(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は適宜に省略する。
【0011】
〔第1実施形態〕
先ず、
図1から
図7を用いて第1実施形態を説明する。
なお、
図1、
図3、
図4及び
図5における下方向が下方、上方向が上方である。すなわち、本実施形態の場合、下方向(下方)は、液体吐出ヘッド400からみて容器本体10に向かう方向であり、その逆方向が上方向(上方)である。言い換えると、下方向(下方)は、液体吐出容器100の底部14が水平な載置面に載置されて液体吐出容器100が自立する状態での重力方向である。
図3では、液体吐出キャップ300において破断線Hよりも下側の部分については、外形線のみを示している。
【0012】
図1から
図3のいずれかに示すように、本実施形態に係る液体吐出容器100は、押圧操作に応じて液体101(
図3)を泡化して又は液状のまま吐出する液体吐出容器100である。液体吐出容器100は、液体101を貯留する容器本体10と、押圧操作に応じて液体101を吐出する液体吐出ヘッド400とを備えている。
図3に示すように、液体吐出ヘッド400は、上向きに開口していて押圧操作に応じて液体101を外部に吐出する吐出口(例えば、二次吐出口53)と、吐出口よりも下側の位置から上側の位置まで存在していて吐出口の周囲を囲んでいる周壁56と、周壁56の内側の空間59を当該液体吐出ヘッド400の下側の空間と連通させる連通路57とを備え、周壁56は、液体101を受け取る被吐出体22(例えば、
図1に示すように、手)と吐出口との距離を一定に維持する押圧部である。なお、本実施形態では後述のように、外部に吐出する吐出口の上流に、液体101が広がる前室21を具備し、押圧操作に応じてこの前室21に対して液体101を(本実施形態では泡として)吐出する吐出口を備えている。本明細書では、便宜的に、前室21へ吐出する吐出口を一次吐出口33と称し、外部に吐出する吐出口を二次吐出口53と称することもある。
【0013】
本実施形態によれば、液体吐出容器100は、液体101を受け取る被吐出体22と二次吐出口53との距離を一定に維持する押圧部である周壁56を備えている。このため、片手操作で周壁56に対して押圧操作を行うことによって、液体を(泡化して、又は、液状のまま)手などの被吐出体22上に受け取ることが可能である。
また、周壁56の内側の空間59を液体吐出ヘッド400の下側の空間と連通させる連通路57を液体吐出容器100が備えていることにより、液体101の吐出時に、周壁56の内側の空気が、連通路57を介して液体吐出ヘッド400の下側の空間に押し出されることとなる。これにより、周壁56の内側の空間59や連通路57に滞留している水やゴミ等の異物を、気流に乗せて、連通路57を介して排出することが可能となる。
よって、液体吐出ヘッド400を清浄に維持することができる。
【0014】
押圧操作によって液体吐出ヘッド400が押圧される方向(押圧方向)、すなわち押圧操作によって液体吐出ヘッド400が容器本体10に対して相対的に押圧される方向は、二次吐出口53が開口している方向(上方向)に対する反対方向、すなわち下方向である。
周壁56は、二次吐出口53から外方向に離間した位置において上方に起立している。これにより、周壁56は、二次吐出口53と被吐出体22との距離を形成する。外方向(外側)とは、平面視において、液体吐出ヘッド400の中心軸(後述する筒部31(
図4)の中心軸)から遠ざかる方向である。
被吐出体22と二次吐出口53との距離を一定に維持するとは、押圧操作の終了段階における被吐出体22と二次吐出口53との距離を、毎回の押圧操作において互いに一定となるようにすることであり、押圧操作の開始段階と終了段階とで被吐出体22と二次吐出口53との距離が変化することは許容される。例えば、毎回の押圧操作により周壁56が一定に潰れたり又は撓んだりすることが挙げられる。ただし、押圧操作の開始段階と終了段階とで被吐出体22と二次吐出口53との距離が変化する場合、距離の変化量は、毎回の押圧操作において互いに一定となることが好ましい。なお、本実施形態の場合、液体吐出ヘッド400の全体が実質的に剛体であり、押圧操作の開始段階から終了段階に亘り被吐出体22と二次吐出口53との距離が一定に維持されるようになっている。
また、被吐出体22と二次吐出口53との距離を一定に維持するとは、
図1から分かるように、被吐出体22と二次吐出口53とが離間した状態(被吐出体22と二次吐出口53とが非接触の状態)に維持することである。押圧操作の開始段階から終了段階に亘り、被吐出体22と二次吐出口53とが離間した状態に維持される。
本実施形態の場合、周壁56は、二次吐出口53の周囲を360度周回している。ただし、本発明は、この例に限らず、二次吐出口53の周囲において部分的に周壁56の不存在部分があってもよい。
また、連通路57は、周壁56よりも径方向内側に配置されている。
【0015】
本実施形態では、液体101として、ハンドソープを代表例として挙げることができるが、これに限られず、洗顔料、クレンジング剤、食器用洗剤、整髪料、ボディソープ、髭剃り用クリーム、ファンデーションや美容液等の肌用化粧料、染毛剤、消毒薬、パンなどの食品に塗布するクリーム、住居用洗剤、除菌剤、部分洗い用等の衣料用洗剤など、泡状で用いられる種々のものを例示することができる。
本明細書では、泡状の(泡化した)液体101を泡と呼称して、容器本体10に貯留されている非泡状の液体101と区別する。
泡化する前の液体101の粘度、すなわち容器本体10内の液体101の粘度は、特に限定されないが、例えば、20℃において約1mPa・s以上20mPa・s以下とすることができる。液体101の粘度はB型粘度計により測定する。B型粘度計としては、粘度に応じて選択されたロータを有するものが用いられる。このローターは、60回転/分の回転数で回転する。ローターの回転開始から60秒後の粘度を測定する。
【0016】
被吐出体22としては、手の他、洗浄用又は塗布用のスポンジ、クリームなどが塗布されるパン等の食品などが挙げられる。
【0017】
連通路57は、より詳細には、周壁56の内側の空間59に開口している上側開口部571と、液体吐出ヘッド400の下側の空間に開口している下側開口部572と、を有する。
このため、液体101の吐出時には、周壁56の内側の空気が、上側開口部571から連通路57内に流入し、下側開口部572から連通路57外に排出されることとなる。
【0018】
本実施形態の場合、下側開口部572は、
図4等に示される吐出ヘッド本体410の下端部に形成されている。液体吐出ヘッド400の下側の空間とは、本実施形態の場合、吐出ヘッド本体410の下側の空間である。
