(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記クランプ電圧は、前記充電制御FETのゲート耐圧を超えず、かつ、前記充電制御FETのゲートに印加された場合に当該充電制御FETのオン抵抗値が所望の抵抗値以下になる電圧であることを特徴とする請求項8または9に記載の充放電制御回路。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された充放電制御回路では、充電制御FETをオンさせる場合に充電制御出力回路が出力する充電制御信号の電圧は、常に電源電圧(二次電池の電圧)の高さに応じた電圧となる。同様に、放電制御FETをオンさせる場合に放電制御出力回路が出力する放電制御信号の電圧も、常に電源電圧の高さに応じた電圧となる。
【0005】
一方、特に多セルのバッテリ装置では、部品コストを安価にするためにゲート耐圧の低い充電制御FETおよび放電制御FETを用いることがある。そのため、充放電制御回路としては、充電制御FETおよび放電制御FETのゲート耐圧を超えないように、充電制御信号および放電制御信号の電圧を電源電圧よりも低い電圧に制限する必要がある。
【0006】
しかしながら、例えば、放電制御FETをオンさせる時に、電源電圧よりも低い電圧を放電制御信号として出力するように放電制御出力回路を構成すると、放電制御出力回路は、電源電圧が低下している場合でも、その低下した電源電圧よりも更に低い電圧を出力してしまう。その結果、放電制御FETのオン抵抗値が上がってしまい、放電制御FETが発熱するおそれがある。
これは、充電制御出力回路、充電制御FETについても同様である。
【0007】
したがって、本発明は、放電制御FETおよび/または充電制御FETをオンさせる場合に出力する放電制御信号および/または充電制御信号の電圧を、放電制御FETおよび/または充電制御FETのゲート耐圧を超えることなく、かつ、オン抵抗値が高くなることを抑制するように制御可能な充放電制御回路およびバッテリ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態は、二次電池の第1電極に接続される第1電源端子と、前記二次電池の第2電極に接続される第2電源端子と、前記二次電池の放電を制御する放電制御FETのゲートに接続される放電制御端子と、前記放電制御端子に放電制御信号を出力する放電制御出力回路と、前記放電制御出力回路を制御する制御回路とを備え、前記放電制御出力回路は、前記第1電源端子の電圧が
第1の所定の電圧より高く、かつ、前記放電制御FETをオンさせる場合に、前記第1電源端子の電圧よりも低い
第1のクランプ電圧を前記放電制御端子に出力する
第1クランプ電圧出力回路と、前記第1電源端子の電圧が前記
第1の所定の電圧以下であり、かつ、前記放電制御FETをオンさせる場合に、前記第1電源端子の電圧を前記放電制御端子に出力する
第1電源電圧出力回路と
、前記第1電源端子の電圧が前記第1の所定の電圧以下であるか否かを判定する第1判定回路とを有し、前記第1クランプ電圧出力回路は、一端が前記第1電源端子に接続された第1定電流源と、前記第1定電流源の他端にゲートとドレインが接続された第1導電型の第1MOSトランジスタと、前記第1MOSトランジスタのソースと前記第2電源端子との間に電流経路を形成するよう接続され、ダイオード接続された少なくとも一つの第1導電型の第2MOSトランジスタと、前記第1MOSトランジスタとカレントミラー接続された第1導電型の第3MOSトランジスタと、一端が前記第3MOSトランジスタのソース及び前記放電制御端子に接続され、他端が前記第2電源端子に接続された第2定電流源とを含み、前記第1判定回路は、一端が前記第1電源端子に接続された第3定電流源と、ドレインが前記第3定電流源の他端に接続され、前記第2MOSトランジスタのうちソースが前記第2電源端子に接続された前記第2MOSトランジスタとカレントミラー接続された第1導電型の第4MOSトランジスタと、前記第4MOSトランジスタのドレインの電圧を受けるインバータとを含み、前記第1電源電圧出力回路は、前記インバータの出力をゲートに受け、ソースが前記第1電源端子に接続され、ドレインが前記放電制御端子に接続された第2導電型の第5MOSトランジスタを含むことを特徴とする充放電制である。
