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特許6837845情報処理端末、情報処理方法、及び、情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6837845
(24)【登録日】2021年2月15日
(45)【発行日】2021年3月3日
(54)【発明の名称】情報処理端末、情報処理方法、及び、情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01W 1/02 20060101AFI20210222BHJP
   G09B 29/00 20060101ALN20210222BHJP
   G06T 17/05 20110101ALN20210222BHJP
【FI】
   G01W1/02 C
   !G09B29/00 F
   !G06T17/05
【請求項の数】10
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2017-5737(P2017-5737)
(22)【出願日】2017年1月17日
(65)【公開番号】特開2018-115907(P2018-115907A)
(43)【公開日】2018年7月26日
【審査請求日】2019年11月12日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (公開1) 掲載日 平成28年7月17日 https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.co.mti.phasedarray&hl=ja (公開2) 掲載日 平成28年7月18日 https://itunes.apple.com/jp/app/3d−yu−yunu−otchi−fezudoareireda/id1033790896?mt=8 (公開3) 掲載日 平成28年7月19日 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000296.000002943.html (公開4、及び公開5) 発行日 平成28年9月30日 刊行物 2016年度秋季大会講演予稿集、第512頁、公益社団法人 日本気象学会 (公開6、及び公開7) 開催日 平成28年10月28日 集会名 日本気象学会2016年度秋季大会 開催場所 名古屋大学東山キャンパス(愛知県名古屋市千種区不老町) (公開8、及び公開9) 開催日 平成28年12月22日 集会名 最新気象レーダが拓く安心・安全な社会2016 開催場所 SYDホール(東京都渋谷区千駄ケ谷4−25−2 修養団SYDビル)
(73)【特許権者】
【識別番号】599126800
【氏名又は名称】株式会社エムティーアイ
(74)【代理人】
【識別番号】100113608
【弁理士】
【氏名又は名称】平川 明
(74)【代理人】
【識別番号】100105407
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】小池 佳奈
(72)【発明者】
【氏名】石垣 信和
(72)【発明者】
【氏名】小川 晋
(72)【発明者】
【氏名】門田 尚子
(72)【発明者】
【氏名】若葉 伸一郎
(72)【発明者】
【氏名】生田 久美子
【審査官】 後藤 順也
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第07109913(US,B1)
【文献】 特開2016−148582(JP,A)
【文献】 磯田総子他,フェーズドアレイ気象レーダによる豪雨の3次元観測,可視化情報,2014年10月,Vol.34,No.135,4〜9頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01W 1/00−1/18
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに、
気象観測データに基づく、緯度方向、経度方向、及び、高度方向の位置情報と、前記位置情報に該当する雲の降水強度とを含む3次元描画情報を受信させ、
前記3次元描画情報に基づいて、前記気象観測データの観測範囲内の雲の降水強度が大きい部分を前記雲の降水強度が小さい部分よりも前面に描画させることで、前記雲の降水強度が最も大きい部分を最前面に表示させる、
情報処理プログラム。
【請求項2】
現在時刻からの経過時間の指定を受け付けさせ、
前記受け付けた経過時間後の降雨の対象として推定される、所定の高度の範囲に含まれる雲を表示させる、
請求項1に記載の情報処理プログラム。
【請求項3】
前記受け付けた経過時間が長ければ長いほど、より高度の高い範囲の雲を表示させる、請求項2に記載の情報処理プログラム。
【請求項4】
約5分後の指定が受け付けられた場合に、高度2.0km以上3.6km未満の雲を表示させ、約10分後の指定が受け付けられた場合に、高度3.6km以上5.4km未満の雲を表示させ、約15分後の指定が受け付けられた場合に、高度5.4km以上7.2km未満の雲を表示させる、
請求項2又は3に記載の情報処理プログラム。
【請求項5】
前記気象観測データは気象レーダから取得され、
前記降水強度は、前記気象観測データに含まれる反射強度に応じて複数のレベルで表現され、
前記降水強度のレベルそれぞれについて異なる表示方法を用い、奥行き方向における位置にかかわらず、前記降水強度のレベルが小さい雲よりも前面に前記降水強度のレベルが大きい雲を描画させることで、前記降水強度のレベルが最も大きい雲を最前面に表示させる
請求項1から4のいずれか一項に記載の情報処理プログラム。
【請求項6】
第1の高度以上の高度の雲を描画させ、地上から前記第1の高度未満の領域に、前記降水強度に応じた降雨アニメーションを表示させる、
請求項1から5のいずれか一項に記載の情報処理プログラム。
【請求項7】
前記気象観測データは気象レーダから取得され、
前記降水強度は、前記気象観測データに含まれる反射強度に応じて複数のレベルで表現され、
前記降水強度のレベルに応じて、前記降雨アニメーションの再生速度を決定させる、
請求項6に記載の情報処理プログラム。
【請求項8】
前記降水強度のレベルに応じて、前記降雨アニメーションに含まれる降雨を示すラインの本数を決定させる、
請求項6又は7に記載の情報処理プログラム。
【請求項9】
気象観測データに基づく、緯度方向、経度方向、及び、高度方向の位置情報と、前記位置情報に該当する雲の降水強度とを含む3次元描画情報を受信し、
前記3次元描画情報に基づいて、前記気象観測データの観測範囲内の雲の降水強度が大きい部分を前記雲の降水強度が小さい部分よりも前面に描画させることで、前記雲の降水強度が最も大きい部分を最前面に表示させる、
情報処理方法。
【請求項10】
気象観測データに基づく、緯度方向、経度方向、及び、高度方向の位置情報と、前記位置情報に該当する雲の降水強度とを含む3次元描画情報を受信する受信部と、
前記3次元描画情報に基づいて、前記気象観測データの観測範囲内の雲を描画する表示処理部と、を備え、
前記表示処理部は、雲の降水強度が大きい部分を前記雲の降水強度が小さい部分よりも前面に描画させることで、前記雲の降水強度が最も大きい部分を最前面に表示させる
情報処理端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気象観測データを利用して雨雲の情報を提供する情報処理装置、情報処理方法、及び、情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、突発的かつ局地的な大雨、所謂、ゲリラ豪雨の発生が増加している。例えば、ゲリラ豪雨によって、10分間で川の水位が1m30cmも上昇した事例もあり、ゲリラ豪雨によって多大な被害を受ける危険性がある。例えば、ゲリラ豪雨の発生を事前に知ることができれば、避難行動をとることができる。
【0003】
例えば、ユーザに降雨を認識させる方法として、気象レーダ等の観測データを用いて、雨雲を2次元又は3次元で表示する方法がある(例えば、非特許文献1−5)。また、例えば、登録地点において降雨が予想されると通知する方法がある(例えば、非特許文献2)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】佐藤晋介,外2名、“フェーズドアレイ気象レーダの研究開発”,NICT News,独立行政法人情報通信研究機構 広報部,2013年1月,1301号,p.3-p.5
