特許第6838062号(P6838062)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6838062
(24)【登録日】2021年2月15日
(45)【発行日】2021年3月3日
(54)【発明の名称】自動生検銃
(51)【国際特許分類】
   A61B 10/02 20060101AFI20210222BHJP
【FI】
   A61B10/02 110J
【請求項の数】13
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2018-524570(P2018-524570)
(86)(22)【出願日】2016年7月28日
(65)【公表番号】特表2018-526165(P2018-526165A)
(43)【公表日】2018年9月13日
(86)【国際出願番号】IB2016054498
(87)【国際公開番号】WO2017021826
(87)【国際公開日】20170209
【審査請求日】2019年7月10日
(31)【優先権主張番号】102015000041055
(32)【優先日】2015年7月31日
(33)【優先権主張国】IT
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518029915
【氏名又は名称】ピエトロ ミュージッコ
【氏名又は名称原語表記】Pietro MUSICCO
(73)【特許権者】
【識別番号】518029926
【氏名又は名称】セシリア ミュージッコ
【氏名又は名称原語表記】Cecilia MUSICCO
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100159905
【弁理士】
【氏名又は名称】宮垣 丈晴
(72)【発明者】
【氏名】ピエトロ ミュージッコ
(72)【発明者】
【氏名】セシリア ミュージッコ
(72)【発明者】
【氏名】ジョルジオ ラモリノ
【審査官】 近藤 利充
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−197898(JP,A)
【文献】 特開2004−121852(JP,A)
【文献】 特開平03−210250(JP,A)
【文献】 特開2015−2916(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 10/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱形本体(2)と、
前記箱形本体(2)から長手方向(X−X)に片持ち状に延在する針(4)であって、組織試料を採取するための収集空洞部(10)を備えたスタイレット(9)と、カニューレ(8)とを有し、前記スタイレット(9)は、前記収集空洞部(10)が前記カニューレ(8)を出た後ギロチン作用を伴って前記カニューレ(8)に入ることができるように、前記カニューレ(8)内に摺動可能に収容されている針(4)と、
前記カニューレ(8)に拘束されている第1押し部材(13)であって、前記箱形本体(2)内で長手方向に沿って、前記カニューレ(8)が前記箱形本体(2)から完全に延出する前方位置と、前記カニューレ(8)が前記箱形本体(2)に部分的に挿入される後方位置との間で移動可能な第1押し部材(13)と、
前記スタイレット(9)に拘束されている第2押し部材(24)であって、前記箱形本体(2)内で長手方向に沿って、前記スタイレット(9)が前記箱形本体(2)から完全に延出する前方位置と、前記スタイレット(9)が前記箱形本体(2)に部分的に挿入される後方位置との間で移動可能な第2押し部材(24)と、
前記第1押し部材(13)に対抗する弾性対抗手段(21)および前記第2押し部材(24)に対抗する弾性対抗手段(33)と、
前記第1押し部材(13)および前記第2押し部材(24)を駆動する、使用者が操作可能な駆動手段(3)と、
を備え、
前記第1押し部材(13)および前記第2押し部材(24)は、前記箱形本体(2)の内側にある第1内側ガイド(22)および第2内側ガイド(32)にそれぞれ案内され、
前記第1押し部材(13)および前記第2押し部材(24)は、隣り合って互いに平行である対応するそれぞれの前記第1内側ガイド(22)および前記第2内側ガイド(32)において移動可能であり、
前記第1押し部材(13)の前記第1内側ガイド(22)と前記第2押し部材(24)の前記第2内側ガイド(32)とが前記長手方向において異なる位置に設けられており、
前記第1内側ガイド(22)および前記第2内側ガイド(32)の各々が前記長手方向に延び且つ停止部を有し、前記第1内側ガイド(22)の前記停止部は、前記第1押し部材(13)を前記後方位置に一時的にロックするための、前記長手方向を横切る方向の前記第1内側ガイド(22)の折り曲げ部(22’)であり、前記第2内側ガイド(32)の前記停止部は、前記第2押し部材(24)を前記後方位置に一時的にロックするための、前記長手方向を横切る方向の前記第2内側ガイド(32)の折り曲げ部(32’)である、
ことを特徴とする自動生検銃(1)。
【請求項2】
前記第1押し部材(13)の前記第1内側ガイド(22)と前記第2押し部材(24)の前記第2内側ガイド(32)とが同じ長手方向範囲を有する、すなわち、前記第1内側ガイド(22)および前記第2内側ガイド(32)により前記各押し部材(13、24)が等しい移動距離を走行でき、前記第1押し部材(13)と前記第2押し部材(24)とは、前記カニューレ(8)に対する前記スタイレット(9)の最大可能露出量に対応する長さだけ前記長手方向において位置が異なる、請求項1に記載の自動銃(1)。
【請求項3】
前記第1押し部材(13)は、
前記カニューレ(8)に拘束された第1固定部材(14)と、
前記長手方向(X−X)に直交する軸線(Y−Y)上で後者に対して回転可能に前記第1固定部材(14)にヒンジ結合され、かつ前記第1内側ガイド(22)に係合する複数の係合部(16)を備えた第1スライダ(15)であって、前記第1内側ガイド(22)において従動部材のように振る舞うようにされている第1スライダ(15)と
を備えた、請求項1または2に記載の自動銃(1)。
【請求項4】
前記第2押し部材(24)は、
前記スタイレット(9)に拘束された第2固定部材(25)と、
前記長手方向(X−X)に直交する軸線(Y−Y)上で後者に対して回転可能に前記第2固定部材(25)にヒンジ結合され、かつ前記第2内側ガイド(32)に係合する複数の係合部(27)を備えた第2スライダ(26)であって、前記第2内側ガイド(32)において従動部材のように振る舞うようにされている第2スライダ(26)と
