特許第6837982号(P6837982)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6837982絶縁性多層シートおよび太陽電池モジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6837982
(24)【登録日】2021年2月15日
(45)【発行日】2021年3月3日
(54)【発明の名称】絶縁性多層シートおよび太陽電池モジュール
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/22 20180101AFI20210222BHJP
   C09J 123/26 20060101ALI20210222BHJP
   C09J 123/08 20060101ALI20210222BHJP
   H01L 31/048 20140101ALI20210222BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20210222BHJP
【FI】
   C09J7/22
   C09J123/26
   C09J123/08
   H01L31/04 560
   B32B27/00 M
【請求項の数】17
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2017-543225(P2017-543225)
(86)(22)【出願日】2016年9月26日
(86)【国際出願番号】JP2016078158
(87)【国際公開番号】WO2017057216
(87)【国際公開日】20170406
【審査請求日】2019年7月18日
(31)【優先権主張番号】特願2015-193264(P2015-193264)
(32)【優先日】2015年9月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000174862
【氏名又は名称】三井・ダウポリケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】礒川 素朗
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 結
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 紀彦
(72)【発明者】
【氏名】一関 主税
(72)【発明者】
【氏名】中田 一之
【審査官】 武重 竜男
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/125685(WO,A1)
【文献】 特表2013−501102(JP,A)
【文献】 特表2011−511875(JP,A)
【文献】 特開2015−005646(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J7/00−7/50
C09J123/00−157/12
H01L31/00−31/20
C08L23/00−23/36
B32B27/00−27/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気絶縁性樹脂フィルム層と、前記電気絶縁性樹脂フィルム層の片面または両面に設けられた接着層と、を備える絶縁性多層シートであって、
前記接着層は、エポキシ基含有エチレン系共重合体(A)と、エチレン・極性モノマー共重合体および密度が920kg/m以下のエチレン・α−オレフィン共重合体から選択される少なくとも一種のエチレン系共重合体(B)(ただし、前記エポキシ基含有エチレン系共重合体(A)を除く)と、を含み、
前記接着層に含まれる、前記エチレン系共重合体(B)の含有量が、前記エポキシ基含有エチレン系共重合体(A)と、前記エチレン系共重合体(B)との合計量を100質量%として、50質量%以上99質量%以下であり、
前記エポキシ基含有エチレン系共重合体(A)におけるエチレン含有量が80質量%以上であり、
前記接着層中の前記エポキシ基含有エチレン系共重合体(A)および前記エチレン系共重合体(B)の少なくとも一部はシランカップリング剤によりグラフト変性されている、絶縁性多層シート。
【請求項2】
請求項1に記載の絶縁性多層シートにおいて、
前記接着層中の前記エポキシ基含有エチレン系共重合体(A)および前記エチレン系共重合体(B)が、
前記エポキシ基含有エチレン系共重合体(A)および前記エチレン系共重合体(B)をシランカップリング剤によりグラフト変性した変性体組成物、あるいは当該エポキシ基含有エチレン系共重合体(A)をシランカップリング剤によりグラフト変性した変性体組成物と、
当該エチレン系共重合体(B)と、
を混合した混合体を含む、絶縁性多層シート。
【請求項3】
請求項1または2に記載の絶縁性多層シートにおいて、
JIS C2110−1に準じて、温度23±2℃、湿度50±5%RH、昇圧速度2.0kV/秒の条件で測定される絶縁破壊電圧が12kV以上である絶縁性多層シート。
【請求項4】
請求項1乃至3いずれか一項に記載の絶縁性多層シートにおいて、
全体の厚みが10μm以上500μm以下である絶縁性多層シート。
【請求項5】
請求項1乃至いずれか一項に記載の絶縁性多層シートにおいて、
前記エポキシ基含有エチレン系共重合体(A)はエチレン・(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸グリシジル・酢酸ビニル共重合体、およびエチレン・(メタ)アクリル酸グリシジル・(メタ)アクリル酸エステル共重合体から選択される少なくとも一種を含む絶縁性多層シート。
【請求項6】
請求項1乃至いずれか一項に記載の絶縁性多層シートにおいて、
前記エチレン・極性モノマー共重合体は、エチレン・ビニルエステル共重合体、エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体およびエチレン・不飽和カルボン酸共重合体から選択される少なくとも一種を含む絶縁性多層シート。
【請求項7】
請求項1乃至いずれか一項に記載の絶縁性多層シートにおいて、
前記電気絶縁性樹脂フィルム層はポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(メタ)アクリル酸メチルおよびフッ素系樹脂から選択される少なくとも一種の樹脂により構成されている絶縁性多層シート。
【請求項8】
請求項1乃至いずれか一項に記載の絶縁性多層シートにおいて、
前記電気絶縁性樹脂フィルム層の少なくとも一方の面はコロナ処理されていない絶縁性多層シート。
【請求項9】
請求項1乃至いずれか一項に記載の絶縁性多層シートにおいて、
太陽電池用絶縁性シートである絶縁性多層シート。
【請求項10】
請求項に記載の絶縁性多層シートにおいて、
太陽電池モジュールの配線を所定位置に固定するために用いられる絶縁性多層シート。
【請求項11】
請求項に記載の絶縁性多層シートにおいて、
太陽電池モジュールの端部を封止しつつ前記太陽電池モジュールを固定部材に固定するために用いられる絶縁性多層シート。
【請求項12】
請求項に記載の絶縁性多層シートにおいて、
太陽電池素子と封止樹脂層および/または太陽電池素子同士を固定するために用いられる絶縁性多層シート。
【請求項13】
請求項1乃至12いずれか一項に記載の絶縁性多層シートを製造するための製造方法であって、
電気絶縁性樹脂フィルム層の片面または両面に、エポキシ基含有エチレン系共重合体(A)と、エチレン・極性モノマー共重合体および密度が920kg/m以下のエチレン・α−オレフィン共重合体から選択される少なくとも一種のエチレン系共重合体(B)(ただし、前記エポキシ基含有エチレン系共重合体(A)を除く)と、を含み、
前記接着層に含まれる、前記エチレン系共重合体(B)の含有量が、前記エポキシ基含有エチレン系共重合体(A)と、前記エチレン系共重合体(B)との合計量を100質量%として、50質量%以上99質量%以下であり、
前記エポキシ基含有エチレン系共重合体(A)におけるエチレン含有量が80質量%以上であり、
前記接着層中の前記エポキシ基含有エチレン系共重合体(A)および前記エチレン系共重合体(B)の少なくとも一部はシランカップリング剤によりグラフト変性されている樹脂組成物を押出コーティングする工程を含む絶縁性多層シートの製造方法。
【請求項14】
太陽光が入射する基板と、
太陽電池素子と、
バックシートと、
前記太陽電池素子を前記基板と前記バックシートとの間に封止する封止樹脂層と、
請求項に記載の絶縁性多層シートと、
を備える太陽電池モジュール。
【請求項15】
請求項1に記載の太陽電池モジュールにおいて、
前記絶縁性多層シートは前記太陽電池モジュールの配線を所定位置に固定している太陽電池モジュール。
【請求項16】
請求項1に記載の太陽電池モジュールにおいて、
前記絶縁性多層シートは前記太陽電池素子と前記封止樹脂層および/または前記太陽電池素子同士を固定している太陽電池モジュール。
【請求項17】
請求項1乃至1いずれか一項に記載の太陽電池モジュールと、
前記太陽電池モジュールの端部を封止する請求項に記載の絶縁性多層シートと、
前記太陽電池モジュールの端部を前記絶縁性多層シートを介して固定する固定部材と、