液体吐出ヘッド400は、吐出ヘッド本体410と、それぞれ後述する筒部31及び外筒部36と、を備えて構成されている。吐出ヘッド本体410は、周壁56の他に、それぞれ後述する第2部材50、台状部37、雄ネジ部44等を含んでいる。
【0019】
本実施形態の場合、周壁56は、内側に位置する内側周壁56aと、内側周壁56aの周囲を囲んでいる外側周壁56bと、を含んで構成されている。内側周壁56aに上側開口部571が形成されており、外側周壁56bに下側開口部572が形成されている。
内側周壁56aと外側周壁56bとが上縁を共有している。この上縁が、周壁56の上縁56cである。上縁56cは、平面視において二次吐出口53の周囲を囲む環状に形成されている。上縁56cは、ノズル形成壁55の上端よりも上方に配置されている。
【0020】
周壁56が、内側周壁56aと外側周壁56bとを有するため、周壁56の良好な強度が得られる。すなわち、周壁56を押圧して液体吐出容器100から液体を吐出する際に、上縁56cから周壁56に加わる荷重を内側周壁56aと外側周壁56bとに分散できるので、周壁56の良好な耐荷重性が得られる。
【0021】
本実施形態の場合、連通路57は、外側周壁56bよりも径方向内側に配置されている。
より詳細には、連通路57は、内側周壁56aと外側周壁56bとの間隙と、後述する雌ネジ部51と外側周壁56bとの間隙と、を含む環状の空間となっている。
【0022】
本実施形態の場合、周壁56は、二次吐出口53よりも上側に位置する上側周壁部561と、二次吐出口53よりも下側に位置する下側周壁部562と、を含んで構成されている。
内側周壁56aの上部と外側周壁56bの上部とによって上側周壁部561が構成されており、内側周壁56aの下部と外側周壁56bの下部とによって下側周壁部562が構成されている。
【0023】
本実施形態の場合、
図6に示すように、液体吐出容器100は、周方向において互いに異なる位置に配置されている複数の上側開口部571と、周方向において互いに異なる位置に配置されている複数の下側開口部572と、を有する。ここで、周方向とは、液体吐出ヘッド400の中心軸を中心とする軸周りの方向であり、例えば、後述する筒部31の中心軸を中心とする軸周りの方向である。
そして、
図6に示すように、上側開口部571と下側開口部572とが周方向において互いにずれた位置に配置されている。このため、周壁56の内側の空気が連通路57を介して液体吐出ヘッド400の下側の空間に排出される際に、連通路57内のより広範囲に気流が形成されるようにできるため、より確実に連通路57内の異物を外部に排出することが可能となる。
【0024】
複数の上側開口部571は、周方向において等間隔(等角度間隔)に配置されている。
同様に、複数の下側開口部572は、周方向において等間隔(等角度間隔)に配置されている。
上側開口部571及び下側開口部572の数は特に限定されないが、本実施形態の場合、液体吐出容器100は、例えば、4つずつの上側開口部571及び下側開口部572を備えている。そして、上側開口部571と下側開口部572とが周方向において互いに45度ずれた配置とされている。
ただし、本発明は、この例に限らず、周方向における上側開口部571と下側開口部572とのずれ角度は、その他の角度であってもよい。また、上側開口部571の数と下側開口部572の数とは互いに異なっていてもよい。
【0025】
上側開口部571の形状は、特に限定されないが、本実施形態の場合、上側開口部571は、周方向に長尺に形成されている。
また、下側開口部572の形状も、特に限定されないが、本実施形態の場合、下側開口部572は、周方向に長尺に形成されている。
なお、上側開口部571の開口面積(本実施形態のように上側開口部571が複数ある場合には上側開口部571の総面積)は、連通路57の流路面積よりも小さい。
同様に、下側開口部572の開口面積(本実施形態のように下側開口部572が複数ある場合には下側開口部572の総面積)は、連通路57の流路面積よりも小さい。
【0026】
周壁56は、連通路57を画定する内面56dを有する。周壁56の内面56dには、(内面56dに沿い、且つ、)上方から下方に延びる(上下に延在する)複数の突条565又は溝が形成されている。
このため、周壁56の内側の空気が連通路57を介して液体吐出ヘッド400の下側の空間に排出される際に、連通路57内において、突条565又は溝に沿った気流が形成されることが期待でき、連通路57内の異物をよりスムーズに外部に排出できることが期待できる。
図7に示すように、本実施形態の場合、内面56dには、複数の突条565が形成されている。
複数の突条565又は溝は、互いに回転対称形であることが好ましい。
【0027】
より詳細には、本実施形態の場合、各突条565は、上下方向成分と周方向成分とを含む方向(斜めの方向)に延在しており、しかも各突条565又は溝の延在方向における周方向成分は、互いに同方向となっている。このため、周壁56の内側の空気が連通路57を介して液体吐出ヘッド400の下側の空間に排出される際に、連通路57内において、螺旋状の気流(螺旋流)が形成されることが期待でき、連通路57内のより広範囲の異物を外部に排出できることが期待できる。
特に、本実施形態のように、上側開口部571と下側開口部572とが周方向において互いにずれた位置に配置されている場合に、内面56dに、互いに同方向の斜め方向に延在する複数の突条565又は溝が形成されていることによって、螺旋流が形成されやすくなることが期待できる。
本実施形態の場合は、
図7に示すように、各突条565が平面視において曲線状となっているが、本発明は、この例に限らず、突条565又は溝は、平面視において直線状となっていてもよい。
【0028】
図6に示すように、上側開口部571は、平面視において当該上側開口部571を視認可能な形状及び配置とされている。
このため、液体吐出ヘッド400を洗浄する際に、上側開口部571から洗浄液(水など)を連通路57内に流入させやすくなるため、液体吐出ヘッド400の洗浄を容易に行うことが可能となる。
【0029】
容器本体10の形状は特に限定されないが、容器本体10は、例えば、胴部11と、胴部11の上端に連接されている肩部12と、肩部12の中央部から上方に突出している円筒状の口頸部13(
図3)と、胴部11の下端を閉塞している底部14と、を有している。口頸部13の上端は開口している。
本実施形態の場合、液体吐出容器100は、底部14が水平な載置面上に載置された状態で自立可能である。また、液体吐出容器100が自立した状態で液体吐出ヘッド400に対する押圧操作が行われることによって、泡化した液体101を二次吐出口53から吐出できるようになっている。
【0030】
液体吐出容器100の容器本体10に液体101が充填されることによって、液体詰め容器800が構成されている。すなわち、液体詰め容器800は、本実施形態に係る液体吐出容器100と、容器本体10に充填された液体101と、を備えている。