を備えた、請求項1〜のいずれか1項に記載の自動銃(1)。
【請求項5】
前記第1押し部材(13)に対抗する弾性対抗手段(21)および前記第2押し部材(24)に対抗する前記弾性対抗手段(33)はスプリングであり、前記スプリング(21、33)は、前記各押し部材(13、24)が前記前方位置にあると延伸され、前記各押し部材(13、24)が前記後方位置にあると圧縮される、請求項1〜のいずれか1項に記載の自動銃(1)。
【請求項6】
前記スプリング(21、33)は、前記長手方向に対して横方向の変形を防止する適切な台座(23、34)内に収容される、請求項に記載の自動銃(1)。
【請求項7】
第1ケーシング(18)が設けられた第1キャリッジアセンブリ(11)であって、前記第1押し部材(13)および前記弾性対抗手段(21)が第1キャリッジアセンブリ(11)の一部を構成し、前記第1内側ガイド(22)が前記第1ケーシング(18)の内壁に得られる、第1キャリッジアセンブリ(11)と、
第2ケーシング(29)が設けられた第2キャリッジアセンブリ(12)であって、前記第2押し部材(24)および前記弾性対抗手段(33)が第2キャリッジアセンブリ(12)の一部を構成し、前記第2内側ガイド(32)が前記第2ケーシング(29)の内壁に得られる、第2キャリッジアセンブリ(12)と
を備えた、請求項1〜のいずれか1項に記載の自動銃(1)。
【請求項8】
前記駆動手段(3)は、前記箱形本体(2)に取り付けられて前方位置と後方位置との間でスライドする装填スタッド(3)から構成され、前記装填スタッド(3)は少なくとも、前記第1押し部材(13)および前記第2押し部材(24)と夫々係合する第1歯(3’)および第2歯(3”)を備えている、請求項1〜のいずれか1項に記載の自動銃(1)。
【請求項9】
前記装填スタッド(3)は、前方位置から後方位置へ2度の移動を実行することによって前記第1押し部材(13)と前記第2押し部材(24)との両方を装填できるように設計された単一のスタッドである、請求項に記載の自動銃(1)。
【請求項10】
前記装填スタッド(3)は折り曲げ可能なように少なくとも一部が可撓性であり、かつ/または第2歯(3”)が揺動可能となっており、これにより、前記第1押し部材(13)が後方位置に導かれるときに前記第2歯(3”)が前記第2押し部材(24)を乗り越えることができ、またこれとは逆に、前記第2押し部材(24)が後方位置に導かれるときに、前記第2歯(3”)が前記第2押し部材(24)と係合可能であり、したがって前記弾性対抗手段が2回操作で加圧される、請求項またはに記載の自動銃(1)。
【請求項11】
前記装填スタッド(3)はさらに、これがその後方位置にあるときに前記第2押し部材(24)をロック解除して、その発射をトリガするように設計されている、請求項10のいずれか1項に記載の自動銃(1)。
【請求項12】
前記第2押し部材(24)は、前記第2押し部材(24)が前記後方位置から前記前方位置へと開放されたときに前記第1押し部材(13)を前記停止部(22’)から係合解除して、前記第1押し部材(13)を前方に突進させる係合解除レバーとして動作する傾斜面(26’)を備える、請求項1〜11のいずれか1項に記載の自動銃(1)。
【請求項13】
前記使用者に向かって前記箱形本体(2)の側方または背側に配置された発射ボタン(36)を更に備え、前記発射ボタン(36)は、前記弾性対抗手段(33)が前記第2押し部材(24)を前記前方位置に移動させられるように、前記第2押し部材(24)を前記第2内側ガイド(32)の前記停止部(32’)からロック解除するようにされている、請求項1〜12のいずれか1項に記載の自動銃(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生検銃、特に、人体から組織を採取するのに使用されるタイプの自動銃を対象とするものである。
【背景技術】
【0002】
生検銃は、通常、組織学的検査を実施するために、人体内部の軟組織を採取するために使用される。
【0003】
銃にはいくつかの種類がある。例えば、使い捨て銃や、何回かの採取操作のために再利用することができ、従って使い捨ての生検針の使用を可能にする銃が知られている。
【0004】
本発明は、患者の身体、例えば腎臓、前立腺、乳房組織から軟組織試料を採取するためのギロチン技術を使用する、使い捨て自動銃に関する。
【0005】
このタイプの銃が記載されている公知の文献としては、KR20030079788、DE102011014722、DE102011014721、DE10208038413、DE102008038414がある。
【0006】
一般に、使い捨ての生検自動銃は、使い捨て針が着脱自在に組み合わされた箱形本体を備える。箱形本体が略平行六面体に形成されているので、医療従事者が保持できる形状となっている。このため、生検中、患者に最も近く、銃を保持する医療従事者から最も遠い端に対応する第1遠位端と、生検中に最も遠くに位置し、銃を保持する医療従事者に最も近い端に対応する近位端とをその箱形本体の中で特定することができる。使い捨て針は、箱形本体の遠位端から片持ち梁状に延びて患者の体内に挿入可能である。
【0007】
針は、次の2つの構成要素を備える。
―エコー源性先端部、およびその箱形本体に摺動可能に収容された第1キャリッジに拘束された端部を備えるカニューレ、および
―上記カニューレ内に同軸に収容され、その中を摺動するスタイレット。このスタイレットは、組織試料を収集するための収集空洞部が設けられた尖った端部を有する。スタイレットの反対側の端部は、箱形本体内に摺動可能に収容された第2キャリッジに拘束されている。
【0008】
第1および第2キャリッジは、箱形本体内で、箱形本体の近位端における最初の後方位置と、箱形本体の遠位端付近の最終の前方位置との間を移動する。対応するスプリングは、この2つの位置間のシフトに必要な押し込み力をキャリッジに印加する。2つのキャリッジが移動する経路は、互いに平行かつ針に平行であり、これはまた箱形本体の長手方向軸を画定する。
【0009】
通常、キャリッジはどちらもそれぞれの後方位置にロックされている。発射機構と呼ばれる駆動機構を使って、以下に説明するように医療従事者はキャリッジのロックを解除することができる。
【0010】
この発射機構は、第1および第2装填スタッドを含み、この双方が銃の箱形本体の上面または側面に配置されている。装填スタッドは、箱形本体に対してその縦軸に平行に摺動することができ、第1キャリッジおよび第2キャリッジのそれぞれの保持歯に作用するか、またはこれに相当する、キャリッジを後方位置に保持する対向面に作用して、スプリングの伸びを防止している。
