(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6838057
(24)【登録日】2021年2月15日
(45)【発行日】2021年3月3日
(54)【発明の名称】種々のイメージング・モダリティを用いて得られる画像を位置合せし、画像レジストレーションを検証するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/055 20060101AFI20210222BHJP
A61B 6/03 20060101ALI20210222BHJP
A61B 8/14 20060101ALI20210222BHJP
【FI】
A61B5/055 390
A61B5/055 380
A61B6/03 377
A61B6/03 360Q
A61B8/14
A61B5/055ZDM
【請求項の数】24
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2018-518440(P2018-518440)
(86)(22)【出願日】2016年10月7日
(65)【公表番号】特表2018-534038(P2018-534038A)
(43)【公表日】2018年11月22日
(86)【国際出願番号】IB2016056016
(87)【国際公開番号】WO2017060865
(87)【国際公開日】20170413
【審査請求日】2019年7月29日
(31)【優先権主張番号】14/879,235
(32)【優先日】2015年10月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503038683
【氏名又は名称】インサイテック リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】オメル・ブロックマン
(72)【発明者】
【氏名】オレグ・プルス
(72)【発明者】
【氏名】エヤル・ザディカリオ
【審査官】
後藤 順也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−188417(JP,A)
【文献】
特開2012−213557(JP,A)
【文献】
特表2012−527936(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0116575(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055
A61B 6/00−6/14
A61B 8/00−8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1イメージング・システムおよび第2イメージング・システムを用いて得られる内側解剖学的対象の画像のレジストレーションを検証するための方法であって、
(a)第1イメージング・システムを用いて、解剖学的対象および第3イメージング・システムの少なくとも一部分の第1画像を得ること、
(b)第3イメージング・システムを用いて、第3イメージング・システムと解剖学的対象との間の距離を測定すること、
(c)第2イメージング・システムを用いて、解剖学的対象の第2画像を得ること、
(d)前記レジストレーションを用いて、第1画像および第2画像を位置合せすること、ならびに
(e)(i)第1画像における第3イメージング・システムの少なくとも一部分および解剖学的対象の位置、ならびに(ii)前記測定された距離に基づいて、前記レジストレーションの誤差を算出することを含んで成る、方法。
【請求項2】
第1イメージング・システム、第2イメージング・システムおよび第3イメージング・システムが、磁気共鳴イメージング(MRI)システム、コンピュータ・トポグラフィ(CT)システムおよび超音波トランスデューサ・システムをそれぞれ含んで成る、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第3イメージング・システムの座標系における第3イメージング・システムの少なくとも一部分の位置を得ることをさらに含んで成る、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
第3イメージング・システムの座標系における第3イメージング・システムの少なくとも一部分の位置が、飛行時間法に基づいて決定される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
第1画像および第3イメージング・システムの座標系における第3イメージング・システムの少なくとも一部分の位置に基づいて、第1イメージング・システムの座標系および第3イメージング・システムの座標系を関連付ける変換を算出することをさらに含んで成る、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
第3イメージング・システムの位置を、第3イメージング・システムの座標系から第1イメージング・システムの座標系に変換することをさらに含んで成る、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
解剖学的対象の第2画像を、第2イメージング・システムの座標系から第1イメージング・システムの座標系に変換することをさらに含んで成る、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
第3イメージング・システムの変換された位置および第1イメージング・システムの座標系における変換された第2画像に基づいて、第3イメージング・システムと解剖学的対象との間の距離を算出することをさらに含んで成る、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ステップ(b)で得られる測定距離を、第3イメージング・システムの座標系から第1イメージング・システムの座標系に変換することをさらに含んで成る、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記レジストレーションの誤差が、前記算出された距離から変換された測定距離のずれに基づいて決定される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記レジストレーションの誤差と予め決められた閾値とを比較すること、および該比較に
基づいて、前記レジストレーションの妥当性を決定することをさらに含んで成る、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
第3イメージング・システムから送信され、また第3イメージング・システムによって受信される信号に基づいて、第3イメージング・システムと解剖学的対象との間の距離が測定される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
第1イメージング・システムおよび第2イメージング・システムを用いて得られる内側解剖学的対象の画像のレジストレーションを検証するためのシステムであって、
解剖学的対象および第3イメージング・システムの少なくとも一部分の第1画像を得るための第1イメージング・システム、
解剖学的対象の第2画像を得るための第2イメージング・システム、ならびに
第1イメージング・システム、第2イメージング・システムおよび第3イメージング・システムと連通するコントローラを含んで成り、
コントローラが、
第3イメージング・システムと解剖学的対象との間の距離を測定するようになっており、
第1画像および第2画像を位置合せするようになっており、ならびに
(i)第1画像における第3イメージング・システムの少なくとも一部分および解剖学的対象の位置、ならびに(ii)前記測定された距離に基づいて、前記レジストレーションにおける誤差を算出するようになっている、システム。
【請求項14】
第1イメージング・システム、第2イメージング・システムおよび第3イメージング・システムが、磁気共鳴イメージング(MRI)システム、コンピュータ・トポグラフィ(CT)システムおよび超音波トランスデューサ・システムをそれぞれ含んで成る、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
コントローラが、第3イメージング・システムの座標系における第3イメージング・システムの少なくとも一部分の位置を決定するようにさらに構成されている、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
コントローラが、飛行時間法に基づいて、第3イメージング・システムの座標系における第3イメージング・システムの少なくとも一部分の位置を決定するようにさらに構成されている、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
コントローラが、第1画像および第3イメージング・システムの座標系における第3イメージング・システムの少なくとも一部分の位置に基づいて、第1イメージング・システムの座標系および第3イメージング・システム座標系を関連付ける変換を算出するようにさらに構成されている、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
コントローラが、第3イメージング・システムの位置を、第3イメージング・システムの座標系から第1イメージング・システムの座標系に変換するようにさらに構成されている、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
コントローラが、解剖学的対象の第2画像を、第2イメージング・システムの座標系から第1イメージング・システムの座標系に変換するようにさらに構成されている、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
コントローラが、第1イメージング・システムの座標系における第3イメージング・システムの変換された位置および変換された第2画像に基づいて、第3イメージング・システムと解剖学的対象との間の距離を算出するようにさらに構成されている、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