【0031】
本実施形態の場合、液体吐出容器100は、例えば、手動式のポンプ容器(ポンプフォーマー)であり、容器本体10は液体101を常圧で貯留する。
【0032】
液体吐出容器100は、容器本体10と、容器本体10に対して着脱自在に装着される液体吐出キャップ300と、を備えて構成されている。換言すれば、液体吐出キャップ300は、液体吐出容器100の構成のうち容器本体10を除く部分により構成されている。
【0033】
液体吐出キャップ300は、容器本体10に対して着脱自在に装着されるキャップ200と、キャップ200に装着(例えば着脱自在に装着)して用いられる液体吐出ヘッド400と、を備えて構成されている。換言すれば、液体吐出ヘッド400は、液体吐出キャップ300の構成のうちキャップ200を除く部分により構成されている。
本実施形態の場合、液体吐出キャップ300は、液体101を泡化するフォーマー機構19(
図3)を備えている。
【0034】
液体吐出ヘッド400がキャップ200に装着され、且つ、キャップ200が容器本体10に装着された状態で、液体吐出ヘッド400に対して押圧操作が行われることによって、液体吐出ヘッド400が液体101を吐出する。
後述するように、液体吐出ヘッド400は、例えば、キャップ200のポンプ部75が備えるピストンガイド80の上端部に対して装着される。
【0035】
図3に示すように、キャップ200は、口頸部13に対して着脱自在に装着されるキャップ部材70と、液体吐出ヘッド400の押圧操作に連動して作動することにより液体101及び空気をフォーマー機構19に送出し且つ泡を二次吐出口53から吐出させるポンプ部75と、容器本体10内の液体101をポンプ部75に吸い上げるためのディップチューブ77と、を備えている。ディップチューブ77の先端には、容器本体10内の液体101を吸入する吸入口が形成されている。
なお、ポンプ部75の構造はよく知られており、本明細書では詳細な説明を省略する。
キャップ200は、液体吐出ヘッド400が押圧されることにより、液体101を泡化し、泡を吐出する。
【0036】
キャップ部材70は、螺合等の止着方法によって口頸部13に対して着脱自在に装着される円筒状の装着部71と、装着部71の上端部を閉塞している環状閉塞部72と、装着部71よりも小径の円筒状に形成されているとともに環状閉塞部72の中央部から上方に起立している起立筒部73と、を備えている。
なお、装着部71は、2重筒構造に形成されていて、そのうち内側の筒状部が口頸部13に対して螺合するようになっていても良いし、一重の筒状に構成されていても良い。口頸部13に装着部71が装着されることによって、キャップ部材70の全体、キャップ200の全体、ひいては液体吐出キャップ300の全体が容器本体10に装着される。
液体吐出キャップ300が容器本体10に装着されることにより、液体吐出キャップ300によって口頸部13の上端の開口が閉塞される。
【0037】
フォーマー機構19は、ポンプ部75によって送出される液体101と空気とが混合される気液混合部20を含んでいる。気液混合部20にて液体101と空気とが混合されることによって、液体101が泡化する(泡が生成される)。
ポンプ部75は、ボール弁90を含む液体弁を備えている。液体吐出ヘッド400に対する押圧操作が行われると、ボール弁90が押し上げられて液体弁が開き、液体101が気液混合部20に流入する(つまり気液混合部20に液体101が送出される)ようになっている。
また、気液混合部20に液体101を送出する際に、ポンプ部75は、気液混合部20に対する空気の送出も並行して行うように構成されている。
【0038】
ボール弁90の上方には、例えば、筒状のリング部材25が配置されている。リング部材25は、例えば、周知の泡吐出容器が備えるジェットリングであり、当該リング部材25の軸心方向が上下に延在する姿勢で、後述する筒部31の内部に配置されている。
リング部材25の内部には、筒状のメッシュ保持リング23が例えば上下2段に設けられている。下側のメッシュ保持リング23の下端の開口と、上側のメッシュ保持リング23の上端の開口には、それぞれメッシュ24が設けられている。
リング部材25の内部空間は、例えば、気液混合部20の一部を構成している。
メッシュ保持リング23及びメッシュ24は、気液混合部20とともにフォーマー機構19を構成している。
気液混合部20にて生成された泡がメッシュ24を通過することにより、泡はよりきめ細かく均一になる。
なお、メッシュ24が無くても所望のきめ細かさの泡を生成できる場合、フォーマー機構19はメッシュ保持リング23及びメッシュ24を有していなくてもよい。
【0039】
図4及び
図5に示すように、本実施形態の場合、液体吐出ヘッド400は、押圧操作に応じて液体101を吐出する一次吐出口33を有する第1部材30と、一次吐出口33から吐出された液体101を外部に吐出する二次吐出口53を有する第2部材50と、第3部材110と、を備えて構成されている。
第1部材30、第2部材50及び第3部材110の各々の材料は特に限定されないが、第1部材30、第2部材50及び第3部材110の各々は、ポリプロピレン(PP)などの樹脂材料により構成されていることが好ましい。
本実施形態の場合、第3部材110に対して第2部材50が着脱自在に装着されているとともに、第1部材30に対して第3部材110が着脱自在に装着されている。
つまり、二次吐出口53を有する第2部材50が、一次吐出口33を有する第1部材30に対して(第3部材110を介して間接的に)着脱自在に装着されている。
このため、第2部材50を第1部材30から取り外して容易に洗浄することができる。
【0040】
図5に示すように、第1部材30は、上下に延在する円筒状(円管状)の筒部31と、筒部31の上端に連接されているとともに水平に配置されている台状部37と、筒部31の周囲において台状部37から下方に延びており筒部31と同軸に配置されている外筒部36と、台状部37の周縁部に形成されている雄ネジ部44と、台状部37の周縁部における上面側に形成されている円環状の環状台35とを備えている。
第1部材30は、更に、台状部37の上面における中央部から上方に向けて起立している起立筒部45を備えている。起立筒部45と筒部31とは、例えば、互いに同軸に配置されている。
【0041】
第1部材30には、当該第1部材30を上下に貫通する流路43が、筒部31から起立筒部45に亘って形成されている。流路43の内周面には、例えば、当該流路43の長手方向に延在する複数のリブが、当該流路43の周方向において等角度間隔で形成されていてもよい。起立筒部45の上端の開口、すなわち流路43の下流端が一次吐出口33である。
起立筒部45は、例えば、円筒状となっており、一次吐出口33の平面形状は、例えば、円形である。
