(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
コア及びクラッドを有する光ファイバと前記光ファイバを被覆するジャケットとを含み、端部に、前記光ファイバが露出した先端側のファイバ露出部分と前記ジャケットで被覆された後方側のジャケット被覆部分とが構成され、前記ファイバ露出部分の外周面に第1モードストリッパが設けられた光ファイバ心線と、
前記光ファイバ心線の前記ジャケット被覆部分の外周を被覆するように設けられた光導波層で構成された第2モードストリッパと、
を備え、
前記ファイバ露出部分と前記ジャケット被覆部分との境界が光コネクタ内に配置されたクラッドモード光除去機構であって、
前記第1モードストリッパにおいて除去されずに後方に伝搬したクラッドモード光が、前記ファイバ露出部分において、前記光ファイバの前記コア及び前記クラッドを含む領域を伝搬し、前記ジャケット被覆部分に達すると、前記ジャケット内部まで拡がって前記光ファイバ及び前記ジャケットを含む領域を伝搬し、その後、光導波層の前記第2モードストリッパがその上層に現れる領域に達すると、前記第2モードストリッパ内部まで拡がって前記光ファイバ、前記ジャケット、及び前記第2モードストリッパを含む領域を伝搬し、そして、前記第2モードストリッパから放出されるクラッドモード光除去機構。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係るクラッドモード光除去機構Aを包含するレーザ光伝送用の光ファイバケーブルCの端部を示す。この光ファイバケーブルCは例えばレーザ加工機等に装着されるものであり、この端部はレーザ光の入射端部又は出射端部である。
【0011】
実施形態1の光ファイバケーブルCは、光ファイバ心線10の端部に光コネクタ20が取り付けられた構成を有する。
【0013】
光ファイバ心線10は、光ファイバ11とそれを被覆するジャケット12とを含む。光ファイバ心線10の外径は例えば1.3mmである。
【0014】
光ファイバ11は、相対的に高屈折率なコア11aとそれを被覆する相対的に低屈折率のクラッド11bとを有する。光ファイバ11は、例えば、コア11aが純粋石英ガラスで形成されており、クラッド11bが、フッ素等の屈折率を低下させるドーパントがドープされた石英ガラスで形成されている。光ファイバ11の外径は例えば500μmである。コア11aの直径は例えば100μmである。コア11aの開口数(NA)は例えば0.20である。なお、光ファイバ11は、クラッド11bの外側を更に被覆するサポート層を含んでいてもよい。
【0015】
ジャケット12は例えば光透過性を有する樹脂で形成されている。ジャケット12は、単一層で構成されていてもよく、また、内側樹脂層と外側樹脂層との二層で構成されていてもよい。単一層のジャケット12を形成する樹脂としては、例えば紫外線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂が挙げられる。二層のジャケット12の内側樹脂層を形成する樹脂としては、例えばシリコーン樹脂が挙げられる。二層のジャケット12の外側樹脂層を形成する樹脂としては、例えばナイロン樹脂やフッ素系樹脂(テトラフルオロエチレン樹脂等)が挙げられる。ジャケット12の厚さは例えば0.1mm以上0.3mm以下である。
【0016】
光ファイバ心線10における光コネクタ20が取り付けられた部分を含む端部には、ジャケット12が剥離されて光ファイバ11が露出した先端側のファイバ露出部分10aと、それに連続したジャケット12で被覆された後方側のジャケット被覆部分10bとが構成されている。
【0017】
ファイバ露出部分10aの露出した光ファイバ11における長さ方向の所定長の中間部分の外周面には第1モードストリッパ13が設けられている。この第1モードストリッパ13は、光ファイバ11のクラッド11bを伝搬するクラッドモード光を光ファイバ11の外部に放出して除去するための構造である。具体的には、第1モードストリッパ13は、例えば、光ファイバ11の外周面に対して研磨やブラストや切断などの機械加工、化学エッチング、レーザ加工により加工された形状やシリカなどの微粒子の堆積溶融等して形成された粗面で構成される。