を備える太陽電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁性多層シートおよび太陽電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の環境問題の高まりを背景に、クリーンなエネルギーとして太陽光発電が脚光を浴びている。
太陽光発電に用いられる太陽電池モジュールは、例えば、太陽光が入射する基板、封止材、太陽電池素子及びバックシートを積層し、加熱圧着するラミネ−ション法等を利用して製造されている。
太陽電池モジュールにおいて、複数の太陽電池素子はセル接続線によって直列に接続されてセルストリングとなり、セルストリングからの配線は外部接続線に連結され、端子箱へ導かれる。そして、太陽電池モジュールで発生した電力は、端子箱から出力用リード線により外部へ取り出される。
【0003】
太陽電池モジュールの製造工程では、太陽電池素子、接続線、リード線等の正確な位置決め、作業性の向上、安全性の向上等のために絶縁性シートが用いられている(例えば、特許文献1参照)。例えば、太陽電池素子と封止樹脂層との固定、太陽電池素子同士の固定、セルストリングからの外部接続線の固定及び一体化、出力用リード線のフレーム等への固定等に絶縁性シートが用いられている。
このような絶縁性シートに関する技術としては、例えば、特許文献1に記載のものが挙げられる。
特許文献1には、耐加水分解性で、かつ、耐低分子量体析出性の樹脂シートに、アクリル系粘着剤層等の粘着層を設けた粘着テープが開示されている。
【0004】
また、太陽電池モジュールの周端部は、通常、断面略コ字状の固定部材によって固定されている(例えば、特許文献2参照)。そして、太陽電池モジュールの周端部と固定部材との間には、絶縁性シートを介在している。
このような絶縁性シートに関する技術としては、例えば、特許文献2に記載のものが挙げられる。
特許文献2には、太陽電池パネルの端部を封止するための太陽電池パネル端部用シール材であって、ポリイソブチレンおよび/またはブチルゴム100重量部と、金属水酸化物100〜600重量部とを含有する太陽電池パネル端部用シール材が開示されている。
【0005】
このように、太陽電池モジュールにおいて絶縁性シートが様々な部位に用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−32449号公報
【特許文献2】特開2010−171400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のような絶縁性シートの各種特性について要求される技術水準は、ますます高くなっている。
本発明者らの検討によれば、従来の絶縁性シートは、絶縁性についてはある程度満足するものの、接着性の安定性と絶縁性を両立するという点においてまだ不十分であることを見出した。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、太陽電池モジュール内の各種部材との接着の安定性および絶縁性の性能バランスに優れた絶縁性多層シートを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意検討を重ねた。その結果、電気絶縁性樹脂フィルム層と、エポキシ基含有エチレン系共重合体および特定のエチレン系共重合体を含有する接着層とを積層した構成とすることで、接着性の安定性および絶縁性をバランスよく向上できることを見出し、本発明に至った。
【0010】
すなわち、本発明によれば、以下に示す絶縁性多層シートおよび太陽電池モジュールが提供される。
【0011】
[1]
電気絶縁性樹脂フィルム層と、上記電気絶縁性樹脂フィルム層の片面または両面に設けられた接着層と、を備える絶縁性多層シートであって、
上記接着層は、エポキシ基含有エチレン系共重合体(A)と、エチレン・極性モノマー共重合体および密度が920kg/m以下のエチレン・α−オレフィン共重合体から選択される少なくとも一種のエチレン系共重合体(B)(ただし、上記エポキシ基含有エチレン系共重合体(A)を除く)と、を含み、
前記接着層に含まれる、前記エチレン系共重合体(B)の含有量が、前記エポキシ基含有エチレン系共重合体(A)と、前記エチレン系共重合体(B)との合計量を100質量%として、50質量%以上99質量%以下であり、
前記エポキシ基含有エチレン系共重合体(A)におけるエチレン含有量が80質量%以上であり、
前記接着層中の前記エポキシ基含有エチレン系共重合体(A)および前記エチレン系共重合体(B)の少なくとも一部はシランカップリング剤によりグラフト変性されている、絶縁性多層シート。
[2]
上記[1]に記載の絶縁性多層シートにおいて、
前記接着層中の前記エポキシ基含有エチレン系共重合体(A)および前記エチレン系共重合体(B)が、
前記エポキシ基含有エチレン系共重合体(A)および前記エチレン系共重合体(B)をシランカップリング剤によりグラフト変性した変性体組成物、あるいは当該エポキシ基含有エチレン系共重合体(A)をシランカップリング剤によりグラフト変性した変性体組成物と、
当該エチレン系共重合体(B)と、
を混合した混合体を含む、絶縁性多層シート。

上記[1]または[2]に記載の絶縁性多層シートにおいて、
JIS C2110−1に準じて、温度23±2℃、湿度50±5%RH、昇圧速度2.0kV/秒の条件で測定される絶縁破壊電圧が12kV以上である絶縁性多層シート。

上記[1]乃至[3]いずれか一つに記載の絶縁性多層シートにおいて、
全体の厚みが10μm以上500μm以下である絶縁性多層シート。

上記[1]乃至[]いずれか一つに記載の絶縁性多層シートにおいて、
上記エポキシ基含有エチレン系共重合体(A)はエチレン・(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸グリシジル・酢酸ビニル共重合体、およびエチレン・(メタ)アクリル酸グリシジル・(メタ)アクリル酸エステル共重合体から選択される少なくとも一種を含む絶縁性多層シート。

上記[1]乃至[]いずれか一つに記載の絶縁性多層シートにおいて、
上記エチレン・極性モノマー共重合体は、エチレン・ビニルエステル共重合体、エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体およびエチレン・不飽和カルボン酸共重合体から選択される少なくとも一種を含む絶縁性多層シート。

上記[1]乃至[]いずれか一つに記載の絶縁性多層シートにおいて、
上記電気絶縁性樹脂フィルム層はポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(メタ)アクリル酸メチルおよびフッ素系樹脂から選択される少なくとも一種の樹脂により構成されている絶縁性多層シート。

上記[1]乃至[]いずれか一つに記載の絶縁性多層シートにおいて、
上記電気絶縁性樹脂フィルム層の少なくとも一方の面はコロナ処理されていない絶縁性多層シート。

上記[1]乃至[]いずれか一つに記載の絶縁性多層シートにおいて、
太陽電池用絶縁性シートである絶縁性多層シート。
[1
上記[]に記載の絶縁性多層シートにおいて、
太陽電池モジュールの配線を所定位置に固定するために用いられる絶縁性多層シート。
[1
上記[]に記載の絶縁性多層シートにおいて、
太陽電池モジュールの端部を封止しつつ上記太陽電池モジュールを固定部材に固定するために用いられる絶縁性多層シート。
[1
上記[]に記載の絶縁性多層シートにおいて、
太陽電池素子と封止樹脂層および/または太陽電池素子同士を固定するために用いられる絶縁性多層シート。
[1
上記[1]乃至[1]いずれか一つに記載の絶縁性多層シートを製造するための製造方法であって、
電気絶縁性樹脂フィルム層の片面または両面に、エポキシ基含有エチレン系共重合体(A)と、エチレン・極性モノマー共重合体および密度が920kg/m以下のエチレン・α−オレフィン共重合体から選択される少なくとも一種のエチレン系共重合体(B)(ただし、上記エポキシ基含有エチレン系共重合体(A)を除く)と、を含み、
前記接着層に含まれる、前記エチレン系共重合体(B)の含有量が、前記エポキシ基含有エチレン系共重合体(A)と、前記エチレン系共重合体(B)との合計量を100質量%として、50質量%以上99質量%以下であり、
前記エポキシ基含有エチレン系共重合体(A)におけるエチレン含有量が80質量%以上であり、
前記接着層中の前記エポキシ基含有エチレン系共重合体(A)および前記エチレン系共重合体(B)の少なくとも一部はシランカップリング剤によりグラフト変性されている樹脂組成物を押出コーティングする工程を含む絶縁性多層シートの製造方法。
[1
太陽光が入射する基板と、
太陽電池素子と、
バックシートと、
上記太陽電池素子を上記基板と上記バックシートとの間に封止する封止樹脂層と、
上記[]に記載の絶縁性多層シートと、
を備える太陽電池モジュール。
[1
上記[1]に記載の太陽電池モジュールにおいて、
上記絶縁性多層シートは上記太陽電池モジュールの配線を所定位置に固定している太陽電池モジュール。
[1
上記[1]に記載の太陽電池モジュールにおいて、
上記絶縁性多層シートは上記太陽電池素子と上記封止樹脂層および/または上記太陽電池素子同士を固定している太陽電池モジュール。
[17]
上記[1]乃至[1]いずれか一つに記載の太陽電池モジュールと、
上記太陽電池モジュールの端部を封止する上記[]に記載の絶縁性多層シートと、
