特許第6837888号(P6837888)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6837888ガス処理装置、ガス処理方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6837888
(24)【登録日】2021年2月15日
(45)【発行日】2021年3月3日
(54)【発明の名称】ガス処理装置、ガス処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   F23G 7/07 20060101AFI20210222BHJP
   F16L 55/07 20060101ALI20210222BHJP
   G01F 15/18 20060101ALI20210222BHJP
   G01F 3/22 20060101ALI20210222BHJP
【FI】
   F23G7/07
   F16L55/07 C
   G01F15/18
   G01F3/22 Z
【請求項の数】13
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2017-61505(P2017-61505)
(22)【出願日】2017年3月27日
(65)【公開番号】特開2018-162866(P2018-162866A)
(43)【公開日】2018年10月18日
【審査請求日】2019年8月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金澤 一弘
(72)【発明者】
【氏名】五味 保城
(72)【発明者】
【氏名】星野 裕介
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 俊介
【審査官】 柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】 特許第3778388(JP,B2)
【文献】 特開平02−238204(JP,A)
【文献】 特開2007−121021(JP,A)
【文献】 特開2004−132662(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23G 7/07
B01D 53/34
F16L 55/07
G01F 3/22
G01F 15/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可燃性のガスを取り込む取込口を有する容器であって、ガスメータ及び前記ガスメータから前記ガスが放出されるガス出管のうちの少なくとも一方である本流路から分流された前記ガスを前記取込口から取り込む容器と、
前記取込口から前記容器に取り込まれた前記ガスを酸化処理する酸化触媒と、
前記容器の外周面に設けられ前記容器を介して前記酸化触媒を加熱する加熱器と、
を含むガス処理装置。
【請求項2】
前記本流路から前記取込口までの前記ガスの分流路に介在させ、前記ガスの脱臭を行う脱臭器を更に含む請求項1に記載のガス処理装置。
【請求項3】
前記容器は、前記ガスを放散させる放散口を更に有し、
前記取込口から前記容器に取り込まれた前記ガスを希釈して前記放散口から放散させるように非可燃性の希釈用気体を前記容器に供給する供給手段を更に含む請求項1又は請求項2に記載のガス処理装置。
【請求項4】
前記供給手段は、前記取込口から前記容器に取り込まれた前記ガスを前記酸化触媒に向けて押し出すように前記希釈用気体を前記容器に供給する請求項3に記載のガス処理装置。
【請求項5】
前記容器は、前記ガスを放散させる放散口を更に有し、
前記放散口から放散される前記ガスの濃度を検出する検出手段による検出結果に応じた処理を実行する実行部を更に含む請求項1又は請求項2に記載のガス処理装置。
【請求項6】
前記取込口から前記容器に取り込まれた前記ガスを希釈して前記放散口から放散させるように非可燃性の希釈用気体を前記容器に供給する供給手段を更に含み、
前記処理は、前記供給手段に対して、前記検出手段により検出された濃度に応じて定められた供給量で前記希釈用気体を前記容器に供給させる供給処理を含む処理である請求項5に記載のガス処理装置。
【請求項7】
前記処理は、前記検出手段により検出された濃度が可燃域の下限未満の濃度の場合に、前記本流路から分流された前記ガスの処理が完了したことを報知する報知処理を含む処理である請求項5又は請求項6に記載のガス処理装置。
【請求項8】
残留空気のパージが未完了のガスメータが、前記ガスメータに可燃性のガスを流入させるガス入管と前記ガスメータから前記ガスが放出されるガス出管とに取り付けられた場合に、前記ガスを取り込む取込口を有する容器が、前記ガスメータ及び前記ガス出管のうちの少なくとも一方である本流路から分流された前記ガスを前記取込口から取り込み、
酸化触媒が、前記容器の外周面に設けられた加熱器により前記容器を介して加熱され、
前記取込口から前記容器に取り込まれた前記ガスを酸化処理することを含むガス処理方法。
【請求項9】
前記加熱器が、前記容器に前記ガスが取り込まれる前の既定期間に前記酸化触媒を加熱することを更に含む請求項8に記載のガス処理方法。
【請求項10】
前記容器は、前記ガスを放散させる放散口を更に有しており、
供給手段が、前記取込口から前記容器に取り込まれた前記ガスを希釈して前記放散口から放散させるように非可燃性の希釈用気体を前記容器に供給することを更に含む請求項9又は請求項9に記載のガス処理方法。
【請求項11】
開口を有する袋体が前記本流路から分流された前記ガスを前記開口から取り込み、
前記容器は、前記開口から前記袋体に取り込まれた前記ガスを、前記開口と前記取込口とが接続された状態で前記袋体が押圧されることにより、前記開口から前記取込口を介して取り込むことを含む請求項8から請求項10の何れか1項に記載のガス処理方法。
【請求項12】
前記本流路から前記取込口までの前記ガスの分流路に介在させた脱臭器が前記ガスの脱臭が行う請求項8から請求項10の何れか1項に記載のガス処理方法。
【請求項13】
コンピュータを、
請求項5から請求項7の何れか1項に記載のガス処理装置に含まれる前記実行部として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス処理装置、ガス処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
需要家で使用されるガスは、ガス配管及びガスメータを介して各需要家に供給されている。また、ガスメータは、計量法により、一定期間毎に交換することが義務付けられている。ガスメータを交換すると、取り替えられた新しいガスメータ内には空気が残留している。そのため、ガスメータの取り替え後には、ガスメータ内に残留した空気をパージする作業を行う(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。なお、以下では、説明の便宜上、新しいガスメータ内に残留している空気を、「残留空気」と称する。また、以下では、説明の便宜上、残留空気をパージする作業を、「パージ作業」と称する。
