特許第6837796号(P6837796)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6837796
(24)【登録日】2021年2月15日
(45)【発行日】2021年3月3日
(54)【発明の名称】非水電解質二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/052 20100101AFI20210222BHJP
   H01M 50/531 20210101ALI20210222BHJP
   H01M 10/0587 20100101ALI20210222BHJP
   H01M 10/0566 20100101ALI20210222BHJP
【FI】
   H01M10/052
   H01M2/26 A
   H01M10/0587
   H01M10/0566
【請求項の数】4
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-194510(P2016-194510)
(22)【出願日】2016年9月30日
(65)【公開番号】特開2018-56082(P2018-56082A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2019年5月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村岡 将史
(72)【発明者】
【氏名】新井 友春
(72)【発明者】
【氏名】大門 徹也
(72)【発明者】
【氏名】戸出 晋吾
(72)【発明者】
【氏名】藤原 豊樹
【審査官】 松嶋 秀忠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−111012(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/047199(WO,A1)
【文献】 特開2005−243448(JP,A)
【文献】 特開2008−098149(JP,A)
【文献】 特開2011−049066(JP,A)
【文献】 特開2008−066254(JP,A)
【文献】 特開2016−103361(JP,A)
【文献】 特開2016−119210(JP,A)
【文献】 特開2012−109219(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/052
H01M 10/0566
H01M 10/0587
H01M 50/531
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極板と、
負極板と、前記正極板及び前記負極板を電気的に隔てるセパレータとを含む、扁平状の発電素子と、
前記発電素子が内部に配置される外装体と、
前記外装体の開口を閉塞する封口体と、
前記正極板に電気的に接続される正極集電体と、
前記負極板に電気的に接続される負極集電体と、
非水電解質とを備え、
前記正極集電体及び前記負極集電体の少なくとも一方の集電体は、前記封口体の付近に配置される一方側ベース部と、前記一方側ベース部の一端部に連結されて前記発電素子側に向かうように配置される一方側リード部とを含み、
前記一方側リード部は、前記発電素子の側面に接合される一方側発電素子接合部と、前記一方側発電素子接合部から前記発電素子の厚み方向外側に向かうように前記厚み方向に対し傾斜した一方側傾斜部とを有し、
前記発電素子と、前記発電素子に含まれる前記非水電解質との質量の和が200g以上、500g以下であり、
前記一方の集電体は、前記正極集電体であり、
前記正極集電体は、アルミニウム又はアルミニウム合金製であり、かつヤング率は、65GPa以上75GPa以下であり、かつ前記一方側リード部における断面二次モーメントは1.4×10−12以上で、6.2×10−12以下であり、
前記正極集電体は、前記一方側傾斜部において、前記発電素子の前記厚み方向側面と対面する部分から前記厚み方向に対し傾斜したときの前記厚み方向に対する前記一方側傾斜部の傾斜角をθとし、前記厚み方向との関係で前記傾斜角を決定する前記一方側傾斜部の傾斜方向に沿った距離であって、前記一方側傾斜部の前記一方側発電素子接合部側の端から前記一方側ベース部側の端までの距離である傾斜方向距離をdとしたときに、
d×cosθの値が4.6mm以上、10.8mm以下である、非水電解質二次電池。
【請求項2】
正極板と、
負極板と、前記正極板及び前記負極板を電気的に隔てるセパレータとを含む、扁平状の発電素子と、
前記発電素子が内部に配置される外装体と、
前記外装体の開口を閉塞する封口体と、
前記正極板に電気的に接続される正極集電体と、
前記負極板に電気的に接続される負極集電体と、
非水電解質とを備え、
前記非水電解質は非水電解液であり、
前記正極集電体及び前記負極集電体の少なくとも一方の集電体は、前記封口体の付近に配置される一方側ベース部と、前記一方側ベース部の一端部に連結されて前記発電素子側に向かうように配置される一方側リード部とを含み、
前記一方側リード部は、前記発電素子の側面に接合される一方側発電素子接合部と、前記一方側発電素子接合部から前記発電素子の厚み方向外側に向かうように前記厚み方向に対し傾斜した一方側傾斜部とを有し、
前記発電素子と、前記発電素子に含まれる前記非水電解液との質量の和が200g以上、500g以下であり、
さらに、前記封口体に形成された注液孔を封止するように前記封口体に取り付けられたリベットを備え、
前記一方の集電体は、前記正極集電体であり、
前記リベットの前記発電素子側端の端面は、前記一方の集電体における前記一方側ベース部の前記発電素子側端の端面よりも前記発電素子に近くなっている、非水電解質二次電池。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の非水電解質二次電池において、
前記正極集電体及び前記負極集電体の他方の集電体は、前記封口体の付近に配置される他方側ベース部と、前記他方側ベース部の一端部に連結されて前記発電素子側に向かうように配置される他方側リード部とを含み、
前記他方側リード部は、前記発電素子の側面に接合される他方側発電素子接合部と、前記他方側発電素子接合部から前記発電素子の厚み方向外側に向かうように前記厚み方向に対し傾斜した他方側傾斜部とを有する、非水電解質二次電池。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池において、
前記発電素子は、前記封口体側の端部が断面円弧形である巻回電極体であり、
かつ、前記巻回電極体の厚みは前記非水電解質を含んだ状態で10mm以上で、30mm以下であり、