【0018】
ジャケット被覆部分10bの先端側の端から間隔をおいた所定長の部分には、ジャケット12の外周を被覆するように第2モードストリッパ30が一体に設けられている。ジャケット被覆部分10bの先端側の端から第2モードストリッパ30の先端側の端までの長さD1は、好ましくは0.5mm以上200mm以下、より好ましくは1mm以上100mm以下である。第1モードストリッパ13において除去されずに後方に伝搬したクラッドモード光は、光ファイバ11のコア11a及びクラッド11bを含む領域を伝搬し、ジャケット12が上層に現れる領域に達すると、ジャケット12内部まで拡がり、光ファイバ11及びジャケットを含む領域を伝搬するクラッドモード光へと変化する。この光ファイバ11及びジャケット12を伝搬するクラッドモード光は、第2モードストリッパ30がその上層に現れる領域に達すると、第2モードストリッパ30内部まで拡がり、光ファイバ11、ジャケット12、及び第2モードストリッパ30を含む領域を伝搬するクラッドモード光へと変化する。そして、第2モードストリッパ30は、このクラッドモード光を外部に放出するための光導波層を構成する。ここで、本願における「クラッドモード光」は、コア11a及びクラッド11bを含む光ファイバ11内部を伝搬する光だけでなく、それがジャケット12内部や第2モードストリッパ30内部にまで拡がって伝搬する光も含む。第2モードストリッパ30は、例えば光透過性を有する紫外線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等で形成されている。
【0019】
このような第2モードストリッパ30は、例えば、
図3Aに示すように、第2モードストリッパ30の形状のキャビティ41aが形成された金型41に、光ファイバ心線10をセットし、
図3Bに示すように、キャビティ41aに第2モードストリッパ30を形成する液状の樹脂材料30’を注入して硬化させることにより形成することができる。また、第2モードストリッパ30は、金型41を用いずに、ジャケット12上に、順次、樹脂を塗布して固めることでも形成することができる。
【0020】
光コネクタ20は、例えばステンレスなどの金属等で筒状に形成されている。光コネクタ20には、先端側に内径の大きい円筒孔が形成され、その中間部に環状のサファイアブロック21が内嵌めされて先端側のブロック収容部22と後方側のファイバ収容部23とに仕切られている。また、ファイバ収容部23の後方側に連続して内径が光ファイバ心線10の外径とほぼ同じ先端側心線挿通孔25が形成され、その後方側に連続して内径の拡大した第2モードストリッパ収容部26が形成され、その後方側に連続して再び内径が光ファイバ心線10の外径とほぼ同じ後方側心線挿通孔27が形成されている。更に、光コネクタ20の外周から第2モードストリッパ収容部26に連通した光検出器収容孔24が形成されている。
【0021】
この光コネクタ20では、ブロック収容部22には石英ブロック28が収容されており、光ファイバ心線10の端部におけるファイバ露出部分10aの光ファイバ11は、ファイバ収容部23の中心軸位置を延びると共に、その先端部がサファイアブロック21に挿通され、且つその先端がブロック収容部22に収容された石英ブロック28に融着接続されている。また、ジャケット被覆部分10bのうち先端側の端から第2モードストリッパ30の先端側の端までの部分は先端側心線挿通孔25に内嵌めされ、第2モードストリッパ30で被覆された部分は第2モードストリッパ収容部26に収容され、第2モードストリッパ30の後方側の所定長の部分は後方側心線挿通孔27に内嵌めされている。光コネクタ20への光ファイバ心線10の固定は、接着剤を用いた接着固定であってもよく、また、接着剤を用いずに光ファイバ心線10にかしめ等により外嵌め固定した固定部材を光コネクタ20に内嵌め固定する機械的固定であってもよい。この場合、後述のクラッドモード光除去機構Aが固定部材内に構成されていてもよい。更に、光コネクタ20から後方に延びる光ファイバ心線10は光コネクタに端部が固定されたSUS等で形成された外装管90に挿通されている。加えて、光検出器収容孔24には、例えばシリコンフォトダイオード等で構成された光検出器50が収容されており、その光検出器50は、光検出面が第2モードストリッパ30の外周面に対向するように設けられている。