【0003】
従来、パージ作業を行う場合、ガスメータのガス出管のガス試験口を開放し、ガス入管からガスをガスメータに供給し、残留空気を、ガス試験口を介して大気中に放散させたり、例えば、特許文献3に記載されているように、現場にて点火試験を行ったりしていた。また、近年、ガス試験口に導管を介してガス回収容器を接続し、パージされた残留空気及びパージ作業に伴って放出されるガスをガス回収容器内に回収することが行われている(例えば、特許文献4参照)。また、ガスメータ内の残留空気を予めガスに置換しておく方法も知られている(例えば、特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−166867号公報
【特許文献2】特許第5295159号公報
【特許文献3】特許第3778388号公報
【特許文献4】特許第3589192号公報
【特許文献5】特開2006−53071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のパージ作業では、例えば、燃焼処理を行う場合に需要家の自宅等の屋内に入る必要があり、作業上、制限を受ける。また、ガスメータのガス出管の試験口を用いて点火試験を行う場合、需要家の自宅等の屋内に入る必要はないものの、地下街や密閉状態の空間等では防火の観点から点火試験が禁止されることがある。また、ガスを回収する場合、ガス回収容器を用意し、ガスを回収した後、ガス回収容器を持ち帰るため、ガス回収容器の運搬中にガス回収容器が破損したり、ガス漏れが発生したりしないように、作業者には十分な経験や注意力等が要求される。更に、パージ作業に伴ってガスを大気中に放散する場合にも、引火事故や酸欠事故等が発生しないように、作業者には十分な経験や注意力等が要求される。
【0006】
本発明は、ガスメータに対するパージ作業に伴ってガスメータから排出されるガスの安全な処理に寄与することができるガス処理装置、ガス処理方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載のガス処理装置は、可燃性のガスを取り込む取込口を有する容器であって、ガスメータ及び前記ガスメータから前記ガスが放出されるガス出管のうちの少なくとも一方である本流路から分流された前記ガスを前記取込口から取り込む容器と、前記取込口から前記容器に取り込まれた前記ガスを酸化処理する酸化触媒と、前記容器の外周面に設けられ前記容器を介して前記酸化触媒を加熱する加熱器と、を含む。
【0008】
上記目的を達成するために、請求項8に記載のガス処理方法は、残留空気のパージが未完了のガスメータが、前記ガスメータに可燃性のガスを流入させるガス入管と前記ガスメータから前記ガスが放出されるガス出管とに取り付けられた場合に、前記ガスを取り込む取込口を有する容器が、前記ガスメータ及び前記ガス出管のうちの少なくとも一方である本流路から分流された前記ガスを前記取込口から取り込み、酸化触媒が、前記容器の外周面に設けられた加熱器により前記容器を介して加熱され、前記取込口から前記容器に取り込まれた前記ガスを酸化処理することを含む。
【0009】
上記目的を達成するために、請求項13に記載のプログラムは、コンピュータを、請求項5から請求項7の何れか1項に記載のガス処理装置に含まれる実行部として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ガスメータに対するパージ作業に伴ってガスメータから排出されるガスの安全な処理に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1〜第4実施形態に係るガス処理装置が適用されるガスメータの構成の一例を示す正面図である。
図2】第1〜第4実施形態に係るガス処理装置が適用されるガスメータの構成の一例を示す側面図である。
図3】第1実施形態に係るガス処理装置の構成の一例を示す概略構成図である。
図4】第1実施形態に係るガス処理装置の電気系の構成の一例を示すブロック図である。
図5】第1〜第3実施形態に係るガス処理の流れの一例をフローチャートである。
図6図5に示すフローチャートの続きである。
図7】第2実施形態に係るガス処理装置の構成の一例を示す概略構成図である。
図8】第2実施形態に係るガス処理装置の電気系の構成の一例を示すブロック図である。
図9】第2実施形態に係るガス処理の流れの一例をフローチャートであって、図5に示すフローチャートの続きである。
図10】第3実施形態に係るガス処理装置の構成の一例を示す概略構成図である。
図11】第3実施形態に係るガス処理装置の電気系の構成の一例を示すブロック図である。
図12】第3実施形態に係るガス処理の流れの一例をフローチャートであって、図5に示すフローチャートの続きである。
図13】第4実施形態に係るガス処理装置の構成の一例を示す概略構成図である。
図14】第4実施形態に係るガス処理装置の電気系の構成の一例を示すブロック図である。
図15】第4実施形態に係るガス処理の流れの一例をフローチャートであって、図5に示すフローチャートの続きである。
図16】第1〜第4実施形態に係るガス処理装置及びガスメータに対して適用される袋体の構成の一例を示す概略構成図である。
図17】第1〜第4実施形態に係るガス処理プログラムが記憶された記憶媒体からガス処理プログラムがガス処理装置にインストールされる態様の一例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態例を詳細に説明する。なお、以下の説明では、説明の便宜上、可燃性のガスを単に「ガス」と称する。また、以下の説明において、ガスとは、メタンを主成分とする都市ガスを指すが、本発明はこれに限定されるものではなく、LPガス等の他の可燃性のガスであってもよい。また、以下では、説明の便宜上、ガスの濃度は百分率濃度で表現されることを前提として説明する。
【0013】
[第1実施形態]
一例として図1及び図2に示すように、ガスメータ10は、ガス入管12及びガス出管14に取り付けられて用いられる。ガス入管12は、ガスメータ10にガスを流入させる管であり、ガス出管14は、ガスメータ10からガスが放出される管である。なお、ガス出管14は、本発明に係る本流路の一例である。
【0014】
ガス入管12及びガス出管14は、各々ユニオンナット12A及びユニオンナット14Aを介して、ガスメータ10に接続されている。また、ガス入管12にはメータコック16が設けられ、ガス出管14にはチーズ18が設けられている。また、チーズ18には分流口18Aが設けられている。分流口18Aには蓋(図示省略)が設けられており、蓋が取り外れた状態でガスがガス出管14を流れると、ガスが分流口18Aを介してガス出管14の外部に放出される。
【0015】
一例として図3に示すように、ガス処理装置20は、ガスメータ10に対して取り付けられて用いられ、ガス処理を行う。ガス処理とは、ガス出管14から分流口18Aを介して放出されたガスの処理を指す。ガス処理装置20によって行われるガス処理には、酸化処理と希釈放散処理とが含まれる。酸化処理とは、ガスを酸化させる処理を指す。希釈放散処理とは、ガスの濃度を可燃域の下限未満の濃度になるようにガスを空気で希釈し、空気で希釈したガスを放散する処理を指す。