後述する前室21への液体の広がり性の観点から、起立筒部45の高さ寸法は、前室21の高さ寸法の1/2以下であることが好ましい。
【0042】
第1部材30の筒部31の内部空間の一部領域は、リング部材25(
図3)を保持する保持部32となっている。
上下2段のメッシュ保持リング23を内部に保持したリング部材25が、筒部31の下端から筒部31内に挿入されることによって、保持部32に固定されている。
【0043】
環状台35は、例えば、起立筒部45と同軸の円環状に形成されている。環状台35は、雄ネジ部44の上端と一体的に形成されている。環状台35の上面は、起立筒部45の上端よりも高い位置に配置されている。
台状部37の上面は、例えば、起立筒部45と環状台35とを除き、水平な平面状に形成されている。
【0044】
第1部材30は、更に、周壁56の下部を構成する環状の壁状部である下部構成部38を備えている。より詳細には、下部構成部38は、周壁56の外側周壁56bの下部を構成する。
図7に示すように、下部構成部38は、例えば、平面視円形に形成されている。
下部構成部38は、皿状の形状に形成されている。下部構成部38は、当該下部構成部38における径方向外側の部分ほど、高さ位置が高くなるように、傾斜している。より詳細には、下部構成部38は、例えば、径方向外方且つ斜め下方の向きに凸に湾曲した形状に形成されている。
下部構成部38の上縁は、例えば、環状台35よりも高い位置に配置されている。
下部構成部38の上縁部には、第3部材110の後述する上部構成部115の嵌合部115aと嵌合する嵌合部38aが形成されている。例えば、嵌合部38aにおける内周側の部分が環状の凹部となっており、嵌合部38aにおける外周側の部分が上に凸の環状の凸部となっている。
【0045】
下部構成部38の中央部には、当該下部構成部38を上下に貫通する開口部が形成されている。この開口部の内周縁と雄ネジ部44の下端部とが相互に連結されている。このため、下部構成部38は、雄ネジ部44によって支持されている。
より詳細には、雄ネジ部44の下端部の下方に、下部構成部38の中央部の開口部が配置されている。下部構成部38と雄ネジ部44とを相互に連結している連結部は、上下方向に寸法を有する壁状に形成されている。
本実施形態の場合、下部構成部38と雄ネジ部44との連結部は、周方向において間欠的に複数配置されており、隣り合う連結部どうしの間隙が、連通路57の下側開口部572を構成している。
従って、本実施形態の場合、下側開口部572は、液体吐出ヘッド400の径方向内向きに開放している。
【0046】
図4に示すように、第2部材50は、第1部材30の台状部37と対向する対向部52を構成する。
図5に示すように、対向部52は、例えば、平板状に形成されている板状部52aと、板状部52aから上方に起立しているノズル形成壁55と、板状部52aの下面に形成されている壁部47と、を備えている。
ノズル形成壁55は、平面視において閉ループ形状に形成されている。ノズル形成壁55の上端の開口が二次吐出口53を構成している。
また、ノズル形成壁55の基端側において、例えば、ノズル形成壁55と同形状の開口が対向部52を上下に貫通している。このため、対向部52の下側の空間(後述する前室21となる空間)と、二次吐出口53の上側の空間とは、対向部52に形成された開口、ノズル形成壁55の内部空間及び二次吐出口53を介して相互に連通している。
対向部52の板状部52aの周縁部は、板状部52aの中央部96よりも薄く形成された薄肉部95となっている。薄肉部95の上面は、中央部96の上面よりも低段に配置されている。
第2部材50の外径、すなわち薄肉部95の外径は、第1部材30の環状台35の内径よりも大きく、本実施形態の場合、薄肉部95の外径は、環状台35の外径と略等しい。
薄肉部95の外周面には、嵌合凸部95aが形成されている。嵌合凸部95aは、例えば、薄肉部95を周回する環状の突条である。ただし、嵌合凸部95aは、薄肉部95の周方向において間欠的に形成されていてもよい。
【0047】
図4及び
図5に示すように、第3部材110は、第1部材30の雄ネジ部44と螺合する円環状の雌ネジ部51と、雌ネジ部51の上端部から雌ネジ部51の径方向内側に向けて内フランジ状に張り出している内フランジ部113と、を備えている。
内フランジ部113には、当該内フランジ部113を上下に貫通する開口が形成されている。この開口の上部は、開口下部112に対し相対的に内径が小さい開口上部111であり、この開口の下部は、開口上部111に対し相対的に内径が大きい開口下部112である。
開口下部112の内周面には、第2部材50の薄肉部95の嵌合凸部95aが嵌入する嵌合凹部112aが形成されている。
【0048】
第3部材110は、更に、周壁56の一部分ずつをそれぞれ構成する内側周壁56a及び上部構成部115を備えている。
内側周壁56aは、雌ネジ部51から上方に向けて起立している環状の壁状部である。
上部構成部115は、内側周壁56aの上縁から下方に延びている環状の壁状部であり、内側周壁56aの周囲に配置されている。上部構成部115は、周壁56の外側周壁56bの上部を構成する部分である。
より詳細には、内側周壁56aは、当該内側周壁56aにおける上方の部分ほど、径方向外側に位置するように、傾斜している。更に詳細には、内側周壁56aは、例えば、径方向外方且つ斜め下方の向きに凸に湾曲した形状に形成されている。
また、上部構成部115は、当該上部構成部115における下方の部分ほど、径方向外方に位置するように、傾斜している。更に詳細には、上部構成部115は、例えば、径方向外方且つ斜め上方の向きに凸に湾曲した形状に形成されている。
内側周壁56aと上部構成部115とは互いに上縁を共有している。この上縁が、周壁56の上縁56cである。
ここで、内側周壁56aと上部構成部115とが互いに逆向きに傾斜しているため、上縁56cから周壁56に加わる荷重をより好適に内側周壁56aと外側周壁56bとに分散できる。
【0049】
内側周壁56aには、当該内側周壁56aの内外を貫通する上側開口部571が形成されている。上側開口部571は、内側周壁56aの内側の空間59と外側の空間とを相互に連通させている。より詳細には、内側周壁56aの周方向における複数箇所にそれぞれ上側開口部571が形成されている。
内側周壁56aにおいて、隣り合う上側開口部571どうしの間の部分は、内側周壁56aの上部と雌ネジ部51とを連結する柱状部563となっている。
上部構成部115の下縁部には、下部構成部38の嵌合部38aと嵌合する嵌合部115aが形成されている。嵌合部115aにおける内周側の部分が下に凸の環状の凸部となっており、嵌合部115aにおける外周側の部分が環状の凹部となっている。
【0050】