また、本発明の一実施形態は、二次電池の第1電極に接続される第1電源端子と、前記二次電池の第2電極に接続される第2電源端子と、前記二次電池の放電を制御する放電制御FETのゲートに接続される放電制御端子と、前記放電制御端子に放電制御信号を出力する放電制御出力回路と、前記放電制御出力回路を制御する制御回路とを備え、前記放電制御出力回路は、前記第1電源端子の電圧が第1の所定の電圧より高く、かつ、前記放電制御FETをオンさせる場合に、前記第1電源端子の電圧よりも低い第1のクランプ電圧を前記放電制御端子に出力する第1クランプ電圧出力回路と、前記第1電源端子の電圧が前記第1の所定の電圧以下であり、かつ、前記放電制御FETをオンさせる場合に、前記第1電源端子の電圧を前記放電制御端子に出力する第1電源電圧出力回路と、前記第1電源端子の電圧が前記第1の所定の電圧以下であるか否かを判定する第1判定回路とを有し、前記第1クランプ電圧出力回路は、一端が前記第1電源端子に接続された第1定電流源と、前記第1定電流源の他端にゲートとドレインが接続された第1導電型の第1MOSトランジスタと、前記第1MOSトランジスタのソースと前記第2電源端子との間に電流経路を形成するよう接続され、ダイオード接続された少なくとも一つの第1導電型の第2MOSトランジスタと、前記第1MOSトランジスタとカレントミラー接続された第1導電型の第3MOSトランジスタと、一端が前記第3MOSトランジスタのソース及び前記放電制御端子に接続され、他端が前記第2電源端子に接続された第2定電流源とを含み、前記第1判定回路は、前記第1電源端子と前記第2電源端子との間に直列に接続された第1抵抗および第2抵抗と、非反転入力端子に前記第1抵抗と前記第2抵抗との接続点の電圧を受け、反転入力端子に第1の基準電圧を受ける第1コンパレータとを含み、前記第1電源電圧出力回路は、前記第1コンパレータの出力電圧をゲートに受け、ソースが前記第1電源端子に接続され、ドレインが前記放電制御端子に接続された第2導電型の第4MOSトランジスタを含むことを特徴とする充放電制御回路である。
【0009】
また、本発明の一実施形態は、二次電池の第1電極に接続される第1電源端子と、前記二次電池の充電を制御する充電制御FETのゲートに接続される充電制御端子と、前記充電制御FETのソースに接続され、前記第1電源端子との間に充電器が接続される外部電圧入力端子と、前記充電制御端子に充電制御信号を出力する充電制御出力回路と、前記充電制御出力回路を制御する制御回路とを備え、前記充電制御出力回路は、前記第1電源端子の電圧が所定の電圧より高く、かつ、前記充電制御FETをオンさせる場合に、前記第1電源端子の電圧よりも低いクランプ電圧を前記充電制御端子に出力するクランプ電圧出力回路と、前記第1電源端子の電圧が前記所定の電圧以下であり、かつ、前記充電制御FETをオンさせる場合に、前記第1電源端子の電圧を前記充電制御端子に出力する電源電圧出力回路と
、前記第1電源端子の電圧が前記所定の電圧以下であるか否かを判定する判定回路とを有し、前記クランプ電圧出力回路は、一端が前記第1電源端子に接続された第1定電流源と、前記第1定電流源の他端にゲートとドレインが接続された第1導電型の第1MOSトランジスタと、前記第1MOSトランジスタのソースと前記外部電圧入力端子との間に電流経路を形成するよう接続され、ダイオード接続された少なくとも一つの第1導電型の第2MOSトランジスタと、前記第1MOSトランジスタとカレントミラー接続された第1導電型の第3MOSトランジスタと、一端が前記第3MOSトランジスタのソース及び前記充電制御端子に接続され、他端が前記外部電圧入力端子に接続された第2定電流源とを含み、前記判定回路は、一端が前記第1電源端子に接続された第3定電流源と、ドレインが前記第3定電流源の他端に接続され、前記第2MOSトランジスタのうちソースが前記外部電圧入力端子に接続された前記第2MOSトランジスタとカレントミラー接続された第1導電型の第4MOSトランジスタと、前記第4MOSトランジスタのドレインの電圧を受けるインバータとを含み、前記電源電圧出力回路は、前記インバータの出力をゲートに受け、ソースが前記第1電源端子に接続され、ドレインが前記充電制御端子に接続された第2導電型の第5MOSトランジスタを含むことを特徴とする充放電制御回路である。
