特許第6838103号(P6838103)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6838103紫外線照射用冶具及び抗微生物組成物のコート方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6838103
(24)【登録日】2021年2月15日
(45)【発行日】2021年3月3日
(54)【発明の名称】紫外線照射用冶具及び抗微生物組成物のコート方法
(51)【国際特許分類】
   B05C 9/12 20060101AFI20210222BHJP
   E04F 21/16 20060101ALI20210222BHJP
   C09D 7/61 20180101ALI20210222BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20210222BHJP
   B05D 3/06 20060101ALI20210222BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20210222BHJP
【FI】
   B05C9/12
   E04F21/16 Z
   C09D7/61
   C09D7/63
   B05D3/06 102Z
   B05D7/24 301T
   B05D7/24 303C
   B05D7/24 303B
   B05D7/24 303E
   B05D7/24 303A
【請求項の数】17
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2019-104670(P2019-104670)
(22)【出願日】2019年6月4日
(65)【公開番号】特開2020-195973(P2020-195973A)
(43)【公開日】2020年12月10日
【審査請求日】2020年6月29日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高田 孝三
【審査官】 團野 克也
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−150316(JP,A)
【文献】 特開2012−187922(JP,A)
【文献】 特開平11−236734(JP,A)
【文献】 国際公開第2019/074121(WO,A1)
【文献】 特開2010−058447(JP,A)
【文献】 特開2003−159563(JP,A)
【文献】 特開2002−177880(JP,A)
【文献】 特開2001−121552(JP,A)
【文献】 特開昭62−254870(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC A61L 2/00− 2/28
11/00−12/14
B05C 7/00−21/00
B05D 1/00− 7/26
B32B 1/00−43/00
E04B 1/62− 1/99
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面に、抗微生物成分及び紫外線硬化型樹脂を含む未硬化の抗微生物組成物を付着せしめた後、前記付着した未硬化の抗微生物組成物を硬化させるために紫外線を照射する紫外線照射用冶具であって、
床面の移動を可能とする第1移動手段を備えた移動台と、前記移動台上に立設された1本又は複数本の支柱と、前記1本又は複数本の支柱に上下移動可能に設けられた第2移動手段と、前記1個又は複数個の第2移動手段に配設された紫外線照射手段と、前記紫外線照射手段を所定箇所に固定する固定手段とを備えており、
前記1本又は複数本の支柱には、それぞれ所定間隔で貫通孔又は突起部が設けられるとともに、前記紫外線照射手段には、先端にフックを備えた前記固定手段が設けられ、前記フックを前記貫通孔に挿入するか、前記フックを前記突起に引っ掛けることにより前記紫外線照射手段を固定することを特徴とする紫外線照射用冶具。
【請求項2】
前記第1移動手段は、車輪であり、前記移動台には、車輪の回転を停止するためのストッパが設けられている請求項1に記載の紫外線照射用冶具。
【請求項3】
前記第2移動手段は、スライドレール移動機構、又は、滑車と滑車に設けられたロープ、ベルト又は鎖からなる滑車移動機構からなる請求項1又は2に記載の紫外線照射用冶具。
【請求項4】
前記滑車移動機構には、前記滑車の回転を停止するためのストッパが前記固定手段として設けられている請求項3に記載の紫外線照射用冶具。
【請求項5】
前記移動台上には2本の支柱が立設され、前記2本の支柱には、それぞれ第2移動手段が設けられている請求項1〜4のいずれか1項に記載の紫外線照射用冶具。
【請求項6】
前記2個の第2移動手段には、2個の第2移動手段を結合する結合板が設けられ、前記結合板に紫外線照射手段が設けられることにより、前記第2移動手段に前記結合板を介して紫外線照射手段が配設されている請求項5に記載の紫外線照射用冶具。
【請求項7】
前記抗微生物組成物には、光重合開始剤が含まれている請求項1〜のいずれか1項に記載の紫外線照射用冶具。
【請求項8】
前記抗微生物成分は、無機系抗微生物剤及び有機系抗微生物剤からなる群から選択される少なくとも1種を含む請求項1〜のいずれか1項に記載の紫外線照射用冶具。
【請求項9】
前記無機系抗微生物剤は、銀、銅、亜鉛、白金、亜鉛化合物、銀化合物、銅化合物、又は、金属もしくは金属酸化物が担持された金属酸化物触媒である請求項に記載の紫外線照射用冶具。
【請求項10】
前記無機系抗微生物剤は、銅化合物である請求項に記載の紫外線照射用冶具。
【請求項11】
壁面に、抗微生物成分及び紫外線硬化型樹脂を含む未硬化の抗微生物組成物を付着せしめた後、付着した前記抗微生物中の前記未硬化の紫外線硬化型樹脂に紫外線を照射して前記紫外線硬化型樹脂を硬化させ、前記壁面に抗微生物組成物の硬化体を固定させる抗微生物組成物のコート方法であって、
前記紫外線硬化型樹脂を硬化させる際、請求項1〜10のいずれか1項に記載の紫外線照射用冶具を用いることを特徴とする抗微生物組成物のコート方法。
【請求項12】
前記抗微生物成分は、無機系抗微生物剤及び有機系抗微生物剤からなる群から選択される少なくとも1種を含む請求項11に記載の抗微生物組成物のコート方法。
【請求項13】
前記無機系抗微生物剤は、銀、銅、亜鉛、白金、亜鉛化合物、銀化合物、銅化合物、又は、金属もしくは金属酸化物が担持された金属酸化物触媒である請求項12に記載の抗微生物組成物のコート方法。
【請求項14】
前記無機系抗微生物剤は、銅化合物である請求項13に記載の抗微生物組成物のコート方法。
【請求項15】
前記抗微生物組成物中に、光重合開始剤を含む請求項11〜14のいずれか1項に記載の抗微生物組成物のコート方法。
【請求項16】
前記抗微生物成分は、抗ウィルス成分である請求項11〜15のいずれか1項に記載の抗微生物組成物のコート方法。
【請求項17】
前記紫外線硬化型樹脂は、アクリル樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂及びアルキッド樹脂からなる群から選択される少なくとも1種である請求項11〜16のいずれか1項に記載の抗微生物組成物のコート方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線照射用冶具及び抗微生物組成物のコート方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々なウィルスや微生物に対して抗微生物活性を発揮する抗微生物剤の開発が活発に行われており、実際に様々な基材に抗ウィルス活性を有するPd等の金属や有機化合物からなる抗ウィルス剤を含む樹脂を塗布し、硬化させることにより抗ウィルス剤が担持された樹脂が表面に塗布された部材を製造することが行われている。