液体吐出ヘッド400は、以下のようにして第1部材30、第2部材50及び第3部材110を相互に組み付けることによって構成されている。
先ず、第2部材50の薄肉部95を第3部材110の開口下部112に嵌入させることによって、第2部材50を第3部材110に対して着脱自在に装着する。
第2部材50が第3部材110に装着された状態では、薄肉部95の嵌合凸部95aと開口下部112の嵌合凹部112aとが嵌合するとともに、中央部96の上部が開口上部111内に入り込んでいる(例えば嵌入する)。また、中央部96の上面と内フランジ部113の上面とは互いに面一となる。また、第2部材50のノズル形成壁55及び二次吐出口53の周囲に内側周壁56aが配置される。
次に、第3部材110の雌ネジ部51と第1部材30の雄ネジ部44とを螺合させることによって、第2部材50及び第3部材110を第1部材30に対して着脱自在に装着する。
この状態では、上部構成部115の嵌合部115aと下部構成部38の嵌合部38aとが嵌合されるとともに、上部構成部115と下部構成部38とが互いに上下に連続して配置される。これにより、上部構成部115と下部構成部38とによって周壁56の外側周壁56bが構成される。つまり、内側周壁56a及び上部構成部115と、下部構成部38と、により周壁56が構成される。
また、この状態では、板状部52aの下面が環状台35の上面と当接し、板状部52aの下面と台状部37の上面との間にクリアランスが形成されている。このクリアランスは、一次吐出口33から(本実施形態では泡として)吐出された液体101が広がる前室21を構成する。前室21は、周囲を環状台35によって囲まれている。起立筒部45は、前室21内に配置されている。
こうして、液体吐出ヘッド400が3つの部品によって組み立てられている。
【0051】
本実施形態の場合、上側周壁部561は、内側周壁56aの上部と、上部構成部115の下端部を除く部分と、により構成されており、下側周壁部562は、内側周壁56aの下部と、上部構成部115の下端部と、下部構成部38と、により構成されている。
【0052】
ここで、上部構成部115の外周面の下端部と、下部構成部38の外周面の上端部には、それぞれ位置合わせ用の標示部58(
図1、
図2)が形成されている。
例えば、第3部材110の雌ネジ部51と第1部材30の雄ネジ部44との螺合が正常に完了した段階、すなわち第3部材110が第1部材30に対して正常に装着された状態で、上部構成部115の標示部58と下部構成部38の標示部58とが上下に揃うように、各標示部58が配置されている。
図1及び
図2の例では、各標示部58の形状が三角形であり、第3部材110が第1部材30に対して正常に装着された状態で、各標示部58の1つの頂点どうしが互いに突き合わされた状態となるようになっている。
なお、標示部58の形状はこの例に限らず、例えば、第3部材110が第1部材30に対して正常に装着された状態で、上部構成部115と下部構成部38とに跨がった所定の図柄(例えば花柄や顔など)が完成するようになっていてもよい。
【0053】
図4に示すように、周壁56の内側の空間59は、周壁56の上端の開口56eを介して、液体吐出ヘッド400よりも上方の空間と連通している。
上側開口部571の少なくとも一部分は、二次吐出口53よりも下側に形成されていることが好ましい。これにより、二次吐出口53よりも下側に(板状部52aの上面上など)滞留している水やゴミなどの異物を、連通路57を介して液体吐出ヘッド400の下側に排出しやすくなる。本実施形態の場合、上側開口部571は、内側周壁56aの下端部に配置されている。このため、二次吐出口53よりも下側に滞留している異物を、より容易に、連通路57を介して排出しやすい。
本実施形態の場合、板状部52aの上面と上側開口部571との間に段差が無く、板状部52aの上面上の異物をより容易に連通路57を介して排出しやすい。
【0054】
ここで、
図3に示すように、ポンプ部75は、筒状に形成されたピストンガイド80を備えている。ピストンガイド80は、その上端部においてボール弁90を保持している。
液体吐出ヘッド400は、例えば、液体吐出ヘッド400の筒部31を起立筒部73の上方から起立筒部73内に押し込み、筒部31の下端部に対してピストンガイド80の上端部を差し込み固定することで、ピストンガイド80に装着されている。これにより、液体吐出ヘッド400はピストンガイド80によって保持されている。
液体吐出ヘッド400の筒部31に対するピストンガイド80の固定は、例えば嵌合により行われている。液体吐出ヘッド400を上方に強く引っ張ることによって、筒部31に対するピストンガイド80の嵌合が外れ、液体吐出ヘッド400をキャップ200から取り外すことができるようになっている。
【0055】
ピストンガイド80は、コイルバネ等の付勢部材を介して、ポンプ部75のケースによって支持されている。
液体吐出ヘッド400に対して押圧操作が行われたときには、付勢部材の付勢に抗して液体吐出ヘッド400及びピストンガイド80が一体に下降するようになっている。液体吐出ヘッド400の押圧操作は、所定の下死点で停止するようになっている。
液体吐出ヘッド400に対する押圧操作が解除されると、液体吐出ヘッド400及びピストンガイド80が付勢部材の付勢に従って上死点位置(
図1〜
図3の位置)まで上昇するようになっている。
液体吐出容器100は、液体吐出ヘッド400に対する1回の押圧操作(液体吐出ヘッド400を上死点から下死点まで押し下げる操作)によって一定量の泡を吐出するようになっている。
【0056】
ピストンガイド80と液体吐出ヘッド400とが相互に固定されることによって、ボール弁90の上方にリング部材25(リング部材25はメッシュ保持リング23を内蔵している)が配置される。
したがって、ボール弁90の配置領域は、リング部材25及びメッシュ保持リング23の内部空間を介して、筒部31内の流路43における保持部32よりも上方の部分と連通し、ひいては筒部31の上端の一次吐出口33に連通している。
液体吐出ヘッド400に対する押圧操作が行われると、フォーマー機構19にて生成された泡が、筒部31を介して一次吐出口33から上方に吐出されるようになっている。
【0057】
液体吐出ヘッド400に対する押圧操作により、液体101(本実施形態の場合、泡化された液体101)は、一次吐出口33、前室21、ノズル形成壁55の内部空間、及び、二次吐出口53をこの順に通って、周壁56の内側の空間59に吐出され、この空間59を介して、手などの被吐出体22に付着する。
【0058】
二次吐出口53の平面形状は、特に限定されない。二次吐出口53の平面形状が円形の場合は、円形の泡を吐出することができる。また、二次吐出口53の平面形状が非円形の場合も、当該平面形状に応じた形状の泡を吐出することができる。