【非特許文献2】“島津ビジネスシステムズ、新体験・気象レーダーARアプリ『アメミル』をiPhone 向けに提供開始”,[online],平成25年6月18日,株式会社島津ビジネスシステムズ,ニュースリリース,[平成28年11月16日検索],インターネット<URL: http://tenki.shimadzu.co.jp/hp/img/app/130618-SBSPR_amemil.pdf>
【非特許文献3】川端裕人,“研究室に行ってみた。JAXA地球観測研究センター GPM主衛星&雨雲スキャンレーダー 沖理子 第1回 宇宙から雨雲を3Dスキャン!”,[online],平成26年6月23日,株式会社 日経ナショナル ジオグラフィック,Webナショジオ,[平成28年11月16日検索],インターネット<URL:http://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/20140617/403063/>
【非特許文献4】“局地的豪雨対策にも、アプリ「Go雨!探知機 -XバンドMPレーダ-」 〜Android版にもリアルタイムの落雷情報を追加〜”,[online],2015年6月30日,日本気象協会,ニュースリリース,[平成28年11月16日検索],インターネット<URL:https://www.jwa.or.jp/news/2015/06/post-000526.html>
【非特許文献5】“雨雲を地図と重ねて3次元表示するソフトウェア「DioVISTA/Storm」を発売 竜巻やゲリラ豪雨の監視業務を支援”,[online],平成26年8月5日,株式会社日立パワーソリューションズ,ニュースリリース,[平成28年11月16日検索],インターネット<URL:http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2014/08/0805a.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、単に、現状の雨雲を表示したり、降雨の予測を通知したりするのでは、豪雨の危険性に対する認識は低く、実際に避難行動を行うユーザは少ない。
【0006】
本発明では、豪雨の危険性に対する認識を視覚的に向上させることができる情報処理装置、情報処理方法、及び、情報処理プログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様の一つは、フェーズドアレイ気象レーダの観測データに基づく、緯度方向、経度方向、及び、高度方向の位置情報と、位置情報に該当する雲の特性とを含む3次元描画情報を受信する受信部と、3次元描画情報に基づいて、フェーズドアレイ気象レーダの観測範囲内の雲を描画する表示処理部と、現在時刻からの経過時間の指定を受け付ける受付部と、を備え、表示処理部は、受け付けた経過時間後の降雨の対象として推定される、所定の高度の範囲に含まれる雲を表示する、情報処理端末である。
【0008】
本発明の態様の一つによれば、ユーザが現在からの経過時間を指定すると、雲のうち、指定した経過時間の降雨の対象となる層が表示されるので、雨雲のどの層がどれくらい後に降ってくるのかをユーザに視認させることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、豪雨の危険性に対する認識を視覚的に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係る3次元雨雲情報提供システムのシステム構成の一例を示す図である。
図2】データ処理サーバのハードウェア構成の一例を示す図である。
図3】携帯端末のハードウェア構成の一例を示す図である。
図4】データ処理サーバ、データ受信サーバ、フロントサーバの機能構成の一例を示す図である。
図5】携帯端末の機能構成の一例を示す図である。
図6】3次元雨雲描画情報のデータ構造の一例を示す図である。
図7】携帯端末における雨雲表示画面の一例である。
図8】携帯端末における雨雲の表示画面生成処理の一例を示す図である。
図9】携帯端末における雨雲の表示切替画面の生成処理の一例を示す図である。
図10】表示切替ボタンの選択時の雨雲の表示画面の一例である。
図11】表示切替ボタンの選択時の雨雲の表示画面の一例である。
図12】表示切替ボタンの選択時の雨雲の表示画面の一例である。
図13】第1実施形態に係る3次元雨雲情報提供システムにおける豪雨予測情報の通知を行う範囲の一例を示す図である。
図14】携帯端末における豪雨予測情報の通知の設定画面の一例である。
図15】端末情報テーブルの一例である。
図16】データ処理サーバの豪雨判定部の豪雨判定処理のフローチャートの一例である。
図17】データ受信サーバの豪雨予測情報の通知処理の一例を示す図である。
図18】携帯端末の豪雨予測情報のプッシュ通知画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本発明は実施形態の構成に限定されない。
【0012】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る3次元雨雲情報提供システムのシステム構成の一例を示す図である。3次元雨雲情報提供システム100は、携帯端末に、フェーズドアレイ気象レーダの観測データに基づいて、フェーズドアレイ気象レーダの観測範囲内の雨雲を3次元表示するサービスを提供するシステムである。また、3次元雨雲情報提供システム100は、フェーズドアレイ気象レーダの観測データに基づいて豪雨の発生を予測し、携帯端末に、豪雨の発生予測を通知する。
【0013】
3次元雨雲情報提供システム100は、データ処理サーバ1、データ受信サーバ2、フロントサーバ3、3次元雨雲情報データベース4、携帯端末5、フェーズドアレイ気象レーダストレージ6を含む。フェーズドアレイ気象レーダストレージ6には、フェーズドアレイ気象レーダシステムによって取得されたフェーズドアレイ気象レーダの観測データが格納されている。
【0014】
フェーズドアレイ気象レーダは、例えば、128本のアンテナを有し、仰角方向への走査を電子的にアンテナのゲインの指向性を変化させることで行う。そのため、フェーズドアレイ気象レーダを水平方向に360度回転させることで、観測範囲内を3次元で観測することができる。フェーズドアレイ気象レーダは、約2m四方のアンテナを360度回転させることで、例えば、半径60km、高さ15km程度の範囲を観測可能である。また、フェーズドアレイ気象レーダの観測時間は、10秒から30秒程度である。
【0015】
フェーズドアレイ気象レーダは、従来の気象レーダに比べて、観測時間が短く、3次元で雲の動きを観測できるため、例えば、ゲリラ豪雨などの発生を約5分前までには予測可能となる。
【0016】
フェーズドアレイ気象レーダは、マイクロ波を発射し、雨粒に反射して散乱されて戻ってきた電波を受信し、雲の動き等を観測する。フェーズドアレイ気象レーダシステムは、フェーズドアレイ気象レーダが受信した電波に対して信号処理を行う。観測データには、例えば、反射強度、VIL(Vertically Integrated Liquid water)、ドップラー速度等が含まれている。反射強度は、例えば、水平偏波の受信電力にレーダからの距離とレーダの特性とを考慮して算出される。反射強度などから、雲の特性を取得することができる。雲の特性には、例えば、雨粒の大きさ、密度、降水強度等がある。
【0017】
データ処理サーバ1は、フェーズドアレイ気象レーダストレージ6から観測データを取得し、観測データを処理し、処理結果として得られたデータをデータ受信サーバ2に送信する。具体的には、データ処理サーバ1は、観測データから雨雲を3次元で描画するための3次元雨雲描画情報を生成する。また、データ処理サーバ1は、観測データから豪雨が発生するか否かを判定する豪雨判定処理を行う。なお、豪雨判定処理では、30mm/h以上の降水強度の雨を豪雨と呼んでいる。
【0018】
データ受信サーバ2は、データ処理サーバ1から受信したデータを3次元雨雲情報データベース4に格納する。また、データ受信サーバ2は、データ処理サーバ1から豪雨が予測されるエリアの情報を受信した場合には、当該エリア内に存在する携帯端末5に、豪雨予測情報をプッシュ通知する。豪雨予測情報は、例えば、30mm/h以上の降水強度の雨が予測されるエリアの情報である。
【0019】