【0022】
以上の光ファイバケーブルCの端部構造において、実施形態1に係るクラッドモード光除去機構Aは、光コネクタ20に設けられた光ファイバ心線10、第2モードストリッパ30、光検出器50を備えて構成されている。従って、実施形態1に係るクラッドモード光除去機構Aでは、第1及び第2モードストリッパ13,30が光コネクタ20内に配置されている。
【0023】
次に、この実施形態1に係るクラッドモード光除去機構Aによるクラッドモード光の除去動作について説明する。
【0024】
光ファイバケーブルCにおいて、入射端側の光コネクタ20の場合には光源からのレーザ光が、また、出射端側の光コネクタ20の場合には被照射物からの反射光が、石英ブロック28を介して光ファイバ11のクラッド11bにも入射してクラッドモード光として伝搬する。このクラッドモード光は、光コネクタ20内において、大部分が光ファイバ心線10のファイバ露出部分10aの光ファイバ11の外周面に設けられた第1モードストリッパ13で光ファイバ11の外部に放出されて除去される。
【0025】
光コネクタ20のファイバ収容部23は、ファイバ露出部分10aの光ファイバ11における第1モードストリッパ13が設けられている部分を囲う空間を形成するが、第1モードストリッパ13から放出されたクラッドモード光の除去光は、そのファイバ収容部23を伝搬し、ファイバ収容部23における第1モードストリッパ13が対向する内壁に達して吸収される。ファイバ収容部23の内壁は、かかる除去光の吸収効率を高める観点からは、研磨やブラストや切断などの機械加工、化学エッチング、レーザ加工等により粗面に形成されていることが好ましい。光コネクタ20に吸収された除去光は熱に変換されて放熱され、その一部は光コネクタ20において消費され、残りは最終的に光コネクタ20の外部に赤外線として放出される。
【0026】
また、上記の通り、第1モードストリッパ13において除去されずに後方に伝搬したクラッドモード光は、光ファイバ11のコア11a及びクラッド11bを含む領域を伝搬し、ジャケット被覆部分10bが上層に現れる領域に達すると、ジャケット12内部まで拡がり、光ファイバ11及びジャケット12を含む領域を伝搬するクラッドモード光へと変化する。この光ファイバ11及びジャケット12を伝搬するクラッドモード光は、第2モードストリッパ30がその上層に現れる領域に達すると、第2モードストリッパ30内部まで拡がり、光ファイバ11、ジャケット12、及び第2モードストリッパ30を含む領域を伝搬するクラッドモード光へと変化し、そして最終的に光コネクタ20の内壁に吸収されて除去される。
【0027】
このとき、ジャケット12から第2モードストリッパ30に効率的にクラッドモード光を放出させる観点からは、第2モードストリッパ30の屈折率は、ジャケット12の屈折率と同一又はそれ以上であることが好ましい。具体的には、例えば、ジャケット12がナイロン樹脂(屈折率1.53)で形成されている場合、第2モードストリッパ30をエポキシ樹脂(屈折率1.57)、ポリカーボネート(屈折率1.59)等で形成すればよい。また、ジャケット12がフッ素系樹脂(屈折率1.35)で形成されている場合、第2モードストリッパ30を、フッ素系樹脂(屈折率1.35)、シリコーン樹脂(屈折率1.43)、ポリメタクリル酸メチル樹脂(屈折率1.49)、アクリル樹脂(屈折率1.50)、エポキシ樹脂(屈折率1.57)、ポリカーボネート(屈折率1.59)等で形成すればよい。同様の観点からは、第2モードストリッパ30の長さL1は、好ましくは1mm以上100mm以下、より好ましくは5mm以上50mm以下である。第2モードストリッパ30の厚さT1は、好ましくはジャケット12の厚さの0.5倍以上50倍以下、より好ましくは1倍以上20倍以下である。