【0011】
第2スタッドを押すことによって、医療従事者が両方のキャリッジを開放すると、キャリッジそれぞれのスプリングの作用により前方位置に突進する。第1キャリッジの移動は、第2キャリッジがその前方移動を完了するために必要とする時間に対して最小の遅延時間で完了する。スタイレットに対してカニューレが連続的して摺動することで、上記のギロチン技術の実施が可能となる。
【0012】
医療従事者が、患者の体内に針を挿入し、第2スタッドを押すと、スタイレットの尖った端部がカニューレから出て、採取すべき組織が採集空洞部内に入る。つづいてカニューレをスタイレット上に摺動させると、収集空洞部に画定されるチャンバ内に閉じ込められたままの組織試料とカニューレとが分離される。実際には、スタイレットの切断面とカニューレの切断面とが、組織を切断し且つ切断された組織を針内に保持するためにギロチンとして協働する。この時点で、組織を患者の体外に取り出すことができる。
【0013】
このスタイレットおよびカニューレの連続動作は、一般に、第1キャリッジを第2キャリッジに対してわずかに後ろに位置付けることによってなし得る。2つのキャリッジの走行距離は等しい。実際、この機能により、銃操作が自動化される。したがって、自動という用語は、スタイレットおよびカニューレが医療従事者によって別々に操作されず、これらの2つの構成要素が、医療従事者による第2スタッドを作動させる結果として、自動的に且つ適時に移動することを意味する。
【0014】
キャリッジがそれぞれの後方位置へ復帰移動することで、再使用するために、スプリングを再加圧することができる。医療従事者は、スプリングを再加圧してキャリッジを最初の後方位置に導くために、手動で第1スタッドを、次いで、第2スタッドを引く。復帰移動を完了させる前に、医療従事者は、スタイレットが患者の身体から採取後の組織試料を収集するのに十分なだけカニューレから露出されていることを確認する。
【0015】
この時点で、銃は同じ患者の他の試料を採取するために使用することができ、その後、他の患者からの試料採取のため、新しい無菌針と交換したり、新しい無菌針を取り付けたりすることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
ただし現在利用可能な自動生検銃にはいくつかの不具合がある。
【0017】
第一に、従来の銃は構造が複雑なことである。各種構成要素が複雑な外形形状を有しているので、これらを組み付けるのが至難である。現在このタイプの銃の組付けには、作業者は約8〜10分を要する。市場がこれらの銃の低コスト化を要求していることに鑑みれば、組付けに要する時間はできるだけ短くあるべきである。
【0018】
とりわけ、大部分の構成要素はプラスチック製で成形によって得られるので、対抗面、歯および切込みを有する構成要素の複雑な形状は、製造コストに悪影響を与える。
【0019】
構成要素の複雑な形状にもかかわらず、従来の銃では、キャリッジの双方向移動は往々にして滑らかではなく、時には急発進も見られる。
【0020】
もう1つの不具合は、医療従事者がスプリングを再加圧し、キャリッジを後方位置に戻すためには、常に両方のスタッドを操作しなければならないことである。これは、往々にして把持位置を変えることを強いるので、操作が煩わしくなりかねない。
【0021】
従来の自動生検銃に見られるさらに別の不具合は、キャリッジを押すために使用するスプリングがしばしば湾曲するので、すなわち横方向に歪むので、これによりその位置エネルギーの全てが利用されないことである。
【0022】
米国特許第5284156号は、一列に配置され、等しい走路に沿って移動可能な2つのキャリッジが設けられた生検銃を記載している。
【0023】
米国特許第5036860号は、単一キャリッジを有し、そのキャリッジが銃本体内のカムによって案内される生検銃を記載している。このカムは、直線部分と、キャリッジが向きを変える湾曲部分とを含む経路として配置される。
【0024】
米国特許出願公開第2003/0073929号明細書には、銃本体の半分を他の半分に入れ子式に挿入することによってキャリッジが装填される銃が記載されている。キャリッジを開放して前方へ摺動させるために、操作ボタンが後部に設けられている。
【0025】
米国特許第5243994号は、銃本体上を摺動するコッキング部材(図3の符号56)を使ってキャリッジがユーザによって装填される生検銃を記載している。このコッキング部材は、駆動部材42に係合するように設計された駆動タング56bを含む。レバーアーム部分58bは、キャリッジの摺動をロックするための連鎖に作用するラチェットホイール66を駆動する。
【課題を解決するための手段】
【0026】
そこで本発明の目的は、現在利用可能な解決策の不具合を簡単かつ効果的に解決し、同時に構造が簡単で、医療従事者にとって、組み立てが短時間で容易に行え、経済的かつ機能的である自動生検銃を提供することである。
【0027】
したがって、本発明は、請求項1に記載の自動生検銃に関する。
特に、この銃は、例えば上部本体部分および下部本体部分によって画定される箱形本体と、箱形本体から片持ち梁状に延びる針とを、長手方向と定義される方向に備える。
【0028】
この針は、組織試料を収集するための収集空洞部を備えたスタイレットと、カニューレとを含む。スタイレットは、収集空洞部がカニューレを出た後ギロチン作用を伴ってカニューレに入ることができるように、カニューレ内に摺動可能に収容されている。
【0029】
第1押し部材は、カニューレに拘束され、カニューレが箱形の本体から完全に延出する前方位置と、カニューレが部分的に前方に延出する、すなわち一部後退している後方位置との間で移動可能である。
【0030】
第2押し部材は、スタイレットに拘束され、箱形本体内で、スタイレットが箱形本体から完全に延出する前方位置と、スタイレットが一部箱形体内に挿入される後方位置との間で移動可能である。
【0031】
明らかに、第2押し部材に対する第1押し部材がとる位置に応じて、収集空洞部の露出および収集空洞部のカニューレへの挿入のいずれかがもたらされる。
【0032】
銃はさらに、第1押し部材および第2押し部材に対抗する弾性対抗手段を備えている。この弾性手段は、発射時にカニューレおよびスタイレットをそれぞれの前進位置にもたらすために、長手方向の押し込み力を印加する機能を有する。
【0033】
この銃は、第1押し部材および第2押し部材を駆動するために、ユーザによって操作可能な駆動手段を備える。駆動手段は、銃を装填する、すなわち発射ができるように上記の弾性手段を装填するように設計されている。
【0034】