フロントサーバ3は、携帯端末5との窓口となり、携帯端末5との間でデータの送受信を行う。フロントサーバ3と携帯端末5との間でやり取りされるデータには、例えば、雨雲を3次元で表示するための3次元雨雲描画情報、携帯端末5の端末情報などがある。豪雨予測情報の通知は、緊急性が高いため、フロントサーバ3を介さず、データ受信サーバ2からプッシュ通知される。3次元雨雲情報データベース4は、3次元雨雲描画情報や、携帯端末5の端末情報を格納する。
【0020】
携帯端末5は、例えば、スマートフォン、タブレット端末等である。携帯端末5は、3次元雨雲情報提供システム100が提供するサービスを受けるためのクライアント用アプリケーションをインストールしている端末である。携帯端末5は、クライアント用アプリケーションをインストールすることで、3次元雨雲情報の提供を受けることができる。ま
た、携帯端末5は、豪雨予測情報の通知を設定することで、豪雨予測情報の通知を受けることができる。
【0021】
<装置構成>
図2は、データ処理サーバ1のハードウェア構成の一例を示す図である。データ処理サーバ1は、例えば、専用のコンピュータである。データ処理サーバ1は、汎用のコンピュータであってもよい。データ処理サーバ1は、ハードウェア構成要素として、CPU(Central Processing Unit) 101、主記憶装置102、補助記憶装置103、ネットワ
ークインタフェース104を備え、これらのハードウェア構成要素はバス105で電気的に接続されている。
【0022】
補助記憶装置103は、様々なプログラムや、各プログラムの実行に際してCPU 101が使用するデータを格納する。補助記憶装置103に保持されるプログラムには、例えば、オペレーティングシステム(OS)、フェーズドアレイ気象レーダの観測データ処理プログラム、その他様々なアプリケーションプログラムを保持する。フェーズドアレイ気象レーダの観測データ処理プログラムは、フェーズドアレイ気象レーダの観測データを処理するためのプログラムである。補助記憶装置103は、例えば、EPROM(Erasable Programmable ROM)やハードディスクドライブ(Hard Disc Drive)である。
【0023】
主記憶装置102は、CPU 101に、補助記憶装置103に格納されているプログラムをロードする記憶領域および作業領域を提供したり、バッファとして用いられたりする記憶装置である。主記憶装置102は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)のような半導体メモリを含む。
【0024】
CPU 101は、補助記憶装置103に保持されたOSや様々なアプリケーションプログラムを主記憶装置102にロードして実行することによって、様々な処理を実行する。CPU 101は、1つに限られず、複数備えられてもよい。
【0025】
ネットワークインタフェース104は、ネットワークとの情報の入出力を行うインタフェースである。ネットワークインタフェース104は、有線のネットワークと接続するインタフェースであってもよいし、無線のネットワークと接続するインタフェースであってもよい。ネットワークインタフェース104は、例えば、NIC(Network Interface Card)等である。
【0026】
なお、図2に示されるデータ処理サーバ1のハードウェア構成は、一例であり、上記に限られず、実施の形態に応じて適宜構成要素の省略や置換、追加が可能である。例えば、データ処理サーバ1は、可搬記録媒体駆動装置を備え、可搬記録媒体に記録されたプログラムを実行してもよい。可搬記録媒体は、例えば、SDカード、miniSDカード、microSDカード、USB(Universal Serial Bus)フラッシュメモリ、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、Blu−ray(登録商標) Disc、又はフラッシュメモリカードのような記録媒体である。また、例えば、データ処理サーバ1は、入力装置及び出力装置を備えてもよい。入力装置は、例えば、キーボード、マウス等である。出力装置は、例えば、ディスプレイ等である。
【0027】
データ受信サーバ2、フロントサーバ3のハードウェア構成は、データ処理サーバ1と同様である。すなわち、データ受信サーバ2、フロントサーバ3は、例えば、専用のコンピュータであり、ハードウェア構成要素として、CPU、主記憶装置、補助記憶装置、ネットワークインタフェースを備える。3次元雨雲情報データベース4は、例えば、ハードディスク、又は、ハードディスクを備え、データベースサーバとして動作するコンピュータである。
【0028】
図3は、携帯端末5のハードウェア構成の一例を示す図である。携帯端末5は、例えば、スマートフォン、タブレット端末等である。携帯端末5は、CPU 501、記憶部502、タッチパネル503、ディスプレイ504、無線部505、オーディオ入出力部506、スピーカー507、マイクロフォン508、カメラ509、アンテナ510を備える。
【0029】
記憶部502は、ROM 502A、RAM 502B、不揮発性メモリ502Cを含む。RAM 502Bは、揮発性メモリであり、CPU 501に作業領域を提供する。ROM 502Aは、不揮発性メモリであり、OS、プリインストールのアプリケーション、システムデータ等を記憶する。不揮発性メモリ502Cは、例えば、フラッシュメモリである。
【0030】
不揮発性メモリ502Cは、クライアント用アプリケーションプログラム、その他アプリケーション等が格納されている。クライアント用アプリケーションプログラムは、3次元雨雲情報提供システム100から雨雲情報の提供を受けるためのプログラムである。クライアント用アプリケーションプログラムは、例えば、インターネット上のサイトからダウンロードすることによって取得される。
【0031】
タッチパネル503は、位置入力装置の1つであって、ディスプレイ504の表面に配置されており、ディスプレイ504の画面に対応する指のタッチ位置の座標を入力する。タッチパネル503は、静電容量方式、抵抗膜方式、表面弾性波方式、赤外線方式、電磁誘導方式等のいずれであってもよい。ディスプレイ504は、例えば、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display,LCD)である。ディスプレイ504は、CPU 501から入力される信号に従って、画面データを表示する。
【0032】
無線部505は、アンテナ510と接続しており、アンテナ510を通じて受信した無線信号を電気信号に変換してCPU 501に出力したり、CPU 501から入力される電気信号を無線信号に変換してアンテナ510を通じて送信したりする。無線部505は、例えば、WiFi(Wireless Fidelity)、第3世代移動通信システム、第4世代移
動通信システム(LTE(Long Term Evolution))、又は、第4世代以上の移動通信シ
ステムのうちのいずれか1つ又は複数に対応する電子回路である。
【0033】
オーディオ入出力部506は、音声出力装置としてのスピーカー507と、音声入力装置としてのマイクロフォン508と、接続する。オーディオ入出力部506は、マイクロフォン508から入力された音声信号を電気信号に変換してCPU 501に出力したり、CPU 501から入力された電気信号を音声信号に変換してスピーカー507に出力したりする。
【0034】
CPU 501は、ROM 502A又は不揮発性メモリ502Cに格納されるプログラムをRAM 502Bに展開し、展開された命令を実行することによって様々な処理を行う。
【0035】
なお、携帯端末5のハードウェア構成は、図3に示されるものに限定されず、適宜、追加、置換、削除等の変更が可能である。例えば、携帯端末5は、図3に示される構成に加えて、可搬記録媒体を駆動する可搬記録媒体駆動装置を備えてもよい。可搬記録媒体は、例えば、SDカード、microSDカード等である。また、携帯端末5に備えられるプロセッサは、CPU 501の1つに限定されず、複数のプロセッサが備えられてもよい。例えば、携帯端末5には、CPU 501に加えてGPU(Graphics Processing Unit)が備えられてもよい。
【0036】
図4は、データ処理サーバ1、データ受信サーバ2、フロントサーバ3の機能構成の一例を示す図である。データ処理サーバ1は、観測データ取得部11、表示データ作成部12、豪雨判定部13を含む。観測データ取得部11、表示データ作成部12、豪雨判定部13は、データ処理サーバ1のCPU 101が補助記憶装置103に格納されているフェーズドアレイ気象レーダの観測データ処理プログラムを実行することによって達成される機能構成要素である。
【0037】
