特許第6837887号(P6837887)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6837887-ソフトキャンディ 図000009
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6837887
(24)【登録日】2021年2月15日
(45)【発行日】2021年3月3日
(54)【発明の名称】ソフトキャンディ
(51)【国際特許分類】
   A23G 3/34 20060101AFI20210222BHJP
【FI】
   A23G3/34 101
【請求項の数】3
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-61072(P2017-61072)
(22)【出願日】2017年3月27日
(65)【公開番号】特開2018-161102(P2018-161102A)
(43)【公開日】2018年10月18日
【審査請求日】2019年12月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】307013857
【氏名又は名称】株式会社ロッテ
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100096943
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100102808
【弁理士】
【氏名又は名称】高梨 憲通
(74)【代理人】
【識別番号】100128668
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 正巳
(74)【代理人】
【識別番号】100136799
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 亜希
(72)【発明者】
【氏名】道口 靖央
(72)【発明者】
【氏名】藤本 一郎
【審査官】 高森 ひとみ
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−245595(JP,A)
【文献】 特開2004−018829(JP,A)
【文献】 特開2006−152834(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23G 3/34
A23G 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形分として、油脂を2.0重量%以上10.0重量%以下含み、L−メントールおよびその誘導体を0.2重量%以上3.0重量%未満含むことを特徴とするソフトキャンディ。
【請求項2】
ノンシュガーであることを特徴とする請求項1に記載のソフトキャンディ。
【請求項3】
さらに高甘味度甘味料を配合することを特徴とする請求項1または2に記載のソフトキャンディ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はソフトキャンディに関する。
【背景技術】
【0002】
ミント系の冷涼感が感じられる菓子は人気があるが、ミント系の冷涼感が感じられるキャンディは冷涼感を強くしようとすると、ミント系成分の配合量が増え、苦味を増してしまう。
ソフトキャンディは、そのソフトな食感が好まれ、近年人気の菓子である。しかしながら、ミント系のソフトキャンディは、あまり存在しない。
ミント系のガムや、タブレット、ハードキャンディはあるが、これらは、ソフトキャンディ特有の、とろけるようなソフトな食感は得られない。また、ミント系の菓子として、これまでにない、新しいタイプの冷涼感を得ることのできる菓子が求められている。
【0003】
特許文献1は食用油脂を有効成分として含有するミント系香料の苦味抑制剤を開示するが、ソフトキャンディに関する開示はない。
特許文献2は、非結晶性糖アルコールと結晶性糖アルコールとの混合物を主成分とするシュガーレスソフトキャンディを開示するが、ミント系の冷涼感を感じられる、おいしいソフトキャンディに関する開示はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−18829号公報
【特許文献2】特開2006−158234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ミント系の冷涼感を感じられる、おいしいソフトキャンディの提供。
【課題を解決するための手段】
【0006】