【0016】
ガス処理装置20は、容器22、ホース24、酸化触媒26、加熱器28、脱臭器30、上流側濃度センサ32、送風機34、下流側濃度センサ36、及び制御装置38を備えている。
【0017】
容器22は、熱伝導性を有する有底円筒状の容器である。容器22の上面には、本発明に係る放散口の一例である開口22Aが形成されており、容器22の上面の全体が開口22Aにより開放されている。
【0018】
酸化触媒26は、容器22の高さ方向の中央部に充填されており、ガスを酸化させる。酸化触媒26の一例としては、未燃のメタンを酸化させるメタン酸化触媒が挙げられる。メタン酸化触媒の一例としては、コージェライト製ハニカムに、担体のアルミナをウオッシュコートし、さらにその上に含浸法によりパラジウムを担持させた触媒が挙げられる。
【0019】
加熱器28は、帯状に形成されている。容器22の外周面には、容器22内の酸化触媒26の位置に対応する位置で、酸化触媒26の全体を覆うように加熱器28が巻き付けられている。加熱器28は、容器22を介して酸化触媒26を加熱する。
【0020】
容器22には、取込口22Bが形成されている。取込口22Bは、ガスを取り込む開口であり、容器22の底面22Cと酸化触媒26との間に配置されている。
【0021】
本発明に係る分流路の一例であるホース24の一端は、分流口18Aに接続され、ホース24の他端は、取込口22Bに接続される。分流口18Aと取込口22Bとがホース24で接続された状態で、ガス出管14にガスが流れると、ガス出管14から分流口18Aを介してホース24にガスが放出され、ホース24に放出されたガスは取込口22Bを介して容器22に取り込まれる。
【0022】
ホース24の途中には、脱臭器30が介在しており、脱臭器30はホース24内を流れるガスに含まれる硫黄成分を除去することでガスの脱臭を行う。
【0023】
ホース24の途中には、上流側濃度センサ32が介在している。上流側濃度センサ32は、ホース24内でのガスの流路において、脱臭器30よりも上流側に配置されており、ホース24内に流れるガスの濃度を検出する。
【0024】
容器22の底面22Cには、送風機34が設けられており、送風機34は、容器22内において、底面22C側から開口22A側に向けて空気を送り出す。
【0025】
容器22には、本発明に係る検出手段の一例である下流側濃度センサ36が設けられている。下流側濃度センサ36は、容器22内において、酸化触媒26と開口22Aとの間に配置されており、ガスの濃度を検出する。
【0026】
制御装置38は、ガス処理装置20の全体を制御する。一例として図4に示すように、制御装置38は、主制御部40を備えている。主制御部40は、CPU(中央処理装置:Central Processing Unit)42、一次記憶部44、及び二次記憶部46を有する。
【0027】
一次記憶部44は、各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられる揮発性のメモリである。一次記憶部44の一例としてRAM(Random Access Memory)が挙げられる。二次記憶部46は、ガス処理プログラム48等の各種プログラム及び各種パラメータ等を予め記憶した不揮発性のメモリである。二次記憶部46の一例としては、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、SSD(Solid State Drive)、又はフラッシュメモリ等が挙げられる。
【0028】
CPU42、一次記憶部44、及び二次記憶部46は、バスライン50を介して相互に接続されている。CPU42は、二次記憶部46からガス処理プログラム48を読み出して一次記憶部44に展開し、一次記憶部44に展開したガス処理プログラム48を実行することで本発明に係る実行部として動作する。
【0029】
制御装置38は、受付I/F52、受付デバイス54、表示制御部56、及びディスプレイ58を備えている。なお、本第1実施形態において、「I/F」とは、インタフェース(Interface)の略称を指す。
【0030】
受付デバイス54は、ユーザからの指示を受け付ける。受付デバイス54の一例としては、キーボード、マウス、及びタッチパネル等が挙げられる。
【0031】
受付I/F52は、バスライン50及び受付デバイス54に接続されており、受付デバイス54によって受け付けられた指示の内容を示す指示内容信号を、バスライン50を介してCPU42に出力する。CPU42は、入力された指示内容信号に応じた処理を実行する。
【0032】
ディスプレイ58は、各種情報を表示する。ディスプレイ58の一例としては、液晶ディスプレイ又は有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ等が挙げられる。
【0033】
表示制御部56は、バスライン50及びディスプレイ58に接続されており、CPU42からの指示に従って、ディスプレイ58を制御する。
【0034】
制御装置38は、外部I/F60を備えている。外部I/F60は、バスライン50と各種の入出力デバイスとに接続されており、CPU42と各種の入出力デバイスとの間の各種情報の送受信を司る。本第1実施形態では、各種の入出力デバイスの一例として、加熱器28、上流側濃度センサ32、送風機34、及び下流側濃度センサ36が採用されている。
【0035】
従って、CPU42は、加熱器28の制御と、送風機34の制御と、上流側濃度センサ32により検出された濃度である上流側ガス濃度の取得と、下流側濃度センサ36により検出された濃度である下流側ガス濃度の取得とを各々行うことができる。
【0036】
次に、ガス処理装置20の本発明に係る部分の作用について説明する。
【0037】
先ず、作業員は、メータコック16を閉め、残留空気のパージが未完了のガスメータ10を、ガス入管12及びガス出管14に対してユニオンナット12A,14Aを用いて接続する。次に、作業員は、分流口18Aを開放し、ホース24の一端を、分流口側コネクタ(図示省略)を介して分流口18Aに接続し、ホース24の他端を、取込口側コネクタ(図示省略)を介して取込口22Bに接続する。これにより、分流口18Aと取込口22Bとがホース24で接続される。
【0038】
作業員は、分流口18Aと取込口22Bとがホース24で接続された状態でメータコック16を開け、ガス処理装置20に対してガス処理の実行を開始する指示であるガス処理実行開始指示を行う。ガス処理実行開始指示は受付デバイス54によって受け付けられる。
【0039】
このように、分流口18Aと取込口22Bとがホース24で接続された状態でメータコック16が開けられ、受付デバイス54によってガス処理実行開始指示が受け付けられると、CPU42は、ガス処理プログラム48に従って、ガス処理を実行する。
【0040】
次に、図5及び図6を参照してCPU42によって実行されるガス処理の流れの一例について説明する。
【0041】