【0003】
塗布された抗ウィルス剤を含む紫外線硬化型樹脂を硬化させるためには、紫外線を照射する必要があり、通常、紫外線を照射する紫外線照射装置を所定の場所に固定し、塗布された所定面積の抗ウィルス剤を含む樹脂に紫外線を照射し、硬化させた後、紫外線照射装置を移動させ、再度、他の部分に紫外線を照射する工程を繰り返す必要がある。
【0004】
特許文献1には、床材に光重合開始剤を含有する樹脂を塗布した後、発光波長の異なる2種類以上の光源を塗布された樹脂に照射し、上記樹脂を硬化させる方法が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、床面用紫外線硬化型塗料施工装置であって、床面を移動する移動部と、紫外線硬化型塗料を収容する容器を支持する容器支持部と、紫外線硬化型塗料を床面に塗布する塗布部と、床面に塗布された紫外線硬化型塗料に紫外線を照射して硬化させる紫外線照射部と、を有する床面用紫外線硬化型塗料施工装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第5910799号公報
【特許文献2】特開2013−64228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1や特許文献2に開示されている紫外線照射方法や床面用紫外線硬化型塗料施工装置は、床面に塗布された樹脂を対象としており、床面に対して垂直に設けられている壁面に対して適用できるものではなく、壁面に塗布された樹脂を硬化させるための新たな治具が必要とされていた。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、壁面に塗布された抗微生物成分及び紫外線硬化型樹脂を含む抗微生物組成物を硬化、固定させるための紫外線照射用冶具及び該紫外線照射用冶具を用いた抗微生物組成物のコート方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の紫外線照射用冶具は、壁面に、抗微生物成分及び紫外線硬化型樹脂を含む未硬化の抗微生物組成物を付着せしめた後、上記付着した未硬化の抗微生物組成物を硬化させるために紫外線を照射する紫外線照射用冶具であって、
床面の移動を可能とする第1移動手段を備えた移動台と、上記移動台上に立設された1本又は複数本の支柱と、上記1本又は複数本の支柱に上下移動可能に設けられた第2移動手段と、上記1個又は複数個の第2移動手段に固定された紫外線照射手段と、上記紫外線照射手段を所定箇所に固定する固定手段とを備えていることを特徴とする。
【0010】
本発明の紫外線照射用冶具における、抗微生物とは、抗ウィルス、抗菌、抗カビ、防カビを含む概念である。従って、抗微生物成分とは、抗ウィルス成分、抗菌成分、抗カビ成分、防カビ成分を含む概念であり、抗微生物剤とは、抗ウィルス剤、抗菌剤、抗カビ剤、防カビ剤を含む概念である。
【0011】
従って、抗微生物成分及び紫外線硬化型樹脂を含む抗微生物組成物の硬化体は、抗ウィルス、抗菌、抗カビ及び防カビのうちいずれか1種の活性を示してもよく、抗ウィルス、抗菌、抗カビ及び防カビのうち、いずれか2種類の活性を示してもよく、いずれか3種類の活性を示してもよく、4種類全ての活性を示してもよい。
【0012】
本発明の紫外線照射用冶具によれば、紫外線照射用冶具に、上記第1移動手段、上記第2移動手段及び紫外線照射手段を配設することにより、紫外線照射用冶具を上下左右に自由に移動させることができ、上記ストッパ及び上記固定手段により所定箇所に固定した紫外線照射手段より紫外線を照射することにより壁面に付着した所定面積の未硬化の抗微生物組成物を硬化させることができ、上記第1移動手段、上記第2移動手段を用いて紫外線が照射されていない部分まで、紫外線照射手段を移動させ、紫外線を照射する操作を繰り返すことにより、壁面に付着した全ての未硬化の抗微生物組成物を、迅速、容易かつ効率的に硬化させることができる。
【0013】
本発明の紫外線照射用冶具では、上記第1移動手段は、車輪であり、上記移動台には、車輪の回転を停止するためのストッパが設けられていることが望ましい。
本発明の紫外線照射用冶具において、上記第1移動手段が、車輪であり、上記移動台には、車輪の回転を停止するためのストッパが設けられていると、上記車輪及びストッパにより、紫外線照射用冶具を壁面に対して横方向及び壁面に対して垂直方向に自由に移動させた後、固定することが可能となる。
【0014】
本発明の紫外線照射用冶具では、上記第2移動手段は、スライドレール移動機構、又は、滑車と滑車に設けられたロープ、ベルト又は鎖からなる滑車移動機構からなることが望ましい。
本発明の紫外線照射用冶具において、上記第2移動手段が、スライドレール移動機構、又は、滑車と滑車に設けられたロープ、ベルト又は鎖からなる滑車移動機構からなると、上記スライドレール移動機構又は滑車移動機構を用いることにより、紫外線照射手段を上下方向に自由に移動させることができ、固定手段を用いて上下方向の所望の位置に紫外線照射手段を固定することができる。
【0015】
本発明の紫外線照射用冶具では、上記滑車移動機構には、上記滑車の回転を停止するためのストッパが上記固定手段として設けられていることが望ましい。
本発明の紫外線照射用冶具において、上記滑車移動機構に、上記滑車の回転を停止するためのストッパを設けることにより、簡易な方法で所定の位置に紫外線照射手段を固定することができる。
【0016】
本発明の紫外線照射用冶具では、上記移動台上には2本の支柱が立設され、上記2本の支柱にはそれぞれ第2移動手段が設けられていることが望ましい。
本発明の紫外線照射用冶具において、上記移動台上に2本の支柱を立設することにより、より安定的に紫外線照射手段を配設することができる。
【0017】
本発明の紫外線照射用冶具では、上記2個の第2移動手段には、2個の第2移動手段を結合する結合板が設けられ、上記結合板に紫外線照射手段が設けられることにより、上記第2移動手段に上記結合板を介して紫外線照射手段が配設されていることが望ましい。
本発明の紫外線照射用冶具において、上記2個の第2移動手段には、2個の第2移動手段を結合する結合板が設けられ、上記結合板に紫外線照射手段が設けられることにより、上記第2移動手段に上記結合板を介して紫外線照射手段が配設されていると、紫外線照射手段を安定的にしっかりと固定することができ、上下方向にも滑らかに移動させることができる。
さらに、上記結合板に横方向に移動を可能とする第3の移動手段を設けることにより、横方向の位置を微調整することが可能となる。
【0018】
本発明の紫外線照射用冶具では、上記1本又は複数本の支柱には、それぞれ所定間隔で貫通孔又は突起部が設けられるとともに、上記紫外線照射手段には、先端にフックを備えた上記固定手段が設けられ、上記フックを上記貫通孔に挿入するか、上記フックを上記突起に引っ掛けることにより上記紫外線照射手段を固定することが望ましい。
本発明の紫外線照射用冶具において、支柱に所定間隔で貫通孔又は突起部を設け、上記固定手段に備えられたフックを用いることにより、簡易な方法で所定の位置に紫外線照射手段を固定することができる。
【0019】