また、本発明の一実施形態は、二次電池の第1電極に接続される第1電源端子と、前記二次電池の充電を制御する充電制御FETのゲートに接続される充電制御端子と、前記充電制御FETのソースに接続され、前記第1電源端子との間に充電器が接続される外部電圧入力端子と、前記充電制御端子に充電制御信号を出力する充電制御出力回路と、前記充電制御出力回路を制御する制御回路とを備え、前記充電制御出力回路は、前記第1電源端子の電圧が所定の電圧より高く、かつ、前記充電制御FETをオンさせる場合に、前記第1電源端子の電圧よりも低いクランプ電圧を前記充電制御端子に出力するクランプ電圧出力回路と、前記第1電源端子の電圧が前記所定の電圧以下であり、かつ、前記充電制御FETをオンさせる場合に、前記第1電源端子の電圧を前記充電制御端子に出力する電源電圧出力回路と、前記第1電源端子の電圧が前記所定の電圧以下であるか否かを判定する判定回路とを有し、前記クランプ電圧出力回路は、一端が前記第1電源端子に接続された第1定電流源と、前記第1定電流源の他端にゲートとドレインが接続された第1導電型の第1MOSトランジスタと、前記第1MOSトランジスタのソースと前記外部電圧入力端子との間に電流経路を形成するよう接続され、ダイオード接続された少なくとも一つの第1導電型の第2MOSトランジスタと、前記第1MOSトランジスタとカレントミラー接続された第1導電型の第3MOSトランジスタと、一端が前記第3MOSトランジスタのソース及び前記充電制御端子に接続され、他端が前記外部電圧入力端子に接続された第2定電流源とを含み、前記判定回路は、前記第1電源端子と前記外部電圧入力端子との間に直列に接続された第1抵抗および第2抵抗と、非反転入力端子に前記第1抵抗と前記第2抵抗との接続点の電圧を受け、反転入力端子に基準電圧を受けるコンパレータとを含み、前記電源電圧出力回路は、前記コンパレータの出力電圧をゲートに受け、ソースが前記第1電源端子に接続され、ドレインが前記充電制御端子に接続された第2導電型の第4MOSトランジスタを含むことを特徴とする充放電制御回路である。
【0010】
また、本発明の一実施形態は、上記いずれかの充放電制御回路
を備えるバッテリ装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、放電制御FETをオンさせる場合に出力する放電制御信号の電圧を、放電制御FETのゲート耐圧を超えることなく、かつ、そのオン抵抗値が高くなることを抑制するように制御することができる。
【0012】
また、本発明によれば、充電制御FETをオンさせる場合に出力する充電制御信号の電圧を、充電制御FETのゲート耐圧を超えることなく、かつ、そのオン抵抗値が高くなることを抑制するように制御することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態による充放電制御回路1を備えたバッテリ装置10を示す図である。
バッテリ装置10は、充放電制御回路1と、多セルの二次電池2と、充放電経路RT+、RT−と、充放電端子P+、P−と、充電制御FET3と、放電制御FET4とを備えている。充電制御FET3は、二次電池2への充電を制御する。放電制御FET4は、二次電池2からの放電を制御する。
充放電経路RT+は、二次電池2の第1電極2aに接続されている。充放電端子P+は、充放電経路RT+に設けられている。充放電経路RT−は、二次電池2の第2電極2bに接続されている。充放電端子P−は、充放電経路RT−に設けられている。充電制御FET3および放電制御FET4は、充放電経路RT−に配置されている。充電制御FET3のソースは、充放電端子P−に接続されている。充電制御FET3のドレインは、放電制御FET4のドレインに接続されている。放電制御FET4のソースは、二次電池2の第2電極2bに接続されている。
