(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記変更手段は、前記互いに異なる複数の表示態様を実現する複数のルックアップテーブルを備え、前記部分領域の表示に適用する前記ルックアップテーブルを前記分析結果に応じて切り替えることによって、前記部分領域に関する表示態様を変更する、
請求項1に記載の画像表示制御装置。
前記変更手段は、前記分析結果が所定の条件を満たす場合、前記部分領域に表示されている第一の前記背景画像を、輝度あるいは色調を示す値が前記第一の背景画像と所定の値以上異なる、第二の前記背景画像に変更する、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像表示制御装置。
前記変更手段は、外部から、前記コンテンツ画像の視認性を低下させる指示を入力された場合、前記第一の背景画像を、輝度あるいは色調を示す値に関して、前記コンテンツ画像との差分が所定の値以下である、第三の前記背景画像に変更する、
請求項4に記載の画像表示制御装置。
前記分析手段は、輝度あるいは色調を示す値に関して、前記コンテンツ画像と類似する、前記背景画像に含まれる画素の数と、前記部分領域に含まれる画素の数との比率を算出し、
前記変更手段は、前記分析手段によって算出された前記比率に応じて、前記部分領域に関する表示態様を変更する、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の画像表示制御装置。
【背景技術】
【0002】
コンピュータにおける表示画面において、自然画像等を背景画像(例えば壁紙等)に設定して文字や図形やアイコン等のコンテンツ画像を表示すること、あるいは、テレビ等の映像にコンテンツ画像を重畳表示することは、一般的によく行なわれている。このような場合に、背景画像とコンテンツ画像との間で、輝度あるいは色調が類似することによって、コンテンツ画像に対する視認性が著しく低下する場合がある。このような視認性の低下は、背景画像とコンテンツ画像との関係によってランダムに発生するので、発生を予測することは困難である。また、このような視認性の低下を回避するために、例えばOS(Operating System)による制御によって全画面の文字色を変更したり、影付き文字や枠付き文字等を多用したりした場合、ユーザの手間あるいはCPU(Central Processing Unit)負荷が増加することになる。したがって、このような視認性の低下を効率的に回避できるようにするための技術が期待されている。
【0003】
このような技術に関連する技術として、特許文献1には、文字等を画像に重畳表示させた場合に、視認性を向上させるようにした画像処理装置が開示されている。この装置は、位置情報検出部と、設定部と、コントラスト検出部と、受付部と、補正部とを備えている。位置情報検出部は、画像表示装置の表示画面に接触する物体の位置情報を検出する。設定部は、位置情報に基づいて、画像表示装置に表示される画像内の指定領域を抽出する。コントラスト検出部は、指定領域の画像データに基づいて、指定領域のコントラストを検出する。受付部は、指定領域に表示する表示体の入力を受け付ける。補正部は、コントラストの度合いに応じて、表示体が表示される指定領域内の表示態様を補正する。
【0004】
また、特許文献2には、OSD(On Screen Display)等の描画データを画像データと合成して表示する場合に、描画データのデータ量を増やすことなく、表示色を増加させるようにした画像表示装置が開示されている。この装置は、複数の色変換情報を保持し、入力された描画データに基づいて、前記描画データに適用する描画データの画素の色変換を行うための色変換情報を同一表示画面内で変更し、その色変換情報を用いて変換した描画データと入力された画像へ合成して表示する。
【0005】
また、特許文献3には、表示する画像の画像構成要素の判別性を向上させるようにした画像表示装置が開示されている。この装置(例えばプロジェクタ)は、投写画像に重畳して、入力機構により移動させることが可能なポインタ画像を表示する。この際ユーザは、そのポインタ画像を移動させて、画像の任意の位置の指定を行う。この装置は、指定された位置の画素の階調値を取得する。そして、この装置は、画像の入力信号が表す階調値のうち、取得した階調値に対して所定の範囲にある階調値を、ルックアップテーブル回路を用いて変換して、当該変換後の階調値が表す画像と、変換前の階調値が表す画像とを交互に表示(ブリンク表示)する。
【0006】