すなわち、二次吐出口53は、泡の目的形状と対応する形状に形成されている。
また、二次吐出口53は、1つのノズル形成壁55の先端(上端)の開口(つまり、1つ(単数)の開口)により構成されていてもよいし、複数のノズル形成壁55の先端(上端)の開口の集合体(つまり、互いに独立して配置された複数の開口の集合体)であってもよい。
また、二次吐出口53の形状は、泡の目的形状と同一とは限らない。特定の立体泡を形成するためには、二次吐出口53は、非円形形状であるか、又は、複数の開口(互いに独立して配置された複数の開口)を含んで構成されていることが好ましい。
【0059】
本実施形態の場合、二次吐出口53は、泡を所定の目的形状に整形して吐出する。ここで、泡を所定の目的形状に整形するとは、泡を非円形形状に整形することである。従って、本実施形態の場合、二次吐出口53から吐出された泡は、所定の目的形状に形成されるようになっており、泡は非円形形状となる。泡が非円形形状であるとは、泡の平面形状が非円形であることを言う。ここで言う非円形には、単一な円形は含まれないが、複数の円が集合した形状や次に挙げる所定の目的形状が含まれる。泡の所定の目的形状としては、例えば、三角形、四角形、菱形、星形、またトランプのハート形、クローバー形、スペード形、またウサギや猫、象、クマ等の動物やゲームのキャラクタの全身や顔等の身体の一部の輪郭を模した形状、花や植物や、その果実、飛行機、自動車、ヨット等の乗り物の輪郭を模した形状等が挙げられる。
【0060】
本実施形態の場合、泡の所定の目的形状は、花を模した形状である。
図2に示すように、二次吐出口53及びノズル形成壁55は、このような形状の泡に対応するものとなっている。
二次吐出口53は、複数(例えば5つ)のノズル形成壁55の先端に形成された複数(例えば5つ)の開口を含んで構成されている。
各ノズル形成壁55の先端の開口は、当該開口から吐出された泡が個々の花びらを模した形状となる平面形状となっており、これら開口が放射状に配置されている。
図1に示すように、手の平などの被吐出体22によって、押圧部である周壁56を押圧することにより、手の平において、各開口から吐出された泡が一体化して花を模した形状となるとともに、泡が手の平に付着する。
【0061】
より詳細には、前室21の形成範囲は、板状部52aの下面に形成されている壁部47によって、制限されていることが好ましい。すなわち、本実施形態の場合、前室21は、板状部52aの下面と台状部37の上面との対向間隔であって、板状部52aの下面に形成されている壁部47と環状台35とによって囲まれた領域である。
例えば、本実施形態のように、複数の二次吐出口53が放射状に配置されている場合に、前室21は、
図6に示すように、これら二次吐出口53の周囲に沿って、且つ、二次吐出口53を包含するよう形成されていることが好ましく、本実施形態では星形(ヒトデ形)に形成されている。
これにより、液体吐出ヘッド400を押圧してから二次吐出口53から液体101(本実施形態の場合、泡)が吐出されるまでの応答時間を低減できる。
【0062】
次に、動作を説明する。
液体吐出ヘッド400が押圧操作されていない通常状態では、液体吐出ヘッド400は上死点位置に位置している。
液体吐出ヘッド400に対する押圧操作は、
図1に示すように手などの被吐出体22で液体吐出ヘッド400の上端(周壁56の上縁56c)の開口56eを塞いだ状態(つまり、被吐出体22が空間59を介して二次吐出口53と対向する状態)で、被吐出体22によって液体吐出ヘッド400を押圧することによって行うことができる。
【0063】
液体吐出ヘッド400に対する押圧操作が行われると、液体吐出ヘッド400及びピストンガイド80がポンプ部75内の付勢部材の付勢に抗して容器本体10に対して相対的に下降する。
この際に、ポンプ部75の作用により液体101及び空気が気液混合部20に供給され、該気液混合部20にて泡が生成される。気液混合部20にて生成された泡は、メッシュ24を通過することによって、よりきめ細かく均一な泡となる。このようにしてフォーマー機構19にて生成された泡は、筒部31の内部を通過して一次吐出口33から前室21に吐出され、該前室21にて広がる。
更に、泡は対向部52に形成されたノズル形成壁55を通過して、二次吐出口53から吐出される。泡はノズル形成壁55及び二次吐出口53を通過することによって、所定の目的形状(本実施形態では花を模した形状)に整形され、開口56eを塞いでいる被吐出体22の下面に付着する。すなわち、周壁56に対する押圧操作によって二次吐出口53から飛び出した泡が被吐出体22に転写され、所定の目的形状に整形された泡である泡造形物が被吐出体22の下面に付着した状態となる。
その後、液体吐出ヘッド400に対する押圧操作が解除されると、付勢部材の付勢に従ってピストンガイド80及び液体吐出ヘッド400が上昇し、液体吐出ヘッド400が上死点位置に復帰する。
その後、被吐出体22を開口56eの上方に持ち上げて裏返すことにより、被吐出体22上に泡造形物が形成された状態となる。すなわち、所定の目的形状の泡造形物を被吐出体22上に受け取ることができる。
ピストンガイド80が上昇する際に、容器本体10内の液体101がディップチューブ77を介してポンプ部75内に吸い上げられる。
なお、ここで説明したキャップ200(ポンプ部75を含む)の構造および動作は一例であり、キャップ200の構造としては、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、その他の広く知られている構造のものを本実施形態に適用しても何ら差し支えが無い。
【0064】
泡造形物を被吐出体22上に好適に受け取ることができるように、板状部52aの上面と周壁56の上縁56cとの高低差、すなわち板状部52aの上面を基準とした周壁56の高さ寸法は、板状部52aの上面とノズル形成壁55の上端との高低差、すなわちノズル形成壁55の高さ寸法の2倍以上であることが好ましく、3倍以上であることが更に好ましく、また、10倍以下であることが好ましく、8倍以下であることが更に好ましい。
また、二次吐出口53と周壁56の上縁56cとの高低差は、5mm以上20mm以下であることが好ましく、7mm以上18mm以下であることが更に好ましい。
また、ノズル形成壁55の高さ寸法は、泡を二次吐出口53から被吐出体22上に良好に受け取れるようにする観点から、1mm以上であることが好ましく、2mm以上であることが更に好ましく、また10mm以下であることが好ましく、8mm以下であることが更に好ましい。
また、二次吐出口53の対向位置に被吐出体22を配置せずに周壁56に対して押圧操作が行われた場合に、二次吐出口53から吐出される泡が周壁56の上縁56cよりも上方に飛び出すように、ポンプ部75等のフォーマー機構19の構造、周壁56やノズル形成壁55の高さ寸法等が設定されていることが好ましい。