コントローラが、ステップ(b)で得られる測定距離を、第3イメージング・システムの座標系から第1イメージング・システムの座標系に変換するようにさらに構成されている、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
コントローラが、前記算出された距離から変換された測定距離のずれに基づいて、前記レジストレーションの誤差を決定するようにさらに構成されている、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
コントローラが、前記レジストレーションの誤差と予め決められた閾値とを比較し、該比較に基づいて、該レジストレーションの妥当性を決定するようにさらに構成されている、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
コントローラが、第3イメージング・システムから送信され、また第3イメージング・システムによって受信される信号に基づいて、第3イメージング・システムと解剖学的対象との間の距離を測定するようにさらに構成されている、請求項13に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はイメージングに関し、より詳細には、種々のイメージング・モダリティを用いて得られる画像を位置合せするための、および/または画像レジストレーションを検証するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内臓の医療イメージングは、医療従事者が処置の決定をするために用いることができる重要な解剖学的情報および診断情報を供する。医療画像は、コンピュータ・トポグラフィ(またはコンピュータ断層撮影、computed topography、CT)、磁気共鳴イメージング(MRI)、または超音波イメージングなどの様々な非侵襲的イメージング手順を用いて得ることができる。CTシステムは、対象の解剖学的部位を通してX線を送り、X線の減衰係数に基づいて、対象の断面画像(「スライス(slice)」)を再構成することができる。結果として、CTシステムは、骨構造に関する詳細を見ること、肺および胸の疾患を診断すること、および癌を検出することに非常に適している。CTイメージングの利点は、例えば、完全なスキャンの短いスキャン時間(典型的には5分未満)、低コスト(MRI装置の約半額)、体内の骨組織を正確に描出する能力、高速イメージング速度(各スキャン時間は30秒未満)に起因する小さいモーション・アーチファクトなどを含む。しかしながら、CTシステムは患者に照射し、その結果生じるリスクを負う。このため、CTスキャンは妊婦や子供には推奨しない。
【0003】
高周波音波を身体に通すことを含む超音波イメージングは、広く使用されている別の技術である。超音波は、軟組織を十分に貫通し、その短波長に起因して、数ミリメートルの寸法のスポットに焦点をあてることができる。典型的な超音波検査では、トランスデューサ・プローブが皮膚上または身体開口部の内側に直接配置される。薄い層のゲルを皮膚に適用して、トランスデューサ・プローブと皮膚との間の直接的な接触を供し、それによって体内への超音波エネルギーの効率的な伝達を可能にすることができる。内側解剖学的構造の超音波画像は、それらの構造によって反射された波、特に、例えば、反射信号の振幅および位相、および/または超音波が身体を通過するのにかかる時間から構築することができる。超音波画像はリアルタイムで捕捉されるので、体内の内臓の動きおよび血管を流れる血液も表すことができる。さらに、超音波イメージングは、高い時間分解能、音響散乱体(例えば、石灰化および気泡)に対する高い感度、優れた視覚化、低コスト、携帯性、および電離放射線被ばくが無く、したがって、一般的に、妊婦および子供に非常に安全であるとされている。
【0004】
MRIは、対象組織を視覚化するために使用される、さらに別のイメージング・モダリティである。MRIは、以下でさらに記載するように、処置中の超音波集束をガイドするために超音波と共に使用することができる。つまり、MRIは、患者を均一な静磁場に配置し、組織内の水素核のスピンを整列させることを含む。次に、適当な周波数の高周波(RF)電磁パルス(「共振周波数」)を印加することによって、スピンを反転させて一時的にその整列を壊し、応答信号を生じさせることができる。異なる組織は、異なる応答信号を生成し、MR画像におけるこれらの組織の間のコントラストをもたらす。共振周波数および応答信号の周波数は磁場強度に依存するため、磁界強度を位置に依存させるために勾配磁場を均一磁場に重ねることによって、応答信号の起源および周波数を制御することができる。時間的に変化する勾配磁場を用いることにより、組織のMRI「スキャン」を得ることができる。
【0005】
多くのMRIプロトコルは、2または3の互いに垂直な方向に時間依存性勾配を利用する。勾配磁場およびRFパルスの相対強度およびタイミングは、パルス・シーケンスで特定される。時間依存磁場勾配は、例えば、脳腫瘍を視覚化し、患者の頭蓋骨に対するその位置を決定するために、MRI応答信号の組織依存性と組み合わせて利用することができる。MRIは、(患者を動かさずに)多断面をイメージングする能力、高い信号対ノイズ比、軟組織の形態および機能におけるわずかな変化に対する高感度、ならびに放射線被爆が無いことを含む利点を有する。しかしながら、MRIは、長いスキャン時間(典型的には30分〜数時間)、骨格構造の低解像度画像および他の高周波(RF)装置の動作による干渉に起因して患者の動きに敏感である。
【0006】
各イメージング技術は、それ自身の長所と短所を有し、異なる種類の情報を供することができるので、異なるイメージング技術を組み合わせることが実施において有利である。例えば、CTスキャンおよびMRIを組み合わせることにより、軟組織間のわずかな違いだけでなく、骨構造に関して良好に詳細を供することができる。MRIおよび超音波イメージングの組合せは、術中の脳神経外科手術および胸部生検ガイダンスにおけるより良い診断のための追加の診断情報を供することが示されている。さらに、周囲の健康な組織に重大な損傷を引き起こすことなく、病的な(例えば、癌性の)組織を加熱および除去するために、超音波エネルギーを処置的に使用することができるため、MRIおよび超音波の組合せは、治療的医療処置の間、イメージング能力を供する。超音波集束システムは、一般的に、1以上の超音波ビームを生成するために、音響トランスデューサ(acoustic transducer)表面またはトランスデューサ表面のアレイを含む。トランスデューサ・アレイでは、個々の表面または「素子(element)」は、典型的に、個々に制御可能である(すなわち、それらの振動位相および/または振幅を互いに独立して設定することができ、ビームを所望の方向に操作し、所望の距離に焦点をあてることを可能にする)。超音波システムは、超音波ベースの処置を監視するのに役立つ、トランスデューサ・アレイに統合された、または別個の検出器の形態で供される受信素子(receiving elements)も含むことが多い。例えば、受信素子は、皮膚の火傷を避けるために除去される必要がある皮膚における気泡に起因して、トランスデューサと対象組織との間の界面(または境界面、interfaces)によって反射された超音波を検出し得る。受信素子はまた、過熱組織におけるキャビテーション(または流体管壁、cavitation)(すなわち、組織の液体において形成される泡の崩壊による空洞の形成)を検出するために使用され得る。
【0007】
集束超音波トランスデューサ・システム(focused ultrasound transducer system)は、MR画像における対象組織(腫瘍など)に対するトランスデューサの位置および向きを決定するためのMRトラッキング・コイルまたは他のマーカーを含んでもよい。所要のトランスデューサ素子の位相および振幅の算出に基づいて、トランスデューサ・アレイは、超音波を対象に集束させるように駆動される。超音波集束自体は、MRIまたは音響共振力イメージング(ARFI)を用いて視覚化し得、そのような視覚化を用いて焦点位置を調整し得る。これらの方法は、一般的に超音波の磁気共鳴ガイド・フォーカシング(MRgFUS)と称される。
【0008】
2以上のイメージング・システムを首尾よく統合し、および/または異なるシステムによって供される情報を組み合わせるためには、異なるイメージング座標系で得られる画像データを位置合せする必要がある。レジストレーションに対する従来のアプローチは、典型的に、複雑な算出手順を含み、処置目的のために十分な精度を供しない場合がある。このため、このような画像レジストレーションを検証せずに使用すると、エネルギーの不正確な適用、失敗または長時間の処置につながる場合がある。したがって、処置用途をサポートするために、十分に高速で信頼できる様式で異なるモダリティを用いて得られる画像のレジストレーションを確立し、検証する必要がある。
【発明の概要】
【0009】
本発明の態様は、異なるモダリティ(または処理方式、modalities)を用いて、また異なる座標系で得られる画像レジストレーション(または画像位置合わせ、image registration)の精度を評価および定量化するためのシステムおよび方法を供する。種々の態様では、2つの画像座標系(例えば、CTシステムおよびMRIシステム)に関連する画像レジストレーションの精度は、第3イメージング(または画像化、imaging)・モダリティ(例えば、超音波システム)の使用を介して評価される。例えば、超音波座標系およびMRI座標系間の空間的関係は、超音波システムの少なくとも一部分(例えば、トランスデューサ素子のいくつか)を含むMR画像を、MR画像内に含まれる超音波システムのその部分の既知の空間配置と共に得ることによって決定することができる。次いで、対象とする解剖学的部位(または身体構造における部位もしくは領域、anatomic region)の先に得られたCT画像の座標は、調査(study)中の画像レジストレーションを用いてMRIシステムにおける座標に変換されてもよい。結果として、対象とする解剖学的部位および超音波システム間の距離は、MRI座標系において算出されてもよい。この距離は、超音波システムを用いて音響的に測定されてもよく、超音波座標系の測定された距離は、その後、MRI座標系に変換されてもよい。MRI座標系における算出された距離と測定された距離とを比較することによって、それらの間の不一致に基づいて誤差ベクトルを割り当てることができる。この誤差ベクトルは、調査中の画像レジストレーションの精度を示す。すなわち、誤差ベクトルが小さいほど、算出された距離および測定された距離のより小さいずれ(または偏差、deviation)、つまりより高いレジストレーションの精度を示す。当然のことながら、イメージング・モダリティのこの例示的な使用は、例示的な目的のみのためであり、あらゆる3つのモダリティを、用途に適切なもの(記載された役割のいずれかで機能するあらゆるモダリティ)として用いてもよい。