本発明の紫外線照射用冶具では、上記抗微生物組成物には、光重合開始剤が含まれていることが望ましい。
本発明の紫外線照射用冶具において、上記光重合開始剤は、上記未硬化の抗微生物組成物を硬化させる重合開始剤として効果を有し、さらに、抗微生物成分として銅化合物を使用した場合、上記銅化合物を、抗ウィルス効果を持つ銅イオン(I)に還元するとともに、銅イオン(I)が酸化して抗ウィルス性の劣る銅イオン(II)に変わることを抑制できる。
【0020】
本発明の紫外線照射用冶具では、上記抗微生物成分は、無機系抗微生物剤及び有機系抗微生物剤からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが望ましい。
本発明の紫外線照射用冶具において、上記抗微生物成分として、無機系抗微生物剤及び有機系抗微生物剤からなる群から選択される少なくとも1種を含んでいると、確実に高い抗微生物活性を有する抗微生物組成物の硬化体を形成することができる。
【0021】
本発明の紫外線照射用冶具では、上記無機系抗微生物剤は、銀、銅、亜鉛、白金、亜鉛化合物、銀化合物、銅化合物、又は、金属もしくは金属酸化物が担持された金属酸化物触媒であることが望ましい。
本発明の紫外線照射用冶具において、上記無機系抗微生物剤が銀、銅、亜鉛、白金、亜鉛化合物、銀化合物、銅化合物、又は、金属もしくは金属酸化物が担持された金属酸化物触媒であると、高い抗微生物活性を有する抗微生物組成物の硬化体を形成することができる。
【0022】
本発明の紫外線照射用冶具では、上記無機系抗微生物剤は、銅化合物であることが望ましい。
本発明の紫外線照射用冶具において、上記無機系抗微生物剤が銅化合物であると、より高い抗微生物活性を有する抗微生物組成物の硬化体を形成することができる。
【0023】
本発明の抗微生物組成物のコート方法は、壁面に、抗微生物成分及び紫外線硬化型樹脂を含む未硬化の抗微生物組成物を付着せしめた後、付着した上記抗微生物中の上記未硬化の紫外線硬化型樹脂に紫外線を照射して上記紫外線硬化型樹脂を硬化させ、上記壁面に抗微生物組成物の硬化体を固定させる抗微生物組成物の壁面へのコート方法であって、
上記紫外線硬化型樹脂を硬化させる際、上記の紫外線照射用冶具を用いることを特徴とする。
【0024】
本発明の抗微生物組成物のコート方法によれば、壁面に、抗微生物成分及び紫外線硬化型樹脂を含む未硬化の抗微生物組成物を付着せしめた後、付着した上記抗微生物中の上記未硬化の紫外線硬化型樹脂に紫外線を照射して上記紫外線硬化型樹脂を硬化させる際、上記した紫外線照射用冶具を用いるので、紫外線照射用冶具を上下左右に自由に移動させた後固定させ、紫外線照射手段より紫外線を照射し、壁面に付着した所定面積の未硬化の抗微生物組成物を硬化させることができ、壁面に付着した全ての未硬化の抗微生物組成物を、迅速、容易かつ効率的に硬化させることができる。
【0025】
本発明の抗微生物組成物のコート方法では、上記抗微生物成分は、無機系抗微生物剤及び有機系抗微生物剤からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが望ましい。
本発明の抗微生物組成物のコート方法において、上記抗微生物成分として、無機系抗微生物剤及び有機系抗微生物剤からなる群から選択される少なくとも1種を含んでいると、確実に高い抗微生物活性を有する抗微生物組成物の硬化体を形成することができる。
【0026】
本発明の抗微生物組成物のコート方法では、上記無機系抗微生物剤は、銀、銅、亜鉛、白金、亜鉛化合物、銀化合物、銅化合物、又は、金属もしくは金属酸化物が担持された金属酸化物触媒であることが望ましい。
【0027】
本発明の抗微生物組成物のコート方法において、上記無機系抗微生物剤が、銀、銅、亜鉛、白金、亜鉛化合物、銀化合物、銅化合物、又は、金属もしくは金属酸化物が担持された金属酸化物触媒であると、高い抗微生物活性を有する抗微生物組成物の硬化体を形成することができる。
【0028】
本発明の抗微生物組成物のコート方法では、上記無機系抗微生物剤は、銅化合物であることが望ましい。
本発明の抗微生物組成物のコート方法において、上記無機系抗微生物剤が銅化合物であると、より高い抗微生物活性を有する抗微生物組成物の硬化体を形成することができる。
【0029】
本発明の抗微生物組成物のコート方法では、上記抗微生物組成物中に、光重合開始剤を含むことが望ましい。
本発明の抗微生物組成物のコート方法において、上記抗微生物組成物中に、光重合開始剤を含むと、上記光重合開始剤により、上記未硬化の抗微生物組成物を硬化させることができるとともに、抗微生物成分として銅化合物を使用した場合、上記銅化合物を、抗ウィルス効果を持つ銅イオン(I)に還元するとともに、銅イオン(I)が酸化して抗ウィルス性の劣る銅イオン(II)に変わることを抑制できる。
【0030】
本発明の抗微生物組成物のコート方法では、上記抗微生物成分は、抗ウィルス成分であることが望ましい。
本発明の抗微生物組成物のコート方法に用いる抗微生物成分は、抗ウィルス、抗菌、抗カビ及び防カビの特性を有するが、特に抗ウィルスが最も高い活性を有するからである。
【0031】
本発明の抗微生物組成物のコート方法では、アクリル樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂及びアルキッド樹脂からなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。
【0032】
本発明の抗微生物組成物のコート方法において、上記紫外線硬化型樹脂が、アクリル樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、及び、アルキッド樹脂からなる群から選択される少なくとも1種であると、抗微生物組成物の硬化体は、透明性を有するとともに、壁面に対する密着性にも優れるからである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1図1は、本発明の紫外線照射用冶具の一実施形態を模式的に示す斜視図である。
図2図2は、本発明の紫外線照射用冶具を構成する移動台の一実施形態を模式的に示す斜視図である。
図3図3は、UV照射器を除いたUV照射器の近傍を模式的に示す拡大斜視図である。
図4図4(a)は、図1に示した紫外線照射用冶具のUV照射器の近傍を示す拡大側面図であり、図4(b)は、図4(a)に示したUV照射器の近傍を示す拡大平面図である。
【0034】
(発明の詳細な説明)
以下、本発明の紫外線照射用冶具及び該紫外線照射用冶具を用いた抗微生物組成物のコート方法について詳細に説明する。
本発明の紫外線照射用冶具は、壁面に、抗微生物成分及び紫外線硬化型樹脂を含む未硬化の抗微生物組成物を付着せしめた後、上記付着した未硬化の抗微生物組成物を硬化させるために紫外線を照射する紫外線照射用冶具であって、
床面の移動を可能とする第1移動手段を備えた移動台と、上記移動台上に立設された1本又は複数本の支柱と、上記1本又は複数本の支柱に上下移動可能に設けられた第2移動手段と、上記1個又は複数個の第2移動手段に固定された紫外線照射手段と、上記紫外線照射手段を所定箇所に固定する固定手段とを備えていることを特徴とする。
【0035】
図1は、本発明の紫外線照射用冶具の一実施形態を模式的に示す斜視図である。図2は、本発明の紫外線照射用冶具を構成する移動台の一実施形態を模式的に示す斜視図である。図3は、UV照射器を除いたUV照射器の近傍を模式的に示す拡大斜視図である。図4(a)は、図1に示した紫外線照射用冶具のUV照射器の近傍を示す拡大側面図であり、図4(b)は、図4(a)に示したUV照射器の近傍を示す拡大平面図である。