公知の解決策とは異なり、この銃は有利な点として、箱形本体の内側に、第1および第2押し部材を案内する内側ガイドを備える。言い換えれば、押し部材は、それぞれの内側ガイドの従動部材として設計される。第1押し部材の内側ガイドおよび第2押し部材の内側ガイドは、カニューレに対してスタイレット先端を露出させるように、長手方向に沿って異なる位置に配置されている。
【0035】
ここに提案する解決策により、銃構造は著しく容易となる。実際、内側ガイドはそれぞれに、後方位置にて押し部材の停止部を有するように設計することができる。このようにして、弾性部材の押圧作用に対して押し部材を安定に保持するために公知の解決策で提供される歯や切り込みなどの複雑な保持システムを回避することができる
【0036】
本発明による銃は、従来の銃に比べて構成部品の数が少なく、組付け作業の簡素化を促すため、完成に要する時間は3分以下である。
【0037】
内側ガイドによって押し部材を駆動することにより、公知の解決策に対して、これらの要素の滑らかさおよび流動性が大幅に高まるという更なる利点が達成される。内側ガイドは、詰まったり、過度の摩擦を生じさせたりすることなく、それぞれの押し部材を効果的に案内する。これにより、弾性手段のエネルギーを最大限に利用することができる。
【0038】
好ましくは、第1押し部材の内側ガイドおよび第2押し部材の内側ガイドは、長手方向に沿って同じ長さ範囲を有する。すなわち、それぞれの押し部材、したがってそれに接続されたカニューレおよびスタイレットが同じ移動距離を走行することができる。この複数のガイドは、カニューレに対するスタイレットの最大可能露出量に対応する長さだけ、長手方向に沿って異なる位置に配置されている。言い換えれば、カニューレに対するスタイレットのストロークは、第1押し部材(カニューレ)のガイドを、箱形本体の遠位端により近く、すなわち、第2押し部材(スタイレット)のガイドに対して針寄りの位置に配置することによって得られる。
【0039】
好ましい実施形態では、各内側ガイドは主に、それぞれの押し部材の後方位置に対応する停止部を除いて、長手方向に延びている。実際には、この停止部は、長手方向を横切る方向に、例えば90度の角部、または90度より大きな角度をなす、ガイド自体の折り曲げ部である。この構成により、実際にはそれぞれの内側ガイドの従動部材である押し部材は、弾性手段の作用を克服することで一時的に停止部内にロックされる。発射時には、後述するように、押し部材はそれぞれのガイドの長手方向部分に向かって停止部から押し出される。
【0040】
第1押し部材は、
カニューレと一体であり、対応する内側ガイド内を摺動する第1固定部材と、
その長手方向に直交する軸線で第1固定部材に対して回動可能にヒンジ結合され、第1内側ガイドと係合する係合部を備え、上述したように、第1スライダが第1内側ガイドの従節のように動作する第1スライダと、
を備えるのが好ましい。
【0041】
第2押し部材は、
スタイレットと一体であり、対応する内側ガイド内を摺動する第2固定部材と、
その長手方向と直交する軸上で回転するように第2固定部材にヒンジ結合され、第2内側ガイドと係合する係合部分を備えた第2スライダと、
を備えるのが好ましい。
【0042】
押し部材の上記の構成により、固定部材が内部ガイドの折り曲げ部のない部分で摺動するだけでなく、スライダは内部ガイドの折り曲げ部のない部分でもある部分でも摺動することができるが、折り曲げ部には停止部があるため、弾性手段が加圧されていてもスライダはロックされたままである。この結果は、各固定部材に対するスライダの回転により得られる。実際、固定部材は、一方がカニューレに、他方がスタイレットに拘束され、したがって内側ガイドの長手方向の経路から外れることができないため回転できない。一方、スライダは折り曲げ部に追従することができる。
【0043】
スプリングは、それぞれの押し部材が前進位置にあるときには完全に延伸し(銃の内側でできるだけ)、その逆も同様であって、それぞれの押し部材が後退位置にあるときに完全に圧縮される。
【0044】
本発明の好ましい一実施形態では、スプリングは、長手方向に対して横方向の変形を防止する適切な台座に収容される。すなわち、スプリングは従来の解決策でのように曲がることも歪むこともできず実質的に管状であるので、長手方向のみの変形を受ける。このようにして、その位置エネルギーを最大限に活用することができる。
一実施形態では、この銃は、
―第1ケーシングを備えた第1キャリッジアセンブリと、
―第2ケーシングを備えた第2キャリッジアセンブリと、
を備える。
【0045】
第1押し部材および対応の対抗弾性手段、すなわち第1スプリングは、第1キャリッジアセンブリの一部である。第1内側ガイドは、第1ケーシングの内壁に設けることができる。第2押し部材および対応の対抗弾性手段、すなわち第2スプリングは、第2キャリッジの一部である。第2内側ガイドは、第2ケーシングの内壁に設けることができる。
【0046】
好ましくは、2つのキャリッジアセンブリは、非常に簡単に箱形本体外で予め組み立てられ、箱形本体内に取り付けたり取り替えたりできるように、モジュラ式であり、箱形本体内で交換可能である。こうすると組付け作業を単純化し、組付け時間を最小化するのにも役立つ。
【0047】
駆動手段は、箱形本体に取り付けられ、前方位置と後方位置との間で摺動する装填スタッドからなることが好ましい。この装填スタッドは、使用者によって、例えば親指によって操作可能であり、箱形本体内に位置する第1押し部材と第2押し部材とそれぞれに係合するように設計された少なくとも1つの第1歯と1つの第2歯とを備える。
【0048】
公知の解決策とは異なり、本発明による銃の有利な点は、上述した2つの歯があるため、唯一の装填スタッドが、が互いに異なる時間で2つのそれぞれの距離を移動することによって第1押し部材と第2押し部材の両方を装填するように設計されていることである。この機能により、医療従事者は装填中に把持態様を変更することなく銃を効果的に使用することができる。
【0049】
装填スタッドは、湾曲可能となるように少なくとも部分的に可撓性を持たせるか、第2歯を揺動可能とすることが好ましく、これにより、第1押し部材が後方位置に導かれたときに第2歯が第2押し部材を乗り越えることを可能にし、他方、第1押し部材が後方位置に導かれたときに第2押し部材と係合することができ、それによって弾性手段が2回で、実際には単一スタッドによって装填される。代替手段では、装填スタッドは可撓性であり、第2歯は揺動している。この3つの解決策はすべて、銃の装填を、特に医療従事者にとって、保護手袋を着用していたとしても便利なものにしている。
【0050】