充放電端子P+と充放電端子P−との間には、充電器20および負荷30が並列に接続される。
【0015】
充放電制御回路1は、第1電源端子1Aと、第2電源端子1Bと、充電制御端子1Cと、放電制御端子1Dと、外部電圧入力端子1Eと、充放電監視回路1aと、制御回路1bと、充電制御出力回路1cと、放電制御出力回路1dとを備えている。
第1電源端子1Aは、二次電池2の第1電極2aに接続されている。また、第1電源端子1Aは、充放電監視回路1aに接続されている。第2電源端子1Bは、二次電池2の第2電極2bに接続されている。また、第2電源端子1Bは、充放電監視回路1aに接続されている。充放電監視回路1aは、制御回路1bに接続されている。制御回路1bは、充電制御出力回路1cと放電制御出力回路1dとに接続されている。
充電制御出力回路1cは、充電制御端子1Cに接続されている。充電制御端子1Cは、充電制御FET3のゲートに接続されている。また、放電制御出力回路1dは、放電制御端子1Dに接続されている。放電制御端子1Dは、放電制御FET4のゲートに接続されている。
充放電監視回路1aは、二次電池2の充放電状態を監視する。制御回路1bは、充放電監視回路1aからの信号に基づいて、充電制御出力回路1cおよび放電制御出力回路1dを制御する。充電制御出力回路1cは、制御回路1bからの制御信号に基づいて、充電制御FET3に充電制御信号を出力する。放電制御出力回路1dは、制御回路1bからの制御信号に基づいて、放電制御FET4に放電制御信号を出力する。
【0016】
以下、まず、
図1に示す放電制御出力回路1dの詳細について説明する。
放電制御出力回路1dは、放電制御FET4をオンさせる場合、かつ、第1電源端子1Aの電圧が所定の電圧より高い場合に、第1電源端子1Aの電圧よりも低いクランプ電圧を放電制御端子1Dに出力する。ここで、クランプ電圧は、放電制御FET4のゲート耐圧を超えず、かつ、放電制御FET4のゲートに印加された場合に放電制御FET4のオン抵抗値が所望の抵抗値以下になる電圧である。
また、放電制御出力回路1dは、放電制御FET4をオンさせる場合、かつ、第1電源端子1Aの電圧が上記所定の電圧以下の場合に、第1電源端子1Aの電圧を放電制御端子1Dに出力する。
なお、上記所定の電圧は、第1電源端子1Aの電圧が下がってきた場合に、所望のクランプ電圧を維持できなくなる電圧に設定される。
【0017】
図2は、
図1に示す放電制御出力回路1dの第1の具体例である放電制御出力回路1d
1を示す回路図である。
放電制御出力回路1d
1は、クランプ電圧出力回路100と、判定回路200と、電源電圧出力回路300とを備えている。
【0018】
クランプ電圧出力回路100は、一端がスイッチSW1を介して第1電源端子1Aに接続された定電流源CCS1と、定電流源CCS1の他端にゲートとドレインが接続されたNMOS(第1導電型MOS)トランジスタM3と、NMOSトランジスタM3のソース(ノードA)と第2電源端子1Bとの間に電流経路を形成するよう接続され、それぞれダイオード接続されたNMOSトランジスタM21〜M23と、NMOSトランジスタM3とカレントミラー接続されたNMOSトランジスタM4と、一端がNMOSトランジスタM4のソース(ノードC)および放電制御端子1Dに接続され、他端が第2電源端子1Bに接続された定電流源CCS2とを含んで構成されている。また、NMOSトランジスタM3のゲートとNMOSトランジスタM4のゲートとの接続点であるノードBは、スイッチSW2を介して第2電源端子1Bに接続されている。さらに、NMOSトランジスタM4のドレインは、スイッチSW3を介して第1電源端子1Aに接続されている。
【0019】
判定回路200は、一端がスイッチSW4を介して第1電源端子1Aに接続された定電流源CCS3と、ドレインが定電流源CCS3の他端に接続され、NMOSトランジスタタM21〜M23のうち、ソースが第2電源端子1Bに接続されているNMOSトランジスタM21とカレントミラー接続されたNMOSトランジスタM1と、NMOSトランジスタM1のドレインの電圧を入力端子に受けるインバータINVとを含んで構成されている。また、インバータINVの入力端子は、スイッチSW5を介して第2電源端子1Bに接続されている。