【0028】
第2モードストリッパ30には、クラッドモード光を散乱させて光ファイバ11に戻るのを抑えると共にクラッドモード光を散失させる観点から、散乱体となるシリカ、アルミナ、サファイアなどの無機材料を分散させて含有させてもよい。
【0029】
第2モードストリッパ30に放出されたクラッドモード光は、第2モードストリッパ30に接する光コネクタ20に達する。光コネクタ20に達したクラッドモード光は熱に変換されて放熱され、その一部は光コネクタ20において消費され、残りは最終的に光コネクタ20の外部に赤外線として放出される。なお、クラッドモード光が入射した第2モードストリッパ30は発熱を伴うことがあるが、その熱伝導性を高めて光コネクタ20への放熱性を向上させる観点から、第2モードストリッパ30には、例えば、金、アルミニウム、銅、これらの金属を含む合金の金属粉、窒化珪素、窒化ホウ素などの熱伝導性セラミックス粉を分散させて含有させてもよい。
【0030】
実施形態1に係るクラッドモード光除去機構Aによれば、光ファイバ心線10のファイバ露出部分10aの外周面に設けられた第1モードストリッパ13に加え、ジャケット被覆部分10bの外周を被覆するように第2モードストリッパ30が設けられており、第1モードストリッパ13でクラッドモード光の大部分を除去するのに加えて、第1モードストリッパ13で除去されなかったクラッドモード光を、その後方の第2モードストリッパ30で除去することができるので、高いクラッドモード光の除去性能を得ることができる。そして、その結果、高信頼性の光ファイバケーブルCを得ることができる。
【0031】
また、第2モードストリッパ30に放出されたクラッドモード光の一部は、光検出器50の光検出面に入射する。光検出器50は、検出したクラッドモード光を電気信号に変換する。この光検出器50によるクラッドモード光の検出性能を高める観点からは、光検出器50の光検出面が第2モードストリッパ30の外周面に当接していることが好ましく、或いは、光検出器50の光検出面と第2モードストリッパ30の外周面との間に、第2モードストリッパ30を形成する樹脂と同様の光導波性の高い樹脂が充填されていることが好ましい。そして、この電気信号は例えば制御回路に送られ、制御回路は、その電気信号に基づいて、光源からのレーザ光の出力を調整するフィードバック制御、或いは、クラッドモード光の出力が過大であると判断されるときに光源からのレーザ光の出射を遮断するインターロック制御を行う。つまり、実施形態1に係るクラッドモード光除去機構Aによれば、第1モードストリッパ13において除去されずに後方に伝搬したクラッドモード光が、ジャケット12内部まで拡がって伝搬するクラッドモード光に変化する特性を利用し、そのクラッドモード光を第2モードストリッパ30を介して光検出器50で検出することにより光源の出力制御を行うことができる。その結果、光ファイバケーブルCを用いたレーザ加工機等の装置についても高信頼性を得ることができる。
【0032】
(実施形態2)
図4は、実施形態2に係るクラッドモード光除去機構Aを包含するレーザ光伝送用の光ファイバケーブルCの端部を示す。なお、実施形態1と同一名称の部分の一部は、実施形態1と同一符号で示す。
【0033】
実施形態2の光ファイバケーブルCは、光ファイバ心線10の端部に、先端側から順に光コネクタ20及び第2モードストリッパユニット60が間隔をおいて取り付けられた構成を有する。
【0034】
光コネクタ20は、例えばステンレスなどの金属等で筒状に形成されている。光コネクタ20の内部には、先端側に内径の大きい円筒孔が形成され、その中間部に環状のサファイアブロック21が内嵌めされて先端側のブロック収容部22と後方側のファイバ収容部23とに仕切られている。また、ファイバ収容部23の後方側に連続して内径が光ファイバ心線10の外径とほぼ同一の心線挿通孔29が形成されている。