観測データ取得部11は、所定の周期でフェーズドアレイ気象レーダストレージ6にアクセスし、新たに追加された観測データを取得する。観測データ取得部11がフェーズドアレイ気象レーダストレージ6にアクセスする周期は、フェーズドアレイ気象レーダの観測時間と同じに設定され、例えば、10秒から30秒の間で設定される。観測データ取得部11は、取得した観測データを表示データ作成部12、豪雨判定部13に出力する。
【0038】
表示データ作成部12は、観測データ取得部11から入力された観測データから、雨雲を3次元で表示するための3次元雨雲描画情報を生成する。3次元雨雲描画情報の詳細については、後述される。表示データ作成部12は、3次元雨雲描画情報をデータ受信サーバ2に送信する。観測データは、例えば、10秒から30秒の周期で取得されるので、3次元雨雲描画情報も観測データが取得される周期で生成される。
【0039】
豪雨判定部13は、観測データ取得部11から入力された観測データに基づいて、豪雨が予測されるエリアを抽出する。第1実施形態では、高度2km面において降水強度が30mm/h以上となるエリアの豪雨が予測されるエリアとして抽出される。豪雨判定処理の詳細については、後述される。豪雨判定部13は、豪雨が予測されるエリアをデータ受信サーバ2に送信する。観測データは、例えば、10秒から30秒の周期で取得されるので、豪雨判定処理も観測データが取得される周期で実行される。
【0040】
データ受信サーバ2は、表示データ受信部21、警報情報受信部22、プッシュ配信部23を含む。表示データ受信部21、警報情報受信部22、プッシュ配信部23は、データ受信サーバ2のCPUが補助記憶装置に格納されているデータ受信処理プログラムを実行することによって達成される機能構成要素である。データ受信プログラムは、データ処理サーバ1から受信したデータを処理するためのプログラムである。
【0041】
表示データ受信部21は、データ処理サーバ1から3次元雨雲描画情報を受信する。表示データ受信部21は、受信した3次元雨雲描画情報を3次元雨雲情報データベース4に格納する。
【0042】
警報情報受信部22は、データ処理サーバ1から、豪雨が予測されるエリアの情報の入力を受ける。警報情報受信部22は、豪雨予測情報の通知対象の携帯端末5の端末識別情報を3次元雨雲情報データベース4から取得する。豪雨予測情報の通知対象の携帯端末5は、豪雨が予測されるエリア内に存在し、豪雨の通知サービスを有効に設定している携帯端末5である。警報情報受信部22は、豪雨予測情報と、豪雨予測情報の通知対象の携帯端末5の端末識別情報とをプッシュ配信部23に出力する。
【0043】
プッシュ配信部23は、警報情報受信部22から、豪雨予測情報と、豪雨予測情報の通知対象の携帯端末5の端末識別情報と、の入力を受ける。プッシュ配信部23は、メッセージを生成し、通知対象の携帯端末5の端末識別情報を用いて、プッシュ配信を行う。例えば、プッシュ配信部23から外部のプッシュ配信サーバ(図示せず)に、メッセージと通知対象の携帯端末5の端末識別情報とが送信され、プッシュ配信サーバによって各携帯端末5へのプッシュ配信が行われる。この場合、プッシュ配信に用いられる携帯端末5の
端末識別情報は、プッシュ配信サーバによって携帯端末5それぞれに発行された識別情報である。
【0044】
フロントサーバ3は、表示データ取得部31、端末情報登録部32を含む。表示データ取得部31、端末情報登録部32は、フロントサーバ3のCPUが補助記憶装置に格納されているフロントサーバ用プログラムを実行することによって達成される。
【0045】
表示データ取得部31は、携帯端末5から3次元雨雲描画情報の取得要求を受信する。3次元雨雲描画情報の取得要求は、携帯端末5のクライアント用アプリケーションプログラムの起動時、及び、ユーザ操作によって、携帯端末5から送信される。3次元雨雲描画情報の取得要求には、取得対象となる3次元雨雲描画情報の時刻の範囲の情報が含まれている。取得対象となる3次元雨雲描画情報の時刻の範囲は、例えば、現在時刻から所定時間長さかのぼった時刻までの範囲である。表示データ取得部31は、3次元雨雲描画情報の取得要求の対象の時刻の範囲内である3次元雨雲描画情報を3次元雨雲情報データベース4から読み出し、要求元の携帯端末5に送信する。
【0046】
端末情報登録部32は、携帯端末5から端末情報の登録要求を受信する。端末情報の登録要求は、例えば、携帯端末5におけるクライアント用アプリケーションプログラムの設定画面において設定内容が変更された場合と、携帯端末5の現在位置が変更された場合に送信される。設定内容の変更には、例えば、豪雨予測情報の通知を有効又は無効に変更することがある。端末情報登録部32は、受信した端末情報の登録要求の内容を、3次元雨雲情報データベース4に格納されている端末情報テーブルに登録する。端末情報テーブルの詳細は後述される。
【0047】
フロントサーバ3と携帯端末5との間のやり取りは、例えば、HTTP(Hypertext Transfer Protocol)を用いて行われる。ただし、これに限られない。
【0048】
図5は、携帯端末5の機能構成の一例を示す図である。携帯端末5は、操作受付部51、プッシュ配信受付部52、グラフィックデータ取得部53、端末情報送信部54、表示処理部55、表示データ格納部56を備える。これらは、携帯端末5のCPU 501が不揮発性メモリ503Cに格納されているクライアント用アプリケーションプログラムを実行することによって達成される機能構成要素である。
【0049】
操作受付部51は、タッチパネル503から入力されたユーザ操作を受け付ける。操作受付部51に入力されるユーザ操作は、例えば、設定画面における選択項目の選択操作、雨雲表示画面中の過去の雨雲の時刻指定の操作、経過時間の選択操作、等である。例えば、操作受付部51は、設定画面における選択項目の選択操作が入力されると、端末情報送信部54に、登録内容を出力する。例えば、操作受付部51は、雨雲表示画面中の過去の雨雲の時刻指定の操作が入力されると、表示処理部55に、指定された時刻を出力する。例えば、操作受付部51は、経過時間の選択操作が入力されると、表示処理部55に、選択された経過時間を出力する。
【0050】
プッシュ配信受信部52は、データ受信サーバ2から、外部のプッシュ配信サーバを介して、豪雨予測情報のプッシュ配信を受信する。プッシュ配信受信部52は、受信した豪雨予測情報を表示処理部55に出力する。
【0051】
グラフィックデータ取得部53は、フロントサーバ3に対して、3次元雨雲描画情報の取得要求を送信する。3次元雨雲描画情報の取得要求は、例えば、クライアント用アプリケーションプログラムの起動時及び操作受付部51から雨雲表示画面への遷移指示の入力時等の雨雲表示画面の作成時、雨雲表示画面の更新時等に送信される。グラフィックデー
タ取得部53は、取得要求に対する応答として、フロントサーバ3から3次元雨雲描画情報を受信する。グラフィックデータ取得部53は、受信した3次元雨雲描画情報を表示データ格納部56に格納する。
【0052】
端末情報送信部54は、フロントサーバ3に対して、携帯端末5の端末情報の登録要求を送信する。端末情報には、例えば、端末識別情報、現在位置、豪雨予測情報の通知の有効/無効の設定等がある。端末識別情報には、例えば、プッシュ配信に用いられる、プッシュ配信サーバから携帯端末5に対して発行される個体識別情報が用いられる。
【0053】
携帯端末5の現在位置は、例えば、GPS(Global Positioning System)によって取
得された緯度及び経度を含む位置情報、携帯端末5が捕捉した無線LANのアクセスポイントの位置情報、等である。携帯端末5の現在位置は、例えば、携帯端末5の移動により現在位置の変更が発生した場合に、端末情報に含められて、フロントサーバ3に送信される。ただし、豪雨予測情報の通知が無効に設定されている場合には、携帯端末5の現在位置は、フロントサーバ3に通知されない。
【0054】
端末情報の登録要求は、例えば、クライアント用アプリケーションプログラムのインストール時、操作受付部51から端末情報の登録内容が入力された時、現在位置が変更になった時等に送信される。豪雨予測情報の通知に関する設定が行われた場合にも、端末情報送信部54から端末情報の登録要求が送信される。
【0055】
表示データ格納部56は、携帯端末5の不揮発性メモリ502C内の記憶領域に作成される。表示データ格納部56には、例えば、3次元雨雲描画情報、雨雲表示画面等のテンプレート、メニュー画面の画像データ等が格納されている。
【0056】
