(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6837981
(24)【登録日】2021年2月15日
(45)【発行日】2021年3月3日
(54)【発明の名称】喫煙物品のための管
(51)【国際特許分類】
A24D 1/04 20060101AFI20210222BHJP
A24D 3/18 20060101ALI20210222BHJP
【FI】
A24D1/04
A24D3/18
【請求項の数】13
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-542410(P2017-542410)
(86)(22)【出願日】2016年3月17日
(65)【公表番号】特表2018-507687(P2018-507687A)
(43)【公表日】2018年3月22日
(86)【国際出願番号】EP2016055878
(87)【国際公開番号】WO2016146781
(87)【国際公開日】20160922
【審査請求日】2019年3月8日
(31)【優先権主張番号】15159519.6
(32)【優先日】2015年3月17日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】グランジャン エメリック
(72)【発明者】
【氏名】ジョルディル イヴ
(72)【発明者】
【氏名】ドゥラロイ セシリア リンドホルム
【審査官】
土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】
実開平02−123896(JP,U)
【文献】
特表2008−523800(JP,A)
【文献】
特表2013−523101(JP,A)
【文献】
特表2009−545324(JP,A)
【文献】
実開昭54−134681(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24D 1/04
A24D 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
喫煙物品のマウスピースに一時的に付加するための管であって、前記管が、
開いた上流端と、
開いた下流端と、
外部表面と、
前記喫煙物品の前記マウスピースを受けるための内腔を画定する内部表面とを含み、前記内腔が前記開いた上流端から前記開いた下流端へと延び、
前記管がさらに、前記管の前記内腔内への換気を提供するための第一の換気帯域を備え、前記第一の換気帯域が、前記外部表面から前記内部表面へと延びる第一の穿孔線を含み、かつ前記管の前記開いた下流端から少なくとも10mmの位置で前記管を囲み、
前記管の前記内腔に換気を提供するための第二の換気帯域をさらに備え、前記第二の換気帯域が前記管の前記開いた上流端から10mm〜15mmの位置にある前記管を囲む第一の穿孔線を含み、
前記第一の換気帯域の前記第一の穿孔線が、前記第二の換気帯域の前記第一の穿孔線とは異なるレベルの換気を提供するように構成される、管。
【請求項2】
前記第一の換気帯域がさらに、前記管の前記開いた下流端から12mm〜30mmの位置で前記管を囲む1つ以上の追加的な穿孔線を含む、請求項1に記載の管。
【請求項3】
前記第二の換気帯域がさらに、前記管の前記開いた上流端から12mm〜30mmの位置で前記管を囲む1つ以上の追加的な穿孔線を含む、請求項1に記載の管。
【請求項4】
前記管の前記外部表面、前記管の前記内部表面、または両方に、前記第一の換気帯域の前記第一の穿孔線の前記位置を示す1つ以上のしるしが提供される、請求項1に記載の管。
【請求項5】
前記管の前記外部表面、前記管の前記内部表面、または両方に1つ以上のしるしが提供されており、各しるしが前記管にあるそれぞれの穿孔線の前記位置を示すように構成される、請求項2または3に記載の管。
【請求項6】
風味剤が前記管の前記内部表面、前記管の前記外部表面、または両方に提供される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の管。
【請求項7】
前記風味剤が、前記喫煙物品の前記マウスピースの上または周りでの前記管の移動に応答して放出されるように構成される、請求項6に記載の管。