図5に示すガス処理では、ステップ100で、CPU42は、加熱器28に対して加熱を開始させ、その後、ステップ102へ移行する。加熱器28による加熱が開始されると、酸化触媒26が温められ、この結果、酸化触媒26が活性化される。
【0042】
ステップ102で、CPU42は、上流側濃度センサ32によりガスが検出されたか否かを判定する。ステップ102において、上流側濃度センサ32によりガスが検出されていない場合は、判定が否定されて、ステップ104へ移行する。ステップ102において、上流側濃度センサ32によりガスが検出された場合は、判定が肯定されて、ステップ106へ移行する。
【0043】
ステップ104で、CPU42は、本ガス処理を終了する条件である終了条件を満足したか否かを判定する。終了条件の一例としては、本ガス処理の実行を終了する指示であるガス処理実行終了指示が受付デバイス54によって受け付けられたとの条件が挙げられる。
【0044】
ステップ104において、終了条件を満足していない場合は、判定が否定されて、ステップ102へ移行する。ステップ104において、終了条件を満足した場合は、判定が肯定されて、本ガス処理を終了する。
【0045】
ステップ106で、CPU42は、加熱器28に対して加熱を終了させ、その後、ステップ108へ移行する。
【0046】
ステップ108で、CPU42は、送風機34に対して、所定の送風量で容器22内への送風を開始させ、その後、図6に示すステップ110へ移行する。
【0047】
ここで、所定の送風量とは、例えば、標準量のガスの濃度を、酸化触媒26が劣化等によって機能不全状態の場合に所定時間(例えば、60秒)内に可燃域の下限未満にすることが可能な送風量を指す。
【0048】
標準量とは、例えば、パージ作業に伴って容器22に取り込まれるガスの平均的な量であり、実機による試験やコンピュータ・シミュレーションの結果等に基づいて、パージ作業に伴って容器22に取り込まれるガスの平均的な量として事前に得られた量を指す。また、所定の送風量も、実施による試験やコンピュータ・シミュレーションの結果等に基づいて、標準量のガスの濃度を所定時間内に可燃域の下限未満にすることが可能な送風量として事前に得られた送風量である。また、可燃域の下限とは、例えば、5%を指す。
【0049】
図6に示すステップ110で、CPU42は、上流側濃度センサ32から上流側ガス濃度を取得し、その後、ステップ112へ移行する。
【0050】
ステップ112で、CPU42は、ステップ110で取得した上流側ガス濃度が第1既定濃度以上か否かを判定する。第1既定濃度とは、例えば、99%を指す。ステップ112において、ステップ110で取得した上流側ガス濃度が第1既定濃度未満の場合は、判定が否定されて、ステップ118へ移行する。ステップ112において、ステップ110で取得した上流側ガス濃度が第1既定濃度以上の場合は、判定が肯定されて、ステップ114へ移行する。
【0051】
ステップ114で、CPU42は、第1カウンタ(図示省略)のカウント値に1を加算し、その後、ステップ116へ移行する。なお、本第1実施形態では、第1カウンタのカウント値の初期値の一例として、“0”が採用されているが、これに限らず、“0”以外の値が採用されてもよい。
【0052】
ステップ116で、CPU42は、第1カウンタのカウント値が第1既定値(例えば、30)に達したか否かを判定する。ステップ116において、第1カウンタのカウント値が第1既定値に達していない場合は、判定が否定されて、ステップ110へ移行する。ステップ116において、第1カウンタのカウント値が第1既定値に達した場合は、判定が肯定されて、ステップ124へ移行する。
【0053】
ステップ118で、CPU42は、第1カウンタのカウント値を“0”にリセットし、その後、ステップ120へ移行する。
【0054】
ステップ120で、CPU42は、終了条件を満足したか否かを判定する。ステップ120において、終了条件を満足していない場合は、判定が否定されて、ステップ110へ移行する。ステップ120において、終了条件を満足した場合は、判定が肯定されて、ステップ122へ移行する。
【0055】
ステップ122で、CPU42は、送風機34に対して送風を終了させ、その後、本ガス処理を終了する。
【0056】
ステップ124で、CPU42は、ディスプレイ58に対して、ガスメータ10の残留空気のパージが完了したことを示すパージ完了情報の表示を開始させ、その後、ステップ126へ移行する。パージ完了情報がディスプレイ58に表示されることで、ガスメータ10の残留空気のパージが完了したことが作業員等に報知される。
【0057】
ステップ126で、CPU42は、下流側濃度センサ36から下流側ガス濃度を取得し、その後、ステップ128へ移行する。
【0058】
ステップ128で、CPU42は、ステップ126で取得した下流側ガス濃度が第2既定濃度未満か否かを判定する。第2既定濃度とは、例えば、ガスの濃度の可燃域の下限を指す。
【0059】
ステップ128において、ステップ126で取得した下流側ガス濃度が第2既定濃度未満の場合は、判定が肯定されて、ステップ130へ移行する。ステップ128において、ステップ126で取得した下流側ガス濃度が第2既定濃度以上の場合は、判定が否定されて、ステップ134へ移行する。
【0060】
ステップ130で、CPU42は、第2カウンタ(図示省略)のカウント値に1を加算し、その後、ステップ132へ移行する。なお、本第1実施形態では、第2カウンタのカウント値の初期値の一例として、“0”が採用されているが、これに限らず、“0”以外の値が採用されてもよい。
【0061】
ステップ132で、CPU42は、第2カウンタのカウント値が第2既定値(例えば、30)に達したか否かを判定する。ステップ132において、第2カウンタのカウント値が第2既定値に達していない場合は、判定が否定されて、ステップ126へ移行する。ステップ132において、第2カウンタのカウント値が第2既定値に達した場合は、判定が肯定されて、ステップ140へ移行する。
【0062】
ステップ140で、CPU42は、ディスプレイ58に対して、酸化処理又は希釈放散処理が完了したことを示すガス処理完了情報の表示を開始させ、その後、ステップ142へ移行する。ガス処理完了情報がディスプレイ58に表示されることで、ガス処理が完了したことが作業員等に報知される。なお、本ステップ140の処理は、本発明に係る報知処理の一例である。
【0063】
本第1実施形態では、ステップ140の処理が実行されることで、パージ完了情報の表示状態が維持されたまま、同一画面内でパージ完了情報の表示領域とは異なる表示領域にガス処理完了情報が表示されるが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、CPU42は、ディスプレイ58に対して、パージ完了情報の表示を終了させ、ガス処理完了情報の表示を開始させるようにしてもよい。
【0064】
ステップ142で、CPU42は、送風機34に対して送風を終了させ、その後、ステップ146へ移行する。
【0065】
ステップ134で、CPU42は、第2カウンタのカウント値を“0”にリセットし、その後、ステップ136へ移行する。
【0066】