表示処理部55は、ディスプレイ504に表示される画面データを作成する。例えば、操作受付部51から雨雲表示に関するユーザ操作が入力されると、表示処理部55は、表示データ格納部56から3次元雨雲描画情報を読み出して、雨雲を3次元で描画し、雨雲の表示画面データを作成する。雨雲の3次元の描画は、例えば、WebGLに従って行われる。
【0057】
<雨雲の3次元の描画に関する処理>
図6は、3次元雨雲描画情報のデータ構造の一例を示す図である。3次元雨雲描画情報は、データ処理サーバ1の表示データ作成部12によって、フェーズドアレイ気象レーダの観測データに基づいて作成される。
【0058】
3次元雨雲描画情報には、例えば、観測時間、X座標、Y座標、Z座標、降水指標が含まれる。観測時間は、フェーズドアレイ気象レーダによって観測された時刻である。観測時間は、年、月、日、時間、分、秒を含み、14バイトで表される。
【0059】
第1実施形態の3次元雨雲情報提供システム100では、フェーズドアレイ気象レーダを中心に、水平方向で80km四方、鉛直方向で地上から2km〜14kmを雨雲表示の対象範囲とする。また、雨雲の表示では、例えば、雨雲表示の対象範囲を水平方向に1km四方、鉛直方向に500mのブロックに分割した1ブロックを描画の単位とする。描画の単位となるブロックを、以降、描画ブロックと称する。
【0060】
3次元雨雲描画情報に含まれるX座標、Y座標、Z座標は、描画ブロックの位置を示す情報である。X座標は、西から東に向かう方向で各描画ブロックに順に付与された番号で示される。Y座標は南から北に向かう方向で各描画ブロックに順に付与された番号で示される。Z座標は、下から上に向かう方向で各描画ブロックに順に付与された番号で示され
る。雨雲表示の対象範囲は水平方向に80km四方で、描画ブロックの水平方向のサイズは1kmであるので、X座標、Y座標は、ともに、0〜80で表示される。また、雨雲表示の対象範囲は鉛直方向に地上2km〜14kmであり、描画ブロックの鉛直方向のサイズは500mであるので、Z座標は、0〜24で表示される。
【0061】
フェーズドアレイ気象レーダの観測データには、観測位置の緯度、経度、高度が含まれている。データ処理サーバ1の表示データ作成部12は、観測データの緯度、経度、高度に基づいて、各描画ブロックについて、観測データを分類し、分類された観測データから、当該描画ブロックについて3次元雨雲描画情報を作成する。すなわち、1つの3次元雨雲描画情報は、1つの描画ブロックについての情報を含む。
【0062】
3次元雨雲描画情報に含まれる降水指標は、1〜5の5段階のレベルで表示される。例えば、データ処理サーバ1の表示データ作成部12は、観測データの反射強度の平均値に基づいて、各描画ブロックの降水指標のレベルを1〜5のいずれかに判定する。例えば、降水指標が大きくなるにつれて、雨粒の大きさや雨の強度が大きくなる。
【0063】
例えば、降水指標が1である場合には、所謂、「雨」と表現される雨であって、降水強度0.1mm/h以上5mm/h未満の雨であることが示される。例えば、降水指標が2である場合には、降水強度5mm/h以上10mm/h未満の雨であることが示される。例えば、降水指標が3である場合には、所謂、「強雨」と表現される雨であって、降水強度10mm/h以上30mm/h未満の雨であることが示される。例えば、降水指標が4である場合には、降水強度30mm/h以上50mm/h未満の雨であることが示される。例えば、降水指標5では、所謂、「豪雨」と表現される雨であって、降水強度50mm/h以上の雨である。なお、反射強度の値が降水指標1と判定される値未満である場合には、降水指標はNull(0)となる。
【0064】
図7は、携帯端末5における雨雲表示画面の一例である。第1実施形態では、雨雲は、高度2km以上の範囲で表示される。描画ブロックの降水指標のレベル1〜5それぞれには、異なる色が対応付けられている。例えば、降水指標1には水色、降水指標2には青色、降水指標3には黄色、降水指標4には橙色、降水指標5には赤色が割り当てられる。
【0065】
雨雲は、表示画面の視点方向の奥行きにかかわらず、降水指標の小さい描画ブロック(降水指標1)から順に描画され、反射強度の大きい描画ブロック(降水指標5)が最後に描画される。これによって、反射強度の大きい、すなわち、強い雨を降らせる雨雲の位置をユーザに視認させることができる。なお、描画ブロックの降水指標のレベルの区別表示は、色分けに限定されず、例えば、濃淡、透明度の違いで区別して表示させてもよい。描画ブロックの降水指標のレベルを濃淡で区別する場合には、反射強度が大きいほど濃くなるように表示される。描画ブロックの降水指標のレベルを透明度で区別する場合には、降水指標が大きいほど濃くなるように表示される。
【0066】
雨雲は、周縁部分からコア部分に向かって降水指標が大きくなるという特性を持つ。降水指標の小さい描画ブロックから描画することで、雨雲の周縁部分からコア部分に向かって描画されることになる。
【0067】
また、第1実施形態では、雨雲までの地上から2km圏内に相当する範囲に、雨雲の強さに応じた降雨状態を示す降雨のアニメーションが表示される。降雨のアニメーションは、例えば、降雨のアニメーションを表示するためのプログラムによって表示される。降雨のアニメーション表示用のプログラムは、例えば、クライアント用アプリケーションプログラムの一部であり、携帯端末5の不揮発性メモリ502Cに格納されている。
【0068】
例えば、降雨のアニメーションは、描画ブロックのサイズ(1km四方)ごとに表示される。例えば、降雨のアニメーションの降雨状態は、地上からの高度2km以上3km未満に含まれる、描画ブロックの降水指標の最大値に基づいて、決定される。
【0069】
降雨のアニメーションは、降水指標が大きくなるほど、降雨を示すラインの本数が多くなるように描画される。また、降雨のアニメーションの速度は、降水指標が大きくなるほど早くなるように、計算され、変化させられる。降雨のアニメーションの速度とは、アニメーションの再生速度のことである。また、降雨のアニメーションは、降雨のラインをランダムに傾けることで、実際の降雨状態に近づけられている。
【0070】
画面下方のバーB1及びポインタP1は、視点移動に用いられる。ポインタP1をバーB1上で移動させることで、画面に対して雨雲表示の中心点を中心にポインタP1の移動方向に回転するように、視点を移動させることができる。視点の移動は、ポインタP1、バーB1を用いる以外にも、タッチパネル503に指を接触させて移動させたり(スワイプ)、2本の指を広げたり狭めたり(ピンチアウト/ピンチイン)することでも可能である。
【0071】
例えば、ポインタP1が操作されることによって、操作内容が操作受付部51から表示処理部55に通知される。表示処理部55は、ポインタP1の移動に応じて視点を移動させた雨雲の表示画面を生成する。
【0072】
画面最下方のバーB2とポインタP2は、所定の範囲内での時間変化に用いられる。例えば、図7に示される例では、バーB2は、例えば、10分前から現在時刻までの範囲を示し、バーB2上でポインタP2の位置を調整することで、バーB2上のポインタP2の位置に応じたユーザ所望の時刻の雨雲が表示される。また、再生ボタン80が選択されることで、バーB2上のポインタP2の位置に応じた時刻から現在時刻までの、雨雲の時間変化が再生される。ただし、雨雲表示画面内の「現在時刻」とは、例えば、雨雲表示画面の3次元雨雲情報の取得要求が送信された時刻である。
【0073】
例えば、ポインタP2が操作されることによって、表示処理部55は、バーB2上のポインタP2の位置に応じた時刻の雨雲の表示画面を生成する。なお、バーB2に相当する時刻範囲内の3次元雨雲情報は、雨雲表示画面の作成時にフロントサーバ3から取得されている。
【0074】
画面右上のボタン70は、雨雲の層の表示を切り替えるボタンである。図7に示される例では、ボタン70は、「約5分に降る層」、「約10分後に降る層」、「約15分後に降る層」の、雨雲表示画面内の「現在時刻」からの経過時間を選択する3つの選択ボタンを含む。選択された層は、例えば、ハイライト表示され、選択された層以外は非表示又は透明度が高くされ、該当する高度の層を目立たせて描画される。「閉じる」を選択することで、全ての雨雲の層が表示される初期状態に戻る。
【0075】