また、特許文献4には、高精細な文字を表示する場合において、視認性の良い文字を表示することができるようにした表示装置が開示されている。この装置は、文字情報を取得し、取得した文字情報に基づいて文字画像を取得する。この装置は、文字画像と背景画像とのうちの少なくとも一方の明るさレベルを、表示部のスペクトル特性に基づいて算出する。この装置は、算出した明るさレベルに基づいて中間階調情報を生成する。そしてこの装置は、文字画像、背景画像、及び、生成した中間階調情報に基づいて、多階調文字を表示する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本願発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
<第1の実施形態>
図1は、本願発明の第1の実施の形態に係る画像表示制御装置10の構成を概念的に示すブロック図である。画像表示制御装置10は、例えばサーバ装置等の情報処理装置の一部として構成され、当該情報処理装置が情報を表示する表示装置25に対する画像表示処理を制御する装置である。但し、表示装置25は、例えばディスプレイ装置等のデバイスである。
【0017】
画像表示制御装置10は、表示装置25に加えて、画像格納メモリ21と、主記憶メモリ22と、入力装置23との間において、情報(データ)を入出力する。入力装置23は、画像表示制御装置10に対して、ユーザが情報を入力可能なデバイスであり、例えば、マウス、キーボード、あるいはタッチパネルなどである。
【0018】
主記憶メモリ22は、画像表示制御装置10を含む情報処理装置が備えるメモリであり、コンテンツ画像情報221、及び、背景画像情報222を記憶している。当該情報処理装置は、背景画像情報222が示す背景画像に、コンテンツ画像情報221が示すコンテンツ画像を合成した画像を、表示装置25における表示画面24に表示する。但し、コンテンツ画像は、例えば、文字、図形、アイコン等である。画像格納メモリ21は、例えば当該情報処理装置が備えるVRAM(Video Random Access Memory)であり、画素データ210を記憶している。画素データ210は、背景画像にコンテンツ画像を合成した、表示画面24に表示する画像(表示画像)の輝度あるいは色調を、表示画面24における画素ごとに表したデータである。画素データ210は、例えば表示画像の左上から右下方向に向かって走査する表示同期信号によって要求されるタイミングに、画素ごとの輝度あるいは色調のシーケンシャルデータとして、画像格納メモリ21から画像表示制御装置10へ入力される。
【0019】
画像表示制御装置10は、取得部11、分析部12、変更部13、及び、表示I/F(インタフェース:Interface)部14を備える。
【0020】
図2は、本実施形態に係る取得部11の構成を概念的に示すブロック図である。取得部11は、レジスタ111、ビデオカウンタ112、及び、部分領域判定部113を含んでいる。取得部11は、ユーザが入力装置23を使用して入力した領域情報110を取得し、取得した領域情報110を、レジスタ111に格納する。領域情報110は、
図1に示す表示画面24において、例えば背景画像とコンテンツ画像との間で、輝度(階調)あるいは色調が類似することによって視認性の低下が発生している部分領域240を表す情報である。部分領域240は、例えば、ユーザによって座標が入力された左上の頂点及び右下の頂点により特定される矩形の領域である。部分領域240は、あるいはまた、ユーザによって入力された曲線に囲まれる領域等でもよい。
【0021】
図2に示すビデオカウンタ112は、画素ごとの輝度あるいは色調を示すシーケンシャルデータとして入力される画素データ210が示す各画素に関する、表示画面24における座標を示し、その座標を部分領域判定部113へ入力する。部分領域判定部113は、ビデオカウンタ112から入力された座標により特定される画素が、レジスタ111に格納されている領域情報110が示す部分領域240に含まれるか否かを判定し、その判定結果を、分析部12及び変更部13へ通知する。
【0022】
図3は、本実施形態に係る分析部12の構成を概念的に示すブロック図である。分析部12は、レジスタ121乃至123、論理積回路124、比較回路125、及び、視認性判定部126を含んでいる。分析部12は、
図1に示す主記憶メモリ22に記憶されたコンテンツ画像情報221に含まれるコンテンツ画像輝度情報1210を取得して、取得したコンテンツ画像輝度情報1210を、レジスタ121に格納する。コンテンツ画像輝度情報1210は、コンテンツ画像の輝度あるいは色調の特徴を示す値(特徴値)である。例えば当該コンテンツ画像の輝度が単一である場合、輝度の特徴値は、その単一の値となる。あるいはまた、当該コンテンツ画像の輝度が単一でない場合、輝度の特徴値は、複数の値を含んでもよい。分析部12は、コンテンツ画像輝度情報1210を、変更部13に通知する。