【0036】
図1に示すように、本発明の紫外線照射用冶具10は、床面の移動を可能とする第1移動手段としての車輪11aとストッパ11bとを備えた移動台11と、移動台11上に立設された2本の支柱12a、12bと、2本の支柱12a、12bに上下移動可能に設けられた第2移動手段としてのスライドレール移動機構13a、13bと、2個のスライドレール移動機構13a、13bに結合板16を介して固定された紫外線照射手段としてのUV照射器14と、UV照射器14を所定箇所に固定する固定手段としてのベルト15aの先端に設けられたフック15bとを備えている。
【0037】
図2に示すように、移動台11は、SUS製の台座部11cと台座部11cの四隅に設けられた4個の車輪11aとからなり、4個の車輪11aには、それぞれストッパ11bが設けられ、所定の距離移動した後、床にしっかりと固定できるようになっている。
【0038】
図3及び図4(a)及び(b)に示すように、移動台11上に立設された2本の支柱12a、12bには、壁面に面する側に2組のスライドレール移動機構13a、13bが取り付けられ、さらには、2個のスライドレール移動機構13a、13bの壁面側部材130a、130bには、2個のスライドレール移動機構13a、13bを結合する結合板16が取り付けられている。そして、図4(a)及び(b)に示すように、結合板16にUV照射器14が取り付けられ固定されることにより、UV照射器14は上下に自由に移動できるようになっている。
【0039】
このUV照射器14の両側には、先端にフック15bを備えたベルト15aが取り付けられており、支柱12a、12bに所定の間隔で形成された貫通孔120a、120bにフック15bを挿入し、貫通孔120a、120bにフック15bを引っ掛けることにより、UV照射器14を上下の所定の位置で固定することができるようになっている。
【0040】
このように、本発明の紫外線照射用冶具10の移動台11は、車輪11aとストッパ11bとを備えているので、紫外線照射用冶具10を任意の位置に移動させて固定することができ、また、移動台11上に立設された2本の支柱12a、12bには、スライドレール移動機構13a、13bが設けられ、スライドレール移動機構13a、13bの壁面側の部材130a、130bに結合板16が固定されている。そして、結合板16にはUV照射器14が固定されているので、UV照射器14が備えるベルト15aとフック15bにより上下方向の任意の位置にUV照射器14を固定することができ、UV照射器14を用いて紫外線を照射することにより壁面に付着した所定面積の抗微生物組成物を硬化させることができる。そてして、上記した部材を用いて水平方向への移動と上下方向の移動を繰り返しながら、紫外線を照射することにより、壁面に形成された全ての未硬化の抗微生物組成物を、迅速、容易かつ効率的に硬化させ、抗微生物組成物の硬化体とすることができる。
【0041】
上記した実施形態では、結合板16にUV照射器14を固定していたが、スライドレール移動機構13a、13bに、直接、UV照射器14を固定してもよい。
【0042】
上記した実施形態では、支柱に所定の間隔で貫通孔120a、120bを形成しているが、貫通孔の代わりに、所定の間隔で突起を設け、突起にフックを引っ掛けてもよい。
【0043】
上記した実施形態では、移動台に支柱を2本立設したが、場合によっては、移動台に支柱を1本立設し、この支柱に第2移動手段を設け、第二移動手段に紫外線照射手段を配設することによっても、上記した紫外線照射用冶具と同様の効果を奏する紫外線照射用冶具とすることができる。
【0044】
上記した実施形態では、第2移動手段として、スライドレール移動機構を用いたが、スライドレール移動機構の代わりに、滑車と滑車に設けられたロープ、ベルト又は鎖からなる滑車移動機構を用いてもよい。滑車に設けられたロープ、ベルト又は鎖に紫外線照射用冶具を固定し、滑車を介してロープ、ベルト又は鎖を動かすことにより、紫外線照射手段を上下方向の任意の位置に移動させることができ、さらに、滑車にストッパを設けることにより、紫外線照射手段を上下方向の任意の位置で停止させ、紫外線を照射することができる。
【0045】
本発明の紫外線照射用冶具では、紫外線照射手段を所定箇所に固定する固定手段として他の形態からなるストッパをスライドレールに設け、スライドレールの壁面側の部材が任意の位置で止まることができるようにしてもよい。
【0046】
本発明の紫外線照射用冶具において、壁面の材料は、特に限定されるものでなく、例えば、金属、ガラス等のセラミック、樹脂、繊維織物、木材等が挙げられる。
また、本発明の紫外線照射用冶具において、対象となる壁面も、特に限定されるものではなく、建築物内部の壁面、窓ガラス、ドア等であってもよい、事務機器や家具等において床に対してほぼ垂直方向に設けられている部材であってもよい。
【0047】
本発明で用いられる紫外線照射手段は、紫外線硬化型樹脂を硬化させる性能を有するものであれば、特に限定されず、公知の紫外線照射器、紫外線照射装置を用いることができる。
【0048】
本発明の紫外線照射用冶具において、上記抗微生物組成物は、上記抗微生物成分として、無機系抗微生物剤及び有機系抗微生物剤からなる群から選択される少なくとも1種を含んでいることが望ましい。
上記抗微生物組成物中には、上記した無機系抗微生物剤が1種類のみ含まれていてもよく、2種類以上の無機系抗微生物剤が含まれていてもよく、上記した有機系抗微生物剤が1種類のみ含まれていてもよく、2種類以上の有機系抗微生物剤が含まれていてもよい。さらに、上記抗微生物組成物中には、上記無機系抗微生物剤と上記無機系抗微生物剤とが2種類以上含まれていてもよい。
【0049】
また、本発明の紫外線照射用冶具において、上記無機系抗微生物剤は、銀、銅、亜鉛、白金、亜鉛化合物、銀化合物、銅化合物、金属もしくは金属酸化物が担持された金属酸化物触媒(金属酸化物粒子)、金属イオンでイオン交換されたゼオライト、及び、銅の錯体からなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。
【0050】
上記抗微生物組成物中に含まれている無機系抗微生物剤として、例えば、銀、銅、亜鉛及び白金の少なくとも1種からなる金属が挙げられる。
抗微生物組成物中には、銀、銅、亜鉛及び白金の粒子が単独で含まれていてもよく、銀、銅、亜鉛及び白金のうち、2種類以上の金属粒子が含まれていてもよく、例えば、銀、銅、亜鉛及び白金のうち、少なくとも2種を含む合金の金属粒子が固定されていてもよい。
【0051】
上記抗微生物組成物中に含まれている無機系抗微生物剤として、例えば、銅のカルボン酸塩、銅の錯体、銅の水溶性無機塩等の銅化合物等が挙げられる。
上記銅のカルボン酸塩としては、銅のイオン性化合物を使用することができ、酢酸銅、安息香酸銅、フタル酸銅等が挙げられる。
上記銅の水溶性無機塩としては、銅のイオン性化合物を使用することができ、例えば、硝酸銅、硫酸銅等が挙げられる。
その他の銅化合物としては、例えば、銅(メトキシド)、銅エトキシド、銅プロポキシド、銅ブトキシドなどが挙げられ、銅の共有結合性化合物としては銅の酸化物、銅の水酸化物などが挙げられる。銅のカルボン酸塩、銅の水酸化物は、有機バインダ、無機バインダとの親和性が高く、水により溶出しないため、耐水性に優れる。
上記銅のカルボン酸塩としては、酢酸銅(II)、酢酸銅(I)、シュウ酸銅(I)、安息香酸銅(II)、フタル酸銅(II)等が挙げられる。