かつ、前記巻回電極体の幅は100mm以上で、200mm以下である、非水電解質二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、非水電解質二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
非水電解質二次電池は、車両に搭載して使用する場合に車両の高い性能を実現するために、高い入出力特性、及び高い電池容量が要求されている。この要求に応えるべく、電池外装体に占める発電素子の重量及び体積の比率の増大を図ることが考えられる。
【0003】
特許文献1には、角形二次電池において、封口体の付近において封口体と平行に正極集電体の第1領域を配置し、第1領域の両側から発電素子の厚み方向両側面に向け、正極集電体の2つの第2領域が延びることが記載されている。そして、発電素子を構成する正極板の端部に正極芯体露出部を形成し、その正極芯体露出部に2つの第2領域を溶接接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−119210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように発電素子の重量及び体積の比率を増大させる場合には、信頼性向上の面から改良の余地がある。本発明者は、非水電解質二次電池の開発を行うなかで、特定の構成を有する非水電解質二次電池においては、正負極の端子が設けられた面を下にして非水電解質二次電池を落下させた場合に、発電素子において正負極の短絡が生じやすいことを見出した。
【0006】
一方、特許文献1に記載された構成のように、集電体の発電素子の厚み方向両側部分と封口体付近に配置される部分とを二股状に結合する場合には、発電素子を支持する部分の剛性を高くできるので、上記の落下試験でも内部短絡を防止できる可能性がある。しかしながら、このように集電体を二股状に形成する場合には、二次電池の重量が増大する要因となる。
【0007】
本開示の目的は、非水電解質二次電池において、重量を抑制し、かつ、高い電池容量を実現しやすくし、かつ、落下時における内部短絡を防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様である非水電解質二次電池は、正極板と、負極板と、前記正極板及び前記負極板を電気的に隔てるセパレータとを含む、扁平状の発電素子と、前記発電素子が内部に配置される外装体と、前記外装体の開口を閉塞する封口体と、前記正極板に電気的に接続される正極集電体と、前記負極板に電気的に接続される負極集電体と、非水電解質とを備え、前記正極集電体及び前記負極集電体の少なくとも一方の集電体は、前記封口体の付近に配置される一方側ベース部と、前記一方側ベース部の一端部に連結されて前記発電素子側に向かうように配置される一方側リード部とを含み、前記一方側リード部は、前記発電素子の側面に接合される一方側発電素子接合部と、前記一方側発電素子接合部から前記発電素子の厚み方向外側に向かうように前記厚み方向に対し傾斜した一方側傾斜部とを有し、前記発電素子と、前記発電素子に含まれる前記非水電解質との質量の和が200g以上、500g以下である。
【0009】
本発明者は、発電素子及び発電素子に含有される非水電解質の質量の和が200g以上であると、正負極の端子が設けられた面を下にして角形二次電池を落下させた場合に、正負極の短絡が生じ易いことを見出した。本発明は、このような知見に基づきなされたものである。そして、本発明者は、集電体のリード部が発電素子の厚み方向に対し傾斜した傾斜部を有し、かつ、発電素子及び発電素子に含有される非水電解質の質量の和が500g以下の場合に、上記の短絡を防止できることを見出した。
【発明の効果】
【0010】
本開示に係る非水電解質二次電池によれば、発電素子と、発電素子に含まれる非水電解質との質量の和が200g以上であるので、高い電池容量を実現しやすい。しかも、集電体の連結部が一方側傾斜部を有し、かつ、上記の質量の和が500g以下であるので、集電体に二股形状のように複雑な構造を採用することなく、正負極の端子が設けられた面を下にして落下させた場合に生じる内部短絡を防止できる。これにより、集電体の構造の単純化により二次電池の重量を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態の1例における非水電解質二次電池において、外装体を断面にして示す図である。
図2図1に示す非水電解質二次電池から外装体を取り除いて示す図である。
図3図2の上部の拡大図である。
図4図1に示す非水電解質二次電池を封口体側から見た図である。
図5】(a)は、図1において、封口体、正極端子、及び負極端子と、正極集電体及び負極集電体との結合構造を取り出して示す断面図である。(b)は、正極集電体と発電素子を挟んで反対側の受け部材及び絶縁フィルムを示す図であり、(c)は、負極集電体と発電素子を挟んで反対側の受け部材及び絶縁フィルムを示す図である。
図6図5に示す封口体の注液孔に蓋体を取り付けて示している図5のA部拡大図である。
図7】(a)は図2に示された電極体等を右側から見た図であり、(b)は図2に示された電極体等を左側から見た図である。
図8図5の(a)において、正極集電体と第1絶縁部材との組み合わせと、受け部材とを取り出して示す斜視図である。
図9図8における正極集電体及び第1絶縁部材の組み合わせの分解斜視図である。
図10図7の(a)に示す正極集電体の傾斜部の傾斜角θ、長手方向距離d、dcosθの関係を説明するために正極集電体の厚みを極小にして示す図である。
図11】落下試験において二次電池を落下させ、水平面に衝突する直前の状態を示している図3に対応する図である。
図12】正極端子及び負極端子を下にして二次電池を落下させた落下試験後の正極集電体の第1ベース部近傍の状態を示す図である。
図13】落下試験において正極集電体が変形する状態を、落下前(a)と落下後(b)とで示している図7の(a)に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態の1例である非水電解質二次電池について詳細に説明する。具体的な寸法比率等は、以下の説明を参酌して判断されるべきである。本明細書において「略〜」との記載は、略同一を例に挙げて説明すると、完全に同一はもとより、実質的に同一と認められるものを含む意図である。また、「端部」の用語は対象物の端及びその近傍を意味するものとする。また、以下で説明する形状、材料、個数、数値などは説明のための例示であって、非水電解質二次電池の仕様により変更が可能である。以下では同様の構成には同一の符号を付して説明する。