【0023】
レジスタ122には、例えばユーザによって、類似階調幅設定情報1220が事前に格納されている。類似階調幅設定情報1220は、例えばコンテンツ画像輝度情報1210が特徴値として複数の値を示す(即ち、階調幅あるいは色調幅を有する)場合において、分析部12が分析対象とする階調幅あるいは色調幅を、所定の範囲に限定するためのマスク情報である。論理積回路124は、コンテンツ画像輝度情報1210と、類似階調幅設定情報1220との論理積を算出する。
【0024】
比較回路125は、画素データ210が示す画素ごとの輝度あるいは色調を、論理積回路124から出力された、コンテンツ画像の輝度あるいは色調の特徴値と比較する。比較回路125は、例えば、画素データ210が示すある画素に関して、当該画素の輝度あるいは色調が、論理積回路124から出力された階調幅あるいは色調幅に含まれている場合、階調あるいは色調がコンテンツ画像と一致していることを視認性判定部126へ通知する。
【0025】
分析部12は、取得部11が取得した領域情報110に基づいて、領域情報110が表す部分領域240に含まれる画素数を求め、求めた画素数を、部分領域内画素数情報1230として、レジスタ123に格納する。
【0026】
視認性判定部126は、類似画素カウンタ1260を含んでいる。類似画素カウンタ1260は、画素データ210が示すある画素に関して、比較回路125から階調あるいは色調がコンテンツ画像と一致していることを通知され、かつ、取得部11から当該画素が部分領域240に含まれていることを通知された場合、カウント値を「1」加算する。視認性判定部126は、画素データ210に含まれる全ての画素に関して、上記処理を完了したのち、レジスタ123に格納した部分領域内画素数情報1230が示す画素数に対する、類似画素カウンタ1260が示す値(画素数)の比率を算出する。
【0027】
視認性判定部126は、算出した比率を、閾値1261と比較する。閾値1261は、例えばユーザによって事前に設定され、視認性判定部126が保持していることとする。視認性判定部126は、算出した比率が閾値1261以上である場合、部分領域240におけるコンテンツ画像に対する視認性の低下の度合いが基準を満たす(即ち、視認性の低下の度合いが大きい)と判定する。視認性判定部126は、この視認性判定結果を変更部13へ通知する。
【0028】
図4は、本実施形態に係る変更部13の構成を概念的に示すブロック図である。変更部13は、メインLUT(ルックアップテーブル:Look Up Table)130−0、n個(nは2以上の整数)のサブLUT130−1乃至130−n、選択制御部131、及び、OS指示部132を含んでいる。尚、本願では以降、メインLUT130−0、及び、サブLUT130−1乃至130−nを、まとめてLUT130と称する場合がある。変更部13は、分析部12から通知された視認性判定結果が、部分領域240におけるコンテンツ画像に対する視認性の低下の度合いが基準を満たすことを示すか否かに応じて、表示画面24に対する画像の表示に関して、異なる制御を行う。
【0029】
まず、分析部12による視認性判定結果が、部分領域240におけるコンテンツ画像に対する視認性の低下の度合いが基準(条件)を満たさない(即ち、視認性の低下の度合いがそれほど大きくない)場合における変更部13の動作について説明する。この場合、変更部13は、サブLUT130−1乃至130−nを使用した制御を行う。
【0030】
メインLUT130−0は、ユーザによって、表示画面24における部分領域240が指定されていない状態(即ち、表示画面24において、コンテンツ画像に対する視認性の低下が発生していない通常の状態)において、表示画面24に画像を表示する際に使用するLUTである。サブLUT130−1乃至130−nは、ユーザによって、表示画面24における部分領域240が指定されている状態(即ち、表示画面24において、コンテンツ画像に対する視認性の低下が発生している状態)において、表示画面24に画像を表示する際に使用するLUTである。但し、LUTは、入力輝度に対する出力輝度の特性(輝度変換特性)を表す、輝度変換の際に用いるテーブルである。
【0031】
図5は、本実施形態に係るLUT130の輝度変換特性を概念的に例示する図である。
図5(a)に示す通り、メインLUT130−0の輝度変換特性は線形である。これに対して、
図5(b)乃至