固形分として、油脂を2.0重量%以上15.0重量%以下含み、L−メントールおよびその誘導体を0.2重量%以上3.0重量%未満含むことを特徴とするソフトキャンディを提供する。
【発明の効果】
【0007】
ミントの冷涼感を強く感じられ、かつ、ミント系香料の苦味が抑えられた、ソフトキャンディの提供、製造が可能となった。また、本発明のソフトキャンディは、口中・のど・食道を、ミント系香料を含んだ咀嚼物が通っていくのを感じられるという、独自の冷涼感を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明のソフトキャンディの製造の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、固形分として、油脂を2.0重量%以上15.0重量%以下含み、L−メントールおよびその誘導体を0.2重量%以上3.0重量%未満含むことを特徴とするソフトキャンディを提供する。
固形分として、とは、固形分換算割合に基づくことを指し、完成品の重量に占める、対象成分の固形分換算量(水分を除いた重量)の割合をいう。
【0010】
キャンディは糖類、糖アルコール、水あめなどの糖質を主原料とする菓子である。ソフトキャンディとは、やわらかい食感を有するキャンディであり、水分含有量が概ね5〜15%の軟質性のキャンディを指す。
【0011】
また、ソフトキャンディと類似する菓子として、グミキャンディが挙げられるが、グミキャンディとソフトキャンディは、グミキャンディは、油脂を含まず、乳化されていない点、食感(グミキャンディはより弾力が強い)、成形性(グミキャンディは鋳型成形されたものが多い)、などにおいて、異なるものである。
【0012】
キャラメル、ファッジ、ヌガー、タフィ、フォンダンなどはソフトキャンディに含まれる。
【0013】
本発明のソフトキャンディは、油脂を固形分換算割合で2.0重量%以上15.0重量%以下含む。なお、油脂は水分の含有が0%に近いため、この配合量は、配合割合で求めた場合も変わらない。油脂が15%を超えると、成形時に物理的刺激により乳化状態が壊れてしまうため、ソフトキャンディとして製造が困難である。
【0014】
本発明のソフトキャンディに使用できる油脂に限定はなく、例として、植物油脂、パーム油、大豆油、菜種油、ひまわり油、綿実油、ヤシ油、コーン油、ごま油、シア脂、動物性油脂、サラダ油、こめ油、糠油、椿油、キャノーラ油、サフラワー油、ベニバナ油、エゴマ油、アマニ油、オリーブオイル、ピーナッツオイル、アーモンドオイル、アボカドオイル、ヘーゼルナッツオイル、ウォルナッツオイル、グレープシードオイル、カカオバター、ピーナッツバター、ラード(豚脂)、ヘット(牛脂)、乳脂、バター、マーガリン、ショートニング、生クリーム、などを挙げることができる。
【0015】
本発明のソフトキャンディは、L−メントールおよびその誘導体を、固形分として0.2重量%以上3.0重量%未満含むことを特徴とする。L−メントールとは、別名が、[1R−(1α,2β,5α)]−6−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキサノールとも表される化合物である。また、メントール誘導体としては、メントールメチルエーテル、メントールエチルエーテル、メントールプロピルエーテル、メントールブチルエーテル、メンチルアセテート、メンチルプロピオネート、メンチルラクテート、モノメンチルグリセリルエーテル、ジメンチルグリセリルエーテル、モノメンチルプロピレングリコールエーテル、ジメンチルプロピレングリセコールエーテル、グルタル酸モノメンチル、グルタル酸ジメンチル、3−(1−メントキシ)プロパン−1,2−ジオール、p−メンタン−3,8−ジオール、6−イソプロピル−9−メチル−1,4−ジオキサスピロ−(4,5)−デカン−2−メタノール、コハク酸メンチルおよびそのアルカリ土類塩、トリメチルシクロヘキサノール、N−エチル−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキサンカルボキサミド、3−(1−メントキシ)−2−メチル−プロパン−1,2−ジオール、メントングリセリンケタール、乳酸メンチル、[1’R,2’S,5’R]−2−(5’−メチル−2’−(メチルエチル)シクロヘキシルオキシ)エタン−1−オール、[1’R,2’S,5’R]−3−(5’−メチル−2’−(メチルエチル)シクロヘキシルオキシ)プロパン−1−オール、[1’R,2’S,5’R]−4−(5’−メチル−2’−(メチルエチル)シクロヘキシルオキシ)ブタン−1−オールなどが挙げられる。
【0016】