【0035】
この光コネクタ20では、ブロック収容部22には石英ブロック28が収容されており、光ファイバ心線10の端部におけるファイバ露出部分10aの光ファイバ11は、ファイバ収容部23の中心軸位置を延びると共に、その先端部がサファイアブロック21に挿通され、且つその先端がブロック収容部22に収容された石英ブロック28に融着接続されている。また、ジャケット被覆部分10bのうち先端部分は心線挿通孔に内嵌めされている。
【0036】
第2モードストリッパユニット60は、例えばステンレスなどの金属等で筒状に形成されている。第2モードストリッパユニット60には、先端側に内径が光ファイバ心線10の外径とほぼ同じ先端側心線挿通孔61が形成され、その後方側に連続して内径の拡大した第2モードストリッパ収容部62が形成され、その後方側に連続して再び内径が光ファイバ心線10の外径とほぼ同じ後方側心線挿通孔63が形成されている。更に、第2モードストリッパユニット60の外周から第2モードストリッパ収容部62に連通した光検出器収容孔24が形成されている。
【0037】
この第2モードストリッパユニット60では、光ファイバ心線10の端部におけるジャケット被覆部分10bのうち第2モードストリッパ30の先端側の所定長の部分は先端側心線挿通孔61に内嵌めされ、第2モードストリッパ30で被覆された部分は第2モードストリッパ収容部62に収容され、第2モードストリッパ30の後方側の所定長の部分は後方側心線挿通孔63に内嵌めされている。また、光検出器収容孔24には、例えばシリコンフォトダイオード等で構成された光検出器50が収容されており、その光検出器50は、光検出面が第2モードストリッパ30の外周面に対向するように設けられている。
【0038】
なお、光コネクタ20から第2モードストリッパユニット60までの光ファイバ心線10は、光コネクタ20及び第2モードストリッパユニット60に端部が固定されたSUS等で形成された外装管90に挿通されている。また、第2モードストリッパユニット60から後方に延びる光ファイバ心線10も同様に第2モードストリッパユニット60に端部が固定された外装管90に挿通されている。
【0039】
以上の光ファイバケーブルCの端部構造において、実施形態2に係るクラッドモード光除去機構Aは、光コネクタ20に設けられた光ファイバ心線10、並びに第2モードストリッパユニット60に設けられた第2モードストリッパ30及び光検出器50を備えて構成されている。従って、実施形態1に係るクラッドモード光除去機構Aでは、第1モードストリッパ13が光コネクタ20内に配置されている一方、第2モードストリッパ30が光コネクタ20外の第2モードストリッパユニット60内に配置されている。この実施形態2に係るクラッドモード光除去機構Aによるクラッドモード光の除去動作は実施形態1と同一である。
【0040】
この実施形態2に係るクラッドモード光除去機構Aによれば、第2モードストリッパユニット60が光コネクタ20から離間して設けられているので、光コネクタ20の発熱の影響による光検出器50でのクラッドモード光の検出の誤差を低く抑えることができる。かかる観点からは、光コネクタ20と第2モードストリッパユニット60との間隔D2は、好ましくは5mm以上1000mm以下、より好ましくは10mm以上500mm以下である。
【0041】
その他の構成及び作用効果は実施形態1と同一である。
【0042】
(実施形態1及び2の変形例)
<第1変形例>
図5は、実施形態1及び2に係るクラッドモード光除去機構Aの第1変形例を示す。
【0043】