第2歯が揺動する場合、第2押し部材が後退位置に導かれたときに第2押し部材を噛合させるために、歯を初期下降位置に戻す、すなわち装填スタッドから突出させるリターンスプリングを銃に設けてもよい。
【0051】
装填スタッドはさらに、第2押し部材がその後方位置にあるときには第2押し部材をロック解除して発射トリガができるように設計されるのが好ましい。
【0052】
代替的にまたは付加的に、この銃は、使用者に向かって箱状本体の側方または後方に配置された発射ボタンを備える。この発射ボタンは、第2押し部材を弾性手段によって前方位置に移動させるために、第2押し部材をその停止部から解除するようになっている。
第2押し部材は、第2押し部材が後方位置から前方位置に開放されたときに、第1押し部材をその停止部から解除して突進させる開放レバーとしての傾斜面を備えることが好ましい。
【0053】
次に、本発明の銃の動作について説明する。
【0054】
最初、銃は未装填状態である。医療従事者は、第1および第2押し部材の弾性手段を装填するが、それを行うために装填スタッドを操作しなければならない。
【0055】
装填スタッドが前方位置から後方位置に第1移動を走行すると、第1押し部材を後方位置のその停止部に導いてロック状態にし、その対抗手段を加圧することができる。スタッドは、例えば適切なスプリングの復帰動作により前方位置に戻る。装填スタッドによる第1移動の走行は第2押し部材に影響を及ぼさず、第2押し部材はこの移動の影響を受けずにバイパスされる。この状況において、カニューレはスタイレットに対して後退し、収集空洞部が露出されてアクセス可能となる。
【0056】
装填スタッドが前方位置から後方位置に第2移動を走行すると、第2押し部材を後方位置のその停止部に導いてロック状態にし、その対抗手段を加圧することができる。スタッドはほぼ前進位置に戻る。この状況において、スタイレットがカニューレ内を摺動し、収集空洞部がカニューレの内側に導かれる。
【0057】
銃は、この状態で発射準備が整っており、医療従事者は針を患者の体に挿入する。
【0058】
装填スタッドを前方に押すことによって、または発射ボタンを押すことによって、第2押し部材は、その停止部から後方位置に開放される。弾性手段の押圧力により、第2押し部材がその前進位置に向かって前方に突進する。その結果、スタイレットが入れ子式にカニューレから部分的に出て、患者の組織を収容する収集空洞部を露出させる。
【0059】
第2押し部材は、その移動を停止かつ終了させる前方位置に到達する前に、第1押し部材を後方位置に停止していた第1押し部材にぶつかる(第1押し部材の後方位置の停止部が、第2押し部材の後方位置の停止部に対して箱形本体の遠位端により近いことを思い出されたい)。2つの押し部材の接触により、第1押し部材がその停止部から外れる。弾性手段の押圧力により、第1押し部材は前方の前進位置へと突進する。その結果、カニューレはスタイレット上を摺動し、患者の切断された組織を保持している収集空洞部を被覆する。
【0060】
この時点で、針は患者の体から引き出され、医療従事者は、収集空洞部を露出させ組織試料を採取するために、装填スタッドを後方位置に再び押し戻す。
【0061】
こうして銃は再使用できる態勢となる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
本発明の他の特徴および利点は、添付図面を補助として、好適ではあるが非限定的な、開示のみを目的とし且つ何らの制限を加えることがないように描写された実施形態例についての以下の明細書を読むことでさらに明らかになるだろう。
図1: 本発明による自動生検銃の斜視図である。
図2図1に示される銃の分解斜視図である。
図3図6図1に示した銃の第1キャリッジの組み立て手順を示す斜視図である。
図7図10図1に示した銃の第2キャリッジの組み立て手順を示す斜視図である。図11図1に示した銃の、相互に拘束する第1キャリッジと第2キャリッジとを示す斜視図である。
図12: 組み立て工程にある図1に示した銃の斜視図である。
図13図14: 第1構成にある、図1に示した銃縦断面図である。
図15図1に示した銃が第1構成にある、当該銃の内部構成要素の斜視図である。
図16図17: 第2構成にある、図1に示した銃の縦断面図である。
図18: 第2構成にある、図1に示した銃の内部構成要素の斜視図である。
図19および図20: 第3構成にある、図1に示した銃の縦断面図である。
図21: 第3構成にある、図1に示した銃の内部構成要素の斜視図である。
図22図23: 第4構成にある、図1に示した銃の縦断面図である。
図24図1に示した銃が第4構成にある、当該銃の内部構成要素の斜視図である。
図25図26: 第5構成にある、図1に示した銃の縦断面図である。
図27: 第5構成にある、図1に示した銃内部構成要素の斜視図である。
図28図29: 第6構成にある、図1に示した銃の縦断面図である。
図30: 第6構成にある、図1に示した銃の内部構成要素の斜視図である。
図31図32: 第7構成にある、図1に示した銃の縦断面図である。
図33: 第7構成にある、図1に示した銃の内部構成要素の斜視図である。
図34図35: 第8構成にある、図1に示した銃の縦断面図である。
図36: 第8構成にある、図1に示した銃の内部構成要素の斜視図である。
図37図38: 第9構成にある、図1に示した銃の縦断面図である。
図39: 第9構成にある、図1に示した銃の内部構成素の斜視図である。
図40図41: 第9構成にある、図1に示した銃の縦断面図である。
図42: 第8構成にある、図1に示した銃の内部構成要素の斜視図である。
図43: 第1構成にある、本発明よる銃の別の実施形態を示す縦断面図である。
図44図43に示した銃の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0063】
図1は、本発明に係る自動生検銃1の斜視図であり、自動生検銃1は、箱形本体2と、装填スタッド3と、組織試料を採取するために患者の体内に挿入される針4とを備えている。
【0064】
尚、銃1は、従来の2つのスタッド(各キャリッジに1つ)の代わりに単一の装填スタッド3を有している点で既知の技術とは異なる。
【0065】
簡略化のため、以下においては、針4の幾何学的軸線X−Xを、銃1の全ての構成要素の長手方向軸線ないしは長手方向とみなす。
【0066】
図2は、銃1の全ての構成要素を示している。図から分かるように、箱形本体2は、ねじ7によって連結できる上部本体部分5と下部本体部分6とによって画定されている。針は、2つの構成要素、すなわち、常時外側から見えるカニューレ8と、このカニューレ8内に同芯状態で摺動可能に収容されたスタイレット9とを含む。スタイレットの自由端10aには、患者の体から毎回採取された組織試料を保持する機能を有する収集空洞部10が設けられている。