図5(d)に示す通り、サブLUT130−1乃至130−3の輝度変換特性は非線形である。より詳細には、
図5(b)に示す通り、サブLUT130−1は、入力輝度が「0乃至49」階調の場合に、入力輝度の差(輝度差)を強調して出力する輝度変換特性を有している。即ち、サブLUT130−1に関する入力輝度の基準値は「25」(0乃至49の中間値)である。
図5(c)に示す通り、サブLUT130−2は、入力輝度が「50乃至99」階調の場合に、入力輝度の差を強調して出力する輝度変換特性を有している。即ち、サブLUT130−2に関する入力輝度の基準値は「75」(50乃至99の中間値)である。
図5(d)に示す通り、サブLUT130−3は、入力輝度が「100乃至149」階調の場合に、入力輝度の差を強調して出力する輝度変換特性を有している。即ち、サブLUT130−3に関する入力輝度の基準値は「125」(100乃至149の中間値)である。そして、
図5には例示していないが、本実施形態では、サブLUT130−4以降のサブLUTも同様に、互いに異なる入力輝度の範囲(基準値の近傍)において、入力輝度の差を強調して出力する輝度変換特性を有していることとする。
【0032】
図4に示す選択制御部131は、分析部12から通知されたコンテンツ画像輝度情報1210が示す値を、内包するLUT選択テーブル1310と照合することによって、部分領域240の表示に適用するサブLUT130−i(iは1乃至nの任意の整数)を選択する。
【0033】
図6は、本実施形態に係るLUT選択テーブル1310の構成を例示する図である。
図6に例示する通り、選択制御部131は、コンテンツ画像の輝度(コンテンツ画像輝度情報1210が示す値)が「0乃至49階調」である場合、部分領域240に対する表示に適用するサブLUTとして、入力輝度が「0乃至49」階調の場合に入力輝度の差を強調して出力する輝度変換特性を有する、サブLUT130−1を選択する。選択制御部131は、コンテンツ画像の輝度が「50乃至99」階調である場合、部分領域240に対する表示に適用するサブLUTとして、入力輝度が「50乃至99」階調の場合に入力輝度の差を強調して出力する輝度変換特性を有する、サブLUT130−2を選択する。
【0034】
図4に示す変更部13は、画素データ210に含まれる画素ごとに取得部11から通知された、部分領域240に含まれる画素であるか否かの判定結果に基づいて、当該画素が部分領域240に含まれる場合に、選択制御部131により選択されたサブLUT130―iを用いて、輝度変換を行なう。変更部13は、輝度変換を施した画素データ210を、表示I/F部14を介して表示画面24へ出力する。
【0035】
図7は、本実施形態に係る画像表示制御装置10により、部分領域240に表示した画像の視認性を改善した結果を例示する図である。
図7に示す例では、表示画面24に表示する背景画像の輝度が「125」階調であり、コンテンツ画像である文字「A」の輝度が「105」階調であり、コンテンツ画像である文字「◎」の輝度が「145」階調である。即ち、背景画像の輝度とコンテンツ画像の輝度との差分が小さいので、
図7(a)に示す通り、メインLUT130−0を使用した通常の表示態様では、視認性が悪化している。
【0036】
この場合、ユーザにより
図7に示す画像を含む部分が、部分領域240として指定されることによって、画像表示制御装置10は、部分領域240に対する視認性を改善する処理を行う。
図7に示す例では、コンテンツ画像の輝度が「100乃至149」階調の範囲内にあるので、変更部13は、
図6に例示する通り、サブLUT130−3を使用した輝度変換を行なう。変更部13は、
図7(b)に示す通り、背景画像の輝度を「125」階調に変換し(サブLUT130−3に関する入力輝度の基準値は「125」であるので、この場合、入力された輝度と同じ値に変換される)、文字「A」の輝度を「45」階調に変換し、文字「◎」の輝度を「205」階調に変換する。即ち、変更部13は、背景画像の輝度とコンテンツ画像の輝度との差分を強調するので、
図7(b)に示す通り、視認性が改善される。
【0037】
次に、分析部12による視認性判定結果が、部分領域240におけるコンテンツ画像に対する視認性の低下の度合いが基準(条件)を満たす(即ち、視認性の低下の度合いが大きい)場合における変更部13の動作について説明する。
【0038】
この場合、
図4に示すOS指示部132は、表示画面24に情報を表示するサーバ装置等の情報処理装置により実行されているOSに指示することによって、部分領域240に関する表示態様を変更する制御を行う。即ち、OS指示部132は、OSを介して、表示画面24に表示する背景画像(第1の背景画像)を、第2の背景画像に変更する。但し、当該情報処理装置は、第1及び第2の背景画像(例えば壁紙等)を含む複数の背景画像を記憶していることとする。また、第1及び第2の背景画像に関する輝度あるいは色調の差分は、所定の値以上であることとする。