上記銅の錯体としては、例えば、アセチルアセトンと銅との錯体、5−メチル−2,4−ヘキサンジオン等のβジケトンと銅との錯体、銅(I)(1−ブタンチオレート)、銅(I)(へキサフルオロペンタンジオネートシクロオクタジエン)等が挙げられる。
上記銅の水溶性無機塩としては、例えば、硝酸銅(II)、硫酸銅(II)等が挙げられる。その他の銅化合物としては、例えば、銅(II)(メトキシド)、銅(II)エトキシド、銅(II)プロポキシド、銅(II)ブトキシド等が挙げられる。
【0052】
上記抗微生物組成物中に含まれている金属もしくは金属酸化物が担持された金属酸化物触媒として、例えば、酸化チタン等に白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウムなどの白金族、銀、銅などを担持させたものなどが挙げられる。金属もしくは金属酸化物が担持された金属酸化物触媒として、具体的には、例えば、白金担持チタニア触媒、銅担持チタニア触媒、銀担持チタニア触媒、白金担持窒素ドープチタニア触媒、白金担持硫黄ドープチタニア触媒、炭素ドープチタニア触媒、銅担持酸化タングステン触媒、銀担持酸化タングステン触媒等の可視光応答型光触媒が挙げられ、上記銅担持チタニア触媒としては、例えば、特開2006−232729号公報に記載されたCuO/TiO(重量%比)=1.0〜3.5の範囲で銅を含有するアナターゼ型酸化チタン、特開2012−210557号公報に記載された亜酸化銅(酸化銅(I):CuO)と酸化チタンとが複合化した光触媒組成物、特開2013−166705号公報に記載された一価銅化合物及び二価銅化合物を含む混合物を表面に担持した酸化チタン、並びに、国際公開第2013/094573号に記載された結晶性ルチル型酸化チタンを含む酸化チタンと2価銅化合物とを含有する銅及びチタン含有組成物などが挙げられる。
【0053】
また、無機系抗微生物剤としては、銀、銅、亜鉛、チタン、タングステン等から選ばれる少なくとも1種の金属を含む金属酸化物あるいは金属水和物の粒子を用いることもできる。無機系抗微生物剤の具体例としては、例えば、酸化銅(I)(亜酸化銅)、酸化銅(II)、炭酸銅(II)、水酸化銅(II)、塩化銅(II)、銀イオン及び銅イオンの少なくとも一方で交換されたゼオライト、ナノ銀及び銅の少なくとも一方が担持されたアルミナ、ナノ銀及び銅の少なくとも一方が担持されたシリカ、ナノ銀及び銅の少なくとも一方が担持された酸化亜鉛、ナノ銀及び銅の少なくとも一方が担持された酸化チタン、もしくは酸化タングステン、ナノ銀及び銅の少なくとも一方が担持されたリン酸カルシウム等の無機粒子が挙げられる。銀イオン及び銅イオンの少なくとも一方で交換されたゼオライトは、さらに亜鉛イオン等の他の金属イオンで交換されていてもよい。また、本発明の無機系抗微生物剤としては、銅の錯体であることが望ましい。
【0054】
本発明の紫外線照射用冶具では、上記有機系抗微生物剤は、抗微生物樹脂、スルホン酸系界面活性剤、銅のアルコキシド、及び、ビス型第四級アンモニウム塩からなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。
【0055】
本発明の紫外線照射用冶具において、上記有機系抗微生物剤としては、例えば、ハロカルバン、クロロフェネシン、塩化リゾチーム、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、イソプロピルメチルフェノール、チモール、ヘキサクロロフェン、ベルベリン、チオキソロン、サリチル酸およびそれらの誘導体、安息香酸、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸エステル、パラクロルメタクレゾール、塩化ベンザルコニウム、フェノキシエタノール、イソプロピルメチルフェノール、石炭酸、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、ヘキサクロロフェン、塩化クロルヘキシジン、トリクロロカルバニリド、チアントール、ヒノキチオール、トリクロサン、トリクロロヒドロキシジフェニルエーテル、クロルヘキシジングルコン酸塩、フェノキシエタノール、レゾルシン、アズレン、サリチル酸、ジンクピリチオン、モノニトログアヤコールナトリウム、ウイキョウエキス、サンショウエキス、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム及びウンデシレン酸誘導体、アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩等が挙げられる。これらのなかでは、アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩が好ましい。
【0056】
本発明の紫外線照射用冶具において、抗微生物樹脂は、酸性官能基と樹脂基体とからなる。酸性官能基としては、例えば、スルホン酸基、リン酸基、カルボキシル基、水酸基、ニトロ基などが挙げられる。これらのなかでは、スルホン酸基、リン酸基、カルボキシル基が好ましい。
【0057】
上記樹脂基体は、ビニル基を有するモノマーの重合体であることが望ましい。
ビニル基を有するモノマーの重合体は、付加重合で合成されるので水などの副生成物がなく、透明度の高い抗微生物樹脂を得ることができる。このため、基材の意匠性に与える影響を小さくすることができる。
【0058】
上記ビニル基を有するモノマーは、スチレン、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼンから選択される1種以上のモノマーであることが望ましい。
スチレン、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼンは、特に透明度の高い抗微生物樹脂を得ることができる。また、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼンは、モノマーに添加することによって架橋し、三次元網目構造を形成することができる。三次元網目構造を形成することによって、分解しにくくなり、耐久性を高くすることができる。
【0059】
本発明の紫外線照射用冶具において、酸性官能基と樹脂基体とからなる抗微生物樹脂は、特に限定されるものではないが、例えば、陽イオン交換樹脂をそのままあるいは粉砕などして微細化して使用することができる。陽イオン交換樹脂は、同様に樹脂基体に酸性官能基を有する構成であり、本発明の抗微生物樹脂として利用することができる。
【0060】
上記ビス型第四級アンモニウム塩としては、例えば、下記一般式(1)で表されるビス型ピリジニウム塩、ビス型キノリニウム塩、ビス型チアゾリウム塩、下記一般式(2)で表される化合物等が望ましい。
【0061】
【化1】
(上記一般式(1)中、R及びRは、同一または異なっていてもよいアルキル基、Rはエーテル結合を含んでもよい有機基であり、Xは、ハロゲン陰イオンを示す。)
【0062】
【化2】
(上記一般式(2)中、Rは、官能基を有してもよいアルキル基を表し、R、R、R、R、R及びR10は、アルキル基を表す。)
【0063】
まず、上記一般式(1)で表されるビス型ピリジニウム塩について説明する。
上記一般式(1)で表されるビス型ピリジニウム塩において、Xとしては、例えば、Cl、Br、I等が挙げられる。
、Rは、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、上記アルキル基は、側鎖を有していてもよい。