【0067】
銃1は、第1キャリッジアセンブリ11と第2キャリッジアセンブリ12とを備えており、双方とも箱形本体2内に収容されている。以下に説明するように、カニューレ8の一端部は、第1キャリッジアセンブリ11の一構成要素に拘束され、スタイレット9の一端部は、第2キャリッジアセンブリ12の一構成要素に拘束される。
【0068】
図3〜6は、第1キャリッジアセンブリ11の組み立て手順を示す。参照符号13は、第1締め付け部材14と対応する第1スライダ15とによって画定される第1押し部材を示す。カニューレ8は、固定部材14に固定されて、固定部材14と一体的に移動することができる。この結合は、カニューレ8の交換を可能するため、可逆的結合であることが好ましい。第1スライダ15は、以下に説明するように、第1キャリッジアセンブリ11の対応する摺動ガイドと相互作用するように設計された側部突起16を備えている。第1固定部材14および第1スライダ15は、図4に示した軸線Y−Y廻りで相対回転ができるように、符号17で示される部分にてヒンジ連結されている。
【0069】
図6は、完全に組み立てられた第1キャリッジアセンブリ11の斜視図である。2つの結合されたシェル19および20によって形成されるケーシング18が見られる。図5において、右側のシェル20は未だ組み立てられておらず、したがって第1キャリッジアセンブリ11の内側が見える。図から分かるように、シェル19には、第1スライダ15用のスライドガイド22がある。見えないが、同一のガイドがシェル20の内壁に得られる。
【0070】
双方のガイド22は、図面では90度下方に曲がっている端部22’を除き、長手方向軸線X−Xに平行に延びている。
【0071】
第1キャリッジアセンブリ11が組み立てられると、第1スライダ15の側部突起16は、摺動ガイド22内を移動させられて、その経路をたどる。双方の角部22’が停止部を形成する。実際には、双方のガイド22は内側ガイドであり、スライダ15は、図6に二重矢印で示すように、対応するガイド22に沿って前後に並進することができる従動部材を表す。
【0072】
銃1の箱形本体2には、押し部材13に、そしてその結果として、押し部材13に連結されているカニューレ8に押圧力を加えるため、スプリング21を挿入することができる。
【0073】
より詳細には、シェル19および20は、ケーシング18内におけるスプリング21用の台座23を画定する。台座23は、長手方向軸線X−Xに平行に延び、圧縮スプリング23を収容するため、スプリング23は、歪むことができない、すなわち横方向に曲がることができず、その有効性を喪失することがなくなる。
【0074】
図7から図10には、第2キャリッジアセンブリ12の組み立て手順が示されている。符号24は第2押し部材であり、第2固定部材25と対応する第2スライダ26とで画定されている。スタイレット9は、固定部材25に固定され、固定部材25と一体に移動することができる。この結合は、カニューレ8の交換を可能するため、可逆的結合であることが好ましい。第2スライダ26は、以下に説明するように、第2キャリッジアセンブリ12の対応する摺動ガイドと相互作用するように設計された側部突起27を備えている。第2固定部材25および第2スライダ26は、図4に示した軸線Y−Yに平行な軸線周りで相対回転するように、符号28で示される部分にてヒンジ連結されている。
【0075】
図10は、完全に組み立てられた第2キャリッジアセンブリ12の斜視図である。2つの結合されたシェル30および31によって形成されるケーシング29が見られる。図9において、右側のシェル31はまだ組み立てられておらず、したがって第2キャリッジアセンブリ12の内側が見える。図から分かるように、シェル30には、第2スライダ26用のスライドガイド32がある。見えないが、同一のガイドがシェル31の内壁に得られる。
【0076】
双方のガイド32は、図面では90度下方に曲がっている端部32’を除き、長手方向軸線X−Xに平行に延びている。
【0077】
第2キャリッジアセンブリ12が組み立てられると、第2スライダ26の側部突起27は、摺動ガイド32内を移動させられて、その経路をたどる。実際には、双方のガイド32は停止部32’が設けられた内側ガイドであり、スライダ26は、図10の二重矢印で示すように、対応するガイド32に沿って前後に並進することができる従動部材を表す。
【0078】
銃1の箱形本体2には、押し部材24に、そしてその結果として、押し部材24に連結されているスタイレット9に押圧力を加えるため、スプリング33を挿入することができる。
【0079】
より詳細には、シェル30および31は、ケーシング29内におけるスプリング33用の台座34を画定する。台座34は、長手方向軸線X−Xに平行に延び、圧縮スプリング33を収容するため、スプリング33は、歪むことができない、すなわち横方向に曲がることができずに、その有効性を喪失することがない。
【0080】
図11は、互いに結合された2つのキャリッジアセンブリ11および12を示す。これらは噛合連結によって結合されるのが好ましい。この結合によって、スタイレット9をカニューレ8に挿入することができる。実際には、第1キャリッジアセンブリ11および第2キャリッジアセンブリ12は、スタイレット9の位置がカニューレ8と同軸であるように、少なくともそれぞれの固定部材14および25によって互いに入り込んでいなければならない。このため、2つのアセンブリ11および12に専用の側部窓が設けられている。例えば、図10にそのうちの1つを見ることができる。この窓からスプリング33が見える。
【0081】
尚、第1キャリッジアセンブリ11は第2キャリッジアセンブリ12に拘束されており、この2つのアセンブリの遠位端の間、すなわち針4に面する端部間に中心間距離Sが存在する。実際には、銃1の箱形本体2において、第1キャリッジアセンブリ11は、第2キャリッジアセンブリ12に対してより前進した軸線X−X上の位置に配置される。
【0082】
図12には、銃1の箱形本体2に2つのキャリッジアセンブリ11および12が挿入される時点が示されている。2つのアセンブリ11および12間の長手方向偏差Sは不変である。
【0083】
後述するように、上記のギロチン作用は、実際には、2つのアセンブリ11および12間のこのような偏差Sによりもたらされる。
【0084】
ここで銃1の動作を、図13図42を参照して、装填から発射まで全手順について説明する。
【0085】
図13は、装填前の銃1の断面図であり、特に第1キャリッジアセンブリ11が前景となる図を示している。
【0086】