ステップ136で、CPU42は、終了条件を満足したか否かを判定する。ステップ136において、終了条件を満足していない場合は、判定が否定されて、ステップ144へ移行する。ステップ136において、終了条件を満足した場合は、判定が肯定されて、ステップ138へ移行する。
【0067】
ステップ138で、CPU42は、送風機34に対して送風を終了させ、その後、ステップ148へ移行する。
【0068】
ステップ144で、CPU42は、ステップ126で取得した最新の下流側ガス濃度に応じて定められた送風量に送風機34の送風量が調節されるように送風機34を制御し、その後、ステップ126へ移行する。
【0069】
ここで、ステップ126で取得した最新の下流側ガス濃度に応じて定められた送風量は、現時点の送風量よりも多い送風量であり、送風量導出テーブル又は送風量導出演算式により導出された送風量である。送風量導出テーブルとは、下流側ガス濃度と送風量とが予め対応付けられたテーブルを指し、送風量導出演算式とは、下流側ガス濃度を独立変数とし、送風量を従属変数とした演算式を指す。また、本ステップ144の処理が実行されるということは、酸化触媒26が機能不全状態である可能性が高いことを意味する。この場合、CPU42は、酸化触媒26が機能不全状態である可能性が高いことを示す情報をディスプレイ58に対して表示させることで作業員等に報知するようにしてもよい。なお、本ステップ144の処理は、本発明に係る供給処理の一例である。
【0070】
ステップ146で、CPU42は、パージ完了情報及びガス処理完了情報の表示を終了する条件である表示終了条件を満足したか否かを判定する。表示終了条件の一例としては、受付デバイス54に対して、パージ完了情報及びガス処理完了情報の表示を終了する指示が受け付けられたとの条件が挙げられる。表示終了条件の他例としては、ステップ142の処理の実行が終了してから、表示を終了する時間として予め定められた時間(例えば、15秒)が経過したとの条件が挙げられる。
【0071】
ステップ146において、表示終了条件を満足していない場合は、ステップ146の判定が再び行われる。ステップ146において、表示終了条件を満足した場合は、ステップ148へ移行する。
【0072】
ステップ148で、CPU42は、ディスプレイ58に対して、パージ完了情報及びガス処理完了情報のうちの現時点でディスプレイ58に表示されている情報の表示を終了させ、その後、本ガス処理を終了する。
【0073】
以上説明したように、ガス処理装置20では、取込口22Bから容器22に取り込まれたガスが酸化触媒26により酸化処理される。従って、ガス処理装置20によれば、パージ作業に伴ってガスメータ10から排出されるガスの安全な処理に寄与することができる。
【0074】
また、ガス処理装置20では、容器22にガスが取り込まれる前の既定期間、すなわち、図5に示す例では、ステップ100の処理が実行されてからステップ106の処理が実行されるまでの期間に、加熱器28により酸化触媒26が加熱される。従って、ガス処理装置20によれば、容器22にガスが取り込まれる前に酸化触媒26を活性化させることができる。
【0075】
また、ガス処理装置20では、容器22に取り込まれたガスを希釈して開口22Aから放散させるように送風機34による送風が行われる。従って、ガス処理装置20によれば、容器22内の酸化触媒26が機能不全状態になった場合であっても、パージ作業に伴ってガスメータ10から排出されるガスの安全な処理に寄与することができる。
【0076】
また、ガス処理装置20では、取込口22Bから容器22に取り込まれたガスが酸化触媒26に向けて押し出されるように送風機34による送風が行われる。従って、ガス処理装置20によれば、ガスが酸化触媒26に向けて押し出されない場合に比べ、容器22に取り込まれたガスに対する酸化触媒26による酸化処理に要する時間を短くすることができる。
【0077】
また、ガス処理装置20では、CPU42により、下流側ガス濃度に応じた処理(例えば、ステップ140,144の処理)が実行される。従って、ガス処理装置20によれば、下流側ガス濃度を用いずに希釈放散処理に関連する処理が実行される場合に比べ、希釈放散処理に関連する処理に要する手間を軽減することができる。
【0078】
また、ガス処理装置20では、下流側ガス濃度に応じて定められた送風量で容器22内に対する送風が行われる。従って、ガス処理装置20によれば、ガス処理の実行の開始時から常に最大の送風量で容器22内に対する送風が行われる場合に比べ、送風機34による送風量が過不足するという事態の発生を抑制することができる。
【0079】
更に、ガス処理装置20では、下流側ガス濃度に応じて、ガス処理完了情報がディスプレイ58に表示されることで、ガス処理が完了したことが作業員等に報知される。従って、ガス処理装置20によれば、下流側ガス濃度とは無関係にガス処理完了情報がディスプレイ58に表示される場合に比べ、ガス処理が完了したことを作業員等に正確に報知することができる。
【0080】
なお、上記第1実施形態では、上流側ガス濃度を複数回取得し、これらの上流側ガス濃度に基づいてパージ作業が完了したか否かが判定される場合を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、最新の上流側ガス濃度のみを1回取得し、取得した最新の上流側ガス濃度に基づいてパージ作業が完了したか否かが判定されるようにしてもよい。
【0081】
また、上記第1実施形態では、下流側ガス濃度を複数回取得し、これらの下流側ガス濃度に基づいてガス処理が完了したか否かが判定される場合を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、最新の下流側ガス濃度のみを1回取得し、取得した最新の下流側ガス濃度に基づいてガス処理が完了したか否かが判定されるようにしてもよい。
【0082】
[第2実施形態]
上記第1実施形態では、上流側濃度センサ32及び下流側濃度センサ36が併用される場合について説明したが、本第2実施形態では、上流側濃度センサ32を用いずにガス処理が行われる場合について説明する。なお、本第2実施形態では、上記第1実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0083】
一例として図7に示すように、本第2実施形態に係るガス処理装置200は、上記第1実施形態に係るガス処理装置20に比べ、上流側濃度センサ32を有しない点が異なる。また、ガス処理装置200は、ガス処理装置20に比べ、制御装置38に代えて制御装置202を有する点が異なる。
【0084】
一例として図8に示すように、制御装置202は、制御装置38に比べ、主制御部40に代えて主制御部204を有する点が異なる。
【0085】
主制御部204は、主制御部40に比べ、二次記憶部46がガス処理プログラム48に代えてガス処理プログラム206を記憶している点が異なる。
【0086】
次に、ガス処理装置200の本発明に係る部分の作用について、上記第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0087】