【0039】
OS指示部132は、あるいはまた、OSを介して、部分領域240に表示するコンテンツ画像に関して、元の画像の輝度あるいは色調を変更してもよい。OS指示部132は、あるいはまた、OSを介して、部分領域240に表示するコンテンツ画像に関して、表示画面24における表示場所を変更してもよい。
【0040】
OS指示部132は、また、上述のように部分領域240に関する表示態様を変更することをOSに指示する代わりに、部分領域240に関する表示態様を変更することをユーザに指示するメッセージを表示画面24に表示するようにしてもよい。
【0041】
変更部13は、取得部11が領域情報110を取得してから所定の時間が経過したときに、変更した部分領域240の表示態様を、元の状態に戻す。この場合、所定の時間は、例えば、ユーザがコンテンツ画像を視認するのに要する程度の短い時間であればよい。変更部13は、あるいは、ユーザから入力装置23を介して、変更した部分領域240の表示態様を元の状態に戻す指示を入力されたときに、その表示態様を元の状態に戻すようにしてもよい。
【0042】
次に
図8のフローチャートを参照して、本実施形態に係る画像表示制御装置10の動作(処理)について詳細に説明する。
【0043】
取得部11は、例えばユーザにより入力された、表示画面24においてコンテンツ画像に対する視認性の低下が発生している部分領域240を表す領域情報110を、入力装置23から取得する(ステップS101)。分析部12は、領域情報110が示す部分領域240に表示されるコンテンツ画像情報221に含まれるコンテンツ画像輝度情報1210を取得する(ステップS102)。分析部12は、部分領域240に関する画素データ210について、コンテンツ画像輝度情報1210が示す輝度と類似する画素数をカウントする(ステップS103)。
【0044】
分析部12によるカウント値が閾値以上である場合(ステップS104でYes)、変更部13は、表示画面24に関する表示態様を制御可能なOSに指示することによって、背景画像を変更する、あるいは、コンテンツ画像に関して、元画像の輝度あるいは表示場所を変更する(ステップS105)。
【0045】
分析部12によるカウント値が閾値以上でない場合(ステップS104でNo)、変更部13は、コンテンツ画像輝度情報1210が示す輝度を、LUT選択テーブル1310と照合することにより、部分領域240の表示に適用するサブLUT130−iを選択する(ステップS106)。変更部13は、部分領域240の表示に適用するLUTを、メインLUT130−0からサブLUT130−iに切り替える(ステップS107)。
【0046】
変更部13は、領域情報110を取得してから所定の時間が経過したときに、部分領域240の表示態様を元に戻し(ステップS108)、全体の処理は終了する。
【0047】
本実施形態に係る画像表示制御装置10は、表示画面においてコンテンツ画像に対する視認性の低下が発生した場合に、可能な限り表示画面の表示態様を維持しつつ、かつ、コンテンツ画像の内容をユーザが確実に確認できるようにすることができる。その理由は、画像表示制御装置10は、視認性の低下が発生した部分領域240におけるコンテンツ画像に対する視認性を分析し、その分析結果に基づいて、部分領域240に関する表示態様を、互いに異なる複数の表示態様のうちのいずれかに一時的に変更するからである。
【0048】
以下に、本実施形態に係る画像表示制御装置10によって実現される効果について、詳細に説明する。
【0049】
ユーザがコンピュータにおける表示画面を使用して作業する際に、表示画面のある部分領域においてコンテンツ画像に対する視認性の低下が発生した場合、例えば表示画面に関する表示態様を変更することによって、ユーザはその部分領域に表示されているコンテンツ画像の内容を確認することができる。しかしながらその一方で、ユーザは、一般的に、自分の好みに合わせて設定している表示画面の表示態様(表示画面の雰囲気)を可能な限り維持したいと考える。したがって、視認性の低下が発生した場合に、可能な限り表示画面の表示態様を維持しつつ、かつ、コンテンツ画像の内容をユーザが確実に確認できるようにすることが課題である。
【0050】
このような問題に対して、本実施形態に係る画像表示制御装置10は、取得部11、分析部12、及び、変更部13を備え、例えば、