【0010】
ある態様では、本発明はまた、第3モダリティ(例えば、超音波システム)を用いて、2つのイメージング・モダリティ(例えば、CTシステムおよびMRIシステム)の異なる座標系で得られる画像を位置合せするためのアプローチを(それらのレジストレーションを検証すること(verifying)とは対照的に)供する。例えば、超音波座標系は、超音波システムの少なくとも一部分のMR画像および上記のような超音波システムの既知の空間配置の使用を介して、最初にMRI座標系に位置合せされてもよい。超音波座標系およびCT座標系間のレジストレーションは、対象とする解剖学的対象の超音波画像およびCT画像を介して確立してもよい。続いて、MRI座標系およびCT座標系は、超音波座標系およびMRI座標系を関連付ける画像レジストレーション、ならびに超音波座標系およびCT座標系を関連付ける画像レジストレーションを用いて位置合せされてもよい。
【0011】
本発明は、MRI座標系およびCT座標系間の画像レジストレーションの検証および/または取得のための超音波システムの使用を参照して記載されたが、そのような詳細は、本発明の範囲における制限としてみなされるべきではないことに留意されたい。例えば、上記のように、MRI座標系は、超音波座標系およびCT座標系を位置合せするために使用されてもよく、CTシステムは、超音波システムおよびMRIシステムを位置合せするために使用されてもよい。さらに、他のイメージング座標系間の画像レジストレーションは、本明細書に記載のアプローチを実行することによって評価および/または取得されてもよい。
【0012】
したがって、一態様では、本発明は、第1イメージング・システムおよび第2イメージング・システムを用いて得られる内側解剖学的対象の画像レジストレーションを検証する方法に関する。種々の態様では、この方法は、(a)第1イメージング・システムを用いて、解剖学的対象および第3イメージング・システムの少なくとも一部分の第1画像を得ること、(b)第3イメージング・システムを用いて、第3イメージング・システムと解剖学的対象との間の距離を測定すること、(c)第2イメージング・システムを用いて、解剖学的対象の第2画像を得ること、(d)そのレジストレーションを用いて第1画像および第2画像を位置合せすること、ならびに(e)(i)第1画像における第3イメージング・システムの少なくとも一部分および解剖学的対象の位置、ならびに(ii)測定距離に基づいて、レジストレーションの誤差を算出することを含む。一態様では、第1イメージング・システム、第2イメージング・システムおよび第3イメージング・システムは、MRIシステム、CTシステムおよび超音波トランスデューサ・システムをそれぞれ含む。
【0013】
この方法は、第3イメージング・システムの座標系における第3イメージング・システムの少なくとも一部分の位置を得ることをさらに含んでもよく、その位置は、飛行時間法(time-of-flight method)に基づいて決定されてもよい。さらに、本方法は、第1画像および第3イメージング・システムの座標系における第3イメージング・システムの少なくとも一部分の位置に基づいて、第1イメージング・システムの座標系および第3イメージング・システムの座標系を関連付ける変換を算出することを含んでもよい。一態様では、第3イメージング・システムの位置は、第3イメージング・システムの座標系から第1イメージング・システムの座標系に変換される。解剖学的対象の第2画像は、第2イメージング・システムの座標系から第1イメージング・システムの座標系に変換される。さらに、第3イメージング・システムおよび解剖学的対象間の距離は、第3イメージング・システムの変換された位置および第1イメージング・システムの座標系における変換された第2画像に基づいて算出される。
【0014】
第3イメージング・システムおよび解剖学的対象間の距離は、第3イメージング・システムから送信され、第3イメージング・システムによって受信される信号に基づいて測定されてもよい。種々の態様では、方法は、第3イメージング・システムの座標系から第1イメージング・システムの座標系への測定された距離を変換することをさらに含む。次いで、算出された距離から変換された測定距離のずれに基づいて、レジストレーションの誤差が決定される。一態様では、レジストレーションの誤差は予め決められた閾値と比較され、レジストレーションの妥当性(validity)がその比較に基づいて決定される(または判定される、determined)。
【0015】
別の態様では、本発明は、第1イメージング・システムおよび第2イメージング・システムを用いて得られる内側解剖学的対象の画像のレジストレーションを検証するためのシステムに関する。ある態様では、システムは、解剖学的対象の第1画像および第3イメージング・システムの少なくとも一部分を得るための第1イメージング・システム、解剖学的対象の第2画像を得るための第2イメージング・システムならびに第1イメージング・システム、第2イメージング・システムおよび第3イメージング・システムと連通するコントローラを含む。一態様では、コントローラは、第3イメージング・システムおよび解剖学的対象間の距離を測定するようになっており、第1画像および第2画像を位置合せするようになっており、ならびに(i)第1画像における第3イメージング・システムの少なくとも一部分および解剖学的対象の位置、ならびに(ii)測定距離に基づいて、レジストレーションにおける誤差を算出するようになっている。第1イメージング・システム、第2イメージング・システムおよび第3イメージング・システムは、MRIシステム、CTシステムおよび超音波トランスデューサ・システムをそれぞれ含んでもよい。
【0016】
コントローラは、第3イメージング・システムの座標系における第3イメージング・システムの少なくとも一部分の位置を決定するようにさらに構成されてもよく、その位置は、飛行時間法に基づいて決定されてもよい。さらに、コントローラは、第1画像および第3イメージング・システムの座標系における第3イメージング・システムの少なくとも一部分の位置に基づいて、第1イメージング・システムの座標系および第3イメージング・システム座標系を関連付ける変換を算出するようになっていてもよい。一態様では、コントローラは、第3イメージング・システムの位置を、第3イメージング・システムの座標系から第1イメージング・システムの座標系に変換する。コントローラは、解剖学的対象の第2画像を、第2イメージング・システムの座標系から第1イメージング・システムの座標系に変換する。さらに、コントローラは、第1イメージング・システムの座標系における第3イメージング・システムの変換された位置および変換された第2画像に基づいて、第3イメージング・システムおよび解剖学的対象間の距離を算出するようになっている。
【0017】
さらに、コントローラは、第3イメージング・システムから送信され、第3イメージング・システムによって受信される信号に基づいて、第3イメージング・システムおよび解剖学的対象間の距離を測定するようになっていてもよい。コントローラは、第3イメージング・システムの座標系から第1イメージング・システムの座標系に測定距離を変換してもよい。さらに、コントローラは、算出された距離からの変換された測定距離のずれに基づいてレジストレーションの誤差を決定し、レジストレーションの誤差を予め決められた閾値と比較し、その比較に基づいてレジストレーションの妥当性を決定する。
【0018】
本発明の別の態様は、第1イメージング・システムおよび第2イメージング・システムを用いて得られる内側解剖学的対象の画像を位置合せするための方法に関する。種々の態様では、この方法は、(a)第1イメージング・システムを用いて、解剖学的対象および第3イメージング・システムの少なくとも一部分の第1画像を得ること、(b)第2イメージング・システムを用いて、解剖学的対象の第2画像を得ること、(c)第3イメージング・システムを用いて、解剖学的対象の第3画像を得ること、(d)第2画像および第3画像を位置合せすること、(e)(i)第1画像における第3イメージング・システムの少なくとも一部分および解剖学的対象の位置、ならびに(ii)位置合せされた第2画像および第3画像に基づいて、第1イメージング・システム、第2イメージング・システムおよび第3イメージング・システムの座標系を関連付ける変換を算出することを含む。一態様では、第1イメージング・システム、第2イメージング・システムおよび第3イメージング・システムは、MRIシステム、CTシステム、および超音波トランスデューサ・システムをそれぞれ含む。
【0019】
第2画像および第3画像のレジストレーションは、第2イメージング・システムの座標系における内側解剖学的対象に関連する座標を第3イメージング・システムの座標系における座標に変換することを含んでもよい。例えば、第2イメージング・システムの座標系における内側解剖学的対象に関連する座標は、第3イメージング・システムの座標系における内側解剖学的対象に関連する座標にフィッティングされてもよい。
【0020】
さらに、この方法は、第3イメージング・システムの座標系における第3イメージング・システムの少なくとも一部分の位置を得ることを含んでもよい。一態様では、その位置は、飛行時間法に基づいて決定される。この方法は、第1画像および第3イメージング・システムの座標系における第3イメージング・システムの少なくとも一部分の位置に基づいて、第1イメージング・システムの座標系および第3イメージング・システムの座標系を関連付ける変換を算出することを含んでもよい。ある態様では、第1イメージング・システムの座標系および第3イメージング・システムの座標系を関連付ける変換は、第1イメージング・システムの座標系および第3イメージング・システムの座標系を関連付ける変換に基づいて算出される。