分流口18Aと取込口22Bとがホース24で接続された状態でメータコック16が開けられ、受付デバイス54によってガス処理実行開始指示が受け付けられると、CPU42は、ガス処理プログラム206に従って、本第2実施形態に係るガス処理を実行する。
【0088】
次に、図5及び図9を参照してCPU42によって実行される本第2実施形態に係るガス処理の流れの一例について説明する。なお、本第2実施形態に係るガス処理の説明では、上記第1実施形態に係るガス処理に含まれる処理と同一の処理については上記第1実施形態に係るガス処理と同一のステップ番号を付し、その説明を省略する。
【0089】
一例として図5及び図9に示すように、本第2実施形態に係るガス処理は、上記第1実施形態に係るガス処理に比べ、ステップ102に代えてステップ248を有する点、テップ110〜124の処理を有しない点、及びステップ140に代えてステップ250を有する点が異なる。
【0090】
図5に示すステップ248で、CPU42は、加熱器28による加熱を終了する条件である加熱終了条件を満足したか否かを判定する。加熱終了条件の一例としては、ステップ100の処理の実行が終了してから加熱終了時間が経過したとの条件が挙げられる。加熱終了時間とは、加熱終了時間の一例としては、実機による試験やコンピュータ・シミュレーションの結果等に基づいてホース24にガスが流入される平均的な時間として事前に定められた時間が挙げられる。また、加熱終了条件の一例としては、受付デバイス54によって加熱を終了する指示が受け付けられたとの条件が挙げられる。
【0091】
ステップ248において、加熱終了条件を満足していない場合は、判定が否定されて、ステプ104へ移行する。ステップ248において、加熱終了条件を満足した場合は、判定が肯定されて、ステップ106へ移行する。
【0092】
図5に示すステップ108の処理の実行が終了すると、図9に示すステップ126へ移行する。
【0093】
ステップ250で、CPU42は、ガス処理完了情報の表示を開始させ、その後、ステップ142へ移行する。ガス処理完了情報がディスプレイ58に表示されることで、ガス処理が完了したことが作業員等に報知される。なお、上記ステップ140では、パージ完了情報の表示状態が維持されたまま、パージ完了情報と同一画面内でパージ完了情報の表示領域とは異なる表示領域にガス処理完了情報が表示されるが、本ステップ250では、パージ完了情報は表示されない。
【0094】
そのため、作業員は、パージの完了を他の方法を用いて把握する必要がある。他の方法とは、例えば、メータコック16が開けられてから、ガスメータ10の残留空気がパージされるのに要する時間として予め定められた時間が経過したことを作業員がタイマ(図示省略)等による測定時間を目視することでパージの完了を把握するという方法が挙げられる。また、これ以外にも、例えば、ガスメータ10に表示される流量の積算値が予め定めされた積算値以上になったことを作業員が確認することでパージの完了を把握するという方法が挙げられる。また、これ以外にも、ガス処理完了情報の表示を確認することでパージの完了を把握するという方法が挙げられる。
【0095】
以上説明したように、ガス処理装置200では、上流側濃度センサ32を用いずにCPU42によりガス処理が実行される。従って、ガス処理装置200によれば、上流側濃度センサ32を用いる場合に比べ、部品点数を減らすことができる。また、ガス処理装置200によれば、上流側ガス濃度に基づく処理が実行される場合に比べ、ガス処理の実行の開始から終了までの時間を短くすることができる。
【0096】
[第3実施形態]
上記第1実施形態では、上流側濃度センサ32及び下流側濃度センサ36が併用される場合について説明したが、本第3実施形態では、下流側濃度センサ36を用いずにガス処理が行われる場合について説明する。なお、本第3実施形態では、上記第1実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0097】
一例として図10に示すように、本第3実施形態に係るガス処理装置300は、上記第1実施形態に係るガス処理装置20に比べ、下流側濃度センサ36を有しない点が異なる。また、ガス処理装置300は、ガス処理装置20に比べ、制御装置38に代えて制御装置302を有する点が異なる。
【0098】
一例として図11に示すように、制御装置302は、制御装置38に比べ、主制御部40に代えて主制御部304を有する点が異なる。
【0099】
主制御部304は、主制御部40に比べ、二次記憶部46がガス処理プログラム48に代えてガス処理プログラム306を記憶している点が異なる。
【0100】
次に、ガス処理装置300の本発明に係る部分の作用について、上記第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0101】
分流口18Aと取込口22Bとがホース24で接続された状態でメータコック16が開けられ、受付デバイス54によってガス処理実行開始指示が受け付けられると、CPU42は、ガス処理プログラム306に従って、本第3実施形態に係るガス処理を実行する。
【0102】
次に、図5及び図12を参照してCPU42によって実行される本第3実施形態に係るガス処理の流れの一例について説明する。なお、本第3実施形態に係るガス処理の説明では、上記第1実施形態に係るガス処理に含まれる処理と同一の処理については上記第1実施形態に係るガス処理と同一のステップ番号を付し、その説明を省略する。
【0103】
一例として図5及び図12に示すように、本第3実施形態に係るガス処理は、上記第1実施形態に係るガス処理に比べ、ステップ350を有する点、及びステップ126〜132に代えてステップ352を有する点、及びステップ134,144を有しない点が異なる。
【0104】
一例として図12に示すように、ステップ120において、判定が否定されると、ステップ350へ移行する。
【0105】
ステップ350で、CPU42は、ステップ110で取得した最新の上流側ガス濃度に応じて定められた送風量に送風機34の送風量が調節されるように送風機34を制御し、その後、ステップ110へ移行する。
【0106】
ここで、ステップ110で取得した最新の上流側ガス濃度に応じて定められた送風量は、現時点の送風量よりも多い送風量であり、本第3実施形態に係る送風量導出テーブル又は送風量導出演算式により導出された送風量である。本第3実施形態において、送風量導出テーブルとは、上流側ガス濃度と送風量とが予め対応付けられたテーブルを指し、送風量導出演算式とは、上流側ガス濃度を独立変数とし、送風量を従属変数とした演算式を指す。
【0107】
ステップ352で、CPU42は、ステップ124の処理の実行が終了してから既定時間が経過したか否かを判定する。ここで、既定時間とは、例えば、仮に酸化触媒26が機能不全状態で、現時点での送風量で送風機34による送風が継続された場合に、下流側ガス濃度が上述した第2既定濃度未満になる時間として事前に定められた時間を指す。なお、既定時間は、実機による試験やコンピュータ・シミュレーションの結果等に基づいて事前に定められた時間である。
【0108】