【0020】
電源電圧出力回路300は、ゲートがインバータINVの出力端子(判定回路200の出力)に接続され、ソースが第1電源端子1Aに接続され、ドレインが放電制御端子1Dに接続されたPMOS(第2導電型MOS)トランジスタM5と、ゲートに制御回路1bからの制御信号を受け、ドレインが放電制御端子1Dに接続され、ソースが第2電源端子1Bに接続されたNMOSトランジスタM6とを含んで構成されている。
NMOSトランジスタM6は、放電制御端子1DにLレベルの信号を出力する際のドライバとして設けられている。ただし、NMOSトランジスタM6は必須ではなく、これを削除し、PMOSトランジスタM5のPchオープンドレイン出力としても構わない。
【0021】
ここで、スイッチSW1〜SW5の動作について説明する。スイッチSW1〜SW5は、いずれも制御回路1bからの制御信号によって制御される。
放電制御FET4をオンさせる場合、制御回路1bはLレベルの信号を出力し、SW1、SW3、SW4がオン、SW2、SW5がオフとなる。
図2は、この場合の各スイッチの状態を示している。このとき、NMOSトランジスタM6は、制御回路1bからのLレベルの信号をゲートに受けるためオフする。これにより、放電制御端子1DにHレベルの信号が出力される。
一方、放電制御FET4をオフさせる場合、SW1、SW3、SW4がオフ、SW2、SW5がオンとなり、各スイッチは、
図2と反対の状態となる。このとき、NMOSトランジスタM6は、制御回路1bからのHレベルの信号をゲートに受けるためオンする。これにより、放電制御端子1DにLレベルの信号を出力が出力される。
【0022】
以下、SW1、SW3、SW4をオン、SW2、SW5をオフとし、放電制御FET4をオンさせる場合における放電制御出力回路1d
1の動作について説明する。
【0023】
第1電源端子1Aの電圧が上記所定の電圧より高い場合、クランプ電圧出力回路100において、NMOSトランジスタM21〜M23がすべてオンとなり、ノードAの電圧は、NMOSトランジスタM21〜M23の各閾値電圧を合計した値になる。そして、ノードBの電圧は、ノードAの電圧にNMOSトランジスタM3の閾値電圧を加算した値になる。さらに、ノードCの電圧は、ノードBの電圧からNMOSトランジスタM4の閾値電圧を減算した値になる。このときのノードCの電圧がクランプ電圧となる。
このとき、NMOSトランジスタM21とゲート同士が接続された判定回路200内のNMOSトランジスタM1もオンするため、インバータINVの入力端子の電圧が低下していく。そして、この電圧がインバータINVの反転電圧を下回ると、インバータINVは、判定回路200の出力として、Hレベルの信号を出力する。こうして、判定回路200により、第1電源端子1Aの電圧が上記所定の電圧よりも高いことが判定される。
これにより、電源電圧出力回路300内のPMOSトランジスタM5のゲートがHレベルとなることから、PMOSトランジスタM5がオフとなる。NMOSトランジスタM6もオフしていることから、放電制御端子1Dには、ノードCに生成されたクランプ電圧が出力される。
このようにして、放電制御出力回路1d
1は、第1電源端子1Aの電圧が上記所定の電圧より高い場合には、放電制御端子1Dに第1電源端子1Aの電圧よりも低いクランプ電圧を出力する。
【0024】
なお、NMOSトランジスタM3とM4とが同じ閾値電圧のトランジスタであれば、ノードCの電圧は、ノードAの電圧と同じ電圧となる。すなわち、クランプ電圧は、ダイオード接続されたNMOSトランジスタM21〜M23の各閾値電圧を合計した値となる。したがって、ダイオード接続されたNMOSトランジスタの数は三つに限らず、クランプ電圧が所望の値なるように、その数は適宜増減され得る。また、ダイオード接続されたNMOSトランジスタの代わりに、複数のダイオードを用いても構わない。
【0025】