【0013】
以下で説明する非水電解質二次電池は、例えば電気自動車またはハイブリッド車の駆動電源等に利用される角形二次電池である。なお、以下では、発電素子が巻回電極体である場合を説明するが、本開示はこれに限定するものではなく、発電素子として、巻回しない積層電極体を用いることもできる。
【0014】
以下、図面を用いて、実施形態の1例である非水電解質二次電池について説明する。以下では、非水電解質二次電池は、二次電池と記載する。図1は、二次電池10において、外装体12を断面にして示す図である。図2は、図1に示す二次電池10から外装体12を取り除いて示す図である。図3は、図2の上部の拡大図である。図4は、図1に示す二次電池を封口体としての封口板14側から見た図である。以下、図1から図7の説明では、便宜上、外装体12の封口板14側を上とし、封口板14と反対側を下として説明する。
【0015】
二次電池10は、ケースとしての外装体12と、外装体12の内部に配置された発電素子としての巻回電極体20とを備える。外装体12の内部には、非水電解質に相当する非水電解液が収納されている。非水電解液は、例えばリチウム塩を含有する電解液であって、リチウムイオン伝導性を有する。以下、巻回電極体20は、電極体20と記載する場合がある。
【0016】
電極体20は、正極板22及び負極板26がセパレータ30を介して巻回された扁平状の巻回電極体である。電極体20は、例えば、長尺状の正極板22、長尺状のセパレータ30、長尺状の負極板26、長尺状のセパレータ30が積層された状態で巻回されており、最外周にセパレータ30が配置されるようにする。また、後述の図7に示すように電極体20は、封口板14側とその反対側との上下方向両端部が断面円弧形である。
【0017】
図1に示すように、金属製の外装体12は、上端に開口を有する箱形であり、二次電池10は、この開口を閉塞する封口板14を備える。外装体12及び封口板14は、アルミニウム又はアルミニウム合金製とすることができる。封口板14上には、長手方向一端部(図1の右端部)から正極端子15が突出し、長手方向他端部(図1の左端部)から負極端子16が突出する。正極端子15及び負極端子16は、封口板14に形成された2つの貫通孔にそれぞれ挿入された状態で、樹脂製のガスケットを介して封口板14に固定されて取り付けられる。電極体20の巻回軸は、封口板14の長手方向(図1図2の左右方向)と平行である。外装体12の内側には、図1に破線Qで示す部分を含むように、箱状に折り曲げられた絶縁シート13によって、電極体20の周囲を覆うことで電極体20と外装体12との絶縁を図っている。絶縁シート13は、封口板14と電極体20との間には配置されない。
【0018】
正極板22は、例えばアルミニウム箔からなる正極芯体の両面に正極活物質を含む正極活物質合剤層が形成されたものである。正極活物質として、リチウムイオンの挿入及び脱離が可能なリチウム遷移金属酸化物を用いることができる。正極活物質合剤層は、正極活物質の他に、結着材及び導電材を含むことが好適である。正極板22は、巻回前の状態における幅方向の一端部に正極芯体露出部23を有する。
【0019】
負極板26は、例えば銅箔からなる負極芯体の両面に負極活物質を含む負極活物質合剤層が形成されたものである。負極活物質には、リチウムイオンの挿入及び脱離が可能な炭素材料、ケイ素化合物などを用いることができる。負極活物質合剤層は、負極活物質の他に、結着材を含むことが好適である。負極板26は、巻回前の状態における幅方向の一端部に負極芯体露出部27を有する。
【0020】
図2に示すように、電極体20において、巻回軸が伸びる方向である巻回軸方向(図2の左右方向)の一端部(図2の右端部)には、巻回された正極芯体露出部23が配置される。電極体20の巻回軸方向の他端部(図2の左端部)には、巻回された負極芯体露出部27が配置される。
【0021】
内側のセパレータ30は、巻回した状態で、正極板22及び負極板26の間に配置され、正極板22及び負極板26を電気的に隔てる。最外周に配置されたセパレータ30は、最外層の電極板と外部の部材との短絡を防止する。例えば、電極体20は、最外層から内側に向かって、最外周に配置された外側のセパレータ30、負極板26、内側のセパレータ30、正極板22、外側のセパレータ30、負極板26の順で並び、それが繰り返されている。一方、詳しくは後述するが二次電池の落下により巻回電極体20が衝撃力を受けるとき、最外周に配置された外側のセパレータ30が、封口14側の部材に衝突し、突き破られる可能性がある。これにより、内側の電極板と封口14側の部材、例えば正極集電体40と負極板26とが電気的に接触して短絡する可能性がある。実施形態はこのような不都合を防止するものである。
【0022】
また、電極体20では、最外周に配置されたセパレータ30の巻き終わり側の端部が電極体20の厚み方向一側面において、この巻き終わり側端部を電極体20の外周部に固定するように、絶縁テープ60が貼着されている。
【0023】
さらに、巻回された正極芯体露出部23(図2)には、正極集電体40が電気的に接続される。これにより、正極集電体40は、正極板22に電気的に接続される。正極集電体40は、電極体20の厚み方向反対側(図2の紙面の表側)に配置された正極受け部材48とともに、正極芯体露出部23を挟んで一体的に抵抗溶接により接続されている。正極集電体40は、後述する第1ベース部41(図6図9参照)において後述する第1絶縁部材61(図3図6)を上下方向に貫通した正極端子15の下端部に電気的に接続される。
【0024】
巻回された負極芯体露出部27(図2)には、負極集電体50が電気的に接続される。これにより、負極集電体50は、負極板26に電気的に接続される。負極集電体50は、電極体20の厚み方向反対側(図2の紙面の表側)に配置された負極受け部材58とともに、負極芯体露出部27を挟んで一体的に抵抗溶接により接続されている。負極集電体50は、後述する第2ベース部51(図5参照)において第2絶縁部材62を上下方向に貫通した負極端子16の下端部に電気的に接続される。正極集電体40及び負極集電体50は、後で詳しく説明する。
【0025】
外装体12は、開口端部に封口板14が溶接されることにより、開口が閉塞されている。図5の(a)は、図1において、封口板14、正極端子15、及び負極端子16と、正極集電体40及び負極集電体50との結合構造を取り出して示す断面図である。図5の(b)は、正極集電体40と電極体20を挟んで反対側の正極受け部材48及び絶縁フィルム47bを示す図である。図5の(c)は、負極集電体50と電極体20を挟んで反対側の負極受け部材58及び絶縁フィルム57bを示す図である。
【0026】