【0021】
さらに別の態様では、本発明は、第1イメージング・システムおよび第2イメージング・システムを用いて得られる内側解剖学的対象の画像を位置合せするためのシステムに関する。ある態様では、システムは、解剖学的対象および第3イメージング・システムの少なくとも一部分の第1画像を得るための第1イメージング・システム、解剖学的対象の第2画像を得るための第2イメージング・システム、解剖学的対象の第3画像を得るための第3イメージング・システムならびに第1イメージング・システム、第2イメージング・システムおよび第3イメージング・システムと連通するコントローラを含む。ある態様では、コントローラは、第2画像および第3画像を位置合せするようになっており、(i)第1画像における第3イメージング・システムの少なくとも一部分および解剖学的対象の位置、ならびに(ii)位置合せされた第2画像および第3画像に基づいて、第1イメージング・システム、第2イメージング・システムおよび第3イメージング・システムの座標系を関連付ける変換を算出するようになっている。第1イメージング・システム、第2イメージング・システムおよび第3イメージング・システムは、例えば、MRIシステム、CTシステム、および超音波トランスデューサ・システムをそれぞれ含んでもよい。
【0022】
コントローラは、第2イメージング・システムの座標系における内側解剖学的対象に関連する座標を、第3イメージング・システムの座標系における座標に変換するようにさらになっていてもよい。例えば、コントローラは、第2イメージング・システムの座標系における内側解剖学的対象に関連する座標を、第3イメージング・システムの座標系における内側解剖学的対象に関連する座標にフィッティングさせてもよい。
【0023】
さらに、コントローラは、第3イメージング・システムの座標系における第3イメージング・システムの少なくとも一部分の位置を決定し得る。一態様では、その位置は、飛行時間法に基づく。さらに、コントローラは、第1画像および第3イメージング・システムの座標系における第3イメージング・システムの少なくとも一部分の位置に基づいて、第1イメージング・システムの座標系および第3イメージング・システムの座標系を関連付ける変換を算出するようになっていてもよい。コントローラは、第1イメージング・システムの座標系および第3イメージング・システムの座標系を関連付ける変換に基づいて、第1イメージング・システムの座標系および第3イメージング・システムの座標系を関連付ける変換を算出するようになっていてもよい。
【0024】
本発明のさらに別の態様は、処置シーケンス(treatment sequence)の間にて動く解剖学的特徴(anatomic feature)を検出する方法に関する。種々の態様では、この方法は、(a)処置シーケンスの前に、(i)解剖学的特徴および第1イメージング・システムの少なくとも一部分の第1画像を得ること、ならびに(ii)解剖学的特徴と第1イメージング・システムの少なくとも一部分との間の最短距離を算出するように第1画像を処理すること、ならびに(b)処置シーケンスの間にて、(i)解剖学的特徴と第1イメージング・システムの少なくとも一部分との間の最短距離を測定すること、(ii)測定された最短距離とステップ(a)で得られる算出された最短距離とを、それらからのずれを決定するように比較すること、ならびに(iii)そのずれに基づいて、解剖学的特徴の動きを決定することを含む。一態様では、第1画像が、第2イメージング・システムを用いて得られ、方法が、処置シーケンスの前に、第3イメージング・システムを用いて解剖学的特徴の第2画像を得ることをさらに含む。第1イメージング・システム、第2イメージング・システムおよび第3イメージング・システムは、超音波トランスデューサ・システム、MRIシステム、およびCTシステムをそれぞれ含む。
【0025】
この方法は、第1イメージング・システムの座標系における第1イメージング・システムの少なくとも一部分の位置を得ることを含んでもよく、その位置は、飛行時間法に基づいて決定されてもよい。さらに、この方法は、第1画像および第1イメージング・システムの座標系における第1イメージング・システムの少なくとも一部分の位置に基づいて、第1イメージング・システムの座標系および第2イメージング・システムの座標系を関連付ける変換を算出することを含む。一態様では、この方法は、算出された変換に基づいて、第1イメージング・システムの位置を、第1イメージング・システムの座標系から第2イメージング・システムの座標系に変換することをさらに含む。
【0026】
ある態様では、この方法は、第1画像および第2画像を位置合せすることを含む。さらに、この方法は、解剖学的特徴の第2画像を、第3イメージング・システムの座標系から第2イメージング・システムの座標系に変換することを含む。次いで、その最短距離は、第1イメージング・システムの変換された位置および第2イメージング・システムの座標系における変換された第2画像に基づいて算出されてもよい。
【0027】
種々の態様では、解剖学的特徴と第1イメージング・システムの少なくとも一部分との間の最短距離は、第1イメージング・システムから送信され、第1イメージング・システムによって受信される信号に基づいて測定される。一態様では、測定された最短距離は、第1イメージング・システムの座標系から第2イメージング・システムの座標系に変換される。さらに、この方法は、ずれと予め決められた閾値とを比較し、その比較に基づいて解剖学的特徴の動きを決定することをさらに含む。
【0028】
別の態様では、本発明は、処置シーケンスの間にて動く解剖学的特徴を検出するためのシステムに関する。種々の態様では、システムは、処置シーケンスの前に、解剖学的特徴および第2イメージング・システムの少なくとも一部分の第1画像を得るための第1イメージング・システム、ならびに第1および第2システムと連通するコントローラを含む。一態様では、コントローラは、(a)処置シーケンスの前に、解剖学的特徴と第2イメージング・システムの少なくとも一部分との間の最短距離を算出するように第1画像を処理するようになっており、ならびに(b)処置シーケンスの間にて、(i)解剖学的特徴と第2イメージング・システムの少なくとも一部分との間の最短距離を測定するようになっており、(ii)測定された最短距離とステップ(a)で得られる算出された最短距離とを、それらからのずれを決定するように比較するようになっており、ならびに(iii)該ずれに基づいて解剖学的特徴の動きを決定するようになっている。一態様では、第1イメージング・システム、第2イメージング・システムおよび第3イメージング・システムは、MRIシステム、超音波トランスデューサ・システムおよびCTシステムをそれぞれ含む。
【0029】
コントローラは、第2イメージング・システムの座標系における第2イメージング・システムの少なくとも一部分の位置を得るようにさらになっていてもよい。その位置は、飛行時間法に基づいて決定されてもよい。さらに、コントローラは、第1画像および第2イメージング・システムの座標系における第2イメージング・システムの少なくとも一部分の位置に基づいて、第2イメージング・システムの座標系および第1イメージング・システムの座標系を関連付ける変換を算出し得る。一態様では、コントローラは、算出された変換に基づいて、第2イメージング・システムの位置を、第2イメージング・システムの座標系から第1イメージング・システムの座標系に変換するようになっている。
【0030】
ある態様では、コントローラは、第1画像および第2画像を位置合せするようにさらに構成されている。さらに、それは、解剖学的特徴の第2画像を、第3イメージング・システムの座標系から第1イメージング・システムの座標系に変換してもよい。次いで、コントローラは、第2イメージング・システムの変換された位置および第1イメージング・システムの座標系における変換された第2画像に基づいて最短距離を算出し得る。
【0031】
種々の態様では、コントローラは、第2イメージング・システムから送信され、第2イメージング・システムによって受信される信号に基づいて最短距離を測定するようにさらに構成されている。一態様では、コントローラは、測定された最短距離を、第2イメージング・システムの座標系から第1イメージング・システムの座標系に変換する。さらに、コントローラは、そのずれと予め決められた閾値とを比較し、その比較に基づいて解剖学的特徴の動きを決定する。
【0032】
さらに別の態様では、本発明は、複数の処置期間を有する処置シーケンスの間にて動く解剖学的特徴を検出する方法に関する。種々の態様では、この方法は、処置シーケンスの間にて、解剖学的特徴とイメージング・システム(例えば、超音波トランスデューサ・システム)の少なくとも一部分との間の最短距離を測定すること、現在の処置期間における測定された最短距離と前の処置期間における測定された最短距離とを、それらからのずれを決定するように比較すること、ならびにそのずれに基づいて、解剖学的特徴の動きを決定することを含む。解剖学的特徴とイメージング・システムの少なくとも一部分との間の最短距離は、イメージング・システムから送信され、またイメージング・システムによって受信される信号に基づいて測定されてもよい。さらに、この方法は、ずれと予め決められた閾値とを比較し、その比較に基づいて解剖学的特徴の動きを決定することを含んでもよい。
【0033】
別の態様では、本発明は、複数の処置期間を有する処置シーケンスの間にて動く解剖学的特徴を検出するためのシステムに関する。種々の態様では、システムは、イメージング・システム(例えば、超音波トランスデューサ・システム)であって、処置シーケンスの間にて、解剖学的特徴とそのイメージング・システムの少なくとも一部分との間の最短距離を測定するためのイメージング・システム、ならびにイメージング・システムと連通するコントローラを含む。一態様では、コントローラは、現在の処置期間における測定された最短距離と前の処置期間における測定された最短距離とを、それらからのずれを決定するように比較するようになっており、およびそのずれに基づいて、解剖学的特徴の動きを決定するようになっている。コントローラは、イメージング・システムから送信され、イメージング・システムによって受信される信号に基づいて、解剖学的特徴とイメージング・システムの少なくとも一部分との間の最短距離を測定するようにさらになっていてもよい。さらにコントローラは、ずれと予め決められた閾値とを比較し、その比較に基づいて解剖学的特徴の動きを決定してもよい。