「5分後に降る層」が選択された場合は、例えば、地上から高度2km以上3.6km未満の層が強調表示される。「10分後に降る層」が選択された場合は、例えば、地上から高度3.6km以上5.4km未満の層が強調表示される。「15分後に降る層」が選択された場合は、例えば、地上から高度5.4km以上7.2km未満の層が強調表示される。なお、「5分後に降る層」、「10分後に降る層」、「15分後に降る層」それぞれが指定された場合に表示される雨雲の層は、上記に限定されない。例えば、降水指標の他に降雨速度を速める又は遅くさせる要因が存在する場合には、それぞれの層の高度の範囲を、α分マイナス又はプラス方向にシフトさせてもよい。例えば、降雨速度を速める要因が存在する場合には、「5分後に降る層」は高度2−αkm以上3.6−αkm未満の
層、「10分後に降る層」は高度3.6−αkm以上5.4−αkm未満の層、「15分後に降る層」は高度5.4−αkm以上7.2−αkm未満の層が強調表示される。
【0076】
フェーズドアレイ気象レーダは、例えば、10秒から30秒ごとに観測データを取得することができるので、雲の高度に応じて、何分後に降る層であるか細かく表示することができる。これによって、ユーザの豪雨に対する注意を喚起することができる。
【0077】
ボタン70、ボタン80、バーB1、バーB2、ポインタP1、ポインタP2は、雨雲の表示画面のテンプレートに含まれている。表示画面のテンプレートは、表示データ格納部56に格納されている。
【0078】
図8は、携帯端末5における雨雲の表示画面生成処理の一例を示す図である。図8に示される処理は、例えば、携帯端末5において、クライアント用アプリケーションプログラムが起動された時、図7に示されるポインタP1、又は、ポインタP2が操作された時、等に開始される。より具体的には、図8に示される処理は、操作受付部51から表示処理部55に、操作内容が入力された時に開始される。図8に示される処理の実行主体は、クライアント用アプリケーションプログラムを実行する携帯端末5のCPU 501であるが、便宜上、機能構成要素である表示処理部55を主体として説明される。
【0079】
OP1では、表示処理部55は、3次元雨雲描画情報を表示データ格納部56から読み出す。例えば、クライアント用アプリケーションプログラムの起動時には、表示処理部53は、雨雲表示画面内の「現在時刻」に相当する時刻の3次元雨雲描画情報を読み出す。例えば、図7のポインタP2が操作された場合には、表示処理部53は、バーB2上のポインタP2の位置に相当する時刻の3次元雨雲描画情報を読み出す。
【0080】
OP2では、表示処理部55は、降水指標nの雲を最前面に描画する。降水指標が0(Null)の描画ブロックについては、描画対象とならない。すなわち、図8において“雲”とは、降水指標が1以上の描画ブロックのことである。変数nは降水指標のレベルを示す変数である。変数nの初期値は1である。変数nは、1から5までの値をとる正の整数である。
【0081】
OP3では、表示処理部55は、変数nが5以上であるか否かを判定する。変数nが5未満である場合には(OP3:NO)、処理がOP4に進む。変数nが5以上である場合には(OP3:YES)、雨雲の描画が終了し、処理がOP5に進む。
【0082】
OP4では、変数nが5未満であるので、表示処理部55は、変数nを1加算した値に更新する。その後、処理がOP2に進み、降水指標nの描画ブロックが描画される。
【0083】
OP5では、表示処理部55は、地上から高度2km以上3km未満の雲の降水指標を抽出する。例えば、表示処理部55は、描画ブロックごとに、抽出した雲の降水指標の最大値を算出する。
【0084】
OP6では、表示処理部55は、雲の降水指標から降雨のアニメーションの速度を算出する。例えば、表示処理部55は、描画ブロックごとに、抽出した雲の降水指標の最大値に応じて、降雨のアニメーションの速度を算出する。
【0085】
OP7では、表示処理部55は、降雨のアニメーションを描画する。OP8では、表示処理部55は、テンプレートと描画した雨雲の画像データとを合成して、雨雲の表示画面データを生成する。OP9では、表示処理部55は、グラフィックメモリに生成した雨雲の表示画面データを書き込む。グラフィックメモリに書き込まれた雨雲の表示画面データ
は、ディスプレイ504に表示される。その後、図8に示される処理が終了する。
【0086】
図9は、携帯端末5における雨雲の表示切替画面の生成処理の一例を示す図である。図9に示される処理は、例えば、携帯端末5の雨雲表示画面(図7参照)において、表示切替ボタン70が選択された場合に開始される。より具体的には、図9に示される処理は、操作受付部51から表示処理部55に、操作内容として、表示切替ボタン70の選択内容が入力された場合に開始される。図9に示される処理の実行主体は、クライアント用アプリケーションプログラムを実行する携帯端末5のCPU 501であるが、便宜上、機能構成要素である表示処理部55を主体として説明される。
【0087】
OP11では、表示処理部55は、表示選択ボタン70の選択された内容を解析する。「約5分後に降る層」が選択された場合には、処理がOP12に進む。「約10分後に降る層」が選択された場合には、処理がOP13に進む。「約15分後に降る層」が選択された場合には、処理がOP14に進む。「閉じる」が選択された場合には、図9に示される処理が終了する。「閉じる」が選択された場合には、例えば、ハイライト表示が終了されてもよい。
【0088】
OP12では、「約5分後に降る層」が選択されたので、表示処理部55は、地上から2km以上3.6km未満に含まれる雲をハイライト表示する。その後、処理がOP11に進む。
【0089】
OP13では、「約10分後に降る層」が選択されたので、表示処理部55は、地上から3.6km以上5.4km未満に含まれる雲をハイライト表示する。その後、処理がOP11に進む。
【0090】
OP14では、「約15分後に降る層」が選択されたので、表示処理部55は、地上から5.4km以上7.2km未満に含まれる雲をハイライト表示する。その後、処理がOP11に進む。
【0091】
図10図11図12は、それぞれ、表示切替ボタンの選択時の雨雲の表示画面の一例である。図10は、「約5分後に降る層」が選択されている場合の雨雲の表示画面の一例である。図10に示される例では、地上から2km以上3.6km未満に含まれる雲がハイライト表示され、それ以外の雲は、透明度が高く表示されている。
【0092】
図11は、「約10分後に降る層」が選択されている場合の雨雲の表示画面の一例である。図11に示される例では、地上から3.6km以上5.4km未満に含まれる雲がハイライト表示され、それ以外の雲は、透明度が高く表示されている。
【0093】
図12は、「約15分後に降る層」が選択されている場合の雨雲の表示画面の一例である。図12に示される例では、地上から5.4km以上7.2km未満に含まれる雲がハイライト表示され、それ以外の雲は、透明度が高く表示されている。
【0094】
第1実施形態では、5分後、10分後、15分後、に降る層を強調表示可能な例について説明された。第1実施形態において、雨雲の表示範囲(高度)は、地上から高度2kmから14kmであるので、例えば、20分後、25分後に降る層を表示させることも可能である。また、より細かく、例えば、1分置き、3分置き、に降る層を表示させることも可能である。
【0095】
<豪雨予測情報の通知に関する処理>
図13は、第1実施形態に係る3次元雨雲情報提供システム100における豪雨予測情
報の通知を行う範囲の一例を示す図である。上述の通り、第1実施形態に係る3次元雨雲情報提供システム100では、フェーズドアレイ気象レーダの観測範囲のうち、例えば、水平方向80km四方を雨雲の表示対象範囲とする。豪雨予測情報の通知の単位は、例えば、雨雲の表示対象範囲を64分割した、10km四方のブロックである。豪雨予測情報の通知の単位であるブロックを、以降、通知ブロックと称する。64個の通知ブロックには、通し番号で識別番号が割り振られている。なお、雨雲の表示対象範囲は水平方向80km四方に限定されない。また、通知ブロックのサイズは、雨雲の表示対象範囲を64分割したサイズ、又は、10km四方に限定されない。
【0096】
例えば、豪雨判定を行う単位は、通知ブロックをさらに分割した、500m四方のブロックである。豪雨判定を行う単位であるブロックを、以降、判定ブロックと称する。第1実施形態では、1つの通知ブロックには、400個の判定ブロックが含まれている。通知ブロックに含まれる判定ブロックのうち1つでも豪雨が予測された場合には、当該通知ブロック内の携帯端末5に豪雨予測情報の通知が行われる。なお、判定ブロックのサイズは、500m四方に限定されない。
【0097】