【請求項8】
前記開いた上流端での前記管の外径が、前記開いた下流端での前記管の外径の少なくとも約90パーセントであるか、前記開いた上流端での前記管の内径が、前記開いた下流端での前記管の内径の少なくとも約90パーセントであるか、または両方である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の管。
【請求項9】
前記管が約30ミリメートル〜約70ミリメートルの長さを持つ、請求項1〜8のいずれか1項に記載の管。
【請求項10】
前記管が、管状本体と、前記管状本体の周りに巻かれたラッパーとをさらに備える、請求項1〜9のいずれか1項に記載の管。
【請求項11】
喫煙物品の前記マウスピースに付加された請求項1〜10のいずれか1項に記載の管を含む、喫煙物品組立品。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の管および喫煙物品を含む、組み立てることができる構成部品のキット。
【請求項13】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の1つ以上の管を含む、容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、喫煙物品(例えば、紙巻たばこ)のマウスピースに一時的に付加するための管、およびそれに付加される管を有する喫煙物品に関連する。本発明はまた、1つ以上のこうした管を含む容器に関連する。
【背景技術】
【0002】
フィルター紙巻たばこは一般的に、紙ラッパーで囲まれたたばこカットフィラーのロッドと、包まれたたばこロッドと端と端を接して整列され、チッピングペーパーによってたばこロッドに取り付けられた円筒形フィルターとを備える。従来的なフィルター紙巻たばこでは、フィルターは、多孔性のプラグラップ内に包装された酢酸セルローストウのプラグから構成しうる。主流煙の粒子状およびガス状構成要素を除去するために濾過材料の二つ以上のセグメントを備える複数構成要素フィルターを持つフィルター紙巻たばこも知られている。
【0003】
たばこなどのエアロゾル形成基体が燃焼式ではなく加熱式である数多くの喫煙物品も、当業界で提案されてきた。加熱式喫煙物品では、エアロゾルはエアロゾル形成基体の加熱によって生成される。周知の加熱式喫煙物品には、例えば、エアロゾルが電気的加熱によるか、または可燃性燃料要素または熱源からエアロゾル形成基体への熱の移動によって生成される喫煙物品が含まれる。喫煙中、揮発性化合物は、熱源からの熱伝達によってエアロゾル形成基体から放出され、喫煙物品を通して引き込まれた空気中に混入される。放出された化合物が冷めるにつれて凝結してエアロゾルを形成し、これが消費者によって吸い込まれる。また、ニコチン含有エアロゾルがたばこ材料、たばこ抽出物、またはその他のニコチン供与源から、燃焼することなく、また一部の場合には加熱することなく、例えば化学反応によって生成される、喫煙物品も公知である。
【0004】
一般的に、消費者はたばこロッドの燃焼領域がチッピングペーパーの端に達するまで喫煙物品を喫煙する。これは、たばこの小さな部分(チッピングペーパーがたばこロッドと重なる部分)が、まだ未燃焼のまま残っており、消火しない限り燃焼が継続することを意味する。従って、消費者は一般には、フィルターを持って、喫煙物品の点火側の端を灰皿の底部またはその他の硬質の不燃性の表面に対して押し付けることによって、喫煙物品を消火する。これにより、点火側の端の構造が崩壊し、酸素が燃焼中のたばこに達するのを妨げ、燃焼は通常は速やかに停止する。ところが、喫煙物品の消火の過程で、消費者の指が喫煙物品の点火側の端または灰皿内に残っている燃えかすに接触または接近することがある。
【0005】
したがって、喫煙物品を安全で衛生的な方法で消化するためにいくつかの解決策が提案されてきた。例えば、点火端がこの修正されたセクションに達した時に紙巻たばこが効果的に自己消火されるように、たばこロッドを取り巻く紙のその下流端でまたは周辺での燃焼特性を修正することが提案されてきた。ところが、一部の状況では消費者が、点火端がラッパーの修正されたセクションに達する前に紙巻たばこを消火したい場合があり、従って紙巻たばこを手動で消火する必要がある。その上、修正されたセクションが常に迅速かつ信頼できる方法で点火端を消火するとは限らない。