上記太陽電池モジュールの端部を上記絶縁性多層シートを介して固定する固定部材と、
を備える太陽電池モジュール。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、太陽電池モジュール内の各種部材との接着の安定性および絶縁性の性能バランスに優れた絶縁性多層シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
上述した目的、およびその他の目的、特徴および利点は、以下に述べる好適な実施の形態、およびそれに付随する以下の図面によってさらに明らかになる。
【0014】
図1】本発明に係る実施形態の絶縁性多層シートの構造の一例を模式的に示した断面図である。
図2】本発明に係る実施形態の太陽電池モジュールの構造の一例を模式的に示した断面図である。
図3】本発明に係る実施形態の太陽電池モジュールにおいて、絶縁性多層シートを用いた、太陽電池素子と封止樹脂層の固定および太陽電池素子同士の固定を示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、数値範囲の「X〜Y」は特に断りがなければ、X以上Y以下を表す。また、(メタ)アクリルとはアクリルおよびメタクリルの一方または両方を意味する。
【0016】
1.絶縁性多層シートについて
図1は、本発明に係る実施形態の絶縁性多層シート10の構造の一例を模式的に示した断面図である。
本実施形態に係る絶縁性多層シート10(以下、多層シートとも呼ぶ。)は、例えば、太陽電池用絶縁性シートであり、電気絶縁性樹脂フィルム層15と、電気絶縁性樹脂フィルム層15の片面または両面に設けられた接着層20と、を備える。
電気絶縁層樹脂フィルム層15と、接着層20以外の層が電気絶縁層樹脂フィルム層15と、接着層20の間に含まれる形態も本実施形態であるが、電気絶縁層樹脂フィルム層15と、接着層20が直接接する形態がより好ましい。
そして、接着層20は、エポキシ基含有エチレン系共重合体(A)と、エチレン・極性モノマー共重合体および密度が920kg/m以下のエチレン・α−オレフィン共重合体から選択される少なくとも一種のエチレン系共重合体(B)(ただし、エポキシ基含有エチレン系共重合体(A)を除く)と、を含む。
【0017】
本実施形態に係る絶縁性多層シート10によれば、電気絶縁性樹脂フィルム層15と接着層20とを備える構成とすることで、従来使用されてきた絶縁性シートに比較して、接着性の安定性および絶縁性をバランスよく向上できる。特に、防湿性および接着性に優れるため、耐湿接着性や接着性の長期安定性に優れている。また、本実施形態に係る接着層20によれば、ポリエステルフィルム等の電気絶縁性樹脂フィルム層15のコロナ処理されていない面に対しても優れた接着性を示す。すなわち、電気絶縁性樹脂フィルム層15の少なくとも一方の面はコロナ処理されていなくてもよい。また、電気絶縁性樹脂フィルム層15の接着層20と接する面がコロナ処理されていなくてもよい。
【0018】
本実施形態において、絶縁性多層シート10の全体の厚みは、好ましくは10μm以上500μm以下、より好ましくは15μm以上400μm以下、特に好ましくは30μm以上300μm以下の範囲が好ましい。
また、本実施形態に係る絶縁性多層シート10は、接着性の安定性および絶縁性の性能バランスに優れているため、絶縁性多層シート10の全体の厚みを250μm以下と薄くすることができる。
【0019】
本実施形態に係る絶縁性多層シート10において、JIS C2110−1に準じて、温度23±2℃、湿度50±5%RH、昇圧速度2.0kV/秒の条件で測定される絶縁破壊電圧が12kV以上であることが好ましく、14kV以上であることがより好ましい。絶縁破壊電圧が上記範囲を満たすと、絶縁性多層シート10の絶縁信頼性をより一層良好なものとすることができる。
【0020】
本実施形態に係る絶縁性多層シート10において、接着層20のJIS K7106に準じて測定される曲げ剛性率が200MPa以下であることが好ましく、150MPa以下であることがより好ましい。曲げ剛性率が上記範囲を満たすと、絶縁性多層シート10の破壊強度、耐衝撃性および耐突き破り、凹凸追従性等と接着性の性能バランスをより一層良好なものとすることができる。このような曲げ剛性率を達成するためには、接着層20の組成や厚み等を適宜調整すればよい。
【0021】
本実施形態に係る絶縁性多層シート10の接着層20において、JIS Z0208に準拠し、温度40℃、湿度90%RHの条件で測定される透湿度が15g/(m・24h)以下であることが好ましく、10g/(m・24h)以下であることがより好ましく、5g/(m・24h)以下であることが特に好ましい。
透湿度が上記上限値以下である絶縁性多層シート10は接着層の防湿性が高くなるため、絶縁性多層シート10の耐湿接着性や接着性の長期安定性をより一層向上させることができる。
【0022】
<電気絶縁性樹脂フィルム層>
電気絶縁性樹脂フィルム層15としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のエステル系樹脂;ナイロン(商品名)等のアミド系樹脂;カーボネート系樹脂;スチレン系樹脂;ポリビニルアルコール等のビニルアルコール系樹脂;エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)等のエチレン・ビニルエステル系樹脂;アクリロニトリル系樹脂;塩化ビニル系樹脂;ビニルアセタール系樹脂;ポリ(メタ)アクリル酸メチル;フッ素系樹脂等から選択される一種または二種以上の樹脂により構成されたフィルムまたはシートが用いられる。これらのなかでも、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(メタ)アクリル酸メチルおよびフッ素系樹脂から選択される少なくとも一種の樹脂により構成されているフィルムまたはシートが好ましく、ポリエチレンテレフタレートにより構成されているフィルムまたはシートがより好ましい。
これらの電気絶縁性樹脂フィルム層15は接着層または他部材との接着性をより向上させるため、その片面または両面の表面処理を施しておいてもよい。表面処理の方法としては、サンド処理、フレーム処理、コロナ放電処理、プラズマ放電処理、アーク放電処理等が挙げられる。
【0023】
電気絶縁性樹脂フィルム層15の厚みは特に限定されないが、軽量性および電気絶縁性の観点から、例えば、10μm以上300μm以下の範囲であることが好ましく、20μm以上250μm以下の範囲であることがより好ましく、30μm以上200μm以下の範囲であることが特に好ましい。
【0024】
<接着層>
接着層20は、エポキシ基含有エチレン系共重合体(A)と、エチレン・極性モノマー共重合体および密度が920kg/m以下のエチレン・α−オレフィン共重合体から選択される少なくとも一種のエチレン系共重合体(B)(ただし、エポキシ基含有エチレン系共重合体(A)を除く)と、を含有する。
【0025】
エポキシ基含有エチレン系共重合体(A)としては、例えば、グリシジル基含有エチレン系共重合体が挙げられる。
グリシジル基含有エチレン系共重合体としては、例えば、エチレン・(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸グリシジル・酢酸ビニル共重合体、およびエチレン・(メタ)アクリル酸グリシジル・(メタ)アクリル酸エステル共重合体等から選択される少なくとも一種が挙げられる。
【0026】
エポキシ基含有エチレン系共重合体(A)は、(メタ)アクリル酸グリシジル、ビニルグリシジルエーテル、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート等の重合性基とエポキシ基を有するモノマーをエチレンと共重合することにより得られる。また、エチレン系共重合体にエポキシ基を有するモノマーをグラフト重合させてエポキシ基を導入してもよい。
エポキシ基含有エチレン系共重合体(A)中の(メタ)アクリル酸グリシジル等のモノマーに由来の構成単位の含有割合は、好ましくは2質量%以上30質量%以下、より好ましくは3質量%以上25質量%以下である。
(メタ)アクリル酸グリシジル等のモノマーに由来の構成単位の含有割合が上記下限値以上であると、絶縁性多層シート10と太陽電池モジュール構成部材(太陽電池素子や封止樹脂層、配線、基板、バックシート等)との接着性がより良好になり、また上記上限値以下であると、加工性が良好であり、加えて絶縁性多層シート10の透明性もより良好である。
なお、「(メタ)アクリル酸グリシジル」とは、メタクリル酸グリシジルおよびアクリル酸グリシジルの一方または両方を表す。
【0027】
エポキシ基含有エチレン系共重合体(A)における「エチレン系共重合体」とは、エチレンに由来する構成単位が主成分であることをいう。さらに、ここでの「主成分」とは、全構成単位の中で「エチレン由来の構成単位」の含有量が最も多いことをいう。例えば、エチレンと(メタ)アクリル酸グリシジルと酢酸ビニルとの各々に由来する構成単位からなる共重合体の場合には、エチレン由来の構成単位の比率が、(メタ)アクリル酸グリシジル由来の構成単位や酢酸ビニル由来の構成単位よりも大きいことをいう。
エポキシ基含有エチレン系共重合体(A)における「エチレン由来の構成単位」の占める割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは65質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、特に好ましくは80質量%以上である。