L−メントールおよびその誘導体は、天然物由来のものでも、合成品でもよく、L−メントールおよびその誘導体が、本発明のソフトキャンディに導入される方法はなんら限定されないが、多くの場合、L−メントールあるいはその誘導体は、製造過程においては、L−メントールあるいはその誘導体を含むミント系香料として、加えられる。なお、L−メントールおよびその誘導体を直接、本発明のソフトキャンディに加えても良い。
【0017】
ミント系香料の例として、ペパーミント油、スペアミント油、ハッカなどの精油、あるいは工業的に生産されている香料(液状、粉末状、固形など形状を問わない)、あるいは、ハッカやペパーミント、スペアミントの葉といった天然物、として加えてもよい。L−メントールおよびその誘導体の濃度は、ガスクロマトグラフィー(Gas Chromatography:GC)により測定することができる。GCを用いたL−メントールおよびその誘導体の濃度の測定の例として次の方法をあげることができる。
はじめに、ナスフラスコにサンプルを採取する。採取したサンプルに溶媒(ベンゼン及び/又はヘキサン)と内部標準物質(ビフェニル)を加え、還流抽出を行う。脱水後、GC分析を行う。分析の際は、たとえば、機器として6890N(アジレント社製)を用い、キャピラリーカラム DB−17,φ0.25mm×30m,df.0.25μmを用いる場合、カラム温度:60℃→5℃/min→120℃→1℃/min→140℃→5℃/min→250℃(10min)とし、注入量を1μLとすることで測定することが可能である。
【0018】
本発明のソフトキャンディにおいては、油脂と、ミント系香料がなじむことにより、ミントの冷涼感が口腔内に拡散しやすくなり、その結果、強い冷涼感を得られると考えられる。また、本発明のソフトキャンディにおいては、油脂が、キャンディ生地と香料をつなぐことで、味に一体感を出すことができた。
【0019】
また、本発明のソフトキャンディはノンシュガーとすることができる。ノンシュガーとは、糖類の含有量がない、あるいは、少ないものを指し、食品100gあたりの、糖アルコールを除く単糖類または二糖類の含有量が概ね0.5g未満であることを満足することを指す。
【0020】
ソフトキャンディは、歯に付着しやすいことから、う蝕の原因になりやすいと考えられることがある。ミント系のソフトキャンディは、食事の最後に冷涼感を得るために食される場面が多く、清潔志向、健康志向の高い消費者に好まれるものであるから、とりわけ、う蝕に結びつかないものが好まれ、ミント系のノンシュガーソフトキャンディは需要がある。また、ノンシュガーソフトキャンディは、糖類を使用したソフトキャンディに比べカロリーが低いため、その点においても需要がある。また、砂糖などの糖類の甘味に比べると、ノンシュガーソフトキャンディに使用される、マルチトールなどの甘味は、ミントの冷涼感との相性が良い。
【0021】
本発明のソフトキャンディは、上記の他に、原料として、糖アルコール、アラビアガム、ゼラチン、タンパク質、セルロース、その他香料、乳化剤、甘味料、着色料等を適宜含むことができる。また、本発明のソフトキャンディは、糖衣がされていてもよい。また、糖類を含むこともできる。
【0022】
糖アルコールの例として、マルチトール、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、イソマルト、マンニトール、ラクチトール、還元水あめなどを挙げられる。本発明において、糖アルコールとして、もっとも好ましいものは、マルチトール、および還元水あめである。マルチトールは、還元麦芽糖ともいわれ、マルトースを還元して得られるものが一般的であるが、製法や粒径等によらず、あらゆるマルチトールを用いることができる。還元水あめは、澱粉の分解物である水あめを還元したものであり、なんら限定されることなく、市販品等を用いることができる。
【0023】
アラビアガムは、アカシア属のアカシアセネガルやアカシアセイアル、またはこれらの同属樹液から調製される水溶性の多糖であり、産地由来などを問うことなく、市販品等を用いることができる。
【0024】
ゼラチンは、動物の皮膚や骨の結合組織であるコラーゲンから取得され、ニカワとも言われる。ゼラチンは、由来等に限定されることなく、豚皮、豚骨、牛皮、牛骨、あるいは魚等あらゆる由来のものを用いることができる。ゼラチンの強度を示すブルーム値は好ましくは、250程度あるいはそれ以上のものが望ましい。
【0025】
タンパク質は、動物性タンパク質、植物性タンパク質、大豆由来タンパク質、牛乳由来タンパク質、卵白由来タンパク質、その他あらゆるタンパク質を用いることができる。