【0006】
提案された別の解決策は、消費者が喫煙物品の喫煙を終了した後で、喫煙物品上をスライドしてたばこロッドの点火端を覆って喫煙物品を消火することができる、管またはスリーブを提供することである。ところが、こうした管は喫煙時の喫煙物品の機能を妨げたり、望ましくない影響を及ぼしたりしかねない。
【0007】
したがって、喫煙時に喫煙物品の機能を妨げたり、望ましくない影響を及ぼしたりすることなく、安全でかつ衛生的な方法で喫煙物品を消火するための解決策を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0008】
本発明の第一の態様によれば、喫煙物品のマウスピースへの一時的な付加のための管が提供されており、管は、開いた上流端と、開いた下流端と、外部表面と、喫煙物品のマウスピースを受けるための内腔を画定する内部表面とを含み、内腔は開いた上流端から開いた下流端に延び、また管はさらに、管の内腔に換気を提供するための第一の換気帯域を含み、第一の換気帯域は、管の開いた下流端から少なくとも10mmの位置で管を囲む第一の穿孔線を含む。
【0009】
喫煙物品のマウスピースを換気して喫煙者が受ける主流煙を希釈することが望ましいことがよくある。主流煙の換気はチッピングペーパー内のフィルターに沿った位置付近にある一列以上の穿孔によって達成できる。周知の消火管は、こうした穴を塞ぎ、したがってその穴が提供することが意図されている換気を除去しうる。
【0010】
本発明の第一の態様による管を提供することにより、消費者は、管を喫煙時にマウスピースの上でスライドし、管上にある穿孔線を利用して、管が喫煙物品のマウスピースにある既存の穿孔穴を塞いでいる場合であっても、望ましいレベルの換気を提供できる。これにより、有利なことに、消費者は、喫煙の体験を妨げたり、望ましくない影響を及ぼしたりすることなく、喫煙時に管をマウスピースの延長として、使用できるようになる。その後、管は消費者が紙巻たばこの消火を選択するまで、マウスピース上に残ることができる。消費者は、喫煙物品の点火端が管の内腔にあり、それによって消火されるように管をマウスピースに沿って上流にスライドさせることで、消火の補助として管を使用できる。したがって、本発明の第一の態様による管は、喫煙物品の全長にわたりスライドするよう構成されるべきである。すなわち管は、喫煙物品の上や周りを管が通過するのを抑制または阻止しない内部表面を持つよう構成されるべきである。特に、内部表面は、管が喫煙物品の全長にわたり、かつそれに沿ってスライドするのを阻止しないように、明確な段差が全くなく連続的であるべきである。
【0011】
その上、本発明の第一の態様による管は、消費者に、喫煙物品に口側の端のくぼみを形成するか、喫煙物品にある既存の口側の端のくぼみの長さを延長して、喫煙の体験をカスタム化する新しい方法を提供する。
【0012】
「内部表面」という用語は、本明細書全体を通して、内腔に面する管の側面を意味するために使用される。同様に、「外部表面」という用語は、本明細書全体を通して、管の外側に面する管の側面を意味するために使用される。
【0013】
「上流」および「下流」という用語は、エアロゾル発生基体から引き出され、フィルターまたはマウスピースを通過する時の主流煙の方向に関連して説明された、喫煙物品またはフィルターの要素間の相対的位置を意味する。主流煙は喫煙物品の長さに対して一般的に平行に、長軸方向に流れる。喫煙物品の横断する方向は長軸方向と直角を成す。
【0014】
本明細書で使用される「喫煙物品のマウスピースへの一時的な付加」という用語は、喫煙物品マウスピースの上をスライドし、それと係合して、マウスピースに対して管を保持できるようにするが、消費者が喫煙物品マウスピースから選択的にスライドして外し、分離することもできるような、管を意味する。
【0015】
第一の換気帯域の第一の穿孔線は、管の開いた下流端から10mm〜15mmの位置に提供されることが好ましい。
【0016】