図4図5に示すように、封口板14の長手方向中心部には、所定値以上の高いガス圧が加わったときに破断によって開放されるガス排出弁14aが形成される。また、封口板14において、ガス排出弁14aの近くには注液孔14bが形成される。注液孔14bは、外装体12の内部に非水電解液を注液するためのものである。そして、図6に示すように、注液孔14bは、外装体12の内部に非水電解液が注入された後に、蓋体としてのリベット64が取り付けられて封止される。図1図2図5では、リベット64を省略して示している。
【0027】
次に、正極集電体40及び負極集電体50を詳しく説明する。図7の(a)は、図2に示された電極体20等を右側から見た図であり、図7の(b)は、図2に示された電極体20等を左側から見た図である。図8は、図5の(a)において、正極集電体と第1絶縁部材との組み合わせと、受け部材とを取り出して示す斜視図である。図9は、図8における正極集電体及び第1絶縁部材の組み合わせの分解斜視図である。
【0028】
正極集電体40は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる。負極集電体50は、銅または銅合金からなる。正極集電体40及び負極集電体50の基本形状は、略同じであるので、以下、正極集電体40を中心に説明する。図7(a)、図8図9に示すように、正極集電体40は、封口板14の付近に配置される第1ベース部41(図9)と、第1ベース部41の端部に連結されて電極体20側である下側に向かうように配置された第1リード部42とを有する。第1ベース部41、第1リード部42は、それぞれ一方側ベース部、一方側リード部に相当する。第1ベース部41は、封口板14に沿って略平行に配置される長方形の板状である。第1ベース部41には、上下に貫通する孔41aが形成される。第1リード部42は、第1ベース部41の長手方向一方側部分(図9の左側部分)の幅方向一端から延出されて上下方向に伸びる上下方向部43と、第1傾斜部44及び電極体接合部45とを有する。第1傾斜部44、電極体接合部45はそれぞれ一方側傾斜部、一方側発電素子接合部に相当する。第1傾斜部44は、上下方向部43の下端から電極体20の厚み方向(図7(a)、図8図9の左右方向)に対し傾斜する。この第1傾斜部44によって、二次電池の落下時における内部短絡を抑制できる。これについては、後で詳しく説明する。
【0029】
電極体接合部45は、第1傾斜部44の下端から上下方向に伸びて電極体20の厚み方向一方側面(図7の右側面)に対面する。電極体接合部45の幅方向両端にはリブ46が連結される。2つのリブ46は、電極体接合部45に対して略垂直に伸びるように形成される。電極体接合部45は、電極体20の正極芯体露出部23の厚み方向一方側面(図7(a)の右側面)と対面するように配置され、溶接によって正極受け部材48とともに、電気的に接続される。正極受け部材48の幅方向両端にも電極体接合部45と同様にリブ49が連結される。このとき、電極体接合部45と正極芯体露出部23との間、及び正極芯体露出部23と正極受け部材48との間には、それぞれ絶縁フィルム47a、47bが配置される。図5(a)(b)では絶縁フィルム47a、47bを斜線部で示している。
【0030】
各絶縁フィルム47a、47bには円形の孔が形成され、電極体接合部45、正極芯体露出部23(図7(a))及び正極受け部材48は、絶縁フィルム47a、47bの孔を通じて電気的に接続される。このとき、電極体接合部45は正極芯体露出部23の側面に接合される。電極体接合部45の正極芯体露出部23と接合される部分に正極芯体露出部側に突出する突起が形成されてもよい。このような構成により、抵抗溶接時の印加電流が円形の孔、または突起部に集中し、溶接強度を向上させることができる。
【0031】
図6図8に示すように、正極集電体40の第1ベース部41は、第1絶縁部材61の内側に覆われる。より詳しくは、第1ベース部41の上面と側面が第1絶縁部材61によって覆われる。第1絶縁部材61によって覆われていない第1ベース部41の下面は、電極体20と略平行で、かつ、第1絶縁部材61の下端部と面一になっている。第1絶縁部材61は、封口板14と第1ベース部41との間に配置され、正極集電体40と封口板14との絶縁のために配置される。第1絶縁部材61は、下端が開口した箱形である。第1絶縁部材61の幅方向一端(図9の紙面の表側端)に形成された切り欠き61aを通じて、第1ベース部41の端部から第1リード部42が外側に導出される。
【0032】
第1絶縁部材61の天板部には上下に貫通する孔61bが形成される。図6に示す正極端子15の下端部は、第1絶縁部材61及び第1ベース部41の孔を通じて第1ベース部41より下側に突出し、下側に突出した部分が第1ベース部41にカシメられて電気的に接続される。なお、正極端子15のカシメられた部分と第1ベース部41とが更に溶接接続されることが好ましい。また、第1ベース部41の下面には凹部が形成され、正極端子15の下端部のカシメられた部分は、当該凹部内に配置されることが好ましい。そして、正極端子15のカシメられた部分の下端が、第1ベース部41の下面よりも上方に位置することがより好ましい。
【0033】
一方、図7の(b)に示すように、負極集電体50は、第2ベース部51と第2リード部52とを含む。第2ベース部51、第2リード部52は、それぞれ他方側ベース部、他方側リード部に相当する。第2ベース部51は、正極集電体40の第1ベース部41と同様に封口板14に沿って配置される。第2リード部52は、正極集電体40の第1リード部42と同様に第2ベース部51の端部に連結されて電極体20側に向かうように配置される。第2リード部52の電極体接合部55は、電極体20の負極芯体露出部27の厚み方向一方側面(図7の(b)の左側面)と対面するように配置され接合されることで、負極芯体露出部27に接続される。電極体接合部55は他方側発電素子接合部に相当する。負極集電体50において、第2ベース部51と第2リード部52との接続部の位置は、封口板14の長手方向(図2の左右方向)に関して、正極集電体40の第1ベース部41及び第1リード部42の接続部の場合と逆になる。負極集電体50において、その他の構成は正極集電体40の構成と同様である。例えば、図7の(b)の第2リード部52は、上下方向部53と、上下方向部53の下端から電極体20の厚み方向に対し傾斜した第2傾斜部54とを有する。第2傾斜部54は、他方側傾斜部に相当する。この第2傾斜部54によって、二次電池の落下時における内部短絡を抑制できる。これについては、正極集電体40の第1傾斜部44と同様に、後で詳しく説明する。
【0034】