図14は、携帯端末5における豪雨予測情報の通知の設定画面の一例である。図14に示される豪雨予測情報の通知の設定画面には、通知設定、通知時間、通知後の再通知設定の項目が含まれている。
【0098】
通知設定の項目は、豪雨予測情報の有効/無効の設定の項目である。図14に示される「現在地の強い雨を通知」のメッセージの横に配置されるボタンの状態は、豪雨予測情報の有効設定を示す。
【0099】
通知時間の項目は、豪雨予測情報の通知が行われる時間を設定する項目である。図14に示される例では、「常に通知」と「時間を指定」との項目が含まれている。「常に通知」が選択されている場合には、豪雨予測情報の通知が常に有効である。「時間を指定」が選択されている場合には、指定された時間の範囲内において、豪雨予測情報の通知が有効である。
【0100】
通知後の再通知設定の項目は、豪雨予測情報の通知が一度行われてから、豪雨予測情報の通知が無効とされる時間を設定する項目である。例えば、豪雨判定は、フェーズドアレイ気象レーダの観測時間と同じ周期、すなわち、30秒ごとに行われる。30秒ごとに豪雨予測情報の通知が行われると、ユーザにとってわずらわしくもある。また、30秒でユーザが現在位置する通知ブロック(例えば、10km四方)から別のブロックに移動することは考えがたい。そのため、1度豪雨予測情報の通知を受けてから指定時間の間は再度通知を受けないようにするために、通知後の再通知設定の項目が用意されている。
【0101】
通知後の再通知までの時間は、例えば、30分、1時間、3時間、12時間、から選択可能である。
【0102】
図14に示される豪雨予測情報の通知の設定画面において、ユーザ操作によって、設定が変更されると、携帯端末5の端末情報送信部54からフロントサーバ3に端末情報の登録要求が送信される。送信される端末情報には、端末識別情報と、通知設定、通知時間、通知後の再通知設定のうちの設定変更された情報が含まれている。
【0103】
図15は、端末情報テーブルの一例である。端末情報テーブルは、3次元雨雲情報提供システム100のサービスを受けている携帯端末5の端末情報を格納するテーブルである。端末情報テーブルは、3次元雨雲情報データベース4に格納されている。端末情報テーブルに含まれる情報は、携帯端末5からフロントサーバ3に、端末情報として通知された
情報である。端末情報テーブルへの情報の登録は、フロントサーバ3の端末情報登録部32によって行われる。
【0104】
端末情報テーブルは、例えば、端末識別情報、現在位置、通知設定、通知時間、再通知間隔、最終送信日時、等の項目を含む。端末識別情報は、例えば、プッシュ配信に用いられる、プッシュ配信サーバから携帯端末5に対して発行される個体識別情報である。
【0105】
現在位置の項目には、例えば、携帯端末5が現在位置する緯度及び経度が格納される。携帯端末5が現在位置する緯度及び経度は、例えば、GPSによって測位され、携帯端末5から位置情報としてフロントサーバ3に通知され、フロントサーバ3によって端末情報テーブルに登録される。
【0106】
通知設定の項目は、豪雨予測情報の通知の有効又は無効の設定を示す項目である。通知設定の項目には、例えば、端末情報に豪雨予測情報の通知の有効が含まれている場合には、ONが入力される。また、通知項目の設定には、例えば、豪雨予測情報の通知の無効が含まれている場合には、OFFが設定される。
【0107】
通知時間の項目には、豪雨予測情報の通知が有効に設定されている場合の、豪雨予測情報の通知時間が格納される。再通知間隔の項目には、豪雨予測情報の再通知設定の時間が格納される。
【0108】
最終送信日時の項目は、豪雨予測情報が最後に通知された日時が格納される。豪雨予測情報がまだ通知されていない端末については、最終送信日時の項目は空となる。
【0109】
豪雨予測情報の通知対象の通知ブロックに位置し、通知設定がONであり、現在時刻が通知時間内であり、且つ、最終送信日時から再通知間隔の時間以上経過している端末が、豪雨予測情報の通知対象となる。豪雨予測情報の通知対象の通知ブロックに位置する端末であっても、最終送信日時から再通知設定の時間以上の時間が経過していない端末については、豪雨予測情報の通知対象の端末とはならない。
【0110】
図16は、データ処理サーバ1の豪雨判定部13の豪雨判定処理のフローチャートの一例である。豪雨判定処理では、地上からの高度2km面の降水強度が30mm/h以上である判定ブロックを1つでも含む通知ブロックが豪雨判定される。豪雨判定処理13は、豪雨判定処理で豪雨判定された通知ブロックを、豪雨が予測されるブロックとして抽出し、データ受信サーバ2に通知する。
【0111】
豪雨判定条件を地上からの高度2km面の降水強度が30mm/h以上とするのは、観測から5分後に豪雨が発生する可能性が高いためである。また、高度2km以上の高度における雨粒は、風の影響を受けやすく、そのままの位置で地上に落ちてくる可能性が低いためである。
【0112】
図16に示される処理は、フェーズドアレイ気象レーダの観測データが取得されると開始される。また、図16に示される処理の実行主体は、データ処理サーバ1のCPU 101であるが、便宜上、機能構成である豪雨判定部13を主体として説明する。
【0113】
OP31では、豪雨判定部13に、フェーズドアレイ気象レーダの観測データが、観測データ取得部11から入力される。
【0114】
OP32からOP35の処理は、各通知ブロックについて実施される。OP32では、豪雨判定部13は、処理対象の通知ブロックに含まれる判定ブロックを1つ選択する。
【0115】
OP33では、豪雨判定部13は、選択した判定ブロックの、地上から高度2km面の降水強度が30mm/h以上であるか否かを判定する。降水強度は、観測データに含まれる反射強度から求められる。そのため、例えば、豪雨判定部13は、判定ブロックの地上から高度2km面の降水強度を、当該判定ブロックに含まれる観測データの地上から高度2km面の降水強度の平均値として求める。
【0116】
選択した判定ブロックにおける地上から高度2km面の降水強度が30mm/h以上である場合には(OP33:YES)、処理がOP34に進む。選択した判定ブロックにおける地上から高度2km面の降水強度が30mm/h未満である場合には(OP33:NO)、処理がOP35に進む。
【0117】
OP34では、豪雨判定部13は、選択した判定ブロックにおける豪雨を予測するとともに、処理対象の通知ブロックを豪雨予測ブロックに追加する。その後、次の通知ブロックについて、OP32からの処理が実行される。全ての通知ブロックについて、OP32〜OP35の処理が終了した場合には、処理がOP36に進む。
【0118】
OP35では、豪雨判定部13は、処理対象の通知ブロック内の未処理の判定ブロックの有無を判定する。処理対象の通知ブロック内の未処理の判定ブロックがある場合には(OP35:YES)、処理がOP32に進み、次の判定ブロックについて処理が行われる。処理対象の通知ブロック内の未処理の判定ブロックがない場合には(OP35:NO)、次の通知ブロックについてOP32からの処理が実行される。全ての通知ブロックについて、OP32〜OP35の処理が終了した場合には、処理がOP36に進む。
【0119】
OP36では、豪雨判定部13は、豪雨予測ブロックとして抽出された通知ブロックをデータ受信サーバに通知する。その後、図16に示される処理が終了する。
【0120】
高度2km面の降水強度が30mm/h以上という豪雨判定条件は、約5分後に地上で降雨が始まることを想定した値であって、豪雨判定条件は、これに限定されない。降雨開始のどれくらい前にユーザに通知するかによって、豪雨判定条件は変更されてよい。また、豪雨判定条件は、風速等の降雨速度に影響を及ぼす要因に応じて、所定の範囲内で可変してもよい。
【0121】
図17は、データ受信サーバ2の豪雨予測情報の通知処理の一例を示す図である。図17に示される処理は、データ受信サーバ2がデータ処理サーバ1から、豪雨予測ブロックの通知を受信すると開始される。図17に示される処理の実行主体は、データ受信サーバ2のCPUであるが、便宜上、機能構成要素である警報情報受信部22を主体として説明する。
【0122】
OP41では、警報情報受信部22は、データ処理サーバ1から、豪雨予測ブロックの通知を受信する。
【0123】
OP42では、警報情報受信部22は、以下の条件をすべて満たす携帯端末5の端末情報を3次元雨雲情報データベース4の端末情報テーブルから抽出する。抽出される携帯端末5の条件は、例えば、現在位置が豪雨予測ブロック内であること、通知設定がONであること、現在時刻が通知時間内であること、最終送信日時から再通知間隔以上の時間が経過していること、である。