【0065】
二次吐出口53から泡をスムーズに吐出させ、手などの被吐出体22上に安定して特定形状の泡を好適に形成する観点から、30mm/sの速度で液体吐出ヘッド400を押し下げるときの押圧力が、1N以上であることが好ましく、5N以上であることが更に好ましく、また40N以下であることが好ましく、35N以下であることが更に好ましい。
【0066】
二次吐出口53の前段に配置された前室21において泡が拡がって該前室21が泡で満たされた後、泡が二次吐出口53から吐出されるようにできるため、泡を二次吐出口53の全域に十分に行き渡らせることが容易となり、泡を二次吐出口53によって所定の目的形状に形成しやすくなる。また、対向部52が配置されていることにより、一次吐出口33から吐出された泡が前室21において拡がり易くなっている。
【0067】
また、液体吐出容器100が起立筒部45を備えているので、二次吐出口53、前室21及び一次吐出口33を介して流路43側に埃などの異物が侵入することを抑制できる。よって、異物がフォーマー機構19や流路43に詰まることによる液体101の吐出性への影響を低減できる。
【0068】
また、上述のように、液体101の吐出時に、周壁56の内側の空気が連通路57を介して液体吐出ヘッド400の下側の空間に押し出されることとなるため、周壁56の内側の空間59や連通路57に滞留している異物を排出することが可能となる。
ここで、二次吐出口53は、板状部52aから上方に起立したノズル形成壁55の上端に形成されているため、板状部52aの上面近傍への泡の干渉は抑制できる。このため、板状部52a上の異物も排出することが可能である。
また、液体101の吐出時に、空間59内及び連通路57内において瞬間的に空気が圧縮されるため、連通路57を介して勢いよく異物を排出することができる。
【0069】
更に、液体101の吐出時に、空間59内及び連通路57内において瞬間的に空気が圧縮されるため、泡が瞬間的に加圧された後、大気圧に開放されることから、泡がきめ細かくなることが期待できる。
【0070】
ここで、1回の泡の吐出動作により吐出される泡の体積(単位泡体積)は、特に限定されないが、例えば、3cm
3以上30cm
3以下であることが好ましく、5cm
3以上20cm
3以下であることがより好ましく、10cm
3以上であることが更に好ましい。
また、空間59の体積と連通路57との体積との合計の体積は、特に限定されないが、10cm
3以上200cm
3以下であることが好ましく、20cm
3以上100cm
3以下であることが更に好ましい。
また、下側開口部572の開口面積(下側開口部572の総面積)は、特に限定されないが、1cm
3以上10cm
3以下であることが好ましく、単位泡体積よりも小さいことが好ましい。
これらの条件を満たすことによって、液体101の吐出時に連通路57に形成される気流の速度を十分に確保できるようになることが期待できる。
また、下側開口部572の総面積は、上側開口部571の総面積よりも大きいことが好ましい。このようにすることによって、異物の排出性が更に向上する。
【0071】
以上のような第1の実施形態によれば、液体吐出容器100の液体吐出ヘッド400は、二次吐出口53の周囲を囲んでいる周壁56と、周壁56の内側の空間59を液体吐出ヘッド400の下側の空間と連通させる連通路57とを備え、周壁56は、液体101を受け取る被吐出体22と二次吐出口53との距離を一定に維持する押圧部である。
よって、手などの被吐出体22によって周壁56に対して押圧操作を行うことにより、二次吐出口53から吐出される泡を被吐出体22に付着させることができる。したがって、片手操作で液体101(本実施形態では泡)を手などの被吐出体22上に受け取ることが可能である。つまり、簡易な操作で泡を被吐出体22上に受け取ることができる。
更に、被吐出体22と二次吐出口53との距離を周壁56によって一定に維持することができるため、二次吐出口53から吐出された泡を被吐出体22で潰すことなく、被吐出体22上に受け取ることができる。
よって、特に、泡を所定の目的形状に整形して吐出する場合には、被吐出体22上に、より正確に目的形状の泡を形成しやすくなる。
また、二次吐出口53がノズル形成壁55の先端に形成されていることにより、被吐出体22側へ、泡を安定して吐出することができるとともに、二次吐出口53からの泡切れ(二次吐出口53からの泡の分離性)を良好にできる。
また、周壁56の上縁56cはノズル形成壁55よりも上方に位置していることによって、泡を潰さずに被吐出体22上に好適に受け取ることができる。
また、液体101の吐出時に、周壁56の内側の空気が、連通路57を介して液体吐出ヘッド400の下側の空間に押し出されることとなるので、空間59や連通路57に滞留している異物を、連通路57を介して排出することが可能となる。
また、液体吐出ヘッド400が周壁56を備えているため、液体吐出ヘッド400のデザインの自由度が高まる。
【0072】
本実施形態の場合、液体吐出ヘッド400は第1部材30、第2部材50及び第3部材110の3つの部材により構成されており、
図5に示すように、液体吐出ヘッド400がこれら3つの部材に分離できるため、これら部材の洗浄がより容易になる。
また、上記のように、第2部材50が第3部材110に対して嵌合することにより装着されているため、第3部材110を第1部材30から分離させた段階では、第2部材50は第3部材110と一体化されたままに維持される。このため、第3部材110と第2部材50とを第1部材30から取り外した状態で、第3部材110と第2部材50とをまとめて洗浄することも可能である。
【0073】
〔第2実施形態〕
次に、
図8及び
図9を用いて第2実施形態を説明する。本実施形態に係る液体吐出容器(全体図示略)は、それぞれ以下に説明する蓋部材120及び突条123を有する点で、上記の第1実施形態に係る液体吐出容器100と相違しており、その他の点では、上記の第1実施形態に係る液体吐出容器100と同様に構成されている。
【0074】
蓋部材120は、主として液体吐出容器100(典型的には液体101が充填されて液体詰め容器800の形態となった液体吐出容器100)の流通時(販売のための陳列時を含む)や保管時において、空間59への異物の侵入を規制するために用いられる。
蓋部材120は、例えば、平板状の蓋本体121と、蓋本体121の縁に連接されている舌片状の摘まみ部122と、を備えて構成されている。
蓋部材120は、液体吐出ヘッド400に対して着脱自在に設けられている。
【0075】
蓋本体121は、例えば、空間59の上端部を閉塞可能な円板状に形成されている。
摘まみ部122は、蓋部材120が液体吐出ヘッド400に設けられた状態で、蓋本体121に対して上方に折れ曲がった状態で配置される。