負極集電体50の第2ベース部51の上面および側面は第2絶縁部材62に覆われている。第2ベース部51の下面は、第2絶縁部材62によって覆われることなく露出している。また、第2ベース部51の下面もまた、電極体20と略平行で、かつ、第2絶縁部材62の下端部と面一になっている。第2絶縁部材62及び第2ベース部51を貫通した負極端子16の下端部が第2ベース部51に電気的に接続される。第2絶縁部材62は、封口板14と第2ベース部51との間に配置され、負極集電体50と封口板14との絶縁のために配置される。また、負極集電体50の電極体接合部55と負極芯体露出部27との間、及び負極芯体露出部27と負極受け部材58との間には、それぞれ絶縁フィルム57a、57bが配置される。負極集電体50の電極体接合部55、負極芯体露出部27及び負極受け部材58は、絶縁フィルム57a、57bの孔を通じて電気的に接続される。
【0035】
次に、図7図9等を用いて、正極集電体40の第1傾斜部44及び負極集電体50の第2傾斜部54について説明する。正極集電体40の第1傾斜部44は、正極芯体露出部23の厚み方向側面と対面する部分から第1ベース部41側に向かって、電極体20の厚み方向外側に向かうように厚み方向に対し傾斜する。一方、負極集電体50の第2傾斜部54は、負極芯体露出部27の厚み方向側面と対面する部分から第2ベース部51側に向かって、電極体20の厚み方向外側に向かうように厚み方向に対し傾斜する。このような傾斜部44,54が形成されることで、正負極端子を下にして二次電池を落下させたときに電極体20から各集電体40,50を介して封口板14側に加わる力の緩和を図れる。具体的には、電極体から各集電体40,50に下側に加わる力によって、傾斜部44,54と他の部分との境界部を曲げ変形させて、それにより衝撃の吸収を図れる。
【0036】
また、第1傾斜部44及び第2傾斜部54において、電極体20の厚み方向一方側面と対面する部分から厚み方向に対し傾斜したときの厚み方向に対する傾斜部44,54の傾斜角をθとし、傾斜部44,54の長手方向距離をdとする。このとき、d×cosθの値を4.6mm以上とすることが好ましい。図10は、正極集電体40の第1傾斜部44の傾斜角θ、長手方向距離d、dcosθの関係を説明するために正極集電体40の厚みを極小にして示す図である。なお、第1傾斜部44及び第2傾斜部54の間で、傾斜角θ及び傾斜部44,54の長手方向距離dはそれぞれ異ならせてもよい。d×cosθは、傾斜部44,54において、落下方向に対して直交する方向の長さであり、この長さが大きくなることによって落下時において電極体20から傾斜部44,54の電極体側端に加わるモーメントを大きくできる。これにより、傾斜部44,54及び上下方向部43,53を含む部分の曲げ変形によって衝撃吸収力を大きくでき、d×cosθの値を4.6mm以上とすることで、顕著な効果を得られる。なお、d×cosθの値は外装体12の大きさによる制限の面から10.8mm以下とすることが好ましい。
【0037】
さらに、電極体20と、電極体20に含まれる非水電解液との質量の和は、200g以上で、500g以下となるように規制される。これにより、高い電池容量を実現しやすい。しかも、上記のように正極集電体40及び負極集電体50の各リード部42,52が傾斜部44,54を有し、かつ、上記の質量の和が500g以下である。これにより、正極端子及び負極端子を下にして二次電池10を落下させたときに、傾斜部44,54が上側の電極体20から受ける衝撃力を斜め下方向に逃がすように変形する。このため、電極体20が各集電体40,50のベース部41,51に衝突する際の衝撃力を緩和できるので、二次電池の正負極の短絡である内部短絡を抑制できる。また、二次電池の落下時における内部短絡を抑制するために集電体に二股形状のように複雑な構造を採用する必要がないので、二次電池10の重量を低減することができる。また、集電体の構造の単純化により、二次電池10のコスト増大を抑制できる。
【0038】
ハイブリッド車両等の車両に搭載して使用する二次電池10では、車両の高い性能を実現するために、二次電池の大容量化が要求される。一方、二次電池10の大容量化には、電極体20の重量化を伴う。この対策として、集電体を二股に分岐させて電極体20を2つの腕部で支持することが考えられる。しかしながら、この対策では、二次電池10の重量が増加したり、高コスト化する問題があった。実施形態ではこのような問題を解決できる。また、電極体20と、電極体20に含まれる非水電解液との質量の和が200g以上である場合には、集電体40,50のいずれもが傾斜部を有しない場合に、正負極端子を下にして二次電池10を落下させる落下時において内部短絡を生じやすい。実施形態では、各集電体40,50に傾斜部44,54を形成するので、上記の質量の和が200g以上である場合に、顕著な効果が得られる。
【0039】
上記では、正極集電体40及び負極集電体50の両方が傾斜部44,54を有する場合を説明した。一方、正極集電体40及び負極集電体50のうち、一方の集電体にのみ、例えば、曲げに対する強度の小さい材料により形成される集電体にのみ、例えば、正極集電体40にのみ傾斜部を有するようにしてもよい。負極集電体50にのみ傾斜部を有する場合には、その傾斜部が一方側傾斜部に相当する。
【0040】
図11は、正極端子15及び負極端子16を下にして二次電池10が落下する状態を、外装体12(図1)を取り外して示している。このとき、図11に示すように、正極集電体40の第1ベース部41において、封口板14の長手方向における中央側端部(図11の右端部)の電極体20側の面と電極体20の封口板14側端部との距離である正極側間隔をd1とする。また、負極集電体50の第2ベース部51において、封口板14の長手方向における中央側端部(図11の左端部)の電極体20側の面と電極体20の封口板14側端部との距離である負極側間隔をd2とする。このとき、第1ベース部41の厚みd3が第2ベース部51の厚みd4より大きく、正極側間隔d1は、負極側間隔d2よりも小さくなっている(d1<d2)。これに合わせて、第1ベース部41の周囲の第1絶縁部材61の高さ(図11の上下方向長さ)も第2ベース部51の周囲の第2絶縁部材62の高さより大きくなっている。
【0041】