上記一般式(1)中、Rで表される有機基は、−CO−O−(CH)−O−CO−、−CONH−(CH)−CO−、−NH−CO−(CH)−CO−NH−、−S−Ph−S−、−CONH−Ph−NHCO−、―NHCO−Ph−CONH−、−O−(CH)−O−または−CH−O−(CH)−O−CH−(但し、Phは、フェニレン基を表す。)で表されるものであることが望ましい。
【0064】
具体的には、ビス型ピリジニウム塩として、下記の一般式(3)〜一般式(10)で示されるものが挙げられる。
【化3】
上記一般式(3)中、R11は、C2n+1で表されるアルキル基であり、nは、8、10、12、14、16または18が望ましい。また、mは、3、4、6、8、10が望ましい。以下に示す化合物の置換基R11についても、同様である。
【0065】
【化4】
【0066】
【化5】
【0067】
【化6】
【0068】
【化7】
【化8】
【0069】
【化9】
【0070】
【化10】
【0071】
また、上記ビス型ピリジニウム塩としては、下記の一般式(11)で表される1,1′−ジデシル−3,3′−[ブタン−1,4−ジイルビス(オキシメチレン)]ジピリジニウム=ジブロミドが特に望ましい。
【化11】
【0072】
次に、上記ビス型チアゾリウム塩について説明する。
また、上記ビス型チアゾリウム塩としては、下記の一般式(12)で示されるビス型チアゾリウム塩が挙げられる。
【化12】
【0073】
次に、ビス型キノリニウム塩について説明する。
上記ビス型キノリニウム塩としては、一般式(3)〜一般式(10)で表されるビス型ピリジニウム塩を構成する下記の一般式(13)に表されるピリジニウム基を、一般式(14)に示すキノリウム基に置換した化学構造を有するビス型キノリニウム塩が挙げられる。上記ビス型キノリニウム塩において、他の置換基等は、一般式(3)〜一般式(10)で表されるビス型ピリジニウム塩と同様である。
【0074】
【化13】
【0075】
【化14】
【0076】
さらに、本発明で使用される一般式(2)で表される化合物について説明する。
【化15】
上記一般式(2)中、Rは、官能基を有してもよいアルキル基を示す。アルキル基は、側鎖を有してもよく、その炭素数は、1〜20が望ましい。上記官能基としては、ヒドロキシル基、アルデヒド基、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、エーテル基等が挙げられる。また、R、R、R、R、R及びR10は、アルキル基を表し、上記アルキル基は、側鎖を有してもよく、その炭素数は、1〜20が望ましい。
【0077】
上記一般式(2)で表される化合物としては、2,3−ビス(ヘキサデシルジメチルアンモニウムブロマイド)−1−プロパノール等が挙げられる。
【0078】
本発明の紫外線照射用冶具において、上記抗微生物組成物に含まれる紫外線硬化型樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、及び、アルキッド樹脂からなる群から選択される少なくとも1種が望ましい。
【0079】
上記アクリル樹脂としては、エポキシ変性アクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂(ウレタン変性アクリレート樹脂)、シリコン変性アクリレート樹脂等が挙げられる。
上記ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等が挙げられる。
【0080】
上記エポキシ樹脂としては、脂環式エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂やグリシジルエーテル型のエポキシ樹脂とオキセタン樹脂を組みわせたもの等が挙げられる。
アルキッド樹脂としては、ポリエステルアルキッド樹脂等が挙げられる。
これらの樹脂は、透明性を有するとともに、基材に対する密着性にも優れる。
【0081】
本発明の紫外線照射用冶具では、上記抗微生物組成物には、光重合開始剤が含まれていることが望ましい。
壁面に、未硬化の紫外線硬化型樹脂であるモノマー又はオリゴマーと光重合開始剤と各種添加剤と抗微生物成分とを含んだ抗微生物組成物を付着せしめた後、紫外線を照射することにより、光重合開始剤は、開裂反応、水素引き抜き反応、電子移動等の反応を起こし、これにより生成した光ラジカル分子、光カチオン分子、光アニオン分子等が上記モノマーや上記オリゴマーを攻撃してモノマーやオリゴマーの重合反応や架橋反応が進行し、抗微生物成分を含む抗微生物組成物の硬化体が形成される。
【0082】
また、本発明においては、上記光重合開始剤は、銅に対する還元剤として使用することができる。光重合開始剤により、銅(II)を銅(I)に還元することができる。銅(I)の方が銅(II)よりも抗微生物性能が高い。
【0083】
上記光重合開始剤は、具体的にはアルキルフェノン系、ベンゾフェノン系、アシルフォスフィンオキサイド系、分子内水素引き抜き型、及び、オキシムエステル系からなる群から選択される少なくとも1種が望ましい。
【0084】
上記アルキルフェノン系の光重合開始剤としては、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホニル)フェニル]−1−ブタノン等が挙げられる。
【0085】
アシルフォスフィンオキサイド系の光重合開始剤としては、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。
【0086】
分子内水素引き抜き型の光重合開始剤としては、例えば、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、オキシフェニルサクサン、2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステルトオキシフェニル酢酸と2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステルとの混合物等が挙げられる。
【0087】
オキシムエステル系の光重合開始剤としては、例えば、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(0-アセチルオキシム)等が挙げられる。
【0088】
本発明の紫外線照射用冶具においては、上記光重合開始剤は、アルキルフェノン系の光重合開始剤およびベンゾフェノン系の光重合開始剤を含み、アルキルフェノン系の光重合開始剤とベンゾフェノン系の光重合開始剤の比率は、重量比でアルキルフェノン系の光重合開始剤/ベンゾフェノン系の光重合開始剤=1/1〜4/1であることが望ましい。紫外線硬化型樹脂の硬化物の架橋密度が高くなり、壁面に固定された抗微生物組成物の硬化体の拭き取り清掃の際に発生する応力や摩耗に対する耐久性が向上するからである。
【0089】
次に、本発明の抗微生物組成物のコート方法について説明する。
本発明の抗微生物組成物のコート方法は、壁面に、抗微生物成分及び紫外線硬化型樹脂を含む未硬化の抗微生物組成物を付着せしめた後、付着した上記抗微生物組成物中の上記未硬化の紫外線硬化型樹脂に紫外線を照射して上記紫外線硬化型樹脂を硬化させ、上記壁面に抗微生物組成物の硬化体を固定させる抗微生物組成物の壁面へのコート方法であって、
上記紫外線硬化型樹脂を硬化させる際、上記の紫外線照射用冶具を用いることを特徴とする。
【0090】
(1)吹き付け工程
本発明の抗微生物組成物のコート方法では、まず、壁面に向けて、抗微生物成分及び紫外線硬化型樹脂を含む未硬化の抗微生物組成物を吹き付け、壁面に抗微生物組成物を付着せしめる吹き付け工程を行う。