このとき、エポキシ基含有エチレン系共重合体は、エチレンおよび重合性基とエポキシ基を有するモノマー以外の他のモノマー単位をさらに含むことができる。
他のモノマーとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、エタクリル酸エステル、クロトン酸エステル、フマル酸エステル、マレイン酸エステル、無水マレイン酸エステル、イタコン酸エステル、無水イタコン酸エステル等の不飽和カルボン酸エステル等が挙げられる。エステル基としては炭素数1〜12のアルキルエステル基を挙げることができ、より具体的には、メチルエステル、エチルエステル、n−プロピルエステル、イソプロピルエステル、n−ブチルエステル、イソブチルエステル、セカンダリーブチルエステル、2−エチルヘキシルエステル、イソオクチルエステル等のアルキルエステル基を例示することができる。
これらの中でも酢酸ビニルおよび(メタ)アクリル酸エステルから選択される少なくとも一種が好ましい。
【0028】
具体的には、エチレンに由来の構成単位と、(メタ)アクリル酸グリシジルに由来の構成単位とを含有する共重合体のほか、この2つの構成単位のほかに、さらに酢酸ビニルに由来の構成単位および(メタ)アクリル酸エステルに由来の構成単位の少なくとも一方を含有する共重合体が挙げられる。
酢酸ビニル等のビニルエステルに由来の構成単位および(メタ)アクリル酸エステル等の不飽和カルボン酸エステルに由来の構成単位の含有割合は30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましい。これにより、絶縁性多層シート10の透湿度が低下して防湿性をより一層良好なものとすることができる。
【0029】
酢酸ビニル等のビニルエステルに由来の構成単位および(メタ)アクリル酸エステル等の不飽和カルボン酸エステルに由来の構成単位の含有割合の下限値は、特に制限はないが、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上が望ましい。さらには、酢酸ビニル等のビニルエステルに由来の構成単位または(メタ)アクリル酸エステル等の不飽和カルボン酸エステルに由来の構成単位の含有割合は、0.1〜30質量%の範囲が好ましく、さらに0.5〜20質量%の範囲が好ましく、特に1〜20質量%の範囲が好ましい。
【0030】
エポキシ基含有エチレン系共重合体(A)は、1種を単独でまたは共重合比等の異なる2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0031】
接着層20中におけるエポキシ基含有エチレン系共重合体(A)の含有量としては、エポキシ基含有エチレン系共重合体(A)と、エチレン系共重合体(B)との合計量を100質量%として、1質量%以上25質量%以下が好ましく、2質量%以上15質量%以下がより好ましく、3質量%以上10質量%以下が特に好ましい。エポキシ基含有エチレン系共重合体(A)の含有量が上記範囲内であることにより、透明性、接着性、防湿性、絶縁性、柔軟性、耐熱性および加工性の性能バランスをより一層良好なものとすることができる。
【0032】
エチレン系共重合体(B)は、エチレン・極性モノマー共重合体および密度が920kg/m以下のエチレン・α−オレフィン共重合体から選択される少なくとも一種を含む。
【0033】
エチレン系共重合体(B)における「エチレン系共重合体」とは、エチレンに由来する構成単位が主成分であることをいう。さらに、ここでの「主成分」とは、全構成単位に対して「エチレン由来の構成単位」の占める割合が、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは65質量%以上、特に好ましくは70質量%以上である。
【0034】
エチレン・極性モノマー共重合体としては、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・プロピオン酸ビニル共重合体、エチレン・酪酸ビニル共重合体、エチレン・ステアリン酸ビニル共重合体等のエチレン・ビニルエステル共重合体;エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体;エチレン・不飽和カルボン酸共重合体;等から選択される一種または二種以上を用いることができる。
【0035】
ここで、エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体は、エチレンと、不飽和カルボン酸エステルの少なくとも1種とを共重合した重合体である。
具体的には、エチレンと、不飽和カルボン酸のアルキルエステルと、を含む共重合体を例示することができる。
不飽和カルボン酸エステルにおける不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸等が挙げられる。
不飽和カルボン酸のアルキルエステルにおけるアルキル部位としては、炭素数1〜12のものを挙げることができ、より具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、セカンダリーブチル、2−エチルヘキシル、イソオクチル等のアルキル基を例示することができる。本実施形態では、アルキルエステルのアルキル部位の炭素数は1〜8が好ましい。
本実施形態において、特に好ましいエチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体は、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体である。このような共重合体の例としては、エチレン・アクリル酸メチル共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、エチレン・アクリル酸ノルマルブチル共重合体、エチレン・アクリル酸イソブチル共重合体、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体、エチレン・メタクリル酸エチル共重合体、エチレン・メタクリル酸ノルマルブチル共重合体、エチレン・メタクリル酸イソブチル共重合体である。
【0036】
また、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体は、エチレンと、不飽和カルボン酸の少なくとも1種とを共重合した重合体である。上記の不飽和カルボン酸エステルが共重合していてもよい。
具体的には、エチレンと、不飽和カルボン酸とを含む共重合体を例示することができる。
不飽和カルボン酸としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸等が挙げられる。
本実施形態において、特に好ましいエチレン・不飽和カルボン酸共重合体は、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体である。
【0037】
エチレン・極性モノマー共重合体は、上記の中でも、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸プロピル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体から選択される少なくとも一種が特に好ましく使用される。なお本実施形態においては上述した樹脂は、単独で用いてもよいし、ブレンドして用いてもよい。
【0038】
エチレン・極性モノマー共重合体中の極性モノマーの含有量は、好ましくは5質量%以上40質量%以下であり、さらに好ましくは8質量%以上35質量%以下であり、特に好ましくは8質量%以上30質量%以下である。
極性モノマーの含有量がこの範囲にあると、絶縁性多層シート10の接着性、透明性、機械的性質、成膜性のバランスをより一層良好なものとすることができる。酢酸ビニル含有量は、例えば、JIS K7192:1999に準拠して測定することができる。
【0039】
エチレン・極性モノマー共重合体の製造方法は特に限定されず、公知の方法により製造することができる。例えば、従来公知の方法である高圧法のオートクレーブ法あるいはチューブラー法で製造することができる。また、エチレン・極性モノマー共重合体は市販されているものを用いてもよい。
【0040】
エチレン系共重合体(B)における密度が920kg/m以下のエチレン・α−オレフィン共重合体としては、該共重合体を構成する全構成単位(単量体単位)の含有量を100モル%としたとき、炭素数3〜20のα−オレフィンに由来する構成単位の含有割合が、5モル%以上であることが好ましい。より好ましくは10モル%以上である。上記α−オレフィン由来の構成単位の含有割合が上記範囲内であると、多層シートの透明性、耐ブリード性がより一層良好となる。特に、多層シートの柔軟性を考慮すると、上記α−オレフィン由来の構成単位の含有割合が15モル%以上の重合体を使用するのが好ましい。上限については、50モル%未満、好ましくは40モル%以下、特に好ましくは30モル%以下である。
【0041】