第一の換気帯域はさらに、管の開いた下流端から12mm〜30mmの位置で管を取り囲む、1つ以上の追加的な穿孔線を含むことが好ましい。管の開いた下流端から12mm〜30mmの位置で管を囲む1つ以上の追加的な穿孔線を提供することにより、消費者は、管が寄与する換気のレベルをカスタマイズできる。例えば、第一の換気帯域が3つの穿孔線から成る場合、消費者は、最も上流の2つの穿孔線のみが喫煙物品マウスピースの外部表面によって塞がれるように、管をマウスピースの周りに位置付けうる。こうした構成では、最も下流の穿孔線が、管の下流端部分により画定される口側の端のくぼみ内に換気を提供できる。消費者が、喫煙の体験中の任意の時点で換気レベルを変更したい場合、最も上流の2つの穿孔線のうち1つ以上が喫煙物品マウスピースによって塞がれない状態にして、したがって口側の端のくぼみ内での換気に寄与できるように、喫煙物品に対して管を下流にスライドさせうる。これにより、消費者に、換気レベルをカスタマイズし、またその結果として喫煙の体験を独自の特定の好みに合わせて構成する能力を提供する。
【0017】
管は、管の内腔に換気を提供するための第二の換気帯域を含み、第一の換気帯域は管の開いた上流端から10mm〜15mmの位置にある管を囲む第二の穿孔線を含むことが好ましい。管の開いた上流端から10mm〜15mmの位置で管を囲む穿孔線を持つ第二の換気帯域を提供することにより、管は、喫煙物品マウスピース上で消費者が選択する管をスライドする向きに関係なく、換気を提供する能力を持つ。
【0018】
第二の換気帯域はさらに、管の開いた上流端から12mm〜30mmの位置で管を取り囲む、1つ以上の追加的な穿孔線を含むことが好ましい。管の開いた上流端から12mm〜30mmの位置で管を囲む1つ以上の追加的な穿孔線を提供することにより、消費者は、管が寄与する換気のレベルをカスタマイズできる。例えば、第一の換気帯域が3つの穿孔線から成る場合、消費者は、最も上流の2つの穿孔線のみが喫煙物品マウスピースの外部表面によって塞がれるように、管をマウスピースの周りに位置付けうる。こうした構成では、最も下流の穿孔線が、管の下流端部分にある口側の端のくぼみ内に換気を提供できる。消費者が、喫煙の体験中の任意の時点で換気レベルを変更したい場合、最も上流の2つの穿孔線のうち1つ以上が喫煙物品マウスピースによって塞がれない状態にして、したがって口側の端のくぼみへの換気に寄与できるように、喫煙物品に対して管をスライドさせるだけでよい。これにより、消費者に、換気レベルをカスタマイズし、またその結果として喫煙の体験を独自の特定の好みに合わせて構成する能力を提供する。
【0019】
管が第一の穿孔線を含む第二の換気帯域をさらに含む実施形態では、第一の換気帯域の第一の穿孔線は、第二の換気帯域の第一の穿孔線とは異なるレベルの換気を提供するように構成されることが好ましい。これにより、消費者が選択する喫煙物品マウスピースの上で管をスライドさせる向きに応じて、異なるレベルの換気を得ることができるため、消費者に喫煙の体験をカスタマイズするためのさらなる手段を提供できる。
【0020】
管の外部表面、管の内部表面、または両方には、1つ以上のしるしが提供されることが好ましく、ここで各しるしは管上の穿孔線のそれぞれの位置を示すように構成される。これは、有利なことに、消費者が喫煙物品のマウスピースの周りで望ましいレベルの換気を提供する位置に管を位置付けるのに役立ちうる。
【0021】
風味送達機構は、管の内部表面、管の外部表面、または両方に提供されることが好ましい。一部の好ましい実施形態では、管は、第一の風味剤を放出するように構成された管の内部表面にある風味送達機構と、第二の風味剤を放出するように構成された管の外部表面にある風味送達機構とを備える。第一の風味剤は第二の風味剤とは異なることが好ましい。例えば、管の内部表面は、喫煙物品によって生成される煙を風味付けるための第一の風味剤を放出するように構成されてもよく、管の外部表面は、消費者の唇に風味付けする、消費者の指に風味付けする、または両方のために、第二の風味剤を放出するように構成されてもよい。
【0022】
一部の好ましい実施形態では、風味送達機構は、外部表面の一部分のみ、内部表面の一部分のみ、または両方に提供される。例えば、一部の好ましい実施形態では、風味送達機構は、管の上流端にのみ提供される。これは、喫煙物品が消火された時に生成される匂いを隠すかまたは打ち消すために風味剤が提供されている場合、有利なことがある。別の方法としてまたは追加的に、風味送達機構は管の外部表面の下流端にのみ提供されうる。これは、風味送達機構に、消費者の唇に風味付けするための風味剤を含む場合に、有利なことがある。