本発明の紫外線照射用冶具を製造する際には、まず、吹き付け工程として、壁面に向かって、抗微生物成分と未硬化の紫外線硬化型樹脂と分散媒と光重合開始剤とを含む抗微生物組成物を吹き付ける。
【0091】
壁面に、上記抗微生物組成物を吹き付ける方法としては、例えば、スプレー法、二流体スプレー法、静電スプレー法、エアロゾル法等が挙げられる。
【0092】
本発明において、スプレー法とは、高圧の空気などのガスや機械的な運動(指やピエゾ素子など)用いて抗微生物組成物を霧の状態で噴霧し、壁面に上記抗微生物組成物の液滴を付着させることをいう。
本発明において、二流体スプレー法とは、スプレー法の一種であり、高圧の空気などのガスと抗微生物組成物とを混合した後、ノズルから霧の状態で噴霧し、壁面に上記抗微生物組成物の液滴を付着させることをいう。
本発明において、静電スプレー法とは、帯電した抗微生物組成物を利用する散布方法であり、上記したスプレー法により抗微生物組成物を霧の状態で噴霧するが、上記抗微生物組成物を霧状にするための方式には、上記抗微生物組成物を噴霧器で噴霧するガン型と、帯電した抗微生物組成物の反発を利用した静電霧化方式があり、さらに、ガン型には帯電した抗微生物組成物を噴霧する方式と、噴霧した霧状の抗微生物組成物に外部電極からコロナ放電で電荷を付与する方式とがある。霧状の液滴は、帯電しているため、壁面に付着し易く、良好に上記抗微生物組成物を、細かく分割された状態で壁面に付着させることができる。
本発明において、エアロゾル法とは、金属の化合物を含む抗微生物組成物を物理的及び化学的に生成した霧状のものを対象物に吹き付ける手法である。
【0093】
本発明の紫外線照射用冶具において、壁面の材料は、特に限定されるものでなく、例えば、金属、ガラス等のセラミック、樹脂、繊維織物、木材等が挙げられる。
また、本発明の紫外線照射用冶具において、対象となる壁面も、特に限定されるものではなく、建築物内部の壁面、窓ガラス、ドア等であってもよい、事務機器や家具等において床に対してほぼ垂直方向に設けられている部材であってもよい。
【0094】
上記抗微生物成分としては、無機系抗微生物剤及び有機系抗微生物剤からなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。
上記無機系抗微生物剤は、銀、銅、亜鉛、白金、亜鉛化合物、銀化合物、銅化合物、金属もしくは金属酸化物が担持された金属酸化物触媒、金属イオンでイオン交換されたゼオライト、及び、銅の錯体からなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましく、上記有機系抗微生物剤は、抗微生物樹脂、スルホン酸系界面活性剤、銅のアルコキシド、及び、ビス型第四級アンモニウム塩からなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。
【0095】
上記紫外線硬化型樹脂は、アクリル樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、及び、アルキッド樹脂からなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。
【0096】
上記分散媒の種類は特に限定されるものではないが、安定性を考慮した場合にはアルコール類や水を使用する事が好ましい。アルコール類としては、粘性を下げる事を考慮して、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール等のアルコール類が挙げられる。これらのアルコールのなかでは、粘度が高くなりにくいメチルアルコール、エチルアルコールが好ましく、アルコールと水との混合液が望ましい。
【0097】
本発明においては、光重合開始剤は、紫外線の照射により、紫外線硬化型樹脂を硬化させるとともに、銅に対する還元剤として使用することができる。このため、紫外線硬化型樹脂、銅化合物および分散媒からなる抗微生物組成物に光重合開始剤を添加してもよい。光重合開始剤により、銅(II)を銅(I)に還元することができる。銅(I)の方が銅(II)よりも抗微生物性能が高い。
【0098】
上記光重合開始剤は、具体的にはアルキルフェノン系、ベンゾフェノン系、アシルフォスフィンオキサイド系、分子内水素引き抜き型、及び、オキシムエステル系からなる群から選択される少なくとも1種が望ましい。
【0099】
上記抗微生物組成物中の抗微生物成分の含有割合は、2.0〜30.0重量%が望ましく、未硬化の紫外線硬化型樹脂(モノマー又はオリゴマー)の含有割合は、15〜40重量%が望ましく、分散媒の含有割合は、30〜80重量%が望ましい。
【0100】
上記抗微生物組成物中には、必要に応じて、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、接着促進剤、レオロジー調整剤、レベリング剤、消泡剤等が配合されていてもよい。
【0101】
上記抗微生物組成物を調製する際には、分散媒に抗微生物成分とモノマー若しくはオリゴマーと重合開始剤を添加した後、ミキサー等で充分に攪拌し、抗微生物成分、未硬化の紫外線硬化型樹脂等、重合開始剤が均一な濃度で分散する組成物とした後、壁面に吹き付け、壁面に抗微生物組成物の液滴を付着せしめることが望ましい。
【0102】
上記吹き付け工程により、壁面に抗微生物成分の液滴が島状に散在し、もしくは、抗微生物成分を含む液滴が付着している領域と液滴が付着していない領域とが混在した状態となる。
【0103】
(2)乾燥工程
上記吹き付け工程により壁面に付着した抗微生物成分と未硬化の紫外線硬化型樹脂と分散媒と重合開始剤とを含む抗微生物組成物を乾燥させ、分散媒を蒸発、除去し、抗微生物成分を含む抗微生物組成物を壁面に仮固定させるとともに、抗微生物組成物の収縮により、抗微生物成分を抗微生物組成物の表面から露出させることができる。乾燥条件としては、60〜100℃、0.5〜5.0分が望ましい。
【0104】
(3)硬化工程
上記乾燥工程の後、硬化工程として、本発明の紫外線照射用冶具を用い、上記乾燥工程で分散媒を除去した抗微生物組成物中の上記未硬化の紫外線硬化型樹脂であるモノマーやオリゴマーに紫外線を照射して上記紫外線硬化型樹脂を硬化させ、抗微生物組成物の硬化体とする。
紫外線の波長の範囲は、10〜400nmであり、用いる紫外線の範囲は上記範囲であれば、特に限定されるものではないが、254nm及び365nmが好ましく、365nmがより好ましい。壁面に付着した抗微生物組成物の内部に紫外線を到達させることができるからである。
紫外線の照射強度は、1.0〜30mW/cmが望ましい。短時間で抗微生物組成物の硬化体を形成することができるからである。紫外線の照射時間は、20〜600秒が望ましい。
【0105】
本発明の紫外線照射手段を用い、一度の紫外線照射により、5000〜10000cmの面積の抗微生物組成物を硬化させることができる。
【0106】
また、上記紫外線は、光重合開始剤を励起し、銅化合物を還元する働きをもつ。このため、銅(II)を還元して銅(I)の量を増やして抗微生物活性を高くすることができる。
【0107】
本発明の紫外線照射用冶具では、X線光電子分光分析法により、925〜955eVの範囲にあるCu(I)とCu(II)に相当する結合エネルギーを5分間測定することで上記銅化合物中にCu(I)とCu(II)の共存が確認されることが望ましい。Cu(I)とはCu(II)は共存した方がそれぞれ単独の場合よりも抗微生物活性が高いからである。
【0108】