この第1変形例における第2モードストリッパ30は、光ファイバ心線10に接触して被覆するように設けられた内側層31と、その外側に設けられた外側層32とを有し、それらが同軸状に設けられていると共に異なる材質で形成されている。このような第1変形例のクラッドモード光除去機構Aによれば、例えば、レーザ光の吸収性能及び/又は散乱性能が内側層31よりも外側層32の方が相対的に高くなるようにそれらの材質を選択すれば、第2モードストリッパ30に放出されて除去されたクラッドモード光を外側層32で吸収・散乱させて光ファイバ11に戻りにくくすると共に散失させることができる。また、屈折率が内側層31よりも外側層32の方が相対的に高くなるようにそれらの材質を選択すれば、第2モードストリッパ30に放出されて除去されたクラッドモード光を外側層32へ導光しやすくなる。
【0044】
このような第1変形例の第2モードストリッパ30は、例えば、
図6Aに示すように、内側層31の形状のキャビティ71aが形成された第1の金型71に、光ファイバ心線10をセットし、
図6Bに示すように、キャビティ71aに内側層31を形成する樹脂材料31’を注入して硬化させた後、
図6Cに示すように、第2モードストリッパ30の形状のキャビティ72aが形成された第2の金型72に、内側層31を形成した光ファイバ心線10をセットし、
図6Dに示すように、キャビティ72aに外側層32を形成する樹脂材料32’を注入して硬化させることにより形成することができる。また、第2モードストリッパ30は、金型71,72を用いずに、ジャケット12上に、順次、樹脂を塗布して固めることでも形成することができる。
【0045】
なお、第2モードストリッパ30は、内側層31及び外側層32の2層よりも多層で構成されていてもよい。
【0046】
<第2変形例>
図7は、実施形態1及び2に係るクラッドモード光除去機構Aの第2変形例を示す。
【0047】
この第2変形例における第2モードストリッパ30は、前後に三分割した先端層33と、その後方に設けられた中間層34と、その後方に設けられた後方層35とを有し、それらが異なる材質で形成されている。通常、除去されたクラッドモード光のパワーは先端側の方が後方側よりも相対的に高くなるが、このような第2変形例のクラッドモード光除去機構Aによれば、例えば、レーザ光の吸収性能及び/又は散乱性能が、先端層33よりも中間層34の方が高く且つ中間層34よりも後方層35の方が高くなるようにそれらの材質を選択すれば、クラッドモード光のパワー分布とは逆に、クラッドモード光の吸収・散乱が先端層33、中間層34、及び後方層35の順に多くなり、これによってクラッドモード光の吸収・散乱を平均化させることができる。また、屈折率が、先端層33よりも中間層34の方が高く且つ中間層34よりも後方層35の方が高くなるようにそれらの材質を選択しても、同様の作用効果を得ることができる。これにより先端側に偏った局所的な発熱を抑制することができる。なお、第2モードストリッパ30を形成する材料の吸収性能や散乱性能は、レーザなどの各種光源を用いた分光光度計や散乱係数測定装置にて測定することが一般的に可能である。
【0048】
このような第2変形例の第2モードストリッパ30は、第1変形例と同様、先端層33、中間層34、及び後方層35を別々に成型することにより形成することができる。
【0049】
なお、第2モードストリッパ30は、先端層31と後方層33との2層のみで構成されていてもよく、また、3層よりも多層で構成されていてもよい。
【0050】
<第3変形例>
図8は、実施形態1及び2に係るクラッドモード光除去機構Aの第3変形例を示す。
【0051】
この第3変形例における光ファイバ心線10は、第2モードストリッパ30で被覆された部分におけるジャケット12の第2モードストリッパ30との界面を構成する外周面が凹凸面に構成されている。このような第3変形例のクラッドモード光除去機構Aによれば、光ファイバ心線10の第2モードストリッパ30で被覆された部分におけるジャケット12の第2モードストリッパ30との界面を構成する外周面が凹凸面に構成されているので、ジャケット12内を拡がって伝搬するクラッド伝搬モード光が第2モードストリッパ30との界面で全反射する確率が低くなるため、ジャケット12内を拡がって伝搬するクラッドモード光の第2モードストリッパ30への移動が容易になり、除去効率を上げることができる。