上記炭素数3〜20のα−オレフィンの具体例としては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ナノデセン、1−エイコセン等の直鎖状のα−オレフィン;3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ヘキセン、2,2,4−トリメチル−1−ペンテン等の分岐状のα−オレフィン等が挙げられ、これらは2種類を組み合わせて使用することもできる。
【0042】
中でも、上記α−オレフィンの炭素数は、汎用性(コストや量産性あるいは入手のしやすさ)の点で、3〜10が好ましく、さらには3〜8が好ましい。
【0043】
エチレン・α−オレフィン共重合体としては、好ましくは、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体であり、いずれのエチレン・α−オレフィン共重合体も、エチレン由来の構成単位含量が50モル%以上である。
【0044】
これらの共重合体において、α−オレフィン由来の構成単位の割合は、各共重合体を構成する全構成単位(単量体単位)の量を100モル%としたとき、好ましくは5モル%以上であり、より好ましくは10モル%以上である。
接着層20において、上記エチレン・α−オレフィン共重合体は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0045】
エチレン・α−オレフィン共重合体は、例えば、メタロセン系触媒を用いた、スラリー重合法、溶液重合法、塊状重合法、気相重合法等で製造できる。
【0046】
JIS K7112に準拠して測定される、エチレン・α−オレフィン共重合体の密度は、好ましくは850kg/m以上であり、より好ましくは860kg/m以上であり、特に好ましくは870kg/m以上ある。エチレン・α−オレフィン共重合体の密度が上記下限値以上であることにより、耐熱性がより一層良好となる。
JIS K7112に準拠して測定される、エチレン・α−オレフィン共重合体の密度は、920kg/m以下であり、より好ましくは910kg/m以下である。エチレン・α−オレフィン共重合体の密度が上記上限値以下であることにより、多層シートの接着性、柔軟性および透明性のバランスがより一層良好となる。
【0047】
接着層20中におけるエチレン系共重合体(B)の含有量としては、エポキシ基含有エチレン系共重合体(A)と、エチレン系共重合体(B)との合計量を100質量%として、50質量%以上99質量%以下が好ましく、75質量%以上99質量%以下がより好ましく、85質量%以上98質量%以下がさらに好ましく、90質量%以上97質量%以下が特に好ましい。エチレン系共重合体(B)の含有量が上記範囲内であることにより、透明性、接着性、防湿性、絶縁性、柔軟性、耐熱性および加工性の性能バランスをより一層良好なものとすることができる。
【0048】
接着層20中のエポキシ基含有エチレン系共重合体(A)およびエチレン系共重合体(B)の少なくとも一部はシランカップリング剤によりグラフト変性されていることが好ましい。これにより、絶縁性多層シート10の接着性および加工性の性能バランスをより一層良好なものとすることができる。
ここで、エポキシ基含有エチレン系共重合体(A)およびエチレン系共重合体(B)へのシランカップリング剤のグラフト変性は、例えば、エポキシ基含有エチレン系共重合体(A)やエチレン系共重合体(B)と、アミノ基またはエポキシ基を有するシランカップリング剤とを加熱下(例えば、100℃〜200℃)で反応させる方法(グラフト変性方法1)や、重合開始剤を用いて、エポキシ基含有エチレン系共重合体(A)やエチレン系共重合体(B)に、重合性基を有するシランカップリング剤をグラフト重合させる方法(グラフト変性方法2)等がある。
グラフト変性方法1では、シランカップリング剤中のアミノ基またはエポキシ基と、エポキシ基含有エチレン系共重合体(A)やエチレン系共重合体(B)中のエポキシ基やカルボキシル基と、が反応することにより、エポキシ基含有エチレン系共重合体(A)やエチレン系共重合体(B)の側鎖にシランカップリング剤がグラフトされる。
グラフト変性方法2では、例えば、エポキシ基含有エチレン系共重合体(A)やエチレン系共重合体(B)と、重合性基を有するシランカップリング剤と、ラジカル重合開始剤とを、押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等を用いて、エポキシ基含有エチレン系共重合体(A)やエチレン系共重合体(B)の融点以上、かつラジカル重合開始剤の分解温度以上の温度で溶融混練することにより製造することができる。なお、これらの反応は溶液中で行なうこともできる。
【0049】
グラフト変性に使用する重合開始剤としては通常用いられるものを用いることができるが、有機過酸化物が好ましい。
有機過酸化物としては重合開始剤として使用可能な公知の有機過酸化物を用いることができ、具体的には、ジアシルパーオキサイド化合物、アルキルパーオキシエステル化合物、パーオキシジカーボネート化合物、パーオキシカーボネート化合物、パーオキシケタール化合物、ジアルキルパーオキサイド化合物、ハイドロパーオキサイド化合物、ケトンパーオキサイド化合物等が挙げられる。
中でも、ジアルキルパーオキサイド化合物が好ましく、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,3−ジ(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−(ブチルパーオキシ)ヘキシン−3がより好ましい。
重合開始剤は、エポキシ基含有エチレン系共重合体(A)と、エチレン系共重合体(B)との合計100質量部に対し、通常0.1〜5質量部、好ましくは0.5〜3質量部の量で含有させることができる。
【0050】
重合性基を有するシランカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
アミノ基を有するシランカップリング剤としては、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩等が挙げられる。
エポキシ基を有するシランカップリング剤としては、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
シランカップリング剤は、エポキシ基含有エチレン系共重合体(A)と、エチレン系共重合体(B)との合計100質量部に対し、通常5質量部以下、好ましくは0.02〜3質量部の量で含有させることができる。シランカップリング剤が上記範囲で含まれていると、多層シートの接着性をより一層向上させることができる。
【0051】
エポキシ基含有エチレン系共重合体(A)およびエチレン系共重合体(B)はいずれも、メルトフローレート(JIS K7210−1999、190℃、2160g荷重;以下、MFRと略記することがある。)が0.1g/10分〜50g/10分の範囲にあることが好ましい。さらには0.5g/10分〜30g/10分の範囲にあることが好ましく、特には1g/10分〜20g/10分の範囲が好ましい。この範囲内の共重合体を選ぶことで、絶縁性多層シート10として求められるシートへの加工性がより容易となり、所望のシートを得ることができる。
【0052】
接着層20において、エポキシ基含有エチレン系共重合体(A)およびエチレン系共重合体(B)の合計含有量は、接着層20の全体を100質量%としたとき、好ましくは50質量%以上、より好ましくは65質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上である。エポキシ基含有エチレン系共重合体(A)およびエチレン系共重合体(B)の合計含有量が上記範囲内であると、透明性、接着性、防湿性、絶縁性、柔軟性、耐熱性および加工性の性能バランスをより一層良好なものとすることができる。
【0053】
接着層20には、本発明の目的を損なわない範囲内において、各種添加剤を含有させることができる。かかる添加剤としては、例えば、架橋剤、架橋助剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、光安定剤および酸化防止剤等が挙げられる。
添加剤は、樹脂の改質や耐久性向上等のために使用される。
【0054】
架橋剤としては、半減期1時間の分解温度が通常90〜180℃、好ましくは100〜150℃の有機過酸化物を用いるのがよい。このような有機過酸化物としては、例えば、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、メチルエチルケトンパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキシル−2,5−ビスパーオキシベンゾエート、t−ブチルハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、p−クロルベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、ヒドロキシヘプチルパーオキサイド、ジクロヘキサノンパーオキサイド等が挙げられる。
架橋剤はグリシジル基含有エチレン系共重合体(A)と、エチレン系共重合体(B)との合計100質量部に対し、通常0.1〜5質量部、好ましくは0.5〜3質量部の量で含有させることができる。
【0055】