正極集電体40がアルミニウム又はアルミニウム合金からなり、負極集電体50が銅又は銅合金からなる場合、正極集電体40を構成する板材の厚みをより大きくすることができる。これにより、集電体の加工性を低下させることなく、あるいは二次電池10の重量を低減しながら二次電池の内部抵抗を低下させることができる。このような観点から、正極集電体40を構成する板材と負極集電体50を構成する板材の両方を同じように厚くするよりも、正極集電体40を構成する板材をより厚くする方が好ましい。したがって、上述の通りd1<d2という構成を有することが好ましい。一方、この場合には、正負極端子を下にして二次電池を落下させた場合に正極集電体40の第1ベース部41が負極集電体50の第2ベース部51より先に電極体20に衝突して短絡を生じやすくなる。また、正極集電体40は負極集電体50より剛性の低い材料により形成される傾向にある。これにより正極集電体40と電極体20とがより衝突しやすい。実施形態では、正極集電体40及び負極集電体50のいずれにも傾斜部44,54を形成しているが、上記の事情から、正極集電体40及び負極集電体50の一方のみに傾斜部を形成する場合には、正極集電体40のみに傾斜部を形成することが好ましい。
【0042】
また、図6に示したリベット64の下面(底部の下端)は、正極集電体40における第1ベース部41の下面(底部の下端)よりも電極体20に近くすることが好ましい。このような構成では、後述するように正極端子及び負極端子を下にして二次電池10が落下したときに、リベット64の下面が電極体20に第1ベース部41より先に衝突しやすい。これにより、落下時に電極体20に加わる力を、正極集電体40の第1ベース部41からと、リベット64からとに分散させて第1ベース部41から加わる力を緩和できる。これにより、二次電池の上述の落下時に耐え得る性能である落下耐性の向上を図れる。リベットの下面は平坦面であることが好ましい。また、リベット64の下面は正極及び負極のいずれの極性も有していないことが好ましい。また、リベット64の下面には絶縁部材が配置されていることが好ましい。例えば、リベット64の下面が絶縁性の樹脂により被覆されていることが好ましい。なお、封口板14の長手方向において、注液孔14b及び蓋体であるリベット64は、ガス排出弁14aよりも正極集電体40の第1ベース部41の側に配置されることがより好ましい。
【0043】
図12は、正極端子及び負極端子を下にして二次電池を落下させた落下試験後の正極集電体の第1ベース部近傍の状態を示す図である。なお、落下試験後の正極集電体の第1ベース部近傍の状態については、二次電池10をX線CT装置で撮影することにより確認した。図12に示すように、落下によって電極体20の重みにより正極集電体40が変形し、電極体20が封口板14側に移動することで、正極集電体40の第1ベース部41の角部が電極体20の上面に破線αの部分で衝突していることを確認できた。また、落下によって正極端子15及び負極端子16が床面に衝突し、封口板14において正極端子15及び負極端子16が取り付けられた部分の近傍が変形し、正極集電体40の第1ベース部41の角部が電極体20に接し易くなることが分かった。
【0044】
また、以下で説明するように、電極体20の厚みと幅(図2の左右方向寸法)を大きくすることによって、さらに効果的に落下の衝撃を緩和することができ、落下耐性を向上できる。
【0045】
具体的には、電極体20の厚みは、非水電解液を含んだ状態で、10mm以上であることが好ましく、14mm以上であることがより好ましい。この好ましい構成を採用した場合には、電極体20において、封口板14側の部材、例えば第1ベース部41と接触する面積を大きくでき、封口板側の部材と接触するときの単位面積当たりの衝撃力を緩和できる。このため、巻回電極体20の損傷を生じにくくできる。なお、電極体20の厚みは、非水電解液を含んだ状態で、30mm以下とすることが好ましい。厚みが30mmより大きい場合は、非水電解液の均一な浸透を妨げるおそれがある。非水電解液の分布が生じることにより出力特性の低下や、サイクル特性の低下を招く可能性がある。
【0046】
また、巻回電極体20の幅は100mm以上であることが好ましい。この好ましい構成を採用した場合には、単位幅当たりの電極体20の重量を低減できるため、封口板側の部材と接触するときの単位面積当たりの衝撃力を緩和できる。このため、巻回電極体20の損傷を生じにくくできる。なお、巻回電極体20の幅は200mm以下であることが好ましい。幅が200mmより大きい場合は、非水電解液の均一な浸透を妨げるおそれがある。非水電解液の分布が生じることにより出力特性の低下や、サイクル特性の低下を招く可能性がある。
【0047】
また、電極体20は、封口板側の上端部が断面円弧形であり、その円弧形の曲率半径が大きくなるほど、封口板側の部材が落下時に衝突したときの応力の分散を図れるので、電極体20の損傷を生じにくくできる。
【0048】
また、正極集電体40は、アルミニウム又はアルミニウム合金製であり、かつヤング率は、65GPa以上75GPa以下であり、かつ断面二次モーメントは1.4×10-12m4以上で、6.2×10-124以下であることが好ましい。落下試験において、衝撃を受けたときの集電体の曲げ強さは、その集電体のヤング率と断面二次モーメントによって決まる。ヤング率は材料固有の値である。断面二次モーメントIは、集電体の厚み方向寸法をhとし、幅方向寸法をbとした場合に、I=bh3/12によって算出される。例えば、正極集電体40の幅を7.9mmとしたときに、正極集電体40の厚みが1.3mmの場合に断面二次モーメントは下限値となり、正極集電体の厚みが2.1mmの場合に断面二次モーメントは上限値となる。なお、正極集電体40の厚みや幅、具体的には第1ベース部41や上下方向部43や第1傾斜部44や電極体接合部45の厚みや幅は必ずしも一致する必要はない。上記の正極集電体40の厚みや幅は、集電体の変形に寄与する第1傾斜部とその接続部(折れ曲がっている部位)の厚みと幅を意味する。
【0049】
また、負極集電体50は、銅又は銅合金製であり、かつヤング率は、110GPa以上130GPa以下であり、かつ断面二次モーメントは1.5×10-134以上で、9.2×10-134以下であることが好ましい。例えば、負極集電体50の幅を8.3mmとしたときに、負極集電体50の厚みが0.6mmの場合に断面二次モーメントは下限値となり、負極集電体50の厚みが1.1mmの場合に断面二次モーメントは上限値となる。なお、負極集電体50の厚みや幅、具体的には第2ベース部51や上下方向部53や第2傾斜部54や電極体接合部55の厚みや幅は必ずしも一致する必要はない。上記の負極集電体50の厚みや幅は、集電体の変形に寄与する第2傾斜部とその接続部(折れ曲がっている部位)の厚みと幅を意味する。
【0050】
次に、実施例1〜9に係る二次電池と比較例1〜3に係る二次電池とを用いて行った落下試験の結果を説明する。
【0051】
落下試験において、共通の条件は以下の通りである。
まず、二次電池の各構成は以下の通りである。
正極板は、正極芯体としてのアルミニウム箔の両面に正極活物質層が形成されている。