【0124】
携帯端末5の現在位置が豪雨予測ブロック内であるか否かは、例えば、携帯端末5の現在位置の経度及び緯度が、豪雨予測ブロックの範囲内であるか否かを判定することで判定
される。
【0125】
OP43では、警報情報受信部22は、OP42で抽出した携帯端末5へのプッシュ通知をプッシュ配信部23に指示する。プッシュ配信部23には、プッシュ通知の対象の携帯端末5の端末識別情報も通知される。また、警報情報受信部22は、端末情報テーブルの最終送信日時の項目に、プッシュ通知の時刻を格納する。
【0126】
図18は、携帯端末5の豪雨予測情報のプッシュ通知画面の一例である。携帯端末5の豪雨予測情報のプッシュ通知画面には、例えば、注意を喚起するメッセージが表示される。注意を喚起するメッセージは、図18に示される例では、「現在地の上空で大量の雨粒を観測。豪雨の可能性がありますので、3D雨雲ウォッチで雲の中の雨粒の動きをご確認ください。」等である。
【0127】
また、豪雨予測情報のプッシュ通知画面には、「表示」ボタンと「閉じる」ボタンとが含まれている。ユーザが「表示」ボタンを選択すると、例えば、図7に示されるような雨雲表示画面が表示される。ユーザが「閉じる」ボタンを選択すると、例えば、豪雨予測情報のプッシュ通知画面が閉じられる。
【0128】
<第1実施形態の作用効果>
第1実施形態では、雨雲の高度と地上で降水開始するまでの時間との関係を利用して、現在時刻からの経過時間と、雨雲の層の高度の範囲とを対応付け、指定された経過時間に対応する層の雨雲を強調表示する。これによって、どの層の雨雲がどれくらい後に降ってくるのかをユーザに視認させることができる。
【0129】
また、雨雲は3次元表示されており、降水指標毎に区別して表示されている。これによって、何分後にどのくらいの強さの雨が降ってくるのかをユーザに視認させることができる。これによって、雨の強度を事前に知ることができるので、ユーザは避難行動をとるための時間を十分に持つことができる。
【0130】
また、第1実施形態では、携帯端末5の雨雲表示画面において、地上から雨雲までの領域に降雨アニメーションが表示される。降雨アニメーションは、上空の雨雲の降水指標に応じて、再生速度、降雨を示すラインが決定される。これによって、雨雲による雨の強さが強いほど降雨アニメーションも激しい雨を表示することになり、ユーザに対して、視覚的に雨雲による雨の強さを認識させることができる。
【0131】
また、フェーズドアレイ気象レーダの観測時間は、例えば、10秒から30秒である。従来型の気象レーダの観測時間は5分程度であるため、フェーズドアレイ気象レーダの観測時間は従来型の気象レーダよりも短い。したがって、例えば、フェーズドアレイ気象レーダの観測データを用いることによって、10秒から30秒ごとに、3次元で、降雨予測する雨雲の層を表示することができる。これによって、例えば、5分後、10分後、15分後に降雨が予測される雨雲の層を、10秒から30秒間隔で表示することができる。
【0132】
第1実施形態では、豪雨判定処理の一つとして、高度2km面での判定ブロックの降水強度が30mm/h以上である場合に、当該判定ブロックを含む通知ブロック内の携帯端末5に、豪雨予測情報の通知が行われる。これによって、例えば、豪雨が発生する2分から10分前までに豪雨のアラームをユーザに通知することができ、豪雨に対する対策をとる時間をユーザに与えることができる。
【0133】
<その他>
上記実施形態は、以下の付記を含む。
(付記1)
フェーズドアレイ気象レーダの観測データに基づく、緯度方向、経度方向、及び、高度方向の位置情報と、前記位置情報に該当する雲の特性とを含む3次元描画情報を受信する受信部と、
前記3次元描画情報に基づいて、前記フェーズドアレイ気象レーダの観測範囲内の雲を描画する表示処理部と、
現在時刻からの経過時間の指定を受け付ける受付部とを備え、
前記表示処理部は、前記受け付けた経過時間後の降雨の対象として推定される、所定の高度の範囲に含まれる雲を表示する、
情報処理端末。
(付記2)
前記表示処理部は、前記受け付けた経過時間が長ければ長いほど、より高度の高い範囲の雲を表示する、
付記1に記載の情報処理端末。
(付記3)
前記表示処理部は、約5分後の指定が受け付けられた場合に、高度2.0km以上3.6km未満の雲を表示し、約10分後の指定が受け付けられた場合に、高度3.6km以上5.4km未満の雲を表示し、約15分後の指定が受け付けられた場合に、高度5.4km以上7.2km未満の雲を表示する、
付記1又は2に記載の情報処理端末。
(付記4)
前記雲の特性は、前記フェーズドアレイ気象レーダの観測データに含まれる反射強度に応じて複数のレベルで表現され、
前記表示処理部は、前記雲の特性のレベルそれぞれについて異なる表示方法を用い、奥行き方向における位置にかかわらず、前記雲の特性のレベルが小さい雲から描画して、前記雲の特性のレベルが大きい雲が最前面に表示されるように、雲を描画する、
付記1から3のいずれか一つに記載の情報処理端末。
(付記5)
前記表示処理部は、周縁部分からコア部分の順で雲を描画して、雲のコア部分が最前面に表示されるように、雲を描画する、
付記1から3のいずれか一つに記載の情報処理端末。
(付記6)
前記表示処理部は、第1の高度以上の高度の雲を描画し、地上から前記第1の高度未満の領域に、前記雲の特性に応じた降雨アニメーションを表示する、
付記1から5のいずれか一つに記載の情報処理端末。
(付記7)
前記雲の特性は、前記フェーズドアレイ気象レーダの観測データに含まれる反射強度に応じて複数のレベルで表現され、
前記表示処理部は、前記雲の特性のレベルに応じて、前記降雨アニメーションの再生速度を決定する、
付記6に記載の情報処理端末。
(付記8)
前記表示処理部は、前記雲の特性のレベルに応じて、前記降雨アニメーションに含まれる降雨を示すラインの本数を決定する、
付記6又は7に記載の情報処理端末。
(付記9)
フェーズドアレイ気象レーダの観測データに基づく、緯度方向、経度方向、及び、高度方向の位置情報と、前記位置情報に該当する雲の特性とを含む3次元描画情報を受信し、
前記3次元描画情報に基づいて、前記フェーズドアレイ気象レーダの観測範囲内の雲を描画し、
現在時刻からの経過時間の指定を受け付け、
前記受け付けられた経過時間後の降雨の対象として推定される、所定の高度の範囲に含まれる雲を表示する、
情報処理方法。
(付記10)
コンピュータに、
フェーズドアレイ気象レーダの観測データに基づく、緯度方向、経度方向、及び、高度方向の位置情報と、前記位置情報に該当する雲の特性とを含む3次元描画情報を受信させ、
前記3次元描画情報に基づいて、前記フェーズドアレイ気象レーダの観測範囲内の雲を描画させ、
現在時刻からの経過時間の指定を受け付けさせ、
前記受け付けられた経過時間後の降雨の対象として推定される、所定の高度の範囲に含まれる雲を表示させる、
ための情報処理プログラム。
(付記11)
フェーズドアレイ気象レーダの観測データを取得する取得部と、
前記観測データに基づいて、前記フェーズドアレイ気象レーダの地理上の観測範囲を所定サイズに分割した複数の地理ブロックのうち、少なくとも一部が所定の高度面で降水強度が第1の閾値以上となる地理ブロックを抽出する判定部と、
抽出された地理ブロック内に存在する端末に、豪雨の発生予測を通知する通知部と、
を備える情報処理システム。
(付記12)
前記判定部は、少なくとも一部が高度2km面で降水強度が30mm/h以上となる地理ブロックを抽出する、
付記11に記載の情報処理システム。
【符号の説明】
【0134】
1 データ処理サーバ
2 データ受信サーバ
3 フロントサーバ
4 3次元雨雲情報データベース
5 携帯端末
6 フェーズドアレイ気象レーダストレージ
11 観測データ取得部
12 表示データ作成部
13 豪雨判定部
21 表示データ受信部
22 警報情報受信部
23 プッシュ配信部
31 表示データ取得部
32 端末情報登録部
51 操作受付部
52 プッシュ配信受付部
53 グラフィックデータ取得部
54 端末情報送信部
55 表示処理部
56 表示データ格納部
101、501 CPU
102 主記憶装置
103 補助記憶装置
502 記憶部
502A ROM
502B RAM
502C 不揮発性メモリ
503 タッチパネル
504 ディスプレイ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
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図18