【0034】
種々の態様において、本明細書に記載の方法は、ヒトまたは動物の体の処置方法ではない場合がある。例えば、この方法は、処置設定の範囲外(例えば、方法のキャリブレーション(または較正、calibration)時または方法がブランクに適用される場合)で実施されてもよい。本出願を通しての本発明の方法の検討は、非処置的方法に関連してもよい。
【0035】
本明細書で使用される場合、用語「およそ(approximately)」、「おおよそ(roughly)」および「実質的に(substantially)」は、約10%を意味し、ある態様では約5%を意味する。本明細書を通して使用される「1の例(one example、またはan example)」、「一態様(one embodiment、またはan embodiment)」に対する言及は、例に関連して記載される特定の特徴、構造または特性が、現在の技術の少なくとも1の例において含まれることを意味する。したがって、本明細書全体の様々な箇所における「一例において(in one example、またはin an example)」または「一態様(one embodiment、またはan embodiment)」という語句は必ずしもすべて同じ例を指しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、ルーチン、ステップまたは特性は、技術の1以上の例において、いかなる適切な方法で組み合わせてもよい。本明細書で供される見出しは、便宜上のものであり、請求する技術の範囲または意味を、限定または解釈することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図面において、同様の参照符号は、一般的に異なる図を通して同じ部分を指す。また、図面は必ずしも原寸に比例するものではなく、その代わりに本発明の原理を例示することに重点が置かれている。以下の記載では、本発明の種々の態様を以下の図面を参照して記載する。
【0037】
【
図1A】
図1Aは、本発明の種々の態様による例示的なMRIシステムを模式的に示す。
【
図1B】
図1Bは、本発明の種々の態様による例示的なCTシステムを模式的に示す。
【
図1C】
図1Cは、本発明の種々の態様による例示的な超音波システムを模式的に示す図である。
【
図2A】
図2Aは、本発明の種々の態様による超音波座標系をMRI座標系に相関させる(または関係付ける、correlating)アプローチを示す図である。
【
図2B】
図2Bは、本発明の種々の態様によるCTシステムをMRI座標系に相関させるアプローチを示す図である。
【
図2C】
図2Cは、本発明の種々の態様による各トランスデューサ素子と対象の反射面における最も近い点との間の距離を算出するアプローチを示す図である。
【
図3A】
図3Aは、本発明の種々の態様による各トランスデューサ素子と対象の反射面における最も近い点との間の距離を音響的に測定するためのアプローチを示す図である。
【
図3B】
図3Bは、本発明の種々の態様による超音波システムから送信され、超音波システムによって受信される信号の波形を示す図である。
【
図3C】
図3Cは、本発明の種々の態様による各トランスデューサ素子と対象の反射面における最も近い点との間の距離を決定するための信号処理を示す。
【
図4】
図4は、本発明の種々の態様による従来のアプローチを用いて得られる画像レジストレーションの精度を評価するアプローチを示す図である。
【
図5A】
図5Aは、本発明の種々の態様による処置中の患者の動きを検出するためのアプローチを示す図である。
【
図5B】
図5Bは、本発明の種々の態様による処置中の患者の動きを検出するためのアプローチを示す図である。
【
図6A】
図6Aは、本発明の種々の態様による同じトランスデューサ・アレイおよび異なる時間における目標位置を有する距離測定の誤差関数の例示的な値を示す図である。
【
図6B】
図6Bは、本発明の種々の態様による同じトランスデューサ・アレイおよび異なる時間における目標位置を有する距離測定の誤差関数の例示的な値を示す図である。
【
図7A】
図7Aは、本発明の種々の態様による異なるトランスデューサ・アレイおよび目標位置を有する距離測定の誤差関数の例示的な値を示す図である。
【
図7B】
図7Bは、本発明の種々の態様による異なるトランスデューサ・アレイおよび目標位置を有する距離測定の誤差関数の例示的な値を示す図である。
【
図7C】
図7Cは、本発明の種々の態様による異なるトランスデューサ・アレイおよび目標位置を有する距離測定の誤差関数の例示的な値を示す図である。
【
図7D】
図7Dは、本発明の種々の態様による異なるトランスデューサ・アレイおよび目標位置を有する距離測定の誤差関数の例示的な値を示す図である。
【
図8A】
図8Aは、本発明の種々の態様による2つのイメージング座標系のレジストレーションに対するアプローチを示す。
【
図8B】
図8Bは、本発明の種々の態様による2つのイメージング座標系のレジストレーションに対するアプローチを示す。
【
図8C】
図8Cは、本発明の種々の態様による2つのイメージング座標系のレジストレーションに対するアプローチを示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1Aは、例示的なMRI装置102を示す。装置102は、シリンダー形状の電磁石104を含むことができ、電磁石104は、電磁石104のボア106内に必要な静磁場を生成する。医療処置中、患者は、可動支持テーブル(movable support table)におけるボア106の内側に位置付けられる。患者内の対象部位(region of interest)110(例えば、患者の頭部)は、電磁石104が実質的に均一場を生成するイメージング部位112内に位置付けられてもよい。1組のシリンダー形状の勾配磁場コイル(magnetic field gradient coils)113を、ボア106内に、また患者を取り囲むように供されてもよい。勾配磁場コイル113は、予め決められた時間で、また互いに直交する3方向において、予め決められた大きさの勾配磁場を生成する。勾配磁場により、異なる空間位置が異なる歳差運動周波数に関連させることができ、それによりMR画像にその空間解像度を与えることができる。イメージング部位(imaging region)112を取り囲むRF送信コイル(RF transmitter coil)114は、患者の組織に磁気共鳴(MR)応答信号を放射するために、イメージング部位112にRFパルスを放射する。未処理のMR応答信号は、RFコイル114によって感知され、次いで、MRコントローラ116に渡され、次いで、ユーザーに表示され得るMR画像を算出する。あるいは、別個のMRトランスミッタ・コイルおよびレシーバ・コイルを用いてもよい。MRI装置102を用いて得られる画像は、異なる組織間の視覚的コントラストおよび従来のX線技術で視覚化することができない患者の解剖学的構造の詳細な内側視野を放射線医師および医師に供し得る。
【0039】
MRIコントローラ116は、パルス・シーケンス、すなわち磁場勾配の相対的なタイミングおよび強度ならびにRF励起パルスならびに応答検出期間を制御し得る。MR応答信号は、従来の画像処理システムを用いて増幅され、調整され、ならびに生データへとデジタル化され、さらに、当業者に既知の方法によって画像データのアレイに変換される。画像データに基づいて、処置部位(例えば、腫瘍)が同定される。画像処理システムは、MRIコントローラ116の部分であってもよいし、MRIコントローラ116と連通する別個のデバイス(例えば、画像処理ソフトウェアを含む汎用コンピュータ)であってもよい。ある態様では、1つ以上の超音波システム120または1以上のセンサ122は、以下でさらに記載するように、MRI装置102のボア106内で移動する。
【0040】
図1Bは、本発明の態様による例示的なCTシステム130を示す。CTシステム130は、支持構造(support structure)134、X線源136およびX線源136の同じ側または反対側にあるX線検出器138を有するスキャナ132を含む。スキャナ132は、スキャンされるべき患者のためのテーブル140を受けるようになっている。テーブル140は、イメージング・シーケンスの間にてスキャンされるイメージング容積またはイメージング平面に患者を適切に位置付けるように、スキャナ132における開口部を通って動かすことができる。CTシステム130は、放射線源コントローラ143、データ取得コントローラ144およびテーブル・コントローラ145をさらに含む。放射線源コントローラ143は、X線源136から患者に向かってX線放射線の放出のタイミングを調整する。データ取得コントローラ144は、患者を介して透過された、または患者から反射されたX線強度データを測定するように、X線検出器138と通信する。得られる強度データは、CT画像再構成のためにデータ取得コントローラ144またはシステム・コントローラ146によって処理される。テーブル・コントローラ145は、適用されるイメージング・プロトコルに応じて、イメージング・シーケンス中またはイメージング・シーケンス間のテーブル位置を調整するように機能する。コントローラ143、144、145、146は、別個のユニットであってもよいし、単一のユニットとして統合されてもよい。
【0041】
さらに、システム・コントローラ146は、ユーザー・インターフェース147およびメモリー・デバイス148に結合されてもよい。ユーザー・インターフェース147は、システム・コントローラ146と統合されてもよく、一般的には、イメージング・シーケンスを開始し、そのようなシーケンスを制御し、およびイメージング・シーケンスの間にて得られるデータを操作するためのユーザー・ワークステーション(user workstation)を含むであろう。メモリー・デバイス148は、イメージング・システムに対して局所的であってもよく、またはシステムから部分的にまたは完全に離れていてもよく、CT画像再構成のための生データ、部分処理データまたは完全処理データを受けるように構成されてもよい。