乳化剤を加える場合は、有機酸モノグリセリド類、グリセリン脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、ショ糖脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、プロピレングリコール脂肪酸エステル類、レシチン、乳成分として、牛乳、脱脂粉乳、全脂粉乳、生クリームなどを用いることができる。
【0026】
さらに香料を加える場合は、オレンジ油、レモン油、グレープフルーツ油、ライム油、タンジェリン油、マンダリン油などの柑橘精油類、オールスパイス、アニスシード、バジル、ローレル、カルダモン、セロリー、クローブ、シナモン、クミン、ディル、ガーリック、パセリ、メース、マスタード、オニオン、パプリカ、ローズマリー、ペッパーのような公知のスパイス精油類またはオレオレジン類、リモネン、リナロール、ネロール、シトロネロール、ゲラニオール、シトラール、オイゲノール、シンナミックアルデハイド、アネトール、ペリラアルデハイド、バニリン、γ−ウンデカラクトン、カプロン酸アリル、L−カルボン、マルトールなどのような公知の単離、または合成香料、および、これら柑橘精油類、スパイス精油類、合成香料を目的に沿った割合で混合したシトラスミックス、各種フルーツなどを表現させた調合香料を用いることができる。
【0027】
甘味料を加える場合は、特に好ましくは、高甘味度甘味料を加えることができる。高甘味度甘味料の具体例として、α−グルコシルトランスフェラーゼ処理ステビア、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、アリテーム、カンゾウ抽出物(グリチルリチン)、グリチルリチン酸三アンモニウム、グリチルリチン酸三カリウム、グリチルリチン酸三ナトリウム、グリチルリチン酸二アンモニウム、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸二ナトリウム、クルクリン、サッカリン、サッカリンナトリウム、シクラメート、スクラロース、ステビア抽出物、ステビア末、ズルチン、タウマチン(ソーマチン)、テンリョウチャ抽出物、ナイゼリアベリー抽出物、ネオテーム、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、フラクトシルトランスフェラーゼ処理ステビア、ブラジルカンゾウ抽出物、ミラクルフルーツ抽出物、ラカンカ抽出物、酵素処理カンゾウ、酵素分解カンゾウを挙げることができる。
【0028】
また、本発明のソフトキャンディは高甘味度甘味料を加えることで、より、ミント系の苦味が抑えられる。特にノンシュガーソフトキャンディとした場合、高甘味度甘味料を加えることで、ノンシュガーでありながら、おいしいソフトキャンディとなる。
【0029】
また、その他の甘味料も限定なく加えることができる。例として、アラビノース、ガラクトース、キシロース、グルコース、フコース、ソルボース、フルクトース、ラムノース、リボース、異性化液糖、N−アセチルグルコサミンなどの単糖類;イソトレハロース、スクロース、トレハルロース、トレハロース、ネオトレハロース、パラチノース、マルトース、メリビオース、ラクチュロース、ラクトースなどの二糖類;α−サイクロデキストリン、β−サイクロデキストリン、イソマルトオリゴ糖(イソマルトース、イソマルトトリオース、パノースなど)、オリゴ−N−アセチルグルコサミン、ガラクトシルスクロース、ガラクトシルラクトース、ガラクトピラノシル (β1−3) ガラクトピラノシル (β1−4) グルコピラノース、ガラクトピラノシル (β1−3) グルコピラノース、ガラクトピラノシル (β1−6) ガラクトピラノシル (β1−4) グルコピラノース、ガラクトピラノシル (β1−6) グルコピラノース、キシロオリゴ糖(キシロトリオース、キシロビオースなど)、ゲンチオオリゴ糖(ゲンチオビオース、ゲンチオトリオース、ゲンチオテトラオースなど)、スタキオース、テアンデオリゴ、ニゲロオリゴ糖(ニゲロースなど)、パラチノースオリゴ糖、パラチノースシロップ、フラクトオリゴ糖(ケストース、ニストースなど)、フラクトフラノシルニストース、ポリデキストロース、マルトシル−β−サイクロデキストリン、マルトオリゴ糖(マルトトリオース、テトラオース、ペンタオース、ヘキサオース、ヘプタオースなど)、ラフィノース、砂糖結合水飴(カップリングシュガー)、大豆オリゴ糖、転化糖、水飴などのオリゴ糖類;イソマルチトール、エリスリトール、キシリトール、グリセロール、ソルビトール、パラチニット、マルチトール、マルトテトライトール、マルトトリイトール、マンニトール、ラクチトール、還元イソマルトオリゴ糖、還元キシロオリゴ糖、還元ゲンチオオリゴ糖、還元麦芽糖水飴、還元水飴などの糖アルコールを挙げることができる。