ステップ352において、ステップ124の処理の実行が終了してから既定時間が経過した場合は、判定が肯定されて、ステップ140へ移行する。ステップ352において、ステップ124の処理の実行が終了してから既定時間が経過していない場合は、判定が否定されて、ステップ136へ移行する。
【0109】
以上説明したようにガス処理装置300では、上流側ガス濃度が第1既定濃度に達していない場合に、現時点での上流側ガス濃度に応じて定められた送風量で容器22内に対する送風が行われる。従って、ガス処理装置300によれば、上流側ガス濃度が第1既定濃度に達していないにも拘らず常に最大の送風量で容器22内が送風される場合に比べ、送風に要する電力消費を抑制することができる。
【0110】
また、ガス処理装置300では、パージ完了情報の表示が開始されてから既定時間が経過したことを条件にガス処理完了情報がディスプレイ58に表示される。従って、ガス処理装置300によれば、パージ完了情報の表示と同時にガス処理完了情報がディスプレイ58に表示される場合に比べ、ガス処理が完了したことを作業員等に正確に報知することができる。
【0111】
[第4実施形態]
上記第1実施形態では、上流側濃度センサ32及び下流側濃度センサ36が併用される場合について説明したが、本第4実施形態では、上流側濃度センサ32及び下流側濃度センサ36を用いずにガス処理が行われる場合について説明する。なお、本第4実施形態では、上記第1実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0112】
一例として図13に示すように、本第4実施形態に係るガス処理装置400は、上記第1実施形態に係るガス処理装置20に比べ、上流側濃度センサ32及び下流側濃度センサ36を有しない点が異なる。また、ガス処理装置400は、ガス処理装置20に比べ、制御装置38に代えて制御装置402を有する点が異なる。
【0113】
一例として図14に示すように、制御装置402は、制御装置38に比べ、主制御部40に代えて主制御部404を有する点が異なる。
【0114】
主制御部404は、主制御部40に比べ、二次記憶部46がガス処理プログラム48に代えてガス処理プログラム406を記憶している点が異なる。
【0115】
次に、ガス処理装置400の本発明に係る部分の作用について、上記第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0116】
分流口18Aと取込口22Bとがホース24で接続された状態でメータコック16が開けられ、受付デバイス54によってガス処理実行開始指示が受け付けられると、CPU42は、ガス処理プログラム406に従って、本第4実施形態に係るガス処理を実行する。
【0117】
次に、図15を参照してCPU42によって実行される本第4実施形態に係るガス処理の流れの一例について説明する。なお、本第4実施形態に係るガス処理の説明では、上記第1実施形態に係るガス処理に含まれる処理と同一の処理については上記第1実施形態に係るガス処理と同一のステップ番号を付し、その説明を省略する。
【0118】
一例として図15に示すように、本第3実施形態に係るガス処理は、上記第1実施形態に係るガス処理に比べ、ステップ102に代えてステップ448を有する点、及びステップ110〜148に代えてステップ450〜458を有する点が異なる。
【0119】
一例として図15に示すように、ステップ448で、CPU42は、上記第2実施形態で説明した加熱終了条件を満足したか否かを判定する。ステップ448において、加熱終了条件を満足していない場合は、判定が否定されて、ステップ104へ移行する。ステップ448において、加熱終了条件を満足した場合は、判定が肯定されて、ステップ106へ移行する。
【0120】
ステップ450で、CPU42は、送風機34による送風を終了する条件である送風終了条件を満足したか否かを判定する。
【0121】
送風終了条件の一例としては、ステップ108の処理の実行が終了してから既定時間が経過したとの条件が挙げられる。ここで言う「既定時間」とは、ステップ108の処理の実行が終了した時点からの予め定められた時間を指す。既定時間の一例としては、仮に酸化触媒26が機能不全状態で、現時点での送風量で送風機34による送風が継続された場合に、容器22の開口22Aから放散されるガスの濃度が上述した第2既定濃度未満になる時間として事前に定められた時間が挙げられる。なお、本第4実施形態に係る既定時間は、例えば、実機による試験やコンピュータ・シミュレーションの結果等に基づいて事前に定められた時間である。
【0122】
ステップ450において、送風終了条件を満足した場合は、判定が肯定されて、ステップ452へ移行する。ステップ452において、送風終了条件を満足していない場合は、判定が否定されて、ステップ454へ移行する。
【0123】
ステップ452で、CPU42は、送風機34に対して送風を終了させ、その後、ステップ454へ移行する。
【0124】
ステップ454で、CPU42は、ディスプレイ58に対して、酸化処理又は希釈放散処理が完了したことを示すガス処理完了情報の表示を開始させ、その後、ステップ456へ移行する。ガス処理完了情報がディスプレイ58に表示されることで、ガス処理が完了したことが作業員等に報知される。なお、本ステップ454にて、同一画面でガス処理完了情報の表示領域と異なる表示領域にパージ完了情報も表示されるようにしてもよい。
【0125】
ステッ456で、CPU42は、ガス処理完了情報の表示を終了する条件である表示終了条件を満足したか否かを判定する。表示終了条件の一例としては、受付デバイス54に対して、ガス処理完了情報の表示を終了する指示が受け付けられたとの条件が挙げられる。表示終了条件の他例としては、ステップ454の処理の実行が終了してから、表示を終了する時間として予め定められた時間(例えば、15秒)が経過したとの条件が挙げられる。
【0126】
ステップ456において、表示終了条件を満足していない場合は、ステップ456の判定が再び行われる。ステップ456において、表示終了条件を満足した場合は、ステップ458へ移行する。
【0127】
ステップ458で、CPU42は、ディスプレイ58に対して、ガス処理完了情報の表示を終了させ、その後、本ガス処理を終了する。
【0128】
以上説明したように、ガス処理装置400では、上流側濃度センサ32及び下流側濃度センサ36を用いずにCPU42によりガス処理が実行される。従って、ガス処理装置400によれば、上流側濃度センサ32及び下流側濃度センサ36を用いる場合に比べ、部品点数を減らすことができる。また、ガス処理装置400によれば、上流側ガス濃度及び下流側ガス濃度を取得し、取得した上流側ガス濃度及び下流側ガス濃度に応じて処理が実行される場合に比べ、CPU42に対する処理負荷を軽減することができる。
【0129】
また、ガス処理装置400では、容器22に取り込まれたガスを希釈して開口22Aから放散させるように送風機34による送風が行われる。従って、ガス処理装置400によれば、容器22内の酸化触媒26が機能不全状態になった場合であっても、パージ作業に伴ってガスメータ10から排出されるガスの安全な処理に寄与することができる。