【0052】
このような第3変形例の光ファイバ心線10におけるジャケット12の外周面の凹凸面は、研磨やブラストや切断などの機械加工、化学エッチング、レーザ加工により形成された粗面で構成することができる。
【0053】
なお、クラッドモード光除去機構Aは、この第3変形例の構成に加えて、第1変形例又は第2変形例の構成を備えていてもよい。
【0054】
<第4変形例>
図9は、実施形態1及び2に係るクラッドモード光除去機構Aの第4変形例を示す。
【0055】
この第4変形例における第2モードストリッパ30は、光ファイバ心線10に接触して被覆するように設けられた内側層31と、その外側に設けられた外側層32とを有し、それらが同軸状に設けられていると共に異なる材質で形成され、更に内側層31における外側層32との界面を構成する外周面が凹凸面に構成されている。このような第4変形例のクラッドモード光除去機構Aによれば、第2モードストリッパ30の内側層31における外側層32との界面を構成する外周面が凹凸面に構成されているので、外側層31内に拡がって伝搬するクラッドモード光が外側層32との界面で全反射する確率が低くなるため、外側層31内を拡がって伝搬するクラッドモード光の外側層32への移動が容易になり、除去効率を上げることができる。
【0056】
このような第4変形例の第2モードストリッパ30における内側層31の外周面の凹凸面は、研磨やブラストや切断などの機械加工、化学エッチング、レーザ加工により形成された粗面で構成することができる。また、この凹凸面は、内側層31を成型する第1の金型71のキャビティ71aの内壁に逆パターンの凹凸面を設けておくことによっても形成することができる。
【0057】
なお、クラッドモード光除去機構Aは、この第4変形例の構成に加えて、第3変形例の構成を備えていてもよい。
【0058】
<第5変形例>
図10は、実施形態1及び2に係るクラッドモード光除去機構Aの第5変形例を示す。
【0059】
この第5変形例におけるクラッドモード光除去機構Aは、光検出器50に第2モードストリッパ30を介して対向するように設けられた平面鏡で構成された反射部材80を更に備える。このような第5変形例のクラッドモード光除去機構Aによれば、光検出器50に対向するように反射部材80が設けられているので、光検出器50の反対側に除去されたクラッドモード光も、反射部材80により光検出器50に向かって反射され、それにより光検出器50において高精度でクラッドモード光を検出することができる。この光検出器50におけるクラッドモード光の検出精度を高める観点からは、反射部材80は第2モードストリッパ30の外周面に当接するように設けられていることが好ましい。
【0060】
なお、クラッドモード光除去機構Aは、この第5変形例の構成に加えて、第1〜第4変形例の構成の少なくとも1つを備えていてもよい。
【0061】
<第6変形例>
図11は、実施形態1及び2に係るクラッドモード光除去機構Aの第6変形例を示す。
【0062】
この第6変形例におけるクラッドモード光除去機構Aは、光検出器50の光検出面に第2モードストリッパ30を介して対向すると共に焦点が光検出器50の光検出面に結ばれるように設けられた凹面鏡で構成された反射部材80を更に備え、第2モードストリッパ30には反射部材80の凹部81に嵌合する凸部36が形成されている。このような第6変形例のクラッドモード光除去機構Aによれば、第5変形例の場合と同様、光検出器50に対向するように反射部材80が設けられているので、反射部材80で反射したクラッドモード光が光検出器50に集光され、しかも、凹面鏡で構成された反射部材80の焦点が光検出器50の光検出面に結ばれているので集光率が高く、それにより光検出器50において極めて高精度でクラッドモード光を検出することができる。
【0063】
なお、クラッドモード光除去機構Aは、この第6変形例の構成に加えて、第1〜第4変形例の構成の少なくとも1つを備えていてもよい。