【0042】
典型的なCTスキャンの間、X線スキャナ132は患者の周りを予め決められた速度で回転し、X線源136は体内を通る狭いX線ビームを放出する。患者の身体に対して様々な角度で患者を透過または患者から反射したX線強度は、検出器138によって測定される。患者の2次元断層画像(すなわち、「スライス」)は、X線の検出されたビーム角度および強度を含む。異なる角度で得られる複数の「スライス」を処理して、CT画像を再構成することができる。ある態様では、患者のCT画像は、計画段階で(すなわち、熱処理の前に)取得され、処置計画を作成する時間を可能にする。
【0043】
図1Cは、本発明のいくらかの態様による例示的な超音波システム150を示す。図示するように、超音波システムは、ハウジング154の表面にアレイ153で配置された複数の超音波トランスデューサ素子152を含む。このアレイは、トランスデューサ素子152の単一の行またはマトリクスを含んで成ることができる。トランスデューサ素子152は、調整なしに配置されてもよい(すなわち、規則的な間隔が置かれる必要はなく、または規則的なパターンで配置される必要もない)。アレイは、図示するように湾曲した(例えば、球状または放物線状の)形状を有してもよく、または1以上の平面または他の形状の部分を含んでもよい。その寸法は、用途に応じて、ミリメートルおよび数十センチメートルの間で変化し得る。トランスデューサ素子152は、圧電セラミック素子であってもよい。圧電複合材、または一般的に、電気エネルギーを音響エネルギーに変換することができるいかなる材料を用いてもよい。素子152間の機械的結合を減衰させる(または弱める、damp)ために、これらは、シリコーンゴムまたは任意の他の適切な減衰材(damping material)を用いてハウジング154に取り付けることができる。
【0044】
トランスデューサ素子152は、別個に制御可能であり、すなわち、それぞれ、他のトランスデューサの振幅および/または位相と依存しない振幅および/または位相で超音波を放射することができる。トランスデューサ・コントローラ156が、トランスデューサ素子152を駆動するために供される。nトランスデューサ素子の場合、コントローラ156は、増幅および位相遅延回路を含んで成るn制御回路を含んでもよく、それぞれの制御回路がトランスデューサ素子の1つを駆動する。コントローラ156は、典型的には0.1MHz〜4MHzの範囲のRF入力信号をn制御回路のためのnチャネルに分割してもよい。集束された超音波ビームを集中して生成するように、アレイの個々のトランスデューサ素子152を同じ周波数、一方で異なる位相および異なる振幅で駆動するようになっていてもよい。トランスデューサ・コントローラ156は、所望の焦点位置158に対する必要な位相および振幅を算出するように、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、ハードワイヤリング、またはそれらの任意の組合せで実行され得る、算出機能を供することが望ましい。一般的に、コントローラ156は、例えば、周波数ジェネレータ、増幅器および位相遅延回路を含むビーム形成器、ならびに算出を実行し、個々のトランスデューサ素子152の位相および振幅をビーム形成器に通信するコンピュータ(例えば、汎用コンピュータ)のような種々の別個の装置を含んでもよい。そのようなシステムは、容易に入手可能であるか、過度の実験をすることなく実施することができる。
【0045】
超音波イメージングを実行するために、コントローラ156は、トランスデューサ素子152を、イメージングされる部位に音響信号を送信し、患者の体内の様々な構造および器官からの反射信号を受信するように駆動する。各トランスデューサ素子152に印加されるパルスを適切に遅延させることによって、集束された超音波ビームを所望のスキャン・ラインに沿って送信することができる。患者の体内の所与のポイントから反射された音響信号は、異なる時間にトランスデューサ素子152によって受信される。次いで、トランスデューサ素子は、受信した音響信号をビーム形成器に供給される電気信号に変換する。各トランスデューサ素子152からの遅延信号は、ビーム形成器によって集約され(summed)、所与のスキャン・ラインに沿った反射されたエネルギーレベルの表示であるスキャナ信号を供する。このプロセスは、患者の体の予め決められた部位の画像を生成するための信号を供するように、複数のスキャン・ラインに対して繰り返される。典型的には、スキャン・パターンはセクター・スキャンであり、スキャン・ラインは超音波トランスデューサの中心で始まり、異なる角度に向けられる。線形、曲線またはあらゆる他のスキャン・パターンを利用することもできる。
【0046】
超音波システム150は、MRI装置102のボア106内に設けられてもよく、またはMRI装置102の近傍に位置付けられてもよい。組み合わされたMRI超音波システムは、処置および/または安全の目的のための超音波の適用を監視することができることが知られている。超音波システム150およびMRI装置102の相対的な位置を決定するために、超音波システム150は、それに関連するMRトラッカー(MR trackers)160をさらに含んでもよく、MRトラッカーは、システム150に対して固定された位置および向きに配置される。トラッカー160は、例えば超音波システムのハウジングに組み込まれるか、または超音波システムのハウジングに取り付けられる。MRトラッカー160および超音波システム150の相対的な位置および向きが分かっている場合、結果として生じる画像において、MRトラッカー160を含むMRスキャンは、MRI座標(MRI装置102の座標系)における超音波システム150の位置を暗示的に明らかにする。超音波座標系をMRI座標系に関連付けることを補助するために、ある態様では、超音波システム150の少なくとも一部分(例えば、いくらかのトランスデューサ素子)を含むMR画像が取得される。このMR画像は、以下にさらに記載するように、MRI座標系におけるトランスデューサ素子の位置(全てが得られるMR画像に含まれる必要はない)を決定するように、超音波トランスデューサ素子の既知の空間配置と組み合わせて用いてもよい。
【0047】
患者に穿刺する間、超音波は、典型的には、組織(例えば、密度、構造および結果として超音波伝播特性が異なる、骨、筋肉または脂肪)の複数の層を走査する(encounter)。組織における不均質性および異方性に起因して、超音波波面は歪んでいることが多い。さらに、異なるトランスデューサ素子からの信号は、トランスデューサ素子と、イメージングまたは処置される部位との間の材料の異なる厚さおよび輪郭、場合によっては空気充填または液体充填ポケットを走査する場合があり、異なる位相シフトおよび減衰をもたらす。したがって、多層組織構造の構造、密度、および/または厚さの知識は、トランスデューサ素子に課される適切な位相シフトおよび増幅ファクターによる影響を補整するために、また集束特性の劣化を回避するために、重要である。MRIは、一般的に、軟組織(例えば、脳)の高感度画像を供するが、CTスキャンは、骨構造(例えば、頭蓋骨)に関するより詳細な画像を生成する。したがって、MRI装置102およびCTシステム130から得られる画像情報を組み合わせることは有益である。そのようにするために、画像のレジストレーション、つまりMRI座標系およびCT座標系のレジストレーションが当然に必要となる。
【0048】
画像レジストレーションへの多数の従来のアプローチが利用可能である。種々の態様において、任意の所望のアプローチを用いて得られる画像レジストレーションの精度は、2つのイメージング・モダリティ(例えば、MRI装置102と組み合わせた超音波システム150)を用いて検証および評価される。
図2Aは、超音波座標系150をMRI座標系102に関連付けるアプローチ200を示す。第1ステップ202において、空間的パラメータ(例えば、超音波座標系におけるトランスデューサ素子152を特徴付ける配向および位置)は、適切なアプローチを用いて得られる。例えば、各トランスデューサ素子152は、焦点158または他の位置に位置付けられたセンサ(図示せず)に向かってパルスを放射してもよい。各トランスデューサ素子152とセンサとの間の距離は、飛行時間法に基づいて決定されてもよい。この決定された距離を用いて、超音波座標系150における各トランスデューサ素子の実際の位置および/または向きを決定することができる。トランスデューサ素子の空間的配置は、メモリに記憶してもよい。第2ステップ204において、対象とする解剖学的対象(例えば、脳および頭蓋骨を含む患者の頭部)および超音波システムの少なくとも一部分(例えば、トランスデューサ・アレイ153の少なくともいくらかの素子152)のMR画像が取得される。第3ステップ206において、解剖学的対象および/またはMR画像において取得されるトランスデューサ素子152の部分の空間的パラメータに関連するMRI座標が決定される。第4ステップ208において、(第1ステップ202で得られる)超音波座標系202および(第2ステップ204で得られる)MRI座標系204におけるトランスデューサ素子152の空間的パラメータに基づいて、2つの座標系間の画像変換マトリックス(image transformation matrix)が生成される。第5ステップ210において、トランスデューサ素子の全体のグループ(または少なくともそのMR画像で得られる部分よりも大きな部分)に関連する空間的パラメータを、超音波座標系からMRI座標系に変換するために、変換マトリックスが適用される。これらの操作の結果として、トランスデューサ素子152に関連する空間的パラメータはMRI座標系で表される。
【0049】