図14は、装填前の銃1の断面図であり、特に第2キャリッジアセンブリ12が前景となる図を示している。
【0087】
図14および図15は、装填前構成の銃1を示す。生検を実施するには、以下に説明するように、銃1をまず装填状態にしなければならない。
【0088】
図15は、図13および図14に示す同じ装填前構成において、より明瞭にするために、箱形本体2を外した銃1を示す。
【0089】
図から分かるように、装填スタッド3は、その前方位置、すなわち箱形本体2の遠位端に隣接する移動端にあり、針4に対面している。第1キャリッジアセンブリ11のスプリング21および第2キャリッジアセンブリのスプリング33は、銃1の内部で最大可能伸長を有している。また、第1押し部材13および第2押し部材24は、最前位置にある。
【0090】
図から分かるように、装填スタッドの底部には歯3’と3”が設けられている。第1歯3’は、銃1の装填工程において第1押し部材13の第1スライダ15に噛み合うように設計されており、また、第2歯3”は、第2押し部材24の第2スライダ26に噛み合うように設計されている。
【0091】
図16は、医療従事者による装填開始時の銃1の断面図であり、特に、第1キャリッジアセンブリ11を前景に示している。
【0092】
図17は、図16に示した同じ構成の銃1の断面図であり、特に、第2キャリッジアセンブリ12を前景に示している。
【0093】
図18は、図16および図17に示した同じ構成において、より明瞭にするために、箱形本体2を外した銃1を示す。
【0094】
図から分かるように、医療従事者は、装填スタッド3を部分的に押し戻し、すなわち箱形本体2の近位端に向かって押し戻し、それによってスプリング35の戻り動作に対抗する。第1歯3’は第1スライダ15と係合して、これを押し戻す。このようにして、第1押し部材13全体がカニューレ8と共に後退し、カニューレ8も箱形本体2内に部分的に後退する。スプリング21には部分的に予荷重が与えられており、スタイレット9の先端10は露出したままである、すなわち、カニューレ8の外に押し出されている。
【0095】
図17に最もよく示すように、この工程では、装填スタッド3の第2歯3”は、第2押し部材24の第2スライダ26と係合せず、その上を通過することによって、第2スライダ26を跨ぐ。
【0096】
この効果は、装填スタッド3が可撓性であり第1スライダ15と相互作用するときに屈曲する、または、装填動作中、第2スライダ26を通過する間に歯3”が揺動して装填スタッド3の外郭内に後退するという事実によるものである。図面に示す例では、装填スタッド3は、歯3”が第2スライダ26を通過するのに十分なだけ屈曲している。
【0097】
従って、医療従事者が最初に装填スタッドをそれぞれの後方位置に手動で押すと、第1キャリッジアセンブリ11のみが装填される、すなわちスプリング21のみが装填され、第1押し部材13は箱形本体2の近位端に最も近い後方位置に導かれ、第2キャリッジアセンブリ12は図13図15に示される初期位置に留まる。
【0098】
図19は、第1キャリッジアセンブリ11がほぼ完全に装填された状態の銃1の断面図であり、特に第1キャリッジアセンブリ11を前景に示している。
【0099】
図20は、図19と同じ構成の銃1の断面図であり、特に第2キャリッジアセンブリ12を前景に示している。
【0100】
図21は、図19および図20に示した同じ構成において、より明瞭にするために、箱形本体2を外した銃1を示す。
【0101】
図19図21において、医療従事者は、装填スタッド3をほぼ完全に押し戻しており、これにより、装填スタッド3は、箱型本体2の近位端に向かう移動のほぼ終端に位置する。
【0102】
図22は、第1キャリッジアセンブリ11が完全に装填され且つ定位置に固定された状態の銃1の断面図であり、特に、第1キャリッジアセンブリ11を前景に示している。
【0103】
図23は、図2と同じ構成ではあるが、特に、第2キャリッジアセンブリ12を前景に示す、銃1の断面図である。
【0104】
図24は、図22および図23に示した同じ構成において、より明瞭にするために、箱形本体2を外した銃1を示す。
【0105】
図22から図24において、装填スタッド3は、後方位置に到達した後、自動的に前方位置に戻される。スタッド3の後方位置では、装填された第1キャリッジアセンブリ11はロックされるが、スタッド3はそれにロックされず、それぞれのスプリング35によって箱型本体2の遠位端に戻される。
【0106】
特に、第1スライダ15が第1固定部材14に対してY軸を中心に回転していることが分かる。この回転により、第1スライダ15、したがって第1押し部材13がロックされる。第1スライダ15の側部突起16は、第1キャリッジアセンブリ11のケーシング18内に得られたガイド22(図5参照)に沿って、角部22’に係合するまで押し込まれる。
【0107】
第1スライダ15の側部突起16が角部22’に係合すると、完全に圧縮されたスプリング21が針4に向かって押し付け力を印加するが、第1スライダ15はロックされる。後述するように、発射がトリガされると、第1スライダ15は、十分な量を引き上げられて角部22’との係合を解除する。
【0108】
発射ボタンの歯3’は第1スライダ15から離脱し、スプリング35は制御ボタン3をその最初の前方位置に戻す。
【0109】
図22に示すように、第1キャリッジアセンブリ11が装填された構成では、カニューレ8は、スタイレット9の先端10から露出したカニューレ8の部分に対応する長さHにわたって箱形本体2内に部分的に収容される。
【0110】
図23に示すように、これは、初期位置に静止していた第2キャリッジアセンブリ12を装填する時点である。
【0111】
図25は、第1キャリッジアセンブリ11が完全に装填され且つ定位置にロックされ、第2キャリッジアセンブリ12が装填される過程である、銃1の断面図である。特に、図25は、前景に、図22に示すように装填された第1グループキャリッジ11を、背景に、装填過程にある第2キャリッジアセンブリ12を示す。
【0112】
図26は、特に第2キャリッジアセンブリ12を前景に示す、図25と同じ構成の銃1の断面図である。
【0113】
図27は、図26および図25に示した同じ構成において、より明瞭にするために、箱形本体2を外した銃1を示す。
【0114】
図25図27において、医療従事者は、第2キャリッジアセンブリ12も装填するために、装填スタッド3を再び押し戻す。このとき、装填スタッド3の歯3”は、押し部材24を乗り越えず、図26に最もよく示すように、押し部材24と係合する。従って、医療従事者は、押し部材24をその停止部に向かって後方位置に押し込むことができる。第2スライダ26の側部突起27は、第2キャリッジアセンブリ12のケーシング29内に得られた内側ガイド32に沿って移動させられる。