図8に例示する通り動作する。即ち、取得部11は、表示画面24において視認性の低下が発生している部分領域240を表す領域情報110を取得する。分析部12は、領域情報110が表す部分領域240に表示される背景画像とコンテンツ画像とに基づいて、当該背景画像に対する当該コンテンツ画像の視認性を分析する。そして、変更部13は、分析部12による分析結果に応じて、部分領域240に関する表示態様を、互いに異なる複数の表示態様のうちのいずれかに一時的に変更する。
【0051】
本実施形態に係る画像表示制御装置10は、より具体的には、輝度変換特性が互いに異なる複数のサブLUT130−1乃至130−nを備えている。画像表示制御装置10は、部分領域240における視認性を分析した結果に基づいて、部分領域240における視認性を改善するのに最適な輝度変換特性を有するサブLUT130−iを用いることによって、部分領域240に関する表示態様を変更する。この場合、部分領域240では、背景画像とコンテンツ画像との輝度の差分が強調されて表示されるのみであるので、表示態様(表示画面の雰囲気)は大きくは変わらない。サブLUT130−1乃至130−nが有する輝度変換特性は互いに異なるので、画像表示制御装置10は、部分領域240における背景画像及びコンテンツ画像の輝度がどのような値であっても柔軟に対応することができる。そして、画像表示制御装置10は、ユーザがコンテンツ画像を視認可能な時間が経過したときに、変更した表示態様を、元の態様に戻す。すなわち、画像表示制御装置10は、部分領域240における背景画像及びコンテンツ画像の輝度に応じて、背景画像とコンテンツ画像との輝度の差分を確実に強調して表示するとともに、ユーザによるコンテンツ画像の視認が最低限可能になる程度に、表示態様を変更する度合いや変更する時間を抑える。これにより、本実施形態に係る画像表示制御装置10は、表示画面においてコンテンツ画像に対する視認性の低下が発生した場合に、可能な限り表示画面の表示態様を維持しつつ、かつ、コンテンツ画像の内容をユーザが確実に確認できるようにすることができる。
【0052】
また、本実施形態に係る画像表示制御装置10は、視認性を分析した結果、視認性の低下の度合いが基準を満たす(即ち大きい)場合には、例えばOSが備える機能を介して、背景画像の変更あるいはコンテンツ画像の移動といった、表示態様を大きく変更するような制御を行う。すなわち、画像表示制御装置10は、部分領域240における背景画像とコンテンツ画像との輝度の差分を強調して表示するのみでは、視認性を改善することが困難な場合であっても、表示態様を大きく変更することによって、部分領域240に関する視認性を改善する。これにより、本実施形態に係る画像表示制御装置10は、表示画面においてコンテンツ画像に対する視認性が大きく低下した場合であっても、コンテンツ画像の内容をユーザが確実に確認できるようにすることができる。
【0053】
また、本実施形態に係る表示画面24に表示される画像がカラー画像である場合、画像表示制御装置10は、背景画像及びコンテンツ画像の色調に基づいて、上述した処理を行う。この場合、色調は、R(Red)成分、G(Green)成分、及び、B(Blue)成分(即ち、三原色)ごとの輝度の組み合わせを意味する。したがって、画像表示制御装置10が備えるLUT130は、R成分、G成分、及び、B成分を有する3次元のLUTであればよい。そして、サブLUT130−1乃至130−nは、類似する複数の色調に関して、色調差を強調するような輝度変換特性を備えればよい。そのような輝度変換特性の一例としては、例えば、類似する複数の色調を補色関係にある複数の色調に変換可能な輝度変換特性がある。
【0054】
また、本実施形態に係る変更部13は、ユーザから入力装置23を介して、コンテンツ画像の視認性を低下させる指示を入力された場合、例えばOSを介して、背景画像(第1の背景画像)を、輝度あるいは色調を示す値に関して、コンテンツ画像との差分が所定の値以下である背景画像(第3の背景画像)に変更する機能を備えてもよい。この場合、本実施形態に係る画像表示制御装置10は、機密性が高い情報(機密情報)を表示画面24に表示して作業しているユーザが、その機密情報が他人に見られることを防ぎたい場合に、コンテンツ画像の視認性を一時的に低下させることによって、当該ユーザからの要求に対して、迅速かつ簡単に応じることができる。
【0055】
<第2の実施形態>
図9は、本願発明の第2の実施形態に係る画像表示制御装置30の構成を概念的に示すブロック図である。
【0056】
本実施形態に係る画像表示制御装置20は、取得部31、分析部32、及び、変更部33を備えている。
【0057】