【0030】
本発明のソフトキャンディの製造の例を以下に記載する。はじめに、糖アルコール、還元水あめ、アラビアガム、ゼラチン、さらに、適宜、乳化剤、甘味料等を、混合、溶解する。次に、減圧で濃縮を行い、好ましくは水分を10%以下とする。ここで、ミント系香料と、必要に応じて、その他の香料や着色料等を加えて混合する。さらに、糖アルコール微粉を加え、混合し、混合した生地の成形を行う。成形の方法はなんら限定されない。
【0031】
成形された、ソフトキャンディは、糖衣などのコーティングを施してもよいし、コーティングを施さなくてもよい。糖衣を施す際は、例えば、製造されたソフトキャンディを適宜エージングして、糖アルコール、アラビアガム、香料などを含む生地で、糖衣を行うことができる。
【0032】
以下、実施例に基づき、詳細に説明を行う。ただし、本発明は、実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0033】
本実施例において、配合割合とは、それぞれの原料の重量が、完成したソフトキャンディの重量中に占める割合をいい、原料の重量には、製造の過程で増加または損失する水分も含むため、配合割合の合計は100%にならない場合もある。
固形分換算割合は、完成したソフトキャンディの重量に占める、原料の固形分換算量(水分を除いた重量)の割合をいう。
【0034】
本実施例では、図1に示すとおり、ソフトキャンディを製造した。すなわち、はじめに、マルチトール、還元水あめ、アラビアガム、ゼラチン、大豆たんぱく、セルロース、植物油脂、乳化剤、高甘味度甘味料(アセスルファムカリウム、スクラロース)を仕込み、60〜80℃で溶解し、Bx(溶液中の固形分濃度)が71〜75となるよう調製し、これを112℃で水分が8%程度となるよう減圧濃縮した。ここに、ミント系香料を含む香料等を加えた。また、本実施例においては、さらに、その後、50℃にし、マルチトール微粉と、乳化剤を加えて混合した。マルチトール微粉とは、マルチトールの粒径の分布が累積90%で100μm以下であるものをいう。その後、生地の成形を行った。
【0035】
実施例1から36までのソフトキャンディは、表1から表6に示される配合割合で上記の方法によって製造された。固形分換算割合についても、表中に示す。なお、表中、L-メントールとメントール誘導体の配合量は、配合された香料のうち、L−メントールとメントール誘導体が、香料中50重量%含まれるとして算出した。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】
【表4】
【0040】
【表5】
【0041】
【表6】
【0042】
次に各試験例のソフトキャンディの評価を、それぞれ、十分に経験を積んだ5名の専門パネラーにより、口中・のど・食道への冷涼感、ミントの美味しさについて、行った。判断基準は次のようであった。
【0043】
口中・のど・食道の冷涼感について、
◎:非常に強い冷涼感を感じる
○:冷涼感を感じる
△:冷涼感を少し感じる
×:冷涼感を感じない
【0044】
ミントの美味しさについて
◎:非常に美味しい
○:美味しい
△:あまり美味しくない
×:全く美味しくない
【0045】
結果を表7に示す。
【表7】
【0046】
実施例15から18、21から24、27から30、33から36で良好な結果を得ることができた。さらには、実施例14から18、20から24、26から30、32から36では、口中・のど・食道への冷涼感について、パネラー全員が高い評価を下した。一方、実施例6,12,18,24,36については、ミントの美味しさについては、評価が低かった。
【0047】
すなわち、油脂を2.0重量%以上含み、L-メントールおよびその誘導体を0.2重量%以上3.0重量%未満含むソフトキャンディは、口中・のど・食道への冷涼感が感じられ、ミントの美味しさを感じられるといえる。
また、L−メントールおよびその誘導体は0.5重量%以上で口中・のど・食道への冷涼感がより強く感じられることが分かった。
【0048】
また、本発明のソフトキャンディは、口中・のど・食道を、ミント系香料を含んだ咀嚼物が喉を通っていくのを感じられるという、独自の冷涼感を得ることができることが分かった。ソフトキャンディは、咀嚼しながら、舐め溶かすため、ガムやハードキャンディよりも、食べているときに、口中、のど、食道を通る、ミント系香料を含む液の量が多い。そのために、口中・のど・食道を、ミント系香料を含んだ咀嚼物が喉を通っていくのを感じられるという、独自の冷涼感が得られたものと推測される。
図1