【0023】
風味送達機構は、1つ以上のトリガー事象に反応して風味剤を放出するよう構成されることが好ましい。好ましいトリガー事象には、管が喫煙物品に付加される時の喫煙物品に対する管の移動、水分の追加、pHの変更、温度上昇、およびその組み合わせが含まれる。
【0024】
特に好ましいトリガー事象は、管が喫煙物品に付加された時の喫煙物品に対する管の移動である。これは、管をマウスピースで横方向に移動させる、管をマウスピースの周りで回転方向に移動させる、または両方によってなしうる。ところが、一部の特に好ましい実施形態では、これによって消費者がどの時点でトリガー機構が起動するかを正確に選択できるようになるため、風味剤がマウスピースの周りでの管の回転動作に応答して放出されることが好ましい。マウスピースの周りでの管の回転動作が風味剤を放出できることを消費者に知らせるためのしるしを、管の外部表面に提供しうる。
【0025】
一部の好ましい実施形態では、風味送達機構は、管の表面に提供されている複数の壊れやすい風味容器を備えるが、ここで複数の壊れやすい風味容器は、消費者が使用時に手動で壊して容器内から風味が放出されるように適合される。壊れやすい風味容器が管の外部表面に提供されている場合、消費者は指で容器を壊して、例えば、風味を消費者の指に移動させることができる。別の方法としてまたは追加的に、壊れやすい容器は管の内部表面に提供されてもよい。こうした実施形態では、消費者は、管をマウスピース上で横方向に移動させる、マウスピースの周りで管を回転方向に移動させること、または両方によって管の内部表面にある壊れやすい容器を壊すことができる。
【0026】
本明細書で使用される「壊れやすい風味剤容器」という用語は、風味剤を収容するのに適し、かつ消費者によって手動で壊すことができる任意の容器を意味する。壊れやすい風味剤容器は、壊れやすいマイクロカプセルであることが好ましい。したがって、本発明のさらなる態様は、壊れやすいマイクロカプセルに関連して説明されうるが、当業者であれば、こうした態様は、その他の形態の壊れやすい風味剤容器と共に使用される時にも同等に適用されることを理解する。
【0027】
「風味剤」という用語は本明細書全体で使用する時、味覚(味)、嗅覚(におい)、または味覚と嗅覚の両方を含むものとして解釈されるべきである。例えば、風味剤は主流煙を改善するために、消費者の指に、または主流煙中に、または両方に味覚を与えることができる。別の方法としてまたは追加的に、風味剤は消費者の指に(例えば、喫煙後の新鮮な香り)、または主流煙中に、または両方に香りを与えることもできる。
【0028】
一つの実施形態では、風味送達機構は、例えば、喫煙物品によって生成された煙から、または消費者の唇または口からの水分への暴露に応答して風味剤を放出するよう構成される。別の実施形態では、喫煙物品の点火端から、またはユーザーの口もしくは唇からの熱が、風味送達機構が風味剤を放出させるようにしうる。なお別の実施形態では、風味送達機構は、pHの変化に応答して風味剤を放出するよう構成される。pHの変化は、風味送達機構が消費者の口などの環境内に置かれた時に発生しうる。
【0029】
風味剤は、喫煙物品および従ってそこから由来する煙の特徴と相互作用し修飾するのに適切であることが好ましい。例えば、風味剤は風味を与えて、喫煙の間に生産される主流煙の味覚を増強し得る。その場合、風味剤が放出される時、消費者は変性された主流煙による斬新な喫煙感覚を体験しうる。
【0030】
適切な風味剤または香料には、メントール、ミント(ハッカおよびオランダハッカなど)、ユーカリ、セージ、チョコレート、甘草、柑橘類およびその他の果物風味剤、γ八量体、バニリン、エチルバニリン、口臭消臭風味剤、スパイス風味剤(シナモンなど)、サルチル酸メチル、リナロール、ベルガモット油、ゼラニウム油、レモン油、ジンジャー油、およびたばこ風味剤などが含まれるが、これに限定されない。その他の適切な風味剤としては、酸、アルコール、エステル、アルデヒド、ケトン、ピラジン、これらの組み合わせまたはブレンド、およびそれに類するものから成る群から選択される風味剤化合物が挙げられる場合がある。