取得部31は、表示画面44において視認性の低下が発生している部分領域440を表す領域情報310を取得する。
【0058】
分析部32は、領域情報310が表す部分領域440に表示される背景画像とコンテンツ画像とに基づいて、当該背景画像に対する当該コンテンツ画像の視認性を分析する。
【0059】
変更部33は、分析部32による分析結果に応じて、部分領域440に関する表示態様を、互いに異なる複数の表示態様のうちのいずれかに一時的に変更する。
【0060】
本実施形態に係る画像表示制御装置30は、表示画面においてコンテンツ画像に対する視認性の低下が発生した場合に、可能な限り表示画面の表示態様を維持しつつ、かつ、コンテンツ画像の内容をユーザが確実に確認できるようにすることができる。その理由は、画像表示制御装置30は、視認性の低下が発生した部分領域440におけるコンテンツ画像に対する視認性を分析し、その分析結果に基づいて、部分領域440に関する表示態様を、互いに異なる複数の表示態様のうちのいずれかに一時的に変更するからである。
【0061】
<ハードウェア構成例>
上述した各実施形態において
図1、及び、
図9に示した画像表示制御装置10及び30における各部は、専用のHW(HardWare)(電子回路)によって実現することができる。また、
図1、及び、
図9において、少なくとも、下記構成は、ソフトウェアプログラムの機能(処理)単位(ソフトウェアモジュール)と捉えることができる。
・取得部11及び31、
・分析部12及び32、
・変更部13及び33。
【0062】
但し、これらの図面に示した各部の区分けは、説明の便宜上の構成であり、実装に際しては、様々な構成が想定され得る。この場合のハードウェア環境の一例を、
図10を参照して説明する。
【0063】
図10は、本願発明の各実施形態に係る画像表示制御装置を実行可能な情報処理装置900(コンピュータ)の構成を例示的に説明する図である。即ち、
図10は、
図1、及び、
図9に示した画像表示制御装置或いはその一部を実現可能なコンピュータ(情報処理装置)の構成であって、上述した実施形態における各機能を実現可能なハードウェア環境を表す。
図10に示した情報処理装置900は、構成要素として下記を備えている。
・CPU(Central_Processing_Unit)901、
・ROM(Read_Only_Memory)902、
・RAM(Random_Access_Memory)903、
・ハードディスク(記憶装置)904、
・無線送受信部等の外部装置との通信インタフェース905、
・バス906(通信線)、
・CD−ROM(Compact_Disc_Read_Only_Memory)等の記録媒体907に格納されたデータを読み書き可能なリーダライタ908、
・入出力インタフェース909。
【0064】
即ち、上記構成要素を備える情報処理装置900は、これらの構成がバス906を介して接続された一般的なコンピュータである。情報処理装置900は、CPU901を複数備える場合もあれば、マルチコアにより構成されたCPU901を備える場合もある。
【0065】
そして、上述した実施形態を例に説明した本願発明は、
図10に示した情報処理装置900に対して、次の機能を実現可能なコンピュータプログラムを供給する。その機能とは、その実施形態の説明において参照したブロック構成図(
図1及び
図9)における上述した構成、或いはフローチャート(
図8)の機能である。本願発明は、その後、そのコンピュータプログラムを、当該ハードウェアのCPU901に読み出して解釈し実行することによって達成される。また、当該装置内に供給されたコンピュータプログラムは、読み書き可能な揮発性のメモリ(RAM903)、または、ROM902やハードディスク904等の不揮発性の記憶デバイスに格納すれば良い。
【0066】
また、前記の場合において、当該ハードウェア内へのコンピュータプログラムの供給方法は、現在では一般的な手順を採用することができる。その手順としては、例えば、CD−ROM等の各種記録媒体907を介して当該装置内にインストールする方法や、インターネット等の通信回線を介して外部よりダウンロードする方法等がある。そして、このような場合において、本願発明は、係るコンピュータプログラムを構成するコード或いは、そのコードが格納された記録媒体907によって構成されると捉えることができる。
【0067】
以上、上述した実施形態を模範的な例として本願発明を説明した。しかしながら、本願発明は、上述した実施形態には限定されない。即ち、本願発明は、本願発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。