一方、第1電源端子1Aの電圧が上記所定の電圧以下になった場合、クランプ電圧を生成するNMOSトランジスタM21〜M23は、ゲート・ソース間電圧を維持することができなくなる。そして、NMOSトランジスタM21のゲート・ソース間電圧が低下すると、ゲート同士が接続されたNMOSトランジスタM1のゲート・ソース間電圧も低下し、そのインピーダンスが大きくなる。
判定回路200内のインバータINVの入力端子の電圧は、定電流源CCS3とNMOSトランジスタM1のインピーダンスによって決まることから、上述のように、NMOSトランジスタM1のインピーダンスが大きくなると、インバータINVの入力端子の電圧が上昇する。そして、この電圧がインバータINVの反転電圧を上回ると、インバータINVは、判定回路200の出力として、Lレベルの信号を出力する。こうして、判定回路200により、第1電源端子1Aの電圧が上記所定の電圧以下に低下したことが判定される。
これにより、電源電圧出力回路300内のPMOSトランジスタM5のゲートがLレベルとなることから、PMOSトランジスタM5がオンする。PMOSトランジスタM5がオンし、NMOSトランジスタM6はオフしていることから、放電制御出力回路1d
1は、放電制御端子1Dに第1電源端子1Aの電圧を出力する。
このとき、NMOSトランジスタM4は、ソース電圧が高くなってオフするため、PMOSトランジスタM5の動作が妨げられることはない。
このようにして、放電制御出力回路1d
1は、第1電源端子1Aの電圧が上記所定の電圧以下に低下したときに、放電制御端子1Dに第1電源端子1Aの電圧を出力する。
【0026】
以上のとおり、本例の放電制御出力回路1d
1によれば、放電制御FET4をオンさせる場合に放電制御端子1Dに出力する放電制御信号の電圧を、第1電源端子1Aの電圧が高いときにはクランプ電圧とし、第1電源端子1Aの電圧が低いときには第1電源端子1Aの電圧とするように切り替えることができる。したがって、放電制御FET4のゲートに印加される電圧がその耐圧を超えることを防止し、かつ、そのオン抵抗値が高くなることを抑制することが可能となる。
【0027】
なお、第1電源端子1Aの電圧が上記所定の電圧より高いときには、ノードBの電圧は、第1電源端子1Aの電圧より低い電圧(すなわち、NMOSトランジスタM21〜M23の各閾値電圧を合計した値に、さらにNMOSトランジスタM3の閾値電圧を加算した電圧)となる。また、第1電源端子1Aの電圧が上記所定の電圧よりも低くなると、ノードBの電圧は、第1電源端子1Aの電圧と同電位となる。したがって、ノードBの電圧を放電制御端子1Dに出力することも考えられる。しかし、ノードBの電圧は、定電流源CCS1によって作られているだけであるため、ノードBの電圧を直接放電制御端子1Dから放電制御信号として出力した場合、放電制御FET4をドライブする(オンさせる)にはドライバビリティが不足してしまう。
かかるドライバビリティの不足を補うため、本例では、ソースフォロア接続されたNMOSトランジスタM4を使用している。これによりドライバビリティが確保される。しかしながら、ノードCの電圧は、常にノードBの電圧からNMOSトランジスタM4の閾値電圧を減算した値となる。このため、第1電源端子1Aの電圧が低下した時に放電制御端子1Dに出力される電圧は第1電源端子1Aの電圧よりも低い電圧となり、放電制御FET4のオン抵抗値が上昇してしまうことになる。
したがって、本例の放電制御出力回路1d
1の構成が有効となる。
【0028】
図3は、
図1に示す放電制御出力回路1dの第2の具体例である放電制御出力回路1d
2を示す回路図である。
本例の放電制御出力回路1d
2は、スイッチSW4およびSW5が削除され、SW4−1、SW4−2、SW4−3が追加されている点と、判定回路200の回路構成において、
図2に示す第1の具体例の放電制御出力回路1d
1と異なっている。その他の点は、
図2に示す放電制御出力回路1d
1と同一であるため、同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0029】
放電制御出力回路1d