架橋助剤は必要に応じて使用することができ、例えば、ポリアリル化合物やポリ(メタ)アクリロキシ化合物のような多不飽和化合物が挙げられる。なかでも、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、ジアリルフタレート、ジアリルフマレート、ジアリルマレエート等のポリアリル化合物;エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等のポリ(メタ)アクリロキシ化合物;ジビニルベンゼン等が挙げられる。
架橋助剤はエポキシ基含有エチレン系共重合体(A)と、エチレン系共重合体(B)との合計100質量部に対し、通常5質量部以下、好ましくは0.1〜3質量部の量で含有させることができる。
【0056】
シランカップリング剤としては、ビニル基、アミノ基またはエポキシ基と、アルコキシ基のような加水分解基とを有するシランカップリング剤等を挙げられる。なかでも、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプピルトリメトキシシランおよびN−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
シランカップリング剤は、エポキシ基含有エチレン系共重合体(A)と、エチレン系共重合体(B)との合計100質量部に対し、通常5質量部以下、好ましくは0.02〜3質量部の量で含有させることができる。シランカップリング剤が上記範囲で含まれていると、多層シートの接着性をより一層向上させることができる。
【0057】
また、紫外線に基づく多層シートの劣化を防ぐために、接着層20中に紫外線吸収剤、光安定剤および酸化防止剤等を含有させるのが好ましい。
【0058】
紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジt−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;フェニルサリチレート、p−オクチルフェニルサリチレート等のサリチル酸エステル系紫外線吸収剤等が用いられる。
【0059】
光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤等が用いられる。
酸化防止剤として各種ヒンダードフェノール系酸化防止剤やホスファイト系酸化防止剤等が用いられる。
酸化防止剤、光安定剤および紫外線吸収剤は、エポキシ基含有エチレン系共重合体(A)と、エチレン系共重合体(B)との合計100質量部に対し、各々通常5質量部以下、好ましくは0.1〜3質量部の量で含有させることができる。
【0060】
また、接着層20には、上述した添加剤以外に、必要に応じて、着色剤、光拡散剤および難燃剤等の添加剤を含有させることができる。
着色剤としては、顔料、無機化合物、染料等が挙げられ、特に白色の着色剤としては、酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸カルシウムが挙げられる。
【0061】
光拡散剤としては、無機系の球状物質としてはガラスビーズ、シリカビーズ、シリコンアルコキシドビーズ、中空ガラスビーズ等が挙げられる。有機系の球状物質としてはアクリル系やビニルベンゼン系等のプラスチックビーズ等が挙げられる。
【0062】
難燃剤としては、臭素化物等のハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、シリコーン系難燃剤、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の金属水和物等が挙げられる。
【0063】
本実施形態において、接着層20の厚みは、好ましくは5μm以上100μm以下、より好ましくは10μm以上90μm以下、特に好ましくは20μm以上80μm以下の範囲が好ましい。接着層20の厚みが上記範囲内であると、接着性の安定性および絶縁性の性能バランスをより一層良好なものとすることができる。
【0064】
本実施形態に係る絶縁性多層シート10の製造方法は、例えば、T−ダイ押出機等を用いる公知の方法によって行うことができる。例えば、エポキシ基含有エチレン系共重合体(A)と、エチレン・極性モノマー共重合体および密度が920kg/m以下のエチレン・α−オレフィン共重合体から選択される少なくとも一種のエチレン系共重合体(B)(ただし、エポキシ基含有エチレン系共重合体(A)を除く)とを含有するドライブレンド品(樹脂組成物)またはあらかじめ溶融混練したメルトブレンド品(樹脂組成物)をT−ダイ押出機のホッパーから供給し、押出機のTダイ先端から電気絶縁性樹脂フィルム層15上にシート状に押出コーティングすることにより得ることができる。
ここで、上記樹脂組成物には、前述した各種添加剤を添加してもよい。
【0065】
2.太陽電池モジュール
図2は、本発明に係る実施形態の太陽電池モジュール1の構造の一例を模式的に示した断面図である。また、図3は、本発明に係る実施形態の太陽電池モジュール1において、絶縁性多層シート10を用いた、太陽電池素子3と封止樹脂層5の固定および太陽電池素子3同士の固定を示した平面図である。
本実施形態に係る太陽電池モジュール1は、少なくとも、太陽光が入射する基板2と、太陽電池素子3と、バックシート4と、太陽電池素子3を基板2とバックシート4との間に封止する封止樹脂層5と、絶縁性多層シート10と、を備える。
本実施形態に係る太陽電池モジュール1において、絶縁性多層シート10は、例えば、太陽電池モジュール1の配線6を所定位置に固定したり;太陽電池素子3と封止樹脂層5および/または太陽電池素子3同士を固定したり;太陽電池モジュール1の端部を封止しつつ太陽電池モジュール1を固定部材7に固定したりするために用いられる。
【0066】
このような太陽電池モジュール1としては、種々のタイプのものを例示することができる。例えば、基板2/太陽電池封止材用シート/太陽電池素子3/太陽電池封止材用シート/バックシート4のように太陽電池素子3の両側から太陽電池封止材用シートで挟む構成のもの、ガラス等の基板2の表面上に予め形成された太陽電池素子3を、基板2/太陽電池素子3/太陽電池封止材用シート/バックシート4のように構成するもの、基板2の内周面上に形成された太陽電池素子3、例えばフッ素樹脂系シート上にアモルファス太陽電池素子をスパッタリング等で作製したものの上に太陽電池封止材用シートとバックシート4を形成させるような構成のもの等を挙げることができる。
【0067】
太陽電池素子3としては、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン等のシリコン系、ガリウム−砒素、銅−インジウム−セレン、銅−インジウム−ガリウム−セレン、カドミウム−テルル等のIII−V族やII−VI族化合物半導体系等の各種太陽電池素子を用いることができる。
太陽電池モジュール1においては、複数の太陽電池素子3は、配線6を介して電気的に直列に接続されている。
【0068】
封止樹脂層5は太陽電池素子3を封止している。
封止樹脂層5は太陽電池封止材用シートにより構成される。太陽電池封止材用シートとしては、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体またはそのアイオノマー、ポリビニルブチラール(PVB)、エチレン・α−オレフィン共重合体、シリコーン等により構成された樹脂シートが挙げられる。好ましくは、EVAにより構成されたシートが挙げられる。
【0069】
太陽電池モジュール1を構成する基板2としては、ガラス、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル、フッ素含有樹脂等により構成された基板を例示することができる。
バックシート4としては、金属や各種熱可塑性樹脂フィルム等の単体もしくは多層のシートであり、例えば、錫、アルミ、ステンレススチール等の金属、ガラス等の無機材料、ポリエステル、無機物蒸着ポリエステル、フッ素含有樹脂、ポリオレフィン等の1層もしくは多層のシートを例示することができる。
【0070】
太陽電池モジュール1の製造方法は特に限定されないが、例えば、以下の方法が挙げられる。
まず、配線6を用いて電気的に接続した複数の太陽電池素子3を太陽電池封止材用シートで挟む。ここで、図3に示すように、絶縁性多層シート10を用いて、太陽電池素子3と封止樹脂層5および/または太陽電池素子3同士を固定してもよい。これにより、積層・加熱加工時の太陽電池素子3の歪み等を防止したり、作業性を向上させたりすることができる。
次いで、これら太陽電池封止材用シートを基板2とバックシート4とで挟んで積層体を作製する。次いで、積層体を加熱・加圧して、各部材間を接着する。
次いで、太陽電池モジュール1の配線6を所定位置に固定したり、太陽電池モジュール1の端部を絶縁性多層シート10により封止し、太陽電池モジュール1の端部を絶縁性多層シート10を介して固定部材7に固定したりすることもできる。
固定部材7は、例えば、フレームであり、金属材料(アルミニウム等)や樹脂材料(アクリル樹脂等)により構成され、好ましくは金属材料により構成されている。
これらの工程は、すべての材料を積層後に、真空ラミネートによる張り合わせ工程で一度に加熱圧着することもできる。
【0071】
このようにして、本実施形態に係る太陽電池モジュール1が得られる。
【0072】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、参考形態の例を付記する。