正極活物質層は、正極活物質としてのLiNi0.35Co0.35Mn0.302、導電剤としての炭素材料、及び結着材としてのポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含有する。また、それぞれの含有割合(質量%)は、LiNi0.35Co0.35Mn0.302/炭素材料/PVDF=90/7/3のものを用いた。負極板には、負極芯体としての銅箔の両面に負極活物質層が形成されている。負極活物質層は、黒鉛、カルボキシメチルセルロー(CMC)及びスチレンブタジエンゴム(SBR)を含有する。また、それぞれの含有割合(質量%)は、黒鉛/CMC/SBR=98/1/1のものを用いた。セパレータ30は、ポリプロピレン(PP)/ポリエチレン(PE)/ポリプロピレン(PP)の3層構造のものを用いた。また、非水電解液としては、エチレンカーボネート(EC)/エチルメチルカーボネート(EMC)/ジメチルカーボネート(DMC)=30/30/40vol%である混合溶媒に、添加剤として0.3vol%のビニレンカーボネート(VC)が含有されているものを用いた。また、非水電解液は、溶質としてのLiPF6が1.2Mとなるように含有されているものを用いた。また、正極集電体40はアルミニウムにより形成し、以下の実施例5,6を除いて、幅が7.9mmで厚さが1.4mmのものを用いた。負極集電体50は銅により形成し、幅が8.3mmで厚さが0.80mmのものを用いた。また、外装体として、厚みが18mm、幅が150mm、高さが65mmのものを用いた。
【0052】
[落下試験]
試験方法として、1.4mの落下高さから、正極端子15及び負極端子16を下にして二次電池10を離して落下させた。また、電極体20と封口板14から電極体20側へ突出する突起物との最小距離は2mmとした。このとき、環境温度は25℃とした。表1に落下試験の結果を示している。
【0053】
【表1】
【0054】
図13は、落下試験において正極集電体40が変形する状態を、落下前(a)と落下後(b)とで示している図7の(a)に対応する図である。なお、説明のためリブ46や正極受け部材、リブ49を省略し、正極端子15を簡略化して記載した。図13に示すように、落下時には、図13の(a)で第1傾斜部44の電極体側端(図13(a)の上端)に加わるモーメントによって、第1傾斜部44と上下方向部43との連続部が図13(b)の矢印β方向に曲げ変形した。そして、これにより、正極集電体の下端に加わる衝撃力を吸収できることを確認できた。
【0055】
表1では、発電素子(電極体20)と発電素子に含まれる非水電解液との質量の和、非水電解液を含んだ状態での発電素子の厚み、正極集電体及び負極集電体の傾斜部の有無、正負極集電体のヤング率が示される。また、表1では、正極集電体のリード部における断面二次モーメント、d×cosθも示される。また、表1では試験結果として、ガス排出弁14aの弁作動の有無、集電体と発電素子との溶接状態、打痕及び短絡痕の状態も示される。落下試験によって、短絡が生じると、高圧のガスが発生してガス排出弁14aが作動しやすくなる。
【0056】
比較例1は、電極体20と電極体20に含まれる非水電解液との質量の和が240gであり、実施形態の構成において、正極集電体40及び負極集電体50に傾斜部がない形状のものを使用した。質量の和の内訳は、電極体20が180gで、電解液が60gであった。また、電池容量は8Ahであった。電極体20のサイズは、二次電池のエージング後に、X線CT装置により確認したところ、厚みは17.5mmで、幅は143mmで、高さは57mmであった。比較例1の落下試験を実施したところ、短絡による弁作動と発煙とが生じた。また、試験後の二次電池をX線CT装置によって内部構造を観察したところ、正極集電体と電極体20の電極箔との溶接部が剥がれ、電極体20の支持がない状態となっていた。また、二次電池を分解し、目視確認で短絡痕を確認したところ、電極体20の正極端子近傍で短絡痕が確認され、しかもその短絡痕は非常に大きかった。
【0057】
次に、比較例2は、比較例1と同様の構成において、電極体20と電極体20に含まれる非水電解液との質量の和を200gとした。この質量の和の内訳は、電極体20が150gで、電解液が50gであった。また、電池容量は6.5Ahであった。電極体20の非水電解液を含んだ状態での厚みは17.5mmで、幅は143mmで、高さは47mmであった。比較例2の落下試験を実施したところ、短絡による弁作動と発煙とが生じた。また、試験後の二次電池をX線CT装置によって内部構造を観察したところ、正極集電体と電極体20の電極箔との溶接部が剥がれ、電極体20の支持がない状態となっていた。また、二次電池を分解し、目視確認で短絡痕を確認したところ、電極体20の正極端子近傍で短絡痕が確認され、その短絡痕は比較例1と比べて小さかった。
【0058】
次に、比較例3は、比較例1,2と同様の構成において、電極体20と電極体20に含まれる非水電解液との質量の和を180gとした。また、電池容量は5Ahとした。表1の試験結果に示すように、比較例3では、弁作動は生じず、集電体と電極体20との衝突による電極体20上の短絡痕も見られなかった。また、試験後の二次電池をX線CT装置によって内部構造を確認したところ、電極体20が、外装体12内でやや動いていたが、特に正常時から変化した様子は観察されなかった。この試験結果は、電極体20と電解液との質量の和が小さかったため、落下衝撃が小さかったものと考えられる。これにより、集電体が傾斜部を有しない場合でも、電極体20と非水電解液との質量の和が180g以下では落下による短絡が見られないことを確認できた。これにより、実施形態のように集電体が傾斜部を有することによる効果は、電極体20と非水電解液との質量の和が200g以上で顕著になる。
【0059】
一方、実施例1は、正極集電体40として第1傾斜部44を有するものを用いた。第1傾斜部44の傾斜角θは45°であり、d×cosθ=5.7mmとした。それ以外の構成は、比較例1と同じにして、落下試験を実施した。このとき、負極集電体50の形状は比較例1と同じである。試験結果では、弁作動は発生しなかった。試験後に、X線CT装置で二次電池の内部観察をしたところ正極集電体40の屈曲は見られたが、負極集電体50には大きな変化は確認されなかった。一方、負極集電体50と電極体20の電極箔との溶接部が剥がれていた。また、二次電池を分解し、目視確認したところ、電極体20に打痕が確認された。実施例1では、正極集電体40に第1傾斜部44を設けたことで、電極体20から封口板14側の部材に衝突する際の衝撃が緩和されたものとみられる。
【0060】