【0031】
開いた上流端での管の外径は、開いた下流端での管の外径の少なくとも約90パーセントであることが好ましく、開いた下流端での管の外径の少なくとも約95パーセントであることがより好ましい。特に好ましい実施形態では、管の外部表面は実質的に円筒形である。すなわち、開いた上流端での管の外径は、開いた下流端での管の外径と実質的に同じであることが好ましい。
【0032】
開いた上流端での管の内径は、開いた下流端での管の内径の少なくとも約90パーセントであることが好ましく、開いた下流端での管の内径の少なくとも約95パーセントであることがより好ましい。特に好ましい実施形態では、管の内部表面は実質的に円筒形である。これにより、管内の内腔の断面が実質的に円筒形に維持されることを確実にすることができ、これは喫煙物品への管の付加を支援しうる。
【0033】
開いた上流端での管の内径は、開いた上流端での管の外径の少なくとも約90パーセントであることが好ましく、開いた下流端での管の外径の少なくとも約95パーセントであることがより好ましい。これは、半径方向の寸法または喫煙物品の外観を大きく増大させることなく、管が喫煙物品に付加されうることを意味する。
【0034】
開いた下流端での管の内径は、開いた下流端での管の外径の少なくとも約90パーセントであることが好ましく、開いた下流端での管の外径の少なくとも約95パーセントであることがより好ましい。これは、半径方向の寸法または喫煙物品の外観を大きく増大させることなく、管が喫煙物品に付加されうることを意味する。
【0035】
内腔は、喫煙物品の喫煙物品マウスピース全体を受けるように構成されることが好ましい。
【0036】
管の長さは約30ミリメートル〜約70ミリメートルであることが好ましく、約37ミリメートル〜約60ミリメートルであることがより好ましい。一部の好ましい実施形態では、管は約45 mmの長さを有する。これによって、有利なことに、喫煙時に喫煙物品のマウスピースの少なくとも実質的な部分の周りに配置されるようにでき、その一方で第一の換気帯域の第一の穿孔線が、管によって少なくとも部品的に画定される口側の端のくぼみ内への換気を提供するようにできる。その上、これは有利なことに、喫煙物品を消火する時に、管の下流端をマウスピースの下流端の上流に移動することなく、消費者が管の上流端をマウスピースの上流端を越えてスライドできるようにできる。
【0037】
管の内径は、約7.8mm〜約8.2mm、約6.8mm〜約7.2mm、または約5.8mm〜約6.2mmであることが好ましい。管の外径は、管の内径よりも約0.4mm〜1.0mm大きいことが好ましい。
【0038】
管は任意の適切な材料から形成されうる。一部の実施形態では、管は、らせん状に巻かれた紙などの紙で形成される。これは、管が単回用に意図されている時に有利でありうる。その他一部の実施形態では、管はプラスチックまたは高分子材料、または金属材料から形成されうる。これは、管が再利用可能として意図されている時に有利でありうる。
【0039】
一部の特に好ましい実施形態では、管は管状本体と、管状本体の周りに巻かれたラッパーを備える。こうした実施形態では、管状本体は、管の内部表面を画定でき、またラッパーは管の外部表面を画定できる。ラッパーは紙から作製されることが好ましい。ラッパーはチッピングペーパーから作製されることが好ましい。例えば、ラッパーは坪量が約25グラム/平方メートルと約150グラム/平方メートルとの間であることが好ましく、約25グラム/平方メートルと約100グラム/平方メートルとの間であることがより好ましい。ラッパーは、20マイクロメートル〜250マイクロメートル、好ましくは100マイクロメートル〜200マイクロメートルの厚さを持つことがより好ましい。こうした配置は、有利にも管の外部表面が従来的な喫煙物品の外部表面に対して類似した属性を示すことに役立ちつつも、喫煙物品のマウスピースに対してスライド可能に付加するために、管が十分に剛直でかつ耐久性のある状態に維持されるよう確保するのにも役立ちうる。
【0040】