2における判定回路200は、一端がスイッチSW4−1を介して第1電源端子1Aに接続された抵抗R1と、抵抗R1の他端と第2電源端子1Bとの間に接続された抵抗R2と、抵抗R1の他端に接続されるともに、スイッチSW4−2を介して第1電源端子1Aに接続された非反転入力端子と、基準電圧Vrefが入力される反転入力端子とを有するコンパレータCMPとを含んで構成されている。なお、基準電圧Vrefは、上記所定の電圧を抵抗R1と抵抗R2とで分圧した電圧に設定されている。
また、コンパレータCMPの出力端子は、PMOSトランジスタM5のゲートに接続されるとともに、スイッチSW4−3を介して第1電源端子1A接続されている。
【0030】
スイッチSW4−1、SW4−2、SW4−3は、スイッチSW1〜SW3と同様、制御回路1bからの制御信号によって制御される。
放電制御FET4をオンさせる場合、制御回路1bはLレベルの信号を出力し、SW1、SW3、SW4−1がオン、SW2、SW4−2、SW4−3がオフとなる。
図3は、この場合の各スイッチの状態を示している。このとき、NMOSトランジスタM6は、制御回路1bからのLレベルの信号をゲートに受けるためオフする。これにより、放電制御端子1DにHレベルの信号が出力される。
一方、放電制御FET4をオフさせる場合、SW1、SW3、SW4−1がオフ、SW2、SW4−2、SW4−3がオンとなり、各スイッチは、
図3と反対の状態となる。このとき、NMOSトランジスタM6は、制御回路1bからのHレベルの信号をゲートに受けるためオンする。これにより、放電制御端子1DにLレベルの信号が出力される。
【0031】
以下、SW1、SW3、SW4−1をオン、SW2、SW4−2、SW4−3をオフとし、放電制御FET4をオンさせる場合における放電制御出力回路1d
2の動作について説明する。
【0032】
第1電源端子1Aの電圧が上記所定の電圧より高い場合、クランプ電圧出力回路100は、放電制御出力回路1d
1のクランプ電圧出力回路100と同様に動作して、ノードCにクランプ電圧を生成する。
判定回路200においては、コンパレータCMPが第1電源端子1Aの電圧を抵抗R1と抵抗R2とで分圧した電圧と基準電圧Vrefとを比較し、比較結果を出力する。ここでは、第1電源端子1Aの電圧が上記所定の電圧より高いため、コンパレータCMPは、判定回路200の出力として、Hレベルの信号を出力する。こうして、判定回路200により、第1電源端子1Aの電圧が上記所定の電圧よりも高いことが判定される。
これにより、電源電圧出力回路300内のPMOSトランジスタM5のゲートがHレベルとなることから、PMOSトランジスタM5がオフとなる。NMOSトランジスタM6もオフしていることから、ノードCに生成されたクランプ電圧が放電制御端子1Dに出力される。
【0033】
一方、第1電源端子1Aの電圧が上記所定の電圧以下になった場合、判定回路200において、第1電源端子1Aの電圧を抵抗R1と抵抗R2とで分圧した電圧が基準電圧Vrefよりも低くなるため、コンパレータCMPは、判定回路200の出力として、Lレベルの信号を出力する。こうして、判定回路200により、第1電源端子1Aの電圧が上記所定の電圧以下に低下したことが判定される。
これにより、電源電圧出力回路300内のPMOSトランジスタM5のゲートがLレベルとなることから、PMOSトランジスタM5がオンする。PMOSトランジスタM5がオンし、NMOSトランジスタM6はオフしていることから、放電制御出力回路1d
2は、放電制御端子1Dに第1電源端子1Aの電圧を出力する。
このとき、NMOSトランジスタM4は、ソース電圧が高くなってオフするため、PMOSトランジスタM5の動作が妨げられることはない。
このようにして、放電制御出力回路1d
2は、第1電源端子1Aの電圧が上記所定の電圧以下に低下したときに、放電制御端子1Dに第1電源端子1Aの電圧を出力する。
【0034】
以上のとおり、本例の放電制御出力回路1d
2によっても、放電制御出力回路1d
1と同様
、放電制御FET4をオンさせる場合に放電制御端子1Dに出力する放電制御信号の電圧を、第1電源端子1Aの電圧が高いときにはクランプ電圧とし、第1電源端子1Aの電圧が低いときには第1電源端子1Aの電圧とするように切り替えることができる。したがって、放電制御FET4のゲートに印加される電圧がその耐圧を超えることを防止し、かつ、そのオン抵抗値が高くなることを抑制することが可能となる。