また、実施例2は、正極集電体40のみならず負極集電体50にも傾斜部を有するものを使用した。このとき、各集電体40,50の傾斜部44,54の傾斜角度は45°であり、d×cosθ=5.7mmとした。実施例2でそれ以外の構成は実施例1と同じとし、落下試験を実施したところ、試験結果では、弁作動は発生しなかった。試験後にX線CT装置で内部観察したところ、正極集電体40及び負極集電体50の屈曲が確認され、実施例1の場合と異なり、電極体20の電極箔と集電体との溶接部の剥がれは発生しなかった。この理由として、実施例1の場合と比較して、電極体20における負極端子の近傍での打痕が正極端子近傍での打痕と同様に小さかったので、電極体20から封口板側の部材に衝突する際の衝撃がより緩和されたものと考えられる。
【0061】
実施例3は、電極体20の非水電解液を含んだ状態での厚みを実施例2より小さくして、17.0mmとした。また、電極体20の幅は143mm、高さは59mmとした。それ以外の構成は実施例2と同じとして、落下試験を実施した。試験結果では、弁作動は発生しなかった。また、二次電池を分解し、目視確認したところ、電極体20に打痕が確認され、実施例2と比較して打痕は大きかった。
【0062】
実施例4は、電極体20の非水電解液を含んだ状態での厚みを実施例2より大きくして、30.0mmとした。また、電極体20の幅は143mm、高さは33mmとした。また、これに合わせて外装体12の厚みを31.0mm、高さを41.0mmとした。それ以外の構成は実施例2と同じとして、落下試験を実施した。試験結果では、弁作動は発生しなかった。また、二次電池を分解し、目視確認したところ、電極体20に打痕が確認され、実施例2と比較して打痕は小さかった。
【0063】
実施例5は、正極集電体40の厚みを1.3mmとし、幅を実施例2と同じ7.9mmとした。このとき、断面二次モーメントは1.4×10-12m4である。それ以外の構成は実施例2と同じとして落下試験を実施した。試験結果では、弁作動は発生しなかった。また、二次電池を分解し、目視確認したところ、電極体20に打痕が確認され、実施例2と比較して打痕は大きかった。
【0064】
実施例6は、正極集電体40の厚みを2.1mmとし、幅を実施例2と同じ7.9mmとした。このとき、断面二次モーメントは6.2×10-124である。それ以外の構成は実施例2と同じとして落下試験を実施した。試験結果では、弁作動は発生しなかった。また、二次電池を分解し、目視確認したところ、電極体20の打痕は実施例2と比較して小さかった。実施例5及び実施例6の試験結果により、正極集電体のヤング率を70GPaとした際、その断面二次モーメントは1.4×10-12(m4)以上で、6.2×10-12(m4)以下が好ましいことを確認できた。
【0065】
実施例7は、正極集電体40の第1傾斜部44の長さを6.5mmとし、第1傾斜部44の傾斜角θを45°とし、dcosθ=4.6mmとした。それ以外の構成は実施例2と同じとして落下試験を実施したところ、弁作動には至らなかった。また、二次電池を分解し、目視確認したところ、電極体20の打痕は実施例2と比較して大きかった。試験結果から、第1傾斜部44を短くすることで落下時のモーメントが小さくなったが、他の実施例と同様に電極体20から封口板14側の部材に衝突する際の衝撃力が緩和されたものと考えられる。
【0066】
実施例8は、正極集電体40の第1傾斜部44の長さを15.2mmとし、第1傾斜部44の傾斜角θを45°とし、dcosθ=10.8mmとした。それ以外の構成は実施例2と同じとして落下試験を実施したところ、弁作動には至らなかった。また、試験後に二次電池を分解し、目視確認したところ、打痕は実施例2、実施例7と比較して小さかった。試験結果から、第1傾斜部44を長くすることで落下時のモーメントが大きくなり、実施例2や実施例7と比較して電極体20から封口板14側の部材に衝突する際の衝撃力がより緩和されたものと考えられる。
【0067】
実施例9は、電極体20と電極体20に含まれる非水電解液との質量の和が200gであるものを用いた。質量の和の内訳は、電極体20が150gで、電解液が50gであった。それ以外の構成は実施例1と同じとし、落下試験を実施したところ、弁作動には至らなかった。また、試験後に二次電池をX線CT装置で内部監察したところ、実施例1と同様に正極集電体40の屈曲は見られたが、負極集電体50には大きな変化は確認されなかった。また、電極体20の電極箔と負極集電体50との溶接部が剥がれていた。一方、二次電池を分解し目視確認したところ、電極体20に打痕が確認されたが、実施例1より小さかった。この理由として、正極集電体40に第1傾斜部44を設けたことで、電極体20から封口板側の部材に衝突する際の衝撃が緩和されたものと考えられる。また、実施例1の場合と比較して、電極体20と非水電解液との質量の和が200gと小さかったので、電極体20から封口板側の部材に衝突する際の衝撃力が小さいことで打痕が小さくなったと考えられる。
【0068】
<その他>
図7の(a)に示すように、封口板14の短手方向(図7の(a)における左右方向)において、第1絶縁部材61の外面よりも第1リード部42の外面が外側(外装体12側)に位置することが好ましい。即ち、封口板14の短手方向において、第1リード部42と外装体12の最短距離が、第1絶縁部材61と外装体12との最短距離よりも小さいことが好ましい。これにより、第1傾斜部44の長さをより長くできる。
【0069】
封口板14の短手方向において、第1リード部42の外面と、外装体12の内面の最短距離が0.05mm〜2.0mmであることが好ましく、0.05mm〜1.0mmであることがより好ましい。これにより、第1傾斜部44の長さをより長くできる。また、第1リード部42の外面が、絶縁シート13を介して、外装体12の内面を押圧するような状態とすることがより好ましい。
【符号の説明】
【0070】
10 二次電池、12 外装体、13 絶縁シート、14 封口板、14a ガス排出弁、14b 注液孔、15 正極端子、16 負極端子、20 巻回電極体(電極体)、22 正極板、23 正極芯体露出部、26 負極板、27 負極芯体露出部、30 セパレータ、40 正極集電体、41 第1ベース部、41a 孔、42 第1リード部、43 上下方向部、44 第1傾斜部、45 電極体接合部、46 リブ、47a,47b 絶縁フィルム、48 正極受け部材、49 リブ、50 負極集電体、51 第2ベース部、52 第2リード部、53 上下方向部、54 第2傾斜部、55 電極体接合部、57a,57b 絶縁フィルム、58 負極受け部材、59 絶縁フィルム、60 絶縁テープ、61 第1絶縁部材、61a 切り欠き、61b 孔、62 第2絶縁部材、64 リベット。
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