【0115】
第2キャリッジアセンブリ12が装填移動をしている間に、スタイレットはカニューレ8内に戻る。
【0116】
図28図30は、スプリング33を完全に圧縮した状態で、第2スライダ26、従って第2押し部材24も後方位置の停止部にまさに到達する時点を示している。
【0117】
換言すれば、図28図30は、銃1が完全に装填されて、生検を行う準備ができていることを示している。第1および第2キャリッジアセンブリ11および12の双方が装填されている。
【0118】
特に、図28は、第1キャリッジアセンブリ11が完全に装填され且つ定位置にロックされ、第2キャリッジアセンブリ12が完全に装填され且つ位置決めされた、銃1の断面図である。特に図28は、前景に、図22に示すように装填された第1グループキャリッジ11を、背景に、完全に装填された第2キャリッジアセンブリ12を示している。
【0119】
図29は、特に第2キャリッジアセンブリ12を前景に示す、図28と同じ構成の銃1の断面図である。
【0120】
図30は、図28および図29に示した同じ構成において、より明瞭にするために、箱形本体2を外した銃1を示す。
【0121】
第2スライダ26が後方位置まできて停止部に到達すると、その側部突起27(図8参照)は、第2キャリッジアセンブリ12のケーシング29内に得られた内側ガイド32の角部32’(図9を比較)と係合するので、医療従事者が発射をトリガするまで安定した位置にとどまる。この場合、第2スライダ26は第2固定部材25に対してYで回転する。このとき、歯3”は第2スライダ26との係合を解除し、操作ボタン3はスプリング35によりほぼ完全に初期前進位置まで復帰する。以下に説明するように、発射に対応する短い経路が走行されなければならない。スプリング33は完全に圧縮されている。
【0122】
実際、図31図33は、発射工程の開始時にある銃1を示している。発射をトリガするために、医療従事者は、装填スタッド3または近位端にて箱型本体2の側方または背側に配置することができる発射ボタン36(図9図10とを比較)を使用することができる。
【0123】
発射ボタン36を押下すること、または、装填スタッド3を完全に前進させて停止部まで移動させて、その移動の最後の長さ部分を走行させることにより、押し部材24の第2スライダ26を引き上げる。第2スライダ26の側部突起27は、その引き上げにより内側ガイド32の角部32’から出るため、押し部材24は開放されて、スプリング33の作用下で、箱形本体2の遠位端に向けて前方に突進する。
【0124】
この態様は、図32に最もよく示されている。すなわち、第2スライダ26は、ボタン36によって押されると、第2固定部材25に対してY廻りに回転して自体を持ち上げる。
【0125】
実際、図34図36が発射中の銃1を示している。このステップでは、医療従事者は、針4を組織の採取点で患者の体内に挿入したと仮定している。
【0126】
図34から分かるように、このステップでは、第1キャリッジアセンブリ11は静止したままであり、第1スライダ15は移動せず、その内部ガイド22の角部22’にロックされている。一方、第2キャリッジアセンブリ12は作動され、その内側ガイド32によって案内される前方位置に第2押し部材24が移動している。図35がこの状況を最もよく示している。これに対応して、スタイレット9はカニューレ8から出てその先端部、特に収集空洞部10を露出させる。
【0127】
上記のギロチン作用を自動的に得るために、この時点で、医療従事者による介入を必要とせず、カニューレ8はスタイレットに追従し始め、その上を摺動して、収集空洞部10に収容された組織試料を切断する必要がある。
【0128】
図37図39は、これがいかにして起こるかを示している。実際には、第2押し部材24が前方に突進し、それぞれのガイド32をたどると、ある点で、第2押し部材24が、傾斜面26’にて第1押し部材13と当接してぶつかることによって、第1押し部材13がそれ自体を引き上げて、そのガイド22の角部22’から離脱する。
【0129】
図37では、動いていた第2スライダ26との衝突の結果として、第1スライダ15がYで回転していることがよく分かる。第1スライダ15は、角部22’の係合を解除するのに十分な量だけ引き上げられる。この時点で、スプリング21は第1押し部材13をカニューレ8とともに前方に押し出す。
【0130】
図38では、第1スライダ15を第1固定部材14に対して回転させる、第2スライダ26の傾斜面26’が見られる。
【0131】
図40図42は、発射の最終部分が示している。両方のスライダ15および26は、それぞれのスプリングによって前方位置に押し出されている。組織試料を入れられる収容室10は、カニューレ8の内部に戻されている。
【0132】
医療従事者が単一のボタンを操作することによって、2つのキャリッジアセンブリ11および12の作動手順は適切に遂行され、ギロチン作用は適切かつ自動的に得られた。
【0133】
この時点で、医療従事者は、針4を患者の体から抜き出し、装填スタッド3を押すことによって、収集された組織試料を取り出すために、スタイレット9の先端をカニューレ8から引き出す。こうして銃1は患者に再使用する状態となる。
【0134】
図43は、装填スタッド3にスプライン形状が設けられた銃の一実施形態を示す。特に、スタッド3の底部には、例えば図13に示した状況のようにスタッド3自体が長時間曲げられることを防止する段差300が設けられている。実際、この状況は、スタッド3を形成するプラスチックなどの材料に、望ましくない局部的硬化を起こしかねない。段差300があればこのような不具合を防止することができる。
【0135】
図44は、図43と同じ銃を示す。図から分かるように、この場合、第2歯3”はスタッド3上で枢動しているため揺動している。歯3”はスプリング301により常に下向きに戻る、すなわちスタッド3から突き出る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
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図26
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図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
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図39
図40
図41
図42
図43
図44