【0035】
ここまで、
図1に示す放電制御出力回路1dの詳細について説明してきたが、
図1に示す充電制御出力回路1cについても、その詳細は、放電制御出力回路1dとほぼ同様である。
すなわち、充電制御出力回路1cは、充電制御FET3をオンさせる場合、かつ、第1電源端子1Aの電圧が所定の電圧より高い場合に、第1電源端子1Aの電圧よりも低いクランプ電圧を充電制御端子1Cに出力する。ここで、クランプ電圧は、充電制御FET3のゲート耐圧を超えず、かつ、充電制御FET3のゲートに印加された場合に充電制御FET3のオン抵抗値が所望の抵抗値以下になる電圧である。
また、充電制御出力回路1cは、充電制御FET3をオンさせる場合、かつ、第1電源端子1Aの電圧が上記所定の電圧以下の場合に、第1電源端子1Aの電圧を充電制御端子1Cに出力する。
【0036】
ただし、充電制御出力回路1cには、
図1に示すように、充電制御FET3のソース(充放電端子P−)に接続され、第1電源端子1Aとの間に充電器が接続される外部電圧入力端子1Eからの電圧が入力されている。そして、充電制御FET3をオフさせる場合に、充電制御出力回路1cは、外部電圧入力端子1Eの電圧を充電制御FET3のゲートに供給する。
したがって、充電制御出力回路1cの第1の具体例および第2の具体例は、図示は省略するが、それぞれ
図2および3に示す放電制御出力回路1dの第1の具体例である放電制御出力回路1d
1および第2の具体例である放電制御出力回路1d
2に対応した構成であって、第2電源端子1Bを外部電圧入力端子1Eに置き換え、放電制御端子1Dを充電制御端子1Cに置き換えた構成となる。
【0037】
なお、本実施形態において、放電制御出力回路1dおよび充電制御出力回路1cの両方を上述のように構成してもよく、また、放電制御出力回路1dのみ、または充電制御出力回路1cのみを上述のように構成しても構わない。
【0038】
以上、本発明の実施形態及びその変形を説明したが、これらの実施形態及びその変形は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態及びその変形は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態及びその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同時に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。また、上述した各実施形態及びその変形は、互いに適宜組み合わせることができる。
例えば、上記実施形態において、放電制御出力回路1dにおける所定の電圧と充電制御出力回路1cにおける所定の電圧とは、同一であっても異なっていてもよい。同一の場合は、放電制御FET4および充電制御FET3として、同じ耐圧のFETを用いることができ、異なっている場合は、放電制御出力回路1dおよび充電制御出力回路1cが出力する各クランプ電圧に合わせて、異なる耐圧のFETを用いることができる。
また、本発明は、二次電池が多セルである場合に特に有効であるため、上記実施形態では二次電池2が多セルである例を示したが、二次電池2を1セルとしてももちろん構わない。
さらに、上記実施形態では、放電制御出力回路1dおよび充電制御出力回路1cのそれぞれを、第1導電型MOSトランジスタとしてNMOSトランジスタを用い、第2導電型MOSトランジスタとしてPMOSトランジスタを用いて構成した例を示したが、これに限られない。放電制御FET4と充電制御FET3を充放電経路RT+側に配置し、放電制御出力回路1dおよび充電制御出力回路1c内のMOSトランジスタの導電型を入れ替えて、すなわち、第1導電型MOSトランジスタをPMOSトランジスタ、第2導電型MOSトランジスタをNMOSトランジスタとし、放電制御出力回路1dおよび充電制御出力回路1cの出力により充放電経路RT+側に配置された放電制御FET4と充電制御FET3をそれぞれ制御するように構成してもよい。