図2Bは、解剖学的対象のCTイメージングのデータセットをCT座標系130からMRI座標系102に変換するアプローチ220を示す。第1ステップ222において、CTイメージングのデータセットは、処置計画段階の間、または処置段階の前に取得される。ある態様では、得られるCTデータセットは、解剖学的対象に関するより詳細を抽出するように処理される(ステップ224)。例えば、CT画像は、頭蓋骨のような骨構造を含んでもよく、頭蓋骨の表面を決定するようにCTデータセットの得られる密度値に閾値法(thresholding technique)および/または他の既知のイメージング処理を適用することによって、頭蓋骨をセグメント化してもよい。その後、従来の提案されたアプローチを利用して、解剖学的対象のCT画像とMR画像との間の画像レジストレーションを得ることができる(ステップ226)。得られるMRI−CT画像レジストレーションに基づいて、解剖学的対象の抽出された詳細を含むCTデータセットを、CT座標系からMRI座標系に変換してもよい(ステップ228)。次いで、MRI装置102およびCTスキャナ130を用いて得られる情報をMRI座標系で組み合わせて、解剖学的対象に関する改善されたイメージング品質または付加的な情報を供することができる(ステップ230)。このアプローチは、関心のある対象が、軟組織および骨組織の両方を含む場合に特に有用である。MRIは軟組織(例えば、脳)の高感度画像を供し、CTスキャンは骨構造(例えば、頭蓋骨)についても詳細を供する。
【0050】
トランスデューサ素子の空間的パラメータおよびCTスキャンを用いて得られる情報の両方がMRI座標系の座標に変換されると、MRI−CT画像レジストレーションの精度を評価し得る。関心のある解剖学的対象が患者の頭部である、
図2Cを参照すると、各トランスデューサ素子152と、頭蓋骨表面におけるトランスデューサ素子に最も近いポイント234との間の距離232は、MRI座標系102において算出することができる。算出された距離232は、レジストレーション頭蓋骨距離ベクトル「RSDV」として示される。
【0051】
図3Aは、飛行時間法によるアプローチ300を使用した上記距離の音響測定(すなわち、トランスデューサ素子152から送信され、またはトランスデューサ素子152によって受信される信号のタイミングおよび超音波システムが動作する媒体における(例えば、水または空気における)既知の音速に基づく音響測定)を示す。例えば、一態様では、トランスデューサ素子のすべて(または50%よりも多く)が送信モードに設定され、頭蓋骨に向かって短い音響パルス(〜50μs)を放出する(ステップ302)。パルス放出の実質的に直後(例えば、数マイクロ秒後)に、トランスデューサ素子の少なくともいくらかは、頭蓋骨から反射された信号を受信するように受信モードに切り替えられる(ステップ304)。一態様では、すべての受信トランスデューサ素子によって受信された信号が同時に記録される(ステップ306)。別の態様では、トランスデューサ素子は、複数のサブセットにグループ分けされる。上記のように、各サブセットが順次活性化されて(activated)、信号を放出および受信し、ならびに所望のトランスデューサ素子のセットからの信号が含まれるまで、受信信号を順次記録する。記録された信号は、各トランスデューサ素子152と、頭蓋骨におけるトランスデューサ素子152に最も近いポイントとの間の距離ベクトル(または音響距離ベクトル「ADV」)を算出するために処理することができる(ステップ308)。
【0052】
図3Bは、典型的な超音波信号の記録された波形を示す。波形312は、波形314を有する反射された信号の位相測定のリファレンスとして使用され得る送信された信号を表す。記録された信号を処理してADVを判定する。例えば、
図3Cも参照して、信号は、超音波信号からノイズ信号を除去するために、100KHzの範囲で中央の超音波周波数(例えば、650KHz)でフィルタリングしてもよい(ステップ316)。次に、フィルタリングされた信号にエンベロープ検出アプローチ(envelope-detection approach)(例えば、ヒルベルト変換)を適用して、反射信号314の振幅エンベロープ318を決定してもよい(例えば、
図2Cに示す70μsと200μsとの間の時間枠(time window)において)(ステップ320)。次いで、振幅エンベロープ318の有効時間枠322を決定してもよい(ステップ324)。例えば、振幅エンベロープ318の開始時間および停止時間は、信号振幅がそれぞれ、予め決められた振幅閾値326を上回るか、または下回る場合に決定されてもよい。次いで、反射信号314の平均波形時間を算出することができる(例えば、決定された有効時間枠にわたって信号を積分する)(ステップ328)。さらに、有効時間枠320における反射信号314に関連する位相は、送信信号312のリファレンス位相に基づいて得られてもよい(ステップ330)。反射信号314に関連する決定された平均波形時間および位相に基づいて、反射信号314と送信信号312との間の経過時間を算出することができる(ステップ332)。次いで、各トランスデューサ素子132とトランスデューサ素子132に最も近い反射体との間のADVは、媒体における経過時間および音速に基づいて決定することができる(ステップ334)。測定されたADVは、
図2に示すように得られる超音波−MRI変換マトリックスを用いて、超音波座標系からMRI座標系に変換されてもよい。この例では、頭蓋骨の外面が超音波の最大フラクションを反射するので(他の中間層の頭蓋骨表面からの反射は無視できる)、最も近い反射体は頭蓋骨外面における最も近いポイントである。一般的に、このアプローチを用いて測定されるADVは、高い精度(中心周波数で波長の1/10のオーダー(すなわち、0.25mm)の精度)を有し、したがって、従来得られる画像レジストレーションを評価するために、および/または患者の動きを検出するために適している。
【0053】
図4を参照して、算出された距離(RSDV)は音響的に測定された距離(ADV)と比較されて、従来のアプローチを用いて得られる画像レジストレーションの精度を評価することができる。一態様では、ADV測定のために活性化される個々のトランスデューサ素子ごとに、RSDVおよびADVの比較が行われる。比較は、2つのベクトル(例えば、以下にさらに記載する誤差関数)を比較することができる適切なアプローチを用いて、RSDVとADVとの間の相関スコアおよび/または不一致として定量化されてもよい。ADV測定のために活性化されたすべての(または、少なくともいくらかの)トランスデューサ素子の定量化された比較値は、次いで、共に加算され、すべての(または、少なくともいくらかの)トランスデューサ素子のRSDVとADVとの間の「全体的な(entire)」相関/不一致を表す。MRI座標系におけるADVの音響測定およびRSDVの算出の両方が高精度で決定できるため、ずれおよび/または相関スコアは、MRI−CT画像レジストレーションの精度を示し、より小さいずれまたはより高い相関スコアは、MRI−CT画像レジストレーションのより高い精度を示す。
【0054】
距離ベクトルRSDVおよびADVは、適切なアプローチを用いて比較してもよい。例えば、2つの距離ベクトル間の単純な誤差関数を以下のように算出してもよい。
【数1】
式中において、X
regi、Y
regiおよびZ
regiは、各トランスデューサ素子iに対するRSDVの値を表し、X
refi、Y
refiおよびZ
refiは、各トランスデューサ素子iに対するADVの値を表す。x
shift、y
shiftおよびz
shiftは、誤差関数の最小値を得るために変化し得るグローバル・シフト値(global shift value)を表す。NelはADV測定のために活性化されるトランスデューサ素子の数を表す。誤差関数は、画像レジストレーションの精度を評価するために使用される。例えば、誤差関数の最小値が見出せない場合、または最小値が予め決められた閾値を超える場合、画像レジストレーションは不正確である(または、少なくとも医療目的のためには十分に正確ではない)。ある態様では、各トランスデューサ素子152は、レジストレーションの検証目的で、3mm未満の平均誤差を有することが可能であり、したがって、1000個のトランスデューサ素子を有する例示的な超音波システムでは、画像レジストレーションの検証を決定するための閾値は10
4mm
2に設定される。この値は、各トランスデューサ素子の許容誤差に基づいて調整することができる。トランスデューサ素子について距離が誤って算出される場合(例えば、測定ノイズなど)があるが、前述のアプローチは、多数のトランスデューサ素子の使用(例えば、1000のオーダーでの使用)により画像レジストレーションを評価するため、誤って算出された素子の少数は、誤差関数の最小値に大きな影響を与え得ない。したがって、RSDVおよびADVが不一致または破損している場合にのみ、高い誤差値が発生する。
【0055】
種々の態様において、熱処理中のADVの時間発展ならびに/またはADVおよびRSDVの比較を用いて、患者の動きを検出することができる。本明細書で使用する「処置中(during treatment)」という用語は、処置セッションの全体的な時間を意味し、一般的に各超音波処理の前、間および後の時間を含む。
図5Aを参照すると、種々の態様では、超音波処理の前、間および/または後のたびに、新しいADVがリアルタイムで測定される。新しいADVは、トランスデューサ・アレイのサブセットおよび/またはより低い品質で測定してもよいため、ADVの測定期間は、中断することなく処置期間とインターリーブされる(または交互配置される、interleaved)のに十分に短くし得る(例えば、200μs)。あるいは、トランスデューサ・アレイ153の1以上のサブセットは、ADV測定専用であり、アレイ153の残りの部分は、処置目的のために超音波を集束する。さらに、ADV測定のために頭蓋骨から反射された信号を受信するために、素子の別個の超音波トランスデューサ・アレイ(または、トランスデューサ・アレイ153の素子の1以上のサブセット)が供されてもよい。別個であれば、受信トランスデューサは、超音波トランスデューサ・アレイ153の近傍に設けられてもよく、またはそのハウジング154に統合されてもよい。さらに、トランスデューサ・アレイは、MRI装置102のボア106内に設けられてもよく、またはそれの近傍に位置付けられてもよい。
【0056】