1. 電気絶縁性樹脂フィルム層と、上記電気絶縁性樹脂フィルム層の片面または両面に設けられた接着層と、を備える絶縁性多層シートであって、
上記接着層は、エポキシ基含有エチレン系共重合体(A)と、エチレン・極性モノマー共重合体および密度が920kg/m以下のエチレン・α−オレフィン共重合体から選択される少なくとも一種のエチレン系共重合体(B)(ただし、上記エポキシ基含有エチレン系共重合体(A)を除く)と、を含む絶縁性多層シート。
2. 上記1.に記載の絶縁性多層シートにおいて、
JIS C2110−1に準じて、温度23±2℃、湿度50±5%RH、昇圧速度2.0kV/秒の条件で測定される絶縁破壊電圧が12kV以上である絶縁性多層シート。
3. 上記1.または2.に記載の絶縁性多層シートにおいて、
全体の厚みが10μm以上500μm以下である絶縁性多層シート。
4. 上記1.乃至3.いずれか一つに記載の絶縁性多層シートにおいて、
上記エポキシ基含有エチレン系共重合体(A)はエチレン・(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸グリシジル・酢酸ビニル共重合体、およびエチレン・(メタ)アクリル酸グリシジル・(メタ)アクリル酸エステル共重合体から選択される少なくとも一種を含む絶縁性多層シート。
5. 上記1.乃至4.いずれか一つに記載の絶縁性多層シートにおいて、
上記エチレン・極性モノマー共重合体は、エチレン・ビニルエステル共重合体、エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体およびエチレン・不飽和カルボン酸共重合体から選択される少なくとも一種を含む絶縁性多層シート。
6. 上記1.乃至5.いずれか一つに記載の絶縁性多層シートにおいて、
上記接着層中の上記エポキシ基含有エチレン系共重合体(A)および上記エチレン系共重合体(B)の少なくとも一部はシランカップリング剤によりグラフト変性されている絶縁性多層シート。
7. 上記1.乃至6.いずれか一つに記載の絶縁性多層シートにおいて、
上記接着層に含まれるエチレン系共重合体(B)の含有量が、エポキシ基含有エチレン系共重合体(A)と、エチレン系共重合体(B)との合計量を100質量%として、50質量%以上99質量%以下である絶縁性多層シート。
8. 上記1.乃至7.いずれか一つに記載の絶縁性多層シートにおいて、
上記電気絶縁性樹脂フィルム層はポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(メタ)アクリル酸メチルおよびフッ素系樹脂から選択される少なくとも一種の樹脂により構成されている絶縁性多層シート。
9. 上記1.乃至8.いずれか一つに記載の絶縁性多層シートにおいて、
上記電気絶縁性樹脂フィルム層の少なくとも一方の面はコロナ処理されていない絶縁性多層シート。
10. 上記1.乃至9.いずれか一つに記載の絶縁性多層シートにおいて、
太陽電池用絶縁性シートである絶縁性多層シート。
11. 上記10.に記載の絶縁性多層シートにおいて、
太陽電池モジュールの配線を所定位置に固定するために用いられる絶縁性多層シート。
12. 上記10.に記載の絶縁性多層シートにおいて、
太陽電池モジュールの端部を封止しつつ上記太陽電池モジュールを固定部材に固定するために用いられる絶縁性多層シート。
13. 上記10.に記載の絶縁性多層シートにおいて、
太陽電池素子と封止樹脂層および/または太陽電池素子同士を固定するために用いられる絶縁性多層シート。
14. 上記1.乃至13.いずれか一つに記載の絶縁性多層シートを製造するための製造方法であって、
電気絶縁性樹脂フィルム層の片面または両面に、エポキシ基含有エチレン系共重合体(A)と、エチレン・極性モノマー共重合体および密度が920kg/m以下のエチレン・α−オレフィン共重合体から選択される少なくとも一種のエチレン系共重合体(B)(ただし、上記エポキシ基含有エチレン系共重合体(A)を除く)と、を含む樹脂組成物を押出コーティングする工程を含む絶縁性多層シートの製造方法。
15. 太陽光が入射する基板と、
太陽電池素子と、
バックシートと、
上記太陽電池素子を上記基板と上記バックシートとの間に封止する封止樹脂層と、
上記10.に記載の絶縁性多層シートと、
を備える太陽電池モジュール。
16. 上記15.に記載の太陽電池モジュールにおいて、
上記絶縁性多層シートは上記太陽電池モジュールの配線を所定位置に固定している太陽電池モジュール。
17. 上記15.に記載の太陽電池モジュールにおいて、
上記絶縁性多層シートは上記太陽電池素子と上記封止樹脂層および/または上記太陽電池素子同士を固定している太陽電池モジュール。
18. 上記15.乃至17.いずれか一つに記載の太陽電池モジュールと、
上記太陽電池モジュールの端部を封止する上記10.に記載の絶縁性多層シートと、
上記太陽電池モジュールの端部を上記絶縁性多層シートを介して固定する固定部材と、
を備える太陽電池モジュール。
【実施例】
【0073】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0074】
絶縁性多層シートの作製に用いた成分の詳細は以下の通りである。
【0075】
<EGMAVA変性体組成物>
(製造例1)
エチレン・メタクリル酸グリシジル・酢酸ビニル共重合体(EGMAVA、住友化学(株)製、ボンドファースト7B、エチレン含有量:83質量%、メタクリル酸グリシジル含有量:12質量%、酢酸ビニル含有量:5質量%、MFR(190℃、2160g荷重):7g/10分):49質量部、エチレン・酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含有量:19質量%):49質量部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名「KBM503」):1.5質量部および2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(アルケマ吉富(株)製、商品名「ルペロックス101」):0.5質量部を予め混合し、溶融温度220℃にて単軸押出機でグラフト重合させてEGMAVA変性体組成物1を得た。ここで、EGMAVA変性体組成物1中のγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランがグラフトされたEGMAVA(EGMAVA変性体1とも呼ぶ。)が本実施形態に係るエポキシ基含有エチレン系共重合体(A)に相当し、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランがグラフトされたエチレン・酢酸ビニル共重合体は本実施形態に係るエチレン系共重合体(B)に相当する。
【0076】
(製造例2)
また、上記製造例1のエチレン・酢酸ビニル共重合体の代わりにエチレン・アクリル酸メチル共重合体(エチレン含有量:80質量%、アクリル酸メチル含有量:20質量%、MFR:8g/10分)を使用した以外は製造例1と同様にしてEGMAVA変性体組成物2を得た。ここで、EGMAVA変性体組成物2中のγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランがグラフトされたEGMAVA(EGMAVA変性体2とも呼ぶ。)が本実施形態に係るエポキシ基含有エチレン系共重合体(A)に相当し、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランがグラフトされたエチレン・アクリル酸メチル共重合体は本実施形態に係るエチレン系共重合体(B)に相当する。
【0077】
(製造例3)
また、上記製造例1のエチレン・酢酸ビニル共重合体の代わりにエチレン・α−オレフィン共重合体(三井化学社製、タフマーDF940、MFR:3.6g/10分、密度:893kg/m)を使用した以外は製造例1と同様にしてEGMAVA変性体組成物3を得た。ここで、EGMAVA変性体組成物3中のγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランがグラフトされたEGMAVA(EGMAVA変性体3とも呼ぶ。)が本実施形態に係るエポキシ基含有エチレン系共重合体(A)に相当し、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランがグラフトされたエチレン・α−オレフィン共重合体は本実施形態に係るエチレン系共重合体(B)に相当する。
【0078】
(製造例4)
また、上記製造例1のエチレン・酢酸ビニル共重合体を使用しない以外は製造例1と同様にしてEGMAVA変性体組成物4を得た。ここで、EGMAVA変性体組成物4中のγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランがグラフトされたEGMAVA(EGMAVA変性体4とも呼ぶ。)が本実施形態に係るエポキシ基含有エチレン系共重合体(A)に相当する。
【0079】
<エチレン系共重合体(B)>
EVA1:エチレン・酢酸ビニル共重合体(エチレン含有量:90質量%、酢酸ビニル含有量:10質量%)
LDPE1:低密度ポリエチレン(三井・デュポン・ポリケミカル社製、ミラソン68P、密度:918kg/m
LDPE2:低密度ポリエチレン(三井・デュポン・ポリケミカル社製、ミラソン401、密度:920kg/m