本発明の紫外線照射用冶具では、X線光電子分光分析法により、925〜955eVの範囲にあるCu(I)とCu(II)に相当する結合エネルギーを5分間測定することで算出される、上記銅化合物中に含まれるCu(I)とCu(II)とのイオンの個数の比率(Cu(I)/Cu(II))は、0.4〜50であることが望ましい。
また、Cu(I)の銅は、Cu(II)の銅と比較して抗微生物性により優れているため、第1の本発明の紫外線照射用冶具において、X線光電子分光分析法により、925〜955eVの範囲にあるCu(I)とCu(II)に相当する結合エネルギーを5分間測定することで算出される、上記銅化合物中に含まれるCu(I)とCu(II)とのイオンの個数の比率(Cu(I)/Cu(II))が1.0〜4.0であると、より抗微生物性に優れた紫外線照射用冶具となる。
これらの工程により、抗微生物成分を含む抗微生物組成物の硬化体を壁面に固定することができる。
【0109】
上記抗微生物組成物中には、上記した光重合開始剤が添加されているので、電磁波を照射することにより未硬化の紫外線硬化型樹脂であるモノマーやオリゴマーの重合反応や架橋反応等が進行し、抗微生物組成物の硬化体が形成される。
上記吹き付け工程により散布された抗微生物組成物は、壁面に孤立して、又は、壁面の一部を露出した状態で重畳して付着しているので、得られた抗微生物組成物の硬化体は、壁面に島状に散在しているか、又は、当該抗微生物組成物の硬化体が形成された領域と形成されてない領域が混在した状態となる。
【0110】
上記抗微生物組成物の硬化体の壁面への被覆率は、抗微生物組成物中の抗微生物成分の濃度、分散媒の濃度等や散布の圧力、塗液の噴出速度、散布時間等を操作することにより、調整することができる。スプレーガンを用いて噴射する場合は、スプレーガンのエアー圧力やスプレー塗布幅、スプレーガンの移動速度、塗液の噴出速度、塗布距離を変化させることにより、調整することができる。
【0111】
上記抗微生物組成物の硬化体の壁面に平行な方向の最大幅やその厚さの平均値は、走査型顕微鏡、レーザー顕微鏡を用いることにより、測定することができる。
具体的には、画像解析・画像計測ソフトウェアを備えた走査型顕微鏡やレーザー顕微鏡を用いることにより、又は、走査型顕微鏡、レーザー顕微鏡で得られた画像を画像解析・画像計測ソフトウェアを用いて画像解析等を行うことにより、上記した抗微生物組成物の硬化体の壁面に平行な方向の最大幅やその厚さの平均値を求めることができる。
【実施例】
【0112】
(実施例1)
(1)酢酸銅の濃度が6.0wt%になるように、酢酸銅(II)・一水和物粉末(富士フイルム和光純薬製)を純水に溶解させた後、マグネチックスターラーを用い、600rpmで15分撹拌して酢酸銅水溶液を調製した。紫外線硬化樹脂液は、光ラジカル重合型アクリレート樹脂(ダイセル・オルネクス社製 UCECOAT7200)と光重合開始剤(IGM社製 Omnirad500)を重量比98:2で混合し、ホモジナイザーを用い、8000rpmで30分間撹拌して調製した。
上記6.0wt%酢酸銅水溶液と紫外線硬化樹脂液を重量比1.0:1.7で混合し、マグネチックスターラーを用い、600rpmで2分撹拌して抗ウィルス性組成物を調製した。
なお、IGM社製のOmnirad500は、BASF社のIRGACURE500と同じもので、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(アルキルフェノン)とベンゾフェノンとの重量比1:1の混合物である。すなわち、アルキルフェノン系光重合開始剤とベンゾフェノン系光重合開始剤は、重量比1:1で存在している。この光重合開始剤は、水に不溶であり、紫外線により還元力を発現する。
【0113】
(2)ついで、500mm×500mmの大きさの黒色光沢メラミン板を床面に対して垂直に立て、7.5g/分の噴出速度で分散媒を含んだ状態で4g/mに相当する抗ウィルス性組成物をスプレーガン(明治機械製作所製 FINER SPOT G12)を用い、0.1MPaのエアー圧力、30cm/secのストローク速度で霧状に吹き付け、抗微生物組成物の液滴を黒色光沢メラミン板表面に付着させた。
【0114】
(3)この後、黒色光沢メラミン板を80℃で3分間乾燥させ、さらに紫外線照射装置(COATTEC社製 MP02)を含む図1に示した本発明の紫外線照射用冶具を用い、30mW/cmの照射強度で80秒間紫外線を照射することにより、壁面を想定した黒色光沢メラミン板表面に銅化合物を含む抗微生物組成物の硬化体が固着形成された抗微生物組成物の硬化体を得た。
【0115】
(比較例1)
実施例1の黒色光沢メラミン板に抗ウィルス性組成物を固着させなかったものを比較例1とした。
【0116】
(ファージウィルスを用いた抗ウィルス性評価)
この抗ウィルス性試験は以下のように実施した。
実施例1及び比較例1で得られた抗微生物組成物の硬化体に関し、JIS Z 2801 抗菌加工製品−抗菌性試験方法・抗菌効果を改変した手法を用い、抗ウィルス性を測定した。改変点は、「試験菌液の接種」を「試験ウィルスの接種」に変更した点である。ウィルスを使用することによる変更点についてはすべてJIS L 1922繊維製品の抗ウィルス性試験方法に基づき変更した。測定結果は実施例1で得られた抗ウィルス性部材についてJIS L 1922付属書Bに基づき、CRFK細胞への感染能力を失ったファージウィルス濃度をウィルス不活度として表示する。ここで、ウィルス濃度の指標として、CRFK細胞に対して不活性化されたウィルスの濃度(ウィルス不活度)を使用し、このウィルス不活度に基づいて抗ウィルス活性値を算出した。
【0117】
以下、手順を具体的に記載する。
(1) 実施例1及び比較例1で得られた抗ウィルス性部材について、当該抗ウィルス性部材を1辺50mm角の正方形に切り出して試験試料とした。この試験試料を滅菌済プラスチックシャーレに置き、試験ウィルス液(>10PFU/mL)を0.4mL接種する。
試験ウィルス液は10PFU/mLのストックを精製水で10倍希釈したものを使用する。
(2) 対照試料として50mm角のポリエチレンフイルムを用意し、試験試料と同様にウィルス液を接種する。
【0118】
(3) 接種したウィルスの液の上から40mm角のポリエチレンを被せ、試験ウィルス液を均等に接種させた後、25℃で所定時間反応させる。
(4) 接種直後または反応後、SCDLP培地10mLを加え、ウィルス液を洗い流す。
(5) JIS L 1922付属書Bによってウィルスの感染値を求める。
【0119】
(6) 以下の計算式を用いて抗ウィルス活性値を算出する。
Mv=Log(Vb/Vc)
Mv:抗ウィルス活性値
Log(Vb):ポリエチレンフイルムの所定時間反応後の感染値の対数値
Log(Vc):試験試料の所定時間反応後の感染値の対数値
参考規格 JIS L 1922、JIS Z 2801
測定方法は、プラーク測定法によった。
【0120】
実施例1に係る抗微生物組成物の硬化体の抗ウィルス活性値は、3.6であり、比較例1に係る未硬化の抗微生物組成物の抗ウィルス活性値は、0.1であり、比較例1に比べて紫外線を照射した実施例1の抗微生物組成物の硬化体は、高い抗ウィルス活性が得られることが判明した。
【符号の説明】
【0121】
10 紫外線照射用冶具
11 移動台
11a 車輪
11b ストッパ
11c 台座部
12a、12b 支柱
120a、120b 貫通孔
13a、13b スライドレール
130a、130b 壁面側部材
14 UV照射器
15a ベルト
15b フック
16 結合板
図1
図2
図3
図4