次いで、新たに測定されたADVは、処置中のより早い時期(例えば、超音波処理が行われる前、複数の超音波処理前、または1の超音波処理前)に得られるADVと比較してもよい。新しいADVが以前に得られるADVから大幅に逸脱した場合、患者はその間に移動した可能性が高い。種々の態様では、ずれが閾値(例えば、1000のトランスデューサ素子もしくは2.2mmの平均誤差を有する各トランスデューサ素子に対して5000mm
2、またはパーセンテージで5%超もしくは10%超)を超える場合、患者の動きが有意であるとみなされ、その動きを確認および/または補整するために是正措置を実施してもよい。
【0057】
ある態様では、処置中のADVの時間発展を監視して、患者の動きを予測する。例えば、1000のトランスデューサ素子を含む処置に対して、各超音波処理中にADVが550mm
2まで増加する場合、患者は10回目の超音波処理によって臨床的に許容される範囲を超えて動くことが予想される。したがって、患者および超音波システムの不位置合せに起因する健常な非対象組織への損傷を避けるために、9回目の超音波処理の終了時に処置を中断してもよい。
【0058】
図5Bに示すように、別の態様では、動き検出は、ADVおよびSRDVの比較に基づいて判定される。例えば、画像レジストレーションの精度が検証された後、新しいADVが測定され、検証された画像レジストレーションを用いて算出されたRSDVと比較される。再び、ADVとRSDVとの間の差が閾値(例えば、1000個のトランスデューサ素子に対して5000mm
2)を下回る場合、患者の動きは無視できるか、または臨床的に許容可能な限界内であるとみなすことができる。しかしながら、ADVおよびRSDVの差が閾値を超える場合、患者は大きく動いた可能性があり、是正措置を取ってもよい。
【0059】
したがって、ADVとRSDV、または以前に得られるADVとを比較することにより、対象の画像再構成の必要なしに疑わしい患者の動きを識別し、動きをリアルタイムで検出することができる。式(1)の誤差関数が最小値を取る場合、新たに測定されたADVは、算出されたRSDV(または、以前に得られるADV)とベストマッチする(すなわち、それらの最小ずれを有する)。したがって、最小値に関連する値および/または位置(すなわち、x
shift、y
shiftおよびz
shiftの値)を監視することによって、患者の動きを検出し得る。動き検出の感度は、許容ずれ閾値を変更することによって調整し得る。
図6Aおよび
図6Bは、異なる時間におけるトランスデューサ・アレイおよび頭蓋骨の同じ位置に基づく同じ画像レジストレーション(それによる同じRSDV)を使用した、2の繰返しADV測定に対する主軸における誤差関数の例示的な値を示す。
図6Aおよび
図6Bは、患者の画像レジストレーションおよび/または動きの妥当性を決定するための誤差関数の最小値および/または位置を使用するアプローチが信頼でき、繰り返し可能であることを示している。患者の動きがADVプロファイルに基づいて(すなわち、新たに測定されたADVを以前に得られるADVと比較することによって)決定された場合で、患者の動きがない場合、誤差関数の最小値および位置のより高い類似性が予期される。
【0060】
図7A〜
図7Dは、同じ画像レジストレーションを使用するが、異なる頭蓋骨位置を用いた4のADV測定に対する主軸における誤差関数の例示的な値を示す。最小値および位置は、頭蓋骨の位置によって変化することが示されている。したがって、本発明は、画像レジストレーションの検証および/または患者の動きの検出のための、高感度で正確なアプローチを供する。
【0061】
上記のように、比較によって有意な動きが生じている可能性があることが示された場合には、是正措置を実行してもよい。是正措置は、動きを確認するために新しいMR画像を取得すること、超音波処置を一時停止すること、動きを補整するために超音波システムおよび/または患者の位置を調整することなどを含んでもよい。例えば、解剖学的対象の新たに得られるMR画像は、動きを確認するために最後の有効なMR画像と照合してもよい。これは、アレイ153におけるトランスデューサのうちのいくらかのみがADVの測定専用であり、それにより(トランスデューサ・アレイ全体を用いて測定されたADVと比較して)より低い感度を示す場合に特に有用である。MR画像比較によって動きが生じたことが明らかであれば、超音波システムおよび/または患者の位置が調整されるまで、超音波処置を中断してもよい。しかしながら、MR画像比較により、動きが生じなかったか、または臨床的に有意でないことが示された場合、処置は計画どおりに進行する。
【0062】
ある態様では、組み合わされた超音波およびMRIシステムは、処置目的のために十分な精度でMRIおよびCT座標系間のイメージングのレジストレーションを供する。
図8Aおよび
図8Bに示す例示的な態様を参照すると、第1ステップ802において、超音波座標系は、最初に、超音波システムの少なくとも一部分のMR画像を、上記のような
図2Aに関連する超音波座標系におけるトランスデューサ・アレイの空間配置を特定する情報と併せて用いてMRI座標系に位置合わせされる。この超音波−MRIのレジストレーション(例えば、変換マトリックス(transformation matrix)として表現することができる)は、超音波座標系からMRI座標系にトランスデューサ素子の空間配置を変換することを可能にする。第2ステップ804において、関心のある解剖学的対象の超音波画像が取得される。第3ステップ806において、関心のある解剖学的対象のCT画像が取得される(例えば、処置計画段階中に、または処置開始前に先に得られる画像データを保存するコンピュータ・メモリからアップロードされる)。第4ステップ808では、得られる超音波画像がCT画像と比較されて、超音波画像およびCT画像が位置合せされる。超音波−CT画像のレジストレーションは、例えば、CT画像データを、相関させるアプローチまたはあらゆる他の適切なアプローチを用いて超音波画像データにフィッティングすることによって確立することができる。第5ステップ810において、CT座標系およびMRI座標系間の変換(例えば、変換マトリックス)は、まず、(第4ステップ808で得られる超音波−CT画像レジストレーションを用いて)CT座標系から超音波座標系へのCTイメージング・データの変換を算出し、続いて、(第1ステップ802で得られる超音波−MRI画像レジストレーションを用いて)変換されたデータを超音波座標系からMRI座標系に変換する。次いで、得られるMRI−CT座標変換は、2つのイメージング・システムを用いて得られる画像を組み合わせることを可能にし、それにより、正確かつ効率的な処置計画のための、軟組織および骨構造に関する詳細を供する。
【0063】
別の態様では、
図8Cを参照して、第2ステップ804で得られる解剖学的対象の超音波画像は、第1ステップ802で得られる変換マトリックスを用いて、超音波座標系からMRI座標系に変換される(ステップ812)。次いで、MRI座標系における解剖学的対象の変換された画像データは、CT座標系における解剖学的対象の先に得られたCT画像データと比較され、MRI−CT画像レジストレーションが算出される(ステップ814)。これは、例えば、解剖学的対象のCT画像データを、MRI座標系における解剖学的対象の変換された画像データにフィッティングさせることによって達成することができる。したがって、MRI−CT画像レジストレーションは、本明細書で記載されるように適宜算出され得る。
【0064】
本発明は、MRI座標系およびCT座標系を関連付ける座標変換を評価するため、および/もしくは取得するため、ならびに/または患者の動きを検出するための超音波システムの使用を参照して記載したが、それは本発明の範囲を限定することを意図するものではない。例えば、MRI座標系は、超音波座標系およびCT座標系を位置合せするために使用されてもよく、同様に、CTシステムは、超音波システムおよびMRIシステムを位置合せするために使用されてもよい。さらに、上記のアプローチを用いてあらゆる2つのイメージング・システムを関連付けるイメージングのレジストレーションを検証および/もしくは取得のため、ならびに/または患者の動きをリアルタイムでの検出のために、上記のイメージング・モダリティのいずれかの代わりに他のイメージング・モダリティを用いてもよい。
【0065】
さらに、本明細書に記載された種々の態様の特徴は、必ずしも相互に排他的ではなく、本発明の主旨および範囲から逸脱することなく、種々の組合せおよび順列とすることが(そのような組合せおよび順列が本明細書に示されていなくても)できることを理解されたい。実際、本明細書に記載されているものの変形、修正および他の態様が、本発明の主旨および範囲から逸脱することなく当業者に想到されるであろう。
【0066】
一般的に、2以上のイメージング・システム間のイメージングのレジストレーションを評価するためおよび/もしくは算出するため、ならびに/または患者の動きを検出するための機能は、MRIのコントローラ、超音波システムのコントローラおよび/またはCTのコントローラと統合されているか、または別個の外部コントローラによって供されているかどうかにかかわらず、ハードウェア、ソフトウェアまたはその両方の組合せで実施される1以上のモジュールで構成されてもよい。機能が1以上のソフトウェア・プログラムとして供される態様では、プログラムは、FORTRAN、PASCAL、JAVA(登録商標)、C、C++、C#、BASIC、様々なスクリプト言語および/またはHTMLなどのいくらかの高レベル言語のいずれかで書かれてもよい。さらに、ソフトウェアは、対象コンピュータに存するマイクロプロセッサに向けられたアセンブリ言語で実装することができる。例えば、ソフトウェアが、IBM PCまたはPCクローンにおいて動作するように構成されている場合、インテル80x86アセンブリ言語で実装してもよい。ソフトウェアは、限定されないが、フロッピー(登録商標)ディスク、ジャンプドライブ、ハードディスク、光ディスク、磁気テープ、PROM、EPROM、EEPROM、フィールド−プログラマブル・ゲートアレイまたはCD−ROMを含む製品で具体的に表現されてもよい。ハードウェア回路を使用する態様は、例えば、1以上のFPGA、CPLDまたはASICプロセッサを用いて実装してもよい。