の左側が、被施術者Pに近い側、すなわち前側となる。
【0021】
図4に示すように、ガイドワイヤ送り装置17の筐体26内は、ガイドワイヤ21の回転操作を行う回転機構27と、ガイドワイヤ21からの反力を検出する反力測定機構28と、ガイドワイヤ21を把持する把持機構29と、この把持機構29の把持力を発生させるための把持力発生機構30と、を含んで構成されている。
【0022】
回転機構27は、モータサポータ32に固定された回転力発生モータ31により、ガイドワイヤ21の回転操作を行う。図3、4、6に示すように、回転力発生モータ31は、ガイドワイヤ21の回転操作を行うための回転力を、カップリング33、ボールスプライン軸34、第1ボールスプラインナット35、ナットサポータ36、回転力用駆動ギア37を通じて、回転機構27の上に位置する把持機構29の回転力用被動ギア51に伝達する。このとき、この回転動作は、回転力発生モータ31内のベアリングと、第2ボールスプラインナット39によりガイドされている。なお、回転力発生モータ31は、減速機付のサーボモータである。
【0023】
回転力用駆動ギア37、ナットサポータ36、第1ボールスプラインナット35、および回転力用駆動ギア37を固定しているスナップリング38は、一体として直動動作を行う。この際、ボールスプライン軸34、および第2ボールスプラインナット39により、直動動作はガイドされている。
【0024】
反力測定機構28は、ガイドワイヤ21からの反力を力検知センサ50で測定する機構であり、図3から5に示すように、ガイドワイヤ21の回転機構27を含む他の機構よりも被施術者Pに近い側に設置されている。力検知センサ50はひずみゲージから構成されているとともに、反力測定機構用ブラケット50aにより筐体26に固定されている。ガイドワイヤ21は、固定部材43により、ガイド軸部52aと、位置決めリング42に固定されている。位置決めリング42の前側には、第1スラストベアリング41と先端プレート40が設けられ、後側には第2スラストベアリング44と後端プレート45が設けられ、スプリングワシャ48を挟んで、複数のボルト47、および回り止めナット46により固定されている。この構成により、ガイドワイヤ21と固定されている位置決めリング42は、後端プレート45等に対して、ガイドワイヤ21を中心に回転自在となる。
【0025】
後端プレート45には、2本のスライダ46bが固定され、反力測定機構用ブラケット50aに固定されている2本のスライドレール46aに対して、ガイドワイヤ21の軸心方向に直動可能となっている。さらに後端プレート45には、力伝達部材49が取付けられており、この力伝達部材49のひずみを測定することにより、ガイドワイヤ21の軸心方向の反力を測定することができる。
【0026】
力検知センサ50が、ガイドワイヤ21の回転機構27よりも被施術者P側に設けられていることにより、ガイドワイヤ21からの反力を精度よく検出することができる。
【0027】
把持機構29は、ガイドワイヤ21を把持するための機構である。図3から5に示すように、把持機構29の前側には、ガイド軸部52aを直動方向に案内する第3ボールスプラインナット52が設けられ、この第3ボールスプラインナット52の外周は、筐体26と一体化されている第3BS用ブラケット52bに固定されている。なおガイド軸部52aは、把持機構29を構成する回転力用被動ギア51の一部である。
【0028】
回転力用被動ギア51の中心には、ロックブロック53を後方から挿入することができる。ロックブロック53は、図7に示すように、前側が細くなっているテーパ面が設けられており、また、軸方向に沿った、複数のスリットが設けられている。回転力用被動ギア51の中心に設けられている中心孔は、このロックブロック53を挿入することができるように、後ろ側に向けて径が大きくなっている。ロックブロック53が、後述する把持力発生機構30からの、前側に向けての押圧力を、連結軸55から受けることにより、ロックブロック53の前側の径が小さくなり、この部分でガイドワイヤ21を固定することができる。
【0029】
ロックブロック53の外周のテーパ面が締め付けられ、ガイドワイヤ21を固定することにより、ロックブロック53の締め付け力が過大にガイドワイヤ21に付加されるのを防止できる。
【0030】
把持力発生機構30は、ガイドワイヤ21に対する把持力を発生するための機構である。電磁クラッチ64は電磁クラッチ用ブラケット65aにより筐体26と結合されており、電磁クラッ64が通電されると、電磁クラッチ64の内側が外側に対して相対的に前側に動作する。電磁クラッチ64の前側が動作することで、連結軸55と、ロックブロック53が前側に向けて押されることで回転力用被動ギア51とガイドワイヤ21とが一体として動作するようになる。また連結軸55と電磁クラッチ64との間には、ガイドワイヤ21の軸方向の動作を許容する第4ボールスプラインナット60と第4ボールスプライン軸58とが設けられているとともに、ガイドワイヤ21の回転操作のトルクリミット部59が設けられている。
【0031】
ロックブロック53は、電磁クラッチ64によりテーパ面が締め付けられることにより、テーパ面締め付けの時間が短くなり、施術時間を短くすることができる。
【0032】
本実施形態に係るガイドワイヤ送り装置17の構成は上に示すとおりであるが、カテーテル送り装置16についても同じ構成である。ただしカテーテル送り装置16においては、ロックブロック53によるカテーテル16への接触圧を小さくするようにする。なお、ガイドワイヤ送り装置17の構成と、カテーテル送り装置16の構成については、独立して制御を行うことが可能であれば異なった構成にすることも可能である。
【0033】
また、本実施形態に係るスレーブ側送り装置12ではガイドワイヤ送り装置17の筐体26と、カテーテル送り装置16の筐体25とを、ガイドワイヤ21の軸方向に直列に並べる構成としたが、これらを構成する筐体25、26を並列に並べることも可能である。
【符号の説明】
【0034】
10 カテーテルおよびガイドワイヤ連携挿入システム
11 マスター側操作装置
12 スレーブ側送り装置
16 カテーテル送り装置
17 ガイドワイヤ送り装置
21 ガイドワイヤ
22 カテーテル
27 回転機構
50 力検知センサ
53 ロックブロック
64 電磁クラッチ
D 施術者
P 被施術者

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7