管には、その内部表面、その外部表面、または両方に1つ以上のしるしが提供されうる。別の方法としてまたは追加的に、喫煙物品には1つ以上のしるしが提供されうる。「しるし」という用語は、個々の視覚的な要素、または審美的に心地良いもしくは情報を与える表現を提供する反復的な視覚的な要素またはパターンを意味するのに使用される。しるしは、テキスト、画像、文字、語句、ロゴ、パターンまたはその組み合わせの形態としうる。例えば、しるしは、管のどちらの端が上流端であるべきであり、どちらの端が下流端であるべきかを消費者に示すために使用されうる。別の方法としてまたは追加的に、しるしは、風味剤が管の特定の部分に力がかけられることで、または喫煙物品に対する管の特定の動作(喫煙物品の周囲で管を回転させるなど)によって放出されうることを消費者に示すために使用されうる。別の方法としてまたは追加的に、喫煙物品には1つ以上のしるしを提供されうるが、ここで各しるしは、消費者が喫煙物品に対して管を整列させて、望ましいレベルの換気を提供しうる方法を示すために構成される。
【0041】
本発明の第二の態様によれば、喫煙物品のマウスピースに付加されている本発明の第一の態様による管を含む、喫煙物品組立品が提供されている。管は、本発明の第一の態様に関連して、上述の好ましい特徴のどれかを持ちうる。特に、組立品の管および喫煙物品は、喫煙物品の全長に沿って喫煙物品の外側全体およびそれに沿った管のスライドが許容されるように構成されることが好ましい。すなわち、管の内部表面が、管が喫煙物品の全長全体にかつそれに沿ったスライドを阻止するような明確な段差が全くなく連続的であることが好ましい。
【0042】
喫煙物品組立品は、組み立てられた形態で提供されうるが、その場合、管は喫煙物品のマウスピースの周りにすでに配置され、かつ一時的に付加されている。この場合には、消費者は、喫煙物品を直ちに喫煙でき、またマウスピースに対する管の位置を好みに応じて随意に調節できる。別の方法として、喫煙物品組立品は、組み立てられていない形態で提供されうるが、その場合、管は喫煙物品のマウスピースの周りにまだ配置されておらず、かつまだ一時的に付加されていない。この場合には、消費者は、喫煙物品マウスピース上で管を望ましい位置にスライドさせてから、喫煙物品の喫煙を開始することができる。したがって、喫煙物品組立品は、キットとして提供されてもよく、キットを組み立てるための説明書と共に提供されることが好ましい。したがって、本発明の第三の態様によれば、組み立てることが可能な構成部品のキットが提供されており、キットは、喫煙物品と、本発明の第一の態様または本発明の第二の態様による管とを備える。組立が可能な構成部品は、本発明の第一の態様に関連して上述した任意の望ましい特徴を持ちうる。組立が可能なキットの構成要素部品は、追加的に、構成要素部品を組み立てるための説明書、構成要素部品のうち1つ以上を含む容器、または両方を備えうる。
【0043】
喫煙物品は、紙ラッパーで囲まれたたばこカットフィラーのロッドと、包まれたたばこロッドと端と端を接して整列され、チッピングペーパーによってたばこロッドに取り付けられた円筒形フィルターとを備えるフィルター紙巻たばこであることが好ましい。フィルターは、プラグラップに巻かれた濾過材料のプラグを備えることが好ましい。フィルター紙巻たばこは、主流煙の粒子状およびガス状構成要素を除去するために濾過材料の二つ以上のセグメントを備える複数構成要素フィルターを含みうる。
【0044】
別の方法として、喫煙物品は、たばこなどのエアロゾル形成基体が燃焼されるのではなく加熱される喫煙物品でもよい。加熱式喫煙物品では、エアロゾルはエアロゾル形成基体の加熱によって生成される。例えば、加熱式喫煙物品には、エアロゾルが電気的加熱によるか、または可燃性燃料要素または熱源からエアロゾル形成基体への熱の移動によって生成される喫煙物品が含まれる。喫煙中、揮発性化合物は、熱源からの熱伝達によってエアロゾル形成基体から放出され、喫煙物品を通して引き込まれた空気中に混入される。放出された化合物が冷めるにつれて凝結してエアロゾルを形成し、これが消費者によって吸い込まれる。
【0045】