EMA1:エチレン・アクリル酸メチル共重合体(エチレン含有量:80質量%、アクリル酸メチル含有量:20質量%、MFR:8g/10分)
EEA1:エチレン・アクリル酸エチル共重合体(エチレン含有量:85質量%、アクリル酸エチル含有量:15質量%、MFR:6g/10分)
EBA1:エチレン・アクリル酸ブチル共重合体(エチレン含有量:83%、アクリル酸ブチル含有量:17質量%、MFR:7g/10分)
EC1:エチレン・α−オレフィン共重合体(三井化学社製、タフマーDF840、MFR:3.6g/10分、密度:885kg/m
EC2:エチレン・α−オレフィン共重合体(三井化学社製、タフマーDF940、MFR:3.6g/10分、密度:893kg/m
EC3:エチレン・α−オレフィン共重合体(プライムポリマー社製、エボリューSP0540、MFR:3.8g/10分、密度:903kg/m
EC4:エチレン・α−オレフィン共重合体(プライムポリマー社製、エボリューSP2540、MFR:3.8g/10分、密度:924kg/m
EVA2:エチレン・酢酸ビニル共重合体(エチレン含有量:72質量%、酢酸ビニル含有量:28質量%)
【0080】
[実施例1]
L−450−V40型押出ラミネート装置(田辺プラスチックス機械社製)を用いて、樹脂温度180℃にて、厚み比率をポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ社製ルミラーS10、100μm、コロナ未処理品)/接着層=1.5/1にして樹脂組成物(1)をシート状に押出コーティングすることにより総厚み167μm(0.167mm)の多層シートを作製した。ここで、樹脂組成物(1)は、EGMAVA変性体組成物1:10質量部と、エチレン系共重合体(B)のEVA1:90質量部とをドライブレンドした樹脂組成物である。樹脂組成物(1)により構成された層が接着層である。
【0081】
<評価>
(1)接着性評価
真空加熱貼合機(NPC社製二重真空槽貼合機、LM−50×50S)を用いて、3.2mm厚のガラス/得られた多層シート(接着層をガラス側)に積層させ、加熱温度160℃、加熱時間8分の条件で貼り合わせた。その後、貼り合わせたものを大気中に静置し、自然冷却によって徐冷した。完成した積層体のシート部分に15mm幅のスリットを入れて試験片とし、引張試験機に設置した。引張速度100mm/分で多層シートのPETを引き離し、最大応力を初期の接着強度(N/15mm)として求めた。
また、積層体を85℃、湿度90%RHの条件で1000時間保管し、500時間後の接着強度と、1000時間後の接着強度をそれぞれ求めた。得られた接着強度をそれぞれの積層体におけるPET接着強度とした。得られた結果を表2に示す。
【0082】
(2)曲げ剛性率
JIS K7106に準じて23℃で多層シートの曲げ剛性率を測定した。得られた結果を表2に示す。
【0083】
(3)絶縁破壊電圧
JIS C2110−1に準じて、温度23±2℃、湿度50±5%RH、昇圧速度2.0kV/秒、電極サイズ25mmφ円柱状の条件で、HAT−300−100RHO型装置(山崎産業社製)を用いて、多層シートの絶縁破壊電圧を測定した。得られた結果を表2に示す。
【0084】
[実施例2〜10、比較例1〜4]
接着層として、樹脂組成物(1)の代わりに、表1〜3に示す樹脂組成物を用いた以外は実施例1と同様にして多層シートをそれぞれ作製し、実施例1と同様の評価をそれぞれおこなった。得られた結果を表2および3にそれぞれ示す。
【0085】
[比較例5]
単軸押出機を用いて、樹脂温度180℃にて、樹脂組成物(1)をシート状に押出成形し、厚み167μm(0.167mm)の樹脂シートを作製し、実施例1と同様の評価をおこなった。得られた結果を表3に示す。
【0086】
【表1】
【0087】
【表2】
【0088】
【表3】
【0089】
実施例1〜10の多層シートは、接着性、防湿性、柔軟性および絶縁性の性能バランスに優れていた。これに対し、比較例1〜4のシートは、接着性、防湿性、柔軟性および絶縁性の性能バランスに劣っていた。また、比較例5のシートは、電気絶縁性樹脂フィルム層を備えないため、絶縁性が不十分である上、シートのコシが弱く取扱い性に劣っていた。
【0090】
この出願は、2015年9月30日に出願された日本出願特願2015−193264号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【0091】
本発明は以下の態様も含む。
1.
電気絶縁性樹脂フィルム層と、前記電気絶縁性樹脂フィルム層の片面または両面に設けられた接着層と、を備える絶縁性多層シートであって、
前記接着層は、グリシジル基含有エチレン系共重合体(A)と、エチレン・極性モノマー共重合体および密度が910kg/m以下のエチレン・α−オレフィン共重合体から選択される少なくとも一種のエチレン系共重合体(B)(ただし、前記グリシジル基含有エチレン系共重合体(A)を除く)と、を含む絶縁性多層シート。
2.
1.に記載の絶縁性多層シートにおいて、
JIS C2110−1に準じて、温度23±2℃、湿度50±5%RH、昇圧速度2.0kV/秒の条件で測定される絶縁破壊電圧が12kV以上である絶縁性多層シート。
3.
1.または2.に記載の絶縁性多層シートにおいて、
全体の厚みが10μm以上500μm以下である絶縁性多層シート。
4.
1.乃至3.いずれか一つに記載の絶縁性多層シートにおいて、
前記グリシジル基含有エチレン系共重合体(A)はエチレン・(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸グリシジル・酢酸ビニル共重合体、およびエチレン・(メタ)アクリル酸グリシジル・(メタ)アクリル酸エステル共重合体から選択される少なくとも一種を含む絶縁性多層シート。
5.
1.乃至4.いずれか一つに記載の絶縁性多層シートにおいて、
前記エチレン・極性モノマー共重合体は、エチレン・ビニルエステル共重合体、エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体およびエチレン・不飽和カルボン酸共重合体から選択される少なくとも一種を含む絶縁性多層シート。
6.
1.乃至5.いずれか一つに記載の絶縁性多層シートにおいて、
前記接着層中の前記グリシジル基含有エチレン系共重合体(A)および前記エチレン系共重合体(B)の少なくとも一部はシランカップリング剤によりグラフト変性されている絶縁性多層シート。
7.
1.乃至6.いずれか一つに記載の絶縁性多層シートにおいて、
前記接着層に含まれる、前記グリシジル基含有エチレン系共重合体(A)に対する前記エチレン系共重合体(B)の質量比が1以上50以下である絶縁性多層シート。
8.
1.乃至7.いずれか一つに記載の絶縁性多層シートにおいて、
前記電気絶縁性樹脂フィルム層はポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(メタ)アクリル酸メチルおよびフッ素系樹脂から選択される少なくとも一種の樹脂により構成されている絶縁性多層シート。
9.
1.乃至8.いずれか一つに記載の絶縁性多層シートにおいて、
前記電気絶縁性樹脂フィルム層の少なくとも一方の面はコロナ処理されていない絶縁性多層シート。
10.
1.乃至9.いずれか一つに記載の絶縁性多層シートにおいて、
太陽電池用絶縁性シートである絶縁性多層シート。
11.
10.に記載の絶縁性多層シートにおいて、
太陽電池モジュールの配線を所定位置に固定するために用いられる絶縁性多層シート。
12.
10.に記載の絶縁性多層シートにおいて、
太陽電池モジュールの端部を封止しつつ前記太陽電池モジュールを固定部材に固定するために用いられる絶縁性多層シート。
13.
10.に記載の絶縁性多層シートにおいて、
太陽電池素子と封止樹脂層および/または太陽電池素子同士を固定するために用いられる絶縁性多層シート。
14.
1.乃至13.いずれか一つに記載の絶縁性多層シートを製造するための製造方法であって、
電気絶縁性樹脂フィルム層の片面または両面に、グリシジル基含有エチレン系共重合体(A)と、エチレン・極性モノマー共重合体および密度が910kg/m以下のエチレン・α−オレフィン共重合体から選択される少なくとも一種のエチレン系共重合体(B)(ただし、前記グリシジル基含有エチレン系共重合体(A)を除く)と、を含む樹脂組成物を押出コーティングする工程を含む絶縁性多層シートの製造方法。
15.
太陽光が入射する基板と、
太陽電池素子と、
バックシートと、
前記太陽電池素子を前記基板と前記バックシートとの間に封止する封止樹脂層と、
10.に記載の絶縁性多層シートと、
を備える太陽電池モジュール。
16.
15.に記載の太陽電池モジュールにおいて、
前記絶縁性多層シートは前記太陽電池モジュールの配線を所定位置に固定している太陽電池モジュール。
17.
15.に記載の太陽電池モジュールにおいて、
前記絶縁性多層シートは前記太陽電池素子と前記封止樹脂層および/または前記太陽電池素子同士を固定している太陽電池モジュール。
18.
15.乃至17.いずれか一つに記載の太陽電池モジュールと、
前記太陽電池モジュールの端部を封止する10.に記載の絶縁性多層シートと、
前記太陽電池モジュールの端部を前記絶縁性多層シートを介して固定する固定部材と、
を備える太陽電池モジュール。
図1
図2
図3