【0130】
なお、上記各実施形態では、ホース24を用いてガス出管14から容器22内にガスを直接送り込む場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、一例として図16に示すように、作業員は、一旦、ガスを袋体500に入れてから、袋体500内のガスを容器22内に送り込むようにしてもよい。
【0131】
一例として図16に示すように、袋体500は、開口500Aを有する。開口500Aには、ホース24の一端が分流口18Aに接続され、ホース24の他端が接続される。なお、袋体500の容量は、例えば、ガスメータ10内の残留空気の体積として想定され得る残留空気の最大体積の3〜4倍程度の体積に相当する容量である。
【0132】
袋体500を用いて上記各実施形態で説明したガス処理を実現する場合、先ず、作業員は、分流口18Aと開口500Aとをホース24で接続する。次に、作業員は、分流口18Aと開口500Aが接続された状態で、メータコック16を開ける。これにより、ガス出管14から分流口18Aを介してホース24に残留空気及びガスが放出され、ホース24に放出された残留空気及びガスは開口500Aを介して袋体500に取り込まれる。
【0133】
作業員は、パージ作業を完了すると、袋体500の開口500Aを蓋(図示省略)で閉じ、袋体500に収容されたガスを袋体500に密封する。次に、作業員は、開口500Aから蓋を外して開口500Aを直接、又はホース(図示省略)を介して、容器22の取込口22Bに接続する。そして、作業員は、ガス処理装置20(200,300,400)に対してガス処理の実行を開始する指示であるガス処理実行開始指示を行うと共に、袋体500を押圧することで袋体500から容器22内にガスを送り込む。これにより、上記各実施形態で説明したガス処理が実行されるので、上記各実施形態で説明したガス処理と同様の効果が得られる。
【0134】
また、上記各実施形態では、送風機34を用いて開口22Aからガスを放散する例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、希釈放散処理を行わずに酸化処理のみを行う場合は、送風機34が設置されていなくてもよいし、開口22Aがなくてもよい。
【0135】
また、上記各実施形態では、パージ作業を行うにあたって、ガスメータ10に対するパージに伴って分流口18Aから放出されたガスがガス処理装置20,200,300,400(以下、これらを区別して説明する必要がない場合、符号を付さずに「ガス処理装置」と称する)に取り込まれる例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ガスメータ10にガス試験口が設けられている場合には、ガスメータ10に対するパージに伴ってガス試験口から放出されたガスがガス処理装置に取り込まれるようにしてもよい。また、ガス処理装置は、ガスメータ10に対するパージに伴ってガス試験口及び分流口18Aの両方から放出されたガスがガス処理装置に取り込まれるようにしてもよい。
【0136】
また、上記各実施形態では、パージ完了情報及びガス処理完了情報の表示の一例として、ディスプレイによる可視表示を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、プリンタにより用紙にパージ完了情報及びガス処理完了情報のうちの少なくとも一方が印刷されて出力される永久可視表示であってもよい。また、音声再生装置によりパージ完了情報及びガス処理完了情報のうちの少なくとも一方が音声で出力される可聴表示であってもよい。可視表示、永久可視表示、及び可聴表示のうちの複数を組み合わせてもよい。また、これらの表示のみならず、ガス処理装置と通信可能なスマートデバイスやコンピュータ等の通信装置に対してパージ完了情報及びガス処理完了情報のうちの少なくとも一方がガス処理装置によって送信されるようにしてもよい。また、スマートデバイス等に搭載されているバイブレーション機能を働かせてパージの完了やガス処理の完了が作業者や管理者等に報知されるようにしてもよい。
【0137】
また、上記各実施形態では、ガスの濃度を希釈する非可燃性の希釈用気体の一例として空気を示し、容器22内に空気が送風される場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、空気に代えて窒素等の非可燃性の希釈用気体が容器22内に供給されるようにしてもよい。
【0138】
また、上記各実施形態では、ガス処理プログラム48,206,306,406(以下、符号を付さずに「ガス処理プログラム」と称する)を二次記憶部46から読み出す場合を例示したが、必ずしも最初から二次記憶部46に記憶させておく必要はない。例えば、図17に示すように、SSD、USBメモリ、又はCD−ROM等の任意の可搬型の記憶媒体600に先ずはガス処理プログラムを記憶させておいてもよい。この場合、記憶媒体600のガス処理プログラムがガス処理装置にインストールされ、インストールされたガス処理プログラムがCPU42によって実行される。
【0139】
また、通信網(図示省略)を介してガス処理装置に接続される他のコンピュータ又はサーバ装置等の記憶部にガス処理プログラムを記憶させておき、ガス処理プログラムがガス処理装置の要求に応じてダウンロードされるようにしてもよい。この場合、ダウンロードされたガス処理プログラムがCPU42によって実行される。
【0140】
また、上記各実施形態で説明したガス処理はあくまでも一例である。従って、主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよいことは言うまでもない。
【0141】
また、上記各実施形態では、コンピュータを利用したソフトウェア構成により本発明に係る実行部が実現される場合を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、コンピュータを利用したソフトウェア構成に代えて、Field−Programmable Gate Array(FPGA)又はApplication Specific Integrated Circuit(ASIC)等のハードウェア構成のみによって本発明に係る実行部が実現されてもよい。また、本発明に係る実行部は、ソフトウェア構成とハードウェア構成との組み合わせで実現されてもよい。
【0142】
本明細書に記載された全ての文献、特許出願及び技術規格は、個々の文献、特許出願及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
【符号の説明】
【0143】
10 ガスメータ
14 ガス出管
20,200,300,400 ガス処理装置
22A 開口
22B 取込口
24 ホース
26 酸化触媒
28 加熱器
30 脱臭器
32 上流側濃度センサ
34 送風機
36 下流側濃度センサ
42 CPU
48,206,306,406 ガス処理プログラム
58 ディスプレイ
図1
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図17