本発明の第四の態様によれば、本発明の第一の態様1つ以上の管を含む容器が提供されている。容器内に含まれる1つ以上の管は、本発明の第一の態様に関連して、上述の好ましい特徴のどれかを持ちうる。容器は、適切な任意の形状または構成を持ちうる。容器は、従来的な喫煙物品を含めるために一般的に使用されるタイプのヒンジ・リッド式パックであることが好ましい。こうした容器の利点は、リッドが開かれた時、管の開かれた端が露出され、上に面するように、1つ以上の管を容器内で長軸方向に整列させることができることである。これは、消費者が、パックを一方の手で保持し、もう一方の手で喫煙物品マウスピースをパック内の管の露出した開放端に挿入するだけで、管への喫煙物品の付加を容易にしうる。したがって、管は、容器が開かれている時、少なくとも一つの管が、容器の外側に露出される開放端を持つように配置されるように、容器に配置されることが好ましい。管は、軸方向に整列され、かつ容器内の所定位置に保持されることが好ましい。
【0046】
容器は、上述した管のみを含みうる。別の方法として、一部の実施形態では、容器は管が付加されうる1つ以上の喫煙物品も含みうる。これらの喫煙物品は、口側の端のくぼみを含みうる。管は、喫煙物品に隣接した容器内に提供されうるが、その場合、消費者は、喫煙物品の喫煙をしたい時に、管を喫煙物品のマウスピースに付加できる。別の方法として、消費者が管およびその関連付けられた喫煙物品を単一の動作で容器から取り外せるように、1つ以上の管が容器内のそれぞれの喫煙物品にすでに付加されていてもよい。
本発明は以下の添付図面を参照しながら、例証としてのみであるがさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態による喫煙物品に一時的に付加するための管の斜視図である。
【
図2】
図2は、喫煙物品の斜視図であり、
図1の管は未組立の状態にある。
【
図3】
図3は、喫煙物品の斜視図であり、
図1の管は組み立てられた状態にある。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図1は、喫煙物品のマウスピースに一時的に付加するための管(10)を示す。管(10)は、開いた下流端(40)および開いた上流端(60)を持つ。管は中空であり、かつ喫煙物品のマウスピースを受けるための開いた上流端(60)から開いた下流端(40)に延びる内腔である。管(10)は、複数の換気穴(52、54)の線(この場合には3つの線)を含む、第一の換気帯域(50)を持つ。第一の換気穴(52)の線は、管(10)の開いた下流端(40)から10mm〜15mmの位置に提供される。
【0049】
図1の管はまた、管(10)の開いた上流端(60)から10mm〜15mmの位置に穿孔線(70)を持つ、第二の換気帯域を含む。管(10)は、管の内部表面を画定する 管状本体(14)と、管(10)の外部表面を画定する外側ラッパー(16)とから形成される。
図1の実施形態では、外側ラッパー(16)はチッピングペーパーであることが好ましい。
【0050】
図2は、
図1の管(10)を未組立の状態の喫煙物品(80)と共に示す。喫煙物品(80)は、チッピングペーパー(86)によって一緒に固定されたたばこロッド(88)およびフィルター(84)を備える。チッピングペーパー(86)およびフィルタープラグラップ(87)は、明確にするために未組立の状態で示されている。穿孔線(89)は、チッピングペーパー(86)およびフィルタープラグラップ(87)上に提供されている。フィルター(84)は、下流の口側の端(82)を持つ。
図2からわかる通り、管(10)の内腔は、管(1)が喫煙物品(80)のフィルター(84)上をスライドでき、付加されるようになるような形状およびサイズである。
【0051】
図3は、管(10)が喫煙物品(80)に付加される構成(100)を示す。この外部斜視図では表示されていないが、喫煙物品(82)の口側の端は、管(10)上の第一の換気帯域(50)のわずかに上流に位置する。この配置の結果、管(10)の下流端が口側の端のくぼみを画定し、また換気が第一の換気帯域(50)の穿孔線(52、54)によって口側の端のくぼみに提供されることになる。
【0052】
消費者が喫煙物品(80)の喫煙を終了した後で、たばこロッド(88)の点火端が管の上流端(10)によって覆われ、それによって消火されるように、管(10)を上流にスライドできる。ルースたばこまたは燃え差しがあれば、管(10)の内腔内に保持され、それらが消費者の指に接触するようになる可能性が最小化されうる。