このため、使用者は、摘まみ部122を指で摘まんで蓋部材120を液体吐出ヘッド400から容易に取り外すことができる。
【0076】
突条123は、内側周壁56aの内周面に形成されている。内側周壁56aには、周方向において複数の突条123が間欠的に形成されていてもよいし、1つの突条123が周回状に形成されていてもよい。
一例として、蓋部材120が液体吐出ヘッド400に装着された状態においては、蓋本体121が突条123の下側に潜り込み、突条123の下面に対して蓋本体121の周縁部の上面が係合した状態となる。
ただし、本発明は、この例に限らず、蓋部材120が液体吐出ヘッド400に装着された状態において、蓋本体121の周縁部の下面が、突条123の上面によって支持されるようになっていてもよい。
【0077】
上記の各実施形態では、液体を泡化して吐出するタイプの液体吐出容器について説明したが、本発明は、この例に限らず、液体吐出容器は、液体を液状のまま吐出するタイプのものであってもよい。この場合、液体101として、コンディショナーを代表例として挙げることができるが、これに限られず、洗浄剤、スキンケアクリームなどの美容剤、ジェル除菌剤、トイレ用のジェルスタンプ、毛髪用化粧料、各種食品(例えば、マヨネーズやマーガリンのような食用油脂や、クリームなど)など、液状(流動体の状態)で用いられる種々のものを例示することができる。
【0078】
また、液体吐出容器が液体を液状のまま吐出するタイプの場合、容器本体10内の液体101の粘度は、20℃において1000mPa・s以上100000mPa・s以下であることが好ましい。20℃における液体101の粘度は、より好ましくは10000mPa・s以上80000mPa・s以下であり、さらに好ましくは30000mPa・s以上60000mPa・s以下である。液体101の粘度はB型粘度計により測定する。B型粘度計の測定は、例えば、液体101の剤型及び粘度に応じて適切なローターまたはスピンドルを選択し、それに応じた回転数(50〜60回転/分)の回転数でローターまたはスピンドルを回転させ、回転時間が60秒となった時点の粘度を測定することができる。
液体101の粘度が20℃において1000mPa・s以上100000mPa・s以下であることによって、二次吐出口53より吐出された液体101を好適に所定の目的形状(二次吐出口53の形状と対応する形状)に形成することができる。
【0079】
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成される限りにおける種々の変形、改良等の態様も含む。
【0080】
また、上記の各実施形態では、周壁56が円環状(より詳細には内側周壁56aと外側周壁56bとを有する二重の円環状)に形成されている例を説明したが、周壁56は円環状以外の環状の形状(例えば、四角の環状や三角の環状などの多角環状の形状など)であってもよい。
【0081】
また、上記の各実施形態では、第2部材50と第3部材110との着脱構造が嵌合構造である例を説明したが、本発明は、この例に限らない。例えば、第2部材50を第3部材110又は第1部材30に対して水平に一方向にスライドさせることによって第2部材50を第3部材110又は第1部材30に係止させて装着したり、逆方向に水平にスライドさせることによって第2部材50を第3部材110又は第1部材30から取り外したりできるようになっていてもよい。
また、上記の各実施形態では、第1部材30と第3部材110との着脱構造がネジ式である例を説明したが、本発明は、この例に限らない。例えば、第1部材30と第3部材110とが相互に嵌合することによって、第1部材30と第3部材110とが相互に着脱可能に装着されるようになっていてもよい。
【0082】
また、上記の各実施形態では、周壁56が内側周壁56aと外側周壁56bとを含む二重構造である例を説明したが、周壁56は、一重構造であってもよい。
周壁56が一重構造の場合、第1部材30が周壁56を備えている構成とすることができ、液体吐出容器100は第3部材110を備えていなくてもよい。また、上側開口部571は、周壁56と対向部52との間に形成することができ、下側開口部572は、周壁56の下部(例えば下端部)に形成することができる。
【0083】
また、上記の各実施形態では、液体吐出容器100が複数の上側開口部571を備える例を説明したが、上側開口部571は1つであってもよい。この場合、上側開口部571は、二次吐出口53の周囲を360度周回していてもよい。この場合、第1部材30が周壁56を備えている構成とすることができ、液体吐出容器100は第3部材110を備えていなくてもよい。
【0084】
また、上記の各実施形態では、液体吐出容器100が複数の下側開口部572を備える例を説明したが、下側開口部572は1つであってもよい。この場合、下側開口部572は、筒部31の周囲を360度周回していてもよい。この場合、第3部材110が周壁56の全体を備えている一方で、第1部材30は周壁56を備えていない構成とすることができる。
【0085】
また、上記の実施形態では、液体吐出容器がフォーマー機構19を備えるポンプ容器である例を説明したが、本発明は、この例に限らず、液体吐出容器は、圧縮ガスとともに液体が容器本体に充填されたエアロゾル容器であってもよい。この場合、エアロゾル容器は、1回の吐出操作によって定量の泡を吐出するタイプのものであることが好ましい。
【0086】
また、上記の実施形態では、内側周壁56a及び上部構成部115を含む部分(第3部材110)と、ノズル形成壁55及び二次吐出口53を含む部分(第2部材50)とが相互に分離可能である例を説明したが、これら2つの部分が相互に一体化されて一部材として構成されていてもよい。
【0087】
また、上記の実施形態では、押圧操作による押圧方向(液体吐出ヘッドの押圧方向)が下方である例を説明したが、押圧操作による押圧方向は、特に限定されない。例えば、使用者が容器本体10を把持し、二次吐出口53を下向きにして周壁56の上縁56cを被吐出体22に押し付けることによって、押圧操作が行われてもよい。
【0088】
また、液体吐出容器100は、互いに二次吐出口53の形状が異なる複数種類の第2部材50を備えていることも好ましい。より詳細には、液体吐出容器100又は液体詰め容器800の販売時などの流通時において、複数種類(例えば2種類)の第2部材50が同梱されていてもよい。
この場合、使用者が好みに応じて第2部材50を交換して液体吐出容器100を用いることによって、互いに異なる目的形状の泡をそれぞれ形成することが可能となる。
また、液体吐出容器100は、前室21を介さず、流路43からノズル形成壁55を経て、吐出口53から吐出する形態でもよい。
【0089】
また、上記の実施形態は、内容が相反しない範囲で組み合わせることができる。